(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】三重特異性抗CD38、抗CD28、および抗CD3結合タンパク質ならびにウイルス感染を処置するための使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0783 20100101AFI20240329BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240329BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240329BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240329BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240329BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20240329BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20240329BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20240329BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240329BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240329BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240329BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20240329BHJP
【FI】
C12N5/0783 ZNA
C12N5/10
A61P31/12
A61P31/14
A61P31/16
A61P31/18
A61P31/20
A61P31/22
A61K39/395 S
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/62 Z
(21)【出願番号】P 2021519642
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 US2019055232
(87)【国際公開番号】W WO2020076853
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/055084
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ラン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】リン・シュウ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ロニー・ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・ナーベル
(72)【発明者】
【氏名】ヂィー-ヨン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】タリク・ダブドゥビ
(72)【発明者】
【氏名】ベアトリス・キャメロン
(72)【発明者】
【氏名】センドリーヌ・ルモワンヌ
(72)【発明者】
【氏名】カトリーヌ・プラド
【審査官】藤山 純
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/180913(WO,A2)
【文献】国際公開第2017/074878(WO,A1)
【文献】CHEN, CN et al.,Ex vivo expansion of dendritic-cell-activated antigen-specific CD4+ T cells with anti-CD3/CD28, interleukin-7m and interleukin-15: potential for adoptive T cell immunotherapy,Clin Immunol,119(1),2006年04月,pp.21-31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00- 7/08
C12N 15/00-15/90
A61P 1/00-43/00
A61K 39/00-39/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス特異的なメモリーT細胞を拡大するための方法であって、ウイルス特異的なメモリーT細胞を
インビトロまたはエクスビボで結合タンパク質と接触させることを含み、結合タンパク質は、3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含み、第1のポリペプチド鎖は、式:
V
L2-L
1-V
L1-L
2-C
L [I]
で表される構造を含み、第2のポリペプチド鎖は、式:
V
H1-L
3-V
H2-L
4-C
H1-ヒンジ-C
H2-C
H3 [II]
で表される構造を含み、第3のポリペプチド鎖は、式:
V
H3-C
H1-ヒンジ-C
H2-C
H3 [III]
で表される構造を含み、第4のポリペプチド鎖は、式:
V
L3-C
L [IV]
で表される構造を含み、式中:
V
L1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
V
L2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
V
L3は、第3の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
V
H1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
V
H2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
V
H3は、第3の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
C
Lは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり;
C
H1は、免疫グロブリンC
H1重鎖定常ドメインであり;
C
H2は、免疫グロブリンC
H2重鎖定常ドメインであり;
C
H3は、免疫グロブリンC
H3重鎖定常ドメインであり;
ヒンジは、C
H1およびC
H2ドメインに接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり;
L
1、L
2、L
3およびL
4は、アミノ酸リンカーであり;
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドは、クロスオーバー軽鎖-重鎖対を形成し;V
H1およびV
L1は、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位を形成し、V
H2およびV
L2は、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位を形成し、V
H3およびV
L3は、CD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を形成
し;
(a)V
H3
ドメインは、GYTFTSFN(配列番号31)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNGGT(配列番号32)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L3
ドメインは、ESVDSYGNGF(配列番号34)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、LAS(配列番号35)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含み;
(b)V
H3
ドメインは、GYTFTSYA(配列番号37)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGQGGT(配列番号38)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L3
ドメインは、QSVSSYGQGF(配列番号39)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、GAS(配列番号40)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む;または
(c)V
H3
ドメインは、GFTFSSYG(配列番号41)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IWYDGSNK(配列番号42)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARMFRGAFDY(配列番号43)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L3
ドメインは、QGIRND(配列番号44)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、AAS(配列番号45)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびLQDYIYYPT(配列番号46)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む、前記方法。
【請求項2】
ウイルス特異的なメモリーT細胞を結合タンパク質と接触させることは、ウイルス特異的なメモリーT細胞の活性化および/または増殖を引き起こす、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
T細胞を拡大するための方法であって、T細胞をインビトロまたはエクスビボで結合タンパク質と接触させることを含み、結合タンパク質は、3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含み、第1のポリペプチド鎖は、式:
V
L2-L
1-V
L1-L
2-C
L [I]
で表される構造を含み、第2のポリペプチド鎖は、式:
V
H1-L
3-V
H2-L
4-C
H1-ヒンジ-C
H2-C
H3 [II]
で表される構造を含み、第3のポリペプチド鎖は、式:
V
H3-C
H1-ヒンジ-C
H2-C
H3 [III]
で表される構造を含み、第4のポリペプチド鎖は、式:
V
L3-C
L [IV]
で表される構造を含み、式中:
V
L1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
V
L2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
V
L3は、第3の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
V
H1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
V
H2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
V
H3は、第3の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
C
Lは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり;
C
H1は、免疫グロブリンC
H1重鎖定常ドメインであり;
C
H2は、免疫グロブリンC
H2重鎖定常ドメインであり;
C
H3は、免疫グロブリンC
H3重鎖定常ドメインであり;
ヒンジは、C
H1およびC
H2ドメインに接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり;
L
1、L
2、L
3およびL
4は、アミノ酸リンカーであり;
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドは、クロスオーバー軽鎖-重鎖対を形成し;V
H1およびV
L1は、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位を形成し、V
H2およびV
L2は、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位を形成し、V
H3およびV
L3は、CD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を形成
し;
(a)V
H3
ドメインは、GYTFTSFN(配列番号31)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNGGT(配列番号32)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L3
ドメインは、ESVDSYGNGF(配列番号34)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、LAS(配列番号35)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含み;
(b)V
H3
ドメインは、GYTFTSYA(配列番号37)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGQGGT(配列番号38)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L3
ドメインは、QSVSSYGQGF(配列番号39)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、GAS(配列番号40)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む;または
(c)V
H3
ドメインは、GFTFSSYG(配列番号41)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IWYDGSNK(配列番号42)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARMFRGAFDY(配列番号43)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L3
ドメインは、QGIRND(配列番号44)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、AAS(配列番号45)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびLQDYIYYPT(配列番号46)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む、前記方法。
【請求項4】
T細胞はメモリーT細胞またはエフェクターT細胞である、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)をその細胞表面に発現する、またはCARをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項
3または請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
慢性ウイルス感染を処置するための方法で使用するための、結合タンパク質を含む医薬組成物であって、前記方法は、それを必要とする個体に有効量の医薬組成物を投与することを含み、結合タンパク質は、3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含み、第1のポリペプチド鎖は、式:
V
L2-L
1-V
L1-L
2-C
L [I]
で表される構造を含み、第2のポリペプチド鎖は、式:
V
H1-L
3-V
H2-L
4-C
H1-ヒンジ-C
H2-C
H3 [II]
で表される構造を含み、第3のポリペプチド鎖は、式:
V
H3-C
H1-ヒンジ-C
H2-C
H3 [III]
で表される構造を含み、第4のポリペプチド鎖は、式:
V
L3-C
L [IV]
で表される構造を含み、式中:
V
L1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
V
L2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
V
L3は、第3の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
V
H1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
V
H2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
V
H3は、第3の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
C
Lは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり;
C
H1は、免疫グロブリンC
H1重鎖定常ドメインであり;
C
H2は、免疫グロブリンC
H2重鎖定常ドメインであり;
C
H3は、免疫グロブリンC
H3重鎖定常ドメインであり;
ヒンジは、C
H1およびC
H2ドメインに接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり;
L
1、L
2、L
3およびL
4は、アミノ酸リンカーであり;
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドは、クロスオーバー軽鎖-重鎖対を形成し;V
H1およびV
L1は、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位を形成し、V
H2およびV
L2は、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位を形成し、V
H3およびV
L3は、CD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を形成
し;
(a)V
H3
ドメインは、GYTFTSFN(配列番号31)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNGGT(配列番号32)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L3
ドメインは、ESVDSYGNGF(配列番号34)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、LAS(配列番号35)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含み;
(b)V
H3
ドメインは、GYTFTSYA(配列番号37)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGQGGT(配列番号38)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L3
ドメインは、QSVSSYGQGF(配列番号39)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、GAS(配列番号40)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む;または
(c)V
H3
ドメインは、GFTFSSYG(配列番号41)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IWYDGSNK(配列番号42)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARMFRGAFDY(配列番号43)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L3
ドメインは、QGIRND(配列番号44)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、AAS(配列番号45)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびLQDYIYYPT(配列番号46)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む、前記
医薬組成物。
【請求項7】
個体はヒトである、請求項
6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
結合タンパク質は、結合タンパク質および薬学的に許容される担体を含む医薬製剤中で個体に投与される、請求項
6または請求項
7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
結合タンパク質の投与は、個体においてウイルス特異的なメモリーT細胞の活性化および/または増殖をもたらす、請求項
6~
8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
メモリーT細胞はCD8+またはCD4+メモリーT細胞である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
メモリーT細胞はセントラルメモリーT細胞(TCM)またはエフェクターメモリーT細胞(TEM)である、請求項1~
5および
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
CD28ポリペプチドはヒトCD28ポリペプチドであり、CD3ポリペプチドはヒトCD3ポリペプチドであり、CD38ポリペプチドはヒトCD38ポリペプチドである、請求項1~
5、10、11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
(a)V
H3ドメインはQVQLQQSGAELVRSGASVKMSCKASGYTFTSFNMHWVKETPGQGLEWIGYIYPGNGGTNYNQKFKGKATLTADTSSSTAYMQISSLTSEDSAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVS(配列番号5)、のアミノ酸配列を含み、V
L3ドメインはDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASESVDSYGNGFMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEADDAATYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号6);のアミノ酸配列を含み、
(b)V
H3ドメインはQVQLVQSGAEVVKPGASVKVSCKASGYTFTSYAMHWVKEAPGQRLEWIGYIYPGQGGTNYNQKFQGRATLTADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVSS(配列番号13)、のアミノ酸配列を含み、V
L3ドメインはDIVLTQSPATLSLSPGERATISCRASQSVSSYGQGFMHWYQQKPGQPPRLLIYGASSRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISPLEPEDFAVYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号14);のアミノ酸配列を含み、
(c)V
H3ドメインはQVQLVQSGAEVVKPGASVKVSCKASGYTFTSFNMHWVKEAPGQRLEWIGYIYPGNGGTNYNQKFQGRATLTADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVSS(配列番号17)、のアミノ酸配列を含み、V
L3ドメインはDIVLTQSPATLSLSPGERATISCRASESVDSYGNGFMHWYQQKPGQPPRLLIYLASSRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISPLEPEDFAVYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号18);のアミノ酸配列を含み、
(d)V
H3ドメインはQVQLVQSGAEVVKSGASVKVSCKASGYTFTSFNMHWVKEAPGQGLEWIGYIYPGNGGTNYNQKFQGRATLTADTSASTAYMEISSLRSEDTAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVSS(配列番号21)、のアミノ酸配列を含み、V
L3ドメインはDIVLTQSPATLSLSPGERATISCRASESVDSYGNGFMHWYQQKPGQPPRLLIYLASSRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISPLEPEDFAVYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号18);のアミノ酸配列を含み、
(e)V
H3ドメインはQVQLVQSGAEVVKPGASVKMSCKASGYTFTSFNMHWVKEAPGQRLEWIGYIYPGNGGTNYNQKFQGRATLTADTSASTAYMEISSLRSEDTAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVSS(配列番号23)、のアミノ酸配列を含み、V
L3ドメインはDIVLTQSPATLSLSPGERATISCRASESVDSYGNGFMHWYQQKPGQPPRLLIYLASSRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISPLEPEDFAVYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号18);
のアミノ酸配列を含む、または
(f)V
H3ドメインはQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSNKYYADSVKGRFTISGDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARMFRGAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号9)、のアミノ酸配列を含み、V
L3ドメインはAIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISGLQPEDSATYYCLQDYIYYPTFGQGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含む、請求項
1~5、10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
(a)V
H1ドメインは、GYTFTSYY(配列番号108)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNVNT(配列番号109)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびTRSHYGLDWNFDV(配列番号110)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L1ドメインは、QNIYVW(配列番号111)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KAS(配列番号112)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQGQTYPY(配列番号113)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む;または
(b)V
H1ドメインは、GFSLSDYG(配列番号114)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IWAGGGT(配列番号115)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARDKGYSYYYSMDY(配列番号116)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L1ドメインは、ESVEYYVTSL(配列番号117)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、AAS(配列番号118)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQSRKVPYT(配列番号119)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む、請求項1~
5、
10~
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
(a)V
H1ドメインはQVQLVQSGAEVVKPGASVKVSCKASGYTFTSYYIHWVRQAPGQGLEWIGSIYPGNVNTNYAQKFQGRATLTVDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCTRSHYGLDWNFDVWGKGTTVTVSS(配列番号49)、のアミノ酸配列を含み、V
L1ドメインはDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQNIYVWLNWYQQKPGKAPKLLIYKASNLHTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDIATYYCQQGQTYPYTFGQGTKLEIK(配列番号50);のアミノ酸配列を含む、または
(b)V
H1ドメインはQVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGFSLSDYGVHWVRQPPGKGLEWLGVIWAGGGTNYNPSLKSRKTISKDTSKNQVSLKLSSVTAADTAVYYCARDKGYSYYYSMDYWGQGTTVTVS(配列番号51)、のアミノ酸配列を含み、V
L1ドメインはDIVLTQSPASLAVSPGQRATITCRASESVEYYVTSLMQWYQQKPGQPPKLLIFAASNVESGVPARFSGSGSGTDFTLTINPVEANDVANYYCQQSRKVPYTFGQGTKLEIK(配列番号52)のアミノ酸配列を含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
(a)V
H2ドメインは、GFTFTKAW(配列番号120)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IKDKSNSYAT(配列番号121)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびRGVYYALSPFDY(配列番号122)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L2ドメインは、QSLVHNNANTY(配列番号123)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KVS(配列番号124)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびGQGTQYPFT(配列番号125)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む;または
(b)V
H2ドメインは、GFTFTKAW(配列番号126)のアミノ酸配列を含む
CDR-H1配列、IKDKSNSYAT(配列番号127)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびGVYYALSPFDY(配列番号128)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L2ドメインは、QSLVHNNGNTY(配列番号129)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KVS(配列番号130)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびGQGTQYPFT(配列番号131)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む、請求項1~
5、
10~
15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
(a)V
H2ドメインはQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFTKAWMHWVRQAPGKQLEWVAQIKDKSNSYATYYADSVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCRGVYYALSPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号53)、のアミノ酸配列を含み、V
L2ドメインはDIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCKSSQSLVHNNANTYLSWYLQKPGQSPQSLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCGQGTQYPFTFGSGTKVEIK(配列番号54);のアミノ酸配列を含む、または
(b)V
H2ドメインはQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFTKAWMHWVRQAPGKGLEWVAQIKDKSNSYATYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCRGVYYALSPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号84)、のアミノ酸配列を含み、V
L2ドメインはDIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCKSSQSLVHNNGNTYLSWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCGQGTQYPFTFGGGTKVEIK(配列番号85)のアミノ酸配列を含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
L
1、L
2、L
3またはL
4のうちの少なくとも1つは、独立して、0アミノ酸長である、請求項1~
5、
10~
17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
(a)L
1、L
2、L
3およびL
4は、それぞれ独立して、0アミノ酸長であるまたはGGGGSGGGGS(配列番号55)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号56)、S、RT、TKGPS(配列番号57)、GQPKAAP(配列番号58)、およびGGSGSSGSGG(配列番号59);からなる群から選択される配列を含む;または(b)L
1、L
2、L
3およびL
4は、それぞれ独立して、GGGGSGGGGS(配列番号55)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号56)、S、RT、TKGPS(配列番号57)、GQPKAAP(配列番号58)、およびGGSGSSGSGG(配列番号59)からなる群から選択される配列を含む、請求項1~
5、
10~
17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
L
1は配列GQPKAAP(配列番号58)を含み、L
2は配列TKGPS(配列番号57)を含み、L
3は配列Sを含み、L
4は配列RTを含む、請求項1~
5、
10~
17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、ヒトIgG4のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインであり、ヒンジ-C
H2-C
H3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の234および235位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、F234AおよびL235Aである、請求項1~
5、
10~
20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、ヒトIgG4のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインであり、ヒンジ-C
H2-C
H3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の233-236位に対応する位置にアミノ酸
置換を含み、アミノ酸置換は、E233P、F234V、L235A、および236における欠失である、請求項1~
5、
10~
20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、ヒトIgG4のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインであり、ヒンジ-C
H2-C
H3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228および409位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S228PおよびR409Kである、請求項1~
5、
10~
22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、ヒトIgG1のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインであり、ヒンジ-C
H2-C
H3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の234、235、および329位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、L234A、L235A、およびP329Aである、請求項1~
5、
10~
20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、ヒトIgG1のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインであり、ヒンジ-C
H2-C
H3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の298、299、および300位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S298N、T299A、およびY300Sである、請求項1~
5、
10~
20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
第2のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の349、366、368、および407位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、Y349C、T366S、L368A、およびY407Vであり;第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の354および366位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S354CおよびT366Wである、請求項1~
5、
10~
25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
第2のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の354および366位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S354CおよびT366Wであり;第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の349、366、368、および407位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、Y349C、T366S、L368A、およびY407Vである、請求項1~
5、
10~
25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
(a)第1のポリペプチド鎖は配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は配列番号60のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は配列番号62のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は配列番号63のアミノ酸配列を含み;
(b)第1のポリペプチド鎖は配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は配列番号64のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は配列番号65のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は配列番号63のアミノ酸配列を含み;
(c)第1のポリペプチド鎖は配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は配列番号66のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は配列番号67のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は配列番号63のアミノ酸配列を含み;
(d)第1のポリペプチド鎖は配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は配列番号60のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は配列番号68のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は配列番号69のアミノ酸配列を含み;
(e)第1のポリペプチド鎖は配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチ
ド鎖は配列番号64のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は配列番号70のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は配列番号69のアミノ酸配列を含む;または
(f)第1のポリペプチド鎖は配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は配列番号66のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は配列番号71のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は配列番号69のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の結合タンパク質。
【請求項29】
ウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、ヒト泡沫状ウイルス(HFV)、単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)、または単純ヘルペスウイルス1(HSV-2)である、請求項1~
5、
10~
27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
メモリーT細胞はCD8+またはCD4+メモリーT細胞である、請求項
9に記載の医薬組成物。
【請求項31】
メモリーT細胞はセントラルメモリーT細胞(TCM)またはエフェクターメモリーT細胞(TEM)である、請求項
9または
30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
CD28ポリペプチドはヒトCD28ポリペプチドであり、CD3ポリペプチドはヒトCD3ポリペプチドであり、CD38ポリペプチドはヒトCD38ポリペプチドである、請求項
6~
9、
30、31のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
(a)V
H3ドメインはQVQLQQSGAELVRSGASVKMSCKASGYTFTSFNMHWVKETPGQGLEWIGYIYPGNGGTNYNQKFKGKATLTADTSSSTAYMQISSLTSEDSAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVS(配列番号5)、のアミノ酸配列を含み、V
L3ドメインはDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASESVDSYGNGFMHWYQQ
KPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEADDAATYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号6);のアミノ酸配列を含み、
(b)V
H3ドメインはQVQLVQSGAEVVKPGASVKVSCKASGYTFTSYAMHWVKEAPGQRLEWIGYIYPGQGGTNYNQKFQGRATLTADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVSS(配列番号13)、のアミノ酸配列を含み、V
L3ドメインはDIVLTQSPATLSLSPGERATISCRASQSVSSYGQGFMHWYQQKPGQPPRLLIYGASSRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISPLEPEDFAVYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号14);のアミノ酸配列を含み、
(c)V
H3ドメインはQVQLVQSGAEVVKPGASVKVSCKASGYTFTSFNMHWVKEAPGQRLEWIGYIYPGNGGTNYNQKFQGRATLTADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVSS(配列番号17)、のアミノ酸配列を含み、V
L3ドメインはDIVLTQSPATLSLSPGERATISCRASESVDSYGNGFMHWYQQKPGQPPRLLIYLASSRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISPLEPEDFAVYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号18);のアミノ酸配列を含み、
(d)V
H3ドメインはQVQLVQSGAEVVKSGASVKVSCKASGYTFTSFNMHWVKEAPGQGLEWIGYIYPGNGGTNYNQKFQGRATLTADTSASTAYMEISSLRSEDTAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVSS(配列番号21)、のアミノ酸配列を含み、V
L3ドメインはDIVLTQSPATLSLSPGERATISCRASESVDSYGNGFMHWYQQKPGQPPRLLIYLASSRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISPLEPEDFAVYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号18);のアミノ酸配列を含み、
(e)V
H3ドメインはQVQLVQSGAEVVKPGASVKMSCKASGYTFTSFNMHWVKEAPGQRLEWIGYIYPGNGGTNYNQKFQGRATLTADTSASTAYMEISSLRSEDTAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVSS(配列番号23)、のアミノ酸配列を含み、V
L3ドメインはDIVLTQSPATLSLSPGERATISCRASESVDSYGNGFMHWYQQKPGQPPRLLIYLASSRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISPLEPEDFAVYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号18);のアミノ酸配列を含む、または
(f)V
H3ドメインはQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSNKYYADSVKGRFTISGDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARMFRGAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号9)、のアミノ酸配列を含み、V
L3ドメインはAIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISGLQPEDSATYYCLQDYIYYPTFGQGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含む、請求項
6~9、30~32のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
(a)V
H1ドメインは、GYTFTSYY(配列番号108)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNVNT(配列番号109)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびTRSHYGLDWNFDV(配列番号110)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L1ドメインは、QNIYVW(配列番号111)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KAS(配列番号112)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQGQTYPY(配列番号113)のアミノ酸配列を含むCDR-
L3配列を含む;または
(b)V
H1ドメインは、GFSLSDYG(配列番号114)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IWAGGGT(配列番号115)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARDKGYSYYYSMDY(配列番号116)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L1ドメインは、ESVEYYVTSL(配列番号117)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、AAS(配列番号118)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQSRKVPYT(配列番号119)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む、請求項
6~
9、
30~
33のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
(a)V
H1ドメインはQVQLVQSGAEVVKPGASVKVSCKASGYTFTSYYIHWVRQAPGQGLEWIGSIYPGNVNTNYAQKFQGRATLTVDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCTRSHYGLDWNFDVWGKGTTVTVSS(配列番号49)、のアミノ酸配列を含み、V
L1ドメインはDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQNIYVWLNWYQQKPGKAPKLLIYKASNLHTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDIATYYCQQGQTYPYTFGQGTKLEIK(配列番号50);のアミノ酸配列を含む、または
(b)V
H1ドメインはQVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGFSLSDYGVHWVRQPPGKGLEWLGVIWAGGGTNYNPSLKSRKTISKDTSKNQVSLKLSSVTAADTAVYYCARDKGYSYYYSMDYWGQGTTVTVS(配列番号51)、のアミノ酸配列を含み、V
L1ドメインはDIVLTQSPASLAVSPGQRATITCRASESVEYYVTSLMQWYQQKPGQPPKLLIFAASNVESGVPARFSGSGSGTDFTLTINPVEANDVANYYCQQSRKVPYTFGQGTKLEIK(配列番号52)のアミノ酸配列を含む、請求項
34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
(a)V
H2ドメインは、GFTFTKAW(配列番号120)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IKDKSNSYAT(配列番号121)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびRGVYYALSPFDY(配列番号122)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L2ドメインは、QSLVHNNANTY(配列番号123)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KVS(配列番号124)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびGQGTQYPFT(配列番号125)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む;または
(b)V
H2ドメインは、GFTFTKAW(配列番号126)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IKDKSNSYAT(配列番号127)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびGVYYALSPFDY(配列番号128)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、V
L2ドメインは、QSLVHNNGNTY(配列番号129)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KVS(配列番号130)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびGQGTQYPFT(配列番号131)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む、請求項
6~
9、
30~
35のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
(a)V
H2ドメインはQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFTKAWMHWVRQAPGKQLEWVAQIKDKSNSYATYYADSVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCRGVYYALSPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号53)、のアミノ酸配列を含み、V
L2ドメインはDIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCKSSQSLVHNNANTYLSWYLQKPGQSPQSLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCGQGTQYPFTFGSGTKVEIK(配列番号54
);のアミノ酸配列を含む、または
(b)V
H2ドメインはQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFTKAWMHWVRQAPGKGLEWVAQIKDKSNSYATYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCRGVYYALSPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号84)、のアミノ酸配列を含み、V
L2ドメインはDIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCKSSQSLVHNNGNTYLSWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCGQGTQYPFTFGGGTKVEIK(配列番号85)のアミノ酸配列を含む、請求項
36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
L
1、L
2、L
3またはL
4のうちの少なくとも1つは、独立して、0アミノ酸長である、請求項
6~
9、
30~
37のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
(a)L
1、L
2、L
3およびL
4は、それぞれ独立して、0アミノ酸長であるまたはGGGGSGGGGS(配列番号55)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号56)、S、RT、TKGPS(配列番号57)、GQPKAAP(配列番号58)、およびGGSGSSGSGG(配列番号59);からなる群から選択される配列を含む;または(b)L
1、L
2、L
3およびL
4は、それぞれ独立して、GGGGSGGGGS(配列番号55)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号56)、S、RT、TKGPS(配列番号57)、GQPKAAP(配列番号58)、およびGGSGSSGSGG(配列番号59)からなる群から選択される配列を含む、請求項
6~
9、
30~
37のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
L
1は配列GQPKAAP(配列番号58)を含み、L
2は配列TKGPS(配列番号57)を含み、L
3は配列Sを含み、L
4は配列RTを含む、請求項
6~
9、
30~
37のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、ヒトIgG4のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインであり、ヒンジ-C
H2-C
H3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の234および235位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、F234AおよびL235Aである、請求項
6~
9、
30~
40のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、ヒトIgG4のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインであり、ヒンジ-C
H2-C
H3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の233-236位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、E233P、F234V、L235A、および236における欠失である、請求項
6~
9、
30~
40のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、ヒトIgG4のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインであり、ヒンジ-C
H2-C
H3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228および409位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S228PおよびR409Kである、請求項
6~
9、
30~
42のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、ヒトIgG1のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインであり、ヒンジ-C
H2-C
H3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の234、235、および329位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、L234A、L235A、およびP329Aである、請求項
6~
9、
30~
40のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、ヒトIgG1のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインであり、ヒンジ-C
H2-C
H3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の298、299、および300位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S298N、T299A、およびY300Sである、請求項
6~
9、
30~
40のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項46】
第2のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の349、366、368、および407位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、Y349C、T366S、L368A、およびY407Vであり;第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の354および366位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S354CおよびT366Wである、請求項
6~
9、
30~
45のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
第2のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の354および366位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S354CおよびT366Wであり;第3のポリペプチド鎖のヒンジ-C
H2-C
H3ドメインは、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の349、366、368、および407位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、Y349C、T366S、L368A、およびY407Vである、請求項
6~
9、
30~
45のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項48】
ウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、ヒト泡沫状ウイルス(HFV)、単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)、または単純ヘルペスウイルス1(HSV-2)である、請求項
6~
9、
30~
47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月9日に出願された国際出願第PCT/US2018/055084号;2019年4月9日に出願された米国仮出願第62/831,572号;2019年4月9日に出願された米国仮出願第62/831,608号;および2019年9月11日に出願されたEP出願第19306097.7号の優先権の利益を主張し;これらの全てを参照によってその全体として本明細書に組み入れる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出の内容を参照によってその全体として本明細書に組み入れる:配列表のコンピュータで読み込み可能な形式(CRF)(ファイル名:183952032140SEQLIST.TXT、記録日:2019年10月2日、サイズ:144KB)。
【0003】
本開示は、メモリーT細胞(例えば、ウイルス特異的なメモリーT細胞)を拡大するおよび/または慢性ウイルス感染を処置するための、CD38ポリペプチド(例えば、ヒトおよび/またはカニクイザルCD38ポリペプチド)、CD28ポリペプチド、およびCD3ポリペプチドに特異的に結合する3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含む三重特異性結合タンパク質を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ヒト適応性免疫の一部として、T細胞免疫は、ウイルス感染の制御に極めて重大な役割を果たしており、感染した細胞を排除し、ウイルス感染のクリアランスをもたらす。慢性の感染性疾患、例えば、ヘルペスウイルス感染(HSV、CMV、EBVなど)、HIV、およびHBVでは、ウイルスは、免疫抑制、T細胞消耗(T cell exhaustion)、および潜伏確立(latency establishment)を含む様々な機構によって、それらのヒト中での持続性を確立している。それにもかかわらず、ウイルス感染は、一般的に、サイトカイン放出または細胞傷害性T細胞(CTL)介在性死滅プロセスによって制御または死滅させるために感染した細胞を容易に認識することができる抗原特異的なCD8 T細胞を含むウイルス抗原特異的免疫を誘導する。
【0005】
したがって、インビボおよび/またはエクスビボでのウイルス抗原特異的T細胞活性化および/または増幅は、慢性ウイルス感染に対する治療戦略を提供し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
抗CD38/CD28xCD3三重特異性抗体が本明細書において提供され、その抗体は、開発され、T細胞を活性化し、抗原特異的なT細胞の引き続く増殖および/または増幅する、それらの潜在性が評価された。これらの三重特異性Abは、インビトロで、抗原特異的なCD8 Tセントラルメモリーおよびエフェクターメモリー細胞を含む、CD4およびCD8エフェクターおよびメモリー集団をより有効に拡大することができる。具体的には、CMV、EBV、HIV-1、インフルエンザ特異的なCD8セントラルメモリーおよびエフェクターメモリー細胞のインビトロ拡大が実証された。本明細書に記載の抗CD38/CD28xCD3三重特異性抗体は、CD3/CD28/CD38をエンゲージすることによって新規の特性を示し、T細胞を刺激し、拡大するシグナル伝達経路を提供し、これにより、慢性感染性疾患、例えば、HSV、CMV、EBV、HIV-1、およびHBV感染を処置する有効な戦略をもたらし得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらおよび他の必要性を満たすために、CD38ポリペプチド(例えば、ヒトおよびカニクイザルCD38ポリペプチド)、CD28ポリペプチド、およびCD3ポリペプチドに結合する結合タンパク質が本明細書に提供される。
【0008】
一部の実施形態では、ウイルス特異的なメモリーT細胞を拡大するための方法であって、ウイルス特異的なメモリーT細胞を結合タンパク質と接触させることを含み、結合タンパク質は、3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含み、第1のポリペプチド鎖は、式:
VL2-L1-VL1-L2-CL [I]
で表される構造を含み、
第2のポリペプチド鎖は、式:
VH1-L3-VH2-L4-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [II]
で表される構造を含み、
第3のポリペプチド鎖は、式:
VH3-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [III]
で表される構造を含み、
第4のポリペプチド鎖は、式:
VL3-CL [IV]
で表される構造を含み、式中:
VL1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL3は、第3の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VH1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH3は、第3の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり;
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり;
CH2は、免疫グロブリンCH2重鎖定常ドメインであり;
CH3は、免疫グロブリンCH3重鎖定常ドメインであり;
ヒンジは、CH1およびCH2ドメインに接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり;
L1、L2、L3およびL4は、アミノ酸リンカーであり;
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドは、クロスオーバー軽鎖-重鎖対を形成し;
VH1およびVL1は、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位を形成し、VH2およびVL2は、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位を形成し、VH3およびVL3は、CD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を形成する、方法が本明細書に提供される。
【0009】
一部の実施形態では、ウイルス特異的なメモリーT細胞の拡大に使用するための、3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含む結合タンパク質であって、第1のポリペプチド鎖は、式:
VL2-L1-VL1-L2-CL [I]
で表される構造を含み、
第2のポリペプチド鎖は、式:
VH1-L3-VH2-L4-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [II]
で表される構造を含み、
第3のポリペプチド鎖は、式:
VH3-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [III]
で表される構造を含み、
第4のポリペプチド鎖は、式:
VL3-CL [IV]
で表される構造を含み、式中:
VL1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL3は、第3の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VH1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH3は、第3の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり;
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり;
CH2は、免疫グロブリンCH2重鎖定常ドメインであり;
CH3は、免疫グロブリンCH3重鎖定常ドメインであり;
ヒンジは、CH1およびCH2ドメインに接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり;
L1、L2、L3およびL4は、アミノ酸リンカーであり;
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドは、クロスオーバー軽鎖-重鎖対を形成し;
VH1およびVL1は、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位を形成し、VH2およびVL2は、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位を形成し、VH3およびVL3は、CD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を形成する、結合タンパク質が本明細書に提供される。
【0010】
一部の実施形態では、ウイルス特異的なメモリーT細胞をインビトロまたはエクスビボで結合タンパク質と接触させる。一部の実施形態では、ウイルス特異的なメモリーT細胞を結合タンパク質と接触させることは、ウイルス特異的なメモリーT細胞の活性化および/または増殖を引き起こす。
【0011】
一部の実施形態では、T細胞を拡大するための方法であって、インビトロまたはエクスビボでT細胞を結合タンパク質と接触させることを含み、結合タンパク質は、3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含み、第1のポリペプチド鎖は、式:
VL2-L1-VL1-L2-CL [I]
で表される構造を含み、
第2のポリペプチド鎖は、式:
VH1-L3-VH2-L4-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [II]
で表される構造を含み、
第3のポリペプチド鎖は、式:
VH3-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [III]
で表される構造を含み、
第4のポリペプチド鎖は、式:
VL3-CL [IV]
で表される構造を含み、式中:
VL1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL3は、第3の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VH1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH3は、第3の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり;
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり;
CH2は、免疫グロブリンCH2重鎖定常ドメインであり;
CH3は、免疫グロブリンCH3重鎖定常ドメインであり;
ヒンジは、CH1およびCH2ドメインに接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり;
L1、L2、L3およびL4は、アミノ酸リンカーであり;
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドは、クロスオーバー軽鎖-重鎖対を形成し;
VH1およびVL1は、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位を形成し、VH2およびVL2は、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位を形成し、VH3およびVL3は、CD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を形成する、方法が本明細書に提供される。
【0012】
一部の実施形態では、T細胞を拡大するための方法に使用するための、3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含む結合タンパク質であって、第1のポリペプチド鎖は、式:
VL2-L1-VL1-L2-CL [I]
で表される構造を含み、
第2のポリペプチド鎖は、式:
VH1-L3-VH2-L4-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [II]
で表される構造を含み、
第3のポリペプチド鎖は、式:
VH3-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [III]
で表される構造を含み、
第4のポリペプチド鎖は、式:
VL3-CL [IV]
で表される構造を含み、式中:
VL1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL3は、第3の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VH1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH3は、第3の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり;
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり;
CH2は、免疫グロブリンCH2重鎖定常ドメインであり;
CH3は、免疫グロブリンCH3重鎖定常ドメインであり;
ヒンジは、CH1およびCH2ドメインに接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり;
L1、L2、L3およびL4は、アミノ酸リンカーであり;
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドは、クロスオーバー軽鎖-重鎖対を形成し;
VH1およびVL1は、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位を形成し、VH2およびVL2は、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位を形成し、VH3およびVL3は、CD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を形成する、結合タンパク質が本明細書に提供される。
【0013】
一部の実施形態では、T細胞は、メモリーT細胞またはエフェクターT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を、その細胞表面に発現するまたはCARをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0014】
一部の実施形態では、慢性ウイルス感染を処置するための方法であって、それを必要とする個体に有効量の結合タンパク質を投与することを含み、結合タンパク質は、3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含み、第1のポリペプチド鎖は、式:
VL2-L1-VL1-L2-CL [I]
で表される構造を含み、
第2のポリペプチド鎖は、式:
VH1-L3-VH2-L4-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [II]
で表される構造を含み、
第3のポリペプチド鎖は、式:
VH3-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [III]
で表される構造を含み、
第4のポリペプチド鎖は、式:
VL3-CL [IV]
で表される構造を含み、式中:
VL1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL3は、第3の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VH1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH3は、第3の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり;
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり;
CH2は、免疫グロブリンCH2重鎖定常ドメインであり;
CH3は、免疫グロブリンCH3重鎖定常ドメインであり;
ヒンジは、CH1およびCH2ドメインに接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり;
L1、L2、L3およびL4は、アミノ酸リンカーであり;
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドは、クロスオーバー軽鎖-重鎖対を形成し;
VH1およびVL1は、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位を形成し、VH2およびVL2は、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位を形成し、VH3およびVL3は、CD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を形成する、方法が本明細書に提供される。
【0015】
一部の実施形態では、慢性ウイルス感染を処置するための方法に使用するための、3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含む結合タンパク質であって、第1のポリペプチド鎖は、式:
VL2-L1-VL1-L2-CL [I]
で表される構造を含み、
第2のポリペプチド鎖は、式:
VH1-L3-VH2-L4-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [II]
で表される構造を含み、
第3のポリペプチド鎖は、式:
VH3-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [III]
で表される構造を含み、
第4のポリペプチド鎖は、式:
VL3-CL [IV]
で表される構造を含み、式中:
VL1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL3は、第3の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VH1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH3は、第3の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり;
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり;
CH2は、免疫グロブリンCH2重鎖定常ドメインであり;
CH3は、免疫グロブリンCH3重鎖定常ドメインであり;
ヒンジは、CH1およびCH2ドメインに接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり;
L1、L2、L3およびL4は、アミノ酸リンカーであり;
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドは、クロスオーバー軽鎖-重鎖対を形成し;VH1およびVL1は、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位を形成し、VH2およびVL2は、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位を形成し、VH3およびVL3は、CD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を形成し、前記方法はそれを必要とする個体に有効量の結合タンパク質を投与することを含む、結合タンパク質が本明細書に提供される。
一部の実施形態では、慢性ウイルス感染を処置する方法に使用するための結合タンパク質であって、前記方法は、それを必要とする個体に有効量の結合タンパク質を投与することを含み、結合タンパク質は、3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含み、結合タンパク質の第1のポリペプチド鎖は、式:
VL2-L1-VL1-L2-CL [I]
で表される構造を含み、
結合タンパク質の第2のポリペプチド鎖は、式:
VH1-L3-VH2-L4-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [II]
で表される構造を含み、
結合タンパク質の第3のポリペプチド鎖は、式:
VH3-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [III]
で表される構造を含み、
結合タンパク質の第4のポリペプチド鎖は、式:
VL3-CL [IV]
で表される構造を含み、式中:
VL1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL3は、第3の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VH1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH3は、第3の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり;
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり;
CH2は、免疫グロブリンCH2重鎖定常ドメインであり;
CH3は、免疫グロブリンCH3重鎖定常ドメインであり;
ヒンジは、CH1およびCH2ドメインに接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり;
L1、L2、L3およびL4は、アミノ酸リンカーであり;
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドは、クロスオーバー軽鎖-重鎖対を形成し;
VH1およびVL1は、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位を形成し、VH2およびVL2は、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位を形成し、VH3およびVL3は、CD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を形成する、結合タンパク質が本明細書に提供される。
【0016】
一部の実施形態では、個体は、ヒトである。一部の実施形態では、結合タンパク質は、結合タンパク質および薬学的に許容される担体を含む医薬製剤中で個体に投与される。一部の実施形態では、結合タンパク質の投与は、個体においてウイルス特異的なメモリーT細胞の活性化および/または増殖をもたらす。
【0017】
本明細書に記載の任意の他の実施形態と組み合わせる一部の実施形態では、メモリーT細胞は、CD8+またはCD4+メモリーT細胞である。一部の実施形態では、メモリーT細胞は、セントラルメモリーT細胞(TCM)またはエフェクターメモリーT細胞(TEM)である。
【0018】
本明細書に記載の任意の他の実施形態と組み合わせる一部の実施形態では、CD28ポリペプチドはヒトCD28ポリペプチドであり、CD3ポリペプチドはヒトCD3ポリペプチドであり、CD38ポリペプチドはヒトCD38ポリペプチドである。
【0019】
本明細書に記載の任意の他の実施形態と組み合わせる一部の実施形態では、VH3ドメインは、GYTFTSFN(配列番号31)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNGGT(配列番号32)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、VL3ドメインは、ESVDSYGNGF(配列番号34)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、LAS(配列番号35)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む。一部の実施形態では、VH3ドメインは、GYTFTSYA(配列番号37)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGQGGT(配列番号38)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、VL3ドメインは、QSVSSYGQGF(配列番号39)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、GAS(配列番号40)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む。一部の実施形態では、VH3ドメインは、GFTFSSYG(配列番号41)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IWYDGSNK(配列番号42)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARMFRGAFDY(配列番号43)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、VL3ドメインは、QGIRND(配列番号44)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、AAS(配列番号45)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびLQDYIYYPT(配列番号46)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む。一部の実施形態では、VH3ドメインはQVQLQQSGAELVRSGASVKMSCKASGYTFTSFNMHWVKETPGQGLEWIGYIYPGNGGTNYNQKFKGKATLTADTSSSTAYMQISSLTSEDSAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVS(配列番号5)、のアミノ酸配列を含み、VL3ドメインはDIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASESVDSYGNGFMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEADDAATYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号6)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH3ドメインはQVQLVQSGAEVVKPGASVKVSCKASGYTFTSYAMHWVKEAPGQRLEWIGYIYPGQGGTNYNQKFQGRATLTADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVSS(配列番号13)、のアミノ酸配列を含み、VL3ドメインはDIVLTQSPATLSLSPGERATISCRASQSVSSYGQGFMHWYQQKPGQPPRLLIYGASSRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISPLEPEDFAVYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号14)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH3ドメインはQVQLVQSGAEVVKPGASVKVSCKASGYTFTSFNMHWVKEAPGQRLEWIGYIYPGNGGTNYNQKFQGRATLTADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVSS(配列番号17)、のアミノ酸配列を含み、VL3ドメインはDIVLTQSPATLSLSPGERATISCRASESVDSYGNGFMHWYQQKPGQPPRLLIYLASSRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISPLEPEDFAVYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号18)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH3ドメインはQVQLVQSGAEVVKSGASVKVSCKASGYTFTSFNMHWVKEAPGQGLEWIGYIYPGNGGTNYNQKFQGRATLTADTSASTAYMEISSLRSEDTAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVSS(配列番号21)、のアミノ酸配列を含み、VL3ドメインはDIVLTQSPATLSLSPGERATISCRASESVDSYGNGFMHWYQQKPGQPPRLLIYLASSRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISPLEPEDFAVYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号18)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH3ドメインはQVQLVQSGAEVVKPGASVKMSCKASGYTFTSFNMHWVKEAPGQRLEWIGYIYPGNGGTNYNQKFQGRATLTADTSASTAYMEISSLRSEDTAVYFCARTGGLRRAYFTYWGQGTLVTVSS(配列番号23)、のアミノ酸配列を含み、VL3ドメインはDIVLTQSPATLSLSPGERATISCRASESVDSYGNGFMHWYQQKPGQPPRLLIYLASSRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISPLEPEDFAVYYCQQNKEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号18)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH3ドメインはQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSNKYYADSVKGRFTISGDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARMFRGAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号9)、のアミノ酸配列を含み、VL3ドメインはAIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISGLQPEDSATYYCLQDYIYYPTFGQGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含む。
【0020】
本明細書に記載の任意の他の実施形態と組み合わせる一部の実施形態では、VH1ドメインは、GYTFTSYY(配列番号108)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNVNT(配列番号109)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびTRSHYGLDWNFDV(配列番号110)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、VL1ドメインは、QNIYVW(配列番号111)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KAS(配列番号112)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQGQTYPY(配列番号113)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む。一部の実施形態では、VH1ドメインは、GFSLSDYG(配列番号114)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IWAGGGT(配列番号115)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARDKGYSYYYSMDY(配列番号116)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、VL1ドメインは、ESVEYYVTSL(配列番号117)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、AAS(配列番号118)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQSRKVPYT(配列番号119)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む。一部の実施形態では、VH1ドメインはQVQLVQSGAEVVKPGASVKVSCKASGYTFTSYYIHWVRQAPGQGLEWIGSIYPGNVNTNYAQKFQGRATLTVDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCTRSHYGLDWNFDVWGKGTTVTVSS(配列番号49)、のアミノ酸配列を含み、VL1ドメインはDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQNIYVWLNWYQQKPGKAPKLLIYKASNLHTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDIATYYCQQGQTYPYTFGQGTKLEIK(配列番号50)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH1ドメインはQVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGFSLSDYGVHWVRQPPGKGLEWLGVIWAGGGTNYNPSLKSRKTISKDTSKNQVSLKLSSVTAADTAVYYCARDKGYSYYYSMDYWGQGTTVTVS(配列番号51)、のアミノ酸配列を含み、VL1ドメインはDIVLTQSPASLAVSPGQRATITCRASESVEYYVTSLMQWYQQKPGQPPKLLIFAASNVESGVPARFSGSGSGTDFTLTINPVEANDVANYYCQQSRKVPYTFGQGTKLEIK(配列番号52)のアミノ酸配列を含む。
【0021】
本明細書に記載の任意の他の実施形態と組み合わせる一部の実施形態では、VH2ドメインは、GFTFTKAW(配列番号120)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IKDKSNSYAT(配列番号121)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびRGVYYALSPFDY(配列番号122)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、VL2ドメインは、QSLVHNNANTY(配列番号123)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KVS(配列番号124)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびGQGTQYPFT(配列番号125)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む。一部の実施形態では、GFTFTKAW(配列番号126)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IKDKSNSYAT(配列番号127)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびGVYYALSPFDY(配列番号128)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含み、VL2ドメインは、QSLVHNNGNTY(配列番号129)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KVS(配列番号130)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびGQGTQYPFT(配列番号131)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む。一部の実施形態では、VH2ドメインはQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFTKAWMHWVRQAPGKQLEWVAQIKDKSNSYATYYADSVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCRGVYYALSPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号53)、のアミノ酸配列を含み、VL2ドメインはDIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCKSSQSLVHNNANTYLSWYLQKPGQSPQSLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCGQGTQYPFTFGSGTKVEIK(配列番号54)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH2ドメインはQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFTKAWMHWVRQAPGKGLEWVAQIKDKSNSYATYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCRGVYYALSPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号84)、のアミノ酸配列を含み、VL2ドメインはDIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCKSSQSLVHNNGNTYLSWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCGQGTQYPFTFGGGTKVEIK(配列番号85)のアミノ酸配列を含む。
【0022】
本明細書に記載の任意の他の実施形態と組み合わせる一部の実施形態では、L1、L2、L3またはL4のうちの少なくとも1つは、独立して、0アミノ酸長である。一部の実施形態では、L1、L2、L3およびL4は、それぞれ独立して、0アミノ酸長であるまたはGGGGSGGGGS(配列番号55)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号56)、S、RT、TKGPS(配列番号57)、GQPKAAP(配列番号58)、およびGGSGSSGSGG(配列番号59)からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態では、L1、L2、L3およびL4は、それぞれ独立して、GGGGSGGGGS(配列番号55)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号56)、S、RT、TKGPS(配列番号57)、GQPKAAP(配列番号58)、およびGGSGSSGSGG(配列番号59)からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態では、L1は、配列GQPKAAP(配列番号58)を含み、L2は、配列TKGPS(配列番号57)を含み、L3は配列Sを含み、L4は配列RTを含む。
【0023】
本明細書に記載の任意の他の実施形態と組み合わせる一部の実施形態では、第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-CH2-CH3ドメインは、ヒトIgG4のヒンジ-CH2-CH3ドメインであり、ヒンジ-CH2-CH3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の234および235位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、F234AおよびL235Aである。一部の実施形態では、第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-CH2-CH3ドメインは、ヒトIgG4のヒンジ-CH2-CH3ドメインであり、ヒンジ-CH2-CH3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の233~236位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、E233P、F234V、L235A、および236における欠失である。一部の実施形態では、第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-CH2-CH3ドメインは、ヒトIgG4のヒンジ-CH2-CH3ドメインであり、ヒンジ-CH2-CH3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228および409位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S228PおよびR409Kである。一部の実施形態では、第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-CH2-CH3ドメインは、ヒトIgG1のヒンジ-CH2-CH3ドメインであり、ヒンジ-CH2-CH3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の234、235、および329位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、L234A、L235A、およびP329Aである。一部の実施形態では、第2および第3のポリペプチド鎖のヒンジ-CH2-CH3ドメインは、ヒトIgG1のヒンジ-CH2-CH3ドメインであり、ヒンジ-CH2-CH3ドメインはそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の298、299、および300位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S298N、T299A、およびY300Sである。一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖のヒンジ-CH2-CH3ドメインは、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の349、366、368、および407位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、Y349C、T366S、L368A、およびY407Vであり;第3のポリペプチド鎖のヒンジ-CH2-CH3ドメインは、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の354および366位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S354CおよびT366Wである。一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖のヒンジ-CH2-CH3ドメインは、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の354および366位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S354CおよびT366Wであり;第3のポリペプチド鎖のヒンジ-CH2-CH3ドメインは、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の349、366、368、および407位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、Y349C、T366S、L368A、およびY407Vである。
【0024】
ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号60のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号62のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は、配列番号63のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号64のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号65のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は、配列番号63のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号66のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号67のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は、配列番号63のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号60のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号68のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は、配列番号69のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号64のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号70のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は、配列番号69のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号66のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号71のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は、配列番号69のアミノ酸配列を含む。
【0025】
本明細書に記載の任意の他の実施形態と組み合わせる一部の実施形態では、ウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、ヒト泡沫状ウイルス(HFV)、単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)、または単純ヘルペスウイルス1(HSV-2)である。
【0026】
本明細書に記載の様々な実施形態の特性の1つ、一部、または全てを本発明の他の実施形態を形成するために組み合わせることができることが理解されるべきである。本発明のこれらの態様および他の態様は、当業者に明らかとなる。本発明のこれらの実施形態および他の実施形態は、以下の詳細な説明によってさらに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】3つの標的タンパク質:CD28、CD3、およびCD38に結合する3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含む三重特異性結合タンパク質の略図を提供する図である。ポリペプチドの第1の対は、CD3およびCD28を認識する2つの抗原結合部位を形成するクロスオーバー配向を有する二重可変ドメイン(VH1-VH2およびVL2-VL1)を有し、ポリペプチドの第2の対は、CD38を認識する単一抗原結合部位を形成する単一可変ドメイン(VH3およびVL3)を有する。
図1に示された三重特異性結合タンパク質は、単一可変ドメインを含むポリペプチドの第2の対にノブがある「knobs-into-holes」変異を含むIgG4定常領域を使用する。
【
図2】SPRによって測定された場合の、示された三重特異性結合タンパク質のその同族抗原(ヒトCD3、CD28、およびCD38)に対する結合親和性を要約する図である。
【
図3】SPRまたはフローサイトメトリー(FACS)によって測定された場合の、ヒトCD38に対する示された抗CD38×抗CD28×抗CD3三重特異性結合タンパク質の結合親和性を要約する図である。
【
図4-1】
図4A-4Dは、CD38VH1/CD3mid×CD28sup三重特異性抗体に応答したインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞サブセットの拡大の評価は、外因性サイトカインの非存在下、350ng/ウェルのCD38三重特異性Abによる被覆ウェルによって行った。T細胞集団は示された時点で測定した。3つの変異抗原結合ドメインを有する三重特異性Abを陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してセントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD4 T細胞(
図4A)、ヘルパーT細胞(Th1、Th17、Th2)(
図4B)、セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8 T細胞(
図4C)、ならびにサイトメガロウイルス(CMV)pp65特異的CD8細胞(
図4D)を実施例3に記載されているように決定した。CMV特異的pp65エフェクター細胞の解析を、CD38三重特異性抗体またはトリプルネガティブ対照抗体で処置したHLA-A2 CMV+ドナー由来の末梢血単核細胞(PBMC)の五量体染色によって行った。
【
図5A】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、CMV感染ドナーBから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してCMV特異的メモリーCD8+T細胞(
図5A)、ならびにCMV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図5B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、CMV特異的メモリーCD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図5B】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、CMV感染ドナーBから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してCMV特異的メモリーCD8+T細胞(
図5A)、ならびにCMV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図5B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、CMV特異的メモリーCD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図6A】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、CMV感染ドナーCから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してCMV特異的メモリーCD8+T細胞(
図6A)、ならびにCMV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図6B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、CMV特異的メモリーCD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図6B】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、CMV感染ドナーCから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してCMV特異的メモリーCD8+T細胞(
図6A)、ならびにCMV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図6B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、CMV特異的メモリーCD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図7A】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、エプスタイン-バーウイルス(EBV)感染ドナーAから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してEBV特異的メモリーCD8+T細胞(
図7A)、ならびにEBV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図7B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、EBV特異的メモリーCD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図7B】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、エプスタイン-バーウイルス(EBV)感染ドナーAから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してEBV特異的メモリーCD8+T細胞(
図7A)、ならびにEBV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図7B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、EBV特異的メモリーCD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図8A】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、EBV感染ドナーBから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してEBV特異的メモリーCD8+T細胞(
図8A)、ならびにEBV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図8B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、EBV特異的メモリーCD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図8B】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、EBV感染ドナーBから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してEBV特異的メモリーCD8+T細胞(
図8A)、ならびにEBV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図8B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、EBV特異的メモリーCD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図9】ベースライン(0日目;三重特異性抗体とのインキュベーションの前)でHIV Gag特異的CD8+T細胞(PEにコンジュゲートされたA
*02:01-SLYNTVATL(HIV-1 gag p17 76-84)ペンタマー、ProImmune)についてアッセイされた、示されたヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性ドナー由来のPBMCのフローサイトメトリープロファイル(下のパネルおよび右上のパネル)を示す図である。HIV陰性ドナー由来のPBMCを陰性対照として使用した(左上のパネル)。Gag特異的CD8+T細胞集団のパーセンテージが提供され、挿入ボックスとして示される。ベースラインでHIV陽性ドナー由来のPBMCは、HIV Gag特異的CD8+T細胞を含有している。
図9のドナーA~Cは、
図10A~12Bに示されたドナーD~Fと同じである。
【
図10A】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、HIV陽性ドナーDから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してHIV特異的メモリーCD8+T細胞(
図10A)、ならびにHIV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図10B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、エフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図10B】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、HIV陽性ドナーDから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してHIV特異的メモリーCD8+T細胞(
図10A)、ならびにHIV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図10B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、エフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図11A】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、HIV陽性ドナーEから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してHIV特異的メモリーCD8+T細胞(
図11A)、ならびにHIV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図11B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、エフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図11B】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、HIV陽性ドナーEから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してHIV特異的メモリーCD8+T細胞(
図11A)、ならびにHIV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図11B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、エフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図12A】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、HIV陽性ドナーFから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してHIV特異的メモリーCD8+T細胞(
図12A)、ならびにHIV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図12B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、エフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図12B】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、HIV陽性ドナーFから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してHIV特異的メモリーCD8+T細胞(
図12A)、ならびにHIV特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図12B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、エフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞の増殖を促進した。
【
図13A】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、インフルエンザ感染ドナーAから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してインフルエンザ(Flu)特異的メモリーCD8+T細胞(
図13A)、ならびにFlu特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図13B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、T
em CD8+T細胞(例えば、7、11日目を参照のこと)およびT
cm CD8+T細胞(例えば、7日目を参照のこと)の増殖を促進した。
【
図13B】CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体に応答した、インフルエンザ感染ドナーAから採取されたPBMCにおけるインビトロでのT細胞サブセットの拡大の特徴を示す図である。T細胞集団は示された時点で測定した。トリプル変異体三重特異性抗体を陰性対照として使用した。フローサイトメトリーを使用してインフルエンザ(Flu)特異的メモリーCD8+T細胞(
図13A)、ならびにFlu特異的セントラルメモリー(T
cm)およびエフェクターメモリー(T
em)CD8+T細胞(
図13B)を定量化した。CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体はT細胞を活性化し、T
em CD8+T細胞(例えば、7、11日目を参照のこと)およびT
cm CD8+T細胞(例えば、7日目を参照のこと)の増殖を促進した。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示は、メモリーT細胞(例えば、ウイルス特異的なメモリーT細胞)を拡大するおよび/または慢性ウイルス感染を処置することに使用を見出すことができる、CD38ポリペプチド(例えば、ヒトおよびカニクイザルCD38ポリペプチド)、CD28ポリペプチド、およびCD3ポリペプチドに特異的に結合する3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含む三重特異性結合タンパク質を提供する。
【0029】
I.一般的定義
本開示に従って利用されるように、以下の用語は、別段に示されていない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである。文脈によって別段に要求されない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。この明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、内容が別段に明確にそれ以外を指示しない限り、複数形を含む。したがって、例えば、「分子(a molecule)」への言及は、場合により、2つまたはそれ以上のこのような分子の組合せなどを含む。
【0030】
本明細書に記載の本開示の態様および実施形態は、態様および実施形態を「含む」、「からなる」、および「から本質的になる」を含むことが理解される。
【0031】
本明細書で使用される用語「ポリヌクレオチド」は、少なくとも10ヌクレオチド長の一本鎖または二本鎖核酸ポリマーを指す。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドまたはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾形態であってもよい。このような修飾には、ブロモウリジンなどの塩基修飾、アラビノシドおよび2’,3’-ジデオキシリボースなどのリボース修飾、ならびにホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)、ホスホロアニラデート(phoshoraniladate)およびホスホロアミデートなどのヌクレオチド間連結修飾が含まれる。具体的には、用語「ポリヌクレオチド」は、DNAの一本鎖および二本鎖形態を含む。
【0032】
「単離されたポリヌクレオチド」は、(1)単離されたポリヌクレオチドが天然に見られるポリヌクレオチドの全てまたは一部と関連していない、(2)天然に連結されていないポリヌクレオチドに連結されている、または(3)より大きな配列の一部として天然に生じない、ゲノム、cDNA、もしくは合成起源のポリヌクレオチドまたはそれらのいくつかの組合せである。
【0033】
「単離されたポリペプチド」は、以下のものである:(1)通常、ともに見られる少なくともいくつかの他のポリペプチドを含まない、(2)同じ供給源に由来する、例えば、同じ種に由来する他のポリペプチドを本質的に含まない、(3)異なる種に由来する細胞によって発現される、(4)天然に会合しているポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、もしくは他の材料のうち少なくとも約50パーセントから分離されている、(5)「単離されたポリペプチド」が天然に会合しているポリペプチドの部分と会合していない(共有結合性または非共有結合性相互作用によって)、(6)天然には会合していないポリペプチドと作動可能に会合している(共有結合性または非共有結合性相互作用によって)、または(7)天然に生じない。このような単離されたポリペプチドは、ゲノムDNA、cDNA、mRNAもしくは他のRNAによってコードされるか、合成起源のものであるか、またはその任意の組合せであってもよい。好ましくは、単離されたポリペプチドは、その使用(治療的、診断的、予防的、研究的または他の)を干渉するであろう、その天然環境において見られるポリペプチドまたは他の夾雑物を実質的に含まない。
【0034】
天然に存在する抗体は、典型的には、四量体を含む。このような四量体はそれぞれ、典型的には、2つの同一のポリペプチド鎖対から構成され、各対は、1つの全長「軽」鎖(典型的には、約25kDaの分子量を有する)および1つの全長「重」鎖(典型的には、約50~70kDaの分子量を有する)を有する。本明細書で使用される用語「重鎖」および「軽鎖」は、標的抗原に対する特異性を付与するのに十分な可変ドメイン配列を有する任意の免疫グロブリンポリペプチドを指す。各軽鎖および重鎖のアミノ末端部分は、典型的には、抗原認識を担う約100から110個またはそれ以上のアミノ酸の可変ドメインを含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、典型的には、エフェクター機能を担う定常ドメインを定義する。したがって、天然に存在する抗体では、全長重鎖免疫グロブリンポリペプチドは、可変ドメイン(VH)および3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)を含み、VHドメインはポリペプチドのアミノ末端にあり、CH3ドメインは、カルボキシル末端にあり、全長軽鎖免疫グロブリンポリペプチドは、可変ドメイン(VL)および定常ドメイン(CL)を含み、VLドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にあり、CLドメインは、カルボキシル末端にある。
【0035】
ヒト軽鎖は、典型的には、カッパおよびラムダ軽鎖として分類され、ヒト重鎖は、典型的には、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして定義する。IgGは、限定されないが、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むいくつかのサブクラスを有する。IgMは、限定されないが、IgM1およびIgM2を含むサブクラスを有する。IgAは、限定されないが、IgA1およびIgA2を含むサブクラスに同様に細分される。全長軽鎖および重鎖内で、可変および定常ドメインは、典型的には、約12個またはそれ以上のアミノ酸の「J」領域によって接続され、重鎖は約10個多いアミノ酸の「D」領域も含む。例えば、全ての目的のために参照によってその全体を本明細書に組み入れる、FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY(Paul,W.編、Raven Press、第2版、1989)を参照されたい。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、典型的には、抗原結合部位を形成する。天然に存在する抗体の可変ドメインは、典型的には、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる3つの超可変領域によって接続された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を示す。各対の2つの鎖に由来するCDRは、典型的には、フレームワーク領域によってアラインされ、特定のエピトープとの結合を可能にし得る。軽鎖および重鎖可変ドメインの両方は、アミノ末端からカルボキシル末端に向かって、典型的には、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4を含む。
【0036】
用語「CDRセット」は、抗原に結合することが可能な、単一可変領域中に生じる3つのCDRの群を指す。これらのCDRの正確な境界は、異なる系によって異なって定義されている。Kabat(Kabatら、SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST(National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1987)および(1991))によって記載された系は、抗体のいかなる可変領域にも適用可能な明白な残基番号付けシステムを提供するだけでなく、3つのCDRを定義する正確な残基境界も提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと称されることがある。Chothiaおよび共同研究者(ChothiaおよびLesk、1987、J.Mol.Biol.196:901~17頁;Chothiaら、1989、Nature 342:877~83頁)は、Kabat CDR内の特定の一部分(sub-portion)が、アミノ酸配列のレベルで大きな多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド骨格コンホメーションをとることを見出した。これらの一部分は、L1、L2、およびL3またはH1、H2、およびH3と表され、ここで、「L」および「H」は、それぞれ、軽鎖および重鎖領域を表す。これらの領域は、Chothia CDRと呼ばれることもあり、これは、Kabat CDRと重複する境界を有する。Kabat CDRと重複するCDRを定義する他の境界は、Padlan、1995、FASEB J. 9:133~39頁;MacCallum、1996、J.Mol.Biol. 262(5):732~45頁;およびLefranc、2003、Dev.Comp.Immunol. 27:55~77頁によって記載されている。さらに他のCDR境界定義は、本明細書の系のものを厳密にたどらない場合もあるが、それにもかかわらず、Kabat CDRと重複するが、それらは、特定の残基または残基の群または全CDRでさえも、抗原結合に有意に影響を与えないという予測または実験的知見を鑑みて、短縮されるかまたは延長される。本明細書で使用される方法は、これらの系のいずれかに従って定義されるCDRを利用することができるが、ある特定の実施形態は、KabatまたはChothiaによって定義されるCDRを使用する。アミノ酸配列を使用する予測されるCDRの同定は、Antibody Engineering、第2巻. Kontermann R.、Dubel S.編 Springer-Verlag、Berlin、33~51頁(2010)中の、Martin,A.C.「Protein sequence and structure analysis of antibody variable domains」においてなど、当技術分野で周知である。重鎖および/または軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列はまた、配列超可変性の領域を決定するために、他の従来方法によって、例えば、他の重鎖および軽鎖可変領域の既知アミノ酸配列との比較によって、CDRの配列を同定するために検査される。番号付けされた配列は、目視によって、またはThompson、1994、Nucleic Acids Res. 22:4673~80頁に記載されるようなCLUSTALスーツのプログラムのうちの1つのようなアラインメントプログラムを用いることによって、アラインすることができる。分子モデルは、フレームワークおよびCDR領域を正確に描写し、よって、配列ベースの割り当てを補正するために従来のように使用される。
【0037】
一部の実施形態では、免疫グロブリン軽鎖または重鎖におけるCDR/FRの定義は、IMGT定義(Lefrancら Dev.Comp.Immunol.、2003、27(1):55~77頁;www.imgt.org)に基づいて決定される。
【0038】
本明細書で使用される用語「Fc」は、単量体形態であるか多量体形態であるかにかかわらず、抗体の消化に起因するかまたは他の手段によって産生され、ヒンジ領域を含有し得る非抗原結合断片の配列を含む分子を指す。天然Fcの元の免疫グロブリン供給源は、好ましくは、ヒト起源のものであり、免疫グロブリンのいずれかであってもよい。Fc分子は、共有結合的(すなわち、ジスルフィド結合)および非共有結合的会合によって二量体形態または多量体形態に連結される単量体ポリペプチドから構成される。天然Fc分子の単量体サブユニット間の分子間ジスルフィド結合の数は、クラス(例えば、IgG、IgA、およびIgE)またはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgA1、IgGA2、およびIgG4)に応じて1から4の範囲である。Fcの一例は、IgGのパパイン消化により生じるジスルフィド結合された二量体である。本明細書で使用される用語「天然Fc」は、単量体、二量体、および多量体形態に対して包括的である。
【0039】
F(ab)断片は、典型的には、1つの軽鎖ならびに1つの重鎖のVHおよびCH1ドメインを含み、F(ab)断片のVH-CH1重鎖部分は、別の重鎖ポリペプチドとジスルフィド結合を形成することができない。本明細書で使用される、F(ab)断片はまた、アミノ酸リンカーによって分けられた2つの可変ドメインを含有する1つの軽鎖ならびにアミノ酸リンカーによって分けられた2つの可変ドメインおよびCH1ドメインを含有する1つの重鎖を含むことができる。
【0040】
F(ab’)断片は、典型的には、2つの重鎖間に鎖間ジスルフィド結合が形成され、F(ab’)2分子を形成することができるように、1つの軽鎖および定常領域のより多く(CH1およびCH2ドメインの間)を含有する1つの重鎖の部分を含む。
【0041】
本明細書で使用される用語「結合タンパク質」は、少なくとも1つの標的抗原、例えば、本開示のCD38ポリペプチドに特異的に結合する天然に存在しない(または組換えもしくは操作された)分子を指す。
【0042】
「組換え」分子は、組換え手段によって、調製され、発現され、作製され、または単離されたものである。
【0043】
本開示の一実施形態は、1から3つの間の標的抗原に対して生物学的および免疫学的特異性を有する結合タンパク質を提供する。本開示の別の実施形態は、このような結合タンパク質を形成するポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。本開示の別の実施形態は、このような結合タンパク質を形成するポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む発現ベクターを提供する。本開示のさらに別の実施形態は、このような結合タンパク質を発現する(すなわち、このような結合タンパク質を形成するポリペプチド鎖をコードする核酸分子またはベクターを含む)宿主細胞を提供する。
【0044】
本明細書で使用される用語「交換可能性(swapability)」は、結合タンパク質形式内の、フォールディングおよび最終的な結合親和性を保持した可変ドメインの互換性を指す。「完全交換可能性(Full swapability)」は、結合親和性の保持によって証明されるような結合タンパク質の完全機能を維持しながら、式Iのポリペプチド鎖または式IIのポリペプチド鎖中のVH1およびVH2ドメイン両方の順序、したがって、VL1およびVL2ドメインの順序を交換する(すなわち、順序を逆転する)能力を指す。さらに、注目すべきは、命名VHおよびVLは、最終形式における特定のタンパク質鎖上のドメインの位置のみを指すことである。例えば、VH1およびVH2は、親抗体中のVL1およびVL2ドメインに由来し、結合タンパク質中のVH1およびVH2位置中に位置する可能性がある。同様に、VL1およびVL2は、親抗体中のVH1およびVH2ドメインに由来し、結合タンパク質中のVH1およびVH2位置に位置する可能性がある。よって、VHおよびVL命名は、親抗体中の元の位置ではなく現在の位置を指す。したがって、VHおよびVLドメインは、「交換可能」である。
【0045】
本明細書で使用される用語「抗原」または「標的抗原」または「抗原標的」は、結合タンパク質によって結合されることができ、その抗原のエピトープに結合することが可能な抗体を産生するために動物において使用することがさらに可能な分子または分子の一部を指す。標的抗原は、1つまたはそれ以上のエピトープを有する場合がある。結合タンパク質によって認識される各標的抗原に関して、結合タンパク質は、標的抗原を認識する無傷の抗体と競合することが可能である。
【0046】
「CD38」は、表面抗原分類(cluster of differentiation)38ポリペプチドであり、多くの免疫細胞の表面に見出される糖タンパク質である。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、1つまたはそれ以上のCD38ポリペプチドの細胞外ドメインに結合する。例示的なCD38細胞外ドメインポリペプチド配列として、限定されないが、ヒト38の細胞外ドメイン(例えば、配列番号1で表されるような)およびカニクイザルCD38の細胞外ドメイン(例えば、配列番号30で表されるような)が挙げられる。
【0047】
用語「T細胞エンゲージャー」は、宿主の免疫系、より詳細にはT細胞の細胞傷害性活性を対象とする、ならびに腫瘍標的タンパク質を対象とする結合タンパク質を指す。
【0048】
用語「単一特異性結合タンパク質」は、1つの抗原標的に特異的に結合する結合タンパク質を指す。
【0049】
用語「一価の結合タンパク質」は、1つの抗原結合部位を有する結合タンパク質を指す。
【0050】
用語「二重特異性結合タンパク質」は、2つの異なる抗原標的に特異的に結合する結合タンパク質を指す。一部の実施形態では、二重特異性結合タンパク質は、2つの異なる抗原に結合する。一部の実施形態では、二重特異性結合タンパク質は、同じ抗原上の2つの異なるエピトープに結合する。
【0051】
用語「二価の結合タンパク質」は、2つの結合部位を有する結合タンパク質を指す。
【0052】
用語「三重特異性結合タンパク質」は、3つの異なる抗原標的と特異的に結合する結合タンパク質を指す。一部の実施形態では、三重特異性結合タンパク質は、3つの異なる抗原に結合する。一部の実施形態では、三重特異性結合タンパク質は、同じ抗原上の1つ、2つ、または3つの異なるエピトープに結合する。
【0053】
用語「三価の結合タンパク質」は、3つの結合部位を有する結合タンパク質を指す。特定の実施形態では、三価の結合タンパク質は、1つの抗原標的に結合することができる。他の実施形態では、三価の結合タンパク質は、2つの抗原標的に結合することができる。他の実施形態では、三価の結合タンパク質は、3つの抗原標的に結合することができる。
【0054】
「単離された」結合タンパク質は、その天然環境の成分から同定および分離および/または回収されたものである。その天然環境の夾雑物成分は、結合タンパク質の診断的または治療的使用を妨害する材料であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含む場合がある。一部の実施形態では、結合タンパク質は、(1)ローリー法によって決定される、抗体の95重量%超、最も好ましくは、99重量%超まで、(2)スピニングカップシークエネーターの使用によって少なくとも15残基のN末端もしくは内部アミノ酸配列を得るのに十分な程度まで、または(3)クーマシーブルー、もしくは好ましくは、銀染色を使用して、還元もしくは非還元条件下でのSDS-PAGEによって均一になるまで精製される。単離された結合タンパク質は、組換え細胞内にインサイチューの結合タンパク質を含むが、これは、結合タンパク質の天然環境の少なくとも1種の成分が存在しないからである。
【0055】
本明細書で使用される用語「実質的に純粋な」または「実質的に精製された」は、存在する優先種である(すなわち、モルベースで、組成物中の任意の他の個々の種よりも豊富である)化合物または種を指す。一部の実施形態では、実質的に精製された画分は、種が、存在する全ての高分子種の少なくとも約50%(モルベースで)を含む組成物である。他の実施形態では、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種のうちの約80%、85%、90%、95%、または99%超を含む。さらに他の実施形態では、種は、本質的に均一にまで精製され(夾雑物種を従来の検出方法によって組成物中で検出することができない)、組成物は、単一の高分子種から本質的になる。
【0056】
用語「エピトープ」は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することが可能な任意の決定基、好ましくはポリペプチド決定基を含む。ある特定の実施形態では、エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基、またはスルホニル基などの分子の化学的に活性な表面グルーピングを含み、ある特定の実施形態では、特異的な三次元構造的特徴および/または特異的な電荷特徴を有する。エピトープは、抗体または結合タンパク質が結合する抗原の領域である。ある特定の実施形態では、結合タンパク質は、タンパク質および/または高分子の複合混合物中でその標的抗原を優先的に認識する場合に、抗原に特異的に結合するといわれる。一部の実施形態では、結合タンパク質は、平衡解離定数が≦10-8Mである場合に、より好ましくは平衡解離定数が≦10-9Mである場合に、最も好ましくは解離定数が≦10-10Mである場合に、抗原に特異的に結合するといわれる。
【0057】
結合タンパク質の解離定数(KD)は、例えば、表面プラズモン共鳴によって決定することができる。一般的に、表面プラズモン共鳴分析は、リガンド(バイオセンサーマトリックス上の標的抗原)と分析物(溶液中の結合タンパク質)の間のリアルタイム結合相互作用を、BIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor;Piscataway、NJ)を使用する表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定する。表面プラズモン分析はまた、分析物(バイオセンサーマトリックス上の結合タンパク質)を固定化することおよびリガンド(標的抗原)を提示することによって実施することができる。本明細書で使用される用語「KD」は、特定の結合タンパク質と標的抗原の間の相互作用の解離定数を指す。
【0058】
結合タンパク質に言及して本明細書で使用される用語「に結合する」は、結合タンパク質またはその抗原結合断片の、少なくとも約1x10-6M、1x10-7M、1x10-8M、1x10-9M、1x10-10M、1x10-11M、1x10-12M、もしくはそれ以上のKdでエピトープを含有する抗原に結合する能力、および/または非特異的抗原に対するその親和性よりも少なくとも2倍より大きい親和性でエピトープに結合する能力を指す。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、2つまたはそれ以上の抗原、例えば、ヒトおよびカニクイザルCD38ポリペプチドに結合する。
【0059】
一部の実施形態では、本開示の抗原結合ドメインおよび/または結合タンパク質は、ヒトおよびカニクイザルCD38ポリペプチド、例えば、配列番号1(ヒトCD38アイソフォームA)、配列番号105(ヒトCD38アイソフォームE)および配列番号30(カニクイザルCD38)などのCD38細胞外ドメインと「交差反応する」。抗原1(Ag1)に結合する結合タンパク質は、EC50が両方の抗原に対して同様の範囲内である場合、抗原2(Ag2)に対して「交差反応性」である。本出願では、Ag1に結合する結合タンパク質は、Ag1の親和性に対するAg2の親和性の比が10に等しいかまたは10未満(例えば、5、2、1または0.5)である場合(親和性は両方の抗原に関して同じ方法で測定される)、Ag1に結合する結合タンパク質は、Ag2に対して交差反応性である。
【0060】
Ag1に結合する結合タンパク質は、親和性が2つの抗原に関して非常に異なる場合、Ag2に対して「有意に交差反応性ではない」。Ag2に関する親和性は、結合応答が低すぎる場合には測定不能であり得る。本出願では、Ag1に結合する結合タンパク質は、Ag2に対する結合タンパク質の結合応答が同じ実験設定でかつ同じ抗体濃度でAg1に対する同じ結合タンパク質の結合応答の5%未満である場合、Ag2に対して有意に交差反応性ではない。実際には、使用される結合タンパク質濃度は、EC50またはAg1で得られた飽和プラトーに達するのに必要とされる濃度であり得る。
【0061】
本明細書で使用される用語「リンカー」は、軽鎖および重鎖のドメインがクロスオーバー二重可変領域免疫グロブリンにフォールディングするのに十分な可動性を提供するために、免疫グロブリンドメイン間に挿入された1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を指す。リンカーは、配列レベルで、それぞれ、可変ドメインの間または可変ドメインと定常ドメインの間の遷移部に挿入される。免疫グロブリンドメインのおよそのサイズが十分に理解されているため、ドメイン間の遷移部を特定することができる。ドメイン遷移部の正確な位置は、実験データによって実証されるように、またはモデリングもしくは二次構造予測の技法によって推定することができるように、ベータシートまたはアルファへリックスなどの二次構造エレメントを形成しないペプチドストレッチを位置付けることによって決定することができる。本明細書に記載のリンカーは、VL2のC末端とVL1ドメインのN末端の間の軽鎖上に位置するL1;およびVL1のC末端とCLドメインのN末端の間の軽鎖上に位置するL2と称される。重鎖リンカーは、VH1のC末端とVH2ドメインのN末端の間に位置するL3;およびVH2のC末端とCH1ドメインのN末端の間に位置するL4として知られている。
【0062】
本明細書で使用される用語「ベクター」は、コーディング情報を宿主細胞に移すために使用される任意の分子(例えば、核酸、プラスミド、またはウイルス)を指す。用語「ベクター」は、連結されている別の核酸を輸送することが可能である核酸分子を含む。1つのタイプのベクターは、追加のDNAセグメントを挿入することができる環状二本鎖DNA分子を指す「プラスミド」である。別のタイプのベクターは、追加のDNAセグメントをウイルスゲノム中に挿入することができるウイルスベクターである。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞中で自己複製することが可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入の際に宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、それによって、宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に連結されている遺伝子の発現を指示することが可能である。このようなベクターは、本明細書において、「組換え発現ベクター」(または簡単に、「発現ベクター」)と称される。一般的に、組換えDNA技法において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。プラスミドは、ベクターの最も一般的に使用される形態である、用語「プラスミド」および「ベクター」は、本明細書において互換的に使用することができる。しかし、本開示は、同等の機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損のレトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)などの発現ベクターの他の形態を含むことを意図する。
【0063】
本明細書で使用される語句「組換え宿主細胞」(または「宿主細胞」)は、組換え発現ベクターが導入されている細胞を指す。組換え宿主細胞または宿主細胞は、特定の対象細胞だけでなく、このような細胞の後代も指すことを意図する。変異または環境的影響のいずれかのために、特定の修飾が続く世代において起こる場合があるので、このような後代は、実際には、その親細胞と同一ではない場合があるが、このような細胞は、本明細書で使用される用語「宿主細胞」の範囲内に依然として含まれる。結合タンパク質を発現させるために、細菌、酵母、バキュロウイルス、および哺乳動物発現系(ならびにファージディスプレイ発現系)を含む多種多様な宿主細胞発現系を使用することができる。好適な細菌発現ベクターの一例は、pUC19である。結合タンパク質を組換えによって発現させるために、宿主細胞は、結合タンパク質のポリペプチド鎖をコードするDNA断片を運ぶ1つまたはそれ以上の組換え発現ベクターを用いて形質転換またはトランスフェクトされ、その結果、宿主細胞においてポリペプチド鎖が発現され、好ましくは、宿主細胞が培養される培地中に分泌され、その培地から、結合タンパク質を回収することができる。
【0064】
本明細書で使用される用語「形質転換」は、細胞の遺伝的特徴の変化を指し、細胞は、新規DNAを含有するように改変されている場合に形質転換されている。例えば、その天然状態から遺伝的に改変されている細胞は、形質転換されている。形質転換後、形質転換DNAは、細胞の染色体中に物理的に組み込まれることによって細胞のものと組換えられるか、または複製されずにエピソームエレメントとして一過的に維持されるか、またはプラスミドとして独立して複製する場合がある。細胞は、DNAが細胞分裂とともに複製される場合に安定に形質転換されていると考えられる。本明細書で使用される用語「トランスフェクション」は、細胞による外来または外因性DNAの取り込みを指し、細胞は、外因性DNAが細胞膜内に導入されている場合に「トランスフェクトされている」。いくつかのトランスフェクション技法が当技術分野において周知である。このような技法を使用して、1つまたはそれ以上の外因性DNA分子を好適な宿主細胞中に導入することができる。
【0065】
本明細書で使用され、物体に対して適用される場合、用語「天然に存在する」は、その物体が自然の中で見出され、ヒトによって操作されていないという事実を指す。例えば、自然の中で供給源から単離することができ、ヒトによって意図的に改変されていない、生物(ウイルスを含む)中に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドが天然に存在する。同様に、本明細書で使用される「天然に存在しない」は、自然の中で見出されない、または、ヒトによって構造的に改変または合成されている物体を指す。
【0066】
本明細書で使用される、20種の従来のアミノ酸およびその略語は、従来の利用に従う。20種の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、D-アミノ酸);非天然アミノ酸およびα-,α-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸、および他の非従来アミノ酸などの類似体も、結合タンパク質のポリペプチド鎖に関する好適な成分であり得る。非従来アミノ酸の例として、4-ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、ε-N,N,N-トリメチルリシン、ε-N-アセチルリシン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、σ-N-メチルアルギニン、および他の類似のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書で使用されるポリペプチド表示法では、標準的な利用および慣習に従って、左側方向がアミノ末端方向であり、右側方向が、カルボキシル末端方向である。
【0067】
天然に存在する残基は、一般的な側鎖特性に基づいてクラスに分けることができる:
(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Trp、Tyr、Pro;
(2)極性親水性:Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、His、Lys、Ser、Thr;
(3)脂肪族:Ala、Gly、Ile、Leu、Val、Pro;
(4)脂肪族疎水性:Ala、Ile、Leu、Val、Pro;
(5)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(6)酸性:Asp、Glu;
(7)塩基性:His、Lys、Arg;
(8)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(9)芳香族:His、Trp、Tyr、Phe;および
(10)芳香族疎水性:Phe、Trp、Tyr。
【0068】
保存的アミノ酸置換は、これらのクラスのうち1つのメンバーから同じクラスの別のメンバーへの交換を含み得る。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーから別のクラスに由来するメンバーへの交換を含み得る。
【0069】
当業者は、周知の技法を使用して、結合タンパク質のポリペプチド鎖の好適なバリアントを決定できる。例えば、当業者は、活性にとって重要であると考えられていない領域を標的とすることによって、活性を破壊することなく変更することができるポリペプチド鎖の好適な領域を同定することができる。あるいは、当業者は、同様のポリペプチドの間で保存されている残基および分子の部分を同定することができる。さらに、生体活性にとってまたは構造にとって重要であり得る領域でさえ、生体活性を破壊することなく、またはポリペプチド構造に悪影響を及ぼすことなく保存的アミノ酸置換に付される場合がある。
【0070】
本明細書で使用される用語「患者」は、ヒトおよび動物対象(例えば、イヌ、ブタ、ウマ、ネコ、ウシなどの哺乳動物)を含む。
【0071】
本明細書で使用される用語「処置」または「処置する」は、治療的処置および予防的または防止的手段の両方を指す。処置を必要とするものには、障害を有するものならびに障害を有する傾向があるものまたは障害が防止されるべきものが含まれる。特定の実施形態では、慢性ウイルス感染を有するヒトを処置する、またはヒト対象において慢性ウイルス感染を寛解させるために、結合タンパク質を使用することができる。
【0072】
本明細書で使用される用語「医薬組成物」または「治療用組成物」は、患者に適切に投与された場合に所望の治療効果を誘導することが可能な化合物または組成物を指す。
【0073】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される担体」または「生理学的に許容される担体」は、結合タンパク質の送達を達成または増強するのに好適な1つまたはそれ以上の製剤化材料を指す。
【0074】
用語「有効量」および「治療有効量」は、1つまたはそれ以上の結合タンパク質を含む医薬組成物に関連して使用される場合、所望の治療結果をもたらすのに十分な量または投薬量を指す。より詳細には、治療有効量は、処置されている状態に関連する臨床上定義された病理過程のうちの1つまたはそれ以上をしばらくの期間阻害するのに十分な結合タンパク質の量である。有効量は、使用されている特定の結合タンパク質に応じて変化し、また処置されている患者と関連する種々の因子および状態ならびに障害の重症度に依存し得る。例えば、結合タンパク質がインビボで投与される場合、これらの因子の中でも、患者の年齢、体重、および健康ならびに前臨床動物研究において得られた用量応答曲線および毒性データなどの因子が考慮される。所与の医薬組成物の有効量または治療有効量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0075】
本開示の一実施形態は、薬学的に許容される担体および結合タンパク質の治療有効量を含む医薬組成物を提供する。
【0076】
三重特異性結合タンパク質
本開示のある特定の態様は、三重特異性結合タンパク質(例えば、CD38、CD28、およびCD3ポリペプチドに結合する)に関する。本明細書に記載の抗原結合タンパク質のいずれかの任意のCDRまたは可変ドメインは、本開示の三重特異性結合タンパク質に使用を見出すことができる。
【0077】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、1つまたはそれ以上(例えば、3つ)の異なる抗原標的または標的タンパク質に結合する3つの抗原結合部位を形成する4つのポリペプチド鎖を含む三重特異性結合タンパク質である。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、式:
VL2-L1-VL1-L2-CL [I]で表される構造を含み、
第2のポリペプチド鎖は、式:
VH1-L3-VH2-L4-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [II]で表される構造を含み、
第3のポリペプチド鎖は、式:
VH3-CH1-ヒンジ-CH2-CH3 [III]で表される構造を含み、
第4のポリペプチド鎖は、式:
VL3-CL [IV]で表される構造を含み、
式中:
VL1は、第1の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL2は、第2の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VL3は、第3の免疫グロブリン軽鎖可変ドメインであり;
VH1は、第1の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH2は、第2の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
VH3は、第3の免疫グロブリン重鎖可変ドメインであり;
CLは、免疫グロブリン軽鎖定常ドメインであり;
CH1は、免疫グロブリンCH1重鎖定常ドメインであり;
CH2は、免疫グロブリンCH2重鎖定常ドメインであり;
CH3は、免疫グロブリンCH3重鎖定常ドメインであり;
ヒンジは、CH1およびCH2ドメインに接続する免疫グロブリンヒンジ領域であり;
L1、L2、L3およびL4は、アミノ酸リンカーであり;
式Iのポリペプチドと式IIのポリペプチドは、クロスオーバー軽鎖-重鎖対を形成する。一部の実施形態では、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖は、2つの別個の抗原結合部位を形成するクロスオーバー配向を有する。
【0078】
一部の実施形態では、VH1およびVL1は、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位を形成し、VH2およびVL2は、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位を形成し、VH3およびVL3は、CD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を形成する。一部の実施形態では、CD28ポリペプチドは、ヒトCD28ポリペプチドである。一部の実施形態では、CD3ポリペプチドは、ヒトCD3ポリペプチドである。一部の実施形態では、CD38ポリペプチドは、ヒトCD38ポリペプチドである。一部の実施形態では、三重特異性結合タンパク質は、下に記載される1つまたはそれ以上の抗原結合部位を含む。
【0079】
本開示の結合タンパク質は、例えば、ヒト、マウス、またはヒト化抗体を含む任意のヒトまたは非ヒト抗体から得られるかまたはそれに由来するドメインまたは配列を使用して調製することができる。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、抗体である。一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、抗体は、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体である。
【0080】
抗CD38結合部位
本開示のある特定の態様は、CD38ポリペプチド(例えば、ヒトおよびカニクイザルCD38ポリペプチド)に結合する抗原結合部位を含む結合タンパク質に関する。
【0081】
一部の実施形態では、結合タンパク質またはその抗原結合断片は、ヒトCD38(例えば、ヒトCD38アイソフォームAおよび/またはアイソフォームEポリペプチド)およびカニクイザルCD38と交差反応する。一部の実施形態では、結合タンパク質は、CD38+細胞のアポトーシスを誘導する。一部の実施形態では、結合タンパク質は、CD38+細胞へとT細胞を動員し、場合によりT細胞を活性化する(例えば、TCR刺激および/または同時刺激による)。
【0082】
一部の実施形態では、CD38に結合する結合部位は:GYTFTSFN(配列番号31)もしくはGYTFTSYA(配列番号37)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNGGT(配列番号32)もしくはIYPGQGGT(配列番号38)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメイン;および/またはESVDSYGNGF(配列番号34)もしくはQSVSSYGQGF(配列番号39)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、LAS(配列番号35)もしくはGAS(配列番号40)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。一部の実施形態では、CD38に結合する結合部位は:GYTFTSFN(配列番号31)もしくはGYTFTSYA(配列番号37)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNGGT(配列番号32)もしくはIYPGQGGT(配列番号38)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメイン;および/またはESVDSYGNGF(配列番号34)もしくはQSVSSYGQG(配列番号132)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、LAS(配列番号35)もしくはGAS(配列番号40)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。一部の実施形態では、結合タンパク質は、表G、H、またはIに示されるように、抗CD38_C2-CD38-1、抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1、抗CD38_C2-CD38-1_VH3-VL3、抗CD38_C2-CD38-1_VH5-VL3、抗CD38_C2-CD38-1_VH6-VL3、CD38HHY1370(本明細書において抗CD38_1370とも称されることがある)、抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1xCD28supxCD3mid IgG4 FALA、抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1xCD28supxCD3mid IgG1LALA P329A、抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1xCD28supxCD3mid IgG1 NNSA、CD38HHY1370xCD28supxCD3mid IgG4 FALA、CD38HHY1370xCD28supxCD3mid IgG1LALA P329A、またはCD38HHY1370xCD28supxCD3mid IgG1 NNSAの抗体VHおよび/またはVLドメイン配列に由来する1、2、3、4、5、または6個のCDRを含む。
【0083】
一部の実施形態では、CD38に結合する結合部位は:GYTFTSFN(配列番号31)もしくはGYTFTSYA(配列番号37)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNGGT(配列番号32)もしくはIYPGQGGT(配列番号38)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメイン;およびESVDSYGNGF(配列番号34)もしくはQSVSSYGQGF(配列番号39)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、LAS(配列番号35)もしくはGAS(配列番号40)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。
【0084】
一部の実施形態では、CD38に結合する結合部位は:GYTFTSFN(配列番号31)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNGGT(配列番号32)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメイン;および/またはESVDSYGNGF(配列番号34)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、LAS(配列番号35)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。一部の実施形態では、CD38に結合する結合部位は:GYTFTSFN(配列番号31)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNGGT(配列番号32)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメイン;およびESVDSYGNGF(配列番号34)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、LAS(配列番号35)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。他の実施形態では、CD38に結合する結合部位は:GYTFTSYA(配列番号37)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGQGGT(配列番号38)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメイン;および/またはQSVSSYGQGF(配列番号39)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、GAS(配列番号40)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。一部の実施形態では、CD38に結合する結合部位は:GYTFTSYA(配列番号37)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGQGGT(配列番号38)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARTGGLRRAYFTY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメイン;およびQSVSSYGQGF(配列番号39)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、GAS(配列番号40)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQNKEDPWT(配列番号36)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。
【0085】
一部の実施形態では、VHドメインは、N末端からC末端に向かって、配列FR1-CDR-H1-FR2-CDR-H2-FR3-CDR-H3-FR4を含み;FR1は、配列QVQLVQSGAEVVKPGASVKVSCKAS(配列番号86)、QVQLVQSGAEVVKSGASVKVSCKAS(配列番号87)、またはQVQLVQSGAEVVKPGASVKMSCKAS(配列番号88)を含み;FR2は、配列MHWVKEAPGQRLEWIGY(配列番号90)またはMHWVKEAPGQGLEWIGY(配列番号91)を含み;FR3は、配列NYNQKFQGRATLTADTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFC(配列番号93)またはNYNQKFQGRATLTADTSASTAYMEISSLRSEDTAVYFC(配列番号94)を含み;およびFR4は、配列WGQGTLVTVSS(配列番号96)を含む。一部の実施形態では、VLドメインは、N末端からC末端に向かって、配列FR1-CDR-L1-FR2-CDR-L2-FR3-CDR-L3-FR4を含み;FR1は、配列DIVLTQSPATLSLSPGERATISCRAS(配列番号97)を含み;FR2は、配列MHWYQQKPGQPPRLLIY(配列番号99)を含み;FR3は、配列SRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISPLEPEDFAVYYC(配列番号101)を含み;およびFR4は、配列FGGGTKLEIK(配列番号103)を含む。
【0086】
一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む;および/またはVLドメインは、配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む;および/またはVLドメインは、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む;および/またはVLドメインは、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む;および/またはVLドメインは、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む;および/またはVLドメインは、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0087】
一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む;およびVLドメインは、配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む;およびVLドメインは、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む;およびVLドメインは、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む;およびVLドメインは、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む;およびVLドメインは、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0088】
一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含み;VLドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含み;VLドメインは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号21のアミノ酸配列を含み;VLドメインは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号23のアミノ酸配列を含み;VLドメインは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号13のアミノ酸配列を含み;VLドメインは、配列番号14のアミノ酸配列を含む。
【0089】
一部の実施形態では、CD38に結合する結合部位は:配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体重鎖および/または配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、配列番号19のアミノ酸配列を含む抗体重鎖および/または配列番号20のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、配列番号22のアミノ酸配列を含む抗体重鎖および/または配列番号20のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、配列番号24のアミノ酸配列を含む抗体重鎖および/または配列番号20のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、配列番号15のアミノ酸配列を含む抗体重鎖および/または配列番号16のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。
【0090】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体重鎖および配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、配列番号19のアミノ酸配列を含む抗体重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、配列番号22のアミノ酸配列を含む抗体重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、配列番号24のアミノ酸配列を含む抗体重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、配列番号15のアミノ酸配列を含む抗体重鎖および配列番号16のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。
【0091】
一部の実施形態では、CD38に結合する結合部位は:GFTFSSYG(配列番号41)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IWYDGSNK(配列番号42)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARMFRGAFDY(配列番号43)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメイン;および/またはQGIRND(配列番号44)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、AAS(配列番号45)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびLQDYIYYPT(配列番号46)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。一部の実施形態では、CD38に結合する結合部位は:GFTFSSYG(配列番号41)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IWYDGSNK(配列番号42)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARMFRGAFDY(配列番号43)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメイン;およびQGIRND(配列番号44)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、AAS(配列番号45)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびLQDYIYYPT(配列番号46)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。
【0092】
一部の実施形態では、VHドメインは、N末端からC末端に向かって、配列FR1-CDR-H1-FR2-CDR-H2-FR3-CDR-H3-FR4を含み;FR1は、配列QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAAS(配列番号89)を含み;FR2は、配列MHWVRQAPGKGLEWVAV(配列番号92)を含み;FR3は、配列YYADSVKGRFTISGDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYC(配列番号95)を含み;およびFR4は、配列WGQGTLVTVSS(配列番号96)を含む。一部の実施形態では、VLドメインは、N末端からC末端に向かって、配列FR1-CDR-L1-FR2-CDR-L2-FR3-CDR-L3-FR4を含み;FR1は、配列AIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRAS(配列番号98)を含み;FR2は、配列GWYQQKPGKAPKLLIY(配列番号100)を含み;FR3は、配列SLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISGLQPEDSATYYC(配列番号102)を含み;およびFR4は、配列WGQGTLVTVSS(配列番号104)を含む。
【0093】
一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む;および/またはVLドメインは、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0094】
一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む;およびVLドメインは、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VHドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含み;VLドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0095】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、配列番号11のアミノ酸配列を含む抗体重鎖または配列番号12のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、配列番号11のアミノ酸配列を含む抗体重鎖および配列番号12のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。
【0096】
抗CD28結合部位
本開示のある特定の態様は、CD28ポリペプチド(例えば、ヒトCD28ポリペプチド)に結合する抗原結合部位を含む結合タンパク質に関する。
【0097】
一部の実施形態では、CD28に結合する結合部位は:GYTFTSYY(配列番号108)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNVNT(配列番号109)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびTRSHYGLDWNFDV(配列番号110)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび/またはQNIYVW(配列番号111)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KAS(配列番号112)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQGQTYPY(配列番号113)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。一部の実施形態では、CD28に結合する結合部位は:GYTFTSYY(配列番号108)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IYPGNVNT(配列番号109)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびTRSHYGLDWNFDV(配列番号110)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメインおよびQNIYVW(配列番号111)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KAS(配列番号112)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQGQTYPY(配列番号113)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。
【0098】
一部の実施形態では、CD28に結合する結合部位は:GFSLSDYG(配列番号114)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IWAGGGT(配列番号115)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARDKGYSYYYSMDY(配列番号116)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび/またはESVEYYVTSL(配列番号117)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、AAS(配列番号118)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQSRKVPYT(配列番号119)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。一部の実施形態では、CD28に結合する結合部位は:GFSLSDYG(配列番号114)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IWAGGGT(配列番号115)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびARDKGYSYYYSMDY(配列番号116)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメインおよびESVEYYVTSL(配列番号117)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、AAS(配列番号118)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびQQSRKVPYT(配列番号119)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。
【0099】
抗CD3結合部位
本開示のある特定の態様は、CD3ポリペプチド(例えば、ヒトCD3ポリペプチド)に結合する抗原結合部位を含む結合タンパク質に関する。
【0100】
一部の実施形態では、CD3に結合する結合部位は:GFTFTKAW(配列番号120)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IKDKSNSYAT(配列番号121)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびRGVYYALSPFDY(配列番号122)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび/またはQSLVHNNANTY(配列番号123)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KVS(配列番号124)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびGQGTQYPFT(配列番号125)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。一部の実施形態では、CD3に結合する結合部位は:GFTFTKAW(配列番号120)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IKDKSNSYAT(配列番号121)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびRGVYYALSPFDY(配列番号122)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメインおよびQSLVHNNANTY(配列番号123)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KVS(配列番号124)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびGQGTQYPFT(配列番号125)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。
【0101】
一部の実施形態では、CD3に結合する結合部位は:GFTFTKAW(配列番号126)のアミノ酸配列を含むCDR-H1配列、IKDKSNSYAT(配列番号127)のアミノ酸配列を含むCDR-H2配列、およびGVYYALSPFDY(配列番号128)のアミノ酸配列を含むCDR-H3配列を含む抗体重鎖可変(VH)ドメインおよび/またはQSLVHNNGNTY(配列番号129)のアミノ酸配列を含むCDR-L1配列、KVS(配列番号130)のアミノ酸配列を含むCDR-L2配列、およびGQGTQYPFT(配列番号131)のアミノ酸配列を含むCDR-L3配列を含む抗体軽鎖可変(VL)ドメインを含む。
【0102】
本開示の三重特異性結合タンパク質のいずれかの一部の実施形態では、1つの抗原結合ドメインは、CD3ポリペプチド(例えば、ヒトCD3)に結合し、1つの抗原結合ドメインは、CD28ポリペプチド(例えば、ヒトCD28)に結合する。一部の実施形態では、VH1ドメインは、表Hに示されているように、配列番号49または51に由来する3つのCDRを含み、VL1ドメインは、表Hに示されているように、配列番号50または52に由来する3つのCDRを含む。一部の実施形態では、VH2ドメインは、表Hに示されているように、配列番号49または51に由来する3つのCDRを含み、VL2ドメインは、表Hに示されているように、配列番号50または52に由来する3つのCDRを含む。一部の実施形態では、VH1ドメインは、表Hに示されているように、配列番号53または84に由来する3つのCDRを含み、VL1ドメインは、表Hに示されているように、配列番号54または85に由来する3つのCDRを含む。一部の実施形態では、VH2ドメインは、表Hに示されているように、配列番号53または84に由来する3つのCDRを含み、VL2ドメインは、表Hに示されているように、配列番号54または85に由来する3つのCDRを含む。
【0103】
一部の実施形態では、VH1ドメインは、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1ドメインは、配列番号50のアミノ酸配列を含む、VH2ドメインは、配列番号53のアミノ酸配列を含み、VL2ドメインは、配列番号54のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH2ドメインは、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL2ドメインは、配列番号50のアミノ酸配列を含む、VH1ドメインは、配列番号53のアミノ酸配列を含み、VL1ドメインは、配列番号54のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH1ドメインは、配列番号51のアミノ酸配列を含み、VL1ドメインは、配列番号52のアミノ酸配列を含み、VH2ドメインは、配列番号53のアミノ酸配列を含み、およびVL2ドメインは、配列番号54のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH2ドメインは、配列番号51のアミノ酸配列を含み、VL2ドメインは、配列番号52のアミノ酸配列を含み、VH1ドメインは、配列番号53のアミノ酸配列を含み、およびVL1ドメインは、配列番号54のアミノ酸配列を含む。
【0104】
一部の実施形態では、VH1ドメインは、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1ドメインは、配列番号50のアミノ酸配列を含み、VH2ドメインは、配列番号53のアミノ酸配列を含み、VL2ドメインは、配列番号54のアミノ酸配列を含み、VH3ドメインは、配列番号13のアミノ酸配列を含み、およびVL3ドメインは、配列番号14のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH1ドメインは、配列番号49のアミノ酸配列を含み、VL1ドメインは、配列番号50のアミノ酸配列を含み、VH2ドメインは、配列番号53のアミノ酸配列を含み、VL2ドメインは、配列番号54のアミノ酸配列を含み、VH3ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含み、およびVL3ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0105】
ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号62のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、および第4のポリペプチド鎖は、配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、および第4のポリペプチド鎖は、配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、および第4のポリペプチド鎖は、配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、および第4のポリペプチド鎖は、配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、および第4のポリペプチド鎖は、配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含み、および第4のポリペプチド鎖は、配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0106】
ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号60のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号62のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は、配列番号63のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号64のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号65のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は、配列番号63のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号66のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号67のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は、配列番号63のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号60のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号68のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は、配列番号69のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号64のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号70のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は、配列番号69のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第1のポリペプチド鎖は、配列番号61のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖は、配列番号66のアミノ酸配列を含み、第3のポリペプチド鎖は、配列番号71のアミノ酸配列を含み、第4のポリペプチド鎖は、配列番号69のアミノ酸配列を含む。
【0107】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、表Gに示される抗体配列の1、2、3、4、5、または6個のCDR配列を含む。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、表Hに示される抗体配列の、1、2、3、4、5、もしくは6個のCDR配列、VHドメイン配列、および/またはVLドメイン配列を含む。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、表Iに示される抗体配列の、1、2、3、4、5、もしくは6個のCDR配列、VHドメイン配列、および/またはVLドメイン配列を含む。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、表Iに示される1、2、3、または4個のポリペプチド配列を含む。
【0108】
【0109】
【0110】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0111】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【0112】
CD38ポリペプチド
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、ヒトCD38ポリペプチドの細胞外ドメインおよびカニクイザルCD38ポリペプチドの細胞外ドメインに結合する抗原結合部位を含む。抗原結合部位が抗原に結合するかどうかを決定するための例示的なアッセイは、本明細書に記載され、当技術分野において知られている。一部の実施形態では、結合は、例えば、下に記載されているように、ELISAアッセイによって決定される。一部の実施形態では、結合は、例えば、下に記載されているように、SPRアッセイによって決定される。一部の実施形態では、結合は、例えば、下に記載されているように、それらの細胞表面にCD38ポリペプチドを発現する細胞を使用するフローサイトメトリーアッセイによって決定される。
【0113】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、配列番号1および/または30のアミノ酸配列を含む精製されたポリペプチドまたはその断片に結合する(例えば、ELISAまたはSPRによって測定されるように)。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、細胞の表面に発現される場合、配列番号1および/または30のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する(例えば、フローサイトメトリーによって測定されるように)。
【0114】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を含む)CD38アイソフォームAポリペプチドに結合する。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、(例えば、配列番号105のアミノ酸配列を含むが配列番号1の完全なアミノ酸配列を含まないか、配列番号105のアミノ酸配列からなるか、または配列番号105のアミノ酸配列から本質的になる)CD38アイソフォームEポリペプチドに結合する。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、(例えば、配列番号1のアミノ酸配列を含む)CD38アイソフォームAポリペプチドおよび(例えば、配列番号105のアミノ酸配列を含むが配列番号1の完全なアミノ酸配列を含まないか、配列番号105のアミノ酸配列からなるか、または配列番号105のアミノ酸配列から本質的になる)CD38アイソフォームEポリペプチドに結合する。理論に拘束されることを望むものではないが、CD38アイソフォームEポリペプチドへの結合は、例えば、本開示の結合タンパク質をCD38アイソフォームEポリペプチドを発現する細胞に対して標的とする際に、有利であると考えられる。
ヒトCD38アイソフォームA細胞外ドメインポリペプチド配列
RWRQQWSGPGTTKRFPETVLARCVKYTEIHPEMRHVDCQSVWDAFKGAFISKHPCNITEEDYQPLMKLGTQTVPCNKILLWSRIKDLAHQFTQVQRDMFTLEDTLLGYLADDLTWCGEFNTSKINYQSCPDWRKDCSNNPVSVFWKTVSRRFAEAACDVVHVMLNGSRSKIFDKNSTFGSVEVHNLQPEKVQTLEAWVIHGGREDSRDLCQDPTIKELESIISKRNIQFSCKNIYRPDKFLQCVKNPEDSSCTSEI(配列番号1)
ヒトCD38アイソフォームEポリペプチド配列
RWRQQWSGPGTTKRFPETVLARCVKYTEIHPEMRHVDCQSVWDAFKGAFISKHPCNITEEDYQPLMKLGTQTVPCNKILLWSRIKDLAHQFTQVQRDMFTLEDTLLGYLADDLTWCGEFNTSKINYQSCPDWRKDCSNNPVSVFWKTVSRRHFWECGSP(配列番号105)
【0115】
一部の実施形態では、ヒトCD38ポリペプチドの細胞外ドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、カニクイザルCD38ポリペプチドの細胞外ドメインは、配列番号30のアミノ酸配列を含む。
カニクイザルCD38ポリペプチド配列
RWRQQWSGSGTTSRFPETVLARCVKYTEVHPEMRHVDCQSVWDAFKGAFISKYPCNITEEDYQPLVKLGTQTVPCNKTLLWSRIKDLAHQFTQVQRDMFTLEDMLLGYLADDLTWCGEFNTFEINYQSCPDWRKDCSNNPVSVFWKTVSRRFAETACGVVHVMLNGSRSKIFDKNSTFGSVEVHNLQPEKVQALEAWVIHGGREDSRDLCQDPTIKELESIISKRNIRFFCKNIYRPDKFLQCVKNPEDSSCLSGI(配列番号30)
【0116】
リンカー
一部の実施形態では、リンカーL1、L2、L3およびL4は、アミノ酸なし(長さ=0)から約100アミノ酸長、または100、50、40、30、20、または15アミノ酸未満またはそれ以下の範囲である。リンカーはまた、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1アミノ酸長であってもよい。1つの結合タンパク質におけるL1、L2、L3およびL4は、全て同じアミノ酸配列を有してもよく、または全て異なるアミノ酸配列を有してもよい。
【0117】
好適なリンカーの例として、単一のグリシン(Gly)残基;ジグリシンペプチド(Gly-Gly);トリペプチド(Gly-Gly-Gly);4つのグリシン残基を有するペプチド;5つのグリシン残基を有するペプチド;6つのグリシン残基を有するペプチド;7つのグリシン残基を有するペプチド;および8つのグリシン残基を有するペプチドが挙げられる。ペプチドGGGGSGGGGS(配列番号55)、ペプチドGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号56)、ペプチドTKGPS(配列番号57)、ペプチドGQPKAAP(配列番号58)、およびペプチドGGSGSSGSGG(配列番号59)などのアミノ酸残基の他の組合せが使用される場合もある。上記で列挙された例は、決して本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、グリシン、およびプロリンからなる群から選択される無作為に選択されたアミノ酸を含むリンカーが、結合タンパク質において好適であることが示されている。リンカー配列のさらなる記載については、例えば、WO2012135345および国際出願第PCT/US2017/027488号を参照されたい。
【0118】
リンカー中のアミノ酸残基の同一性および配列は、リンカーにおいて達成するのに必要な二次構造エレメントのタイプに応じて変わり得る。例えば、グリシン、セリン、およびアラニンは、最大の可動性を有するリンカーにとって最良である。より強固な延長したリンカーが必要である場合には、グリシン、プロリン、トレオニン、およびセリンのいくつかの組合せが有用である。所望の特性に応じて、必要に応じて、より大きなペプチドリンカーを構築するために、任意のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基と組み合わせてリンカーとして考慮される。
【0119】
一部の実施形態では、L1、L2、L3またはL4のうちの少なくとも1つは、独立して、0アミノ酸長である。一部の実施形態では、L1、L2、L3またはL4は、それぞれ独立して、少なくとも1アミノ酸長である。一部の実施形態では、L1の長さは、L3の長さの少なくとも2倍である。一部の実施形態では、L2の長さは、L4の長さの少なくとも2倍である。一部の実施形態では、L1の長さは、L3の長さの少なくとも2倍であり、L2の長さは、L4の長さの少なくとも2倍である。一部の実施形態では、L1は、3から12個のアミノ酸残基の長さであり、L2は、3から14個のアミノ酸残基の長さであり、L3は、1から8個のアミノ酸残基の長さであり、L4は、1から3個のアミノ酸残基の長さである。一部の実施形態では、L1は、5から10個のアミノ酸残基の長さであり、L2は、5から8個のアミノ酸残基の長さであり、L3は、1から5個のアミノ酸残基の長さであり、L4は、1から2個のアミノ酸残基の長さである。一部の実施形態では、L1は、7個のアミノ酸残基の長さであり、L2は、5個のアミノ酸残基の長さであり、L3は、1個のアミノ酸残基の長さであり、L4は、2個のアミノ酸残基の長さである。一部の実施形態では、L1は、10個のアミノ酸残基の長さであり、L2は、10個のアミノ酸残基の長さであり、L3は、0個のアミノ酸残基の長さであり、L4は、0個のアミノ酸残基の長さである。一部の実施形態では、L1、L2、L3、およびL4はそれぞれ、0から15個のアミノ酸(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のアミノ酸)から独立に選択された長さを有し、リンカーのうち少なくとも2つは、1から15個のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のアミノ酸)の長さを有する。一部の実施形態では、L1、L2、L3、およびL4はそれぞれ、0アミノ酸長である。
【0120】
一部の実施形態では、L1、L2、L3、および/またはL4は、抗体可変ドメインと抗体定常ドメインの間の接合部に、天然に存在する配列に由来する配列を含む(例えば、WO2012/135345に記載されるように)。例えば、一部の実施形態では、リンカーは、内因性VHおよびCH1ドメインの間、または内因性VLおよびCLドメイン(例えば、カッパまたはラムダ)の間の遷移部に見られる配列を含む。一部の実施形態では、リンカーは、内因性ヒトVHおよびCH1ドメインの間、または内因性ヒトVLおよびCLドメイン(例えば、ヒトカッパまたはラムダ)の間の遷移部に見られる配列を含む。
【0121】
一部の実施形態では、L1、L2、L3およびL4は、それぞれ独立して、0アミノ酸長であるかまたはGGGGSGGGGS(配列番号55)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号56)、S、RT、TKGPS(配列番号57)、GQPKAAP(配列番号58)、およびGGSGSSGSGG(配列番号59)からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態では、L1、L2、L3およびL4は、それぞれ独立して、GGGGSGGGGS(配列番号55)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号56)、S、RT、TKGPS(配列番号57)、GQPKAAP(配列番号58)、およびGGSGSSGSGG(配列番号59)からなる群から選択される配列を含む。
【0122】
一部の実施形態では、L1は、配列GQPKAAP(配列番号58)を含み、L2は、配列TKGPS(配列番号57)を含み、L3は配列Sを含み、L4は配列RTを含む。一部の実施形態では、L1は、配列GGGGSGGGGS(配列番号55)を含み、L2は、配列GGGGSGGGGS(配列番号55)を含み、L3は、0アミノ酸長であり、L4は、0アミノ酸長である。一部の実施形態では、L1は、配列GGSGSSGSGG(配列番号59)を含み、L2は、配列GGSGSSGSGG(配列番号59)を含み、L3は、0アミノ酸長であり、L4は、0アミノ酸長である。一部の実施形態では、L1は、配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号56)を含み、L2は、0アミノ酸長であり、L3は、配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号56)を含み、L4は、0アミノ酸長である。
【0123】
Fc領域および定常ドメイン
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、全長抗体重鎖またはFc領域を含むポリペプチド鎖を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、ヒトFc領域、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域である。一部の実施形態では、Fc領域は、抗体のヒンジ、CH1、CH2、CH3、場合によりCH4ドメインを含む。一部の実施形態では、Fc領域は、ヒトIgG1 Fc領域である。一部の実施形態では、Fc領域は、ヒトIgG4 Fc領域である。一部の実施形態では、Fc領域は、下に記載された変異のうちの1つまたはそれ以上を含む。
【0124】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、1つまたは2つのFcバリアントを含む。本明細書で使用される用語「Fcバリアント」は、天然Fcから改変されているが、サルベージ受容体、FcRn(新生児型Fc受容体)に対する結合部位を依然として含む分子または配列を指す。例示的なFcバリアント、およびそれらのサルベージ受容体との相互作用は、当技術分野で公知である。したがって、用語「Fcバリアント」は、非ヒト天然Fcからヒト化されている分子または配列を含む場合がある。さらに、天然Fcは、本発明の抗体様結合タンパク質にとって必要ではない構造的特徴または生物活性を提供するとの理由のため、除去することができる領域を含む。よって、用語「Fcバリアント」は、(1)ジスルフィド結合形成、(2)選択された宿主細胞との不適合性、(3)選択された宿主細胞における発現の際のN末端不均一性、(4)グリコシル化、(5)補体との相互作用、(6)サルベージ受容体以外のFc受容体への結合、または(7)抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)に影響を及ぼすかまたはそれに関与している、1つもしくはそれ以上の天然Fc部位もしくは残基を欠くか、または1つもしくはそれ以上のFc部位もしくは残基が改変されている分子または配列を含む。
【0125】
一部の実施形態では、Fc領域は、Fc受容体結合および/またはFc領域のエフェクター機能(例えば、Fc受容体介在性抗体依存性細胞食作用(ADCP)、補体依存性細胞傷害(CDC)、および/または抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC))を低減または排除する1つまたはそれ以上の変異を含む。
【0126】
一部の実施形態では、Fc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の234、235、および/または329位に対応する位置に1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含むヒトIgG1 Fc領域である。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、L234A、L235A、および/またはP329Aである。一部の実施形態では、Fc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の298、299、および/または300位に対応する位置にアミノ酸置換を含むヒトIgG1 Fc領域である。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、S298N、T299A、および/またはY300Sである。
【0127】
一部の実施形態では、Fc領域は、FcγIおよび/またはFcγII結合を低減または排除する1つまたはそれ以上の変異を含むヒトIgG4 Fc領域である。一部の実施形態では、Fc領域は、FcRn結合に影響を及ぼさないFcγIおよび/またはFcγII結合を低減または排除する1つまたはそれ以上の変異を含むヒトIgG4 Fc領域である。一部の実施形態では、Fc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228および/または409位に対応する位置にアミノ酸置換を含むヒトIgG4 Fc領域である。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、S228Pおよび/またはR409Kである。一部の実施形態では、Fc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の234および/または235位に対応する位置にアミノ酸置換を含むヒトIgG4 Fc領域である。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、F234Aおよび/またはL235Aである。一部の実施形態では、Fc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228、234、235、および/または409位に対応する位置にアミノ酸置換を含むヒトIgG4 Fc領域である。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、S228P、F234A、L235A、および/またはR409Kである。一部の実施形態では、Fc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の233~236位に対応する位置にアミノ酸置換を含むヒトIgG4 Fc領域である。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、E233P、F234V、L235A、および236における欠失である。一部の実施形態では、Fc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228、233~236、および/または409位に対応する置換にアミノ酸変異を含むヒトIgG4 Fc領域である。一部の実施形態では、アミノ酸変異は、S228P;E233P、F234V、L235A、および236における欠失;ならびに/またはR409Kである。
【0128】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、例えば、精製試薬に対する親和性をモジュレートすることによって、精製を改善するための1つまたはそれ以上の変異を含む。例えば、ヘテロ二量体結合タンパク質は、ヘテロ二量体形態の2つのFc領域のうち1つがプロテインAへの結合を低減または排除する変異を含有する場合には、それらのホモ二量体形態から離して選択的に精製できることが知られており、これは、ヘテロ二量体形態が、いずれかのホモ二量体形態よりも、プロテインAベースの精製に対して中間の親和性を有し、例えば、異なるpHの使用によってプロテインAから選択的に溶出できるためである(例えば、Smith,E.J.ら(2015)Sci.Rep. 5:17943頁を参照されたい)。一部の実施形態では、変異は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の435および436位に対応する位置に置換を含み、アミノ酸置換は、H435RおよびY436Fである。一部の実施形態では、結合タンパク質は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含む第2のポリペプチド鎖であって、第1のFc領域が免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む第2のポリペプチド鎖と、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含む第3のポリペプチド鎖であって、第2のFc領域が免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む第3のポリペプチド鎖とを含み;第1および第2のFc領域のうちの一方のみが、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の435および436位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、H435RおよびY436Fである。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、ノブおよびホール変異ならびに精製を改善するための1つまたはそれ以上の変異を含む。一部の実施形態では、第1および/または第2のFc領域は、ヒトIgG1 Fc領域である。一部の実施形態では、第1および/または第2のFc領域は、ヒトIgG4 Fc領域である。
【0129】
一部の実施形態では、一方または両方のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の233~236位に対応する位置にアミノ酸置換を含むヒトIgG4 Fc領域である。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、E233P、F234V、L235A、および236における欠失である。一部の実施形態では、Fc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228、233~236、および/または409位に対応する置換にアミノ酸変異を含むヒトIgG4 Fc領域である。一部の実施形態では、アミノ酸変異は、S228P;E233P、F234V、L235A、および236における欠失;ならびに/またはR409Kである。一部の実施形態では、一方または両方のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の234、235、および/または329位に対応する位置に1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含むヒトIgG1 Fc領域である。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、L234A、L235A、および/またはP329Aである。一部の実施形態では、Fc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の298、299、および/または300位に対応する位置にアミノ酸置換を含むヒトIgG1 Fc領域である。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、S298N、T299A、および/またはY300Sである。
【0130】
一部の結合タンパク質(例えば、二重特異性または三重特異性結合タンパク質)の収率を改善するために、例えば、国際公開第WO96/027011号、Ridgwayら、1996、Protein Eng.9:617~21頁;およびMerchantら、1998、Nat.Biotechnol.16:677~81頁においていくつかの実施例を用いて詳細に記載されている「ノブイントゥーホール」技術によって、CH3ドメインを変更することができる。詳細には、2つのCH3ドメインの相互作用表面は、これら2つのCH3ドメインを含有する両重鎖のヘテロ二量体化を増大するように変更される。2つのCH3ドメインの(2つの重鎖の)それぞれは「ノブ」である場合があるが、もう一方は「ホール」である。ジスルフィド架橋の導入は、ヘテロ二量体をさらに安定化し(Merchantら、1998;Atwellら、1997、J.Mol.Biol.270:26~35頁)、収率を増大する。特定の実施形態では、ノブは、単一の可変ドメインを有するポリペプチドの第2の対上にある。他の実施形態では、ノブは、クロスオーバー配向を有するポリペプチドの第1の対上にある。さらに他の実施形態では、CH3ドメインは、ノブインホールを含まない。
【0131】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質(例えば、三重特異性結合タンパク質)は、第2のポリペプチド鎖上に「ノブ」変異および第3のポリペプチド鎖上に「ホール」変異を含む。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、第3のポリペプチド鎖上の「ノブ」変異および第2のポリペプチド鎖上の「ホール」変異を含む。一部の実施形態では、「ノブ」変異は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の354および/または366位に対応する位置に置換を含む。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、S354C、T366W、T366Y、S354CおよびT366W、またはS354CおよびT366Yである。一部の実施形態では、「ノブ」変異は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の354および366位に対応する位置に置換を含む。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、S354CおよびT366Wである。一部の実施形態では、「ホール」変異は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の407位、場合により、349、366、および/または368位に対応する位置に置換を含む。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、Y407VまたはY407T、場合により、Y349C、T366S、および/またはL368Aである。一部の実施形態では、「ホール」変異は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の349、366、368、および407位に対応する位置に置換を含む。一部の実施形態では、アミノ酸置換は、Y349C、T366S、L368A、およびY407Vである。
【0132】
一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み、第1のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の366および場合により、354位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、T366WまたはT366Y、場合によりS354Cであり;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み、第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の407および場合により、349、366、および/または368位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、Y407VまたはY407Tおよび場合により、Y349C、T366S、および/またはL368Aである。
【0133】
一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み、第1のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の407および場合により、349、366、および/または368位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、Y407VまたはY407Tおよび場合により、Y349C、T366S、および/またはL368Aであり;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み、第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の366および場合により、354位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、T366WまたはT366Y、場合によりS354Cである。
【0134】
一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み、第1のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の366位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、T366Wであり;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み、第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の366、368、および/または407位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、T366S、L368A、および/またはY407Vである。
【0135】
一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み、第1のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の366、368、および/または407位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、T366S、L368A、および/またはY407Vであり;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み、第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の366位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、T366Wである。
【0136】
一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み、第1のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の354および366位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S354CおよびT366Wであり;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み、第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の349、366、368、および407位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、Y349C、T366S、L368A、およびY407Vである。一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み、第1のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の349、366、368、および407位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、Y349C、T366S、L368A、およびY407Vであり;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み、第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の354および366位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S354CおよびT366Wである。一部の実施形態では、第1および/または第2のFc領域は、ヒトIgG1 Fc領域である。一部の実施形態では、第1および/または第2のFc領域は、ヒトIgG4 Fc領域である。
【0137】
一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む、ヒトIgG4 Fc領域であり、第1のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228、354、366、および409位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S228P、S354C、T366W、およびR409Kであり;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む、ヒトIgG4 Fc領域であり、第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228、349、366、368、407、および409位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S228P、Y349C、T366S、L368A、Y407V、およびR409Kである。一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む、ヒトIgG4 Fc領域であり、第1のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228、349、366、368、407、および409位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S228P、Y349C、T366S、L368A、Y407V、およびR409Kであり;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む、ヒトIgG4 Fc領域であり、第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228、354、366、および409位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S228P、S354C、T366W、およびR409Kである。
【0138】
一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む、ヒトIgG4 Fc領域であり、第1のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の234、235、354、および366位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、F234A、L235A、S354C、およびT366Wであり;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む、ヒトIgG4 Fc領域であり、第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の234、235、349、366、368、および407位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、F234A、L235A、Y349C、T366S、L368A、およびY407Vである。一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む、ヒトIgG4 Fc領域であり、第1のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の234、235、349、366、368、および407位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、F234A、L235A、Y349C、T366S、L368A、およびY407Vであり;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む、ヒトIgG4 Fc領域であり、第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の234、235、354、および366位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、F234A、L235A、S354C、およびT366Wである。
【0139】
一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む、ヒトIgG4 Fc領域であり、第1のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228、234、235、354、366、および409位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S228P、F234A、L235A、S354C、T366W、およびR409Kであり;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む、ヒトIgG4 Fc領域であり、第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228、234、235、349、366、368、407、および409位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S228P、F234A、L235A、Y349C、T366S、L368A、Y407V、およびR409Kである。一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む、ヒトIgG4 Fc領域であり、第1のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228、234、235、349、366、368、407、および409位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S228P、F234A、L235A、Y349C、T366S、L368A、Y407V、およびR409Kであり;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む、ヒトIgG4 Fc領域であり、第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228、234、235、354、366、および409位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S228P、F234A、L235A、S354C、T366W、およびR409Kである。
【0140】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、血清半減期を改善するために1つまたはそれ以上の変異を含む(例えば、Hinton,P.R.ら(2006)J.Immunol.176(1):346~56頁を参照されたい)。一部の実施形態では、変異は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の428および434位に対応する位置に置換を含み、アミノ酸置換は、M428LおよびN434Sである。一部の実施形態では、結合タンパク質は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含む第2のポリペプチド鎖であって、第1のFc領域が免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む第2のポリペプチド鎖と、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含む第3のポリペプチド鎖であって、第2のFc領域が免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む第3のポリペプチド鎖とを含み、第1および/または第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の428および434位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、M428LおよびN434Sである。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、ノブおよびホール変異ならびに血清半減期を改善するための1つまたはそれ以上の変異を含む。一部の実施形態では、第1および/または第2のFc領域は、ヒトIgG1 Fc領域である。一部の実施形態では、第1および/または第2のFc領域は、ヒトIgG4 Fc領域である。
【0141】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、例えば、IgG4のヒンジ領域および/または二量体界面の、安定性を改善するための1つまたはそれ以上の変異を含む(例えば、Spiess,C.ら(2013) J.Biol.Chem.288:26583~26593頁を参照されたい)。一部の実施形態では、変異は、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228および409位に対応する位置に置換を含み、アミノ酸置換は、S228PおよびR409Kである。一部の実施形態では、結合タンパク質は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含む第2のポリペプチド鎖であって、第1のFc領域が免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む第2のポリペプチド鎖と、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含む第3のポリペプチド鎖であって、第2のFc領域が免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む第3のポリペプチド鎖とを含み;第1および第2のFc領域は、ヒトIgG4 Fc領域であり;第1および第2のFc領域はそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の228および409位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、S228PおよびR409Kである。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、ノブおよびホール変異ならびに安定性を改善するための1つまたはそれ以上の変異を含む。一部の実施形態では、第1および/または第2のFc領域は、ヒトIgG4 Fc領域である。
【0142】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、例えば、精製試薬に対する親和性をモジュレートすることによって、精製を改善するための1つまたはそれ以上の変異を含む。例えば、ヘテロ二量体結合タンパク質は、ヘテロ二量体形態の2つのFc領域のうち1つがプロテインAへの結合を低減または排除する変異を含有する場合には、それらのホモ二量体形態から離して選択的に精製できることが知られており、これは、ヘテロ二量体形態が、いずれかのホモ二量体形態よりも、プロテインAベースの精製に対して中間の親和性を有し、例えば、異なるpHの使用によってプロテインAから選択的に溶出できるためである(例えば、Smith,E.J.ら(2015)Sci.Rep. 5:17943頁を参照されたい)。一部の実施形態では、変異は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の435および436位に対応する位置に置換を含み、アミノ酸置換は、H435RおよびY436Fである。一部の実施形態では、結合タンパク質は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含む第2のポリペプチド鎖であって、第1のFc領域が免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む第2のポリペプチド鎖と、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含む第3のポリペプチド鎖であって、第2のFc領域が免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む第3のポリペプチド鎖とを含み;第1および第2のFc領域のうち一方のみは、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の435および436位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、H435RおよびY436Fである。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、ノブおよびホール変異ならびに精製を改善するための1つまたはそれ以上の変異を含む。一部の実施形態では、第1および/または第2のFc領域は、ヒトIgG1 Fc領域である。一部の実施形態では、第1および/または第2のFc領域は、ヒトIgG4 Fc領域である。
【0143】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、血清半減期を改善するために1つまたはそれ以上の変異を含む(例えば、Hinton,P.R.ら(2006)J.Immunol.176(1):346~56頁を参照されたい)。一部の実施形態では、変異は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の428および434位に対応する位置に置換を含み、アミノ酸置換は、M428LおよびN434Sである。一部の実施形態では、結合タンパク質は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含む第2のポリペプチド鎖であって、第1のFc領域が免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む第2のポリペプチド鎖と、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含む第3のポリペプチド鎖であって、第2のFc領域が免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む第3のポリペプチド鎖とを含み、第1および/または第2のFc領域は、EUインデックスに従い、ヒトIgG1またはIgG4の428および434位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、M428LおよびN434Sである。一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、ノブおよびホール変異ならびに血清半減期を改善するための1つまたはそれ以上の変異を含む。一部の実施形態では、第1および/または第2のFc領域は、ヒトIgG1 Fc領域である。一部の実施形態では、第1および/または第2のFc領域は、ヒトIgG4 Fc領域である。
【0144】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、エフェクター機能、例えば、Fc受容体媒介性抗体依存性細胞食作用(ADCP)、補体依存性細胞傷害(CDC)、および/または抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を低減するための1つまたはそれ以上の変異を含む。一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み;第1および第2のFc領域は、ヒトIgG1 Fc領域であり;第1および第2のFc領域はそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の234および235位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、L234AおよびL235Aである。一部の実施形態では、第2および第3のポリペプチド鎖のFc領域は、ヒトIgG1 Fc領域であり、Fc領域はそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の234および235位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、L234AおよびL235Aである。一部の実施形態では、第2のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含み、第1のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み;第3のポリペプチド鎖は、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含み、第2のFc領域は、免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含み;第1および第2のFc領域は、ヒトIgG1 Fc領域であり;第1および第2のFc領域はそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の234、235、および329位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、L234A、L235A、およびP329Aである。一部の実施形態では、第2および第3のポリペプチド鎖のFc領域は、ヒトIgG1 Fc領域であり、Fc領域はそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG1の234、235、および329位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、L234A、L235A、およびP329Aである。一部の実施形態では、第2および第3のポリペプチド鎖のFc領域は、ヒトIgG4 Fc領域であり、Fc領域はそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の234および235位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、L234AおよびL235Aである。一部の実施形態では、結合タンパク質は、CH1に連結された第1のFc領域をさらに含む第2のポリペプチド鎖であって、第1のFc領域が免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む第2のポリペプチド鎖と、CH1に連結された第2のFc領域をさらに含む第3のポリペプチド鎖であって、第2のFc領域が免疫グロブリンヒンジ領域ならびにCH2およびCH3免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む第3のポリペプチド鎖とを含み;第1および第2のFc領域はそれぞれ、EUインデックスに従い、ヒトIgG4の234および235位に対応する位置にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、F234AおよびL235Aである。
【0145】
一部の実施形態では、本開示の結合タンパク質は、ノブおよびホール変異ならびにエフェクター機能を低減するための1つまたはそれ以上の変異を含む。一部の実施形態では、第1および/または第2のFc領域は、ヒトIgG1 Fc領域である。一部の実施形態では、第1および/または第2のFc領域は、ヒトIgG4 Fc領域である。329位のFc変異についてのさらなる記載として、例えば、Shields,R.L.ら(2001)J.Biol.Chem.276:6591~6604頁およびWO1999051642を参照されたい。
【0146】
一部の実施形態では、上に記載された変異のタイプは、任意の順序または組合せで組み合わせることができる。例えば、本開示の結合タンパク質は、2つもしくはそれ以上の「ノブ」および「ホール」変異、血清半減期を改善するための1つもしくはそれ以上の変異、IgG4の安定性を改善するための1つもしくはそれ以上の変異、精製を改善するための1つもしくはそれ以上の変異、ならびに/または上に記載されたエフェクター機能を低減するための1つまたはそれ以上の変異を含む場合がある。
【0147】
核酸
結合タンパク質を形成するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを構築し、これらのポリヌクレオチドを組換え発現ベクターに組み込み、このようなベクターを宿主細胞に導入するために、標準組換えDNA方法が使用される。例えば、Sambrookら、2001、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第3版)を参照されたい。酵素反応および精製技法は、製造業者の仕様書に従って、当技術分野で通常達成されるように、または本明細書に記載されているように実施される。特別の定義が提供されない限り、本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、ならびに医学的および薬学的化学に関連して利用される命名法、ならびにその実験手順および技法は、周知のものであり、当技術分野において通常使用される。同様に、従来の技法は、化学的合成、化学的分析、医薬品製造、製剤化、送達、および患者の処置のために使用される。
【0148】
本開示の他の態様は、本明細書に記載の結合タンパク質のいずれかをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子に関する。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号60~83と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である、および/または表Jに示されている配列を含む。
【0149】
本開示のある特定の態様は、ポリヌクレオチドのキットに関する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドのうちの1つまたはそれ以上は、ベクター(例えば、発現ベクター)である。キットは、とりわけ、本明細書に記載の結合タンパク質のうちの1つまたはそれ以上、例えば、本開示の三重特異性結合タンパク質を産生する際に使用を見出すことができる。一部の実施形態では、キットは、表Jにおいて示されている1つ、2つ、3つ、または4つのポリヌクレオチドを含む(例えば、抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1xCD28supxCD3mid IgG4 FALA、抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1xCD28supxCD3mid IgG1LALA P329A、抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1xCD28supxCD3mid IgG1 NNSA、CD38HHY1370xCD28supxCD3mid IgG4 FALA、CD38HHY1370xCD28supxCD3mid IgG1LALA P329A、またはCD38HHY1370CD28supxCD3mid IgG1 NNSAのもの)。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドのキットは:配列番号73の配列を含む第1のポリヌクレオチド、配列番号72の配列を含む第2のポリヌクレオチド、配列番号74の配列を含む第3のポリヌクレオチド、および配列番号75の配列を含む第4のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドのキットは:配列番号73の配列を含む第1のポリヌクレオチド、配列番号76の配列を含む第2のポリヌクレオチド、配列番号77の配列を含む第3のポリヌクレオチド、および配列番号75の配列を含む第4のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドのキットは:配列番号73の配列を含む第1のポリヌクレオチド、配列番号78の配列を含む第2のポリヌクレオチド、配列番号79の配列を含む第3のポリヌクレオチド、および配列番号75の配列を含む第4のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドのキットは:配列番号73の配列を含む第1のポリヌクレオチド、配列番号72の配列を含む第2のポリヌクレオチド、配列番号80の配列を含む第3のポリヌクレオチド、および配列番号81の配列を含む第4のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドのキットは:配列番号73の配列を含む第1のポリヌクレオチド、配列番号76の配列を含む第2のポリヌクレオチド、配列番号82の配列を含む第3のポリヌクレオチド、および配列番号81の配列を含む第4のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドのキットは:配列番号73の配列を含む第1のポリヌクレオチド、配列番号78の配列を含む第2のポリヌクレオチド、配列番号83の配列を含む第3のポリヌクレオチド、および配列番号81の配列を含む第4のポリヌクレオチドを含む。
【0150】
一部の実施形態では、単離された核酸は、結合タンパク質をコードする核酸配列の転写を指示するために異種プロモーターに作動可能に連結される。プロモーターは、核酸の転写を指示する核酸制御配列を指すことができる。第1の核酸配列は、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的に関連して位置する場合に、第2の核酸配列に作動可能に連結される。例えば、プロモーターは、プロモーターが、コード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合に、結合タンパク質のコード配列に作動可能に連結される。プロモーターの例として、限定されないが、ウイルス(ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、鳥類肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、サルウイルス40(SV40)など)のゲノムから得られたプロモーター、異種真核細胞プロモーターから得られたプロモーター(例えば、アクチンプロモーター、免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーターなど)、CAG-プロモーター(Niwaら、Gene 108(2):193~9頁、1991)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、テトラサイクリン誘導プロモーター(Masuiら、Nucleic Acids Res. 33:e43頁、2005)、lac系、trp系、tac系、trc系、ファージラムダの主要オペレーターおよびプロモーター領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼのプロモーター、酵母酸性ホスファターゼのプロモーター、ならびに酵母アルファ接合因子のプロモーターを挙げることができる。本開示の結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、構成プロモーター、誘導プロモーター、または本明細書に記載の任意の他の好適なプロモーターまたは当業者によって容易に認識される他の好適なプロモーターの制御下にあってもよい。
【0151】
一部の実施形態では、単離された核酸は、ベクターに組み込まれる。一部の実施形態では、ベクターは、発現ベクターである。発現ベクターは、発現されるポリヌクレオチドに作動可能に連結された1つまたはそれ以上の調節配列を含む場合がある。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含む。好適なエンハンサーの例として、限定されないが、哺乳動物遺伝子(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-胎児タンパク質、インスリンなど)に由来するエンハンサー配列、および真核細胞ウイルスに由来するエンハンサー配列(例えば、複製起点の後側のSV40エンハンサー(bp100~270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後側のポリオーマエンハンサー、アデノウイルスエンハンサーなど)を挙げることができる。好適なベクターの例として、例えば、プラスミド、コスミド、エピソーム、トランスポゾン、およびウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、シンドビスウイルス、麻疹、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルスベクターなど)を挙げることができる。発現ベクターは、例えば、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞などの宿主細胞をトランスフェクトするために使用することができる。宿主において発現および複製可能な生物学的に機能的なウイルスおよびプラスミドDNAベクターは、当技術分野で公知であり、目的の任意の細胞をトランスフェクトするために使用することができる。
【0152】
本開示の他の態様は、本明細書に記載の結合タンパク質のいずれかの第1、第2、第3、および第4のポリペプチド鎖をコードする1つまたはそれ以上のベクターを含むベクター系に関する。一部の実施形態では、ベクター系は、結合タンパク質の第1のポリペプチド鎖をコードする第1のベクター、結合タンパク質の第2のポリペプチド鎖をコードする第2のベクター、結合タンパク質の第3のポリペプチド鎖をコードする第3のベクター、および結合タンパク質の第4のポリペプチド鎖をコードする第4のベクターを含む。一部の実施形態では、ベクター系は、結合タンパク質の第1および第2のポリペプチド鎖をコードする第1のベクター、ならびに結合タンパク質の第3および第4のポリペプチド鎖をコードする第2のベクターを含む。一部の実施形態では、ベクター系は、結合タンパク質の第1および第3のポリペプチド鎖をコードする第1のベクター、ならびに結合タンパク質の第2および第4のポリペプチド鎖をコードする第2のベクターを含む。一部の実施形態では、ベクター系は、結合タンパク質の第1および第4のポリペプチド鎖をコードする第1のベクター、ならびに結合タンパク質の第2および第3のポリペプチド鎖をコードする第2のベクターを含む。一部の実施形態では、ベクター系は、結合タンパク質の第1、第2、第3、および第4のポリペプチド鎖をコードする第1のベクターを含む。ベクター系の1つまたはそれ以上のベクターは、本明細書に記載のベクターのいずれかであってもよい。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のベクターは、発現ベクターである。
【0153】
単離された宿主細胞
本開示の他の態様は、本明細書に記載の1つまたはそれ以上の単離されたポリヌクレオチドを含む単離された宿主細胞、ポリヌクレオチドのキット、ベクター、および/またはベクター系に関する。一部の実施形態では、宿主細胞は、細菌細胞(例えば、大腸菌(E.coli)細胞)である。一部の実施形態では、宿主細胞は、酵母細胞(例えば、S.セレビシエ(S.cerevisiae)細胞)である。一部の実施形態では、宿主細胞は、昆虫細胞である。昆虫宿主細胞の例として、例えば、ショウジョウバエ(Drosophila)細胞(例えば、S2細胞)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)細胞(例えば、High Five(商標)細胞)およびツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)細胞(例えば、Sf21またはSf9細胞)を挙げることができる。一部の実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞である。哺乳動物宿主細胞の例として、例えば、ヒト胎児由来腎臓細胞(例えば、懸濁培養での成長のためにサブクローニングされた293または293細胞)、Expi293TM細胞、CHO細胞、ベビーハムスター腎臓細胞(例えば、BHK、ATCC CCL 10)、マウスセルトリ細胞(例えば、TM4細胞)、サル腎臓細胞(例えば、CV1 ATCC CCL 70)、アフリカミドリザル腎臓細胞(例えば、VERO-76、ATCC CRL-1587)、ヒト子宮頸癌細胞(例えば、HELA、ATCC CCL 2)、イヌ腎臓細胞(例えば、MDCK、ATCC CCL 34)、バッファローラット肝臓細胞(例えば、BRL 3A、ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(例えば、W138、ATCC CCL 75)、ヒト肝臓細胞(例えば、Hep G2、HB 8065)、マウス乳房腫瘍細胞(例えば、MMT 060562、ATCC CCL51)、TRI細胞、MRC 5細胞、FS4細胞、ヒト肝細胞腫系統(例えば、Hep G2)および骨髄腫細胞(例えば、NS0およびSp2/0細胞)を挙げることができる。
【0154】
結合タンパク質に関する方法および使用
本開示のある特定の態様は、ウイルス特異的なメモリーT細胞を拡大するための方法に関する。一部の実施形態では、方法は、ウイルス特異的なメモリーT細胞と、本開示の結合タンパク質、例えば、三重特異性結合タンパク質であって、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位、およびCD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を含む三重特異性結合タンパク質を、接触させることを含む。
【0155】
一部の実施形態では、ウイルス特異的なメモリーT細胞をインビトロまたはエクスビボで結合タンパク質と接触させる。
【0156】
一部の実施形態では、ウイルス特異的なメモリーT細胞を結合タンパク質と接触させることは、ウイルス特異的なメモリーT細胞の活性化および/または増殖を引き起こす。
【0157】
本開示の他の態様は、T細胞を拡大するための方法に関する。一部の実施形態では、方法は、T細胞と、本開示の結合タンパク質、例えば、三重特異性結合タンパク質であって、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位、およびCD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を含む三重特異性結合タンパク質を、接触させることを含む。
【0158】
一部の実施形態では、T細胞は、メモリーT細胞またはエフェクターT細胞である。
【0159】
一部の実施形態では、T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を、その細胞表面に発現するまたはCARをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0160】
本開示の他の態様は、慢性ウイルス感染(例えば、それを必要とする個体における)を処置するための方法に関する。一部の実施形態では、方法は、それを必要とする個体に、有効量の本開示の結合タンパク質、例えば、三重特異性結合タンパク質であって、CD28ポリペプチドに結合する第1の抗原結合部位、CD3ポリペプチドに結合する第2の抗原結合部位、およびCD38ポリペプチドに結合する第3の抗原結合部位を含む三重特異性結合タンパク質を、投与することを含む。
【0161】
一部の実施形態では、個体は、ヒトである。
【0162】
一部の実施形態では、結合タンパク質は、結合タンパク質および薬学的に許容される担体を含む医薬製剤中で個体に投与される。
【0163】
一部の実施形態では、結合タンパク質の投与は、個体においてウイルス特異的なメモリーT細胞の活性化および/または増殖をもたらす。
【0164】
上記方法のいずれかで、メモリーT細胞は、CD8+またはCD4+メモリーT細胞であってもよい。上記方法のいずれかで、メモリーT細胞は、セントラルメモリーT細胞(TCM)またはエフェクターメモリーT細胞(TEM)であってもよい。
【0165】
本明細書に記載の結合タンパク質のいずれかは、本開示の方法に使用を見出すことができる。
【0166】
結合タンパク質は、1つまたはそれ以上の標的抗原の検出および定量化のための、競合結合アッセイ、直接および間接サンドイッチアッセイ、ならびに免疫沈降アッセイなどの任意の公知のアッセイ方法において用いることができる。結合タンパク質は、用いられているアッセイ方法にとって適当である親和性で、1つまたはそれ以上の標的抗原と結合する。
【0167】
診断適用のために、ある特定の実施形態では、結合タンパク質を検出可能な部分を用いて標識することができる。検出可能な部分は、検出可能なシグナルを直接的または間接的のいずれかで産生可能である任意のものであり得る。例えば、検出可能な部分は、3H、14C、32P、35S、125I、99Tc、111In、もしくは67Gaなどの放射性同位元素;フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、もしくはルシフェリンなどの蛍光もしくは化学発光化合物;またはアルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、もしくは西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素であってもよい。
【0168】
結合タンパク質はまた、インビボイメージングにとって有用である。検出可能な部分を用いて標識された結合タンパク質を、動物に、好ましくは、血流中に投与することができ、宿主における標識された抗体の存在および位置がアッセイされる。結合タンパク質を、核磁気共鳴、放射線学、または当技術分野で公知の他の検出手段によるかどうかにかかわらず、動物において検出可能である任意の部分を用いて標識することができる。
【0169】
臨床または研究適用のために、ある特定の実施形態では、結合タンパク質を細胞毒製剤にコンジュゲートさせることができる。細胞毒製剤に連結された様々な抗体(すなわち、抗体-薬物コンジュゲート)を使用して、細胞毒性ペイロードが特定の腫瘍細胞に対して標的化されている。細胞毒製剤と抗体に対してその製剤をコンジュゲートするリンカーは、当技術分野で公知である;例えば、Parslow,A.C.ら(2016) Biomedicines 4:14頁およびKalim,M.ら(2017) Drug Des.Devel.Ther. 11:2265~2276頁を参照されたい。
【0170】
本開示はまた、結合タンパク質および生体サンプルにおける標的抗原レベルを検出するのに有用な他の試薬を含むキットに関する。このような試薬は、検出可能な標識、ブロッキング血清、陽性および陰性対照サンプル、ならびに検出試薬を含んでもよい。一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載の任意の結合タンパク質、ポリヌクレオチド、ベクター、ベクター系、および/または宿主細胞を含む組成物を含む。一部の実施形態では、キットは、容器および容器上のまたは容器に関連付けられたラベルまたは添付文書を含む。好適な容器として、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの種々の材料から形成される。容器は、それ自体でまたは別の組成物と組み合わせて、状態を処置、防止および/または診断するのに有効である組成物を保持し、かつ滅菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、皮下注射ニードルによって穿刺可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであってもよい)。一部の実施形態では、ラベルまたは添付文書は、選択した状態を防止、診断、および/または処置するために組成物が使用されることを示す。あるいは、またはさらに、製造品またはキットは、静菌性注射水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル溶液およびデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む第2の(または第3の)容器をさらに含む場合がある。他の緩衝液、希釈剤、フィルター、ニードル、およびシリンジを含む、商業的およびユーザー的観点から望まれる他の材料をさらに含む場合がある。
【0171】
結合タンパク質治療用組成物およびその投与
結合タンパク質を含む治療用組成物または医薬組成物は、本開示の範囲内である。このような治療用組成物または医薬組成物は、治療有効量の結合タンパク質、または結合タンパク質-薬物コンジュゲートを、投与様式との適合性について選択された薬学的にまたは生理学的に許容される製剤と混合して含む場合がある。これらの医薬組成物は、本明細書に記載の任意の方法および使用(例えば、エクスビボ、インビトロ、および/またはインビボ)において使用を見出すことができる。
【0172】
許容可能な製剤材料は、好ましくは、用いられる投薬量および濃度でレシピエントに対して非毒性である。
【0173】
医薬組成物は、例えば、組成物のpH、浸透圧、粘度、透明性、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解もしくは放出速度、吸着、または浸透を改変、維持、または保存するための製剤材料を含有することができる。好適な製剤材料として、限定されないが、アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジン)、抗微生物剤、抗酸化物質(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウム)、緩衝液(例えば、ホウ酸塩、重炭酸、Tris-HCl、クエン酸、リン酸、または他の有機酸)、嵩高剤(例えば、マンニトールまたはグリシン)、キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、錯化剤(例えば、カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ-シクロデキストリン、またはヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン)、増量剤、単糖類、二糖類、および他の炭化水素(例えば、グルコース、マンノース、またはデキストリン)、タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン)、着色剤、矯味剤および希釈剤、乳化剤、親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)、低分子量ポリペプチド、塩形成性対イオン(例えば、ナトリウム)、保存料(例えば、塩化ベンズアルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、または過酸化水素)、溶媒(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール)、糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール)、懸濁化剤、界面活性剤または湿潤剤(例えば、プルロニック;PEG;ソルビタンエステル;ポリソルベート20またはポリソルベート80などのポリソルベート;トリトン;トロメタミン;レシチン;コレステロールまたはチロキサパル(tyloxapal))、安定性増強剤(例えば、スクロースまたはソルビトール)、浸透圧増強剤(例えば、アルカリ金属ハロゲン化物-好ましくは、塩化ナトリウムまたはカリウム-またはマンニトールソルビトール)、送達ビヒクル、希釈剤、賦形剤および/または医薬アジュバントが挙げられる(例えば、いずれかの目的のために、参照によって本明細書に組み入れる、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(第18版、A.R.Gennaro編、Mack Publishing Company 1990)および同一物のその後の版を参照されたい)。
【0174】
最適医薬組成物は、例えば、意図される投与経路、送達形式、および所望の投薬量に応じて、熟練した技術者によって決定される。このような組成物は、結合タンパク質の物理的状態、安定性、インビボ放出の速度、およびインビボクリアランスの速度に影響を及ぼす場合がある。
【0175】
医薬組成物中の主要なビヒクルまたは担体は、本質的に、水性または非水性のいずれかであってもよい。例えば、注射用の好適なビヒクルまたは担体は、おそらくは非経口投与用組成物において一般的な他の材料を補充した、水、生理食塩水、または人工脳脊髄液であってもよい。中性緩衝生理食塩水または血清アルブミンと混合した生理食塩水は、さらなる例示的なビヒクルである。他の例示的な医薬組成物は、ソルビトールまたは好適な代用物をさらに含むことができる、約pH7.0~8.5のTris緩衝液、または約pH4.0~5.5の酢酸緩衝液を含む。本開示の一実施形態では、所望の純度を有する選択された組成物を、凍結乾燥ケーキまたは水溶液の形態の任意選択の製剤と混合することによって、結合タンパク質組成物を保存のために調製することができる。さらに、結合タンパク質は、スクロースなどの適当な賦形剤を使用して凍結乾燥物として製剤化することができる。
【0176】
本開示の医薬組成物は、非経口送達または皮下用に選択することができる。あるいは、組成物は、吸入用または、経口的などの、消化管を介する送達用に選択することができる。このような薬学的に許容される組成物の調製は当業者の範囲内である。
【0177】
製剤成分は、投与部位にとって許容される濃度で存在する。例えば、緩衝液は、組成物を生理学的pHまたはわずかに低いpHに、典型的には、約5から約8のpH範囲内で維持するために使用される。
【0178】
非経口投与が企図される場合には、使用するための治療用組成物は、薬学的に許容されるビヒクル中に所望の結合タンパク質を含む、発熱物質不含の、非経口的に許容される水溶液の形態であってもよい。非経口注射用の特に好適なビヒクルは、滅菌蒸留水であり、滅菌蒸留水中では、結合タンパク質が、適宜保存される滅菌等張性溶液として製剤化される。さらに別の調製は、製品の徐放または持続放出をもたらし、次いで、デポー注射によって送達することができる注射用ミクロスフェア、生体内分解性粒子、ポリマー化合物(例えば、ポリ乳酸またはポリグリコール酸)、ビーズ、またはリポソームなどの薬剤を用いる、所望の分子の製剤化を含み得る。ヒアルロン酸も使用することができ、これは、循環における持続期間を促進する効果を有することができる。所望の分子の導入のための他の好適な手段として、埋め込み可能な薬物送達デバイスが挙げられる。
【0179】
一実施形態では、医薬組成物を吸入用に製剤化することができる。例えば、結合タンパク質を吸入用の乾燥散剤として製剤化することができる。エアゾール送達用に噴射剤を用いて、結合タンパク質吸入溶液も製剤化することができる。さらに別の実施形態では、溶液を噴霧することができる。
【0180】
ある特定の製剤を経口投与することができることも企図される。本開示の一実施形態では、この様式で投与される結合タンパク質を、錠剤およびカプセル剤などの固体剤形の配合において習慣的に使用される担体を用いてまたは用いずに製剤化することができる。例えば、カプセル剤は、バイオアベイラビリティが最大化され、前全身性(pre-systemic)分解が最小化されているときに、胃腸管において製剤の活性部分をその時点で放出するよう設計することができる。結合タンパク質の吸収を促進するために、追加の薬剤を含めることができる。希釈剤、矯味剤、低融点ワックス、植物油、滑沢剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、および結合剤も用いることができる。
【0181】
別の医薬組成物は、錠剤の製造に好適な非毒性賦形剤との混合物における、有効量の結合タンパク質に関与する場合がある。滅菌水、または別の適当なビヒクル中に錠剤を溶解することによって、溶液を単位用量形態で調整することができる。好適な賦形剤として、限定されないが、炭酸カルシウム、炭酸もしくは重炭酸ナトリウム、ラクトース、もしくはリン酸カルシウムなどの不活性希釈剤;またはデンプン、ゼラチン、もしくはアラビアゴムなどの結合剤;またはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、もしくはタルクなどの滑沢剤が挙げられる。
【0182】
持続送達または制御送達製剤中の結合タンパク質に関与する製剤を含む、本開示の追加の医薬組成物が当業者には明らかである。リポソーム担体、生体内分解性微粒子または多孔性ビーズおよびデポー注射液などの種々の他の持続送達または制御送達手段を製剤化するための技法も当業者に公知である。持続放出調製物の追加の例として、成型品形態の半透性ポリマーマトリックス、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルが挙げられる。持続放出マトリックスとして、ポリエステル、ハイドロゲル、ポリラクチド、L-グルタミン酸とガンマエチル-L-グルタメートのコポリマー、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、エチレン酢酸ビニル、またはポリ-D(-)-3-ヒドロキシ酪酸を挙げることができる。持続放出組成物として、当技術分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって調製することができるリポソームも挙げることができる。
【0183】
インビボ投与のために使用される医薬組成物は、典型的には、無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜を通す濾過によって達成することができる。組成物が凍結乾燥される場合には、凍結乾燥および再構成前または後のいずれかで、この方法を使用する滅菌法を行うことができる。非経口投与用の組成物は、凍結乾燥形態で、または溶液中に保存することができる。さらに、非経口組成物は、一般的に、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射ニードルによって穿刺可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアル中に入れられる。
【0184】
医薬組成物が製剤化されると、医薬組成物は、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体として、または脱水されたもしくは凍結乾燥された粉末として、滅菌バイアル中で保存することができる。このような製剤は、すぐに使える形態で、または投与に先立って再構成を必要とする形態(例えば、凍結乾燥した)のいずれかで保存することができる。
【0185】
本開示は、単回用量投与単位を産生するためのキットも包含する。キットはそれぞれ、乾燥タンパク質を有する第1の容器と水性製剤を有する第2の容器の両方を含有することができる。また、単一および複数チャンバーの事前充填シリンジ(例えば、液体シリンジおよび分散シリンジ(lyosyringe))を含有するキットも、本開示の範囲内に含まれる。
【0186】
治療上用いられる結合タンパク質医薬組成物の有効量は、例えば、治療状況および目的に応じて変わる。よって、当業者であれば、処置のための適当な投薬量レベルは、幾分かは、送達される分子、結合タンパク質が使用されている適応症、投与経路、ならびに患者の大きさ(体重、体表面、または臓器の大きさ)および状態(年齢および全身の健康)に応じて変わることを認識する。したがって、臨床医は、最適な治療効果を得るために、投薬量を用量設定し、投与経路を修正することができる。
【0187】
投薬頻度は、使用されている製剤中の結合タンパク質の薬物動態パラメータに応じて変わる。典型的には、臨床医は、所望の効果を達成する投薬量に到達するまで組成物を投与することになる。したがって、組成物を、単回用量として、二回もしくはそれ以上の用量(同量の所望の分子を含有する場合も含有しない場合もある)として経時的に、または埋め込みデバイスもしくはカテーテルによる連続注入として投与することができる。適当な投薬量のさらなる精緻化は、当業者によって日常的に行われ、彼らによって日常的に実施される課題の範囲内である。適当な投薬量は、適当な用量応答データの使用によって確認することができる。
【0188】
医薬組成物の投与経路は、公知の方法に従うものであり、例えば、経口的;静脈内、腹腔内、大脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼球内、動脈内、門脈内、もしくは病巣内経路による注射;持続放出系;または埋め込みデバイスによる。所望の場合には、組成物をボーラス注射によって、または注入によって、もしくは埋め込みデバイスによって連続的に投与することができる。
【0189】
組成物は、その上に所望の分子が吸収されているかまたはカプセル化されている膜、スポンジ、または他の適当な材料の埋め込みによって局所投与することもできる。埋め込みデバイスが使用される場合には、デバイスは、任意の好適な組織または臓器に埋め込むことができ、所望の分子の送達は、拡散、持効性ボーラス、または連続投与によってもよい。
【実施例】
【0190】
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態、およびその様々な使用を例示するものである。それらは説明の目的のみで記載され、いかなる形でも本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0191】
以下の用語は、特定の抗CD38抗原結合ドメインまたは抗体を指すのに本明細書の実施例および図面において互換的に使用され得る:
抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1またはCD38VH1
抗CD38_1370またはCD38HHY1370
抗CD38_SB19またはイサツキシマブ
【実施例1】
【0192】
抗CD38抗体の交差反応性およびアポトーシス誘導
ヒトおよびカニクイザルCD38ポリペプチドへの結合ならびにアポトーシスの誘導について、ヒト化抗CD38バリアントを特徴付けた。
【0193】
材料および方法
可溶性CD38細胞外ドメインに対する結合親和性
抗CD38 mAbの結合特性を、BIAcore 2000(BIAcore Inc.、ウプサラ、NJ)を使用して評価した。簡単には、CM5 BIAcoreバイオセンサーチップを該機器にドッキングし、室温で1:1NHS/EDC 250μLで活性化した。マウス抗ヒトFc IgG1(GE Healthcare #BR-1008-39)(0.05M酢酸緩衝液中13.5μg/mL、pH5)をフローセル1で活性化チップに固定化した。固定化は流速5μL/分で実行した。チップを次いでエタノールアミン-HCl 55μL、pH8.5の注入によってブロックし、その後50mM NaOH、1M NaClで5回洗浄した。ヒトCD38タンパク質またはカニクイザルCD38タンパク質への抗CD38 mAbの結合を測定するために、抗体をBIAcoreランニング緩衝液(HBS-EP)に2μg/mLで使用した。抗原(ヒトCD38-histag(ID2)またはカニクイザルCD38-histag(ID3))を3~1000nM注入した。注入段階の完了後、解離をBIAcoreランニング緩衝液中、同じ流速で360秒間モニターした。50mM NaOH-1M NaCl 30μLを使用して注入間で表面を再生した。BIAsimulationソフトウェアを使用して個々のセンサーグラムを解析した。
【0194】
ヒトCD38発現プレB細胞に対する結合親和性
組換えマウスプレB::300.19細胞の表面で発現されたCD38への抗CD38抗体の結合を、フローサイトメトリーによって決定した。該組換え細胞株は、J. Deckketら 2014 Clin. Cancer Res 20:4574~4583頁によって記載された。マウスプレB::300.19 CD38発現細胞を、96ウェルHigh Bindプレート(MSD L15XB-3)で40,000細胞/ウェルで被覆し、抗CD38抗体100μL/ウェルを4℃で45分間添加し、PBS 1%BSAで3回洗浄した。Alexa488とコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch;#109-545-098)100μL/ウェルを4℃で45分間添加し、PBS 1%BSAで3回洗浄した。遠心分離、および200μl/ウェルPBS 1%BSAの添加による細胞の再懸濁、およびGuava(登録商標)easyCyte(商標)8HTフローサイトメトリーシステムを使用した読み取り後に抗体結合を評価した。見かけのKDおよびEC50値を、それぞれBIOST@T-BINDINGおよびBIOST@T-SPEEDソフトウェアを使用して推定した。
【0195】
組換えCD38タンパク質
異なるタグおよび点変異を有するアイソフォームAに由来する様々な組換えCD38タンパク質(配列番号2、3、4、および28)、およびR45-P203由来のCD38細胞外ドメインを包含するCD38アイソフォームE(配列番号105)のタグ化バージョンを使用した。タンパク質は、哺乳動物細胞での一過性発現によって産生した。コードDNA配列を、CMVエンハンサー/プロモーターおよびSV40ポリAシグナル下で哺乳動物発現プラスミドにクローニングした。製造者の説明書に従ってFreeStyle(商標)MAX 293発現系を使用して、HEK293細胞(Invitrogen;#K9000-10)に発現プラスミドを一過性にトランスフェクトした。
【0196】
アポトーシス誘導アッセイ
細胞を完全培地(RPMI-1640、10%FBS、2mM L-グルタミン)中2×105細胞/mLで、示された抗体1.5μg/mL(10nM)と37℃、5%CO2で20時間インキュベートした。細胞をAnnexinV-FITCで製造者の説明書に従って染色した(Life Technologies)。取得制御およびデータ解析のために、BD FACSDivaソフトウェアを用いたBD FACSAria(商標)フローサイトメーターでサンプルをフローサイトメトリーによって解析した(両方ともBD Biosciences)。
【0197】
ELISAアッセイ
96ウェルプレートをCD38でPBS中0.5μg/ウェルで被覆し、抗体100μL/ウェルをプレートに添加した。プレートを37℃で1時間インキュベートし、0.05%Tween-20を含有するPBS(PBS-T)で5回洗浄した。次いで、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートした抗ヒトIgG(Jackson Ref:109-035-098)の1:25,000希釈液100μLを各ウェルに添加した。暗所で37℃、1時間インキュベーション後、プレートをPBS-Tで5回洗浄した。TMB-H2O2緩衝液を添加して抗体結合を可視化し、450nmの波長で読み取った。BIOST@T-SPEEDソフトウェアを使用してEC50値を推定した。
【0198】
結果
可溶性ヒトCD38およびカニクイザルCD38に対する選択した抗ヒトCD38抗体の結合特性を、ELISA、およびBIAcoreシステムを使用した表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ(Pharmacia Biosensor;ピスカタウェイ、NJ)を使用して調べた。ヒトおよびカニクイザルCD38への抗体結合のEC50を、ヒト化抗CD38抗体の抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1、抗CD38_C2-CD38-1_VH3-VL3、抗CD38_C2-CD38-1_VH5-VL3、抗CD38_C2-CD38-1_VH6-VL3、およびヒト抗CD38抗体の抗CD38_1370についてELISAデータを使用して決定した。
【0199】
CD38へのヒト化抗CD38バリアントまたはヒト抗CD38 mAbの結合も、SPRアッセイを使用して評価した。ヒトおよびカニクイザルCD38への抗体結合のKDおよびkoffを、ヒト化抗CD38抗体の抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1、抗CD38_C2-CD38-1_VH3-VL3、抗CD38_C2-CD38-1_VH5-VL3、抗CD38_C2-CD38-1_VH6-VL3、およびヒト抗CD38抗体の抗CD38_1370についてSPRデータを使用して決定した。表Kに要約された結合データは、抗CD38 mAbの全てが類似した結合特性でCD38に結合することを示している。
【0200】
【0201】
ヒト化抗CD38バリアントのCD38発現細胞に結合する能力を、上記したFACSベースの結合アッセイを使用して評価した。ヒトおよびカニクイザルCD38への抗体結合のEC50を、ヒト化抗CD38抗体の抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1、抗CD38_C2-CD38-1_VH3-VL3、抗CD38_C2-CD38-1_VH5-VL3、抗CD38_C2-CD38-1_VH6-VL3、およびヒト抗CD38抗体の抗CD38_1370についてFACSデータを使用して決定した。表Lに記載された結合データは、全てのヒト化抗CD38バリアントが細胞表面CD38に対して類似した結合親和性を示したことを示している。
【0202】
【0203】
上記のELISA、SPR、およびFACSアッセイからの結合データを、ヒトV領域のVHおよびVLドメインの配列同一性と共に表L2に要約する。
【0204】
【0205】
抗CD38抗体のヒトCD38アイソフォームAおよびEの両方に結合する能力も調べた。CD38アイソフォームAおよびアイソフォームEへの結合を評価するために、アイソフォームAおよびアイソフォームEタンパク質(上記のように製造した)を捕捉抗原として使用して酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を行った。96ウェルプレートをどちらかのアイソフォームでPBS中0.5μg/ウェルで被覆し、抗体100μL/ウェルをプレートに添加した。プレートを37℃で1時間インキュベートし、0.05%Tween-20を含有するPBS(PBS-T)で5回洗浄した。次いで、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートした抗ヒトIgG(Jackson Ref:109-035-098)の1:25,000希釈液100μLを各ウェルに添加した。暗所で37℃、1時間インキュベーション後、プレートをPBS-Tで5回洗浄した。TMB-H2O2緩衝液を添加して抗体結合を可視化し、450nmの波長で読み取った。BIOST@T-SPEEDソフトウェアを使用してEC50値を推定した。
【0206】
CD38アイソフォームA(配列番号1)およびアイソフォームE(配列番号105)に対する様々な抗体の結合親和性を、表L3に示すように決定した。表Mは、様々な抗CD38抗体に関する結合特性の比較を提供する。
【0207】
【0208】
【0209】
結論として、抗CD38_C2-CD38-1のみがヒトおよびカニクイザルCD38の両方にナノモル以下の親和性で結合し、CD38アイソフォームAおよびEに結合した。
【実施例2】
【0210】
三重特異性抗CD38結合タンパク質の生成
次に、実施例1に記載した選択した抗CD38抗体の抗原結合ドメインの結合特性を、
図1に描いた三重特異性フォーマットにおいて解析した。
【0211】
材料および方法
三重特異性結合タンパク質の産生および精製
ExpiFectamine(商標)293トランスフェクションキット(Thermo Fisher Scientific)を製造者のプロトコルに従って使用して、4つの発現プラスミドのExpi293細胞への一過性トランスフェクションによって三重特異性結合タンパク質を産生した。簡単には、各プラスミドの25%(w/w)をOpti-MEMに希釈し、前希釈したExpiFectamine試薬と室温で(RT)20~30分間混合し、Expi293細胞(2.5×106細胞/ml)に添加した。収率および純度の良い三重特異性結合タンパク質を産生するために、プラスミドの最良の比を決定するためのトランスフェクションの最適化をしばしば使用した。
【0212】
トランスフェクション4~5日後、トランスフェクト細胞からの上清を回収し、0.45μmフィルターユニット(Nalgene)を通して濾過した。上清中の三重特異性結合タンパク質を3段階の手順を使用して精製した。第一は、プロテインA親和性精製を使用し、「IgG溶出緩衝液」(Thermo Fisher Scientific)を使用して結合Abを溶出した。第二に、PBS緩衝液を2回変更して産物をPBS(pH7.4)に対して一晩透析した。次の段階の前に、あらゆる沈殿物を0.45μmフィルターユニット(Nalgene)を通して濾過により取り除いた。第三に、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)精製(Hiload 16/600 Superdex 200pg、またはHiload 26/600 Superdex 200pg、GE Healthcare)を使用して、調製物中の凝集物および異なる種を除去した。画分を還元および非還元SDS-PAGEで解析して、それらを混ぜ合わせる前に単量体三重特異性結合タンパク質を含有する画分を同定した。精製抗体はアリコートし、-80℃で長期保管することができる。
【0213】
ELISAアッセイ
精製抗体の結合特性を、ELISAまたはSPR方法のどちらかを使用して解析した。ELISAに関しては、三重特異性結合タンパク質の各結合部位に対応する抗原を使用して、96ウェルImmuno Plate(Nunc 439454、Thermo Fisher Scientific)を4℃で一晩、PBS(pH7.4)中2μg/ml各抗原を使用して被覆した。被覆プレートをPBS中5%脱脂乳+2%BSAを使用してRTで1時間ブロックし、その後PBS+0.25%Tween 20で3回洗浄した(Aqua Max 400、Molecular Devices)。抗体(三重特異性および対照Ab)の連続希釈物を製造し、ELISAプレートに添加し(100μl/ウェル、二通り)、RTで1時間インキュベートし、その後PBS+0.25%Tween 20で5回洗浄した。
【0214】
洗浄後、HRPコンジュゲート二次抗ヒトFab(1:5000、カタログ番号109-035-097、Jackson ImmunoResearch Inc)を各ウェルに添加し、RTで30分間インキュベートした。PBS+0.25%Tween 20で5回洗浄した後、TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL、ゲイサーズバーグ、MD、USA)100μlを各ウェルに添加した。50μl 1M H2SO4を添加して反応を止め、OD450をSpectraMax M5(Molecular Devices)を使用して測定し、SoftMax Pro6.3ソフトウェア(Molecular Devices)を使用して解析した。最終データをGraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software、CA、USA)に移し、示されているようにプロットした。同じソフトウェアを使用してEC50を算出した。
【0215】
ELISAアッセイを使用して、抗CD38×CD28×CD3三重特異性抗体またはアイソタイプ対照抗体(ヒトIgG4)の、ヒトCD3(Cambridge Biologics LLC カタログ番号03-01-0051)、CD28(Cambridge Biologics LLC カタログ番号03-01-0303)、およびCD38(Cambridge Biologics LLC カタログ番号03-01-0369)への結合を決定した。結合抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート抗Fab二次抗体(Jackson ImmunoResearch Inc #109-035-097)を使用して検出した。
【0216】
結果
他の抗原結合ドメインがその同族リガンドに結合する場合のCD38に結合する能力について、抗CD38抗原結合ドメインを三重特異性フォーマット(抗CD38×抗CD28×抗CD3)でSPRを使用してテストした。各三重特異性Abへの3つの抗原の連続結合のために、各抗原の飽和濃度(>10KD)を8分間注入し、その後5分間解離させた。10mMグリシン-HCl pH2.5を30μl/分で60秒間注入して表面再生を行った。データを1:1速度論的結合モデルにフィットさせ、Biacore S200 Evaluation Software v1.0を使用して解析した。結合速度定数(kon)および解離速度定数(koff)を使用して平衡解離定数(KD)を算出した。
【0217】
このSPRベースのアッセイは、三重特異性結合タンパク質が、CD3および/またはCD28抗原結合ドメインもその同族抗原に結合できるかどうかにかかわらずCD38に結合できることを示した。SPRによって測定した場合の速度論的パラメータを表M2に提供する。
【0218】
【0219】
これらの結果は、3つの標的全てが同時に三重特異性結合タンパク質に結合できることを示している。三重特異性結合タンパク質をCD28、CD3、または両方(どちらの順でも)と事前結合させることは、CD38に対する結合速度論または結合親和性を変化させなかった。
【0220】
次に、CD38SB19×CD28sup×CD3mid三重特異性結合タンパク質の各抗原結合ドメインを、飽和状態の他の2つの抗原結合ドメインの有無による同族抗原に結合する能力についてSPRによって評価した。表M3およびM4は、これらのアッセイの結果を示す。
【0221】
【0222】
【0223】
表M3およびM4に示したように、抗原との事前結合によって2つの標的を飽和させることは、CD38またはCD28の第3の標的の速度論または結合親和性に影響を与えなかった。CD3結合の場合、事前結合したCD38および/またはCD28はより速い速度論をもたらした(konおよびkoff値に対する約4倍の影響)。
【0224】
抗CD38抗原結合ドメインを、2つの抗CD28抗原結合ドメイン(スーパーアゴニスト、「sup」、および従来のアゴニスト、「cvn」)および2つの抗CD3抗原結合ドメイン(「mid」および「low」)を有する三重特異性フォーマットにおいてテストした。これらの抗原結合ドメインの可変ドメイン配列は、次のように提供される:抗CD28
sup:配列番号49(VH)および配列番号50(VL); 抗CD28
cvn:配列番号51(VH)および配列番号52(VL);抗CD3
mid:配列番号53(VH)および配列番号54(VL); 抗CD3
low:配列番号84(VH)および配列番号85(VL)。三重特異性結合タンパク質の結合を調べたSPRアッセイの結果を
図2に示す。3つの抗CD38結合ドメインは、単一特異性フォーマットとほぼ同じ結合親和性を三重特異性結合タンパク質フォーマットにおいて有した。CD3結合ドメインは両方とも、単一、二重、および三重特異性フォーマットにおいてほぼ同じ結合親和性を有した。CD28結合ドメインは、単一特異性と比較して二重または三重特異性フォーマットにおいてわずかに低い(ただし、依然としてナノモルの)結合親和性を示した。他の2つの抗原結合ドメインを飽和させた場合、抗CD38
SB19および抗CD28
sup結合ドメインは、他の2つの抗原結合ドメインが抗原に結合されなかった場合と比べて類似した結合親和性を有した。しかし、抗CD3
mid結合ドメインは、他の2つの抗原結合ドメインを飽和させた場合、より速い速度論を示した。これらの結果は、抗CD38、抗CD28、および抗CD3結合ドメインが、三重特異性結合タンパク質フォーマットによる使用に適合することを示している。
【0225】
本明細書において生成された抗CD38抗原結合ドメインは、抗CD38_SB19の既存の抗CD38抗原結合ドメインに対しても比較した(VH配列に対する配列番号47およびVL配列に対する配列番号48をそれぞれ参照のこと)。組換えマウスプレB::300.19細胞の表面で発現したCD38への三重特異性分子の結合をフローサイトメトリーによって決定し、対応する抗CD38一価抗体を並行してアッセイした。該組換え細胞株は、J. Deckketら 2014 Clin. Cancer Res 20:4574~4583頁によって記載された。マウスプレB::300.19 CD38発現細胞を、96ウェルHigh Bind Plate(MSD L15XB-3)で40,000細胞/ウェルで被覆し、三重特異性分子100μL/ウェルを4℃で45分間添加し、PBS 1%BSAで3回洗浄した。Alexa488とコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch;#109-545-098)100μL/ウェルを4℃で45分間添加し、PBS 1%BSAで3回洗浄した。遠心分離、および200μl/ウェルPBS 1%BSAの添加による細胞の再懸濁、およびGuava(登録商標)easyCyte(商標)8HTフローサイトメトリーシステムを使用した読み取り後に抗体結合を評価した。見かけのKDおよびEC50値をそれぞれBIOST@T-BINDINGおよびBIOST@T-SPEEDソフトウェアを使用して推定した。
【0226】
フローサイトメトリーを上記したように使用して、抗CD38_SB19抗体または抗CD38_SB19抗CD38抗原結合ドメインを含む三重特異性結合タンパク質の、細胞表面でヒトまたはカニクイザルCD38ポリペプチドを発現するマウスプレB細胞への結合を調べた。抗CD38_SB19抗CD38抗原結合ドメインを含むCD38×CD28sup×CD3mid三重特異性結合タンパク質は、抗CD38_SB19単一特異性抗体(EC50=0.5nM)より8倍低い見かけの親和性(EC50=4nM)でヒトCD38を発現する細胞に結合した。抗CD38_SB19単一特異性抗体も、抗CD38_SB19抗CD38抗原結合ドメインを含む三重特異性結合タンパク質も、カニクイザルCD38を発現する細胞に結合しなかった。
【0227】
ヒト化抗CD38抗体抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1の結合ドメインも、ヒトまたはカニクイザルCD38ポリペプチドを発現する細胞への結合について三重特異性フォーマットにおいてテストした。抗CD38_SB19とは異なり、抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1抗CD38抗原結合ドメインを含むCD38×CD28sup×CD3midおよびCD38×CD28cvn×CD3mid三重特異性結合タンパク質、ならびに抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1単一特異性抗体は、ヒトおよびカニクイザルCD38ポリペプチドの両方に結合することができた。抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1抗CD38抗原結合ドメインを含むCD38×CD28cvn×CD3mid三重特異性結合タンパク質は、親抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1抗体(EC50=0.5nM)より9倍低い見かけの親和性(EC50=4.4nM)でヒトCD38を発現する細胞に結合した。抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1抗CD38抗原結合ドメインを含むCD38×CD28cvn×CD3mid三重特異性結合タンパク質は、親抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1抗体(EC50=1nM)より7.5倍低い見かけの親和性(EC50=7.5nM)でカニクイザルCD38を発現する細胞に結合した。抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1抗CD38抗原結合ドメインを含むCD38×CD28sup×CD3mid三重特異性結合タンパク質は、抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1抗CD38抗原結合ドメインを含むCD38×CD28cvn×CD3mid三重特異性結合タンパク質(EC50=4.4nM)より2.5倍低い見かけの親和性(EC50=11nM)でヒトCD38を発現する細胞に結合した。
【0228】
ヒト化抗CD38抗体抗CD38_1370の結合ドメインは、ヒトまたはカニクイザルCD38ポリペプチドを発現する細胞への結合について抗CD38_1370単一特異性抗体に対しても比較した。抗CD38_1370単一特異性抗体は、ヒト(EC50=11.2nM)またはカニクイザル(EC50=6.6nM)CD38ポリペプチドを発現する細胞にnM範囲で結合したが、抗CD38_1370抗CD38抗原結合ドメインを含むCD38×CD28sup×CD3mid三重特異性結合タンパク質は、ヒトまたはカニクイザルCD38ポリペプチドを発現する細胞に飽和なしで結合した。
【0229】
結論として、ヒトCD38に結合するCD38
SB19×CD28
sup×CD3
mid三重特異性結合タンパク質(抗CD38_SB19抗CD38結合ドメイン)の親和性は、組換えヒトCD38への結合をSPRによって調べようと、または細胞表面で発現したヒトCD38への結合をフローサイトメトリーによって調べようと、同程度であることが見出された(
図3)。同様に、CD38
VH1×CD28
sup×CD3
mid/low(抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1抗CD38結合ドメイン)およびCD38
VH1×CD28
cvn×CD3
mid/low三重特異性結合タンパク質(抗CD38_C2-CD38-1_VH1-VL1抗CD38結合ドメイン)のヒトCD38に結合する親和性も、両方のアッセイにおいて同程度であった。CD38
HHY1370×CD28
sup×CD3
mid(抗CD38_1370抗CD38結合ドメイン)に関して、ヒトCD38に結合するK
DはSPRによって1nMと決定されたのに対し、正確なEC50値はフローサイトメトリーによって推定することができなかった(
図3)。様々な抗CD38結合ドメインを含む三重特異性結合タンパク質の見かけのKD値(FACS解析によって得られた)の概要を表M5に提供する。
【0230】
【0231】
予想通り、抗CD38結合ドメインを欠くΔCD38×CD28sup×CD3mid三重特異性結合タンパク質は、ヒトまたはカニクイザルCD38ポリペプチドを発現する細胞に結合しなかった。これは、このアッセイで観察された結合がCD38抗原結合ドメインに特異的であったことを示すものである。
【実施例3】
【0232】
CD38/CD3×CD28 AbはセントラルメモリーCD4およびCD8、Th1ならびに抗原特異的応答を刺激する
CD38/CD3×CD28三重特異性Abが細胞性免疫機能を増強し得るかどうかを決定するために、インビトロで拡大したT細胞の表現型を評価した。
【0233】
材料および方法
末梢血単核細胞を、Research Blood Components,LLC(ボストン、MA)によって回収された健康なヒトドナーの血液から単離した。PBMCを前述のように抗体被覆プレート(350ng/ウェル)(5×105細胞/mL)に添加し、37℃で3日および7日間インキュベートした。細胞を特定の時点で回収し、T細胞サブセット:ナイーブ(CCR7+ CD45RO-)、Tcm(CCR7+ CD45RO+)、Tem(CCR7- CD45RO+)、Treg(CD4+ Foxp3+ CD25hi)についてフローサイトメトリーによって解析した。細胞はまた、フロー染色の前にモネンシン(GolgiStop)(BD Biosciences、CA)で少なくとも6時間処置して、細胞内サイトカイン発現:Th1(CD4+ IFN-γ+)、Th2(CD4+ IL-4+)、およびTh17(CD4+ IL-17+)を決定した。CMV pp65特異的CD8+T細胞を、PBMCドナーのHLA(A*02:01/NLVPMVATV)(ProImmune、オックスフォード、UK)に限定された蛍光コンジュゲート五量体を使用して検出した。PBMCは、既知のCMV陽性集団およびHLA型ドナーからHemaCare(バンナイズ、CA)から入手した。限定HLA型に対して陰性のドナー由来のPMBCを陰性対照として使用した。染色は製造者のプロトコルに従って行った。
【0234】
結果
CMV感染ドナー由来のヒトPBMCを、サイトカインの非存在下、三重特異性Abまたは3つの変異抗原結合部位を有する陰性対照三重特異性抗体と7日間インキュベートした。CD4サブセットの解析は、セントラルメモリープールにおける最も大きな増殖と、エフェクターメモリー細胞のより小さな増加を明らかにした(
図4A)。CD4サブセットの解析はまた、Th2またはTh17細胞と比べてTh1細胞の最も大きな増殖(>6倍)も明らかにした(
図4B)。CD8サブセットでは、7日目までにセントラルメモリーCD8サブセットの>150倍の増加と、エフェクターメモリー細胞のより少ない増加があった(
図4C)。重要なことには、CMVに対する(四量体染色を使用する血清陽性HLA-A2ドナーのpp65エピトープに対する)既存の抗原特異的CD8応答(Gratama JW、van Esser JWら Blood 98:1358~1364頁(2001))は、CD38三重特異性の存在下、陰性対照と比べて>44倍増加した(
図4D)。
【0235】
まとめると、これらのデータは、CD38三重特異性Abが抗腫瘍および抗ウイルス免疫をインビボで増強する可能性があるTh1機能および防御的CD8メモリーT細胞応答を刺激することを示している。
【実施例4】
【0236】
CD38/CD28×CD3三重特異性抗体はCMV特異的免疫応答を促進する
ウイルス抗原特異的T細胞の活性化および/または増殖は、サイトメガロウイルス(CMV)の感染などのウイルス感染に対する治療戦略を提供し得る。CMV特異的T細胞の活性化および拡大を促進するCD38/CD28×CD3三重特異性抗体の能力を決定した。
【0237】
材料および方法
ELISAアッセイ
CD38/CD28xCD3 T細胞エンゲージャーによる各標的抗原に対する結合親和性をELISAによって測定した。簡単には、各抗原を使用して、96ウェルImmuno Plate(Thermo Fisher Scientific)を4℃で一晩、PBS(pH7.4)中200ng/ウェルの各抗原を使用して被覆した。被覆プレートをPBS中5%脱脂乳+2% BSAを使用してRTで1時間ブロックし、その後PBS+0.25% Tween 20で3回洗浄した(Aqua Max 400、Molecular Devices)。抗体(三重特異性および対照Ab)の連続希釈物を製造し、ELISAプレートに添加し(100μl/ウェル、二通り)、RTで1時間インキュベートし、その後PBS+0.25% Tween 20で5回洗浄した。洗浄後、HRPコンジュゲート二次抗ヒトFab(1:5000、カタログ番号109-035-097、Jackson ImmunoResearch Inc)を各ウェルに添加し、RTで30分間インキュベートした。PBS+0.25% Tween 20で5回洗浄した後、TMB Microwell Peroxidase Substrate(KPL、ゲイサーズバーグ、MD、USA)100μlを各ウェルに添加した。50μl 1M H2SO4を添加して反応を止め、OD450をSpectraMax M5(Molecular Devices)を使用して測定し、SoftMax Pro6.3ソフトウェア(Molecular Devices)を使用して解析した。最終データをGraphPad Prismソフトウェア(GraphPadソフトウェア、CA、USA)に移し、プロットした。同じソフトウェアを使用してEC50を算出した。
【0238】
SPRアッセイ
完全速度論的解析には、ヒトCD38-His抗原を使用した(Cambridge Biologics、ケンブリッジ、MA)。精製抗体の速度論的特徴付けは、BIACORE 3000(GE Healthcare)でSPR技術を使用して行った。調査抗体のヒトIgG1特異的抗体捕捉および配向を使用する捕捉アッセイを使用した。タンパク質構築物を含有するFcの捕捉には、ヒト抗体捕捉キット(GE Healthcare)を使用した。Hisタグ化抗原の捕捉には、抗His抗体捕捉キット(GE Healthcare)を使用した。捕捉抗体を、標準的な手順を使用して一級アミン基(11000RU)を介して研究グレードのCM5チップ(GE Life Sciences)に固定化した。解析抗体を、典型的には30RUの最大アナライト結合シグナルをもたらす調整RU値を用いて流速10μL/分で捕捉した。結合速度論を三重特異性抗体に対して測定した。アッセイ緩衝液として、HBS EP(10mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA、および0.005%界面活性剤P20)を流速30μl/分で使用した。チップ表面を、それぞれの捕捉キットの再生溶液で再生した。速度論的パラメータを解析し、参照として捕捉抗体なしのフローセルおよび物質移動を伴う1:1ラングミュア結合モデルを使用してBIA評価プログラムパッケージv4.1で算出した。
【0239】
インビトロT細胞増殖測定
T細胞を、磁性Pan T Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec GmbH、ドイツ)を使用して陰性選択によってヒト末梢血単核細胞(PBMC)ドナーから単離した。抗体を滅菌PBSで製造し、50uLを各ウェルに分注して(350ng/ウェル)、96ウェル細胞培養プレートに抗体を被覆した。プレートを次いで37℃で少なくとも2時間インキュベートし、次いで滅菌PBSで洗浄した。非接触T細胞を抗体被覆プレートに添加し(5×105細胞/mL)、37℃で数日間インキュベートした。細胞を、4日目に新たな細胞培地で新鮮な抗体被覆プレートに継代した。7日間のインキュベーションを伴う特定の実験では、新鮮培地のみを新鮮な抗体被覆プレートに交換せずに添加した。細胞を特定の時点で回収し、CountBright(商標)計数ビーズを使用して細胞数を算出した。
【0240】
インビトロT細胞増殖アッセイおよびT細胞サブセット決定
末梢血単核細胞を、Research Blood Components,LLC(ボストン、MA)によって回収された健康なヒトドナーの血液から単離した。PBMCを前述のように抗体被覆プレート(350ng/ウェル)(5×105細胞/mL)に添加し、37℃で3日および7日間インキュベートした。細胞を特定の時点で回収し、T細胞サブセット:ナイーブ(CCR7+ CD45RO-)、Tcm(CCR7+ CD45RO+)、Tem(CCR7- CD45RO+)、Treg(CD4+ Foxp3+ CD25hi)についてフローサイトメトリーによって解析した。細胞はまた、フロー染色の前にモネンシン(GolgiStop)(BD Biosciences、CA)で少なくとも6時間処置して、細胞内サイトカイン発現:Th1(CD4+ IFN-γ+)、Th2(CD4+ IL-4+)、およびTh17(CD4+ IL-17+)を決定した。CMV pp65特異的、EBV BMLF特異的、インフルエンザA MP特異的およびHIV-1 Gag特異的CD8+T細胞を、PBMCドナーのHLA/ウイルスペプチド(A*02:01/NLVPMVATV;配列番号26)、(A*02:01/GLCTLVAML; 配列番号27)、(A*02:01/GILGFVFTL;配列番号28)、および(A*02:01/SLYNTVATL;配列番号25)、それぞれ(ProImmune、オックスフォード、UK)に限定された蛍光コンジュゲート五量体を使用して検出した。PBMCは、既知のCMV、EBV、またはA型インフルエンザドナーについてはHemaCare(バンナイズ、CA)から、および既知のHIV-1陽性およびHLA型ドナーについてはBioIVT(ウェストバリー、NY)から入手した。限定HLA型に対して陰性のドナー由来のPMBCを陰性対照として使用した。染色は製造者のプロトコルに従って行った。
【0241】
CMV特異的T細胞の定量化
上記したように、PBMCを既知のCMV感染ヒトドナーの血液から単離し、三重特異性抗体または対照抗体を含有するプレートに添加した。プレートを37℃でインキュベートした。細胞を示された時点で回収し、上記のように解析した。
【0242】
結果
CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体は、CMV感染ヒトドナーB(
図5A~5B)およびCMV感染ヒトドナーC(
図6A~6B)から単離したPBMCと最大10日間のインキュベーション後、T細胞を活性化し、CMV特異的メモリーCD8+T細胞の増殖を促進した。
図5A(CMVドナーB)および
図6A(CMVドナーC)に示したように、CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体は、トリプル変異体対照抗体と比べてCMV特異的メモリーCD8+T細胞(細胞/μl)の増加をもたらした。さらに、CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体は、トリプル変異体対照抗体と比べてCMV特異的CD8+エフェクターメモリー(T
em)およびセントラルメモリー(T
cm)細胞のパーセンテージを増加させた(CMVドナーB、
図5B;CMVドナーC、
図6B)。
【0243】
まとめると、これらのデータは、CD38/CD28×CD3三重特異性抗体がCMV特異的CD8+T細胞、CMV特異的エフェクターメモリー(Tem)CD8+T細胞、およびCMV特異的セントラルメモリー(Tcm)CD8+T細胞などのCMV特異的T細胞の活性化および拡大を促進することを示している。
【実施例5】
【0244】
CD38/CD28×CD3三重特異性抗体はEBV特異的免疫応答を促進する
次に、エプスタイン-バーウイルス(EBV)特異的T細胞の活性化および拡大を促進するCD38/CD28×CD3三重特異性抗体の能力を決定した。
【0245】
材料および方法
EBV特異的T細胞の定量化
上記したように、PBMCを既知のEBV感染ヒトドナーの血液から単離し、三重特異性抗体または対照抗体を含有するプレートに添加した。プレートを37℃でインキュベートした。細胞を示された時点で回収し、上記したように解析した。
【0246】
結果
CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体は、EBV感染ヒトドナーA(
図7A~7B)およびEBV感染ヒトドナーB(
図8A~8B)から単離したPBMCと最大11日間のインキュベーション後、T細胞を活性化し、EBV特異的メモリーCD8+T細胞の増殖を促進した。
図7A(EBVドナーA)および
図8A(EBVドナーB)に示したように、CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体は、トリプル変異体対照抗体と比べてEBV特異的メモリーCD8+T細胞(細胞/μl)の増加をもたらした。さらに、CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体は、トリプル変異体対照抗体と比べてEBV特異的CD8+T
em細胞およびT
cm細胞のパーセンテージを増加させた(EBVドナーA、
図7B;EBVドナーB、
図8B、例えば7日目を参照のこと)。
【0247】
まとめると、これらのデータは、CD38/CD28×CD3三重特異性抗体がEBV特異的CD8+T細胞、EBV特異的エフェクターメモリー(Tem)CD8+T細胞、およびEBV特異的セントラルメモリー(Tcm)CD8+T細胞などのEBV特異的T細胞の活性化および拡大を促進することを示している。
【実施例6】
【0248】
CD38/CD28×CD3三重特異性抗体はHIV特異的免疫応答を促進する
次に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)特異的T細胞の活性化および拡大を促進するCD38/CD28×CD3三重特異性抗体の能力を決定した。
【0249】
材料および方法
HIV特異的T細胞の定量化
上記したように、PBMCを既知のHIV感染ヒトドナーの血液から単離し、三重特異性抗体または対照抗体を含有するプレートに添加した。プレートを37℃でインキュベートした。細胞を示された時点で回収し、上記したように解析した。
【0250】
結果
0日目(三重特異性抗体とのインキュベーションの前)、HIV陽性ドナー由来のPBMCは、HIV Gag特異的CD8 T細胞(PEにコンジュゲートされたA
*02:01-SLYNTVATL(HIV-1 gag p17 76-84)ペンタマー、ProImmune)を示した(
図9)。例えば、3例のHIV陽性PBMCドナーは、HIV陰性ドナー由来のPBMCにおける0.33%と比べて、0.86%(HIVドナーA)、0.95%(HIVドナーB)、および2.27%(HIVドナーC)Gag特異的CD8 T細胞を有した。
【0251】
CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体との最大10日間のPBMCのインキュベーションは、T細胞を活性化し、HIV特異的T細胞の増殖を促進した。
図10A(HIVドナーD)、
図11A(HIVドナーE)、および
図12A(HIVドナーF)に示したように、CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体は、トリプル変異体対照抗体と比べてHIV特異的メモリーCD8+T細胞(細胞/μl)の増加をもたらした。さらに、CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体は、トリプル変異体対照抗体と比べてHIV特異的CD8+エフェクターメモリー(T
em)細胞(例えば、7および10日目を参照のこと)、および程度は少ないもののCD8+セントラルメモリー(T
cm)細胞についてもパーセンテージを増加させた(HIVドナーD、
図10B;HIVドナーE、
図11B;HIVドナーF、
図12B)。
【実施例7】
【0252】
CD38/CD28×CD3三重特異性抗体はインフルエンザ特異的免疫応答を促進する
インフルエンザ特異的T細胞の活性化および拡大を促進するCD38/CD28×CD3三重特異性抗体の能力を決定した。
【0253】
材料および方法
インフルエンザ特異的T細胞の定量化
上記したように、PBMCを既知のA型インフルエンザ感染ヒトドナーの血液から単離し、三重特異性抗体または対照抗体を含有するプレートに添加した。プレートを37℃でインキュベートした。細胞を示された時点で回収し、上記したように解析した。
【0254】
結果
CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体は、既知のインフルエンザ感染ヒトドナーから単離したPBMCと最大11日間のインキュベーション後、T細胞を活性化し、インフルエンザ特異的メモリーCD8+T細胞の増殖を促進した(
図13A~13B(インフルエンザドナーA))。
図13Aに示したように、CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体は、トリプル変異体対照抗体と比べてインフルエンザ特異的メモリーCD8+T細胞(細胞/μl)の増加をもたらした。さらに、CD38
VH1/CD28sup×CD3mid三重特異性抗体は、トリプル変異体対照抗体と比べてインフルエンザ(Flu)特異的CD8+T
em細胞(例えば、7および11日目を参照のこと)およびT
cm細胞(例えば、7日目を参照のこと)のパーセンテージを増加させた(
図13B)。
【0255】
まとめると、実施例1~7に提示したデータは、三重特異性抗CD38/CD3/CD28抗体が多様なウイルスに対する強力な抗ウイルス免疫を刺激することを示している。理論に縛られることを望むものではないが、CD38/CD3/CD28三重特異性抗体は、3つのリガンドの全てをT細胞に結合(engage)させることにより、T細胞の増殖を活性化および促進することができると考えられる。特に、CD38/CD3/CD28三重特異性抗体によるT細胞へのCD3/CD28の結合は、T細胞活性化、増殖、およびメモリーT細胞への分化を開始すると考えられる。さらに、理論に縛られることを望むものではないが、CD28の結合は、免疫応答の期間および程度を増強し、T細胞増殖および生存を促進する有利な同時刺激シグナルを提供すると考えられる。
【0256】
本開示は様々な実施形態を含むが、変形形態および変更形態が当業者には思い浮かぶことが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の範囲に入る全てのそのような同等の変形形態を包含することが意図される。さらに、本明細書で使用されるセクション見出しは構成目的のみのためであり、記載された主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0257】
本明細書に記載された各実施形態は、明らかに反対の指示がない限り、任意の他の実施形態と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であるとして示された任意の特徴または実施形態は、明らかに反対の指示がない限り、好ましいまたは有利であるとして示された任意の他の特徴または実施形態と組み合わせることができる。
【0258】
本出願において引用された全ての参考文献は、参照により本明細書に明示的に組み入れられる。
【配列表】