(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】偏光可変素子
(51)【国際特許分類】
G02F 1/17 20190101AFI20240402BHJP
G02F 1/137 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
G02F1/17
G02F1/137 500
(21)【出願番号】P 2021558790
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 KR2020005075
(87)【国際公開番号】W WO2020213943
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0045486
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リム、ウン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】オー、ドン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジュン スン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン ホン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヒュン ジュン
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106950776(CN,A)
【文献】特開平06-043422(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0070132(US,A1)
【文献】国際公開第2018/199615(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101639578(CN,A)
【文献】特開2018-141826(JP,A)
【文献】特開2005-181642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/17
G02F 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトクロミック(photochromic)層、及び
液晶及び異方性染料を含み、電圧の印加によって水平配向状態と垂直配向状態の間をスイッチングするゲストホスト液晶層を含み
、
前記水平配向状態の液晶分子の光軸は互いに平行であり、
前記フォトクロミック層は、式1を満足し、
[式1]
A-B≧50%
式1で、Aは、△Tmax波長での紫外線の照射前の前記フォトクロミック層の透過度(%)であり、Bは、△Tmax波長での紫外線の照射後の前記フォトクロミック層の透過度(%)であり、△Tmax波長は、紫外線の非照射状態と照射状態での前記フォトクロミック層の透過度差が最大の波長を意味し、
△Tmax波長は500nm~600nmの範囲である、偏光可変素子。
【請求項2】
前記フォトクロミック層は、紫外線の照射によって透過度を変化させるフォトクロミック物質を含む、請求項1に記載の偏光可変素子。
【請求項3】
前記偏光可変素子は、45%~95%範囲内の偏光度を有する偏光状態と0%~10%の偏光度を有する非偏光状態の間をスイッチングすることができる、請求項1または2に記載の偏光可変素子。
【請求項4】
前記偏光可変素子は、偏光状態で透過率が15%以下であり、非偏光状態で透過率が35%以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の偏光可変素子。
【請求項5】
前記偏光可変素子は、偏光状態と非偏光状態でそれぞれヘイズが10%以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の偏光可変素子。
【請求項6】
前記偏光可変素子は前記フォトクロミック層が紫外線照射されている状態では偏光状態であり、前記フォトクロミック層は前記偏光状態で透過率が60%以下である、請求項1から5の何れか一項に記載の偏光可変素子。
【請求項7】
前記偏光可変素子は前記フォトクロミック層が紫外線照射されていない状態では非偏光状態であり、前記フォトクロミック層は前記非偏光状態で透過率が80%以上である、請求項1から6の何れか一項に記載の偏光可変素子。
【請求項8】
前記液晶及び異方性染料は、偏光状態で水平配向された状態で存在する、請求項1から7の何れか一項に記載の偏光可変素子。
【請求項9】
前記液晶及び異方性染料は、非偏光状態で垂直配向された状態で存在する、請求項1から8の何れか一項に記載の偏光可変素子。
【請求項10】
前記液晶及び異方性染料は非偏光状態で垂直配向された状態で存在し、
前記ゲストホスト液晶層の両側に第一配向膜及び第二配向膜を含み、前記第一配向膜及び前記第二配向膜の配向軸のなす角度が10度以下である、請求項1から9の何れか一項に記載の偏光可変素子。
【請求項11】
前記ゲストホスト液晶層の両面に第1電極フィルムと第2電極フィルムをさらに含む、請求項1から
10の何れか一項に記載の偏光可変素子。
【請求項12】
前記フォトクロミック層の一面に配置された基板をさらに含む、請求項1から
11の何れか一項に記載の偏光可変素子。
【請求項13】
前記フォトクロミック層の他の一面に配置された基材層をさらに含む、請求項
12に記載の偏光可変素子。
【請求項14】
前記ゲストホスト液晶層の一面に反射防止層をさらに含む、請求項1から
13の何れか一項に記載の偏光可変素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2019年4月18日に出願された大韓民国特許出願第10-2019-0045486号に基づく優先権の利益を主張し、該当大韓民国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
技術分野
本出願は、偏光可変素子に関する。
【背景技術】
【0003】
商用化されている代表的な透過度可変素子は、フォトクロミック(photochromic)素子である。フォトクロミック素子は、可変範囲に優れている代わりに応答速度がおそいという短所があり、フォトクロミックの場合、特定のUV波長に反応して着色される素子であるため、適正エネルギー以上の該当波長のない環境では変色が起きないので、ユーザーが所望するとき可変されないという短所及びユーザーが所望する明るさレベルを調節できないことによって市場拡張性に制約を受けている。
【0004】
また、現在の野外用アイウェア(eyewear)の主な用途のうち一つとして反射光による眩しさを低減するための用途が多い。反射光は、偏光の特性を有することになり、このような反射光の低減のために偏光サングラスが商用化されている。しかし、偏光サングラスの場合、状況による透過度レベルの調節が可能ではないという短所がある(特許文献1:大韓民国特許公開公報第2015-0037790号)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、応答速度がはやく、偏光度及び透過率の可変特性に優れた偏光可変素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、偏光可変素子に関する。本明細書で偏光可変素子は、外部エネルギーの印加によって、例えば、電圧の印加有無によって偏光度を調節し得る素子を意味することができる。
【0007】
前記偏光可変素子は、フォトクロミック(photochromic)層及びゲストホスト液晶(Guest Host Liquid Crystal)層を含むことができる。以下、ゲストホスト液晶層をGHLC層と呼称できる。前記GHLC層は、液晶及び異方性染料を含むことができる。前記GHLC層は、電圧の印加によって水平配向状態と垂直配向状態の間をスイッチングすることができる。
【0008】
GHLC素子は、電気的に変化されて中間階調の具現が可能であり、応答速度がはやい特性を有することができる。このようなGHLC素子にフォトクロミック素子を適用することで、一定透過度まで変化レベルがはやく、ユーザーが透過度可変レベルを調節可能な偏光可変素子を提供することができる。また、適用されるGHLC素子の偏光可変レベルを極大化して偏光度及び透過度が変化される素子を具現することができる。
【0009】
前記フォトクロミック層とGHLC層は、互いに重畳して含まれていてもよい。前記フォトクロミック層を透過した光は、GHLC層に入射され得、反対に、GHLC層を透過した光は、フォトクロミック層に入射され得る。
図1は、前記のように互いに重畳しているフォトクロミック層100とGHLC層200の状態を模式的に示した図である。このような構造は、本明細書でハイブリッド偏光可変素子と呼称できる。
【0010】
本明細書でフォトクロミック層は、光の照射によって着色されるか変色され、光が除去されると、本来の色に戻る特性を有する層を意味することができる。例えば、フォトクロミック層は、光の照射によって透過度を変化させることができる。前記フォトクロミック層は、光が照射されない状態で380nm~780nm波長の平均透過度が相対的に高い状態(クリア状態)を具現することができ、光が照射された状態で380nm~780nm波長の平均透過度が相対的に低い状態(ダーク状態)を具現することができる。
【0011】
一つの例示で、フォトクロミック層は、紫外線の照射によって透過度を変化させることができる。前記紫外線は、UVA領域の紫外線であってもよい。前記紫外線は、200nm~450nm、具体的に、300nm~380nm波長範囲内の紫外線であってもよい。前記フォトクロミック層の透過度を変化させるためには、適正強度の紫外線の照射が必要であり得る。前記紫外線の強度は、例えば、1mJ/cm2~200mJ/cm2範囲内であってもよく、具体的に、10mJ/cm2以上、30mJ/cm2以上、50mJ/cm2以上、70mJ/cm2以上、90mJ/cm2以上、110mJ/cm2以上、130mJ/cm2以上又は150mJ/cm2以上であってもよく、200mJ/cm2以下であってもよい。
【0012】
フォトクロミック層は、フォトクロミック物質を含むことができる。フォトクロミック物質は、特定波長の光に露出されると、化合物質の結合状態が変わって吸収スペクトラム乃至透過スペクトラムが異なる異性質体が生成されて物質の色が変化できる。フォトクロミック現象は、電磁気放射の吸収による二つの形態の間の化学種の可逆変換である。フォトクロミック物質は、特定波長範囲の光を吸収して化学変化が発生して吸収乃至透過スペクトラムが変化する。前記フォトクロミック物質によって吸収乃至透過スペクトラムの変化は相違し得るが、主に300nm~800nm範囲内の波長で、光の照射(光吸収)前後の透過度乃至吸光度が変化する。
【0013】
一つの例示で、前記フォトクロミック層は、式1を満足することができる。フォトクロミック層が式1を満足する場合、偏光度及び透過率の可変特性に優れた偏光素子を具現するにおいて有利であり得る。
【0014】
[式1]
【0015】
A-B≧50%
【0016】
式1で、Aは、△Tmax波長での紫外線の照射前のフォトクロミック層の透過度(%)であり、Bは、△Tmax波長での紫外線の照射後のフォトクロミック層の透過度(%)であり、△Tmax波長は、紫外線の非照射状態と照射状態でのフォトクロミック層の透過度差が最大である地点の波長を意味する。
【0017】
A-B値は、具体的に、55%以上又は60%以上であってもよく、A-B値の上限は、特に制限されないが、例えば、100%以下又は99%以下であってもよい。
【0018】
△Tmax波長は、フォトクロミック物質によって変わることができるが、例えば、△Tmax波長は、300nm~800nm、380nm~780nm範囲、400nm~700nm、500nm~600nm範囲内であってもよい。
【0019】
フォトクロミック物質は、有機染料分子を含むことができる。フォトクロミック物質は、例えば、スピロピラン(spiropyran)化合物、スピロキサジン(spiroxazine)化合物、フルギド(fulgide)化合物、クロメン(chromene)化合物、ナフトピラン(naphthopyran)化合物、ビスイミダゾル(bis imidazole)化合物、アゾベンゼン(azobenzenes)化合物、トリアリールメタン(triarylmethanes)化合物、スチルベン(stilbenes)化合物、アザスチルベン(azastilbenes)化合物、ニトロン(nitrones)化合物、キノン(quinones)化合物及びジアリールエテン(diarylethenes)化合物からなる群より選択される1種の化合物又は2種以上の化合物の混合物を含むことができる。フォトクロミック物質としては、所望する着色又は変色によって前記化合物を適切に選択して用いることができる。
【0020】
前記偏光可変素子は、前記フォトクロミック層の一面に配置された基板をさらに含むことができる。前記基板は、フォトクロミック層のゲストホスト液晶層に向く反対面に配置され得る。前記基板の厚さは、例えば、0.3T~1.0T範囲内であってもよい。前記偏光可変素子は、前記フォトクロミック層の他の一面に配置された基材層をさらに含むことができる。前記フォトクロミック層の他の一面は、フォトクロミック層の基板が配置された面の反対面を意味することができる。
【0021】
一つの例示で、前記フォトクロミック層は、前記基板の一面に直接コーティングされて形成され得る。この場合、前記フォトクロミック層は、前記基板の一面に接することができる(構造1)。
図2は、構造1の偏光素子を例示的に示す。フォトクロミック層100は、基板101の一面に直接形成されている。第1電極フィルム201と第2電極フィルム202の間にGHLC層200が配置されてGHLCセルを形成し、接着剤層300を媒介としてフォトクロミック層100と第1電極フィルム201が接合されていてもよい。後述するように、第1電極フィルムと第2電極フィルムのGHLC層に向く面には、それぞれ第1配向膜と第2配向膜が形成されていてもよい。
【0022】
他の一つの例示で、前記フォトクロミック層は、基材層の一面に直接コーティングされて形成された後に接着剤を媒介として前記基板に付着され得る。この場合、前記フォトクロミック層の一面は、前記基材層の一面に接し、他の一面は、前記接着剤の一面に接することができる(構造2)。
図3は、構造2の偏光素子を例示的に示す。フォトクロミック層100は、基材層102の一面に直接形成されており、接着剤層301を媒介として基板101とフォトクロミック層100は接合されていてもよい。第1電極フィルム201と第2電極フィルム202の間にGHLC層200が配置されてGHLCセルを形成し、接着剤層302を媒介として基材層102と第1電極フィルム201が接合されていてもよい。後述するように、第1電極フィルムと第2電極フィルムのGHLC層に向く面には、それぞれ第1配向膜と第2配向膜が形成されていてもよい。
【0023】
前記基材層乃至基板としては、TAC(triacetyl cellulose);ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer);PMMA(poly(methyl methacrylate);PC(polycarbonate);PE(polyethylene);PP(polypropylene);PVA(polyvinyl alcohol);DAC(diacetyl cellulose);Pac(Polyacrylate);PES(poly ether sulfone);PEEK(polyetheretherketon);PPS(polyphenylsulfone)、PEI(polyetherimide);PEN(polyethylenemaphthatlate);PET(polyethyleneterephtalate);PI(polyimide);PSF(polysulfone);PAR(polyarylate)又は非晶質フッ素樹脂などを含む基材層乃至基板を用いることができるが、これに制限されるものではない。
【0024】
構造2を有する偏光可変素子において、基板は、例えば、ポリカーボネートを含み、基材層は、例えば、TACを含むことができる。TAC基材層は、UV波長を遮断する機能を有することができる。構造2を有する偏光素子の場合、フォトクロミック層の変色に必要なUVはフォトクロミック層まで到逹でき、UVに脆弱な二色性染料(GHLC層に含む)には、TAC基材層によりUVが遮断されるので、耐久性の確保の側面で好ましい。
【0025】
本明細書で用語「GHLC層」は、液晶分子の配列によって異方性染料が一緒に配列され、異方性染料の整列方向と前記整列方向の垂直方向に対してそれぞれ非等方性の光吸収特性を示す機能性層を意味することができる。例えば、異方性染料は、光の吸収率が偏光方向によって変わる物質であって、長軸方向に偏光された光の吸収率が大きいと、p型染料と称し、短軸方向に偏光された光の吸収率が大きいと、n型染料と称することができる。一つの例示で、p型染料が用いられる場合、染料の長軸方向に振動する偏光は吸収され、染料の短軸方向に振動する偏光は吸収が少ないため透過させ得る。以下、特に言及のない限り、異方性染料は、p型染料であると仮定する。
【0026】
前記GHLC層は、能動型偏光子(Active Polarizer)として機能することができる。本明細書で用語「能動型偏光子(Active Polarizer)」は、外部作用の印加によって非等方性の光吸収を調節し得る機能性素子を意味することができる。例えば、GHLG層は、液晶分子及び異方性染料の配列を調節することによって前記異方性染料の配列方向と平行な方向の偏光及び垂直な方向の偏光に対する非等方性の光吸収を調節することができる。液晶分子及び異方性染料の配列は、磁場又は電場のような外部作用の印加により調節され得るので、GHLC層は、外部作用の印加によって非等方性の光吸収を調節することができる。
【0027】
前記液晶分子の種類及び物性は、本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。
【0028】
一つの例示で、前記液晶分子は、ネマチック(nematic)液晶又はスメクチック(smectic)液晶であってもよい。ネマチック液晶は、棒模様の液晶分子が位置に対する規則性はないが液晶分子の長軸方向に平行に配列されている液晶を意味することができ、スメクチック液晶は、棒模様の液晶分子が規則的に配列して階を成した構造を形成し、長軸方向に規則性を有して平行に配列されている液晶を意味することができる。本出願の一実施例によると、前記液晶分子としては、ネマチック液晶を用いることができる。
【0029】
一つの例示で、前記液晶分子は、非反応性液晶分子であってもよい。非反応性液晶分子は、重合性基を有しない液晶分子を意味することができる。前記重合性基としては、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ビニル基又はエポキシ基などが例示され得るが、これに制限されず、重合性基として知られている公知の官能基が含まれ得る。
【0030】
前記液晶分子の屈折率異方性は、目的物性、例えば、偏光度乃至透過度可変特性を考慮して適切に選択され得る。本明細書で用語「屈折率異方性」は、液晶分子の異常屈折率(extraordinary refractive index)と正常屈折率(ordinary refractive index)の差を意味することができる。前記液晶分子の屈折率異方性は、例えば、0.01~0.3であってもよい。前記屈折率異方性は、0.01以上、0.05以上又は0.07以上であってもよく、0.3以下、0.2以下、0.15以下又は0.13以下であってもよい。液晶分子の屈折率異方性が前記範囲内である場合、偏光度乃至透過度可変特性に優れた偏光素子を提供することができる。一つの例示で、前記範囲内で液晶分子の屈折率が低いほど透過度可変特性に優れた偏光素子を提供することができる。
【0031】
前記液晶分子の誘電率異方性は、目的とする液晶セルの駆動方式を考慮して正の誘電率異方性又は負の誘電率異方性を有することができる。本明細書で用語「誘電率異方性」は、液晶分子の異常誘電率(εe、extraordinary dielectric anisotropy、長軸方向の誘電率)と正常誘電率(εo、ordinary dielectric anisotropy、短軸方向の誘電率)の差を意味することができる。液晶分子の誘電率異方性は、例えば、±40以内、±30以内、±10以内、±7以内、±5以内又は±3以内の範囲内であってもよい。液晶分子の誘電率異方性を前記範囲に調節すれば光変調素子の駆動効率の側面で有利であり得る。
【0032】
前記異方性染料は、ゲスト物質としてGHLC層に含まれ得る。異方性染料は、例えば、ホスト物質(液晶分子)の配向によって偏光可変素子の透過率を制御する役目を行うことができる。本明細書で用語「染料」は、可視光領域、例えば、400nm~700nm波長範囲内で少なくとも一部又は全体範囲内の光を集中的に吸収及び/又は変形させ得る物質を意味することができ、用語「異方性染料」は、前記可視光領域の少なくとも一部又は全体範囲で光の異方性吸収が可能な物質を意味することができる。
【0033】
前記異方性染料としては、例えば、いわゆるホストゲスト(host guest)効果によって液晶分子の整列状態にしたがって整列され得る特性があると知られている公知の染料を選択して用いることができる。このような異方性染料の例としては、いわゆるアゾ染料、アントラキノン染料、メチン染料、アゾメチン染料、メロシアニン染料、ナフトキノン染料、テトラジン染料、フェニレン染料、クアテリレン染料、ベンゾチアジアゾール染料、ジケトピロロピロール染料、スクアレン染料又はピロメテン染料などがあるが、本出願で適用可能な染料は、上記に制限されるものではない。異方性染料としては、例えば、黒色染料(black dye)を用いることができる。このような染料としては、例えば、アゾ染料又はアントラキノン染料などで公知とされているが、これに制限されるものではない。
【0034】
前記異方性染料は、二色比(dichroic ratio)、すなわち異方性染料の長軸方向に平行な偏光の吸収を前記長軸方向に垂直な方向に平行な偏光の吸収で割り算した値が5以上、6以上又は7以上である染料を用いることができる。前記染料は、可視光領域の波長範囲内、例えば、約380nm~700nm又は約400nm~700nmの波長範囲内で少なくとも一部の波長又はいずれか一つの波長で前記二色比を満足することができる。前記二色比の上限は、例えば、20以下、18以下、16以下又は14以下程度であってもよい。
【0035】
前記GHLC層の異方性染料の含量は、本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、GHLC層の異方性染料の含量は、0.1重量%以上、0.25重量%以上、0.5重量%以上、0.75重量%以上、1重量%以上、1.25重量%以上又は1.5重量%以上であってもよい。GHLC層の異方性染料の含量の上限は、例えば、5.0重量%以下、4.0重量%以下、3.0重量%以下、2.75重量%以下、2.5重量%以下、2.25重量%以下、2.0重量%以下、1.75重量%以下又は1.5重量%以下であってもよい。GHLC層の異方性染料の含量が前記範囲を満足する場合、透過度乃至偏光度可変特性に優れた偏光可変素子を提供することができる。
【0036】
前記GHLC層内で前記液晶分子と前記異方性染料の合計重量は、例えば、約60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上又は95重量%以上であってもよく、他の例示では、約100重量%未満、98重量%以下又は96重量%以下であってもよい。
【0037】
前記GHLC層は、電圧の印加有無によって配向状態をスイッチングすることができる。前記GHLC層は、電圧の印加によって水平配向状態と垂直配向状態の間をスイッチングすることができる。前記電圧は、GHLC層に垂直する方向に印加され得る。一つの例示で、前記GHLC層は、電圧の非印加時に垂直配向状態で存在することができ、電圧の印加時に水平配向状態で存在することができる。このような液晶セルをVA(Vertical Alignment)モード液晶セルと呼称できる。他の一つの例示で、前記GHLC層は、電圧の非印加時に水平配向状態で存在することができ、電圧の印加時に垂直配向状態で存在することができる。このような液晶セルをECB(Electrically controlled birefringence)モード液晶セルと呼称できる。
液晶及び異方性染料は、偏光状態で水平配向された状態で存在する。また、液晶及び異方性染料は、非偏光状態で垂直配向された状態で存在する。
【0038】
前記垂直配向のGHLC層内で液晶分子は、光軸が液晶層の平面に対して垂直に配列された状態で存在することができる。例えば、前記液晶分子の光軸は、GHLC層の平面に対して約70度~90度、75度~90度、80度~90度又は85度~90度、好ましくは、90度の角度を成すことができる。前記垂直配向のGHLC層内で液晶分子の光軸は、互いに平行であってもよく、例えば、0度~10度、0度~5度、好ましくは、0度の角度を成すことができる。
【0039】
前記水平配向のGHLC層内で液晶分子は、光軸が液晶層の平面に対して水平に配列された状態で存在することができる。例えば、前記液晶分子の光軸は、GHLC層の平面に対して約0度~20度、0度~15度、0度~10度又は0度~5度、好ましくは、0度の角度を成すことができる。前記水平配向のGHLC層内で液晶分子の光軸は、互いに平行であってもよく、例えば、0度~10度、0度~5度、好ましくは、0度の角度を成すことができる。
【0040】
前記GHLC層の厚さは、それぞれ本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。前記GHLC層の厚さは、例えば、約0.01μm以上、0.1μm以上、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上又は10μm以上であってもよい。前記GHLC層の厚さの上限は、例えば、約30μm以下、25μm以下、20μm以下又は15μm以下であってもよい。GHLC層の厚さが前記範囲を満足する場合、透過度乃至偏光度可変特性に優れた偏光可変素子を提供することができる。
【0041】
前記偏光可変素子は、GHLC層の両面に第1配向膜及び第2配向膜を含むことができる。前記第1配向膜及び/又は第2配向膜は、垂直配向膜又水平配向膜であってもよい。
【0042】
一つの例示で、GHLCセルがVAモードで駆動する場合、第1配向膜と第2配向膜は、それぞれ垂直配向膜であってもよい。他の一つの例示で、GHLCセルがECBモードで駆動する場合、第1配向膜と第2配向膜は、それぞれ水平配向膜であってもよい。
【0043】
前記偏光可変素子は、電圧の印加有無によってGHLC層の配向状態を調節することで透過度乃至偏光度を調節することができる。GHLC層の配向状態は、配向膜のプレチルトにより調節できる。
【0044】
本明細書でプレチルトは、角度(angle)と方向(direction)を有することができる。前記プレチルト角度は、極角(Polar angle)と呼称してもよく、前記プレチルト方向は、方位角(Azimuthal angle)と呼称してもよい。
【0045】
前記プレチルト角度は、液晶分子の光軸が配向膜と水平な面に対して成す角度を意味することができる。一つの例示で、垂直配向膜は、プレチルト角度が約70度~90度、75度~90度、80度~90度又は85度~90度であってもよい。一つの例示で、水平配向膜のプレチルト角度は、約0度~20度、0度~15度、0度~10度又は0度~5度であってもよい。
【0046】
前記プレチルト方向は、液晶分子の光軸が配向膜の水平な面に射影された方向を意味することができる。前記プレチルト方向は、前記射影された方向とGHLC層の横軸(WA)が成す角度であってもよい。本明細書で前記GHLC層の横軸(WA)は、GHLC層の長軸方向と平行な方向又は偏光可変素子がアイウェア又はTVなどのディスプレイ装置に適用されたときにそのアイウェアを着用した観察者又はディスプレイ装置を観察する観察者の両眼を連結する線と平行な方向を意味することができる。
【0047】
前記第1配向膜と第2配向膜のプレチルト方向は、GHLC層の配向を考慮して適切に調節され得る。一つの例示で、電圧の非印加時の垂直又は水平配向のために第1配向膜と第2配向膜のプレチルト方向は、互いに平行であってもよい。第1配向膜と第2配向膜のプレチルト方向が互いに平行である場合、第1配向膜と第2配向膜のプレチルト方向は、互いに逆平行(anti-parallel)であってもよいが、例えば、互いに170度~190度、175度~185度、好ましくは、180度を成すことができる。
【0048】
前記配向膜としては、隣接する液晶層に対して配向能を有するものであれば、特に制限なしに選択して用いることができる。前記配向膜としては、例えば、ラビング配向膜のように接触式配向膜又は光配向膜化合物を含み、例えば、直線偏光の照射などのような非接触式方式によって配向特性を示し得るもので公知となっている光配向膜を用いることができる。
【0049】
ラビング配向膜又は光配向膜のプレチルト方向及び角度を調節することは公知となっている。ラビング配向膜の場合、プレチルト方向は、ラビング方向と平行であり得、プレチルト角度は、ラビング条件、例えば、ラビング時の圧力条件、ラビング強度などを制御して達成できる。光配向膜の場合、プレチルト方向は、照射される偏光の方向などによって調節され得、プレチルト角度は、光の照射角度、光の照射強度などによって調節され得る。
【0050】
一つの例示で、前記第1及び第2配向膜は、それぞれラビング配向膜であってもよい。第1配向膜と第2配向膜の配向軸が成す角度は、10度以下であってもよい。前記第1及び第2配向膜のラビング方向が互いに平行となるように配置される場合、前記第1及び第2配向膜のラビング方向は、互いに逆平行(anti-parallel)であってもよいが、例えば、互いに170度~190度、175度~185度、好ましくは、180度を成すことができる。前記ラビング方向は、プレチルト角の測定を通じて確認できるが、一般的に、液晶は、ラビング方向に沿って横になりながらプレチルト角を発生させるので、プレチルト角を測定することで前記ラビング方向の測定が可能となり得る。
【0051】
前記偏光可変素子は、GHLC層の両面に第1電極フィルム及び第2電極フィルムをさらに含むことができる。偏光可変素子がGHLC層の両面に第1配向膜と第2配向膜を含む場合、第1電極フィルム及び第2電極フィルムは、第1配向膜と第2配向膜の外側に存在し得る。
【0052】
第1及び第2電極フィルムは、それぞれ基材層及び前記基材層上に電極層を含むことができる。
【0053】
前記基材層としては、特に制限なしに公知の素材を用いることができる。例えば、ガラス基材、シリコン基材又はプラスチックフィルム基材を用いることができる。前記基材は、光学的に等方性基材であるか又は位相差値を有する光学的に異方性である基材であってもよい。基材層には、必要に応じて、金、銀、二酸化ケイ素又は一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などのコーティング層が存在してもよい。
【0054】
前記プラスチックフィルム基材としては、TAC(triacetyl cellulose);ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer);PMMA(poly(methyl methacrylate);PC(polycarbonate);PE(polyethylene);PP(polypropylene);PVA(polyvinyl alcohol);DAC(diacetyl cellulose);Pac(Polyacrylate);PES(poly ether sulfone);PEEK(polyetheretherketon);PPS(polyphenylsulfone)、PEI(polyetherimide);PEN(polyethylenemaphthatlate);PET(polyethyleneterephtalate);PI(polyimide);PSF(polysulfone);PAR(polyarylate)又は非晶質フッ素樹脂などを含むフィルム基材を用いることができるが、これに制限されるものではない。
【0055】
前記電極層は、GHLC層内の液晶分子の整列状態を転換し得るようにGHLC層に電界を印加することができる。電極層は、例えば、伝導性高分子、伝導性金属、伝導性ナノワイヤ又はITO(Indium Tin Oxide)などの金属酸化物などを蒸着して形成することができる。電極層は、透明性を有するように形成され得る。この分野では、透明電極層を形成し得る多様な素材及び形成方法が公知となっており、このような方法は全て適用され得る。必要な場合に、基板の表面に形成される電極層は、適切にパターン化されていてもよい。
【0056】
前記偏光可変素子は、反射防止層をさらに含むことができる。前記反射防止層は、GHLC層の一面に配置され得、例えば、GHLC層のフォトクロミック層が配置された面の反対面に反射防止層が配置され得る。反射防止層は、接着剤を媒介としてGHLC層に付着されていてもよい。GHLC層の両面に第1電極フィルムと第2電極フィルムが配置される場合には、反射防止層は、接着剤を媒介として前記第2電極フィルムに付着されていてもよい。
【0057】
反射防止層としては、本出願の目的を考慮して公知の反射防止層を用いることができ、例えば、アクリレート層を用いることができる。反射防止層の厚さは、例えば、200nm以下又は100nm以下であってもよい。
【0058】
前記偏光可変素子は、優れた偏光可変特性を有することができる。野外活動時に路面、水面などによる反射光は、偏光成分を有しているので、本出願の偏光可変素子は、野外活動時の偏光源の遮断時に効果的であり得る。
【0059】
前記偏光可変素子は、45%~95%範囲、55%~95%範囲、65%~95%範囲、75%~95%範囲又は85%~95%範囲内の偏光度を有する偏光状態と0%~10%の偏光度を有する非偏光状態の間をスイッチングすることができる。前記非偏光状態の偏光度の下限は、例えば、0%超過であってもよく、上限は、例えば、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下又は5%以下であってもよい。
【0060】
偏光可変素子が偏光状態である場合に、前記フォトクロミック層には、光が照射された状態であってもよく、前記GHLC層は、水平配向状態であってもよい。前記フォトクロミック層は、偏光状態で透過率が60%以下であってもよい。前記フォトクロミック層は、偏光状態で透過率の下限は、0%超過、1%以上又は10%以上であってもよい。
【0061】
偏光可変素子が非偏光状態である場合に、前記フォトクロミック層には、光が照射されない状態であってもよく、前記GHLC層は、垂直配向状態であってもよい。前記フォトクロミック層は、非偏光状態で透過率が80%以上であってもよい。前記フォトクロミック層は、非偏光状態で透過率の上限は、100%以下又は100%未満であってもよい。
【0062】
前記偏光可変素子は、偏光状態と非偏光状態で透過率可変特性も優秀であり得る。前記偏光可変素子は、偏光状態で透過率が15%以下又は10%以下であってもよい。前記偏光可変素子は、非偏光状態で透過率が35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上又は60%以上であってもよい。
【0063】
前記偏光可変素子は、フォトクロミック層とGHLC層のハイブリッド構造を通じて前記のように偏光度及び透過率可変特性が優秀であり得る。
【0064】
前記偏光可変素子は、偏光状態と非偏光状態でそれぞれヘイズが10%以下、8%以下、6%以下又は4%以下であってもよい。したがって、前記偏光可変素子は、透明状態で偏光度と透過率を変化させることができる。また、フォトクロミック層とGHLC層も偏光状態と非偏光状態でそれぞれヘイズが前記範囲内であってもよい。
【0065】
前記偏光可変素子は、透過度可変特性が要求される多様な建築用又は車両用素材や、増強現実体験用又はスポーツ用ゴーグル、サングラス又はヘルメットなどのアイウェア(eyewear)を含む多様な用途に適用され得る。
【発明の効果】
【0066】
本出願の偏光可変素子は、応答速度がはやく、偏光度及び透過率の可変特性に優れる。このような偏光可変素子は、透過度可変特性が要求される多様な建築用又は車両用素材や、増強現実体験用又はスポーツ用ゴーグル、サングラス又はヘルメットなどのアイウェア(eyewear)を含む多様な用途に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】本出願の偏光可変素子の構造を例示的に示す。
【0068】
【
図2】本出願の偏光可変素子の構造を例示的に示す。
【0069】
【
図3】本出願の偏光可変素子の構造を例示的に示す。
【0070】
【
図4】フォトクロミック層の透過度スペクトラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下、本出願による実施例及び本出願によらない比較例を通じて本出願をより詳しく説明するが、本出願の範囲は、下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【0072】
<測定例1.透過率及びヘイズの測定>
【0073】
ヘイズ及び透過率は、ヘイズメータ(NDH-5000SP)を用い、ASTM D1003規格によって測定した。具体的に、光を測定対象に透過させて積分球内に入射させ、この過程で、光は、測定対象により拡散光(DT、拡散されて出光された全ての光の和を意味)と平行光(PT、拡散光を排除した正面方向の出光を意味)に分離されるが、この光は、積分球内で受光素子に集光され、集光される光を通じてヘイズの測定が可能である。前記過程による全体透過光(TT)は、前記拡散光(DT)と平行光(PT)の総合(DT+PT)であり、ヘイズは、前記全体透過光に対する拡散光の百分率(Haze(%)=100XDT/TT)で規定され得る。下記試験例で透過率は、前記全体透過光(TT)を意味する。
【0074】
<測定例2.偏光度の測定>
【0075】
紫外可視光線分光計(V-7100、JASCO社)を用いて550nm波長に対する偏光度を測定した。偏光度(P)は、下記数式Aによって計算される数値である。
【0076】
[数A]
【0077】
偏光度(P)(%)={(Tp-Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
【0078】
数式Aで、Tpは、偏光素子の最大透過率であり、Tcは、偏光素子の最小透過率である。数式Aで、最大透過率(Tp)は、2枚の偏光素子を重複させた状態で前記各偏光素子の光吸収軸が0度から360度の範囲の角度を成すように重複状態を角度別にスキャンしながら透過率を測定した時に最大値を示す時点での透過率であり、最小透過率(Tc)は、最小値を示す時点での透過率である。上記言及した透過率(Tc、Tp)は、約550nmの光に対して測定した数値である。
【0079】
<実施例1.偏光可変素子(A)>
【0080】
VAモードGHLCセル(A)
【0081】
PC(polycarbonate polymer)フィルム上にITO(Indium Tin Oxide)層が形成されたフィルム基材(Tejin社製)を準備した。前記フィルム基材のITO層の面に垂直配向膜(SE-5661、Nissan社製)をバーコティングでコーティングした後、120℃の温度で1時間の間塑性し、300nm厚さの配向膜を得た。前記配向膜をラビング布を用いて一方向にラビング処理して第1基板を準備した。
【0082】
第1基板と同一なフィルムのITO層上に、高さが9μmであり、直径が15μmであるコラムスペーサを250μm間隔で配置した。次に、第1基板と同一に垂直配向膜を形成した後、ラビング布を用いて一方向にラビング処理して第2基板を準備した。
【0083】
GHLC組成物としては、屈折率異方性(△n)が0.13であり、負の誘電率異方性を有する液晶と異方性染料を含む組成物(MAT-16-568、Merck)を用いた。
【0084】
第2基板の配向膜の表面上の縁にシーラントをシールディスペンサー(seal dispenser)で描いた。第2基板の配向膜上に前記GHLC組成物を塗布した後、第1基板をラミネーションして液晶セルを製造した。このとき、第1基板の配向膜のラビング方向と第2基板の配向膜のラビング方向は、逆平行(anti-parallel)となるようにラミネーションした。製造された液晶セルは、セルギャップが9μmであるVAモード液晶セルである。前記VAモード液晶セルの第2基板の一面にOCA(LGC、V310)を媒介として反射防止層を付着した。
【0085】
フォトクロミック層
【0086】
厚さ0.8TのPC Plateにフォトクロミック物質の層がコーティングされた製品(ORDINAのメガネレンズ部、OGK社製)を準備した。
図4は、前記フォトクロミック層の透過度スペクトラムを示す。
図4に示したように、フォトクロミック層は、UVが照射されない場合、可視光領域で高い透過率を示し、UVが照射される場合、所定波長領域で透過度が低くなる。
【0087】
前記VAモードGHLCセル(A)と前記フォトクロミック層をOCA(LGC、V310)接着剤を媒介として付着した。このとき、フォトクロミック層とVAモードGHLCセル(A)の第1電極フィルムが互いに接するように付着した。
【0088】
<実施例2.偏光可変素子(B)>
【0089】
セルギャップを15μmに変更したこと以外は、実施例1のVAモードGHLCセル(A)と同一の方法でVAモードGHLCセル(B)を製造した。前記VAモードGHLCセル(B)と実施例1で用いられたフォトクロミック層をOCA(LGC、V310)接着剤を媒介として付着した。このとき、フォトクロミック層とVAモードGHLCセル(B)の第1電極フィルムが互いに接するように付着した。
【0090】
<実施例3.偏光可変素子(C)>
【0091】
セルギャップを15μmに変更し、GHLC組成物として、液晶(LC_ZGS8017、JNC)及び異方性染料(X12、BASF)1wt%を含む組成物を用いたこと以外は、実施例1のVAモードGHLCセル(A)と同一の方法でVAモードGHLCセル(C)を製造した。前記VAモードGHLCセル(C)と実施例1で用いられたフォトクロミック層をOCA(LGC、V310)接着剤を媒介として付着した。このとき、フォトクロミック層とVAモードGHLCセル(C)の第1電極フィルムが互いに接するように付着した。
【0092】
<実施例4.偏光可変素子(D)>
【0093】
ECBモードGHLCセル(D)
【0094】
PC(polycarbonate polymer)フィルム上にITO(Indium Tin Oxide)層が形成されたフィルム基材(Tejin社製)を準備した。前記フィルム基材のITO層の面に水平配向膜(SE-7492、Nissan社製)をバーコティングでコーティングした後、120℃の温度で1時間の間塑性し、300nm厚さの配向膜を得た。前記配向膜をラビング布を用いて一方向にラビング処理して第1基板を準備した。
【0095】
第1基板と同一なフィルムのITO層上に、高さが9μmであり、直径が15μmであるコラムスペーサを250μm間隔で配置した。次に、第1基板と同一に水平配向膜を形成した後、ラビング布を用いて一方向にラビング処理して第2基板を準備した。
【0096】
GHLC組成物としては、液晶(HPC2180、HCCH)及び異方性染料(X12、BASF)1wt%を含む組成物を用いた。
【0097】
第2基板の配向膜の表面上の縁にシーラントをシールディスペンサー(seal dispenser)で描いた。第2基板の配向膜上に前記GHLC組成物を塗布した後、第1基板をラミネーションして液晶セルを製造した。このとき、第1基板の配向膜のラビング方向と第2基板の配向膜のラビング方向は、逆平行(anti-parallel)となるようにラミネーションした。製造された液晶セルは、セルギャップが9μmであるECBモード液晶セルである。前記ECBモード液晶セルの第2基板の一面にOCA(LGC、V310)を媒介として反射防止層を付着した。
【0098】
前記ECBモードGHLCセル(D)と実施例1で用いられたフォトクロミック層をOCA(LGC、V310)接着剤を媒介として付着した。このとき、フォトクロミック層とECBモードGHLCセル(D)の第1電極フィルムが互いに接するように付着した。
【0099】
<比較例1.VAモードGHLCセル(A)>
【0100】
実施例1で製造されたVAモードGHLCセル(A)を比較例1で準備した。
【0101】
<比較例2.VAモードGHLCセル(B)>
【0102】
実施例2で製造されたVAモードGHLCセル(B)を比較例2で準備した。
【0103】
<比較例3.VAモードGHLCセル(C)>
【0104】
実施例3で製造されたVAモードGHLCセル(C)を比較例3で準備した。
【0105】
<比較例4.ECBモードGHLCセル(D)>
【0106】
実施例4で製造されたECBモードGHLCセル(D)を比較例4で準備した。
【0107】
<比較例5.STNモードGHLCセル(E)>
【0108】
PC(polycarbonate polymer)フィルム上にITO(Indium Tin Oxide)層が形成されたフィルム基材(Tejin社製)を準備した。前記フィルム基材のITO層の面に水平配向膜(SE-7492、Nissan社製)をバーコティングでコーティングした後、120℃の温度で1時間の間塑性し、300nm厚さの配向膜を得た。前記配向膜をラビング布を用いて一方向にラビング処理して第1基板を準備した。
【0109】
第1基板と同一なフィルムのITO層上に、高さが6μmであり、直径が15μmであるコラムスペーサを250μm間隔で配置した。次に、第1基板と同一に水平配向膜を形成した後、ラビング布を用いて一方向にラビング処理して第2基板を準備した。
【0110】
GHLC組成物として、屈折率異方性(△n)が0.1であり、正の誘電率異方性を有する液晶(MDA-17-595、Merck)及び異方性染料(Merck)を含むGHLC組成物にキラルドーパント(S811、Merck)を0.519重量%で添加した液晶組成物を用いた。
【0111】
第2基板の配向膜の表面上の縁にシーラントをシールディスペンサー(seal dispenser)で描いた。第2基板の配向膜上に前記GHLC組成物を塗布した後、第1基板をラミネーションして液晶セルを製造した。このとき、第1基板の配向膜のラビング方向と第2基板の配向膜のラビング方向は、逆平行(anti-parallel)となるようにラミネーションした。製造された液晶セルは、セルギャップが6μmである360度STNモード液晶セルである。前記STNモード液晶セルの第2基板の一面にOCA(LGC、V310)を媒介として反射防止層を付着した。
【0112】
<比較例6.フォトクロミック層>
【0113】
実施例1で用いたフォトクロミック層を比較例6で準備した。
【0114】
<比較例7.偏光可変素子(E)>
【0115】
比較例5のSTNモードGHLCセル(E)と実施例1で用いたフォトクロミック層をOCA(LGC、V310)接着剤を媒介として付着した。このとき、フォトクロミック層とSTNモードGHLCセル(E)の第1電極フィルムが互いに接するように付着した。
【0116】
<評価例1.電気光学特性の評価>
【0117】
比較例1~7及び実施例1~4に対して電気光学特性を評価し、その結果を下記表1~表5に記載した。
【0118】
比較例1~5のGHLCセルに対しては、電圧の印加による透過率、ヘイズ及び偏光度を測定した。具体的に、第1及び第2のITO層にAC電源を連結して駆動させながら電圧の印加有無による透過率、ヘイズ及び偏光度を測定し、その結果を下記表1~表5に記載した。
【0119】
比較例6のフォトクロミック素子に対しては、UVA(300~380nm波長)の照射エネルギーによる透過率及びヘイズを測定し、その結果を下記表6に記載した。
【0120】
比較例7及び実施例1~4の偏光可変素子に対しては、GHLCセルに電圧を印加することによって、フォトクロミック層には、150mJ/cm2のUVAの照射によって、透過率、ヘイズ及び偏光度を測定し、その結果を下記表7~表11に記載した。
【0121】
透過率及びヘイズは、ヘイズメータ(NDH5000SP、セコス社製)を用いて測定した。前記透過率及びヘイズは、380nm~780nm波長の光に対する平均透過率である。
【0122】
下記表1~5及び7~11で応答時間(Response Time)は、photo diodeを通じて計測し、Normallizeして透過率10%から90%に該当する転移区間の時間を換算して計測する。
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【符号の説明】
【0134】
101:基板
【0135】
100:フォトクロミック層
【0136】
102:基材層
【0137】
300、301、302:接着剤層
【0138】
200:GHLC層
【0139】
201:第1電極フィルム
【0140】
202:第2電極フィルム