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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】二成分系被覆組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 175/04 20060101AFI20240328BHJP
   C08G 18/30 20060101ALI20240328BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20240328BHJP
   C08G 18/22 20060101ALI20240328BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240328BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240328BHJP
【FI】
C09D175/04
C08G18/30 020
C08G18/08 038
C08G18/22
C09D7/63
C09D7/61
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020538719
(86)(22)【出願日】2019-01-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2019050192
(87)【国際公開番号】W WO2019137859
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】18151167.6
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】ブアクハート ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】ハイモ ヴェルフレ
(72)【発明者】
【氏名】リー イー チェン
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー ブベル
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103739823(CN,A)
【文献】国際公開第2005/071029(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/141956(WO,A1)
【文献】特開2001-288357(JP,A)
【文献】特開平05-209151(JP,A)
【文献】特開平09-235460(JP,A)
【文献】特表2016-537481(JP,A)
【文献】特開2011-127036(JP,A)
【文献】特表2006-504824(JP,A)
【文献】特表2017-528393(JP,A)
【文献】特開平03-007722(JP,A)
【文献】特開2010-158892(JP,A)
【文献】特表2005-535777(JP,A)
【文献】特表2002-515526(JP,A)
【文献】特表2004-529237(JP,A)
【文献】特開2015-117299(JP,A)
【文献】特開2001-106760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
C08G 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)
(i)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物;
(ii)二成分組成物の全質量を基準として、水≧1質量%~≦50質量%;
(iii)イソシアナートと前記一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物中に存在する水との反応により生成されるCO 2 を消失させる、二成分組成物の全質量を基準として、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、および水酸化カルシウムからなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦50質量%;および
(iv)前記第一の飽和ポリヒドロキシ化合物とは異なる、C2~C6アルキルポリオールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分Bと
を含む、二成分被覆組成物。
【請求項2】
(iv)前記C2~C6アルキルポリオールは、エタンジオール、プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセロール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、ヘキサンジオール、およびそれらの異性体から選択される、請求項1に記載の二成分組成物。
【請求項3】
(iii)二成分組成物の全質量を基準として、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、および水酸化カルシウムからなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦25質量%を含む、請求項1または2に記載の二成分組成物。
【請求項4】
前記一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシドジオールおよびポリプロピレンオキシドトリオールからなる群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の二成分組成物。
【請求項5】
前記一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物の量は、前記二成分組成物の全質量を基準として、≧5.0質量%~≦40質量%の範囲内にある、請求項1から4までのいずれか1項に記載の二成分組成物。
【請求項6】
前記一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物は、DIN 55672-1に従って決定して、≧100~≦20,000g/molの範囲内の質量平均分子量Mwを有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の二成分組成物。
【請求項7】
(iv)前記C2~C6アルキルポリオールからなる群から選択される少なくとも一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物の量は、前記二成分組成物の全質量を基準として、≧0.2質量%~≦20質量%の範囲内にある、請求項1から6までのいずれか1項記載の二成分組成物。
【請求項8】
前記少なくとも一つのポリイソシアナートは、液状のオリゴマーまたはプレポリマーである、請求項1記載の二成分組成物。
【請求項9】
前記少なくとも一つのポリイソシアナートは、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアナート、ブタン-1,4-ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート(全ての異性体)、シクロヘキサン1,3-および1,4-ジイソシアナート、1,12-ドデカメチレンジイソシアナート、二量体脂肪酸のジイソシアナート;リジンメチルエステルジイソシアナート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、水素化ジフェニルメタンジイソシアナート、水素化2,4-トルエンジイソシアナート、水素化2,6-トルエンジイソシアナート、メチレンジフェニルジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、ポリマーのメチレンジフェニルジイソシアナート、カルボジイミド変性メチレンジフェニルジイソシアナートからなる群から選択される、請求項1記載の二成分組成物。
【請求項10】
前記少なくとも一つのポリイソシアナートの量は、前記二成分組成物の全質量を基準として、≧10質量%~≦90質量%の範囲内にある、請求項1から9までのいずれか1項記載の二成分組成物。
【請求項11】
任意に、アミン触媒、アルカノールアミン触媒および金属触媒からなる群から選択される一つの触媒をさらに含む、請求項1記載の二成分組成物。
【請求項12】
前記アミン触媒は、第三級脂肪族アミン触媒である、請求項11記載の二成分組成物。
【請求項13】
前記金属触媒は、ジラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸第一スズ、ネオデカン酸ビスマスおよびネオデカン酸亜鉛からなる群から選択される、請求項11記載の二成分組成物。
【請求項14】
前記触媒の量は、前記二成分組成物の全質量を基準として、≧0.05質量%~≦5質量%の範囲内にある、請求項11から13までのいずれか1項記載の二成分組成物。
【請求項15】
少なくとも一つの添加物をさらに含む、請求項1から14までのいずれか1項記載の二成分組成物。
【請求項16】
前記少なくとも一つの添加物は、乳化剤、難燃剤、抗微生物剤、顔料、UV線安定剤、可塑剤、希釈剤、有機充填剤および無機充填剤からなる群から選択される、請求項15記載の二成分組成物。
【請求項17】
(a)前記成分(i)、(ii)および(iii)を混合することにより成分(A)を製造すること;
(b)成分(B)を、ステップ(a)の混合物に添加し、混合して、最終的な被覆組成物を得ること
のステップを含む、請求項1から16までのいずれか1項記載の二成分組成物を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つの第一の飽和ポリヒドロキシ成分と、任意の一つの第二の飽和ポリヒドロキシ成分と、任意の別のポリヒドロキシ成分と、少なくとも一つのポリイソシアナートと、少なくとも一つの金属成分とを含み、一つの第二のポリヒドロキシ化合物は、一つの第一のポリヒドロキシ化合物とは異なる、二成分系被覆組成物に関する。得られた組成物は、優れた引掻抵抗と、比較的良好な機械特性と、良好な適用性とを提供する。
【0002】
背景技術
被覆は、重要でかつ急速に成長している付加価値用途である。被覆はしばしば、装飾機能と保護機能とを有する。建設用の、特にフローリング用および防水用の被覆組成物は、大抵はエポキシ樹脂またはポリウレタン樹脂をベースとする。
【0003】
エポキシ樹脂をベースとする被覆組成物は、審美的に満足のいくような光沢表面を提供する。一方で、エポキシ樹脂をベースとするフローリング組成物は、特定の欠点を有する。たとえば、特に低温で、不所望なかぶり効果が生じることがある。さらに、光沢の強さは、しばしば温度により影響を受け、寒冷の環境では低下することがある。さらに、含まれる化学物質(たとえばエポキシドおよびアミン)は、欧州REACH規則によりますます有害であると見なされるようになっているため、このような制限を克服するために代替の化学物質が望まれている。
【0004】
ポリウレタン(PU)は、ヒドロキシル基またはアミン基とイソシアナート基との間の反応により生じるカルバマート(ウレタン/尿素)結合により結合された有機単位の鎖から構成されたポリマーからなる。工業的には、ポリウレタンポリマーは、通常ではイソシアナートとポリオールとの反応により形成され、この場合、イソシアナートとポリオールとの両方は、一分子あたり平均して二つ以上の官能基を含む。PUは、超低密度発泡体から高性能複合材料までの極めて多様な形態で製造することができるため、多様な用途に使用することができる。用途の例は、フレキシブルな高反発性発泡体シート、剛性フォーム断熱パネル、電気用ポッティングコンパウンド、高性能接着剤、表面被覆、包装、表面シーラントおよび合成繊維を含む。
【0005】
PUを好結果でエラストマー、接着剤および熱可塑性樹脂にする材料的な全ての側面は、高性能被覆の製造にも十分に転用される。したがって、PU被覆は、特に耐久性、耐摩耗性、審美性、および配合柔軟性について評価されている。さらに、PU接着剤のように、PU被覆は、ほとんど全ての作業のプロセス要件に適合するように多数の形態で提供することができる。
【0006】
しばしば二液性被覆または2Kポリウレタン系ともいわれる、二成分系ポリウレタン被覆は、おそらくポリウレタン被覆の中で最も一般的に知られている。二成分とは、適用の直前に(しばしばAパートとBパートともいわれる)二つの樹脂パッケージを混合するプロセスを説明している。一方のパッケージは、反応性化学基(たとえばヒドロキシルまたはアミン)を有する樹脂を含み、他方のパッケージは、これらの化学基と反応することができるポリイソシアナート樹脂を含む。二成分系被覆の主要な利点は、理論的に無限の貯蔵安定性、および二つの樹脂を混合した際の急速な硬化反応、および適用前の簡単な混合プロセスである。
【0007】
十分に緩慢に硬化するアミンを用いた二成分ポリウレタンや、水およびCO2スカベンジャーを用いた三成分ポリウレタンは、以前から公知である。しかしながら、三成分パッケージは、市場では一般的ではなく、二成分ポリ尿素組成物中に使用されるアミンは、比較的高価でありかつしばしば健康に有害である。
【0008】
米国特許第5,077,349号明細書は、ポリウレタンプラスチックの製造方法を開示している。ポリオールポリブタジエン樹脂をベースとするこの二成分組成物は、柔軟性が高くかつ低い引張強度を有する。
【0009】
先に引用した従来技術から得られる被覆組成物は、軟質であり、したがってこの被覆に対して所望の機械強度を提供しない。
【0010】
ポリオールおよび他の原料から水分を除去するために、一成分および二成分ポリウレタン系に、少量の酸化カルシウムを添加するのが一般的である。このような使用は、米国特許第3919173号明細書に記載されている。これらの系に酸化カルシウムを添加する目的は、水が不所望な副反応を引き起こすことを防ぐことであり、したがって水は不純物と見なされる。
【0011】
金属酸化物、水酸化物、(CaO、Ca(OH)2)、水とポリオールとイソシアナートと組み合わせたセメントの使用もまた、たとえば欧州特許第2944622号明細書に十分に記載されている。この系内で水は、系内のシアナート(NCO)と反応することで、物理特性において利点を提供しかつ適用において水分を許容する系を作り出す尿素結合を形成するために用いられる。
【0012】
貯蔵安定性を得るために、このような系は、金属酸化物、水酸化物、(CaO、Ca(OH)2)、二液成分(イソシアナート+ポリオール、水)と組み合わせたセメント用の粉末成分を使用するので、設計上では三つ以上の成分となる。
【0013】
多成分組成物は、使用において複雑さを引き起こし、しばしば適用の間にエラーを生じ、被覆またはフローリングの早期の失敗を引き起こす。多成分材料は、その適用手順においても制限がある。たとえば、スプレー塗布は、標準的な工業装置を用いては不可能である。
したがって、現在特許請求の範囲に記載されている発明の主題は、良好な機械特性、十分な貯蔵寿命およびポットライフを有する被覆組成物を生じる二成分組成物を提供することであった。
【0014】
発明の概要
意外にも、ポリイソシアナートおよび水と特定のポリヒドロキシ化合物との組合せが、十分な貯蔵寿命および十分に速い硬化速度を伴うポットライフとを提供しかつ良好な機械特性を提供することが見出された。
【0015】
よって、一つの態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物;
(ii)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルコールポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される任意の一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物;ここで、この第二のポリヒドロキシ化合物は、第一のポリヒドロキシ化合物とは異なる;
(iii)水;
(iv)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分Bと
を含む二成分組成物に関する。
【0016】
成分(A)の成分(B)に対する質量比は、1:20~3:1の範囲内にある。
「二成分」組成物とは、二つの必須の成分を含む組成物を意味する。このような組成物は、さらに一つ以上の他の任意成分を含んでいてよい。
【0017】
「ポリ」で始まる化合物名は、形式的に一分子あたり二つ以上の官能基を含む物質を表す。この化合物自体は、モノマーの化合物、オリゴマーの化合物またはポリマーの化合物であることができる。たとえば、ポリオールは、二つ以上のヒドロキシ基を有する化合物であり、ポリイソシアナートは、二つ以上のイソシアナート基を有する化合物である。
【0018】
「平均官能価」の用語は、所定の分子の官能基の平均数を表す。
【0019】
「Mw」は、質量平均分子量を表し、かつDIN 55672-1に従って決定され、かつポリスチレン校正標準を参照する。
【0020】
本発明で使用されるような「質量%」は、二成分組成物の全質量を基準とする。
【0021】
「飽和」の用語は、ポリヒドロキシ化合物が、炭素原子間に単結合だけを有することを意味する。
【0022】
「オリゴマー」の用語は、2~10のモノマーからなるが、必ずしも分子量分布を有することはない分子を意味する。
【0023】
「プレポリマー」の用語は、反応により中間的な分子量状態になったモノマーまたはモノマーの系を指す。この材料は、反応基による更なる重合により完全に硬化した高分子量状態にすることができる。
【0024】
発明の詳細な説明
本発明の現在の組成物および配合物を記載する前に、このような組成物および配合物はもちろん変化してもよいため、本発明は、記載された特定の組成物および配合物に限定されるものではないと解釈される。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、ここで使用される用語は、限定を意図するものではないと解釈される。
【0025】
以後、群が、少なくとも特定数の実施態様を含むと定義される場合、これは、好ましくはこれらの実施態様だけからなる群も含むことを意味する。さらに、明細書および特許請求の範囲内での「第一の」、「第二の」、「第三の」または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」等の用語は、類似の構成要素を区別するために用いられ、必ずしも順序または時間順を説明するために用いられてはいない。このように用いられる用語は、適切な状況下で交換可能であり、かつここに記載された本発明の実施態様は、ここに記載または図示された順序とは別の順序で作業することができると解釈される。「第一の」、「第二の」、「第三の」または「(A)」、「(B)」および「(C)」または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」等の用語が、方法または使用またはアッセイのステップに関する場合、これらのステップ間に時間または時間間隔の一貫性は存在せず、ここで上述または後述のように本出願に示されている場合を除いて、これらのステップは、同時に実施されてもよく、またはこのようなステップの間に、秒、分、時、日、週、月またはさらに年の時間間隔があってもよい。
【0026】
以下の節では、本発明の異なる態様が、より詳細に定義されている。このように定義された各態様は、反対に明確に示されない限り、一つまたは複数の任意の別の態様と組み合わされてよい。特に、好ましいまたは有利であると示されている任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示されている一つまたは複数の任意の別の特徴と組み合わされてよい。
【0027】
本明細書全体を通して「一つの実施態様」または「実施態様」の言及は、実施態様との関連で記載された特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも一つの実施態様に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所での「一つの実施態様では」または「実施態様では」のフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施態様を指すものではないが、同じ実施態様を指していてもよい。さらに、特定の特徴、構造または特性は、一つ以上の実施態様では、本開示から当業者には明らかなような任意の適切な方法で組み合わせられてよい。さらに、ここに記載されたいくつかの実施態様は、別の実施態様に含まれるいくつかの別ではない特徴を含み、異なる実施態様の特徴の組合せは、本発明の範囲内にあり、当業者には理解されるように、異なる実施態様を形成することを意味する。たとえば、添付の特許請求の範囲において、請求された実施態様のいずれも、任意の組合せで使用することができる。
【0028】
(a)ポリヒドロキシ化合物
本発明のポリヒドロキシ化合物は、一つの第一のポリヒドロキシ化合物と、任意の一つの第二のポリヒドロキシ化合物とを含む。第二のポリヒドロキシ化合物は、組成物中に存在する場合、第一のポリヒドロキシ化合物とは異なる。必要な場合には、別のポリヒドロキシ化合物を使用してよい。
【0029】
本発明の一つの第一のポリヒドロキシ化合物および一つの第二のポリヒドロキシ化合物は、飽和または(部分)芳香族ポリヒドロキシ化合物である。
【0030】
好ましくは本発明の一つの第一のポリヒドロキシ化合物および一つの第二のポリヒドロキシ化合物は、アルカリ鹸化不可能なポリヒドロキシ化合物であり、したがってアルカリ加水分解に耐性である。
【0031】
本発明の特許請求の範囲に記載された二成分系被覆組成物は、好ましくは、ポリブタジエンポリオールおよびポリイソプレンポリオールのような不飽和ポリオレフィンを含まず、より好ましくは本発明の特許請求の範囲に記載された二成分系被覆組成物は、ポリブタジエンジオールを含まない。
【0032】
本発明の一つの第一のポリヒドロキシ化合物は、少なくとも二つのヒドロキシル基を有し、かつポリヒドロキシ化合物の質量を基準として≧0.5質量%~≦15質量%、好ましくは≧3質量%~≦10質量%の範囲内のヒドロキシル基含有量を有する。
【0033】
本発明の一つの第一のポリヒドロキシ化合物は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C56アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される。
【0034】
好ましい実施態様では、本発明の一つの第一のポリヒドロキシ化合物は、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される。
実施態様では、一つの第一のポリヒドロキシ化合物は、ポリエーテルポリオールである。
【0035】
ポリエーテルポリオールは、触媒の存在で、2~8、好ましくは2~6の反応性水素原子を結合した形で含む少なくとも一つのスターター分子の添加によるアルキレンオキシドのアニオン重合のような公知の方法により得られるが、これに限定されるものではない。触媒として、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物またはナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドまたはカリウムイソプロポキシドのようなアルカリ金属アルコキシドを使用することが可能であるが、これらに限定されるものではなく、またカチオン重合の場合には、五塩化アンチモン、三フッ化ホウ素エーテラートまたは漂白土触媒のようなルイス酸を使用することができる。さらに、すでに上述したように、複金属シアン化物(またはDMC)化合物も、触媒として使用することができる。
【0036】
適切なポリエーテルポリオールは、スターター分子の存在で、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドのようなアルキレンオキシド、およびテトラヒドロフランの重合により得られる生成物を含む。適切なスターター分子は、複数の活性水素原子を含み、水、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールAもしくはF、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、フェニルジアミン、ジフェニルメタンジアミン、エチレンジアミンおよびシクロヘキサンジアミンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
ポリエーテルポリオールの例は、ポリエチレンオキシドポリオールおよびポリプロピレンオキシドポリオール、特にポリエチレンオキシドジオール、ポリプロピレンオキシドジオール、ポリエチレンオキシドトリオールおよびポリプロピレンオキシドトリオールを含むが、これらに限定されるものではない。このようなポリエーテルポリオールは、当業者に公知であり、したがって、本発明は、このようなポリオールの選択により限定されるものではない。さらに、本発明の目的のために、CovestroによるArcol(登録商標)のような市場で入手可能なポリエーテルポリオールを使用してもよいが、これに限定されるものではない。
【0038】
ポリエーテルポリオールの他の例は、エチレンオキシド末端(「EOエンドキャップ」、エチレンオキシドエンドキャップ)のポリプロピレンオキシドポリオール、スチレン-アクリロニトリル-グラフトしたポリエーテルポリオール、たとえばBASF SEによるLupranol(登録商標)、Dow ChemicalsによるVoranol(商標)ポリオール、Voralux(商標)ポリオール、Specflex(商標)ポリオールおよびCovestroによるDesmophen(登録商標)である。
【0039】
ポリエーテルポリオールの別の適切な例は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン(以後THFという)およびこれらの混合物からなるモノマーから誘導される。ここで使用されるような「誘導される」の用語は、ポリエーテルポリオールの構成単位を指す。
【0040】
実施態様では、ポリエーテルポリオールは、THFのモノマーから誘導される。BASF SEによるPolyTHF(登録商標)のような市場で入手可能なポリエーテルポリオールを、本発明の目的のために使用してもよいが、これに限定されるものではない。
【0041】
好ましくは、ポリエーテルポリオールは、DIN 53240により決定して、≧30~≦600mgKOH/gの範囲内、より好ましくは≧30~≦500mgKOH/gの範囲内、最も好ましくは≧30~≦450mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する。
【0042】
好ましくは、ポリエーテルポリオールは、≧1.7~≦6の範囲内、より好ましくは≧1.5~≦4の範囲内、最も好ましくは≧1.5~≦3.5の範囲内の官能価を有する。
【0043】
他の実施多様では、一つの第一のポリオキシ化合物は、ポリエステルポリオールである。
【0044】
好ましくは、ポリエステルポリオールは、DIN 53240により決定して、≧30~≦600mgKOH/gの範囲内、より好ましくは≧30~≦500mgKOH/gの範囲内、最も好ましくは≧30~≦450mgKOH/gの範囲内のヒドロキシル価を有する。
【0045】
好ましくは、ポリエステルポリオールは、≧2~≦6の範囲内、より好ましくは≧2~≦5の範囲内、最も好ましくは≧2~≦4の範囲内の官能価を有する。
【0046】
本発明に適切なポリヒドロキシ化合物としてのポリエステルポリオールは、少なくとも一つのカルボン酸と少なくとも一つのC2~C10アルキルポリオールとを含む。「カルボン酸」の用語は、ジカルボン酸のような飽和および/または不飽和のポリカルボン酸を指す。少なくとも一つのカルボン酸は、ヒドロキシル基のような付加的な官能基を含んでよいが、これに限定されるものではない。
【0047】
少なくとも一つのジカルボン酸は、好ましくは、一般式HOOC-(CH2y-COOHの脂肪族ジカルボン酸であり、ここで、yは、2~20の実数であり、たとえばコハク酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘプタンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸およびドデカンジカルボン酸である。ジカルボン酸は、個別にまたは混合物として、たとえばコハク酸とグルタル酸とアジピン酸との混合物の形で使用することができる。ポリエステルポリオールを製造するために、有利に、ジカルボン酸の代わりに、アルコール基中に1~4の炭素原子を有するジカルボン酸エステル、ジカルボン酸無水物またはジカルボン酸塩化物のような相応するジカルボン酸誘導体を使用してよい。
【0048】
好ましくは、少なくとも一つのC2~C10アルキルポリオールは、エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールのようなジアルキレンエーテルグリコール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)1,3-プロパンジオールならびにトリメチロールプロパンからなる群から選択される。
【0049】
好ましい実施態様では、一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリプロピレンオキシドトリオールからなる群から選択される。
【0050】
好ましい実施態様では、一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物は、C2~C56アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される。
【0051】
他の実施態様では、一つの第二のポリヒドロキシ化合物は、好ましくはC2~C32アルキルポリオール、より好ましくはC2~C12アルキルポリオール、特に好ましくはC2~C6アルキルポリオールである。
【0052】
「C2~C56アルキルポリオール」の用語は、少なくとも二つ、好ましくは二つ、三つ、四つまたは五つのヒドロキシル基により置換された線状もしくは分枝状の、環式もしくは非環式の飽和脂肪族基を指す。
【0053】
2~C32アルキルポリオールの例は、エタンジオール、プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセロール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、トリデカンジオール、テトラデカンジオール、ペンタデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ヘプタデカンジオール、オクタデカンジオール、ノナデカンジオール、エイコサンジオール、ヘンエイコサンジオール、ドコサンジオール、テトラコサンジオール、ヘキサコサンジオール、ヘプタコサンジオール、オクタコサンジオール、ノナコサンジオール、トリアコンタンジオール、ドトリアコンタンジオールおよびそれらの異性体である。
【0054】
好ましいC2~C12アルキルポリオールの例は、エタンジオール、プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセロール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオールおよびこれらの異性体である。
【0055】
より好ましいC2~C6アルキルポリオールは、エタンジオール、プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセロール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、ヘキサンジオールおよびこれらの異性体である。
【0056】
他の実施態様では、一つの第二のポリヒドロキシ化合物は、糖アルコールである。
「糖アルコール」の用語は、糖から誘導されたアルコールを指す。糖アルコールは、一般式HOCH2(CHOH)nCH2OHを有し、nは、≧2~≦10の範囲内の実数である。
【0057】
糖アルコールの適切な例は、キシリトール、ラクチトール、エリトリトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトールおよびマルチトールを含むが、これらに限定されるものではない。
【0058】
より好ましい実施態様では、一つの第二のポリヒドロキシ化合物は、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセロール、ペンタエリトリトールおよびソルビトールからなる群から選択される。
【0059】
好ましくは、一つの第一のポリヒドロキシ化合物は、DIN 55672-1に従って決定して、≧100~≦20,000g/molの範囲内、好ましくは≧150~≦15,000g/molの範囲内、より好ましくは≧200~≦10,000g/molの範囲内、さらにより好ましくは≧200~≦8,000g/molの範囲内、最も好ましくは≧200~≦6,000g/molの範囲内の質量平均分子量Mwを有する。
【0060】
好ましくは、一つの第二のポリヒドロキシ化合物は、DIN 55672-1に従って決定して、≧50~≦2,000g/molの範囲内、好ましくは≧50~≦1,500g/molの範囲内、さらにより好ましくは≧50~≦1,000g/molの範囲内、最も好ましくは≧50~≦500g/molの範囲内の質量平均分子量Mwを有する。
【0061】
好ましい実施態様では、一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物の量は、二成分組成物の全質量を基準として、≧5.0質量%~≦40質量%の範囲内にある。
【0062】
好ましい実施態様では、一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物の量は、二成分組成物の全質量を基準として、≧0.2質量%~≦20質量%の範囲内にある。
【0063】
第一および第二のポリヒドロキシ化合物は、任意の状態で存在することができる。「状態」の用語は、ポリヒドロキシ化合物の物理的形態を指す。好ましくは、第一および第二のポリヒドロキシ化合物は液体の状態である。
【0064】
(b)水
ポリヒドロキシ化合物中に存在する水の他に、水の付加的量が、現在特許請求の範囲に記載されている発明の組成物に添加され、その結果、二成分被覆組成物中に存在する水の量は、二成分組成物の全質量を基準として、≧1質量%~≦50質量%の範囲内、好ましくは≧5質量%~≦40質量%の範囲内、より好ましくは≧10質量%~≦40質量%の範囲内にある。
【0065】
(c)金属成分
成分Aは、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩ならびにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分を含む。
【0066】
実施態様では、少なくとも一つの金属成分は、金属酸化物および金属水酸化物からなる群から選択される。
【0067】
有利な実施態様では、金属酸化物および金属水酸化物は、IB族、IIA族、IIB族、VIB族、VIIB族、好ましくはIIA族の元素の酸化物および水酸化物に基づく。
【0068】
ここでの「族」は、周期表の族を表す。
【0069】
好ましい実施態様では、少なくとも一つの金属酸化物および/または少なくとも一つの金属水酸化物は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムからなる群から選択され、より好ましくは水酸化カルシウムおよび酸化カルシウムであり、最も好ましくは水酸化カルシウムである。
【0070】
水酸化カルシウムおよび/または酸化カルシウムから選択されるカルシウム化合物の存在は、イソシアナート化合物と一つの第一のポリヒドロキシ化合物中に存在する水との反応により生成されるCO2を消失させることにより、硬化した製品表面での気泡またはブリスターの形成を妨げる。
【0071】
二成分被覆組成物中に存在する少なくとも一つの金属酸化物は、安定化する必要がある、そうでなければ数日の時間内に再分散不可能な塊として沈殿する。C2~C6アルキルポリオールの使用は、金属酸化物を安定化し、長期間の貯蔵後でもこの金属酸化物の沈殿を妨げる。
【0072】
他の好ましい実施態様では、少なくとも一つの金属酸化物および/または少なくとも一つの金属水酸化物の量は、二成分組成物の全質量を基準として、≧2質量%~≦50質量%の範囲内、好ましくは≧5質量%~≦40質量%の範囲内、より好ましくは≧10質量%~≦40質量%の範囲内にある。
【0073】
(d)ポリイソシアナート
本発明の目的のために、少なくとも一つのポリイソシアナートは、脂肪族ポリイソシアナート、脂環式ポリイソシアナート、芳香族ポリイソシアナート、たとえばウレトンイミン基、アロファナート基、イソシアヌラート基、ウレタン基およびビウレット基を含む変性ポリイソシアナートを含む。
【0074】
実施態様では、少なくとも一つのポリイソシアナートは、上述の脂肪族ポリイソシアナート、脂環式ポリイソシアナート、芳香族ポリイソシアナートおよび変性ポリイソシアナートの少なくとも一つのジイソシアナートである。これらの好ましいジイソシアナートの代表的な例は、たとえば米国特許第4,385,133号明細書、米国特許第4,522,975号明細書および米国特許第5,167,899号明細書から見出すことができる。
【0075】
適切な脂環式ポリイソシアナートは、二つ以上のイソシアナート基が脂環式環に直接的におよび/または間接的に結合しているポリイソシアナートを含む。芳香族ポリイソシアナートは、二つ以上のイソシアナート基が芳香環に直接的におよび/または間接的に結合しているポリイソシアナートを含む。
【0076】
実施態様では、脂肪族ポリイソシアナートおよび脂環式ポリイソシアナートは、直鎖状に結合するかもしくは環化しかつ二つのイソシアナート反応性末端基を有する6~100の炭素原子を含むことができる。
【0077】
実施態様では、少なくとも一つのポリイソシアナートは、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメトキシブタン1,4-ジイソシアナート、ブタン-1,4-ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、シクロヘキサン1,3-および1,4-ジイソシアナート、1,12-ドデカメチレンジイソシアナート、二量体脂肪酸のジイソシアナート;リジンメチルエステルジイソシアナート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、水素化ジフェニルメタンジイソシアナート(H12MDI)、水素化2,4-トルエンジイソシアナート、水素化2,6-トルエンジイソシアナート、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、2,4-トルエンジイソシアナート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアナート(2,6-TDI)、ナフタレンジイソシアナート(NDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアナート(TMXDI)、p-キシリレンジイソシアナート、ならびにこれらの化合物の混合物、ポリマーのメチレンジフェニルジイソシアナート、カルボジイミド変性メチレンジフェニルジイソシアナート、トリス-(イソシアナトヘキシル)-イソシアヌラートおよびこれらのより高い同族体との混合物、トリス-(イソシアナトヘキシル)-ビウレットまたはより高い同族体との混合物からなる群から選択される。
【0078】
メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)は、三つの異なる異性体の形態で、すなわち2,2′-メチレンジフェニルジイソシアナート(2,2′-MDI)、2,4′-メチレンジフェニルジイソシアナート(2,4′-MDI)および4,4′-メチレンジフェニルジイソシアナート(4,4′-MDI)で利用可能である。MDIは、モノマーMDI(MMDIともいわれる)と、工業的MDIともいわれるポリマーMDI(PMDI)とに分類することができる。本発明のために、ポリマーMDIが好ましい。ポリマーMDIは、オリゴマー種およびMDI異性体を含む。したがって、ポリマーMDIは、単一のMDI異性体または二つまたは三つのMDI異性体の異性体混合物を含んでよく、その残りはオリゴマー種である。ポリマーMDIは、2より高いイソシアナート官能価を有する傾向がある。異性体比およびオリゴマー種の量は、これらの生成物中で広範囲に変化することができる。たとえば、ポリマーMDIは、一般に、MDI異性体を約30~80質量%含んでよく、残りは前記のオリゴマー種である。MDI異性体は、しばしば4,4′-MDIと、2,4′-MDIと、極めて低いレベルの2,2′-MDIとの混合物である。
【0079】
好ましくは、少なくとも一つのポリイソシアナートは、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)またはMDIの誘導体、たとえばポリマーのメチレンジフェニルジイソシアナート、カルボジイミド変性メチレンジフェニルジイソシアナートのオリゴマーおよび/またはプレポリマーからなる群から選択される。
【0080】
ポリマーのメチレンジフェニルジイソシアナートおよびカルボジイミド変性メチレンジフェニルジイソシアナートは、市場で入手可能であり、たとえばBASF SEによるLupranat(登録商標)M、Lupranat(登録商標)MIおよびLupranat(登録商標)MMまたはCovestroによるDesmodur MDIタイプであり、かつヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)をベースとするポリイソシアナート樹脂は、市場で入手可能であり、たとえばCovestroによるDesmodur N types(登録商標)、VencorexによるTolonate(商標)X Floである。
【0081】
ポリイソシアナートは、任意の状態で存在することができる。「状態」の用語は、ポリイソシアナートの物理的形態を指す。好ましくは、ポリイソシアナートは液状の状態で存在する。
【0082】
好ましい実施態様では、少なくとも一つのポリイソシアナートは、二成分組成物の全質量を基準として、≧10質量%~≦90質量%の範囲内、好ましくは≧20質量%~≦90質量%の範囲内、より好ましくは≧20質量%~≦80質量%の範囲内、最も好ましくは≧30質量%~≦80質量%の範囲内の量で存在する。
【0083】
(e)触媒
本発明の二成分組成物は、さらに一つの触媒またはいくつかの触媒を含んでいてよい。
【0084】
実施態様では、存在する場合に、少なくとも一つの触媒は、アミン触媒、アルカノールアミン触媒および金属触媒からなる群から選択される。
【0085】
好ましい実施態様では、アミン触媒は、第三級脂肪族アミン触媒である。
【0086】
他の好ましい実施態様では、第三級脂肪族アミン触媒は、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、2,2′-ジモルホリノジエチルエーテル、2-(2-ジメチル-アミノエトキシ)エタノール、2-ジメチルアミノエチル3-ジメチルアミノプロピルエーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N-ジメチルピペラジン、N-(2-ヒドロキシエトキシエチル)-2-アザ-ノルボラン、Jeffcat(商標)、N,N,N,N-テトラメチルブタン-1,3-ジアミン、N,N,N,N-テトラ-メチルプロパン-1,3-ジアミンおよびN,N,N,N-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミンからなる群から選択され、好ましくは2,2′-ジモルホリノジエチルエーテルである。
【0087】
他の実施態様では、アルカノールアミン触媒は、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0088】
好ましい実施態様では,金属触媒は、水銀触媒、鉛触媒、スズ触媒、ビスマス触媒、カリウム触媒、リチウム触媒、チタン触媒、ジルコニウム触媒および亜鉛触媒ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0089】
他の好ましい実施態様では、金属触媒は、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTL)、オクタン酸スズ、オクタン酸カリウム、ネオデカン酸ビスマスおよびネオデカン酸亜鉛ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0090】
好ましい実施態様では、少なくとも一つの触媒の量は、二成分組成物の全質量を基準として、≧0.05質量%~≦5.0質量%の範囲内、好ましくは≧0.5質量%~≦5.0質量%の範囲内にある。
【0091】
(f)添加物
本発明の二成分組成物は、さらに少なくとも一つの添加物を含む。当業者は、これらの添加物および先に記載されたようなポリウレタン組成物を得るために添加されてもよい任意の他の添加物を十分に知っている。
【0092】
存在する場合に、少なくとも一つの添加物は、乳化剤、難燃剤、抗微生物剤、顔料、脱泡剤、安定剤、可塑剤、希釈剤、湿潤分散剤および充填剤からなる群から選択される。
【0093】
乳化剤
乳化剤または乳化ポリオールは、非イオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤からなる群から選択される。
【0094】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、エトキシル化アルキルポリエーテルである。適切な乳化剤は、入手可能であり、たとえばBASF SEによるLutensol(登録商標)である。
【0095】
難燃剤
適切な難燃剤は、たとえばリン酸トリクレシル、リン酸トリス(2-クロロエチル)、リン酸トリス(2-クロロプロピル)、リン酸トリス(1,3-ジクロロプロピル)、リン酸トリス(2,3-ジブロモプロピル)および二リン酸テトラキス(2-クロロエチル)エチレンを含む。
【0096】
上述のハロゲン置換リン酸エステルとは別に、本発明により製造されたポリウレタンに難燃性を付与するために、赤リン、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、三酸化ヒ素、ポリリン酸アンモニウムおよび硫酸カルシウムのような無機難燃剤またはシアヌル酸誘導体、たとえばメラミン、またはこれらの二つ以上の難燃剤、たとえばリン酸アンモニウムとメラミンとの混合物、およびまた任意にデンプンおよび/または膨張黒鉛も使用可能である。
【0097】
抗微生物剤
殺生物剤、殺菌剤および静真菌剤のような抗微生物剤が、添加物として使用される。代表例は、N-トリクロロメチルチオフタルイミド、10,10′-オキシビスフェノキサルシン、および2-N-オクチル-6-イソチアゾリンである。
【0098】
顔料
「顔料」の用語は、顔料を含む組成物を着色するおよび/または不透明にすることを意図する白色または有色の鉱物粒子または有機粒子を意味すると解釈されるべきである。
【0099】
顔料は、白色または有色の鉱物および/または有機物であってよい。適切な鉱物顔料は、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、酸化セリウム、二酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、フェリックブルー、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルーおよびクロム水和物ならびにこれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0100】
市場で入手可能な顔料の例は、ドイツ国のLanxessによるBayferrox(登録商標)およびHeubachによるHeucosin(登録商標)である。
【0101】
安定剤
本発明の目的のための安定剤は、有害な環境の影響からポリウレタンを保護する添加物である。この例は、一次酸化防止剤および二次酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、UV吸収剤、加水分解制御剤および失活剤である。
【0102】
一次酸化防止剤の例は、BASFによるIrganox(登録商標)である。これは、貯蔵および変換の両方の間に、ポリオール中でのフリーラジカル種およびヒドロペルオキシドの形成を抑制する。
【0103】
UV吸収剤は、UV光により誘導される酸化からポリウレタンを保護する。UV吸収剤の例は、BASFによるTinuvin(登録商標)である。
【0104】
ヒンダードアミン光安定剤の例は、BASFによるChimassorb(登録商標)である。
【0105】
市販の安定剤の例は、Plastics Additive Handbook, 5th Edition, H. Zweifel, ed., Hanser Publishers, Munich, 2001 ([1]), p.98 S136に提供されている。
適切な安定剤は、BASFによるCycloquart(登録商標)のようなシラン化合物である。
【0106】
可塑剤
好ましくは、添加剤は、アルカンスルホン酸フェニル、フタル酸ジアルキル、リン酸トリイソブチル、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノアート)およびビス(イソプロピル)ナフタレンのような一つ以上の可塑剤である。
【0107】
希釈剤
本発明の目的のための希釈剤は、有機溶媒である。適切な有機溶媒の例は、ナフタレン、ミネラルスピリットまたはアルコール、アルキレングリコールおよびジメチロールシクロヘキサンのような低分子量のジオールである。
【0108】
湿潤分散剤
好ましい湿潤分散剤は、不飽和ポリアミンアミドの塩および低分子量の酸性ポリエステルの塩およびこれらの混合物、たとえばBYK Chemieによるantiterra(登録商標)U、disperbyk(登録商標)、Byk(登録商標)088である。
【0109】
充填剤
充填剤は、慣例の通常の有機充填剤および無機充填剤、補強剤および増量剤を含む。具体的な例は、ケイ酸塩鉱物のような無機充填剤、たとえばアンティゴライト、蛇紋岩、ホルンブレンド、角閃石、クリソタイル、タルクのような層状ケイ酸塩;カオリン、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、酸化チタンおよび酸化鉄のような金属酸化物、チョーク、バライトのような金属塩および硫化カドミウム、硫化亜鉛のような無機顔料およびガラス粒子である。有用な有機充填剤は、たとえばカーボンブラック、メラミン、膨張黒鉛、ロジン、シクロペンタジエニル樹脂、グラフトポリマー、セルロース繊維、芳香族および/または脂肪族ジカルボン酸エステルをベースとするポリエステル繊維および炭素繊維を含む。無機充填剤および有機充填剤は、個別にまたは混合物として使用することができる。
【0110】
少なくとも一つの添加物は、成分Aおよび/または成分Bに添加することができる。
【0111】
好ましい実施態様では、少なくとも一つの添加物は、二成分組成物の全質量を基準として、≧0.1質量%~≦50質量%の範囲内、好ましくは≧0.2質量%~≦30質量%の範囲内で存在する。
【0112】
成分(A)の成分(B)に対する質量比は、1:20~3:1の範囲内にある。
【0113】
好ましい実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物≧5質量%~≦40質量%;
(ii)水≧1質量%~≦50質量%;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦25質量%;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分B≧10質量%~≦90質量%と
を含む二成分被覆組成物に関する。
【0114】
好ましい実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される少なくとも一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物;
(ii)水;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分;
(iv)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される少なくとも一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物;
ここで、第二のポリヒドロキシ化合物は、第一のポリヒドロキシ化合物とは異なる;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分Bと
を含む二成分被覆組成物に関する。
【0115】
好ましい実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物≧5質量%~≦40質量%;
(ii)水≧1質量%~≦50質量%;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦25質量%;
(iv)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物≧0.2質量%~≦20質量%;
ここで、第二のポリヒドロキシ化合物は、第一のポリヒドロキシ化合物とは異なる;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分B≧10質量%~≦90質量%と
を含む二成分被覆組成物に関する。
【0116】
他の好ましい実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物≧5質量%~≦40質量%;
(ii)水≧5質量%~≦50質量%;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦20質量%;
(iv)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物≧0.2質量%~≦20質量%;
ここで、第二のポリヒドロキシ化合物は、第一のポリヒドロキシ化合物とは異なる;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分B≧20質量%~≦80質量%と
を含む二成分被覆組成物に関する。
【0117】
好ましい実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される少なくとも一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物;
(ii)水;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分;
(iv)C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される少なくとも一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分Bと
を含む二成分被覆組成物に関する。
【0118】
他の好ましい実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物≧5質量%~≦40質量%;
(ii)水≧1質量%~≦50質量%;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦25質量%;
(iv)C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物≧0.2質量%~≦20質量%;
ここで、第二のポリヒドロキシ化合物は、第一のポリヒドロキシ化合物とは異なる;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分B≧10質量%~≦90質量%と
を含む二成分被覆組成物に関する。
【0119】
他の好ましい実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物≧5質量%~≦40質量%;
(ii)水≧5質量%~≦50質量%;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦20質量%;
(iv)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物≧0.2質量%~≦20質量%;
ここで、第二のポリヒドロキシ化合物は、第一のポリヒドロキシ化合物とは異なる;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分B≧20質量%~≦80質量%と
を含む二成分被覆組成物に関する。
【0120】
好ましい実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物≧5質量%~≦40質量%;
(ii)水≧5質量%~≦50質量%;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦20質量%;
(iv)C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物≧0.2質量%~≦20質量%;
ここで、第二のポリヒドロキシ化合物は、第一のポリヒドロキシ化合物とは異なる;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分B≧20質量%~≦80質量%と
を含む二成分被覆組成物に関する。
【0121】
好ましい実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される少なくとも一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物;
(ii)水;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分;
(iv)C2~C6アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される少なくとも一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分Bと
を含む二成分被覆組成物に関する。
【0122】
他の好ましい実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物≧5質量%~≦40質量%;
(ii)水≧1質量%~≦50質量%;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦25質量%;
(iv)C2~C6アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物≧0.2質量%~≦20質量%;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分B≧10質量%~≦90質量%と
を含む二成分被覆組成物に関する。
【0123】
他の好ましい実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物≧5質量%~≦40質量%;
(ii)水≧5質量%~≦50質量%;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦20質量%;
(iv)C2~C6アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物≧0.2質量%~≦20質量%;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分B≧20質量%~≦80質量%と
を含む二成分被覆組成物に関する。
【0124】
好ましい実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物≧5質量%~≦40質量%;
(ii)水≧5質量%~≦50質量%;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦20質量%;
(iv)C2~C6アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物≧0.2質量%~≦20質量%;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分B≧20質量%~≦70質量%と
を含む二成分被覆組成物に関する。
【0125】
上述のような好ましい実施態様は、次の節で概説されるような使用および方法にも適用される。
【0126】
他の態様では、本発明は、
a)一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物と、任意の一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物と、水と、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分とを混合することにより成分(A)を製造すること;
および
b)ポリイソシアナート成分(B)を、成分(A)の混合物に添加し、混合して、被覆組成物を得ること
を含む二成分組成物の製造方法に関する。
【0127】
任意に、ステップ(a)および/またはステップ(b)は、≧50℃~≦100℃の範囲内の温度で加熱に供されてよい。
【0128】
「混合」の用語は、必ずしも反応器ではない容器内で実施される成分の機械的攪拌を指す。攪拌手段は、熱および質量の分配をより良好にする成分の十分な混合を提供する。
【0129】
混合は、好ましくは、≧100~≦1000rpmの範囲内の回転速度で行われる激しい混合である。
【0130】
実施態様では、上述のような二成分組成物の製造方法のステップa)および/またはステップb)は、互いに独立して、任意に少なくとも一つの触媒および/または少なくとも一つの添加物の存在で実施される。
【0131】
他の態様では、本発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物≧5質量%~≦40質量%;
(ii)水≧1質量%~≦50質量%;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦25質量%;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分B≧10質量%~≦90質量%と
を含む二成分組成物を適用することにより表面を被覆する方法に関する。
ここで、被覆は、ASTM D 638法に従って決定して、少なくとも1.5MPaの引張強さを有する。
【0132】
実施態様では、本発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物≧5質量%~≦40質量%;
(ii)水≧1質量%~≦50質量%;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦25質量%;
(iv)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物≧0.2質量%~≦20質量%;
ここで、第二のポリヒドロキシ化合物は、第一のポリヒドロキシ化合物とは異なる、
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分B≧10質量%~≦90質量%と
を含む二成分組成物を適用することにより表面を被覆する方法に関する。
ここで、被覆は、ASTM D 638法に従って決定して、少なくとも1.5MPaの引張強さを有する。
【0133】
実施態様では、本発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物≧5質量%~≦40質量%;
(ii)水≧1質量%~≦50質量%;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦25質量%;
(iv)C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物≧0.2質量%~≦20質量%;
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分B≧10質量%~≦90質量%と
を含む二成分組成物を適用することにより表面を被覆する方法に関する。
ここで、被覆は、ASTM D 638法に従って決定して、少なくとも1.5MPaの引張強さを有する。
【0134】
実施態様では、本発明は、
(I)
(i)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物≧5質量%~≦40質量%;
(ii)水≧1質量%~≦50質量%;
(iii)金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦25質量%;
(iv)C2~C6アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物≧0.2質量%~≦20質量%
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分B≧10質量%~≦80質量%と
を含む二成分組成物を適用することにより表面を被覆する方法に関する。
ここで、被覆は、ASTM D 638法に従って決定して、少なくとも1.5MPaの引張強さを有する。
【0135】
実施態様では、上述の方法は、任意に、少なくとも一つの触媒および/または少なくとも一つの添加物の存在で実施される。
【0136】
他の態様では、現在特許請求の範囲に記載された発明は、表面を被覆する方法に関する。この方法は、ポリウレタンフローリングまたは被覆を得るために、
a)一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物と、任意の一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物と、水と、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分とを混合することにより成分(A)を製造すること;
b)少なくとも一つのポリイソシアナート成分(B)を、成分(A)の混合物に添加し、混合して、混合材料を得ること、
c)混合材料を表面に適用すること、
d)任意に、適用した混合材料を平滑化すること、および
e)適用された混合材料を硬化すること
を含む。
【0137】
本発明の文脈において、「硬化」は、成分Aと成分Bとの間で硬化した被覆を形成する化学反応に関する。
【0138】
二成分組成物のショア硬度は、ASTM D2240に従ってデュロメータDスケールを用いて測定される。この試験は、押込に対する材料の抵抗を測定する。
【0139】
好ましい実施態様では、二成分組成物のショア硬度(ショアD)は、≧40~≦90の範囲内にある。
【0140】
二成分組成物の引張強さは、ASTM D 638に従って測定される。
【0141】
好ましい実施態様では、二成分組成物は、≧4N/mm2~≦30N/mm2の範囲内の引張強さを有する。
【0142】
好ましくは、二成分組成物は、建設工業において使用される。
【0143】
たとえば被覆、フローリングまたはライニングとして、補修または改修される構成部品およびこの構成部品が構築される基材は、任意の材料、たとえばコンクリート、モルタル、鋼または銅のような金属、石材、レンガ、石積み、被覆、複合材料またはプラスチックであってよい。
【0144】
他の実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、ポリウレタンフローリングまたは被覆を得るために、
a)一つの第一のポリヒドロキシ化合物と、任意の一つの第二のポリヒドロキシ化合物と、水と、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分とを混合することにより成分(A)を製造すること;
b)少なくとも一つのポリイソシアナート成分(B)を、成分(A)の混合物に添加し、混合して、混合材料を得ること、
c)混合材料を表面に適用すること、
d)任意に、適用した混合材料を平滑化すること、および
e)適用された混合材料を硬化すること
を含む、組成物を適用する少なくとも一つのステップを含む、コンクリート、モルタル、金属、石材、レンガ、石積み、被覆、複合材料またはプラスチックから選択される表面を被覆する方法に関する。
【0145】
他の実施態様では、現在特許請求の範囲に記載されている発明は、ポリウレタンフローリングまたは被覆を得るために、
a)一つの第一のポリヒドロキシ化合物と、一つの第二のポリヒドロキシ化合物と、水と、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分とを混合することにより成分(A)を製造すること;
b)少なくとも一つのポリイソシアナート成分(B)を、成分(A)の混合物に添加し、混合して、混合材料を得ること、
c)混合材料を表面に適用すること、
d)任意に、適用した混合材料を平滑化すること、および
e)適用された混合材料を硬化すること
を含む、組成物を適用する少なくとも一つのステップを含む、コンクリート、モルタル、金属、石材、レンガ、石積み、被覆、複合材料またはプラスチックから選択される表面を被覆する方法に関する。
【0146】
実施態様では、上述のような表面を被覆する方法のステップa)および/またはステップb)は、互いに独立して、任意に、少なくとも一つの触媒および/または少なくとも一つの添加物の存在で実施される。
【0147】
本発明により使用される組成物は、二成分組成物である。これらの二つの成分は、自発的反応を避けるために別々に貯蔵される。これらの成分は、互いにパッケージとして組み立てられていてよい。使用のために、これらの成分は互いに混合され、水和反応および硬化反応が始まるので、これらの成分は混合後のオープンタイム内に処理される。任意に、特別な目的のために、一つ以上の付加的成分が含まれていてよい。たとえば、顔料のような着色剤を含む付加的成分が、着色する目的で使用されてよい。
【0148】
利点:
二成分被覆組成物の実施態様は、次の利点の一つ以上を提供することができる:
1.適用される表面に耐薬品性を提供する。
2.適用される表面に防水性を提供する。
3.組成物はNH反応性基を含まない。
4.組成物は良好な機械特性を提供する。
5.水の添加に関連する利点は、両方とも貯蔵安定性である簡単な二成分系で実現することができ、かつ三成分材料との関連で有益な物理特性および化学特性を維持する。
【0149】
次に、本発明の具体的な実施態様を記載する:
1.
(I)
(i)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物;
(ii)二成分組成物の全質量を基準として、水≧1質量%~≦50質量%;および
(iii)二成分組成物の全質量を基準として、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦50質量%
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分Bと
を含む二成分被覆組成物。
【0150】
2.一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシドジオールおよびポリプロピレンオキシドトリオールからなる群から選択される、実施態様1に記載の二成分組成物。
【0151】
3.一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物の量は、二成分組成物の全質量を基準として、≧5.0質量%~≦40質量%の範囲内にある、実施態様1または2に記載の二成分組成物。
【0152】
4.一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物は、DIN 55672-1に従って決定して、≧50~≦20,000g/molの範囲内の質量平均分子量Mwを有する、実施態様1から3までの一つ以上に記載の二成分組成物。
【0153】
5.成分Aは、さらに(iv)一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物とは異なる、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物を含む、実施態様1に記載の二成分組成物。
【0154】
6.一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物は、C2~C32アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される、実施態様5に記載の二成分組成物。
【0155】
7.一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物の量は、二成分組成物の全質量を基準として、≧0.2質量%~≦20質量%の範囲内にある、実施態様5または6に記載の二成分組成物。
【0156】
8.少なくとも一つの金属成分は、金属酸化物および金属水酸化物からなる群から選択される、実施態様1に記載の二成分組成物。
【0157】
9.金属酸化物および/または金属水酸化物は、アルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物である、実施態様8に記載の二成分組成物。
【0158】
10.少なくとも一つの金属酸化物および/または少なくとも一つの金属水酸化物は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムからなる群から選択される、実施態様1または8の一つ以上に記載の二成分組成物。
【0159】
11.少なくとも一つの金属酸化物および/または少なくとも一つの金属水酸化物の量は、二成分組成物の全質量を基準として、≧2質量%~≦25質量%の範囲内にある、実施態様1から10までの一つ以上に記載の二成分組成物。
【0160】
12.少なくとも一つのポリイソシアナートは、液状のオリゴマーまたはプレポリマーである、実施態様1に記載の二成分組成物。
【0161】
13.少なくとも一つのポリイソシアナートは、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメトキシブタン1,4-ジイソシアナート、ブタン-1,4-ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、シクロヘキサン1,3-および1,4-ジイソシアナート、1,12-ドデカメチレンジイソシアナート、二量体脂肪酸のジイソシアナート;リジンメチルエステルジイソシアナート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、水素化ジフェニルメタンジイソシアナート、水素化2,4-トルエンジイソシアナート、水素化2,6-トルエンジイソシアナート、メチレンジフェニルジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、ポリマーのメチレンジフェニルジイソシアナート、カルボジイミド変性メチレンジフェニルジイソシアナートからなる群から選択される、実施態様1に記載の二成分組成物。
【0162】
14.少なくとも一つのポリイソシアナートの量は、二成分組成物の全質量を基準として、≧10質量%~≦90質量%の範囲内にある、実施態様1から13までの一つ以上に記載の二成分組成物。
【0163】
15.アミン触媒、アルカノールアミン触媒および金属触媒からなる群から選択される少なくとも一つの触媒をさらに含む、実施態様1に記載の二成分組成物。
【0164】
16.アミン触媒は、第三級脂肪族アミン触媒である、実施態様15に記載の二成分組成物。
【0165】
17.第三級脂肪族アミン触媒は、モルホリノをベースとする、実施態様16に記載の二成分組成物。
【0166】
18.第三級脂肪族アミン触媒は、2,2′-ジモルホリノジエチルエーテルである、実施態様17に記載の二成分組成物。
【0167】
19.金属触媒は、スズ触媒、ビスマス触媒、カリウム触媒、リチウム触媒、チタン触媒、ジルコニウム触媒、亜鉛触媒およびこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様15に記載の二成分組成物。
【0168】
20.金属触媒は、ジラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸第一スズ、ネオデカン酸ビスマスおよびネオデカン酸亜鉛からなる群から選択される、実施態様15に記載の二成分組成物。
【0169】
21.触媒の量は、二成分組成物の全質量を基準として、≧0.05質量%~≦5.0質量%の範囲内にある、実施態様15に記載の二成分組成物。
【0170】
22.少なくとも一つの添加物をさらに含む、実施態様1から21までの一つ以上に記載の二成分組成物。
【0171】
23.少なくとも一つの添加物が、成分Aおよび/または成分Bに添加されている、実施態様1から22までの一つ以上に記載の二成分組成物。
【0172】
24.少なくとも一つの添加物は、乳化剤、難燃剤、抗微生物剤、顔料、UV線安定剤、可塑剤、希釈剤、有機充填剤および無機充填剤からなる群から選択される、実施態様22または23の一つ以上に記載の二成分組成物。
【0173】
25.
(a)成分(i)、(ii)および(iii)を混合することにより成分(A)を製造すること;
(b)成分(B)を、ステップ(a)の混合物に添加し、混合して、最終的な被覆組成物を得ること
を含む、実施態様1から24までの一つ以上に記載の二成分組成物の製造方法。
【0174】
26.
(I)
(i)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される少なくとも一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物;
(ii)二成分組成物の全質量を基準として、水≧1質量%~≦50質量%;
(iii)二成分組成物の全質量を基準として、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分2質量%~≦25質量%;および
(iv)C2~C6アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される少なくとも一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分Bと
を含む、実施態様1に記載の二成分被覆組成物。
【0175】
27.
(a)成分(i)、(ii)、(iii)および(iv)を混合することにより成分(A)を製造すること;
(b)成分(B)を、ステップ(a)の混合物に添加し、混合して、最終的な被覆組成物を得ること
のステップを含む、実施態様26に記載の二成分組成物の製造方法。
【0176】
28.
a)実施態様1から26までの一つ以上に記載の二成分被覆組成物を準備すること;
b)ステップa)の被覆組成物を、被覆を得るための表面に適用することを含み;
ここで、被覆は、ASTM D 638法に従って決定して、少なくとも1.5MPaの引張強さを有する、
表面を被覆する方法。
【0177】
29.NH反応性基を含まない、実施態様1から28までの一つ以上に記載の二成分組成物。
【0178】
実施例
化合物
Bayferrox(登録商標) redは、Lanxess(ドイツ国)により入手可能である。
【0179】
Arcol(登録商標)polyol 1104(低VOCの中分子量ポリプロピレンオキシドトリオール、ヒドロキシル価53.5~57.5mgKOH/g)
Desmodur(登録商標) N3600(ヘキサメチレンジイソシアナートをベースとする多官能性脂肪族ポリイソシアナート樹脂)
は、Covestroにより入手可能である。
【0180】
Byk(登録商標)088(添加物)
Disperbyk(登録商標)190(湿潤分散剤)
Antiterra(登録商標)U(湿潤分散剤)
は、BYK-Chemie GmbHにより入手可能である。
【0181】
Lupranat(登録商標)M10R(2.6の平均官能価を有するジフェニルメタン-4,4′-ジイソシアナートオリゴマー)
Lupranat(登録商標)M70R(2.9の平均官能価を有するジフェニルメタン-4,4′-ジイソシアナートオリゴマー)
Cycloquart(登録商標)HS(安定剤)
は、BASF SEにより入手可能である。
【0182】
可塑剤WVC3800は、Celaneseにより入手可能である。
【0183】
Barite 15 extra(硫酸バリウム)は、Sibelco Specialty Minerals Europeにより入手可能である。
【0184】
Tolonate(商標)X FLO(脂肪族イソシアナートポリマー)は、Vencorexにより入手可能である。
【0185】
方法
ショア硬度(D)
ショア硬度は、デュロメータDスケールを用いてASTM D2240に従って測定された。この試験は、押込に対する材料の抵抗を測定する。
【0186】
引張強さ
引張強さを、ASTM D 638法に従って測定した。
【0187】
耐候試験
促進耐候性を、QUV促進耐候試験により決定した。150×75×10mmおよび75×35×10mmの被覆された試料および未被覆の試料を、QUVチャンバ(Q-Lab Corporation)内で、UVA放射線(313nmで0.45W/m2)でかつISO16474-3法に定義された人工的風化条件による1000hの凝縮サイクルで人工的に風化させた。被覆の変化を、色、光沢、撥水性および粗さの測定により評価した。
【0188】
実施例1
水酸化カルシウム(105g)およびbayferrox red(15g)を、激しく攪拌することで、Arcol(登録商標)Polyol 1104(55g)、グリセロール(50g)、Byk88(5g)およびDisperbyk 190(20g)の混合物中に分散させた。分散液の製造後に、水(50g)を攪拌しながら添加して、成分A(330g)を得た。Lupranat M10R(141g)、Lupranat M70R(222g)、ヒマシ油(56g)およびArcol(登録商標)1104(171g)を混合し、60℃までゆっくりと加熱し、NCO値が16.06%になるまでこの温度を維持した。可塑剤WVC3800(110g)を、攪拌しながら添加し、成分B(670g)を得た。
【0189】
硬化のために、成分A(300g)と成分B(700g)とを一緒に混合し、300rpmで攪拌した。1mmの塗膜を、歯付きこてで適用し、混入空気をスパイクローラで除去した。ポットライフは、約15分であり、タックフリー時間は、約18hであった。
23℃で50%の相対湿度で7日後に、38%の伸び率、60のショア硬度(ショアD)および16N/mm2の引張強さを有する光沢塗膜が得られた。
【0190】
実施例2
水酸化カルシウム(110g)およびBarite 15 extra(300g)を、激しく攪拌することで、Arcol(登録商標)Polyol 1104(460g)、グリセロール(26g)、cycloquart HS(4g)、Disperbyk 199(27g)およびAntiterra U(18g)の混合物中に分散させた。分散液の製造後に、水(55g)を攪拌しながら添加して、成分A(1000g)を得た。
【0191】
Desmodur N3600(490g)Tolonate X FLO(490g)、Byk 088(19g)およびジラウリル酸ジブチルスズ(1g)を混合して、成分B(1000g)を得た。
【0192】
硬化のために、成分A(200g)と成分B(200g)とを一緒に混合し、300rpmで攪拌した。1mmの塗膜を、歯付きこてで適用し、混入空気をスパイクローラで除去した。
【0193】
23℃で50%の相対湿度で7日後に、45%の伸び率、60のショア硬度(ショアD)および6N/mm2の引張強さを有する塗膜が得られた。
組成物は、1000時間の測定QUVにより決定されるように光安定性であった。
本開示は以下も包含する。
[1]
(I)
(i)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C 2 ~C 32 アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物;
(ii)二成分組成物の全質量を基準として、水≧1質量%~≦50質量%;および
(iii)二成分組成物の全質量を基準として、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分≧2質量%~≦50質量%
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分Bと
を含む、二成分被覆組成物。
[2]
前記一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシドジオールおよびポリプロピレンオキシドトリオールからなる群から選択される、態様1記載の二成分組成物。
[3]
前記一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物の量は、前記二成分組成物の全質量を基準として、≧5.0質量%~≦40質量%の範囲内にある、態様1または2記載の二成分組成物。
[4]
前記一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物は、DIN 55672-1に従って決定して、≧100~≦20,000g/molの範囲内の質量平均分子量M w を有する、態様1から3までのいずれか記載の二成分組成物。
[5]
成分Aは、さらに(iv)前記一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物とは異なる、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、C 2 ~C 32 アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物を含む、態様1記載の二成分組成物。
[6]
前記一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物は、C 2 ~C 32 アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される、態様5記載の二成分組成物。
[7]
前記一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物の量は、前記二成分組成物の全質量を基準として、≧0.2質量%~≦20質量%の範囲内にある、態様5または6記載の二成分組成物。
[8]
前記一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物は、DIN 55672-1に従って決定して、≧50~≦2,000g/molの範囲内の質量平均分子量M w を有する、態様5から7までのいずれか記載の二成分組成物。
[9]
前記少なくとも一つの金属酸化物および/または少なくとも一つの金属水酸化物は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムからなる群から選択される、態様1記載の二成分組成物。
[10]
前記少なくとも一つのポリイソシアナートは、液状のオリゴマーまたはプレポリマーである、態様1記載の二成分組成物。
[11]
前記少なくとも一つのポリイソシアナートは、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアナート、ブタン-1,4-ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート(全ての異性体)、シクロヘキサン1,3-および1,4-ジイソシアナート、1,12-ドデカメチレンジイソシアナート、二量体脂肪酸のジイソシアナート;リジンメチルエステルジイソシアナート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、水素化ジフェニルメタンジイソシアナート、水素化2,4-トルエンジイソシアナート、水素化2,6-トルエンジイソシアナート、メチレンジフェニルジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、ポリマーのメチレンジフェニルジイソシアナート、カルボジイミド変性メチレンジフェニルジイソシアナートからなる群から選択される、態様1記載の二成分組成物。
[12]
前記少なくとも一つのポリイソシアナートの量は、前記二成分組成物の全質量を基準として、≧10質量%~≦90質量%の範囲内にある、態様1から11までのいずれか記載の二成分組成物。
[13]
任意に、アミン触媒、アルカノールアミン触媒および金属触媒からなる群から選択される一つの触媒をさらに含む、態様1記載の二成分組成物。
[14]
前記アミン触媒は、第三級脂肪族アミン触媒である、態様13記載の二成分組成物。
[15]
前記金属触媒は、ジラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸第一スズ、ネオデカン酸ビスマスおよびネオデカン酸亜鉛からなる群から選択される、態様13記載の二成分組成物。
[16]
前記触媒の量は、前記二成分組成物の全質量を基準として、≧0.05質量%~≦5質量%の範囲内にある、態様13から15までのいずれか記載の二成分組成物。
[17]
少なくとも一つの添加物をさらに含む、態様1から16までのいずれか記載の二成分組成物。
[18]
前記少なくとも一つの添加物は、乳化剤、難燃剤、抗微生物剤、顔料、UV線安定剤、可塑剤、希釈剤、有機充填剤および無機充填剤からなる群から選択される、態様17記載の二成分組成物。
[19]
(I)
(i)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールからなる群から選択される少なくとも一つの第一の飽和ポリヒドロキシ化合物;
(ii)二成分組成物の全質量を基準として、水≧1質量%~≦50質量%;
(iii)二成分組成物の全質量を基準として、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルミン酸塩および金属ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの金属成分2質量%~≦25質量%;および
(iv)C 2 ~C 6 アルキルポリオールおよび糖アルコールからなる群から選択される少なくとも一つの第二の飽和ポリヒドロキシ化合物
を含む成分Aと;
(II)少なくとも一つのポリイソシアナートを含む成分Bと
を含む、態様1記載の二成分被覆組成物。
[20]
(a)前記成分(i)、(ii)および(iii)を混合することにより成分(A)を製造すること;
(b)成分(B)を、ステップ(a)の混合物に添加し、混合して、最終的な被覆組成物を得ること
のステップを含む、態様1から19までのいずれか記載の二成分組成物を製造する方法。