(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】電源制御回路及び低電力デバイス
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20240327BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H02J7/35 J
H02J1/00 304E
H02J7/35 B
(21)【出願番号】P 2020043688
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】白川 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕樹
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-084434(JP,A)
【文献】特開2019-103305(JP,A)
【文献】特開2019-041504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流の発電部に並列に接続されるコンデンサから負荷回路への間欠的な給電を制御する電源制御回路であって、
前記コンデンサの第1の端子と前記負荷回路の対応する入力端子との間に接続される第1のスイッチと、
前記コンデンサの前記第1の端子と第2の端子間に接続され、中間にノードを有するとともに、前記第1の端子と前記ノードとの間に1個または複数個のダイオードを有し、前記コンデンサの端子間電圧が第1のしきい値以上になると前記ダイオードが順方向で導通して前記ノードの電圧が前記第1のしきい値より低い第2のしきい値以上になる非線形バイパス回路と、
前記非線形バイパス回路の前記ノードに接続されるとともに、前記第1のスイッチの入力側の端子または出力側の端子に第2のスイッチを介して接続される電圧入力端子と、前記第1および第2のスイッチのオン・オフを制御するための制御信号を出力する制御出力端子とを有し、前記コンデンサの端子間電圧を動作電圧とするスイッチ制御回路と、
を具備し、
前記スイッチ制御回路は、前記第1および第2のスイッチがオフ状態の下で前記コンデンサの端子間電圧が前記第1のしきい値以上になってから前記第1および第2のスイッチをオンにし、前記第1および第2のスイッチがオン状態の下で前記コンデンサの端子間電圧が前記第1のしきい値より低い第3のしきい値以下になってから前記第1および第2のスイッチをオフにする、
電源制御回路。
【請求項2】
前記非線形バイパス回路は、前記ノードと前記コンデンサの前記第2の端子との間に第1の抵抗を有する、請求項1に記載の電源制御回路。
【請求項3】
前記スイッチ制御回路は、前記コンデンサの端子間電圧を動作電圧とし、その入力端子が前記電圧入力端子を構成し、その出力端子が前記制御出力端子を構成し、その反転しきい値が前記第2のしきい値と同じ値である第1のインバータを有する、請求項1または請求項2に記載の電源制御回路。
【請求項4】
前記第1のインバータは、前記コンデンサの前記第1および第2の端子間で直列に接続される第1導電型の第1のMOSトランジスタおよび第2導電型の第2のMOSトランジスタを有し、
前記第1のMOSトランジスタは、そのソースが前記コンデンサの前記第1の端子に接続され、そのドレインが前記制御出力端子に接続され、そのゲートが前記電圧入力端子に接続され、
前記第2のMOSトランジスタは、そのソースが前記コンデンサの前記第2の端子に接続され、そのドレインが前記制御出力端子に接続され、そのゲートが前記電圧入力端子に接続される、
請求項3に記載の電源制御回路。
【請求項5】
前記第1のスイッチは、そのソースが前記コンデンサの前記第1の端子に接続され、そのドレインが前記負荷回路の前記入力端子に接続され、そのゲートが前記スイッチ制御回路の前記制御出力端子に接続される第1導電型の第3のMOSトランジスタを有する、請求項4に記載の電源制御回路。
【請求項6】
前記スイッチ制御回路は、そのソースが前記コンデンサの前記第2の端子に接続され、そのドレインが前記負荷回路の前記入力端子に接続され、そのゲートが前記スイッチ制御回路の前記制御出力端子に接続される第2導電型の第4のMOSトランジスタを有する、請求項5に記載の電源制御回路。
【請求項7】
前記第2のスイッチは、そのソースが前記コンデンサの前記第1の端子に接続され、そのドレインが前記スイッチ制御回路の前記電圧入力端子に接続され、そのゲートが前記スイッチ制御回路の前記制御出力端子に接続される第1導電型の第5のMOSトランジスタを有する、請求項4~6のいずれか一項に記載の電源制御回路。
【請求項8】
前記第2のスイッチは、そのソースが前記コンデンサの前記第1の端子に接続され、そのドレインが前記スイッチ制御回路の前記電圧入力端子に接続される第1導電型の第5のMOSトランジスタを有し、
前記スイッチ制御回路は、その入力端子が前記第1のスイッチの出力側の端子に接続され、その出力端子が前記第5のMOSトランジスタのゲートに接続され、前記コンデンサの端子間電圧を動作電圧とする第2のインバータを有する、
請求項5または請求項6に記載の電源制御回路。
【請求項9】
前記第2のインバータは、前記コンデンサの前記第1および第2の端子間で直列に接続される第1導電型の第6のMOSトランジスタおよび第2導電型の第7のMOSトランジスタを有し、
前記第6のMOSトランジスタは、そのソースが前記コンデンサの前記第1の端子に接続され、そのドレインが前記第5のMOSトランジスタのゲートに接続され、そのゲートが前記第1のスイッチの出力側の端子に接続され、
前記第7のMOSトランジスタは、そのソースが前記コンデンサの前記第2の端子に接続され、そのドレインが前記第5のMOSトランジスタのゲートに接続され、そのゲートが前記第1のスイッチの出力側の端子に接続される、
請求項8に記載の電源制御回路。
【請求項10】
直流の発電部に並列に接続される主コンデンサから負荷回路への間欠的な給電を制御する電源制御回路であって、
前記主コンデンサの第1の端子と前記負荷回路の対応する入力端子との間に接続される第1のスイッチと、
中間のノードと、前記主コンデンサの前記第1の端子と前記ノードとの間に接続される1個または複数個のダイオードと、前記ノードと前記第1のスイッチの出力側の端子との間に接続されるバイパスコンデンサとを有し、前記主コンデンサの端子間電圧
が第1のしきい値以上になると前記ダイオードが順方向で導通して前記ノードの電圧が前記第1のしきい値より低い第2のしきい値以上になる非線形バイパス回路と、
前記非線形バイパス回路の前記ノードに接続されるとともに、前記第1のスイッチの入力側の端子または出力側の端子に第2のスイッチを介して接続される電圧入力端子と、前記第1および第2のスイッチのオン・オフを制御するための制御信号を出力する制御出力端子とを有し、前記
主コンデンサの端子間電圧を動作電圧とするスイッチ制御回路と、
を具備し、
前記スイッチ制御回路は、前記第1および第2のスイッチがオフ状態の下で前記主コンデンサの端子間電圧が前記第1のしきい値以上になってから前記第1および第2のスイッチをオンにし、前記第1および第2のスイッチがオン状態の下で前記主コンデンサの端子間電圧が前記第1のしきい値より低い第3のしきい値以下になってから前記第1および第2のスイッチをオフにする、
電源制御回路。
【請求項11】
前記スイッチ制御回路は、前記第2のスイッチの制御端子と前記
主コンデンサの前記第1の端
子との間に接続されている第2の抵抗を有する、請求項
10に記載の電源制御回路。
【請求項12】
前記スイッチ制御回路は、前記
主コンデンサの端子間電圧を動作電圧とし、その入力端子が前記電圧入力端子を構成し、その出力端子が前記制御出力端子を構成し、その反転しきい値が前記第2のしきい値と同じ値であるインバータを有する、請求項10に記載の電源制御回路。
【請求項13】
前記スイッチ制御回路は、前記コンデンサ
または前記主コンデンサの端子間電圧を動作電圧とし、その入力端子が前記電圧入力端子を構成し、その出力端子が前記制御出力端子を構成し、その一方の反転しきい値が前記第3のしきい値と同じ値であるヒステリシス・インバータを有する、請求項1または請求項10に記載の電源制御回路。
【請求項14】
直流の発電部に並列に接続されるコンデンサから負荷回路への間欠的な給電を制御する電源制御回路であって、
中間のノードと、前記コンデンサ
の第1の端子と前記ノードとの間に接続される少なくとも1個のダイオードとを有し、前記コンデンサの端子間電圧が第1のしきい値以上になると前記ダイオードが順方向で導通して前記ノードの電圧が前記第1のしきい値より低い第2のしきい値以上になる非線形バイパス回路を有し、
前記コンデンサの端子間電圧を動作電圧とし、前記ノードの電圧の前記第2のしきい値を基準とする論理レベルの変化に応じて前記負荷回路への給電を開始し、前記コンデンサの端子間電圧または前記負荷回路の入力電圧の前記第1のしきい値より低い第3のしきい値を基準とする論理レベルの変化に応じて前記負荷回路への給電を停止する、
電源制御回路。
【請求項15】
所与の環境エネルギーを電力に変換して直流の電流を出力する発電部と、
前記発電部の出力端子に並列に接続されるコンデンサと、
一定の動作を間欠的に行うことができる負荷回路と、
前記コンデンサから前記負荷回路への間欠的な給電を制御する請求項1~14のいずれかに記載の電源制御回路と
を有する低電力デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電部から負荷回路への給電を制御する電源制御回路に係り、特に低電力デバイス用の電源制御回路および低電力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光や熱、振動、電波等の身の回りにあるエネルギーを電力に変換する環境発電(エネルギーハーベスト)が注目されている。環境発電を利用するデバイスは、概して発電部(ハーベスタ)の起電力が微弱で不安定であるため、発電部と並列にコンデンサを接続して、発電部より出力される電力をいったんコンデンサに蓄えてから所要の電圧で負荷回路に供給するようにしている。
【0003】
このような低電力のデバイスに用いられる電源制御回路は、基本的には、コンデンサの端子間電圧VCについて2つのしきい値VTH,VTLを設定し、端子間電圧VCが高い方のしきい値VTH以上になるとコンデンサの放電(負荷回路への給電)を開始し、端子間電圧VCが低い方のしきい値VTL以下になるとコンデンサの放電を停止して充電に切り替えるようになっている。
【0004】
そのような充放電を繰り返し行うには、コンデンサの端子間電圧VCが高い方のしきい値VTH以上になるタイミングおよび低い方のしきい値VTL以下になるタイミングを監視する必要がある。このために、従来の電源制御回路はヒステリシス・コンパレータを用いている(たとえば特許文献1)。
【0005】
この場合、ヒステリシス・コンパレータは、一方の入力端子(たとえば正極側入力端子)にはコンデンサと並列に接続される抵抗分圧回路より分圧電圧が入力され、他方の入力端子(負極側入力端子)には基準電圧生成回路より比較基準電圧VREFが入力される。かかるヒステリシス・コンパレータには、ヒステリシス幅を2αとすると、それぞれVREF+α,VREF-αと表される2つのしきい値が設定される。そこで、コンデンサの端子間電圧VCがVTH,VTLのときに抵抗分圧回路より上記しきい値VREF+α,VREF-αに等しい分圧電圧がそれぞれ得られるようにする。そうすると、ヒステリシス・コンパレータは、コンデンサ端子間電圧VCがVTH以上になるとHighレベルの二値信号を出力し、コンデンサ端子間電圧VCがVTL以下になるとLowレベルの二値信号を出力する。この二値信号を用いて、コンデンサと負荷回路との間に直列に接続されているスイッチをオン・オフ制御することにより、コンデンサの放電および充電を適確に切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように環境発電が近年頓に注目されているのは、それがIoT(Internet of Things)の中核技術であるからである。IoTの分野では、消費電力を環境発電によって自ら賄うことができる電池不要の低電力デバイスが希求されている。
【0008】
そのような電池不要の低電力デバイスのパワーマネジメント回路として用いられる電源制御回路は、発電部の発電量が微弱であってもそれを効率よく長時間安定に負荷回路に供給できるものでなければならない。しかるに、上記のような従来の電源制御回路は、ヒステリシス・コンパレータ内の利得回路や周辺の基準電圧生成回路および抵抗分圧回路等で自ら多量の電力を消費するため、環境エネルギーから生成される微弱な電力を所要の動作電圧で負荷回路へ長時間安定に供給することは不可能であり、電池不使用の低電力デバイスには適合できない。
【0009】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するものであり、発電部の発電量が微弱であっても負荷回路に所要の動作電圧を長時間安定して供給することができる電源制御回路およびこれを有する低電力デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点における電源制御回路は、直流の発電部に並列に接続されるコンデンサから負荷回路への間欠的な給電を制御する電源制御回路であって、前記コンデンサの第1の端子と前記負荷回路の対応する入力端子との間に接続される第1のスイッチと、前記コンデンサの前記第1の端子と第2の端子間に接続され、中間にノードを有するとともに、前記第1の端子と前記ノードとの間に1個または複数個のダイオードを有し、前記コンデンサの端子間電圧が第1のしきい値以上になると前記ダイオードが順方向で導通して前記ノードの電圧が前記第1のしきい値より低い第2のしきい値以上になる非線形バイパス回路と、前記非線形バイパス回路の前記ノードに接続されるとともに、前記第1のスイッチの入力側の端子または出力側の端子に第2のスイッチを介して接続される電圧入力端子と、前記第1および第2のスイッチのオン・オフを制御するための制御信号を出力する制御出力端子とを有し、前記コンデンサの端子間電圧を動作電圧とするスイッチ制御回路とを具備し、前記スイッチ制御回路は、前記第1および第2のスイッチがオフ状態の下で前記コンデンサの端子間電圧が前記第1のしきい値以上になってから前記第1および第2のスイッチをオンにし、前記第1および第2のスイッチがオン状態の下で前記コンデンサの端子間電圧が前記第1のしきい値より低い第3のしきい値以下になってから前記第1および第2のスイッチをオフにする。
【0011】
上記構成の電源制御回路おいては、スイッチ制御回路の制御により第1および第2のスイッチがオフ状態にある間は、発電部の出力電流がコンデンサに流れ込み、コンデンサの充電量が増すにつれてコンデンサの端子間電圧が上昇する。この時、コンデンサの端子間電圧は非線形バイパス回路に印加され、端子間電圧が上昇するにつれてダイオードに印加される電圧も高くなる。しかし、ダイオードの非線形特性により、コンデンサの端子間電圧が第1のしきい値に至るまでは、ダイオードは実質的に不導通の状態を保ち、ノードの電圧はグランド電位付近に留まっている。この時、第2のスイッチがオフ状態にあるため、スイッチ制御回路の電圧入力端子には非線形バイパス回路からのノード電圧が入力されている。
【0012】
そして、コンデンサの端子間電圧が第1のしきい値以上になると、非線形バイパス回路では、ダイオードが順方向で実質的な導通を開始して、ノード電圧が第2のしきい値以上になる。すると、スイッチ制御回路は、この時点で電圧入力端子に入力している電圧つまりノード電圧が第2のしきい値を超えたので、それに応動して第1および第2のスイッチをオンにする。
【0013】
第1のスイッチがオンすると、このスイッチを介してコンデンサが負荷回路とつながり、コンデンサから負荷回路への放電(給電)が開始される。一方、第2のスイッチがオンすると、この第2のスイッチを介して第1のスイッチの入力側の端子または出力側の端子がスイッチ制御回路の電圧入力端子につながる。これにより、該電圧入力端子に入力される電圧は、ノード電圧からコンデンサの端子間電圧に切り替わる。非線形バイパス回路においては、ダイオードの導通が止まり、ノード電圧はコンデンサの端子間電圧になる。
【0014】
上記のようにコンデンサが放電(給電)している間は、コンデンサ端子間電圧が次第に低下し、やがて第3のしきい値以下になる。すると、スイッチ制御回路は、この時点で電圧入力端子に入力している電圧つまりコンデンサ端子間電圧が第3のしきい値を割ったので、それに応動して第1および第2のスイッチをオフにする。
【0015】
第1のスイッチがオフすると、このスイッチによってコンデンサが負荷回路から分離されて、放電が止まり、発電部の出力電流がコンデンサに流れ込むようになる(充電が再開される)。一方、第2のスイッチがオフすると、このスイッチによってスイッチ制御回路の電圧入力端子が第1のスイッチの入力側の端子(つまりコンデンサの第1の端子)または出力側の端子(つまり負荷回路の対応入力端子)から分離される。これにより、スイッチ制御回路の電圧入力端子に入力される電圧は、コンデンサの端子間電圧からノード電圧に切り替わる。以後も上記と同様の充放電動作が繰り返される。
【0016】
本発明の第2の観点における電源制御回路は、直流の発電部に並列に接続される主コンデンサから負荷回路への間欠的な給電を制御する電源制御回路であって、前記主コンデンサの第1の端子と前記負荷回路の対応する入力端子との間に接続される第1のスイッチと、中間のノードと、前記主コンデンサの前記第1の端子と前記ノードとの間に接続される1個または複数個のダイオードと、前記ノードと前記第1のスイッチの出力側の端子との間に接続されるバイパスコンデンサとを有し、前記主コンデンサの端子間電圧が第1のしきい値以上になると前記ダイオードが順方向で導通して前記ノードの電圧が前記第1のしきい値より低い第2のしきい値以上になる非線形バイパス回路と、前記非線形バイパス回路の前記ノードに接続されるとともに、前記第1のスイッチの入力側の端子または出力側の端子に第2のスイッチを介して接続される電圧入力端子と、前記第1および第2のスイッチのオン・オフを制御するための制御信号を出力する制御出力端子とを有し、前記主コンデンサの端子間電圧を動作電圧とするスイッチ制御回路と、を具備し、前記スイッチ制御回路は、前記第1および第2のスイッチがオフ状態の下で前記主コンデンサの端子間電圧が前記第1のしきい値以上になってから前記第1および第2のスイッチをオンにし、前記第1および第2のスイッチがオン状態の下で前記主コンデンサの端子間電圧が前記第1のしきい値より低い第3のしきい値以下になってから前記第1および第2のスイッチをオフにする。
【0017】
上記構成の電源制御回路においても、充放電の制御に関して上記第1の観点における電源制御回路と同様の動作が行われる。さらに、この電源制御回路では、非線形バイパス回路内に中間のノードを介してダイオードと直列にバイパスコンデンサが設けられる。主コンデンサの充電中に非線形バイパス回路を流れる電流はバイパスコンデンサにより静電エネルギーに変換される。そして、主コンデンサの端子間電圧が第1のしきい値以上になって、第1および第2のスイッチがオンすると、主コンデンサが第1のスイッチを介して負荷回路側へ放電するのと同時に、バイパスコンデンサが第2のスイッチを介して主コンデンサ側へ放電する。バイパスコンデンサからの放電電流は、主コンデンサにいったん吸収されたうえで、あるいは主コンデンサからの放電電流に合流して、第1のスイッチを介して負荷回路側へ供給される。
【0018】
本発明の第3の観点における電源制御回路は、直流の発電部に並列に接続されるコンデンサから負荷回路への間欠的な給電を制御する電源制御回路であって、中間のノードと、前記コンデンサの前記第1の端子と前記ノードとの間に接続される少なくとも1個のダイオードとを有し、前記コンデンサの端子間電圧が第1のしきい値以上になると前記ダイオードが順方向で導通して前記ノードの電圧が前記第1のしきい値より低い第2のしきい値以上になる非線形バイパス回路を有し、前記コンデンサの端子間電圧を動作電圧とし、前記ノードの電圧の前記第2のしきい値を基準とする論理レベルの変化に応じて前記負荷回路への給電を開始し、前記コンデンサの端子間電圧または前記負荷回路の入力電圧の前記第1のしきい値より低い第3のしきい値を基準とする論理レベルの変化に応じて前記負荷回路への給電を停止する。
【0019】
上記構成の電源制御回路においては、コンデンサの充電中にコンデンサの端子間電圧が非線形バイパス回路に印加されるが、ダイオードの非線形特性により、コンデンサの端子間電圧が第1のしきい値に至るまでは、ダイオードは実質的に不導通の状態を保つため、非線形バイパス回路に流れる電流は極わずかであり、コンデンサの充電が効率的に行われる。そして、コンデンサの端子間電圧が第1のしきい値以上になると、ここで第2のしきい値を基準とするノード電圧の論理レベルが変わるので、これに応動して負荷回路への給電(コンデンサの放電)を開始する。
【0020】
負荷回路への給電(放電)中は、コンデンサの端子間電圧および負荷回路の入力電圧が次第に低下し、やがて第3のしきい値以下になるとその論理レベルが変わるので、これに応動して負荷回路への給電(放電)を停止する。これによって、コンデンサの充電が再開される。以後も上記と同様の充放電動作が繰り返される。
【0021】
本発明の低電力デバイスは、所与の環境エネルギーを電力に変換して直流の電流を出力する発電部と、前記発電部の出力端子に並列に接続されるコンデンサと、一定の動作を間欠的に行うことの可能な負荷回路と、前記コンデンサから前記負荷回路への間欠的な給電を制御する本発明の電源制御回路とを有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電源制御回路は、上記のような構成により、発電部の発電量が微弱であっても負荷回路に所要の動作電圧を長時間安定して供給することが可能であり、特にIoTデバイスのような環境発電で動作する低電力デバイスに好適に適合することができる。
また、本発明の低電力デバイスは、上記のような構成により、発電部の発電量が微弱であっても長時間安定して正しく動作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】環境発電を利用する低電力デバイスに適用した本発明の第1の実施形態における電源制御回路の回路構成を示す回路図である。
【
図2】
図1の低電力デバイスにおける負荷回路の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態における電源制御回路の作用を説明するための各部の波形を示す波形図である。
【
図4】第1の実施形態における電源制御回路の作用(
図3の場合よりも発電量が低下した場合の作用)を説明するための各部の波形を示す波形図である。
【
図5】第2の実施形態における電源制御回路の構成を示す回路図である。
【
図6】第3の実施形態における電源制御回路の構成を示す回路図である。
【
図7】実施形態の一変形例の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
[実施形態1]
【0025】
図1に、本発明の第1の実施形態における電源制御回路10(1)の回路構成を示す。この電源制御回路10(1)は、環境発電を利用して動作する低電力デバイスたとえばIoTデバイスにおいて発電部12から負荷回路14への給電を制御するパワーマネジメント回路として構成されている。
【0026】
発電部12は、所与の環境エネルギーたとえば光,熱、振動、電波等を光発電、熱電発電、振動発電、電磁波発電等により電力に変換するハーベスタからなり、出力端子12+,12-より直流の電流IHを出力するように構成されている。通常、発電部12の負極側の出力端子12-および負荷回路14の負極側の入力端子14-は接地される。
【0027】
発電部12の出力端子12+,12-には、たとえば1μF以上の静電容量を有するコンデンサ16が並列に接続される。このコンデンサ16は、発電部12より出力される電流IHをいったん静電エネルギーに変えて蓄えてから、その静電エネルギーの電力を電源制御回路10(1)の給電制御によって負荷回路14に放出または放電するようになっている。負荷回路14からみると、コンデンサ16が直接の電力供給源である。
【0028】
電源制御回路10(1)は、2つのスイッチ18,20、非線形バイパス回路22およびスイッチ制御回路24を有している。
【0029】
第1のスイッチ18は、コンデンサ16の一方の端子(この例では正極側端子)16+と負荷回路14の対応する入力端子(正極側入力端子)14+との間に接続される。この実施形態におけるスイッチ18はPMOSトランジスタからなり、その入力側の端子(ソース)がコンデンサ16の正極側端子16+に接続され、その出力側の端子(ドレイン)が負荷回路14の正極側入力端子14+に接続され、その制御端子(ゲート)がスイッチ制御回路24の制御出力端子24OUTに接続される。スイッチ(PMOSトランジスタ)18のオン・オフを左右するゲート電圧のしきい値またはオン・オフしきい値VT18は、スイッチ制御回路24の後述する反転しきい値VT30より低い値(VT18<VT30)に設定される。
【0030】
スイッチ18は、スイッチ制御回路24の制御の下で充放電切替スイッチとして機能する。より詳しくは、スイッチ18がオンしているときは、コンデンサ16がスイッチ18を介して負荷回路14側に放電し、コンデンサ16の端子間電圧VCが動作電圧VWとして負荷回路14に供給される。スイッチ18がオフしているときは、コンデンサ16は、スイッチ18によって負荷回路14から分離または遮断され、発電部12の出力電流IHによって充電される。
【0031】
第2のスイッチ20は、コンデンサ16の正極側端子16+またはスイッチ18の入力側の端子とスイッチ制御回路24の電圧入力端子24INとの間に接続される。この実施形態におけるスイッチ20はPMOSトランジスタからなり、その入力側の端子(ソース)がコンデンサ16の正極側端子16+またはスイッチ18の入力側の端子に接続され、その出力側の端子(ドレイン)がスイッチ制御回路24の電圧入力端子24INに接続され、その制御端子(ゲート)がスイッチ制御回路24の制御出力端子24OUTに接続される。スイッチ(PMOSトランジスタ)20のオン・オフしきい値VT20もスイッチ制御回路24の反転しきい値VT30より低い値(VT20<VT30)に設定される。
【0032】
スイッチ20は、スイッチ制御回路24の制御の下でスイッチ制御回路24に対する入力電圧切替スイッチとして機能する。より詳しくは、スイッチ20がオンしているときは、コンデンサ16の端子間電圧VCがスイッチ20を介してスイッチ制御回路24の電圧入力端子24INに入力される。スイッチ20がオフしているときは、コンデンサ16の正極側端子16+がスイッチ20によって電圧入力端子24INから分離または遮断され、電圧入力端子24INに入力される電圧VAは非線形バイパス回路22からの後述するノード電圧VN22に切り替わる。
【0033】
非線形バイパス回路22は、コンデンサ16の両端子16+,16-間に接続されている。非線形バイパス回路22は、中間にノードN22を有し、コンデンサ16の正極側端子16+とノードN22との間に各々のアノードを正極側端子16+に向けて1個または複数(n)個のダイオードD1‥‥Dnを直列に接続し、ノードN22とコンデンサ16の負極側端子16-との間に1個の抵抗R22を接続している。各ダイオードD1‥‥Dnのしきい値電圧Vfは、好ましくは同一の値に選ばれる。抵抗R22には、MΩオーダの高抵抗が選ばれる。
【0034】
ダイオードは非線形二端子素子であり、印加電圧が一定のしきい値電圧Vfより低いときは実質的に非導通の状態を保ち、流れる電流は極わずかであるが、印加電圧がしきい値電圧Vfを超えると導通する。
【0035】
この非線形バイパス回路22においては、ダイオードD1‥‥Dnが実質的に非導通の状態を保っている間は、抵抗R22を流れる電流(以下「バイパス電流」と称する。)I22が極小さく、ノードN22の電圧つまりノード電圧VN22はグランド電位付近に留まっている。しかし、コンデンサ16の充電量が増してその端子間電圧VCが上昇すると、ダイオードD1‥‥Dnの印加電圧も高くなる。そして、コンデンサ16の端子間電圧VCが所定の第1のしきい値(以下、「給電開始用しきい値」と称する。)VTH以上になると、ダイオードD1‥‥Dnが導通して、ノード電圧VN22が所定の第2のしきい値(以下、「ノード電圧しきい値」と称する。)VTN以上になる。このノード電圧しきい値VTNは、給電開始用しきい値VTH、ダイオードD1‥‥Dnのしきい値電圧Vfおよび個数(n)に依存し、VTN=VTH-n・Vfで与えられる。
【0036】
スイッチ制御回路24は、コンデンサ16の端子間電圧VCを動作電圧とするインバータ30を有している。このインバータ30は、好ましくはCMOSインバータであり、PMOSトランジスタ26およびNMOSトランジスタ28で構成されている。より詳しくは、PMOSトランジスタ26は、そのソースがコンデンサ16の正極側端子16+に接続され、そのドレインが制御出力端子24OUTに接続され、そのゲートが電圧入力端子24INに接続される。一方、NMOSトランジスタ28は、そのソースがコンデンサ16の負極側端子16-に接続され、そのドレインが制御出力端子24OUTに接続され、そのゲートが電圧入力端子24INに接続される。両MOSトランジスタ26,28のしきい値VT26,VT28は同じ値に設定され、CMOSインバータ30の反転しきい値VT30はVT30=VT26=VT28である。
【0037】
この電源制御回路10(1)においては、後述するように、充電中にコンデンサ16の端子間電圧VCが給電開始用しきい値VTH以上になってからコンデンサ16の放電(負荷回路14への給電)を開始し、給電中に端子間電圧VCが所定の第3のしきい値(以下、「給電停止用しきい値」と称する。)VTL以下になるとコンデンサ16の放電(給電)を停止して充電に切り替え、充放電動作を繰り返し行う。この繰り返しの充放電動作において、負荷回路14には、コンデンサ16がスイッチ18を介して負荷回路14側に放電している間だけ、コンデンサ16の端子間電圧VCが動作電圧VWとして入力される。
【0038】
負荷回路14は、本低電力デバイスの主機能を担い、上記のように間欠的に入力される動作電圧V
Wの下で所要の間欠動作を行うようになっている。たとえば、本低電力デバイスがセンサモジュールである場合は、
図2に示すように、負荷回路14はセンサ素子32が接続されている送信回路34を有している。この送信回路34は、発振回路を含み、コンデンサ16より電源制御回路10(1)を介して動作電圧V
Wを供給される時だけ発振回路を発振動作させて、出力トランジスタ36およびアンテナ38を通じて所要のデータ(センサ情報)を無線で送信出力する。動作電圧V
Wが入力されない時は待機モードになり、送信回路34は動作しない。
【0039】
この実施形態においては、スイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)の反転しきい値VT30が給電停止用しきい値VTLと同じ値(VT30=VTL)に設定される。一方で、給電開始用しきい値VTHとノード電圧しきい値VTNとの間には、上記のようにVTN=VTH-n・Vfの関係がある。そこで、好適な一態様として、給電開始用しきい値VTHと給電停止用しきい値VTLおよび反転しきい値VT30との間に、前者(VTH)が後者(VTL,VT30)よりn・Vf以上高い関係、すなわちVTH≧VTL+n・Vf,VTH≧VT30+n・Vfの関係あるいはVTL≦VTH-n・Vf,VT30≦VTH-n・Vfの関係が設定される。その場合、ノード電圧しきい値VTNは、給電停止用しきい値VTLおよび反転しきい値VT30と同じかそれらより高い値(VTN≧VTL,VTN≧V30L)になる。
【0040】
次に、
図3および
図4の波形図を参照して、この実施形態における電源制御回路10(1)の作用を説明する。
【0041】
なお、以下の説明では、ノード電圧しきい値V
TN、給電停止用しきい値V
TL、および反転しきい値V
T30の間に、それらすべてが同じ値、つまりV
TN=V
TL=V
T30(ただし、V
TN=V
TH-n・V
f)の関係が設定されているものとする。また、
図3および
図4に示す各部の波形は、コンデンサ16の端子間電圧V
Cが給電開始用しきい値V
THまで上昇した時から両スイッチ18,20のスイッチング・オンが完了するまでの遅延時間、およびコンデンサ16の端子間電圧V
Cが給電停止用しきい値V
TLまで下がった時から両スイッチ18,20のスイッチング・オフが完了するまでの遅延時間を無視している。
【0042】
図3において、本低電力デバイスが電力源として利用する環境エネルギーのエネルギーが一定である時は、発電部12で生成される直流の電流I
Hはある一定の電流量で出力される。
【0043】
コンデンサ16は発電部12の出力電流IHによって充電され、その充電量が増すにつれてコンデンサ16の端子間電圧VCが上昇する。そして、コンデンサ16の端子間電圧VCがスイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)および負荷回路14の動作に必要な最小値つまり給電停止用しきい値VTLを超えると、電源制御回路10(1)がイネーブル状態となり、両スイッチ(PMOSトランジスタ)18,20はそれぞれオフ状態に初期化される。この時、スイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)の電圧入力端子24INには、非線形バイパス回路22からのノード電圧VN22が略グランド電位で入力される。スイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)内では、PMOSトランジスタ26がオン状態、NMOSトランジスタ28がオフ状態で、制御出力端子24OUTの電圧(制御出力信号)VBはコンデンサ端子間電圧VC(≧VTL)であり、両スイッチ18,20に対してHighレベルである。
【0044】
コンデンサ16の端子間電圧VCは非線形バイパス回路22にも印加され、端子間電圧VCが上昇するにつれてダイオードD1‥‥Dnの印加電圧も高くなる。しかし、上記のようなダイオードの非線形特性により、コンデンサ16の端子間電圧VCが給電開始用しきい値VTHに至るまでは、ダイオードD1‥‥Dnは実質的に不導通の状態を保ち、バイパス電流I22は極小さい。こうしてコンデンサ16は発電部12の出力電流IHを効率よく引き込む。
【0045】
そして、コンデンサ16の端子間電圧VCが給電開始用しきい値VTHまで上昇すると、非線形バイパス回路22内では、ダイオードD1‥‥Dnが実質的な導通を開始して、ノード電圧VN22がノード電圧しきい値VTN(VTN=VTH-n・Vf)になり、実質的なバイパス電流I22が流れるようになる。こうして、コンデンサ16の端子間電圧VCが給電開始用しきい値VTH以上になると、ノード電圧VN22はノード電圧しきい値VTN以上つまりスイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)の反転しきい値VT30以上になる。
【0046】
この時、スイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)の電圧入力端子24INに入力されている電圧VAはノード電圧VN22であり、このノード電圧VN22が上記のようにノード電圧しきい値VTN以上つまり反転しきい値VT30以上になることによって、スイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)の出力(制御信号)VBの論理レベルが反転する。すなわち、スイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)においては、PMOSトランジスタ26がそれまでのオン状態からオフ状態に変わると同時に、NMOSトランジスタ28がそれまでのオフ状態からオン状態に変わり、出力(制御信号)VBがコンデンサ端子間電圧VC(Highレベル)からグランド電位(Lowレベル)に変わる。
【0047】
こうしてスイッチ制御回路24より出力される制御信号VBがコンデンサ端子間電圧VC(Highレベル)からグランド電位(Lowレベル)に変わると、それを制御端子(ゲート)に受ける両スイッチ(PMOSトランジスタ)18,20がオンする。
【0048】
スイッチ18がオンすると、このスイッチ18を介してコンデンサ16から負荷回路14への放電(給電)が開始される。ここで、スイッチ18の電圧降下は無視できるほど小さく、コンデンサ16の端子間電圧VCが実質的にそのまま動作電圧VWとして負荷回路14に入力される。負荷回路14内では、入力される動作電圧VWの下で各部が動作を開始し、送信回路34は内部の発振回路を発振動作させてセンサ情報を送信出力する。
【0049】
一方、スイッチ20がオンすると、コンデンサ16の正極側端子16+がスイッチ20を介してスイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)の電圧入力端子24INおよび非線形バイパス回路22のノードN22につながる。そうすると、スイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)では、入力電圧VAが反転しきい値VT30より十分高くなって(VA=VC)、PMOSトランジスタ26のオフ状態およびNMOSトランジスタ28のオン状態が確立し、制御出力端子24OUTの電圧(制御信号)VBがグランド電位(Lowレベル)に保たれる。こうして両スイッチ18,20のオン状態が保持される。
【0050】
非線形バイパス回路22においては、コンデンサ16の正極側端子16+とノードNN22間の電位差がなくなってダイオードD1‥‥Dnの導通が止まる。抵抗R22のバイパス電流I22はコンデンサ16の正極側端子16+に応じた電流となるが(I22=VC/R22)、コンデンサ16に対して抵抗R22はそれより抵抗値が格段に低い負荷回路14内の抵抗と並列に接続されるため、コンデンサ16の放電電流の殆どが負荷回路14側に流れる。
【0051】
コンデンサ16が放電している間は、コンデンサ16の静電容量と負荷回路14の抵抗に応じた一定の時定数でコンデンサ端子間電圧VCないし動作電圧VWが低下する。これにより、コンデンサ16が放電を開始してから一定時間後に、コンデンサ端子間電圧VCないし動作電圧VWが給電停止用しきい値VTLまで下がる。
【0052】
この時、スイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)では、入力端子24INに入力される電圧VAがコンデンサ16の端子間電圧VCであり、この入力電圧VAが給電停止用しきい値VTL以下つまり反転しきい値VT30以下になることにより、PMOSトランジスタ26がオンすると同時にNMOSトランジスタ28がオフし、制御出力端子24OUTはオン状態のPMOSトランジスタ26を介してコンデンサ16の正極側端子16+とつながる。これにより、出力(制御信号)VBはそれまでのグランド電位(Lowレベル)からコンデンサ端子間電圧VC(≒VTL)に変わる。
【0053】
スイッチ制御回路24の出力(制御信号)VBは、両スイッチ(PMOSトランジスタ)18,20のゲートに印加される。ここで、両スイッチ(PMOSトランジスタ)18,20のしきい値VT18,VT20は、給電停止用しきい値VTL0(=VT30)より低い値に設定されている。つまり、両スイッチ(PMOSトランジスタ)18,20に対して、給電停止用しきい値VTLはHighレベルである。したがって、制御信号VBがグランド電位(Lowレベル)からコンデンサ端子間電圧VC(≒VTL)に変わることにより、両スイッチ(PMOSトランジスタ)18,20はオフする。
【0054】
スイッチ18がオフすると、コンデンサ16は、負荷回路14から分離されるとともに、スイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)の電圧入力端子24
INひいては非線形バイパス回路22の抵抗R
22からも分離され、発電部12からの電流I
Hを引き込むようになる(充電モードに移行する)。これによって、コンデンサ16の端子間電圧V
Cは給電停止用しきい値V
TLで底を打って上昇に転じる。負荷回路14では、動作電圧V
Wの入力が断たれ、送信回路34(
図2)は発振動作およびデータ送信動作を停止する(待機モードに移行する)。
【0055】
一方、スイッチ20がオフすることによって、スイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)の電圧入力端子24INに入力される電圧VAは、再び非線形バイパス回路22のノード電圧VN22に切り替わる。この時、非線形バイパス回路22においては、ダイオードD1‥‥Dnが実質的に非導通状態にあり、ノード電圧VN22はグランド電位付近に留まっている。こうして、スイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)では、入力電圧VAが反転しきい値VT30より十分低いノード電圧VN22に切り替わることで、PMOSトランジスタ26のオン状態およびNMOSトランジスタ28のオフ状態が確立し、制御出力端子24OUTの電圧(制御信号)VBはHighレベル(VC)に保たれる。こうして両スイッチ18,20のオフ状態が保持される。
【0056】
図3に示すように、発電部12の出力電流I
Hが一定である限り、本低電力デバイスにおける上記のような各部の動作および全体の動作(充放電動作)は一定のサイクルで繰り返される。このサイクルは発電部12の出力電流I
Hに応じて変化し、環境エネルギーが減少して発電部12の発電量が低下すると、出力電流I
Hの電流量が少なくなり、サイクルは長くなる。
【0057】
しかし、
図4に示すように、発電部12の出力電流I
Hが小さくなっても、コンデンサ16の充電速度が遅くなって充電時間が長くなるだけであり、コンデンサ16の放電時間および出力特性は変わらない。負荷回路14においては、待機モードの時間が長くなるだけであり、電源制御回路10(1)を通じて間欠的に一定時間持続する所要の動作電圧V
Wを安定供給される。これにより、発電部12の発電量が微弱であっても、負荷回路14は長時間安定して正しく動作することができる。
【0058】
上述したように、この実施形態における電源制御回路10(1)は、発電部12より出力される電力をいったんコンデンサ16に蓄えてから所要の動作電圧VWで負荷回路14に供給する間欠的給電の制御を電池無しで安定に遂行することができる。さらに、この電源制御回路10(1)は、スイッチ18,20、非線形バイパス回路22およびスイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)のみの小規模な回路構成とその論理動作によって、2つのしきい値VTH,VTLを用いてコンデンサ16の充放電を切り替える所要のヒステリシス特性を簡便かつ効率的に実現している。
【0059】
加えて、この実施形態における電源制御回路10(1)はコンデンサ16の充電時の自己消費電力が非常に少ない。すなわち、スイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)と非線形バイパス回路22のみであるため、消費する電力は無視できるほど少ない。非線形バイパス回路22はダイオードD1‥‥Dnおよび抵抗R22で構成され、ダイオードD1‥‥Dnの非線形特性により、コンデンサ16の端子間電圧VCが給電開始用しきい値VTHに到達してから実質的なバイパス電流I22を一瞬流すだけであり、抵抗R22で消費する電力はコンパレータ方式の従来技術で用いられる基準電圧生成回路や抵抗分圧回路のそれに比して格段に少ない。また、スイッチ制御回路24は1個のCMOSインバータ30で構成され、その内部で定常的な電流を流さないため、消費する電力は極わずかである。コンパレータ方式の従来技術がコンパレータの内部で定常的に電流を流して電力を多量に消費するのとは大きな違いである。
【0060】
この実施形態の低電力デバイスにおいては、発電部12で生成された電力が電源制御回路10(1)で浪費されることなく高い充電効率でコンデンサ16に蓄えられ、コンデンサ16に蓄えられた電力が電源制御回路10(1)で浪費されることなく高い給電効率で負荷回路14に供給される。これにより、発電部12の発電量が微弱であっても、負荷回路14は、電源制御回路10(1)の効率的な給電制御により所要の動作電圧VWを間欠的に安定供給され、長時間安定して正しく動作することができる。
[実施形態2]
【0061】
図5に、本発明の第2の実施形態における電源制御回路10(2)の回路構成を示す。図中、上記した第1の実施形態(
図1)の電源制御回路10(1)と共通する部分には同一の参照符号を付している。
【0062】
図5に示すように、この第2の実施形態における電源制御回路10(2)は、論理動作の安定化を図り回路設計の自由度を大きくするために、上記第1の実施形態(
図1)の電源制御回路10(1)にスイッチ制御回路24の拡張部分として3つのMOSトランジスタ32,36,38を加えた構成を有している。
【0063】
このうち、NMOSトランジスタ32は、スイッチ(PMOSトランジスタ)18と結び付いてコンデンサ16の端子間電圧VCを動作電圧とする第2のCMOSインバータ34を構成する。より詳しくは、NMOSトランジスタ32は、そのソースがコンデンサ16の負極側端子16-に接続され、そのドレインがスイッチ(PMOSトランジスタ)18のドレインと共通の出力端子34OUTに接続され、そのゲートがスイッチ(PMOSトランジスタ)18のゲートと共通の入力端子34INに接続される。NMOSトランジスタ32のしきい値VT32は、スイッチ(PMOSトランジスタ)18のしきい値VT18と同じ値に設定される。したがって、第2のCMOSインバータ34の反転しきい値をVT34とすると、VT34=VT18=VT32であり、かつVT34<VTL=VT30である。
【0064】
PMOSトランジスタ36およびNMOSトランジスタ38は、相互に結び付いてコンデンサ16の端子間電圧VCを動作電圧とする第3のCMOSインバータ40を構成する。このCMOSインバータ40は、その入力端子40INが第2のCMOSインバータ34の出力端子34OUTに接続され、その出力端子40OUTがスイッチ(PMOSトランジスタ)20のゲートに接続される。CMOSインバータ40内で、PMOSトランジスタ36は、そのソースがコンデンサ16の正極側端子16+に接続され、そのドレインが出力端子40OUTに接続され、そのゲートが入力端子40INに接続される。一方、NMOSトランジスタ38は、そのソースがコンデンサ16の負極側端子16-に接続され、そのドレインが出力端子40OUTに接続され、そのゲートが入力端子40INに接続される。両MOSトランジスタ36,38のしきい値をVT36,VT38、CMOSインバータ40の反転しきい値をVT40とすると、VT40=VT36=VT38であり、VT40≦VTL=VT30の条件が設定される。
【0065】
この電源制御回路10(2)においても、充電中にコンデンサ16の端子間電圧VCが給電開始用しきい値VTH以上になると、非線形バイパス回路22からのノード電圧VN22(≧VTN=VT30)に応動してスイッチ制御回路24の第1のCMOSインバータ30がその出力または制御信号VBをコンデンサ端子間電圧VC(Highレベル)からグランド電位(Lowレベル)に変える。そうすると、これに応動して第2のCMOSインバータ34では、スイッチ(PMOSトランジスタ)18がオンすると同時に、NMOSトランジスタ32がオフする。
【0066】
そして、スイッチ(PMOSトランジスタ)18がオンすると、これを介してコンデンサ16の端子間電圧VC(Highレベル)が第3のCMOSインバータ40の入力端子40INに入力される。これにより、第3のCMOSインバータ40では、PMOSトランジスタ36がオフすると同時にNMOSトランジスタ38がオンし、出力(制御信号)VKがコンデンサ端子間電圧VC(Highレベル)からグランド電位(Lowレベル)に変わる。こうして制御信号VKがコンデンサ端子間電圧VC(Highレベル)からグランド電位(Lowレベル)に変わると、これをゲート電圧としているスイッチ(PMOSトランジスタ)20がオンする。
【0067】
このように、充電中にコンデンサ16の端子間電圧VCが上昇して給電開始用しきい値VTH以上になると、非線形バイパス回路22、第1のCMOSインバータ30、第2のCMOSインバータ34および第3のインバータ40が連鎖的に順次応動して両スイッチ18,20が同時にオンし、コンデンサ16の放電の開始と第1のCMOSインバータ30に対する入力電圧VAの切り替え(VN22→VC)が同時に行われる。
【0068】
そして、放電中にコンデンサ16の端子間電圧VCが下がって給電停止用しきい値VTL以下つまり反転しきい値VT30以下になると、この時点でコンデンサ端子間電圧VCを入力電圧VAとしている第1のCMOSインバータ30では出力(制御信号)VBの論理レベルが反転する。すなわち、PMOSトランジスタ26がオンすると同時にNMOSトランジスタ28がオフして、出力(制御信号)VBがグランド電位(Lowレベル)からコンデンサ端子間電圧VC(≒VTL)に変わる。
【0069】
そうすると、第2のCMOSインバータ34では、入力電圧(制御信号VB)がグランド電位(Lowレベル)から反転しきい値VT34(<VTL)を超えたので、スイッチ(PMOSトランジスタ)18がオフすると同時にNMOSトランジスタ32がオンし、出力端子34OUTの電圧VWがコンデンサ端子間電圧VCからグランド電位(Lowレベル)に変わる。
【0070】
こうして第2のCMOSインバータ34の出力がコンデンサ端子間電圧VCからグランド電位(Lowレベル)に変わると、これに応動して第3のCMOSインバータ40では、PMOSトランジスタ36がオンすると同時にNMOSトランジスタ38がオフし、出力(制御信号)VKがそれまでのLowレベル(グランド電位)からスイッチ(PMOSトランジスタ)20に対してHighレベルのコンデンサ端子間電圧VC(≒VTL)になる。これにより、スイッチ(PMOSトランジスタ)20がオフする。
【0071】
このように、放電中にコンデンサ16の端子間電圧VCが低下して給電停止用しきい値VTL以下になると、第1のCMOSインバータ30、第2のCMOSインバータ34および第3のインバータ40が連鎖的に順次応動して両スイッチ18,20が同時にオフし、コンデンサ16の放電の停止と第1のCMOSインバータ30に対する入力電圧VAの切り替え(VC→VN22)が同時に行われる。
【0072】
なお、この電源制御回路10(2)において、第3のCMOSインバータ40の反転しきい値VT40を第1のCMOSインバータ30の反転しきい値VT30と同じ値(VT40=VT30)に設定した場合は、放電中にコンデンサ16の端子間電圧VCが給電停止用しきい値VTL付近まで下がった時に、第1のCMOSインバータ30より第3のCMOSインバータ40が先に応動することもあり得る。
【0073】
その場合は、第3のCMOSインバータ40内で、上記のようにPMOSトランジスタ36がオンすると同時にNMOSトランジスタ38がオフして、出力(制御信号)VKがグランド電位(Lowレベル)からコンデンサ端子間電圧VC(≒VTL)に変わり、それをHighレベルのゲート電圧として受けるスイッチ(PMOSトランジスタ)20がオフする。スイッチ(PMOSトランジスタ)20がオフすると、第1のCMOSインバータ30の入力電圧VAが非線形バイパス回路22からのノード電圧VN22に切り替わり、これに応動して第1のCMOSインバータ30の出力(制御信号)VBがグランド電位(Lowレベル)からコンデンサ端子間電圧VC(≒VTL)に変わり、それをHighレベルのゲート電圧として受けるスイッチ(PMOSトランジスタ)18がオフする。スイッチ(PMOSトランジスタ)18がオフすると、コンデンサ16の放電が止まり、コンデンサ端子間電圧VCは上昇(VC>VTL)に転じる。
【0074】
図示省略するが、スイッチ(PMOSトランジスタ)18と結び付いて第2のCMOSインバータ34を構成するNMOSトランジスタ32を省く構成も可能である。他方で、コンデンサ16の正極側端子16+とスイッチ(PMOSトランジスタ)20のゲートとの間にプルアップ用の抵抗を設ける構成も可能である。このプルアップ抵抗は、制御信号VKがLowレベルで確定または安定していない時にスイッチ(PMOSトランジスタ)20のゲート電圧をコンデンサ16の端子間電圧VC(Highレベル)に吊り上げる。これにより、ヒステリシス幅を任意の値に設計することができる。
[実施形態3]
【0075】
図6に、第2の実施形態における電源制御回路10(3)の回路構成を示す。図中、上記第1および第2の実施形態における電源制御回路10(1),10(2)と共通する部分には同一の参照符号を付している。
【0076】
図6に示すように、この電源制御回路10(3)は、コンデンサ16の正極側端子16
+とスイッチ(PMOSトランジスタ)18の出力側の端子18
OUTとの間に非線形バイパス回路42を設けている。この非線形バイパス回路42は、1個または複数個(n個)のダイオードD
1‥‥D
n、中間ノードN
42およびバイパスコンデンサC
42を有している。より詳しくは、ダイオードD
1‥‥D
nは主コンデンサ16の正極側端子16
+とノードN
42との間で各々のアノードを正極側端子16
+に向けて直列に接続され、バイパスコンデンサC
42はノードN
42とスイッチ(PMOSトランジスタ)18の出力側の端子18
OUTとの間に接続される。バイパスコンデンサC
42の静電容量は、主コンデンサ16のそれに比して桁違いに小さい値(pFオーダ)に選ばれる。
【0077】
この電源制御回路10(3)においても、充電中に主コンデンサ16の端子間電圧VCが給電開始用しきい値VTH以上になると、非線形バイパス回路42でダイオードD1‥‥Dnが導通してノード電圧VN42がノード電圧しきい値VTN(VTN=VTH-n・Vf)以上となるように、非線形バイパス回路42を構成することができる。
【0078】
この電源制御回路10(3)は、スイッチ制御回路24にヒステリシス・インバータ44を用いている。このヒステリシス・インバータ44は、好ましくはCMOSシュミットトリガ・インバータからなり、その入力端子が非線形バイパス回路42のノードN42およびスイッチ(PMOSトランジスタ)20の出力側の端子(ドレイン)に接続され、その出力端子がスイッチ(PMOSトランジスタ)18の制御端子(ゲート)に接続され、主コンデンサ16の端子間電圧VCを動作電圧とし、第1および第2の反転しきい値VT44L,VT44H(ただし、VT44L<VT44H)を有している。
【0079】
この実施形態においても、上記のように、給電開始用しきい値VTHとノード電圧しきい値VTNとの間にVTN=VTH-n・Vfの関係がある。そこで、好ましい一態様として、ヒステリシス・インバータ44の第1の反転しきい値VT44Lをノード電圧しきい値VTNと同じ値(VT44L=VTN)に設定するとともに、第2の反転しきい値VT44Hを給電停止用しきい値VTLと同じ値(VT44H=VTL)に設定してよい。
【0080】
この電源制御回路10(3)は、主コンデンサ16と両インバータ40,44との間の動作電圧供給ラインにスイッチ46を設けている。このスイッチ46は、PMOSトランジスタからなり、そのソースが主コンデンサ16の正極側端子16+に接続され、そのドレインが両インバータ40,42の動作電圧入力端子に接続され、そのゲートがインバータ40の出力端子に接続される。また、主コンデンサ16の正極側端子16+とスイッチ(PMOSトランジスタ)20,46のゲートおよびCMOSインバータ40の出力端子との間に抵抗48が接続される。この電源制御回路10(3) におけるスイッチ制御回路24は、ヒステリシス・インバータ44、CMOSインバータ40、スイッチ46および抵抗48を含んで構成される。
【0081】
この電源制御回路10(3)においては、充電中に主コンデンサ16の端子間電圧VCが上昇するにつれて非線形バイパス回路42のダイオードD1‥‥Dnに印加される電圧も高くなる。しかし、上記のようなダイオードの非線形特性により、主コンデンサ16の端子間電圧VCが給電開始用しきい値VTHに至るまでは、ダイオードD1‥‥Dnは実質的に不導通の状態を保ち、非線形バイパス回路42内を流れるバイパス電流I42は極小さく、しかもこのバイパス電流I42はバイパスコンデンサC42に取り込まれて電力(静電エネルギー)に変換される。
【0082】
一方、スイッチ(PMOSトランジスタ)18,20,46はそれぞれオフ状態を保っており、ヒステリシス・インバータ44とCMOSインバータ40はスイッチ46のリーク電流で給電されている。この時、スイッチ18の出力側の端子18
OUTの電圧はグランド電位にあり、CMOSインバータ40内ではPMOSトランジスタ36およびNMOSトランジスタ38(
図5)がそれぞれオン状態およびオフ状態にある。これにより、主コンデンサ16の正極側端子16
+が抵抗48およびCMOSインバータ40内のオン状態のPMOSトランジスタ36を介してヒステリシス・インバータ44の動作電圧入力端子につながっている。つまり、スイッチ(PMOSトランジスタ)46がオフ状態であるにもかからず、ヒステリシス・インバータ44は主コンデンサ16の端子間電圧V
Cの下で動作しており、その出力(制御信号)V
Bをスイッチ(PMOSトランジスタ18)に対してHighレベルであるコンデンサ端子間電圧V
Cに保っている。
【0083】
そして、主コンデンサ16の端子間電圧VCが給電開始用しきい値VTH以上になると、非線形バイパス回路42内ではダイオードD1‥‥Dnが導通してノード電圧VN22がノード電圧しきい値VNT(VNT=VTH-n・Vf)以上になる。この時、ヒステリシス・インバータ44に入力されている電圧VAはノード電圧VN42であり、このノード電圧VN42がノード電圧しきい値VNT以上つまり第1の反転しきい値VT44L以上になることによって、ヒステリシス・インバータ44の出力(制御信号)VBがコンデンサ端子間電圧VC(Highレベル)からグランド電位(Lowレベル)となる。
【0084】
こうしてヒステリシス・インバータ44の出力(制御信号)VBがコンデンサ端子間電圧VC(Highレベル)からグランド電位(Lowレベル)に変わると、これに応動してスイッチ(PMOSトランジスタ)18がオンし、主コンデンサ16から負荷回路14への放電(給電)が開始される。さらに、CMOSインバータ40の出力(制御信号)VKがそれまでのコンデンサ端子間電圧VC(Highレベル)からグランド電位(Lowレベル)に変わり、スイッチ(PMOSトランジスタ)20,46もオンする。
【0085】
スイッチ20がオンすると、主コンデンサ16の正極側端子16+がスイッチ20を介してヒステリシス・インバータ44の入力端子および非線形バイパス回路42のノードN42につながる。これにより、ヒステリシス・インバータ44では、入力電圧VAが第1の反転しきい値VT44Lより高いコンデンサ端子間電圧VCに切り替わって内部の状態または論理レベルが安定に確立し、出力(制御信号)VBがグランド電位(Lowレベル)に保持される。
【0086】
非線形バイパス回路42においては、主コンデンサ16の正極側端子16+とノードN42間の電位差がなくなってダイオードD1‥‥Dnの導通が止まると同時に、バイパスコンデンサC42がオン状態のスイッチ20を介して主コンデンサ16側に放電し、その放電電流は主コンデンサ16にいったん吸収され、あるいは主コンデンサ16の放電電流に合流してから、スイッチ18を介して負荷回路14へ供給される。もっとも、バイパスコンデンサC42の放電は主コンデンサ16のそれに比して極小さく、放電時間も一瞬である。
【0087】
そして、負荷回路14への給電(放電)により主コンデンサ16の端子間電圧VCが下がって給電停止用しきい値VTL以下になると、ヒステリシス・インバータ44では、入力電圧VA(=VC)が第2の反転しきい値VT44H(=VTL)以下になり、その出力(制御信号)VBがそれまでのグランド電位(Lowレベル)から主コンデンサ16の端子間電圧VC(≒VTL)に変わる。
【0088】
そうすると、この制御信号VBをHighレベルの制御電圧(ゲート電圧)として入力するスイッチ(PMOSトランジスタ)18がオフし、その出力側の電圧がグランド電位(Lowレベル)に下がる。これにより、CMOSインバータ40の出力(制御信号)VKがグランド電位(Lowレベル)から主コンデンサ16の端子間電圧VC(≒VTL)に変わり、これをHighレベルの制御電圧(ゲート電圧)として入力するスイッチ(PMOSトランジスタ)20,46がオフする。その際、抵抗48がプルアップ抵抗として作用することにより、両スイッチ(PMOSトランジスタ)20,46のスイッチング・オフが安定に行われる。
【0089】
こうして、主コンデンサ16の放電(給電)が止まって充電に切り替わるとともに、非線形バイパス回路42ではダイオードD1‥‥Dnの導通が止まってノード電圧VN42がグランド電位付近まで下がり、ヒステリシス・インバータ44の入力電圧VAは再びノード電圧VN42に切り替わる。
【0090】
この電源制御回路10(3)においても、充放電動作に関して上記第1および第2の実施形態の電源制御回路10(1),10(2)と同様の作用効果が得られる。さらに、この電源制御回路10(3)は、非線形バイパス回路22内に抵抗を設ける代わりにバイパスコンデンサC42を設けているので、非線形バイパス回路22内にバイパス電流I42が流れても電力を殆ど消費しない。当該低電力デバイスにおいては、発電部12の発電量が微弱であっても、負荷回路14は、電源制御回路10(3)の効率的な充放電制御により所要の動作電圧VWを間欠的に安定供給され、長時間安定して正しく動作することができる。
【0091】
さらに、この電源制御回路10(3)は、スイッチ制御回路24に第1および第2の反転しきい値VT44L,VT44Hを有するヒステリシス・インバータ44を用いている。そして、主コンデンサ16の端子間電圧VCが給電開始用しきい値VTH以上になったときにスイッチ制御回路24が非線形バイパス回路42を通じてそれに応動するための反転しきい値に第1の反転しきい値VT44Lを割り当て、主コンデンサ16の端子間電圧VCが給電停止用しきい値VTL以下になったときにスイッチ制御回路24がオン状態のスイッチ20を介してそれに応動するための反転しきい値に第2の反転しきい値VT44Hを割り当てており、これにより回路設計の自由度が更に増している。
【0092】
なお、上記第1および第2の反転しきい値VT44L,VT44Hの大小関係を上記と逆の関係(VT44L>VT44H)にすることも可能である。また、この電源制御回路10(3)において、ヒステリシス・インバータ44の代わりに単一の反転しきい値を有するCMOSインバータ30を用いることも可能である。あるいは、上記第1および第2の実施形態の電源制御回路10(1),10(2)においてCMOSインバータ30の代わりにヒステリシス・インバータ44を用いることも可能である。また、上記第1および第2の実施形態の電源制御回路10(1),10(2)でもスイッチ46を備えることができる。
[他の実施形態又は変形例]
【0093】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものではない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
【0094】
たとえば、上記第1および第2の実施形態では、給電停止用しきい値VTH、反転しきい値VT30およびノード電圧しきい値VNTの間に、好適な一態様として、それらが同じ値である関係すなわちVTL=VT30=VNT(ただし、VNT=VTH-n・Vf)の関係を設定した。しかし、別の態様として、VTL=VT30>VNT(ただし、VNT=VTH-n・Vf)の関係を設定することも可能である。
【0095】
その場合は、充電中にコンデンサ16の端子間電圧VCが給電開始用しきい値VTHまで上昇すると、非線形バイパス回路42内ではダイオードD1‥‥Dnが導通してノード電圧VN22がノード電圧しきい値VNT(VNT=VTH-n・Vf)になるが、VTL=VT30>VNTの関係により、その時点では、まだスイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)は応動せず、その出力VBの論理レベルは反転しない。しかし、コンデンサ16の端子間電圧VCがさらに上昇すると、それに伴ってノード電圧VN22もさらに高くなって(VN22>VNT)、終には反転しきい値VT30以上になり、それに応動してスイッチ制御回路24(CMOSインバータ30)の出力VBの論理レベルが反転し、それによって両スイッチ18,20がオンする。もっとも、ノード電圧VN22がノード電圧しきい値VNTになってから反転しきい値VT30以上になるまでの間は非線形バイパス回路42内で実質的なバイパス電流I22が流れ続け、そのぶん抵抗R22で電力が消費されるという一面はある。
【0096】
図7に、スイッチ制御回路24に対する入力電圧切替用のスイッチ20の接続位置に関する一変形例を示す。図示の電源制御回路10(4)は、充放電切替用スイッチ18の出力側の端子18
OUTとスイッチ制御回路24の電圧入力端子との間にスイッチ20を接続している。この構成によっても、スイッチ20は、スイッチ制御回路24に対して上記第1の実施形態(
図1)と同様の入力電圧切替機能を奏することができる。
【0097】
より詳しくは、この構成においても、スイッチ18,20がオフ状態のとき、つまり充電中は、コンデンサ16の端子間電圧VCが上昇して給電開始用しきい値VTHに至るまでは、非線形バイパス回路22のダイオードD1‥‥Dnが実質的に非導通状態を保ち、コンデンサ16が効率よく充電される。そして、コンデンサ16の端子間電圧VCが給電開始用しきい値VTH以上になり、ノード電圧VN22がノード電圧しきい値VNT(VTN=VTH-n・Vf)以上およびスイッチ制御回路24の反転しきい値VT30以上になると、これに応動してスイッチ制御回路24が出力VBの論理レベルを反転させて両スイッチ18,20をオンにする。
【0098】
そうすると、コンデンサ16の正極側端子16+がスイッチ18を介して負荷回路14の正極側入力端子14+につながり、コンデンサ16から負荷回路14への放電(給電)が開始される。さらに、コンデンサ16の正極側端子16+がスイッチ18,20を介してスイッチ制御回路24の電圧入力端子にもつながり、スイッチ制御回路24の入力電圧VAがノード電圧VN22からコンデン端子間電圧VCに切り替わる。
【0099】
そして、スイッチ18,20がオン状態の下で、つまり放電中に、コンデンサ端子間電圧VCが給電停止用しきい値VTL以下に低下すると、これに応動してスイッチ制御回路24が出力VBの論理レベルを反転させて両スイッチ18,20をオフにする。そうすると、放電(負荷回路14への給電)が停止するとともに、スイッチ制御回路24の入力電圧VAがコンデンサ端子間電圧VCからノード電圧VN22に切り替わり、コンデンサ16は発電部12の出力電流IHによって充電されるようになる。
【0100】
要するに、スイッチ18がオンしている時、スイッチ18の入力側の電圧またはコンデンサ16の端子間電圧V
Cとスイッチ18の出力側の電圧または負荷回路14の入力電圧V
Wとは実質的に同じである。したがって、スイッチ制御回路24からみれば、スイッチ20の反対側(入力側)の端子がスイッチ18の入力側の端子またはコンデンサ16の正極側端子16
+に接続されている場合と、スイッチ18の出力側の端子または負荷回路14の正極側入力端子14
+に接続されている場合とで、入力電圧V
Aに違いはない。このことは、上記第2および第3の実施形態(
図5、
図6)の電源制御回路10(2),10(3)においても、同様である。
【0101】
別の一態様として、上記実施形態の電源制御回路(1),(2),(3)において、各部のPMOSトランジスタをNMOSトランジスタに置き換え、各部のNMOSトランジスタをPMOSトランジスタに置き換える変形も可能である。したがって、たとえばスイッチ20をNMOSトランジスタで構成する場合は、そのゲートとコンデンサ16の負極側端子16+との間にプルダウン用の抵抗を設けることができる。
【0102】
本発明は、上記実施形態のようにIoTデバイスのような環境発電で動作する低電力デバイスに好適に適用可能である。しかしながら、本発明は、そのようなアプリケーションに限定されず、間欠動作の可能な種種のデバイスにおいて直流電流を出力する発電部から負荷回路への間欠給電を制御する任意の電源制御回路に適用可能である。
【符号の説明】
【0103】
10(1),10(2),10(3),10(4) 電源制御回路
12 発電部
14 負荷回路
16 コンデンサ(主コンデンサ)
18 スイッチ
20 スイッチ
22 非線形バイパス回路
N22 ノード
D1‥‥Dn ダイオード
R22 抵抗
24 スイッチ制御回路
26 PMOSトランジスタ
28 NMOSトランジスタ
30 CMOSインバータ
32 NMOSトランジスタ
34 CMOSインバータ
36 PMOSトランジスタ
38 NMOSトランジスタ
40 CMOSインバータ
42 非線形バイパス回路
N42 ノード
C42 バイパスコンデンサ
44 ヒステリシス・インバータ