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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】CVDリアクタの構成要素の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240326BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240326BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/44 B
C23C16/455
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021530073
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2019082674
(87)【国際公開番号】W WO2020109357
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】102018130140.5
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】コールベルク、マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ルダ・イ・ヴィット、フランシスコ
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014104218(DE,A1)
【文献】特表2012-513669(JP,A)
【文献】独国実用新案第202017005165(DE,U1)
【文献】特表2011-508429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/44
C23C 16/455
H01L 21/205
B01J 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の円盤状のガス分配体(4.1、4.2、4.3、4.4、4.5)の作製を含む、CVDリアクタ(1)におけるガス分配用のガス分配装置の製造方法であって、
前記円盤状のガス分配体(4.1、4.2、4.3、4.4、4.5)の各々が、選択的レーザーエッチングにより材料的に一体的な態様で作製され
前記ガス分配体(4.1、4.2、4.3、4.4、4.5)は互いに上下に積み重ねられ、
前記円盤状のガス分配体(4.1、4.2、4.3、4.4、4.5)の各々は、
中央部(15)と、
キャビティにより形成されたガス分配室(8)と、
前記ガス分配室(8)の床を形成する分離床(11)と、
前記ガス分配室(8)から出ている複数のガス通路孔(13)を配置されたガス分配壁(6)と、を具備し、
前記ガス分配装置は、各々が前記ガス分配室(8)の1つに連通しかつ前記中央部(15)に位置する複数のガス供給ライン(9.1、9.2、9.3、9.4、9.5)を有し、
前記中央部(15)は前記ガス分配壁(6)と同じ軸方向高さを有し、かつ前記ガス分配壁(6)の上端が前記中央部(15)の主面(15’)も延在する同じ平面内にある、方法。
【請求項2】
前記ガス分配体(4.1、4.2、4.3、4.4、4.5)が、石英から作製されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
前記ガス分配壁(6)の2つの面の間に延在する前記複数のガス通路孔(13)は、ガス出口面上に均一に分布して配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のガス通路孔(13)は、3mmより小さい直径を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかの方法。
【請求項5】
前記ガス供給ライン(9.1、9.2、9.3、9.4、9.5)の出口(10)は、前記ガス通路孔(13)と整列していないことを特徴とする請求項1~4のいずれかの方法。
【請求項6】
前記ガス分配壁(6)と前記中央部(15) との間にフローバリア(12、12’)が配置され、前記フローバリア(12、12’)は、前記中央部(15)を取り囲みかつ複数のガス通路孔(14、14’)を有することを特徴とする請求項1~5のいずれかの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石英からなりかつ少なくとも1つのキャビティを有する、CVDリアクタの構成要素の製造方法に関する。
【0002】
本発明は、石英ブランクから製造された構成要素の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
石英製のガス入口ユニットは、特許文献1に記載されている。そこに記載されているガス入口ユニットは、ガス入口ユニットの幾何学的軸の周りに配置された中央本体を有する。ガス入口ユニットの中央領域には、互いに同心円状に配置された複数のガス入口ダクトが延びており、これらは、全周長に亘って延びる出口に開口している。ガス入口ダクトの出口は、中央部を環状に取り囲むガス分配室に隣接しており、それは、分離床によって、上下に配置された複数のガス分配レベルに分離されている。各ガス分配室の半径方向の外縁は、ガス出口開口に通じる多数のガス通路孔を有するガス分配壁によって囲まれ、それを通してプロセスガスをCVDリアクタのプロセスチャンバーに供給することができる。複数のガス分配室の各々に、プロセスガスの個々のガス混合物を供給することができるので、プロセスガスは、ガス入口ユニットに隣接するプロセスチャンバー内に互いに異なるレベルで流れることができる。プロセスチャンバーでは、基板は、下方から加熱されるサセプタ上に載置され、III-V層、IV層、又はII-VI層でコーティングできる。
【0004】
石英本体の構造化方法は、特許文献1~5から公知である。表面が研磨された石英ブランクは、最初にレーザービームで処理される。ここで、レーザービームは超短パルスを生成し、集束される。焦点は、石英ブランクの塊を通って、例えば一ライン毎に書き込み動作で移動する。レーザービームは、焦点において石英材料で材料変性が行われるしきい値強度を超える強度に到達する。次に、変性された材料は、流体エッチャント、例えば水酸化カリウム溶液で除去することができる。この方法を用いて、スプレーヘッド又はスプレー缶のノズル本体用の液体チャネルを作製することが、従来技術から知られている。投影照明システムの構成要素に、キャビティ構造を作製することも既知の技術である。SLE(選択的レーザー誘起エッチング)として知られるこの方法を使用して、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア、及びルビーで作製された透明な部品にマイクロチャネル、成形された孔、及び輪郭のある切欠きを生成することも既知の技術である。
【0005】
従来技術は、特許文献6~10及び非特許文献1、2も含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第10 2008 055 582 号明細書
【文献】独国特許第100 29110号明細書
【文献】欧州特許第3 036 061号明細書
【文献】独国実用新案登録出願公開第20 2017 002 851号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2018 202 687号明細書
【文献】独国特許出願公開第102 47 921号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2010 000 554号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2014104 218号明細書
【文献】独国実用新案登録出願公開第20 2017 005165号明細書
【文献】独国実用新案登録出願公開第20 2018 003 890号明細書
【非特許文献】
【0007】
【文献】"Selective, Laser-Induced Etching of Fused Silica at High Scan-Speeds Using KOH", JLMN Journal of Laser Micro/Nanoengineering, Vol. 9, No. 2, 2014, pp. 126-131
【文献】"Selective Laser-Induced Etching of 3D Precision Quartz Glass Components for Microfluidic Applications - Up-Scaling of Complexity and Speed", Micromachines, Vol. 8(4), 2017, No. 110, pp. 1-10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の根本的な目的は、特に、複雑な設計のCVDリアクタの構成要素を石英から製造することができる方法の仕様、及びそのような石英構成要素の仕様である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その目的は、請求項で特定される本発明により達成され、従属項は独立項に記載された主題の有利な発展を表すのみでなく、目的の独立した解決手段でもある。
【0010】
本発明によるCVDリアクタの石英構成要素は、選択的レーザー誘起エッチング(SLE)によって作製されるキャビティを有する。この方法では、当初の均質な石英本体の局所的な材料変性が、最初のプロセスステップで実行される。この目的のために、超短パルスレーザービームが、マイクロメートル範囲の焦点に集束され、その焦点は、石英ワークピースに対するレーザービームの三次元運動によって、石英本体の塊を通って動かされる。最初に、研磨された表面を有することができる固体石英本体が作製される。集束レーザービームは、表面から離れた塊領域を露光するために使用される。石英材料の材料変性は、マルチフォトンプロセスによってレーザービームの焦点で行われる。
このように変性された材料は、エッチング液を使用して第2のプロセスステップで除去することができる。エッチング流体は、好ましくは、液体、例えばKOHの形態をとる。CVDリアクタにおける本発明の構成要素は、それ自体は既知の技術であるこの方法を使用して製造されることとなる。例えば、ガス分配壁、そのガス通路孔、中央台座、そのガス供給ライン、及び、その通路孔を具備し中央部とガス分配壁との間に延びるフローバリアを、この方法により円盤状の石英ベース本体に作製することができる。このように材料的に一体的に作製された円盤状のガス分配体/セクションは、その後、1つずつ互いに積み重ねることができ、特に、材料結合によって互いに結合することができる。
本発明の特に好適な変形形態では、ガス分配体が、互いに材料的に一体的な態様で結合されている。上述したSLE法はまた、均一な石英ブランクから作製されるこのような一体的なガス入口ユニットの製造のために用いられる。本発明による方法は、例えば鋳造、ブロー成形、又は機械加工などの他の成形プロセスにより作製できない、特にCVDリアクタのそれらの構成要素を作製するために用いることができる。本発明に従って製造された構成要素は、複雑な空洞形状を有することができ、CVDリアクタで500℃以上の温度で使用することができる。その場合IV-、V-、VI-主族の水素化物と、又は、II-、III-、V-主族の元素の有機金属化合物若しくはハロゲンと接触することができる。
本発明の石英構成要素は、特に、基板キャリア、ガス出口ユニット、ガス入口ユニット、シールドプレート、サセプタ、光通路プレート、シース、又はカバープレートである。その場合、特に、これらの構成要素が、構成要素の2つの表面の間に延在しかつガス出口面上に基本的に均一な態様で配置されている多数のガス通路孔を有するキャビティ配置を備えていることが提供される。このような構成要素は、特にCVDリアクタのプロセスチャンバ内に均一なガスの流れを発生させることを目的としており、この目的のために、ガス出口面のガス出口開口、すなわちガス通路孔の自由端は、表面上に均一に分布されている。ガス通路孔は、0.1mmよりも小さい直径を有することができる。ただし、ガス通路孔の直径が3mm、2mm、1mm、0.5mm、又は0.2mmよりも小さいものも提供される。
さらに、好ましくは、構成要素が、ガス分配室を形成する少なくとも1つの大きなチャンバによって形成されるキャビティを有することが提供される。ガス分配室は、多数のガス通路孔に分岐し、それによってガス出口開口は、1つの共通のガス分配室、又は複数のガス分配室と連通することができる。少なくとも1つのガス供給ラインがガス分配室に開口している。特に、ガス分配室の内面は、材料的に一体的な態様で設計され、少なくとも1つのガス供給ラインの出口及びガス通路孔の開口によってのみ遮断されることが提供される。
したがって、小さい自由断面積をもつガス供給ラインが、自由断面積が流れの方向に対して直角に延在する大きい自由断面積をもつガス分配室に開口することが提供される。ガス分配室の自由断面積は、少なくとも1つのガス供給ラインの自由断面積、又は複数のガス供給ラインの自由断面積の合計よりも少なくとも10倍、好ましくは20倍大きくすることができる。さらに、構成要素を通る流れに対して横方向に延在するガス分配室の自由断面積が、ガス分配室から出ているガス通路孔の自由断面積の合計の少なくとも2倍、5倍、10倍、好ましくは少なくとも20倍、少なくとも50倍、又は少なくとも100倍であることが提供される。
さらに、特に、ガス出口開口に開口するガス通路孔が互いに実質的に平行に延在するように設けることができる。ガス出口開口が平面内にある場合、ガス通路孔は、数学的に平行に延びることが好ましい。ガス出口開口が円筒形の外周面上にある場合、ガス通路孔は、半径方向に延びることが好ましい。さらに、ガス出口孔が、1又は複数のガス供給ラインと整列しないように設けることができる。
さらに、石英構成要素のキャビティは、特にガス供給ラインが直線状に延在しないように、しかしながら複数の方向転換点を有するように設けることができる。ガス供給ラインは、キンク点の形態で互いに移行する複数の直線状に延びる部分を有することができる。しかしながら、ガス供給ラインはまた、石英構成要素を通って曲線状に延びることができ、特に、三次元的に曲がりくねった経路上に延びることができる。
特に、プロセスは、プロセス温度が600、800、1000、又は1200°Cを超えるCVDリアクタで実行されるため、構成要素はこれらの温度まで加熱することができる。特に、石英構成要素は、石英構成要素の使用に許容される任意の温度に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、本発明の実施形態の例を、添付の図面を参照しながら説明する。
図1図1は、本発明によるガス導入ユニット2を備えたCVDリアクタの構造を、縦断面で本質的に概略的に示したものである。
図2図2は、ガス入口ユニット2を形成するために上下に配置された5つのガス分配体4.1、4.2、4.3、4.4及び4.5を示している。
図3図3は、ガス入口ユニットを示している。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った断面で、図3に示されているガス入口ユニットを示している。
図5図5は、図4のVの詳細を拡大して示している。
図6図6は、図4のラインVI-VIに沿った断面を示している。
図7図7は、ガス入口ユニットの第2の例示的実施形態を示している。
図8図8は、本発明に従って構成されたガス入口ユニット2、本発明に従って構成されたサセプタ19、本発明に従って構成された基板キャリア33、本発明に従って構成されたガス出口22、及び本発明に従って構成された光通路プレート34を備えた、図1と同様の図における第3の例示的実施形態を示している。
図9図9は、図8のIXの詳細を拡大して示している。
図10図10は、図8のXの詳細を拡大して示している。
図11図11は、図10のラインXI-XIに沿った断面を示している。
図12図12は、発明に従って構成されたガス入口ユニット2、本発明に従って構成されたシールドプレート42、及び本発明に従って構成されたサセプタ19を備えた、 図1と同様に示した本発明の第4の例示的実施形態を示している。
図13図13は、図12のラインXIII-XIIIに沿った断面を示している。
図14図14は、図12のラインXIV-XIVに沿った断面を示している。
図15図15は、光導波路用のシースの形態のさらなる例示的実施形態を示している。
図16図16は、図15のラインXVI-XVIに沿った断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、CVDリアクタの構造を実質的に概略的に示しており、そのプロセスチャンバ20内でCVD堆積プロセスを実行することができ、その中では層、特に半導体層を複数の基板21上に堆積することができる。基板21は、III-V化合物、シリコン、サファイア、又は別の適切な材料からなることができる。基板上に1又は複数の層が堆積され、それらはIV-主族、III-V主族、又はII-VI主族の元素からなることができる。様々なプロセスガスが、例えばH又は希ガスである搬送ガスにより、ガス入口ユニット2を通してプロセスチャンバ20内に導入される。その場合、プロセスガスは、IV-主族若しくはV-主族の水素化物、又は、IV-主族若しくはIII主族の有機金属化合物を含むことができる。基板21を搭載する、コーティングされたグラファイト又は類似のものであるサセプタ19が、加熱装置24により下方からプロセス温度とされることによって、ガス入口ユニットによりプロセスチャンバ20の中心に供給されたプロセスガスが、中心の周りに円形に配置された基板の表面で熱分解することで層を、特に単結晶層を形成する。プロセスチャンバ20を通って半径方向に流れるプロセスガスは、サセプタ19を取り囲むガス出口22を通ってプロセスチャンバ20から出る。そのガス出口22は吸引ポンプ(図示せず)に接続されている。
【0013】
サセプタ19は、石英からなる支持プレート44上で支持されている。支持プレート44は、やはり石英からなる支持管45上で支持されている。石英製の拡散バリア46は、加熱装置24とサセプタ19との間に延在している。
【0014】
リアクタハウジング1の内部には、プロセスチャンバ天井23が配置され、それを通ってアタッチメント部3がプロセスチャンバ20内に突出している。ガス入口ユニット2は、金属製、特にステンレス鋼製とすることができるアタッチメント部3に固定されている。
【0015】
図2に示されるガス分配体/セクション4.1、4.2、4.3、4.4及び4.5は、各々円盤形状のベースプレートを有しており、その上に分離床11が設けられ、それによって、互いに上下に配置されたガス分配体4.1、4.2、4.3、4.4及び4.5が互いに分離されている。
【0016】
円形のガス分配壁6が、分離床11の円形縁から延在しており、その壁6は多数の均一に配置されたガス通路孔13を有する。ガス通路孔13は、3mmより小さい、特に1mmより小さい直径を有する。半径方向に延在するガス通路孔13はそれぞれ、ガス出口開口7に開口している。ガス入口ユニット2の(幾何学的軸に関する)軸方向に測ったガス分配体4.1、4.2、4.3、4.4、4.5の高さは、5mm~2cmとすることができる。ガス分配壁6の(幾何学的軸に関する)半径方向に延びる幅は、同様に0.5cm~2cmとすることができる。
【0017】
ガス分配壁6は、中央部15の周りに延在するガス分配室8を取り囲んでいる。例示的実施形態では、ガス分配室8が3つの環状セクション8’、8”及び8”’に分割されている。ガス分配室8の第1のセクション8’は、ガス分配壁6から、ガス分配壁6と同心円状に配置されたフローバリア12まで延在している。フローバリア12により取り囲まれたガス分配室8のセクション8”の半径方向内側には、ガス分配壁6に対して同心円状に走る第2のフローバリア12’が延在し、フローバリア12’は、ガス分配室8のセクション8”’を取り囲む。セクション8”’は、中央部15に隣接している。フローバリア12、12’は、ガス分配壁6と同じ高さを有し、かつ例示的実施形態では、同じ半径方向の幅も有する。2つの隣り合うフローバリア12、12’の間、又は、中央部15とフローバリア12’との間、又は、フローバリア12とガス分配壁6との間の距離は、フローバリア12、12’の壁厚、又は、ガス分配壁6の壁厚よりも大きい。特に、ガス分配室8のセクション8’、8”、8”’の半径方向の幅は、1cmよりも大きい。
【0018】
環状のフローバリア12、12 'は、均一な周囲分布で配置されたガス通路孔14、14'を有する。ガス通路孔14、14 'の直径は、ガス通路孔13と同じ直径を有することができる。しかしながら、内側フローバリア12 'のガス通路孔14'は、外側フローバリア12のガス通路孔14よりも小さい直径を有するように、また、ガス分配壁6のガス通路孔13は、フローバリア12のガス通路孔14よりも大きな直径を有するようにも設けられる。
【0019】
中央部15は、台座として設計されており、フローバリア12、12'、又はガス分配壁6と同じ軸方向高さを有し、その結果、フローバリア12、12'及びガス分配壁の上端が、台座15の広い面である主面15 'も延在する同じ平面内にある。
【0020】
各台座は出口10を有しており、そこから、個々のガス分配体4.1、4.2、4.3、4.4、4.5に関係するガス入口ダクト9.1、9.2、9.3、9.4及び9.5が、ガス分配室8の半径方向内側のセクション8”内に開口する。出口10は、分離床11の上面から上側のガス分配体の分離床11の下面まで延在している。
【0021】
個々のガス分配体4.1、4.2、4.3、4.4、及び4.5が、それぞれ石英ブランクから得た「固体から」機械加工できる場合にも有利であると考えられる。ガス分配体4.1、4.2、4.3、4.4及び4.5を備えたガス入口ユニット2全体が、その後に材料的に一体的な態様で互いに結合されて、単一ブランクから機械加工できる場合にも有利であると考えられる。
【0022】
上記のSLE法は、ガス入口ユニット2の製造に好ましく使用され、高集束超短パルスレーザービームが、書き込みの形態によって石英ブランクの塊領域の材料を変性するために用いられる。これらの塊領域は、ガス通路孔13、ガス通路孔14、ガス分配室8のセクション8 '、8”、8”'、ガス入口ダクト9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、それらの出口10、及びアタッチメント孔17である。材料変性が起こった後、変性された材料は、エッチング液によって石英本体から溶解される。
【0023】
この製造方法により、組み立てられる部品を最小限に抑えることができれば特に有利であると考えられる。
【0024】
図7に示される第2の例示的実施形態は、2つのガス分配室8が互いに上下に配置されたガス入口ユニット2である。その場合、ガス分配室は、フローバリア12によって2つのセクション、すなわち上流セクション8”と下流セクション8’に分割されている。ガスダクト9.1、9.2は、各ガス分配室8に開口している。ガス入口ユニット2の本質的に円筒形の本体は、その円筒形の外周面にガス通路孔13、14、14 'を有し、それによりガス分配壁6を形成している。2つのガス分配室8は、分離床11によって互いに分離されている。ベースプレート31は、下側のガス分配室8の床を形成している。
【0025】
ガス入口ユニット2は、一体型の一塊の石英部品からなる。キャビティは、SLEプロセスを使用して作製される。
【0026】
図8図11に示される第2の例示的実施形態では、サセプタ19、ガス出口22、基板キャリア33、ガス入口ユニット2、及び光通路プレート34は、石英製である。これらの構成要素もSLEプロセスを使用して製造される。
【0027】
サセプタ19は、ガス供給ライン39を有し、これを用いて、パージガスをポケット40に供給することができる。ガスクッション上に浮かぶ基板キャリア33は、ポケット40内で支持されている。ガスクッションを生成するガスは、供給ライン39を介して供給される。
【0028】
基板キャリア33は、その下面に供給ライン39を有し、これは、ガス分配室38に開口し、そしてガス分配室38は、基板キャリア33のポケット40に開口する開口を有する。基板21は、基板キャリア33のポケット40 '内で支持されている。
【0029】
サセプタ19及び基板キャリア33の場合、分配室38及び供給ライン39は、SLEプロセスで製造される。
【0030】
ガス出口22にもキャビティがある。それは、サセプタ19を取り囲み、複数の上向きの開口を有する環状体の形態をとり、それを通って、CVDリアクタのプロセスチャンバに供給されたプロセスガスがガス収集チャンバに流れ込み、そこからガス出口孔を通ってプロセスガスが出ることができる。
【0031】
円弧線上に配置された複数のガス入口開口が設けられており、そこを通ってプロセスガスが環状のガス収集チャンバに流入する。ガス入口開口は、ガス収集チャンバよりも小さい自由断面積を有する。1又は複数のガス出口孔もまた、全体で、ガス収集チャンバの自由断面積よりも小さい自由断面積を有する。
【0032】
ガス入口ユニット2は、図1~6に示され、又は図7に示されるように構成することができる。
【0033】
参照符号32は、サセプタ表面又は基板21の表面の温度を計測できるパイロメーターを示している。プロセスチャンバ天井23には、石英製の光通路プレート34があり、これは、少なくとも1つの光通路孔36を有する。例示的実施形態では、3つの光通路孔36が設けられ、それぞれを光路が通っている。
【0034】
図10及び図11は、光通路孔36を拡大して示している。光通路孔36は、ガス分配室38により囲まれており、そこからパージチャネル37が光通路孔36まで延在し、光通路孔36をパージガスでパージする。分配室38は、円形環で光通路孔36を取り囲んでいる。半径方向内側に向けられたパージチャネル37は、分配室38から延在し、パージチャネル37は、光通路孔36の方向に対して斜めに延びている。
【0035】
供給ライン39が設けられ、それを通してパージガスを分配室38に供給することができる。
【0036】
図12図14に示される例示的実施形態は、シャワーヘッドのガス入口ユニット2を備えたCVDリアクタ1を示しており、ここでは、2つの異なるプロセスガスを、それぞれ2つのガス入口ダクト9.1、9.2を通ってそれぞれのガス分配室8に供給することができる。2つのガス分配室8は、上下に鉛直方向に配置され、それぞれにおいて、ガス入口ユニット2のガス出口面で終端するガス通路孔13、13 'を有する。各ガス分配室8内には、ガス通路孔14を具備するフローバリア12、12 'が配置されており、フローバリア12、12'は圧力バリアとして機能する。
【0037】
ガス出口面43に隣接するのは、ガス入口ユニット2を冷却するために冷却剤が流れることができる冷却剤空間41である。ガス通路孔13、13 'は、冷却剤空間41を通過する。
【0038】
ガス出口面43の下には、シールドプレート42が配置されており、これもガス通路孔13を具備する。
【0039】
シールドプレート42の下には、ポケットを具備する石英製のサセプタ19が延在し、ポケットの各々に、ガスクッション上に置かれる基板キャリア33が挿入されている。
【0040】
上述した例示的実施形態のように、加熱装置24は、サセプタ19をプロセス温度まで上げるために設けられている。
【0041】
図15及び図16は、光導波路49のシース48を示している。光導波路49は、中心キャビティ36に挿入される。ガス通路孔37は、キャビティ36に開口し、これらの孔は、鋭角を形成してガス供給ライン39に接続し、これらのラインは、キャビティ36の軸方向にキャビティ36の内壁に平行に延びている。キャビティ36にパージガスを供給する目的でパージラインを形成する複数のキャビティ37、39が、周囲に均等に分布して配置され、設けられている。
【0042】
上記の石英構成要素(ガス通路プレート34、基板キャリア33、サセプタ19、ガス出口22、ガス入口ユニット2、支持プレート44、支持管45、拡散バリア46、シース48、及びシールドプレート42)は、それぞれSLEプロセスを用いて石英ブランクから製造することができる。その場合、例えばガス入口ユニット2又はサセプタ19である、個々の構成要素のみをSLEプロセスを用いて製造し、そして、それらの構成要素を、例えばホウケイ酸塩セメントである適切な材料結合剤により互いに結合することも想定される。
【0043】
上述した内容は、出願全体が包含する発明を説明するためのものであり、これらの発明は、それぞれの場合において、少なくとも以下の特徴の組み合わせによって、先行技術を独立してさらに進展させる。ここで、2つ、複数、又はすべてのこれらの特徴の組み合わせも可能である。
【0044】
キャビティ8’、8”、8”’;13、14、14’;9.1、9.2、9.3、9.4、9.5;35、36、37、38、39、40、41は、選択的レーザーエッチングによって作製されることを特徴とする方法。
【0045】
石英ブランクから製造される部品の使用であって、少なくとも1つのキャビティ8’、8”、8”’;13、14、14’;9.1、9.2、9.3、9.4、9.5;35、36、37、38、39、40、41が、CVDリアクタ1の構成要素として、選択的レーザーエッチングによって作製され、その場合、流体が、少なくとも1つのキャビティ8’、8”、8”’;13、14、14’;9.1、9.2、9.3、9.4、9.5;35、36、37、38、39、40、41を通って流れ、その場合、構成要素が、使用中に500°Cを超える温度に加熱され、IV-、V-、又はVI-主族の水素化物、及び/又はII-、III-、又はV-主族の元素の有機金属化合物又はハロゲン化合物と接触させられる。
【0046】
構成要素が、ガス入口ユニット2、基板キャリア33、ガス出口ユニット22、シールドプレート42、サセプタ19、光通路プレート34、支持管45、拡散バリア46、支持プレート44、シース48、又はカバープレートであることを特徴とする方法又は使用。
【0047】
少なくとも1つのキャビティ8’、8”、8”’;13、14、14’;9.1、9.2、9.3、9.4、9.5;35、36、37、38、39、40、41が、構成要素の2つの表面の間に延在し、ガス出口面上に本質的に均一な態様で配置される複数のガス通路孔13、14、14 'を有することを特徴とする方法又は使用。
【0048】
ガス通路孔13、14、14 ’、37の直径が、3mm、2mm、1mm、0.5mm、0.2mm、又は0.1mm未満であることを特徴とする方法又は使用。
【0049】
少なくとも1つのキャビティが、ガス分配室8、8 '、8”、38を有し、それが、複数のガス通路孔13、14、14'、37と連通していることを特徴とする方法又は使用。
【0050】
ガス分配室8、8 '、8”、38の内面が、それに通じるガス供給ライン9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、39及びそれから出ているガス通路孔13、14、14’、37を除いて、材料的に一体的な態様で閉じられていることを特徴とする方法又は使用。
【0051】
構成要素を通る流れに対して横方向に延在するガス分配室8、8’、8”、38の自由断面積が、ガス分配室に通じるガス供給ライン9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、39又はガス分配室から出ているガス通路孔13、14、14’の自由断面積の合計の少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、又は少なくともの100倍であることを特徴とする方法又は使用。
【0052】
ガス供給ライン9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、39は、ガス通路孔13、14、14'、37と整列していないことを特徴とする方法又は使用。
【0053】
少なくとも1つのキャビティが、基板21、又は基板ホルダー33を収容するための凹部40、40'であることを特徴とする方法又は使用。
【0054】
少なくとも1つのキャビティ、直線状に延在しない、又は、1又は複数の方向転換点を有するガスライン38、39であることを特徴とする方法又は使用。
【0055】
使用中に構成要素が、600℃、800℃、1000℃、又は1200℃を超える温度に曝されることを特徴とする方法又は使用。
【0056】
開示された全ての特徴は、(それ自体のために、また互いに組み合わされて)本発明に不可欠である。ここでの出願の開示は、関連する/追加された優先権書類(先の出願の写し)の開示内容をその内容全体に含み、それはこれらの書類の特徴を本願の請求項に組み込む目的でもある。従属請求項は、特にこれらの請求項に基づいて分割出願を行うために、引用される請求項の特徴がなくても、先行技術の独立した発明性のあるさらなる発展を特徴とする。各請求項で特定された発明は、前述の説明で特定された、特に参照符号が付与された、及び/又は符号の説明で特定された、1つ以上の機能を追加で有することができる。本発明はまた、特に、それらがそれぞれの使用目的に明らかに不要であるか、または技術的に同じ効果を有する他の手段で置き換えることができる限り、前述の説明で述べた特徴の個々のものが実装されない実施形態に関する。
【符号の説明】
【0057】
1 CVDリアクタ
2 ガス入口ユニット
3 アタッチメント部
3’ アタッチメント面
4.1 ガス分配体/セクション
4.2 ガス分配体/セクション
4.3 ガス分配体/セクション
4.4 ガス分配体/セクション
4.5 ガス分配体/セクション
5 ガス供給ライン
6 ガス分配壁
7 ガス出口開口
7’ ガス出口開口
8 ガス分配室
8’ 下流セクション
8” 下流セクション
8”’ 上流セクション
9.1 ガス入口ダクト
9.2 ガス入口ダクト
9.3 ガス入口ダクト
9.4 ガス入口ダクト
9.5 ガス入口ダクト
10 出口
11 分離床
12 フローバリア
12’ フローバリア
13 ガス通路孔
13’ ガス通路孔
14 ガス通路孔
14’ ガス通路孔
15 中央部台座
15’ 主面
16 出口開口
17 アタッチメント孔
18 バッフル
19 サセプタ
20 プロセスチャンバ
21 基板
22 ガス出口、-ユニット
23 プロセスチャンバ天井
24 加熱装置
25 凹部
26 ガス出口孔
27 アタッチメント孔
28 ナット
29 ばね
30 固定ねじ
31 ベースプレート
32 パイロメーター
33 基板キャリア、-ホルダー
34 光通路プレート
35 キャビティ、光路
36 キャビティ、光通路孔
37 キャビティ、ガス通路孔、パージチャネル
38 キャビティ、ガス分配室
39 キャビティ、ガス供給ライン
40 キャビティ、凹部、ポケット
40’ 凹部、ポケット
41 キャビティ、冷却剤空間
42 ガス出口面
43 支持プレート
44 支持管
45 拡散バリア
46 フランジ部
47 シース
49 光導波路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16