(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】心不全患者の心機能回復可能性の評価方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/68 20180101AFI20240402BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
C12Q1/68
G01N33/53 M
(21)【出願番号】P 2020561530
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 JP2019049960
(87)【国際公開番号】W WO2020130111
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-05
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、革新的先端研究開発支援事業ユニットタイプ「メカノバイオロジー機構の解明による革新的医療機器及び医療技術の創出」研究開発領域(研究開発課題名「心筋メカノバイオロジー機構の解明による心不全治療の開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【氏名又は名称】横田 修孝
(74)【代理人】
【識別番号】100155631
【氏名又は名称】榎 保孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137497
【氏名又は名称】大森 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100207907
【氏名又は名称】赤羽 桃子
(74)【代理人】
【識別番号】100217294
【氏名又は名称】内山 尚和
(72)【発明者】
【氏名】野村 征太郎
(72)【発明者】
【氏名】候 聡志
(72)【発明者】
【氏名】小室 一成
(72)【発明者】
【氏名】油谷 浩幸
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0310532(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0088482(US,A1)
【文献】JESSBERGER Rolf,Cohesin’s dual role in the DNA damage response: repair and checkpoint activation,EMBO J,2009年,vol.28,p.2491-2493
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q
C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心筋細胞のDNA損傷の程度を測定する工程を含んでなる、心不全患者の心機能回復可能性の評価方法
であって、心筋細胞におけるDNA損傷マーカーの存在が、心機能回復可能性が低いことを示すものであり、かつ、前記DNA損傷マーカーがポリ(ADP-リボース)(PAR)および/またはγ-H2A.Xである、評価方法。
【請求項2】
心筋細胞のDNA損傷の程度が心不全患者の心機能回復可能性と相関する、請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
DNA損傷の程度をDNA損傷マーカーに基づいて測定する、請求項1または2に記載の評価方法。
【請求項4】
DNA損傷の程度が、心筋細胞におけるDNA損傷マーカー陽性核数の総核数に対する割合で示される、請求項3に記載の評価方法。
【請求項5】
DNA損傷マーカーを免疫学的分析により検出する、請求項3または4に記載の評価方法。
【請求項6】
心不全患者の心筋生検検体を用いてDNA損傷の程度を測定する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項7】
心不全患者が心筋症患者である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項8】
心筋症患者が拡張型心筋症患者である、請求項
7に記載の評価方法。
【請求項9】
心不全患者の治療方針決定に用いるための、請求項1~
8のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項10】
心不全患者から非薬物治療が必要な患者を特定する方法であって、心不全患者における心筋細胞のDNA損傷の程度を測定する工程を含んでな
り、心筋細胞におけるDNA損傷マーカーの存在が、心機能回復可能性が低いことを示すものであり、かつ、前記DNA損傷マーカーがポリ(ADP-リボース)(PAR)および/またはγ-H2A.Xである、方法。
【請求項11】
非薬物治療が外科的治療または再生医療である、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
外科的治療が心臓移植、補助人工心臓の植込み手術またはデバイス治療である、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
心不全患者から薬物治療により良好な効果があると予測される患者を特定する方法であって、心不全患者における心筋細胞のDNA損傷の程度を測定する工程を含んでな
り、心筋細胞におけるDNA損傷マーカーの存在が、心機能回復可能性が低いことを示すものであり、かつ、前記DNA損傷マーカーがポリ(ADP-リボース)(PAR)および/またはγ-H2A.Xである
、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本願は、先行する米国特願62/781,927(出願日:2018年12月19日)の優先権の利益を享受するものであり、その開示内容全体は引用することにより本明細書の一部とされる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、心筋細胞のDNA損傷の程度を指標とする心不全患者の心機能回復可能性の評価方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心不全は世界中で推定3千8百万人の患者が罹患しており、過去数十年にわたって心血管療法が進歩しているにもかかわらず、罹患率および死亡率の主な原因である。心不全の病因として、拡張型心筋症(DCM)は一般的なものである。DCMは、左室拡大と収縮機能障害によって診断されるが、圧負荷や冠動脈疾患といった心筋機能障害は伴っていない。β遮断薬やレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害剤、心臓再同期療法などの一般的な治療は、DCM患者の一部において左室容積の減少および収縮機能の改善を特徴とする左室リバースリモデリング(LVRR)を導くが、多くのDCMの臨床試験では左室駆出率(LVEF)の増加と左室拡張末期容積および左室収縮末期容積の減少とともに死亡率が減少することが報告されている(非特許文献1~3)。
【0004】
LVRRはDCM患者の約40%でのみ生じるため、治療方針を決定するにあたっては、LVRRの可能性を有する患者を早い段階で特定することが重要となる(非特許文献1および2)。これまでにも、DCM患者のLVRR予測因子を同定する試みが数多くなされており、例えば、血行動態パラメーター(血圧など)や心エコー検査によるパラメーター(左室拡張末期径など)、心臓磁気共鳴のガドリニウム後期増強によって評価される間質性線維症がLVRRの有用な予測因子として報告されている(非特許文献4~6)。しかしながら、血圧測定や心エコー検査などの一般的な検査はLVRRの強力な予測因子ではなく、心臓磁気共鳴による後期ガドリニウム増強評価は偽陽性の問題を抱えており腎機能障害の患者では実施することができない。したがって、DCM患者の心機能回復を予測する精度の高い方法を未だ欠いている状況にある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Merlo M et al, J Am Coll Cardiol 2011;57:1468-76.
【文献】Matsumura Y et al, Am J Cardiol 2013;111:106-10.
【文献】Merlo M et al, J Am Heart Assoc 2015;4:e001504.
【文献】McNamara DM et al, J Am Coll Cardiol 2011;58:1112-8.
【文献】Kubanek M et al, J Am Coll Cardiol 2013;61:54-63.
【文献】Broch K et al, Am J Cardiol 2015;116:952-9.
【発明の概要】
【0006】
本発明は、心不全患者の心機能回復可能性の評価方法の提供を目的とする。本発明はまた、心不全患者から非薬物治療が必要な患者を特定する方法と、心不全患者から薬物治療により良好な効果があると予測される患者を特定する方法と、心不全患者の治療方法の提供を目的とする。
【0007】
本発明者らは、心筋細胞のDNA損傷に着目して鋭意研究を進めていたところ、心不全患者のうち心機能回復に至らなかった患者の生検検体では心筋細胞のDNA損傷の程度が心機能を回復した患者に対して有意に高いことを見出した。本発明者らはまた、心筋細胞のDNA損傷の程度を指標として心不全患者の心機能回復可能性を評価できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0008】
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]心筋細胞のDNA損傷の程度を測定する工程を含んでなる、心不全患者の心機能回復可能性の評価方法。
[2]心筋細胞のDNA損傷の程度が心不全患者の心機能回復可能性と相関する、上記[1]に記載の評価方法。
[3]DNA損傷の程度をDNA損傷マーカーに基づいて測定する、上記[1]または[2]に記載の評価方法。
[4]DNA損傷の程度が、心筋細胞におけるDNA損傷マーカー陽性核数の総核数に対する割合で示される、上記[3]に記載の評価方法。
[5]DNA損傷マーカーを免疫学的分析により検出する、上記[3]または[4]に記載の評価方法。
[6]心筋細胞におけるDNA損傷マーカーの存在が、心機能回復可能性が低いことを示す、上記[3]~[5]のいずれかに記載の評価方法。
[7]心不全患者の心筋生検検体を用いてDNA損傷の程度を測定する、上記[1]~[6]のいずれかに記載の評価方法。
[8]心不全患者が心筋症患者である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の評価方法。
[9]心筋症患者が拡張型心筋症患者である、上記[8]に記載の評価方法。
[10]心不全患者の治療方針決定に用いるための、上記[1]~[9]のいずれかに記載の評価方法。
[11]心不全患者から非薬物治療が必要な患者を特定する方法であって、心不全患者における心筋細胞のDNA損傷の程度を測定する工程を含んでなる、前記方法。
[12]非薬物治療が外科的治療または再生医療である、請求項11に記載の方法。
[13]外科的治療が心臓移植、補助人工心臓の植込み手術またはデバイス治療である、請求項12に記載の方法。
[14]心不全患者から薬物治療により良好な効果があると予測される患者を特定する方法であって、心不全患者における心筋細胞のDNA損傷の程度を測定する工程を含んでなる方法。
[15]心不全患者の治療方法であって、上記[11]~[13]のいずれかに記載の方法を実施して心不全患者から非薬物治療が必要な患者を特定する工程と、該患者に対して非薬物治療を実施する工程とを含む、前記方法。
【0009】
本発明によれば、心不全患者の心筋細胞のDNA損傷の程度を測定することで、心不全患者の心機能回復可能性を評価することができる。これによって、心機能回復可能性が低いと評価された心不全患者に対して心臓移植や補助人工心臓の植込みなどの治療方針を早期に決定することができる点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、LVRR陽性患者またはLVRR陰性患者のPARまたはγ-H2A.Xで染色された核の蛍光強度の分布の例をそれぞれ示す。
【
図2】
図2は、LVRR陰性患者とLVRR陽性患者の生検検体におけるPAR染色の画像の例を示す。
図2A-DはPARによる染色の生画像を示し、
図2EおよびFはハイブリッド細胞数プログラムによる自動判定後の同じ画像を示す。小麦胚芽凝集素(WGA)は細胞膜を、4,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)は核をそれぞれ標識している。スケールバー=50μm。
【
図3】
図3は、LVRR陰性患者とLVRR陽性患者の生検検体におけるγ-H2A.X染色の画像の例を示す。
図3A-Dはγ-H2A.Xによる染色の生画像を示し、
図3EおよびFはハイブリッド細胞数プログラムによる自動判定後の同じ画像を示す。小麦胚芽凝集素(WGA)は細胞膜を、4,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)は核をそれぞれ標識している。スケールバー=50μm。
【
図4】
図4は、PARとγ-H2A.Xの免疫染色の画像およびPAR染色細胞の型を示す。
図4AはPARとγ-H2A.Xの二重染色の画像であり、矢印はPARとγ-H2A.Xの共染色を示す。
図4BはPARとビメンチン(線維芽細胞マーカー)の二重染色の画像であり、矢印はPAR陽性の線維芽細胞を示す。
図4CはPARとCD31(内皮細胞マーカー)の二重染色の画像を示す。スケールバー=10μm。
図4DはPAR陽性の心筋細胞と非心筋細胞の平均割合の比較を示す。
****はp<0.001を示す。
【
図5】
図5は、LVRR陰性群とLVRR陽性群のPAR陽性核およびγ-H2A.X陽性核の割合を比較したものを示す。
図5AはLVRR陰性群とLVRR陽性群の各検体のカウントされた核の数の比較を示す。
図5BおよびCは、LVRR陰性群とLVRR陽性群におけるPAR陽性核またはγ-H2A.X陽性核の割合を比較したものをそれぞれ示す。標準偏差を伴い、
****はp<0.001、n.s.は有意差なしをそれぞれ示す。
【
図6】
図6は、家族性と非家族性のDCM患者におけるLVRR陰性群とLVRR陽性群のPAR陽性核の割合を比較したものをそれぞれ示す。
【
図7】
図7は、DCM患者におけるLVRRの長期予後の影響について、LVRR陽性患者群とLVRR陰性患者群とを比較した、複合エンドポイント(死、補助人工心臓の植込みおよび心臓移植)に該当するイベントの発生に関するカプラン・マイヤー曲線をそれぞれ示す。
【
図8】
図8は、LVRR予測に対する%PAR核(左)と%γ-H2A.X核(右)の有用性を評価したROC曲線をそれぞれ示す。
【発明の具体的説明】
【0011】
本発明の評価方法の評価対象は心不全患者であり、好ましくは心筋症患者、より好ましくは拡張型心筋症患者である。ここで「心不全」は、なんらかの心臓機能障害、すなわち、心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群を意味する(急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版))。また、「心筋症」は心機能障害を伴う心筋疾患のうち、肥大型心筋症、拡張型心筋症、不整脈原性右室心筋症、拘束型心筋症に加えこれらの4つの基本病態には分類できない分類不能心筋症を意味し、「拡張型心筋症」は左室のびまん性収縮障害と左室拡大を特徴とする疾患群を意味する(心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版))。
【0012】
本発明における「心機能回復」とは、左室機能回復を意味し、左室リバースリモデリング(LVRR、Left Ventricular Reverse Remodeling)を含む意味で用いられるものとする。ここで、LVRRは、診療ガイドラインに則った適切な治療の開始の12か月後に左室駆出率が10%以上増加しかつ35%を超え、左室拡張末期径の10%以上の減少を伴うものとして定義される。
【0013】
本発明では、心不全患者のうち心機能が回復しない患者の心筋生検検体中の心筋細胞のDNA損傷の程度が、心機能が回復する患者に対して有意に高いことが確認された(例1および2)。このことは心筋細胞のDNA損傷の程度と心不全患者の心機能回復可能性との間の相関性(負の相関)を示している。すなわち本発明の評価方法では、参照値を超える(または参照値以上の)心筋細胞のDNA損傷の程度は心機能回復可能性が低いことを示し、参照値を下回る(または参照値以下の)心筋細胞のDNA損傷の程度は心機能回復可能性が高いことを示すと規定することができる。参照値は後述のようにあらかじめ定めておくことができる。
【0014】
本発明において「DNA損傷」は、核DNAに生じた一本鎖切断および/または二本鎖切断を意味する。DNA損傷の程度の測定は、DNA損傷の程度を定量できる方法であれば特に限定されない。DNA損傷の程度は、例えば、DNA損傷マーカーを検出することにより測定することができる。DNA損傷マーカーは公知であり、例えば、ポリ(ADP-リボース)(PAR)、γ-H2A.X、8-ヒドロキシ-2’-デオキシグアノシン(8-OHdG)を検出対象とすることができ、1種のみを検出しても、2種以上を組み合わせて検出してもよい。
【0015】
DNA損傷マーカーに基づいてDNA損傷の程度を測定する場合には、心筋細胞(特に心筋細胞の核)におけるDNA損傷マーカーの存在を指標にすることができる。すなわち、本発明の一態様において、心筋細胞(特に心筋細胞の核)におけるDNA損傷マーカーの存在は心不全患者の心機能回復可能性が低いことを示し、心筋細胞(特に心筋細胞の核)におけるDNA損傷マーカーの不存在は心不全患者の心機能回復可能性が高いことを示す。心筋細胞(特に心筋細胞の核)におけるDNA損傷マーカーの存在は定量化することができ、DNA損傷の程度も定量的に評価することが可能となる。例えば、後記実施例のように所定範囲内におけるDNA損傷マーカー陽性の心筋細胞(特に心筋細胞の核)の数に基づいて、あるいは、所定範囲内における全心筋細胞(特に全心筋細胞の核)の数に対するDNA損傷マーカー陽性の心筋細胞(特に心筋脂肪の核)の数の割合に基づいて、心筋細胞におけるDNA損傷マーカーの存在を定量化することができ、ひいては心筋細胞のDNA損傷の程度を定量化することができる。
【0016】
本発明の評価方法では、評価対象の心不全患者において測定したDNA損傷マーカー陽性の心筋細胞(特に心筋細胞の核)の数の全心筋細胞(特に全心筋細胞の核)の数に対する割合があらかじめ定めた参照値より大きい場合に(あるいは前記参照値以上である場合に)、心機能回復可能性が低いと評価または判断することができる。本発明の評価方法ではまた、評価対象の心不全患者において測定したDNA損傷マーカー陽性の心筋細胞(特に心筋細胞の核)の数の全心筋細胞(特に全心筋細胞の核)の数に対する割合があらかじめ定めた参照値より小さい場合に(あるいは前記参照値以下である場合に)、心機能回復可能性が高いと評価または判断することができる。すなわち本発明の評価方法は、評価対象の心筋細胞について測定したDNA損傷の程度をあらかじめ定めた参照値と比較する工程をさらに含んでもよい。ここで、前記参照値は、DNA損傷マーカーがPARである場合、例えば、5.47%とすることができ、DNA損傷マーカーがγ-H2A.Xである場合、例えば、6.3%とすることができる。
【0017】
本発明の評価方法において参照値は、心筋細胞のDNA損傷の程度をあらかじめ測定した心不全患者を心機能が回復した群(心機能回復群)と心機能が回復しなかった群(心機能非回復群)に層別化し、心機能回復群のDNA損傷の程度の平均値と、心機能非回復群のDNA損傷の程度の平均値をもとにして決定することができる。すなわち、本発明の評価方法では、前記参照値をあらかじめ準備する工程を含んでいてもよい。本発明の評価方法において参照値は、例えば、心機能非回復群のDNA損傷の程度の平均値とすることができる。
【0018】
DNA損傷マーカーに基づいてDNA損傷の程度を測定する方法としては、免疫学的分析によるDNA損傷マーカーの検出が挙げられる。このような手法としては、ELISA(例えば、直接法、間接法、サンドイッチ法、競合法)、ウエスタンブロット、免疫組織化学染色等のイムノアッセイなどが挙げられるが、例えば、後述の実施例で用いたDNA損傷マーカーを使用した免疫組織化学染色によりDNA損傷の程度を測定することができる。
【0019】
本発明の評価方法においてDNA損傷の程度の測定は、心不全患者の生検検体(特に心筋生検検体)に対して実施することができる。心不全患者の生検検体は、心臓のカテーテル検査時に生検鉗子を用いて右心室または左心室等から採取することができる。心不全患者の治療においては重篤度に応じて心臓のカテーテル検査が実施されることが通常であるところ、本発明の評価方法はこのカテーテル検査により採取可能な生検検体を用いることができるため、心不全患者に対して追加となる侵襲が不要である点で有利である。
【0020】
本発明の評価方法においては、前記DNA損傷の程度の測定に加えて、他の臨床変数の測定を組み合わせて実施することもできる。組み合わせる臨床変数としては、年齢、ボディマス指数(BMI)、収縮期血圧、心不全罹病期間、NYHA分類(心不全重症度)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、左室径等のエコー指標などが挙げられる。
【0021】
本発明の評価は、統計学的解析によりカットオフ値を設定して実施することもできる。具体的には、受診者動作特性曲線(Receiver Operatorating Charasteristic curve、ROC)分析等の統計学的解析により得られたカットオフ値を元に前記参照値を決定することができる。例えば、後述の例3に示されるような、ROC曲線分析を使用してカットオフ値を設定してもよい。ROC曲線分析では、所望の感度および特異度となるカットオフ値を選択することができ、Youdenインデックス(感度-(1-特異度))が最大となるポイントをカットオフ値とすることができる。
【0022】
本発明の評価方法によれば、心不全患者において心機能回復(特にLVRR)の可能性を予測することが可能になり、ひいては心不全患者の予後を予測することが可能となる。心不全患者のうち心機能回復(特にLVRR)の可能性が低い患者は薬物治療に対する治療応答性が低いため、本発明の評価方法により心機能回復(特にLVRR)の可能性が低いと評価された患者については非薬物治療を実施することができる。本発明において非薬物治療は、外科的治療および再生医療を含む意味で用いられる。外科的治療の非制限的な例としては、心臓移植、補助人工心臓の植込み、デバイス治療(植込み型除細動器(ICD、Implantable Cardioverter Defibrillator)、心臓再同期療法(CRT、Cardiac Resynchronization Therapy)を用いた治療)が挙げられる。再生医療の非制限的な例としては、再生医療等の安全性の確保等に関する法律2条において定義される細胞加工物を用いた治療が挙げられる。一方で、本発明の評価方法により心機能回復(特にLVRR)の可能性が高いと評価された患者は薬物治療に対する治療応答性が高いことが期待されるため、薬物治療により良好な効果があると予測される患者と評価することができ、このような患者に対しては薬物治療を選択し、実施することができる。本発明において薬物治療は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)、β遮断剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、抗ミネラルコルチコイド、利尿薬、SGLT2阻害剤等の心不全治療薬の投与による治療を意味する。このように本発明の評価方法は、医師による心不全患者の治療応答性の予測、心不全患者の予後診断、さらには心不全患者の治療方針の決定に補助的に用いることができ、個々の患者に対して適切な治療を施す医療(個別化医療、精密医療)を可能とする点で有利である。
【0023】
本発明の別の側面によれば、心不全患者から非薬物治療が必要な患者を特定する方法であって、心不全患者における心筋細胞のDNA損傷の程度を測定する工程を含んでなる方法が提供される。本発明の非薬物治療が必要な患者を特定する方法は、本発明の評価方法に従って実施することができる。すなわち、本発明の評価方法に従って心不全患者における心筋細胞のDNA損傷の程度を測定し、心機能回復可能性が低いと評価または判断された患者を非薬物治療が必要な患者と特定することができる。本発明の心不全患者から非薬物治療が必要な患者を特定する方法は、医師による心不全患者の治療方針の決定に補助的に用いることができる。
【0024】
本発明の別の側面によればまた、心不全患者から薬物治療により良好な効果があると予測される患者を特定する方法であって、心不全患者における心筋細胞のDNA損傷の程度を測定する工程を含んでなる方法が提供される。本発明の薬物治療により良好な効果があると予測される患者を特定する方法は、本発明の評価方法に従って実施することができる。すなわち、本発明の評価方法に従って心不全患者における心筋細胞のDNA損傷の程度を測定し、心機能回復可能性が高いと評価または判断された患者を薬物治療により良好な効果があると予測される患者と特定することができる。本発明の心不全患者から薬物治療により良好な効果があると予測される患者を特定する方法は、医師による心不全患者の治療方針の決定に補助的に用いることができる。
【0025】
本発明のさらに別の側面によれば、本発明の非薬物治療が必要な患者を特定する方法を実施して非薬物治療が必要な患者を特定し、該患者に対して非薬物治療を実施する、心不全患者の治療方法が提供される。本発明の治療方法のうち本発明の非薬物治療が必要な患者を特定する方法は、前述の通り本発明の評価方法に従って実施することができる。
【実施例】
【0026】
以下の例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0027】
例1:拡張型心筋症患者の心筋細胞におけるDNA損傷
例1では、拡張型心筋症患者の生検検体を用いて、心筋細胞のDNA損傷の程度について評価した。
【0028】
(1)方法
ア 生検検体
2009年から2016年に東京大学医学部附属病院で拡張型心筋症(DCM)と診断されて入院した82例の心不全患者のうち、すでに治療介入がなされた24例を除いた58例の患者の心筋生検検体を使用した。DCM診断は、現在のガイドラインに従って、冠動脈造影、心エコー検査、および心筋生検を含む様々なモダリティに基づいて行った。
【0029】
DCM患者は、心筋生検を受けDCMと診断された直後から、ACE阻害剤またはアンジオテンシンII受容体遮断薬の投与、抗ミネラルコルチコイド、およびβ遮断薬の用量設定の引き上げなどを含む心不全の最適な治療が開始された。エンドポイントは、死亡、補助人工心臓の植込み、および心臓移植の複合結果として定義される複合エンドポイントであり、上記の治療開始後12ヶ月以前にエンドポイントに該当するイベントのあった患者をLVRR陰性群に分類した。LVRR陽性群(本明細書中「LVRR(+)」ということがある。)とLVRR陰性群(本明細書中「LVRR(-)」ということがある。)の生検時の臨床背景は表1に示す通りであった。
【0030】
【0031】
イ 免疫組織化学
DCM患者のホルマリン固定パラフィン包埋生検検体を用いて、DNA損傷の指標となるPAR(ポリ(ADP-リボース))およびγ-H2A.Xを測定した。パラフィンブロックから4μmの切片を切り取り、スライド上に置いた。脱パラフィンおよび再水和後、MI-33マイクロ波プロセッサー(東屋医科器械)を使用して、Dako S1699抗原賦活化液(Agilent)でスライドを20分間煮沸することにより、抗原をアンマクスした。スライドを室温で60分間、5%の正常ヤギ血清でブロックし、続いて抗PARポリマー抗体(ab14459、1:100、Abcam)と一晩インキュベートした。リン酸緩衝生理食塩水で洗浄後、サンプルを抗マウスIgG-Alexa647(1:300、Thermo Fisher Scientific)で室温で1時間染色した。細胞膜と核を小麦胚芽凝集素(WGA)-Alexa488(1:200、Thermo Fisher Scientific)と4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)(1:1,000、同仁化学研究所)で対比染色した。ここで使用した他の抗体と色素には、γ-H2A.X(ab81299、1:200、Abcam)、γ-H2A.X(MA1-2022、1:200、Thermo Fisher Scientific)、WGA-Alexa350(1:200、Thermo Fisher Scientific)、ビメンチン(ab92547、1:200、Abcam)、PECAM1(HPA004690、1:100、Sigma-Aldrich)、および抗マウスIgG-Alexa488および594(1:300、Thermo Fisher Scientific)が含まれる。患者ごとに、残りの生検検体から2つのセクションを1つはPAR染色用、もう1つはγ-H2A.X染色用として使用した。画像は、20倍対物レンズを備えた倒立蛍光顕微鏡(BZ-X700、Keyence Corporation)で取得し、1つの視野内の生検検体のほとんどの領域をカバーした。生の画像データをBZ-Xアナライザーソフトウェア(Keyence Corporation)を使用して分析し、各核でDAPIと結合したPARシグナルの蛍光強度を定量化した。その後、蛍光強度のヒストグラムに基づいてPAR陽性核を検出するための閾値を設定し、前記ソフトウェアによって認識された各PAR陽性領域が各セクションで高いPAR信号強度を示すことを確認した。
図1は、LVRR陽性患者またはLVRR陰性患者のPARまたはγ-H2A.Xで染色された各核の蛍光強度の分布の例を示す。前記ソフトウェアによって、PAR陽性核の割合(%PAR核)を自動的に計算した([PAR染色核]/[DAPIで染色されたすべての核])。すべての生画像データは、同じアルゴリズムを使用して分析した。γ-H2A.Xの免疫染色でも同じ分析を行った。PAR陽性細胞のタイプを分析するために、PAR染色細胞のすべての画像データを評価し、染色された各細胞が心筋細胞であるか非心筋細胞であるかを形態の違いに基づいて決定した。非心筋細胞は、典型的な大きな成熟心筋細胞と比較して非常に小さく、その核は細胞膜の近くにあり、WGA染色で検出される。
【0032】
ウ 統計学的解析
連続変数は平均値±SD、カテゴリー変数はカウントおよび割合として表した。歪んだ分布を持つ変数について、中央値(四分位範囲[IQR])が報告され、ウィルコクソンのランクサムテストを使用して比較した。2つの群間の統計的有意性は、対応のない両側スチューデントt検定によって決定した。
【0033】
すべての分析は、SASソフトウェアバージョン9.4(SAS Institute、Inc)を使用して行い、すべてのテストでp<0.05のp値が有意であるとみなした。
【0034】
(2)結果
図2A~Dは、それぞれLVRR陰性患者とLVRR陽性患者の心筋生検検体を使用したPARの免疫蛍光染色の生画像であり、PARとDAPI(核DNA)の染色された場所が一致していることが確認された。
図2EおよびFは、ハイブリッド細胞計数プログラムによる自動評価後の同じ画像であり、白色で表されるのがPAR陽性核である。
【0035】
図3A~Dは、それぞれLVRR陰性患者とLVRR陽性患者の心筋生検検体を使用したγ-H2A.Xの生画像であり、γ-H2A.XとDAPI(核DNA)の染色された場所が一致していることが確認された。
図3EおよびFは、ハイブリッド細胞計数プログラムによる自動評価後の同じ画像であり、白色で表されるのがPAR陽性核である。
【0036】
図4Aは、PARとγ-H2A.Xの二重染色の生画像であり、核で共染色されたことを確認した。
図4BおよびCは、PARとビメンチン(線維芽細胞マーカー)およびPARとCD31(血管内皮細胞マーカー)の二重染色のそれぞれの生画像を示す。ビメンチン陽性細胞はPARと共染色されたのに対し、CD陽性細胞はPARとは共染色されなかったことから、陽性の非心筋細胞はすべて心臓線維芽細胞に属していることが確認された。
図4Dに示す通り、58人の患者(1068細胞)のすべての生検検体のPAR陽性細胞における心筋細胞と非心筋細胞の平均割合は、それぞれ94.5%と5.5%であった。
【0037】
また、
図5に示す通り、LVRR陰性群とLVRR陽性群のPAR染色検体で分析された核の平均数は、それぞれ887±41個および903±69個であった(p=0.832)(
図5A)。PAR染色した核の割合は、LVRR陽性群(3.7%[IQR:0.6%から3.9%])がLVRR陰性群(16.3%[IQR:6.3%から19.3%])に対して有意に低かった(p<0.001)(
図5B)。γ-H2A.X染色した核の割合もまた、LVRR陽性群(3.5%[IQR:1.2%から6.4%])がLVRR陰性群(11.7%[IQR:6.0%から14.6%])に対して有意に低かった(p<0.001)(
図5C)。
【0038】
さらに、
図6に示す通り、家族性と非家族性のいずれのDCM患者においてもLVRR陰性患者は高い%PAR核を示した。
【0039】
これらの結果から、LVRR陰性患者のDNA損傷の程度は、LVRR陽性患者に対して有意に高いことが確認された。
【0040】
例2:拡張型心筋症患者の治療経過とLVRR
例2では、拡張型心筋症患者の経過とLVRRについて統計学的解析を行った。
【0041】
(1)方法
ベースライン時の患者のすべてのパラメーターの単変量スクリーニングを最初に実行し、スチューデントt検定は連続変数に使用した。カテゴリー変数にはフィッシャーの正確検定を使用し、mid-p値を計算した。カプラン-マイヤー法とログランク検定を使用して、エンドポイントに対するLVRRの影響を評価した。ロバストな標準誤差を使用した逆確率加重Cox比例ハザード回帰モデルにより、複合エンドポイントの%PAR核および%γ-H2A.X核の影響を推定した。各被験者の体重は、一般化された傾向スコアを使用して計算したが、ベースライン交絡因子を調整するモデルの以下の変数が含まれる:年齢、BMI、家族歴、心不全の期間、ニューヨーク心臓協会(NYHA)機能クラス、収縮期血圧、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、左室拡張末期径、重度の僧帽弁逆流(グレードIIIまたはIV)。%PAR核とLVRRの関係、および%γ-H2A.X核とLVRRの関係も、ロジスティック回帰モデリングの傾向スコア法を使用して調べた。上記以外の統計学的解析は例1(1)ウに記載の方法に従って行った。
【0042】
(2)結果
調査期間の中央値は1386(IQR:667~2032)日であった。LVRRの判定期間中、58人中25人(43.1%)の患者が、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の阻害剤、β遮断薬、心臓再同期療法を含む集学的治療後にLVRRを達成した。アンジオテンシン変換酵素阻害剤またはアンジオテンシンII受容体遮断薬、抗ミネラルコルチコイドおよびβ遮断薬による神経ホルモン薬の治療は、目標用量でほとんどの患者(それぞれ95%、78%、100%)に合わせて調整された。最適な薬物療法の開始後12ヶ月において、次の薬物については投与割合に関してLVRRの患者とLVRRの患者との間に有意差は認められなかった:アンジオテンシン変換酵素阻害薬(LVRRあり患者68.0%、LVRRなし患者72.7%、p=0.775)、アンジオテンシンII受容体遮断薬(LVRRあり患者28.0%、LVRRなし患者21.2%、p=0.758)、抗ミネラルコルチコイド(LVRRあり患者72.0%、LVRRなし患者81.8%、p=0.527)、β遮断薬(カルベジロール相当で1日あたりの用量はLVRRあり患者22.7mg、LVRRなし患者19.5mgで、いずれの患者も100%投与、p=0.281)。
【0043】
LVRRの有無によって分類された被験者の生存曲線を
図7に示す。LVRRあり患者は、LVRRなし患者と比較して予後が有意に良好であった(ログランク検定、p<0.001)。フォローアップ期間中に、17人の患者で複合エンドポイントに到達した:心臓移植8名(13.8%)、LVAD(左心補助人工心臓、left ventricular assist device)植込み16名(27.6%)、死亡1名(1.7%)。
【0044】
傾向スコア分析における調整の交絡因子として、年齢、BMI、家族歴、心不全の期間、NYHA機能分類、収縮期血圧、B型ナトリウム利尿ペプチド、左室拡張末期径、および重度の僧帽弁逆流(グレードIIIまたはIV)を使用した。表2に示す通り、複合エンドポイントの傾向スコア分析により、他の主要な臨床因子の調整後、%PAR核(10%増加ごとに、ハザード比:1.36;95%信頼区間[CI]:1.02から1.81;p=0.035)は、有意かつ独立した予後因子であることが明らかになった。単変量Cox分析の結果不良を予測する他の主要な予後因子は、年齢、高いNYHA機能クラス、低血圧、および低BMIであった。今回のコホート試験では、少数の患者のみが心臓磁気共鳴(27.6%)および心肺運動検査(51.7%)を受けていたため、傾向スコア分析のモデルに後期ガドリニウム増強の程度およびピーク酸素消費量を含めることができなかった。
【0045】
また、表3に示す通り、傾向スコア分析によりLVRRの有意かつ独立した予測因子として、%PAR核(1%増加ごとに、オッズ比:0.87;95%CI:0.79から0.95;p=0.003)が同定された。γ-H2A.X染色のデータを使用した同様の分析により、%γ-H2A.X核もまた、独立してLVRRを予測できることが明らかとなった。表3の結果から、心筋細胞のDNA損傷の程度を指標として、心不全患者のLVRRの可能性を評価することができることが確認された。
【0046】
【0047】
【0048】
例3:拡張型心筋症患者のLVRR予測
例3では、拡張型心筋症患者のLVRRの予測について、心筋DNA損傷の程度の指標となる%PAR核と%γ-H2A.X核を用いて受信者動作特性(ROC)分析を行った。
【0049】
(1)方法
ROC分析では、カットポイント分析により、Youdenインデックス(感度-(1-特異度))が最大となるポイントをカットオフ値として決定した。ROC曲線下面積(AUC:Area Under the Curve)は、ロジスティック回帰を使用して計算した。
【0050】
(2)結果
結果は、
図8に示す通りであった。%PAR核については、カットオフ値を5.74%とした場合、感度77.8%(95%CI:57.7%から91.4%)、特異度87.1%(95%CI:70.2%から96.4%)、AUC0.879でLVRRを予測できるという結果であった。%γH2A.X核については、カットオフ値を6.3%とした場合、感度69.6%(95%CI:47.1%から86.8%)、特異度75.9%(95%CI:56.5%から89.7%)、AUC0.880でLVRRを予測できるという結果であった。