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特許7461710ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの製造方法
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  • 特許-ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20240328BHJP
   C08J 7/00 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
G02B5/30
C08J7/00 Z CEX
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018171355
(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2019066838
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-04-12
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2017192582
(32)【優先日】2017-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松久 英樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 拓弥
【合議体】
【審判長】神谷 健一
【審判官】本田 博幸
【審判官】井口 猶二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-3834(JP,A)
【文献】特開平5-103905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/30
C08J7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを製造するための方法であって、
温度30~70℃の架橋処理液である処理液を収容する処理槽を通る搬送経路に沿って原料ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送させて、前記処理液に前記原料ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる工程と、
前記処理液の少なくとも一部について、液面上に存在する泡を含む第1部分と、第1部分以外の第2部分とに分離する工程と、
を含み、
前記分離する工程の前に、
前記処理液の少なくとも一部を前記処理槽から抜き出して、収容槽に収容させる工程と、
前記収容槽に収容された前記処理液の少なくとも一部に対して前記泡を発生させるか、又は前記泡を増加させる工程をさらに含み、
前記泡を発生させるか、又は前記泡を増加させる工程は、前記処理液を冷却してから、又は前記処理液を冷却しながら実施され、
前記冷却における前記処理液の冷却温度が0~15℃であり、
前記分離する工程において、前記第1部分に含まれる前記泡は、破裂していない泡の状態で分離される、方法。
【請求項2】
前記第1部分に含まれる前記泡からポリビニルアルコール系樹脂を含む固体を析出させる工程と、
前記固体の少なくとも一部を除去する工程と、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記除去する工程によって回収される液体の少なくとも一部を前記処理槽に戻す工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2部分の少なくとも一部を前記処理槽に戻す工程をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1部分に含まれる前記泡は、ポリビニルアルコール系樹脂の濃度が、前記第2部分におけるポリビニルアルコール系樹脂の濃度よりも高い、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが偏光フィルムである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの製造方法、例えば偏光板の構成部材として用いることのできる偏光フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、光学表示装置等に用いる偏光フィルム、農業用資材や分離材料等に利用され、産業上有用な部材である。このポリビニルアルコール系樹脂フィルムは例えば、表面の汚れや埃を取り除くため、洗浄処理等の湿式処理が行われることがある。
また、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから得られる偏光フィルムは、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素のような二色性色素を吸着配向させたものが従来用いられている。このような偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する染色処理、架橋剤で処理する架橋処理、フィルム乾燥処理を順次施すとともに、製造工程の間にポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して延伸処理を施すことによって製造される〔例えば、特許文献1参照〕。特許文献1記載の方法では、染色処理や架橋処理は、湿式処理で行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-141926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の偏光フィルムのような偏光フィルム(ポリビニルアルコール系樹脂フィルム)の製造方法の一つとして、薬液槽中の処理液にフィルムを浸漬させる湿式処理を含むものがある。偏光フィルムの工業的製造方法においては、長尺の原料ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、偏光フィルムの製造装置が有するフィルムの搬送経路に沿って連続的に搬送させながら、該搬送経路上にある上述の染色処理を行うための染色処理槽、及び架橋処理を行うための架橋処理槽に順次浸漬させる湿式処理工程を含んでいる。
【0005】
上記方法に従って、偏光フィルムを連続的に製造すると、処理液にポリビニルアルコール系樹脂が次第に溶け出し、さらに、この溶け出したポリビニルアルコール系樹脂が、何らかの要因で処理液から析出することがある。析出が生じると、その析出物(ポリビニルアルコール系樹脂を含む固体)が湿式処理中の原料ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、ひいては偏光フィルムの表面に付着して、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、例えば、偏光フィルムの外観や品質に悪影響を与え得る。
また、処理液中に溶け出したポリビニルアルコール系樹脂の濃度が次第に高まっていくと、該処理液に浸漬させた後に該処理液から引き出したポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面にポリビニルアルコール系樹脂を含む固体が析出することもある。このような析出物もまた、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、例えば、偏光フィルムの外観や品質に悪影響を与え得る。
【0006】
本発明の目的は、上記析出物のフィルムへの付着を抑制しながら、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、例えば、偏光フィルムを安定的に連続製造することのできる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下に示すポリビニルアルコール系樹脂フィルムの製造方法を提供する。
[1] ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを製造するための方法であって、
処理液を収容する処理槽を通る搬送経路に沿って原料ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送させて、前記処理液に前記原料ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる工程と、
前記処理液の少なくとも一部について、液面上に存在する泡を含む第1部分と、第1部分以外の第2部分とに分離する工程と、
を含む、方法。
[2] 前記分離する工程の前に、前記泡を発生させるか、又は前記泡を増加させる工程をさらに含む、[1]に記載の方法。
[3] 前記第1部分に含まれる前記泡からポリビニルアルコール系樹脂を含む固体を析出させる工程と、
前記固体の少なくとも一部を除去する工程と、
をさらに含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記除去する工程によって回収される液体の少なくとも一部を前記処理槽に戻す工程をさらに含む、[3]に記載の方法。
[5] 前記第2部分の少なくとも一部を前記処理槽に戻す工程をさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 前記第1部分に含まれる前記泡は、ポリビニルアルコール系樹脂の濃度が、前記第2部分におけるポリビニルアルコール系樹脂の濃度よりも高い、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7] 前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが偏光フィルムである、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
ポリビニルアルコール系樹脂を含む固体(析出物)のフィルムへの付着を抑制しながら、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを製造し、当該ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、特に偏光フィルムを安定的に連続製造することのできる方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの例として、偏光フィルムの製造方法及びそれに用いる偏光フィルム製造装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を示しながら、偏光フィルムの製造方法を典型例として、説明する。
【0011】
上記のとおり、本発明の典型例(以下、「本典型例」という。)は、原料ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下、「原料PVA系樹脂フィルム」ともいう。)から偏光フィルムを製造するための製造方法に関する。偏光フィルムは、原料PVA系樹脂フィルムに対して、処理槽への浸漬処理(湿式処理)、乾燥処理等を含む一連の処理を施して製造される。
本典型例により製造される偏光フィルムは、延伸された原料PVA系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向しているものである。
【0012】
偏光フィルム製造装置の一例を図1に示す。図1に示される偏光フィルム製造装置は、原料フィルムである長尺の原料PVA系樹脂フィルム10から連続的に長尺の偏光フィルム25を製造するための装置である。図1中の矢印は、フィルムの搬送方向又は液体や泡の流れ方向を示す。
図1に示される製造装置を用いた偏光フィルム25の製造においては、原料PVA系樹脂フィルム10を巻出ロール11から連続的に巻き出しつつ、膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17及び洗浄処理槽19に順次浸漬し、最後に乾燥炉21に通すことにより乾燥処理を行って偏光フィルム25を得る。長尺物として製造される偏光フィルム25は、巻取ロール27に順次巻き取ってもよいし、あるいは、巻き取ることなく、偏光フィルム25の片面又は両面に保護フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムを接着する偏光板作製工程に供されてもよい。
【0013】
偏光フィルム製造装置は、膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17及び洗浄処理槽19等を含む湿式処理部(フィルムが浸漬される処理液を収容する処理槽を用いて湿式処理を行うゾーン)と、乾燥炉21のような乾燥処理部(湿式処理後のフィルムに対して乾燥処理を実施するゾーン)とを通常有する。
図1に示される偏光フィルム製造装置は、湿式処理部と乾燥処理部とを含む原料PVA系樹脂フィルム10の搬送経路を有している。この搬送経路に沿って原料PVA系樹脂フィルム10を搬送させることにより、湿式処理及び乾燥処理を含む一連の処理が施されて偏光フィルム25が得られる。
搬送経路に沿って搬送される原料PVA系樹脂フィルム10の搬送速度は、通常1~50m/分であり、生産効率の観点から、好ましくは5m/分以上である。
【0014】
図1に示されるように上記搬送経路は、湿式処理部と乾燥処理部とを通るように、走行中のフィルム(原料PVA系樹脂フィルム10及び偏光フィルム25)を支持・案内する複数のロールによって構築される。複数のロールは、フィルムの片面を支持するフリーロールであるガイドロール、及び/又は、1対のロール(通常は駆動ロールを含む。)からなり、当該1対のロールは、例えば、フィルムを両面から挟み込む又は挟み込んで押圧するニップロールである。図1に示される例において偏光フィルム製造装置は、ガイドロール1a~1l及びニップロール2a~2fを含んでいる。搬送経路を規定する複数のロールは、駆動ロールの1種であるサクションロール(吸引ロール)を含んでいてもよい。通常、これらのロールはいずれも搬送経路内のフィルムの一方又は両方の表面(主面)に接して該フィルムを支持する。これらのロールは、各処理槽及び乾燥手段(乾燥炉)の前後や処理槽及び乾燥手段(乾燥炉)内等の適宜の位置に配置することができる。
【0015】
駆動ロールとは、それに接触するフィルムに対してフィルム搬送のための駆動力を与えることができるロールをいい、モーター等のロール駆動源が直接又は間接的に接続されたロール等であることができる。フリーロールとは、走行するフィルムを支持する役割を担い、フィルムの搬送に応じて自由に回転可能なロールをいう。
【0016】
本典型例に係る偏光フィルムの製造方法は、次の工程:
処理液を収容する処理槽を通る搬送経路に沿って原料PVA系樹脂フィルムを搬送させて、上記処理液に原料PVA系樹脂フィルムを浸漬させる工程(湿式処理工程S101)、及び
上記処理液の少なくとも一部について、液面上に存在する泡を含む第1部分と、第1部分以外の第2部分とに分離する工程(泡分離工程S201)
を含む。
【0017】
得られる偏光フィルム25は、延伸処理(通常は一軸延伸処理)されたものである。このために偏光フィルムの製造装置は、原料PVA系樹脂フィルム10の延伸手段(湿式延伸手段)を含むことができ、また偏光フィルムの製造方法は、原料PVA系樹脂フィルム10の延伸処理工程(湿式延伸処理工程)を含むことができる。
【0018】
(1)原料PVA系樹脂フィルム
湿式処理工程S101に供される(湿式処理部に導入される)原料PVA系樹脂フィルム10は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」ともいう。)で構成されるフィルムである。PVA系樹脂とは、ビニルアルコール由来の構成単位を50重量%以上含む樹脂をいう。PVA系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。
酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。その他の「(メタ)」を付した用語においても同様である。
【0019】
PVA系樹脂のケン化度は、80.0~100.0モル%の範囲であることができるが、好ましくは90.0~100.0モル%の範囲であり、より好ましくは94.0~100.0モル%の範囲であり、さらに好ましくは98.0~100.0モル%の範囲である。ケン化度が80.0モル%未満であると、得られる偏光フィルム25及びこれを含む偏光板の耐水性及び耐湿熱性が低下し得る。
【0020】
ケン化度とは、PVA系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基(アセトキシ基:-OCOCH)がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものである。ケン化後のPVA系樹脂に含まれる水酸基及び酢酸基の数から、下記式:
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)/(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。
【0021】
PVA系樹脂の平均重合度は、好ましくは100~10000であり、より好ましくは1500~8000であり、さらに好ましくは2000~5000である。PVA系樹脂の平均重合度もJIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。平均重合度が100未満では、好ましい偏光性能を有する偏光フィルム25を得ることが困難であり、10000を超えると溶媒への溶解性が悪化し、原料PVA系樹脂フィルム10の形成(製膜)が困難となり得る。
【0022】
原料PVA系樹脂フィルム10の一例は、上記PVA系樹脂を製膜してなる未延伸フィルムである。製膜方法は、特に限定されるものではなく、溶融押出法、溶剤キャスト法のような公知の方法を採用することができる。
原料PVA系樹脂フィルム10の他の一例は、上記未延伸フィルムを延伸してなる延伸フィルムである。この延伸は通常、一軸延伸、好ましくは縦一軸延伸である。縦延伸とは、フィルムの機械流れ方向(MD)、すなわちフィルムの長手方向への延伸をいう。
湿式処理工程S101に供される(湿式処理部に導入される)原料PVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合において、この延伸は、好ましくは乾式延伸である。乾式延伸とは空中で行う延伸をいい、通常は縦一軸延伸となる。
【0023】
乾式延伸としては、表面が加熱された熱ロールと、この熱ロールとは周速の異なるガイドロール(又は熱ロールであってもよい。)との間にフィルムを通し、熱ロールを利用した加熱下に縦延伸を行う熱ロール延伸;距離を置いて設置された2つのニップロール間にある加熱手段(オーブン等)を通過させながら、これら2つのニップロール間の周速差によって縦延伸を行うロール間延伸;テンター延伸;圧縮延伸等を挙げることができる。
延伸温度(熱ロールの表面温度や、オーブン内温度等)は、例えば80~150℃であり、好ましくは100~135℃である。
【0024】
上記延伸の延伸倍率は、後述する湿式処理工程S101において湿式延伸を実施するか否か、及び当該湿式延伸での延伸倍率にもよるが、通常は1.1~8倍であり、好ましくは2.5~5倍である。
【0025】
原料PVA系樹脂フィルム10は、可塑剤等の添加剤を含有することができる。可塑剤の好ましい例は多価アルコールであり、その具体例としては、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。原料PVA系樹脂フィルム10は、1種又は2種以上の可塑剤を含有することができる。
可塑剤の含有量は、原料PVA系樹脂フィルム10を構成するPVA系樹脂100重量部に対して、通常5~20重量部であり、好ましくは7~15重量部である。
【0026】
湿式処理工程S101に供される(湿式処理部に導入される)原料PVA系樹脂フィルム10の厚みは、原料PVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムであるか否かにもよるが、通常10~150μmであり、得られる偏光フィルム25の薄膜化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは65μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは35μm以下(例えば30μm以下、さらには20μm以下)である。
【0027】
(2)湿式処理工程S101
湿式処理工程S101が実施される湿式処理部は、原料PVA系樹脂フィルム10の搬送経路上に配置されるゾーンであり、原料PVA系樹脂フィルム10が浸漬される処理液を収容する処理槽を含む。この湿式処理部において、原料PVA系樹脂フィルム10を搬送させながら処理液に原料PVA系樹脂フィルム10を浸漬させる湿式処理工程S101が実施される。
【0028】
湿式処理部は、上記処理槽として、通常は染色処理槽15及び架橋処理槽17を含んでおり、好ましくはさらに、膨潤処理槽13及び洗浄処理槽19を含む。これらの処理槽は通常、搬送経路の上流側から順に、膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17、洗浄処理槽19の順で配置される(図1参照)。
図1には、膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17及び洗浄処理槽19をそれぞれ1槽ずつ設けた例を示しているが、必要に応じて染色処理槽15を2槽以上設けてもよく、架橋処理槽17を2槽以上を設けてもよい。膨潤処理槽13、洗浄処理槽19についても同様であり、それぞれ2槽以上設けてもよい。
【0029】
(2-1)膨潤処理工程
膨潤処理工程における膨潤処理は、原料PVA系樹脂フィルム10の異物除去、可塑剤除去、易染色性の付与、原料PVA系樹脂フィルムの可塑化等の目的で必要に応じて実施される処理である。
図1を参照して、膨潤処理工程は、原料PVA系樹脂フィルム10を巻出ロール11より連続的に巻き出しながら、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、原料PVA系樹脂フィルム10を、膨潤処理液を収容する膨潤処理槽13に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。
【0030】
膨潤処理槽13に収容される処理液(膨潤処理液)は、例えば水(純水等)であることができるほか、アルコール類等の水溶性有機溶媒を添加した水溶液であってもよい。また、膨潤処理液は、ホウ酸、塩化物、無機酸、無機塩等を含有することもできる。
膨潤処理液の温度は、通常10~70℃、好ましくは15~50℃、より好ましくは15~35℃である。原料PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(膨潤処理液中での滞留時間)は、通常10~600秒、好ましくは15~300秒である。
【0031】
膨潤処理中に、原料PVA系樹脂フィルム10に対して湿式延伸処理(通常は一軸延伸処理)を施してもよい。その場合の延伸倍率は、通常1.2~3倍、好ましくは1.3~2.5倍である。図1を参照して、例えば、ニップロール2aとニップロール2bとの周速差を利用して膨潤処理槽13中で一軸延伸処理を施すことができる。
図1に示される例において、膨潤処理槽13から引き出されたフィルムは、ガイドロール1c、ニップロール2bを順に通過して染色処理槽15へ導入される。
【0032】
(2-2)染色処理工程
染色処理は、原料PVA系樹脂フィルム10に二色性色素を吸着、配向させる等の目的で実施される処理である。
図1を参照して、染色処理工程は、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、原料PVA系樹脂フィルム10を染色処理槽15に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。染色処理槽15は、それに収容される染色処理液に原料PVA系樹脂フィルム10を浸漬させるための槽である。染色処理液に浸漬される原料PVA系樹脂フィルム10は、好ましくは膨潤処理工程(膨潤処理槽13に浸漬された)後のフィルムである。
染色処理槽15に収容される染色処理液は、二色性色素を含有する液(通常は水溶液)である。二色性色素は、ヨウ素又は二色性有機染料であることができ、好ましくはヨウ素である。二色性色素は、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0033】
二色性色素としてヨウ素を用いる場合、上記染色処理液には、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液を用いることができる。ヨウ化カリウムに代えて、ヨウ化亜鉛等の他のヨウ化物を用いてもよく、ヨウ化カリウムと他のヨウ化物を併用してもよい。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、ホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルト等を共存させてもよい。ホウ酸を添加する場合は、ヨウ素を含む点で後述する架橋処理液と区別される。例えば、水100重量部に対し、ヨウ素を約0.003重量部以上含んでいるものであれば、染色処理液とみなすことができる。染色処理液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部あたり、通常0.003~1重量部である。染色処理液におけるヨウ化カリウム等のヨウ化物を含む場合、その含有量は、水100重量部あたり、通常0.1~20重量部が好ましい。
【0034】
染色処理工程における染色処理液の温度は、通常10~45℃であり、好ましくは10~40℃であり、より好ましくは20~35℃である。原料PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(染色処理液中での滞留時間)は、通常20~600秒、好ましくは30~300秒である。
【0035】
上述のように、偏光フィルム製造装置は、染色処理槽15を2槽以上含むことができる。この場合、各染色処理液の組成及び温度は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
二色性色素の染色性を高めるために、染色処理に供される原料PVA系樹脂フィルム10は、少なくともある程度の延伸処理(通常は一軸延伸処理)が施されていることが好ましい。染色処理前の延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の延伸処理に加えて、染色処理を行いながら延伸処理を施してもよい。染色処理までの積算の延伸倍率(染色処理までに延伸工程がない場合は染色処理での延伸倍率)は、通常1.6~4.5倍であり、好ましくは1.8~4倍である。図1を参照して、例えば、ニップロール2bとニップロール2cとの周速差を利用して染色処理槽15中で一軸延伸処理を施すことができる。
図1に示される本典型例において、染色処理槽15から引き出されたフィルムは、ガイドロール1f、ニップロール2cを順に通過して架橋処理槽17へ導入される。
【0037】
(2-3)架橋処理工程
架橋処理工程における架橋処理は、架橋による耐水化や色相調整(補色)等の目的で実施される処理である。
図1を参照して、架橋処理は、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、染色処理工程S101(染色処理槽15に浸漬された)後の原料PVA系樹脂フィルム10を架橋処理槽17に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。架橋処理槽17は、それに収容される架橋処理液に原料PVA系樹脂フィルム10を浸漬させるための槽である。
架橋処理槽17に収容される架橋処理液は、架橋剤を含有する液(通常は水溶液)である。この架橋処理液に染色処理工程後の原料PVA系樹脂フィルム10を浸漬することによって架橋処理を行う。
【0038】
架橋処理液に含有される架橋剤としては、例えば、ホウ酸、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられ、好ましくはホウ酸である。2種以上の架橋剤を併用することもできる。
架橋処理液における架橋剤の含有量は概して、水100重量部あたり、通常0.1~15重量部であり、好ましくは1~12重量部である。
【0039】
二色性色素がヨウ素の場合、架橋処理液は、架橋剤に加えてヨウ化物を含有することが好ましい。
ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛等が挙げられる。
架橋処理液におけるヨウ化物の含有量は概して、水100重量部あたり、通常0.1~20重量部であり、好ましくは5~15重量部である。
【0040】
架橋処理工程における架橋処理液は、ヨウ化物以外の化合物を含有していてもよい。該化合物としては、例えば、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0041】
架橋処理液の温度は概して、通常20~85℃であり、好ましくは30~70℃である。原料PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(架橋処理液中での滞留時間)は概して、通常10~600秒、好ましくは20~300秒である。
【0042】
上述のように、偏光フィルム製造装置は、架橋処理槽17を2槽以上含むことができる。この場合、各架橋処理液の組成及び温度は同じであってもよいし、異なっていてもよい。架橋処理液は、原料PVA系樹脂フィルム10を浸漬させる目的に応じた架橋剤及びヨウ化物等の濃度や、温度を有していてもよい。架橋による耐水化のための架橋処理及び色相調整(補色)のための架橋処理を、それぞれ複数の工程で行ってもよい。
一般に、架橋による耐水化のための架橋処理及び色相調整(補色)のための架橋処理の双方を実施する場合、色相調整(補色)のための架橋処理を実施する槽(補色槽)が後段に配置される。補色槽に収容される処理液の温度は、例えば10~55℃であり、好ましくは20~50℃である。補色槽に収容される処理液における架橋剤の含有量は、水100重量部あたり、例えば1~5重量部である。補色槽に収容される処理液におけるヨウ化物の含有量は、水100重量部あたり、例えば3~30重量部である。
【0043】
架橋処理を行いながら延伸処理(通常は一軸延伸処理)を施してもよい。図1を参照して、例えば、ニップロール2cとニップロール2dとの周速差を利用して架橋処理槽17中で一軸延伸処理を施すことができる。
図1に示される例において、架橋処理槽17から引き出されたフィルムは、ガイドロール1i、ニップロール2dを順に通過して洗浄処理槽19へ導入される。
【0044】
(2-4)洗浄処理工程
偏光フィルムの製造方法は、架橋処理工程後の洗浄処理工程をさらに含むことができ、このために偏光フィルム製造装置は、架橋処理槽17の下流側に配置される洗浄処理槽19をさらに含むことができる。洗浄処理工程における洗浄処理は、架橋処理工程後の原料PVA系樹脂フィルム10に付着した余分な薬剤を除去する等の目的で実施される処理である。
図1を参照して、洗浄処理は、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、架橋処理工程(架橋処理槽17に浸漬された)後の原料PVA系樹脂フィルム10を洗浄処理槽19に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。あるいは、洗浄処理は、架橋処理工程後の原料PVA系樹脂フィルム10に対して洗浄液を例えばシャワーとして噴霧する処理であってもよく、洗浄処理槽19への浸漬と洗浄液の噴霧とを組み合わせてもよい。図1には、原料PVA系樹脂フィルム10を洗浄処理槽19に浸漬して洗浄処理を施す場合の例を示している。
【0045】
洗浄処理槽19に収容される洗浄処理液や噴霧される洗浄液は、例えば水(純水等)であることができるほか、アルコール類等の水溶性有機溶媒を添加した水溶液であってもよい。洗浄浴の温度は、例えば2~40℃である。
【0046】
洗浄処理を行いながら延伸処理(通常は一軸延伸処理)を施してもよい。図1を参照して、例えば、ニップロール2dとニップロール2eとの周速差を利用して洗浄処理槽19中で一軸延伸処理を施すことができる。
【0047】
(2-5)延伸処理工程
湿式処理工程において原料PVA系樹脂フィルム10に対して湿式延伸を実施してもよい。
湿式延伸は通常、一軸延伸であり、膨潤処理、染色処理、架橋処理、洗浄処理のいずれかの処理を行いながら、又はこれらから選択される2以上の処理中に行うことができる。
湿式延伸は、好ましくは、架橋処理工程又はそれより前の1又は2以上の段階でなされる。上述のように、二色性色素の染色性を高めて良好な偏光特性を有する偏光フィルム25を得るために、染色処理工程に供される原料PVA系樹脂フィルム10は、少なくともある程度の延伸処理が施されていることがより好ましい。
湿式延伸の延伸倍率は、得られる偏光フィルム25の偏光特性の観点から、好ましくは、偏光フィルム25の最終的な累積延伸倍率(湿式処理に供される原料PVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合には、この延伸も含めた累積延伸倍率)が3~8倍となるように調整される。
【0048】
湿式延伸処理工程を実施する場合、偏光フィルム製造装置は、原料PVA系樹脂フィルム10の湿式延伸手段を含む。湿式延伸手段は、好ましくはロール間延伸を行う延伸手段である。架橋処理工程中に湿式でロール間延伸を行う場合を例に挙げると、ロール間延伸を行う延伸手段は、架橋処理槽17の前後に配置される2つのニップロール2c,2dである。他の湿式処理中に延伸を行う場合についても同様に、離間して配置された2つのニップロールを湿式延伸手段とすることができる。
【0049】
(3)乾燥処理工程
乾燥処理工程が実施される乾燥処理部は、原料PVA系樹脂フィルム10の搬送経路上であって湿式処理部の下流側に配置される、湿式処理工程S101後の原料PVA系樹脂フィルム10を乾燥させるためのゾーンである。湿式処理工程S101後の原料PVA系樹脂フィルム10を引き続き搬送させながら、乾燥処理部に当該フィルムを導入することによって乾燥処理を施すことができ、これにより偏光フィルム25が得られる(図1参照)。
【0050】
乾燥処理部は、フィルムの乾燥手段(加熱手段)を含む。乾燥手段の好適な一例は乾燥炉である。乾燥炉は、好ましくは炉内温度を制御可能なものである。乾燥炉は、例えば、熱風の供給等により炉内温度を高めることができる熱風オーブンである。また乾燥手段による乾燥処理は、凸曲面を有する1又は2以上の加熱体に湿式処理工程後の原料PVA系樹脂フィルム10を密着させる処理や、ヒーターを用いて該フィルムを加熱する処理であってもよい。
【0051】
上記加熱体としては、熱源(例えば、温水等の熱媒や赤外線ヒーター)を内部に備え、表面温度を高めることができるロール(例えば熱ロールを兼ねたガイドロール)を挙げることができる。上記ヒーターとしては、赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、パネルヒーター等を挙げることができる。図1には、乾燥炉21内に湿式処理工程S101後の原料PVA系樹脂フィルム10を導入して乾燥処理する例を示している。
【0052】
乾燥処理の温度(例えば、乾燥炉21の炉内温度、熱ロールの表面温度等)は、通常30~100℃であり、好ましくは50~90℃である。
【0053】
偏光フィルム25は、延伸(通常は一軸延伸)されたPVA系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されているものである。偏光フィルム25の厚みは、通常2~40μmである。偏光フィルム25を含む偏光板の薄膜化の観点から、偏光フィルム25の厚みは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。
【0054】
得られる偏光フィルム25の視感度補正単体透過率Tyは、視感度補正偏光度Pyとのバランスを考慮して、40~47%であることが好ましく、41~45%であることがより好ましい。視感度補正偏光度Pyは、99.9%以上であることが好ましく、99.95%以上であることがより好ましい。
Ty及びPyは、積分球付き吸光光度計を用い、得られた透過率、偏光度に対してJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行うことによって測定することができる。
【0055】
得られた偏光フィルム25は、巻取ロール27に順次巻き取ってロール形態としてもよいし、巻き取ることなくそのまま偏光板作製工程(偏光フィルム25の片面又は両面に熱可塑性樹脂フィルム(保護フィルム等)を積層する工程)に供することもできる。
【0056】
(4)泡処理工程
以下、湿式処理工程S101で用いる処理液のいずれかが有する泡又は該泡を含む液体に何らかの操作や処理を施す工程及び該工程に起因して実施され得る工程を、総称して「泡処理工程」ともいう。
本典型例に係る偏光フィルムの製造方法において泡処理工程は、
処理液の少なくとも一部について、液面上に存在する泡を含む第1部分と、第1部分以外の第2部分とに分離する工程(泡分離工程S201)
を含む。
1つの実施形態において泡処理工程は、泡分離工程S201の前に実施される、
泡を発生させるか、又は泡を増加させる工程(泡発生工程S200)
をさらに含む。
他の実施形態において泡処理工程は、第1部分に含まれる泡からPVA系樹脂を含む固体(以下、「固体」という。)を析出させる工程(固体析出工程S202)、及び
上記固体の少なくとも一部を除去する工程(固体除去工程S203)
をさらに含む。
さらに他の実施形態において泡処理工程は、
固体除去工程S203によって回収される液体の少なくとも一部を上記処理槽に戻す工程(第1再利用工程S204)
をさらに含む。
なおさらに他の実施形態において泡処理工程は、
第2部分の少なくとも一部を上記処理槽に戻す工程(第2再利用工程S205)
をさらに含む。
上で例示した実施形態の2以上を組み合わせた実施形態も本発明に属する。
以下、各工程について説明する。
【0057】
(4-1)泡分離工程S201及び泡発生工程S200
本工程では、湿式処理工程S101に用いられている処理液の少なくとも一部について、その液面上に存在する泡を含む第1部分と、第1部分以外の第2部分とに分離する。
第1部分に含まれる泡は、後で詳述するように、そこから固体を生じさせるために利用することができる泡である。第1部分に含まれる泡には、処理液それ自体(泡を生じていない処理液)よりもPVA系樹脂が濃縮されて含まれていることが本発明者の検討で明らかとなっている。したがって、この泡を選択的に取り除くことによって処理液中に溶出しているPVA系樹脂を効率的に除去することができ、これによって、固体がフィルムに付着するという上述の不具合を効果的に抑制することができる。
また、泡処理工程において、第1部分に含まれる泡を選択的に分離回収し、処理する方法によれば、PVA系樹脂の高濃度液を処理することになるので、PVA系樹脂濃度が希薄な液を処理するのに比べて、処理効率を高めることができる。
このように本発明では、PVA系樹脂が濃縮状態で含有されている泡を、破裂していない泡の状態で泡処理工程にて分離回収し、処理することが肝要である。
【0058】
泡分離工程S201に供される処理液は、膨潤処理液、染色処理液、架橋処理液及び洗浄処理液からなる群より選択される1又は2以上の処理液である。例えば架橋処理槽17が2槽以上ある場合、これらから選択される2槽以上の槽に収容されているそれぞれの架橋処理液について、泡分離工程S201を実施してもよい。膨潤処理槽13、染色処理槽15、洗浄処理槽19についても同様である。
上記の処理液の中でも、PVA系樹脂が析出しやすいか、又はPVA系樹脂の濃度が高まりやすいことから、少なくとも架橋処理液について泡分離工程S201を実施することが好ましく、少なくとも補色槽に使用される架橋処理液について泡分離工程S201を実施することがより好ましい。
なお、泡分離工程S201に供される処理液におけるPVA系樹脂の濃度は、例えば、重量基準で5ppm~5000ppm程度であってよい。
【0059】
第1部分に含まれる、処理液の液面上に存在する泡は、偏光フィルムを製造する過程で意図せず発生した泡であってもよいが、好ましくは、積極的に(意図的に)発生させた泡を含む。後者の場合、泡処理工程は、泡を発生させるか、又は泡を増加させる泡発生工程S200をさらに含む。
泡発生工程S200は、意図せず発生した泡を含む処理液に対して実施してもよい。この場合、泡発生工程S200は、泡を増加させる工程となる。
【0060】
泡発生工程S200は、処理槽に収容されている処理液に対して、該処理槽内で行ってもよいし、あるいは、収容槽から処理液の少なくとも一部を抜き出し、その抜き出された処理液に対して行ってもよい。泡発生工程S200を該処理槽内で行う場合、固体の付着を抑制するために、フィルムに泡を接触させずに行うことが好ましい。
図1には、架橋処理槽17内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を収容するための第1収容槽30を設け、そこに接続路(接続ライン)29を通して上記少なくとも一部の架橋処理液を導入し、第1収容槽30内にて、そこに収容されている架橋処理液に対して泡発生工程S200を実施する例を示している。接続路(接続ライン)29は、架橋処理槽17と第1収容槽30とを接続している。
【0061】
泡発生工程S200は、特に限定されないが、例えば次の方法によって実施することができる。
〔a〕ポンプ等を用いて、処理槽内又は第1収容槽30内の処理液中にバブリングを行う方法。
バブリングに用いる気体としては、例えば、空気のほか、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが挙げられる。不活性ガスの使用は、ヨウ素イオンを酸化させることなくバブリングを行うことができる点で好ましい。
バブリングによって生じるバブルの大きさ(直径)は、例えば1μm~5cmであり、好ましくは1μm~5mmであり、より好ましくは1μm~1mmである。
〔b〕上記〔a〕のほか、処理槽内又は第1収容槽30内の処理液に対して、何らかの外的衝撃を付与する方法。
〔c〕上記〔a〕及び〔b〕の組み合わせ。
【0062】
上記〔b〕としては、具体的には、例えば次の方法が挙げられる。
〔b-1〕処理槽内又は第1収容槽30内の処理液の液面に、液体を落下させる方法。
該液体としては、フレッシュな処理液や、後で詳述する第1再利用工程S204及び/又は第2再利用工程S205にて処理槽に戻される液体が挙げられる。液体を落下させる態様は特に制限されないが、効率的に泡を生じさせる観点から、シャワー状の液体を処理液の液面に当てる態様であることが好ましい。
〔b-2〕処理槽内又は第1収容槽30内の処理液の気液界面にて撹拌を行う等によってせん断力を付与する方法。
〔b-3〕第1収容槽30内に処理液を、第1収容槽30内に処理液が充填されていない空間部分が生じる程度に導入する等、処理液が気液界面を有する状態で、処理液を振とうする(シェイクする)方法。
〔b-4〕偏光フィルム製造装置の搬送経路や、偏光フィルム製造装置内を搬送中の原料PVA系樹脂フィルム10からの液だれを利用し、これを処理槽内又は第1収容槽30内の処理液の液面に落下させる方法。
〔b-5〕処理槽内の処理液を第1収容槽30に導入したときの衝撃又は導入したときに起こる処理液の振とうによって泡を生じさせる方法。
【0063】
泡発生工程S200は、処理槽から処理液を抜き出すための接続路内で行われてもよい。例えば図1を参照して、ポンプ等を用いて、接続路29を通して架橋処理槽17から架橋処理液の少なくとも一部を気体とともに吸い出し、これによって生じる架橋処理液の振とうによって接続路29中で泡を発生させてもよい。また、接続路29内に、流通する架橋処理液を撹拌又は振とうさせる手段を付設しておき、この手段によって接続路29中で泡を発生させてもよい。
処理液を冷却してから、又は処理液を冷却しながら泡発生工程S200を実施すると、水に対するPVA系樹脂の溶解度が下がるため、処理液中に溶出しているPVA系樹脂の除去効率を高めることができる。
処理液の冷却温度は、例えば0~25℃であり、好ましくは0~15℃である。
【0064】
泡分離工程S201では、処理槽内又は第1収容槽30内にある泡を含む処理液から、例えば次の方法によって第1部分を分離させることができる。
〔A〕処理槽又は第1収容槽30から処理液をオーバーフローさせることによって、処理液の液面上に存在する泡とその下にある液体の一部とで構成される第1部分を分離する方法。
〔B〕処理槽又は第1収容槽30内の泡を、ポンプ等を用いて吸引する方法。この方法においても、第1部分は、泡の下にある液体の一部を含んでいてもよい。
〔C〕処理槽又は第1収容槽30内の処理液の液面上にある泡に気体を吹き付けて、該液面上から除去する方法。この方法においても、第1部分は、泡の下にある液体の一部を含んでいてもよい。
〔D〕上記〔A〕~〔C〕から選ばれる2以上の組み合わせ。
【0065】
図1には、第1収容槽30内に収容された泡を含む架橋処理液の第1部分を、接続路(接続ライン)31を通して第2収容槽40に導入することによって、第1部分と第2部分とを分離する例を示している。接続路(接続ライン)31は、第1収容槽30と第2収容槽40とを接続している。
ただし上記の例に限らず、例えば、処理槽(例えば架橋処理槽17)内の処理液が意図せず泡を含んでいる場合であって泡発生工程S200を実施しない場合や、処理槽内で泡発生工程S200を実施する場合等においては、第1収容槽30を省略し、処理槽内の泡を含む第1部分を直接、第2収容槽40に導入して、第1部分と第2部分とに分離してもよい。勿論、上記のような場合においても、泡を含む処理液を一旦、第1収容槽30に収容してから、第1部分と第2部分とに分離してもよい。
【0066】
上述のように、第1部分に含まれる泡にはPVA系樹脂が濃縮されて含まれており、第1部分に含まれる泡は、PVA系樹脂の濃度が、泡を生じる前の処理液や第2部分よりも高くなっている。このような泡から固体を析出させ、これを除去する方法によれば、泡を生じる前の処理液や第2部分からPVA系樹脂を除去する処理効率を高めることができるとともに、PVA系樹脂の除去効率を高めることができる。
【0067】
(4-2)固体析出工程S202
本工程は、第1部分に含まれる泡からPVA系樹脂を含む固体を析出させる工程である。固体析出工程S202は、図1に示される例においては、第2収容槽40にて実施することができる。
析出する固体は、PVA系樹脂のほか、処理液に含まれる他の成分(例えば、架橋処理液であれば、架橋剤やヨウ化物等)をさらに含んでいてもよい。
【0068】
固体析出工程S202では、第1部分に含まれる泡から、例えば次の方法によってPVA系樹脂を含む固体を析出させることができる。
〔i〕ポンプ等を用いて、第1部分中にバブリングを行う方法。
バブリングによって第1部分の表面積が増加する結果、固体の析出が促進される。
バブリングに用いる気体としては、例えば、空気のほか、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが挙げられる。
バブリングによって泡から固体を析出させるにあたっては、第1部分の気液界面の面積を大きくするほど、固体の析出効率が向上することが本発明者の検討により明らかとなっている。したがって、例えば、第1部分を第2収容槽40に収容して固体析出工程S202を実施する場合には、第2収容槽40の底面積をより大きくして、そこに収容される第1部分の気液界面の面積をより大きくすることが好ましい。
バブリングによって生じるバブルの大きさをより小さくするほど、固体の析出効率が向上することが本発明者の検討により明らかとなっている。したがって、バブルの大きさはより小さい方が好ましい。バブリングによって生じるバブルの大きさ(直径)は、例えば1μm~5cmであり、好ましくは1μm~5mmであり、より好ましくは1μm~1mmである。
〔ii〕泡を含む第1部分をスプレー噴霧すること等によって微小な液粒を形成する方法。
泡を含む第1部分を微小な液粒に形態変化させることによって、気化速度が上がり、液粒中のPVA系樹脂の濃度上昇、及び気化熱による液粒の温度低下が生じるため、固体の析出が促進される。
〔iii〕第1部分を冷却する方法。
冷却によってPVA系樹脂の分子鎖同士の凝集力が増大する結果、固体の析出が促進される。
第1部分の冷却温度は、例えば0~25℃であり、好ましくは0~15℃である。
〔iv〕第1部分を撹拌する等、第1部分に対してせん断力を付与する方法。
〔v〕上記〔i〕~〔iv〕から選ばれる2以上の組み合わせ。
とりわけ、上記〔i〕と〔iii〕とを組み合わせることは、固体の析出効率を高めるうえで有利である。
泡分離工程S201で分離される第1部分が泡のみである場合であっても、該泡を破裂させ液体にすることによって、上記〔i〕~〔iv〕の方法を適用することができる。
【0069】
固体析出工程S202は、第1部分が泡部分とそれに付随する液体部分とを含む場合、泡部分と液体部分とに分離した後、泡部分及び液体部分のそれぞれについて別々に実施してもよい。PVA系樹脂が濃縮されて含まれている泡部分を選択的に収集して、これに対して固体析出工程S202を実施することで、PVA系樹脂をより高濃度で含む物質に対して処理することができるため、処理効率を高めることができる。
【0070】
(4-3)固体除去工程S203
本工程は、固体析出工程S202で生じた固体の少なくとも一部を除去する工程である。
固体を除去する方法としては、特に制限されず、活性炭処理など物理吸着を利用して固体を除去する方法や、濾過フィルタ等の固液分離装置を用いた固液分離(濾過)によって固体を除去する方法等が挙げられる。
図1には、析出した固体を含む第1部分を、接続路(接続ライン)41を通して濾過フィルタ50に導入することによって固体を除去する例を示している。接続路(接続ライン)41は、第2収容槽40と濾過フィルタ50とを接続している。
【0071】
(4-4)第1再利用工程S204
泡処理工程は、固体除去工程S203によって回収される液体(固体が除去された後の第1部分)の少なくとも一部を処理槽に戻す工程をさらに含んでいてもよい。
上記液体は、必要に応じて、温度調整等が行われた後に処理槽に戻される。
図1を参照して、濾過フィルタ50と処理槽(架橋処理槽17)とを接続する接続路51を通して、上記液体を処理槽に戻すことができる。
【0072】
処理槽に戻される上記液体は、固体除去工程S203を経てPVA系樹脂の濃度が低減されたものである。したがって、泡分離工程S201(及び好ましくは泡発生工程S200)、固体析出工程S202、固体除去工程S203、並びに第1再利用工程S204の一連の工程を連続的に実施することにより、処理槽内の処理液におけるPVA系樹脂の濃度を、PVA系樹脂を含む析出物がフィルムに付着するという上述の不具合を抑制できる程度に低減あるいは維持することができる。
【0073】
処理槽内の処理液の量を調整するために、固体が除去された第1部分の少なくとも一部を処理槽に戻しながら、又は固体が除去された第1部分の少なくとも一部を処理槽に戻す工程とは別のタイミングで、フレッシュな処理液を添加してから処理槽を補充してもよい。
【0074】
(4-5)第2再利用工程S205
泡処理工程は、泡分離工程S201で生じる第2部分の少なくとも一部を処理槽に戻す工程をさらに含んでいてもよい。
第2部分は、必要に応じて、濾過フィルタ等の固液分離装置を用いて固液分離(濾過)した後、及び/又は温度調整等が行われた後に処理槽に戻される。
図1を参照して、第1収容槽30と処理槽(架橋処理槽17)とを接続する接続路32を通して、第2部分を処理槽に戻すことができる。
なお、処理槽内の処理液に対して泡分離工程S201を実施する場合には、通常、第2部分は処理槽内に留まるため、第2再利用工程S205は不要となる。
【0075】
処理槽に戻される第2部分は、第1部分から分離された画分であるため、PVA系樹脂の濃度が低減されたものである。したがって、泡分離工程S201(及び好ましくは泡発生工程S200)、固体析出工程S202、固体除去工程S203、並びに第2再利用工程S205の一連の工程を連続的に実施することにより、処理槽内の処理液におけるPVA系樹脂の濃度を、固体(PVA系樹脂を含む析出物)がフィルムに付着するという上述の不具合を抑制できる程度に低減あるいは維持することができる。
【0076】
(4-6)泡処理工程の他の実施形態
以上で説明した実施形態は、泡分離工程S201にて泡を含む第1部分を分離回収した後、この第1部分からPVA系樹脂を含む固体を析出させる固体析出工程S202を含むが、これに限定されるものではない。
例えば、泡分離工程S201にて回収した第1部分は、固体析出工程S202に供するのではなく、廃棄してもよい。この実施形態において、泡分離工程S201にて生じた第2部分の少なくとも一部は、上述の第2再利用工程S205によって処理槽に戻してもよい。
このような実施形態においても、PVA系樹脂が高濃度で含まれている画分が泡として除去されるので、PVA系樹脂を含む析出物がフィルムに付着するという上述の不具合を抑制することができる。
【0077】
(5)実験例
(5-1)実験例1
架橋処理槽を2槽(それぞれ第1架橋処理槽17a、第2架橋処理槽17bという。)有すること以外は図1に示される装置と同様の偏光フィルム製造装置を用いて、長尺のポリビニルアルコールフィルム(原料PVA系樹脂フィルム10)から偏光フィルム25を連続製造した。用いたポリビニルアルコールフィルムは、厚み60μmのポリビニルアルコールフィルムであり、フィルムを構成するポリビニルアルコールのケン化度は99.9モル%以上、平均重合度は2400であった。
【0078】
〔a〕膨潤処理工程
巻出ロール11より原料PVA系樹脂フィルム10を連続的に巻き出しながら搬送し、30℃の純水が入った膨潤処理槽13に浸漬しながら、フィルムが弛まないようにニップロール2a,2b間に周速差をつけて2.5倍のロール間延伸(縦一軸延伸)を行って膨潤処理した。
【0079】
〔b〕染色処理工程
次に、ニップロール2bを通過した原料PVA系樹脂フィルム10を、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水(重量比)が0.05/2/100である30℃の染色処理槽15に120秒間浸漬した。この染色処理では、ニップロール2b,2c間に周速差をつけて1.1倍のロール間延伸(縦一軸延伸)を行った。
【0080】
〔c〕架橋処理工程
次に、耐水化を目的とする第1の架橋処理を施すため、ニップロール2cを通過した原料PVA系樹脂フィルム10を、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水(重量比)が12/4.4/100である56℃の第1架橋処理槽17aに30秒間浸漬した。この第1の架橋処理においても、ニップロール間に周速差をつけて、1.9倍のロール間延伸(縦一軸延伸)を行った。次いで、第1の架橋処理後の原料PVA系樹脂フィルム10を、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水(重量比)が9/2.9/100である40℃の第2架橋処理槽(補色槽)17bに15秒間浸漬した(第2の架橋処理)。この第2の架橋処理においても、ニップロール間に周速差をつけて、1.05倍のロール間延伸(縦一軸延伸)を行った。
その後、第2の架橋処理後の原料PVA系樹脂フィルム10を15℃の純水が入った洗浄処理槽19に浸漬し、次いで乾燥炉21を通過させることにより70℃で3分間乾燥させて、偏光フィルム25を作製した。
【0081】
上記の偏光フィルムの連続製造を実施した後の第2架橋処理槽17bを観察すると、架橋処理液の液面上に泡が発生していた。この第2架橋処理槽17b中の架橋処理液から、下記のサンプル1(第2部分)及びサンプル2(第1部分及び第2部分を含む)をサンプリングした。
サンプル1:架橋処理液の泡がない部分をサンプリングしたもの。サンプル1中のポリビニルアルコール濃度を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したところ、重量基準で約1300ppmであった。
サンプル2:架橋処理液の液面上に存在する泡を、その下にある上澄み液ごとサンプリングしたもの。
【0082】
また、サンプル2を二分割し、そのうちの1つの分割液に対してバブリング処理(使用気体:空気)を施してサンプル3とした。
【0083】
サンプル1~3及びリファレンスサンプルとしての純水について、下記の評価試験を行った。評価試験は温度30℃で行った。サンプル1~3については、サンプリング後(サンプル3については、バブリング処理後)、しばらく放置してから評価試験を行った。
【0084】
(1)目視観察
サンプルを目視観察し、液中にポリビニルアルコールを含む粒子(固体)が確認されるかどうかを評価した。結果を表1に示す。なお、液中に分散している粒子がポリビニルアルコールを含むことは、GPC法及び赤外分光法により確認した。
評価基準は次のとおりである。
A:粒子が視認されない。
B:僅かに粒子が視認される。
C:多量の粒子が視認される。
(2)液中パーティクル測定
液中パーティクルカウンター(リオン社製の「光遮蔽式粒子検出器(KS-42D)」)を用い、液中に存在する各粒径を有する粒子の濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
(5-2)実験例2
上記実験例1のサンプル2を60秒間攪拌して泡を増加させサンプル4とした後、このサンプル4を室温下、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した。ろ液をサンプル5とした。そして、このサンプル4及びサンプル5について、実験例1と同様に液中パーティクル測定を行った。結果を表2に示す。
【0087】
【表2】
【0088】
(5-3)実験例3
実験例2で得られたようなサンプル5を、第2架橋処理槽17b中の架橋処理液に戻せば、当該架橋処理液中の固体(PVA系樹脂を含む固体)が少なくなることで、連続製造される偏光フィルム25に対しての当該固体の付着量を下げることができる。このようにして得られる偏光フィルム25は、固体の付着が抑制されるため、外観や品質に優れたものとなる。
【符号の説明】
【0089】
1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h,1i,1j,1k,1l ガイドロール、2a,2b,2c,2d,2e,2f ニップロール、10 原料ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(原料PVA系樹脂フィルム)、11 巻出ロール、13 膨潤処理槽、15 染色処理槽、17 架橋処理槽、19 洗浄処理槽、21 乾燥炉、25 偏光フィルム、27 巻取ロール、29 接続路、30 第1収容槽、31 接続路、32 接続路、40 第2収容槽、41 接続路、50 濾過フィルタ、51 接続路。
図1