(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ニッケル、マンガン、及びコバルトを回収するための高温冶金法
(51)【国際特許分類】
C22B 47/00 20060101AFI20240401BHJP
C22B 5/02 20060101ALI20240401BHJP
C22B 7/04 20060101ALI20240401BHJP
C21C 7/00 20060101ALI20240401BHJP
C22B 23/02 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
C22B47/00
C22B5/02
C22B7/04 A
C21C7/00 Z
C22B23/02
(21)【出願番号】P 2022530963
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2019082758
(87)【国際公開番号】W WO2021104620
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】501094270
【氏名又は名称】ユミコア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レナート・ショイニス
(72)【発明者】
【氏名】イザベル・フェルメーレン
【審査官】藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/117074(WO,A1)
【文献】特表2012-528783(JP,A)
【文献】特開2006-161079(JP,A)
【文献】特開2012-193424(JP,A)
【文献】米国特許第04363657(US,A)
【文献】特開昭58-034159(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109576509(CN,A)
【文献】特開2015-063744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00-61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ni、Mn、及びCoを含有する材料からSi-Mn合金を製造する方法であって、
a)前記材料、並びにスラグ形成剤としてのSi、Al、Ca、及びMgを含む冶金装入材を調製する工程と、
b)第1の還元条件で装入材を製錬し、それによって、Si<0.1質量%の、Co及びNiの少なくとも1種の主要部分を含むNi-Co合金、並びにMnの主要部分を含む、第1のスラグを得る工程と、
c)合金から前記第1のスラグを分離する工程と、
d)前記第1の還元条件よりもより還元性の第2の還元条件で前記第1のスラグを製錬し、それによってSi>10質量%の、Mnの主要部分を含むSi-Mn合金及び第2のスラグを得る工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のスラグが、
0.25<SiO
2/Al
2O
3<2.5;
0.5<SiO
2/CaO<2.5;
MnO>2.5質量%;
MgO>5質量%;及び
Co+Ni>0.1質量%
に従った組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Si-Mn合金をFeベース溶融相に添加し、それによってSi-Mn鋼を得る工程を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、様々な供給源からNi、Co、及びMnを回収するための2段階高温方法に関する。例えば、Liイオン電池用のカソード材料の製造に好適なNi-Co合金が製造され、且つSi-Mn合金が製造され、それは製鋼において使用することができる。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車は、車両のCO2フットプリントを徐々に減らし、都市の空気汚染を限定するように考案された、ヨーロッパ及び中国における新しい規則によって推進され、空前の成長を示してきた。この成長は、次の数十年の間も続くと予測される。電気自動車の適合は、電気エネルギーを貯蔵するのに使用される電池の性能によって決まる。制御されたコストを保ちながら、最高エネルギー密度を得るために、Liイオン電池が使用される。好ましい電池は、遷移金属Ni、Mn、及びCoに基づくカソードを含有する(aka NMC電池)。電動モビリティ市場の成長と共に、これらの金属に対する需要は著しく増加すると予測される。
【0003】
Ni及びCoの需要は、世界的生産能力を超える可能性がある。Coは、現在、Ni及びCuの産業の副産物として製造されるだけであるので、特に危機的である。Ni市場は、Co市場よりも著しく大きいが、大部分のNiは、その純度が相対的に重要ではない、ステンレス鋼の製造に向かう。故に、高純度のNi及びCoの金属又は化合物は供給不足である。上記の観点から、理想的に、これらの元素の適切な組み合わせを既に含有する使用済み電池からNi及びCoを回収することは、魅力的な提案である。
【0004】
欧州特許第3269832号に、MnO-SiO2-Al2O3三元製錬スラグとして特徴づけられる、Co及び/又はNi含有合金及びMn含有スラグを標的とした、廃棄電池を再生利用し、加工処理する方法が記載されている。中国特許第107012332号に、ニッケル及びコバルトを含有した廃棄電池及び銅含有電子機器廃棄物の相乗的金属再生利用法が記載されている。国際公開第2011035915号に、リチウムイオン電池を処理して、スラグ及びCo含有、Ni含有、及びCu含有の合金を製造する自溶高温方法が記載されている。方法は、それらがMn、Ni、及び/又はCoを含有する限り、大部分の他の供給材で使用することができる。さらなる一例は、Co-Fe-Mn/γ-Al2O3フィッシャー・トロプシュ触媒に使われる。
【0005】
Mgも含有する供給材は、この元素がスラグにおいて所望されるので、特に好適である。電池以外の大部分の供給材は、自己生成的に処理することができないが、代わりに供給材を溶融させる追加のエネルギーを要する。これは、天然ガス酸素バーナーによって、又は電熱によって供給されうる。Niに富む供給材に好適な方法の一例は、国際公開第2009100495号に示され、浴製錬法を使用して溶融Ni合金及びスラグを製造する。
【0006】
供給材に応じて、Coに富んだ、及び/又はNiに富んだ、Ni-Co合金を得ることができる。こうした合金は、例えば、金属を分離し、精製するための既知の湿式冶金法、を使用するさらなる処理に十分に適合する。次いで、得られた高純度の金属又は金属化合物は、Liイオン電池用のカソード材料の製出に好適である。
【0007】
高温冶金法は、一般に合金及びスラグを製造する。クリーンスラグ、すなわち、低い浸出性金属含量を有するスラグは、典型的には、建設産業において使用される。例には、コンクリート内の人工骨材、置換砂、又は他の採掘された鉱物、及び例えば、堤防強化等の水中用途における高密度バラストが挙げられる。
【0008】
供給材がCo及び/又はNiを含有する場合、スラグも同様に、少量だが、感知されうる量の、これらの元素を含有しうることになる。例えば、Elwertら(World of Metallurgy-Erzmetall、GDMB-Medienverlag、Clausthal-Zellerfeld、65巻、3号、163~171頁、2012年)に、リチウム回収の方法を開発する目的で、3種の単離されたスラグ及びそれらの相組成が説明されている。ヨーロッパにおいて、分類、表示、及び包装(CLP)規則EC N°1272/2008は、Ni及びCoのいずれか一方を0.1%よりも多く含む、全てのスラグを、可能性として有害な材料であると表示することを求める。次いで、規則は、材料の最終使用者に危険分析を実施することを求め、しかしこれは、大部分の既知の用途における、こうしたスラグの再利用を阻害し、更には禁止することになる。
【0009】
還元のレベルを上げることによって、スラグのNi及びCoの全含量を0.1%未満まで更に減らすことが可能になる。しかし、これらの条件の下、スラグ中のシリカの一部も、金属形態に部分的に還元され、合金に属する。この金属性Siは、下流の加工処理をひどく複雑にする。確かに、湿式冶金合金処理の第1の工程は、通常、酸浸出及び濾過を含み、Siの存在は、濾過をひどく妨げることが知られている。Dingら(ISIJ International、40、9号、850~856頁、2000年)は、ケイ素マンガン製造において、スラグと金属との間の、マンガン及びケイ素の平衡分布を調べるための、いくつかの一般的な研究室測定を報告する。
【0010】
Ni-Co合金におけるMnのさらなる回収は、技術的に可能であるが、更により強い還元条件を要することになる。これは、得られたNi-Co-Mn合金が、金属性Siを含んで非常に純度を落とすことになり、再度、その後の湿式冶金の分離工程及び精製工程を妨げることになるので推奨されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】欧州特許第3269832号
【文献】中国特許第107012332号
【文献】国際公開第2011035915号
【文献】国際公開第2009100495号
【文献】欧州特許第3112492号
【非特許文献】
【0012】
【文献】Elwertら、World of Metallurgy-Erzmetall、GDMB-Medienverlag、Clausthal-Zellerfeld、65巻、3号、163~171頁、2012年
【文献】Dingら、ISIJ International、40、9号、850~856頁、2000年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、請求項1に記載のSi-Mn合金を製造する方法を提供することによって、前述された問題の少なくとも1つの解決法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示に記載の方法は、2段階方法からなる。方法は、Ni、Mn、及びCoの回収を標的とするが、Ni-Co合金中のSiの存在による問題点を回避し、更に、最終のスラグは、前述のCLP規則を順守する。
【0015】
Ni及びCoは、本質的にSiを含まない、第1の合金において回収される。純粋なNi及びCoは、既知の精製技術によって、こうした合金から経済的に製造することができる。既に述べたように、これらの金属は、Liイオン電池の製出のために高い需要がある。
【0016】
Mnは、第2の合金においてSiの一部と共に回収される。このSi-Mn合金は、鋼産業における使用に好適である。この合金における、いずれのNi及びCoも、高純度用途では失われるが、鋼においてまだ有用であると考えられる。
【0017】
方法は、
a)Ni、Mn、及びCoを保有する材料、並びにスラグ形成剤としてのSi、Al、Ca、及びMgを含む冶金装入材を調製する工程と、
b)第1の還元条件で上記冶金装入材を製錬し、それによってSi<0.1%の、Co及びNiの少なくとも1種の主要部分を含むNi-Co合金、並びにMnの主要部分を含む第1のスラグを得る工程と、
c)合金からスラグを分離する工程と、
d)上記第1の還元条件よりも還元する、第2の還元条件でスラグを製錬し、それによってSi>10%の、好ましくはSi>15%の、Mnの主要部分を含むSi-Mn合金及び第2のスラグを得る工程と
を含む。
【0018】
「スラグ形成剤としてのSi、Al、Ca、及びMg」は、例えば、金属それ自体の添加、又は化合物、例えば、酸化物、水酸化物、若しくは塩、又はこれらの化合物の混合物に相当することができる。Si及びCaは、典型的にはSiO2及びCaOとして添加される。Alは、Al2O3として添加されてもよいが、Ni、Mn、及びCoを保有する材料から生じてもよく、金属形態で存在することができる。Mgは、MgOとして添加されてもよいが、Ni、Mn、及びCoを保有する材料から生じてもよく、例えば、酸化物、水酸化物、又は塩として存在することができる。
【0019】
「主要部分」は、元素又は化合物の50%より多くが指定されることを示す。このパーセントは、方法に加わる、上記の元素又は化合物の質量を指す。
【0020】
全てのパーセントは、質量%として表される。
【0021】
穏やかな還元条件が維持される、第1の還元製錬において、Ni及びCoの主要部分は、第1の合金に属し、副部分は第1のスラグに属する。このNi-Co合金は、Si0.1%未満を有する、Siを本質的に含まないままであり、故に相対的に方法に対して明確である。当業者は、還元剤、例えば、石炭ガス又は天然ガスを投与し、Mn、Ni、Co、及びSiの観測挙動により誘導されることによって、還元度を容易に制御することができるであろう。好ましい還元度は、10-9から10-11atmまでのpO2に換算して表すことができる。不十分な還元条件は、合金において、低いNi収率及びCo収率をもたらすことになる。
【0022】
過度な還元条件は、合金中に多すぎるSi、及びスラグ中に低すぎるMn収率をもたらすことになる。
【0023】
次いで、第1のスラグは、分離され、第2の還元製錬工程を施される。
【0024】
第1の還元製錬よりも、より還元される条件が維持される、第2の還元製錬において、Mnの主要部分及びSiの一部は、第2の合金に属し、Siを10%より多く含む、Mn及びSiを保有する合金をもたらす。本質的に重金属を含まず、故に再利用に好適な、第2のスラグが形成される。当業者は、還元剤、例えば、石炭ガス又は天然ガスを投与し、Mn及びSiの観測挙動により誘導されることによって、還元度を容易に制御することができるであろう。好ましい還元度は、10-14atmよりも低いpO2に換算して表すことができる。不十分な還元条件は、合金において低いMn収率及びSi収率をもたらすことになる。より強い還元条件は、重大な有害な影響はもたらさないが、望ましくない、大量のSiを含有するMn合金をもたらすことがある。35%未満のSi濃度が好ましい。
【0025】
これらの2つの還元工程は、Ni-Co合金の中間タッピングで、バッチ式で操作される同じ炉で実施することができ、又は2つの異なる炉で実施することができる。2つの炉で方法を実施する場合、両方の還元工程の間でスラグ液体を保って、再溶融を避けることが好ましい。
【0026】
好ましい一実施形態において、方法は、組成:
0.25<SiO2/Al2O3<2.5;
0.5<SiO2/CaO<2.5;
MgO>5%、好ましくはMgO>10%;
MnO>2.5%、好ましくはMnO>5%;及び
Co+Ni>0.1%、好ましくはCo+Ni>0.2%、より好ましくはCo+Ni>0.5%
に従って、第1のスラグを生成する。
【0027】
Al2O3-SiO2-CaO-MgO四元系を説明する比は、スラグの十分に低い粘度を確実にする。スラグのMgO含量は、好ましくは5%より高く、より好ましくは10%より高く、合金液滴の迅速なデカンテーションを可能にし、それによって第1の工程におけるCo収率及びNi収率を最適化する。
【0028】
スラグのMnO含量は2.5%より高く、好ましくは5%より高く、第2の還元工程におけるSi-Mn合金の製造に対する、十分に豊富な供給材を確実にする。
【0029】
スラグは、一部の残留Co及び残留Ni:CoプラスNiを0.1%より多く、好ましくは0.2%より多く、より好ましくは0.5%より多くを含有する。CoプラスNiの濃度0.1%未満は、第1の工程における強すぎる還元条件を示すものであり、Siの還元をもたらすことになる。NiプラスCoの、いくらかより高いレベルに耐えることにより、還元レベルの比較的肯定的な検出が可能になる。他方で、第1の合金に対する、これらの金属の収率は、満足できるものではなくなるであろうため、CoプラスNiは、好ましくは5%未満のままであるべきである。第1のスラグにおけるCo及びNiは、Si-Mn合金において回収されることになるが、これらの元素は、高純度用途においては失われることになる。
【0030】
第2のスラグは、本質的にCo及びNiを含まず、CLP規則を順守する。
【0031】
補足の方法工程において、第2の合金をFeベース溶融相に添加することができ、それによってSi-Mn合金化鋼製品を得る。
【0032】
別の実施形態において、任意の前述の実施形態に従った冶金装入材は、(i)Liイオン電池、(ii)Liイオン電池の部品、例えばカソード材料、及び/又は(iii)上記Liイオン電池の製造スクラップを含む。方法は、極めてロバストであり、電池の製造から生じる全種類の材料から、使用済み電池本体(又はその部品)まで取り扱うことができる。
【0033】
別の実施形態において、前述の実施形態のいずれかに従った冶金装入材を製錬することによって得られるNi-Co合金は、Liイオン電池用のカソード材料の製造に使用することができる。上記冶金装入材は、本発明の第1の方法工程において調製され、第2の方法工程において、特異な還元条件の下、製錬される。冶金装入材の組成及び適用される還元条件は、得られる第1の合金及び得られる第1のスラグの含量に影響を及ぼす。
【0034】
別の実施形態は、上記の好ましい方法の実施形態に従った組成を有するスラグそれ自体に関する。
【0035】
更に別の実施形態において、第1のスラグは、還元条件で上記スラグを製錬することによる、Si-Mn合金の製造に使用される。
【0036】
この方法における使用に好適な、Ni、Mn、及びCoを含有する材料の一例は、Liイオン電池又は関連製品のもの、例えば、使われた電池、スクラップされた電池、及び分別された電池スクラップ、例えばカソード材料である。
【0037】
Cuは、例えば、電池材料を供給する場合の電子機器又は配線からの、これらの材料中に存在することがある。Cuは、容易に還元される金属であり、本質的に、第1の合金に属することになる。しかし、少量のCuは、第1のスラグに残り、第2の合金になる。同様に、少量のNi及びCoは、第2の合金においてその役割を見出すことになる。Cuほどには容易に還元されないFeは、第1のスラグにおいて感知されうる量で見出され、Mn及びSiと共に、第2の合金に少なくとも部分的に還元されることになる。Fe、Mn、Si、並びに少量のCu、Ni、及びCoを含有する、こうした第2の合金は、一部の鋼の製出に十分に適している。これは、欧州特許第3112492号において説明される。Cu、Ni、及びCoを含む鋼は、従来のマルテンサイトステンレス鋼と比較して、優れた、耐硫化物応力割れ性及び耐高温腐食性を示し、その一方で同時に適正な降伏強度、少なくとも758MPaを得る。これらの鋼は、例えば、以下の組成:0.005%≦C<0.03%、14%≦Cr≦17%、2.3%≦Mo≦3.5%、3.2%≦Ni≦4.5%、Si≦0.6%、0.5%≦Cu≦1.5%、0.4%≦Mn≦1.3%、0.35%≦V≦0.6%、3.2×C%≦Nb≦0.1%、W≦1.5%、0.5%≦Co≦1.5%、0.02%≦N≦0.05%、Ti≦0.05%、P≦0.03%、S≦0.005%、及びAl≦0.05%を必要とする。この鋼について、相当な量のCuを含むSi-Mn合金を合金Mnに対して使用することができる。
【実施例】
【0038】
Liイオン電池は、より容易な混合を可能にするために、るつぼに投入される前に刻まれる。電池の組成をTable 1(表1)に示す。
【0039】
【0040】
電池500gからなる冶金装入材を調製する。石灰石175g、シリカ100g、及びマグネシア50gをフラックス剤として添加する。
【0041】
混合物を、容積2Lの窒化ホウ素被覆アルミナるつぼに加える。混合物を加える前に、るつぼを出発スラグ500gで満たし、誘導炉で1500℃まで加熱した。これは、供給材を加えることができる液体スラグ浴を作り出す。出発スラグ組成をTable 2(表2)に示す。出発スラグが1500℃で完全に液体であるとき、冶金装入材は、るつぼに2時間連続して供給される。この時間に、酸素を浴の上に80リットル/時間の速度で吹き付けて、電池に存在する、金属性Al及び炭素を燃焼させる。
【0042】
最後の添加の後、還元環境は、CO120L/h及びCO28L/hの混合物を浴中に1時間吹き付けることによって実現される。これにより、適切な酸化還元電位(pO2)の確立がもたらされる。
【0043】
この後15分間、溶融物の上澄み液を移す。スラグの良好な流動性により、有効なデカンテーション、すなわち、スラグ中に浮く残留合金液滴がない状態が可能になる。冷却後、スラグ相を合金から分離し、両方の相を分析する。詳細な物質収支をTable 2(表2)に提供する。
【0044】
【0045】
第1の工程の後、スラグをるつぼ及び合金から分離し、破砕し、コークスと混合する。スラグ500グラムをコークス30グラムと混合し、容積1Lの窒化ホウ素被覆アルミナるつぼで溶融させる。温度1700℃が、誘導炉を使用して維持される。
【0046】
コークス20グラムの追加の量を液体浴に加える。次いで、スラグを3時間反応させる。冷却後、合金-スラグ相分離は手動で実施され、それから両方の相が分析される。詳細な物質収支をTable 3(表3)に提供する。
【0047】
Table 2(表2)から、Ni-Co合金がSi0.1%未満(0.0%が報告される)のSi含量を有し、Co及びNiの主要部分(それぞれ収率92%及び99.5%が報告される)を含むことが認められる。
【0048】
第1のスラグは、0.25から2.5までのSiO2/Al2O3比(12.9/12.3の比が報告され、SiO2/Al2O3比1.2に対応する)、及び0.5から2.5までのSiO2/CaO比(12.9/15.9の比が報告され、SiO2/CaO比1.3に対応する)を有する。第1のスラグは、2.5%より多いMnO含量(5.6%が報告され、MnO7.2%に対応する)、及び5%より多いMgO含量(6.7%が報告され、MgO11.2%に対応する)を有する。第1のスラグは、Mnの主要部分(収率99.6%が報告される)を含有する。
【0049】
【0050】
Table 3(表3)によれば、Si-Mn合金が、10%より多いSi含量(23.7%が報告される)を有し、Mnの主要部分(収率99.2%が報告される)を含む。