(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】綴じ装置、後処理装置、及び、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/06 20060101AFI20240402BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240402BHJP
B65H 31/18 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65H37/06
B65H37/04 D
B65H31/18
(21)【出願番号】P 2020094262
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】浜田 裕太
(72)【発明者】
【氏名】木全 正薫
(72)【発明者】
【氏名】山崎 洋平
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-091927(JP,A)
【文献】特開2020-075800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/06
B65H 37/04
B65H 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から送入部を介して送入されたシートが複数重ねられてなるシート束に対して綴じ処理を施す綴じ処理部と、
前記綴じ処理部で綴じ処理が施されて外部に排出されたシート束が載置されるスタック部と、
を備え、
前記スタック部が前記送入部よりも上方に配置
され、
前記綴じ処理部で施される綴じ処理に要する消耗品が収容された消耗品カートリッジが着脱可能に設置され、
前記消耗品カートリッジと、前記消耗品カートリッジの着脱をおこなうときに開閉される開閉カバーと、がそれぞれ前記送入部よりも上方に配置され、
前記消耗品カートリッジの着脱をおこなうときに、前記開閉カバーの開閉を妨げない位置に前記スタック部を上昇又は下降させる昇降機構を備えたことを特徴とする綴じ装置。
【請求項2】
外部から送入部を介して送入されたシートが複数重ねられてなるシート束に対して綴じ処理を施す綴じ処理部と、
前記綴じ処理部で綴じ処理が施されて外部に排出されたシート束が載置されるスタック部と、
を備え、
前記スタック部が前記送入部よりも上方に配置され、
前記綴じ処理部は、シート束の中央部に綴じ処理を施す中綴じ処理部であって、
前記中綴じ処理部は、外部から前記送入部を介して送入されたシートが複数重ねられてなるシート束の端部に対して綴じ処理を施す端綴じ処理部よりも上方に配置されたことを特徴とする綴じ装置。
【請求項3】
前記スタック部は、前記端綴じ処理部で綴じ処理が施されて外部に排出されたシート束が載置される第2スタック部よりも上方に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の綴じ装置。
【請求項4】
前記綴じ処理部が前記送入部よりも上方に配置されたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の綴じ装置。
【請求項5】
前記綴じ処理部で綴じ処理が施されたシート束の中央部に折り処理を施す中折り処理部を備え、
前記中折り処理部が前記送入部よりも上方に配置されたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の綴じ装置。
【請求項6】
画像形成装置によって画像が形成された後に前記送入部から送入されたシートに対して後処理を施す後処理装置であって、
請求項1~請求項5のいずれかに記載の綴じ装置を備え、
所定枚数以上のシートを積載可能な大量積載スタック部が、前記送入部よりも下方に内設されたことを特徴とする後処理装置。
【請求項7】
画像形成装置によって画像が形成された後に前記送入部から送入されたシートに対して後処理を施す後処理装置であって、
請求項1~請求項5のいずれかに記載の綴じ装置を備え、
前記綴じ装置を前記送入部よりも下方に移動して内設可能に構成したことを特徴とする後処理装置。
【請求項8】
シートに画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置によって画像が形成されたシートに対して綴じ処理を施す請求項1~請求項5のいずれかに記載の綴じ装置、又は、請求項6又は請求項7に記載の後処理装置と、を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート束に対して綴じ処理をおこなう綴じ装置と、それを備えた後処理装置と、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機や印刷機などの画像形成装置を備えた画像形成システムと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置に接続された後処理装置において、シート束の端部に綴じ処理(端綴じ処理)を施す端綴じ処理部(中綴じステープル装置)と、シート束の中央部に綴じ処理(中綴じ処理)を施す中綴じ処理部(端縁ステープル装置)と、が設置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このような後処理装置では、端綴じ装処理部の下方であって、後処理装置の下部に中綴じ処理部が設置されている。
そして、ユーザーによって中綴じ処理及び中折り処理が選択されると、中綴じ処理部によって中綴じ処理が施されたシート束は、その後に、その中央部に中折り処理部によって折り処理(中折り処理)が施されて、後処理装置から排出されてスタック部(スタックトレイ)に載置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術は、綴じ装置としての中綴じ装置が床面に近い低い位置に設けられていたため、綴じ処理後のシート束が排出されて載置されるスタック部も床面に近い低い位置に設けられていた。そのため、ユーザーが綴じ処理後のシート束をスタック部から取り出すときに、しゃがむなど低い姿勢をとる必要があり、その作業性が良好ではなかった。
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、綴じ処理後のシート束をスタック部から取り出すときの作業性が良好な、綴じ装置、後処理装置、及び、画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明における綴じ装置は、外部から送入部を介して送入されたシートが複数重ねられてなるシート束に対して綴じ処理を施す綴じ処理部と、前記綴じ処理部で綴じ処理が施されて外部に排出されたシート束が載置されるスタック部と、を備え、前記スタック部が前記送入部よりも上方に配置され、前記綴じ処理部で施される綴じ処理に要する消耗品が収容された消耗品カートリッジが着脱可能に設置され、前記消耗品カートリッジと、前記消耗品カートリッジの着脱をおこなうときに開閉される開閉カバーと、がそれぞれ前記送入部よりも上方に配置され、前記消耗品カートリッジの着脱をおこなうときに、前記開閉カバーの開閉を妨げない位置に前記スタック部を上昇又は下降させる昇降機構を備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、綴じ処理後のシート束をスタック部から取り出すときの作業性が良好な、綴じ装置、後処理装置、及び、画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成システムを示す全体構成図である。
【
図5】変形例1としての、後処理装置を示す構成図である。
【
図6】変形例2としての、後処理装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0009】
まず、
図1にて、画像形成システム200の全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態において、画像形成装置1は、後処理装置50が着脱可能に設置されていて、後処理装置50とともに1つの画像形成システム200を構成している。
図1において、1は複写機として機能する画像形成装置、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基づいた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、を示す。
また、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像をシートPに転写する転写部(画像形成部)、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、を示す。
また、12、13は用紙等のシートPが収納された給送部、17は転写部7に向けてシートPを搬送するレジストローラ対(タイミングローラ対)、を示す。
また、20はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、を示す。
また、30はオモテ面に画像が形成された後のシートPを反転して画像形成部に向けて搬送する両面搬送部、49はプリント動作(画像形成動作)や後処理動作に関わる情報が表示されたり操作をおこなったりするための操作表示パネル、を示す。
また、50は画像形成装置1から排出されて搬入されたシートPに後処理を施す後処理装置、71~73は後処理後のシートP(又は、シート束)が排出されて積載されるスタック部(排出トレイ)、80は後処理装置50の内部に設置された中綴じ処理部、90は後処理装置50の内部に設置された端綴じ処理部、91、を示す。
【0010】
図1を参照して、画像形成装置1(画像形成システム200)における、通常の画像形成時(プリント時)の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0011】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、画像形成部としての転写部7で、レジストローラ対17により搬送されたシートP上に転写される。
【0012】
一方、転写部7(画像形成部)に搬送されるシートPは、次のように動作する。
まず、画像形成装置1の複数の給送部12~14のうち、1つの給送部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給送部12が選択されたものとする。)。
そして、給送部12に収納されたシートPの最上方の1枚が、搬送経路K1の位置に向けて搬送される。
【0013】
その後、シートPは、複数の搬送ローラが配設された搬送経路K1を通過して、レジストローラ対17の位置に達する。そして、レジストローラ対17の位置に達したシートPは、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。
【0014】
そして、転写工程後のシートPは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達したシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによって画像が定着される。画像が定着されたシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(ニップ部である。)から送出された後に、画像形成装置1から排出される。
【0015】
なお、シートPの両面(オモテ面とウラ面とである。)へのプリントをおこなう「両面プリントモード」が選択されている場合には、オモテ面への定着工程が終了したシートPは、上述した「片面プリントモード」が選択されているときのようにそのまま排出されることなく、両面搬送経路K2に導かれて、両面搬送部30で搬送方向が反転された後に、再び転写部7(画像形成部)の位置に向けて搬送される。そして、転写部7の位置で先に説明したものと同様の画像形成プロセスによってシートPのウラ面への画像形成がおこなわれ、その後に定着装置20での定着工程を経て、搬送経路を通過して、画像形成装置1から排出される。
【0016】
ここで、本実施の形態では、画像形成装置1に後処理装置50が接続されていて、画像形成装置1から排出されたシートPが後処理装置50に送入されて、送入されたシートPに対して後処理が施されることになる。
図1を参照して、本実施の形態における後処理装置50は、画像形成装置1から搬送されたシートPを3つの搬送経路K3、K4(K5)、K6(K7)のうちいずれかの搬送経路に搬送して、異なる後処理を施せるように構成されている。第1の搬送経路K3は、画像形成装置1から搬送されたシートPに、後処理を施すことなくそのまま装置外に排出して第3スタック部71に載置するための搬送経路である。第2の搬送経路K4、K5は、画像形成装置1から搬送されたシートPを内部トレイ61(
図2参照)に積載して、端綴じ処理部90によってシート後端への綴じ処理をおこない、処理後のシートP(シート束PT)を装置外に排出して第2スタック部72に載置するための搬送経路である。第3の搬送経路K6、K7は、画像形成装置1から搬送されたシートPを反転搬送経路K10(
図4参照)まで搬送してスイッチバックした後に、垂直搬送経路K7に搬送して中綴じ処理部80によるシート中央部への綴じ処理や、中折り処理部85による中折り処理をおこない、処理後のシートP(シート束PT)を装置外に排出して第1スタック部73に載置するための搬送経路である。
なお、複数の搬送経路K3~K7の切替は、分岐爪97~99(
図2参照)の切替動作(回動)によっておこなわれる。
【0017】
さらに詳しくは、
図2を参照して、後処理装置50の送入部としての送入口50aの近傍には、搬送ローラ51やシート検知センサ(不図示)が設置されていて、シート検知センサによって検知されたシートPが搬送ローラ51によって装置50内に送入される。そして、予めユーザーによって選択された後処理のモードに基づいて、シートPが所望の搬送経路に導かれるように第1分岐爪97が回動する。
後処理を施さないモードが選択されている場合、装置内に送入されたシートPは、第1分岐爪97による案内によって、そのまま真直ぐ搬送されて、その後に第2分岐爪98によって湾曲搬送経路K3に導かれて、装置外に排出されて第3スタック部71上に載置される。
【0018】
「ソートモード(仕分け処理モード)」が選択されている場合、装置内に送入されたシートPは、第1分岐爪97による案内によって、そのまま真直ぐ搬送されて、その後に第2分岐爪98によって直線搬送経路K4に導かれて、装置外に排出されて第2スタック部72上に載置される。このとき、直線搬送経路K4に搬送されたシートPは、幅方向(
図2の紙面垂直方向である。)に移動可能に構成された排出ローラ55によってシートPごとに所定量だけ幅方向にシフト移動されながら搬送されて、仕分けされた状態で第2スタック部72上に順次積載される。
【0019】
「端綴じ処理モード(端部ステイプルモード)」が選択されている場合、直線搬送経路K4に搬送されたシートPは、排出ローラ55によってシフト移動をおこなうことなく傾斜搬送経路K5に搬送されて、内部トレイ61上に順次積載される。そして、内部トレイ61上にシートP(シート束PT)が載置されると、そのたびに、そのシートPが不図示の搬送ローラによってエンドフェンス66(
図3参照)に向けて搬送される。これにより、複数枚のシートP(シート束PT)の後端(搬送方向後端)がエンドフェンス66に突き当たって、複数枚のシートPの搬送方向の位置が揃えられることになる。
【0020】
このとき、
図3を参照して、内部トレイ61の幅方向両端部に設置されたジョガーフェンス68(サイドフェンス)が、内部トレイ61上にシートPが載置されるたびに(又は、所望の枚数のシートPが積載された後に)、シートP(シート束PT)を挟み込むように幅方向に移動して、シートP(シート束PT)の幅方向の位置が揃えられることになる。そして、搬送方向と幅方向とがそれぞれ揃えられたシートP(シート束)の後端に対して、端綴じ処理部90によって綴じ処理が施されることになる。具体的に、基準位置に待機していた端綴じ処理部90が、移動機構によって幅方向に移動されて、所望の綴じ位置M1、M2で綴じ処理(ステイプル処理)をおこなうことになる。このような金属針を用いて綴じ処理をおこなう端綴じ処理部90として公知のものを用いることができる。
その後、綴じ処理が施されたシートP(シート束PT)は、傾斜搬送経路K5に沿って斜め上方に搬送されて、排出ローラ55による搬送によって外部に排出されて、第2スタック部72上に載置される。
【0021】
「製本処理モード(中綴じ処理&中折り処理モード)」が選択されている場合、
図2及び
図4を参照して、送入部としての送入口50aから装置内に送入されたシートPは、第1分岐爪97による案内によって、傾斜搬送経路K6に導かれて、複数の搬送ローラ52~54によって傾斜搬送経路K6から反転搬送経路K10まで搬送される。そして、シートPの後端が傾斜搬送経路K6を通過した後に、反転搬送経路K10に設置された搬送ローラ53、54が逆回転することで、反転搬送経路K10でシートPの搬送方向が反転される。そして、反転したシートPは、分岐爪99による案内によって、垂直搬送経路K7に導かれる。そして、シートPの先端(下端)がエンドフェンス82に突き当たる位置で、シートPの搬送方向の位置が揃えられる。さらに、垂直搬送経路K7における内部トレイの幅方向両端部に設置されたジョガーフェンス(サイドフェンス)が、内部トレイ上にシートPが載置されるたびに(又は、所望の枚数のシートPが積載された後に)、シートP(シート束PT)を挟み込むように幅方向に移動して、シートP(シート束PT)の幅方向の位置が揃えられることになる。そして、搬送方向と幅方向とがそれぞれ揃えられた所望のシート束PTの中央部(搬送方向中央部)に対して、中央綴じ処理部80によって綴じ処理が施されることになる。具体的な綴じ処理の手順は、シート束PTの中央部に綴じ処理を施す点を除き、先に
図3を用いて説明したものとほぼ同じである。また、中綴じ処理部80でおこなわれる綴じ処理も、端綴じ処理部90でおこなわれるものと同様に、金属針を用いておこなうものである。
【0022】
その後、中綴じ処理が施されたシート束PTは、不図示の移動機構によってエンドフェンス82が上下方向に移動することにより、その中央部(搬送方向中央部)が折りブレード86に対向する位置まで移動される。
そして、シート束PTは、
図2、
図4の左方に移動する折りブレード86によって中央部が折り込まれた状態で、その折込部が折り板87によって圧接されて、折り処理(中折り処理)が施されることになる。その後、中折り処理後のシート束PTは、装置外に排出されて、スタック部としての第1スタック部73に載置されることになる。
こうして、一連の製本処理モード(中綴じ処理&中折り処理モード)が完了する。
なお、上述した種々の後処理に関わるモードは、ユーザーが画像形成装置1の操作パネル49を操作することで選択される。
【0023】
以下、本実施の形態における後処理装置50に設置された綴じ装置100(製本処理装置)の、特徴的な構成・動作について詳述する。
先に
図2、
図4等を用いて説明した「製本処理モード」をおこなう部分は、綴じ装置100(製本処理装置)として機能する部分であって、
図2に示すように、後処理装置50における上部に設けられている。
すなわち、本実施の形態において、綴じ装置100(製本処理装置)は、画像形成装置1によって画像が形成された後に送入口50a(送入部)から送入されたシートPに対して後処理を施す後処理装置の上部に設置されている。
【0024】
そして、綴じ装置100(製本処理装置)には、先に説明したように、外部(画像形成装置1)から送入口50a(送入部)を介して送入されたシートPが複数重ねられてなるシート束PTに対して綴じ処理を施す綴じ処理部としての中綴じ処理部80が設けられている。この中綴じ処理部80は、シート束PTの中央部に綴じ処理を施す綴じ処理部である。
また、綴じ装置100(製本処理装置)には、先に説明したように、中綴じ処理部80(綴じ処理部)で綴じ処理が施されて外部(装置外)に排出されたシート束PTが載置されるスタック部としての第1スタック部73が設けられている。
【0025】
ここで、
図2を参照して、本実施の形態における綴じ装置100(製本処理装置)は、第1スタック部73(スタック部)が、送入部としての送入口50aよりも上方に配置されている。すなわち、第1スタック部73は、
図2の一点鎖線で示す位置よりも上方(白矢印で示す方向である。)に配置されている。
さらに具体的に、
図1を参照して、第1スタック部73は、原稿搬送部10や操作表示パネル49などと略同じ高さ位置に配置されている。
このような高さ位置は、平均的な身長のユーザー(操作者)の目線よりも下方であって、そのユーザーが立ったまま操作作業をおこなうことができる高さ位置である。
【0026】
このように、本実施の形態では、第1スタック部73が送入口50aよりも上方に配置されているため、第1スタック部73が送入口50aより下方に配置されている場合(特に、従来の装置のように、床面に近い位置に配置されている場合である。)に比べて、綴じ処理後(製本処理後)のシート束PTを第1スタック部73から取り出すときの作業性が向上することになる。すなわち、ユーザーは、しゃがむなど低い姿勢をとることなく、処理後のシート束PTを第1スタック部73から良好に取り出すことが可能になる。
【0027】
また、本実施の形態では、中綴じ処理部80(綴じ処理部)が送入口50a(送入部)よりも上方に配置されている。
すなわち、中綴じ処理部80は、
図2の一点鎖線で示す位置よりも上方(白矢印で示す方向である。)に配置されている。さらに具体的に、
図1を参照して、中綴じ処理部80は、原稿搬送部10や操作表示パネル49などと略同じ高さ位置に配置されている。
このように、本実施の形態では、中綴じ処理部80が送入口50aよりも上方に配置されているため、中綴じ処理部80が送入口50aより下方に配置されている場合(特に、従来の装置のように、床面に近い位置に配置されている場合である。)に比べて、サービスマンなどの作業者が、中綴じ処理部80のメンテナンスをおこなうときの作業性が向上することになる。すなわち、作業者は、しゃがむなど低い姿勢をとることなく、中綴じ処理部80のメンテナンスを良好におこなうことが可能になる。
【0028】
また、本実施の形態では、
図4に示すように、中綴じ処理部80(綴じ処理部)で施される綴じ処理に要する消耗品としての金属針が収容された消耗品カートリッジとしてのステイプラカートリッジ81が着脱可能に設置されている。
このステイプラカートリッジ81(消耗品カートリッジ)は、綴じ装置100に装着された状態で、不図示の押出し機構によってカートリッジ内の金属針を、綴じ処理のたびに中綴じ処理部80に1本ずつ供給するためのものである。そして、ステイプラカートリッジ81に収容された金属針がなくなると(針エンド状態になると)、その旨が操作表示パネル49に表示されることになる。そして、その表示を確認したユーザーは、破線で示す位置から実線で示す位置に自動(又は、手動)で開放された開閉カバー83によって露呈したステイプラカートリッジ81を取出して、その代りに新しいステイプラカートリッジ81を装着(交換)することになる。そして、新しいステイプラカートリッジ81が装着されると、開閉カバー83が再び破線で示す位置に自動(又は、手動)で閉鎖されることになる。
【0029】
ここで、
図2を参照して、本実施の形態では、ステイプラカートリッジ81(消耗品カートリッジ)と、ステイプラカートリッジ81の着脱をおこなうときに開閉される開閉カバー83と、がそれぞれ送入口50a(送入部)よりも上方に配置されている。
すなわち、ステイプラカートリッジ81と開閉カバー83とは、いずれも、
図2の一点鎖線で示す位置よりも上方(白矢印で示す方向である。)に配置されている。さらに具体的に、ステイプラカートリッジ81と開閉カバー83とは、いずれも、原稿搬送部10や操作表示パネル49などと略同じ高さ位置に配置されている。
このように、本実施の形態では、テイプラカートリッジ81と開閉カバー83とが送入口50aよりも上方に配置されているため、それらが送入口50aより下方に配置されている場合(特に、従来の装置のように、床面に近い位置に配置されている場合である。)に比べて、ステイプラカートリッジ81を交換するときの作業性が向上することになる。すなわち、ユーザーは、しゃがむなど低い姿勢をとることなく、開閉カバー83を開閉してステイプラカートリッジ81を良好に着脱することが可能になる。
【0030】
ここで、
図4を参照して、本実施の形態では、ステイプラカートリッジ81(消耗品カートリッジ)の着脱をおこなうときに、開閉カバー83の開閉を妨げない位置に第1スタック部73を上昇(又は、下降)させる昇降機構が設けられている。
詳しくは、昇降機構は、上下方向の離れた位置に配置された2つのプーリや、2つのプーリに張架・支持された昇降ベルト84や、2つのプーリのうち一方のプーリを回転駆動するモータ(正逆方向回転型モータ)、などで構成されている。また、第1スタック部73は、昇降ベルト84の所定位置に固定され、綴じ装置100において上下動可能に保持されている。そして、このように構成された昇降機構によって、モータが正方向に駆動されると第1スタック部73が上昇して、モータが逆方向に駆動されると第1スタック部73が下降することになる。
本実施の形態では、ステイプラカートリッジ81が針エンド状態になると、その状態が不図示のセンサによって検知されて、その旨が操作表示パネル49に表示されることになる。そして、昇降機構によって第1スタック部73が
図4の破線で示す位置から実線で示す位置に上昇されて、その後に開閉カバー83が破線で示す位置から実線で示す位置に開放されることになる。このとき第1スタック部73が上昇する高さ位置は、開閉カバー83の開閉を妨げない位置であって、開閉された開閉カバー83を介して装置内に装着されたステイプラカートリッジ81を充分に視認できる位置である。そのため、ステイプラカートリッジ81の交換作業性が向上する。
【0031】
ここで、先に
図2、
図4等を用いて説明したように、本実施の形態における綴じ装置100(製本処理装置)には、中綴じ処理部80で綴じ処理が施されたシート束PTの中央部に折り処理を施す中折り処理部85が設けられている。
そして、本実施の形態では、中折り処理部85が送入口50a(送入部)よりも上方に配置されている。
すなわち、中折り処理部85は、
図2の一点鎖線で示す位置よりも上方(白矢印で示す方向である。)に配置されている。さらに具体的に、
図1を参照して、中折り処理部85は、原稿搬送部10や操作表示パネル49などと略同じ高さ位置に配置されている。
このように、本実施の形態では、中折り処理部85が送入口50aよりも上方に配置されているため、中折り処理部85が送入口50aより下方に配置されている場合(特に、従来の装置のように、床面に近い位置に配置されている場合である。)に比べて、サービスマンなどの作業者が、中折り処理部85のメンテナンスをおこなうときの作業性が向上することになる。すなわち、作業者は、しゃがむなど低い姿勢をとることなく、中折り処理部85のメンテナンスを良好におこなうことが可能になる。
【0032】
また、先に
図2等を用いて説明したように、本実施の形態における後処理装置50には、外部(画像形成装置1)から送入口50a(送入部)を介して送入されたシートPが複数重ねられてなるシート束PTの端部(搬送方向端部)に対して綴じ処理を施す端綴じ処理部90が設けられている。
そして、本実施の形態では、中綴じ処理部80が端綴じ処理部90よりも上方に配置されている。すなわち、製本処理装置としての綴じ装置100は、端綴じ処理部90よりも上方に配置されている。
このように構成することで、中綴じ処理部80(綴じ装置100)が端綴じ処理部90より下方に配置されている場合(特に、従来の装置のように、床面に近い位置に配置されている場合である。)に比べて、サービスマンなどの作業者が、中綴じ処理部80(綴じ装置100)のメンテナンスをおこなうときの作業性が向上することになる。すなわち、作業者は、しゃがむなど低い姿勢をとることなく、中綴じ処理部80(綴じ装置100)のメンテナンスを良好におこなうことが可能になる。
特に、本実施の形態では、第1スタック部73(スタック部)は、端綴じ処理部90で綴じ処理が施されて外部に排出されたシート束PTが載置される第2スタック部72よりも上方に配置されている。そのため、綴じ処理後(製本処理後)のシート束PTを第1スタック部73から取り出すときの作業性が向上することになる。
【0033】
ここで、
図1、
図2等を参照して、本実施の形態における後処理装置50は、端綴じ処理部90や第2スタック部72が送入口50a(送入部)と略同じ高さ位置に配置されている。このような高さ位置は、平均的な身長のユーザー(操作者)の目線よりも下方であって、そのユーザーが立ったまま操作作業をおこなうことができる高さ位置である。
したがって、ユーザーは、しゃがむなど低い姿勢をとることなく、第2スタック部72に載置された処理後のシート束PT(又は、シートP)を良好に取り出すことが可能になる。また、作業者は、しゃがむなど低い姿勢をとることなく、端綴じ処理部90のメンテナンスを良好におこなうことが可能になる。
なお、本実施の形態において、端綴じ処理部90や第2スタック部72を送入口50a(送入部)よりも上方に配置することもできる。
【0034】
また、
図1、
図2等を参照して、本実施の形態における後処理装置50は、第3スタック部71が送入口50a(送入部)よりも上方に配置されている。
したがって、ユーザーは、しゃがむなど低い姿勢をとることなく、第3スタック部71に載置された処理後のシートPを良好に取り出すことが可能になる。
【0035】
<変形例1>
図5に示すように、変形例1における後処理装置50には、所定枚数(例えば、500枚である。)以上のシートPを積載可能な大量積載スタック部110が、送入口50a(送入部)よりも下方に内設されている。すなわち、大量積載スタック部110は、
図5の一点鎖線で示す位置よりも下方(黒矢印で示す方向である。)に配置されている。
この大量積載スタック部110は、画像形成装置1から送入口50aを介して後処理装置50に送入された画像形成後のシートP(又は、何らかのトラブルによって所望の画像形成がされなかった廃棄用のシートP)が、分岐搬送経路K9を介して搬送されて、昇降トレイ111上に大量に積載されるための装置である。昇降トレイ111は、積載されるシートPの枚数の増加に応じて昇降ベルト112(昇降機構)によって下降される。
このように送入口50aよりも下方に大量積載スタック部110を設けることで、後処理装置50において送入口50aよりも下方のスペースが無駄にならずに有効に利用されることになる。
【0036】
<変形例2>
図6に示すように、変形例2における後処理装置50は、綴じ処理装置100(製本処理装置)を送入口50a(送入部)よりも下方に移動して内設可能に構成されている。
詳しくは、サービスマンなどの作業者による作業によって、
図2、
図6(A)等に示すように、綴じ処理装置100(製本処理装置)が後処理装置50の上部に設置された第1の使用形態と、
図6(B)に示すように、綴じ処理装置100(製本処理装置)が後処理装置50の下部に設置された第2の使用形態と、を切替えられるようにしている。
第1の使用形態は、先に説明したように、第1スタック部73に載置されたシート束PTを取り出しやすいなどのメリットがあるが、後処理装置50の全体の高さが高くなってしまう。第2の使用形態は、上述したメリットがなくなってしまうものの、後処理装置50の全体の高さを低くすることができる。
このように、変形例2では、第1の使用形態と第2の使用形態とを切替可能に構成しているため、ユーザーの選択肢の幅が広がることになる。
なお、
図6(B)に示すように、第1の使用形態から第2の使用形態に切り替えられたとき、綴じ装置100(製本処理装置)における反転搬送経路K10が直線搬送経路K4の上流側に接続されることになる。そして、製本処理がおこなわれるときに、送入口50aから送入されたシートPが反転搬送経路K10を介して垂直搬送経路K7に直接搬送されて、その後に中綴じ処理部80や中折り処理部85によって製本処理が施されることになる。そして、製本処理後のシート束PTは、装置外に排出されて第1スタック部73に載置されることになる。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態における綴じ装置100(製本処理装置)は、外部から送入口50a(送入部)を介して送入されたシートPが複数重ねられてなるシート束PTに対して綴じ処理を施す中綴じ処理部80(綴じ処理部)と、中綴じ処理部80で綴じ処理が施されて外部に排出されたシート束PTが載置される第1スタック部73(スタック部)と、が設けられている。そして、第1スタック部73が送入口50aよりも上方に配置されている。
これにより、綴じ処理後のシート束PTを第1スタック部73から取り出すときの作業性が良好になる。
【0038】
なお、本実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に接続される後処理装置50(綴じ装置100)に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に接続される後処理装置(綴じ装置)に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に接続される後処理装置50(綴じ装置100)に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷機などである。)に接続される後処理装置(綴じ装置)に対しても当然に本発明を適用することができる。
さらには、画像形成装置1に接続された後処理装置50(綴じ装置100)ではなく、単独の装置としての後処理装置(例えば、送入口50aに給紙カセットがセットされていて、後処理装置自体に処理モード等を入力する操作表示パネルが設置されているものである。)に対しても、本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0039】
また、本実施の形態において、画像形成装置1と後処理装置50との間に、別の後処理装置(例えば、シートPに対してZ折り処理をおこなう装置である。)を設置することもできる。
また、本実施の形態では、製本処理と仕分け処理と端綴じ処理とをおこなうことができる後処理装置50に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、穿孔処理(パンチ処理)をもおこなう後処理装置や、上述した複数の処理のうち綴じ処理のみをおこなう後処理装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。
【0040】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0041】
なお、本願明細書等において「シート」とは、用紙はもちろんのこと、綴じ処理の対象となるすべてのシート状部材を含むものと定義する。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
50 後処理装置、
50a 送入口(送入部)、
71 第3スタック部、
72 第2スタック部、
73 第1スタック部(スタック部)、
80 中綴じ処理部(綴じ処理部)、
81 ステイプラカートリッジ(消耗品カートリッジ)、
83 開閉カバー、
84 昇降ベルト(昇降機構)、
85 中折り処理部、
90 端綴じ処理部、
100 綴じ装置(製本処理装置)、
110 大量積載スタック部、
200 画像形成システム、
P シート、 PT シート束。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】