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特許7461120回折光学系のための格子構造及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】回折光学系のための格子構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20240327BHJP
   G03F 1/20 20120101ALN20240327BHJP
   H01L 21/027 20060101ALN20240327BHJP
【FI】
G02B5/18
G03F1/20
H01L21/30 541Z
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019155200
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2020060761
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】10 2018 217 199.8
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ・ヴァイトマン
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・シュペックバッハー
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-525115(JP,A)
【文献】特表2015-515148(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104777540(CN,A)
【文献】特開平08-297747(JP,A)
【文献】特開2006-072024(JP,A)
【文献】特開平11-340128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G03F 1/20
H01L 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の格子ライン(30)を有し、各格子ライン(30a~30n)が、複数の連続する長方形又は平行四辺形に形成されたセグメント(24,26;36)によって近似され、これらのセグメント(24,26;36)の長手軸が、それぞれ基準座標系(11)の第一の座標軸(O1)に対して相対的な角度を成し、
格子ライン(30a)の第一の部分(A)が第一のグループのセグメント(24)によって近似され、格子ライン(30a)の第一の部分(A)に接する第二の部分(B)が第二のグループのセグメント(26)によって近似される、
回折光学系用の格子構造(28)において、
第一のグループのセグメント(24)の大部分の長手軸が、基準座標系(11)の第一の座標軸(O1)に対して第一の所定の角度(φ1)を成すとともに、第二のグループのセグメント(26)の大部分の長手軸が、基準座標系(11)の第一の座標軸(O1)に対して、第一の所定の角度(φ1)と異なる第二の所定の角度(φ2)を成し、
前記の第一のグループのセグメント(24)の長手軸の角度の中の一つ又は複数及び/又は前記の第二のグループのセグメント(26)の長手軸の角度の中の一つ又は複数が、少なくとも第一の所定の角度(φ1)と第二の所定の角度(φ2)から成る全体の中からランダムに選定されることを特徴とする格子構造。
【請求項2】
請求項1に記載の格子構造(28)において、
前記の第一及び/又は第二のグループのセグメント(24,26)の長手軸のランダムに選定される角度が、それぞれ第一の確率(pφ)で第一の所定の角度(φ1)に一致するとともに、第二の確率(pφ)で第二の所定の角度(φ2)に一致することを特徴とする格子構造。
【請求項3】
請求項2に記載の格子構造(28)において、
前記の第一の確率(pφ)と第二の確率(pφ)が、第一及び/又は第二のグループの個々のセグメント(24,26)から格子ライン(30a)の二つの部分(A,B)が互いに接する、角度又は方向の急激な変化を引き起こす境界点(G1)までの間隔に依存することを特徴とする格子構造。
【請求項4】
請求項3に記載の格子構造(28)において、
第一のグループの個々のセグメント(24)の少なくとも一部のセグメントから前記の境界点(G1)までの間隔短くなる程、前記の第一の確率(pφ)が低下することを特徴とする格子構造。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の格子構造(28)において、
第二のグループの個々のセグメント(26)の少なくとも一部のセグメントから前記の境界点(G1)までの間隔短くなる程、前記の第二の確率(pφ)が低下することを特徴とする格子構造。
【請求項6】
請求項3から5までのいずれか一つに記載の格子構造(28)において、
第一のグループの個々のセグメントから境界点(G1)までの最小間隔における前記の第一の確率(pφ及び/又は第二のグループの個々のセグメントから境界点(G1)までの最小間隔における第二の確率(pφそれぞれ0.5であることを特徴とする格子構造。
【請求項7】
請求項2から6までのいずれか一つに記載の格子構造(28)において、
前記の第一の確率(pφ)及び/又は第二の確率(pφ)は、それぞれ第一のグループのセグメント(24)及び第二のグループのセグメント(26)の少なくとも一部に渡って推移していることを特徴とする格子構造。
【請求項8】
請求項7に記載の格子構造(28)において、
前記の第一の確率(pφ)の推移及び/又は第二の確率(pφ)の推移の最大が、それぞれ前記の格子ライン(30a)の第一又は第二の部分(A,B)の中心点(M1,M2)に位置する第一又は第二のグループのセグメントの所に有ることを特徴とする格子構造。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の格子構造(28)において、
前記の第一の確率(pφ)の推移及び/又は第二の確率(pφ)の推移の最小が、それぞれ前記の格子ライン(30a)の第二又は第一の部分(B,A)の中心点(M2,M1)に位置する第二又は第一のグループのセグメントの所に有ることを特徴とする格子構造。
【請求項10】
請求項9に記載の格子構造(28)において、
前記の第一の確率(pφ)の推移の最小及び/又は第二の確率(pφ)の推移の最小が、前記の格子ライン(30a)の第二又は第一の部分(B,A)の中心点(M2,M1)に対して、それぞれ格子ライン(30a)の他方の部分(A,B)に近付くか、或いはその他方の部分から離れるようにシフトされていることを特徴とする格子構造。
【請求項11】
請求項7から10までのいずれか一つに記載の格子構造(28)において、
前記の第一の確率(pφ)の推移及び/又は第二の確率(pφ)の推移が、それぞれ直線的、正弦波状又は指数関数的に低下するエッジ(34a)を有することを特徴とする格子構造。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一つに記載の格子構造(28)において、
少なくとも二つの隣り合う格子ライン(30a,30b)のセグメント(24,26)の位置(40,42)が、それらの格子ライン(30a,30b)の長手方向の延びに沿って互いに相対的にずれていることと、
この格子ライン(30a,30b)の長手方向の延びに沿った位置(40,42)のずれが、ランダムに選定されることと、
を特徴とする格子構造。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一つに記載の格子構造(28)において、
第一及び第二のグループのグループのセグメント(24,26)が、それぞれ平行四辺形の形状に形成されて、その平行四辺形の形状に形成されたセグメント(24,26)の短辺(44a~44f)が、それぞれ基準座標系(11)の第一の座標軸(O1)に対して平行であることと、
これらの第一及び第二のグループのグループのセグメント(24,26)が、それぞれ基準座標系(11)の第一の座標軸(O1)に対して直交して延びる第二の座標軸(O2)に沿って同じ延び(Δy)を有することと、
を特徴とする格子構造。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一つに記載の格子構造(28)の製造方法において、 前記の格子ライン(30)を近似するセグメント(24,26;36)が、それぞれセル投影により個別に選定可能な異なるレチクル(22)を用いて基板表面(25)上に作成された露光領域であることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回折光学系のための格子構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、格子ラインが周期的に配置された格子構造が周知である。特に、そのような格子構造は、位相シフト作用が異なる、光を透過又は反射する回折格子を形成する。
【0003】
例えば、回折光学素子、回折格子又は導波路用光学素子などの細かい平坦な格子構造は、通常リソグラフィ直接描画方法により作成される。そのために、相応の格子構造の僅か数百nmの構造幅、即ち、線条片形状の格子ラインの幅に対して、通常電子線機器を使用している。そのような電子線機器を用いて生成された電子線は、直径がナノメートル以内の点に集束させることができる。
【0004】
しかし、スポットライト機器(所謂ガウシアンビーム描画装置)は、そのような小さいビーム面では、構造の大きな面に対して露光時間が非常に長くなるので、比較的小さい構造面の作成だけに適している。より大きな構造面が必要な場合、明らかに負担が大きくなる整形ビーム技術(variable shaped beam:VSB)に移行しなければならない。VSB技術では、平面的な電子線が使用される。その電子線は、電子源で生成されて、ビームシェードにより、通常は、丸いビーム横断面に整形される。使用可能な最大面は、電流密度の半径方向の等質性により制限される。典型的には、数パーセントの等質性が追求されて、それにより、最大直径Dmaxが得られる。Dmaxに関する値は、典型的には、1~20μmの範囲内に有る。VSB技術では、電気式及び/又は磁気式偏向形態を用いた二つの正方形のシェードを重畳させることによって、相応の円形面から、最大の正方形の大きさまでの任意の四角形(所謂可変マンハッタン四角形)が切り出される。それらの可変マンハッタン四角形は、スタンプ又は「型(Shape)」とも呼ばれる。それらのスタンプ又は型は、パルス形態(典型的には、数μ秒の範囲内のパルス時間)で生成されて、別の電気式及び/又は磁気式偏向システムを用いて、露光すべき基板表面に印加される。更に、基板表面は、XY移動テーブルを用いて動かされる。
【0005】
VSB技術は、特に、直角の構造、即ち、辺が基準座標系又はXY移動テーブルのx軸及びy軸に対して平行な構造(所謂マンハッタン構造)を露光するのに適している。その場合、スポットライト機器と異なり、明らかに露光時間に関する速度の利点が達成可能である。しかし、直角でない、即ち、直交しない構造では、非常に細かいステップ近似により斜めのラインを作成しなければならず、そのことは、多数の小さい直角のスタンプ又は型を使用することを意味するので、速度の利点が再び低下する。
【0006】
その構造が、最終的に狭い、直交しない構造だけから構成される、即ち、より大きな個別面が存在しない場合(これは、細かい平坦な格子構造である場合である)、VSB技術の前記の利点がほぼ完全に失われる。その場合、スタンプの数が、そのため、露光時間が著しく上昇する。他方、スタンプの数を低減するために近似限界を上げることは、それに応じて縁の粗さ(line edge roughness:LER)を増大させることになる。更に、VSB技術は、ラインが大きく傾いている場合、即ち、角度が基準座標系で定義される0°又は90°の角度から大きく外れている場合、隣り合う構造の融合により近似が速く制限されてしまうとの欠点を有する。全体として、VSB技術では、特に、構造の傾いたライン又は曲がったラインを近似する場合、より大きな面を露光する際に、スタンプの数が、そのため、露光時間が、技術的な観点及び経済的な観点から大きくなり過ぎる。
【0007】
特許文献1は、VSB技術を用いた対角線方向のパターンを作成する方法及びシステムを開示している。図9Bと関連して図示された対角線方向のパターンは、シリコンウェーハの一つの領域を近似するために複数の連続したセグメント部分から成り、それぞれ隣り合うセグメント部分の長手軸は、基準座標系の第一の座標軸に対して異なる角度を成す。
【0008】
その従来技術で周知の格子構造の格子ラインを近似する方法は、特に、格子構造の格子ラインの各位置におけるセグメントの長手軸の角度の設定が、達成すべき最小の縁の粗さに応じて行なわれる場合に、長手軸が異なる角度を成す、二つの隣り合うセグメントの間の境界点で、角度又は方向の急激な変化を引き起こし、その変化が、格子構造の全ての格子ラインに対して、ほぼ同じ位置(又は接線角、その時々の格子ラインの接線の角度が同じ所)で起こってしまうとの意味において不利である。それによって、巨視的に見て、又もや、それぞれ二つの隣り合うセグメントの中の一方を含む異なる部分又はゾーンを生じさせてしまう。そして、個々の境界点での光の回折の微視的な効果が、全ての格子ラインの多数のセグメントに渡って集計されることにより増幅されるので、それらの部分又はゾーンの境界において、光の回折の飛躍的な変化が起こってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第8,865,377号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、品質が高く、格子ラインがセグメントによりほぼ最適に近似される、回折光学系用の格子構造を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、本発明による請求項1の特徴を有する回折光学系用の格子構造によって解決される。
【0012】
本発明による回折光学系用の格子構造は、複数の格子ラインを有し、各格子ラインが、複数の連続するセグメントにより近似される。これらのセグメントの長手軸は、それぞれ基準座標系の第一の座標軸に対して相対的な角度を成す。格子ラインの第一の部分は、第一のグループのセグメントにより近似されて、この第一の部分に接する、格子ラインの第二の部分は、第二のグループのセグメントにより近似される。第一のグループのセグメントの大部分の長手軸は、基準座標系の第一の座標軸に対して第一の所定の角度を成し、第二のグループのセグメントの大部分の長手軸は、基準座標系の第一の座標軸に対して、第一の所定の角度と異なる第二の所定の角度を成す。第一と第二のグループのセグメントの大部分のそれぞれ異なる所定の向きによって、格子構造の格子ライン、特に、斜めの(真っ直ぐな)ライン又は部分的に曲がったラインのほぼ最適な近似を実現又は取得することができる。
【0013】
上記の「大部分」とは、特に、第一又は第二のグループの大抵又は全てのセグメントの長手軸がその時々の所定の角度を成すことであると理解する。
【0014】
有利には、第一のグループのセグメントの長手軸の角度の中の一つ又は複数及び/又は第二のグループのセグメントの長手軸の角度の中の一つ又は複数は、それぞれ少なくとも第一の所定の角度と第二の所定の角度から成る全体の中からランダムに選定される。第一及び第二のグループのセグメントの向きの前記の確率論的な分散によって、それぞれ二つの隣り合うセグメントの間の境界点における角度又は方向の急激な変化により起こる巨視的な効果としての光の回折の飛躍的な変化を防止することができる。
【0015】
有利には、第一のグループ及び/又は第二のグループのセグメントの長手軸のランダムに選定される角度は、それぞれ第一の確率で第一の所定の角度に一致し、第二の確率で第二の所定の角度と一致する。
【0016】
有利には、これらの第一の確率と第二の確率は、第一のグループ及び/又は第二のグループの個々のセグメントから格子ラインの二つの部分が互いに接する境界点までの間隔に依存する。更に、これらの第一の確率と第二の確率は、相違角度、即ち、格子ラインの二つの部分内における(局所的な)接線角からの第一又は第二の所定の角度のずれにも依存する。例えば、後者の場合には、これらの第一の確率と第二の確率は、それぞれ相違角度0°(即ち、第一又は第二の所定の角度が局所的な接線角と一致する場合)に対する最大値(例えば、100%)を出発点として、(第一及び第二の所定の角度を平均した角度に相当する)相違角度に対する、この最大値と比べて小さい値(例えば、50%)を経て、それぞれ他方の所定の角度に相当する)別の相違角度に対する最小値(例えば、0%)にまで低下する。
【0017】
これらの第一の確率及び/又は第二の確率が、それぞれ第一のグループのセグメント及び第二のグループのセグメントの少なくとも一部に渡って推移するのが有利である。それにより、特に、境界点により定義される境界ラインに跨がる、確率論的な分散の度合いを相応に設定することができる。
【0018】
有利には、これらの第一の確率の推移及び/又は第二の確率の推移は、それぞれ直線的に、正弦波形状に、或いは指数関数的に低下するエッジを有する。この第一又は第二の確率の推移は、それ以外の数学関数によって与えることもでき、特に、境界点に対して点対称な関数により特徴付けられるエッジを有することができる。
【0019】
少なくとも二つの隣り合う格子ラインのセグメントの位置が、それらの格子ラインの長手方向の延びに沿って互いに相対的にずれており、その格子ラインの長手方向の延びに沿った位置のずれがランダムに選定されるのが有利である。このセグメントの位置の確率論的な変化によって、多数の格子ラインの互いに接するセグメントの縁が規則的に配置されるために生じる二次元の超格子を防止することができる。その結果、そのような超格子により引き起こされる望ましくない回折効果も防止するか、或いは少なくとも抑制することができる。
【0020】
更に、格子ラインを近似するセグメントが、それぞれセル投影により個々に選定可能な異なるレチクルを用いて基板表面上に生成される露光領域であるのが有利である。それぞれ異なる向きのセグメントを作成するためにレチクルを使用することによって、一方において、高い近似精度を実現できるとともに、他方において、近似に必要なセグメントの数を大幅に削減できる。
【0021】
有利には、前記の第一のグループのセグメントの長手軸の角度の中の一つ又は複数及び/又は前記の第二のグループのセグメントの長手軸の角度の中の一つ又は複数が、それぞれ第一の所定の角度と第二の所定の角度から成る全体の中からランダムに選定される(所謂二角度混合)。更に、前記の角度は、それぞれ第一の所定の角度、第二の所定の角度、並びに第一の所定の角度及び第二の所定の角度と異なる第三の所定の角度から成る全体の中からランダムに選定することもできる(所謂三角度混合)。四つ以上の角度の混合、即ち、四角度以上の混合も可能である。
【0022】
上記の複数角度混合、即ち、少なくとも二角度混合によって、確率論的な分散の効果が得られる。
【0023】
本発明による格子構造は、特に、複写方法による相応の格子構造の大量生産を実施するために用いられる、リソグラフィ方法用のマスク(即ち、フォトマスク)としての役割を果たす。
【0024】
以下における図面と関連する実施例の記述に基づき、本発明の更なる詳細及び利点を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による格子構造の格子ラインを近似するセグメントを作成するためにレチクルを用いたセル投影を実行する配置構成の模式図
図2】個々に選定可能な異なるレチクルから成る、図1に図示された配置構成の板形状のシェード構造の平面図
図3】本発明による格子構造の格子ラインの平面図
図4】格子ラインが第一及び第二のグループの複数の連続するセグメントにより近似された、本発明による格子構造の格子ラインの平面図
図5】第一及び第二のグループのセグメントの向きの確率論的な分散を図解する模式図
図6】少なくとも第一のグループのセグメント又は第二のグループのセグメントの一部に渡って拡がる確率推移を図解する模式図
図7】格子ラインがそれぞれ複数の連続するセグメントにより近似され、セグメントの位置が互いに相対的に確率論的なずれを有する、本発明による格子構造の二つの隣り合う格子ラインの平面図
図8図7の確率論的な位置のずれにより生じる近似ノードの不規則な配置構成を図解する模式図
図9】格子ラインが第一及び第二のグループの複数の連続する、それぞれ平行四辺形の形状に形成されたセグメントにより近似された、本発明による格子構造の格子ラインの平面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明による格子構造の格子ラインを近似するセグメント24aを作成するために、レチクル22aを用いてセル投影(cell projection:CP)を実行する配置構成10の模式図を図示している。図1による配置構成10は、第一の板形状のシェード構造14と第二の板形状のシェード構造20を有する。この第一の板形状のシェード構造14は、正方形のシェード開口部16を有する。この第二の板形状のシェード構造20は、長方形(固定)のシェード開口部として形成されたレチクル22aを有する。このレチクル22aは、基準座標系11の二つの座標軸O1,O2の中の一つに対する向き、即ち、長手軸の角度が異なる複数の個々に選定可能なレチクルの中の一つである。
【0027】
図1には、電子源により生成された電子線12が図示されている。この電子線12は、丸いビーム横断面を有する。電子線12が第一の板形状のシェード構造14の正方形のシェード開口部16を通過した後、この丸いビーム横断面から、正方形の断面18が作成される。この正方形の断面18が、第二の板形状のシェード構造20に当たる。この正方形の断面18の通過後に、第二の板形状のシェード構造20のレチクル22aによって、正方形の断面18から、レチクル22aに対応する長方形に形成されたセグメント24a(例えば、所定の傾斜角の線条片セグメント)が作成される。このセグメント24aは、基板表面25上に投影される。基板表面25は、XY移動テーブルを用いて、x方向に、即ち、基準座標系11の第一の座標軸O1に対して平行に、或いはy方向に、即ち、基準座標系11の第二の座標軸O2に対して平行に動かすことができる。
【0028】
図1により説明したセル投影によって、最小限の数のセグメントを用いて、格子構造の近似すべき格子ライン、特に、斜めの(真っ直ぐな)ライン又は部分的に曲がったラインを近似することができる。
【0029】
図2は、個々に選定可能な異なるレチクル22a~22iから成る、図1に図示された配置構成10の第二の板形状のシェード構造20の平面図を図示している。これらのレチクル22a~22iは、それぞれ同じ長方形の形状を有する。更に、これらのレチクル22a~22iは、基準座標系11の二つの座標軸O1,O2に対する向き、即ち、長手軸の角度が異なる。例えば、第二の座標軸O2に対するレチクル22a~22iの長手軸の角度は、1°の角度ステップによる0°~11°の角度範囲内に有る。格子ライン、特に、曲がったラインの全体的に良好な近似のためには、それぞれ向き(又は傾き)が異なる多数のレチクルを配備すべきである。この角度ステップの値は、所望の近似品質に依存する。この角度ステップの値が小さくなる程、達成可能な近似品質が高くなる。しかし、近似品質は、図1に図示された配置構成10により調整可能である、異なるレチクルの実現可能な数によって制限される。
【0030】
角度ステップの定数値(例えば、1°の角度ステップ)に代わって、角度ステップの変数値を規定することもできる。
【0031】
図3は、本発明による格子構造28の格子ライン30a~30cの平面図を図示している。これらの格子ライン30a~30cは、特に、基準座標系11に関して、ほぼ同じ傾き又は向きの曲がったラインである。これらの格子ライン30a~30cは、複写手法により相応の格子構造の大量生産を実施するために用いられる、リソグラフィ方法用のマスクとしての役割を果たす規則的な配置構成を形成する。
【0032】
図4は、格子構造28の格子ライン30aの平面図を図示しており、この格子ライン30aは、第一及び第二のグループの複数の連続するセグメント24a,24b又は26a~26cによって近似されている。これらのセグメント24a,24b又は26a~26cの長手軸は、それぞれ基準座標系11の第一の座標軸O1に対して相対的な角度(即ち、傾斜角φ)を成す。この格子ライン30aは、第一の部分Aとその第一の部分Aに接する第二の部分Bとを有する。この格子ライン30aの第一の部分Aは、第一のグループのセグメント24a,24bにより近似される。この格子ライン30aの第二の部分Bは、第二のグループのセグメント26a~26cにより近似される。第一のグループの第一のセグメント24aの長手軸は、基準座標系11の第一の座標軸O1に対して第一の所定の角度φ1を成す。第二のグループの最後のセグメント26cの長手軸は、基準座標系11の第一の座標軸O1に対して、第一の所定の角度φ1と異なる第二の所定の角度φ2を成す。この第一の所定の角度φ1は、第一のセグメント24aの位置に割り当てられた、格子ライン30aの傾きに対応する。この第二の所定の角度φ2は、最後のセグメント26cの位置に割り当てられた、格子ライン30aの傾きに対応する。即ち、これらの第一の所定の角度φ1及び第二の所定の角度φ2は、それぞれ第一のセグメント24aの位置又は最後のセグメント26cの位置における異なる傾きを表す。図4に図示されている通り、格子ライン30aの二つの部分A,Bは、境界点G1において互いに接する。この場合、境界点G1で定義される、格子ライン30aの傾きは、基準座標系11の第一の座標軸O1に対する角度(即ち、接線角)により与えられ、この角度は、第一の所定の角度φ1と第二の所定の角度φ2を平均した角度に一致する。
【0033】
第一のグループのセグメント24bの長手軸の角度及び/又は第二のグループの一つ又は二つのセグメント26a,26bの長手軸の角度は、それぞれ第一の所定の角度φ1と第二の所定の角度φ2から成る全体の中からランダムに選定される。そのため、セグメント24b又は26a,26bに割り当てられた角度は、それぞれ第一の所定の角度φ1又は第二の所定の角度φ2に一致する。それによって、特に、境界点G1の近くにおいて、セグメント24b又は26a,26bの向きを確率論的に分散させることができる。
【0034】
図5は、第一及び第二のグループのセグメント24,26の向きの確率論的な分散を図解する模式図を図示している。図5の格子ライン30a~30n(格子ライン30)のセグメント24,26は、それぞれ図4の格子ライン30aのセグメント24a,24b又は26a~26cに対応する。図5には、更に、境界点G1(図5の破線を参照)において互いに接する、格子ライン30の二つの部分A,Bが図示されている。
【0035】
図5では、第一のグループのセグメント24の大部分の長手軸が、基準座標系11の第一の座標軸O1に対して第一の所定の角度φ1を成す一方、第二のグループのセグメント26の大部分の長手軸が、基準座標系11の第一の座標軸O1に対して第二の所定の角度φ2を成す。更に、図5によると、第一のグループのセグメント24の長手軸の角度の中の一つ又は複数及び/又は第二のグループのセグメント26の長手軸の角度の中の一つ又は複数がそれぞれ第一の所定の角度φ1と第二の所定の角度φ2から成る全体の中からランダムに選定されることが図解されている。図5には、第一の所定の角度φ1の選定が黒く塗られた長方形により表される一方、第二の所定の角度φ2の選定が黒く塗られていない長方形により表されている。
【0036】
有利には、第一及び/又は第二のグループのセグメント24,26の長手軸のランダムに選定される角度は、それぞれ第一の確率pφで第一の所定の角度φ1に一致し、第二の確率pφで第二の所定の角度φ2に一致する。図5を参照すると、第一の部分Aの中央の近くの第一及び第二の確率が80%又は20%である一方、第二の部分Bの中央の近くの第一及び第二の確率が20%又は80%である。境界点G1(破線)では、第一及び第二の確率がそれぞれ50%である。そのため、第一の確率が、第一の部分Aの中央から第二の部分Bの中央に向かって低下する一方、第二の確率が、第二の部分Bの中央から第一の部分Aの中央に向かって低下する。更に、境界点G1における第一及び第二の確率が同じ大きさであり、その結果、そこでは、確率論的な分散が最大になっている。
【0037】
特に、第一及び第二の確率はそれぞれ、第一又は第二のグループの個々のセグメント24,26から境界点G1までの間隔に依存する。この場合、図5に図示された、第一のグループの個々のセグメント24から境界点G1までの間隔が小さくなるにつれて、第一の確率が低下する。更に、図5に図示された、第二のグループの個々のセグメント26から境界点G1までの間隔が小さくなるにつれて、第二の確率が低下する。第一のグループの個々のセグメントから境界点G1までの最小間隔における第一の確率及び/又は第二のグループの個々のセグメントから境界点G1までの最小間隔における第二の確率はそれぞれ、50%である(即ち、第一又は第二のグループのセグメント24,26のうちの境界点G1に接するそれぞれのセグメント24,26ごとの当該確率はそれぞれ、50%である)。
【0038】
図6は、少なくとも第一及び第二のグループのセグメント24,26の一部に渡って拡がる確率(pφ)を図解する模式図を図示している。図6には、格子ライン30aの部分A,Bに追加して、格子ライン30aの別の部分Cが図示されている。これらの部分A,Bが、境界点G1において互いに接する一方、これらの部分B,Cは、別の境界点G2において互いに接する。これらの部分A,Bが、第一又は第二のグループのセグメント24,26から成る一方、この部分Cは、第三のグループの別のセグメント32から成り、この第三のグループのセグメント32の大部分の長手軸は、基準座標系11の第一の座標軸O1に対して、第一及び第二の所定の角度φ1,φ2と異なる第三の所定の角度φ3を成す。更に、図6には、それらに対応する部分A~Cの中心点M1~M3が図示されている。
【0039】
特に、図6は、格子構造28の巨視的な図面を図示している。図6の格子構造28は、数百万個の、それどころか数十億個の個別の微視的なセグメントから構成される。
【0040】
図6には、中心点M2の所に最大が有る第二の確率φ2の推移だけが図示されている。しかし、以下における説明は、図6に図示されていない、中心点M1の所に最大が有る第一の確率φ1の推移に対しても同様に適用される。
【0041】
図6に図示されている通り、この第二の確率の推移は、中心点M2の所に最大(例えば、100%の最大値)が有り、中心点M1及びM3の所に二つの最小(例えば、0%の最小値)が有る。更に、この第二の確率の推移は、二つの直線的に低下するエッジ34a,34bを有する。この低下するエッジ34a,34bの値は、境界点G1,G2において、例えば、それぞれ50%である。この第二の確率の推移は、直線的に低下するエッジ34a,34bの代わりに、図6に表示されている通り、別の形状を有することができる。特に、第二の確率の推移は、正弦波状又は指数関数的に低下するエッジを有することもできる。更に、中心点M1及びM3の所に有る最小を部分Bに近付く、或いは部分Bから離れるようにシフトさせるという意味において、第二の確率の推移を変更する、或いは適合させることもできる。そのことが、図6において両方向矢印により表示されている。
【0042】
図7は、格子構造28の二つの隣り合う格子ライン30a,30bの図面を図示している。これら二つの格子ライン30a,30bの各々は、複数の連続するセグメント24a~24e又は36a~36e(セグメント24,36)によって近似されている。図7に図示されている通り、これらのセグメント24a~24e及び36a~36eの位置、特に、開始位置40a~40e又は42a~42eは、格子ライン30a,30bの長手方向の延びに沿って互いに相対的にずれている。この場合、これらの位置40a~40e及び42a~42e(位置40又は42)のずれは、格子ライン30a,30bの長手方向の延びに沿ってランダムに選定されている。
【0043】
図8は、図7に基づき説明した確率論的な位置のずれによって得られる、近似ノード、即ち、位置40,42において連続するセグメント24,26の不規則な配置構成38を図解する模式図を図示している。図8では、位置40及び42に有る近似ノード41又は43が、格子ライン30が通過する点により表示されている。図8に図示されている通り、確率論的な位置のずれは、近似ノード41,43の言わば無定形の配置構成38が形成されるように、それぞれ格子ライン毎に異なる。それによって、近似ノードの言わば定形の配置構成に起因して生じる二次元の超格子の形成を効果的に抑制することができる。その結果、そのような超格子において起こる望ましくない回折効果も大幅に低減することができる。
【0044】
図9は、格子構造28の格子ライン30aの別の図面を図示している。この格子ライン30aは、又もや第一及び第二のグループの複数の連続するセグメント24a,24b又は26a~26cにより近似されている。
【0045】
図4による格子ライン30aを近似する長方形の形状に形成されたセグメント24a,24b及び26a~26cに代わって、図9による格子ライン30aを近似するセグメント24a,24b及び26a~26cは、それぞれ平行四辺形の形状に形成されている。図9に図示されている通り、これらの平行四辺形の形状に形成されたセグメント24a,24b又は26a~26c(セグメント24,26)の短辺44a~44fは、それぞれ基準座標系11の第一の座標軸O1に対して平行である。更に、図9に図示されたセグメント24,26は、第一の座標軸O1に対して直交して延びる、基準座標系11の第二の座標軸O2に沿って、それぞれ同じ延びΔyを有する。この平行四辺形の形状を使用することによって、重畳誤差、即ち、連続するセグメントの縁において、セグメントの望ましくない重畳又は不連続が起こる領域を防止することができる。
【0046】
ほぼ水平の格子ライン、即ち、45°を上回る、第二の座標軸O2に対する格子ラインの長手方向の延びの角度の近似を行なう場合、これらの平行四辺形の形状に形成されたセグメント24,26は、短辺がそれぞれ基準座標系11の第一の座標軸O1に対して平行である代わりに、それぞれ基準座標系11の第二の座標軸O2に対して平行であるように形成することもできる。
【0047】
本発明では、セグメントによる格子ラインの近似が、従来技術と異なり、達成すべき最小の縁の粗さに依存して行なわれるのではなく、有利には、セグメントの向きの確率論的な分散(即ち、確率論的な混合)を用いて行なわれる。即ち、前者の場合には、格子ラインのそれぞれ隣り合う部分の間の境界点において、セグメントの向きの急激な変化が起こってしまう。そのことは、又もやそれらの部分又はゾーンの境界において光の回折の飛躍的な変化を生じさせるとの巨視的な効果を引き起こす。しかし、この効果は、確率論的な分散によって防止することができる。
【0048】
本発明では、確率論的な分散が、境界点により定義される境界ライン(即ち、切換点)の前に早くも行なわれる。セグメントが境界ラインの近くに有る程、確率論的な分散の度合いを大きくしている。正に切換点では、相応の向きを設定又は選定する確率がそれぞれ50%である。この混合ゾーンは、確率論的な確率推移によって、特に、最大(確率100%)を出発点として、例えば、それぞれ直線的又は正弦波状に低下する推移によって特徴付けられる。確率論的な分散を出来る限り広くするために、混合ゾーンの始め、即ち、その時々の確率が0%である点が、有利には、格子ラインの傾きが相応の所定の角度によって与えられる位置に、即ち、ほぼその時々の隣接ゾーンの中心に設定される。
【0049】
しかし、その時々の確率が0%である点は、任意に外側又は内側にシフトさせることもできる。そして、このことは、全ての実施される角度ステップ、即ち、相応の部分又はゾーンに割り当てられた全ての確率推移に対しても同様に行なわれる。そして、特に、これらの点を外側にシフトする場合、三角度混合が行なわれる。有利には、境界ラインの近くで、四角度混合を行なうこともできる。三角度混合又は四角度混合の場合、少なくとも、それぞれ隣り合う部分に割り当てられた確率推移と、一つ又は二つの別の部分(即ち、前記の部分にそれぞれ隣り合って、それらの部分に対して対向する二番目の部分)に割り当てられた確率推移とが少なくとも部分的に重なり合うべきである。
【0050】
本発明では、全体として、確かに実効的な縁の粗さは増大するが、ゾーンの間の鋭い微視的な角度移行(即ち、急激な向きの変化)が分散される。この確率推移は、別の数学関数によって与えることもできる、即ち、この推移は、特に、直線的又は正弦波状に低下するエッジに限定されない。更に、縁の粗さを軽減するために、2回パス又は複数回パスによる露光を行なうことができる。
【0051】
本発明による格子構造(又は本複写方法により製造される格子構造)は、例えば、回折光学素子又は回折格子などの回折光学系での使用に適している。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
複数の格子ライン(30)を有し、各格子ライン(30a~30n)が、複数の連続するセグメント(24,26;36)によって近似され、これらのセグメント(24,26;36)の長手軸が、それぞれ基準座標系(11)の第一の座標軸(O1)に対して相対的な角度を成し、
格子ライン(30a)の第一の部分(A)が第一のグループのセグメント(24)によって近似され、格子ライン(30a)の第一の部分(A)に接する第二の部分(B)が第二のグループのセグメント(26)によって近似される、
回折光学系用の格子構造(28)において、
第一のグループのセグメント(24)の大部分の長手軸が、基準座標系(11)の第一の座標軸(O1)に対して第一の所定の角度(φ1)を成すとともに、第二のグループのセグメント(26)の大部分の長手軸が、基準座標系(11)の第一の座標軸(O1)に対して、第一の所定の角度(φ1)と異なる第二の所定の角度(φ2)を成す当該格子構造。
2.
上記1に記載の格子構造(28)において、
前記の第一のグループのセグメント(24)の長手軸の角度の中の一つ又は複数及び/又は前記の第二のグループのセグメント(26)の長手軸の角度の中の一つ又は複数が、少なくとも第一の所定の角度(φ1)と第二の所定の角度(φ2)から成る全体の中からランダムに選定される当該格子構造。
3.
上記2に記載の格子構造(28)において、
前記の第一及び/又は第二のグループのセグメント(24,26)の長手軸のランダムに選定される角度が、それぞれ第一の確率(pφ)で第一の所定の角度(φ1)に一致するとともに、第二の確率(pφ)で第二の所定の角度(φ2)に一致する当該格子構造。
4.
上記3に記載の格子構造(28)において、
前記の第一の確率(pφ)と第二の確率(pφ)が、第一及び/又は第二のグループの個々のセグメント(24,26)から格子ライン(30a)の二つの部分(A,B)が互いに接する、角度又は方向の急激な変化を引き起こす境界点(G1)までの間隔に依存する当該格子構造。
5.
上記4に記載の格子構造(28)において、
請求項3に記載の格子構造(28)において、
第一のグループの個々のセグメント(24)の少なくとも一部のセグメントから前記の境界点(G1)までの間隔短くなる程、前記の第一の確率(pφ)が低下する当該格子構造。
6.
上記4又は5に記載の格子構造(28)において、
第二のグループの個々のセグメント(26)の少なくとも一部のセグメントから前記の境界点(G1)までの間隔短くなる程、前記の第二の確率(pφ)が低下する当該格子構造。
7.
上記4から6までのいずれか一つに記載の格子構造(28)において、
第一のグループの個々のセグメントから境界点(G1)までの最小間隔における前記の第一の確率(pφ及び/又は第二のグループの個々のセグメントから境界点(G1)までの最小間隔における第二の確率(pφそれぞれ0.5である当該格子構造。
8.
上記3から7までのいずれか一つに記載の格子構造(28)において、
第一のセグメント(24)の少なくとも一部及び第二のグループのセグメント(26)の少なくとも一部がそれぞれ、前記の第一の確率(pφ)及び/又は第二の確率(pφ)で推移している当該格子構造。
9.
上記8に記載の格子構造(28)において、
前記の第一の確率(pφ)の推移及び/又は第二の確率(pφ)の推移の最大が、それぞれ前記の格子ライン(30a)の第一又は第二の部分(A,B)の中心点(M1,M2)に位置する第一又は第二のグループのセグメントの所に有る当該格子構造。
10.
上記8又は9に記載の格子構造(28)において、
前記の第一の確率(pφ)の推移及び/又は第二の確率(pφ)の推移の最小が、それぞれ前記の格子ライン(30a)の第二又は第一の部分(B,A)の中心点(M2,M1)に位置する第二又は第一のグループのセグメントの所に有る当該格子構造。
11.
上記10に記載の格子構造(28)において、
前記の第一の確率(pφ)の推移の最小及び/又は第二の確率(pφ)の推移の最小が、前記の格子ライン(30a)の第二又は第一の部分(B,A)の中心点(M2,M1)に対して、それぞれ格子ライン(30a)の他方の部分(A,B)に近付くか、或いはその他方の部分から離れるようにシフトされている当該格子構造。
12.
上記8から11までのいずれか一つに記載の格子構造(28)において、
前記の第一の確率(pφ)の推移及び/又は第二の確率(pφ)の推移が、それぞれ直線的、正弦波状又は指数関数的に低下するエッジ(34a)を有する当該格子構造。
13.
上記1から12までのいずれか一つに記載の格子構造(28)において、
少なくとも二つの隣り合う格子ライン(30a,30b)のセグメント(24,26)の位置(40,42)が、それらの格子ライン(30a,30b)の長手方向の延びに沿って互いに相対的にずれていることと、
この格子ライン(30a,30b)の長手方向の延びに沿った位置(40,42)のずれが、ランダムに選定されることと、
を特徴とする格子構造。
14.
上記1から13までのいずれか一つに記載の格子構造(28)において、
第一及び第二のグループのグループのセグメント(24,26)が、それぞれ平行四辺形の形状に形成されて、その平行四辺形の形状に形成されたセグメント(24,26)の短辺(44a~44f)が、それぞれ基準座標系(11)の第一の座標軸(O1)に対して平行であることと、
これらの第一及び第二のグループのグループのセグメント(24,26)が、それぞれ基準座標系(11)の第一の座標軸(O1)に対して直交して延びる第二の座標軸(O2)に沿って同じ延び(Δy)を有することと、
を特徴とする格子構造。
15.
上記1から14までのいずれか一つに記載の格子構造(28)において、
前記の格子ライン(30)を近似するセグメント(24,26;36)が、それぞれセル投影により個別に選定可能な異なるレチクル(22)を用いて基板表面(25)上に作成された露光領域である当該格子構造。
【符号の説明】
【0052】
10 配置構成
11 基準座標系
12 電子線
14 板形状のシェード構造
16 正方形のシェード開口部
18 正方形の断面
20 板形状のシェード構造
22a~22i レチクル
24a~24e(24) セグメント
25 基板表面
26a~26c(26) セグメント
28 格子構造
30a~30n(30) 格子ライン
32 セグメント
34a,34b エッジ
36a~36e(36) セグメント
38 無定形の配置構成
40a~40e(40) 位置
41 近似ノード
42a~42e(42) 位置
43 近似ノード
44a~44f 短辺
A~C 部分
G1,G2 境界点
M1~M3 中心点
O1,O2 座標軸
P1 両方向矢印
pφ,pφ 確率
Δy 延び
φ1,φ2 所定の角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9