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特許7462573エッチングレジスト組成物、およびこれを用いて得られた基材加工品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】エッチングレジスト組成物、およびこれを用いて得られた基材加工品
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20240329BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/027 515
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020561556
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2019050256
(87)【国際公開番号】W WO2020130155
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2018239153
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】高橋 元範
(72)【発明者】
【氏名】西尾 一則
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-128052(JP,A)
【文献】特開2014-074924(JP,A)
【文献】特開2014-078045(JP,A)
【文献】特開2011-164304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化水素酸単独若しくはフッ化水素酸を含むエッチング液を用いたエッチング加工から基板を保護するレジスト膜の形成に用いられるエッチングレジスト組成物であって、
(A)カルボキシル基含有樹脂、
(B)多官能(メタ)アクリレートモノマー、
(C)多官能チオール化合物、
(D)光重合開始剤、および
(E)前記(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して20~100質量部のタルクを含み、
前記(C)多官能チオール化合物は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、および1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンのいずれか少なくとも一つであり、
前記(C)多官能チオール化合物を前記(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して1~10質量部含むことを特徴とする、エッチングレジスト組成物。
【請求項2】
前記(C)多官能チオール化合物が、一分子あたり2~6個のチオール基を含む化合物であることを特徴とする請求項1に記載のエッチングレジスト組成物。
【請求項3】
前記(A)カルボキシル基含有樹脂として、熱硬化性基を有する化合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のエッチングレジスト組成物。
【請求項4】
前記(A)カルボキシル基含有樹脂として、多塩基酸無水物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単量体のハーフエステルを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のエッチングレジスト組成物。
【請求項5】
シランカップリング剤を含まないことを特徴とする、請求項4に記載のエッチングレジスト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ酸耐性に優れるエッチングレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機や、携帯情報端末、カーナビゲーションシステムを始め、様々な電子機器の操作部に採用されているタッチパネル型入力装置(以下、単に「タッチパネル」ともいう)や、光学材料、計測器等には、一般に、ガラス基板が用いられている。このようなガラス基板は、従来は機械加工又はレーザーカッティングにより切り出しにより製造されていた。
【0003】
しかしながら、機械加工又はレーザーカッティング技術によると、特に強化ガラスのカッティングおよび穿孔加工の際に、ガラス端面や孔穴にバリや亀裂が生ずることがある。さらに、タッチパネル等の軽薄短小化に伴い、繊細な加工が可能なエッチング加工が求められるようになりつつある。
【0004】
ガラスエッチングが可能なレジスト組成物としては、これまでに多くの提案がなされているが、その一例として、ガラス基板との密着性向上のためにシランカップリング剤を含むレジスト組成物が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-128052号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のレジスト組成物は、レジスト組成物とガラス基板の密着性が未だ不十分であり、フッ酸耐性および剥離性においても完全に満足とは言えない。
また、近年、ガラス以外の基材として、シリコンウェハ、チタンや金属酸化物等を含む基材の加工にフッ酸が使われているが、これらの基材に対しても密着性、フッ酸耐性および剥離性に優れるレジスト組成物については未だ報告されていない。
【0007】
しかるに、本発明の目的は、レジスト組成物のガラスの他、シリコンウェハ、チタン、金属酸化物等の基材に対する密着性に優れ、フッ酸を含むエッチング液に対する耐性が十分であり、エッチング後の剥離性も向上したレジスト組成物を提供することにある。
また、本発明は上記のレジスト組成物を用いて、基材をエッチング加工することにより得られた基材加工品を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究の結果、本発明の上記目的が、
フッ化水素酸単独若しくはフッ化水素酸を含むエッチング液を用いたエッチング加工から基板を保護するレジスト膜の形成に用いられるエッチングレジスト組成物であって、
(A)カルボキシル基含有樹脂、
(B)多官能(メタ)アクリレートモノマー、
(C)多官能チオール化合物、
(D)光重合開始剤、および
(E)前記(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して20~100質量部のタルクを含み、
前記(C)多官能チオール化合物は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、および1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンのいずれか少なくとも一つであり、
前記(C)多官能チオール化合物を前記(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して1~10質量部含むことを特徴とする、エッチングレジスト組成物により達成されることを見出した。
【0009】
本発明のエッチングレジスト組成物は、(C)多官能チオール化合物が、一分子あたり2~6個のチオール基を含む化合物であることが好ましい。
また、本発明のエッチングレジスト組成物は、(A)カルボキシル基含有樹脂として、熱硬化性基を有する化合物を含むことが好ましい。
さらに、本発明のエッチングレジスト組成物は、(A)カルボキシル基含有樹脂として、多塩基酸無水物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単量体のハーフエステルを含むことが好ましい。
【0010】
また、本発明のエッチングレジスト組成物は、シランカップリング剤を含まないことが好ましい。
【0011】
さらに、上記目的は、本発明のエッチングレジスト組成物を用いてエッチング加工された基材加工品により達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエッチングレジスト組成物は、
(A)カルボキシル基含有樹脂、
(B)多官能(メタ)アクリレートモノマー、
(C)多官能チオール化合物、
(D)光重合開始剤、および
(E)前記(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して20~100質量部のタルクを含むことにより、ガラス基板や、ガラス以外の基材として、シリコンウェハ、チタンや金属酸化物等を含む基材に対する密着性に優れ、フッ酸を含むエッチング液に対する耐性が十分であり、エッチング後の剥離性も向上し、かつ優れた解像性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、詳細に説明する。
【0014】
本発明のフッ酸耐性を有するエッチングレジスト組成物(以下、レジスト組成物ともいう)は、基板をエッチング加工から保護するための組成物であり、(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)多官能(メタ)アクリレートモノマー、(C)多官能チオール化合物(D)光重合開始剤、および(E)前記(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して20~100質量部のタルクを含有する。本発明のレジスト組成物をアルカリ現像型レジスト組成物として用いる場合、この組成物をガラス基板上に塗布して塗膜を形成する塗布工程、得られた塗膜に所望のパターンを有するフォトマスクを介して選択的に活性エネルギー線により露光し塗膜を硬化する露光工程、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば0.3~3質量%炭酸ナトリウム水溶液)により現像して硬化物のパターンを形成する現像工程によりレジストを形成する。また、本発明のレジスト組成物を紫外線硬化型レジスト組成物として用いる場合、本発明のレジスト組成物をスクリーン印刷等でガラス基板上に所望のパターンに印刷して、UV光(紫外線)を照射することにより硬化してレジストを形成する。
【0015】
すなわち、本発明のエッチングレジスト組成物は、所定の基板(処理対象)、例えば、特にソーダガラス(ソーダライムガラス)、クリスタルガラス、硼珪酸ガラス等のガラスに対し、所定のパターン状に形成される。この所定のパターン状に形成されたレジストは、エッチング処理の際の基板の保護膜(レジスト)となる。
【0016】
本発明のエッチングレジスト組成物は、基材に対する密着性が高く、優れた耐薬品性を有するため、フッ酸や硝酸、硫酸、塩酸等の強酸を含むエッチング液に対する耐性が十分であるためにエッチング工程でも密着性が維持される。本発明では、このことにも起因して、レジストのパターンに忠実な、高い精度で基材のエッチング加工が行われるため、本発明のエッチングレジスト組成物を用いて得られた基材は解像度においても優れている。したがって、ガラス基板は、精度よくエッチング加工され、バリや割れを生ずる可能性が極めて低く抑制される。さらに、エッチング完了後に、エッチングレジスト組成物を基材から剥離する際の剥離性も極めて良好である。
【0017】
以下、本発明のエッチングレジスト組成物の成分を説明する。
【0018】
[(A)カルボキシル基含有樹脂]
本発明のエッチングレジスト組成物が含有する(A)カルボキシル基含有樹脂としては、カルボキシル基を有する樹脂、具体的にはそれ自体がエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂およびエチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のいずれも使用可能である。このうち、特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、アルカリ現像を行う感光性の組成物として、更にはエッチング耐性、感度、解像性の面からより好ましい。そして、その不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタアクリル酸、または、それらの誘導体由来のものが好ましい。
【0019】
(A)カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が好ましい。
【0020】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0021】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物および必要に応じて1つのアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0022】
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート若しくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0023】
(4)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0024】
(5)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0025】
(6)2官能またはそれ以上の多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。ここで、エポキシ樹脂が固形であることが好ましい。
【0026】
(7)2官能エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0027】
(8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
【0028】
(9)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック型フェノール樹脂、ポリ-p-ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物等の1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0029】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0030】
(11)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0031】
(12)上記(1)~(11)の樹脂に、さらにグリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の1分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0032】
上記(1)~(12)として例示した(A)カルボキシル基含有樹脂のうち、特に上記(7)が好ましく、更にビスフェノール型構造(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)を含む場合には特に好ましく用いられる。
なお、本発明のレジスト組成物を用いて、基材のエッチングを行う際には、後述のように種々のエッチング液を用いることができるが、フッ酸をエッチング液として用いる場合には、上記の(2)~(5)以外の(A)カルボキシル基含有樹脂を用いることが好ましい。
【0033】
本発明のエッチングレジスト組成物において、(A)カルボキシル基含有樹脂は、現像性、感度、解像性をより良好とする役割を果たす。また、(A)カルボキシル基含有樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、これを用いることによりアルカリ水溶液による現像が可能になる。
【0034】
上記(A)カルボキシル基含有樹脂の酸価は、20~200mgKOH/gの範囲が好ましく、より好ましくは40~150mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価が20mgKOH/g以上の場合、塗膜の密着性が良好となり、アルカリ現像性が良好となる。一方、酸価が200mgKOH/g以下の場合には、現像液による露光部の溶解を良好に抑制できるために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離したりすることを抑制して、良好にパターン状のレジストを描画することができる。
【0035】
また、(A)カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、2,000~150,000、さらには5,000~100,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が2,000以上の場合、タックフリー性能が良好であり、露光後の塗膜の耐湿性が良好で、現像時に膜減りを抑制し、解像度の低下を抑制できる。一方、重量平均分子量が150,000以下の場合、現像性が良好で、貯蔵安定性にも優れる。
【0036】
(A)カルボキシル基含有樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてよい。本発明のエッチングレジスト組成物が2種以上のカルボキシル基含有樹脂を含有する場合、例えば、上述したカルボキシル基含有感光性樹脂を1種類以上含有することが好ましい。
【0037】
本発明の(A)カルボキシル基含有樹脂が、熱硬化性基(エポキシ基、アミン基等)を含む場合、エッチング用レジスト組成物のエッチング耐性が向上するため、好ましい。その場合は、シランカップリング剤を配合すると、現像性の劣化と剥離性の劣化(すなわち現像や剥離が遅くなる、剥離できなくなる)等の不具合が生ずることがある。したがって、(A)カルボキシル基含有樹脂が熱硬化性基を含む場合にはシランカップリング剤を含まないことが好ましい。
【0038】
(A)カルボキシル基含有樹脂の配合量は、レジスト組成物総質量のうち35質量%~65質量%、好ましくは40質量%~60質量%の範囲である。(A)カルボキシル基含有樹脂の配合量がレジスト組成物中、上記の割合にあるとき、ガラス等の基板に対する密着性が良好に得られ、ガラスエッチングの解像性が良好となる。さらに、(A)カルボキシル基含有樹脂の配合量が上記範囲を下回る場合には、レジスト組成物を乾燥して得られるレジスト強度が十分に得られず、配合量が上記範囲を超過する場合には、組成物の粘度が上がり、塗布性、製膜性が低下することがある。
【0039】
(多塩基酸無水物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単量体のハーフエステル)
本発明のエッチングレジスト組成物を紫外線硬化型レジスト組成物として用いる場合、(A)カルボキシル基含有樹脂として、多塩基酸無水物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単量体のハーフエステル(以下、単にハーフエステルともいう)を含有することが好ましい。ハーフエステルは、ガラス、金属など多くの基材との密着に優れ、アルカリ水溶液への溶解性も容易である。
【0040】
多塩基酸無水物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単量体のハーフエステルとしては、レジスト用組成物に用いることができる慣用公知のものを用いればよい。ここでハーフエステルは、多塩基酸無水物1モルに対し(メタ)アクリレート単量体1モルとで合成するのが典型的であるが、(メタ)アクリレート単量体を過剰に用いてもよい。多塩基酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、3-メチル無水テトラヒドロフタル酸、4-メチル無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、3-メチル無水ヘキサヒドロフタル酸、4-メチル無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ドデセシルコハク酸、無水ハイミック酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メチル)アクリレート等が挙げられる。前記ハーフエステルは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
前記ハーフエステルは、多塩基酸無水物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単量体とを通常のエステル化反応させた構造を有するハーフエステルであればよく、例えば、多塩基酸無水物に代えて多塩基酸を用いて得られたハーフエステルであってもよい。
【0042】
(A)カルボキシル基含有樹脂として、前記ハーフエステルを用いる場合、その粘度は、25℃で、2,000~10,000mPa・s、好ましくは、3,000~7,000mPa・sの範囲である。
【0043】
前記ハーフエステルの配合量は、本発明のエッチングレジスト組成物総質量中に、10~60質量%、より好ましくは15~50質量%の範囲である。10質量%以上の場合は、硬化性が良好であり、塗膜へのめっき液の染み込みが抑制される。60質量%以下の場合、剥離時の溶解性により優れ、又硬化塗膜のべた付きが抑制され、作業性が良好となる。前記ハーフエステルと、その他のカルボキシル基含有樹脂を併用する場合、その比率は、前記ハーフエステル:その他のカルボキシル基含有樹脂が、9:1~1:9、好ましくは、7:3~3:7であり、併用することで塗膜の平滑性が向上する。
【0044】
[(B)多官能(メタ)アクリレートモノマー]
本発明のレジスト組成物は、(B)多官能(メタ)アクリレート((メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマー)を含む。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。多官能(メタ)アクリレート化合物は、活性エネルギー線照射、特に紫外線照射により光硬化して、樹脂成分を、アルカリ水溶液に不溶化し、または、不溶化を助けるものである。このような化合物としては、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが使用できる。多官能(メタ)アクリレートモノマーを用いる理由は、(メタ)アクリロイル官能基の数が1つの場合よりも、光反応性が向上して解像性が優れるためである。
【0045】
多官能(メタ)アクリレートモノマーの例としては、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε-カプロラクトン付加物などの、多価アクリレート類;ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類及びメラミンアクリレート、及び前記アクリレートに対応する各メタアクリレート類の1種、又は複数以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
本発明では、ポリエステルポリオール、好ましくはポリエステルポリオールに対して(メタ)アクリル酸を反応させた、多官能、好ましくは2官能以上3官能未満の(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。ここで3官能未満とは、アクリロイル基とメタアクリロイル基の合計量が一分子あたり平均で3官能未満であることを言う。また、(B)多官能(メタ)アクリレートモノマーの分子量は、200~5,000の範囲、好ましくは400~3,000の範囲である。
【0047】
本発明では、上記多官能(メタ)アクリレートモノマーの他に、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;フェノキシアクリレートを含む単官能アクリレートを、例えばエッチング組成物の粘度調節等の目的で使用することができる。
また、上記多官能(メタ)アクリレートモノマーに、本発明の目的を損なわない範囲で、単官能又は多官能(メタ)アクリレートオリゴマーを添加することもできる。
【0048】
(B)多官能(メタ)アクリレートモノマーの配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、10~60質量部、好ましくは20~40質量部の割合が適当である。配合量を、10質量部以上とすることにより、光硬化性が確実化し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、導電パターンのラインの形成が良好とされる。一方、600質量部以下とすることにより、アルカリ水溶液に対する溶解性が確保され、強靭な導電パターン膜が得られる。
【0049】
[(C)多官能チオール化合物]
本発明のレジスト組成物は、(C)多官能チオール化合物を含む。(C)多官能チオール化合物が、一分子あたり2~6個のチオール基(メルカプト基ともいう)を含む化合物であると好ましい。
【0050】
さらに、(C)多官能チオール化合物は、チオール基(-SH)と、カルボン酸エステル基(-RCOO-(RはC1-C4アルキル)と、をそれぞれ1個以上含む化合物であることが好ましく、メルカプトプロピオニルオキシ基、例えば
【化1】
(すなわち、3-メルカプトプロピオニルオキシ基)、メルカプトブチリルオキシ基、例えば
【化2】
(すなわち、3-メルカプトブチリルオキシ)、またはこれらの組み合わせを一分子あたり2~6個、特に2~4個含む化合物が好ましく用いられる。(C)多官能チオール化合物は、分子量は1000以下、好ましくは300から800、さらに好ましくは400~600程度であって、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、非芳香族複素環の構造部分を含み、かつ例えば2~6個、特に2~4個のメルカプトプロピオニルオキシ基、またはメルカプトブチリルオキシ基を有する化合物であることが好ましい。
【0051】
具体例としては、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラ(3-メルカプトプロピネナート)、ジペンタエリトリトールヘキサキス(3‐メルカプトプロピオナート)等のメルカプトプロピオニルオキシ基を含有する化合物、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン等のメルカプトブチリルオキシ基を有する化合物が挙げられる。
上記化合物の市販品の例には、カレンズMT(登録商標)PE1、カレンズMT(登録商標)BD1、カレンズMT(登録商標)NR1(昭和電工株式会社製)が存在する。
(C)多官能チオール化合物は、フッ酸耐性に優れるだけでなく、密着性、剥離性等の他の特性にも優れる点で、上記の中でも、3官能以上のカレンズMT(登録商標)PE1、カレンズMT(登録商標)NR1が好ましい。
【0052】
(C)多官能チオール化合物の配合量は、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1~10質量部、好ましくは2~5質量部の割合が適当である。
(C)多官能チオール化合物を含む本発明のガラスエッチング組成物はガラス基板に対する密着性と、剥離性の双方に優れたものとされ、ガラスエッチングの際のフッ酸耐性が向上する。この結果、ガラス基板を優れた解像度でエッチングすることが可能となる。
【0053】
[(D)光重合開始剤]
(D)光重合開始剤としては、エネルギー線の照射により、(メタ)アクリレートを重合させることが可能なものであれば、特に制限はない。
【0054】
(D)光重合開始剤は、光、レーザー、電子線等によりラジカルを発生し、ラジカル重合反応を開始する化合物であれば全て用いることができる。当該(D)光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアミノアセトフェノン類;2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;リボフラビンテトラブチレート;2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物;2,4,6-トリス-s-トリアジン、2,2,2-トリブロモエタノール、トリブロモメチルフェニルスルホン等の有機ハロゲン化合物;ベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類またはキサントン類;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどのフォスフィンオキサイド類;α-ヒドロキシアルキルフェノン等のアルキルフェノン類が挙げられる。
【0055】
(D)光重合開始剤は、単独でまたは複数種を混合して使用することができる。また更に、これらに加え、N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類などの光開始助剤を使用することができる。また、可視光領域に吸収のあるCGI-784等(BASFジャパン社製)のチタノセン化合物等も、光反応を促進するために(D)光重合開始剤に添加することもできる。尚、(D)光重合開始剤に添加する成分はこれらに限られるものではなく、紫外光もしくは可視光領域で光を吸収し、(メタ)アクリロイル基等の不飽和基をラジカル重合させるものであれば、単独であるいは複数併用して使用できる。
【0056】
光重合開始剤で市販されているものの製品名としては、例えば、Omnirad90
7、Omnirad127、Omnirad369(いずれもIGM Resins社製)等のアルキルフェノン系、Omnirad TPO H(IGM Resins社製)等のフォスフィンオキサイド系が挙げられる。(D)光重合開始剤は、特に限定されず、上記いずれを用いてもよいが、アルキルフェノン系を用いることが好ましい。
本発明のレジスト組成物を紫外線硬化型レジスト組成物として用いる場合、(D)光重合開始剤は、ベンジルケタール系、例えば、Omnirad651(IGM Resins社製)を用いることが好ましい。
【0057】
(D)光重合開始剤の配合量は、レジスト組成物中の(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して0.5~35質量部、より好ましくは0.5~20質量部、さらに好ましくは1~10質量部である。
光重合開始剤の配合量が0.5質量部以上とすることにより、光硬化性が十分とされるため、レジスト組成物の基板に対する密着性が向上する。一方、35質量部以下とすることによりレジスト組成物表面での光吸収が過度に激しくなる傾向を抑制し、深部硬化性を確保することができる。
【0058】
[(E)タルク]
本発明のエッチングレジスト組成物は、無機フィラーとして(E)タルクを含む。使用する(E)タルクの種類に特に制限はなく、市販品としてはLMS-100、LMS-200、LMS-300、LMS-3500、LMS-400、LMP-100、PKP-53、PKP-80、PKP-81、ミクロエースK-1(富士タルク工業株式会社製);P-2、P-3、P-4、P-6、P-8、SG-95等の微粉タルク(BET法による比表面積7.5~15.0m2/g)、ナノエースD-600、ナノエースD-800、ナノエースD-1000等の板体形状の微粉タルク(BET法による比表面積18~24m2/g)、SG-2000、SG-200、SG-200N15等の超微粉タルク(BET法による比表面積30~40m2/g)、(いずれも日本タルク株式会社製)を使用することができる。本発明では超微粉タルクを用いることが好ましい。
【0059】
レジスト組成物による解像性を向上させるために、(E)タルクの平均粒径(光散乱法により測定)6μm以下、特に3μm以下とすることが好ましく、凝集防止の観点からは0.1μm以上とすることが好ましい。(E)タルクは単独あるいは複数組み合わせて使用することができる。
【0060】
本発明では、上記(E)タルクを(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して20~100質量部の上記配合量にて用いることにより、レジスト組成物が膜形状でガラス基板上に保持可能となり、レジスト組成物のガラスに対する密着性、フッ酸耐性が得られる。
【0061】
[その他の成分]
この他、本発明のレジスト組成物には、必要に応じて、増粘剤、流動性改質剤、表面張力調整剤、密着性付与剤、界面活性剤、着色剤、紫外線吸収剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤およびレベリング剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類の少なくとも1種を、さらに配合することができる。上記成分は、各成分(A)~(E)の性能を損なわず、添加による所望の効果が得られる範囲で、適宜使用量を調節して使用される。
尚、エポキシ樹脂やエラストマーは、形成したレジストの剥離が困難なことから、配合しないことが好ましい。
【0062】
使用可能な消泡剤の例としては、シリコーン系消泡剤、フッ素系消泡剤、アクリル系消泡剤が挙げられる。シリコーン系の消泡剤としてはビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK(登録商標)-063、-065、-066N、-081、-141、-323、および信越化学株式会社製のKS-66、KS-69、X-50-1105G等、フッ素系消泡剤としてはDIC株式会社製のメガファックRS、F-554、F-557等、アクリル系消泡剤としては楠本化成株式会社製のディスパロンOX-880EF、OX-70などが挙げられる。
【0063】
着色剤としては、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックを、増粘剤としては、ベントナイト、微紛シリカを含む公知慣用の増粘剤を挙げることができる。
【0064】
上記添加剤のなかでも特に消泡剤及び/又はレベリング剤を配合することにより、表面平滑性の劣化を防止し、ボイドやピンホールによる層間絶縁性の劣化も防止することができる。
【0065】
本発明のレジスト組成物の25℃における粘度は、1から1,500dPa・sの範囲、特に10から1,000dPa・sの範囲にあると好ましい。エッチングレジスト組成物の粘度が1dPa・s以上であると、レジスト組成物が加熱乾燥により、エッチングレジストとして基板を良好に保護可能な膜厚で塗膜になる。一方、エッチングレジスト組成物の粘度が1,500dPa・s以下であると、組成物が扱いやすく、スクリーン印刷等による印刷に好適であり、エッチング後のレジスト剥離処理も簡単かつ経済的に行われる。
【0066】
なお、本発明のエッチングレジスト組成物は、主にアルカリ現像型レジスト組成物、紫外線硬化型レジスト組成物に好適に用いられる。
【0067】
<本発明のガラス基板の製造方法>
次に、上述のエッチングレジスト組成物(レジスト組成物ともいう)をアルカリ現像型レジスト組成物として用いた本発明のガラス基板の製造方法について、各工程ごとにさらに詳しく説明する。
【0068】
[(1)塗膜形成工程]
上述した本発明のレジスト組成物をアルカリ現像型レジスト組成物として使用する場合、本発明のレジスト組成物の溶液をガラス基板上に塗布し、加熱により溶媒を除去することによって所望の塗膜を形成することができる。ガラス基板上への塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法が適用可能であり、その際の塗布方式としては、従来より知られる2コート1ベークなどのウエットオンウエット塗装や、2コート2ベークなどのドライオンウエット塗装が可能である。なお、本発明のレジスト組成物の塗膜の乾燥条件は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗膜の厚さなどによって異なるが、通常は60~160℃、好ましくは80~150℃で、3~15分間程度である。乾燥時間が短すぎると、現像時の密着状態が悪くなり、また、長すぎると熱かぶりによる解像度の低下を招くことがある。また、レジスト組成物は一回(1層)の塗布を複数回に分けて行うこともできる。
【0069】
上述のように、基板上にパターン状に施与される未硬化のレジスト組成物の膜厚は、エッチング液の性状に応じて、3~70μm、特に30~60μmの範囲で適宜調整されると好ましい。この範囲の膜厚を有するレジスト組成物は、エッチング液に対して十分な耐性を有するため、エッチング処理における基板の保護の観点から有効である。ただし、本発明のレジスト組成物は、乾燥温度および乾燥時間の要求を満たせば、70μmを超過する膜厚としてもよい。上記膜厚は、一般的な印刷条件により得られるものである。
【0070】
[(2)露光工程]
得られた塗膜に所望のパターンを有するフォトマスクを介し、又はダイレクト露光機を用い、例えば波長が300~500nmの紫外線または可視光線などの放射線を照射して、露光部を硬化させることができる。ここで放射線とは、紫外線、可視光線、遠紫外線、X線、電子線などを意味し、光源として、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザーなどを用いることができる。放射線照射量は、組成物中の各成分の種類、配合量、塗膜の厚さなどによって異なるが、例えば高圧水銀灯使用の場合、100~1,500mJ/cmの範囲である。
【0071】
[(3)現像工程]
放射線照射後の現像方法としては、アルカリ性水溶液を現像液として用いて、不要な非露光部を溶解、除去し、露光部のみを残存させ、所望のパターンの硬化膜を得る。現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノナンなどのアルカリ類の水溶液を使用することができる。
【0072】
この他、本発明のレジスト組成物は、スクリーン印刷法、グラビア法、グラビアオフセット法などの印刷方法により直接イメージ状に印刷することにより、現像工程を省略して用いることも可能である。
【0073】
[(4)エッチング工程]
上記に準じた手順により所望のパターン状に光硬化したレジストで被覆された基板は、次いでエッチング液によりエッチング処理に付される。エッチング処理により、レジストに被覆されていない基板部分(レジストのパターン以外の部分)がエッチングされる。これにより所定パターンのガラス成型品を得ることができる。
なお、本発明のレジスト組成物を紫外線硬化型レジスト組成物として用いる場合、本発明のレジスト組成物をスクリーン印刷等でガラス基板上に膜厚15~80μm、好ましくは、20~50μmで所望のパターンに印刷し、UV光(紫外線)を500~2,000mJ/cm、好ましくは、1,000~1,500mJ/cm照射することにより硬化してレジストを形成後、上記エッチング工程により、レジストに被覆されていない基板部分(レジストのパターン以外の部分)がエッチングされる。
【0074】
エッチング液としては、フッ化水素酸単独若しくはフッ化水素酸を含むエッチング液(例えば、フッ化水素酸と、鉱酸(硝酸、リン酸等)との混合物が挙げられる。
【0075】
本発明のレジスト組成物から得られるレジスト膜は、エッチング液に対して優れた耐性を有することから、エッチング処理中に基板からの剥離が生じずに、基板を高精度でエッチング処理することができる。
【0076】
なお、本発明のレジスト組成物は、上記工程により、基板に良好に密着したレジストを構成し、基板をエッチング液から良好に保護する。更には高精度のエッチングを可能とし、エッチング完了後にはケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、石油系溶剤類等の溶剤を用いて短時間で容易に除去可能である。エッチングレジスト除去用には、特に、溶解性の観点と経済性の観点より石油系溶剤を用いることが好ましい。
【0077】
なお、本発明のレジスト組成物は、フッ化水素酸系エッチング液だけではなく、強酸系の各種エッチング液によるエッチングにおいても非常に優れた耐性と基板に対する優れた密着性を有する。
【0078】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は質量部を意味するものとする。
【実施例
【0079】
[実施例1~5及び比較例1~6]
I-I.アルカリ現像型レジスト組成物の作製
表1に示す成分をそれぞれ記載した割合(単位:部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで分散および混練して、実施例1~5(本発明の組成物)、および比較例1~6(比較組成物)の各アルカリ現像型レジスト組成物を得た。
【0080】
I-II.評価基板1:エッチングレジストの製造
膜厚1.8mmのソーダライムガラスをあらかじめアルコールで洗浄し、表面を乾燥させた。これに対し、実施例1から5、および比較例1から6の各アルカリ現像型レジスト組成物を、それぞれ80メッシュのポリエステル版に所定の感光性乳剤を膜厚80μmで付したスクリーン印刷版を用いて、膜厚80μmに全面印刷した。このように塗布されたアルカリ現像型レジスト組成物を、熱風循環式乾燥機(ヤマト科学社製DF-610)により、乾燥温度100℃にて30分加熱して、溶剤を蒸発、乾燥させて膜厚50μmのエッチングレジスト(評価基板1)を得た。
【0081】
I-III.密着性
ガラス密着性試験上記評価基板1に対し、JIS K 5600-5-6に準拠し、クロスカットテープピールリング試験を実施した。すなわち、評価基板1のエッチングレジストに、1mmの間隔で縦横に交差する切込みを入れて、この切込みにより多数の碁盤目(格子)を作成し、そのうちの100個の碁盤目に対してJIS K 5600-5-6に記載の方法によりテープを付着して、これを引き剥し、ガラス基板からの剥がれ・欠けを生じた格子の数を、以下のように、観察・評価した。評価結果を表1に示す。
◎ 100すべての格子に剥がれ・欠けのいずれも生じない
〇100すべての格子に剥がれはないが、10個未満の格子の端が欠けた
△ 90個未満の格子に部分的又は完全な剥がれが観察された
× 90個以上の格子に部分的又は完全な剥がれが観察された
【0082】
I-IV.評価基板2:エッチングレジスト(硬化膜)の作製
フッ酸耐性試験評価基板1に対し、一定のパターンを有するフォトマスク載置し、波長300~450nmの紫外線を300mJ/cm2照射して、露光部を硬化させることにより評価基板2を製造した。
【0083】
10容量%のフッ化水素酸に各実施例および比較例の評価基板2を浸漬することにより、深さ100μmのエッチングを行った。その後、評価基板2について、ガラス基板のエッチングレジストにより被覆された直下の部分(エッチングから保護すべき部分)がエッチング液の染み込みにより水平方向にエッチングを受けている程度(染み込み程度)を、以下の基準により観察した。評価結果を表1に示す。
◎ 染み込み100μm
○ 染み込み100μm超、150μm未満
△ 染み込み150μm以上、250μm未満
× 染み込み250μm以上、500μm以下
【0084】
I-V.剥離性
各評価基板2を、ビーカー中の3質量%の水酸化ナトリウム水溶液(50℃)に浸漬した。時間経過に伴う、レジストの状態を、以下の評価基準により、目視観察した。評価結果を表1に示す。
◎ 5分以内に完全に剥離した
〇5分超過、30分以内に剥離した
△ 30分以内には剥離せず、その後スプレー処理、超音波処理、または温度70℃以上の水酸化ナトリウム水溶液に180分浸漬することにより剥離した
× 10時間以上の浸漬により剥離した
【0085】
I-VI.解像性試験
上記フッ酸耐性試験後の各評価基板2のエッチングの状態をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、以下の基準にて評価した。結果を表1に記載する。
◎ アンダーカットは発生せず、エッチング後のガラス基板の端面が滑らかで、パターンどおりのエッチングがされた
〇アンダーカットは無いが、エッチング後のガラス基板の端面がギザ付いていた
△ ハレーションが激しく、アンダーカットが観察された
× ハレーション、アンダーカットが観察され、さらにエッチング箇所の底面に残渣が生じていた
【0086】
【表1】
【0087】
*1 Kayarad ZFR-1401H、日本化薬株式会社製、カルボキシル基含有樹脂(酸変性多官能ビスフェノールF型エポキシアクリレート、官能基数平均5、固形分換算酸価100mg・KOH/g)、上記(7)のカルボキシル基含有樹脂に該当
*2 DPHA、日本化薬株式会社製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、
*3 カレンズMT(登録商標)PE1、昭和電工株式会社製、4官能チオール化合物
(ペンタエリスリトール テトラキス(3‐メルカプトブチレート)
*4 カレンズMT(登録商標)BD1、昭和電工株式会社製、2官能チオール化合物(1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン)
*5 カレンズMT(登録商標)NR1、昭和電工株式会社製、3官能チオール化合物
(1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン)
*6 KBM-503 メタクリル基シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製
*7 KBM-403 エポキシ基シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製
*8 KBM-603 アミノ基シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製
*9 Omnirad 369、IGM Resins社製、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤
*10 SG-2000、日本タルク株式会社製、超微粉タルク
*11 BARIACE(登録商標)B-30、堺化学工業株式会社製、硫酸バリウム
*12 KS-66、ジメチルポリシロキサン、信越化学工業株式会社製、オイルコンパウンド型消泡剤
*13 ファストゲングリーンS、DIC株式会社製、フタロシアニングリーン顔料
【0088】
実施例の結果より、本発明のアルカリ現像型レジスト組成物は、ガラス密着性、エッチング液に対する耐性、剥離性、解像性の全てにおいて優れていることがわかる。このレジスト組成物を用いることにより得られるガラス等の基材の加工品も精度の良いエッチングが施されたものとされる。
【0089】
さらに、紫外線硬化型レジスト組成物の実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例7~10及び比較例7~8]
【0090】
II-I. 紫外線硬化型レジスト組成物の作製
表2に示す成分をそれぞれ記載した割合(単位:部)にて配合し、撹拌により混合した。その後3本ロールで2回練り、実施例6~10(本発明の組成物)、および比較例7~8(比較組成物)の各紫外線硬化型レジスト組成物を得た。
【0091】
II-II. 評価基板3:エッチングレジスト(硬化膜)の作製
酸処理後バフ研磨した銅張積層板の上に、実施例6~10、比較例7~8の各紫外線硬化型レジスト組成物を200メッシュのポリエステル製のバイアススクリーンを用いて印刷した。その時の塗膜厚みは、25μmであった。メタルハライドランプを光源とするUV照射機を使用して、1000mJ/cmの光量で塗膜を硬化させ、評価基板3を作製した。
【0092】
II-III. 指触乾燥性
評価基板3を室温まで冷却し、塗膜どうしを張り合わせ、1kgの荷重をかけ、6時間放置後の張り付き度合いを確認した。評価結果を表2に示す。
評価方法:
〇:引き離しても、塗膜に異常がなかった
△:引き離し時に、塗膜に後が付いた
×:引き離し時に、塗膜が剥がれた
【0093】
II-IV. 印刷性
上記各評価基板3の解像線幅100μmの箇所のにじみ幅を測定した。評価結果を表2に示す。
◎:30%未満
〇:にじみ幅が30~50%
×:にじみ幅が50%超
【0094】
II-V. ガラス密着性
上記各評価基板3に対し、JIS K 5600-5-6に準拠し、クロスカットテープピールリング試験を実施した。すなわち、評価基板1のエッチングレジストに、1mmの間隔で縦横に交差する切込みを入れて、この切込みにより多数の碁盤目(格子)を作成し、そのうちの100個の碁盤目に対してJIS K 5600-5-6に記載の方法によりテープを付着して、これを引き剥し、ガラス基板からの剥がれ・欠けを生じた格子の数を、以下のように、観察・評価した。評価結果を表2に示す。
◎ 100すべての格子に剥がれ・欠けのいずれも生じない
〇100すべての格子に剥がれはないが、10個未満の格子の端が欠けた
△ 90個未満の格子に部分的又は完全な剥がれが観察された
× 90個以上の格子に部分的又は完全な剥がれが観察された
【0095】
II-VI. フッ酸耐性
10容量%のフッ化水素酸に各実施例および比較例の評価基板3を浸漬することにより、深さ50μmのエッチングを行った。その後、各評価基板3について、ガラス基板のエッチングレジストにより被覆された直下の部分(エッチングから保護すべき部分)がエッチング液の染み込みにより水平方向にエッチングを受けている程度(染み込み程度)を、以下の基準により観察した。評価結果を表2に示す。
◎ 染み込み50μm
○ 染み込み50μm超、100μm未満
△ 染み込み100μm以上、250μm未満
× 染み込み250μm以上、500μm以下
【0096】
II-VII. 剥離性
各評価基板3を、ビーカー中の3質量%の水酸化ナトリウム水溶液(50℃)に浸漬した。時間経過に伴う、レジストの状態を、以下の評価基準により、目視観察した。評価結果を表2に示す。
〇 1分以内に剥離した
× 1分以内には剥離しなかった
【0097】
【表2】

*1:ハーフエステル、多塩基酸無水物のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのハーフエステル(共栄社化学社製HOA-MPL)
*2:ジョンクリル67、スチレン-アクリル酸共重合樹脂(BASF社製、重量平均分子量=12,500、酸価=213mgKOH/g)
*3:アロニックスM-350、東亜合成社製、光反応性モノマー、トリメチロールプロパンEO変成トリアクリレート
*4:ライトエステルHO-250、共栄社化学社製、光反応性モノマー、2-ヒドロキシエチルメタクリレート
*5:3 カレンズMT(登録商標)PE1、昭和電工株式会社製、4官能チオール化合物(ペンタエリスリトール テトラキス(3‐メルカプトブチレート)
*6:カレンズMT(登録商標)BD1、昭和電工株式会社製、2官能チオール化合物(1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン)
*7: カレンズMT(登録商標)NR1、昭和電工株式会社製、3官能チオール化合物(1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン)
*8:KS-66、ジメチルポリシロキサン、信越化学工業社製
*9:フタロシアニンブルー、青色着色剤
*10:Omnirad651、IGM社製、ベンジルケタール系光重合開始剤
*11:アエロジル#200、揺変剤、日本アエロジル社製、微粉末シリカ
*12:ミクロエースK-1、タルク、富士タルク工業社製
【0098】
実施例の結果より、本発明の紫外線硬化型レジスト組成物は、指触乾燥性、印刷性、ガラス密着性、エッチング液に対する耐性、剥離性の全てにおいて優れていることがわかる。このレジスト組成物を用いることにより得られるガラス等の基材の加工品も精度の良いエッチングが施されたものとされる。
【0099】
本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上説明したように、本発明のレジスト組成物は、ガラス密着性、エッチング液に対する耐性、剥離性、解像性に優れ、タッチパネル、光学材料、および計測器等のガラス躯体(基板)のエッチングに適用される。また、ガラス以外の基材として、シリコンウェハ、チタンや金属酸化物等を含む基材に対しても密着性やフッ酸耐性に優れ、それらの基材のエッチングにも適用される。
【0101】
本発明のレジスト組成物の基材への高い密着性により、基材上に描画された所望のレジストパターン通りの高精度のエッチングが行われるため、携帯電話等、意匠性を重視した製品への適用にも有用である。