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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ベーカリー用上掛け生地
(51)【国際特許分類】
   A21D 6/00 20060101AFI20240327BHJP
   A21D 13/00 20170101ALI20240327BHJP
   A21D 13/047 20170101ALI20240327BHJP
   A21D 15/08 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A21D6/00
A21D13/00
A21D13/047
A21D15/08
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019230839
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021097621
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 高司
(72)【発明者】
【氏名】金井 幹法
(72)【発明者】
【氏名】柴田 洋佑
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-084692(JP,A)
【文献】特開2002-345421(JP,A)
【文献】特開2005-027549(JP,A)
【文献】こだわり粉屋 [オンライン], 2009.12.04 [検索日 2023.12.14], インターネット:<URL:https://item.rakuten.co.jp/kodawari-konaya/r-flower300/>
【文献】shukana's days [オンライン], 2017.03.24 [検索日 2023.12.14], インターネット:<URL:https://ameblo.jp/shukana0701/entry-12259190195.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D 6/00
A21D 13/00
A21D 13/047
A21D 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全原料穀粉中に、乾熱処理したデュラム小麦粉砕物および乾熱処理したコーングリッツからなる群より選択される1種以上を10~90質量%含む、ベーカリー用上掛け生地。
【請求項2】
前記デュラム小麦粉砕物がデュラムセモリナを含む、請求項1記載のベーカリー用上掛け生地。
【請求項3】
前記原料穀粉がさらに小麦粉10~90質量%を含む、請求項1又は2記載のベーカリー用上掛け生地。
【請求項4】
前記小麦粉が薄力粉である、請求項3記載のベーカリー用上掛け生地。
【請求項5】
乾熱処理したデュラム小麦粉砕物および乾熱処理したコーングリッツからなる群より選択される1種以上を10~90質量%含有する原料穀粉を用いることを特徴とする、ベーカリー用上掛け生地の製造方法。
【請求項6】
前記デュラム小麦粉砕物がデュラムセモリナを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記原料穀粉がさらに小麦粉10~90質量%を含む、請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
前記小麦粉が薄力粉である、請求項7記載の方法
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項記載のベーカリー用上掛け生地を中生地に載せて焼成することを含む、ベーカリー製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メロンパン等の製造に用いられるベーカリー用上掛け生地に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なメロンパンは、中生地を上掛け生地(外皮生地)で包み、焼成することにより製造されている。しかしながら、焼成後のメロンパンには、外皮が経時的に吸湿することによって、ザクザクとした食感が失われたり、または外皮の表面が水を含んでべたついてしまう現象(いわゆる「泣き」)が起こったりするという問題があった。
【0003】
特許文献1には、セモリナより小粒径のデュラム小麦粉と、薄力粉とをそれぞれ特定量で含む原料穀粉から製造されたベーカリー用上掛け生地が、「泣き」が生じにくく、良好な食感を維持できることが記載されている。特許文献2には、粒径350μm以上のデュラムセモリナを特定量含有する菓子用穀類粉砕物により、歯ごたえが良く風味にも優れた菓子を製造できることが記載されている。特許文献3には、ロースト小麦粉を使用してグルテンバイタリティを75~90%に調整した原料小麦粉を用いることにより、フラワーバッター法での機械適性とサクサクした食感を両立するビスケット類を製造できることが記載されている。特許文献4には、口腔内で急速に吸水して軟らかくなる咀嚼または嚥下困難者用のビスケットに対して、ロースト感を付与するために、ロースト小麦粉、ローストライ麦粉、ローストコーンフラワーなどのローストした穀粉を添加することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-084692号公報
【文献】特開平9-187216号公報
【文献】特開2017-169467号公報
【文献】特開2005-058215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外皮の表面が水を含んでべたついてしまう現象(いわゆる、「泣き」)が生じにくく、焼成後時間が経っても外皮がザクザクとした食感と良好な口溶けを有するベーカリー製品を製造することができる、ベーカリー用上掛け生地を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、乾熱処理したデュラム小麦粉砕物および乾熱処理したコーングリッツからなる群より選択される1種以上を特定量で含む生地を上掛け生地として用いて製造したベーカリー製品において、「泣き」が生じにくく、焼成後時間が経っても外皮がザクザクとした食感と良好な口溶けを維持できることを見出した。
【0007】
したがって、本発明は、全原料穀粉中に、乾熱処理したデュラム小麦粉砕物および乾熱処理したコーングリッツからなる群より選択される1種以上を10~90質量%含む、ベーカリー用上掛け生地を提供する。
また本発明は、乾熱処理したデュラム小麦粉砕物および乾熱処理したコーングリッツからなる群より選択される1種以上を10~90質量%含有する原料穀粉を用いることを特徴とする、ベーカリー用上掛け生地の製造方法を提供する。
また本発明は、前記ベーカリー用上掛け生地を用いたベーカリー製品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のベーカリー用上掛け生地は、メロンパン等のベーカリー製品の外皮を製造するための生地として好適である。本発明のベーカリー用上掛け生地を用いて製造されたベーカリー製品は、「泣き」を軽減することができ、焼成後時間が経っても外皮がザクザクとした食感と良好な口溶けを維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明により提供されるベーカリー用上掛け生地は、中生地が別の生地(外皮)で覆われた形状のベーカリー製品(例えば、メロンパン)の製造において、該外皮(例えば、メロンパン皮)を製造するために使用される。
【0010】
本発明のベーカリー用上掛け生地は、原料穀粉、油脂、糖類および卵を基本原料として含み、さらに必要に応じて、乳、水、ベーキングパウダー等の発泡剤、調味料、呈味材、香料、色素、またはその他の材料を含有してもよい。本発明のベーカリー用上掛け生地に含まれる該原料穀粉は、乾熱処理したデュラム小麦粉砕物および乾熱処理したコーングリッツからなる群より選択される1種以上を含む。
【0011】
当該乾熱処理したデュラム小麦粉砕物の原料として用いられるデュラム小麦粉砕物は、デュラム小麦粒を一般的な製粉工程に従って粉砕したものであればよい。一般的に、デュラム小麦粒は、粉砕、篩い分け、および純化(それぞれブレーキング工程、グレーディング工程、およびピュリフィケーション工程という)によりセモリナへと調製され、さらにセモリナから、複数の滑面ロールによる粉砕工程(リダクション工程)、篩い分けを経て、より細かい粉となる。上掛け生地の「泣き」の抑制および食感と口溶けの向上の観点からは、該デュラム小麦粉砕物は、好ましくはデュラムセモリナを含み、より好ましくはデュラムセモリナである。該デュラムセモリナは、平均粒径が、好ましくは180μm~700μm、より好ましくは200μm~600μm、さらに好ましくは200μm~500μmである。好ましくは、該デュラム小麦粉砕物は、粒径200μm以上のデュラムセモリナを、体積基準で、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上含む。
【0012】
当該乾熱処理したコーングリッツの原料として用いられるコーングリッツは、とうもろこしの胚乳部を挽き割りして得られる粗粉砕物である。該コーングリッツの原料として用いられるとうもろこしの種類は、特に限定されないが、例えばデントコーン、フリントコーン、スイートコーン、ソフトコーン、ポップコーン、ワキシーコーン、ポッドコーンなどが挙げられる。上掛け生地の「泣き」の抑制および食感と口溶けの向上の観点からは、該コーングリッツは、平均粒径が、好ましくは180μm~700μm、より好ましくは200μm~600μm、さらに好ましくは200μm~500μmである。好ましくは、該コーングリッツは、粒径200μm以上のコーングリッツを、体積基準で、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上含む。
【0013】
本明細書におけるデュラム小麦粉砕物およびコーングリッツの粒径は、マイクロトラック粒度分析計を用いて測定された値である。測定された粒径分布から、平均粒径および粒径の検出頻度を算出することができる。粒径測定、および平均粒径と粒径検出頻度の算出は、市販の分析計(例えば、日機装株式会社製「マイクロトラック粒径分布測定装置9200FRA」)を用いて、機器のマニュアルに従って行うことができる。
【0014】
本発明で用いられる乾熱処理したデュラム小麦粉砕物およびコーングリッツは、上述のデュラム小麦粉砕物およびコーングリッツを乾熱処理して得られるものである。該乾熱処理により、「泣き」が効果的に抑制され、上掛け生地の食感と口溶けが向上する。該乾熱処理としては、例えば、オーブン加熱(ロースト)、焙焼窯での加熱(焙焼等)、乾燥器を用いる加熱、熱風乾燥、高温低湿度環境での放置、などが挙げられ、このうちローストまたは焙焼が好ましい。好ましい乾熱処理の手法としては、例えば、バンドオーブンにて庫内温度を180℃から300℃まで段階的に上昇させながら20~30分間デュラム小麦粉砕物またはコーングリッツを加熱する方法、パドルドライヤー等の加熱装置付きミキサーにて温度180~300℃で20~30分間デュラム小麦粉砕物またはコーングリッツを焙焼する方法、などが挙げられる。好ましくは、該乾熱処理したデュラム小麦粉砕物およびコーングリッツは、水分含量が10%質量以下である。
【0015】
本発明のベーカリー用上掛け生地の原料穀粉は、その全量中に、該乾熱処理したデュラム小麦粉砕物および該乾熱処理したコーングリッツからなる群より選択される1種以上を、合計で好ましくは10~90質量%、より好ましくは30~70質量%含有する。該原料穀粉中における該乾熱処理したデュラム小麦粉砕物および乾熱処理したコーングリッツの合計含有量が多過ぎても少な過ぎても、「泣き」の抑制効果が低減し、上掛け生地の食感と口溶けが充分に向上しなくなる。
【0016】
当該原料穀粉は、該乾熱処理したデュラム小麦粉砕物および該乾熱処理したコーングリッツ以外の他の穀粉を含んでいてもよい。当該他の穀粉としては、小麦粉(強力粉、準強力粉、中力粉、全粒粉、乾熱処理していないデュラム小麦粉砕物等)、ライ麦粉、米粉、トウモロコシ粉(コーンフラワー、コーンミール、乾熱処理していないコーングリッツ等)などのベーカリー製品の原料粉として一般的に使用される穀粉、およびそれらの混合物が挙げられ、特に限定されない。好ましくは、当該他の穀粉は小麦粉であり、より好ましくは薄力粉である。該小麦粉および薄力粉は、熱処理粉であってもよいが、その必要はない。また当該原料穀粉中における該他の穀粉の含有量は、好ましくは10~90質量%、より好ましくは30~70質量%である。
【0017】
本発明のベーカリー用上掛け生地における上記原料穀粉の含有量は、焼成前の当該生地の全量中、35~75質量%、好ましくは45~55質量%である。
【0018】
本発明のベーカリー用上掛け生地に含まれる油脂としては、バター、マーガリン、ショートニング、ラードなどが挙げられ、これらを単独または組み合わせて使用することができる。焼成前の当該生地における油脂の含有量は、上記原料穀粉100質量部に対して10~40質量部が好ましい。本発明のベーカリー用上掛け生地に含まれる糖類としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖などが挙げられ、これらを単独または組み合わせて使用することができる。焼成前の当該生地における糖類の含有量は、上記原料穀粉100質量部に対して30~100質量部が好ましい。本発明のベーカリー用上掛け生地の製造に使用される卵としては、全卵、液卵などが挙げられ、これらを単独または組み合わせて使用することができる。焼成前の当該生地における卵の含有量は、上記原料穀粉100質量部に対して10~40質量部が好ましい。該上掛け生地に水や乳を添加する場合、焼成前の当該生地におけるその量は、上記原料穀粉100質量部に対して5~15質量部が好ましい。該上掛け生地にベーキングパウダー等の発泡剤、調味料、呈味材、香料、色素、またはその他の材料を添加する場合、焼成前の当該生地におけるその量は、上記原料穀粉100質量部に対して0.1~5質量部が好ましい。
【0019】
本発明のベーカリー用上掛け生地は、上述した特定の配合の原料穀粉を使用する限り、従来公知の上掛け生地の製法により製造することができる。本発明のベーカリー用上掛け生地は、従来の上掛け生地と同様、イースト発酵を経ずに製造される。代表的な製法としては、油脂と糖類を均一に混合した後、卵、原料穀粉を順に混合する方法(シュガーバッター法)、または、原料穀粉と油脂を充分に攪拌し、その後、糖類、卵を加えて混合する方法(フラワーバッター法)などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のベーカリー用上掛け生地は、好ましくはシュガーバッター法で製造される。
【0020】
本発明のベーカリー用上掛け生地には、中生地からの水分の移行を抑えるために、さらに、澱粉を添加することが好ましい。該上掛け生地に使用する澱粉の例としては、食用であれば種類は特に限定されないが、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉等、およびそれらの加工澱粉が挙げられ、これらを単独または組み合わせて用いることができる。このうち、風味、入手のし易さやコストの点から、コーンスターチが好ましい。該上掛け生地への澱粉の添加量は、焼成前の生地における上記原料穀粉100質量部に対して2~6質量部が好ましい。2質量部より少ないと、水分移行抑制の効果に乏しく、他方6質量部より多いと、生地が硬く脆い食感になる場合がある。該上掛け生地に澱粉を添加するタイミングは、特に限定されないが、原料穀粉と同じタイミングで添加することが好ましい。
【0021】
本発明のベーカリー用上掛け生地は、中生地と、それを覆う上掛け生地(外皮生地)からなるベーカリー製品を製造するために使用される。該上掛け生地に覆われる中生地としては、パン、菓子パン、ペイストリー、ケーキなどの通常のベーカリー製品の生地が挙げられ、その種類、配合、製法等は特に限定されない。これらの中生地は、それぞれの種類の生地について当該分野で一般的な製法に従って製造すればよい。パン生地の製法について例を挙げると、ストレート法、中種法、ノータイム法、液種法、サワー種法、再捏法、冷凍生地製法、冷蔵生地製法、湯種法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
当該中生地に本発明の上掛け生地を載せて、好ましくは該中生地の上面から該上掛け生地を覆い被せるか、または該中生地全体を該上掛け生地で包み込んで、複合生地を形成する。この複合生地を必要に応じて2次発酵した後、焼成すれば、中生地が上掛け生地(外皮生地)で覆われたベーカリー製品(例えば、メロンパン)を製造することができる。
【0023】
例えば、一般的なメロンパンの中生地の製造手順は、以下のとおりである。小麦粉、イースト、イーストフード、糖類、食塩、油脂類、乳製品、卵、水を主な材料として所定量で混合して、常法により捏ね上げる。その際、必要に応じてさらに油脂類、乳製品、卵などを加える。その後、フロアタイムを所定時間とり、次いで生地を適当な量に分割してから、ベンチタイムを所定時間とり、その後丸め直しの成型をすれば、メロンパン用の中生地を得ることができる。該中生地に、本発明のベーカリー用上掛け生地を覆い被せるか、または該中生地全体を該上掛け生地で包み、その後、所定時間の2次発酵を行い、次いでオーブンにて所定の温度および時間で焼成すれば、本発明の上掛け生地を有するメロンパンを得ることができる。
【0024】
上記手順で本発明のベーカリー製品を製造する際には、中生地や上掛け生地にはフィリングが含まれていてもよい。また上掛け生地の表面には、焼成前に、グラニュー糖、チョコチップ、ドライフルーツ、アーモンドスライスなどをトッピングしたり、焼成後に、粉糖、チョコレート、フォンダンなどのアイシングを加えることもできる。本発明によれば、焼成後時間が経っても「泣き」がなく、ザクザクとした食感のある口溶けの良い外皮を有し、かつ様々なバリエーションに富んだ商品価値の高いベーカリー製品を製造することが可能である。
【実施例
【0025】
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0026】
(原料)
薄力粉(平均粒径55μm)
デュラムセモリナ(平均粒径250μm、目開き700μmのメッシュを有する篩を通過する、かつ粒径200μm以上の画分を体積基準で50%以上含有する)
デュラム小麦粉(平均粒径80μm、目開き200μmのメッシュを有する篩を通過する)
コーングリッツ(平均粒径250μm、目開き700μmのメッシュを有する篩を通過する、かつ粒径200μm以上の画分を体積基準で50%以上含有する)
【0027】
(乾熱処理粉の調製)
薄力粉、デュラムセモリナ、デュラム小麦粉、およびコーングリッツを、それぞれトンネル型オーブンで庫内温度180~300℃(段階的に変化)で約23分処理することにより、ロースト薄力粉、ローストデュラムセモリナ、ローストデュラム小麦粉、およびローストコーングリッツ(いずれも水分含量10質量%以下)を得た。
【0028】
(試験例1)メロンパン
(1)上掛け生地の作製
下記表1記載の配合でベーカリー用上掛け生地を作製した。バターとグラニュー糖を最初に低速で4分間、次いで中速で1分間よく混ぜ合わせた後、全卵を徐々に加えて混ぜ、さらに原料粉を加えて低速1分間混ぜ合わせて生地を調製した。得られた生地を一晩冷蔵した後、生地を揉み直し、40gごとに分割した。
【0029】
【表1】
【0030】
(2)メロンパンの製造
下記表2記載の配合および手順で、中生地を作製し、次いで得られた中生地と(1)の上掛け生地からメロンパンを製造した。
【0031】
【表2】
【0032】
(3)評価
(2)で製造したメロンパンを、焼成後ビニル袋に包装した状態で、24時間または48時間まで室温(27℃)にて保管した。保管後のメロンパンの外皮生地の食感および外観を、訓練された10人のパネラーにより下記評価基準にて評価し、その平均点を求めた。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
(食感・外観)
5点:外皮生地の食感が硬くザクザクとしており、表面は全くベタ付きがない。
4点:外皮生地の食感がややザクザク感に欠けるが、表面にベタ付きがほとんどない。
3点:外皮生地の表面がしっとりして、食感も軟らかい。
2点:外皮生地の表面にベタ付きがあり部分的に「泣き」がある。製品表面の一部が包装ビニルに張り付いている。
1点:外皮生地の表面にベタ付きが多く全体的に「泣き」がある。製品表面の大部分が包装ビニルに張り付いている。
(口溶け)
5点:口溶けが非常に優れる
4点:口溶けが優れる
3点:口溶けがやや優れる
2点:口溶けがやや劣る
1点:口溶けが劣る
【0033】
【表3】
【0034】
(試験例2)メロンパン
原料粉中におけるローストデュラムセモリナの量を表4のとおり変更した以外は、試験例1と同じ手順でベーカリー用上掛け生地を作製し、これを用いてメロンパンを製造し、外皮生地の食感および外観を評価した。結果を表4に示す。
【0035】
【表4】