(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】支持フレーム上のコンテナを運送するための産業トラック
(51)【国際特許分類】
B60P 7/13 20060101AFI20240329BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20240329BHJP
B60P 1/64 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
B60P7/13
B60P3/00 J
B60P1/64 A
(21)【出願番号】P 2022569568
(86)(22)【出願日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2022058832
(87)【国際公開番号】W WO2022175563
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2022-11-29
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】522444793
【氏名又は名称】ブイディーエル スチールヴェルド ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ビーカー,トルシュテン
(72)【発明者】
【氏名】ゼンニンガー,ロラント
(72)【発明者】
【氏名】スミッツ,カレル アンドレアス
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-246045(JP,A)
【文献】国際公開第2017/078625(WO,A1)
【文献】特開平10-095269(JP,A)
【文献】特開2018-100126(JP,A)
【文献】特開2008-001345(JP,A)
【文献】特開2003-252110(JP,A)
【文献】特開2003-276498(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1965424(KR,B1)
【文献】実開平02-060035(JP,U)
【文献】実開昭50-127817(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 7/13
B60P 3/00
B60P 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレーム(110)上のコンテナ(114)を運送するための産業トラック(102)であって、前記産業トラック(102)は、高さ調節可能なホイールサスペンションと、前記産業トラック(102)によって積載可能な支持フレーム(110)を固定するための係合手段(106、108)とを備えた車両フレーム(104)を備え、前記係合手段(106、108)は、受動位置と能動位置との間で移動可能であるように前記車両フレーム(104)に取り付けられており、前記産業トラック(102)は、前記産業トラックに対する前記支持フレーム(110)の位置を検出するための少なくとも1つのセンサを有している、産業トラック(102)において、
前記係合手段は、第1群の係合手段(106)と第2群の係合手段(108)とを有し、前記第1群の係合手段(106)の前記受動位置から前記能動位置への移動は横方向に行われ、前記第2群の係合手段(108)の前記受動位置から前記能動位置への移動は、前記第1群とは反対方向の横方向に行われることを特徴とする、産業トラック(102)。
【請求項2】
前記受動位置にある前記係合手段(106、108)は、前記車両フレーム(104)の内側に配置され、前記車両フレーム(104)の上側の開口部を通して前記能動位置に枢動することができる、請求項1に記載の産業トラック。
【請求項3】
前記係合手段(106、108)は、前記産業トラックの長さにわたって対で配置され、各対は、前記第1群の係合手段(106)及び前記第2群の係合手段(108)を含む、請求項1又は2に記載の産業トラック。
【請求項4】
前記係合手段(106、108)は、制御可能なアクチュエータ(502)によって前記受動位置から前記能動位置に移動可能であり、前記アクチュエータ(502)は、前記能動位置での前記係合手段(106、108)への前記アクチュエータ(502)の力の適用を確実にする安全装置を備える、請求項1に記載の産業トラック。
【請求項5】
前記アクチュエータ(502)は複動式シリンダを備え、前記安全装置は、逆流防止弁を備える、請求項4に記載の産業トラック。
【請求項6】
前記係合手段(106、108)は、前記制御可能なアクチュエータ(502)によって前記受動位置から前記能動位置に移動可能であり、前記アクチュエータ(502)は、前記第1群の係合手段(106)と前記第2群の係合手段(108)に等しい力を提供するように構成されている、請求項1に記載の産業トラック。
【請求項7】
少なくとも1つの距離センサ(706)が、前記距離センサ(706)と、前記車両フレーム(104)に置かれた物体、特にコンテナ(114)のための支持フレーム(110)との間の距離を決定するために、前記車両フレーム(104)の上側に設けられている、請求項1に記載の産業トラック。
【請求項8】
自立型支持フレーム(110)であって、コンテナ(114)を受けるための上面と、前記
自立型支持フレーム(110)を運送車両に配置するための下面と、開位置と閉位置との間で移動可能に前記
自立型支持フレーム(110)上に取り付けられ、開位置で前記コンテナ(114)の下側の開口部に挿入できるように前記
自立型支持フレーム(110)の上面から上方に突出するロック手段(306)と、前記ロック手段(306)を作動させるためのロック機構とを有する自立型支持フレーム(110)において、
前記ロック機構は、スライド要素(302)と偏向リンク(304)とを備え、前記スライド要素(302)は前記
自立型支持フレーム(110)の内側にスライド可能に取り付けられ、前記偏向リンク(304)は、前記スライド要素(302)の変位が前記ロック手段(306)の前記開位置から前記閉位置への移動を引き起こすように設計され、開口部が前記
自立型支持フレーム(110)の下側に設けられ、これを通して運送車両の係合手段(106、108)が前記スライド要素(302)に作用することができる、ことを特徴とする自立型支持フレーム(110)。
【請求項9】
前記スライド要素(302)は、前記
自立型支持フレーム(110)の内部に横方向に変位可能に取り付けられており、前記スライド要素(302)の変位経路は、いずれの場合も、前記
自立型支持フレーム(110)にしっかりと接続された停止部(308)によって制限され、前記スライド要素(302)は、前記ロック手段(306)の前記閉位置でそれぞれの停止部(308)に当接している、請求項8に記載の自立型支持フレーム。
【請求項10】
前記スライド要素(302)は、前記係合手段(106、108)によって前記
自立型支持フレーム(110)の下面の開口部を通して前記スライド要素(302)に作用されると、前記
自立型支持フレームを前記係合手段(106、108)の方向へ下方に移動させる形状を有している、請求項8又は9に記載の自立型支持フレーム。
【請求項11】
前記偏向リンク(304)は、少なくとも3つのロッドを備え、第1ロッドは、前記スライド要素(302)の1つに接続され、前記支
自立型持フレーム(110)の側面の方向に外方に向けられ、第2ロッドは、前記
自立型支持フレーム(110)の側面に実質的に平行に延び、前記第1ロッドの軸方向の動きが前記第2ロッドの回転運動に変換されるように、接続要素を介して前記第1ロッドに接続されており、第3ロッドは、前記
自立型支持フレーム(110)の側面から前記
自立型支持フレーム(110)の中心に向かって内方に延び、前記第3ロッドは、前記第2ロッドの回転運動が前記第3ロッドの軸方向の動きに変換されるように、接続要素を介して前記第2ロッドに接続され、前記第3ロッドは、前記第3ロッドの軸方向の動きが前記開位置から前記閉位置への前記ロック手段(306)の移動に変換されるように、さらなる接続要素を介して前記ロック手段(306)に接続される、請求項8に記載の自立型支持フレーム。
【請求項12】
前記
自立型支持フレーム(110)は、前記
自立型支持フレーム(110)上のコンテナ(114)の存在に応じて異なる位置を取る少なくとも1つの可動位置指示器(704)を備える、請求項8に記載の自立型支持フレーム。
【請求項13】
前記
可動位置指示器(704)は、置かれた前記コンテナ(114)の質量によって前記
自立型支持フレーム(110)の下面に向かって押圧されるピンを備える、請求項12に記載の自立型支持フレーム。
【請求項14】
産業トラック(102)と、コンテナ(114)を受けるための自立型支持フレーム(110)とを備えるシステムであって、前記産業トラック(102)は、前記産業トラック(102)を路面に対して下降及び上昇させることができる高さ調節可能なホイールサスペンションを有し、前記
自立型支持フレーム(110)は、4つの脚(112)を備え、その横方向距離は前記産業トラック(102)の幅よりも大きく、その高さは、前記産業トラック(102)が下降状態で前記
自立型支持フレーム(110)の下を移動することができ、前記産業トラック(102)の上昇状態では前記脚(112)が路面から離れているように寸法付けられている、システムにおいて、
前記産業トラック(102)は、前記
自立型支持フレーム(110)を前記産業トラック(102)に固定するために、前記
自立型支持フレーム(110)にこの目的のために設けられた開口部で係合できる可動係合手段(106、108)を有し、前記
自立型支持フレーム(110)は、前記係合手段(106、108)の係合によって作動し、ロック状態で前記
自立型支持フレーム(110)上に配置されたコンテナ(114)を固定するロック装置を有している、ことを特徴とするシステム。
【請求項15】
前記
自立型支持フレーム(110)は、前記
自立型支持フレーム(110)上のコンテナ(114)の存在に応じて異なる位置を取る可動位置指示器(704)を備え、前記産業トラック(102)は、前記
可動位置指示器(704)の異なる位置を検出することができるセンサを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記産業トラック(102)は、前記
自立型支持フレーム(110)の前記
可動位置指示器(704)に対応する位置に距離センサ(706)を有し、距離センサ(706)は、それぞれの
可動位置指示器(704)と関連する距離センサ(706)との間の距離を決定するように設定される、請求項14又は15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持フレーム上のコンテナを運送するための産業トラックに関し、該産業トラックは、高さ調節可能なホイールサスペンションと、産業トラックによって積載可能な支持フレームを固定するための係合手段と、を備えた車両フレームを備え、該係合手段は、受動位置と能動位置との間で移動可能に車両フレームに取り付けられる。
【背景技術】
【0002】
コンテナを運送するための産業トラック及び支持フレームは、当技術分野でよく知られている。1973年に発行された文献DE2137729Aは、車両フレームから取り外すことができるスワップボディを備えた車両を開示している。スワップボディは、それを地面に置くことができる脚を備えている。脚は、スワップボディの水平方向の動きがスワップボディの上昇又は下降の移動を誘発するように、平行四辺形又は台形に枢動可能にスワップボディに取り付けられている。車両は、それによって車両がロック中に外れたり移動しないように車両フレームに接続されることが可能なロック装置を備えている。スワップボディは、車両フレームのホルダーに係合する係合要素と、スロットとを有している。複数のロック要素をまとめてロックするために、スワップボディは、車両に置かれた後に、水平方向に移動し、ロック要素の係合要素がスロットの水平部に挿入される。
【0003】
文献DE202010006522U1は、スワップボディと運送車両を接続及び切り離すための切換装置を開示している。駐車位置では、スワップボディは、スワップボディから地面まで距離を有して支持脚上に配置される。スワップボディを車両に荷積みするために、スワップボディは、切換装置を上昇させることによって、支持脚から持ち上げられる。これは、車両のエアサスペンションのレベルを上げることで行われる。次に、スワップボディは、シフト装置によって車両上で縦方向に移動させられる。ロック要素は、上方への垂直移動及び進行方向に抗するようにスワップボディをインターロックし、固定する。
【0004】
文献DE102018210348A1は、スワップボディと運送車両を接続及び切り離すための別の切換装置を開示している。駐車位置では、スワップボディは、スワップボディから地面まで距離を有して支持脚上に配置される。スワップボディを車両に荷積みするために、車両はスワップボディの下に走行し、車両のエアサスペンションによってスワップボディを持ち上げる。スワップボディの下側には、車両の貨物エリアに設置されたトラックローラー装置と係合するように構成された2つのガイドレールが設けられている。車両前方に面するガイドレールの端部は外側に角度付けられおり、車両へのスワップボディの荷積みと自動的な横方向のセンタリングを容易にしている。
【0005】
コンテナを車両又は支持フレームにインターロックするために、ツイストロックは当技術分野では最も一般的である。ツイストロックは、スワップボディ又はISOコンテナを互いに又は運搬車両に接続するためのロック装置である。ツイストロックは、コンテナの標準化されたコーナー鋳物に挿入される。あるいは、コンテナが、車両に恒久的に取り付けられたツイストロック上に置かれる。そしてツイストロックの一部が90度捻られることで、確実に接続される。
【0006】
文献EP1937511B1は、貨物コンテナのISO規格のコーナー鋳物を車両にロックするための代替のロック装置を開示している。該ロック装置は、ロック手段がコーナー鋳物の開口部を自由に通過できる開位置と、ロック手段がコーナー鋳物の開口部を囲む壁の開口部の後で引っ掛かる閉位置との間で調整可能なロック手段を備えている。該ロック装置は、さらに、ロック装置上にコンテナを配置した時に負荷が無い初期位置からコンテナの質量による負荷がある終了位置まで、コーナー鋳物の壁との協働を介して調節可能な操作手段と、ロック装置上にコンテナのコーナー鋳物を配置した時にコンテナの質量負荷がロック手段を閉位置に向けて付勢するように、ロック手段と操作手段を結合させるシザー機構を備えた調節機構と、を備えている。
【0007】
文献DE4412085A1は、スワップボディを車両に固定するためのさらなる装置を開示している。該装置は、車両のフレームに取り付けられ、積載されロックされるスワップボディと係合するクランプ装置とロックフックを備えている。
【0008】
コンテナによって輸送される貨物量は、時代とともに増加し続け、コンテナ数及び流通頻度の両方で依然として増加している。従来の輸送手段はこの増加に苦戦し、より高度に自動化された新たな輸送技術を必要としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術から知られているよりも簡単かつ効率的な方法でコンテナの荷積み、輸送及び荷下ろしを行うための産業トラック及びシステムを提供することであった。特に、該産業トラック及びシステムは、高度に自動化された環境での使用に適していることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、本発明による請求項1による産業トラック、請求項8による自立型支持フレーム、及び請求項14によるシステムによって解決される。産業トラック、支持フレーム及びシステムの有利な変形例は、請求項2~7、9~13及び15~16に示されている。
【0011】
簡単な説明
本発明の第1の主題は、支持フレーム上のコンテナを搬送するための産業トラックであって、該産業トラックは、高さ調節可能なホイールサスペンションと、産業トラックによって積載可能な支持フレームを固定するための係合手段とを備えた車両フレームを有する。係合手段は、受動位置と能動位置との間で移動可能であるように車両フレームに取り付けられている。産業トラックは、産業トラックに対する支持フレームの位置を検出するための少なくとも1つのセンサを有する。係合手段は、第1群の係合手段と第2群の係合手段とを有し、受動位置から能動位置への係合手段の移動は、第1群の場合、第2群の場合とは異なる空間方向に行われる。
【0012】
高さ調整可能なホイールサスペンションと、異なる空間方向に働く2つ群の係合手段の構成の組み合わせは、1つの工程で、産業トラックによって積荷としてのコンテナを積載し、積荷を位置決め、及び積荷を産業トラックに固定することを可能にする。さらに、本発明による産業トラックは、荷積み及び荷下ろしの工程の容易かつ高効率な自動化を可能にする。
【0013】
第1群の係合手段における受動位置から能動位置への移動は横方向に行われ、第2群の係合手段における受動位置から能動位置への移動は、第1群とは反対方向の横方向に行われる。受動位置から能動位置への係合手段の横方向で反対方向の移動は、ホイールサスペンションに対して支持フレームを車両フレーム上に自動的にセンタリングすること、したがって横方向の負荷を均等に分散させることを可能にする。
【0014】
定義:
「産業トラック」とは、積荷を運送するように設計された車両又は機械を指す。産業トラックは、運転手によって操舵されてもよく、又は無人の産業トラックであってもよい。産業トラックは当技術分野で知られており、いくつかの産業用規格、例えば国際標準化機構(ISO)による規格ISO 3691-4:2020(en)に従う。
【0015】
好ましい実施形態では、産業トラックは、その標準運転モードにおいて自動的に制御及び誘導される自動誘導車両である。好ましくは、自動誘導車両は、コントロールセンターから監視及び制御されることができる。
【0016】
「支持フレーム」とは、産業トラック積載することができ、コンテナ、好ましくはコーナー鋳物付きのコンテナを荷積みすることが可能な任意の自立型フレームを指す。
【0017】
「コンテナ」とは、車両又は車両によって輸送される支持フレームに荷積み可能なあらゆるコンテナを指す。好ましい実施形態では、コンテナは、コーナー鋳物を有するインターモーダルコンテナ又はシッピングコンテナを指す。より好ましくは、コンテナは、20フィート又は40フィートの標準的なインターモーダルコンテナである。
【0018】
好ましい実施形態では、受動位置にある係合手段は、車両フレーム内側に配置され、車両フレームの上側の開口部を通して能動位置に枢動することができる。
【0019】
好ましくは、係合手段は、産業トラックの長さにわたって対で配置され、各対は、第1群の係合手段と第2群の係合手段を含む。一実施形態では、少なくとも2対の係合手段が存在し、1対は産業トラックの前部の近くに、第2の対は産業トラックの後部に存在する。産業トラックの長さにわたって係合手段を対で配置することによって、車両フレームに対するコンテナのあり得る回転運動を回避することができる。
【0020】
好ましい実施形態では、係合手段は、制御可能なアクチュエータによって受動位置から能動位置に移動可能であり、該アクチュエータは、能動位置での係合手段へのアクチュエータの力の適用を確実にする安全装置を備える。より好ましくは、アクチュエータは複動式シリンダを備え、安全装置は、この実施形態では、逆流防止弁を備える。安全装置を設けることにより、コンテナは産業トラックトラックに配置された状態にとどまり、産業トラックにエネルギー喪失があったとしても、産業トラックに固定されたままであるという利点がある。この実施形態のさらなる利点は、コンテナを固定し、締結するために大きな力を加えることが可能であり、これにより安全な運送を保証することが可能であることである。
【0021】
さらに好ましくは、係合手段が、制御可能なアクチュエータによって受動位置から能動位置に移動可能であり、該アクチュエータは、第1群の係合手段及び第2群の係合手段に等しい力を提供するように構成されている。両方の群の係合手段に等しい力を提供する可能性は、ホイールサスペンションに対して支持フレームを車両フレーム上で自動的にセンタリングし、それによって横方向の負荷を均等に分散させることをサポートする。
【0022】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの距離センサが、距離センサと車両フレーム上に載置された物体、特にコンテナの支持フレームとの間の距離を決定するために車両フレームの上側に設けられている。距離センサの信号は、有利には、車両フレーム上に積荷が存在するか、及びこの積荷(特に支持フレーム上のコンテナ)が車両フレーム上に正しく配置されているか、を決定するために制御システムで処理され得る。距離センサの信号は、さらに、係合手段が積荷に損傷を与えること(このことは例えば積荷が車両フレーム上に正しく配置されていない場合に起こり得る)なく作動され得るかをチェックするために使用されることができる。このようにして、荷積み及び荷下ろしの工程の自動化が容易になる。
【0023】
本発明の第2の主題は、コンテナを受けるための上面と、支持フレームを運送車両に配置するための下面と、開位置と閉位置との間で移動可能に支持フレームに取り付けられ、開位置でコンテナの下側の開口部に挿入できるように支持フレームの上面から上方に突出するロック手段と、ロック手段を作動させるためのロック機構とを備える自立型支持フレームである。本発明によれば、ロック機構は、スライド要素と偏向リンクとを備え、該スライド要素は支持フレームの内側にスライド可能に取り付けられ、該偏向リンクは、スライド要素の変位がロック手段の開位置から閉位置への移動を引き起こすように設計され、開口部が支持フレームの下側に設けられ、これを介して運送車両の係合手段がスライド要素に作用することができるようになっている。
【0024】
本発明による支持フレームは、荷積み及び荷下ろしの工程の容易な自動化を促進する。スライド要素、偏向リンク及びロック手段を有するロック機構を設けることにより、産業トラックから独立して支持フレームを荷積み及び荷下ろしすることができ、支持フレームに積載されたコンテナを荷積みの工程中に産業トラックに自動的に締結し、固定することができるという有利な効果がある。産業トラックと支持フレームの間の確実な接続は、スライド要素に作用する係合手段によって実現され、一方、支持フレームとコンテナの間の確実な接続は、ロック手段によって実現される。本発明によるロック機構を介した自動締結のさらなる利点は、追加の電力供給なしで動作することであり、電力供給はロックが例えば電気モータを介して行われる場合には必要となる。
【0025】
支持フレームの好ましい実施形態では、スライド要素は、支持フレームの内部に横方向に変位可能に取り付けられており、該スライド要素の変位経路は、いずれの場合も、支持フレームにしっかりと接続された停止部によって制限され、スライド要素は、ロック手段の閉位置でそれぞれの停止部に当接している。停止部を設けることにより、産業トラックの所定の位置に支持フレームを位置決めすることが容易になり、これにより、荷積み及び荷下ろしの工程の効率的な自動化を容易にする。
【0026】
好ましくは、スライド要素は、支持フレームの下面の開口部を通してスライド要素の係合手段によって作用されると、支持フレームを係合手段の方向へ下方に移動させる形状を有している。この実施形態では、支持フレームは車両フレームに向かって強制的に移動させられるため、支持フレームが車両フレーム上で意図せずに移動することを防止する。さらなる利点は、強制された接続が、支持フレームの構造強度を車両フレームの構造強度に加えることにより、産業トラックの剛性を増加させることである。
【0027】
好ましくは、スライド要素は、リセット機能(それにより、スライド要素に対する外力が取り除かれた時に、スライド要素が元の位置に戻される)を有して支持フレームの内部に変位可能に取り付けられている。リセット機能は、例えばリターンスプリングによって実現され得る。この実施形態は、産業トラックの係合手段が閉位置から開位置に移動されるとすぐに、ロック手段はコンテナを支持フレームから自動的にロック解除し、支持フレームを産業トラックから自動的にロック解除するという利点を有する。
【0028】
支持フレームの好ましい実施形態では、偏向リンクは、少なくとも3つのロッドを備え、第1ロッドは、スライド要素の1つに接続され、支持フレームの側面の方向に外方に向けられ、第2ロッドは、支持フレームの側面に実質的に平行に延び、第1ロッドの軸方向の動きが第2ロッドの回転運動に変換されるように、接続要素を介して第1ロッドに接続されており、第3ロッドは、支持フレームの側面から支持フレームの中心に向かって内方に延び、第3ロッドは、第2ロッドの回転運動が第3ロッドの軸方向の動きに変換されるように、接続要素を介して第2ロッドに接続され、第3ロッドは、第3ロッドの軸方向の動きが開位置から閉位置へのロック手段の移動に変換されるように、さらなる接続要素を介してロック手段に接続される。本実施形態による偏向リンクは、保守が容易であり、耐欠陥性である。ロッド及び接続要素は、大きな力を伝達するのに適した様々な標準的な素材から選択されることができる。したがって、高負荷の大型コンテナも問題なく積載、位置決め、及び固定されることができる。
【0029】
好ましい実施形態では、支持フレームは、支持フレーム上のコンテナの存在に応じて異なる位置を取る少なくとも1つの可動位置指示器を備えている。位置指示器を設けることは、コンテナが支持フレーム上に配置されているかどうか、及びコンテナが支持フレーム上に正しく配置されているかどうかを検出することによって、さらなる自動化を可能にする。さらなる利点は、距離センサが、コンテナがロックされる準備ができているかどうかを決定するのに使用されることができ、これにより、ロック手段のあり得る損傷を防ぐことができることである。距離センサによって提供される信号は、支持フレームにコンテナが積載されているか、又はコンテナが支持フレーム上に正しく配置されているかを確認するために、例えば遠隔制御システムと通信するのに有利に使用されることができる。
【0030】
この実施形態の好ましい変形例では、位置指示器は、置かれたコンテナの質量によって支持フレームの下面に向かって押圧されるピンを備える。ピン(特に鋼製の大きなピン)は、コンテナなどの重い負荷に対して堅牢で信頼性のある位置指示器である。
【0031】
有利な実施形態では、ピンは、ピンが潜在的に可能な負荷すなわちコンテナの方向に上向きに押されるという意味で、ばねで負荷されている。
【0032】
本発明の第3の主題は、産業トラックと、コンテナを受けるための自立型支持フレームとを備えるシステムであり、該産業トラックは、産業トラックを路面に対して下降及び上昇させることができる高さ調節可能なホイールサスペンションを有し、該支持フレームは、4つの脚を備え、その横方向距離は産業トラックの幅よりも大きく、その高さは、産業トラックが下降状態では支持フレームの下を移動できるように寸法付けられており、産業トラックの上昇状態では脚が路面から離れている。本発明によれば、産業トラックは、支持フレームを産業トラックに固定するために、支持フレームにこの目的のために設けられた開口部で係合できる可動係合手段を有し、支持フレームは、係合手段の係合によって作動し、支持フレーム上に配置されたコンテナをロック状態に固定するロック装置を備える。
【0033】
システムの好ましい実施形態では、支持フレームは、支持フレーム上のコンテナの存在に応じて異なる位置を取る可動位置指示器を備え、運送車両は、位置指示器の異なる位置を検出することができるセンサを備える。
【0034】
好ましくは、産業トラックは、支持フレームの位置指示器に対応する位置に距離センサを有し、それらはそれぞれの位置指示器と関連するセンサとの間の距離を決定するように設定されている。
【0035】
本発明によるシステムは、コンテナの荷積み、輸送及び荷下ろしの工程を完全に自動化する可能性を提供する。荷積みと荷下ろしの工程は、支持フレームの使用可能性のみを必要とし、一方、輸送の工程は、さらに産業トラックの使用可能性を必要とする。これらの作業の分離は、産業トラックが高度な自動化で多数のコンテナを運送するのために効率的に使用されるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。図面は、原則として説明として解釈される。これらは、例えば、特定の寸法又は設計上の変形に関して、本発明のいかなる制限をも構成しない。図において:
【
図1】ロック解除状態の本発明の第1の実施形態による、産業トラックとコンテナを受け取るための支持フレームを含むシステムを示す図である。
【
図2】
図1によるシステムをロック状態で示す図である。
【
図3】
図1のシステムのロック機構を正面視で示す詳細図である。
【
図4】
図1のシステムのロック機構を平面視で示す詳細図である。
【
図5】ロック解除状態の
図1のシステムのロック機構の好ましい実施形態を示す図である。
【
図6】ロック状態の
図5のロック機構を示す図である。
【
図7】
図1のシステムのための位置指示器と距離センサの好ましい実施形態を示す図である。
【
図8】
図1のシステムのための荷積み工程の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
102 産業トラック
104 車両フレーム
106 第1群の係合手段
108 第2群の係合手段
110 支持フレーム
112 脚
114 コンテナ
302 スライディング要素
304 偏向リンク
306 ロック手段
308 停止部
502 アクチュエータ
702 コーナー鋳物
704 位置指示器
706 距離センサ
802 左距離
804 右距離
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、産業トラック102と、コンテナ114を受けるための自立型支持フレーム110とを備える本発明によるシステムを示す。産業トラック102は、産業トラック102を路面に対して下降及び上昇させることができる高さ調節可能なホイールサスペンションを有する車両フレーム104を備えている。自立型支持フレーム110は、4つの脚112を備え、その横方向距離は産業トラック102の幅よりも大きく、その高さは、産業トラック102が下降状態で支持フレーム110の下で移動でき、産業トラック102の上昇状態では脚112が路面から離れているように寸法付けられている。
図1は、産業トラックの上昇状態を示している。
図1の左側では、システムは、コンテナ114が支持フレーム110に載置される直前の状態で示されている。
図1の右側では、システムは、コンテナ114が支持フレーム110に載置された後の状態で示されている。
【0039】
産業トラック102は、産業トラックに対する支持フレーム110の位置を検出するための少なくとも1つのセンサを有する。産業トラック102は、支持フレーム110を産業トラック102に固定するために、支持フレーム110にこの目的のために設けられた開口部で係合することができる可動係合手段を有する。係合手段は、受動位置と能動位置との間で移動可能であるように、車両フレーム104に取り付けられている。係合手段は、第1群の係合手段106と第2群の係合手段108を含む。受動位置から能動位置への係合手段の移動は、第1群の係合手段106の場合、第2群の係合手段108の場合とは異なる空間方向に行われる。支持フレーム110は、係合手段の係合によって作動し、支持フレーム110上に配置されたコンテナ114をロック状態に固定するロック装置を備える。
図1は、受動位置にあり、したがってロック解除状態にある係合手段を示している。
【0040】
図2は、ロック状態における
図1によるシステムを示す。図示の例では、受動位置にある係合手段は、車両フレーム104の内側に配置され、車両フレーム104の上側の開口部を通して能動位置に枢動することができる。第1群の係合手段106における受動位置から能動位置への移動は、横方向に、図示の例では、右から左への反時計回りの移動によって行われる。第2群の係合手段108における受動位置から能動位置への移動は、第1群とは反対方向で横方向に行われ、図示の例では左から右への時計回りの移動によって行われる。
【0041】
本実施例の産業トラック102は、産業トラックの長さ方向にわたって互いに距離を置いて配置された複数対の係合手段を備えている。係合手段の各対は、第1群の係合手段106と第2群の係合手段108とを含む。
【0042】
図3は、正面視で
図1のシステムのロック機構の詳細図を示す。自立型支持フレーム110は、コンテナを受けるための上面と、支持フレーム110を産業トラック102に配置するための下面とを備える。ロック手段306は、開位置と閉位置との間で移動可能であるように支持フレーム110に取り付けられ、その開位置でコンテナの下側の開口部に挿入できるように支持フレーム110の上側から上方に突出している。ロック手段306は、コンテナの開口部と相互作用することができる、当技術分野で知られている任意の適切な手段であり得る。図示の例では、ロック手段306はツイストロックである。
【0043】
支持フレーム110は、ロック手段306を作動させるためのロック機構をさらに備え、該ロック機構は、支持フレーム110の内側に摺動可能に取り付けられたスライド要素302と、偏向リンク304とを備える。偏向リンク304は、スライド要素302の変位が、ロック手段306の開位置から閉位置への移動を引き起こすように設計されている。開口部が支持フレーム110の下側に設けられ、これを通して産業トラック102の係合手段106、108がスライド要素302に作用することができる。スライド要素302は、支持フレーム110の内部に横方向に変位可能に取り付けられており、該スライド要素302の変位経路は、いずれの場合も、支持フレーム110にしっかりと接続された停止部308によって制限され、スライド要素302は、ロック手段306の閉位置でそれぞれの停止部308に当接している。
【0044】
図4は、平面視で
図1のシステムのロック機構の詳細図を示す。各偏向リンク304は、3つのロッドを備え、第1ロッドは、スライド要素302の1つに接続され、支持フレーム110の側面の方向に外方に向けられている。第2ロッドは、支持フレーム110の側面に実質的に平行に延び、接続要素を介して第1ロッドに接続され、これにより、第1ロッドの軸方向の動きは第2ロッドの回転運動に変換される。第3ロッドは、支持フレーム110の側面から支持フレーム110の中心に向かって内方に延び、第3ロッドは、第2ロッドの回転運動が第3ロッドの軸方向の運動に変換されるように、接続要素を介して一端で第2ロッドに接続されている。第3ロッドは、第3ロッドの軸方向の運動が開位置から閉位置へのロック手段306の移動に変換されるように、その他端でさらなる接続要素を介してロック手段306に接続される。
【0045】
図5は、ロック解除状態の
図1のシステムのロック機構の好ましい実施形態を示す。
図6は、ロック状態の同じロック機構を示す図である。
【0046】
係合手段106、108は、制御可能なアクチュエータ502によって受動位置から能動位置に移動可能であり、該アクチュエータは、能動位置での係合手段へのアクチュエータの力の適用を確実にする安全装置を備える。
図5に示す例では、アクチュエータ502は複動式シリンダを備え、安全装置は、逆流防止弁を備える。
【0047】
支持フレーム110のスライド要素302は、支持フレーム110の下面の開口部を通して係合手段によって作用されると、支持フレームを係合手段106、108の方向へ下方に移動させる形状を有している。第1群の係合手段106、108が能動位置でスライド要素302を押圧すると、支持フレーム110は車両フレームに向かって強制的に移動させられるため、支持フレーム110が車両フレーム上で意図せずに移動することを防止する。
【0048】
図7は、
図1のシステムのための位置指示器704と距離センサ706の好ましい実施形態を示す。位置指示器704は、ロック手段に隣接して垂直に配置されたピンを有している。その上端は、コンテナ114のコーナー鋳物702を受ける支持フレームの表面を越えて突出している。ピンの下端は、ピンの垂直位置の変化を記録する車両フレーム内の距離センサ706に接続されている。
【0049】
図7の左側は、コンテナ114が支持フレームに積載されているが、まだ最終位置に達していない状態を示している。位置指示器704は、コーナー鋳物702にまだ接触していないため、距離センサ706は無負荷の状態を記録する。
図7の右側は、コンテナ114が支持フレームの表面上に載っている状態を示している。位置指示器704のピンは、コンテナ114の質量によって、距離センサ706の方向に下向きに押されている。これにより、距離センサ706は、積載状態を記録する。
【0050】
積み込み工程中に、コンテナが支持フレーム上に配置されているが、正しい位置にない(例えば、傾いた位置又はシフトした位置)場合がある。そのような場合、位置指示器はコンテナのコーナー鋳物に接触しているが、コーナー鋳物が支持フレームの表面上に完全に載っている場合のように完全に押し下げてはいないことがあり得る。その場合、距離センサ706は、支持フレームに積荷があるが、ロック手段によって緊結される用意ができていないことを検出することになる。したがって、ロック手段のあり得る損傷を防止することができる。
【0051】
図8は、
図1によるシステムの荷積み工程の一例を示す図である。
図8の最上の図は、産業トラックによって既に持ち上げられた支持フレームを示している。この図は、産業トラックが、支持フレームの右側よりも左側にわずかに位置する状態を示している。支持フレームの左脚112と車両フレーム104との間の左距離802は、車両フレーム104と右脚112との間の右距離804よりも小さい。係合手段106、108は、まだ受動位置にある。
【0052】
図8の中央の図は、右側の係合手段108が既に能動位置にあるのに対し、左側の係合手段106がまだ受動位置から能動位置への移行中である荷積み工程の状況を示している。左側のスライド要素は、支持フレームに取り付けられた停止部308の最終位置に既に達しており、一方、右側のスライド要素302と停止部308との間には、まだ横方向の距離が存在する。
【0053】
係合手段106によって左側の対応するスライド要素302にさらに力が加わると、右側のスライド要素302が同様に停止部308のその最終位置に達するまで、左に向かって支持フレームの横方向シフトがもたらされる。この状態は、
図8の最下の図に示されている。係合手段106、108のこの最終的な能動位置では、支持フレームは産業トラックの横方向寸法に関して中央に配置されている。したがって、支持フレームに対する産業トラックの初期位置とは無関係に、支持フレームは、産業トラックに横方向に均等に分散された荷重を与えるホイールサスペンションに対して、車両フレーム104の中央に自動的に配置される。
【0054】
支持フレームの自動的なセンタリングに加えて、支持フレームに積載されたコンテナ(
図8には示されず)がロックされて固定される。これは、支持フレームの左側と右側のロック手段306によって示される。最上の図では、両方のロック手段306は、それぞれの開位置にある。
図8の中央の図の受動位置から能動位置への移行中では、左側のロック手段は、対応するスライド要素302が停止部308でその最終位置に達しているため、既にそのロック位置にある。右側のロック手段306は、まだその開位置にある。右側のスライド要素302が対応する停止部308でその最終位置に達するとすぐに、右側のロック手段306もそのロック位置になる。この最終位置で、コンテナは支持フレームに固定され、支持フレームは順に産業トラックの車両フレーム104に固定される。コンテナは、係合手段106、108がスライド要素302から積極的に解放されるまで、この締結され固定された位置に置かれる。