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特許7463141原料払出装置及び電子・電気機器部品屑の原料払出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】原料払出装置及び電子・電気機器部品屑の原料払出方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/34 20060101AFI20240401BHJP
   C22B 7/00 20060101ALI20240401BHJP
   B65G 47/53 20060101ALI20240401BHJP
   C22B 15/00 20060101ALN20240401BHJP
【FI】
B65G47/34
C22B7/00 A
B65G47/53 Z
C22B15/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020043351
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021142484
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2021-09-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】青木 勝志
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-054766(JP,A)
【文献】特開2005-015127(JP,A)
【文献】特開2020-029313(JP,A)
【文献】実開平06-054623(JP,U)
【文献】特開平09-208035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 5/00
C22B 7/00
C22B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を払出するための払出口を一端に備え、前記原料を貯留する貯留部と、前記貯留部の底面に配置され、前記払出口へ向けて前記原料を搬送し、前記貯留部の外へと払出す払出部と、前記払出部の上方から下方へと延びる複数の支柱を備え、該支柱により前記原料の一部を抑えて前記払出口から払出される前記原料の量を調整する調整部とを備える原料払出部とを備え、前記貯留部の外へ払出される前記原料の詰まりが生じないように、前記貯留部の側面に最も近い支柱と前記貯留部の側面との間の間隔(d1)と、前記貯留部の中央部の支柱間の間隔の最も狭い間隔(d2)の比(d1/d2)と、前記貯留部の側面に最も近い支柱の床からの高さ(H1)と前記貯留部の側面に最も近い支柱以外の支柱の床からの最小の高さ(H2)の比(H1/H2)とをそれぞれ、d1≦d2の場合、H1/H2=3~10となるように調整し、d1>d2の場合、H1/H2=0.5~3となるように調整した原料排出部と、
前記払出口から払出された原料を搬送する搬送面を備えるコンベアと、
前記コンベアの搬送方向に離間して配置され、前記搬送面の両端からそれぞれ互い違いに突出するように、前記コンベア上に配置された2以上の案内板と
を備えることを特徴とする原料払出装置。
【請求項2】
前記案内板は、前記搬送面の幅方向に沿った長さが、それぞれ前記搬送面の幅方向の全長に対して20~40%であることを特徴とする請求項1に記載の原料払出装置。
【請求項3】
前記案内板が、前記搬送方向に300mm以上離間して配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の原料払出装置。
【請求項4】
前記原料払出部に最も隣接する前記案内板が、前記原料払出部から200mm以上離間していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の原料払出装置。
【請求項5】
前記案内板が金属製であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の原料払出装置。
【請求項6】
原料を払出するための払出口を一端に備え、前記原料を貯留するための貯留部内に電子・電気機器部品屑を貯留し、
前記貯留部の底面に配置された払出部により前記電子・電気機器部品屑を前記払出口へと搬送し、
前記払出部の上方から下方へと延びる複数の支柱の支柱間の間隔及び高さをそれぞれ調整することにより、前記電子・電気機器部品屑の一部を抑えながら、前記電子・電気機器部品屑を前記払出部の下方に配置されたコンベアへと払出し、
前記コンベアの搬送面の両端から搬送方向に沿って互い違いに突出するように、前記コンベア上に配置された2以上の案内板へ前記原料を接触させることにより前記原料の流れを蛇行させて前記原料の高さを平均化すること
を含み、
前記複数の支柱の支柱間の間隔及び高さをそれぞれ調整することが、
前記貯留部の側面に最も近い支柱と前記貯留部の側面との間の間隔(d1)と、前記貯留部の中央部の支柱間の間隔の最も狭い間隔(d2)の比(d1/d2)と、前記貯留部の側面に最も近い支柱の床からの高さ(H1)と前記貯留部の側面に最も近い支柱以外の支柱の床からの最小の高さ(H2)の比(H1/H2)とをそれぞれ、d1≦d2の場合、H1/H2=3~10となるように調整し、d1>d2の場合、H1/H2=0.5~3となるように調整すること
を含むことを特徴とする電子・電気機器部品屑の原料払出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料払出装置及び電子・電気機器部品屑の原料払出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源保護の観点から、廃家電製品・PCや携帯電話等の電子・電気機器部品屑から、有価金属を回収することがますます盛んになってきており、その効率的な回収方法が検討され、提案されている。
【0003】
例えば、特開平9-78151号公報(特許文献1)では、有価金属を含有するスクラップ類を銅鉱石溶錬用自溶炉へ装入し、有価金属を炉内に滞留するマットへ回収させる工程を含む有価金属のリサイクル方法が記載されている。このようなリサイクル方法によれば、銅溶錬自溶炉での銅製錬にスクラップ処理を組み合わせることができるため、有価金属含有率が低いスクラップ類からでも低コストで有価金属を回収することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるような銅溶錬自溶炉を用いた処理においては、電子・電気機器部品屑の処理量が増えると、電子・電気機器部品屑を構成する樹脂等の有機物に含まれる炭素成分が増加し、溶錬炉で過還元によるトラブルが発生する場合がある。一方で、電子・電気機器部品屑の処理量は近年増加する傾向にあるため、銅溶錬自溶炉での効率的な処理が望まれている。
【0005】
銅溶錬自溶炉の過還元によるトラブルを発生する手法の一つとして、電子・電気機器部品屑を銅溶錬自溶炉で処理する前に電子・電気機器部品屑を粉砕処理し、容量を小さくすることが提案されている。例えば、特開2015-123418号公報(特許文献2)では、銅を含む電気・電子機器部品屑を焼却後、所定のサイズ以下に粉砕し、粉砕した電気・電子機器部品屑を銅の溶錬炉で処理することが記載されている。
【0006】
しかしながら、電子・電気機器部品屑の処理量が増加することにより、電子・電気機器部品屑に含まれる物質の種類によっては、その後の銅製錬工程での処理に好ましくない物質(製錬阻害物質)が従来よりも多量に投入されることとなる。このような銅製錬工程に装入される製錬阻害物質の量が多くなると、電子・電気機器部品屑の投入量を制限せざるを得なくなる状況が生じる。
【0007】
天然の鉱石由来の製錬阻害物質も含め、銅製錬の溶錬工程における熱力学的な手法や電解工程における電解液の精製方法については従来から数々の取り組みがされてきたが、天然の鉱石と比較して、製錬阻害物質の含有割合が著しく大きい電子・電気機器部品屑の処理方法には課題が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平9-78151号公報
【文献】特開2015-123418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らはこれまで電子・電気機器部品屑から製錬工程で処理するための有価金属を含む処理原料を効率良く選別するとともに、製錬阻害物質を取り除くために好適な種々の選別処理工程及び選別機について鋭意検討を行ってきた。
【0010】
例えば、電子・電気機器部品屑等の原料を選別機へ搬送する際には、電子・電気機器部品屑を選別機が処理可能な適切な量に調整する必要がある。しかしながら、種々の形状、比重、形状の原料が混在する電子・電気機器部品屑等の原料は、原料同士が特に絡まりやすいため、搬入された原料を常に一定量で払出することが難しい。特に、両サイドの壁に近い原料が盛り上がりやすい。電子・電気機器部品屑の安定的な処理のためには、搬送される原料をより均一に払出することが望まれている。
【0011】
上記課題を鑑み、本開示は、種々の形状、比重、形状の原料が混在する原料をより均一に払出することが可能な原料払出装置及び電子・電気機器部品屑の原料払出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明者が鋭意検討した結果、原料払出装置から払出される原料を受けるコンベアの搬送面の左右に案内板を設け、案内板により原料の一部を滞留させることによりコンベア上に払出される原料の高さを平均化できることが分かった。
【0013】
本発明の実施の形態は一側面において、原料を払出するための払出口を一端に備え、原料を貯留する貯留部と、貯留部の底面に配置され、払出口へ向けて原料を搬送し、貯留部の外へと払出す払出部と、払出部の上方から下方へと延びる複数の支柱を備え、該支柱により原料の一部を抑えて払出口から払出される原料の量を調整する調整部とを備える原料払出部と、払出口から払出された原料を搬送する搬送面を備えるコンベアと、コンベアの搬送方向に離間して配置され、搬送面の両端からそれぞれ互い違いに突出するように、コンベア上に配置された2以上の案内板とを備える原料払出装置が提供される。
【0014】
本発明の実施の形態は別の一側面において、原料を払出するための払出口を一端に備え、原料を貯留するための貯留部内に電子・電気機器部品屑を貯留し、貯留部の底面に配置された払出部により電子・電気機器部品屑を払出口へと搬送し、払出部の上方から下方へと延びる複数の支柱の支柱間の間隔及び高さをそれぞれ調整することにより、電子・電気機器部品屑の一部を抑えながら、電子・電気機器部品屑を払出部の下方に配置されたコンベアへと払出し、コンベアの搬送面の両端から搬送方向に沿って互い違いに突出するように、コンベア上に配置された2以上の案内板へ原料を接触させることにより原料の流れを蛇行させて原料の高さを平均化することを含む電子・電気機器部品屑の原料払出方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、種々の形状、比重、形状の原料が混在する原料をより均一に払出することが可能な原料払出装置及び電子・電気機器部品屑の原料払出方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る原料払出装置を表す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る原料払出部の払出口からみた正面図である。
図3】原料払出部が備える調整部の支柱の配置例を示す概略図である。
図4】原料払出部が備える払出部の動作を示す平面図である。
図5】原料払出部が備える払出部の動作を示す平面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る原料払出装置が備えるコンベア上に搬送される原料の偏り状態を表す説明図である。
図7図7(a)は、コンベア上に配置された案内板の配置関係を表す平面図であり、図7(b)は搬送方向からみたコンベア及び案内板の側面図である。
図8図8(a)は比較例の衝突板の配置関係を表す平面図であり、図8(b)は、搬送方向からみた比較例の衝突板の配置関係を表す側面図である。
図9】本発明の実施の形態に係る原料払出装置を備えた原料払出システムを表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の図面の記載においては、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。
【0018】
(原料払出装置)
本発明の実施の形態に係る原料払出装置100は、図1に示すように、原料払出部10と、原料払出部10から払出された原料40を搬送する搬送面50を備えるコンベア5と、コンベア5の搬送方向に離間して配置され、搬送面50の両端からそれぞれ互い違いに突出するように、コンベア5上に配置された2以上の案内板8a、8bとを備える。
【0019】
原料払出部10は、原料40を貯留する貯留部1と、原料40を貯留部1の外へと払出す払出部2と、原料40を抑えて払出口11から払出される原料40の量を調整する調整部3とを備える。
【0020】
貯留部1は、原料40を払出するための払出口11を一端に備える。貯留部1は、背面12と、互いに対向する側面13、14と、底面15とを備える。貯留部1の底面15上には原料40が配置される。払出部2は貯留部1の底面15に配置されている。払出部2としてはいわゆる床板移動式の定量供給機が用いられる。
【0021】
例えば、払出部2は、貯留部1の底面15に配置され、貯留部1の背面12側から払出口11側に互いに間隔を空けて略平行に延びる複数のガイド21と、ガイド21を覆うようにガイド21上にそれぞれ配置され、ガイド21に沿って貯留部1内を払出口11と背面12との間で往復することにより、原料40を貯留部1の外へ払い出す複数のスラット22と、複数のスラット22の往復移動を駆動する駆動装置(不図示)とを備える。
【0022】
払出部2が備える複数のスラット22が、払出口11と背面12との間で往復運動することによって、貯留部1内に貯留された原料40が、徐々に払出口11側へ押し出されて、払出口11の外へと払出される。
【0023】
図1に示すように、払出口11側付近の払出部2の上方には、払出部2の上方から下方へと延びる複数の支柱31を備え、複数の支柱31により原料40の一部を抑えて貯留部1の外へ払出される原料40の量を調整するための調整部3が設けられている。調整部3は、貯留部1の対向する側面13と側面14との間に固定され、複数の支柱31を固定する支柱固定部32と、支柱31の貯留部1の底面15からの高さを調整する高さ調整部(不図示)とを備える。
【0024】
支柱固定部32は、背面12側から払出口11側へ払出される原料40の圧力を受けて複数の支柱31が払出口11側に移動しないように、複数の支柱31を所定の位置に固定することができる構造であれば、図1の例には限定されず任意の構造を有することができる。
【0025】
図1の例では、側面13と側面14との間に柱状の支柱固定部32が架け渡され、支柱固定部32が備える複数の開口部内に、複数の支柱31がそれぞれ収容されるようになっている。そして、開口部付近の支柱固定部32に設けられた、ボルト、フランジ等の固定具(不図示)で構成される高さ調整部によって、支柱31の高さが任意の高さに固定されるようになっている。
【0026】
支柱固定部32上には、床、即ちスラット22の上面からの各支柱31の高さを検知するための高さ検知部33が設けられていてもよい。高さ検知部33としては例えばマイクロ波センサー等を用いることができる。高さ検知部33の検知結果に基づいて支柱31の高さを調整する高さ調整部(不図示)を制御することによって、原料40の収容状態に応じて支柱31の高さを変更可能な制御装置34を備えていてもよい。
【0027】
複数の支柱31の間隔d1、d2および床からの高さH1、H2は、払出する原料40の種類によって調整することができる。特に、種々の形状、比重、形状の原料40が混在する電子・電気機器部品屑等の原料40を、原料40の滞りがなく円滑に搬送して払出するために鋭意検討した結果、複数の支柱31のそれぞれの間隔及び間隔比と高さ及び高さの比をそれぞれ調整することが有効であることが分かった。
【0028】
電子・電気機器部品屑等のような種々の形状、比重、形状の原料40を、図1の原料払出装置100に収容すると、払出作業が進行するにつれて、側面13、14付近の原料40が上手く払出されずに停滞し、停滞した原料40に更に中央部の原料40が絡まってうまく排出されずに詰まり(ブリッジ)が生じる場合がある。
【0029】
本実施形態では、図2に示すように、貯留部1の側面13、14付近の原料40の詰まりを抑制するために、貯留部1の側面13、14に最も近い支柱31と貯留部1の側面13、14との間の間隔d1と貯留部1の中央部の支柱31間の間隔の最も狭い間隔(d2)の比(d1/d2)を調整するとともに貯留部1の側面13、14に最も近い支柱31の床からの高さ(H1)と貯留部1の側面13、14に最も近い支柱31以外の支柱31の床からの最小の高さ(H2)の比(H1/H2)を調節することが好ましい。
【0030】
より具体的には、d1≦d2の場合、H1/H2=3~10となるように複数の支柱31を配置することが好ましく、d1>d2の場合、H1/H2=0.5~3となるように複数の支柱31を配置することが好ましい。これにより、種々の形状、比重、形状の原料40が混在する原料40を一定量毎に効率よく払出することが可能な原料払出装置100が得られる。
【0031】
支柱31の数は限定されないが、例えば3~10本、好ましくは3~8本、更に好ましくは4~6本とすることができる。各支柱31の底面15からの高さは原料40の状態に応じて調整される。なお、本実施形態において「中央部の支柱31の間隔d2」とは、貯留部1の水平方向において中心に最も近い支柱31とその次に中心に近い支柱31との間隔を意味する。
【0032】
支柱31の高さは、原料40の滞留状態に応じて水平方向に沿ってそれぞれ異なる高さとなるようにぞれぞれの高さを変更してもよい。例えば、図3に示すように、中央部の支柱31付近に原料40が固まって払出が難しくなっている場合には、中央部の支柱31の高さを側面13、14側の支柱31の高さよりも高くするか、或いは、側面13、14に最も近い支柱31の側面13、14からの距離を長くして、中央付近からの原料40の払出が行われやすくなるようにすることもできる。以下に限定されるものではないが、本実施形態では、例えば貯留部1の側面13から側面14までの長さは例えば300m~500mとすることができ、払出部2上面から支柱31の下端部までの高さHは500mm~800mmとすることができる。
【0033】
また、図1の例では、貯留部1内の原料40を抑えながら貯留部1の外へ払い出される原料40の量を調整する調整部3が、払出口11側に一か所、設けられる例が記載されているが、払出口11側から背面12側へ向けて一定の間隔を空けて調整部3を複数段、好ましくは2段以上、更には3段以上設けることが好ましい。調整部3を複数段設け、各調整部3が備える支柱31の高さをそれぞれ調整することで、原料40の滞留を抑制しながら原料40の払出がより円滑に行われるように、制御することができる。特に、原料調節部前の原料40の高さが、H2に対して、1.3倍から5倍であればよく、3倍以下がより好ましい。
【0034】
図1に示す原料払出部10を用いて原料40の払出を行う場合は、まず、貯留部1の底面15上に原料40を配置し、図示しない駆動装置により払出部2を駆動させる。具体的には、図4(a)に示すように、まず、全てのスラット22が払出口11側から背面12側へと移動する。払出口11側付近にはスラット22の下方に配置されたガイド21が露出される。次に、図4(b)に示すように、すべてのスラット22が、背面12側に収容された原料40を保持しながら背面12側から払出口11側へと移動することにより、原料40が払出口11側へと搬送される。
【0035】
図4(c)に示すように、スラット22の一部が払出口11側から背面12側へ移動する。本実施形態では隣接する3本のスラット22が一セットとなって動作する例を示すが、この例には限定されないことは勿論である。図4(c)の例では、最も左側のスラット22と左から4番目のスラット22が背面12側へ移動し、最も左側のガイド21と左から4番目のガイド21上に原料40が保持される。
【0036】
図4(c)で背面12側に移動したスラット22に隣接するスラット22、即ち、図5(a)に示すように、左から2番目のスラット22と4番目のスラット22が、払出口11側から背面12側へと移動する。原料40の一部はガイド21上で保持される。図5(b)に示すように、左から3番目のスラット22と6番目のスラット22が背面12側へと移動する。全てのスラット22が背面12側へ移動した後、図5(c)に示すように、全てのスラット22が払出口11側へと移動する。この移動により、ガイド21上の原料40が払出口11側へ押しこまれて、払出口11の下方に配置されたコンベア5の搬送面50上に原料40が払出される。
【0037】
図1に示す原料払出部10によれば、図4(a)~図5(c)の動作を複数回繰り返すことにより、スラット22の往復運動が終わるごとに、ほぼ一定量の原料40が搬送面50上へ分配されるため、払出量を常時ほぼ一定にすることが可能となる。
【0038】
さらに図6に示すように、コンベア5の搬送面50上の原料40の載置状態に着目すると、スラット22を用いた1回の払出により払出される原料40の量が、コンベア5の搬送面50の搬送方向に沿って異なる場合がある。1回の払出により払出される原料40の量が、コンベア5の搬送面50の搬送方向に沿って異なると、コンベア5の搬送先にある選別機等に投入される原料40の量が経時的に変化し、これにより選別処理の安定性が損なわれる可能性がある。
【0039】
本実施形態に係る原料払出装置100によれば、図1に示すように、コンベア5上に、コンベア5の搬送方向に離間する2以上の案内板8a、8bが配置される。図7(a)に示すように、この案内板8a、8bに、原料払出部10から払出される原料40を接触させ、原料40の流れを搬送方向に対して蛇行させるように原料40の搬送方向を調整することで、原料40の偏りを平均化でき、コンベア5によって搬送される原料40の容積を搬送方向において平均化することができる。その結果、種々の形状、比重、形状の原料40が混在する原料40をコンベア5によって搬送する際においても、より更に均一に払出することが可能となる。
【0040】
図7(a)に示すように、案内板8a、8bは、搬送面50の両端からそれぞれ互い違いに搬送面50の中央部に向かって突出するように配置されている。図7(a)の例では、案内板8a、8bが、搬送方向とほぼ垂直な向きに延在するように配置されているが、案内板8a、8bの搬送面中央部側の一端が搬送方向に向くように案内板8a、8bを搬送方向垂直方向に対してやや傾斜させて配置することにより、案内板8a、8b付近の原料40の詰まりを抑制しながら原料40をより円滑に搬送できる。
【0041】
案内板8a、8bの形状は同一形状とすることにより、案内板8a、8b付近の原料40の詰まりを抑制しながら、種々の形状、比重、形状の原料40が混在する原料40をより均一に払出することが可能となる。即ち、案内板8a、8bは、搬送面50の幅方向に沿った長さw1、w2が、搬送面50の幅方向の長さWに対して20~40%、より好ましくは25~35%とすることにより、案内板8a、8b付近の原料40の詰まりを抑制しながら原料40をより円滑に搬送できる。
【0042】
図7(b)に示すように、コンベア5端部の搬送面50からの案内板8a、8bの高さh1、h2は、搬送面50上に払出される原料40の最大高さよりも高くすることで、より確実に原料40を蛇行させて平均化することができる。高さh1、h2は、コンベア5の両サイドに設置されたサイドガイド9の高さと同じかそれより低くてよいが、具体的には、250~500mm、一実施態様では300~450mmとすることができる。
【0043】
案内板8a、8bの配置する間隔d2は、狭すぎると原料40の詰まりが生じやすくなり詰まった場合の対応がとりにくい等の問題があるが、間隔d2が広い場合には、特に問題はないが、広すぎると設備が長くなるだけなので、設置場所に合わせた長さに調整すればよい。図7(a)に示すように、案内板8a、8bは、搬送方向に300mm以上離間していることが好ましく、500mm以上離間して配置されることがより好ましい。
【0044】
また、原料払出部10に最も近接する案内板8aの距離が近すぎるとばらつきを解消させる余裕がない場合がある。遠すぎる場合には問題ないが、ラインが長くなり好ましくない。図7(a)に示すように、原料払出部10に最も隣接する案内板8aが、原料払出部10から200mm以上離間していることが好ましく、300mm以上離間していることがより好ましい。
【0045】
案内板8a、8bの材質は特に限定されない。種々の形状、比重、形状の原料40が混在する電子・電気機器部品屑を処理対象とする場合は、電子・電気機器部品屑の案内板8a、8b近傍の詰まりを抑制しながらより円滑に搬送するためで、材質は問わない。しかし、電子・電気機器部品屑には金属も含まれ、プラスチック等では摩耗する恐れがあるので、金属製が望ましく、例えば、アルミ製やSUS製で形成されることが好ましい。
【0046】
図8(a)及び図8(b)に示すように、コンベア5上に原料40の高さを調節するための衝突板80を配置したところ、原料40の詰まりが生じ、原料40を円滑に搬送することができなかった。衝突板80をコンベア5上に斜めに配置してみても原料40の詰まりは解消されなかった。
【0047】
本実施形態に係る原料払出装置100によれば、コンベア5上に、図7(a)に示すような案内板8a、8bが配置されることによって、種々の形状、比重、形状の原料40が混在する原料40をより均一且つ円滑に搬送することが可能となる。
【0048】
(電子・電気機器部品屑の処理方法)
図1図7に示す原料払出装置100は、風力選別機、メタルソータ、カラーソータ、篩別機などの種々の選別機を用いて電子・電気機器部品屑を選別する選別処理を実施する前に、各選別機でそれぞれ処理可能な量ごとに仕分けするための装置として特に好適である。
【0049】
本実施形態における「電子・電気機器部品屑」とは、廃家電製品・PCや携帯電話等の電子・電気機器を破砕した屑であり、回収された後、適当な大きさに破砕されたものを指す。本実施形態では、電子・電気機器部品屑とするための破砕は、処理者自身が行ってもよいが、市中で破砕されたものを購入等したものでもよい。
【0050】
破砕方法として、特定の装置には限定されず、せん断方式でも衝撃方式でもよいが、できる限り、部品の形状を損なわない破砕が望ましい。従って、細かく粉砕することを目的とする粉砕機のカテゴリーに属する装置は含まれない。
【0051】
電子・電気機器部品屑は、基板、ICやコネクタ等のパーツ、筐体などに使われる合成樹脂類(プラスチック)、線屑、メタル、フィルム状部品屑、破砕や粉砕によって生じる粉状物、その他からなる部品屑に分類することができ、処理目的に応じて更に細かく分類することができる。以下に限定されるものではないが、本実施形態では、最大直径が100mm以下、より典型的には50mm以下となるように破砕されており、且つ部品屑として単体分離されている割合が重量比で70%以上の電子・電気機器部品屑を好適に処理することができる。
【0052】
これら種々の種類からなる部品屑を、本発明の実施の形態に係る原料払出装置100を用いて一定量毎に払出することにより、種々の形状、比重、形状の原料40が混在する原料40を効率よく払出することが可能となり、その後の選別処理工程に供給するための原料40をよりスムーズに供給することができるようになる。そして、各原料40を所定の順序で処理することにより、例えば、選別物を銅製錬工程に利用する場合には、銅製錬工程での処理に好ましくない物質、例えば、アンチモン(Sb)、ニッケル(Ni)等の元素、樹脂類、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等の製錬阻害物質を極力低減しながら、金、銀、白金、パラジウム、銅を含む有価金属を濃縮した原料40を得ることができる。
【0053】
本発明は本実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、本実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、本実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除する、或いは各構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0054】
例えば、図9に示すように、貯留部1から払出された原料40を収容する収容部4が配置され、収容部4を搬送するコンベア5に収容部4の重量を測定する測定部6が配置されていてもよい。測定部6で測定された収容部4の原料40の重量情報は、汎用の計算機等で構成される原料調整部7に送られて、原料調整部7において測定部6による測定結果が解析され、この解析結果に基づいて、複数のスラット22の往復移動を駆動する駆動装置23により、複数のスラット22の往復移動の回数を調整される。これにより、収容部4に収容される原料量をより適正な重量となるように調整される。図9に示すシステムによれば、原料40を処理する選別機の処理能力に応じた適正な量の原料が、収容部4に収容されるように、原料40の種類に応じて調整することができるため、より効率の高い処理が行える。
【符号の説明】
【0055】
1…貯留部
2…払出部
3…調整部
4…収容部
5…コンベア
6…測定部
7…原料調整部
8a、8b…案内板
9…サイドガイド
10…原料払出部
11…払出口
12…背面
13…側面
14…側面
15…底面
21…ガイド
22…スラット
23…駆動装置
31…支柱
32…支柱固定部
33…高さ検知部
34…制御装置
50…搬送面
80…衝突板
100…原料払出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9