(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ラジカル硬化型組成物及び硬化物
(51)【国際特許分類】
C08F 30/08 20060101AFI20240327BHJP
C08F 299/02 20060101ALI20240327BHJP
C08G 77/52 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
C08F30/08
C08F299/02
C08G77/52
(21)【出願番号】P 2020010396
(22)【出願日】2020-01-24
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 愛里
(72)【発明者】
【氏名】小林 之人
【審査官】前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-011390(JP,A)
【文献】特開昭60-040106(JP,A)
【文献】特開2013-185066(JP,A)
【文献】特開2021-001296(JP,A)
【文献】特表2020-524188(JP,A)
【文献】特開2021-070772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00-299/08
C08G 77/00- 77/62
C07F 7/02- 7/21
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(a)下記式(1)で表されるSi-H基含有化合物と、(b)付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物からなる骨格を有し、かつ、(メタ)アクリル基を片方または両方の分子末端に有する(メタ)アクリル基含有化合物、及び、
【化1】
(式中、R
1は、それぞれ独立に、付加反応性炭素-炭素二重結合を含まない、置換または非置換の炭素原子数1~12の1価炭化水素基、または炭素原子数1~6のアルコキシ基であり、R
2は、
フェニレン基を表す。)
(B)重合開始剤
を含有するラジカル硬化型組成物であって、
前記(A)成分が、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有するケイ素含有付加反応生成物と、(c)下記式(2)で表されるシロキサン化合物との付加反応生成物である(メタ)アクリル基含有化合物であって、
前記ケイ素含有付加反応生成物が、(a)前記Si-H基含有化合物と、(b)前記多環式炭化水素との付加反応生成物
であり、
前記多環式炭化水素が、5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、及び6―ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンのいずれか、またはこれらの組み合わせであることを特徴とするラジカル硬化型組成物。
【化2】
(式中、R
1は、上記と同じ意味を表し、R
3は、水素原子またはメチル基のいずれかであり、R
4は、置換または非置換の炭素原子数1~8の二価炭化水素基である。)
【請求項2】
前記(A)成分が、下記式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項
1に記載のラジカル硬化型組成物。
【化3】
(式中、R
3は、水素原子またはメチル基のいずれかであり、n=0~10である。)
【請求項3】
前記重合開始剤が、有機過酸化物、又は、光重合開始剤であることを特徴とする請求項1
又は請求項
2に記載のラジカル硬化型組成物。
【請求項4】
前記有機過酸化物が、10時間半減期温度50~150℃のものであることを特徴とする請求項
3に記載のラジカル硬化型組成物。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のラジカル硬化型組成物の硬化物であることを特徴とする硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジカル硬化型組成物及び硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、その発光効率の目覚ましい向上を背景とし、低い消費電力、高寿命、意匠性などを特徴として液晶ディスプレイ(LCD)のバックライト向けや車のヘッドライト等の車載分野ばかりではなく一般照明向けでも急激に市場を拡大しつつある。このようなLEDライトは、基板に実装されたLED素子を透明な樹脂からなる封止材で封止した構成である。このLEDを封止する封止材としては、優れた耐熱性を有する点から、付加硬化型シリコーン組成物が幅広く使用されている(特許文献1)。しかしながら、シリコーン組成物からなる封止材料は、ガスバリア性が低いために、外部からの腐食性ガスの侵入により銀電極が変色し、LEDの輝度が低下してしまう場合がある。
【0003】
そのため、多環式炭化水素骨格を有する有機変性付加硬化型シリコーン組成物を用いた光学素子用封止材料が提案されている。このような組成物から得られる封止材料は、高いガスバリア性を有するため、外部からの腐食ガスの侵入を防ぎ、銀電極の変色を抑えることが可能である(特許文献2,3)。
【0004】
近年、波長変換材として、優れた波長変換効率を有する量子ドットが注目されている。量子ドットは水分に弱いため、ガスバリア性の高い材料で封止する必要がある。一方、量子ドットには付加反応の触媒毒が含まれていることが多く、量子ドットのバインダー材料として付加硬化型の組成物を用いると硬化不良が発生する場合があった。さらに、量子ドットは耐熱性が低いため、付加硬化型材料の硬化条件には耐えることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-292714号公報
【文献】特開2008-069210号公報
【文献】特開2012-046604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであって、低温で硬化可能なラジカル硬化型組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、(A)(a)下記式(1)で表されるSi-H基含有化合物と、(b)付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物からなる骨格を有し、かつ、(メタ)アクリル基を片方または両方の分子末端に有する(メタ)アクリル基含有化合物、及び、
【化1】
(式中、R
1は、それぞれ独立に、付加反応性炭素-炭素二重結合を含まない、置換または非置換の炭素原子数1~12の1価炭化水素基、または炭素原子数1~6のアルコキシ基であり、R
2は、置換または非置換の炭素原子数1~12の2価炭化水素基を表す。)
(B)重合開始剤
を含有するものであることを特徴とするラジカル硬化型組成物を提供する。
【0008】
本発明のラジカル硬化型組成物であれば、低温での硬化が可能である。
【0009】
本発明のラジカル硬化型組成物は、前記(A)成分が、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有するケイ素含有付加反応生成物と、(c)下記式(2)で表されるシロキサン化合物との付加反応生成物である(メタ)アクリル基含有化合物であって、
前記ケイ素含有付加反応生成物が、(a)前記Si-H基含有化合物と、(b)前記多環式炭化水素との付加反応生成物であることが好ましい。
【化2】
(式中、R
1は、上記と同じ意味を表し、R
3は、水素原子またはメチル基のいずれかであり、R
4は、置換または非置換の炭素原子数1~8の二価炭化水素基である。)
【0010】
このようなラジカル硬化型組成物であれば、より硬化性に優れる。
【0011】
本発明のラジカル硬化型組成物は、前記多環式炭化水素が、5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、及び6―ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンのいずれか、またはこれらの組み合わせであることがより好ましい。
【0012】
このようなラジカル硬化型組成物であれば、硬度、耐クラック性、耐熱性、ガスバリア性に優れた硬化物を得ることができる。
【0013】
本発明のラジカル硬化型組成物は、前記(A)成分が、下記式(3)で表される化合物であることがより一層好ましい。
【化3】
(式中、R
3は、水素原子またはメチル基のいずれかであり、n=0~10である。)
【0014】
このようなラジカル硬化型組成物であれば、硬度、耐クラック性、耐熱性、ガスバリア性により優れた硬化物を得ることができる。
【0015】
本発明のラジカル硬化型組成物は、前記重合開始剤が、有機過酸化物、又は、光重合開始剤であることが好ましい。
【0016】
このような重合開始剤は、本発明の組成物をより効果的に硬化させることができる。
【0017】
この場合、前記有機過酸化物が、10時間半減期温度50~150℃のものであることがより好ましい。
【0018】
このような有機過酸化物であれば、組成物の保存安定性および硬化性の制御性に優れる。
【0019】
また、本発明は、上記ラジカル硬化型組成物の硬化物を提供する。
【0020】
本発明の硬化物は、優れた透明性と良好な硬度を備えているため、光学素子の封止材やフィルター等の用途に有用である。
【発明の効果】
【0021】
本発明のラジカル硬化型シリコーン組成物は、ラジカル硬化により低温での硬化が可能であるため、量子ドットのバインダー材料として有用であり、本発明のラジカル硬化型組成物を硬化して得られる硬化物は優れた透明性と良好な硬度を有するため、LED素子の封止材や波長変換フィルター等の用途に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、後述する(A)及び(B成分を含むラジカル硬化型組成物であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0023】
即ち、本発明は、
(A)(a)下記式(1)で表されるSi-H基含有化合物と、(b)付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物からなる骨格を有し、かつ、(メタ)アクリル基を片方または両方の分子末端に有する(メタ)アクリル基含有化合物、及び、
【化4】
(式中、R
1は、それぞれ独立に、付加反応性炭素-炭素二重結合を含まない、置換または非置換の炭素原子数1~12の1価炭化水素基、または炭素原子数1~6のアルコキシ基であり、R
2は、置換または非置換の炭素原子数1~12の2価炭化水素基を表す。)
(B)重合開始剤
を含有するものであることを特徴とするラジカル硬化型組成物である。
【0024】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
[ラジカル硬化型組成物]
本発明のラジカル硬化型組成物は、後述する(A)および(B)成分を必須成分として含有するものである。この組成物は、前記必須成分以外に必要に応じて任意の成分を更に含むことができる。
【0026】
以下、各成分について詳細に説明する。
【0027】
[(A)成分]
(A)成分は、(a)下記式(1)で表されるSi-H基含有化合物と、(b)付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有する多環式炭化水素との付加反応生成物からなる分子鎖を有し、かつ、(メタ)アクリル基を分子鎖の片方の末端または両方の末端に有する(メタ)アクリル基含有化合物である。このような(メタ)アクリル基含有化合物は、(a)前記Si-H基含有化合物と、(b)前記多環式炭化水素との付加反応生成物からなる骨格を有し、かつ、(メタ)アクリル基を片方または両方の分子末端に有する。
なお、本発明において「付加反応性」とは、ケイ素原子に結合した水素原子と周知のヒドロシリル化反応により付加反応し得る性質を意味する。
【化5】
(式中、R
1は、それぞれ独立に、付加反応性炭素-炭素二重結合を含まない、置換または非置換の炭素原子数1~12の1価炭化水素基、または炭素原子数1~6のアルコキシ基であり、R
2は、置換または非置換の炭素原子数1~12の2価炭化水素基を表す。)
【0028】
<(a)成分>
(a)成分は、下記式(1)で表されるSi-H基含有化合物である。
【化6】
(式中、R
1、R
2は上記の通りである。)
【0029】
R1の炭素原子数1~12の1価炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル、n-デシル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等の炭素原子数1~12のアルキル基;フェニル、ナフチル基等の炭素原子数6~12のアリール基;トリル、キシリル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル基等の炭素原子数7~12のアルキルアリール基;ベンジル、フェネチル基等の炭素原子数7~12のアラルキル基などが挙げられる。
【0030】
また、炭素原子数1~6のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0031】
これらの中でも、R1としては、炭素原子数1~8のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0032】
一方、R2の炭素原子数1~12の2価炭化水素基の具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン基等の炭素原子数1~12の直鎖、分岐または環状のアルキレン基;フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン基等の炭素原子数6~12のアリーレン基、フェニレンメチレン、メチレンフェニレンメチレン基等の炭素原子数7~12のアラルキレン基などが挙げられる。
【0033】
これらの中でも、炭素原子数6~12のアリーレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
【0034】
(a)成分の具体例としては、下記式で示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、Meはメチル基を表す。
【化7】
【0035】
なお、式(1)で表される化合物は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0036】
<(b)成分>
(b)成分は、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有する多環式炭化水素である。
【0037】
(b)成分の付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有する多環式炭化水素としては、(i)多環式炭化水素の骨格を形成している炭素原子のうち、隣接する2つの炭素原子間に付加反応性炭素-炭素二重結合が形成されているもの、(ii)多環式炭化水素の骨格を形成している炭素原子に結合した水素原子が、付加反応性炭素-炭素二重結合含有基によって置換されているもの、(iii)多環式炭化水素の骨格を形成している炭素原子のうち、隣接する2つの炭素原子間に付加反応性炭素-炭素二重結合が形成されており、かつ、多環式炭化水素の骨格を形成している炭素原子に結合した水素原子が付加反応性炭素-炭素二重結合含有基によって置換されているもの等を用いることができる。
【0038】
上記多環式炭化水素の具体例としては、下記式(3)で表される5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、式(4)で表される6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等が挙げられ、これらは混合物として用いることもできる(以下、これらを区別する必要がない場合は、「ビニルノルボルネン」と総称することがある)。
【化8】
【0039】
なお、上記ビニルノルボルネンのビニル基の置換位置は、シス配置(エキソ型)またはトランス配置(エンド型)のいずれであってもよく、また、これらの配置の相違によって化合物の反応性等に特段の差異がないことから、両配置の異性体の組み合わせであってもよい。
【0040】
また、ビニルノルボルネン以外の上記多環式炭化水素の具体例としては、ジシクロペンタジエン及びその誘導体が挙げられる。
【0041】
(a)成分と(b)成分との付加反応生成物としては、特に限定されるものではないが、下記式(5)で表されるものが好ましく、特に、R
1がメチル基である下記式(6)で表されるものがより好ましい。
【化9】
(式中、R
1は上記と同じ意味を表し、n=0~10である。)
【0042】
(a)成分と(b)成分との付加反応生成物からなる骨格は、前記付加反応性炭素-炭素二重結合に由来する結合を有する二価の残基から構成される。例えば、上記式(5)で表される付加反応生成物からなる骨格は、下記の式で表される。
【化10】
(式中、R
1、nは上記と同じである。)
【0043】
このような多環式炭化水素およびフェニレン基を含有する付加反応生成物を主骨格とした化合物は、硬度、耐クラック性、耐熱性に優れる硬化物を与えるため、特に好適に用いることができる。
【0044】
(a)成分と(b)成分との付加反応生成物は、例えば、特開2005-133073号公報に記載の方法によって合成することができる。
【0045】
一例としては、(a)成分1モルに対し、(b)成分を1モル超10モル以下、好ましくは1モル超5モル以下の量で、ヒドロシリル化反応触媒の存在下で付加反応させることにより調製できる。
【0046】
この場合、ヒドロシリル化反応触媒としては、公知のものを使用することができ、その具体例としては、白金金属を担持したカーボン粉末、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒;パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属系触媒などが挙げられる。また、付加反応条件、溶媒の使用等については、特に限定されず公知のとおりとすればよい。
【0047】
上記反応では、(a)式(1)で表される化合物に対して過剰モル量の(b)多環式炭化水素を反応させることから、(A)成分の付加反応生成物は、(b)多環式炭化水素に由来する付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有することができる。
【0048】
<(c)成分>
(A)成分は、例えば、(a)成分と(b)成分との付加反応生成物の1分子中に2個(両末端に)存在する付加反応性炭素-炭素二重結合のいずれか一方、または両方と、(c)下記式(2)で表されるシロキサン化合物のSiH基とをヒドロシリル化反応させることにより得ることができる。
【化11】
(式中、R
1は、上記と同じ意味を表し、R
3は、水素原子またはメチル基のいずれかであり、R
4は、置換または非置換の炭素原子数1~8の二価炭化水素基である。)
【0049】
また、(A)成分は、まず(a)成分と(b)成分との付加反応により付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有するケイ素含有付加反応生成物を得て、次いで得られた生成物の分子両末端に存在する2つの付加反応性炭素-炭素二重結合の両方と、(c)成分のシロキサン化合物のSiH基とをヒドロシリル化反応させることにより得ることができる。
この場合、(A)成分は、付加反応性炭素-炭素二重結合を1分子中に2個有するケイ素含有付加反応生成物と、(c)上記式(2)で表されるシロキサン化合物との付加反応生成物である(メタ)アクリル基含有化合物であって、前記ケイ素含有付加反応生成物が、(a)前記Si-H基含有化合物と、(b)前記多環式炭化水素との付加反応生成物となる。本発明の(A)成分としては、このような(メタ)アクリル基を両方の分子末端に有する(メタ)アクリル基含有化合物が好ましい。
【0050】
(c)成分としては、例えば下記式(7)で表されるシロキサン化合物が挙げられる。
【化12】
(式中、R
3は水素原子またはメチル基のいずれかである。)
【0051】
ヒドロシリル化反応条件、溶媒の使用等については、特に限定されず公知のとおりとすればよい。
【0052】
<(d)成分>
また、(A)成分は、(a)成分と(b)成分との付加反応生成物の両末端に存在する付加反応性炭素-炭素二重結合の一方、または両方と、(d)下記式(8)で表される含ハロゲンシロキサン化合物のSiH基とをヒドロシリル化反応させ、次いで、水酸基型アクリル酸エステル化合物を反応させることによっても得ることができる。
R5
3-mXmSiH (8)
(式中、R5はそれぞれ独立に、付加反応性炭素-炭素二重結合を含まない炭素原子数1~6の1価炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子であり、mは1または2である。)
【0053】
Xのハロゲン原子の具体例としては、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、塩素が好ましい。
【0054】
R5の付加反応性炭素-炭素二重結合を含まない炭素原子数1~6の1価炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル基等のアルキル基;フェニル基が挙げられ、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
【0055】
(d)成分の具体例としては、下記式で表されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化13】
(式中、Phはフェニル基を表す。)
【0056】
水酸基型アクリル酸エステル化合物としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等が挙げられ、2-ヒドロキシアルキルアクリレートが好ましい。
【0057】
(A)成分の好ましい具体例としては、下記式で表されるもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化14】
(式中、n=0~10である。)
【0058】
(A)成分は、下記式(3)で表される化合物が特に好ましい。
【化15】
(式中、R
3は、水素原子またはメチル基のいずれかであり、n=0~10である。)
【0059】
(A)成分は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
[(B)成分]
(B)成分は(A)成分の(メタ)アクリル基等重合性官能基を重合させる重合開始剤であり、(B)成分としては、熱によりラジカルを発生させる有機過酸化物、もしくは紫外線等の光によりラジカルを発生させる光重合開始剤を用いることができる。
【0061】
(有機過酸化物)
有機過酸化物としては、組成物の保存安定性および硬化性の制御の点、ならびに量子ドットの耐熱温度の点から、10時間半減期温度が50~150℃の有機化過酸化物が好ましく、より好ましくは60~110℃の有機過酸化物である。
【0062】
有機過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエート、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、p-メチルベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジーテトラブチルパーオキシ-シクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,6-ビス(p-トルオイルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、ジ(4-メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサメチレンビスカーボネート、2,5-ジメトキシ-2,5―ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5―ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
【0063】
また、有機過酸化物は商業的にも入手でき、例えば、日油株式会社から入手することができる。具体的には、パーブチルNHP(50.6)、パーヘキシルPV(53.2)、パーブチルPV(54.6)、パーロイル355(59.4)、パーロイルL(61.6)、パーオクタO(65.3)、パーロイルSA(65.9)、パーヘキサ25O(66.2)、パーヘキシルO(69.9)、ナイパ-PMB(70.6)、パーブチルO(72.1)、ナイパーBMT(73.1)、ナイパーBW(73.6)、パーヘキサMC(83.2)、パーヘキサTMH(86.7)、パーヘキサHC(87.1)、パーヘキサC(90.7)、パーテトラA(94.7)、パーヘキシルI(95.0)、パーブチルMA(96.1)、パーブチル355(97.1)、パーブチルL(98.3)、パーブチルI(98.7)、パーブチルE(99.0)、パーヘキシルZ(99.4)、パーヘキサ25Z(99.7)、パーブチルA(101.9)、パーヘキサ22(103.1)、パーブチルZ(104.3)、パーヘキサV(104.5)、パーブチルP(119.2)、パークミルD(116.4)、パーヘキシルD(116.4)、パーヘキサ25B(117.9)、パーブチルC(119.5)、パーブチルD(123.7)、パーメンタH(128.0)、パーヘキシン25B(128.4)、パークミルP(145.1)などがある。なお、上記化合物名に続く括弧内の数字は、それぞれの10時間半減期温度(単位:℃)である。
【0064】
上記有機過酸化物のうち、(A)成分との相溶性および10時間半減期温度の観点から、好ましくは、2,5-ジメチル-2,5―ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(日油(株)製、パーヘキサ(登録商標)25O、10時間半減期温度66.2℃)である。
【0065】
これらの有機過酸化物は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
有機過酸化物の添加量は、有効量でよいが、通常、(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部、より好ましくは0.1~5質量部である。
【0067】
(光重合開始剤)
光重合開始剤の具体例としては、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチループロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチループロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0068】
上記光重合開始剤のうち、(A)成分との相溶性の観点から好ましくは、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(IGM Resins B.V製Omnirad 1173)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(IGM Resins B.V製Omnirad 819)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(IGM Resins B.V製Omnirad TPO H)である。
【0069】
これらの光重合開始剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
光重合開始剤の添加量は、硬化性の観点から、(A)成分100質量部に対して0.1~10質量部が好ましい。
【0071】
[その他の成分]
本発明のラジカル硬化型組成物には、硬化物の着色、白濁、酸化劣化等の発生を抑えるために、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等の公知の酸化防止剤を配合してもよい。また、光劣化に対する抵抗性を付与するために、ヒンダードアミン系安定剤等の光安定剤を配合してもよい。さらに、必要に応じて、強度を向上させるためにヒュームドシリカ等の無機質充填剤を配合してもよいし、染料、顔料、難燃剤等を配合してもよい。接着力を向上させるために接着助剤(シランカップリング剤等)を配合してもよい。
【0072】
また、本発明のラジカル硬化型組成物には、波長変換材料として蛍光体や量子ドットを配合してもよい。量子ドットは通常、平均粒径が20nm以下の粒子であり、光エネルギーを吸収・変換することができる。量子ドットはその粒径を変えることで光の色を調整することができる。粒径の大きさによりバンドギャップが決まるため、粒径を揃えることで色純度の高い光を得ることができる。
【0073】
量子ドットは、可視光域で放射するのもとしては、CdSやZnSe、ZnSのようなシェルを有するCdSe系粒子が挙げられる。また、InP、CuInS2、AgInS2、Te、PbS、InAsなどのカドミウムフリーの量子ドットも用いることができる。本発明では従来のいかなる種類の量子ドットも使用することができる。
【0074】
上述のように、一般に量子ドットには付加反応の触媒毒が含まれていることが多く、量子ドットのバインダー材料として付加硬化型の組成物を用いると硬化不良が発生する場合がある。さらに、量子ドットは耐熱性が低いため、付加硬化型材料の硬化条件には耐えることが困難である。
一方、本発明のラジカル硬化型シリコーン組成物は、ラジカル硬化により低温での硬化が可能であるため、付加硬化型組成物を用いた場合の上記問題点を回避でき、量子ドットのバインダー材料として有用である。
【0075】
[硬化物]
本発明は、上記ラジカル硬化型組成物の硬化物も提供する。
本発明のラジカル硬化型シリコーン組成物は、ラジカル硬化により低温での硬化が可能であり、本発明のラジカル硬化型組成物を硬化して得られる硬化物は優れた透明性と良好な硬度を有するため、LED素子の封止材や波長変換フィルター等の用途に有用である。
また、多環式炭化水素骨格を有する本発明のラジカル硬化型シリコーン組成物を光学素子用封止材料に用いると、得られる封止材料(硬化物)は、高いガスバリア性を有するため、外部からの腐食ガスの侵入を防ぐことができる。そして、水分に弱い量子ドットを封止するための材料としても有用である。
【0076】
[硬化方法および硬化条件]
本発明のラジカル硬化型組成物のうち、有機過酸化物を含有する熱ラジカル硬化タイプの硬化方法および硬化条件としては、公知の方法および条件を採用することができる。一例を挙げると、窒素雰囲気下、70~150℃において10分~5時間の条件で硬化させることができる。特に、重合開始剤が、10時間半減期温度50~150℃の有機過酸化物である場合は、より低温硬化が可能であり好ましい。
【0077】
また、光重合開始剤を含有する光硬化タイプのラジカル硬化型組成物については、紫外線等の光を照射することで硬化させることができる。紫外線の光源として、例えば、UVLEDランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアークランプ、及びキセノンランプ等が挙げられる。紫外線の照射量(積算光量)は、例えば、本発明の組成物を2.0mm程度の厚みに成形したシートに対して、好ましくは1~10,000mJ/cm2であり、より好ましくは10~9,000mJ/cm2である。即ち、照度100mW/cm2の紫外線を用いた場合、0.01~100秒程度紫外線を照射することで硬化させることができる。
【実施例】
【0078】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら制限するものではない。なお、以下において、反応生成物のFT-IR、NMR、およびGPCは常法により測定し、25℃における粘度は、B型回転式粘度計により測定した。
【0079】
[合成例1]
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた5Lの4つ口フラスコに、ビニルノルボルネン(商品名:V0062、東京化成工業(株)製;5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンと6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンとの略等モル量の異性体混合物)1,785g(14.88モル)、およびトルエン455gを加え、オイルバスを用いて85℃に加熱した。
これに5%質量の白金金属を担持したカーボン粉末3.6gを添加し、撹拌しながら1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン1,698g(8.75モル)を180分かけて滴下した。滴下終了後、110℃で24時間撹拌した後、25℃まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンを濾過して除去し、トルエンおよび過剰のビニルノルボルネンを減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物(ab-1)(25℃における粘度:12,820mPa・s)3,362gを得た。
反応生成物のFT-IR、NMR、およびGPC分析の結果、下記式(9)においてn=0の化合物が約41モル%、n=1の化合物が約32モル%、n=2の化合物が約27モル%の混合物であった。また、混合物中の付加反応性炭素-炭素二重結合の含有量は0.36モル/100gであった。
【化16】
【0080】
[合成例2]
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、合成例1で得られた(ab-1)200gをトルエン100gに溶解させ、ジブチルヒドロキシトルエン0.2gを添加し、オイルバスを用いて80℃に加熱した。これに六塩化白金1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサンのトルエン溶液(白金換算で0.5質量%)を0.15g添加し、撹拌しながら、下記式(10)で表されるオルガノハイドロジェンジシロキサン189.6gを滴下した。滴下終了後、95℃で2時間撹拌した後、トルエンを減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物(A-1)(25℃における粘度:870mPa・s)376.7gを得た。
【化17】
【0081】
[合成例3]
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた5Lの4つ口フラスコに、ビニルノルボルネン(商品名:V0062、東京化成工業(株)製;5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンと6-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンとの略等モル量の異性体混合物)270g(2.25モル)、およびトルエン2.5gを加え、オイルバスを用いて85℃に加熱した。
これに5%質量の白金金属を担持したカーボン粉末0.19gを添加し、撹拌しながら1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン174.5g(0.90モル)を滴下した。滴下終了後、110℃で24時間撹拌した後、25℃まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンを濾過して除去し、トルエンおよび過剰のビニルノルボルネンを減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物(ab-2)(25℃における粘度:1,710mPa・s)311gを得た。
反応生成物のFT-IR、NMR、およびGPC分析の結果、前記式(9)においてn=0の化合物が約74モル%、n=1の化合物が約21モル%、n=2の化合物が約5モル%の混合物であった。また、混合物中の付加反応性炭素-炭素二重結合の含有量は0.37モル/100gであった。
【0082】
[合成例4]
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた500mLの4つ口フラスコに、合成例3で得られた反応生成物(ab-2)50gをトルエン25gに溶解させ、ジブチルヒドロキシトルエン0.05gを添加し、オイルバスを用いて80℃に加熱した。これに六塩化白金1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサンのトルエン溶液(白金換算で0.5質量%)を0.025g添加し、撹拌しながら前記式(10)で表されるオルガノハイドロジェンジシロキサン48.7gを滴下した。滴下終了後、95℃で2時間撹拌した後、トルエンを減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物(A-2)(25℃における粘度:530mPa・s)90gを得た。
【0083】
[実施例1~4および比較例1、2]
前記合成例で得られた(ab-1)、(A-1)、(A-2)成分と、下記(B)成分とを、表1に示す配合量(数値は質量部を表す)でそれぞれ混合し、ラジカル硬化型組成物(熱硬化型及び紫外線硬化型)を調製した。
【0084】
(B)成分:
(有機過酸化物)
(B-1)パーヘキサ(登録商標)25O(日油(株)製、10時間半減期温度66.2℃)
(光重合開始剤)
(B-2)Omnirad 1173(IGM Resins B.V.社製)
【0085】
【0086】
実施例および比較例で得られた組成物を以下の方法で評価し、結果を表2に示した。
【0087】
[硬さ]
・熱硬化型
組成物を窒素雰囲気下で80℃の熱風循環式オーブンで2時間加熱することにより作製した厚さ2mmの硬化物の硬度について、23℃におけるタイプA硬度の測定を行った。
【0088】
・紫外線硬化型
組成物をアイグラフィックス(株)製アイUV電子制御装置(型式UBX0601-01)を用い、窒素雰囲気下、25℃で、波長365nmの紫外光での照射量が8,000mJ/cm2となるように紫外線を照射し、硬化させた2mm厚の硬化物の硬度について、23℃におけるタイプA硬度の測定を行った。
【0089】
[光透過率]
・熱硬化型
組成物を窒素雰囲気下で80℃の熱風循環式オーブンで2時間加熱することにより作製した厚さ2mmの硬化物の光透過率について、25℃における波長400nmの直進光の光透過率を分光光度計U-3900(日立ハイテクサイエンス社製)を用いてそれぞれ測定した。
【0090】
・紫外線硬化型
組成物をアイグラフィックス(株)製アイUV電子制御装置(型式UBX0601-01)を用い、窒素雰囲気下、25℃で、波長365nmの紫外光での照射量が8,000mJ/cm2となるように紫外線を照射し、硬化させた2mm厚の硬化物の光透過率について、25℃における波長400nmの直進光の光透過率を分光光度計U-3900(日立ハイテクサイエンス社製)を用いてそれぞれ測定した。
【0091】
【0092】
表2に示されるように、本発明のラジカル硬化型組成物を用いた実施例1~4では、低温かつ短時間で硬化し高い透明性を有している。一方、(メタ)アクリル基を有しない組成物を用いた比較例1~2では、上記硬化条件において硬化が起こらなかった。
【0093】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。