(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】フッ素化フィルター膜、フィルターおよび方法
(51)【国際特許分類】
B01D 71/36 20060101AFI20240326BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20240326BHJP
B01D 63/14 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B01D71/36
B01D63/00 500
B01D63/14
(21)【出願番号】P 2020548816
(86)(22)【出願日】2019-03-11
(86)【国際出願番号】 US2019021606
(87)【国際公開番号】W WO2019177966
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-11-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-20
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フィリパンシチ, ニコラス ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ハムズィク, ジェームス
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】松井 裕典
【審判官】増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-301034(JP,A)
【文献】特開2017-170406(JP,A)
【文献】特開2007-111572(JP,A)
【文献】特表2019-523904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/44
B01D61/00-71/82
B01D53/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質フルオロポリマー膜、
前記多孔質フルオロポリマー膜の表面の架橋コーティングであって、イオン基を含む架橋コーティング、および
縁部
を含むマイクロエレクトロニクス加工で使用される液体材料を濾過するための濾過膜と;
フルオロポリマー端板とを有し、
前記濾過膜の縁部が溶融加工性フルオロポリマーによって前記端板にポッティングされ、当該縁部に沿って流体密シールをもたらし、
前記イオン基が十分に熱安定であることにより、前記濾過膜の縁部が前記端板にポッティングされるように、溶融加工性フルオロポリマーを軟化させるために十分な時間にわたり、前記濾過膜を少なくとも摂氏240度の温度に曝露したとき、前記濾過膜が、曝露前に前記濾過膜に存在したイオン基の量の少なくとも50パーセントを含有し、
前記架橋コーティングが、
液体コーティング溶液の反応性化合物の合計重量に対して、
25~90重量部のイオン基含有反応性化合物
であって、イオン基が、イオン性硫黄含有基、イオン性リン含有基およびイオン性窒素含有基またはイオン性アンモニウム含有基であるもの、および
10~75重量部のイオン基不含反応性化合物
であって、一種または複数の反応性ビニル、アクリレートまたはメタクリレート基を含み、かつイオン基を含有しないもの、
を含む液体コーティング溶液から得られる
化学硬化または重合したものである、フィルター構成要素。
【請求項2】
イオン基が、負荷電イオン基を含む、請求項1に記載のフィルター構成要素。
【請求項3】
イオン基が、イミダゾールである、請求項1に記載のフィルター構成要素。
【請求項4】
イオン基が、正荷電イオン基を含む、請求項1に記載のフィルター構成要素。
【請求項5】
イオン基含有反応性化合物が、1-ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニルホスホン酸および4-ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルター構成要素。
【請求項6】
イオン基不含反応性化合物が、メチレンビスアクリルアミド、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルおよび1,4-ブタンジオールジビニルエーテルから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のフィルター構成要素。
【請求項7】
マイクロエレクトロニクス加工で使用される液体材料を濾過するための濾過膜であって、
多孔質フルオロポリマー膜、および
前記多孔質フルオロポリマー膜の表面の架橋コーティングであって、イオン基を含む架橋コーティング
を備え、
前記濾過膜の縁部が溶融加工性フルオロポリマーによって端板にポッティングされ、当該縁部に沿って流体密シールをもたらすものであり、
前記イオン基が、少なくとも摂氏240度の温度で5分間の曝露に耐えられるほど熱安定であり、前記濾過膜に当初存在していたイオン基の各分子の元々の数の少なくとも50パーセントが、曝露によって劣化せず、曝露後に前記濾過膜に存在しており、
前記架橋コーティングが、
液体コーティング溶液の反応性化合物の合計重量に対して、
25~90重量部のイオン基含有反応性化合物
であって、イオン基が、イオン性硫黄含有基、イオン性リン含有基およびイオン性窒素含有基またはイオン性アンモニウム含有基であるもの、および
10~75重量部のイオン基不含反応性化合物
であって、一種または複数の反応性ビニル、アクリレートまたはメタクリレート基を含み、かつイオン基を含有しないもの、
を含む液体コーティング溶液から得られる
化学硬化または重合したものである、濾過膜。
【請求項8】
イオン基が、負荷電イオン基を含む、請求項7に記載の濾過膜。
【請求項9】
イオン基が、正荷電イオン基を含む、請求項7に記載の濾過膜。
【請求項10】
膜を取り囲むフルオロポリマーハウジング、
流体がフルオロポリマーハウジングの中へ流れることを可能にする入口、
流体が膜を通過した後に、ハウジングから流れ出ることを可能にする出口
を備えるフィルターであって、請求項1から6のいずれか一項に記載のフィルター構成要素または請求項7から9のいずれか一項に記載の濾過膜を含むフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は、多孔質フルオロポリマー膜および熱安定なイオン基を含む濾過膜;濾過膜を含むフィルターおよびフィルター構成要素(すなわち、フィルターの任意の部分、部品、補助構成要素または構造体);濾過膜、フィルター構成要素およびフィルターを作製する方法;ならびに濾過膜、フィルター構成要素またはフィルターを使用して液体溶媒などの流体を濾過し、流体から不要物質を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体物質から不要物質を有用な物質と分けるために使用される濾過膜およびフィルター製品は、近代産業の必須ツールである。不要物質には、粒子、微生物および溶解化学種などの不純物および夾雑物が含まれ、これらは、水などの有用な流体;液体工業用溶媒、原料もしくは加工流体;または医療もしくは医薬価値がある液体溶液から除去することができる。例示的フィルターは、製薬業界においてバッファーおよび治療薬含有溶液などの溶液から粒子および細菌を除去するために、マイクロエレクトロニクスおよび半導体加工に使用される超高純度水溶液および有機溶媒溶液を処理するために、および水の精製プロセスに使用される。
【0003】
有効な濾過膜の例としては、フィルターの使用、すなわち、フィルターによって行われる濾過の種類に基づいて選択され得る平均孔径を有する、ポリマーの多孔質構造体が挙げられる。典型的な孔径は、約0.001ミクロン~約10ミクロンなどのミクロンまたはサブミクロン範囲である。平均孔径が約0.001~約0.05ミクロンである膜は、一般的に、限外濾過膜と分類される。孔径が約0.05~10ミクロンである膜は、一般的に、微多孔質膜と分類される。
【0004】
濾過機能を実行するために、フィルター製品は、不要物質の除去を担う濾過膜を含む。濾過膜は、必要に応じて、数ある構成の中でも、巻回された(例えば、螺旋状に)、プリーツ加工された平坦シートの形態であってもよく、中空糸の形態であってもよい。濾過膜は、濾過されている流体が入口から入り、出口を通過する前に濾過膜を通過する必要があるように、ハウジング内に収容することができる。または、代替構成では、入る流体の一部分が濃縮ストリームとして第二の出口から除去される。
【0005】
流体に、シート(例えば、プリーツ加工された)であっても中空糸膜であってもよい濾過膜を通過させるために、フィルターには、濾過膜の端部または縁部と、フィルターの別の構造体の表面である「支持面」との間に液密シールが形成されなければならない。例えば、中空糸濾過膜の端部の周囲をフィルターの支持面と接着して、その周囲に液密シールを形成することができる。シートタイプの濾過膜を含むフィルターの例では、濾過膜を、プリーツが軸方向に配置されたプリーツ円筒状膜の中へ形成してもよい。流体密シールでは、プリーツ円筒の対向する2つの端部における濾過膜の縁部の各々が、フィルターの端板に熱接着される。
【0006】
濾過膜とフィルターの支持面との間の流体密シールは典型的に、濾過膜の端部(例えば、縁部)をフィルターの表面に熱接着する方法である「ポッティング」と称される方法によって生成される。流体密シールは多くの場合、濾過膜の縁部とフィルターの支持面との間に位置する熱可塑性材料(例えば、溶融加工性ポリマー)によって形成される。熱可塑性材料は濾過膜の縁部および支持面と接触し、溶融または軟化され、濾過膜と支持面との間およびそれらの中の介在空間を流れ、取り囲み、満たす。冷却すると、ポリマー材料は、濾過膜とフィルター表面との間に液密シールを形成する。
【発明の概要】
【0007】
マイクロエレクトロニクスデバイス加工の分野では多種多様な液体材料が使用され、それらの多くは非常に高レベルの純度で使用される。例として、マイクロエレクトロニクスデバイスのフォトリソグラフィー加工用溶媒は非常に高純度でなくてはならず、したがって、これらの材料の有用な供給源を提供するための安定で清潔な濾過膜が必要である。
【0008】
マイクロエレクトロニクス加工で使用される液体材料は、高度に酸性または腐食性である場合があり、通常は昇温で使用される。これらの液体は、特に昇温で、ポリオレフィンおよびナイロンなどの、フィルターに使用される多くの一般的なポリマー材料を溶解するまたは弱める傾向がある。このため、高レベルの化学的不活性および熱安定性を示すとみなされるポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)などのフッ素化ポリマーが、マイクロエレクトロニクスデバイス加工で使用される加工液体材料用フィルターに使用されることが多い。
【0009】
向上した濾過レベルを実現するために、濾過膜の一部として、イオン性官能基(「イオン交換官能基」または単に「イオン基」)を含んでもよい。イオン性官能基は、流体から溶解金属物質または粒子を除去するのに有効である場合がある。フルオロポリマーの欠点の1つは、高度に不活性であるため、イオン性官能基をこれらの材料にイオン性官能基を配置することが困難であるということである。さらに、フィルターに組み込まれた濾過膜において有効であるためには、イオン性官能基は、濾過膜をフィルターに組み込むために典型的に使用されるポッティング工程を含む、濾過膜を基本的な膜の形態から完成フィルター製品の構成要素へと変換するために通常使用されるプロセス条件に耐えなければならない。フルオロポリマーから作製される濾過膜を含むフィルターを調製するために、ポッティング工程は、比較的高温、例えば、少なくとも摂氏200度で行われる。しかし、多くのイオン性官能基は熱安定でなく、この範囲の温度に曝露されると急速に劣化することがある。
【0010】
一態様では、本発明はフィルター構成要素に関する。フィルター構成要素は濾過膜を含む。濾過膜は、多孔質フルオロポリマー膜、熱安定なイオン基および縁部を含む。フィルターはフルオロポリマー端板をさらに含む。濾過膜の縁部は端板にポッティングされ、縁部に沿って流体密シールを形成する。
【0011】
一態様では、本発明は、溶融加工性フルオロポリマーと接触した濾過膜を含むフィルター構成要素を調製する方法に関し、濾過膜は、多孔質フルオロポリマー膜、熱安定なイオン基および縁部を含む。方法は、濾過膜および溶融加工性フルオロポリマーを加熱し、溶融加工性フルオロポリマーを軟化させることを含む。
【0012】
さらに別の態様では、本発明は、多孔質フルオロポリマー膜、および多孔質フルオロポリマー膜の表面のコーティングを含む濾過膜に関する。コーティングは、熱安定なイオン基を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A-1B】端部斜視図および上面図として、濾過膜を含む、本発明の説明の例示的フィルター構成要素を示す図である。
【
図1C】上面図として、濾過膜を含む、本発明の説明の例示的フィルター構成要素を示す図である。
【
図1D】端板にポッティングされた濾過膜を含む、本発明の説明の例示的フィルター構成要素の側面斜視図である。
【
図2】イオン基の熱安定性に関するデータを示す図である。
【
図3】イオン基の熱安定性に関するデータを示す図である。
【
図4】イオン基の熱安定性に関するデータを示す図である。
【
図5】イオン基の熱安定性に関するデータを示す図である。
【
図6】イオン基の熱安定性に関するデータを示す図である。
【
図7】イオン基の熱安定性に関するデータを示す図である。
【
図8】イオン基の熱安定性に関するデータを示す図である。
【
図9】イオン基の熱安定性に関するデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面は概略図であり、縮尺通りではなく、また本発明の説明の任意の態様を制限するとみなされない。
【0015】
本発明は、多孔質フルオロポリマー膜および熱安定なイオン基を含む濾過膜に関する。本発明はまた、そのような濾過膜を含むフィルター(例えば、フィルターカートリッジ)およびフィルター構成要素(完成フィルターデバイスの部分、補助アセンブリ、補助構成要素など);上記濾過膜を調製する方法;上記濾過膜を含むフィルター構成要素またはフィルターを調製する方法;ならびに濾過膜、フィルター構成要素またはフィルターを使用する方法に関する。
【0016】
特に、濾過膜は、多孔質フルオロポリマー膜、および昇温、例えば、少なくとも摂氏200度の温度で行われる、濾過膜をフィルターの支持面にポッティングする工程を含む、濾過膜をフィルター構成要素またはフィルターへと変換するために使用される1つまたは複数の工程において比較的高温で処理されるのに十分に熱安定なイオン基を含む。
【0017】
多孔質フルオロポリマー膜は濾過分野で公知であり、これには、平坦な平面シート、中空糸、平坦な円板、プリーツシート、巻回されたシートの形態、またはフィルター製品に組み込み得る別の膜形態でもよい多孔質濾過膜が含まれる。多孔質フルオロポリマー膜は、フッ素化(例えば、ペルフルオロ化)ポリマーから作製され、フッ素化ポリマーは、高度な熱安定性、高度な化学安定性、すなわち、高温に対する良好な耐性および化学劣化に対する良好な耐性、ならびにフィルターとしての使用時に膜から浸出することがある抽出可能物質のレベルが低いことを含む、それらの望ましい特性のために、フィルター製品に有用であることが公知である。
【0018】
多孔質フルオロポリマー膜に有用なフッ素化ポリマーは、フッ素化(少なくとも部分的にフッ素化)されていても、ペルフルオロ化(実質的に完全にフッ素化)されていてもよい。一般的な用語に基づくペルフルオロ化ポリマー(ペルフルオロポリマー)は、ポリマーのすべてまたは実質的にすべて(例えば、少なくとも95、98または99パーセント)の水素原子がフッ素原子で置き換えられたポリマーである。一般的な用語に基づくフッ素化ポリマー(「フルオロポリマー」)は、水素原子の代替物としてフッ素原子を有する炭素骨格を有するが、炭素骨格に直接結合する、非実質的な量を上回る量の水素原子、塩素原子、またはその両方を含むこともでき、フッ素原子の含有量が、ポリマーに所望の熱特性および化学安定特性を与えるのに十分に高いポリマーである。
【0019】
上記フッ素化濾過膜に有用なペルフルオロ化ポリマーの例としては、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン-co-ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)およびポリ(テトラフルオロエチレン-co-ペルフルオロ)(アルキルビニルエーテル))(PFA)が挙げられる。上記フッ素化濾過膜に有用なフッ素化ポリマーの例としては、ポリ(エチレン-co-テトラフルオロエチレン)(ETFE)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)(CTFE)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン-co-エチレン)(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびポリフッ化ビニル(PVF)が挙げられる。特定の例として、フッ素化濾過膜は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、または少なくとも98もしくは99重量パーセントのテトラフルオロエチレンに由来する発泡PTFEでもよい。
【0020】
有用な多孔質フルオロポリマー膜は、フルオロポリマー、ペルフルオロポリマーまたはこれらの組合せを含んでもよく、これらからなってもよく、これらから本質的になってもよい。フルオロポリマー、ペルフルオロポリマー、またはフルオロポリマーとペルフルオロポリマーの組合せから本質的になる多孔質フルオロポリマー膜は、フルオロポリマーのみ、ペルフルオロポリマーのみ、またはフルオロポリマーとペルフルオロポリマーの組合せ、および2、1、0.5または0.1重量パーセント以下の任意の他の種類の(非フッ素化)材料を含有する膜である。
【0021】
多孔質フルオロポリマー膜は、形状によって、ならびに孔径、バブルポイントおよび厚さのうちの1種または複数によって特徴付けてもよい。
【0022】
例示的多孔質フルオロポリマー膜は、微多孔質濾過膜または限外濾過膜のいずれかとみなされるサイズ(平均孔径)の孔を有してもよい。微多孔質膜は、約0.05ミクロン~約10ミクロンの範囲の平均孔径を有してもよく、孔径は、除去される不純物の粒径または種類、圧力および圧力降下要件、ならびにフィルターによって処理される液体の粘度要件を含む、1つまたは複数の要因に基づいて選択される。限外濾過膜は、0.001ミクロン~約0.05ミクロンの範囲の平均孔径を有してもよい。孔径は多くの場合、水銀圧入法(MP)、走査電子顕微鏡(SEM)、液体置換法(LLDP)または原子間力顕微鏡(AFM)などの公知の技術によって測定することができる、多孔質材料の平均孔径として報告される。
【0023】
バブルポイントもまた、多孔質膜の公知の特色である。バブルポイント試験法では、多孔質材料の試料を、表面張力が公知である液体に浸漬して濡らし、試料の片側にガス圧をかける。ガス圧を徐々に増加させる。ガスが試料を通って流れる最低圧力がバブルポイントと呼ばれる。本発明の説明によると有用な多孔質フルオロポリマー膜の有用なバブルポイントの例は、HFE7200を使用して摂氏20~25度の温度で測定して、2~200psiの範囲、例えば、20~80psiの範囲であってもよい。
【0024】
上記多孔質膜は、任意の有用な厚さ、例えば、5~100ミクロンの範囲、例えば、20~50ミクロンの厚さのシートの形態であってもよい。
【0025】
濾過膜は、濾過材として機能し、濾過膜を通過する流体から粒子または金属などの不要物質を除去するのに有効なイオン基を含む。イオン基はまた、本明細書に記載されるように熱安定である。イオン基が濾過膜の一部としてフィルター構成要素または仕上がりフィルター(例えば、カートリッジ)に組み込まれるためには、イオン基は、濾過膜を構成要素または仕上がりフィルターへと変換するために使用される加工工程に耐えるのに十分に安定でなければならない。多孔質フルオロポリマー膜を含むフィルター構成要素およびフィルターをアセンブルする方法は、多くの場合、比較的高温、例えば、摂氏200度超で溶融する熱加工性フルオロポリマーが存在するため、比較的高温を用いる。濾過膜をフィルター構成要素に組み込むために一般的に使用される特定の1つの工程は「ポッティング」工程であり、この工程では、熱加工性ポリマー(例えば、サーモポリマー(thermopolymer))を使用して、濾過膜をフィルターの表面に固定する。多孔質フルオロポリマー膜を含む濾過膜をポッティングする方法では、ポッティング工程は、少なくとも摂氏200度の温度で溶融することがある熱加工性フルオロポリマーを使用する場合がある。濾過膜の一部であるイオン基は、ポッティング工程の際に、イオン基が濾過材として有効に機能しなくなる程度まで劣化することなく、ポッティング工程の比較的高温への曝露に耐えるのに十分に安定でなければならない。
【0026】
濾過膜の構成要素として有用なイオン基(すなわち、イオン含有官能基または「リガンド」)は、濾過膜の濾過材として機能するのに有用である場合があり、これは、イオン基が、例えば、濾過膜を通過する流体からある特定の種類の物質を除去するように機能することによって濾過機能性を示すことを意味し、物質は、例えば、望ましくない不純物、夾雑物、または溶解金属、イオンもしくは液体に懸濁した固体粒子などの他の望ましくない固体物質もしくは溶解物質の形態である。濾過膜の一部として有用なイオン基は、正電荷(すなわち、カチオン)または負電荷(すなわち、アニオン)のいずれかを示すことによって濾過膜の使用条件でイオン性であり、さらに本明細書に記載されるように熱安定な基であってもよい。
【0027】
濾過膜のイオン基は、濾過膜の表面のコーティングの一部として含まれるとき、基の化学種の多数の個々の分子(すなわち、基の1または複数モルの範囲の数)が、イオン基が濾過材として機能するのに有効でない程度まで劣化することなく、本明細書に記載のポッティング工程で処理することができる場合に熱安定であるとみなされる。例えば、好ましいイオン基は、少なくとも摂氏200度の温度、例えば、摂氏200度以上の少なくとも1種の温度、例えば、摂氏220、240または280、またはさらには300度に2、5または10分間曝露することができ、分子の元の数の少なくとも50パーセントが曝露によって劣化しない、すなわち、濾過膜に最初に存在した基の個々の分子の元の数の少なくとも50パーセントが曝露によって劣化せず、曝露後に濾過膜に存在する。
【0028】
濾過膜を使用してフィルター構成要素を調製することに関して、イオン基は、濾過膜のコーティングの一部として含まれるとき、基の多数の分子(すなわち、基の多数モル)が、濾過膜をフィルターの別の構成要素(例えば、端板)にポッティングする工程に曝露することができる場合に熱安定であるとみなされ、ポッティング工程は、濾過膜を、少なくとも摂氏200、220、240、280または300度の温度に、濾過膜と構成要素との間に流体密シールを生成するのに十分な時間にわたって(例えば、2、5または10分間)加熱することを含み、濾過膜に存在するイオン基の元の数の少なくとも50パーセントがポッティング工程中に劣化せず、したがってポッティング工程後に濾過媒体に存在する。
【0029】
本発明の説明の濾過膜に使用されることが特定されたある特定の一般的な種類のイオン基の例としては、イオン性硫黄含有基、イオン性リン含有基およびイオン性窒素含有基またはイオン性アンモニウム含有基が挙げられる。ある特定のより具体的な例としては、イオン性イミダゾール基、イオン性ピリジン、イオン性スルホネート基(例えば、スルホン酸およびその塩)ならびにホスホネート基(例えば、ホスホン酸およびその塩)が挙げられる。
【0030】
イオン基は、イオン基が濾過材として有効に機能するのを可能にするために有効と見込まれる任意の方法を使用して、濾過膜の表面に配置することができる。1つの例として、イオン基は、イオン基を濾過膜にグラフトする方法、例えば、モノマーをポリマー(すなわち、多孔質フルオロポリマー膜)に電子線グラフトするという理解されている方法によって濾過膜の一部となり、濾過膜の表面に配置することができる。
【0031】
別の例として、イオン基は、イオン基を含有するコーティングを多孔質フルオロポリマー膜の表面に設けることにより、濾過膜の一部となってもよい。例示的コーティングは、イオン基および反応性基を含み、かつ反応性化合物の他の分子と反応して、例えば、硬化または重合してイオン基を含有するコーティングを形成することができ、さらに、濾過膜の表面に接着する反応性化合物(反応性「モノマー」)に由来してもよい。反応性化合物は、反応性基として、反応性基が反応性化合物の他の分子と反応して反応生成物、例えば、硬化物質、ポリマー、オリゴマーなどを形成することを可能にするように制御された方式で反応性であり、高分子量を有する任意の基を含んでもよい。例示的反応性基としては、ビニル、アクリレート、メタクリレート、およびフリーラジカル重合などの任意の硬化機構で硬化し得る他の公知の反応性化学部分、多くの場合不飽和基が挙げられる。
【0032】
荷電窒素原子を含有するコーティングを調製するために、イオン基含有反応性化合物は、反応性イミダゾール含有化合物、例えば、1-ビニルイミダゾールであってもよい。
【0033】
荷電硫黄原子(例えば、スルホネート基)を含有するコーティングを調製するために、イオン基含有反応性化合物は、ビニルスルホン酸ナトリウム(SVS)(代替的に、酸の形態のビニルスルホン酸)などのスルホン酸化合物またはスルホン酸塩化合物であってもよい。別の例は、4-ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたはその別の酸もしくは塩の形態である。
【0034】
荷電リン原子(例えば、ホスホネート)を含有するコーティングを調製するために、イオン基含有反応性化合物は、ビニルホスホン酸、エテニルホスホン酸またはその塩などのホスホン酸化合物またはホスホン酸塩化合物であってもよい。
【0035】
イオン基を含有する反応性化合物由来のイオン基を含有する上記コーティングは、反応性化合物の1種または複数を化学硬化または重合する方法によって形成することができる。コーティングは、1種または複数の反応性化合物(例えば、モノマー)を含有し、かつ任意選択で、溶媒(例えば、有機溶媒、水または両方);イオン基を含有しない、「共反応物」と称される1種または複数の追加の反応性化合物(例えば、反応性ビニル、アクリレートまたはメタクリレート化合物);コーティング溶液の反応性基の反応を開始させるための開始剤;またはこれらの組合せなどの、1種または複数の追加の反応性成分または非反応性成分を含む、液体コーティング溶液から調製することができる。
【0036】
コーティング溶液に有用となり得る共反応物の例として、一般的に、イオン基を含有しないが、一種または複数の反応性ビニル、アクリレートまたはメタクリレート基を含有する反応性化合物が挙げられる。共反応物は、ビニル、アクリレートまたはメタクリレートなどの単一の反応性基を含有する単官能性反応性化合物であってもよく、2種以上のそのような反応性基を含有し、共反応物が架橋剤として機能することを可能にする多官能性、例えば、二官能性であってもよい。単官能性共反応物の非限定的な例としては、モノアクリレート、およびエチルメタクリレート(例えば、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル)などのモノメタクリレートが挙げられる。例示的多官能性共反応物としては、ジアクリレート化合物およびジビニル化合物が挙げられ、より詳細には、メチレンビスアクリルアミドなどのビス-アクリルアミド化合物およびジビニルエーテル化合物(例えば、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル)などのジビニル化合物が挙げられる。
【0037】
コーティング溶液の反応性化合物の合計量に関して、コーティング溶液は、イオン基を含有しない反応性化合物(すなわち、共反応物)に対して、任意の所望の相対的な量のイオン基を含む反応性化合物を含有してもよい。例示的コーティング溶液は、すべての種類の反応性化合物の合計重量に対して、10、20または25、最大95、例えば、30~90、または50~85重量パーセントのイオン基を含む反応性化合物、および5~90、80、または75、例えば、10~70、または15~50重量パーセントのイオン基を含まない反応性化合物を含んでもよい。
【0038】
例示的コーティング溶液は、任意の有用な量の溶媒、例えば、コーティング溶液の合計重量に対して少なくとも5、20、40または50重量パーセント、最大60、80、90または95重量パーセントの有機もしくは水性溶媒(または有機および水性溶媒の組合せ)を含有してもよく、溶液の残余は反応性化合物である。溶媒は、上記反応性化合物を含有する溶液を形成するのに有効な水もしくは有機化合物、またはそれらのブレンドであってもよい。有機溶媒の例としては、メタノールなどのアルカノールが挙げられる。
【0039】
一部の実施形態では、液体コーティング溶液は、液体コーティング溶液の反応性化合物の合計重量に対して、25~90重量部のイオン基含有反応性化合物、および10~75重量部のイオン基不含反応性化合物を含む。一部の実施形態では、イオン基含有反応性化合物は、1-ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸および4-ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムから選択してもよい。一部の実施形態では、イオン基不含反応性化合物は、メチレンビスアクリルアミド、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルおよび1,4-ブタンジオールジビニルエーテルから選択してもよい。
【0040】
コーティング溶液は、任意の有効な装置および方法を使用して多孔質フルオロポリマー膜に塗布することができる。液体コーティング溶液は、溶液がコーティングされた表面に滞留し、所望であれば任意選択で多孔質表面中に浸透する量で、多孔質フルオロポリマー膜の表面に塗布することができる。多孔質フルオロポリマー膜に塗布した後、コーティングは所望の方法で硬化または乾燥してもよい。
【0041】
多孔質フルオロポリマー膜に塗布されるコーティング溶液の量は、濾過膜に所望の量のイオン基を設ける量であってもよい。濾過膜に存在するイオン基の量は、公知の方法および装置を使用して、例えば、膜の電荷の量を、そのとき比色定量法で測定することができる検出可能な色素分子の吸収量に基づいて近似する色素結合法によって、定量的に決定することができる(本明細書実施例2を参照されたい)。
【0042】
濾過膜は、流体がその中を通過する構成要素として濾過膜を収容するフィルター(例えば、フィルターカートリッジ)の中に使用して、流体から所望しない物質を除去することができる。「フィルター」は、濾過膜、ならびに濾過膜が流体から不要物質を濾過するように機能するために、流体がフィルターを通るように導かれると同時に濾過膜を通過することを協働して可能にする、フレーム、ハウジング、および流れ制御構造体などの追加の構造体を収容する構造体を指す。
【0043】
例示的フィルターは濾過カートリッジと称することができ、これは、入口および出口、ならびにハウジング内に収容され、入口と出口の間に位置する上記濾過膜を備えるハウジングを含む。濾過膜は、フィルターの入口に入る任意の流体が濾過膜を通って流れ、その後ハウジングの出口を通過してフィルターを出ることが必要なように、ハウジング内に配置し、密封することができる。ハウジング内の濾過膜は、中空フィルター膜、円板形状膜、または巻回もしくはプリーツ加工してもよいシート状膜などの、任意の形状または形態をとってもよい。
【0044】
濾過膜は、濾過膜をフィルター内で支持し、流体がフィルターを通過する際に濾過膜を通って流れるようにする種々の追加の材料および構造体によって、フィルター構造体に収容してもよい。円筒状プリーツ濾過膜を含むフィルターのためのそのような構造体の例としては、いずれもフィルター構築物に含まれてもよいが必須でなくてもよい以下のものが挙げられる:円筒状プリーツ濾過膜の内部開口で円筒状プリーツ濾過膜を支持する剛性または半剛性コア;プリーツ膜の外部で円筒状プリーツ濾過膜を支持する剛性または半剛性ケージ;プリーツ濾過膜の長軸方向縁部を円筒状膜の長手方向の継ぎ目に沿って連結し、膜をプリーツ円筒へと形成する継ぎ合わせ材料;その中を流体が流れる濾過膜の主面を支持するが、濾過材として有効である必要はない穴あき膜支持材料(例えば、穴あきネットまたはメッシュの形態);円筒状プリーツ濾過膜の2つの対向する端部のそれぞれに位置する端板または「パック」;濾過膜の縁部を端板に熱接着して使用することができる、溶融加工性フルオロポリマーの形態のポッティング化合物;および円筒状プリーツ膜の対向する端部の縁部の、縁部が端板と接触する場所に位置する貼り合わせ用フィルム。
【0045】
ある特定の好ましいフィルターの実施形態によると、フィルターを通過する流体と接触する、フィルターのすべての表面、例えば、すべての構成要素(すべての構造体、部品など)は、好ましくは、フッ素化または(of)ペルフルオロ化ポリマー材料で形成することができる。これらには、コア、ケージ、継ぎ合わせ材料、膜支持材料、端板および貼り合わせ用フィルムなどの必須または任意選択の構成要素、ならびに、流れ制御面、ガスケット、接着剤、シーラント、グロメット、入口、出口、ハウジング構成要素などの、フィルター構造体の任意の他の構成要素が含まれる。フルオロポリマー材料、例えば、ペルフルオロポリマー材料から作製される構成要素から全体的に作製され、フィルターを通過する流体に接触する箇所に全体的にフルオロポリマー製の構造体および表面を収容するフィルターは、「全テフロン」または「全フルオロポリマー」フィルターと称されることがある。これらのフィルターは、フルオロポリマー材料からなるまたはフルオロポリマー材料から本質的になる、例えば、ペルフルオロポリマー材料からなるまたはペルフルオロポリマー材料から本質的になるとみなすことができる。フルオロポリマー材料またはペルフルオロポリマー材料から本質的になるフィルター(またはフィルター構成要素)は、フィルターの合計重量に対して少なくとも90、95、98または99重量パーセントのフルオロポリマーまたはペルフルオロポリマー材料(またはその組合せ)、および10、5、2または1重量パーセント以下の非フッ素化材料または構造体から作製される構造体を収容するフィルター(またはフィルター構成要素)である。
【0046】
本明細書に記載されるフィルターの構造体のいずれかの材料として有用となり得るフッ素化およびペルフルオロ化ポリマーの例としては、種々の溶融加工性フルオロポリマーが挙げられる。溶融加工性フルオロポリマーは、材料の軟化温度特性を上回る温度に加熱されると可逆的に軟化または溶融して柔軟性または流動性となることができ、軟化温度を下回る温度に冷却されると再固化する、フッ素化(例えば、部分的にフッ素化されたまたは完全にフッ素化された(ペルフルオロ化))ポリマーである。好ましい溶融加工性フルオロポリマーは、実質的にフルオロポリマーが劣化することなく、繰り返し加熱されて可逆的に軟化または溶融し、その後冷却されて再固化することができる。溶融加工性フルオロポリマーの特定の例としては、PFAおよびFEPが挙げられる。
【0047】
ここで
図1Aを参照すると、フィルター構成要素の一部としての、シート型膜の形態の、本明細書に記載される濾過膜の1つの非限定的な例が図示される。フィルター構成要素10は、上記イオン基を含有するコーティング(詳細には図示されない)を含む多孔質フルオロポリマー膜を含む、本明細書に記載される濾過膜12を含む。濾過膜12の主面には、好ましくはフルオロポリマーメッシュまたはネット材料(例えば、PFAなどのペルフルオロポリマー材料)である、膜支持材料14が配置される。組み合わされた層の2つの対向する端部の各々では、膜12および支持膜14の縁部に沿って多数の貼り合わせ用フィルム16があり、貼り合わせ用フィルム16は端部に沿って配置され、縁部を一つにまとめる。貼り合わせ用フィルム16は、フルオロポリマー、好ましくは溶融加工性フルオロポリマー材料(例えば、PFAなどのペルフルオロポリマー材料)から作製することができる。
【0048】
図1Bおよび1Cを参照すると、フィルター構成要素10は、長軸方向にプリーツ20を形成するように加工し得る。プリーツ20が形成されると、対向する端部18同士を、溶融加工性フルオロポリマー材料(例えば、PFAなどの溶融加工性ペルフルオロポリマー材料)でもよい継ぎ合わせ材料(図示せず)を使用して、連結することができる。
【0049】
図1Dを参照すると、対向する端部18同士(
図1Dでは詳細に図示されない)が継ぎ合わせ材料によって連結されており、構成要素10は、貼り合わせ用フィルム16によって一つにまとめられ、1つの端部で端板22にポッティングされたプリーツ濾過膜12およびプリーツ膜支持材料14を含む円筒状プリーツ膜の形態の構成要素30へと形成される。
【0050】
図1Dは、プリーツ円筒状構成要素10と、端板円筒状フィルター構成要素10の1つの端部の縁部がポッティングされた端板22との製品である、フィルター構成要素30を示す。端板22は、好ましくは、溶融加工性フルオロポリマー材料(例えば、PFAなどの溶融加工性ペルフルオロポリマー材料)で作製することができる。円筒状構成要素10を端板22にポッティングする工程は、円筒状構成要素10および端板22を、端板22および貼り合わせ用フィルム16の溶融熱加工性フルオロポリマー材料が軟化する温度に加熱すること、および構成要素10の端部を端板22の表面に押し付けることを含む。加熱温度、接触圧およびポッティング工程の時間は、溶融加工性フルオロポリマー材料の軟化または溶融、および濾過膜12の縁部全体が溶融加工性フルオロポリマーで覆われるまたは浸潤され、流体(例えば、液体)が縁部の周囲を通過しないようにするシールを縁部に沿って生成する、すなわち、流体密(特に液密)シールを生成するのに十分な、円筒状構成要素10の端部の縁部に対するフルオロポリマー材料の流れを可能にするのに十分なものであってもよい。
【0051】
濾過膜12をフィルター構成要素またはフィルターへと変換するための他の工程では、例えば、ポッティング工程の前、記載されたポッティング工程の前に、コア(図示せず)をプリーツ円筒状構成要素10の内部開口24に配置し、ケージ(図示せず)をプリーツ円筒状構成要素10の外部の周囲に配置してもよい。
【0052】
また別のさらなる工程は、第二の端板(図示せず)を、
図1Dのプリーツ円筒状構成要素30の第二の端部にポッティングすることでもよい。2つの対向するポッティングされた端部ならびに任意選択のコアおよびケージを備えた、得られるプリーツ円筒状構成要素は、入口および出口を含み、かつ入口に入る流体の全量がフィルターの出口を出る前に濾過膜12を必ず通過しなければならないように構成されるフィルターハウジング中に配置することができる。
【0053】
1つの有用な一連の工程によると、まず、上記濾過膜および任意選択のフルオロポリマー支持層を、FEPを貼り合わせ用フィルムとして使用して、材料のシートの2つの対向する縁部を加熱で貼り合わせるように加工してもよい。次に、縁部が加熱で貼り合わされた濾過膜および任意選択の支持層をプリーツ加工し、FEPを使用してプリーツ膜を円形の「プリーツ束」へと継ぎ合わせ、残る2つの縁部を連結する。PFAコア構造体をプリーツ束の中間に挿入し、プリーツ束をPFAケージに挿入する。プリーツ円筒のそれぞれの端部に1つのパックを熱接着することにより、このアセンブリ(または「カートリッジ」)を2つのPFA端板(または「パック」)にポッティングする準備ができる。プリーツ円筒の端部の縁部のPFAパックおよびFEP貼り合わせ用フィルムを、加熱素子に5分間(例えば、3~7分間)曝露することによって軟化させ、5分後、カートリッジを軟化したPFAパックへと下ろすと、ポッティング工程が完了する。
【0054】
フィルターハウジングは、任意の有用な所望のサイズ、形状および材料のものであってもよく、好ましくは、ポリ(テトラフルオロエチレン-co-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル))、TEFLON(登録商標)ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ペルフルオロメチルアルコキシ(MFA)または別の好適なフルオロポリマー(例えば、ペルフルオロポリマー)などのフッ素化ポリマーであってもよい。
【0055】
本明細書に記載される濾過膜、または濾過膜を含有するフィルターもしくはフィルター構成要素は、液体薬品から不要物質を濾過して精製または除去する方法に有用となり得る。液体薬品は種々の組成物のいずれかのものであってもよく、任意の産業または商業的使用のための、任意の用途に有用であるまたは使用される液体薬品であってもよい。上記フィルターの特定の例は、半導体またはマイクロエレクトロニクス製造の用途に使用されるまたは有用である、液体薬品を精製する、例えば、半導体フォトリソグラフィー法に使用される液体溶媒を濾過するために使用することができる。
【0056】
流体は、非常に低いレベルの溶解金属および非常に低いレベルの懸濁粒子または他の不純物もしくは夾雑物を含む、半導体フォトリソグラフィー法に使用されたときに非常に高いレベルの純度を示す必要がある任意の流体、例えば、溶媒であってもよい。上記濾過膜を使用して濾過され得る溶媒のいくつかの特定の非限定的な例としては、酢酸n-ブチル(nBA)、イソプロピルアルコール(IPA)、酢酸2-エトキシエチル(2EEA)、キシレン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸イソアミル、ウンデカン、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が挙げられる。
【実施例】
【0057】
実施例1
負荷電AMPSモノマーで改質されたPTFE表面
本実施例は、負荷電モノマーである2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AMPS)によるPTFE膜の表面改質を実証する。このモノマーの負荷電イオン基は、
図2において熱安定でないことが示される。
【0058】
負荷電PTFE膜を表面改質によって生成した。表面改質は、負荷電モノマーAMPSが組み込まれた光開始型架橋コーティングを塗布することによって達成した。まず、未改質PTFE膜を直径47mmの試験片へと切断し、100%イソプロパノールに浸して膜を濡らした。次に、IPAで濡れた膜試験片を、10%ヘキシレングリコール溶液で交換した。交換した膜試験片をAMPSモノマー溶液(表1)に浸し、膜にモノマー溶液を吸収させた。試験片をモノマー溶液から取り出し、すぐに2枚の透明なポリエチレンシートの間に置き、30フィート/分の速度でFusion Systems広帯域UVランプに通した。UV硬化した膜試験片を水で洗浄し、メタノールで2回洗浄した後乾燥した。
【0059】
実施例2
負荷電PTFE膜の色素結合能の決定
本実施例は、正荷電色素分子、メチレンブルーの吸収を測定することにより、処理された多孔質フルオロポリマー膜に存在する負電荷の量を近似することができる方法を実証する。
【0060】
この方法は、表面改質されたPTFE膜に帯電する電荷の量を測定するために使用される。まず、各試験片(例えば、実施例1のもの)をイソプロパノールに再び濡らし、すぐに50mLの希釈(0.00075重量%の割合)メチレンブルー色素(Sigma Aldrich)供給溶液を含有する50mLのコニカルチューブに入れ、チューブに蓋をして2時間回転する。2時間の回転後、膜試験片をメチレンブルー溶液から取り出し、50mLの100%イソプロパノール溶液を含有する50mLのコニカルチューブに入れ、チューブに蓋をして0.5時間回転する。イソプロパノール中で回転後、目視によって膜試験片が青色に染色されたことを確認し、試験片を乾燥する。希釈メチレンブルー供給溶液のUV吸光度を測定し、試験片が回転された溶液のものと比較する。回転された溶液と比較した原液とのUV吸光度の差を決定することによって最終的な「色素結合能」(DBC)を算出し、色素μg/膜cm2で表すことができる。この数字は膜の表面の荷電官能基のレベルの近似値であり、膜のイオン交換能のレベルと相関する。負荷電AMPSモノマーで改質されたPTFE表面のDBCは24.7μg/cm2と決定された。
【0061】
実施例3
負荷電PTFE膜の熱安定性の決定
改質された膜試験片を加熱し、昇温曝露前後の色素結合能の変化を測定することにより、表面改質されたPTFEの熱安定性を決定した。
【0062】
表面改質されたPTFE膜試験片を、200℃~340℃の範囲の温度で、予め加熱したオーブンにそれぞれ10分間入れた。それぞれの膜は1種の温度のみで加熱され、1つの膜に対して熱曝露は繰り返さなかった。それぞれの試験片を熱に曝露した後、膜を冷却し、実施例2と同様の色素結合能試験を行った。熱曝露後のDBCの損失により、荷電官能基の熱安定性が示される。負荷電AMPSモノマーで改質されたPTFE表面(実施例1を参照されたい)の熱安定性の結果が
図2に示されており、AMPSモノマーのイオン基が熱安定性を欠くことが示される。
【0063】
実施例4
負荷電SVSモノマーで改質されたPTFE表面
本実施例は、負荷電モノマーであるビニルスルホン酸ナトリウム(SVS)によるPTFE膜の表面改質、およびSVSによってもたらされる荷電官能基の熱安定性(
図3を参照されたい)を実証する。
【0064】
負荷電PTFE膜を表面改質によって生成した。表面改質は、表2に示されるSVSを含有するモノマー溶液を用いたことを除き実施例1と同様の方法を使用して、負荷電モノマーSVSが組み込まれた光開始型架橋コーティングを塗布することによって達成した。次に、実施例2の方法を使用して色素結合能を決定した。負荷電SVSモノマーで改質されたPTFE表面の色素結合能は、19.8μg/cm
2と決定された。最後に、改質された膜試験片を加熱し、昇温曝露前後の色素結合能の変化を測定することにより、負荷電SVSモノマーで改質されたPTFE表面の熱安定性を決定した。負荷電SVSモノマーで改質されたPTFE表面の熱安定性の結果を
図3に示す。
【0065】
実施例5
負荷電VPAモノマーで改質されたPTFE表面
本実施例は、負荷電モノマーであるビニルホスホン酸(VPA)によるPTFE膜の表面改質、およびVPAによってもたらされる荷電官能基の熱安定性(
図4を参照されたい)を実証する。
【0066】
負荷電PTFE膜を表面改質によって生成した。表面改質は、表3に示されるVPAを含有するモノマー溶液を用いたことを除き実施例1と同様の方法を使用して、負荷電モノマーVPAが組み込まれた光開始型架橋コーティングを塗布することによって達成した。次に、実施例2の方法を使用して色素結合能を決定した。負荷電VPAモノマーで改質されたPTFE表面の色素結合能は、18.4μg/cm
2と決定された。最後に、改質された膜試験片を加熱し、昇温曝露前後の色素結合能の変化を測定することにより、負荷電VPAモノマーで改質されたPTFE表面の熱安定性を決定した。負荷電VPAモノマーで改質されたPTFE表面の熱安定性の結果を
図4に示す。
【0067】
実施例6
正荷電APTAC/DADMACモノマーで改質されたPTFE表面
本実施例は、正荷電モノマーである(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)およびジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)によるPTFE膜の表面改質を実証する。
【0068】
正荷電PTFE膜を表面改質によって生成した。表面改質は、正荷電モノマーAPTACが組み込まれた光開始型架橋コーティングを塗布することによって達成した。まず、未改質PTFE膜を直径47mmの試験片へと切断し、100%イソプロパノールに浸して膜を濡らした。次に、IPAで濡れた膜試験片を、10%ヘキシレングリコール溶液で交換した。交換した膜試験片をAPTAC/DADMACモノマー溶液(表4)に浸し、膜にモノマー溶液を吸収させた。試験片をモノマー溶液から取り出し、すぐに2枚の透明なポリエチレンシートの間に置いてFusion Systems広帯域UVランプに通した。UV硬化した膜試験片を水で洗浄し、メタノールで2回洗浄した後乾燥した。
【0069】
実施例7
正荷電PTFE膜の色素結合能の決定
本実施例は、負荷電色素分子、ポンソーSの吸収を測定することにより、正電荷の量を近似することができる方法を実証する。
【0070】
この方法は、表面改質PTFE膜に帯電する正電荷の量を測定するために使用される。まず、各試験片をイソプロパノールに再び濡らし、すぐに50mLの希釈(0.0025重量%の割合)ポンソーS色素(Sigma Aldrich)供給溶液を含有する50mLのコニカルチューブに入れ、チューブに蓋をして2時間回転する。2時間の回転後、膜試験片をポンソー溶液から取り出し、50mLの100%のイソプロパノール溶液を含有する50mLのコニカルチューブに入れ、チューブに蓋をして0.5時間回転する。イソプロパノール中で回転後、目視によって膜試験片が赤色に染色されたことを確認し、試験片を乾燥する。ポンソーS供給溶液のUV吸光度を測定し、試験片が回転された溶液のものと比較する。回転された溶液と比較した原液とのUV吸光度の差を決定することによって最終的な「色素結合能」(DBC)を算出し、色素μg/膜cm2で表すことができる。この数字は膜の表面の荷電官能基のレベルの近似値であり、膜のイオン交換能のレベルと相関する。正荷電APTAC/DADMACモノマーで改質されたPTFE表面のDBCは7.34μg/cm2と決定された。
【0071】
実施例8
正荷電PTFE膜の熱安定性の決定
改質された膜試験片を加熱し、昇温曝露前後の色素結合能の変化を測定することにより、表面改質されたPTFEの熱安定性を決定した。
【0072】
表面改質されたPTFE膜試験片を、200℃~340℃の範囲の温度で、予め加熱したオーブンにそれぞれ10分間入れた。それぞれの膜は1種の温度のみで加熱され、1つの膜に対して熱曝露は繰り返さなかった。それぞれの試験片を熱に曝露した後、膜を冷却し、実施例7と同様の色素結合能試験を行った。熱曝露後のDBCの損失により、荷電官能基の熱安定性が示される。正荷電APTAC/DMAMモノマーで改質されたPTFE表面の熱安定性の結果を
図5に示す。
【0073】
図5はAPTAC/DADMACモノマーの正荷電イオン基の熱安定性データを示す。異なるモノマー、すなわち、トリアリルアミン(TAA)モノマーの別の正荷電イオン基もまた、熱安定性でないことが見出された。
【0074】
実施例9
正荷電(1-ビニルイミダゾール)モノマーで改質されたPTFE表面
本実施例は、正荷電モノマー、(1-ビニルイミダゾール)によるPTFE膜の表面改質、および1-ビニルイミダゾールによってもたらされる、正荷電官能基の熱安定性(
図6を参照されたい)を実証する。
【0075】
正荷電PTFE膜を表面改質によって生成した。表面改質は、表5に示される(1-ビニルイミダゾール)を含有するモノマー溶液を用いたことを除き実施例6と同様の方法を使用して、正荷電モノマー、(1-ビニルイミダゾール)が組み込まれた光開始型架橋コーティングを塗布することによって達成した。次に、実施例7の方法を使用して色素結合能を決定した。正荷電(1-ビニルイミダゾール)モノマーで改質されたPTFE表面の色素結合能は、65.1μg/cm
2と決定された。最後に、改質された膜試験片を加熱し、昇温曝露前後の色素結合能の変化を測定することにより、正荷電(1-ビニルイミダゾール)モノマーで改質されたPTFE表面の熱安定性を決定した。正荷電(1-ビニルイミダゾール)モノマーで改質されたPTFE表面の熱安定性の結果を
図6に示す。
【0076】
実施例10
熱安定な負荷電モノマーSVSで改質されたPTFE膜を用いた濾過による、イソプロパノールからの金属の除去
本実施例は、熱安定な負荷電モノマーSVSで改質されたPTFE膜の、濾過中にイソプロパノールの金属を減少させる能力を実証する。実施例4と同様の方法を使用して負荷電PTFE膜を調製し、47mmの膜試験片へと切断した。これらの膜試験片を、10%HClで数回洗浄した後10%HClに一晩漬け、脱イオン水で平衡化することによって調整し、清潔な47mmフィルターアセンブリ(Savillex)に固定した。膜およびフィルターアセンブリを、塗布溶媒でもあるIsopropanol Gigabit(KMG)でフラッシュした。また、対照試料として、未処理の未改質PTFEを同じ方法を使用して調製および調整し、フィルターアセンブリに固定した。塗布溶媒に、各金属5ppbの目標濃度でCONOSTAN Oil Analysis Standard S-21(SCP Science)をスパイクした。濾過金属除去効率を決定するために、金属でスパイクした塗布溶媒を、各フィルターを含有する対応する47mmフィルターアセンブリに10mL/分で通過させ、濾液を50、100および150mLの清潔なPFAジャーに収集した。金属でスパイクした塗布溶媒および各濾液試料の金属濃度をICP-MSを使用して決定した。結果を、表6の合計金属除去(%)、および
図7の100mL濾過での個別の金属除去%に提示する。熱安定な負荷電モノマーSVSで改質されたPTFE膜は、未改質膜と比べて、イソプロパノールから金属(リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、銀、カドミウム、スズ、バリウムおよび鉛を含む)を除去する向上した能力を示す。
【0077】
実施例11
熱安定な負荷電モノマーSVSで改質されたPTFE膜、および熱安定な正荷電(1-ビニルイミダゾール)モノマーで改質されたPTFE表面を用いた濾過による、nBAからの金属の除去
本実施例は、熱安定な負荷電モノマーSVSまたは熱安定な正荷電モノマー(1-ビニルイミダゾール)で改質された2種のPTFE膜の、濾過中にイソプロパノールの金属を減少させる能力を実証する。実施例4および実施例9と同様の方法を使用して荷電PTFE膜を調製し、47mmの膜試験片へと切断した。これらの膜試験片を、10%HClで数回洗浄した後10%HClに一晩漬け、脱イオン水で平衡化することによって調整して、清潔な47mmフィルターアセンブリ(Savillex)に固定した。膜およびフィルターアセンブリを、Isopropanol Gigabit(KMG)でフラッシュし、続いて酢酸n-ブチル(nBA)でフラッシュした。また、対照試料として、未処理の未改質PTFEを同じ方法を使用して調製および調整し、フィルターアセンブリに固定した。塗布溶媒に、各金属5ppbの目標濃度でCONOSTAN Oil Analysis Standard S-21(SCP Science)をスパイクした。濾過金属除去効率を決定するために、金属でスパイクした塗布溶媒を、各フィルターを含有する対応する47mmフィルターアセンブリに10mL/分で通過させ、濾液を50、100および150mLの清潔なPFAジャーに収集した。金属でスパイクした塗布溶媒および各濾液試料の金属濃度をICP-MSを使用して決定した。結果を、表7の合計金属除去(%)、および
図8の100mL濾過での個別の金属除去%に示す。熱安定な負荷電モノマーSVSで改質されたPTFE膜、および熱安定な正荷電モノマー(1-ビニルイミダゾール)で改質されたPTFEは、未改質膜と比べて、nBAから金属(ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、カドミウム、スズ、バリウムおよび/または鉛を含む)を除去する向上した能力を示す。
【0078】
実施例12
熱安定な負荷電モノマーSVSで改質されたPTFE膜、および熱安定な正荷電(1-ビニルイミダゾール)モノマーで改質されたPTFE表面を用いた、フィルターのG25ビーズ保持率
フィルターのG25ビーズ(0.025μmの緑色蛍光ポリマーミクロスフェア、Fluoro-Max)保持率を、熱安定な負荷電モノマーSVSで改質されたPTFE膜、および熱安定な正荷電(1-ビニルイミダゾール)モノマーで改質されたPTFE表面について決定し、未改質PTFE膜と比較した。8ppbのG25ビーズと0.1%のトリトンX(Sigma)の供給溶液を脱イオン水中で調製した。膜ロールから47mmのサイズの膜試験片を切断し、イソプロパノールで濡らし、膜をフィルターアセンブリに固定した。濡れた膜を含有する膜アセンブリを脱イオン水でフラッシュし、続いて脱イオン水中0.1%のトリトンXでフラッシュした。0.5、1、2、3および4%単層の計算されたビーズ添加量で、G25およびトリトンXを用いて調製した溶液を膜に通して濾過し、濾液を収集した。蛍光分光光度計を使用してG25ビーズの濃度を計算することにより、収集した濾液試料を8ppbのG25ビーズと0.1%トリトンXとの供給溶液と比較する。種々の単層での膜の除去パーセントを
図9にグラフ化した。熱安定な負荷電モノマーSVSで改質されたPTFE膜、および熱安定な正荷電モノマー、(1-ビニルイミダゾール)で改質されたPTFEは両方とも、未改質膜と比べて向上したG25ビーズ保持率を示す。