(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】測定方法、管理方法及び光学部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20240326BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20240326BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240326BHJP
B05D 7/04 20060101ALI20240326BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20240326BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240326BHJP
B05C 1/08 20060101ALN20240326BHJP
B05C 11/00 20060101ALN20240326BHJP
B05C 11/10 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
G01B11/02 H
B05D3/06 Z
B05D3/00 D
B05D7/04
B05D7/00 A
B05D7/24 301P
B05C1/08
B05C11/00
B05C11/10
(21)【出願番号】P 2019220647
(22)【出願日】2019-12-05
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】川上 武志
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-53030(JP,A)
【文献】特開平10-10052(JP,A)
【文献】特開2019-168286(JP,A)
【文献】特開2019-141822(JP,A)
【文献】特開2017-196570(JP,A)
【文献】特開2017-212081(JP,A)
【文献】特開2006-267022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01N 21/84-21/958
B05D 3/06
B05D 3/00
B05D 7/04
B05D 7/00
B05D 7/24
B05C 1/08
B05C 11/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材層と第2部材層とを含む積層体の端部領域を測定する方法であって、
前記第1部材層は、第1端部を有し、
前記第2部材層は、前記積層体における前記第1部材層及び前記第2部材層の積層方向からみて前記第1端部と同じ側に位置する第2端部を有し、
前記端部領域は、前記積層体における前記第1端部から前記第2端部に渡る領域であり、
前記端部領域に検査光を照射する照射工程と、
前記端部領域によって反射した前記検査光である反射光を検出する検出工程と、
前記反射光の検出結果に基づいて前記第1端部と前記第2端部との間の距離を算出する算出工程と、
を備え、
前記検査光は、明部と暗部とが交互に配置された縞パターンを有
し、
前記積層体は、長尺の積層体であって、
前記照射工程及び前記検出工程を、前記積層体を複数の搬送ローラで長尺方向に搬送しながら実施し、
前記照射工程では、前記搬送ローラ上の前記積層体に前記検査光を照射し、
前記検査光が照射された前記積層体が接する前記搬送ローラの表面は鏡面である、
測定方法。
【請求項2】
前記第1部材層は樹脂フィルム層であり、前記第2部材層は、粘着剤又は接着剤から形成される塗工層である、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記縞パターンの形状は周期的に変動する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記縞パターンの形状は、第1パターンと第2パターンとの間で周期的に変動し、
前記第2パターンにおける前記明部及び前記暗部の延在方向は、前記第1パターンにおける前記明部及び前記暗部の延在方向に直交する、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第1部材層と第2部材層とを含む積層体の端部領域を管理する方法であって、
前記第1部材層は、第1端部を有し、
前記第2部材層は、前記積層体における前記第1部材層及び前記第2部材層の積層方向からみて前記第1端部と同じ側に位置する第2端部を有し、
前記端部領域は、前記積層体における前記第1端部から前記第2端部に渡る領域であり、
前記端部領域に検査光を照射する照射工程と、
前記端部領域によって反射した前記検査光である反射光を検出する検出工程と、
前記反射光の検出結果に基づいて前記第1端部と前記第2端部との間の距離を算出する算出工程と、
前記算出された距離が所定の範囲内にあるか否かを判定する判定工程と、
を備え、
前記検査光は、明部と暗部とが交互に配置された縞パターンを有
し、
前記積層体は、長尺の積層体であって、
前記照射工程及び前記検出工程を、前記積層体を複数の搬送ローラで長尺方向に搬送しながら実施し、
前記照射工程では、前記搬送ローラ上の前記積層体に前記検査光を照射し、
前記検査光が照射された前記積層体が接する前記搬送ローラの表面は鏡面である、
管理方法。
【請求項6】
前記第1部材層は樹脂フィルム層であり、前記第2部材層は粘着剤又は接着剤から形成される塗工層である、
請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記縞パターンの形状は周期的に変動する、
請求項
5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記縞パターンの形状は、第1パターンと第2パターンとの間で周期的に変動し、
前記第2パターンにおける前記明部及び前記暗部の延在方向は、前記第1パターンにおける前記明部及び前記暗部の延在方向に直交する、
請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記照射工程の前に、前記第2部材層を、前記第1部材層を有する積層部材または前記第1部材層に積層させる積層工程を更に含む、
請求項
5~8の何れか一項に記載の管理方法。
【請求項10】
前記積層工程では、前記第1部材層上に塗工材料を塗工することによって前記第1部材層上に前記第2部材層を積層する、
請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記算出された距離が所定の範囲に含まれない場合、前記積層工程において、前記塗工材料の塗工領域を変更する変更工程を更に有し、
前記算出された距離が所定の範囲に含まれるまで、前記積層工程、前記照射工程、前記検出工程及び前記判定工程を繰り返す、
請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記積層工
程を長尺方向に搬送しながら実施する、
請求項
9~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項
5~12の何れか一項に記載の管理方法を含む、光学部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定方法、管理方法及び光学部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、第1部材層(特許文献1のシート状物)上に塗工液で形成される第2部材層を形成し、第1部材層と第2部材層の積層体を得る技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1部材層と第2部材層の積層体においては、第1部材層の第1端部と、第2部材層の第2端部(第1部材層の第1端部側と同じ側の端部)との間の端部間距離が所定の範囲からズレている場合、種々の不具合が生じる。例えば、特許文献1に記載されているように、第2部材層が、塗工液が塗工されることによって形成される塗工層である場合、上記端部間距離が所定の範囲からズレていると、塗工層を形成した後の工程で、塗工液が第1部材層からはみ出て、他の部材(例えば、ローラ、第1部材層と貼合されるべき部材など)を塗工液が汚染する場合がある。或いは、上記積層体が一つの部品である場合、上記端部間距離が所定の範囲からズレている場合、第1部材層と第2部材層の配置関係が所望の状態からズレている。そのため、上記積層体としての部品の性能が所望の性能を発揮できない或いは、その部品を他の装置に適切に組み込めない等のおそれが生じる。
【0005】
したがって、第1部材層と第2部材層の積層体においては、第1部材層の第1端部と、第2部材層の第2端部との間の端部間距離を所定の範囲に適切に管理する技術が求められていた。
【0006】
そこで、本発明の一つの目的は、第1部材層及び第2部材層の積層体の端部領域に含まれる第1部材層の端部と第2部材層の端部との間の距離を適切に管理するための測定方法及び管理方法を提供することである。本発明の他の目的は、上記管理方法を用いた光学部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面の測定方法は、第1部材層と第2部材層とを含む積層体の端部領域を測定する方法であって、上記第1部材層は、第1端部を有し、上記第2部材層は、上記積層体における上記第1部材層及び上記第2部材層の積層方向からみて上記第1端部と同じ側に位置する第2端部を有し、上記端部領域は、上記積層体において上記第1端部から上記第2端部に渡る領域であり、上記端部領域に検査光を照射する照射工程と、上記端部領域によって反射した上記検査光である反射光を検出する検出工程と、上記反射光の検出結果に基づいて上記第1端部と上記第2端部との間の距離を算出する算出工程と、を備える。
【0008】
上記測定方法では、上記端部領域に検査光を照射し、その反射光を検出する。更に、反射光の検出結果に基づいて、上記第1端部と上記第2端部との間の距離を算出する。このように光学的な測定結果に基づいて上記第1端部と上記第2端部との間の距離を算出するため、より適切に上記第1端部と上記第2端部との間の距離を算出可能である。
【0009】
上記第1部材層は樹脂フィルム層であり、上記第2部材層は、粘着剤又は接着剤から形成される塗工層であってもよい。
【0010】
上記検査光は、明部と暗部とが交互に配置された縞パターンを有してもよい。この場合、多方向から端部領域を照明した複数の検出結果を容易に取得することが可能である。そのため、第1端部及び第2端部を検出し易い。
【0011】
上記縞パターンの形状は周期的に変動してもよい。これにより、検査光を出力する装置が一つであっても、上記端部領域の種々の光学情報を得ることが可能である。
【0012】
例えば、上記縞パターンの形状は、第1パターンと第2パターンとの間で周期的に変動し、上記第2パターンにおける上記明部及び上記暗部の延在方向は、上記第1パターンにおける上記明部及び上記暗部の延在方向に直交してもよい。
【0013】
上記積層体は、長尺の積層体であって、上記照射工程及び上記検出工程は、上記積層体を長尺方向に搬送しながら実施してもよい。
【0014】
本発明の他の側面に係る管理方法は、第1部材層と第2部材層とを含む積層体の端部領域を管理する方法であって、上記第1部材層は、第1端部を有し、上記第2部材層は、上記積層体における上記第1部材層及び上記第2部材層の積層方向からみて上記第1端部と同じ側に位置する第2端部を有し、上記端部領域は、上記積層体において上記第1端部から上記第2端部に渡る領域であり、上記端部領域に検査光を照射する照射工程と、上記端部領域によって反射した上記検査光である反射光を検出する検出工程と、上記反射光の検出結果に基づいて上記第1端部と上記第2端部との間の距離を算出する算出工程と、上記算出された距離が所定の範囲内にあるか否かを判定する判定工程と、を備える。
【0015】
上記管理方法では、上記端部領域に検査光を照射し、その反射光を検出する。更に、反射光の検出結果に基づいて、上記第1端部と上記第2端部との間の距離を算出する。このように光学的な測定結果に基づいて上記第1端部と上記第2端部との間の距離を算出するため、より適切に上記第1端部と上記第2端部との間の距離を算出可能である。このように算出された上記第1端部と上記第2端部との間の距離に基づいて上記判定工程を行うので上記第1端部と上記第2端部との間の距離を適切に管理可能である。
【0016】
上記第1部材層は樹脂フィルム層であり、上記第2部材層は粘着剤又は接着剤から形成される塗工層であってもよい。
【0017】
上記検査光は、明部と暗部とが交互に配置された縞パターンを有してもよい。この場合、多方向から端部領域を照明した複数の検出結果を容易に取得することが可能である。そのため、第1端部及び第2端部を検出し易い。
【0018】
上記縞パターンの形状は周期的に変動してもよい。これにより、検査光を出力する装置が一つであっても、上記端部領域の種々の光学情報を得ることが可能である。
【0019】
上記縞パターンの形状は、第1パターンと第2パターンとの間で周期的に変動し、上記第2パターンにおける上記明部及び上記暗部の延在方向は、上記第1パターンにおける上記明部及び上記暗部の延在方向に直交してもよい。
【0020】
上記照射工程の前に、上記第2部材層を、上記第1部材層を有する積層部材または上記第1部材層に積層させる積層工程を更に含んでもよい。
【0021】
上記積層工程では、上記第1部材層上に塗工材料を塗工することによって上記第1部材上に上記第2部材層を積層してもよい。
【0022】
上記算出された距離が所定の範囲に含まれない場合、上記積層工程において、上記塗工材料の塗工領域を変更する変更工程を更に有し、上記算出された距離が所定の範囲に含まれるまで、上記積層工程、上記照射工程、上記検出工程及び上記判定工程を繰り返してもよい。これにより、第1端部及び第2端部の間の距離が所定の範囲である積層体をより確実に得ることが可能である。
【0023】
上記積層体は、長尺の積層体であって、上記積層工程、上記照射工程及び上記検出工程は、上記積層体を長尺方向に搬送しながら実施してもよい。
【0024】
本発明の更に他の側面に係る光学部品の製造方法は、上記本発明に係る管理方法を含む、光学部品の製造方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一側面によれば、第1部材層及び第2部材層の積層体の端部領域に含まれる第1部材層の端部と第2部材層の端部との間の距離を適切に管理するための測定方法及び管理方法を提供できる。本発明の他の側面によれば、上記管理方法を用いた光学部品の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る管理方法を説明するための図面である。
【
図2】
図2は、縞パターンの一例である第1パターンを示す図面である。
【
図3】
図3は、縞パターンの他の例である第2パターンを示す図面である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る管理方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2実施形態で製造される位相差板(光学部品)の構成を示す図面である。
【
図6】
図6は、
図5に示した位相差板の製造方法に含まれる工程を説明するための図面である。
【
図7】
図7は、
図6に示した工程の後の工程を説明する図面である。
【
図8】
図8は、
図7に示した工程の後の工程を説明する図面である。
【
図9】
図9は、
図5に示した位相差板の製造方法をロールツーロール方式で実施する場合を説明するための図面である。
【
図10】
図10は、塗工領域の変更方法の一例を説明するための図面である。
【
図11】
図11は、フィルム端部(第1端部)及び塗工端部(第2端部)の撮像結果を示す図面である。
【
図12】
図12は、フィルム端部(第1端部)及び塗工端部(第2端部)の他の撮像結果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0028】
図1に示したように、積層体100が有する第1部材層102の端部(第1端部)102aと、積層体100が有する第2部材層104の端部104a(第2端部)との間の距離(端部間距離)D1を管理する方法を、第1実施形態として説明する。その後、第1部材層102及び第2部材層104の例を挙げながら、第1実施形態で説明した管理方法を用いた例を第2実施形態として説明する。以下、説明の便宜のため、
図1に示したように、第1部材層102及び第2部材層104の積層方向をz方向と称し、z方向に直交する方向をx方向と称す。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、一実施形態に係る管理方法を説明するための図面である。
図1に示した積層体100は、第1部材層102と第2部材層104とを有する。第2部材層104は、第1部材層102に積層されている。第1部材層102及び第2部材層104は、例えば、光学的に透明な材料から形成された部材であり得る。例えば、第1部材層102は、樹脂フィルム層であり、第2部材層104は、塗工材料(例えば接着剤または粘着剤)から形成された塗工層である。第1部材層102及び第2部材層104の例は、他の実施形態で詳細に説明する。
【0030】
第1実施形態における管理方法では、第1部材層102のx方向における両端部のうちの端部102aと、第2部材層104のx方向における両端部のうち端部104aとの間の距離D1を管理する。端部104aは、第2部材層104の両端部のうち、第1部材層102及び第2部材層104の積層方向(z方向)からみて端部102aと同じ側に位置する端部である。第2部材層104が塗工材料である場合、第2部材層104のx方向の長さは、第1部材層102の長さより短い。第2部材層104によっては(たとえば、樹脂フィルム等)、第2部材層104のx方向の長さは、第1部材層102の長さより長くてもよい。
【0031】
管理方法では、
図1に示したような反射光学系106を用いて距離D1を測定する。反射光学系106は、光源部108と、撮像部110とを有する。端部領域A1は、積層体100のx方向における端部近傍の領域である。具体的には、端部102aから端部104aに渡る領域である。
【0032】
光源部108は、積層体100の端部領域A1に向けて検査光L1を出力する。検査光L1の波長の例は、第1部材層102及び第2部材層104の材料に応じており、端部領域A1の像を取得可能な波長であればよい。検査光L1の波長の例は、450±30nmにピーク波長を持つ白色LED光源である。検査光L1は、例えば、端部領域A1を面状に照明するように構成され得る。
【0033】
撮像部110は、端部領域A1によって反射した検査光L1である反射光L2を検出する光検出器である。撮像部110は、例えば、CCDカメラ、CMOSカメラ等の2次元センサである。
【0034】
撮像部110は、画像処理装置114に画像データを入力する。画像処理装置114は、撮像部110から入力された画像データに基づいて、端部領域A1の画像を作成する。画像処理装置114は、作成した画像をユーザに表示する表示機能を有する。画像処理装置114は、作成した画像を解析して端部102a及び端部104aを検出する機能及び距離D1を算出する機能を有してもよい。画像処理装置114は、撮像部110の撮像タイミングを制御する機能および光源部108の検査光L1の出力を制御する機能の少なくとも一方を有してもよい。画像処理装置114は、例えば、第1実施形態に係る管理方法を実施するための専用装置でもよい。或いは、パーソナルコンピュータにおいて、上記画像処理を含む管理方法を実施するためのプログラムを実施し、上記パーソナルコンピュータを画像処理装置114として機能させてもよい。
【0035】
光源部108の例を説明する。光源部108は、
図2及び
図3に示したように、明部112a及び暗部112bが交互に配置された縞パターン112を有する検査光L1を出力するように構成されていてもよい。
図2におけるX方向は、
図2において明部112a及び暗部112bの延在方向を示し、Y方向は、X方向に直交する方向である。
図3におけるX方向及びY方向は、
図2におけるX方向及びY方向と同じ方向である。
【0036】
縞パターン112の形状(パターン形状)は変化してもよい。例えば、
図2及び
図3において、明部112a(又は暗部112b)が
図2及び
図3の矢印方向に移動したり、明部112a(又は暗部112b)の幅が変動したりして、縞パターン112の形状は変化してもよい。
【0037】
更に、光源部108は、
図2に示した縞パターン112を第1パターン112Aと称し、
図3に示した縞パターン112を第2パターン112Bと称したときに、第1パターン112Aと第2パターン112Bとの間で周期的に変動するように構成されていてもよい。第2パターン112Bは、第2パターン112Bにおける明部112a及び暗部112b)の延在方向が第1パターン112Aにおける明部112a及び暗部112bの延在方向に直交するパターンである。第1パターン112Aと第2パターン112Bとの間で周期的に変動する場合においても、第1パターン112Aと第2パターン112Bそれぞれにおいて、明部112a(又は暗部112b)が
図2及び
図3の矢印方向に移動してもよいし、明部112a(又は暗部112b)の幅が変動してもよい。
【0038】
検査光L1が縞パターン112を有する場合、光源部108は、例えば、複数の点光源(例えばLED)が2次元的に配列された光源と、各LEDの点灯状態を制御する制御装置を備え得る。この場合、制御装置で、複数のLEDの点灯状態を制御することによって、明部112a及び暗部112bを形成できる。更に、明部112a及び暗部112bで形成される縞パターン112を変動可能である。
【0039】
光源部108は、例えば、
図2及び
図3に示したような明部112a及び暗部112bを有しない面状の検査光L1を出力してもよい。この場合、光源部108は、面発光光源であってもよいし、または、複数の点光源(例えばLED)が2次元的に配列された光源であってもよい。以下の説明において、「面状の検査光L1」は、上記のように、明部112a及び暗部112bを有しない状態を意味する。
【0040】
縞パターン112の形状は、たとえば画像処理装置114(
図1参照)によって制御され得る。この場合、画像処理装置114は、光源部108と撮像部110とを同期するように、それらを制御してもよい。
【0041】
図4は、管理方法の一例のフローチャートである。
図4を利用して、第1部材層102が長尺の樹脂フィルムであり、第2部材層104が塗工材料から形成された塗工層である場合を例示して、管理方法を説明する。
【0042】
図4に示したように、第1部材層102上に第2部材層104を積層する(積層工程S01)。第2部材層104は、例えば、第1部材層102を長尺方向に搬送しながら、第2部材層104となるべき塗工材料を塗工することによって形成され得る。塗工材料の塗工は、例えば、グラビア塗工によって実施され得る。
【0043】
次に、第1部材層102を搬送しながら、一実施形態に係る測定方法によって、距離D1(
図1参照)を測定する(測定工程S02)。
【0044】
測定工程S02では、積層体100の端部領域A1に向けて検査光L1を照射する(照射工程S02a)。端部領域A1からの反射光L2を撮像部110で検出する(検出工程S02b)。これよって得られた端部領域A1の画像(検出結果)に基づいて、距離D1を算出する(算出工程S02c)。具体的には、撮像部110で得られた画像に基づいて端部102a及び端部104aを特定し、それらの間の距離を算出する。端部102a及び端部104aの特定及びそれに基づく距離D1の算出は、画像処理装置114が実施してもよいし、画像処理装置114で作成された画像に基づいてユーザが行ってもよい。検査光L1が第1パターン112Aと第2パターン112Bとの間で周期的に変動する場合、例えば、画像処理装置114が第1パターン112A及び第2パターン112Bそれぞれの場合の反射光L2に対して得られた画像データを用いて一つの画像を作成する。上記一つの画像を得るために、たとえば、画像処理装置114が、縞パターン112の形状変化のタイミングおよび撮像部110の撮像タイミングを制御してもよい。
【0045】
上記測定工程S02の後、距離D1が所定の範囲か否かを判定する(判定工程S03)。判定は、ユーザが行ってもよいし、画像処理装置114が予め入力されている所定の範囲と距離D1とを比較することによって行ってもよい。
【0046】
判定工程S03において、距離D1が所定の範囲内と判定された場合(判定工程S03で「YES」)、判定工程S03を実施するまでと同じ条件で積層体100の製造を継続すればよい。
【0047】
一方、判定工程S03において、距離D1が所定の範囲外であると判定された場合(判定工程S03で「NO」)、積層工程S01において、積層工程S01における積層条件(具体的には、第2部材層104を形成するための塗工材料の塗工領域)を変更する変更工程S04を実施する。
【0048】
変更工程S04を実施した場合には、積層工程S01、測定工程S02、判定工程S03及び変更工程S04を、判定工程S03において、距離D1が所定の範囲内と判定されるまで実施する。
【0049】
上記管理方法を実施することによって、積層体100における端部102a及び端部104a間の距離D1を所定の範囲に適切に管理できる。
【0050】
例えば、第2部材層104が上記塗工層であり、塗工層を形成する塗工材料が接着剤または粘着剤である形態では、一対のニップローラを利用して、第1部材層102に第2部材層104を介して他の部材を貼合する場合がある。この場合、通常、距離D1の所定の範囲は、塗工材料の一対のニップローラへのはみ出しに起因する各ニップローラの汚染を防止するように設定されている。したがって、距離D1を上記所定の範囲に管理することによって、各ニップローラの汚染を確実に防止できる。その結果、第1部材層102に第2部材層104を介して他の部材を貼合して得られる製品を効率的に製造可能である。
【0051】
端部領域A1に含まれる端部102a及び端部104a間の距離D1を測定し、管理する場合を説明した。しかしながら、
図1に示したように、積層体100の端部領域A2(端部102bから端部104bに渡る領域)に含まれる端部102b及び端部104b間の距離(端部間距離)D2に対しても同様に測定及び管理してもよい。この場合、反射光学系106を、端部104b側にも配置する。第1部材層102の端部102bは、x方向において端部102aと反対側の端部である。第2部材層104の端部104bは、x方向において端部104aと反対側の端部である。
図1では、z方向からみて光源部108と撮像部110はx方向に沿って配置されている。しかしながら、光源部108と撮像部110の配置状態は
図1の形態に限定されない。光源部108と撮像部110は、例えばx方向およびz方向に直交する方向に沿って配置されていてもよい。
【0052】
距離D1及び距離D2の両方を測定及び管理する際には、それらを同時に実施してもよい。更に、判定工程S03では、距離D1及び距離D2のうち少なくとも一方が距離D1及び距離D2それぞれに対して設定された所定の範囲外であれば、
図4に示した変更工程S04を実施すればよい。
【0053】
(第2実施形態)
第1実施形態で説明した管理方法を利用した光学部品の製造方法を説明する。
図5は、第2実施形態に係る製造方法で製造される位相差板(光学部品)2の模式図である。第2実施形態においても、説明の便宜のため、第1実施形態の場合と同様に、
図5に示したx方向及びz方向を使用する場合もある。
【0054】
位相差板2は、樹脂フィルム11と、配向膜12と、第1位相差層13と、接着層22と、第2位相差層33とを有する。位相差板2は、第1位相差層13と第2位相差層33とによって、位相差板2に入射した光に一定の位相差を付与する光学部品(或いは光学素子)である。位相差板2は、例えば、液晶画像表示装置、有機EL画像表示装置等の画像表示装置において、光学補償用の円偏光板の一部に使用され得る。第1位相差層13及び第2位相差層33が重合性液晶化合物の硬化物である形態を説明する。
【0055】
樹脂フィルム11は、配向膜12、第1位相差層13、接着層22及び第2位相差層33を支持する支持体である。樹脂フィルム11の材料の例は、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロオレフィン(COP)を含む。樹脂フィルム11の厚さの例は20μm~120μmである。樹脂フィルム11のx方向の長さの例は、500mm~2000mmである。
【0056】
配向膜12は、樹脂フィルム11上に積層されている。
図5に示した形態では、x方向における配向膜12の長さは、樹脂フィルム11の長さより短い。
【0057】
配向膜12の厚さは、通常0.01μm~10μmの範囲であり、好ましくは0.05μm~5μmの範囲であり、より好ましくは0.1μm~3μmの範囲である。
【0058】
配向膜12の例は、垂直配向膜、水平配向膜、又は、重合性液晶化合物の分子軸を傾斜配向させる配向膜であり、第1位相差層13に応じて選択され得る。配向膜12の材料は、位相差板に使用される公知の材料として用いられる樹脂であれば限定されない。例えば、配向膜12として、従来公知の単官能又は多官能の(メタ)アクリレート系モノマーを重合開始剤下で硬化させた硬化物等を用いることができる。
【0059】
第1位相差層13は、第1位相差層13に入射した光に所定の位相差を付与する層である。第1位相差層13は、前述したように、重合性液晶化合物の硬化物である。
図5に示した形態では、第1位相差層13のx方向の長さは、樹脂フィルム11の長さより短く且つ配向膜12の長さより長い。したがって、x方向における配向膜12の両端部は、第1位相差層13で覆われている。第1位相差層13の厚さの例は、通常0.2μm~3μm、好ましくは0.2μm~2μmである。
【0060】
接着層22は、第1位相差層13上に設けられており、第1位相差層13と第2位相差層33を接合する層である。接着層22の材料は、接着剤または粘着剤である。接着剤または粘着剤は、本開示に関する技術分野において公知の材料でよい。接着剤の例は、紫外線(UV)硬化樹脂等の活性エネルギー線硬化型接着剤、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液等の水系接着剤を含む。粘着剤の例は、(メタ)アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂等を主成分とする粘着剤組成物を含む。以下、接着層22を形成する接着剤がUV硬化樹脂等の活性エネルギー線硬化型接着剤である場合を説明する。
【0061】
x方向における接着層22の長さは、第1位相差層13の長さより短い。接着層22の厚さの例は、0.1μm~10μm、好ましくは0.5μm~5μm、更に好ましくは1μm~3μmである。
【0062】
第2位相差層33は、第2位相差層33に入射した光に所定の位相差を付与する層である。第2位相差層33は、前述したように、重合性液晶化合物の硬化物である。
図5に示した位相差板2では、第2位相差層33のx方向の長さは、接着層22の長さと同じである。第2位相差層33の厚さの例は、通常0.2μm~3μm、好ましくは0.2μm~2μmである。
【0063】
図6~
図8を利用して、位相差板2の製造方法の概略を説明する。位相差板2を製造する場合、
図6に示した第1光学積層体10及び第2光学積層体30を準備する。第1光学積層体10及び第2光学積層体30は、x方向及びz方向に直交する方向に延在している。
図6~
図8は、第1光学積層体10及び第2光学積層体30の長尺方向に直交する断面の模式図である。
【0064】
第1光学積層体10は、樹脂フィルム11、配向膜12及び第1位相差層13が積層された積層部材である。樹脂フィルム11、配向膜12及び第1位相差層13は、第1光学積層体10の長尺方向に延びている。したがって、第1光学積層体10は、長尺の積層部材である。
【0065】
図6に例示した第1光学積層体10は、樹脂フィルム11上に、配向膜12及び第1位相差層13を順に形成することによって製造され得る。配向膜12は、例えば、配向膜12用の材料を樹脂フィルム11上に塗工し、その塗工膜を硬化させることによって形成され得る。第1位相差層13は、例えば、第1位相差用の材料を配向膜12が形成された樹脂フィルム11上に塗工し、その塗工膜を硬化させることによって形成され得る。樹脂フィルム11上に、配向膜12及び第1位相差層13のx方向の長さの関係は、
図5を利用して説明したとおりである。
【0066】
図6に例示した第2光学積層体30は、樹脂フィルム31、配向膜32及び第2位相差層33が積層された積層部材である。第2光学積層体30は、第1光学積層体10と同様に長尺の積層部材である。樹脂フィルム31の例は、樹脂フィルム11の例と同様である。樹脂フィルム31の材料は、樹脂フィルム11の材料と同じでもよいし、異なっていてもよい。配向膜32は、第2位相差層33に応じた配向膜である。樹脂フィルム31、配向膜32及び第2位相差層33のx方向の長さの関係は、第1光学積層体10が有する樹脂フィルム11、配向膜12及び第1位相差層13のx方向の長さの関係と同じである。したがって、第2光学積層体30が有する第2位相差層33のx方向の長さは、
図5に示した位相差板2が有する第2位相差層33の長さより長い。
【0067】
第1光学積層体10及び第2光学積層体30を準備した後、第1位相差層13上に、接着剤を塗工することによって塗工層20を形成する。次いで、塗工層20と第2位相差層33とが接するように、塗工層20を介して第1光学積層体10及び第2光学積層体30を重ねる。これにより、
図7に示した積層体4が得られる。
【0068】
その後、塗工層20に紫外線等の活性エネルギー線を照射して塗工層20を形成する接着剤を硬化させる。これにより、塗工層20の硬化物である接着層22を介して第1光学積層体10及び第2光学積層体30を貼合する。
【0069】
第1光学積層体10及び第2光学積層体30を貼合した後、
図8に示したように、樹脂フィルム31を第1光学積層体10から剥離し、位相差板2を得る。
【0070】
第2位相差層33に対する接着層22の接合力は、第2位相差層33に対する配向膜32の接合力より強いように設定されている。更に、接着層22のx方向の長さは、第2位相差層33のx方向の長さより短く、第2位相差層33は樹脂フィルム31にも接合している。したがって、樹脂フィルム31を剥離する際、
図8に示したように、第2位相差層33のうちx方向において接着層22より外側の部分と配向膜32も樹脂フィルム31と一緒に第1光学積層体10から剥離される。
【0071】
以下、説明の便宜のため、樹脂フィルム31を第1光学積層体10から剥離した際に、位相差板2と別に生じる部材を剥離部材6と称す。
【0072】
第2実施形態では、樹脂フィルム11を第1部材層102とし、塗工層20を第2部材層104として、第1実施形態で説明した管理方法を実施する。
図4及び
図6を利用して上記製造方法に適用する管理方法を説明する。
【0073】
図6に示したように、樹脂フィルム11が第1部材層102に相当し、塗工層20が第2部材層104に相当する。したがって、樹脂フィルム11の端部11a及び端部11bがそれぞれ端部102a及び端部102bに相当し、塗工層20の端部20a及び端部20bが端部104a及び端部104bに相当する。更に、端部11a及び端部11b間の距離D1aが距離D1に相当し、端部20a及び端部20b間の距離D2aが距離D2に相当する。
【0074】
図6に示した塗工層20を形成する工程が、
図4に示した積層工程S01に対応する。塗工層20を形成する工程(積層工程S01)の後、
図4に示した測定工程S02を実施することによって、樹脂フィルム11の端部11aと塗工層20の端部20aとの距離D1aを測定する。第2実施形態では、樹脂フィルム11の端部11bと塗工層20の端部20bとの距離D2aも測定する。
【0075】
次いで、
図4に示した判定工程S03を実施して、距離D1a及び距離D2aがそれぞれ、距離D1a及び距離D2aそれぞれに対して設定された所定の範囲か否かを判定する。距離D1a及び距離D2aそれぞれに対応する所定の範囲は同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0076】
判定工程S03において距離D1a及び距離D2aが対応する所定の範囲内であると判定された場合には、測定が実施された塗工層20を形成した場合と同じ接着剤の塗工条件(具体的には同じ塗工領域)で位相差板2の製造を継続する。一方、判定工程S03において、距離D1a及び距離D2aの少なくとも一方が対応する所定の範囲外であると判定された場合には、変更工程S04を実施して、接着剤の塗工領域(積層条件)を変更する。
【0077】
変更工程S04を実施した場合には、判定工程S03において、距離D1a及び距離D2aがともに対応する所定の範囲内であると判定されるまで、積層工程S01から変更工程S04までを繰り返す。
【0078】
図9を利用して、第1実施形態で説明した管理方法を適用した位相差板2の製造方法の一例を更に詳述する。以下では、
図9に示したように、ロールツーロール方式を用いて位相差板2を製造する場合を説明する。
【0079】
ロール状の第1光学積層体10及びロール状の第2光学積層体30を、巻出部40a及び巻出部40bにセットする。第1光学積層体10を、搬送ローラ42によって、一対のニップローラ44に向けて第1光学積層体10の長尺方向に搬送する。同様に、第2光学積層体30を搬送ローラ42によって、一対のニップローラ44に向けて第2光学積層体30の長尺方向に搬送する。一対のニップローラ44も第1光学積層体10および第2光学積層体30の搬送に寄与するため、一対のニップローラ44は搬送ローラでもある。
【0080】
巻出部40aから一対のニップローラ44までの第1光学積層体10の搬送経路上に配置された塗工装置50によって、第1光学積層体10が有する第1位相差層13上に接着剤を塗工し、塗工層20を形成する(
図4の積層工程S01に相当)。
【0081】
塗工装置50は、接着剤供給部52と、塗工ローラ54とを有する。接着剤供給部52は、塗工ローラ54の表面への接着剤の供給源である。塗工ローラ54は、搬送されている第1光学積層体10の第1位相差層13に接着剤を塗工するローラである。塗工ローラの一例は、グラビアローラである。
【0082】
塗工装置50によって接着剤を塗工する際には、塗工領域調整器60によって、第1光学積層体10(具体的には、第1位相差層13)と、塗工ローラ54との接触領域を調整する。
図10は、塗工領域調整器60の一例を示す図面である。
図10では、第1光学積層体10を一枚のフィルムとして模式的に示している。
図10において第1光学積層体10の長尺方向が第1光学積層体10の搬送方向である。
【0083】
塗工領域調整器60は、第1光学積層体10の搬送方向に沿って離間した一対の爪部62と、一対に爪部62を支持する支持部64とを有する。塗工領域調整器60は、一対の爪部62が第1光学積層体10における接着剤の塗工側に接するように配置されている。塗工領域調整器60を、第1光学積層体10の幅方向(長尺方向に直交する方向)に移動することで、第1光学積層体10のうち一対の爪部62間の領域と塗工ローラ54との接触が回避される。したがって、第1光学積層体10の幅方向における塗工領域調整器60の位置を調整することによって、接着剤の塗工領域が調整される。
図9及び
図10では、第1光学積層体10の幅方向における一方の縁部側に塗工領域調整器60が配置されている場合を例示している。しかしながら、
図9を利用して説明する位相差板2の製造方法では、塗工領域調整器60は、第1光学積層体10の幅方向における他方の縁部側にも配置されている。
図9では、塗工領域調整器60の一対の爪部62を模式的に示している。
【0084】
図9に戻って、塗工装置50によって接着剤が第1光学積層体10に塗工された後の工程を説明する。
図9に示したように、接着剤が塗工された第1光学積層体10は、一対のニップローラ44間に搬送される。
図9では、説明のために、塗工装置50からニップローラ44までの間の領域において、第1光学積層体10上に形成された塗工層20を図示している。
【0085】
一対のニップローラ44には、第1光学積層体10とともに、第2光学積層体30が搬送される。この際、第2光学積層体30の第2位相差層33が塗工層20と対向するとともに、第1光学積層体10及び第2光学積層体30の幅方向における中心が一致するように、第1光学積層体10及び第2光学積層体30の搬送経路は調整されている。
【0086】
一対のニップローラ44に送り込まれた第1光学積層体10及び第2光学積層体30は、一対のニップローラ44によって厚さ方向に押圧され、塗工層20を介して仮貼合される。
【0087】
一対のニップローラ44から送り出された第1光学積層体10及び第2光学積層体30の積層体4は、第1光学積層体10及び第2光学積層体30の長尺方向に搬送される。
【0088】
第1光学積層体10及び第2光学積層体30の搬送方向において、一対のニップローラ44の下流(一対のニップローラ44の後段)には、活性エネルギー線照射部56が配置されている。活性エネルギー線照射部56は、上記積層体4に活性エネルギー線を照射し、塗工層20を硬化する。これにより、接着剤の硬化物としての接着層22が形成され、第1光学積層体10及び第2光学積層体30が貼合される。
【0089】
上記積層体4の搬送方向において、活性エネルギー線照射部56の下流(活性エネルギー線照射部56の後段)に配置された剥離ローラ46によって、上記積層体4から、第2光学積層体30が有する樹脂フィルム31を剥離する。これにより、積層体4から位相差板2と剥離部材6とが分離される。剥離ローラ46も積層体4、位相差板2および剥離部材6の搬送に寄与するため、剥離ローラ46は搬送ローラでもある。
【0090】
得られた位相差板2は、例えば、巻取部でロール状に巻き取ればよい。剥離部材6は、そのまま廃棄されてもよいし、一端、巻取部でロール状に巻き取った後に廃棄してもよい。
【0091】
図9に例示した製造方法では、塗工装置50によって第1光学積層体10上に塗工層20を形成する工程が、
図4に示した積層工程S01に対応する。更に、第1光学積層体10の搬送経路において、塗工装置50から一対のニップローラ44までの間(例えば、矢印α1又は矢印α1で示した位置)に、
図1に示した反射光学系106が配置されている。この反射光学系106を利用して、搬送されている第1光学積層体10の距離D1a及び距離D2aを測定する(
図4の測定工程S02)。
【0092】
測定工程S02では、
図9の矢印α1に模式的に示したように、第1光学積層体10のうち搬送ローラ42,42間の領域における距離D1a及び距離D2aを測定してもよい。或いは、矢印α2に模式的に示したように、第1光学積層体10のうち搬送ローラ42上に位置する領域における距離D1a及び距離D2aを測定してもよい。矢印α1のように搬送ローラ間における測定では、塗工層20と反対側から測定してもよい。ここでは、矢印α1の位置における測定の場合を説明したが、搬送ローラ間における測定において同様である。
【0093】
反射光学系106の光源部108から出力する検査光L1が、例えば、
図2及び
図3に示したように、縞パターン112である場合、例えば、
図2及び
図3に示したX方向またはY方向が、第1光学積層体10の搬送方向に設定され得る。
【0094】
検査光L1が、複数のパターンに周期的に変化する(例えば第1パターン112A及び第2パターン112Bの間で周期的に変動する)縞パターン112である場合、第1パターン112A及び第2パターン112Bの変動周期及び撮像部の撮像スピードは、第1光学積層体10の搬送速度を考慮して設定され得る。具体的には、縞パターン112が複数のパターン間で一定の回数変化する間、搬送中の第1光学積層体10における実質的に同じ領域の画像を取得可能な程度に縞パターン112の変化の周期及び撮像部の撮像スピードが設定され得る。
【0095】
距離D1a及び距離D2aを測定した後には、判定工程S03を実施する。判定工程S03において、距離D1a及び距離D2aの両方が、対応する所定の範囲内であると判定された場合には、位相差板2の製造を継続する。
【0096】
一方、判定工程S03において、距離D1a及び距離D2aの少なくとも一方が、対応する所定の範囲外であると判定された場合には、塗工領域調整器60を用いて、接着剤の塗工領域を調整する変更工程S04を実施する。具体的には、第1光学積層体10の幅方向における位置調整器の位置を調整することによって、接着剤の塗工領域を変更する。変更工程S04を実施した場合には、判定工程S03において、距離D1a及び距離D2aが所定の範囲内であると判定されるまで、第1光学積層体10上へ接着剤を塗工する工程(積層工程S01)、
図4に示した測定工程S02及び判定工程S03並びに上記変更工程S04を繰り返す。
【0097】
図9に示したように、一対のニップローラ44で第1光学積層体10と第2光学積層体30を押圧してそれらを貼合する場合、距離D1a及び距離D2aに対する各所定の範囲は、塗工層20を形成する接着剤がニップローラ44及びニップローラ44に接触しないように設定されているとともに、第1光学積層体10及び第2光学積層体30の積層体4から剥離部材6(
図8及び
図9参照)を剥離する際に、位相差板2として所望の構成が得られるように設定されている。
【0098】
したがって、例えば、距離D1a及び距離D2aがそれぞれに対して設定された所定の範囲外である場合、例えば接着剤がニップローラ44に付着し、2つのニップローラ44を汚染するおそれがある。或いは、上記積層体4から剥離部材6を剥離した際、剥離すべき箇所が、製品となるべき位相差板2側に残存するおそれがある。
【0099】
これに対して、上記位相差板2の製造方法では、第1実施形態で説明した管理方法を実施する。管理方法の測定工程S02では、
図1に示した反射光学系106を用いて光学的に取得された画像を用いて距離D1a及び距離D2aを算出する。そのため、第1光学積層体10を搬送しながら、効率的且つ正確に距離D1a及び距離D2aを算出可能である。これにより、距離D1a及び距離D2aそれぞれが対応する所定の範囲か否かを適切に判定できる。
【0100】
距離D1a及び距離D2aのうちの少なくとも一方が所定の範囲外である場合には、接着剤の塗工領域を変更する変更工程S04を実施する。更に、判定工程S03で、距離D1a及び距離D2aの両方が所定の範囲内になるまで変更工程S04を行う。したがって、距離D1a及び距離D2aそれぞれを対応する所定の範囲内に設定することが可能である。その結果、上述したようなニップローラ44に接着剤が付着するという不具合を防止できる。この場合、例えば接着剤が付着したことに伴うニップローラ44のメンテナンスを回避できるので、位相差板2の製造効率が向上する。距離D1a及び距離D2aを所定の範囲内に設定できることから、剥離すべき箇所が、製品となるべき位相差板2側に残存するという不具合も防止できる。そのため、不良品としての位相差板2の製造が回避され、結果として、位相差板2の製造歩留まりが向上する。
【0101】
管理方法を実施する場合、光源部108が出力する検査光L1の例は、第1実施形態で説明した縞パターン112を有する検査光L1でもよいし、面状の検査光L1であってもよい。面状の検査光L1及び縞パターン112の検査光L1では、例えば、ライン状の検査光を使用する場合より、端部(又は端部)の延在方向に対する検査光L1の照射領域の角度依存性を低減でき、端部11a及び端部20a並びに端部11b及び端部20bの位置を検出しやすい。更に、検査光L1が縞パターン112を有する場合、多方向から端部領域を照明した複数枚の画像を一度に取得することが可能である。そのため、端部11a及び端部20a並びに端部11b及び端部20bを検出し易い。縞パターン112の形状を、
図2及び
図3における矢印で示したように周期的に変動させることによって、或いは、第1パターン112A及び第2パターン112Bの間で周期的に変動させることによって、一つの反射光学系106で、複数の撮像情報を取得可能である。そのため、位相差板2に使用される樹脂フィルム11及び塗工層20のように光学的に透明な部材を撮像しても端部11a及び端部20a並びに端部11b及び端部20bの位置をより確実に検出し易い。
【0102】
図11は、実際に第1光学積層体10が有する樹脂フィルム11上に塗工された塗工層20を撮像した画像を示す図面である。
図11は、
図9の矢印α1に示したように、第1光学積層体10のうち搬送ローラ42上に位置していない領域(搬送ローラ42間、又は搬送ローラ42と一対のニップローラ44との間の領域)を撮像した場合の画像である。
図11における検査光の欄の「I」は、面状の検査光L1を意味している。
図11における検査光の欄の「II」は、第1パターン112A及び第2パターン112Bの間で周期的に変動する縞パターン112を有する検査光L1を意味している。更に、
図11における「フィルム端部」は、端部11aに相当し、「塗工端部」は、端部20aに相当する。
図11に示したように、面状の検査光L1及び縞パターン112の検査光L1の何れも端部11a(フィルム端部)及び端部20a(塗工端部)が検出できていることが理解され得る。
【0103】
縞パターン112では、明部112aと暗部112bが交互に配置されている。そのため、多方向から照明を点灯させた複数枚の画像を得ることが可能である。この場合、得られた画像を即解析し、凹凸画像やテクスチャ画像を生成させられるので、表面状態や測定環境に依存されることなく、安定した検査を実施することができる。
【0104】
第1光学積層体10が搬送ローラ42上に配置されている場合、搬送ローラ42の表面による例えば正反射が生じる。例えば、縞パターン112を用いることによって、多方向から照明を点灯させた複数枚の画像を撮像することが可能であることから、搬送ローラ42の表面が例えば鏡面である場合であっても、搬送ローラ42の表面による正反射の影響が低減する。したがって、端部11a及び端部20a並びに端部11b及び端部20bを検出し易い。換言すれば、正反射の影響を受けやすい環境でも、端部11a及び端部20a並びに端部11b及び端部20bを検出し易い。
図12は、
図9において矢印α2で例示したように、第1光学積層体10のうち搬送ローラ42上に位置する領域において、第1光学積層体10が有する樹脂フィルム11上に塗工された塗工層20を撮像した画像を示す図面である。
図12における検査光の欄の「II」、画像における「フィルム端部」及び「塗工端部」の意味は、
図11の場合と同様である。
図12から理解されるように、第1光学積層体10における搬送ローラ42上の領域でも、縞パターン112を用いることによって、端部11a(フィルム端部)及び端部20a(塗工端部)が検出できていることが理解され得る。
【0105】
図9に例示した形態では、積層体4を形成した後、続けて剥離部材6を積層体4から剥離した。しかしながら、積層体4を一旦巻き取ってロール体を形成してもよい。この場合、積層体4のロール体から改めて積層体4を巻き出しながら、積層体4から剥離部材6を剥離する。剥離部材6を積層体4から剥離して得られた位相差板2を、位相差面(位相差板2の樹脂フィルム11と反対側の面)が搬送ロールなどに接触することなく搬送しながら、例えば偏光板を位相差板2に貼合する等の処理を施すことができる。この場合、例えば、位相差面の損傷を防止できる。
【0106】
第1光学積層体10は、樹脂フィルム11上に第1位相差層13を直接積層させたものであってもよい。第2光学積層体30は、樹脂フィルム31上に第2位相差層33を直接積層させたものであってもよい。
【0107】
(変形例1)
管理方法は、
図9に示した矢印βで例示したように、一対のニップローラ44と剥離ローラ46の間で搬送される積層体4に対して実施してもよい。この場合、
図13に示したように、第1光学積層体10の樹脂フィルム11及び第2光学積層体30の樹脂フィルム31を、第1実施形態で説明した第1部材層102及び第2部材層104として、第1実施形態で説明した管理方法を実施する。変形例1では、樹脂フィルム11の端部11aが端部102aに相当し、樹脂フィルム31の端部31aが端部104aに相当する。更に、端部11a及び端部31a間のx方向の距離D1bが距離D1に相当する。
図13では、距離D1bを明示するために、第1光学積層体10の中心(x方向の中心)に対して第2光学積層体30の中心がズレた状態を図示している。
【0108】
変形例1では、一対のニップローラ44と剥離ローラ46の間で搬送される積層体4に対して反射光学系106を配置し、管理方法が有する測定工程S02を実施し、距離D1bを測定する。更に、判定工程S03では、距離D1bが所定の範囲か否かを判定する。
【0109】
通常、第1光学積層体10及び第2光学積層体30は、x方向において互いの中心が一致するように積層されるため、端部11a及び端部31aの位置は、x方向において同じ位置である。したがって、例えば、距離D1bに対する所定の範囲は、距離が0である場合に対して一定の製造誤差を含む範囲である。
【0110】
距離D1bが所定の範囲内である場合、位相差板2の製造を継続する。一方、距離D1bが所定の範囲外である場合、例えば、変更工程S04において、距離D1bが所定の範囲になるように製造条件を変更する。例えば、第1光学積層体10及び第2光学積層体30の搬送経路(条件)を変更する。この変更工程S04を、判定工程S03で距離D1bが所定の範囲内になるまで繰り返す。例えば、判定工程S03を実施するまでの位相差板2の製造工程と、変更工程S04を繰り返す。
【0111】
距離D1bが所定の範囲外である場合、第1光学積層体10に対して第2光学積層体30が所望の位置に貼合されていない。そのため、接着層22と、第2光学積層体30との配置関係も所望の位置からズレている。その結果、積層体4から剥離部材6を剥離する際、剥離すべき箇所が、製品となるべき位相差板2側に残存するという不具合が生じるおそれがある。
【0112】
これに対して、変形例1のように、一対のニップローラ44と剥離ローラ46の間の積層体4に対して第1実施形態で説明した管理方法を適用することによって、上記不具合を防止できる。その結果、良品の位相差板2が製造され易く、位相差板2の製造歩留まりが向上する。
【0113】
(変形例2)
管理方法は、
図9に示した矢印γ1で例示したように、剥離ローラ46によって、積層体4から剥離部材6が剥離されることによって得られた位相差板2に対して実施してもよい。或いは、管理方法は、矢印γ2で例示したように、剥離ローラ46によって、積層体4から剥離部材6が剥離されることによって得られた剥離部材6に対して実施してもよい。
【0114】
矢印γ1で示したように、位相差板2に対して管理方法を実施する場合を説明する。この場合、
図14に示したように、樹脂フィルム11を第1部材層102とし、接着層22上の第2位相差層33を第2部材層104として管理方法を実施する。位相差板2に対して管理方法を実施する場合、樹脂フィルム11の端部11aが端部102aに相当し、第2位相差層33の端部33aが端部104aに相当する。更に、端部11a及び端部33a間のx方向の距離D1cが距離D1に相当する。
【0115】
矢印γ1の位置において管理方法を実施する場合には、剥離ローラ46の後段における位相差板2に対して反射光学系106を配置し、管理方法が有する測定工程S02を実施し、距離D1cを測定する。判定工程S03では、距離D1cが所定の範囲か否かを判定する。
【0116】
剥離ローラ46で適切に剥離部材6が剥離されていれば、位相差板2の長尺方向において、端部11aと端部33aの距離D1cは一定である。一方、剥離ローラ46による剥離が適切に実施できていない場合は、第2光学積層体30が有する第2位相差層33のうち剥離される部分が位相差板2側に残存する。そのため、例えば、位相差板2における端部11aと端部33aとの間の距離D1cが変化する。
【0117】
距離D1cが所定の範囲(当初設定されている距離に製造誤差を考慮した範囲)外になった場合には、例えば、第2位相差層33のうち剥離されるべき部分が位相差板2側に残存しているという不具合(或いは異常)が生じていると考えられる。したがって、管理工程の判定工程S03で、距離D1cが所定の範囲か否かを判定することによって、積層体4から剥離部材6の剥離した場合の異常の有無を検出できる。仮に、異常が検出された場合には、変更工程S04において、距離D1cが所定の範囲になるように製造条件を変更する。例えば、第1光学積層体10及び第2光学積層体30の積層状態を調整する、或いは、接着層22の剥離力などを調整する等を適宜実施すればよい。
【0118】
矢印γ2で示したように、剥離ローラ46の後段における剥離部材6に対して管理方法を実施する場合は、
図14に示したように、剥離部材6が有する樹脂フィルム31を第1部材層102とし、剥離部材6が有する第2位相差層33を第2部材層104として管理方法を実施する。この場合、樹脂フィルム31の端部31aが端部102aに相当し、剥離部材6が有する第2位相差層33の端部33aが端部104aに相当する。更に、端部31a及び端部33a間のx方向の距離D1dが距離D1に相当する。剥離部材6に対して管理方法を実施する方法は、第1部材層102及び第2部材層104が、剥離部材6が有する樹脂フィルム31及び第2位相差層33である点以外は、位相差板2に対して管理方法を実施する場合と同様である。
【0119】
(変形例3)
第1光学積層体10及び第2光学積層体30の代わりに、
図15に示した第1光学積層体10A及び第2光学積層体30Aを用いてもよい。第1光学積層体10Aは、x方向における配向膜12の両端部を第1位相差層13が覆っていない点で第1光学積層体10の構成と相違する。同様に、第2光学積層体30Aは、x方向における配向膜32の両端部を第2位相差層33が覆っていない点で第2光学積層体30の構成と相違する。通常、第1位相差層13のx方向の長さは、配向膜12の長さより短く、第2位相差層33のx方向の長さは、配向膜32の長さより短い。この場合、
図9に示した剥離ローラ46では、
図16に示したように、第2光学積層体30Aが有する樹脂フィルム31が選択的に剥離される。その結果、樹脂フィルム11上に、配向膜12、第1位相差層13、接着層22、第2位相差層33及び配向膜32が順に積層された位相差板2Aが製造され得る。管理方法を適用した位相差板2Aの製造方法は、
図6~
図9を利用して説明した場合と同様である。したがって、変形例3の場合も、位相差板2を製造する場合と同様の作用効果を有する。
【0120】
以上、本発明に係る実施形態及び変形例を説明した。しかしながら、本発明は、例示した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される範囲が含まれるとともに、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0121】
光学部品が位相差板である場合において、管理方法を適用した位相差板の製造方法を説明した。しかしながら、本発明に係る製造方法が適用される光学部品は、位相差板に限定されない。光学部品の他の例としては、例えば偏光フィルム(偏光子層)と保護フィルムとが積層された偏光板、位相差板と偏光板とが接着層で接合された円偏光板(楕円偏光板を含む)等が挙げられる。上記偏光子層の例は、PVA層である。
【0122】
光学部品が上記円偏光板である場合、例えば、位相差板又は偏光板が有する第1部材層(例えば、
図5に示した樹脂フィルム11に相当する部材)と、位相差板と偏光板との間の接着層となるべき塗工層を第2部材層として上記管理方法を適用してもよい。或いは、上記変形例1で説明したように、位相差板及び偏光板の位置調整に、上記管理方法を適用してもよい。
【0123】
本発明に係る管理方法は、樹脂フィルム(第1部材層)と塗工層(第2部材層)とを有する積層体に適用することができる。本発明に係る管理方法は、例えば偏光フィルムまたは偏光フィルムを含む偏光板(第1部材層)と塗工層(第2部材層)とを有する積層体に適用することができる。本発明に係る管理方法は、例えば、樹脂フィルム(第1部材層)上に直接塗工層(第2部材層)が形成される場合に適用されてもよい。
【0124】
本発明に係る管理方法は、例えば、剥離フィルム上に形成された接着層を、第1部材層(例えば樹脂フィルム)に転写する場合にも適用できる。この場合、接着層付き剥離フィルムを、接着層を介して第1部材層に貼合された貼合体を準備する。その貼合体から剥離フィルムを剥離することによって、第1部材層上に接着層が積層された積層体を得る。この場合、接着層を第2部材層として管理方法を上記積層体に適用すればよい。例えば、上記貼合体が長尺である場合には、貼合体を長尺方向に搬送しながら、
図9における剥離ローラ46を用いて、剥離フィルムを剥離し、得られた積層体に対して管理方法を実施すればよい。これにより、接着層の第1部材層への転写が、適切か否かが判定され得る。
【0125】
或いは、本発明に係る管理方法は、基材(第1部材層)上に接着層(第2部材層)及び保護フィルム(或いは剥離フィルム)が積層されている場合において、保護フィルムを剥離する場合にも適用できる。例えば、この場合、基材、接着層及び保護フィルムの積層部材が、長尺部材である場合、
図9における剥離ローラ46を用いて、保護フィルムを剥離し、得られた基材と接着層の積層体に対して管理方法を実施すればよい。これにより、保護フィルムが適切に剥離されているか否か(接着層が保護フィルム側に残存しているか否か)が判定され得る。
【0126】
更に、本発明に係る管理方法は、基材(第1部材層)及び接着層(第2部材層)に加え、偏光フィルム等の他の光学機能フィルムを有する積層体にも適用できる。
【0127】
本発明に係る管理方法は、第2実施形態の変形例1で説明したように、第1部材層及び第2部材層の積層体における第1部材層と第2部材層の位置合わせの異常の有無の管理にも適用可能である。
【符号の説明】
【0128】
2,2A…位相差板、4…積層体、11…樹脂フィルム(第1部材層)、11a…端部(第1端部)、20…塗工層、20a…端部(第2端部)、100…積層体、102…第1部材層、102a…端部(第1端部)、104…第2部材層、104a…端部、112…縞パターン、112a…明部、112b…暗部、112A…第1パターン、112B…第2パターン、114…画像処理装置、A1,A2…端部領域、D1,D1a,D1b,D1c,D1d、D2、D2a…距離(端部間距離)、L1…検査光、L2…反射光。