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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/26 20060101AFI20240402BHJP
   B65H 31/02 20060101ALI20240402BHJP
   G03G 15/00 20060101ALN20240402BHJP
【FI】
B65H31/26
B65H31/02
G03G15/00 440
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020093441
(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公開番号】P2021187607
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】飛永 秀樹
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-106473(JP,U)
【文献】特開2017-197333(JP,A)
【文献】特開2017-197298(JP,A)
【文献】特開2002-255431(JP,A)
【文献】実開昭63-190249(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0313106(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/26
B65H 31/02
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成された媒体を排出しスタックさせるための媒体スタック部材と、前記媒体スタック部材に前記媒体を搬送するための媒体搬送手段と、前記媒体スタック部材の下流側に設けられた媒体ストッパ部材と、を有する媒体排出手段を備える画像形成装置において、
前記媒体ストッパ部材の下流側に、当該媒体ストッパ部材と略一体をなす延長スタック部材を備え
前記媒体ストッパ部材は、少なくともその一部が前記下流側に傾斜していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成された媒体を排出しスタックさせるための媒体スタック部材と、前記媒体スタック部材に前記媒体を搬送するための媒体搬送手段と、前記媒体スタック部材の下流側に設けられた媒体ストッパ部材と、を有する媒体排出手段を備える画像形成装置において、
前記媒体ストッパ部材の下流側に、当該媒体ストッパ部材と略一体をなす延長スタック部材を備え
前記媒体ストッパ部材の下部分を中心として、当該媒体ストッパ部材を前記下流側とは逆方向である上流側に回動させる付勢部材を有し、
前記媒体が前記付勢部材による付勢力をこえた搬送力で搬送されて前記媒体ストッパ部材に達した場合に、前記媒体ストッパ部材が前記下部分を中心として前記下流側に回動して傾斜し、前記搬送力が前記付勢力をこえなくなった場合に、前記傾斜した前記媒体ストッパ部材が前記付勢部材の付勢力により元の位置に戻ることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
画像形成された媒体を排出しスタックさせるための媒体スタック部材と、前記媒体スタック部材に前記媒体を搬送するための媒体搬送手段と、前記媒体スタック部材の下流側に設けられた媒体ストッパ部材と、を有する媒体排出手段を備える画像形成装置において、
前記媒体ストッパ部材の下流側に、当該媒体ストッパ部材と略一体をなす延長スタック部材を備え
前記媒体搬送手段は、前記媒体の先端が前記媒体ストッパ部材に達する際に、当該ストッパ部材の高さよりも前記媒体の先端が高い位置となるように調整可能に構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または3に記載の画像形成装置であって、
前記媒体ストッパ部材の下部分を中心として、当該媒体ストッパ部材を前記下流側とは逆方向である上流側に回動させる付勢部材を有し、
前記媒体が前記付勢部材による付勢力をこえた搬送力で搬送されて前記媒体ストッパ部材に達した場合に、前記媒体ストッパ部材が前記下部分を中心として前記下流側に回動して傾斜し、前記搬送力が前記付勢力をこえなくなった場合に、前記傾斜した前記媒体ストッパ部材が前記付勢部材の付勢力により元の位置に戻ることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記媒体ストッパ部材の下部分は、前記媒体のスタック面に対し略直角となるように形成され、前記媒体ストッパ部材の上部ほど、前記下流側に傾斜が大きくなっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項に記載の画像形成装置であって、
前記媒体搬送手段において、前記媒体に腰つけを行うための腰つけ手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、画像形成部から排出される用紙を積載するための用紙積載手段や、積載される用紙が積載手段から落下するのを防止するための様々な技術がある。例えば、特許文献1では、用紙のカールを抑えつつ用紙落下やページ狂いを防止する目的で、排紙ローラ対のニップ位置を幅方向に対して異なる高さにすることで用紙の腰を付ける構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1では、排紙される用紙に腰を付けることにより、用紙の落下の原因となるカールなどの発生を抑えているが、落下防止という点においては、防止策の一助にとどまり、直接的には落下を防止できていない。すなわち、特許文献1では、排紙トレイの積載面が、用紙を排出するための排紙ローラからリリースされた地点(搬送方向からみて最上流側がもっとも低く、下流に行くに従い高くなるように傾斜している構成を採用しているが、当該構成では、必ずしも排紙スタック上の不具合を防止しきれない。
【0004】
本発明は、従来よりも排紙スタック上の不具合を防止することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる画像形成装置は、画像形成された媒体を排出しスタックさせるための媒体スタック部材と、前記媒体スタック部材に前記媒体を搬送するための媒体搬送手段と、前記媒体スタック部材の下流側に設けられた媒体ストッパ部材と、を有する媒体排出手段を備える画像形成装置において、前記媒体ストッパ部材の下流側に、当該媒体ストッパ部材と略一体をなす延長スタック部材を備え、前記媒体ストッパ部材は、少なくともその一部が前記下流側に傾斜していることを特徴とする画像形成装置として構成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、従来よりも排紙スタック上の不具合を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】用紙が排紙トレイから落下する等の不具合を防止するための説明図。
図1B】用紙が排紙トレイから落下する等の不具合を防止するための説明図。
図1C】用紙が排紙トレイから落下する等の不具合を防止するための説明図。
図1D】用紙が排紙トレイから落下する等の不具合を防止するための説明図。
図1E】用紙が排紙トレイから落下する等の不具合を防止するための説明図。
図1F】用紙が排紙トレイから落下する等の不具合を防止するための説明図。
図1G】用紙が排紙トレイから落下する等の不具合を防止するための説明図。
図1H】用紙が排紙トレイから落下する等の不具合を防止するための説明図。
図2A】用紙のエンドフェンスとなる排紙ストッパの下流側に、当該エンドフェンスと一体となす延長スタック部を有した排紙部の構成例を示す図(基部垂直)。
図2B】用紙のエンドフェンスとなる排紙ストッパの下流側に、当該エンドフェンスと一体となす延長スタック部を有した排紙部の構成例を示す図(基部垂直)。
図2C】用紙のエンドフェンスとなる排紙ストッパの下流側に、当該エンドフェンスと一体となす延長スタック部を有した排紙部の構成例を示す図(基部傾斜)。
図2D】用紙のエンドフェンスとなる排紙ストッパの下流側に、当該エンドフェンスと一体となす延長スタック部を有した排紙部の構成例を示す図(基部傾斜)。
図2E】用紙のエンドフェンスとなる排紙ストッパの下流側に、当該エンドフェンスと一体となす延長スタック部を有した排紙部の構成例を示す図(基部傾斜)。
図3A】用紙のエンドフェンスとなる排紙ストッパの下流側に、当該エンドフェンスと一体となす延長スタック部を有した排紙部の構成例を示す図(基部湾曲)。
図3B】用紙のエンドフェンスとなる排紙ストッパの下流側に、当該エンドフェンスと一体となす延長スタック部を有した排紙部の構成例を示す図(基部湾曲)。
図4A】用紙のエンドフェンスとなる排紙ストッパの下流側に、当該エンドフェンスと一体となす延長スタック部を有した排紙部の構成例を示す図(基部回動)。
図4B】用紙のエンドフェンスとなる排紙ストッパの下流側に、当該エンドフェンスと一体となす延長スタック部を有した排紙部の構成例を示す図(基部回動)。
図4C】用紙のエンドフェンスとなる排紙ストッパの下流側に、当該エンドフェンスと一体となす延長スタック部を有した排紙部の構成例を示す図(基部回動)。
図5】延長スタック部の排紙面の変形例を示す図。
図6A】排紙ローラでの用紙腰つけについての説明図(側面方向)。
図6B】排紙ローラでの用紙腰つけについての説明図(側面方向)。
図6C】排紙ローラでの用紙腰つけについての説明図(側面方向)。
図6D】排紙ローラでの用紙腰つけについての説明図(側面方向)。
図6E】排紙ローラでの用紙腰つけについての説明図(幅方向)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態を説明する。本発明は、用紙排紙積載部を有した画像形成装置において、以下の特徴を有する。要するに、固定された排紙ストッパの下流に、排紙ストッパと一体をなす延長スタック部を持つことにより、小さいサイズの用紙は排紙ストッパにより落下が抑制され、大きいサイズの用紙は排紙ストッパの下流にある延長スタック部に積載されることが特徴になっている。上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。まず、上記特徴を説明する前に、従来から知られている一般的な構成について説明する。
【0009】
電子写真方式の画像形成装置において、画像形成装置の作像手段によって画像形成された用紙は、排紙トレイ(排紙積載部)に搬送され排出され、積載される。排紙トレイの積載面は、用紙を排出するための排紙ローラからリリースされた地点(搬送方向からみて最上流側がもっとも低く、下流に行くに従い高くなるように傾斜している。このことにより、いったん排紙された用紙は自重により、排紙トレイ上から飛び出して落下することなく、排紙トレイ内で整合される。
【0010】
近年は電子写真のダウンサイジングにより、排紙トレイの傾斜角が小さくなっており、そのことにより排紙部による高さを抑える場合がある。この場合、積載面の傾斜によって用紙の飛び出しを防止する機能が小さくなり、用紙が排紙トレイを飛び出して落下してしまう可能性が高くなる。このため、排紙トレイ20の最下流部に用紙規制用のエンドフェンスとなる排紙ストッパ13を設けることにより、用紙が排紙トレイ20から落下することを防止する。このとき、排紙ローラ10と従動ローラ11とのニップ部から排紙ストッパ13までの距離をL1、用紙長さをLとすると、L<L1<2Lとなるのが望ましい(図1A)。
【0011】
しかし、実際には上記の条件では不十分である。なぜなら、いったんスタックされた用紙に対して、後続用紙P3の先端が排紙される際に、スタックされた最上紙P1を押し出す場合があるためである。また、排紙ローラ対の上方に反転スイッチバックローラ対である反転従動ローラ12を持った機構の場合、スイッチバックしている用紙P3の端部が、スタックされた用紙P1の上部に接触することにより、当該用紙P1を押し出す場合があるためである(図1B)。
【0012】
押し出された用紙P1の後端の位置が、後述する位置Aになると、この後に排紙される用紙P2の先端が、前述の用紙P1の後端を、排紙ストッパ13よりもさらに下流となる方向Dに押し出す。これにより、用紙P1が排紙トレイ20を飛び出して用紙落下が発生する(図1C)。あるいは、スタック最上紙P1が押し出されなかった場合でも、後続の用紙P2の先端がスタック最上紙P1の後端に引っかかることによって用紙P2が丸まり(図1D)、排紙順の狂いあるいはジャムになる場合がある。ここで、位置Aは、排紙ローラ対から、用紙先端が排紙ローラによって搬送され排紙トレイに達するまでの搬送方向の距離とする(図1C図1D参照)。
【0013】
なお、この押し出し現象は、片面モードの場合でも発生することがあり得る(図1E)。片面モードの場合は、先行用紙P1を押し出す後続用紙P2が直ちに排出され、用紙P1の上に積載される。したがって、図1Fのように、排紙ローラから先行用紙P1の後端位置が、後続用紙P2が排出される前から上記位置Aより大きい値でない限り、本メカニズムによって用紙P1が押し出されて落下あるいは上記の問題が発生することはほとんどない。
【0014】
これらを踏まえ、排紙あるいは反転による用紙の押し出しが発生しても不具合を防止するためのL1の条件は、L<L1<L+Aとなる(図1G)。ここで、位置Aは、上記位置Aをあらわしている。
【0015】
ところで、画像形成装置に通紙する用紙は、長さや幅の異なる用紙を使うことがある。用紙長さが異なると、当然排紙部となる排紙ローラ10と従動ローラ11とのニップ部から排紙ストッパ13までの長さL1も変化するため、それぞれの用紙のサイズに応じた最適な位置に排紙ストッパ13が設けることができるよう、排紙ストッパ13が可動式になっているものや、あるいは用紙長さに応じた排紙ストッパ13が複数存在するものがある。
【0016】
このように、複数のサイズの用紙に応じて排紙ストッパを設けられているが、排紙ストッパを移動あるいは複数の排紙ストッパを切り替えて使用するといった構成は、ユーザによる操作を前提とするため、ユーザが用紙サイズに応じた操作をしないと効果を発揮できない。たとえば、A4SEF (Short Edge Feed)あるいはLetter(8 1/2”×11”・・・以下、LTと記す)SEFのマシンでは、LTと同じ幅で長さが長くなるLegal(8 1/2”×14”・・・以下LGと記す)も通紙可能であるケースが多い。しかし、マシンの小型化の要望、および、一般的にはA4SEFやLTSEFに比べてLGの使用頻度が明らかに低いなどの理由がある。そのため、マシンの幅、あるいは奥行きは、A4SEFに合わせてあり、LGを通紙する場合は、排紙ストッパ13に設けられた延長トレイを延ばし、その端部に設けられたエンドフェンスを立てて使用することが多い。ところが、LG通紙時にエンドフェンスの位置が変えないまま通紙を行うと、LG用紙がエンドフェンスを乗り越え、用紙が落下する場合がある(図1H)。
【0017】
また、LG通紙後に再びLTSEFを通紙する場合、かかる延長トレイの位置をLTの位置に戻すのをユーザが忘れてしまうと、L1>L+Aとなってしまうことがある。その場合、延長トレイが適切な位置にないため、図1Fあるいは図1Dにあるような状況と同じになり、用紙落下や用紙順の狂いとなってしまう。
【0018】
このように、ユーザ操作に依存するため、設計の意図に合わない操作をされたときに(LTSEFの位置にエンドフェンスがあるにもかかわらずLGを通紙する、あるいはLGの位置にエンドフェンスがあるにもかかわらずLTSEFを通紙する等)、発生する排紙スタック上の不具合を防止しきれない。
【0019】
このような問題点に鑑み、以下では、排紙ストッパ13の位置は、サイズの小さい方の用紙長さLs+Aを満たす位置とし、かつ、用紙排紙ストッパの下流側に、用紙排紙ストッパと一体をなす延長スタック部を持つことを特徴とした。かつ、排紙ストッパの、少なくとも一部の角度を傾斜させることとした。このような構成により、サイズの小さい方の用紙は排紙ストッパによって規制され、用紙落下を防ぐことが可能となり、サイズの大きい方の用紙は排紙ストッパ下流の延長スタック部に載せることが可能となる。したがって、用紙スタック時の位置が整合され、排紙ストッパの位置を動かしたり、複数の排紙ストッパを用いることなく、複数のサイズの用紙スタック整合性を改善することができる。
【0020】
図2Aは、本実施例において、用紙のエンドフェンスとなる排紙ストッパ13の下流側に、当該エンドフェンスと一体となす延長スタック部14を有した排紙部の構成例を示す図である。図2Aに示すように、排紙部では、サイズの小さい方の用紙はエンドフェンスである排紙ストッパ13によって規制され、用紙落下を防ぐことが可能となる。一方、サイズの大きい用紙は上記エンドフェンス下流の延長スタック部14にその先端が積載されることによって、用紙が落下することを防止することが可能となる。その結果、エンドフェンス位置を動かしたり、複数のエンドフェンスを用いることなく、複数のサイズの用紙スタックを改善することが可能となる。
【0021】
また、サイズの小さい用紙を確実に上記エンドフェンス内に収めるため、排紙ローラ10と従動ローラ11とのニップ部から上記エンドフェンスの位置までの距離をL1、サイズの小さい方の用紙長さをLs、用紙先端が排紙トレイ20に達するまでの距離をAとすると、排紙ストッパ13の位置は、L1=<Ls+Aを満たす位置とする(図2B)。当該Aの距離は紙種や繰り返し回数でも変動するが、レンジとして40mm~50mm(±20mm~25mm)の幅をもつ。したがって、設定としては上記距離Aのミニマム値を元に設定するのが望ましい。
【0022】
続いて、請求項2にかかる発明の一例について説明する。図2Aおよび図2Bにおけるエンドフェンスである排紙ストッパ13は、当該排紙ストッパ13より大きいサイズの用紙が排出された場合、排紙ローラ10と従動ローラ11とのニップ部である排紙ニップから上向きに排紙される。また、作像時点で画像面フェイスカールになる傾向がある。このため、エンドフェンスに引っかかることはほとんどないが、さらに、エンドフェンスである排紙ストッパ13の、少なくとも一部の角度を傾斜させる(図2C)。図2Cでは、排紙ストッパ13の上端が搬送方向下流側に傾斜した排紙ストッパ13aを例示している。このような構成により、サイズの小さい用紙は排紙トレイ20に達した後はトレイの下の方を通るため、エンドフェンスである排紙トレイ13の下部に当接する(図2C)。一方、サイズの大きい用紙はエンドフェンス13上部の傾斜した所に当接するため、エンドフェンスとの当接角度がさらに浅くなり、引っかかることなく下流の延長スタック部に載置される(図2D及び図2E)。
【0023】
このような構成によって用紙スタック時の位置が整合され、エンドフェンスの位置を動かしたり、複数のエンドフェンスを用いることなく、複数のサイズの用紙スタック整合性を改善することが可能となる。
【0024】
続いて、請求項3にかかる発明の一例について説明する。エンドフェンスである排紙ストッパ13の形状のバリエーションとしては、図3Aのように、エンドフェンスの基部13bはほぼ垂直で、上方ほど傾斜が大きくなる形状でもよい。すなわち、エンドフェンスの基部13bは、根元ほど垂直に近い角度であり、上方ほど排出方向の下流側に弧を描くような湾曲した形状となっている。これは図2C~2Eの構成において、さらなる効果向上を狙ったものである。すなわち、エンドフェンスとなる排紙ストッパ13の基部はほぼ直角のため、小さいサイズの用紙が確実にエンドフェンスに当接して停止する一方、大きいサイズはエンドフェンスの上の方に接触するが、接触角度が小さいためエンドフェンスの抵抗が小さくなり、その下流のスタック部に用紙が達する(図3B)。
【0025】
続いて、請求項4にかかる発明の一例について説明する。図4Aは、エンドフェンスである排紙ストッパ13がスプリングなどによって付勢されている構成に関する実施例である。エンドフェンスとなる排紙ストッパ13は、その下部を支点(支点P)にして回動可能になっていて、図の時計方向に付勢されている。用紙が上記エンドフェンスに達したときに、当該エンドフェンスである排紙ストッパ13は、用紙の慣性力により図4Bのように回動し、上記エンドフェンスが排紙方向の下流側に逃げる形になるため、用紙は搬送を遮られることなく、延長スタック部14に載置される。用紙先端がエンドフェンス部を抜けた後は、スプリングの復元力により上記エンドフェンスは元の位置(図4A)の位置に戻る。なお、小さいサイズの場合は、用紙は支点近くである上記エンドフェンスの下部に当接するため、上記エンドフェンスは回動せず、エンドフェンスとしての機能を保つことができる。
【0026】
図4Cは、図4Aおよび図4Bに示したエンドフェンスとなる排紙ストッパ13および延長スタック部14の、より詳細な模式図である。延長スタック部14と一体になっているエンドフェンスとなる排紙ストッパ13は、当該エンドフェンス内に設けられている支点13cを中心に回動する。排紙トレイ20の排紙方向下流側の端部である部位20aと、加圧部材16との間に圧縮スプリング15が懸架されている。図4C(a)が、図4Aの状態のときを表し、図4C(b)が、図4Bの状態を表している。図4Bのように、用紙先端がエンドフェンスとなる排紙ストッパ13に達した際、当該エンドフェンスは用紙の搬送による慣性力を受け、支点13cを中心に図4Cにおいて反時計回りのモーメントが発生し、圧縮スプリング15が圧縮される。このとき、エンドフェンスとなる排紙ストッパ13に対する用紙先端の当接角は小さくなり(図4B、4C(b))、用紙搬送に対する抵抗も小さくなることにより搬送性が向上する。用紙先端通過後は、圧縮スプリング15に蓄えられたエネルギーが放出されて復元し、上記エンドフェンスである排紙ストッパ13は、再び図4C(a)の状態に戻る。
【0027】
延長スタック部14は、図5のように、下流ほど排紙面が高くなるように傾斜した形状にすることも可能である。図5では、排紙面が排紙方向下流側ほど高い形状を有した延長スタック部14aを例示している。このような構成では、用紙が上流方向(図5の右方向)に、より戻りやすくなるため、用紙のより確実な落下防止およびスタック整合性を満たすことが可能となる。
【0028】
続いて、請求項5および請求項6にかかる発明の一例について説明する。エンドフェンスとなる排紙ストッパ13に対して、大きなサイズの用紙が排出される際、排紙される用紙の先端が、当該エンドフェンスよりも高い位置となるように排出位置を定めたり、その位置を変更可能とする。排出位置を変更可能とする構成は、排紙ローラ10と従動ローラ11とを上下にスライドさせることにより、排紙ローラ10と従動ローラ11とのニップ部を上下させるような一般的な構成を採用することができる。このような構成により、エンドフェンスとなる排紙ストッパ13に排出される用紙の先端が接触せず、直接、延長スタック部14の排出面に載置させることができる。
【0029】
さらに、用紙の先端を当該排出面に直接載置させる手段としては、排紙ローラ10と従動ローラ11とのニップ部から排出される用紙の排出角度を上方に大きくする等の方法もあるが、ここでは排紙ローラ10での用紙腰つけについて説明する。
【0030】
図6Aのように、小さいサイズ(用紙長さLs)が排出される際も腰つけはなされるが、エンドフェンスとなる排紙ストッパ13の位置は用紙長さLsより大きいため、エンドフェンスとなる排紙ストッパ13に用紙先端が達する前に用紙後端は排紙ローラ対を抜けており、腰つけは解除されている。そのため、用紙は排紙トレイ20の積載面に落下しており、上記エンドフェンスに用紙が達するときにはエンドフェンスの基部に当接し、用紙はここで停止する(図6A、6B)。
【0031】
一方、大きいサイズの用紙の場合は、用紙先端がエンドフェンスとなる排紙ストッパ13に達した時点でも、用紙後端が排紙ローラ対に挟持されており、腰つけ効果等により先端が上記エンドフェンスの上方にある(図6C)。そのため、上記エンドフェンスへ接触することなく延長スタック部14に達する。その後、用紙が排紙ローラ10からリリースされ、用紙が落下して延長スタック部14上に載置される(図6D)。排紙の腰つけ機構については、例えば、図6E(用紙幅方向から見た図)のように、対となる駆動側の排紙ローラ10、および対となる従動側の排紙ローラである排紙従動ローラ11に、フランジ11aを設ける方法等があるが、必ずしもこの構成でなくともよい。
【0032】
このように、本実施例によれば、画像形成部から排出される用紙を積載するための用紙積載手段および、積載される用紙が前記積載手段より落下するのを防止するための副走査方向の位置を規制するための規制手段に関し、エンドフェンスである排紙ストッパ13の排紙方向の下流側に、当該エンドフェンスと一体となす延長スタック部14を有した画像形成装置を例示した。
【0033】
すなわち、上記画実施例に示した画像形成装置では、画像形成された媒体である用紙を排出しスタックさせるための媒体スタック部材(例えば、排紙トレイ20)と、上記媒体スタック部材に上記媒体を搬送するための媒体搬送手段(例えば、排紙ローラ10と従動ローラ11)と、上記媒体スタック部材の下流側に設けられた媒体ストッパ部材(例えば、排紙ストッパ13)と、を有する媒体排出手段である排紙部において、上記媒体ストッパ部材の下流側に、当該媒体ストッパ部材と略一体をなす延長スタック部材(例えば、延長スタック部14)を備えることを特徴とする。これにより、従来よりも排紙スタック上の不具合を防止することが可能となる。
【0034】
また、上記媒体ストッパ部材は、少なくともその一部が上記下流側に傾斜させることとしてもよい。これにより、上述のように、用紙の種類に応じて、用紙落下等の排紙スタック上の不具合を防止することができる。
【0035】
また、上記媒体ストッパ部材の下部分は、上記媒体のスタック面に対し略直角となるように形成され、上記媒体ストッパ部材の上部ほど、上記下流側に傾斜が大きくなるように構成してもよい。これにより、さらに、小さいサイズの用紙が確実にエンドフェンスに当接して停止する一方、大きいサイズはエンドフェンスの上の方に接触するが、接触角度が小さいためエンドフェンスの抵抗が小さくなり、その下流のスタック部に用紙が達する。
【0036】
また、上記媒体ストッパ部材の下部分(例えば、支点13C)を中心として、当該媒体ストッパ部材を上記下流側とは逆方向である上流側に回動させる付勢部材(例えば、圧縮スプリング15)を有し、上記媒体が上記付勢部材による付勢力をこえた搬送力で搬送されて上記媒体ストッパ部材に達した場合に、上記媒体ストッパ部材が上記下部分を中心として上記下流側に回動して傾斜し、上記搬送力が上記付勢力をこえなくなった場合に、上記傾斜した上記媒体ストッパ部材が上記付勢部材の付勢力により元の位置に戻る。これにより、大サイズの用紙が排出されたときに、ストッパが瞬間的に逃げることにより、用紙はストッパの位置を乗り越え、ストッパ下流にある上記延長スタック部にスタックされる。
【0037】
また、上記媒体搬送手段は、上記媒体の先端が上記媒体ストッパ部材に達する際に、当該ストッパ部材の高さよりも上記媒体の先端が高い位置となるように、例えば、排紙ローラ10と従動ローラ11とを上下にスライドさせることにより、調整可能に構成されている。これにより、エンドフェンスである排紙ストッパ13に対して、大きなサイズの用紙が排出される際、当該エンドフェンスよりもその先端が高い位置に排出されるようにすることができ、当該エンドフェンスに先端が接触せず、直接、延長スタック部14のスタック面に載置させることができる。
【0038】
また、上記媒体搬送手段において、上記媒体に腰つけを行うための腰つけ手段(例えば、腰つけ用の排紙従動ローラフランジ部11a)が設けられていてもよい。用紙長さが一定以上長い場合には、用紙先端がストッパ位置に達しても、後端が排紙ローラ対あるいはその近傍の腰付け手段に挟持されているため、用紙の腰によって用紙先端がエンドフェンスの上方にあるため、エンドフェンスに接触することなく延長スタック部に達することができる。反面、小サイズ紙は、用紙後端が早く腰付け手段から抜けるため、用紙先端は速やかに排紙トレイ積載面に落下し、用紙サイズの長い紙のみを確実に延長トレイ部に導くことが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
10 排紙ローラ(排紙駆動ローラ)
11 排紙従動ローラ
11a 排紙従動ローラフランジ部(腰つけ用)
11b 排紙従動ローラ(フランジ無し)
12 反転従動ローラ
13 排紙ストッパ
13a 排紙ストッパ(傾斜)
13b 排紙ストッパ(徐々に傾斜)
13c 支点
14 延長スタック部
15 圧縮スプリング
16 加圧部材
20 排紙トレイ
20a 排紙トレイの一部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【文献】特開2010‐6599号公報
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E