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特許7461864電子ベースのホログラムの改良された再構成アルゴリズム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】電子ベースのホログラムの改良された再構成アルゴリズム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20240328BHJP
   G03H 1/04 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
G01N23/04
G03H1/04
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020208077
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2021096475
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】16/717760
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】クン リウ
(72)【発明者】
【氏名】アラン バーム
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ストロー
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-504318(JP,A)
【文献】特表2008-525832(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0597538(EP,A1)
【文献】Toshiaki Tanigaki et al.,“Three-dimensional reconstructions of electrostatic potential distributions with 1.5-nm resolution using off-axis electron holography”,Microscopy,2011年12月21日,Vol. 61,No. 2,PP.77-84
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-G01N 23/2276
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G03H 1/00-G03H 5/00
G01N 27/60-G01N 27/70
G01N 27/92
H01J 37/00-H01J 37/36
H01J 40/00-H01J 49/48
G06T 7/00-G06T 7/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
電子ビームで、試料および既知の物体のホログラムを形成することであって、前記既知の物体は、前記試料に匹敵するサイズである、ことと、
再構成アルゴリズムを使用して、前記既知の物体の再構成を形成することと、
前記既知の物体の前記再構成を前記既知の物体の参照再構成と比較することと、
前記既知の物体の前記再構成と前記既知の物体の前記参照再構成との比較に基づいて、前記試料の再構成アルゴリズムを調整することであって、変動して再構成に影響を与え得るシステムパラメータを修正することと、を含み、
前記既知の物体は、Buckyボール、RNA分子、DNA分子、または金ー白金ナノ粒子である、方法。
【請求項2】
前記既知の物体は、少なくともホログラム解像度のサイズであり、前記試料に匹敵するサイズであり、既知のまたは判定可能なサイズおよび構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料および前記既知の物体のホログラムを形成することは、前記試料および前記既知の物体を前記電子ビームで画像化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記再構成アルゴリズムの調整は、変動して再構成に影響を与え得るシステムパラメータを修正する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記システムパラメータは、振動ノイズと、ホログラム倍率と、電子ビーム干渉性と、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
電子ビーム干渉性のために前記再構成アルゴリズムを調整することは、再構成のコントラストに影響を与える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記試料を基板上に堆積させることと、前記既知の物体を基板上に堆積させることと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記試料および前記既知の物体は、共に堆積させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
50~500eVの範囲のエネルギーを有する電子ビームを提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記既知の物体は既知のまたは測定可能な構造およびサイズを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
装置であって、
電子ビームを提供するように結合された電子エミッタと、
前記電子ビームが試料および基準と相互作用した後に前記電子ビームを受信するように配置された検出器と、
少なくとも前記検出器に結合されて、前記検出器によって取得された前記試料および基準のホログラムを受信するコントローラであって、実行されると、前記コントローラに、
再構成アルゴリズムを使用して前記基準の再構成を形成させ、
前記基準の前記再構成を前記基準の既知の再構成と比較させ、
前記比較に基づいて前記試料の再構成アルゴリズムを調整させ、変動して再構成に影響を与え得るシステムパラメータを修正するコードを含む、コントローラと、を備え
前記基準は、Buckyボール、RNA分子、DNA分子、または金-白金ナノ粒子である、装置。
【請求項12】
前記基準は、少なくとも前記ホログラムの解像度のサイズであり、前記試料に匹敵するサイズであり、既知のまたは判定可能なサイズおよび構造を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記試料の前記再構成アルゴリズムの前記調整は、変動して再構成に影響を与え得るシステムパラメータを修正する、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記システムパラメータは、振動ノイズと、ホログラム倍率と、電子ビーム干渉性と、を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
電子ビーム干渉性のために前記再構成アルゴリズムを調整することは、再構成のコントラストに影響を与える、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記試料は、生体試料である請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記電子ビームは、50~500eVの範囲のエネルギーを有する、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記基準は既知のまたは測定可能な構造およびサイズを有する、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ホログラフィに関し、特に基準調整された再構成アルゴリズムに基づく改良された再構成に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィックシステムは、潜在的な解像度とプロセスの繊細さのために魅力を増している。電子ベースのホログラフィックシステムは、天然状態の生体分子への洞察を提供する可能性があるが、結果として得られる再構成に悪影響を与える可変システムパラメータに煩わされる場合がある。懸念される可変システムパラメータは、通常、システムにノイズを注入し、ホログラム(データ)に望ましくない影響を与え、これは、再構成(分析)に残り続ける。ノイズを考慮する試みが試みられたが、これらの試みにはまだ欠点がある。したがって、改良された、より正確な再構成が得られるように、そのような変数を考慮することが望まれる。
【発明の概要】
【0003】
電子ベースのホログラムの改良された再構成のための装置および方法が本明細書に開示されている。例示的な方法は、少なくとも、試料および既知の物体のホログラムを形成することと、再構成アルゴリズムを使用して、既知の物体の再構成を形成することと、既知の物体の再構成を既知の物体の参照再構成と比較することと、既知の物体の再構成と既知の物体の参照再構成との比較に基づいて、再構成アルゴリズムを調整することと、を含む。例示的な方法は、調整された再構成アルゴリズムを使用して、試料の再構成を形成することをさらに含み得る。
【0004】
例示的な装置は、少なくとも、電子ビームを提供するように結合された電子エミッタと、電子ビームが試料および基準と相互作用した後に電子ビームを受容するように配置された検出器と、少なくとも検出器に結合され、検出器によって取得された試料および基準のホログラムを受信するコントローラと、を含む。加えて、コントローラは、少なくとも、実行されると、コントローラに、再構成アルゴリズムを使用して基準の再構成を形成させ、基準の再構成を基準の既知の再構成と比較させ、比較に基づいて試料の再構成を調整させるコードを含む。コントローラはさらに、実行されると、調整された再構成アルゴリズムを使用して、コントローラに試料の再構成を形成させるコードを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本開示の一実施形態による、例示的な試料調製および分析システムである。
図2図2は、本開示の一実施形態による、試料のホログラムを取得するための例示的なデータ収集サブシステムである。
図3図3は、例示的な画像を含む。
図4図4は、本開示の一実施形態による、試料のより正確な再構成が得られるように、基準の再構成を取得するための例示的な方法である。
図5図5は、本開示の一実施形態による、例示的な一連の画像である。
図6図6は、本開示の一実施形態による、例示的な機能ブロック図である。
【0006】
同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態は、点投影インラインホログラフィの文脈で以下に説明されており、より具体的には、ホログラフィプロセスに基準を組み込むことによってより正確な再構成を提供することを目的としている。例えば、電子ベースのホログラフィは、試料と共に較正物体のホログラムを取得し、較正物体の再構成を使用して試料の再構成を調整する。調整された再構成は、ホログラムのより正確な再構成を提供する。一般に、再構成アルゴリズムの調整は、いくつか例をあげると、振動ノイズ、ホログラフィシステムの倍率、および電子ビームの干渉性など、ホログラムに影響を与え得る可変システムパラメータを考慮する。
【0008】
本出願および特許請求の範囲において使用される、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形も含む。加えて、「含む」という用語は、「備える」を意味する。さらに、「結合された」という用語は、結合された項目間の中間要素の存在を排除するものではない。
【0009】
本明細書に記載のシステム、装置、および方法は、多少なりとも限定的なものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、ならびに相互の様々な組み合わせおよび部分的な組み合わせにおいて、様々な開示された実施形態の新規の非自明的な特徴および態様をすべて対象とする。開示されたシステム、方法、および装置は、任意の特定の態様もしくは特徴またはそれらの組み合わせに限定されず、開示されたシステム、方法、および装置は、任意の1つ以上の特定の利点が存在すること、または問題が解決されることも必要としない。いずれの動作理論も説明を容易にするためであるが、開示されたシステム、方法、および装置は、そのような動作理論に限定されない。
【0010】
開示された方法のいくつかの動作は、便宜的な提示のため、特定の順番で記載されているが、以下に記載される具体的な用語によって特定の順序が要求されない限り、この説明様式が並び替えを包含することを理解されたい。例えば、順に記載される動作は、場合によっては、並び替えられるかまたは同時に実施されてもよい。さらに、単純化のために、添付の図は、開示されたシステム、方法、および装置が、他のシステム、方法、および装置と共に使用され得る様々な方式を示さないことがある。加えて、説明は、開示された方法を説明するために、「生成する」および「提供する」のような用語を使用することがある。これらの用語は、実施される実際の動作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実装に応じて、様々であり、当業者には容易に認識できる。
いくつかの例では、値、手順、または装置は、「最低」、「最良」、「最小」などと呼ばれる。そのような記載は、多くの使用される機能的選択肢からの選択が可能であることを示すことを意図しており、そのような選択は、他の選択よりも優れている(better)、小さい(smaller)、または他の点で望ましい(otherwise preferable)必要はないことが理解されよう。
【0011】
電子ホログラム技術を、生体分子の3D構造画像化および分析に使用することに注目が集まってている。その魅力の一部は、その非破壊的な性質および取得可能な原子レベルの解像度(例えば、約0.35nmの解像度)からくる。電子ホログラム技術では、(高度に)干渉性の電子源が干渉性電子波を放出し、それが一定の位相で空間を移動する。しかし、4~5nmのサイズのタンパク質分子などの生体分子に干渉性電子波を照射した後、電子波は散乱する。散乱した電子波の位相が変化し、照射されている生体分子の構造情報を伝達する。散乱電子波は空間を移動し続け、非散乱波と干渉して干渉パターンを形成する。ついで、干渉パターンが検出され、数学的再構成技術を使用して生体分子の構造情報を抽出するために使用される。
【0012】
再構成プロセスは、いくつか例を挙げると、振動によるノイズ、ホログラムの倍率、再構成の方法論、および電子ビームの干渉度など、正確に判定するのが困難であり得る多くの要因に依存することがわかっている。特にナノメートル範囲の振動は、ホログラム画像をぼやけさせ、画像化されているタンパク質分子の真の情報を明らかにすることを困難にする場合がある。加えて、タンパク質試料はソースから数百ナノメートルしか離れていないが、そのホログラムが取り込まれる画面から約数十ミリメートル離れており、これら2つの距離の比率によってホログラフィシステムの倍率が決まる。倍率、すなわちタンパク質分子とソースとの距離に対する画面とタンパク質分子との距離の比率は、タンパク質ーソース距離が数十ナノメートルの不確実性を有する場合、時には劇的に変化する可能性がある。このような距離の変動は、例えば、試料を保持する膜の平坦性および膜を保持するステージのステージ位置のために起こり得る。これらの不確実な要因は、電子ホログラムを歪め、再構築時に非真正のタンパク質構造を生成する可能性がある。
【0013】
少なくとも上記で特定された問題に対処するための1つの技術は、ホログラムを取得するときに試料材料に基準物体を含めることである。基準は、スケールバーのように機能し、さらに上記の変数を考慮して試料の再構成を調整するのに役立つ。一般に、基準物体は、調査対象の生体分子に匹敵するサイズを有するが、ホログラム解像度(例えば、約0.35nmの解像度)よりも大きいことが望ましく、基準物体の構造およびサイズは、既知のはずであるか、または測定することができる。加えて、利用可能な基準の既知の再構成があると役立つ場合があるが、それは必須ではない。基準物体の例は、1nmを超える均一なサイズを有するBuckyボール、例えば、C60、C84、およびC180、明確に定義された形状と構造を有するRNAまたはDNA分子、2~20nmのサイズの金ー白金ナノ粒子を含む。試料および基準物体のホログラムを同時に取得すると、基準物体のホログラムを使用して、試料の再構成をより正確/完全になるように調整することができる。例えば、振動、倍率、電子ビームの干渉性などに関連するシステムパラメータの値は、基準物体の再構成をその既知のサイズおよび構造と比較することによって、基準物体の再構成から抽出することができる。これらの抽出されたパラメータを試料の再構成に適用して、試料のより正確な再構成を取得することができる。例えば、抽出されたパラメータは、試料の再構成を形成するために使用される再構成アルゴリズムの初期条件を調整するために使用され得る。いくつかの実施形態では、電子ビームの干渉性の関数であるコントラスト強調関数も抽出され、試料の再構成に適用され得る。代替的または補足的に、基準の再構成は、既知の構造情報に基づいてより正確になるように調整され得る。ついで、同じ調整を試料の再構成に適用して、試料の再構成を改良することができる。一般に、較正パラメータは、基準物体の再構成を使用して形状、コントラスト、およびスケールに対して作成され、試料のより正確な再構成を形成するために使用される。結果として、試料分子のより真正な構造およびサイズ情報が達成され得る。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態による、例示的な試料調製および分析システム100である。システム100は、ホログラフィおよび関連付けられた再構成などのその後の分析のために様々な試料を調製することができる。少なくともシステム100の分析の側面は、任意の所望の試料タイプで使用することができるが、試料の調製および送達の側面は、繊細である傾向がある柔らかい試料タイプ、例えば、生物学的材料により適用可能であり得る。いくつかの実施形態では、試料は、天然様状態で分析されることが望まれるタンパク質または生体分子である。そのような実施形態では、システム100は、タンパク質をイオン化し、イオン化された試料供給物から所望のタンパク質を濾過し、イオン化されたタンパク質を分析領域に移送し、そこでタンパク質が分析のために基板上に堆積される。堆積は、試料材料への損傷を低減または排除するように実施され得る。試料に加えて、基準物体も試料と共に堆積されて、より正確な再構成の提供を支援するなど、その後の再構成を支援することができる。記述は例示的な試料として生物学的材料を使用するが、他の試料タイプもまた本開示の範囲内にある。
【0015】
システム100は、少なくとも、試料調製および選択サブシステム102と、試料移送および堆積サブシステム106と、分析サブシステム104と、コントローラ107とを含み得る。図示されていないが、様々な真空ポンプおよび電源を、サブシステムおよび構成要素の少なくともいくつかに結合して、所望の動作環境を提供することができる。いくつかの実施形態では、3つのサブシステム102、104、および106は、試料を画像化するためのモノリシック試料調製および分析システムを形成することができ、モノリシックシステムは、試料導入から画像化/分析までの連続経路を含む。しかしながら、他の実施形態では、サブシステム102および106は、試料を調製して基板に送達するためのモノリシックシステムを形成することができ、ついで、試料は、自立型ホログラフィックシステムなどの任意の望ましい手段によって選択された分析ツールに送達され得る。実施形態にかかわらず、本明細書で論じられるホログラフィック技術は、一般的なホログラフィック分析よりも詳細な試料情報を得るために実装され得る。
【0016】
サブシステム102は、入力された試料供給物に対して様々な機能を実行して、所望の試料を提供する。いくつかの実施形態において、試料は、いくつか例を挙げると、リゾチーム、カルモジュリン、タンパク質A/G、OmpFポリン(大腸菌(1)の外膜タンパク質)、モノクローナル抗体免疫グロブリン(IgG)、C反応性タンパク質(CRP)、ストレプトアビジン、およびヒト血清アルブミンなどのタンパク質である。もちろん、上記のタンパク質のリストは例として含まれており、本開示に限定されない。サブシステム102によって提供される様々な機能は、少なくとも、入力された試料供給物のイオン化、および試料供給物からの標的試料タイプの濾過または選択を含む。例示的なサブシステム102は、ThermoScientific(商標)QExactiv(商標)質量分析計であり得る。いくつかの実施形態では、濾過され、イオン化された試料は、試料の全体的な運動エネルギーを低減するために動力学的に冷却され得る。冷却後、試料は、サブシステム106に提供される。試料がタンパク質である実施形態では、調製および濾過後、タンパク質が所望の天然様状態にあることが望ましい場合があり、これは、いくつかの実施形態で検証することができる。もちろん、他の実施形態では、タンパク質は、所望の天然様状態である必要はなく、また、試料は、タンパク質である必要はない。タンパク質で形成されている試料の記述は、システムの説明のみを目的としており、多少なりとも限定することを意図したものではない。
【0017】
サブシステム102は、試料移送および堆積移送106に基準物体を提供するための基準物体供給108をさらに含み得る。基準物体供給108は、試料がサブシステム106に提供されるとともに、その前または後に、サブシステム106に提供される基準物体の供給を含み得る。例示的な基準物体は、いくつか例を挙げると、C60、C84、およびC180などのBuckyボール、RNAまたはDNA分子、金ー白金ナノ粒子を含む。一般に、ナノサイズの物体は、ホログラムの解像度より大きい(例えば、0.35nmより大きい)試料(例えば、生体分子または調査対象のタンパク質)に匹敵するサイズを有するなど、いくつかの要件を満たしている限り、基準物体として使用することができ、ナノサイズの物体の構造およびサイズは既知であるか、または測定される必要がある。少なくともこれらの特性が満たされている場合、ナノサイズの物体は基準物体として機能するはずである。
【0018】
サブシステム104は、インラインまたは反射ホログラフィック画像化システムなどの直接画像化システムを含み得、直接画像化システムは、少なくともエミッタと、試料ホルダと、検出器とを含む。直接画像化システムは、荷電粒子ビームエミッタ、例えば、電子エミッタ、または光エミッタ、例えば、レーザを含み得る。検出器は、ピクセルベースの固体検出器またはマイクロチャネル位相板検出器であり得るが、エミッタと互換性のある任意の検出器が本明細書で企図される。いくつかの実施形態では、試料は、インラインホログラフィのためにエミッタと検出器との間に配置され得る。他の実施形態では、エミッタ、試料、および検出器は、反射型ホログラフィ用に配置され得る。もちろん、他の配置も本明細書で企図されており、本開示の範囲内にある。
【0019】
いくつかの実施形態では、サブシステム104は、試料および基準物体の電子干渉画像を生成する直接電子画像化システムである。そのような実施形態では、電子干渉画像、例えば、ホログラムを使用して、試料の改良された再構成画像を形成することができる。サブシステム104は、エミッタによって生成された干渉性電子ビームを使用してホログラムを生成する。1つ以上のホログラムは、試料および基準物体のホログラムを含み、これは、その後の再構成の基礎となる。一般に、サブシステム104は、他のサブシステムによって制限されず、サブシステム102および106を使用して、任意の最終分析技術のために試料を選択および堆積することができる。
【0020】
サブシステム106は、サブシステム102によって提供される調製された試料および基準物体のための試料移送および堆積プロセスを提供する。いくつかの実施形態では、試料は、サブシステム102によってイオン化され得、そのような実施形態では、サブシステム106は、堆積位置で終了する、共に結合された複数のイオン移送ステージを含み得る。移送ステージの終了は、試料イオンの移動を遅くするように構成されたイオン光学系を含み得、それにより、試料は、損傷なしで、または少なくとも最小の損傷で基板上に堆積され得る。例えば、いくつかの実施形態では、その後の分析のためにタンパク質が変性するのを低減または防止するエネルギーでタンパク質を堆積させることが望ましい場合がある。好ましくは、イオンエネルギーは、堆積時に30eV/電荷、またはより好ましくは10eV/電荷を超えない。
【0021】
追加的または代替的に、システム100のいくつかの実施形態は、サブシステム106を介してサブシステム104に結合されるサブシステム102を有さない場合がある。そのような実施形態では、試料は、例えば、手作業で、サブシステム106からサブシステム104にユーザによって移送され得る。例えば、イオン化されたタンパク質試料および基準物体は、基板上に堆積され、その後、基板は、サブシステム104に挿入される前に、サブシステム106から除去される。いくつかの実施形態では、サブシステム106の基板は、分析位置に位置している。そのような実施形態では、試料は基板上に堆積され、その場所で分析する準備ができている。しかしながら、他の実施形態では、基板は、堆積位置から分析位置に移される。
【0022】
コントローラ107は、システム100の他のサブシステムに結合されて、それらの個々の管理された動作を制御および/または開始する。コントローラ107は、1つ以上の処理コアまたはマイクロコントローラ、ならびに実行可能コードを格納するための関連付けられたメモリおよび記憶装置であり得る。システム100の動作を制御することに加えて、コントローラ107はまた、分析サブシステム104によって生成されたデータを処理することもできる。もちろん、このデータの処理は、代替的または追加的にオフラインコンピュータによって実行され得る。データの処理は、サブシステム104によって取得された1つ以上のホログラムから再構成される画像を生成すること、および/または試料の再構成を改良するための基準物体の再構成の分析を含み得る。基準再構成に基づいて試料の再構成を改良すると、例えば、試料のより正確な再構成が提供される。もちろん、コントローラ107は、単にシステム100を制御するだけでもよく、再構成プロセスは、クラウドベースのシステムなどの別個のコンピューティングプラットフォーム上で実行することができる。
【0023】
動作中、試料供給物がサブシステム102に提供される。固体または液体の形態であり得る試料供給物は、例えば、他の担体物質および/または不純物と共に標的タンパク質を含む。サブシステム102は、最初に試料供給物をイオン化して、エレクトロスプレーイオン化などによる濾過の準備をすることができる。次に、濾過を行って、試料供給物から標的タンパク質を抽出することができる。例えば、標的タンパク質は、質量分析計などによる質量対電荷比技術を使用して濾過することができる。イオン化されたタンパク質が調製されると、イオン化されたタンパク質は動力学的に冷却され、次にサブシステム106を介して基板に移送される。加えて、基準物体は、基準物体供給108によってサブシステム106に提供される。いくつかの実施形態では、イオン化されたタンパク質および基準物体の両方がサブシステム106に同時に提供され、その結果、それらは共に堆積されて、近接を確実にする。他の実施形態では、基準物体は、タンパク質が堆積される前または後にサブシステム106に提供され、サブシステム106によって堆積させることができる。あるいは、基準物体は、タンパク質が堆積される基板の一部であり得る。一般に、調査対象のタンパク質は、基準物体に近接して堆積させて、両方のホログラムを同時に取得できるようにすることが望ましい。
【0024】
堆積後、試料タンパク質および基準物体の1つ以上のホログラムが、サブシステム104によって形成され得る。タンパク質試料および基準物体の両方を含む少なくとも1つのホログラムが取得されると、コントローラ107または結合されたコンピューティングプラットフォームのいずれかが、例えば再構成アルゴリズムを使用して、基準物体の再構成を形成することができる。続いて、基準物体の再構成が、基準物体の既知の再構成、または基準物体の既知のサイズおよび構造の定義と比較される。この比較により、相対的な構造の差異およびサイズの差異など、基準の再構成および/または再構成アルゴリズムを変更/更新するために使用可能な差異情報が提供される。例えば、再構成アルゴリズムの初期条件は、その後の使用のために変更され得る。再構成アルゴリズムが更新されると、試料タンパク質の再構成を形成するために使用される。更新された再構成アルゴリズムを使用しているため、試料タンパク質の再構成はより正確である。別の例として、システムの振動によるぼけの量は、比較によって判定され得、次に、それは、試料の再構成のぼけを除くために使用され得る。本質的に、基準物体は、振動減算、倍率差、および/または電子ビームの干渉性のための裸のスケールとして使用されるので、システム100のこれらの態様における変動は、再構成プロセスにおいて考慮される。
【0025】
図2は、本開示の一実施形態による、試料および/または基準のホログラムを取得するための例示的なデータ収集サブシステム204である。分析サブシステム104の単なる一例である分析サブシステム204は、試料および/または基準のホログラムを取得するために使用され得、それによって、試料のその後の再構成が改良され得る。分析サブシステム204は、開示された技術が修正する望ましくないシステム特性の少なくともいくつかを考慮することができる。例えば、サブシステム204の倍率(例えば、D2/D1)は、倍率に影響を与える試料および基準を保持する基板の物理的特性のために変動し得る。さらに、ホログラムの取得中にサブシステム204が経験するいかなる振動ノイズも、電子源の干渉度と共に、再構成に影響を与え得る。これらの変数のすべては、開示された技術に基づいて考慮され、低減または排除され得る。
【0026】
サブシステム204は、少なくともエミッタ208と、検出器210とを含む。電子透過性基板によって保持される試料212は、検出器の表面上にホログラム220を形成するために、エミッタ208と検出器210との間に位置し得る。そのような配置はインラインホログラフィシステムを形成するが、他の配置も本開示によって包含される。エミッタ208は、荷電粒子エミッタ(例えば、電子もしくはイオン)、または光子ベースのエミッタ(例えば、レーザ)など、所望の任意のタイプのエミッタであり得る。いくつかの実施形態では、エミッタ208は、50~500eVのエネルギーを有する干渉性電子ビームを提供し得る電子エミッタである。エミッタは、望ましくは干渉性であるが、一定範囲のエネルギーを有する電子ビームをもたらすいくらかの非干渉性(例えば、ΔE)を有することに留意されたい。この範囲のエネルギーは、結果として得られるホログラムおよび関連付けられた再構成に影響を与える可能性がある。エミッタのタイプにかかわらず、照明波面214は、試料212に向かって伝播する。波面214が試料212に到達すると、試料、例えば、試料を形成する構成要素との弾性および非弾性の相互作用が発生し、その結果、出射波222が試料212を離れる。出射波222は、非回折波216と回折波218とを含む。非回折波216および回折波218は、検出器210で検出される干渉パターンを形成し、ホログラム220をもたらす。
【0027】
サブシステム204の倍率は、2つの距離の比率によって決定される。2つの距離は、図2でD1として識別される、エミッタと試料との距離、および図2でD2として識別される、試料と検出器との距離を含む。図2の図は縮尺どおりではなく、D2は通常、D1よりもはるかに大きい場合があり、図2の構成要素の相対的な関係は比例しておらず、説明のみを目的としていることに留意されたい。倍率は、D2とD1との比率、例えば、D2/D1によって定義される。サブシステム204は、数百ナノメートルの範囲、例えば、400nmのD1と、数十ミリメートルの範囲、例えば、70mmのD2とを有し得る。これにより、試料および基準の倍率が比較的大きくなることがあるが、D1の小さな変化でも、倍率、および最終的に結果として得られる再構成への影響を考慮しない可能性がある。D1のそのような小さな変化は、試料および基準を保持する基板の不均一性が原因で発生し得る。基板の不均一性および/または平面性の欠如は、基板全体でD1の小さな変化をもたらし、これは、試料および/または基準の異なる部分に対してD1の差異をもたらすことがある。電子ホログラフィの潜在的な分解能により、例えば、約0.5Åで、基板全体で数ナノメートルの偏差でさえ、結果として得られる再構成の精度に影響を与えることがある。したがって、倍率の変化は、開示された技術を使用して考慮され得、例えば、基準再構成と基準物体の既知の再構成との比較に基づいて再構成アルゴリズムを調整する。
【0028】
図3は、例示的な画像301~307を含む。画像は、ホログラフィプロセスの一連の基準例および試料例を示している。例えば、画像301は、ホログラフィシステムで画像化されて再構成されるタンパク質データベース(5HKR)のC60およびアルファヘリックス構造のサブセットを示している。画像303は、タンパク質のサブセットおよび画像301の基準を離れる出射波(例えば、出射波222)のシミュレーションを示し、画像305は、画像303の出射波に基づいて得られるホログラムのシミュレーションである。シミュレートされたホログラムは、物体(すなわち、C60およびタンパク質のサブセット)を電子源から300nm(例えば、D1)に配置し、検出器を物体から70mm(例えば、D2)に配置して、250eVの干渉性電子ビームを使用してシミュレーションされた。最後に、画像307は、サブセットタンパク質出射波および基準物体C60の数値再構成を示している。基準は、出射波の再構成において識別可能であり、これは、タンパク質のスケールバーとして機能し得、再構成に悪影響を与える他のシステムパラメータ、例えば、システム振動ノイズ、電子ビームの倍率の不確実性、および干渉度、またはその欠如の判定および修正をさらに可能にし得ることに留意されたい。
【0029】
図4は、本開示の一実施形態による、試料のより正確な再構成が得られるように、基準の再構成を取得するための例示的な方法401である。方法401は、システム100などのホログラフィシステムによって、またはホログラフィシステムからホログラムを受信するように結合された任意のコンピューティングシステムによって実施することができる。一般に、方法401は、既知の再構成および/または構造レイアウトおよび寸法をともなう基準物体のホログラムを取得し、かつ基準物体の再構成を使用して、試料の再構成を調整する。基準物体は、基準物体および試料のホログラムを取得するために使用されるホログラフィシステムの可変システムパラメータを考慮するために再構成を調整することができるスケールバーとして機能し得る。
【0030】
方法401は、基板上に試料を堆積することを含むプロセスブロック403から開始することができる。試料の直接電子画像化用に構成された基板は、試料の干渉パターン、例えば、ホログラムの形成を可能にする。堆積方法は、基板上に試料を配置するための任意の既知の方法であり得る。
【0031】
あるいは、方法401は、基準物体を基板上に堆積することを含むプロセスブロック405から開始することができる。基準物体の堆積は、試料の場合と同じ手段でなされてもよい。いくつかの実施形態では、プロセスブロック403および405は、試料および基準物体が共にに堆積されるように組み合わされる。あるいは、基準物体は、基板の一部であり得る。一般に、試料のホログラムおよび基準物体のホログラムが同時に取得されるように、試料および基準物体が近接して堆積されることが望ましい。それぞれのホログラムの同時取得により、ホログラフィシステムの倍率、振動ノイズ、画像化ビームの干渉性など、その後の再構成の精度に影響を与えるシステムパラメータが考慮される。
【0032】
プロセスブロック403/405の後には、試料および基準物体のホログラムを取得することを含むプロセスブロック407が続いてもよい。ホログラムの取得は、(干渉性)電子ビームによる試料および基準物体の露光、ならびに試料および基準物体の結果として生じる干渉パターンの検出を含み得る。
【0033】
プロセスブロック407の後には、基準物体のホログラムに基づいて、基準物体の再構成を形成することを含むプロセスブロック409が続いてもよい。再構成は、任意の既知の再構成アルゴリズムを使用して生成することができ、再構成アルゴリズムは、本開示に限定されない。
【0034】
プロセスブロック409の後には、基準物体の再構成を改変することを含むプロセスブロック411が続いてもよい。改変は、再構成を、基準物体の既知の再構成または構造情報と比較することを含む。この比較により、基準再構成に影響を与えた上記のシステムパラメータを考慮することができ、ついで、システムパラメータの考慮および試料再構成からの削除につながり得る。比較によって強調された差異は、基準物体再構成の改変に基づいて試料の再構成を調整することを含む、プロセスブロック413で使用するために特徴付けられる。基準の再構成と基準の既知の再構成との差異に基づく再構成の調整は、少なくとも可変システムパラメータの再構成を調整し、その後、試料のより正確な再構成を提供する。
【0035】
図5は、本開示の一実施形態による、例示的な一連の画像500である。一連の画像500は、試料および基準の初期のぼやけた再構成(画像501)と、基準の既知の再構成(画像503)と、ぼけ除去機能(画像505)と、試料の調整された再構成(画像507)とを含む。画像501の基準再構成を画像503の既知の基準再構成と比較することにより、例えば、ぼけの量を判定することができ、これを使用して、画像507に示すように試料再構成のぼけを除去することができる。
【0036】
画像501は、試料(501A)および基準物体(501B)の両方のぼやけた再構成を示している。ぼやけは、試料および基準物体のホログラム取得中に発生するシステム振動に起因することがある。図からわかるように、試料の再構成はぼやけのために詳細が欠けているが、基準物体は、ぼやけていても、例えばC60球体として明確に識別可能である。
【0037】
基準の既知の再構成、例えば、C60は、画像503に示され、ついで、画像501に示される基準の再構成を改変するために使用される。この改変は、画像505に示すような単純なぼけ除去アルゴリズムであり得るが、電子ビームの非干渉性、試料基板の非平面性などを修正するための変更も含み得る。ぼけ除去アルゴリズムは、画像505のガウス様曲線で表される。ついで、画像507は、基準再構成の比較に基づく試料の調整された再構成を示している。
【0038】
図6は、本開示の一実施形態による、例示的な機能ブロック図600である。図6は、本発明の一実施形態を実装し得るコンピュータシステム600を示すブロック図である。コンピューティングシステム600は、コントローラ107、サブシステム102、104、106、および/または結合されたサーバー(図示せず)などの、システム100に含まれるコンピューティングハードウェアの一例であり得る。コンピュータシステム600は、少なくとも、情報を通信するためのバス640または他の通信機構と、情報を処理するためにバス640と結合されたハードウェアプロセッサ642とを含む。ハードウェアプロセッサ642は、例えば、汎用マイクロプロセッサであり得る。コンピューティングシステム600は、方法301および401など、本明細書に開示の方法および技術を実装するために使用され得、画像を取得し、画像を1つ以上のクラスにセグメント化するためにも使用され得る。
【0039】
コンピュータシステム600はまた、プロセッサ642によって実行される情報および命令を記憶するためにバス640に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスなどのメインメモリ644を含む。メインメモリ644は、プロセッサ642によって実行される命令の実行中、一時的変数または他の中間情報を記憶するためにも使用され得る。そのような命令は、プロセッサ642にアクセス可能な非一時的記憶媒体に記憶されると、コンピュータシステム600を、命令で指定された動作を実施するようにカスタマイズされた専用マシンにする。
【0040】
コンピュータシステム600は、静的情報およびプロセッサ642に対する命令を記憶するために、バス640に結合された読み取り専用メモリ(ROM)646または他の静的記憶デバイスをさらに含む。磁気ディスクまたは光学ディスクなどの記憶デバイス648が提供され、情報および命令を記憶するためにバス640に結合されている。
【0041】
コンピュータシステム600は、コンピュータユーザに情報を表示するために、陰極線管(CRT)などのディスプレイ650にバス640を介して結合され得る。英数字および他のキーを含む入力デバイス652が、プロセッサ642に情報およびコマンド選択を通信するためにバス640に結合されている。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ642に通信し、ディスプレイ650上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御654である。この入力デバイスは通常に、デバイスが平面内の位置を指定することを可能にする、二つの軸、すなわち、第1の軸(例えば「x」)および第2の軸(例えば「y」)における2つの自由度を有する。
【0042】
コンピュータシステム600は、カスタマイズされたハードワイヤードロジック、1つ以上のASICもしくはFPGA、ファームウェア、および/またはコンピュータシステムと組み合わせてコンピュータシステム600を専用マシンにするかもしくはそのようにプログラムするプログラムロジックを使用して、本明細書に記載の技術を実装してもよい。一実施形態によれば、本明細書の技術は、メインメモリ644に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ642に応答して、コンピュータシステム600によって実施される。そのような命令は、記憶デバイス648などの別の記憶媒体からメインメモリ644に読み込まれてもよい。メインメモリ644に含まれる命令のシーケンスの実行により、プロセッサ642は、本明細書に記載される処理ステップを実施する。代替的な実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用してもよい。
【0043】
本明細書で使用される「記憶媒体(storage media)」という用語は、マシンを特定の方法で動作させるデータおよび/または命令を記憶する任意の非一時的媒体を指す。そのような記憶媒体は、不揮発性媒体および/または揮発性媒体を含み得る。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス648のような、光または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ644のような動的メモリを含む。記憶媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープもしくは他の磁気データ記憶媒体、CDーROM、任意の他の光学データ記憶媒体、穴のパターンを持つ任意の物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)ーEPROM、NVRAM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、連想メモリ(CAM)、および三値連想メモリ(TCAM)を含む。
【0044】
記憶媒体は、伝送媒体とは異なるが、伝送媒体と組み合わせて使用してもよい。伝送媒体は、記憶媒体間の情報の転送に関与する。例えば、伝送媒体には、バス640を構成するワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバが含まれる。伝送媒体は、電波および赤外線データ通信中に生成されるものなど、音響波または光波の形を取ることもできる。
【0045】
様々な形態の媒体が、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを、実行のためにプロセッサ642に搬送するのに関与し得る。例えば、命令は、最初は遠隔コンピュータの磁気ディスクまたはソリッドステートドライブ上で搬送されてもよい。遠隔コンピュータは、命令をその動的メモリにロードして、モデムを使用して電話回線を介して命令を送信することができる。コンピュータシステム600に対してローカルなモデムが、電話回線上のデータを受信して、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。赤外線検出器が、赤外線信号内で搬送されているデータを受信することができ、適切な回路が、データをバス640上に置くことができる。バス640は、データをメインメモリ644に搬送し、プロセッサ642は、そこから命令を取り出し実行する。メインメモリ644によって受信される命令は任意選択的に、プロセッサ642による実行の前または後のいずれかに、記憶デバイス648に記憶されてもよい。
【0046】
コンピュータシステム600は、バス640に結合された通信インターフェース656も含む。通信インターフェース656は、ローカルネットワーク660に接続されたネットワークリンク658に結合して、双方向データ通信を提供する。例えば、通信インターフェース656は、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、または対応するタイプの電話回線へのデータ通信接続を提供するモデムであり得る。別の例として、通信インターフェース656は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。無線リンクの実装であってもよい。そのような実装では、通信インターフェース656は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を送受信する。
【0047】
ネットワークリンク658は通常、1つ以上のネットワークを介して他のデータデバイスへのデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク658は、ローカルネットワーク660を介して、ホストコンピュータ662またはインターネットサービスプロバイダ(ISP)664によって運用されるデータ機器への接続を提供することができる。また、ISP664は、現在一般的に「インターネット」666と称される世界的なパケットデータ通信ネットワークを介してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク660およびインターネット666は両方とも、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を使用する。コンピュータシステム600との間でデジタルデータを搬送する、様々なネットワークを通る信号ならびにネットワークリンク658上の信号および通信インターフェース656を通る信号は、伝送媒体の例示的な形態である。
【0048】
コンピュータシステム600は、ネットワーク(複数可)、ネットワークリンク658、および通信インターフェース656を介して、メッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、サーバ668は、インターネット666、ISP664、ローカルネットワーク660、および通信インターフェース656を介して、アプリケーションプログラムに要求されたコードを送信し得る。
【0049】
受信されたコードは、受信されたときにプロセッサ642によって実行されてもよく、かつ/または後で実行するために記憶デバイス648もしくは他の不揮発性記憶装置に記憶されてもよい。
【0050】
開示された技術を例示するために本明細書で考察された実施形態は、限定するものと見なされるべきではなく、実装の例を提供するにすぎない。当業者は、本明細書で意図され、本開示の範囲内にある、開示された技術を実装し得る他の無数の方式を理解するであろう。例えば、本明細書に開示の技術は、レーザベースのホログラフィおよび/または非インラインホログラフィ技術に適用することができる。
【0051】
電子ベースのホログラムの改良された再構成アルゴリズムのための例示的な方法は、少なくとも、電子ビームで、試料および既知の物体のホログラムを形成することと、再構成アルゴリズムを使用して、既知の物体の再構成を形成することと、既知の物体の再構成を既知の物体の参照再構成と比較することと、既知の物体の再構成と既知の物体の参照再構成との比較に基づいて、試料の再構成を調整することと、を含む。
【0052】
既知の物体は、少なくともホログラム解像度のサイズであり、試料に匹敵するサイズであり、既知のまたは判定可能なサイズおよび構造を有することを特徴とする、上記の例示的な方法。
【0053】
試料および既知の物体のホログラムを形成することは、試料および既知の物体を電子ビームで画像化することを含むことを特徴とする、上記の例示的な方法。
【0054】
電子ビームは、低エネルギーの干渉性の電子ビームであることを特徴とする、上記の例示的な方法。
【0055】
再構成アルゴリズムの調整は、変動して再構成に影響を与え得るシステムパラメータを修正することを特徴とする、上記の例示的な方法。
【0056】
システムパラメータは、振動ノイズと、ホログラム倍率と、電子ビーム干渉性と、を含むことを特徴とする、上記の例示的な方法。
【0057】
電子ビーム干渉性のために再構成アルゴリズムを調整することは、再構成のコントラストに影響を与えることを特徴とする、上記の例示的な方法。
【0058】
既知の物体は、Buckyボール、RNA分子、DNA分子、または金ー白金ナノ粒子であることを特徴とする。上記の例示的な方法
【0059】
試料を基板上に堆積させることと、既知の物体を基板上に堆積させることと、をさらに含む、上記の例示的な方法。
【0060】
試料および既知の物体は、共に堆積させられることを特徴とする、上記の例示的な方法。
【0061】
電子ベースのホログラムの改良された再構成アルゴリズムのための例示的な装置は、少なくとも、電子ビームを提供するように結合された電子エミッタと、電子ビームが試料および基準と相互作用した後に電子ビームを受容するように配置された検出器と、少なくとも検出器に結合され、検出器によって取得された試料および基準のホログラムを受信するコントローラと、を含む。実行されると、コントローラに、再構成アルゴリズムを使用して、基準の再構成を形成させ、基準の再構成を基準の既知の再構成と比較させ、比較に基づいて試料の再構成を調整せるコードを含む、コントローラ。
【0062】
基準は、少なくともホログラム解像度のサイズであり、試料に匹敵するサイズであり、既知のまたは判定可能なサイズおよび構造を有することをさらに特徴とする、上記の例示的な装置。
【0063】
基準は、Buckyボール、RNA分子、DNA分子、または金ー白金ナノ粒子であることをさらに特徴とする、上記の例示的な装置。
【0064】
試料の再構成の調整は、変動して再構成に影響を与え得るシステムパラメータを修正することをさらに特徴とする、上記の例示的な装置。
【0065】
システムパラメータは、振動ノイズと、ホログラム倍率と、電子ビーム干渉性と、を含むことをさらに特徴とする、上記の例示的な装置。
【0066】
電子ビーム干渉性のための再構成アルゴリズムを調整することは、再構成のコントラストに影響を与えることをさらに特徴とする、上記の例示的な装置。
【0067】
電子ビームは、低エネルギーの干渉性電子ビームであることをさらに特徴とする、上記の例示的な装置。
【0068】
試料は、生体試料であることをさらに特徴とする、上記の例示的な装置。
【0069】
試料および既知の物体は、共に堆積させられることをさらに特徴とする、上記の例示的な装置。
試料および既知の物体は、連続的に堆積させられることをさらに特徴とする、上記の例示的な装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6