IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社荏原製作所の特許一覧

<>
  • 特許-めっき装置 図1
  • 特許-めっき装置 図2
  • 特許-めっき装置 図3
  • 特許-めっき装置 図4
  • 特許-めっき装置 図5
  • 特許-めっき装置 図6
  • 特許-めっき装置 図7
  • 特許-めっき装置 図8
  • 特許-めっき装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】めっき装置
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/10 20060101AFI20240326BHJP
   C25D 17/00 20060101ALI20240326BHJP
   C25D 17/08 20060101ALI20240326BHJP
   C25D 17/12 20060101ALI20240326BHJP
   C25D 21/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C25D17/10 B
C25D17/00 K
C25D17/08 A
C25D17/08 S
C25D17/12 C
C25D21/00 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020175956
(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公開番号】P2022067315
(43)【公開日】2022-05-06
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】下村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】長井 瑞樹
【審査官】菅原 愛
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-037035(JP,A)
【文献】特開2004-149895(JP,A)
【文献】特開2014-019900(JP,A)
【文献】特開2018-053301(JP,A)
【文献】特開2021-075743(JP,A)
【文献】国際公開第2008/094838(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0083862(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00
C25D 17/08
C25D 17/10
C25D 17/12
C25D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するための基板ホルダと、
前記基板の外側に配置されるようにシーフ電極を支持するシーフ電極支持体と、
前記基板をめっき液に浸漬させて電解めっき処理を施すためのめっき槽と、
前記シーフ電極をメンテナンスするためのシーフ電極メンテナンス槽と、
前記めっき槽と前記シーフ電極メンテナンス槽とに前記シーフ電極支持体を搬送可能に構成された搬送モジュールと、
を備えるめっき装置。
【請求項2】
前記搬送モジュールは、前記基板ホルダを搬送可能に構成されている、請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記搬送モジュールは、前記基板ホルダと前記シーフ電極支持体との一方を選択的に搬送するように構成されている、請求項2に記載のめっき装置。
【請求項4】
前記めっき装置は、前記基板を前記基板ホルダに対して着脱するためのフィキシングステーションを備え、
前記めっき槽は、前記フィキシングステーションと前記シーフ電極メンテナンス槽との間に配置される、
請求項1から3の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項5】
前記めっき装置は、前記基板を前記基板ホルダに対して着脱するためのフィキシングステーションを備え、
前記シーフ電極メンテナンス槽は、前記フィキシングステーションと前記めっき槽との間に配置される、
請求項1から3の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項6】
前記シーフ電極メンテナンス槽では、前記シーフ電極とメンテナンス用電極との間に電流を流すことにより、前記シーフ電極の表面に付着しためっきの剥離処理が行われる、請求項1から5の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項7】
前記シーフ電極メンテナンス槽では、めっきを溶解させる薬液に前記シーフ電極を浸漬させることにより、前記シーフ電極の表面に付着しためっきの剥離処理が行われる、請求項1から6の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項8】
前記基板は、角形基板であり、
前記基板ホルダは、前記角形基板の対向する2辺に給電するように構成された電気接点を有し、
前記シーフ電極は、前記対向する2辺に沿って前記基板の外側に配置されるように構成される、
請求項1から7の何れか1項に記載のめっき装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ等の基板の表面に設けられた微細な配線用溝、ホール、又はレジスト開口部に配線を形成したり、基板の表面にパッケージの電極等と電気的に接続するバンプ(突起状電極)を形成したりすることが行われている。この配線及びバンプを形成する方法として、例えば、電解めっき法、蒸着法、印刷法、ボールバンプ法等が知られている。半導体チップのI/O数の増加、細ピッチ化に伴い、微細化が可能で性能が比較的安定している電解めっき法が多く用いられるようになってきている。
【0003】
電解めっき法で配線又はバンプを形成する場合、基板上の配線用溝、ホール、又はレジスト開口部に設けられるバリアメタルの表面に電気抵抗の低いシード層(給電層)が形成される。このシード層の表面において、めっき膜が成長する。
【0004】
一般的に、めっき処理を施す基板は、その周縁部に電気接点を有する。すなわち、電流はめっきされる基板の中央から周縁部に向かって流れる。基板の中央から距離が離れるにつれ、シード層の電気抵抗分だけ電位は徐々に降下し、基板の中心部よりも基板の周縁部でより卑な電位が生じる。こうした基板中心と周縁部での電位差により基板の周縁部に金属イオンの還元電流、すなわちめっき電流が集中する現象は、ターミナルエフェクトと呼ばれる。
【0005】
従来、ターミナルエフェクトによるめっき膜の膜厚の不均一を改善する方法の一例として、シーフ電極と呼ばれるダミーの被めっき電極を基板の外側に設け、基板の外周部を流れる電気を分散させて、基板の周縁部におけるめっき量を減らすことが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第5620581号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
めっき装置にシーフ電極を設ける場合、シーフ電極をめっき槽内で長期間使い続けると、シーフ電極に付着した銅めっきがめっき槽内に剥がれ落ちる場合がある。このように銅めっきがめっき槽内に落下すると、めっき液中の添加剤などの劣化を引き起こす。また、シーフ電極に付着した銅の表面にブラックフィルムが析出することにより、めっき液が汚染されるおそれもある。このため、シーフ電極は、所定期間ごとにメンテナンス又は交換されることが好ましい。しかし、手作業によるシーフ電極のメンテナンス又は交換は煩雑である。また、シーフ電極に付着した銅などを除去するために、例えば、シーフ電極に薬液を作用させること、またはシーフ電極をめっき液等に漬けて逆電解をかけることなどが考えられる。しかしながら、シーフ電極が、基板を保持する基板ホルダと一体に構成されている場合、シーフ電極と共に基板ホルダが薬液またはめっき液等に長時間曝されると、基板ホルダの劣化または損傷の原因となり得る。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、シーフ電極を好適にメンテナンスすることが可能なめっき装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、めっき装置が提案され、かかるめっき装置は、基板を保持するための基板ホルダと、前記基板の外側に配置されるようにシーフ電極を支持するシーフ電極支持体と、前記基板をめっき液に浸漬させて電解めっき処理を施すためのめっき槽と、前記シーフ電極をメンテナンスするためのシーフ電極メンテナンス槽と、前記めっき槽と前記シーフ電極メンテナンス槽とに前記シーフ電極支持体を搬送可能に構成された搬送モジュールと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るめっき装置の全体配置図である。
図2図1に示すめっき装置に備えられているめっき処理モジュールの概略側断面図(縦断面図)である。
図3】アノード側から見た基板ホルダとシーフ電極支持体との一例を示す図である。
図4図4は、本実施形態の基板ホルダとシーフ電極支持体とを図3中のA-A方向から見た断面図である。
図5図3中の基板ホルダを示す図である。
図6図3中のシーフ電極支持体を示す図である。
図7】本実施形態におけるシーフ電極支持体を側方から示す側面図である。
図8図8は、本実施形態における基板ホルダとシーフ電極支持体とを示す側面図である。
図9】変形例に係るめっき装置の全体配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。ただし、用いられる図面は模式図である。したがって、図示された部品の大きさ、位置および形状などは、実際の装置における大きさ、位置および形状などとは異なり得る。また、以下の説明および以下の説明で用いる図面では、同一に構成され得る部分について、同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るめっき装置の全体配置図である。めっき装置100は、基板ホルダ(不図示)に基板をロードし、又は基板ホルダから基板をアンロードするロード/アンロードモジュール110と、基板を処理する処理モジュール120と、洗浄モジュール50aとに大きく分けられる。処理モジュール120は、さらに、基板の前処理及び後処理を行う前処理・後処理モジュール120Aと、基板にめっき処理を行うめっき処理モジュール120Bとを含む。なお、基板は、角形基板、円形基板を含む。また、角形基板は、矩形等の多角形のガラス基板、液晶基板、プリント基板、その他の多角形の基板を含む。円形基板は、半導体ウェハ、ガラス基板、その他の円形の被処理物を含む。
【0013】
ロード/アンロードモジュール110は、基板配置調整機構26と、基板搬送装置27と、フィキシングステーション29とを有する。一例として、本実施形態では、ロード/アンロードモジュール110は、処理前の基板を取り扱うロード用の基板配置調整機構26Aと、処理後の基板を取り扱うアンロード用の基板配置調整機構26Bとの、2つの基板配置調整機構26を有している。本実施形態では、ロード用の基板配置調整機構26Aと、アンロード用の基板配置調整機構26Bとは、構成は同一であり、互いに180°向きが異なって配置されている。なお、基板配置調整機構26は、ロード用、アンロード用の基板配置調整機構26A,26Bが設けられるものに限定されず、それぞれロード用、アンロード用と区別されずに使用されてもよい。また、本実施形態では、ロード/アンロードモジュール110は、2つのフィキシングステーション29を有している。2つのフィキシングステーション29は、同一の機構であり、空いている方(基板を取り扱ってい
ない方)が使用される。なお、基板配置調整機構26とフィキシングステーション29とのそれぞれは、めっき装置100におけるスペースに応じて、1つ、又は3つ以上が設けられてもよい。
【0014】
基板配置調整機構26(ロード用の基板配置調整機構26A)には、ロボット24を通じて複数(一例として図1では3つ)のカセットテーブル25から基板が搬送される。カセットテーブル25は、基板が収容されるカセット25aを備える。カセットは例えばフープである。基板配置調整機構26は、載置された基板の位置および向きを調整(アライメント)するように構成される。基板配置調整機構26とフィキシングステーション29との間には、これらの間で基板を搬送する基板搬送装置27が配置されている。基板搬送装置27は、基板配置調整機構26、フィキシングステーション29、および洗浄装置50の間で、基板を搬送するように構成されている。また、フィキシングステーション29の近傍には基板ホルダを収容するためのストッカ30が設けられる。
【0015】
洗浄モジュール50aは、めっき処理後の基板を洗浄して乾燥させる洗浄装置50を有する。基板搬送装置27は、めっき処理後の基板を洗浄装置50に搬送し、洗浄された基板を洗浄装置50から取り出すように構成される。そして、洗浄後の基板は、基板搬送装置27によって基板配置調整機構26(アンロード用の基板配置調整機構26B)に渡され、ロボット24を通じてカセット25aへ戻される。
【0016】
前処理・後処理モジュール120Aは、プリウェット槽32と、プリソーク槽33と、プリリンス槽34と、ブロー槽35と、リンス槽36と、シーフ電極メンテナンス槽40と、を有する。プリウェット槽32では、基板が純水に浸漬される。プリソーク槽33では、基板の表面に形成したシード層等の導電層の表面の酸化膜がエッチング除去される。プリリンス槽34では、プリソーク後の基板が基板ホルダと共に洗浄液(純水等)で洗浄される。ブロー槽35では、洗浄後の基板の液切りが行われる。リンス槽36では、めっき後の基板が基板ホルダと共に洗浄液で洗浄される。シーフ電極メンテナンス槽40では、後述するシーフ電極のメンテナンスが行われる。なお、このめっき装置100の前処理・後処理モジュール120Aの構成は一例であり、めっき装置100の前処理・後処理モジュール120Aの構成は限定されず、他の構成を採用することが可能である。
【0017】
めっき装置100は、前処理・後処理モジュール120Aとめっき処理モジュール120Bとの側方に位置して基板ホルダを基板とともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用したトランスポータ37を有する。このトランスポータ37は、フィキシングステーション29、ストッカ30、プリウェット槽32、プリソーク槽33、プリリンス槽34、ブロー槽35、リンス槽36、及びめっき槽39の間で基板ホルダを搬送するように構成される。
【0018】
以上のように構成されるめっき装置100は、上述した各モジュールを制御するように構成されたコントローラ175を有する。コントローラ175は、各種の設定データ及び各種のプログラムを格納したメモリ175Bと、メモリ175Bのプログラムを実行するCPU175Aと、CPU175Aがプログラムを実行することで実現される制御モジュール175Cとを有する。メモリ175Bを構成する記録媒体は、ROM、RAM、ハードディスク、CD-ROM、DVD-ROM、フレキシブルディスクなどの任意の記録媒体の1又は複数を含むことができる。メモリ175Bが格納するプログラムは、例えば、トランスポータ37の搬送制御を行うプログラム、及び各めっき槽39におけるめっき処理の制御を行うプログラムを含む。また、コントローラ175は、めっき装置100及びその他の関連装置を統括制御する図示しない上位コントローラと通信可能に構成され、上位コントローラが有するデータベースとの間でデータのやり取りをすることができる。
【0019】
図2は、図1に示すめっき装置に備えられているめっき処理モジュール120Bの概略側断面図(縦断面図)である。図2に示すように、めっき処理モジュール120Bは、めっき液、基板ホルダ60、及びアノードホルダ13を収容するように構成されためっき槽39と、めっき槽39からオーバーフローしためっき液を収容するためのオーバーフロー槽38とを有する。基板ホルダ60は、めっき処理対象である基板Wfを保持するように構成され、アノードホルダ13は、金属表面を有するアノード12を保持するように構成される。基板Wfとアノード12とは、めっき電源15を介して電気的に接続され、基板Wfとアノード12との間に電流を流すことにより基板Wfの表面にめっき膜が形成される。
【0020】
また、めっき処理モジュール120Bは、基板Wfとアノード12との間の電場を調整するためのレギュレーションプレート(調整板)14と、めっき液を撹拌するためのパドル16と、を有する。レギュレーションプレート14は、基板ホルダ60とアノード12との間に配置される。パドル16は、基板ホルダ60とレギュレーションプレート14との間に配置される。
【0021】
基板ホルダ60は、めっき槽39内で基板Wfを保持できるように構成される。また、めっき処理モジュール120Bは、基板ホルダ60と別部材であるシーフ電極支持体70を有する。シーフ電極支持体70は、シーフ電極74を支持し、シーフ電極74とアノード12とは、電源18を介して電気的に接続される。図3は、アノード12側から見た基板ホルダとシーフ電極支持体との一例を示す図であり、図4は、図3中のA-A方向から見た断面図である。なお、図3では、理解の容易のため、基板ホルダ60に網掛けのハッチングを付している。図3および図4に示す例では、基板Wfは、矩形の板面を有する角形基板であり、基板ホルダ60は、角形基板の対向する2辺(図3では上下方向に伸びる2辺)を把持して支持するように構成されている。より具体的な一例としては、基板ホルダ60は、基板Wfの被めっき面の一部を露出させた状態で、当該一部の外側領域である縁部を被めっき面およびその背面から挟み込んで把持する。基板ホルダ60は、めっき液が基板Wfの縁部に作用しないように、縁部をシールするためのシール体68を有する。
【0022】
図5は、図3中の基板ホルダを示す図である。なお、図5では、基板ホルダ60における電気配線を一点鎖線で示している。図3および図5に示すように、基板ホルダ60は、基板Wfが保持される本体部61と、本体部61の上端に設けられたアーム部62とを備えている。基板ホルダ60は、アーム部62がトランスポータ37に保持された状態で搬送される。図5中の破線で示されるように、本体部61は、角形基板の対向する2辺に給電するための電気接点64を備える。電気接点64は、基板Wfの縁部全体に接触するように構成されている。なお、図5に示す例では、電気接点64は、平行な2つの長尺状の形状とされているが、こうした例に限定されず、角形基板の4辺に給電できるように矩形状に構成されてもよい。また、基板Wfが円形または六角形などの多角形である場合には、電気接点は基板の形状に応じてリング状または多角形などに構成されるとよい。電気接点64は、アーム部62に設けられた給電接点66に電気的に接続されている。本実施形態では、図5に示されるように、給電接点66は、アーム部62の一端側(図3および図5中、左側)に設けられている。ただし、こうした例に限定されず、給電接点66はアーム部62の両端に設けられてもよい。
【0023】
図3および図4に示すように、シーフ電極支持体70は、基板Wfの外側に配置されるようにシーフ電極74を支持する。シーフ電極支持体70は、基板ホルダ60と別部材として構成されている。図6は、図3中のシーフ電極支持体70を示す図である。また、図7は、本実施形態におけるシーフ電極支持体70を側方から示す側面図であり、図8は、本実施形態における基板ホルダ60とシーフ電極支持体70とを示す側面図である。なお、図6および図7では、シーフ電極支持体70における電気配線を一点鎖線で示している
。また、図7では、シーフ電極支持体70の本体部71の一部について内部断面を模式的に示している。シーフ電極支持体70は、シーフ電極74が設けられる本体部71と、本体部71の上端に設けられたアーム部72とを備えている。ここで、シーフ電極支持体70は、トランスポータ37によって搬送可能なように構成されるとよい。一例として、シーフ電極支持体70のアーム部72は、基板ホルダ60のアーム部62と同様の寸法で構成されるとよい。また、図7および図8に示すように、シーフ電極支持体70の本体部71は、前方(アノード側)に突出する突出部71aを有している。ここで、突出部71aは、基板ホルダ60の前端(アノード側の端)よりも前方に突出しないように、つまり基板ホルダ60の前端より後方に位置するように構成されることが好ましい。こうすれば、パドル16とシーフ電極支持体70とが干渉したり、シーフ電極支持体70によって被めっき面周辺のめっき液の流れが阻害されることを抑制することができる。しかしながら、こうした例に限定されず、一例として、シーフ電極支持体70は、その前端が、基板ホルダ60の前端と面一となるように構成されてもよいし、基板ホルダ60の前端よりも前方に突出するように構成されてもよい。また、シーフ電極支持体70は、その前端が、基板Wfの被めっき面と面一となるように構成されてもよい。
【0024】
図3および図4に示すように、本実施形態では、シーフ電極74は、基板ホルダ60の電気接点64に沿って設けられている。シーフ電極74は、基板ホルダ60の電気接点64または基板Wfの形状に応じて適宜形状および寸法が定められるとよい。図6に示すように、シーフ電極74は、アーム部72に設けられた給電接点76に電気的に接続されている。本実施形態では、シーフ電極支持体70の給電接点76は、基板ホルダ60における給電接点66が設けられた一端側(図3中、左側)とは反対側である他端側(図3中、右側)に設けられている。このように基板ホルダ60の給電接点66が一端側に設けられてシーフ電極支持体70の給電接点76が多端側に設けられることにより、基板ホルダ60とシーフ電極支持体70とがめっき槽39における誤った位置に配置されたとしても誤作動が生じることを抑制できる。ただし、こうした例に限定されず、シーフ電極支持体70の給電接点76は、基板ホルダ60の給電接点66と同一側に設けられてもよいし、アーム部72の両端に設けられてもよい。
【0025】
なお、本実施形態では、図4に示すように、めっき槽39内において、シーフ電極74の表面が、基板Wfの被めっき面よりも前方(アノード側)に位置するように構成される。しかしながら、こうした例に限定されず、シーフ電極74の表面が基板Wfの被めっき面と面一になるように構成されてもよいし、シーフ電極74の表面が基板Wfの被めっき面よりも後方(アノードから遠く)に位置するように構成されてもよい。
【0026】
ここで、めっき装置100における基板ホルダ60とシーフ電極支持体70との役割について説明する。上記したように、基板ホルダ60は、基板Wfを保持するように構成され、トランスポータ37によって、フィキシングステーション29、ストッカ30、プリウェット槽32、プリソーク槽33、プリリンス槽34、ブロー槽35、リンス槽36、及びめっき槽39の間で搬送される。基板ホルダ60は、各処理槽に搬送されて各処理槽内の処理液に浸漬するとき、アーム部62が各処理槽のアーム受け部材(図示せず)の上に配置される。基板ホルダ60がめっき槽39に配置されるときには、アーム部62に設けられた給電接点66がめっき槽39のアーム受け部材に設けられた電気接点(図示せず)に接触する。これにより、めっき電源15(図2参照)から電力が供給されて基板Wfとアノード12との間に電流が流れ、基板Wfの被めっき面にめっき膜を形成することができる。
【0027】
また、めっき処理中には、基板ホルダ60と共にシーフ電極支持体70がめっき槽39内に配置される。本実施形態では、シーフ電極支持体70は、トランスポータ37によってめっき槽39とシーフ電極メンテナンス槽40との間を搬送される。本実施形態では、
シーフ電極支持体70は、基板ホルダ60と同様に、アーム部72が各槽のアーム受け部材(図示せず)の上に配置される。なお、トランスポータ37は、基板ホルダ60とシーフ電極支持体70とを一緒に搬送できるように構成されてもよいし、基板ホルダ60とシーフ電極支持体70との何れか一方を選択的に搬送するように構成されてもよい。本実施形態では、トランスポータ37が、「搬送モジュール」に相当する。ただし、めっき装置100は、トランスポータ37は別にシーフ電極支持体70を専用に搬送するための搬送モジュールを備えてもよい。
【0028】
シーフ電極支持体70が、めっき槽39に配置されるときには、アーム部72に設けられた給電接点76が、めっき槽39のアーム受け部材に設けられた電気接点(図示せず)に接触する。これにより、めっき処理中に、電源18(図2参照)からの電力が供給されてシーフ電極74とアノード12との間に電流を流すことができる。本実施形態では、基板ホルダ60の電気接点64は基板Wfの周縁部に接触するように設けられており、基板Wfの中心部よりも基板Wfの周縁部でより卑な電位が生じる。このため、基板Wfの周縁部に金属イオンの還元電流が集中しやすくなる。これに対して、めっき処理中にシーフ電極74とアノード12との間に電流を流すことにより、基板Wfの周縁部に流れる金属イオンの還元電流の一部をシーフ電極74に向かって流すことができ、基板Wfに形成されるめっき膜の膜厚の均一性を向上させることができる。
【0029】
シーフ電極74は、めっき処理により金属膜(めっき)が堆積するため、適切なタイミング(例えば、予め定められた回数または時間使用されたとき)にメンテナンスされることが好ましい。本実施形態では、めっき装置100は、シーフ電極メンテナンス槽40において、シーフ電極74のメンテナンス処理を施すことができる。シーフ電極メンテナンス槽40は、一例として、剥離槽40aとリンス槽40bとを含んでもよい(図1参照)。剥離槽40aでは、シーフ電極74から金属膜の剥離するための処理が施される。一例として、剥離槽40aにはめっき液が収容され、シーフ電極74と剥離槽40a内の電極(図示せず)との間に、めっき処理における電流と逆方向の電流、つまりシーフ電極をアノードとする電流を流す逆電解処理が施されるものとするとよい。なお、剥離槽40aにめっき液が収容される場合、剥離槽40aは、めっき槽39と共にオーバーフロー槽38に収容されてもよい。また別の一例として、剥離槽40aには、シーフ電極74に堆積している金属膜を溶解させる薬液が収容され、薬液にシーフ電極74を浸漬させることによって金属膜が剥離されるものとしてもよい。さらに別の一例として、剥離槽40aには、シーフ電極74に物理的に接触して表面に堆積している金属膜を削り取るように構成された機構が設けられてもよい。リンス槽40bでは、金属膜の剥離後のシーフ電極74がシーフ電極支持体70と共に洗浄液(純水等)で洗浄される。ここで、本実施形態では、シーフ電極74を支持するシーフ電極支持体70が基板ホルダ60と別部材として構成されており、シーフ電極支持体70を単独でメンテナンスすることができる。これにより、シーフ電極メンテナンス槽40において基板ホルダ60が劣化または損傷等することを防止できる。また、シーフ電極74のメンテナンスと、基板ホルダ60の搬送とを別々に行うことによって、めっき装置100における全体的な処理速度の向上を図ることもできる。
【0030】
(変形例)
図10は、変形例に係るめっき装置の全体配置図である。上記した図1に示す例では、シーフ電極メンテナンス槽40は、フィキシングステーション29とめっき槽39との間に配置されるものとした。これに対して、図10に示す例では、シーフ電極メンテナンス槽40は、フィキシングステーション29からめっき槽39よりも遠くに配置されている。言い換えれば、めっき槽39は、フィキシングステーション29とシーフ電極メンテナンス槽40との間に配置されている。こうした配置によれば、フィキシングステーション29とめっき槽39との位置を近くすることができ、トランスポータ37によって基板ホルダ60が搬送される距離を短くすることができる。
【0031】
以上説明した本実施形態は、以下の形態としても記載することができる。 [形態1]形態1によれば、めっき装置が提案され、前記めっき装置は、基板を保持するための基板ホルダと、前記基板の外側に配置されるようにシーフ電極を支持するシーフ電極支持体と、前記基板をめっき液に浸漬させて電解めっき処理を施すためのめっき槽と、前記シーフ電極をメンテナンスするためのシーフ電極メンテナンス槽と、前記めっき槽と前記シーフ電極メンテナンス槽とに前記シーフ電極支持体を搬送可能に構成された搬送モジュールと、を備える。形態1によれば、シーフ電極を好適にメンテナンスすることができる。
【0032】
[形態2]形態2によれば、形態1において、前記搬送モジュールは、前記基板ホルダを搬送可能に構成されている。形態2によれば、搬送モジュールにより、基板ホルダとシーフ電極支持体とのそれぞれを搬送することができる。
【0033】
[形態3]形態3によれば、形態2において、前記搬送モジュールは、前記基板ホルダと前記シーフ電極支持体との一方を選択的に搬送するように構成されている。
【0034】
[形態4]形態4によれば、形態1から3において、前記めっき装置は、前記基板を前記基板ホルダに対して着脱するためのフィキシングステーションを備え、前記めっき槽は、前記フィキシングステーションと前記シーフ電極メンテナンス槽との間に配置される。形態4によれば、フィキシングステーションとめっき槽との位置を近くすることができる。
【0035】
[形態5]形態5によれば、形態1から3において、前記めっき装置は、前記基板を前記基板ホルダに対して着脱するためのフィキシングステーションを備え、前記シーフ電極メンテナンス槽は、前記フィキシングステーションと前記めっき槽との間に配置される。
【0036】
[形態6]形態6によれば、形態1から5において、前記シーフ電極メンテナンス槽では、前記シーフ電極とメンテナンス用電極との間に電流を流すことにより、前記シーフ電極の表面に付着しためっきの剥離処理が行われる。
【0037】
[形態7]形態7によれば、形態1から6において、前記シーフ電極メンテナンス槽では、めっきを溶解させる薬液に前記シーフ電極を浸漬させることにより、前記シーフ電極の表面に付着しためっきの剥離処理が行われる。
【0038】
[形態8]形態8によれば、形態1から7において、前記基板は、角形基板であり、前記基板ホルダは、前記角形基板の対向する2辺に給電するように構成された電気接点を有し、前記シーフ電極は、前記対向する2辺に沿って前記基板の外側に配置されるように構成される。
【0039】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0040】
Wf…基板
12…アノード
26…基板配置調整機構
27…基板搬送装置
29…フィキシングステーション
32…プリウェット槽
33…プリソーク槽
34…プリリンス槽
35…ブロー槽
36…リンス槽
37…トランスポータ
38…オーバーフロー槽
39…めっき槽
40…シーフ電極メンテナンス槽
40a…剥離槽
40b…リンス槽
50…洗浄装置
60…基板ホルダ
61…本体部
62…アーム部
64…電気接点
66…給電接点
68…シール体
70…シーフ電極支持体
71…本体部
71a…突出部
72…アーム部
74…シーフ電極
76…給電接点
100…めっき装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9