(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】被めっき基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 18/18 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
C23C18/18
(21)【出願番号】P 2023520270
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2022024721
(87)【国際公開番号】W WO2022270504
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2021103360
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504165591
【氏名又は名称】国立大学法人岩手大学
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100201606
【氏名又は名称】田岡 洋
(72)【発明者】
【氏名】桑 静
(72)【発明者】
【氏名】平原 英俊
(72)【発明者】
【氏名】村岡 宏樹
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-143007(JP,A)
【文献】特開2009-013463(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169612(WO,A1)
【文献】特開2021-055174(JP,A)
【文献】特開2020-023734(JP,A)
【文献】特開2006-256031(JP,A)
【文献】特開2004-152852(JP,A)
【文献】国際公開第2012/046651(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 18/00-18/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンから成る基板の表面に光反応性接合剤を付与する接合剤付与工程と、
前記光反応性接合剤が付与された前記基板の表面に光を照射し、前記基板の表面と前記光反応性接合剤とを接合する照射工程と、
前記照射工程後に前記基板の表面と接合していない前記光反応性接合剤を洗浄により取り除く第1洗浄工程と、
前記第1洗浄工程の後に前記光反応性接合剤に結合する触媒を付与する触媒付与工程と、
前記触媒付与工程の後に前記光反応性接合剤に結合していない前記触媒を洗浄により取り除く第2洗浄工程と、
前記第2洗浄工程の後に前記触媒が結合した前記光反応性接合剤に無電解めっき処理により導電性物質を配置するめっき工程と、を有する被めっき基板の製造方法。
【請求項2】
前記光反応性接合剤は、1分子内に、トリアジン環と、アルコキシシリル基(前記アルコキシシリル基中のアルコキシ基がOHである場合も含まれる)と、を有し、
ジアゾ基又はアジド基をさらに有する化合物である、請求項1に記載の被めっき基板の製造方法。
【請求項3】
ガラスから成る基板の表面に光反応性接合剤を付与する接合剤付与工程と、
前記光反応性接合剤が付与された前記基板の表面に光を照射し、前記基板の表面と前記光反応性接合剤とを接合する照射工程と、
前記照射工程後に前記基板の表面と接合していない前記光反応性接合剤を洗浄により取り除く第1洗浄工程と、
前記第1洗浄工程の後に前記光反応性接合剤に結合する触媒を付与する触媒付与工程と、
前記触媒付与工程の後に前記光反応性接合剤に結合していない前記触媒を洗浄により取り除く第2洗浄工程と、
前記第2洗浄工程の後に前記触媒が結合した前記光反応性接合剤に無電解めっき処理により導電性物質を配置するめっき工程と、を有する被めっき基板の製造方法であって、
前記光反応性接合剤は、1分子内に、トリアジン環と、アルコキシシリル基(前記アルコキシシリル基中のアルコキシ基がOHである場合も含まれる)と、を有し、ジアゾ基をさらに有する化合物である、
被めっき基板の製造方法。
【請求項4】
前記光反応性接合剤は、下記一般式(1)
で表される化合物より選択される、請求項
2または3に記載の被めっき基板の製造方法。
【化1】
[式(1)中、-Q
1又は-Q
2の少なくとも1つが-NR
1(R
2)又は-SR
1(R
2)であり、残りは任意の基である。R
1及びR
2は、H、炭素数が1~24の炭化水素基、又は-RSi(R’)
n(OA)
3-n(Rは、炭素数が1~12の鎖状の炭化水素基である。R’は、炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基である。Aは、H又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基である。nは0~2の整数である。)である。ただし、前記R
1,R
2のうちの少なくとも一つは前記-RSi(R’)
n(OA)
3-nである。]
【請求項5】
前記光反応性接合剤は、下記一般式(3)で表される化合物である、請求項
4に記載の被めっき基板の製造方法。
【化2】
【請求項6】
ガラスから成る基板の表面を、水酸化物を用いて洗浄する工程と、
前記洗浄された基板の表面に光反応性接合剤を付与する接合剤付与工程と、
前記光反応性接合剤が付与された前記基板の表面に光を照射し、前記基板の表面と前記光反応性接合剤とを接合する照射工程と、
前記照射工程後に前記基板の表面と接合していない前記光反応性接合剤を洗浄により取り除く第1洗浄工程と、
前記第1洗浄工程の後に前記光反応性接合剤に結合する触媒を付与する触媒付与工程と、
前記触媒付与工程の後に前記光反応性接合剤に結合していない前記触媒を洗浄により取り除く第2洗浄工程と、
前記第2洗浄工程の後に前記触媒が結合した前記光反応性接合剤に無電解めっき処理により導電性物質を配置するめっき工程と、を有する被めっき基板の製造方法であって、
前記光反応性接合剤は、1分子内に、トリアジン環と、アルコキシシリル基(前記アルコキシシリル基中のアルコキシ基がOHである場合も含まれる)と、を有し、アジド基をさらに有する化合物である、
被めっき基板の製造方法。
【請求項7】
前記光反応性接合剤は、下記一般式(2)で表される化合物より選択される、請求項2または6に記載の被めっき基板の製造方法。
【化3】
[式(2)中、-Q
3
は-NR
1
(R
2
)又は-SR
1
(R
2
)である。R
1
及びR
2
は、H、炭素数が1~24の炭化水素基、又は-RSi(R’)
n
(OA)
3-n
(Rは、炭素数が1~12の鎖状の炭化水素基である。R’は、炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基である。Aは、H又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基である。nは0~2の整数である。)である。ただし、前記R
1
,R
2
のうちの少なくとも一つは前記-RSi(R’)
n
(OA)
3-n
である。]
【請求項8】
前記光反応性接合剤は、下記一般式(4)で表される化合物である、請求項
7に記載の被めっき基板の製造方法。
【化4】
【請求項9】
前記照射工程における照射は、前記基板の表面の一部を遮蔽するマスクを配置し光を照射することにより前記基板の表面を選択的に照射する方法、及び/又は収束光を照射することにより前記基板の表面を選択的に照射する方法によって行われる、請求項1
、3または6に記載の被めっき基板の製造方法。
【請求項10】
前記照射工程にて照射する光の波長が200nm~380nmである、請求項1
、3または6に記載の被めっき基板の製造方法。
【請求項11】
前記触媒付与工程において付与される触媒は、Pd、Ag、Cuからなる群より選ばれる、請求項1
、3または6に記載の被めっき基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス又はシリコンから成る基板を用いた被めっき基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス実装の分野において、ガラスやシリコンなどの材料から成る基板が注目されており、当該基板上にめっきを形成する技術も求められている。このような材料から成る基板は、高周波特性や低伝送損失、低熱膨張率、寸法安定性などの優れた特性を有するからである。
【0003】
ガラスやシリコンなどの材料から成る基板の表面にめっき処理を施す方法としては、例えば、真空中で金属を蒸着する方法、金属をスパッタリングする方法、無電解めっき処理をする方法が知られているが、当該材料から成る基板の表面にめっき処理を施した被めっき基板において、基板表面とめっきの密着性は重要な特性であり、密着性を向上させるための改良が試みられている。
【0004】
例えば、無電解めっき処理により基板の表面にめっきを形成する方法では、ガラスから成る基板にエッチング処理を施すことで基材表面に微細な凹凸を形成し、その後に、シランカップリング剤処理、無電解めっき処理を行うことにより基板表面とめっきとの密着性を改善する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の方法では基板表面にエッチング処理による凹凸が存在するため、当該被めっき基板が高周波用電子部品に用いられた場合、信号の伝達ロスや発熱の原因となり好ましくない。さらには、基板表面に導体配線の微細なパターンを形成する場合も、凹凸により微細な形成が妨げられるという問題もある。そこで、ガラスやシリコンなどの材料から成る基板の平滑な表面に対して、密着性が高く、剥離強度の良好なめっきを形成した被めっき基板を製造する方法が求められている。
【0007】
本発明は上記のような事情を鑑みてなされたものであり、基板表面に凹凸を形成せずとも、ガラスやシリコンなどの材料の基板表面に十分な剥離強度を持って密着しためっきが形成された被めっき基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく研究を行った結果、ガラス又はシリコンから成る基板の表面に光反応性接合剤を付与する接合剤付与工程と、光反応性接合剤が付与された基板の表面に光を照射し、基板の表面と光反応性接合剤とを接合する照射工程と、照射工程後に基板の表面と接合していない光反応性接合剤を洗浄により取り除く第1洗浄工程と、第1洗浄工程の後に光反応性接合剤に結合する触媒を付与する触媒付与工程と、触媒付与工程の後に光反応性接合剤に結合していない触媒を洗浄により取り除く第2洗浄工程と、第2洗浄工程の後に触媒が結合した光反応性接合剤に無電解めっき処理により導電性物質を配置するめっき工程と、を有する被めっき基板の製造方法により、基板表面に凹凸を形成せずとも、ガラス又はシリコンから成る基板表面に対して十分な剥離強度を持っためっきを形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
具体的には、本発明は以下の通りである。
〔1〕 ガラス又はシリコンから成る基板の表面に光反応性接合剤を付与する接合剤付与工程と、
前記光反応性接合剤が付与された前記基板の表面に光を照射し、前記基板の表面と前記光反応性接合剤とを接合する照射工程と、
前記照射工程後に前記基板の表面と接合していない前記光反応性接合剤を洗浄により取り除く第1洗浄工程と、
前記第1洗浄工程の後に前記光反応性接合剤に結合する触媒を付与する触媒付与工程と、
前記触媒付与工程の後に前記光反応性接合剤に結合していない前記触媒を洗浄により取り除く第2洗浄工程と、
前記第2洗浄工程の後に前記触媒が結合した前記光反応性接合剤に無電解めっき処理により導電性物質を配置するめっき工程と、を有する被めっき基板の製造方法。
〔2〕 前記照射工程における照射は、前記基板の表面の一部を遮蔽するマスクを配置し光を照射することにより前記基板の表面を選択的に照射する方法、及び/又は収束光を照射することにより前記基板の表面を選択的に照射する方法によって行われる、〔1〕に記載の被めっき基板の製造方法。
〔3〕 前記光反応性接合剤は、1分子内に、トリアジン環と、アルコキシシリル基(前記アルコキシシリル基中のアルコキシ基がOHである場合も含まれる)と、を有し、
ジアゾ基又はアジド基をさらに有する化合物である、〔1〕又は〔2〕に記載の被めっき基板の製造方法。
〔4〕 前記光反応性接合剤は、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物より選択される、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の被めっき基板の製造方法。
【化1】
[式(1)中、-Q
1又は-Q
2の少なくとも1つが-NR
1(R
2)又は-SR
1(R
2)であり、残りは任意の基である。R
1及びR
2は、H、炭素数が1~24の炭化水素基、又は-RSi(R’)
n(OA)
3-n(Rは、炭素数が1~12の鎖状の炭化水素基である。R’は、炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基である。Aは、H又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基である。nは0~2の整数である。)である。ただし、前記R
1,R
2のうちの少なくとも一つは前記-RSi(R’)
n(OA)
3-nである。]
【化2】
[式(2)中、-Q
3は-NR
1(R
2)又は-SR
1(R
2)である。R
1及びR
2は、H、炭素数が1~24の炭化水素基、又は-RSi(R’)
n(OA)
3-n(Rは、炭素数が1~12の鎖状の炭化水素基である。R’は、炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基である。Aは、H又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基である。nは0~2の整数である。)である。ただし、前記R
1,R
2のうちの少なくとも一つは前記-RSi(R’)
n(OA)
3-nである。]
〔5〕 前記光反応性接合剤は、下記一般式(3)で表される化合物である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の被めっき基板の製造方法。
【化3】
〔6〕 前記光反応性接合剤は、下記一般式(4)で表される化合物である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の被めっき基板の製造方法。
【化4】
〔7〕 前記照射工程にて照射する光の波長が200nm~380nmである、〔1〕~〔6〕に記載の被めっき基板の製造方法。
〔8〕 前記触媒付与工程において付与される触媒は、Pd、Ag、Cuからなる群より選ばれる、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の被めっき基板の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の被めっき基板の製造方法によれば、基板表面に凹凸を形成せずとも、ガラス又はシリコンから成る基板の表面に十分な剥離強度を持って密着しためっきが形成された被めっき基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る被めっき基板の製造方法を説明するための概略図である。
【
図2】実施例で使用したステンレス製のマスクの写真である。
【
図3】シリコンウエハを用いたpTES処理基板表面のXPSスペクトルを示す図である。
【
図4】ガラスを用いたpTES処理基板表面のXPSスペクトルを示す図である。
【
図5】シリコンウエハを用いたpTES処理基板の表面の照射時間別における元素比率を示す図である。
【
図6】ガラスを用いたpTES処理基板の表面の照射時間別における元素比率を示す図である。
【
図7】pTES処理基板における、N/Si値と、紫外線照射時間と、の関係を示す図である。
【
図8】原子間力顕微鏡にて各pTES処理基板の表面の形状を観察した図である。
【
図9】シリコンウエハを用いた被Niめっき基板(pTES処理)の、テープ剥離試験の結果と、表面をレーザー顕微鏡で観察した結果と、を示す図である。
【
図10】ガラスを用いた被Niめっき基板(pTES処理)の、テープ剥離試験の結果と、表面をレーザー顕微鏡で観察した結果と、を示す図である。
【
図11】透過型電子顕微鏡にて観察した、被Niめっき基板(pTES処理)の断面の画像を示す。
【
図12】被Niめっき基板(PC1処理)のテープ剥離試験の結果を示す図である。
【
図13】透過型電子顕微鏡にて観察した、被Niめっき基板(PC1処理)の断面の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本実施形態に係る被めっき基板の製造方法は、ガラス又はシリコンから成る基板の表面に光反応性接合剤を付与する接合剤付与工程と、光反応性接合剤が付与された基板の表面に光を照射し、基板の表面と光反応性接合剤とを接合する照射工程と、照射工程後に基板の表面と接合していない光反応性接合剤を洗浄により取り除く第1洗浄工程と、第1洗浄工程の後に光反応性接合剤に結合する触媒を付与する触媒付与工程と、触媒付与工程の後に光反応性接合剤に結合していない触媒を洗浄により取り除く第2洗浄工程と、第2洗浄工程の後に触媒が結合した光反応性接合剤に無電解めっき処理により導電性物質を配置するめっき工程と、を有する。
【0014】
〔光反応性接合剤〕
本実施形態の被めっき基板の製造方法に用いられる光反応性接合剤2は、
図1に示されるように、基板1の表面に付与された後に照射工程における光照射により基板1と接合し、さらに触媒付与工程で付与される触媒6と結合し、めっき工程によって形成されるめっき(導電性物質7)の基礎となる物質である。
【0015】
本実施形態で用いる光反応性接合剤は、その1分子内に、光の照射により高反応性の化学種を発生させ、ガラス又はシリコンから成る基板の表面に接合する光反応性基と、触媒と相互作用して結合する相互作用性基と、を有する。なお、相互作用性基は、加水分解等により触媒との相互作用性(結合性)を発現する官能基であってもよい。
【0016】
光反応性接合剤は、1分子内に、トリアジン環と、アルコキシシリル基(前記アルコキシシリル基中のアルコキシ基がOHである場合も含まれる)と、を有し、ジアゾ基又はアジド基をさらに有する化合物であることが好ましい。ここでジアゾ基は、炭素と結合していることが好ましく、ジアゾメチル基であることがより好ましい。
【0017】
トリアジン環としては、好ましくは1,3,5-トリアジンなどを用いることができる。また、アルコキシシリル基は、シラノール生成基の一種として選択することができる。シラノール生成基は、加水分解等によりシラノールを生じる基である。アルコキシシリル基としては、ケイ素とアルコキシ基を有する基であれば任意に選択できる。ここで、アルコキシシリル基がトリアジン環と結合する部位と、ケイ素との間には、他の元素が存在してもよい。例えば、アルコキシシリル基がトリアジン環と結合する部位とケイ素との間には、アミノ基、チオ基、オキシ基及び/又は炭化水素基などが存在していてもよい。前述のような他の元素が存在することで、基板表面と導体配線とが光反応性接合剤を介して接合する際に、スペーサとして働く。また、本実施形態の光反応性接合剤が2個以上のアルコキシシリル基を有する場合は、その構造は同一でも異なるものでも良い。
【0018】
光反応性接合剤として好ましい上記化合物においては、ジアゾ基又はアジド基が光反応性基であり、アルコキシシリル基が相互作用性基に該当し得る。なお、アルコキシシリル基は、加水分解によりシラノール基を生じ、かかるシラノール基が触媒との相互作用に寄与する。
【0019】
上記化合物がジアゾ基を有する場合は、光が照射されることで、ジアゾ基と結合する炭素からカルベン(価電子6個を有し、2配位となっている炭素種であり、炭素原子上の結合に供さない電子を2つ有している)が生成され、かかるカルベンの部位がラジカル付加反応を起こし、基板の表面に存在する酸素原子(ヒドロキシ基(OH基)や、シリコンの酸化被膜(SiO2)等)と化学結合を形成する。また、上記化合物がアジド基を有する場合は、光が照射されることで、アジド基がナイトレンに変化し、かかるナイトレンの部位がラジカル付加反応を起こし、基板の表面に存在する酸素原子(ヒドロキシ基(OH基)やシリコンの酸化被膜(SiO2)等)と化学結合を形成する。これにより、上記化合物のアルコキシシリル基が基板表面に付与される。
【0020】
光反応性接合剤は、より好ましくは、下記の一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物である。
【0021】
【0022】
【0023】
前記一般式(1)中、-Q1又は-Q2の少なくとも1つが-NR1(R2)又は-SR1(R2)、であり、残りは任意の基である。前記一般式(2)中、-Q3は-NR1(R2)又は-SR1(R2)である。
【0024】
R1及びR2は、H、炭素数が1~24の炭化水素基、又は-RSi(R’)n(OA)3-nである。前記炭素数が1~24の炭化水素基は、鎖状の炭化水素基、置換基(環状又は鎖状)を有する鎖状の炭化水素基、環状基、又は置換基(環状又は鎖状)を有する環状基である。例えば、-CmH2m+1,-CmH2m-1,-C6H5,-CH2CH2C6H5,-CH2C6H5,-C10H7等である。前記-RSi(R’)m(OA)3-mのRは、炭素数が1~12の鎖状の炭化水素基(例えば、-CmH2m)である。前記R’は、炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基(例えば、-CmH2m+1)である。前記Aは、H、又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基(例えば、-CH3,-C2H5,-CH(CH3)2,-CH2CH(CH3)2,又は-C(CH3)3)である。nは0~2の整数である。R1とR2との少なくとも一方は、前記-RSi(R’)n(OA)3-nである。R1とR2とは同一でも異なるものでも良い。本明細書で置換基を有する基(例えば、炭化水素基)とは、例えば、前記基(例えば、炭化水素基)のHが置換可能な適宜な官能基で置換されたものを意味する。
【0025】
前記一般式(1)中、Q1及びQ2は、両方が-HN-RSi(R’)n(OA)3-n又は-S-RSi(R’)n(OA)3-nであってもよい。すなわち、-Q1又は-Q2の両方が-NR1(R2)又は-SR1(R2)であり、R1、R2のいずれかが-RSi(R’)n(OA)3-n、残りがHであってもよい。また、Q1及びQ2に結合する-HN-RSi(R’)n(OA)3-n又は-S-RSi(R’)n(OA)3-nは、同一でも異なるものでも良い。同一の場合、Q1及びQ2の双方が-HN-R3であり、R3はRSi(R’)n(OA)3-nである、と表すこともできる。
【0026】
前記一般式(1)中、前記Q
1,Q
2のうちの少なくとも一つは、-HN(CH
2)
3Si(EtO)
3又は-S(CH
2)
3Si(EtO)
3であってもよい。ここでEtはC
2H
5を表す。また、前記Q
1,Q
2の両方が-HN(CH
2)
3Si(EtO)
3又は-S(CH
2)
3Si(EtO)
3であってもよい。この場合、光反応性接合剤は、下記の一般式(3)で表される2,4-ビス[(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ]-6-ジアゾメチル-1,3,5-トリアジン(PC1とも呼ぶ)である。
【化7】
【0027】
前記一般式(2)中、Q
3は、-HN(CH
2)
3Si(EtO)
3又は-S(CH
2)
3Si(EtO)
3であってもよい。ここでEtはC
2H
5を表す。この場合、光反応性接合剤は、下記の一般式(4)で表される6-(3-トリエトキシシリルプロピルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアジド(pTESとも呼ぶ)である。
【化8】
【0028】
以下、
図1を参照しながら、本実施形態の被めっき基板の製造方法についてより詳細に説明する。
【0029】
〔基板〕
図1(a)には、本実施形態の被めっき基板の製造方法に用いられる基板1を示している。本実施形態において用いる基板は、ガラス又はシリコンから成るものである。
【0030】
本明細書においてガラスは、溶融した液体を急冷させて、結晶化させずに、過冷却状態のままで固化させた、いわゆる非晶質の無機物を意味する。基板に用いられるガラスの例としては、特に制限されないが、たとえば、石英ガラスや無アルカリガラス、硼珪酸ガラスなどを用いることができる。
また、シリコンとは、ケイ素の単体を意味する。基板に用いられるシリコンとしては、特に制限されないが、例えば純度が「99.999999999%」(イレブン・ナイン)のシリコンを用いることができる。
【0031】
本発明の被めっき基板の製造方法では、基板に対し予め表面を改質しなくとも、基板とめっきとが十分に密着した被めっき基板を得ることができる。また、本発明の被めっき基板の製造方法では、接合剤付与工程の前に、基板を超音波洗浄(例えば、アセトンを用いた5分間の洗浄を2回)で清浄化してもよい。また、ガラス基板に対しては、超音波清浄後、接合剤付与工程の前に、基板表面を水酸化ナトリウムを用いてさらに洗浄してもよい。水酸化ナトリウムを用いた洗浄により、カルベンやナイトレンと反応する基板表面のOH基が増加するため、基板表面と、光反応性接合剤との接合強度を向上させることができる。
【0032】
<接合剤付与工程>
図1(b)に示すように、本実施形態に係る接合剤付与工程は、基板1の表面に、光反応性接合剤2を付与する工程である。ここで、基板1及び光反応性接合剤2としては、それぞれ上述したものを用いる。
【0033】
光反応性接合剤は、例えば、溶媒に溶解し、光反応性接合剤溶液(分散液を含む)として基板に付与することができる。付与方法は特に制限されず各種の方法で行われてよく、例えば、基板を光反応性接合剤溶液へ浸漬すること、基板へ光反応性接合剤溶液を噴霧やロール塗布すること等が挙げられる。付与された光反応性接合剤は、当該工程の後、後述する照射工程により基板表面と接合させる。
【0034】
光反応性接合剤溶液(分散液を含む)は、光反応性接合剤を溶剤に0.01質量%~0.5質量%の範囲内で溶解して基板に付与することが好ましいが、0.05質量%~0.3質量%であることがさらに好ましく、0.075質量%~0.2質量%であることが特に好ましい。上記範囲にあることにより、基板表面を十分に被覆することができ、さらに1分子で基板表面を被覆することができるため、被覆表面の粗化や凹凸化が起こらず、十分な接着力を得ることができる。
【0035】
基板を光反応性接合剤溶液(分散液を含む)へ浸漬する場合、浸漬する時間は1秒~10分であることが好ましく、5秒~6分であることがより好ましい。また、浸漬する際の光反応性接合剤溶液(分散液を含む)の温度は、光反応性接合剤の接合能の活性の観点から10℃~40℃であることが好ましく15℃~30℃であることがより好ましい。
【0036】
光反応性接合剤を溶解又は分散させる溶媒は、溶解又は分散が可能であれば特に制限をされないが、水をはじめ、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、塩化メチレンなどのハロゲン化物、ブタン、ヘキサンなどのオレフィン類、テトラヒドロフラン、ブチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族類、ジメチルホルムアミド、メチルピロリドンなどのアミド類など、を使用することができる。また、これらの各種溶媒を混合した混合溶媒であってもよい。
【0037】
なお、光反応性接合剤溶液には、光反応性接合剤以外にも、例えば、安定剤、重合防止剤、光劣化防止剤等の各種成分を含んでもよい。
【0038】
<照射工程>
本実施形態に係る照射工程は、
図1(c)に示すように接合剤付与工程にて光反応性接合剤2が付与された基板1の表面に光4を照射し、基板1の表面と光反応性接合剤2とを接合する工程である。
【0039】
照射工程における照射は、基板の表面の一部を遮蔽するマスクを配置し光を照射する方法、及び/又は収束光を照射することにより基板の表面を選択的に照射する方法により、基板の表面を選択的に照射することができる。これらの方法を用いることにより、光が照射される部分(のちに導電性物質が配置される部分)を、光が照射されない部分(のちに導電性物質が配置されない部分)から明確に区分けして形成することができる。
【0040】
図1(c)には、照射工程の一例として基板1の表面の一部を遮蔽するマスク3を配置し光を照射する方法を模式的に示す。当該方法では、接合剤付与工程にて光反応性接合剤2が付与された基板1の表面に、基板の表面の一部を遮蔽するマスク3を配置した後に、基板1の表面へ光源5から光4を照射する。当該光4の照射後に、マスク3は基板1の表面から取り除かれる。マスク3の材質は特に制限されない。
【0041】
また、収束光を照射することにより基板の表面を選択的に照射する方法を採用する場合は、収束光の照射方向は、基板表面に対して略垂直であることが好ましい。基板表面に略垂直であることにより、光が照射される部分と光が照射されない部分とをより明確に区分けすることができる。
【0042】
照射工程にて、照射に用いられる光には可視光を用いることもできるが、光反応性接合剤の基板への接合能の活性化に有効である紫外線を用いることが好ましい。ここで紫外線とは波長範囲が100nm~400nmの光を意味するが、波長範囲が200nm~380nmであることがより好ましく、220nm~380nmであることが特に好ましい。上記の範囲の中でも、光反応性接合剤がジアゾ基を有する化合物である場合は、照射に用いられる光の波長が200nm~380nmであることが好ましく、220nm~380nmであることがより好ましい。また、光反応性接合剤がアジド基を有する化合物である場合は、照射に用いられる光の波長が200nm~380nmであることが好ましい。照射する光の波長が上記の範囲にあることにより、光反応性接合剤の基板への接合能をより十分に発揮することができる。
【0043】
また、照射工程において光を照射する時間は、1秒~70分であることが好ましく、1秒~30分であることがより好ましく、5秒~10分であることが特に好ましい。上記の範囲の中でも、光反応性接合剤がジアゾ基を有する化合物である場合は、光を照射する時間が5秒~20分であることが好ましく、10秒~10分であることがさらに好ましい。また、光反応性接合剤がアジド基を有する化合物である場合は、光を照射する時間が1秒~20分であることが好ましく、10秒~10分であることがさらに好ましい。光を照射する時間が上記の範囲にあることにより、光反応性接合剤の基板への接合能をより十分に発揮することができ、さらに光の照射によって生じうる基板の劣化も抑えることができる。
【0044】
また、照射工程において照射する光の積算光量は、1mJ/cm2~1000mJ/cm2であることが好ましく、10mJ/cm2~100mJ/cm2であることがより好ましく、30mJ/cm2~75mJ/cm2であることが更に好ましく、40mJ/cm2~60mJ/cm2であることが特に好ましい。上記の範囲の中でも、光反応性接合剤がジアゾ基を有する化合物である場合は、照射する光の積算光量が、20mJ/cm2~70mJ/cm2であることが好ましく、30mJ/cm2~60mJ/cm2であることがより好ましく、40mJ/cm2~60mJ/cm2であることが特に好ましい。また、光反応性接合剤がアジド基を有する化合物である場合は、照射する光の積算光量が、30mJ/cm2~60mJ/cm2であることが好ましく、40mJ/cm2~60mJ/cm2であることがより好ましく、40mJ/cm2~50mJ/cm2であることが特に好ましい。照射する光の積算光量が上記の範囲にあることにより、光反応性接合剤の基板への接合能をより十分に発揮することができ、さらに紫外線の照射によって生じうる基板の劣化も抑えることができる。
【0045】
照射工程に用いる光源は、例えば、紫外線LED、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、エキシマレーザー、バリア放電ランプ、マイクロ波無電極放電ランプなどを用いることができる。
【0046】
収束光を照射することにより基板の表面を選択的に照射する方法を用いる場合は、レンズ系を用いて光源から放射された光を収束し、被照射部に照射することが一般的である。レンズ系としては、フレネルレンズやレンズアレイ等を用いることができる。収束光が照射される基板上の範囲のスポット径は、製品の配線幅により適宜選定される。
【0047】
また、光源をレーザー光とする場合は、レンズやレンズ系の代わりに非線形光学結晶を用いることができる。このように非線形光学結晶を用いる場合は、入射波を波長変換して用いることが可能となる。例えば、波長1064nmのYAGレーザー光は非線形光学結晶を設置することにより、波長が532nmになる。さらに、非線形光学結晶を2段設置すると3倍波として、355nmの紫外光とすることができる。これにより、光反応性接合剤の反応に必要な波長として用いることができる。
【0048】
<第1洗浄工程>
図1(d)に示すように、本実施形態に係る第1洗浄工程は、照射工程後に、基板1の表面と接合していない光反応性接合剤2を洗浄により基板表面から取り除く工程である。これにより、光反応性接合剤2は、基板1の表面のうち、上記照射工程において光4が選択的に照射された部分のみに残ることとなる。
【0049】
洗浄方法は特に制限されないが、溶媒浸漬や溶媒洗浄などが挙げられる。第1洗浄工程に使用する溶媒は、接合剤付与工程で付与された光反応性接合剤の種類などにより適宜最適な溶媒が使用される。例えば、水、アルコール(メタノール、エタノールなど)、ケトン、芳香族炭化水素、エステル又はエーテル、アルカリ水などが挙げられる。溶液を用いた場合は、自然乾燥や加熱等によって溶液中の溶媒を乾燥させてもよい。なお、洗浄の際に、超音波などの手段を併用して用いてもよい。
【0050】
また、本発明の一実施形態では、上述した接合剤付与工程、照射工程、第1洗浄工程から成る一連の工程を複数回繰り返してもよいが、当該一連の工程は1回のみであっても十分に光反応性接合剤を基板に接合することができる。
【0051】
以上の工程で得られた、光反応性接合剤から形成される層の厚さは、0.5~500nmであることが好ましく、0.5~100nmであることが特に好ましい。
【0052】
<触媒付与工程>
本実施形態に係る触媒付与工程は、
図1(e)に示すように、第1洗浄工程の後に、無電解めっき用の触媒6を光反応性接合剤2に付与し、結合させる工程である。本明細書において単に触媒と述べた場合は、その前駆体も含むものとする。
【0053】
無電解めっき用の触媒(例えば、金属コロイド)及び/又は無電解めっき用の前駆体(例えば、金属塩)を光反応性接合剤に結合する方法としては、金属コロイドを適当な分散媒に分散させた触媒分散液又は金属塩を適切な溶媒で溶解し解離した金属イオンを含む触媒溶液を調製し、これらの触媒分散液又は触媒溶液を光反応性接合剤が接合した基板表面に塗布するか、又は触媒分散液中又は触媒溶液中に光反応性接合剤が接合した基板を浸漬すればよい。
【0054】
これらの方法によって、光反応性接合剤中の相互作用性基に、イオン-イオン相互作用、若しくは、双極子-イオン相互作用を利用して触媒を吸着させること、又は光反応性接合剤に触媒を含浸させることができる。このような吸着又は含浸を充分に行なわせるという観点からは、光反応性接合剤の1分子に1化学当量の触媒が吸着するよう適宜選定することが望ましい。
【0055】
触媒付与工程に使用される無電解めっき用の触媒は、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。特に、Pd、Ag、Cuがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。これらの触媒を光反応性接合剤に結合する手法としては、例えば、光反応性接合剤の相互作用性基(例えば、親水性基)と相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、光反応性接合剤に付与する手法が用いられる。
【0056】
触媒付与工程に使用される電解めっき触媒用の前駆体は、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には上述の無電解めっき触媒で用いた0価金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、光反応性接合剤へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよい。また、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。これらの触媒を光反応性接合剤に結合する手法としては、例えば、無電解めっき前駆体である金属イオンを、金属塩の状態で光反応性接合剤に付与する。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)nMCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。
【0057】
<第2洗浄工程>
本実施形態に係る第2洗浄工程は、
図1(f)に示すように、触媒付与工程後に基板1の表面と接合した光反応性接合剤2に結合していない触媒6(触媒の前駆体を含む)を洗浄により基板表面から取り除く工程である。これにより、触媒6は、基板1の表面のうち、光反応性接合剤2が接合されていた部分(すなわち、上記照射工程において光4が照射された部分)のみに残ることとなる。
【0058】
洗浄方法は特に制限されないが、溶媒浸漬や溶媒洗浄などが挙げられる。第2洗浄工程に使用する溶媒は、使用された光反応性接合剤の種類や、触媒及びその前駆体の種類などにより適宜最適な溶媒が使用される。例えば、水、メタノール、エタノール、アルカリ水などが挙げられる。なお、洗浄の際に、超音波などの手段を併用して用いてもよい。
【0059】
<めっき工程>
本実施形態に係るめっき工程は、
図1(g)にも示した通り、基板1上に接合され、無電解めっき用の触媒6が結合した光反応性接合剤2上に、無電解めっき処理により導電性物質7を配置する工程である。また当該めっき工程は、前述の第2洗浄工程にて、光反応性接合剤2に結合していない触媒6(触媒の前駆体を含む。)を洗浄により基板表面から取り除いた後に行われる。めっき工程において無電解めっき処理を行うことで、光反応性接合剤が接合された基板上に高密度の導電性物質(金属)の膜が形成される。形成された導電性物質(金属)の膜は、基板表面に対して優れた密着性を有する。
【0060】
無電解めっき処理とは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作である。無電解めっき処理は、例えば、無電解めっき用の触媒と結合した光反応性接合剤が接合した基板を、無電解めっき浴に浸漬して行う。また、無電解めっき用の前駆体と結合した光反応性接合剤が接合した基板を、無電解めっき浴に浸漬する場合にも、当該基板を無電解めっき浴中へ浸漬するが、この場合には、無電解めっき浴中において、前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。使用される無電解めっき浴としては、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
【0061】
一般的な無電解めっき浴は、めっき用の金属イオン、還元剤、金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)を主要な成分とする。また、無電解めっき浴には、これらに加えて、無電解めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
【0062】
無電解めっき浴に含まれる金属イオンの種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル(Ni)、金、パラジウム、ロジウム等のイオンが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、銀、金、ニッケルのイオンがより好ましい。
【0063】
還元剤、添加物は金属イオンの種類に合わせて適宜選択することができる。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCu(SO4)2、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤が含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH3)4)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
【0064】
めっき工程にて形成される導電性物質の膜(金属膜)の表面の粗さ(算術平均粗さRa)は、0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましい。表面の粗さが上記の範囲内にあることで、被めっき基板を回路部品として用いた場合に、信号の伝達ロスや発熱を防ぐことができる。
【0065】
めっき工程にて形成される導電性物質の膜(金属膜)の膜厚は、めっき浴の金属塩若しくは金属イオン濃度や、めっき浴への浸漬時間、めっき浴の温度などにより適宜選択することができるが、10nm~1000nmであることが好ましく、20nm~500nmであることがより好ましい。膜厚が上記の範囲内にあることで、十分な導電性を保つことができ、さらに回路部品として用いた場合に十分なコンパクトさを持った被めっき基板とすることができる。
【0066】
めっき工程(無電解めっき処理)により得られた被めっき基板は、さらにアニーリング処理を行ってもよい。これによりめっき応力が低減され、剥離強度を向上させることができる。
かかるアニーリング処理は、例えば、50℃~600℃の温度で5分~10時間にわたって行うことができる。また、アニーリング処理の温度は、1段階(T1)としてもよく、複数の段階(T1,T2,…)としてもよい。アニーリング処理における温度変化(例えば、室温→T1,T1→T2,T1又はT2→室温)は、所定の時間にわたって連続的に温度を変化させることが好ましい。温度変化に要する時間は、例えば15分~5時間とすることができ、1~3時間とすることができる。
【0067】
なお、導電性物質の膜を厚化する場合は、無電解めっき処理により導電性物質の膜を形成した後、さらに電気めっき処理を行い、短時間で金属膜を成長させることも可能である。電気めっき処理を実施した後の導電性物質の膜(金属膜)の膜厚は、適宜選択することができるが、1μm~50μmであることが好ましい。
【0068】
以上説明した実施形態は、本実施形態の理解を容易にするために記載されたものであって、本実施形態を限定するために記載されたものではない。従って、上記実施形態に開示された各要素は、本実施形態の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例】
【0069】
以下、被めっき基板の製造方法の具体例を示すことにより本実施形態をさらに詳細に説明するが、本実施形態は下記の内容に何ら限定されるものではない。
【0070】
<実施例1:被めっき基板の作製-1>
(実施例1-1:光反応性接合剤の基板への接合処理)
基板として、シリコンウエハ(SiS-02-P2956)から成るものと、ガラス(D263Teco、SCHOTT社)から成るものの2種類を用いた。当該基板に対し、アセトンを用いた5分間の超音波洗浄を2回繰り返し行った。
ガラス基板に対しては、アセトン洗浄して十分に乾燥させた後に、水酸化ナトリウム水溶液(2質量%)を用いた50℃で5分間の超音波洗浄を行い、水洗した後に蒸留水を用いた5分間の超音波洗浄を2回繰り返し行った。
洗浄後、十分に乾燥させた後に、当該基板を、下記の一般式(4)で表される光反応性接合剤(6-(3-トリエトキシシリルプロピルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアジド(以下、pTES)) 0.1gを、エタノール溶媒 100gに溶かして作製したpTES溶液(0.1質量%)に、室温で10秒間浸漬した。
【化9】
【0071】
次に、pTES溶液から基板を取り出し、十分に乾燥した後に、基板の表面にステンレス製のマスク(
図2参照)を配置した。続いて、当該マスクが配置された基板表面に対し、紫外線照射装置(セン特殊光源社、HLR 100T-2)から出力された紫外線(主波長365nm、照射距離10cm)を照射した。紫外線の照射時間は、それぞれ0秒、5秒、30秒、1分、5分、10分(積算光量はそれぞれ、0mJ/cm
2,10mJ/cm
2,60mJ/cm
2,120mJ/cm
2,600mJ/cm
2,1200mJ/cm
2、積算光量は全て実測値)とした。なお、積算光量は、基板に紫外線を照射する際に、当該紫外線を積算光量計(アイグラフィックス社、紫外線積算照度計「UVPF-A1」)を用いて測定することにより求めた。
【0072】
照射終了後、各基板表面から未反応の光反応性接合剤を除去するために、各基板をエタノールを用いて1分間の超音波洗浄を行い、十分に乾燥し、pTES処理基板を得た。
【0073】
ここで、pTES処理基板においてpTESと基材表面との接合を確認するために、X線光電子分析装置(XPS、PHI Quantera II、アルバック・ファイ社)を用いて、各pTES処理基板表面の化学組成の分析を行った。当該分析の結果を
図3~
図7に示す。
【0074】
図3はシリコンウエハのXPSスペクトル、
図4はガラスのXPSスペクトルを示す。
図3(a)~(c)及び
図4(a)~(c)中の各スペクトルは、上から順に紫外線照射時間が10分、5分、30秒、5秒、0秒のpTES処理基板表面を分析したものであり、上から6つ目のスペクトルはblankの基板表面を分析したものである。ここでblankとは、pTESを付与していない基板を意味する。また、
図5にはシリコンウエハの、
図6にはガラスの、各pTES処理基板におけるXPSによる元素比率の分析結果を示し、
図7には、これらの値から求めたN/Si値と、UV照射時間との関係を示す。これらの結果より、シリコンウエハから成る基板を用いた場合でも、ガラスから成る基板を用いた場合でも、紫外線照射を行った各pTES処理基板の表面には、blank及び紫外線照射時間0秒のpTES処理基板には見られない、C-N、C=N、Si-OといったpTESに由来するピークが観察された。すなわち、pTESが紫外線照射により基板表面に接合したことが確認された。
【0075】
加えて、原子間力顕微鏡(AFM、Nanosurf Easyscan2 AFM、Nanosurf社)を用い、各pTES処理基板のpTESが接合された表面の形状を観察した。結果を
図8に示す。blank及び紫外線照射時間0秒の基板では、基板表面が平滑であったが、紫外線照射を行った各pTES処理基板の表面には、pTESが接合したことにより形成された微細な凹凸の形状が確認された。
【0076】
(実施例1-2:基板へのめっき処理)
続いて、実施例1-1で得たpTES処理基板を、触媒処理液に1分間浸漬することで光反応性接合剤にPdを触媒として担持させた。触媒処理液は、塩酸(35%,富士フィルム和光純薬工業社)(10ml/l) 200mLにPdCl2 0.023g(和光純薬社)を加え、超音波攪拌しながら溶解させることで作製した。続いて、触媒処理液からpTES処理基板を取り出し、光反応性接合剤に担持されなかった触媒を基板表面から除去するために、純水で洗浄した。
【0077】
次に、触媒を担持したpTES処理基板を無電解Niめっき液に60℃で1分間又は30秒浸漬することで無電解めっき処理を行なった。無電解Niめっき液は、蒸留水40.5mlに、KM 3ml、KA 3ml、KR 3ml、KE 1.5ml(上村工業社)を加え、さらに蒸留水を50.0ml加え、超音波攪拌を10分行うことにより作製した。
無電解めっき処理の後、水及びエタノールでそれぞれ洗浄して十分に乾燥した後、80℃で10分間のアニーリングを行い、基板表面にNiめっきが配置された被Niめっき基板を得た。
【0078】
続いて、得られた被Niめっき基板についてのテープ剥離試験の結果と、被Niめっき基板の表面をレーザー顕微鏡(VK-9710、キーエンス社)で観察した結果を、紫外線照射の時間別に、
図9及び
図10に示す。テープ剥離試験では、被Niめっき基板の、めっきが配置された表面にセロハンテープ(ニチバン社,製品名:セロテープ(登録商標))を貼付け、その後、セロハンテープを剥がすことで、めっきが基板から剥離するか否かを検証した。
図9は、基板がシリコンウエハであり、無電解めっき処理が1分である被Niめっき基板を観察した結果であり、
図10は、基板がガラスであり、無電解めっき処理が30秒である被Niめっき基板を観察した結果である。また、
図9(a)~(d)、
図10(a)~(d)ともに、左がテープ剥離試験の結果、右がレーザー顕微鏡の観察結果の画像を示している。これらの結果から、基板表面にNiめっき層が十分な密着性をもって形成されていることが分かる。
【0079】
また、
図11には、透過型電子顕微鏡(TEM、JEM-2100、日本電子社、加速電圧 200kV)にて観察した被Niめっき基板の断面の画像を示す。
図11(a)には、シリコンウエハを基板として用い、紫外線照射時間が1分、無電解めっき処理が1分である被Niめっき基板の断面を観察した結果を示した。
図11(b)には、ガラスを基板として用い、紫外線照射時間が1分、無電解めっき処理が30秒である、被Niめっき基板の断面を観察した結果を示した。
図11(a)及び(b)より、基板表面から順にpTES層、Niめっき層が積層されていることが分かる。
【0080】
<実施例2:被めっき基板の作製-2>
(実施例2-1:光反応性接合剤の基板への接合処理)
基板として、シリコンウエハ(SiS-02-P2956)から成るものと、ガラス(D263Teco、SCHOTT社)から成るものの2種類を用いた。当該基板に対し、アセトンを用いた5分間の超音波洗浄を2回繰り返し行った。
ガラス基板に対しては、アセトン洗浄して十分に乾燥させた後に、水酸化ナトリウム水溶液(2質量%)を用いた50℃で5分間の超音波洗浄を行い、水洗した後に蒸留水を用いた5分間の超音波洗浄を2回繰り返し行った。
洗浄後、十分に乾燥させた後に、当該基板を、下記の一般式(3)で表される光反応性接合剤(2,4-ビス[(3-トリエトキシシリルプロピル)アミノ]-6-ジアゾメチル-1,3,5-トリアジン(以下、PC1)) 0.1gを、エタノール溶媒 100gに溶かして作製したPC1溶液(0.1質量%)に、室温で10秒間浸漬した。
【化10】
【0081】
次に、PC1溶液から基板を取り出し、十分に乾燥した後に、基板の表面にステンレス製のマスク(
図2参照)を配置した。続いて、当該マスクが配置された基板表面に対し、紫外線照射装置(セン特殊光源社、HLR 100T-2)から出力された紫外線(主波長365nm、照射距離10cm)を照射した。紫外線の照射時間は、30秒(積算光量:60mJ/cm
2、積算光量は実測値)とした。照射終了後、各基板表面から未反応の光反応性接合剤を除去するために、各基板をエタノールを用いて1分間の超音波洗浄を行い、十分に乾燥し、PC1処理基板を得た。
【0082】
(実施例2-2:基板へのめっき処理)
続いて、実施例2-1で得たPC1処理基板を、触媒処理液に1分間浸漬することで光反応性接合剤にPdを触媒として担持させた。触媒処理液は、実施例1-2と同様に作製した。続いて、触媒処理液からPC1処理基板を取り出し、光反応性接合剤に担持されなかった触媒を基板表面から除去するために、純水で洗浄した。
【0083】
次に、触媒を担持したPC1処理基板を無電解Niめっき液に60℃で1分間又は30秒浸漬することで無電解めっき処理を行なった。無電解Niめっき液は、実施例1-2と同様に作製した。
無電解めっき処理の後、水及びエタノールでそれぞれ洗浄して十分に乾燥した後、80℃で10分間のアニーリングを行い、基板表面にNiめっきが配置された被Niめっき基板を得た。
【0084】
続いて、得られた被Niめっき基板についてのテープ剥離試験の結果を
図12に示す。テープ剥離試験では、被Niめっき基板の、めっきが配置された表面にセロハンテープ(ニチバン社,製品名:セロテープ(登録商標))を貼付け、その後、セロハンテープを剥がすことで、めっきが基板から剥離するか否かを検証した。
図12(a)は、基板がシリコンウエハであり、無電解めっき処理が1分である被Niめっき基板を観察した結果であり、
図12(b)は、基板がガラスであり、無電解めっき処理が30秒である被Niめっき基板を観察した結果である。これらの結果から、基板表面にNiめっき層が十分な密着性をもって形成されていることが分かる。
【0085】
また、
図13には、透過型電子顕微鏡(TEM、JEM-2100、日本電子社、加速電圧 200kV)にて観察した被Niめっき基板の断面の画像を示す。
図13(a)には、シリコンウエハを基板として用い、無電解めっき処理が1分である被Niめっき基板の断面を観察した結果を示した。
図13(b)には、ガラスを基板として用い、無電解めっき処理が1分である、被Niめっき基板の断面を観察した結果を示した。
図13(a)及び(b)より、基板表面から順にPC1層、Niめっき層が積層されていることが分かる。
【0086】
<実施例3:めっきの剥離強度測定-1>
ステンレス製のマスクを用いなかった以外は実施例2と同様にして、シリコンウエハ又はガラスから成る基板の表面に対し、光反応性接合剤(PC1)の接合処理、触媒処理、めっき処理及びアニーリングを行った。めっき処理は、シリコンウエハに対してはNiめっきを、ガラスに対してはNiめっきとCuめっきの2種類を行い、処理時間は1分間(Niめっき)、15分間(Cuめっき)とした。また、ABS樹脂から成る基板にも、同様の方法で、光反応性接合剤の接合処理を行い、さらにめっき処理を行うことでCuめっきを施した。なお、無電解Cuめっき液は、ATSアドカッパーIW(奥野製薬社)を用いた。
得られた被めっき処理基板のめっき膜の剥離強度を、SAICAS(Surface And Interfacial Cutting Analysis System)法を用いて測定した。SAICAS法には、ダイプラ・ウィンテス社の装置であるSAICAS NN-05を用い、下記条件にて測定した。結果を表1に示す。ガラス又はシリコンから成る基板にめっき処理を施したものは、ABSから成る基板にめっき処理を施したものに対して、良好な剥離強度を示した。
【0087】
=SAICAS条件=
ダイヤモンド切刃(切刃幅0.3mm、C.DIA 20 10)使用
ダイヤモンドブレード すくい角=20°逃げ角=10°ブレード幅=0.3mm
垂直速度=20nm/sec,水平速度=100nm/sec
剪断角=45°
【0088】
【0089】
<実施例4:めっきの剥離強度測定-2>
(実施例4-1:SAICAS法による無電解めっき膜の剥離強度の測定)
ステンレス製のマスクを用いなかった以外は実施例1-1と同様にして、シリコンウエハ又はガラスから成る基板の表面に対し、光反応性接合剤(pTES)の接合処理を行った。紫外線の照射時間は、1分(積算光量は120mJ/cm2,実測値)とした。得られたpTES処理基板に対し、さらに触媒処理及びめっき処理を行った。触媒処理は実施例1-2と同様に行い、無電解めっき処理の処理時間は1分間とした。
無電解めっき処理の後、水及びエタノールでそれぞれ洗浄して十分に乾燥した後、アニーリングを行い、基板表面にNiめっきが配置された被Niめっき基板を得た。なお、アニーリング条件は以下のとおりとした。
【0090】
=アニーリング条件=
室温→110℃ :1h
110℃ :20min
110℃→250℃:1.5h
250℃ :30min
250℃→20℃ :2.5h
【0091】
得られた被Niめっき処理基板のNiめっき膜の剥離強度を、実施例3と同様にSAICAS法にて測定した。光反応性接合剤としてpTESを用いた場合においても、良好な剥離強度を示した。
【0092】
【0093】
(実施例4-2:ピール試験による電解めっき膜の剥離強度の測定)
実施例4-1で得られた被Niめっきガラス基板に対し、さらにCuによる電解めっきを行った。電解Cuめっき液は、CuSO4/H2SO4水溶液(CuSO4濃度は60g/L)を用いた。電解Cuめっき条件は、0.004A/cm2:10min→0.008A/cm2:10min→0.016A/cm2:20minの3段階にて行った。
電解Cuめっき処理の後、水及びエタノールでそれぞれ洗浄して十分に乾燥した後、80℃で10分間のアニーリングを行い、基板表面にNi/Cuめっきが配置された被めっき処理基板を得た。
【0094】
得られた被めっき処理基板のめっき膜の剥離強度を、ビール試験にて測定した。ピール試験は、JIS K 6854-1「接着剤-はく離接着強さ試験方法 第一部:90度はく離」に準拠して行った。得られた被めっき処理基板の90℃剥離強度は、0.8kN/mであった。電解Cuめっきにより厚付けされた場合においても良好な剥離強度が維持されていた。
【符号の説明】
【0095】
1 基板
2 光反応性接合剤
3 マスク
4 光
5 光源
6 触媒
7 導電性物質