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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】液吐出装置及び液供給方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240402BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20240402BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240402BHJP
   B41J 2/19 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B41J2/175 503
B41J2/175 301
B41J2/17 203
B41J2/01 401
B41J2/175 501
B41J2/19
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020091249
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021186985
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】青山 純平
(72)【発明者】
【氏名】前田 博章
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-275659(JP,A)
【文献】特開2012-040732(JP,A)
【文献】特開2017-193062(JP,A)
【文献】特開2011-051108(JP,A)
【文献】特開2015-147365(JP,A)
【文献】特開2019-195918(JP,A)
【文献】特開2011-110853(JP,A)
【文献】特開2018-144305(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0097184(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/175
B41J 2/17
B41J 2/01
B41J 2/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液を吐出する液吐出部と、
液が収容されている第1液収容部と、
前記第1液収容部から送られた液が収容される第2液収容部と、
前記第2液収容部を経由して前記第1液収容部から前記液吐出部へ液を送る第1流路と、
前記第2液収容部を経由することなく前記第1液収容部から前記液吐出部へ液を送る第2流路と、
を備え
前記第1液収容部に収容される液の量が所定量未満となった場合は、前記第2流路を経由して前記第1液収容部から前記液吐出部へ液を送る液吐出装置。
【請求項2】
前記第1流路と前記第2流路とを切り換える流路切換部を備える請求項1に記載の液吐出装置。
【請求項3】
前記第2液収容部の送液方向下流に圧力調整部を備える請求項1又は2に記載の液吐出装置。
【請求項4】
前記第2流路は、前記第1流路よりも短い請求項1から3のいずれかに記載の液吐出装置。
【請求項5】
前記圧力調整部に収容される液の量が所定量未満となった場合は、前記圧力調整部から前記液吐出部への送液を停止して、前記第1液収容部から前記圧力調整部へ液を送り、
前記圧力調整部に収容される液の量が所定量以上となった場合に、前記第2流路を経由して前記第1液収容部から前記液吐出部へ液を送る請求項3に記載の液吐出装置。
【請求項6】
前記第2流路を経由する前記液吐出部への送液の最中に、前記圧力調整部から液回収部へ液を排出する排液流路を備える請求項3又は5に記載の液吐出装置。
【請求項7】
前記第2流路を経由して行う前記液吐出部への送液が完了した後、再度、前記第2流路を経由して前記液吐出部へ液を供給する際に同時に前記排液流路を経由して前記液回収部へ液を排出する請求項6に記載の液吐出装置。
【請求項8】
前記第1流路及び前記第2流路は、前記液吐出部の送液方向上流で合流し、前記液吐出部へ連通する請求項1から7のいずれかに記載の液吐出装置。
【請求項9】
前記第2流路に、前記液吐出部への送液方向とは反対方向への液の逆流を防止する逆流防止部を有する請求項1から8のいずれかに記載の液吐出装置。
【請求項10】
液を吐出する液吐出部へ液を供給する液供給方法であって、
液が収容されている第1液収容部から第2液収容部を経由して前記液吐出部へ液を送る第1送液工程と、
前記第2液収容部を経由することなく前記第1液収容部から前記液吐出部へ液を送る第2送液工程と、
を選択的に行い、
前記第1液収容部に収容される液の量が所定量未満となった場合は、前記第2送液工程によって前記第1液収容部から前記液吐出部へ液を送る液供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液吐出装置及び液供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタなどの画像形成装置として、用紙などのシートにインクを吐出して画像を形成するインクジェット式の画像形成装置が知られている。
【0003】
この種の画像形成装置においては、インクを液滴化してシートに吐出する液吐出装置が搭載されている。一般的に、液体吐出装置は、インクを吐出する液体吐出ヘッドのほか、インクを収容するメインタンクやサブタンク、及びこれらと液体吐出ヘッドを繋ぐインク供給チューブなどを備えている。
【0004】
メインタンクから液体吐出ヘッドへのインクの供給は、サブタンクやインク供給チューブを経由して行われる{特許文献1(特開2003-159809号公報)参照}。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、サブタンクを経由するインク供給方法では、インクの供給時間が長くかかるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液を吐出する液吐出部と、液が収容されている第1液収容部と、前記第1液収容部から送られた液が収容される第2液収容部と、前記第2液収容部を経由して前記第1液収容部から前記液吐出部へ液を送る第1流路と、前記第2液収容部を経由することなく前記第1液収容部から前記液吐出部へ液を送る第2流路と、を備え、前記第1液収容部に収容される液の量が所定量未満となった場合は、前記第2流路を経由して前記第1液収容部から前記液吐出部へ液を送る液吐出装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液の供給時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図2】ライン型ヘッドの平面図である。
図3】本実施形態に係る液吐出装置の概略構成図である。
図4】液供給方法の一例を示すフローチャートである。
図5】液供給方法の他の例を示すフローチャートである。
図6】液供給方法のさらに別の例を示すフローチャートである。
図7】本発明の他の実施形態に係る液吐出装置の概略構成図である。
図8】本発明のさらに別の実施形態に係る液吐出装置の概略構成図である。
図9】他の画像形成装置の構成を示す図である。
図10】別の画像形成装置の構成を示す図である。
図11】液吐出装置の他の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、原稿搬送装置1と、画像読取装置2と、画像形成部3と、シート供給装置4と、カートリッジ装着部5と、乾燥装置6と、シート排出部7と、を備えている。また、画像形成装置100の横には、後処理装置200が配置されている。
【0012】
原稿搬送装置1は、原稿トレイ11から原稿を1枚ずつ分離して画像読取装置2のコンタクトガラス13に向けて搬送する装置である。原稿搬送装置1は、原稿を搬送する原稿搬送手段として複数の搬送ローラなどを備えている。
【0013】
画像読取装置2は、コンタクトガラス13上に載置された原稿の画像や、コンタクトガラス13上を通過する原稿の画像を読み取る装置である。画像読取装置2は、画像読取部としての光学走査ユニット12を備えている。光学走査ユニット12は、コンタクトガラス13上の原稿に光を照射する光源や、原稿の反射光から画像を読み取る画像読取手段としてのCCD(電荷結合素子)などを有している。また、画像読取手段として、密着型イメージセンサ(CIS)などを用いてもよい。
【0014】
画像形成部3は、シートに液を吐出する液吐出部としての液体吐出ヘッド14を有している。液体吐出ヘッド14は、画像形成用の液体であるインクを吐出してシートに付与する。
【0015】
カートリッジ装着部5には、複数のインクカートリッジ15Y,15M,15C,15Bkが着脱可能に装着されている。各インクカートリッジ15Y,15M,15C,15Bkには、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの異なる色のインクが充填されている。各インクカートリッジ内のインクは、送液ポンプによって液体吐出ヘッド14へ供給される。
【0016】
乾燥装置6は、シート上のインクを乾燥させるためにシートを加熱する装置(加熱装置)である。本実施形態に係る乾燥装置6は、ハロゲンヒータなどの加熱源によって加熱されるベルトと、ベルトに接触するローラなどを備えている。回転するローラとベルトとの間にシートが進入すると、ベルトとローラによってシートが挟持されながら加熱されることにより、シート上のインクが乾燥される。また、乾燥装置6は、シートに温風を吹き付けることによりインクを乾燥させる温風発生装置であってもよい。
【0017】
シート供給装置4は、シート収容部としての複数の給紙カセット16を備えている。各給紙カセット16には、画像が形成されるシートとして、A4サイズやB4サイズなどのあらかじめ用紙搬送方向(シート搬送方向)に所定のサイズに裁断された用紙P、いわゆるカット紙が収容されている。また、各給紙カセット16には、シート給送手段としての給紙ローラ17と、シート分離手段としての分離パッド18と、が設けられている。
【0018】
後処理装置200は、画像形成装置100から送られてきたシートに対して揃え処理などの後処理を行う装置である。後処理装置200が備える後処理部は、複数枚のシートを揃えて排出するシート揃え部のほか、シートに孔をあける穿孔処理部や、複数枚のシートを綴じる綴じ処理部、シートを二つ折りや三つ折りなどにする折り処理部などであってもよい。
【0019】
図1を参照しつつ、本実施形態に係る画像形成装置の基本動作について説明する。
【0020】
印刷動作開始の指示があると、複数の給紙カセット16のうちのいずれかの給紙カセット16から用紙Pが給送される。詳しくは、給紙ローラ17が回転することにより、給紙カセット16に収容されている最上位の用紙Pが給紙ローラ17と分離パッド18とによって他の用紙(用紙束)と分離されて送り出される。
【0021】
用紙Pが画像形成部3と対向する水平方向の搬送路60に搬送されると、画像形成部3によって用紙Pに画像が形成される。詳しくは、画像読取装置2によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント情報に応じて液体吐出ヘッド14の吐出動作が制御されることにより、用紙Pの画像形成面(上面)にインクが吐出されて画像が形成される。なお、用紙Pに形成される画像は、文字、図形等の有意な画像のほか、それ自体意味を持たないパターンなどであってもよい。
【0022】
両面印刷を行う場合は、画像形成部3の用紙搬送方向下流側で、用紙Pを反対方向へ搬送することにより、用紙Pを反転搬送路61へ案内する。詳しくは、用紙Pの後端が、画像形成部3の用紙搬送方向下流側に配置されている第1経路切換手段26を通過した後、第1経路切換手段26によって搬送路が反転搬送路61に切り換えられ、用紙Pが反対方向に搬送される。これにより、用紙Pが反転搬送路61へ案内される。そして、用紙Pが反転搬送路61を通過することにより、用紙Pは表裏反転された状態で再び画像形成部3へ搬送され、上記と同様の画像形成部3の動作により用紙Pの裏面に画像が形成される。
【0023】
画像が形成された用紙Pは、第1経路切換手段26よりも用紙搬送方向下流側にある第2経路切換手段27によって、乾燥装置6を通過する搬送路62か、乾燥装置6を通過しない搬送路63かへ、選択的に案内される。用紙Pが乾燥装置6を通過する搬送路62へ案内されると、乾燥装置6によって用紙P上のインクが乾燥される。一方、用紙Pが乾燥装置6を通過しない搬送路63へ案内された場合は、用紙Pが、第3経路切換手段28によって、シート排出部7へ向かう搬送路64か、後処理装置200へ向かう搬送路65かへ、選択的に案内される。また、乾燥装置6を通過した用紙Pは、別の第4経路切換手段29によって、シート排出部7へ向かう搬送路66か、後処理装置200へ向かう搬送路67かへ、選択的に案内される。
【0024】
そして、用紙Pがシート排出部7へ向かう搬送路64,66へ案内された場合は、用紙Pがシート排出部7へ排出される。一方、用紙Pが後処理装置200へ向かう搬送路65,67へ案内された場合は、用紙Pが後処理装置200へ搬送され、用紙Pに所定の後処理が行われて排出される。なお、本実施形態では、用紙Pの片面のみに画像が形成されている場合、その画像形成面(インクが付与された液付与面)が下向きの状態で用紙Pがシート排出部7又は後処理装置200へ送られる、いわゆるフェースダウン方式を採用しているが、反対に、画像形成面が上向きの状態で用紙Pが送られるフェースアップ方式であってもよい。
【0025】
以上のようにして、一連の印刷動作が完了する。
【0026】
次に、本実施形態に係る液体吐出ヘッド14の構成について説明する。
【0027】
図2は、本実施形態に係る液体吐出ヘッド14であるライン型ヘッドの平面図である。
【0028】
図2に示すように、画像形成部3のベース部には、用紙搬送方向A(主走査方向Eと交差する方向)と用紙幅方向(主走査方向E)のそれぞれの方向に並んで配置された複数の液体吐出ヘッド14が設けられている。各液体吐出ヘッド14は、複数のノズルを配列したノズル列19を有している。
【0029】
ライン型の液体吐出ヘッド14においては、用紙Pが画像形成部3へ搬送されると、用紙Pが画像形成部3との対向領域を通過する際に、画像情報に基づく駆動信号によって各液体吐出ヘッド14の吐出駆動が制御され、各液体吐出ヘッド14から各色のインクが用紙Pに吐出される。これにより、用紙Pに対して画像情報に応じた画像が形成される。
【0030】
続いて、液体吐出ヘッド14から液を吐出させる液吐出装置の構成について説明する。
【0031】
図3は、本実施形態に係る液体吐出装置の概略構成図である。
【0032】
図3に示すように、本実施形態に係る液吐出装置20は、上述の液体吐出ヘッド14のほか、メインタンクとしてのインクカートリッジ15と、サブタンクとしてのバッファタンク31と、圧力調整部としての供給側圧力調整タンク32及び戻り側圧力調整タンク33と、液回収部としての廃液タンク34と、を備えている。
【0033】
インクカートリッジ15は、上述の複数のインクカートリッジ15Y,15M,15C,15Bk(図1参照)のうちの1つである。ここでは、1つのインクカートリッジ15を例に液吐出装置20の構成について説明する。インクカートリッジ15は、カートリッジ装着部5(図1参照)に装着された状態で、図3に示す流路41を介してバッファタンク31に接続される。バッファタンク31とインクカートリッジ15とを繋ぐ流路41には、インクカートリッジ15からバッファタンクへ液を送る送液手段としての第1送液ポンプ51が設けられている。
【0034】
廃液タンク34は、排液流路24を介して供給側圧力調整タンク32と接続されている。排液流路24には、供給側圧力調整タンク32から廃液タンク34へ液を排出する排液手段としての排液ポンプ57が設けられている。また、廃液タンク34は、液体吐出ヘッド14から排出される余剰液も回収する。
【0035】
バッファタンク31、供給側圧力調整タンク32、戻り側圧力調整タンク33、及び、液体吐出ヘッド14は、液を循環させる循環流路23を介して接続されている。バッファタンク31と供給側圧力調整タンク32とを繋ぐ流路42、供給側圧力調整タンク32と液体吐出ヘッド14とを繋ぐ流路43、液体吐出ヘッド14と戻り側圧力調整タンク33とを繋ぐ流路44、及び、戻り側圧力調整タンク33とバッファタンク31とを繋ぐ流路45には、それぞれ送液手段としての第2送液ポンプ52、第3送液ポンプ53、第4送液ポンプ54、第5送液ポンプ55が設けられている。各送液ポンプ52~55は、バッファタンク31を起点として、供給側圧力調整タンク32、液体吐出ヘッド14、戻り側圧力調整タンク33、バッファタンク31の順に液を循環させる。
【0036】
供給側圧力調整タンク32及び戻り側圧力調整タンク33は、循環流路23内で液を循環させる圧力差を調整するための液収容部(液体タンク)である。具体的には、循環流路23に設けられた各送液ポンプ52~55の送液により、液体吐出ヘッド14に対して供給側圧力調整タンク32側が加圧側となり、反対に、戻り側圧力調整タンク33側が負圧側となって、供給側圧力調整タンク32と戻り側圧力調整タンク33との間に圧力差が生じる。この圧力差によって、液が、供給側圧力調整タンク32、液体吐出ヘッド14、戻り側圧力調整タンク33、バッファタンク31の順に循環する。供給側圧力調整タンク32と戻り側圧力調整タンク33には、それぞれ、各圧力調整タンク32,33内の圧力を調整する圧力調整機構(レギュレータ)35,36が設けられている。
【0037】
インクカートリッジ15が液体吐出ヘッド14よりも重力方向下方に位置する場合は、インクカートリッジ15と液体吐出ヘッド14との間の水頭差によって、循環流路23内で液を循環させる圧力差が得られるため、戻り側圧力調整タンク33を省略することも可能である。一方、本実施形態においては、インクカートリッジ15が液体吐出ヘッド14よりも重力方向上方に配置されているため、戻り側圧力調整タンク33を設け、循環流路23内での圧力差が十分に得られるようにしている。また、このような戻り側圧力調整タンク33を循環流路に備える構成は、循環流路23内の送液量が多い場合にも有効である。従って、多数のノズルを有し、シートの幅方向に渡って一度にインクを吐出できる、いわゆるフルライン型の液体吐出ヘッドを備えるインクジェット画像形成装置においては、特に戻り側圧力調整タンク33を備えることが望ましい。
【0038】
また、バッファタンク31の上部には、大気開放口37が設けられている。バッファタンク31内の液面は、液体吐出ヘッド14のノズル面よりも所定距離重力方向下方に配置されているため、バッファタンク31の大気開放口37を開放すると、液体吐出ヘッド14に高低差に応じた水頭差が常時発生する。このため、液体循環停止時には、液体吐出ヘッド14に生じる水頭差によって液体吐出ヘッド14のノズルのメニスカスを安定維持することができる。
【0039】
ところで、インクカートリッジに収容される液(インク)には、気泡が混入しているものがある。このため、インクカートリッジから液体吐出ヘッドへ液を供給する際、液と一緒に液体吐出ヘッドへ気泡が流れ込むことがある。気泡が液体吐出ヘッド内に入ると、液体吐出ヘッドの液室内に加えられる吐出エネルギー(滴吐出圧力)が気泡によって吸収されて、最適な液滴吐出圧力が得られなくなり、液滴吐出不良の原因になる虞がある。そのため、液供給時においては、液中から気泡を排出する工程が必要になる。
【0040】
しかしながら、液体吐出ヘッドへ液を供給するにあたって、上述のバッファタンク31や各圧力調整タンク32などを繋ぐ循環流路23を介して液を液体吐出ヘッド14へ供給すると、液体吐出ヘッド14への液の供給が完了し印刷開始可能な状態となるまでに時間を要することになる。特に、液体吐出ヘッド14へ初めて液を充填する初期充填時においては、循環経路23内に液が充填されていないため、液体吐出ヘッド14への液供給(充填)が完了するまでに長い時間を要する。また、本実施形態のように、液体吐出ヘッド14が複数のノズルを有する場合は、全てのノズルに対して気泡を排出しながら液を供給する必要があるため、より一層長い時間を要することになる。さらに、循環流路23に戻り側圧力調整タンク33が設けられていると、負圧調整を行う時間も必要になるため、液供給工程に要する時間がますます長くなる傾向にある。
【0041】
そこで、本実施形態に係る液吐出装置においては、上記のような液体吐出ヘッド14への液供給時間が長くなる課題を改善するため、図3に示すように、インクカートリッジ15から循環流路23を経由せずに液体吐出ヘッド14へ液を供給するための流路22が設けられている。すなわち、本実施形態に係る液吐出装置20は、インクカートリッジ15からバッファタンク31及び供給側圧力調整タンク32を経由して液体吐出ヘッド14へ液を送る第1流路21のほかに、インクカートリッジ15からバッファタンク31や供給側圧力調整タンク32を経由することなく液体吐出ヘッド14へ液を送る第2流路22を備えている。
【0042】
図3に示すように、第2流路22は、第1流路21上の第1送液ポンプ51よりも送液方向上流(分岐部X)で第1流路21から分岐し、第1流路21上の第3送液ポンプ53よりも送液方向下流(合流部Y)で第1流路21に合流している。第2流路22の分岐部Xから合流部Yまでの部分以外は、第1流路21と一部流路が共通している。また、第2流路22の分岐部Xから合流部Yまでの流路46上には、インクカートリッジ15から液体吐出ヘッド14へ液を送る送液手段としての第6送液ポンプ56が設けられている。
【0043】
また、分岐部Xには、第1流路21と第2流路22とを切り換えるバルブなどの流路切換部38が設けられている。このため、本実施形態では、インクカートリッジ15から第1流路21を経由して液体吐出ヘッド14へ液を送る第1送液工程と、インクカートリッジ15から第2流路22を経由して液体吐出ヘッド14へ液を送る第2送液工程と、を選択的に行うことが可能となっている。
【0044】
以下、図3及び図4のフローチャートを参照しつつ、液体吐出ヘッド14に初めてインクを充填する際の初期充填方法(液供給方法)について説明する。
【0045】
初期充填を行うときは、まず、第2流路22を経由してインクカートリッジ15内のインクを液体吐出ヘッド14へ供給する(図4のStep1)。次に、循環流路23内の空気又は気泡を排出するため、排液流路24を経由して供給側圧力調整タンク32から廃液タンク34へインクを排出する(図4のStep2)。そして、供給側圧力調整タンク32から廃液タンク34へのインクの排出を所定時間継続した後、インクの排出を停止し、第2流路22に設けられた第6送液ポンプ56と第1流路21に設けられた第3送液ポンプ53とによってインクを液体吐出ヘッド14へ押し込み、インクを液体吐出ヘッド14の隔壁になじませる(図4のStep3)。そして、液体吐出ヘッド14内に押し込まれたインクによって液体吐出ヘッド14内にあらかじめ充填されていた充填液を廃液タンク34へ排出すると共に、第2流路22を経由して行うインクの供給を一旦停止する(図4のStep4)。これにより、液体吐出ヘッド14内の充填液が供給されたインクと置換される。
【0046】
その後、第2流路を経由して行うインクの供給を再開し(図4のStep5)、液体吐出ヘッド14内に気泡が無いことが確認されるまで、上述の各工程(図4のStep1~Step5)を繰り返し行う(図4のStep6)。なお、液体吐出ヘッド14内の充填液がインクに置換された後は、液体吐出ヘッド14内へインクが供給されると、充填液の代わりに余剰インクが廃液タンク34へ排出されることになる。液体吐出ヘッド14内の気泡の有無を検知する気泡検知手段としては、例えば、超音波式あるいはレーザなどの発信部と受信部との間の信号受信状態に基づき気泡の有無を検知できる検知装置など、公知の手段を用いることができる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る液吐出装置20においては、液体吐出ヘッド14へインクを初期充填する際、第2流路22を用いることにより、インクカートリッジ15(第1液収容部)とは別の第2液収容部としてのバッファタンク31や各圧力調整タンク32,33を経由することなく液を液体吐出ヘッド14へ送ることができる。これにより、短い時間で液体吐出ヘッド14へ液を供給できるようになり、印刷可能な状態となるまでの待ち時間を短縮できるようになる。従って、特に本実施形態のような複数のノズルや戻り側圧力調整タンク33を有する構成(液体吐出ヘッド14への液充時間が比較的長くかかる構成)においては、時間短縮による大きな効果が期待できる。
【0048】
また、第2流路22を第1流路21よりも短い流路とすることにより、液体吐出ヘッド14への液の供給をより短い時間で行うことが可能となる。これにより、液充填時間のさらなる短縮を実現でき、早い段階で印刷を開始できるようになる。なお、ここで比較する流路の長さは、インクカートリッジ15から液体吐出ヘッド14までの第1流路21及び第2流路22のそれぞれの長さであってもよいし、分岐部Xから合流部Yまでの第1流路21及び第2流路22のそれぞれの長さであってもよい。
【0049】
上述の例では、第2流路22を経由してインクを液体吐出ヘッド14へ供給する工程(Step1)と、排液流路24を経由して供給側圧力調整タンク32から廃液タンク34へインクを排出する工程(Step2)とが、別々のタイミングで行っているが、これらの工程を同じタイミングで行ってもよい。その場合、より一層の時間の短縮が可能となる。
【0050】
上述の例において、初期充填を行った後は、検知センサなどにより供給側圧力調整タンク32内の液量が所定量以上であるか否かを確認すると共に、供給側圧力調整タンク32内の圧力を調整するための循環経路23内の液の循環を継続する。その後、供給側圧力調整タンク32内の圧力が適切な状態となると、供給側圧力調整タンク32から液体吐出ヘッド14への液の供給が十分にできるようになる。また、本実施形態では、供給側圧力調整タンク32から廃液タンク34へ直接液を排出できる排液流路24が設けられているため、液体吐出ヘッド14を経由することなく液を排出して圧力調整が可能である。また、排液流路24は、供給側圧力調整タンク32に直接接続されている場合に限らず、供給側圧力調整タンク32と液体吐出ヘッド14とを繋ぐ流路43に接続されていてもよい。すなわち、排液流路24は、第1流路21の途中に接続されていればよい。
【0051】
本実施形態では、液体吐出ヘッド14への初期充填を行った後、印刷などを行うことにより消費された液は、基本的に第1流路21を経由した供給側圧力調整タンク32から液の供給によって補充される。ただし、これに限らず、第2流路22を経由して、初期充填後の通常の液の補充を行ってもよい。その場合、第1流路21を経由する液の供給と、第2流路22を経由する液の供給を、同時に行ってもよいし、切り換えて別々のタイミングで行ってもよい。このように、第2流路22を用いた液の供給を、初期充填後の通常の液の補充においても行えるようにすることにより、供給側圧力調整タンク32から液体吐出ヘッド14への液の供給が円滑に行えない場合などに対応できるようになる。
【0052】
また、インクカートリッジ15内の液量が少なってくると、供給側圧力調整タンク32から液体吐出ヘッド14へ液を安定して供給するのに時間がかかる場合がある。そのような場合は、図5に示すフローチャートのように、第2流路22を経由した液の供給を行うとよい。
【0053】
具体的には、まず、インクカートリッジ15に収容されているインクの量が、あらかじめ設定された所定量Th1以上であるか否かを確認し、インクの量が所定量Th1以上であれば(図5のStep1で「YES」の場合)、第1流路21を経由して液体吐出ヘッド14へ液を供給する(図5のStep2)。そして、液体吐出ヘッド14にインクが必要な量供給されるまで、第1流路21を経由したインクの供給を行う(図5のStep3)。
【0054】
しかしながら、液体吐出ヘッド14へのインクの供給が完了していない状態で(図5のStep3で「NO」の場合)、インクカートリッジ15内のインクの量が上記所定量Th1未満となったときは(図5のStep1で「NO」の場合)、供給側圧力調整タンク32から液体吐出ヘッド14へ液を供給するのに時間がかかるようになる。従って、そのような場合は、第1流路21から第2流路22に切り換えてインクを液体吐出ヘッド14へ供給する(図5のStep4)。そして、液体吐出ヘッド14にインクが必要な量供給されるまで、第2流路22を経由したインクの供給を行う(図5のStep6)。
【0055】
このように、インクカートリッジ15内の液量が減少し、供給側圧力調整タンク32から液を安定して供給するのに時間がかかる場合は、第2流路22を経由した液の供給を行うことにより、液体吐出ヘッド14への液の供給を短い時間で行うことが可能である。
【0056】
また、供給側圧力調整タンク32内の液量が少なくなってきた場合も、圧力調整に時間がかかるため、供給側圧力調整タンク32から液体吐出ヘッド14へ液を供給するのに時間がかかる。従って、このよう場合も、第2流路22を経由した液の供給を行うとよい。
【0057】
具体的には、図6のフローチャートに示すように、供給側圧力調整タンク32に収容されているインクの量が、あらかじめ設定された所定量Th2以上であるか否かを確認し、インクの量が所定量Th2以上であれば(図6のStep1で「YES」の場合)、第1流路21を経由して液体吐出ヘッド14へ液を供給する。そして、液体吐出ヘッド14にインクが必要な量供給されるまで、第1流路21を経由したインクの供給を行う(図6のStep3)。
【0058】
しかしながら、液体吐出ヘッド14へのインクの供給が完了していない状態で(図6のStep3で「NO」の場合)、供給側圧力調整タンク32内のインクの量が上記所定量Th2未満となったときは(図6のStep1で「NO」の場合)、供給側圧力調整タンク32内の圧力調整に時間を要するため、供給側圧力調整タンク32から液体吐出ヘッド14へ液を供給するのに時間がかかるようになる。従って、そのような場合は、まず、供給側圧力調整タンク32と液体吐出ヘッド14とを繋ぐ流路43(図3参照)を閉鎖し、第1流路21を経由する(供給側圧力調整タンク32からの)液体吐出ヘッド14への送液を停止する(図6のStep4)。そして、その状態で、インクカートリッジ15から供給側圧力調整タンク32へインクを送る(図6のStep5)。その後、供給側圧力調整タンク32内のインクの量が上記所定量Th2以上となった場合に(図6のStep6で「YES」の場合)、上記流路43(第1流路21)を開放し、第2流路22を経由してインクを液体吐出ヘッド14へ送る(図6のStep7)。そして、液体吐出ヘッド14にインクが必要な量供給されるまで、第2流路22を経由したインクの供給を行う(図6のStep8)。
【0059】
このように、供給側圧力調整タンク32内の液量が減少し、供給側圧力調整タンク32から液を供給するのに時間がかかる場合は、第2流路22を経由した液の供給を行うことにより、液体吐出ヘッド14への液の供給を短い時間で行うことが可能である。
【0060】
図7は、本発明の他の実施形態の構成を示す図面である。
【0061】
図7に示す実施形態では、液体吐出ヘッド14に対して初期充填専用のインクカートリッジ40が装着可能に構成されている。初期充填専用のインクカートリッジ40は、第1流路21とは別の流路47(第2流路22)を介して液体吐出ヘッド14に接続される。このため、本実施形態では、図3に示す第1流路21から分岐する第2流路22は省略されている。また、初期充填専用のインクカートリッジ40と液体吐出ヘッド14とを繋ぐ流路47には、初期充填専用のインクカートリッジ40から液体吐出ヘッド14へ液を送る送液手段としての送液ポンプ58が設けられている。それ以外の構成は、基本的に上述の実施形態と同様である。
【0062】
この場合、初期充填専用のインクカートリッジ40から液体吐出ヘッド14へ直接液を供給することができ、第1流路21(バッファタンク31及び各圧力調整タンク32,33)を経由することなく液を供給することができる。このため、本実施形態においても、短い時間で液を液体吐出ヘッド14へ供給することが可能である。しかも、初期充填専用のインクカートリッジ40は、液体吐出ヘッド14の近くに設置されるため、インクカートリッジ40から液体吐出ヘッド14へ液を供給するための流路47(第2流路22)を短くすることが可能である。また、初期充填が完了し、インクカートリッジ40が空になった場合は、インクカートリッジ40は不要となるので、ユーザなどに空になったインクカートリッジ40の廃棄を促す通知を表示パネルなどにより行ってもよい。
【0063】
図8に、本発明のさらに別の実施形態を示す。
【0064】
図8に示す実施形態では、第2流路22の分岐部Xから合流部Yの間に、液体吐出ヘッド14への送液方向とは反対方向への液の逆流を防止する逆流防止部としての逆止弁39が設けられている。それ以外は、図3に示す実施形態と同様である。
【0065】
この場合、第2流路22に逆止弁39が設けられているため、第2流路22を経由して液体吐出ヘッド14へ液を供給した後に、供給側圧力調整タンク32から液体吐出ヘッド14へ液を供給しても、液が第2流路22の上流へ液が逆流することがない。このため、液体吐出ヘッド14への液の供給を確実に行うことができる。また、第2流路22への液の逆流を防止できるため、インクカートリッジ15内の液が無くなった場合に、第2流路22に設けられた第6送液ポンプ56によって液を送り、第2流路22内を空の状態にしておくことができる。すなわち、第2流路22内に液が無い状態で供給側圧力調整タンク32から液体吐出ヘッド14へ液が供給されたとしても、液が第2流路22の上流へ逆流することがない。このように、本実施形態においては、第2流路22内を空にして液を無駄なく使用することができる。また、第2流路22内に液が溜まったまま長時間放置された状態となるのを回避できるので、第2流路22内で液が固まったり、その後劣化した古い液が第2流路22から液体吐出ヘッド14へ供給されたりすることも防止できる。
【0066】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述の各実施形態の構成において、必要なければバッファタンク31や戻り側圧力調整タンク33を省略しても構わない。
【0067】
また、本発明に係る液吐出装置及び液供給方法は、図1に示すような構成の画像形成装置に限らず、図9図10に示すような画像形成装置にも搭載可能である。
【0068】
以下、図9及び図10に示す各画像形成装置の構成について説明する。なお、以下の説明では、主に上述の実施形態とは異なる部分について説明し、その他の部分については上述の実施形態と同様であるので適宜説明を省略する。
【0069】
図9に示す画像形成装置100は、上述の実施形態と同様の、原稿搬送装置1と、画像読取装置2と、画像形成部3と、シート供給装置4と、カートリッジ装着部5と、乾燥装置(加熱装置)6と、シート排出部7に加え、さらに手差しシート供給装置8を備えている。ただし、図9に示す画像形成部3は、図1に示す実施形態とは異なり、用紙Pが水平方向に対して斜めに搬送される搬送路80に対向するように配置されている。
【0070】
手差しシート供給装置8は、用紙を載置する載置部としての手差しトレイ48と、手差しトレイ48から用紙を給送する給送手段としての給紙ローラ49と、を有する。手差しトレイ48は、画像形成装置本体に対して開閉可能(揺動可能)に取り付けられている。手差しトレイ48が開いた状態(図9に示す状態)となることで、手差しトレイ48上に用紙を載置し、給送することができる。
【0071】
図9に示す画像形成装置100において、印刷動作開始の指示があると、シート供給装置4又は手差しシート供給装置8から用紙Pが供給され、用紙Pが画像形成部3へ搬送される。そして、用紙Pが画像形成部3へ搬送されると、液体吐出ヘッド14から用紙Pにインクが吐出されて画像が形成される。
【0072】
両面印刷を行う場合は、用紙Pが画像形成部3を通過した後、用紙Pが反対方向に搬送され、第1経路切換手段71により用紙Pが反転搬送路81へ案内される。用紙Pは、反転搬送路81を通過することにより、表裏反転された状態で再び画像形成部3へ搬送され、用紙Pの裏面に画像が形成される。
【0073】
片面あるいは両面に画像が形成された用紙Pは、乾燥装置6に搬送され、用紙P上のインクが乾燥される。なお、表面のインクの乾燥処理後に用紙Pの裏面に画像を形成する場合は、表面のインクの乾燥処理を行った後、乾燥装置6を迂回する搬送路を経由して用紙Pを乾燥装置6よりも用紙搬送方向上流側へスイッチバックさせ、反転搬送路81を介して用紙Pを再び画像形成部3へ案内することが望ましい。乾燥装置6を通過した用紙Pは、第2経路切換手段72によって、上段のシート排出部7へ向かう搬送路82か、下段のシート排出部7へ向かう搬送路83か、選択的に案内される。用紙Pが上段のシート排出部7へ向かう搬送路82へ案内された場合は、用紙Pは上段のシート排出部7へ排出される。一方、用紙Pが下段のシート排出部7へ向かう搬送路83へ案内された場合は、用紙Pが、第3経路切換手段73によって、下段のシート排出部7へ向かう搬送路84か、後処理装置200へ向かう搬送路85かへ、選択的に案内される。
【0074】
そして、用紙Pが下段のシート排出部7へ向かう搬送路84へ案内された場合は、用紙Pが下段のシート排出部7へ排出される。一方、用紙Pが後処理装置200へ向かう搬送路85へ案内された場合は、用紙Pが後処理装置200へ搬送され、用紙Pに後処理が行われる。
【0075】
続いて、図10に示す画像形成装置100は、図9に示す画像形成装置100と同様に、原稿搬送装置1と、画像読取装置2と、画像形成部3と、シート供給装置4と、カートリッジ装着部5と、乾燥装置(加熱装置)6と、シート排出部7にと、手差しシート供給装置8と、を備えている。なお、この場合、画像形成部3は、図1に示す実施形態と同様に、用紙Pが水平方向に搬送される搬送路86に対向するように配置されている。
【0076】
図10に示す画像形成装置100において、印刷動作開始の指示があると、シート供給装置4又は手差しシート供給装置8から用紙Pが供給され、用紙Pが画像形成部3へ搬送される。そして、用紙Pが画像形成部3へ搬送されると、液体吐出ヘッド14から用紙Pにインクが吐出されて画像が形成される。
【0077】
両面印刷を行う場合は、用紙Pが画像形成部3を通過した後、用紙Pが反対方向に搬送され、第1経路切換手段74により用紙Pが反転搬送路87へ案内される。用紙Pは、反転搬送路87を通過することにより、表裏反転された状態で再び画像形成部3へ搬送され、用紙Pの裏面に画像が形成される。
【0078】
片面あるいは両面に画像が形成された用紙Pは、第2経路切換手段75によって、乾燥装置6へ向かう搬送路88か、後処理装置200へ向かう搬送路89か、選択的に案内される。用紙Pが乾燥装置6へ向かう搬送路88へ案内された場合は、用紙P上のインクが乾燥装置6によって乾燥される。なお、表面のインクの乾燥処理後に用紙Pの裏面に画像を形成する場合は、表面のインクの乾燥処理を行った後、乾燥装置6を迂回する搬送路を経由して用紙Pを搬送路88の用紙搬送方向上流側(乾燥装置6よりも上流側)へスイッチバックさせ、反転搬送路87を介して用紙Pを再び画像形成部3へ案内することが望ましい。乾燥装置6を通過した用紙Pはシート排出部7へ排出される。一方、用紙Pが後処理装置200へ向かう搬送路89へ案内された場合は、用紙Pが後処理装置200へ搬送され、用紙Pに後処理が行われる。
【0079】
このような図9図10に示す画像形成装置100においても、上述の画像形成装置と同様に、バッファタンク31や各圧力調整タンク32,33を経由することなく液を液体吐出ヘッド14へ送ることができる第2流路22を備えることにより、短い時間で液体吐出ヘッド14へ液を供給できるようになる。
【0080】
本発明において、吐出される「液体」は、液体吐出ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、又は加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液などの用途で用いることができる。
【0081】
また、「液体吐出ヘッド」には、液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0082】
また、「液吐出装置」には、液体吐出ヘッドを駆動させて液を吐出する装置が含まれる。液吐出装置には、液が付着可能なものに対して液を吐出することが可能な装置だけでなく、液を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0083】
また、「液吐出装置」には、液が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0084】
例えば、「液吐出装置」として、インクを吐出して用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出する立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0085】
また、「液吐出装置」は、吐出された液によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターンなどを形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0086】
上記「液が付着可能なもの」とは、液が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液が付着するすべてのものが含まれる。
【0087】
また、上記「液が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液が一時的でも付着可能であればよい。
【0088】
また、「液吐出装置」には、液体吐出ヘッドと液が付着可能なものとが相対的に移動する装置がある。具体例としては、上述のような液体吐出ヘッドを移動させずに液を吐出するライン型の液吐出装置のほか、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型の液吐出装置などが含まれる。
【0089】
また、「液吐出装置」は、ノズルから用紙へ直接液を吐出する方式に限らず、図11に示すような、液体吐出ヘッド14からドラム状の回転体50にインクIを吐出し、表面にインクIが付着した回転体50を用紙Pに接触させることにより液を用紙Pに間接的に付与する方式のものであってもよい。
【0090】
また、「液吐出装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0091】
なお、本明細書における、画像形成、記録、印字、印刷、造形などはいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0092】
14 液体吐出ヘッド(液吐出部)
15 インクカートリッジ(第1液収容部)
20 液吐出装置
21 第1流路
22 第2流路
23 循環流路
24 排液流路
31 バッファタンク(第2液収容部)
32 供給側圧力調整タンク(圧力調整部)
33 戻り側圧力調整タンク(圧力調整部)
34 廃液タンク(液回収部)
38 流路切換部
39 逆止弁(逆流防止部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【文献】特開2003-159809号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11