(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】樹脂およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 63/197 20060101AFI20240326BHJP
C07C 43/196 20060101ALI20240326BHJP
C07C 43/23 20060101ALI20240326BHJP
C08G 64/04 20060101ALI20240326BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20240326BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20240326BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C08G63/197
C07C43/196
C07C43/23
C08G64/04
C08L67/02
C08L69/00
G02B1/04
(21)【出願番号】P 2023507809
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 KR2022006984
(87)【国際公開番号】W WO2022245077
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】10-2021-0063567
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミン・スク・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジェスン・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョナ・シン
(72)【発明者】
【氏名】キョンムン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キョンミン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ボラ・シン
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-209054(JP,A)
【文献】特開2015-21055(JP,A)
【文献】国際公開第2013/121835(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C08G
C08L
G02B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される単位を含む樹脂:
【化19】
前記化学式1において、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のシクロアルキル基であり、
r1は、0~4の整数であり、r1が2以上である場合、2以上のR1は互いに同一または異なり、
r2は、0~4の整数であり、r2が2以上である場合、2以上のR2は互いに同一または異なり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
Lは、直接結合;または-CO-L’-であり、
L’は、置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、O;またはSであり、
Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
aおよびbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、1~10の整数であり、aおよびbがそれぞれ2以上である場合、各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味する。
【請求項2】
前記R1およびR2は水素である、請求項1に記載の樹脂。
【請求項3】
前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数4~20のヘテロアリーレン基である、請求項1に記載の樹脂。
【請求項4】
前記Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のエチレン基である、請求項1に記載の樹脂。
【請求項5】
前記X1~X4はOである、請求項1に記載の樹脂。
【請求項6】
重量平均分子量は10,000g/mol~200,000g/molである、請求項1に記載の樹脂。
【請求項7】
ガラス転移温度(Tg)は200℃~250℃である、請求項1に記載の樹脂。
【請求項8】
波長589nmで測定された屈折率が1.68~1.75である、請求項1に記載の樹脂。
【請求項9】
下記化学式1aで表される化合物:
【化20】
前記化学式1aにおいて、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のシクロアルキル基であり、
r1は、0~4の整数であり、r1が2以上である場合、2以上のR1は互いに同一または異なり、
r2は、0~4の整数であり、r2が2以上である場合、2以上のR2は互いに同一または異なり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、O;またはSであり、
Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
aおよびbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、1~10の整数であり、aおよびbがそれぞれ2以上である場合、各括弧内の構造は互いに同一または異なる。
【請求項10】
前記化学式1aは、下記化合物の中から選択されるいずれか一つである、請求項9に記載の化合物:
【化21】
【請求項11】
下記化学式1aで表される化合物;およびポリエステル前駆体またはポリカーボネート前駆体を含む樹脂製造用組成物を重合するステップを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の樹脂の製造方法:
【化22】
前記化学式1aにおいて、R1、R2、r1、r2、L1、L2、X1~X4、Z1、Z2、a、およびbの定義は、前記化学式1における定義と同様である。
【請求項12】
前記ポリエステル前駆体は、下記化学式Aで表され、前記ポリカーボネート前駆体は、下記化学式Bで表される、請求項11に記載の樹脂の製造方法:
【化23】
前記化学式AおよびBにおいて、
Ra1、Ra2、Rb1、およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して
、置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基であり、
L’は、置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
a1、a2、b1、およびb2はそれぞれ0または1である。
【請求項13】
請求項1から8のいずれか一項に記載の樹脂を含む樹脂組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の樹脂組成物を含む成形品。
【請求項15】
光学レンズである、請求項14に記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年5月17日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0063567号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、樹脂およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、高屈折率および高透明性の樹脂ならびにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光学材料の屈折率が高いと、同一レベルの補正を達成するのに必要な光学レンズの厚さは薄くなる。これにより、光学材料の屈折率が高いほど、より薄くて軽いレンズの製造が可能となり、レンズが用いられる各種機器の小型化が可能である。
【0004】
一般に、光学材料の屈折率が高くなると、アッベ数(Abbe’s Number)が低くなるという問題があり、また、光学材料への使用のために一定レベル以上の透明性が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施態様は、新規な構造の樹脂およびその製造方法を提供しようとする。
【0006】
本発明のまた一つの実施態様は、新規な構造の樹脂を含む組成物およびその組成物から製造された成形品を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様は、下記化学式1で表される単位を含む樹脂を提供する。
【化1】
前記化学式1において、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のシクロアルキル基であり、
r1は、0~4の整数であり、r1が2以上である場合、2以上のR1は互いに同一または異なり、
r2は、0~4の整数であり、r2が2以上である場合、2以上のR2は互いに同一または異なり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
Lは、直接結合;または-CO-L’-であり、
L’は、置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、O;またはSであり、
Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
aおよびbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、1~10の整数であり、aおよびbがそれぞれ2以上である場合、各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味する。
【0008】
本発明の一実施態様は、下記化学式1aで表される化合物を提供する。
【化2】
前記化学式1aにおいて、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のシクロアルキル基であり、
r1は、0~4の整数であり、r1が2以上である場合、2以上のR1は互いに同一または異なり、
r2は、0~4の整数であり、r2が2以上である場合、2以上のR2は互いに同一または異なり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、O;またはSであり、
Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
aおよびbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、1~10の整数であり、aおよびbがそれぞれ2以上である場合、各括弧内の構造は互いに同一または異なる。
【0009】
本発明の一実施態様は、下記化学式1aで表される化合物;およびポリエステル前駆体またはポリカーボネート前駆体を含む樹脂製造用組成物を重合するステップを含む、前記樹脂の製造方法を提供する。
【化3】
前記化学式1aにおいて、R1、R2、r1、r2、L1、L2、X1~X4、Z1、Z2、a、およびbの定義は、前記化学式1における定義と同様である。
【0010】
本発明のまた一つの実施態様は、前述した実施態様による樹脂を含む樹脂組成物を提供する。
【0011】
本発明のまた一つの実施態様は、前述した実施態様による樹脂組成物を含む成形品を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施態様による樹脂は、高い屈折率および高い透明性を有する。
【0013】
本発明の一実施態様による樹脂を用いることで、優れた光学レンズを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、具体的な実施態様についてより詳細に説明する。
【0015】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に置き換わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0016】
本明細書において、「置換もしくは非置換」という用語は、ハロゲン基;ニトロ基(NO2);ニトリル基(CN);アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換されるか、前記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、またはいかなる置換基も有しないことを意味する。
【0017】
本明細書において、*は、他の構造への結合部位を意味する。
【0018】
本明細書において、シクロアルキレン基は、単環式もしくは多環式のシクロアルキレン基であってもよい。具体的に、シクロアルキレン基は、炭素数3~20のシクロアルキレン基;炭素数6~18の単環式もしくは多環式のシクロアルキレン基;または炭素数6~12の単環式もしくは多環式のシクロアルキレン基であってもよい。より具体的に、シクロアルキレン基は、単環式シクロアルキレンとして、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、またはシクロヘプチレン基などの脂環式炭化水素由来の2価の基などであってもよく、多環式シクロアルキレン基として、2価のアダマンタン-ジイル基、2価のノルボルナン-ジイル基などであってもよい。ただし、これらに限定されるものではない。また、前記シクロアルキレン基は、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、またはハロゲン基で1以上置換されていても置換されていなくてもよい。
【0019】
本明細書において、シクロアルキル基は、2価の基ではなく、1価の基であることを除いては、シクロアルキレン基の説明が適用されてもよい。
【0020】
本明細書において、アルキレン基は、炭素数1~30、炭素数1~20、炭素数1~10、または炭素数1~5の脂肪族炭化水素由来の2価の基であり、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基であってもよい。アルキレン基の具体的な例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、sec-ブチレン基、1-メチル-ブチレン基、1-エチル-ブチレン基、ペンチレン基、n-ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert-ペンチレン基、ヘキシレン基、n-ヘキシレン基、1-メチルペンチレン基、2-メチルペンチレン基、4-メチル-2-ペンチレン基、3,3-ジメチルブチレン基、2-エチルブチレン基、ヘプチレン基、n-ヘプチレン基、1-メチルヘキシレン基、オクチレン基、n-オクチレン基、tert-オクチレン基、1-メチルヘプチレン基、2-エチルヘキシレン基、2-プロピルペンチレン基、n-ノニレン基、2,2-ジメチルヘプチレン基、1-エチル-プロピレン基、1,1-ジメチル-プロピレン基、イソヘキシレン基、2-メチルペンチレン基、4-メチルヘキシレン基、5-メチルヘキシレン基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
本明細書において、アルキル基は、2価の基ではなく、1価の基であることを除いては、アルキレン基の説明が適用されてもよい。
【0022】
本明細書において、特に限定しない限り、アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基およびシクロアルキル基を含む。
【0023】
本明細書において、アリーレン基は、単環式もしくは多環式のアリーレン基であってもよく、炭素数は特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましく、炭素数6~20であってもよい。具体的に、単環式アリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニリレン基、テルフェニリレン基などが挙げられるが、これらに限定されない。前記アリーレン基が多環式アリーレン基である場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数10~30であることが好ましく、炭素数10~20であってもよい。具体的に、多環式アリーレン基としては、ナフチレン基、2価のアントラセン基、2価のフェナントレン基、2価のトリフェニレン基、2価のピレン基、2価のペリレン基、2価のクリセン基、2価のフルオレン基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書において、アリール基は、2価の基ではなく、1価の基であることを除いては、アリーレン基の説明が適用されてもよい。
【0025】
本明細書において、ヘテロアリール基は、炭素ではない原子、ヘテロ原子を1以上含むものであり、具体的に、前記ヘテロ原子は、O、N、Se、およびSなどからなる群より選択される原子を1以上含む。前記ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましく、炭素数1~20であってもよい。前記ヘテロアリール基は、単環式もしくは多環式であってもよい。ヘテロアリール基の例としては、チオフェン基、フラン基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾチオフェン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ピリジン基、ビピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基、トリアゾール基、アクリジン基、ピリダジン基、ピラジン基、キノリン基、キナゾリン基、キノキサリン基、フタラジン基、ピリドピリミジン基、ピリドピラジン基、ピラジノピラジン基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書において、ヘテロアリーレン基は、1価の基ではなく、2価の基であることを除いては、ヘテロアリール基の説明が適用されてもよい。
【0027】
本明細書において、ハロゲン基は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基である。
【0028】
本明細書において、2価の脂肪族炭化水素基は、前述したアルキレン基、シクロアルキレン基などを意味する。
【0029】
本明細書において、脂肪族環は、前述したシクロアルキレン基の説明が適用されてもよく、芳香族環は、アリーレン基またはヘテロアリーレン基の説明が適用されてもよい。
【0030】
本発明の一実施態様は、下記化学式1で表される単位を含む樹脂を提供する。
【化4】
前記化学式1において、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のシクロアルキル基であり、
r1は、0~4の整数であり、r1が2以上である場合、2以上のR1は互いに同一または異なり、
r2は、0~4の整数であり、r2が2以上である場合、2以上のR2は互いに同一または異なり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
Lは、直接結合;または-CO-L’-であり、
L’は、置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、O;またはSであり、
Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
aおよびbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、1~10の整数であり、aおよびbがそれぞれ2以上である場合、各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味する。
【0031】
ローレンツ-ローレンツの式(Lorentz-Lorenz’s formula)により知られている分子構造と屈折率の関係式から、分子の電子密度を高め、分子の体積を減らすことで、分子で構成される物質の屈折率が高くなることが分かる。
【0032】
前記化学式1で表される単位を含む樹脂は、前記化学式1のコア構造であるスピロビフルオレンを含むことで、パッキング性を増加させ、前記L1およびL2が置換もしくは非置換のアリーレン基または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であることで、前記化学式1のコア構造であるスピロビフルオレンの電子密度が高くなり、樹脂の屈折率を向上させることができる。
【0033】
仮に、前記L1およびL2の他にR1、R2がアリール基またはヘテロアリール基のような芳香族置換基がさらに置換される場合、熱可塑性樹脂ではなく熱硬化性樹脂が製造され得るため、本発明が提供しようとする樹脂としては好ましくない。
【0034】
本発明の一実施態様において、前記R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基;または置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基である。
【0035】
本発明の一実施態様において、前記R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基;または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基である。
【0036】
本発明の一実施態様において、前記R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基;または置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基である。
【0037】
本発明の一実施態様において、前記R1およびR2は水素である。
【0038】
本発明の一実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロアリーレン基である。
【0039】
本発明の一実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数4~20のヘテロアリーレン基である。
【0040】
本発明の一実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数3~20のヘテロアリーレン基である。
【0041】
本発明の一実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~12のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数3~10のヘテロアリーレン基である。
【0042】
本発明の一実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~12のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数4~10のヘテロアリーレン基である。
【0043】
本発明の一実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニレン基;置換もしくは非置換のビフェニリレン基;置換もしくは非置換のナフチレン基;置換もしくは非置換の2価のジベンゾフラン基;置換もしくは非置換の2価のフルオレン基;または置換もしくは非置換の2価のチオフェニル基である。
【0044】
本発明の一実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニレン基;ビフェニリレン基;ナフチレン基;2価のジベンゾフラン基;2価のジメチルフルオレン基;または2価のチオフェニル基である。
【0045】
本発明の一実施態様において、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニレン基;ナフチレン基;または2価のジベンゾフラン基である。
【0046】
本発明の一実施態様において、前記Lは直接結合である。
【0047】
本発明の一実施態様において、前記Lは-CO-L’-である。
【0048】
本発明の一実施態様において、前記L’は、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基である。
【0049】
本発明の一実施態様において、前記L’は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基である。
【0050】
本発明の一実施態様において、前記L’は、置換もしくは非置換の炭素数6~12のアリーレン基である。
【0051】
本発明の一実施態様において、前記L’は、置換もしくは非置換のフェニレン基である。
【0052】
本発明の一実施態様において、前記L’はフェニレン基である。
【0053】
本発明の一実施態様において、前記X1~X4はOである。
【0054】
本発明の一実施態様において、前記X1~X4はSである。
【0055】
本発明の一実施態様において、前記Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキレン基;または置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン基である。
【0056】
本発明の一実施態様において、前記Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基;または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基である。
【0057】
本発明の一実施態様において、前記Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基;または置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキレン基である。
【0058】
本発明の一実施態様において、前記Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0059】
本発明の一実施態様において、前記Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のメチレン基;置換もしくは非置換のエチレン基;置換もしくは非置換のプロピレン基;または置換もしくは非置換のヘキシレン基である。
【0060】
本発明の一実施態様において、前記Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチレン基;エチレン基;プロピレン基;またはヘキシレン基である。
【0061】
本発明の一実施態様において、前記Z1およびZ2はエチレン基である。
【0062】
本発明において、前記化学式1は、下記化学式1-1で表されてもよい。
【化5】
前記化学式1-1において、各置換基の定義は、前記化学式1と同様である。
【0063】
本発明の一実施態様によれば、前記樹脂は、末端基として-OH;-SH;-CO2CH3;または-OC6H5を有してもよい。
【0064】
本発明の一実施態様において、前記樹脂の重量平均分子量は、10,000g/mol~200,000g/molであり、好ましくは、15,000g/mol~100,000g/mol、または20,000g/mol~50,000g/molである。より好ましくは、25,000g/mol~40,000g/mol、または25,500g/mol~27,100g/molである。
【0065】
前記樹脂が前述した重量平均分子量範囲を満たす場合、前記樹脂は、最適な流動性および加工性を有することができる。
【0066】
本発明において、樹脂およびその製造に用いられるオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、Agilent 1200シリーズを用いて、ポリスチレン標準(PS standard)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatograph;GPC)で測定することができる。具体的には、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さのカラムを用いて、Agilent 1200シリーズ機器を用いて測定することができる。この際、測定温度は40℃であり、使用溶媒はテトラヒドロフラン(THF)であり、流速は1mL/minである。樹脂またはオリゴマーのサンプルは、それぞれ10mg/10mLの濃度に調製した後、10μLの量で供給し、ポリスチレン標準を用いて形成された較正曲線を用いてMw値を誘導する。この際、ポリスチレン標準品の分子量(g/mol)は、2,000/10,000/30,000/70,000/200,000/700,000/2,000,000/4,000,000/10,000,000の9種を用いる。
【0067】
本発明の一実施態様において、前記樹脂のガラス転移温度(Tg)は200℃~250℃であってもよい。好ましくは205℃~240℃であってもよく、より好ましくは208℃~236℃であってもよい。前記樹脂が前記ガラス転移温度範囲を満たす場合、耐熱性および射出性に優れ、前述した範囲とは異なるガラス転移温度を有する樹脂と混合して樹脂組成物を製造する際に、ガラス転移温度の調節が容易であるため、本発明が目的とする物性を満たすことができる。
【0068】
前記ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。具体的に、前記ガラス転移温度は、5.5mg~8.5mgの前記樹脂試料を窒素雰囲気下で270℃まで加熱後に冷却した後、2番目の加熱時に10℃/minの昇温速度で加熱しつつスキャンして得られたグラフから測定することができる。
【0069】
本発明の一実施態様において、前記樹脂の波長589nmで測定された屈折率が1.68~1.75である。前記屈折率は、好ましくは1.689~1.721であってもよい。前記樹脂が前記屈折率を満たす場合、それを光学レンズのような成形品に適用する際に、薄くて軽い光学レンズの製造が可能である。
【0070】
本発明の一実施態様において、前記樹脂の波長589nm、486nm、656nmで測定および計算されたアッベ数は10~20であってもよい。好ましくは12~16であってもよい。より好ましくは13.1~14.3であってもよい。前記樹脂が前記アッベ数範囲を満たす場合、高い屈折率を維持しながらも、前記樹脂を光学レンズのような成形品に適用する際に、分散が少なく、鮮明度が高くなるという効果がある。具体的に、前記アッベ数は、20℃で、D(589nm)、F(486nm)、C(656nm)波長での屈折率(nD、nF、nC)をそれぞれ測定し、以下の計算式によりアッベ数を得ることができる。
アッベ数=(nD-1)/(nF-nC)
【0071】
前記屈折率およびアッベ数の測定は、前記樹脂を溶媒に溶解して製造された溶液をシリコンウェハにスピンコーティング(spin-coating)で塗布して製造された膜から行われてもよく、塗布された膜を20℃でエリプソメータ(ellipsometer)を用いて光の波長に応じた結果値を得て測定することができる。前記スピンコーティングによる塗布は150rpm~300rpmの回転速度で行われてもよく、前記塗布された膜の厚さは5μm~20μmであってもよい。前記シリコンウェハは、特に制限されず、本発明に係る樹脂組成物の屈折率およびアッベ数を測定できるものであれば適宜採用されてもよい。前記溶媒は、ジメチルアセトアミドまたは1,2-ジクロロベンゼンであってもよく、前記溶液は、溶液の総重量を基準として前記樹脂試料を10重量%で溶解して製造してもよい。
【0072】
本発明の一実施態様は、下記化学式1aで表される化合物を提供する。
【化6】
前記化学式1aにおいて、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のシクロアルキル基であり、
r1は、0~4の整数であり、r1が2以上である場合、2以上のR1は互いに同一または異なり、
r2は、0~4の整数であり、r2が2以上である場合、2以上のR2は互いに同一または異なり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、O;またはSであり、
Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
aおよびbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、1~10の整数であり、aおよびbがそれぞれ2以上である場合、各括弧内の構造は互いに同一または異なる。
【0073】
本発明の一実施態様は、下記化学式1aで表される化合物;およびポリエステル前駆体またはポリカーボネート前駆体を含む樹脂製造用組成物を重合するステップを含む、前記樹脂の製造方法を提供する。
【化7】
前記化学式1aにおいて、R1、R2、r1、r2、L1、L2、X1~X4、Z1、Z2、a、およびbの定義は、前記化学式1における定義と同様である。
【0074】
本発明の一実施態様は、好ましくは、前記化学式1aで表される化合物および前記ポリエステル前駆体を含む樹脂製造用組成物を重合するステップを含む、前記樹脂の製造方法を提供する。
【0075】
本発明の一実施態様は、好ましくは、前記化学式1aで表される化合物および前記ポリカーボネート前駆体を含む樹脂製造用組成物を重合するステップを含む、前記樹脂の製造方法を提供する。
【0076】
本発明の一実施態様は、前記化学式1aで表される化合物;およびポリエステル前駆体またはポリカーボネート前駆体を含む樹脂製造用組成物を提供する。
【0077】
前記樹脂製造用組成物は、溶媒をさらに含んでもよい。
【0078】
前記溶媒は、例えば、ジフェニルエーテル、ジメチルアセトアミド、またはメタノールであってもよいが、これに限定されず、当該技術分野に適用されるものが適宜採用されてもよい。
【0079】
前記溶媒は、前記樹脂製造用組成物100重量部に対して5重量部~60重量部で含まれてもよい。
【0080】
前記溶媒は、前記樹脂製造用組成物100重量部に対し、好ましくは、5重量部~50重量部、10重量部~40重量部、または10重量部~30重量部で含まれてもよい。
【0081】
本発明の一実施態様において、前記化学式1aで表される化合物は、下記化合物のうちいずれか一つであってもよいが、これらに限定されない。
【化8】
【0082】
本発明の一実施態様において、前記化学式1aで表される化合物は、前記樹脂製造用組成物100重量部に対して1重量部~99重量部で含まれてもよい。
【0083】
前記化学式1aで表される化合物は、前記樹脂製造用組成物100重量部に対し、好ましくは、1~60重量部、1~50重量部、1~40重量部、1~30重量部、または1~20重量部で含まれてもよい。
【0084】
本発明の一実施態様において、前記ポリエステル前駆体またはポリカーボネート前駆体は、前記樹脂製造用組成物100重量部に対して1重量部~20重量部で含まれてもよい。
【0085】
前記ポリエステル前駆体またはポリカーボネート前駆体は、前記樹脂製造用組成物100重量部に対し、好ましくは、1~18重量部、1~16重量部、1~14重量部、1~12重量部、または1~10重量部で含まれてもよい。
【0086】
前記化学式1aで表される化合物は、下記反応式に従って製造することができる。
【化9】
【0087】
前記反応式において、置換基の定義は、前述した化学式1aにおける定義と同様である。
【0088】
前記反応式では特定の位置に特定の置換基が結合された化合物を合成する過程を例示したが、当該技術分野で周知の出発物質、中間物質などを用いて、当該技術分野で周知の合成方法により、前記化学式1aの範囲に該当する単位を合成することができる。
【0089】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリエステル前駆体は、下記化学式Aで表され、前記ポリカーボネート前駆体は、下記化学式Bで表されてもよい。
【化10】
前記化学式AおよびBにおいて、
Ra1、Ra2、Rb1、およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して
、置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基であり、
L’は、置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
a1、a2、b1、およびb2はそれぞれ0または1である。
【0090】
本発明の一実施態様において、前記Ra1、Ra2、Rb1、およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基;または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基である。
【0091】
本発明の一実施態様において、前記Ra1、Ra2、Rb1、およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基;または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である。
【0092】
本発明の一実施態様において、前記Ra1、Ra2、Rb1、およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基;または置換もしくは非置換の炭素数6~12のアリール基である。
【0093】
本発明の一実施態様において、前記Ra1、Ra2、Rb1、およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のメチル基;置換もしくは非置換のエチル基;または置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0094】
本発明の一実施態様において、前記Ra1、Ra2、Rb1、およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチル基;ヒドロキシ基で置換のエチル基;またはフェニル基である。
【0095】
本発明の一実施態様において、前記Ra1およびRa2はメチル基である。
【0096】
本発明の一実施態様において、前記Ra1およびRa2は、ヒドロキシ基で置換のエチル基である。
【0097】
本発明の一実施態様において、前記Rb1およびRb2はフェニル基である。
【0098】
本発明の一実施態様において、前記L’は、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基である。
【0099】
本発明の一実施態様において、前記L’は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基である。
【0100】
本発明の一実施態様において、前記L’は、置換もしくは非置換の炭素数6~12のアリーレン基である。
【0101】
本発明の一実施態様において、前記L’は、置換もしくは非置換のフェニレン基である。
【0102】
本発明の一実施態様において、前記L’はフェニレン基である。
【0103】
本発明の一実施態様において、前記a1は0である。
【0104】
本発明の一実施態様において、前記a2は0である。
【0105】
本発明の一実施態様において、前記b1は0である。
【0106】
本発明の一実施態様において、前記b2は0である。
【0107】
本発明の一実施態様において、前記a1は1である。
【0108】
本発明の一実施態様において、前記a2は1である。
【0109】
本発明の一実施態様において、前記b1は1である。
【0110】
本発明の一実施態様において、前記b2は1である。
【0111】
前記ポリカーボネート前駆体は、必要に応じて追加の共単量体を連結する役割をするものであり、前記化学式Bで表される化合物の他に適用可能な他の具体的な例としては、ホスゲン、トリホスゲン、ジホスゲン、ブロモホスゲン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレシルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、またはビスハロホルメートなどが挙げられ、これらのいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いてもよい。
【0112】
前記化学式1aで表される化合物と、前記化学式Aのポリエステル前駆体または前記化学式Bのポリカーボネート前駆体とを重合することで、前述した化学式1の単位に形成されることができる。
【0113】
本発明の一実施態様において、前記樹脂は、前記化学式1aで表される化合物と前記化学式Aのポリエステル前駆体とから重合されることが好ましい。
【0114】
前記化学式1aで表される化合物は、前記化学式1で表される単位を含む樹脂を構成する全単量体100モル部に対して1モル部~60モル部で用いられてもよい。
【0115】
前記化学式Aで表されるポリエステル前駆体または前記化学式Bで表されるポリカーボネート前駆体は、前記樹脂を構成する前記化学式1aで表される化合物の全単量体100モル部に対して50モル部~150モル部で用いられてもよい。
【0116】
本発明に係る樹脂の重合は、当該技術分野で周知の方法が用いられてもよい。
【0117】
前記重合は、溶融重縮合法で行うことが好ましい。
【0118】
前記溶融重縮合法は、前記樹脂製造用組成物を用いて、必要に応じて触媒をさらに適用してもよく、加熱下で、追加の常圧または減圧下で、エステル交換反応により副生成物を除去しつつ溶融重縮合を行うものであってもよい。前記触媒は、当該技術分野に一般に適用される物質が採用されてもよい。
【0119】
具体的に、前記溶融重縮合法は、前記化学式1aで表される化合物;および前記ポリエステル前駆体または前記ポリカーボネート前駆体を反応容器中で溶融した後、副生する化合物を滞留させた状態で、反応を行うことが好ましい。
【0120】
前記副生する化合物を滞留させるために、反応装置を閉塞するか、または減圧したり加圧したりするなどの圧力を制御することができる。
【0121】
この工程の反応時間は20分以上600分以下であり、好ましくは40分以上450分以下であり、より好ましくは60分以上300分以下である。
【0122】
この際、副生する化合物を生成後に直ちに蒸留除去すると、最終的に得られる樹脂は、高分子量体の含有量が少ない。しかし、副生するモノヒドロキシ化合物を反応容器中に一定時間滞留させると、最終的に得られる樹脂は、高分子量体の含有量が多いものが得られる。
【0123】
前記溶融重縮合法は、連続式で行ってもよく、バッチ式で行ってもよい。反応を行う際に用いられる反応装置は、錨型撹拌翼、マックスブレンド撹拌翼、ヘリカルリボン型撹拌翼などを装備した縦型であってもよく、パドル翼、格子翼、メガネ翼などを装備した横型であってもよく、スクリューを装備した押出機型であってもよい。また、重合物の粘度を考慮して、これらの反応装置を適宜組み合わせた反応装置を用いることが好ましく行われる。
【0124】
本発明で用いられる樹脂の製造方法においては、重合反応の終了後、熱安定性および加水分解安定性を維持するために、触媒を除去または失活させてもよい。当該技術分野で公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法を好ましく行うことができる。
【0125】
前記酸性物質としては、例えば、安息香酸ブチルなどのエステル類;p-トルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸類;p-トルエンスルホン酸ブチル、p-トルエンスルホン酸ヘキシルなどの芳香族スルホン酸エステル類;亜リン酸、リン酸、ホスホン酸などのリン酸類;亜リン酸トリフェニル、亜リン酸モノフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジn-プロピル、亜リン酸ジn-ブチル、亜リン酸ジn-ヘキシル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸モノオクチルなどの亜リン酸エステル類;リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノフェニル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノオクチルなどのリン酸エステル類;ジフェニルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸などのホスホン酸類;フェニルホスホン酸ジエチルなどのホスホン酸エステル類;トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンなどのホスフィン類;ホウ酸、フェニルホウ酸などのホウ酸類;ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩などの芳香族スルホン酸塩類;ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p-トルエンスルホン酸クロライドなどの有機ハロゲン化物;ジメチル硫酸などのアルキル硫酸;塩化ベンジルなどの有機ハロゲン化物などが好ましく用いられる。
【0126】
前記酸性物質は、前記触媒100モル部に対して0.1モル部~5モル部、好ましくは0.1モル部~1モル部で用いられてもよい。
【0127】
前記酸性物質が0.1モル部未満であると、失活効果が不充分になるため好ましくない。また、5モル部超過であると、樹脂の耐熱性が低下し、成形品が着色しやすくなるため好ましくない。
【0128】
触媒の失活後、樹脂中の低沸点化合物を、0.1mmHg~1mmHgの圧力、200℃~350℃の温度で脱揮工程をさらに行ってもよい。この工程には、パドル翼、格子翼、メガネ翼など、表面更新能に優れた撹拌翼を備えた横型装置、もしくは薄膜蒸発器が好ましく用いられる。
【0129】
本発明の樹脂は、異物の含有量が最大限少ないことが好ましく、溶融原料の濾過、触媒液の濾過などが好ましく行われる。
【0130】
前記濾過に用いられるフィルタのメッシュは5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。また、生成される樹脂のポリマーフィルタによる濾過が好ましく行われる。前記ポリマーフィルタのメッシュは100μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下である。また、樹脂ペレットを採取する工程は、低ダスト環境でなければならず、クラス6以下であることが好ましく、クラス5以下であることがより好ましい。
【0131】
また、前記樹脂を含む成形品の成形方法としては、射出成形の他に、圧縮成形、注型、ロール加工、押出成形、延伸などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
本発明のまた一つの実施態様は、前述した実施態様による樹脂を含む樹脂組成物を提供する。
【0133】
本発明の一実施態様において、前記樹脂は、前記樹脂組成物100重量部を基準として1重量部~80重量部で含まれてもよい。
【0134】
本発明の一実施態様において、前記樹脂組成物は、溶媒をさらに含んでもよい。前記溶媒は、例えば、ジメチルアセトアミドまたは1,2-ジクロロベンゼンであってもよい。
【0135】
前記溶媒は、前記樹脂組成物100重量部を基準として20重量部~99重量部で含まれてもよい。
【0136】
前記樹脂組成物は、前記化学式1aで表される化合物の他に追加の単量体をさらに含んでもよい。前記追加の単量体は、特に制限されず、前記樹脂組成物の主な物性を変化させない範囲で、ポリエステルまたはポリカーボネート関連の当該技術分野に一般に適用される単量体が適宜採用されてもよい。前記追加の単量体は、前記化学式1で表される単位を含む樹脂を構成する全単量体100モル部に対して1モル部~50モル部で用いられてもよい。
【0137】
前記樹脂組成物は、前記化学式1で表される単位を含む樹脂の他に、必要に応じて、添加剤、例えば、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、滑剤、衝撃補強剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、顔料、および染料からなる群より選択された1種以上をさらに含んでもよい。
【0138】
前記添加剤は、前記樹脂組成物100重量部を基準として1重量部~99重量部で含まれてもよい。
【0139】
前記酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、滑剤、衝撃補強剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、顔料、または染料の種類は、特に限定されず、当該技術分野に適用されるものが適宜採用されてもよい。
【0140】
本発明のまた一つの実施態様は、前述した実施態様による樹脂組成物を含む成形品を提供する。
【0141】
本発明の一実施態様において、前記成形品は、前記樹脂組成物またはその硬化物から製造されてもよい。
【0142】
前記成形品の製造方法の一例として、前記樹脂と前記添加剤をミキサーでよく混合した後、押出機で押出成形してペレットに製造し、前記ペレットの乾燥後に射出成形機で射出するステップを含んでもよい。
【0143】
本発明の一実施態様において、前記成形品は光学レンズである。
【0144】
前記光学レンズは、前記樹脂を用いて製造されるものであり、高屈折率および高透明性を有し、好ましくは、カメラに適用することができる。
【0145】
当業界においては、カメラモジュールの場合、3個以上または4個以上のレンズを介して所望の性能を合わせている。現在、光学レンズ、特にモバイル用カメラモジュールの場合、レンズの成形もしくは高屈折樹脂を用いて厚さを薄くすることが第一の要求条件であり、本発明は、このような要求条件を満たすことができる高屈折を有する樹脂に焦点が合わせられている。理想的なレンズの厚さ、成形品の成形難易度を考慮したレンズ組み合わせは、屈折率の高い材料を用いることが容易である。
【実施例】
【0146】
以下、実施例により、本発明をより詳細に例示する。
【0147】
実施例および比較例
1.モノマー(Monomer)1の合成
【化11】
【0148】
1)化合物1-Cの合成
化合物1-A 47.4g(100mmol、1.0eq)および化合物1-B 34.5g(250mmol、2.5eq)を280gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、80℃のオイルバス(oil bath)にて30分間撹拌した。K2CO3 55.2g(400mmol、4.0eq)を300mLの水に溶解した後、その溶液の内部温度を50℃以上に維持しつつ10分間滴加した。Pd(t-Bu3P)2触媒1.53g(3mmol、0.03eq)を内部温度60℃で投入した。1時間の撹拌後、エチルアセテート(EA)/H2Oで洗浄して有機層を分離し、溶媒を真空濃縮した。n-ヘキサン(n-Hex)とジクロロメタン(DCM)によりカラムクロマトグラフィーして精製した後、n-ヘキサン(n-Hex)で沈殿し、固体として化合物1-Cを得た。
【0149】
2)モノマー1の合成
化合物1-C 50.0g(100mmol、1.0eq)、化合物1-D 22.0g(250mmol、2.5eq)、K2CO3 2.77g(20mmol、0.20eq)をジメチルアセトアミド(DMAc)250gに溶解し、120℃のオイルバス(oil bath)にて2時間撹拌した。冷却後、水を投入し、固体の析出後に濾過した。得られた固体をエチルアセテート(EA)とジクロロメタン(DCM)によりカラムクロマトグラフィーして精製した後、n-ヘキサン(n-Hex)で沈殿し、白色固体としてモノマー1を46.3g得た。
MS:[M+H]+=588
【0150】
【0151】
化合物1-Bの代わりに2-Aを用いたことを除いては、モノマー1の合成と同様の方法によりモノマー2を得た。
MS:[M+H]+=588
【0152】
3.モノマー3の合成
【化13】
化合物1-Bの代わりに3-Aを用いたことを除いては、モノマー1の合成と同様の方法によりモノマー3を得た。
MS:[M+H]
+=688
【0153】
【0154】
化合物1-Bの代わりに4-Aを用いたことを除いては、モノマー1の合成と同様の方法によりモノマー4を得た。
MS:[M+H]+=768
【0155】
5.モノマー5の合成
【化15】
化合物1-Bの代わりに5-Aを用いたことを除いては、モノマー1の合成と同様の方法によりモノマー5を得た。
MS:[M+H]
+=768
【0156】
比較例C1の合成
【化16】
化合物1-Aの代わりに9-フルオレノン(9-Fluorenone)を用い、1-Dとの反応を省略したことを除いては、モノマー1の合成と同様の方法で比較例C1を得た。C1の場合、TCIまたはSigma-Aldrich社から入手してもよい。
MS:[M+H]
+=438
【0157】
樹脂(Polymer)1の製造
【化17】
モノマー1 1g(1.70mmol、1.0eq)、テレフタロイルクロライド(Terephthaloyl Chloride)0.35g(1.77mmol、1.0eq)をジフェニルエーテル(Diphenyl Ether(DPE))4.1gに溶解し、180℃のオイルバス(oil bath)にて6時間反応した。反応が進行するにつれて塩酸(HCl)ガスが発生し、それを除去するために、窒素置換、塩酸ガス捕集装置を設けた。反応後、100℃に冷却して15gのジメチルアセトアミド(DMAc)を投入し、メタノール(Methyl alcohol)により沈殿し、樹脂(Polymer)1を製造した。
【0158】
樹脂2~5の製造
モノマー1の代わりにモノマー2~5を用いたことを除いては、樹脂1の製造方法と同様の方法で樹脂2~5を製造した。
【0159】
比較例樹脂P1の製造
モノマー1の代わりに比較例C1のモノマーを用いたことを除いては、樹脂1の製造方法と同様の方法で比較例樹脂P1を製造した。
【0160】
樹脂(Polymer)6の製造
【化18】
モノマー1 57.7g(98mmol)、ジフェニルカーボネート(diphenylcarbonate)21.4g(100mmol)を溶融し、250℃で5時間反応した。反応が進行するにつれてフェノール(Phenol)が副産物として発生し、それを除去するために、減圧度を最大1Torrまで調節した。反応の終了後、反応器内に窒素を吹き込んで常圧雰囲気を作り、重合した高分子溶融樹脂を取り出し、これによりポリカーボネート樹脂(Polymer)6を得た。
【0161】
樹脂7~10の製造
モノマー1の代わりにモノマー2~5を用いたことを除いては、樹脂6の製造方法と同様の方法で樹脂7~10を製造した。
【0162】
比較例樹脂P2の製造
モノマー1の代わりに比較例C1のモノマーを用いたことを除いては、樹脂6の製造方法と同様の方法で比較例樹脂P2を製造した。
【0163】
実験例
重合した樹脂試料の分子量および分子量分布をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を介して確認し、熱的特性を調査するために示差走査熱量計(DSC)を用いてサーモグラム(thermogram)を得た。屈折率およびアッベ数を測定するために、製膜後、エリプソメータ(ellipsometer)を用いて光の波長に応じた結果値を得た。
【0164】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分子量は、テトラヒドロフラン(THF、BHT(ブチレート化ヒドロキシトルエン)を用いて安定化されたもの)を溶媒として用い、樹脂試料をテトラヒドロフランに1.0mg/1mlの濃度で溶解させ、シリンジフィルタ(syringe filter)で濾過して作った溶液を注入し、40℃で測定して結果を得、それを下記表1に記載した。Waters製RI検出器を使用し、カラム(column)としては、Agilent PLgel MIXED-Bを2個使用した。
【0165】
樹脂のガラス転移温度(Tg)を調査するために示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。5.5mg~8.5mgの樹脂試料をN2流下で270℃まで加熱後に冷却した後、2番目の加熱時に10℃/minの昇温速度で加熱しつつスキャンして得られたグラフ上でガラス転移温度(Tg)を求め、それを下記表1に記載した。
【0166】
樹脂の屈折率およびアッベ数を測定するために、重合して得られた樹脂パウダー試料を溶媒ジメチルアセトアミドに高分子溶液の総重量を基準として10重量%で溶解して製造された高分子溶液をシリコンウェハにスピンコーティング(spin-coating)で220rpmの回転速度で塗布して厚さ20μmに製膜した後、20℃でエリプソメータ(ellipsometer)を用いて光の波長に応じた結果値を得、それを下記表1に記載した。具体的に、屈折率は、波長589nmで測定されたものであり、アッベ数は、D(589nm)、F(486nm)、C(656nm)波長での屈折率(nD、nF、nC)をそれぞれ測定し、以下の計算式によりアッベ数を得た。
アッベ数=(nD-1)/(nF-nC)
【0167】
【0168】
前記表1において、Mnは数平均分子量、Mwは重量平均分子量を意味し、屈折率は波長589nmで測定された値である。
【0169】
前記表1によれば、本発明の実施態様による樹脂は、化学式1で表される単位を含み、特にスピロビフルオレンコア構造のL1およびL2にアリーレン基またはヘテロアリーレン基のように電子に富む芳香族置換基で置換される場合、スピロビフルオレンコア構造の電子密度を高めることで屈折率を向上させることができる。
【0170】
また、実施例の樹脂は、比較例の樹脂よりもガラス転移温度(Tg)が高いため、耐熱性に優れることを確認することができる。これに対し、比較例1および2の樹脂は、フルオレンコア構造のベンゼン環に電子に富む置換基を有していないため、本発明の実施例よりも屈折率が非常に低いことを確認することができる。
【0171】
現在、光学レンズ、特にモバイル用カメラモジュールの場合、レンズの成形もしくは高屈折樹脂を用いて厚さを薄くすることが第一の要求条件である。本明細書の一実施態様による樹脂は、比較例1および2よりも、実施例1~18が前記要求条件を満たすことができる屈折率を有するため、光学材料としての活用度が高い樹脂であることを確認することができた。