(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】変性共役ジエン系重合体及びこれを含むゴム組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 36/04 20060101AFI20240329BHJP
C08C 19/22 20060101ALI20240329BHJP
C08C 19/25 20060101ALI20240329BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240329BHJP
C08L 15/00 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
C08F36/04
C08C19/22
C08C19/25
C08K3/013
C08L15/00
(21)【出願番号】P 2020530333
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2018015143
(87)【国際公開番号】W WO2019112261
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-06-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2017-0165578
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0150918
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ホ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、チェ-フン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、キョンーチャン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ノーマ
【合議体】
【審判長】細井 龍史
【審判官】大畑 通隆
【審判官】海老原 えい子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/188641(WO,A1)
【文献】特開2003-171418(JP,A)
【文献】特表2017-503910(JP,A)
【文献】国際公開第2016/133202(WO,A1)
【文献】特表2018-534401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C19/00-19/44
C08F36/00-36/22
C08K 3/00-13/08
C08L15/00
B60C 1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線がユニモーダル(unimodal)形態を有し、
分子量分布(PDI;MWD)が1.0以上1.7未満であり、
100℃で測定されたムーニー緩和率が0.7以上3.0以下であり、
カップリング数(C.N.)は、1<C.N.<Fであり、ここでFは変性剤の官能基の数であり、
一末端に変性開始剤由来官能基を含み、他の一末端に下記化学式2または化学式3で表される変性剤由来官能基を含み、
前記変性開始剤は、下記化学式1で表される化合物と有機金属化合物との反応生成物である変性共役ジエン系重合体。
【化20】
前記化学式1中、
R
1からR
3は、互いに独立して、水素;炭素数1から30のアルキル基;炭素数2から30のアルケニル基;炭素数2から30のアルキニル基;炭素数1から30のヘテロアルキル基、炭素数2から30のヘテロアルケニル基;炭素数2から30のヘテロアルキニル基;炭素数5から30のシクロアルキル基;炭素数6から30のアリール基;または炭素数3から30のヘテロ環基であり、
R
4は、単結合;置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数1から20のアルキレン基;置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数5から20のシクロアルキレン基;または置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数5から20のアリレン基であり、ここで、前記置換基は、炭素数1から10のアルキル基、炭素数5から10のシクロアルキル基、または炭素数6から20のアリール基であり、
R
5は、炭素数1から30のアルキル基;炭素数2から30のアルケニル基;炭素数2から30のアルキニル基;炭素数1から30のヘテロアルキル基;炭素数2から30のヘテロアルケニル基;炭素数2から30のヘテロアルキニル基;炭素数5から30のシクロアルキル基;炭素数6から30のアリール基;炭素数3から30のヘテロ環基;または下記化学式1aまたは化学式1bで表される官能基であり、
nは、1から5の整数であり、R
5のうち少なくとも一つは、下記化学式1aまたは化学式1bで表される官能基であり、nが2から5の整数の場合、複数のR
5は、互いに同一であるか異なっていてもよく、
【化21】
前記化学式1a中、
R
6は、置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数1から20のアルキレン基;置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数5から20のシクロアルキレン基;または置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数6から20のアリレン基であり、ここで、前記置換基は、炭素数1から10のアルキル基、炭素数5から10のシクロアルキル基、または炭素数6から20のアリール基であり、
R
7及びR
8は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基、炭素数5から10のシクロアルキル基、または炭素数6から20のアリール基で置換されるかまたは非置換の炭素数1から20のアルキレン基であり、
R
9は、水素;炭素数1から30のアルキル基;炭素数2から30のアルケニル基;炭素数2から30のアルキニル基;炭素数1から30のヘテロアルキル基;炭素数2から30のヘテロアルケニル基;炭素数2から30のヘテロアルキニル基;炭素数5から30のシクロアルキル基;炭素数6から30のアリール基;炭素数3から30のヘテロ環基であり、
Xは、N、OまたはS原子であり、XがOまたはSの場合、R
9は存在せず、
【化22】
前記化学式1b中、
R
10は、置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数1から20のアルキレン基;置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数5から20のシクロアルキレン基;または置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数6から20のアリレン基であり、ここで、前記置換基は、炭素数1から10のアルキル基、炭素数5から10のシクロアルキル基、または炭素数6から20のアリール基であり、
R
11及びR
12は、互いに独立して、炭素数1から30のアルキル基;炭素数2から30のアルケニル基;炭素数2から30のアルキニル基;炭素数1から30のヘテロアルキル基;炭素数2から30のヘテロアルケニル基;炭素数2から30のヘテロアルキニル基;炭素数5から30のシクロアルキル基;炭素数6から30のアリール基;炭素数3から30のヘテロ環基であり、
【化23】
前記化学式2中、
R
20は、単結合、または炭素数1から10のアルキレン基であり、
R
21及びR
22は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基であり、
R
23は、単結合、または炭素数1から10のアルキレン基であり、
R
24は、水素、炭素数1から10のアルキル基または炭素数1から10のアルキル基で置換されたトリアルキルシリル基であり、
aは、2または3の整数であり、
cは、1から3の整数であり、bは、0から2の整数で、かつ、b+c=3であり、
【化24】
前記化学式3中、
A
1及びA
2は、互いに独立して、炭素数1から20のアルキレン基であり、
R
25からR
28は、互いに独立して、炭素数1から20のアルキル基であり、
L
1からL
4は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基で置換されたトリアルキルシリル基、または炭素数1から20のアルキル基である。
【請求項2】
前記化学式1中、
R
1からR
3は、互いに独立して、水素;炭素数1から10のアルキル基;炭素数2から10のアルケニル基;または炭素数2から10のアルキニル基であり、
R
4は、単結合;または非置換の炭素数1から10のアルキレン基であり、
R
5は、炭素数1から10のアルキル基;炭素数2から10のアルケニル基;炭素数2から10のアルキニル基;または下記化学式1aまたは化学式1bで表される官能基であり、
前記化学式1a中、R
6は、非置換の炭素数1から10のアルキレン基であり、R
7及びR
8は、互いに独立して、非置換の炭素数1から10のアルキレン基であり、R
9は、炭素数1から10のアルキル基;炭素数5から20のシクロアルキル基;炭素数6から20のアリール基;または炭素数3から20のヘテロ環基であり、
前記化学式1b中、R
10は、非置換の炭素数1から10のアルキレン基であり、R
11及びR
12は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基;炭素数5から20のシクロアルキル基;炭素数6から20のアリール基;または炭素数3から20のヘテロ環基である、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体。
【請求項3】
前記化学式2中、
R
20は、単結合、または炭素数1から5のアルキレン基であり、
R
21及びR
22は、互いに独立して、炭素数1から5のアルキル基であり、
R
23は、単結合、または炭素数1から5のアルキレン基であり、
R
24は、水素、炭素数1から5のアルキル基または炭素数1から5のアルキル基で置換されたトリアルキルシリル基である、請求項1または2に記載の変性共役ジエン系重合体。
【請求項4】
前記化学式3中、
A
1及びA
2は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキレン基であり、
R
25からR
28は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基であり、
L
1からL
4は、互いに独立して、炭素数1から5のアルキル基で置換されたトリアルキルシリル基、または炭素数1から10のアルキル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体。
【請求項5】
前記変性共役ジエン系重合体は、数平均分子量(Mn)が1,000g/molから2,000,000g/molであり、重量平均分子量(Mw)が1,000g/molから3,000,000g/molである、請求項1~4のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体。
【請求項6】
前記変性共役ジエン系重合体は、Si含量及びN含量がそれぞれ重量を基準に50ppm以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体及び充填剤を含むゴム組成物。
【請求項8】
前記ゴム組成物は、前記変性共役ジエン系重合体100重量部に対し、0.1重量部から200重量部の充填剤を含む、
請求項7に記載のゴム組成物。
【請求項9】
前記ゴム組成物は、前記変性共役ジエン系重合体100重量部に対し、20から60重量部のプロセス油を含む、
請求項7または8に記載のゴム組成物。
【請求項10】
前記重合体が、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による標準ポリスチレン換算分子量において分子量100,000g/mol以上の重合体成分がユニモーダル形態を有し、
数平均分子量が100,000から700,000g/molであり、
官能基を有する重合体成分の含有量が50重量%以上であり、
ブタジエン単位のビニル含有量が20モル%から80モル%以下であり、
Si含量及びN含量がそれぞれ重量を基準に100ppm以上であり、
100℃で測定されたムーニー緩和率が0.7以上である
請求項7~9のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年12月5日付韓国特許出願第10-2017-0165578号及び2018年11月29日付韓国特許出願第10-2018-0150918号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、加工性に優れながらも、引張特性及び粘弾性特性に優れた変性共役ジエン系重合体及びこれを含むゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、自動車に対する低燃費化の要求に応じて、タイヤ用ゴムの材料として転がり抵抗が少なく、耐磨耗性、引張特性に優れ、濡れた路面への抵抗性に代表される調整安定性も兼備した共役ジエン系重合体が求められている。
【0004】
タイヤの転がり抵抗を減少させるためには、加硫ゴムのヒステリシス損失を小さくする方案があり、このような加硫ゴムの評価指標としては50℃から80℃の反発弾性、tanδ、グッドリッチ発熱などが用いられる。すなわち、前記温度での反発弾性が大きいか、tanδ、グッドリッチ発熱が小さいゴム材料が好ましい。
【0005】
ヒステリシス損失が小さいゴム材料としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム又はポリブタジエンゴムなどが知られているが、これらは濡れた路面への抵抗性が小さい問題がある。よって、最近は、スチレン-ブタジエンゴム(以下、SBRという)又はブタジエンゴム(以下、BRという)のような共役ジエン系重合体又は共重合体が乳化重合や溶液重合によって製造され、タイヤ用ゴムとして用いられている。このうち、乳化重合に比べて溶液重合が有する最大の利点は、ゴム物性を規定するビニル構造の含量及びスチレンの含量を任意に調節することができ、カップリング(coupling)や変性(modification)などによって分子量及び物性などを調節できるという点である。よって、最終的に製造されたSBRやBRの構造変化が容易であり、鎖末端の結合や変性で鎖末端の動きを減らし、シリカ又はカーボンブラックなどの充填剤との結合力を増加させることができるので、溶液重合によるSBRがタイヤ用ゴムの材料として多く用いられる。
【0006】
このような溶液重合SBRがタイヤ用ゴム材料として用いられる場合、前記SBR内のビニル含量を増加させることによって、ゴムのガラス転移温度を上昇させ、転がり抵抗及び制動力のようなタイヤ要求物性を調節することができるだけでなく、ガラス転移温度を適宜調節することで燃料消耗を減らすことができる。前記溶液重合SBRは、アニオン重合開始剤を用いて製造し、形成された重合体の鎖末端を多様な変性剤を用いて結合させるか、変性させて用いられている。例えば、米国特許第4,397,994号には、一官能性開始剤であるアルキルリチウムを用いて、非極性溶媒下でスチレン-ブタジエンを重合して得られた重合体の鎖末端の活性アニオンをスズ化合物のような結合剤を用いて結合させた技術を提示した。
【0007】
一方、前記SBRまたはBRの重合は、回分式(batch)または連続式重合によって実施され得るところ、回分式重合による場合、製造された重合体の分子量分布が狭くて物性改善の側面で長所があるが、生産性が低く、加工性が劣るという問題点があり、連続式重合による場合、重合が連続的に行われるため、生産性に優れ、加工性改善の側面で長所があるが、分子量分布が広いので物性が劣るという問題点がある。よって、SBRまたはBRを製造する際、生産性、加工性及び物性を全て同時に改善させるための研究が持続的に求められている実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来の技術の問題点を解決するために案出されたものであって、連続式重合によって製造され、加工性に優れながらも、引張特性などの物性に優れ、粘弾性特性に優れた変性共役ジエン系重合体、及びこれを含むゴム組成物を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための本発明の一実施形態によれば、本発明はゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線がユニモーダル(unimodal)形態を有し、分子量分布(PDI;MWD)が1.0以上1.7未満であり、一末端に変性開始剤由来官能基を含み、他の一末端に下記化学式2または化学式3で表される変性剤由来官能基を含み、前記変性開始剤は、下記化学式1で表される化合物と有機金属化合物との反応生成物である変性共役ジエン系重合体を提供する:
【0010】
【0011】
前記化学式1中、
R1からR3は、互いに独立して、水素;炭素数1から30のアルキル基;炭素数2から30のアルケニル基;炭素数2から30のアルキニル基;炭素数1から30のヘテロアルキル基、炭素数2から30のヘテロアルケニル基;炭素数2から30のヘテロアルキニル基;炭素数5から30のシクロアルキル基;炭素数6から30のアリール基;または炭素数3から30のヘテロ環基であり、
R4は、単結合;置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数1から20のアルキレン基;置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数5から20のシクロアルキレン基;または置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数6から20のアリレン基であり、ここで、前記置換基は、炭素数1から10のアルキル基、炭素数5から10のシクロアルキル基、または炭素数6から20のアリール基であり、
R5は、炭素数1から30のアルキル基;炭素数2から30のアルケニル基;炭素数2から30のアルキニル基;炭素数1から30のヘテロアルキル基;炭素数2から30のヘテロアルケニル基;炭素数2から30のヘテロアルキニル基;炭素数5から30のシクロアルキル基;炭素数6から30のアリール基;炭素数3から30のヘテロ環基;または下記化学式1aまたは化学式1bで表される官能基であり、
nは、1から5の整数であり、R5のうち少なくとも一つは、下記化学式1aまたは化学式1bで表される官能基であり、nが2から5の整数の場合、複数のR5は、互いに同一であるか異なっていてもよく、
【0012】
【0013】
前記化学式1a中、
R6は、置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数1から20のアルキレン基;置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数5から20のシクロアルキレン基;または置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数6から20のアリレン基であり、ここで、前記置換基は、炭素数1から10のアルキル基、炭素数5から10のシクロアルキル基、または炭素数6から20のアリール基であり、
R7及びR8は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基、炭素数5から10のシクロアルキル基、または炭素数6から20のアリール基で置換されるかまたは非置換の炭素数1から20のアルキレン基であり、
R9は、水素;炭素数1から30のアルキル基;炭素数2から30のアルケニル基;炭素数2から30のアルキニル基;炭素数1から30のヘテロアルキル基;炭素数2から30のヘテロアルケニル基;炭素数2から30のヘテロアルキニル基;炭素数5から30のシクロアルキル基;炭素数6から30のアリール基;炭素数3から30のヘテロ環基であり、
Xは、N、OまたはS原子であり、XがOまたはSの場合、R9は存在せず、
【0014】
【0015】
前記化学式1b中、
R10は、置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数1から20のアルキレン基;置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数5から20のシクロアルキレン基;または置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数6から20のアリレン基であり、ここで、前記置換基は、炭素数1から10のアルキル基、炭素数5から10のシクロアルキル基、または炭素数6から20のアリール基であり、
R11及びR12は、互いに独立して、炭素数1から30のアルキル基;炭素数2から30のアルケニル基;炭素数2から30のアルキニル基;炭素数1から30のヘテロアルキル基;炭素数2から30のヘテロアルケニル基;炭素数2から30のヘテロアルキニル基;炭素数5から30のシクロアルキル基;炭素数6から30のアリール基;炭素数3から30のヘテロ環基であり、
【0016】
【0017】
前記化学式2中、
R20は、単結合、または炭素数1から10のアルキレン基であり、
R21及びR22は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基であり、
R23は、単結合、または炭素数1から10のアルキレン基であり、
R24は、水素、炭素数1から10のアルキル基または炭素数1から10のアルキル基で置換された2価、3価もしくは4価のアルキルシリル基であり、
aは、2または3の整数であり、
cは、1から3の整数であり、bは、0から2の整数で、かつ、b+c=3であり、
【0018】
【0019】
前記化学式3中、
A1及びA2は、互いに独立して、炭素数1から20のアルキレン基であり、
R25からR28は、互いに独立して、炭素数1から20のアルキル基であり、
L1からL4は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基で置換された2価、3価もしくは4価のアルキルシリル基、または炭素数1から20のアルキル基である。
【0020】
また、本発明は、前記変性共役ジエン系重合体及び充填剤を含むゴム組成物を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明による変性共役ジエン系重合体は、後述の連続式重合によって製造されることにより、ゲル透過クロマトグラフィーによる分子量分布曲線がユニモーダル形態を有しつつ、分子量分布が1.7未満と狭く、よって加工性に優れながらも引張特性及び粘弾性特性に優れるという効果がある。
【0022】
また、本発明による変性共役ジエン系重合体は、一末端に変性開始剤由来官能基を含み、他の一末端に変性剤由来官能基を含むことにより粘弾性特性にさらに向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書の下記図面は、本発明の具体的な実施形態を例示するものであり、前述の発明の内容とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役目を担うものなので、本発明はそのような図面に記載された事項にのみ限定して解釈されてはならない。
【
図1】本発明の一実施形態に係る実施例1の変性共役ジエン系重合体のゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線を示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態による実施例5の変性共役ジエン系重合体のゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)に係る分子量分布曲線を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態による比較例1の変性共役ジエン系重合体のゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る参照例1の変性共役ジエン系重合体のゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る参照例2の変性共役ジエン系重合体のゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に対する理解を助けるために、本発明をさらに詳細に説明する。
【0025】
本発明の説明及び特許請求の範囲で用いられた用語や単語は、通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適宜定義することができるとの原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0026】
本発明における用語「アルキル基(alkyl group)」は、1価の脂肪族飽和炭化水素を意味してよく、メチル、エチル、プロピル及びブチルなどの線形アルキル基;イソプロピル(isopropyl)、セカンダリーブチル(sec-butyl)、ターシャリーブチル(tert-butyl)及びネオペンチル(neo-pentyl)などの分枝型アルキル基を全て含む意味であってよい。
【0027】
本発明における用語「アルキレン基(alkylene group)」は、メチレン、エチレン、プロピレン及びブチレンなどのような2価の脂肪族飽和炭化水素を意味してよい。
【0028】
本発明における用語「アルケニル基(alkenyl group)」は、二重結合を1個または2個以上含む1価の脂肪族不飽和炭化水素を意味してよい。
【0029】
本発明における用語「アルキニル基 (alkynyl group)」は、三重結合を1個または2個以上含む1価の脂肪族不飽和炭化水素を意味してよい。
【0030】
本発明における用語「シクロアルキル基(cycloalkyl group)」は、環状飽和炭化水素を意味してよい。
【0031】
本発明における用語「アリール基(aryl group)」は、環状芳香族炭化水素を意味してよく、また1個の環が形成された単環芳香族炭化水素(monocyclic aromatic hydrocarbon)、または2個以上の環が結合された多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon)を全て含む意味であってよい。
【0032】
本発明における用語「ヘテロアルキル基(heteroalkyl group)」は、アルキル基内の炭素原子(末端の炭素原子を除く)が1個以上のヘテロ原子で置換されたアルキル基を意味してよく、ここで、ヘテロ原子は、N、O及びSから選択されたものであってよい。
【0033】
本発明における用語「ヘテロアルケニル基(heteroalkenyl group)」は、アルケニル基内の炭素原子(末端の炭素原子を除く)が1個以上のヘテロ原子で置換されたアルケニル基を意味してもよく、ここで、ヘテロ原子は、N、O及びSから選択されたものであってよい。
【0034】
本発明における用語「ヘテロアルキニル基 (heteroalkynyl group)」は、アルキニル基内の炭素原子(末端の炭素原子を除く)が1個以上のヘテロ原子で置換されたアルキニル基を意味してもよく、ここで、ヘテロ原子は、N、O及びSから選択されたものであってよい。
【0035】
本発明における用語「ヘテロ環基」は、環状の飽和炭化水素、または不飽和結合を1個以上含む環状の不飽和炭化水素内の炭素原子が1個以上のヘテロ原子で置換されたシクロアルキル基であってよく、ここで、ヘテロ原子は、N、O及びSから選択されたものであってよい。
【0036】
本発明における用語「由来単位」及び「由来官能基」は、ある物質から起因した成分、構造またはその物質自体を意味してよい。
【0037】
本発明における用語「単結合」は、別途の原子または分子団を含まない単一共有結合自体を意味してよい。
【0038】
本発明は、連続重合によって製造され、加工性に優れながらも、分子量分布が狭く物性に優れた変性共役ジエン系重合体を提供する。
【0039】
本発明の一実施形態による変性共役ジエン系重合体は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線がユニモーダル(unimodal)形態を有し、分子量分布(PDI;MWD)が1.0以上1.7未満であり、一末端に変性開始剤由来官能基を含み、他の一末端に下記化学式2または化学式3で表される変性剤由来官能基を含み、前記変性開始剤は、下記化学式1で表される化合物と有機金属化合物との反応生成物であることを特徴とする。
【0040】
【0041】
前記化学式1中、R1からR3は、互いに独立して、水素;炭素数1から30のアルキル基;炭素数2から30のアルケニル基;炭素数2から30のアルキニル基;炭素数1から30のヘテロアルキル基、炭素数2から30のヘテロアルケニル基;炭素数2から30のヘテロアルキニル基;炭素数5から30のシクロアルキル基;炭素数6から30のアリール基;または炭素数3から30のヘテロ環基であり、R4は、単結合;置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数1から20のアルキレン基;置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数5から20のシクロアルキレン基;または置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数6から20のアリレン基であり、ここで、前記置換基は、炭素数1から10のアルキル基、炭素数5から10のシクロアルキル基、または炭素数6から20のアリール基であり、R5は、炭素数1から30のアルキル基;炭素数2から30のアルケニル基;炭素数2から30のアルキニル基;炭素数1から30のヘテロアルキル基;炭素数2から30のヘテロアルケニル基;炭素数2から30のヘテロアルキニル基;炭素数5から30のシクロアルキル基;炭素数6から30のアリール基;炭素数3から30のヘテロ環基;または下記化学式1aまたは化学式1bで表される官能基であり、nは、1から5の整数であり、R5のうち少なくとも一つは、下記化学式1aまたは化学式1bで表される官能基であり、nが2から5の整数の場合、複数のR5は、互いに同一であるか異なっていてもよく、
【0042】
【0043】
前記化学式1a中、R6は、置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数1から20のアルキレン基;置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数5から20のシクロアルキレン基;または置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数6から20のアリレン基であり、ここで、前記置換基は、炭素数1から10のアルキル基、炭素数5から10のシクロアルキル基、または炭素数6から20のアリール基であり、R7及びR8は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基、炭素数5から10のシクロアルキル基、または炭素数6から20のアリール基で置換されるかまたは非置換の炭素数1から20のアルキレン基であり、R9は、水素;炭素数1から30のアルキル基;炭素数2から30のアルケニル基;炭素数2から30のアルキニル基;炭素数1から30のヘテロアルキル基;炭素数2から30のヘテロアルケニル基;炭素数2から30のヘテロアルキニル基;炭素数5から30のシクロアルキル基;炭素数6から30のアリール基;炭素数3から30のヘテロ環基であり、Xは、N、OまたはS原子であり、XがOまたはSの場合、R9は存在せず、
【0044】
【0045】
前記化学式1b中、R10は、置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数1から20のアルキレン基;置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数5から20のシクロアルキレン基;または置換基で置換されるかまたは非置換の炭素数6から20のアリレン基であり、ここで、前記置換基は、炭素数1から10のアルキル基、炭素数5から10のシクロアルキル基、または炭素数6から20のアリール基であり、R11及びR12は、互いに独立して、炭素数1から30のアルキル基;炭素数2から30のアルケニル基;炭素数2から30のアルキニル基;炭素数1から30のヘテロアルキル基;炭素数2から30のヘテロアルケニル基;炭素数2から30のヘテロアルキニル基;炭素数5から30のシクロアルキル基;炭素数6から30のアリール基;炭素数3から30のヘテロ環基であり、
【0046】
【0047】
前記化学式2中、R20は、単結合、または炭素数1から10のアルキレン基であり、R21及びR22は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基であり、R23は、単結合、または炭素数1から10のアルキレン基であり、R24は、水素、炭素数1から10のアルキル基または炭素数1から10のアルキル基で置換された2価、3価もしくは4価のアルキルシリル基であり、aは、2または3の整数であり、cは、1から3の整数であり、bは、0から2の整数で、かつ、b+c=3であり、
【0048】
【0049】
前記化学式3中、A1及びA2は、互いに独立して、炭素数1から20のアルキレン基であり、R25からR28は、互いに独立して、炭素数1から20のアルキル基であり、L1からL4は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基で置換された2価、3価もしくは4価のアルキルシリル基、または炭素数1から20のアルキル基である。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、前記変性共役ジエン系重合体は、共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位、変性開始剤由来官能基及び変性剤由来官能基を含むものであってよい。前記共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位は、共役ジエン系単量体が重合時になす繰り返し単位を意味してよく、前記変性開始剤由来官能基及び変性剤由来官能基は、それぞれ重合体鎖の末端に存在する変性開始剤または変性剤から由来された官能基を意味してよい。
【0051】
また、本発明の他の一実施形態によれば、前記変性共役ジエン系重合体は、共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位、変性開始剤由来官能基及び変性剤由来官能基を含む共重合体であってよい。ここで、前記芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位は、芳香族ビニル単量体が重合時になす繰り返し単位を意味してよい。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、前記共役ジエン系単量体は、1,3-ブタジエン、2,3-ジ-メチル-1,3-ブタジエン、ピペリレン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、イソプレン、2-フェニル-1,3-ブタジエン及び2-ハロ-1,3-ブタジエン(ハロは、ハロゲン原子を意味する)よりなる群から選択された1種以上であってよい。
【0053】
前記芳香族ビニル単量体は、一例として、スチレン、α-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、1-ビニルナフタリン、4-シクロヘキシルスチレン、4-(p-メチルフェニル)スチレン、1-ビニル-5-ヘキシルナフタレン、3-(2-ピロリジノエチル)スチレン(3-(2-pyrrolidino ethyl)styrene)、4-(2-ピロリジノエチルエチル)スチレン(4-(2-pyrrolidino ethyl)styrene)及び3-(2-ピロリジノ-1-エチルメチルエチル)-α-メチルスチレン(3-(2-pyrrolidino-1-methyl ethyl)styrene)よりなる群から選択された1種以上であってよい。
【0054】
また他の例として、前記変性共役ジエン系重合体は、前記共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位とともに炭素数1から10のジエン系単量体由来の繰り返し単位をさらに含む共重合体であってよい。前記ジエン系単量体由来の繰り返し単位は、前記共役ジエン系単量体とは異なるジエン系単量体から由来された繰り返し単位であってよく、前記共役ジエン系単量体とは異なるジエン系単量体は一例として1,2-ブタジエンであってよい。前記変性共役ジエン系重合体がジエン系単量体をさらに含む共重合体である場合、前記変性共役ジエン系重合体は、ジエン系単量体由来の繰り返し単位を0超過重量%から1重量%、0超過重量%から0.1重量%、0超過重量%から0.01重量%、または0超過重量%から0.001重量%で含んでよく、この範囲内でゲル生成を防止するという効果がある。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、前記共重合体はランダム共重合体であってよく、この場合、各物性間のバランスに優れるという効果がある。前記ランダム共重合体は共重合体をなす繰り返し単位が無秩序に配列されるものを意味してよい。
【0056】
本発明の一実施形態による前記変性共役ジエン系重合体は、数平均分子量(Mn)が1,000g/molから2,000,000g/mol、10,000g/molから1,000,000g/mol、または100,000g/molから800,000g/molであってよく、重量平均分子量(Mw)が1,000g/molから3,000,000g/mol、10,000g/molから2,000,000g/mol、または100,000g/molから2,000,000g/molであってよく、最大ピーク分子量(Mp)が1,000g/molから3,000,000g/mol、10,000g/molから2,000,000g/mol、または100,000g/molから2,000,000g/molであってよい。この範囲内で転がり抵抗及び濡れた路面への抵抗性に優れるという効果がある。また他の例として、前記変性共役ジエン系重合体は、分子量分布(PDI;MWD;Mw/Mn)が1.7未満、1.0以上から1.7未満、または1.1以上から1.7未満であってよく、この範囲内で引張特性及び粘弾性特性に優れ、各物性のバランスに優れるという効果がある。
【0057】
これと同時に、前記変性共役ジエン系重合体は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線がユニモーダル(unimodal)形態を有してよく、これは連続式重合によって重合された重合体で示される分子量分布であって、変性共役ジエン系重合体が均一な特性を有することを意味してよい。すなわち、本発明の一実施形態による変性共役ジエン系重合体は連続式重合によって製造され、ユニモーダル形態の分子量分布曲線を有しながらも、分子量分布が1.7未満のものであってよい。
【0058】
一般に、共役ジエン系重合体を回分式重合方法で製造して変性反応させる場合に製造された変性共役ジエン系重合体の分子量分布曲線は、バイモーダル(bimodal)以上の多峰の分子量分布曲線を有する。具体的に、回分式重合である場合、原料が全て投入された後に重合反応が開始され、多数の開始剤によって発生する開始点から鎖の成長が同時に起こり得るので、各鎖の成長が概して均一となり、これによって製造された重合体鎖の分子量が一定して分子量分布が相当狭いユニモーダル形態であってよい。しかし、変性剤を投入して変性反応させる場合には「変性がなされない場合」と「変性及びカップリングされる場合」、2種類の場合の数が発生し得、これによって重合体鎖の間で分子量の差が大きい2つのグループが形成されるので、結局、分子量分布曲線のピークが2つ以上の多峰の分子量分布曲線を形成するようになる。一方、本発明の一実施形態による連続式重合方法の場合、回分式重合と異なり反応の開始と原料の投入が連続的に行われ、反応が開始される開始点が生成される時点が異なり、これによって重合開始が反応初期から開始されたものと、反応中間に開始されたもの、反応末期に開始されたものなどで多様であるので、重合反応を完了した際には多様な分子量を有する重合体鎖が製造される。これによって、分子量の分布を示す曲線で特定ピークが優勢に表れないので、単一なピークとして分子量分布曲線が広く表れ、反応末期に重合の開始された鎖がカップリングされても、反応初期に重合が開始された鎖の分子量と類似し得るので、分子量分布の多様性は同一に維持されるため、依然としてユニモーダルの分布曲線が維持されることが一般的な場合である。
【0059】
ただし、回分式重合方法で重合体を製造して変性する場合にも、ユニモーダル形態を有するように変性条件を調節することはできるが、この場合には、重合体全体がカップリングされないものであるか、重合体全体がカップリングされたものでなければならず、それ以外の場合には、ユニモーダルの分子量分布曲線を示すことができない。
【0060】
また、前述のとおり、回分式重合方法で製造されたにもかかわらず、変性共役ジエン系重合体の分子量分布曲線がユニモーダルの分布を示す場合で、重合体全部がカップリングされた場合は、全て同等水準の分子量を有する重合体のみ存在することで加工性が劣ることがあり、シリカまたはカーボンブラックなどの充填剤と相互作用することができる官能基がカップリングによって減少することにより配合物性が劣ることがあり、逆の場合で、重合体全部がカップリングされない場合には、加工時にシリカまたはカーボンブラックなどの充填剤と相互作用しなければならない重合体末端の官能基が、充填剤より重合体末端官能基同士の相互作用が優勢となるので、充填剤との相互作用を妨害する現象が発生することがあり、よって、加工性が非常に劣るようになり得るため、結局、回分式重合方法で重合体を製造しながらユニモーダルの分子量分布曲線を有するように調節する場合、製造された変性共役ジエン系重合体の加工性及び配合物性が低下する問題があり、特に加工性が顕著に低下し得る。
【0061】
一方、変性共役ジエン系重合体のカップリング可否はカップリング数(Coupling Number、C.N.)で確認することができ、ここでカップリング数は、重合体の変性後、変性剤に存在する重合体が結合することができる官能基の数に依存的な数値である。すなわち、重合体鎖間のカップリングがなく、末端変性のみなされた重合体と、一つの変性剤に多数の重合体鎖がカップリングされた重合体との割合を示すものであって、1≦C.N.≦Fの範囲を有することができ、このときFは、変性剤において、活性重合体末端と反応することができる官能基の数を意味するものである。言い換えれば、カップリング数が1である変性共役ジエン系重合体は、重合体鎖の全てがカップリングされていないことを意味し、カップリング数がFである変性共役ジエン系重合体は、重合体鎖の全てがカップリングされていることを意味する。
【0062】
したがって、本発明の一実施形態による変性共役ジエン系重合体は、分子量分布曲線がユニモーダル形態でありながらも、カップリング数が1よりは大きく、用いられた変性剤の官能基の数よりは小さいものであってよい(1<C.N.<F)。
【0063】
また他の例として、前記変性共役ジエン系重合体は、Si含量が重量を基準に、50ppm以上、100ppm以上、100ppmから10,000ppm、または100ppmから5,000ppmであってよく、この範囲内で変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物の引張特性及び粘弾性特性などの機械的物性に優れるという効果がある。前記Si含量は、前記変性共役ジエン系重合体内に存在するSi原子の含量を意味してよい。一方、前記Si原子は変性剤由来官能基から由来されたものであってよい。
【0064】
また他の例として、前記変性共役ジエン系重合体は総重量を基準にN含量が50ppm以上、100ppm以上、100ppmから10,000ppmまたは100ppmから5,000ppmであってよく、この範囲内で変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物の引張特性及び粘弾性特性などの機械的物性に優れるという効果がある。前記N含量は、前記変性共役ジエン系重合体内に存在するN原子の含量を意味してよく、このとき、前記N原子は変性剤由来官能基から由来されたものであってよい。
【0065】
前記Si含量は、一例として、ICP分析方法を介して測定されたものであってよく、前記ICP分析方法は、誘導結合プラズマ発光分析器(ICP-OES;Optima 7300DV)を用いて測定されたものであってよい。前記誘導結合プラズマ発光分析器を用いる場合、試料約0.7gを白金るつぼ(Pt crucible)に入れ、濃い硫酸(98重量%、Electronic grade)約1mLを入れ、300℃で3時間の間加熱して、試料を電気炉(Thermo Scientific、Lindberg Blue M)で、下記ステップ(step)1から3のプログラムで灰化を進めた後、
1)step 1:initial temp 0℃,rate(temp/hr)180℃/hr,temp(holdtime)180℃(1hr)
2)step 2:initial temp 180℃,rate(temp/hr)85℃/hr,temp(holdtime)370℃(2hr)
3)step 3:initial temp 370℃、rate(temp/hr)47℃/hr,temp(holdtime)510℃(3hr)
残留物に濃い硝酸(48重量%)1mL、濃いフッ酸(50重量%)20μlを加え、白金るつぼを密封して30分以上振ってから(shaking)、試料にホウ酸(boric acid)1mLを入れて0℃で2時間以上保管した後、超純水(ultrapure water)30mLに希釈し、灰化を進めて測定したものであってよい。
【0066】
また、前記N含量は、一例として、NSX分析方法を介して測定されたものであってよく、前記NSX分析方法は、極微量窒素定量分析器(NSX-2100H)を用いて測定されたものであってよい。例示的に、前記極微量窒素定量分析器を用いる場合、極微量窒素定量分析器(Auto sampler,Horizontal furnace,PMT & Nitrogen detector)をつけてArを250ml/min、O2を350ml/min、ozonizer 300ml/minでキャリアガス流量を設定し、ヒーターを800℃に設定した後、約3時間の間待機して分析器を安定化させた。分析器が安定化された後、Nitrogen standard(AccuStandard S-22750-01-5ml)を用いて検量線の範囲5ppm、10ppm、50ppm、100ppm及び500ppmの検量線を作成して各濃度に該当するAreaを得た後、濃度対Areaの割合を用いて直線を作成した。以後、試料20mg入りのセラミックボートを前記分析器のAuto samplerに置いて測定してareaを得た。得られた試料のareaと前記検量線を用いてN含量を計算した。
【0067】
このとき前記NSX分析方法に用いられる試料は、スチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去した変性共役ジエン系重合体試料であって、残留モノマー及び残留変性剤を除去した試料であってよい。また、前記試料にオイルが添加されていれば、オイルが抽出(除去)された後の試料であり得る。
【0068】
また他の例として、前記変性共役ジエン系重合体は、100℃で測定されたムーニー緩和率が0.7以上、0.7以上3.0以下、0.7以上2.5以下、または0.7以上2.0以下のものであってよい。
【0069】
ここで、前記ムーニー緩和率は、同一量の変性(strain)に対する反応で表されるストレス(stress)の変化を示すもので、ムーニー粘度計を用いて測定したものであってよい。具体的に、前記ムーニー緩和率は、Monsanto社のMV2000EのLarge Rotorを用いて100℃及びRotor Speed 2±0.02rpmの条件で、重合体を室温(23±5℃)で30分以上放置した後、27±3gを採取してダイキャビティの内部に満たしておき、プラテン(platen)を作動させてトルク(torque)を印加しつつムーニー粘度を測定し、以後トルクが緩みながら現れるムーニー粘度の変化の傾き値を測定して絶対値として得た。
【0070】
一方、ムーニー緩和率は当該重合体の分枝構造の指標として用いることができ、例えば、ムーニー粘度が同等である重合体を比べる場合、分枝が多いほどムーニー緩和率が小さくなるので、分枝度の指標として用いることができる。
【0071】
また、前記変性共役ジエン系重合体は、ムーニー粘度(Mooney viscosity)が100℃で、30以上、40から150、または40から140であってよく、この範囲内で加工性及び生産性に優れるという効果がある。
【0072】
また他の例として、前記変性共役ジエン系重合体は、粘度検出器を備えたゲル透過クロマトグラフィー光散乱法測定によって求められる収縮因子(g’)が1.0以上、具体的には1.0以上3.0以下、より具体的には1.0以上1.3以下のものであってよい。
【0073】
ここで、前記ゲル透過クロマトグラフィー光散乱法測定によって求められる収縮因子(g’)は、同一の絶対分子量を有する線形の重合体の固有粘度に対する分枝を有する重合体の固有粘度の割合であって、分枝を有する重合体の分枝構造の指標、すなわち、分枝が占める割合の指標として用いることができ、例えば、前記収縮因子の減少に伴って当該重合体の分枝数は増加する傾向があり、よって、絶対分子量が同等な重合体を比べる場合、分枝が多いほど収縮因子が小さくなるので、分枝度の指標として用いることができる。
【0074】
また、前記収縮因子は、粘度検出器を備えたゲルクロマトグラフィー光散乱測定装置を用いてクロマトグラムを測定し、溶液粘度及び光散乱法に基づいて算出したものであって、具体的にはポリスチレン系ゲルを充填剤にした、カラム2本が連結された光散乱検出器及び粘度検出器が備えられたGPC光散乱測定装置を用いて、絶対分子量と、各絶対分子量に該当する固有粘度とを得て、前記絶対分子量に該当する線形重合体の固有粘度を算出した後、各絶対分子量に対応する固有粘度の比として収縮因子を求めた。例示的に、前記収縮因子は、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラム2本が連結された光散乱検出器及び粘度検出器が備えられたGPC光散乱測定装置(Viscotek TDAmax、Malvern社製)に試料を注入し、光散乱検出器から絶対分子量を得て、光散乱検出器と粘度検出器から絶対分子量に対する固有粘度[η]を得た後、下記数式2を介して前記絶対分子量に対する線形重合体の固有粘度[η]0を算出し、各絶対分子量に対応する固有粘度の比([η]/[η]0)の平均値を収縮因子として示した。このとき、溶離液は、テトラヒドロフランとN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンの混合溶液(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン20mLをテトラヒドロフラン1Lに混合させて調整する)を用いて、カラムはPL Olexix(Agilent社製)を用い、オーブンの温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で測定し、試料は10mLのTHFに重合体15mgを溶解させて準備した。
【0075】
[数式2]
[η]0=10-3.883M0.771
前記数式2で、Mは絶対分子量である。
【0076】
また、前記変性共役ジエン系重合体は、ビニル含量が5重量%以上、10重量%以上、または10重量%から60重量%であってよい。ここで、前記ビニル含量は、ビニル基を有する単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共役ジエン系共重合体100重量%に対して1,4-添加ではなく1,2-添加された共役ジエン系単量体の含量を意味してよい。
【0077】
一方、本発明の一実施形態による前記変性開始剤は、化学式1で表される化合物と有機金属化合物を反応させて生成されたものであって、重合を開始しながら、同時に重合されて形成された重合体鎖の一末端に官能基を導入させることができるものであってよい。
【0078】
具体的に、前記化学式1で表される化合物は、化学式1中、R1からR3は、互いに独立して、水素;炭素数1から10のアルキル基;炭素数2から10のアルケニル基;または炭素数2から10のアルキニル基であり、R4は、単結合;または非置換の炭素数1から10のアルキレン基であり、R5は、炭素数1から10のアルキル基;炭素数2から10のアルケニル基;炭素数2から10のアルキニル基;または下記化学式1aまたは化学式1bで表される官能基であり、前記化学式1a中、R6は、非置換の炭素数1から10のアルキレン基であり、R7及びR8は、互いに独立して、非置換の炭素数1から10のアルキレン基であり、R9は、炭素数1から10のアルキル基;炭素数5から20のシクロアルキル基;炭素数6から20のアリール基;または炭素数3から20のヘテロ環基であり、前記化学式1b中、R10は、非置換の炭素数1から10のアルキレン基であり、 R11及びR12は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基;炭素数5から20のシクロアルキル基;炭素数6から20のアリール基;または炭素数3から20のヘテロ環基であってよい。
【0079】
さらに具体的に、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1から化学式1-3で表される化合物であってよい。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
また、前記有機金属化合物は有機アルカリ金属化合物であってよく、例えば、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物、有機ルビジウム化合物及び有機セシウム化合物の中で選択された1種以上であってよい。
【0084】
具体的に、前記有機金属化合物は、メチルリチウム、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、n-デシルリチウム、tert-オクチルリチウム、フェニルリチウム、1-ナフチルリチウム、n-エイコリチウム 、4-ブチルフェニルリチウム、4-トリルリチウム、シクロヘキシルリチウム、3,5-ジ-n-ヘプチルシクロヘキシルリチウム及び4-シクロペンチルリチウムの中で選択された1種以上であってよい。
【0085】
また、本発明による前記変性剤は、共役ジエン系重合体の残りの一末端を変性させるための変性剤であってよく、具体的な例として、シリカ親和性変性剤であってよい。前記シリカ親和性変性剤は、変性剤に用いられる化合物内にシリカ親和性官能基を含有する変性剤を意味するものであってよく、前記シリカ親和性官能基は、充填剤、特にシリカ系充填剤との親和性に優れるため、シリカ系充填剤と変性剤由来官能基の間の相互作用が可能な官能基を意味するものであってよい。
【0086】
具体的に、本発明の一実施形態によれば、前記変性剤は、化学式2で表される化合物であってよく、前記化学式2中、R20は、単結合、または炭素数1から5のアルキレン基であってよく、R21及びR22は、互いに独立して、炭素数1から5のアルキル基であってよく、R23は、単結合、または炭素数1から5のアルキレン基であり、R24は、水素、炭素数1から5のアルキル基または炭素数1から5のアルキル基で置換された4価のアルキルシリル基であってよく、aは、2または3の整数であってよく、cは、1から3の整数であってよく、bは、0から2の整数であってよく、このとき、b+c=3であってよい。
【0087】
より具体的な例として、前記化学式2で表される化合物は、N,N-ビス(3-(ジメトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(dimethoxy(methyl)silyl)propyl)-methyl-1-amine)、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(diethoxy(methyl)silyl)propyl)-methyl-1-amine)、N,N-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(trimethoxysilyl)propyl)-methyl-1-amine)、N,N-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(triethoxysilyl)propyl)-methyl-1-amine)、N,N-ジエチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-アミン(N,N-diethyl-3-(trimethoxysilyl)propan-1-amine)、N,N-ジエチル-3-(トリエトキシシリル)プロパン-1-アミン(N,N-diethyl-3-(triethoxysilyl)propan-1-amine)、トリ(トリメトキシシリル)アミン(tri(trimethoxysilyl)amine)、トリ(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミン(tri-(3-(trimethoxysilyl)propyl)amine)、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-1,1,1-トリメチルシランアミン(N,N-bis(3-(diethoxy(methyl)silyl)propyl)-1,1,1-trimethlysilanamine)及び3-(ジメトキシ(メチル)シリル)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミン(3-(dimethoxy(methyl)silyl)-N,N-diethylpropane-1-amine)よりなる群から選択された1種であってよい。
【0088】
また、具体的に、本発明の他の一実施形態によれば、前記変性剤は化学式3で表される化合物であってよく、前記化学式3中、A1及びA2は、互いに独立して、1から10のアルキレン基であってよく、R25からR28は、互いに独立して、炭素数1から10のアルキル基であってよく、L1からL4は、互いに独立して、炭素数1から5のアルキル基で置換された4価のアルキルシリル基、または炭素数1から10のアルキル基であってよい。
【0089】
より具体的な例として、前記化学式3で表される化合物は、3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジ-メチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジ-メチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジ-メチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimpropylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylmethan-1-amine))、N,N’-((1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-(トリメチルシリル)シランアミン)(N,N’-((1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-(trimethylsilyl)silanamine))、N,N’-((1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-(トリメチルシリル)シランアミン)(N,N’-((1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-(trimethylsilyl)silanamine))、N,N’-((1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-(トリメチルシリル)シランアミン)(N,N’-((1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-(trimethylsilyl)silanamine))、N,N’-((1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-フェニルシランアミン)(N,N’-((1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-phenylsilanamine))、N,N’-((1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-フェニルシランアミン)(N,N’-((1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-phenylsilanamine))、及びN,N’-((1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-フェニルシランアミン(N,N’-((1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-phenylsilanamine))よりなる群から選択された1種であってよい。
【0090】
前述のとおり、本発明の一実施形態による変性共役ジエン系重合体は、特定構造を有し、特有の分子量分布図及び形態を有してよい。このような重合体の構造は、収縮因子、ムーニー緩和率、カップリング数のような物性で表されてよく、前記分子量分布図とその形態は分子量分布値と分子量分布曲線の形態、そしてカップリング数で発現されてよく、変性剤と変性開始剤による両末端変性は構造及び分子量分布図とその形態に影響を与えることができる。このような重合体の構造を表現するパラメーターと分子量分布に関する特徴は、後述の製造方法によって満たされ得る。
【0091】
また、このような製造方法を介して製造されることが前記特徴を満たすのに好ましいが、前記特徴を全て満たす場合には、本発明で具現しようとする効果を達成することができる。
【0092】
また、本発明は、前記変性共役ジエン系重合体の製造方法を提供する。
【0093】
本発明の一実施形態による前記変性共役ジエン系重合体の製造方法は、炭化水素溶媒中で、変性開始剤の存在下で共役ジエン系単量体または共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル単量体を重合し、前記変性開始剤由来官能基が導入された活性重合体を製造するステップ(S1);及び前記(S1)ステップで製造された活性重合体と下記化学式2または化学式3で表される変性剤を反応またはカップリングさせるステップ(S2)を含み、前記(S1)ステップは、2器以上の重合反応器で連続的に実施され、前記重合反応器のうち第1反応器における重合転換率は50%以下のものであり、前記変性開始剤は、下記化学式1で表される化合物と有機金属化合物を反応させて製造された反応生成物であってよい。
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
前記化学式1から化学式3で、R1からR5、R20からR28、A1、A2、及びL1からL4、n、a、b及びcは前記で定義したとおりである。
【0098】
前記炭化水素溶媒は、特に制限されるものではないが、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン及びキシレンよりなる群から選択された1種以上のものであってよい。
【0099】
また、前記共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル単量体は、前記で定義したとおりである。
【0100】
本発明の一実施形態によれば、前記変性開始剤は単量体の総100gを基準に0.01mmolから10mmol、0.05mmolから5mmol、0.1mmolから2mmol、0.1mmolから1mmol、または0.15から0.8mmolで用いることができる。
【0101】
前記(S1)ステップの重合は、一例としてアニオン重合であってよく、具体的な例として、アニオンによる成長重合反応によって重合末端にアニオン活性部位を有するリビングアニオン重合であってよい。また、前記(S1)ステップの重合は、昇温重合、等温重合または定温重合(断熱重合)であってよく、前記定温重合は変性開始剤を投入した以後、任意に熱を加えずにそれ自体の反応熱で重合させるステップを含む重合方法を意味してよく、前記昇温重合は前記変性開始剤を投入した以後、任意に熱を加えて温度を増加させる重合方法を意味してよく、前記等温重合は前記変性開始剤を投入した以後、熱を加えて熱を増加させるか、熱を奪って重合物の温度を一定に維持する重合方法を意味してよい。
【0102】
また、本発明の一実施形態によれば、前記(S1)ステップの重合は、前記共役ジエン系単量体以外に炭素数1から10のジエン系化合物をさらに含んで実施されてよく、この場合、長時間の運転時、反応器の壁面にゲルが形成されることを防止するという効果がある。前記ジエン系化合物は、一例として1,2-ブタジエンであってよい。
【0103】
前記(S1)ステップの重合は、一例として80℃以下、-20℃から80℃、0℃から80℃、0℃から70℃、または10℃から70℃の温度範囲で実施されてよく、この範囲内で重合体の分子量分布を狭く調節するので、物性の改善に優れるという効果がある。
【0104】
前記(S1)ステップによって製造された活性重合体は、重合体アニオンと有機金属カチオンが結合された重合体を意味してよい。
【0105】
本発明の一実施形態によれば、前記変性共役ジエン系重合体の製造方法は、2器以上の重合反応器及び変性反応器を含む複数の反応器で、連続式重合方法によって実施されてよい。具体的な例として、前記(S1)ステップは、第1反応器を含めて2器以上の重合反応器で連続的に実施されてよく、前記重合反応器の数は、反応条件及び環境に従って弾力的に決定されてよい。前記連続式重合方法は、反応器に反応物を連続的に供給し、生成された反応生成物を連続的に排出する反応工程を意味してよい。前記連続式重合方法による場合、生産性及び加工性に優れ、製造される重合体の均一性に優れるという効果がある。
【0106】
また、本発明の一実施形態によれば、前記重合反応器で連続的に活性重合体を製造するとき、第1反応器での重合転換率は50%以下、10%から50%、または20%から50%であってよく、この範囲内で重合反応が開始された後、重合体が形成されながら発生される副反応を抑制し、重合時に線形(linear)構造の重合体を誘導することができ、これによって重合体の分子量分布を狭く調節することが可能なので、物性改善に優れるという効果がある。
【0107】
このとき、前記重合転換率は、反応温度、反応器の滞留時間などによって調節され得る。
【0108】
前記重合転換率は、一例として重合体の重合時、重合体を含む重合体溶液相の固体濃度を測定して決定されてよく、具体的な例として、前記重合体溶液を確保するために各重合反応器の出口にシリンダー型容器を取り付け、一定量の重合体溶液をシリンダー型容器に満たし、前記シリンダー型容器を反応器から分離して重合体溶液が充填されているシリンダーの重量(A)を測定した後、シリンダー型容器に充填されている重合体溶液をアルミニウム容器、一例としてアルミニウムディッシュに移して重合体溶液が除去されたシリンダー型容器の重量(B)を測定し、重合体溶液入りのアルミニウム容器を140℃のオーブンで30分間乾燥させ、乾燥した重合体の重量(C)を測定した後、下記数式1によって計算したものであってよい。
【0109】
【0110】
一方、前記第1反応器で重合された重合物は、変性反応器の前の重合反応器まで順次移送され、最終的に重合転換率が95%以上となるまで重合が進められてよく、第1反応器で重合された後、第2反応器、または第2反応器から変性反応器の前の重合反応器までの各反応器別の重合転換率は、分子量分布の調節のために各反応器別に適切に調節して実施されてよい。
【0111】
一方、前記(S1)ステップで、活性重合体の製造時、第1反応器での重合物滞留時間は1分から40分、1分から30分、または5分から30であってよく、この範囲内で、重合転換率の調節が容易であり、これによって重合体の分子量分布を狭く調節するのが可能で、これによって、物性の改善に優れるという効果がある。
【0112】
本発明における用語「重合物」は、(S1)ステップまたは(S2)ステップが完了し、活性重合体、または変性共役ジエン系重合体を収得するのに先立ち、(S1)ステップの実施中、各反応器内で重合が実施されている重合体形態の中間体を意味してよく、反応器内で重合が実施されている重合転換率95%未満の重合体を意味してよい。
【0113】
本発明の一実施形態によれば、前記(S1)ステップで製造された活性重合体の分子量分布(PDI、polydispersed index;MWD、molecular weight distribution;Mw/Mn)は、1.5未満、1.0以上から1.5未満、または1.1以上から1.5未満であってよく、この範囲内で変性剤との変性反応またはカップリングを介して製造される変性共役ジエン系重合体の分子量分布が狭く、物性の改善に優れるという効果がある。
【0114】
一方、前記(S1)ステップの重合は極性添加剤を含んで実施されてよく、前記極性添加剤は、単量体総100gを基準に0.001gから50g、0.001gから10g、または0.005gから0.1gの割合で添加することができる。また他の例として、前記極性添加剤は、変性開始剤総1mmolを基準に0.001gから10g、0.005gから5g、0.005gから4gの割合で添加することができる。
【0115】
前記極性添加剤は、一例として、テトラヒドロフラン、2,2-ジ-(2-テトラヒドロフリル)プロパン、ジエチルエーテル、シクロアマルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレンメチルエーテル、エチレンジメチルエーテル、ジエチルグリコール、ジメチルエーテル、ターシャリーブトキシエトキシエタン、ビス(3-ジメチルアミノエチル)エーテル、(ジメチルアミノエチル)エチルエーテル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、 ソジウムメントレート(sodium mentholate)及び2-エチルテトラヒドロフルフリルエーテル(2-ethyl tetrahydrofurfuryl ether)よりなる群から選択された1種以上であってよく、好ましくは、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ソジウムメントレート(sodium mentholate)または2-エチルテトラヒドロフルフリルエーテル(2-ethyl tetrahydrofurfuryl ether)であってよく、前記極性添加剤を含む場合、共役ジエン系単量体、または共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル系単量体を共重合させる場合、これらの反応速度の差を補うことにより、ランダム共重合体を容易に形成するように誘導するという効果がある。
【0116】
本発明の一実施形態によれば、前記(S2)ステップの反応またはカップリングは変性反応器で実施されてよく、このとき、前記変性剤は、単量体総100gを基準に0.01mmolから10mmolの量で用いることができる。また他の例として、前記変性剤は、前記(S1)ステップの変性開始剤1モルを基準に、1:0.1から10、1:0.1から5、または1:0.1から1:3のモル比で用いてよい。
【0117】
また、本発明の一実施形態によれば、前記変性剤は、変性反応器に投入されてよく、前記(S2)ステップは変性反応器で実施されてよい。また他の例として、前記変性剤は、前記(S1)ステップで製造された活性重合体を(S2)ステップを実施するための変性反応器に移送するための移送部に投入されてよく、前記移送部内で活性重合体と変性剤の混合によって反応またはカップリングが進められてよい。
【0118】
さらに、本発明は、前記変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物を提供する。
【0119】
前記ゴム組成物は、前記変性共役ジエン系重合体を10重量%以上、10重量%から100重量%、または20重量%から90重量%の量で含むものであってよく、この範囲内で引張強度、耐磨耗性などの機械的物性に優れ、各物性間のバランスに優れるという効果がある。
【0120】
また、前記ゴム組成物は、一例として、前記変性共役ジエン系重合体100重量部に対して0.1重量部から200重量部、または10重量部から120重量部の充填剤を含むものであってよい。
【0121】
また、前記ゴム組成物は、一例として、プロセス油を含むものであってよく、この場合、前記プロセス油は変性共役ジエン系重合体100重量部に対して20から60重量部で含まれるものであってよい。
【0122】
また、本発明は、他の一例として、変性共役ジエン系重合体100重量部及び伸展油20から60重量部を含み、このときの前記変性共役ジエン系重合体がゲル透過クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による標準ポリスチレン換算分子量において分子量100,000g/mol以上の重合体成分がユニモーダル形態を有し、数平均分子量が100,000から700,000g/molであり、分子量分布が2.5以下であり、官能基を有する重合体成分の含有量が50重量%以上であり、ブタジエン単位のビニル含有量が20モル%から80モル%以下であり、Si含量及びN含量がそれぞれ重量を基準に100ppm以上であり、100℃で測定されたムーニー緩和率が0.7以上であり、粘度検出器を備えたゲル透過クロマトグラフィー光散乱法測定によって求められる収縮因子が1.0以上であるゴム組成物を提供する。
【0123】
一方、本発明の他の一例において、前記官能基を有する重合体成分の含有量は、変性共役ジエン系重合体の変性率を示すものであって、例示的に、前記変性率は、ポリスチレン系ゲル(Shodex)カラム3本を連結したGPCとシリカ系ゲルカラム(Zorbax)を連結したGPCとを用いてそれぞれクロマトグラムを測定し、これらの差からシリカカラムに吸着量を測定して求めたものであってよい。
【0124】
また、前記ゴム組成物は、前記変性共役ジエン系重合体以外に必要に応じて他のゴム成分をさらに含んでよく、このとき、前記ゴム成分はゴム組成物の総重量に対して90重量%以下の含量で含まれてよい。具体的な例として、前記他のゴム成分は、前記変性共役ジエン系重合体100重量部に対して1重量部から900重量部で含まれてよい。
【0125】
前記ゴム成分は、一例として、天然ゴムまたは合成ゴムであってよく、具体的な例として、シス-1,4-ポリイソプレンを含む天然ゴム(NR);前記一般的な天然ゴムを変性又は精製した、エポキシ化天然ゴム(ENR)、脱タンパク天然ゴム(DPNR)、水素化天然ゴムなどの変性天然ゴム;スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体、ポリイソブチレン-コ-イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン-コ-プロピレン)、ポリ(スチレン-コ-ブタジエン)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン-コ-ブタジエン)、ポリ(イソプレン-コ-ブタジエン)、ポリ(エチレン-コ-プロピレン-コ-ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどのような合成ゴムであってよく、これらのうちいずれか1つ又は2つ以上の混合物が用いられてよい。
【0126】
前記充填剤は、一例として、シリカ系充填剤であってよく、具体的な例として、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムまたはコロイダルシリカなどであってよく、好ましくは、破壊特性の改良効果及びウェットグリップ性(wet grip)の両立効果が最も優れる湿式シリカであってよい。また、前記ゴム組成物は、必要に応じてカーボン系充填剤をさらに含むことができる。
【0127】
また他の例として、前記充填剤でシリカが用いられる場合、補強性及び低発熱性改善のためのシランカップリング剤が共に用いられてよく、具体的な例として、前記シランカップリング剤は、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド又はジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどであってよく、これらのうちいずれか1つ又は2つ以上の混合物が用いられてよい。好ましくは、補強性改善の効果を考慮するとき、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド又は3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドであってよい。
【0128】
また、本発明の一実施形態による前記ゴム組成物は、ゴム成分として活性部位にシリカとの親和性が高い官能基が導入された変性共役ジエン系重合体が用いられているため、シランカップリング剤の配合量は通常の場合より低減されてよく、これによって、前記シランカップリング剤は、シリカ100重量部に対し、1重量部から20重量部、または5重量部から15重量部で用いられてよく、この範囲内でカップリング剤としての効果が十分に発揮されながらも、ゴム成分のゲル化を防止するという効果がある。
【0129】
前記プロセス油は、ゴム組成物内で軟化剤として作用するものであって、一例として、パラフィン系、ナフテン系、または芳香族系化合物であってよく、引張強度及び耐磨耗性を考慮する際に芳香族系プロセス油が、ヒステリシス損失及び低温特性を考慮する際にナフテン系またはパラフィン系プロセス油が用いられてよい。前記プロセス油は、一例として、ゴム成分100重量部に対して100重量部以下の含量で含まれてよく、この範囲内で加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)の低下を防止するという効果がある。
【0130】
本発明の一実施形態による前記ゴム組成物は、硫黄架橋性であってよく、加硫剤をさらに含んでよい。前記加硫剤は、具体的に硫黄粉末であってよく、ゴム成分100重量部に対し、0.1重量部から10重量部で含まれてよく、この範囲内で加硫ゴム組成物の必要な弾性率及び強度を確保すると同時に、低燃費性に優れるという効果がある。
【0131】
本発明の一実施形態による前記ゴム組成物は、前記成分等の他、通常、ゴム工業界において用いられる各種添加剤、具体的には加硫促進剤、酸化防止剤、可塑剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華(zinc white)、ステアリン酸、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂などをさらに含んでよい。
【0132】
前記加硫促進剤は、一例として、M(2-メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)などのチアゾール系化合物、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)などのグアニジン系化合物が用いられてよく、ゴム成分100重量部に対し、0.1重量部から5重量部で含まれてよい。
【0133】
前記酸化防止剤は、一例として、2,6-ジ-t-ブチルパラクレゾール、ジ-ブチルヒドロキシトルエン、2,6-ビス((ドデシルチオ)メチル)-4-ノニルフェノール(2,6-bis((dodecylthio)methyl)-4-nonylphenol)または2-メチル-4,6-ビス((オクチルチオ)メチル)フェノール(2-methyl-4,6-bis((octylthio)methyl)phenol)であってよく、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部から6重量部で用いられてよい。
【0134】
前記老化防止剤は、一例として、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジ-メチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジ-ヒドロキノリン、またはジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物などであってよく、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部から6重量部で用いられてよい。
【0135】
本発明の一実施形態による前記ゴム組成物は、前記配合処方によってバンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練機を用いて混練することで収得されてよく、成形加工後の加硫工程によって低発熱性であり、かつ、耐磨耗性に優れたゴム組成物が収得され得る。
【0136】
これによって、前記ゴム組成物は、タイヤトレッド、アンダートレッド、サイドウォール、カーカスコーティングゴム、ベルトコーティングゴム、ビッドフィラー、チェーファー、またはビードコーティングゴムなどのタイヤの各部材や、防振ゴム、ベルトコンベヤー、ホースなどの各種工業用ゴム製品の製造に有用である。
【0137】
さらに、本発明は、前記ゴム組成物を用いて製造されたタイヤを提供する。
【0138】
前記タイヤは、タイヤまたはタイヤトレッドを含むものであってよい。
【0139】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は、幾つかの種類の異なる形態に変形されてもよく、本発明の範囲が下記で詳述する実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供される。
【0140】
[製造例1]
真空乾燥させた4Lステンレススチール圧力容器2個を準備した。一番目の圧力容器にシクロヘキサン985g、下記化学式1-3で表される化合物120g及びテトラメチルエチレンジアミン86gを投入し、第1反応溶液を製造した。これと同時に、二番目の圧力容器に液状の20重量%のn-ブチルリチウム318g及びシクロヘキサン874gを投入し、第2反応溶液を製造した。このとき、化学式1-3で表される化合物、n-ブチルリチウム及びテトラメチルエチレンジアミンのモル比は1:1:1であった。各圧力容器の圧力は、7barに維持させた状態で、質量流量計を用いて連続式反応器内に、第1連続式チャンネルに第1反応溶液を1.0g/minの注入速度で、第2連続式チャンネルに第2反応溶液を1.0g/minの注入速度でそれぞれ注入した。このとき、連続式反応器の温度は-10℃を維持し、内部圧力は、バックプレッシャーレギュレーター(backpressure regulator)を用いて3barを維持し、反応器内の滞留時間は10分以内になるように調節した。反応を終了して変性開始剤を収得した。
【0141】
【0142】
[製造例2]
真空乾燥させた4Lステンレススチール圧力容器2個を準備した。一番目の圧力容器にシクロヘキサン944g、下記化学式1-1で表される化合物161g及びテトラメチルエチレンジアミン86gを投入し、第1反応溶液を製造した。これと同時に、二番目の圧力容器に液状の20重量%のn-ブチルリチウム318g及びシクロヘキサン874gを投入し、第2反応溶液を製造した。このとき、化学式1-1で表される化合物、n-ブチルリチウム及びテトラメチルエチレンジアミンのモル比は1:1:1であった。各圧力容器の圧力は7barに維持させた状態で、質量流量計を用いて連続式反応器内に、第1連続式チャンネルに第1反応溶液を1.0g/minの注入速度で、第2連続式チャンネルに第2反応溶液を1.0g/minの注入速度でそれぞれ注入した。このとき、連続式反応器の温度は-10℃を維持し、内部圧力は、バックプレッシャーレギュレーター(backpressure regulator)を用いて3barを維持し、反応器内の滞留時間は10分以内になるように調節した。反応を終了して変性開始剤を収得した。
【0143】
【0144】
[製造例3]
真空乾燥させた4Lステンレススチール圧力容器2個を準備した。一番目の圧力容器にシクロヘキサン898g、下記化学式1-2で表される化合物207g及びテトラメチルエチレンジアミン86gを投入し、第1反応溶液を製造した。これと同時に、二番目の圧力容器に液状の20重量%のn-ブチルリチウム318g及びシクロヘキサン874gを投入し、第2反応溶液を製造した。このとき、化学式1-2で表される化合物、n-ブチルリチウム及びテトラメチルエチレンジアミンのモル比は1:1:1であった。各圧力容器の圧力は7barに維持させた状態で、質量流量計を用いて連続式反応器内に、第1連続式チャンネルに第1反応溶液を1.0g/minの注入速度で、第2連続式チャンネルに第2反応溶液を1.0g/minの注入速度でそれぞれ注入した。このとき、連続式反応器の温度は-10℃を維持し、内部圧力は、バックプレッシャーレギュレーター(backpressure regulator)を用いて3barを維持し、反応器内の滞留時間は10分以内になるように調節した。反応を終了して変性開始剤を収得した。
【0145】
【0146】
<実施例1>
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を3.08kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を12.90kg/h、n-ヘキサン47.66kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を10g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-(ジ-2(テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている溶液を10.0g/h、製造例1で製造された変性開始剤を292.50g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は50℃となるように維持し、重合転換率が43%となったとき、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
【0147】
次いで、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を0.68kg/hの速度で注入した。このとき、第2反応器の温度は65℃となるように維持し、重合転換率が95%以上となったとき、移送配管を介して、第2反応器から第3反応器へ重合物を移送した。
【0148】
前記第2反応器から第3反応器へ重合物を移送し、変性剤として、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(diethoxy(methyl)silyl)propyl)-methyl-1-amine)が溶解されている溶液を第3反応器に投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。第3反応器の温度は、65℃となるように維持した。
【0149】
以後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として30重量%で溶解されているIR1520(BASF社製)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果、得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0150】
<実施例2>
変性剤として、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミンの代りに3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylpropan-1-amine)が溶解されている溶液を第3反応器に連続的に供給したことを除き、前記実施例1と同一に実施し、変性共役ジエン系重合体を製造した[変性剤:aca.Li=1:1mol]。
【0151】
<実施例3>
実施例1において、変性開始剤として、製造例1で製造された変性開始剤の代わりに、製造例2で製造された変性開始剤を292.5g/hの速度で第1反応器に連続的に供給したことを除き、前記実施例1と同一に実施し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0152】
<実施例4>
実施例1において、変性開始剤として、製造例1で製造された変性開始剤の代わりに、製造例3で製造された変性開始剤を292.5g/hの速度で第1反応器に連続的に供給したことを除き、前記実施例1と同一に実施し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0153】
<実施例5>
実施例1において、変性剤として、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミンの代わりに、3-(ジメトキシ(メチル)シリル)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミン(3-(dimethoxy(methyl)silyl)-N,N-diethylpropane-1-amine)が溶解されている溶液を第3反応器に連続的に供給したことを除き、前記実施例1と同一に実施し、変性共役ジエン系重合体を製造した[変性剤:aca.Li=1:1mol]。
【0154】
<実施例6>
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を6.58kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を9.58kg/h、n-ヘキサン47.66kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を10g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-(ジ-2(テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている溶液を10.0g/h、製造例1で製造された変性開始剤を292.5g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は50℃となるように維持し、重合転換率が43%となったとき、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
【0155】
次いで、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を0.50kg/hの速度で注入した。このとき、第2反応器の温度は65℃となるように維持し、重合転換率が95%以上となったとき、移送配管を介して、第2反応器から第3反応器へ重合物を移送した。
【0156】
前記第2反応器から第3反応器へ重合物を移送し、変性剤として、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(diethoxy(methyl)silyl)propyl)-methyl-1-amine)が溶解されている溶液を第3反応器に投入した[変性剤:act.Li=1:1mol]。第3反応器の温度は、65℃となるように維持した。
【0157】
以後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として30重量%で溶解されているIR1520(BASF社製)溶液を167g/hの速度で注入して撹拌した。その結果、得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0158】
<実施例7>
実施例6において、重合転換率が41%となったとき、移送配管を介して第1反応器から第2反応器へ重合物を移送し、変性剤として3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)が溶解されている溶液を第3反応器に投入[変性剤:act.Li=1:1mol]したことを除き、実施例5と同一に実施して変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0159】
<比較例1>
20Lオートクレーブ反応器に、スチレン100g、1,3-ブタジエン346g、n-ヘキサン2500g、及び極性添加剤として2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン0.78gを入れた後、反応器の内部温度を50℃に昇温した。反応器の内部温度が50℃に到達したとき、製造例1で製造された変性開始剤を226.7g投入して断熱昇温反応を進めた。20分ほど経過後、1,3-ブタジエン18.2gを投入して重合体鎖末端をブタジエンでキャッピング(capping)した。5分後、変性剤として3-(ジメトキシ(メチル)シリル)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミンが溶解されている溶液を反応器に投入し、15分間反応させた[変性剤:act.Li=1:1mol]。以後、エタノールを用いて重合反応を停止させ、酸化防止剤であるIR1520(BASF社製)2.35gを添加した。その結果、得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0160】
<比較例2>
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を3.08kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を12.90kg/h、n-ヘキサン47.66kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を10g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-(ジ-2(テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている溶液を10.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが15重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を39.0g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は55℃となるように維持し、重合転換率が48%となったとき、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
【0161】
次いで、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を0.68kg/hの速度で注入した。このとき、第2反応器の温度は65℃となるように維持し、重合転換率が95%以上となったとき、移送配管を介して、第2反応器から第3反応器へ重合物を移送した。
【0162】
前記第2反応器から第3反応器へ重合物を移送し、カップリング剤として、ジクロロジメチルシランが溶解されている溶液を第3反応器に投入した[カップリング剤:act.Li=1:1mol]。第3反応器の温度は、65℃となるように維持した。
【0163】
以後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されているIR1520(BASF社製)溶液を170g/hの速度で注入して撹拌した。その結果、得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0164】
<比較例3>
3器の反応器が直列で連結された連続反応器のうち第1反応器に、n-ヘキサンにスチレンが60重量%で溶解されているスチレン溶液を6.58kg/h、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を9.58kg/h、n-ヘキサン47.66kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解されている1,2-ブタジエン溶液を10g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンに2,2-(ジ-2(テトラヒドロフリル)プロパンが10重量%で溶解されている溶液を10.0g/h、重合開始剤として、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが15重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を39.0g/hの速度で注入した。このとき、第1反応器の温度は55℃となるように維持し、重合転換率が48%となったとき、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
【0165】
次いで、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解されている1,3-ブタジエン溶液を0.50kg/hの速度で注入した。このとき、第2反応器の温度は65℃となるように維持し、重合転換率が95%以上となったとき、移送配管を介して、第2反応器から第3反応器へ重合物を移送した。
【0166】
前記第2反応器から第3反応器へ重合物を移送し、カップリング剤として、ジクロロジメチルシランが溶解されている溶液を第3反応器に投入した[カップリング剤:act.Li=1:1mol]。第3反応器の温度は、65℃となるように維持した。
【0167】
以後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、30重量%で溶解されているIR1520(BASF社製)溶液を167g/hの速度で注入して撹拌した。その結果、得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れ、撹拌して溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0168】
<比較例4>
実施例1において、第1反応器の温度を75℃に維持し、重合転換率が70%となったとき、移送配管を介して第1反応器から第2反応器へ重合物を移送したことを除き、前記実施例1と同一に実施し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0169】
<比較例5>
実施例1において、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミンが溶解されている溶液を第3反応器に投入しないことを除き、前記実施例1と同一に実施し、共役ジエン系重合体を製造した。
【0170】
<比較例6>
実施例1において、製造例1で製造された変性開始剤の代わりに、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが15重量%で溶解されているn-ブチルリチウム溶液を39.0g/hの速度で第1反応器に連続的に投入したことを除き、前記実施例1と同一に実施し、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0171】
<参照例1>
比較例1において、3-(ジメトキシ(メチル)シリル)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミンを変性開始剤の活性リチウム1mol対比8molで投入したことを除き、前記比較例1と同一に実施し、変性共役ジエン系重合体を製造した(変性剤:act.Li=8:1mol)。
【0172】
<参照例2>
比較例1において、3-(ジメトキシ(メチル)シリル)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミンを変性開始剤の活性リチウム1mol対比0.2molで投入したことを除き、前記比較例1と同一に実施し、変性共役ジエン系重合体を製造した(変性剤:act.Li=0.2:1mol)。
【0173】
[実験例1]
前記実施例、比較例及び参照例で製造された各変性または未変性の共役ジエン系重合体に対し、それぞれ重合体内のスチレン単位及びビニル含量と重量平均分子量(Mw、X103g/mol)、数平均分子量(Mn、X103g/mol)、分子量分布(PDI、MWD)、カップリング数(C.N.)、ムーニー粘度(MV)、ムーニー緩和率、収縮因子、Siの含量及びNの含量をそれぞれ測定した。結果を下記表1及び表2に示した。
【0174】
1)スチレン単位及びビニル含量(重量%)
前記各重合体内のスチレン単位(SM)及びビニル(Vinyl)の含量は、Varian VNMRS 500MHz NMRを用いて測定及び分析した。
【0175】
NMR測定の際、溶媒は1,1,2,2-テトラクロロエタンを用い、solvent peakは5.97ppmで計算し、7.2~6.9ppmはランダムスチレン、6.9~6.2ppmはブロックスチレン、5.8~5.1ppmは1,4-ビニル、5.1~4.5ppmは1,2-ビニルのピークとしてスチレン単位及びビニルの含量を計算した。
【0176】
2)重量平均分子量(Mw、X10
3g/mol)、数平均分子量(Mn、X10
3g/mol)、分子量分布(PDI、MWD)及びカップリング数(coupling number、C.N.)
GPC(Gel permeation chromatography)分析を介して重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布曲線を得た。また、分子量分布(PDI、MWD、Mw/Mn)は測定された各重量平均分子量と数平均分子量から計算して得た。具体的に、前記GPCは、PLgel Olexis(Polymer Laboratories社製)カラム2本とPLgel mixed-C(Polymer Laboratories社製)カラム1本とを組み合せて用い、分子量の計算時、GPC基準物質(Standard material)はPS(polystyrene)を用いて実施した。GPC測定溶媒は、テトラヒドロフランに2重量%のアミン化合物を交ぜて製造した。このとき、得られた分子量分布曲線は、
図1から
図5に示した。
【0177】
また、カップリング数は、各実施例及び比較例で変性剤またはカップリング剤を投入する前に一部の重合物を採取して重合体のピーク分子量(Mp1)を得て、以後、各変性共役ジエン系重合体のピーク分子量(Mp2)を得て、下記のとおりの数式3で計算した。
【0178】
[数式3]
カップリング数(C.N.)=Mp2/Mp1
3)ムーニー粘度及びムーニー緩和率
前記ムーニー粘度(MV、(ML1+4、@100℃)MU)は、MV-2000(ALPHA Technologies社製)を用いて100℃でRotor Speed 2±0.02rpm、Large Rotorを用いて測定し、このとき用いられた試料は、室温(23±3℃)で30分以上放置した後、27±3gを採取してダイキャビティの内部に満たしておき、Platenを作動させて4分間測定した。
【0179】
ムーニー粘度の測定後、トルクが緩みながら表れるムーニー粘度の変化の傾き値(絶対値)を測定し、その絶対値でムーニー緩和率を得た。
【0180】
4)Si含量
前記Si含量は、ICP分析方法で誘導結合プラズマ発光分析器(ICP-OES;Optima 7300DV)を用いて測定した。具体的に、試料約0.7gを白金るつぼ(Pt crucible)に入れ、濃い硫酸(98重量%、Electronic grade)の約1mLを入れ、300℃で3時間加熱し、試料を電気炉(Thermo Scientific、Lindberg Blue M)で、下記ステップ(step)1から3のプログラムによって灰化を進めた後、
1)step 1:initial temp 0℃、rate(temp/hr)180℃/hr、temp(holdtime)180℃(1hr)
2)step 2:initial temp 180℃、rate(temp/hr)85℃/hr、temp(holdtime)370℃(2hr)
3)step 3:initial temp370℃、rate(temp/hr)47℃/hr、temp(holdtime)510℃(3hr)
残留物に濃い硝酸(48重量%)1mL、濃いフッ酸(50重量%)20μlを加え、白金るつぼを密封して30分以上振って(shaking)から、試料にホウ酸(boric acid)1mLを入れて0℃で2時間以上保管した後、超純水(ultrapure water)30mLに希釈し、灰化を進めて測定した。
【0181】
5)N含量
N含量は、NSX分析方法で、極微量窒素定量分析器(NSX-2100H)を用いて測定した。具体的に、極微量窒素定量分析器(Auto sampler、Horizontal furnace、PMT & Nitrogen detector)をつけ、Arを250ml/min、O2を350ml/min、ozonizer 300ml/minでキャリアガス流量を設定し、ヒーターを800℃に設定した後、約3時間待機して分析器を安定化させた。分析器が安定化された後、Nitrogen standard(AccuStandard S-22750-01-5ml)を用いて検量線の範囲5ppm、10ppm、50ppm、100ppm及び500ppmの検量線を作成して各濃度に該当するAreaを得た後、濃度対Areaの割合を用いて直線を作成した。以後、試料20mg入りのセラミックボートを前記分析器のAuto samplerに置いて測定してareaを得た。得られた試料のareaと前記検量線を用いてN含量を計算した。
【0182】
6)収縮因子(g’)
収縮因子は、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラム2本が連結された光散乱検出器及び粘度検出器が備えられたGPC-光散乱測定装置(Viscotek TDAmax、Malvern社製)に試料を注入し、光散乱検出器から絶対分子量を得て、光散乱検出器と粘度検出器から絶対分子量に対する固有粘度[η]を得た後、下記数式2を介して前記絶対分子量に対する線形重合体の固有粘度[η]0を算出し、各絶対分子量に対応する固有粘度の比([η]/[η]0)の平均値を収縮因子として示した。このとき、溶離液は、テトラヒドロフランとN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンの混合溶液(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン20mLをテトラヒドロフラン1Lに混合させて調整する)を用いて、カラムはPL Olexix(Agilent社製)を用い、オーブンの温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で測定し、試料は10mLのTHFに重合体15mgを溶解させて準備した。
【0183】
[数式2]
[η]0=10-3.883M0.771
前記数式2で、Mは絶対分子量である。
【0184】
【0185】
【0186】
前記表1及び表2で、開始剤、変性剤及びカップリング剤の具体的な物質は下記のとおりである。
【0187】
*開始剤a:製造例1で製造された変性開始剤
*開始剤b:製造例2で製造された変性開始剤
*開始剤c:製造例3で製造された変性開始剤
*開始剤d:n-ブチルリチウム
*変性剤A:N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン
*変性剤B:3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)
*変性剤C:3-(ジメトキシ(メチル)シリル)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミン
*カップリング剤D:ジクロロジメチルシラン
前記表1及び表2に示されているとおり、本発明の一実施形態による実施例1から7の変性共役ジエン系重合体は、ゲル透過クロマトグラフィーによる分子量分布曲線がユニモーダル(unimodal)形態を有しつつ(
図1及び
図2参照)、PDI(分子量分布)が1.0以上1.7未満であり、Si含量及びN含量が50ppm以上であり、ムーニー緩和率が0.7以上であり、収縮因子が1.0以上であることを確認することができる。一方、比較例1から比較例5の未変性または変性の共役ジエン系重合体は、ゲル透過クロマトグラフィーによる分子量分布曲線がバイモーダルの形態を有するか(
図3参照)、ムーニー緩和率が0.7未満、収縮因子が1.0未満である値、Si含量が50ppm未満またはN含量が50ppm未満を示すことが確認でき、特に連続式重合であるが、第1反応器での重合転換率が本発明の範囲を脱する比較例4は、PDI値が1.7を超過し、ムーニー緩和率及び収縮因子がそれぞれ0.7未満で実施例に比べ顕著に低下した値を有することを確認することができる。
【0188】
また、本発明の実施例5と同一の変性開始剤及び変性剤を適用したにもかかわらず、回分式重合方法で重合体を製造した比較例1の場合、ゲル透過クロマトグラフィーによる分子量分布曲線がバイモーダル(bimodal)の形態を示した(
図3参照)。一方、参照例1及び2でのように回分式重合方法を適用したにもかかわらず、分子量分布曲線がユニモーダル(unimodal)の形態を有するように調節することはできるが(
図4及び
図5参照)、この場合には、重合体のカップリング数がそれぞれ1.0または2.0で、重合体の全てが変性剤によってカップリングされていないもの(参照例1)と、重合体の全てが変性剤によってカップリングされているもの(参照例2)のみが存在し得るので、本発明の連続式重合方法によるユニモーダルの重合体とは構造及び性質に差があり、よって、後述の表4で確認されるとおり、加工性、引張特性及び粘弾性特性が実施例5に比べて落ちることを確認することができる。
【0189】
一方、比較例5は、本発明の一実施形態で提示する変性剤を用いていないことを除き、実施例1と同一の条件で製造されたものであり、比較例6の変性共役ジエン系重合体は、重合時に用いられた開始剤を除き、実施例1と同一の条件で製造されたものであって、本発明で提示する変性剤及び変性開始剤を適用して製造されていないため、製造された重合体内の変性剤及び変性開始剤由来官能基を同時に含まず、よって、後述の表4を介して確認されるとおり、充填剤との配合物性が劣るので、引張特性及び粘弾性特性が実施例に比べて大きく低下することが確認できる。
【0190】
[実験例2]
前記実施例、比較例及び参照例で製造された各変性または未変性の共役ジエン系共重合体を含むゴム組成物、及びこれから製造された成型品の物性を比較分析するため、引張特性、粘弾性特性をそれぞれ測定し、その結果を下記表4及び表5に示した。
【0191】
1)ゴム試片の製造
実施例、比較例及び参照例の各変性または未変性の共役ジエン系重合体を原料ゴムとし、下記表3に示した配合条件で配合した。表3内の原料は、原料ゴム100重量部基準に対する各重量部である。
【0192】
【0193】
具体的に、前記ゴム試片は第1段混練及び第2段混練を介して混練される。第1段混練では、温度制御装置を付属したバンバリーミキサーを用いて原料ゴム、シリカ(充填剤)、有機シランカップリング剤、プロセス油、亜鉛華剤、ステアリン酸、酸化防止剤、老化防止剤及びワックスを混練した。このとき、混練機の初期温度を70℃に制御し、配合完了後145℃から155℃の排出温度で1次配合物を得た。第2段混練では、前記1次配合物を室温まで冷却した後、混練機に1次配合物、硫黄、ゴム促進剤及び加硫促進剤を加え、100℃以下の温度でミキシングして2次配合物を得た。以後、160℃で20分間キュアリング工程を経てゴム試片を製造した。
【0194】
2)引張特性
引張特性は、ASTM 412の引張試験法に準じて各試験片を製造し、前記試験片の切断時の引張強度及び300%伸張時の引張応力(300%モジュラス)を測定した。具体的に、引張特性は、Universal Test Machin 4204(Instron社製)引張試験機器を用いて、室温で50cm/minの速度で測定した。
【0195】
3)粘弾性特性
粘弾性特性は、動的機械分析機(GABO社製)を用いて、Film Tensionモードで周波数10Hz、各測定温度(-60℃~60℃)で動的変形に対する粘弾性挙動を測定してtanδ値を確認した。実施例1から4の結果値は、比較例2の結果値を100として指数化して示し、実施例5及び6の結果値は、比較例3の結果値を100として指数化して示した。このとき、低温0℃ tan値が高いものであるほど、濡れた路面への抵抗性に優れ、高温60℃ tan δ値が高いものであるほど、ヒステリシス損失が少なく、低走行抵抗性(燃費性)に優れることを示す。
【0196】
4)加工性特性
前記1)ゴム試片の製造時に得られた2次配合物のムーニー粘度(MV、(ML1+4、@100℃)MU)を測定して各重合体の加工性特性を比較分析し、このとき、ムーニー粘度測定値が低いものであるほど、加工性特性に優れることを示す。
【0197】
具体的に、MV-2000(ALPHA Technologies社製)を用いて、100℃でRotor Speed 2 ± 0.02rpm、Large Rotorを用いて、各2次配合物は室温(23±3℃)で30分以上放置した後、27±3gを採取してダイキャビティの内部に満たしておき、Platenを作動させて4分間測定した。
【0198】
【0199】
前記表4で、実施例1から実施例5、比較例1及び比較例4から6、参照例1及び2の粘弾性特性の結果値は、比較例2の粘弾性特性の測定値を基準に指数化(%)して示した。
【0200】
【0201】
前記表5で、実施例6及び7の結果値は、比較例3の測定値を基準に指数化(%)して示した。
【0202】
前記表4及び表5に示されているとおり、本発明の一実施形態による実施例1から実施例7が、比較例1から比較例6に比べて引張特性、粘弾性特性及び加工性特性のいずれもバランスよく優れることを確認した。
【0203】
一方、粘弾性特性において、通常、0℃でのtanδ値が向上されつつ、同時に60℃でのtanδ値が改善する特性を有することは非常に難しいものとして知られている。よって、比較例1から比較例6に比べ、0℃でのtanδ値は同等以上の優れた水準を示すとともに、60℃でのtanδ値で顕著な改善効果を示す実施例1から実施例7は、粘弾性特性に非常に優れていることを確認できる。
【0204】
また、前記表4に示されているとおり、参照例1及び2でのように、バッチ重合を介して製造されたが、ユニモーダル形態の分子量分布曲線を有する場合には、バッチ重合固有の劣悪な加工性が改善しないだけでなく、バッチ重合で具現され得る優れた配合物性も具現することができないことを確認した。ここで、バッチ重合固有の劣悪な加工性は、通常のバッチ重合で製造され、バイモーダル形態の分子量分布曲線を有する比較例1の結果を介して確認することができる。具体的に、参照例1の場合、実施例5に比べて配合物のムーニー粘度が18%の水準に増加して顕著に減少した加工性特性を示しながらも、300%モジュラス及び60℃でのtanδ値はそれぞれ約30%の水準に顕著に減少した特性を示した。また、参照例2の場合、実施例5に比べて配合物のムーニー粘度が14%の水準に増加して加工性特性が非常に低下するとともに、引張特性(300%モジュラス)及び粘弾性特性(60℃でのtanδ)も参照例1と同様に顕著に減少した特性を示した。