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特許7463911シリコン単結晶基板の製造方法及びシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】シリコン単結晶基板の製造方法及びシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/20 20060101AFI20240402BHJP
   H01L 21/322 20060101ALI20240402BHJP
   C30B 29/06 20060101ALI20240402BHJP
   C30B 31/06 20060101ALI20240402BHJP
   C30B 33/02 20060101ALI20240402BHJP
   C30B 33/10 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01L21/20
H01L21/322 Y
C30B29/06 B
C30B29/06 A
C30B31/06
C30B33/02
C30B33/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020142956
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038444
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】曲 偉峰
(72)【発明者】
【氏名】井川 静男
(72)【発明者】
【氏名】砂川 健
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-043232(JP,A)
【文献】特開2018-190903(JP,A)
【文献】特開2010-034330(JP,A)
【文献】特開2009-200231(JP,A)
【文献】特開2010-010615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/20
H01L 21/322
C30B 29/06
C30B 31/06
C30B 33/02
C30B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に炭素拡散層を有するシリコン単結晶基板の製造方法であって、
シリコン単結晶基板を炭素含有ガス雰囲気でRTA処理することにより、前記シリコン単結晶基板の表面に炭素を付着させる工程と、
前記炭素と前記シリコン単結晶基板とを反応させて、前記シリコン単結晶基板の表面に3C-SiC単結晶膜を形成する工程と、
前記3C-SiC単結晶膜が形成されたシリコン単結晶基板を酸化性雰囲気中でRTA処理することにより、前記3C-SiC単結晶膜を酸化して酸化膜とするとともに前記シリコン単結晶基板中に炭素を内方拡散させる工程と、
前記酸化膜を除去する工程とを含むことを特徴とするシリコン単結晶基板の製造方法。
【請求項2】
前記シリコン単結晶基板の表面に炭素を付着させる工程において、前記RTA処理の温度を800℃未満とすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶基板の製造方法。
【請求項3】
前記シリコン単結晶基板の表面に3C-SiC単結晶膜を形成する工程において、炭素含有ガス雰囲気中で1150℃~1300℃のRTA処理を行い、前記シリコン単結晶基板の表面に7nm以下の厚さの3C-SiC単結晶膜を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコン単結晶基板の製造方法。
【請求項4】
前記3C-SiC単結晶膜を酸化して酸化膜とするとともに前記シリコン単結晶基板中に炭素を内方拡散させる工程において、酸素雰囲気で1150℃~1400℃、1~60秒のRTA処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶基板の製造方法。
【請求項5】
前記酸化膜を除去する工程において、水素雰囲気中で1150℃~1400℃、1~60秒のRTA処理により前記酸化膜のエッチングを行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶基板の製造方法。
【請求項6】
前記酸化膜を除去する工程において、0.1~5.0%のフッ化水素酸(HF水溶液)で10分未満のエッチングを行い、その後、純水でリンスを行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシリコン単結晶基板の製造方法。
【請求項7】
前記3C-SiC単結晶膜を酸化して酸化膜とするとともに前記シリコン単結晶基板中に炭素を内方拡散させる工程と前記酸化膜を除去する工程とを繰り返し行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のシリコン単結晶基板の製造方法。
【請求項8】
前記請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のシリコン単結晶基板の製造方法で製造したシリコン単結晶基板の上にエピタキシャル層を形成することを特徴とするシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に炭素拡散層を有するシリコン単結晶基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン単結晶基板表層に近接ゲッタリング能力を付与したり、スリップ転位を抑制したりすることを目的として、熱処理によりシリコン単結晶基板の表層に窒素や炭素を注入することが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、窒素含有ガス雰囲気でRTA処理することにより、スリップ転位を抑制することが開示されている。特許文献2には、表面から深さ方向への距離が5μm以下の何れかの位置における炭素濃度が飽和に達するように、炭素含有ガスを含んだ雰囲気中で熱処理することが開示されている。この場合の炭素濃度の飽和濃度は熱処理時の最高温度における炭素の固溶度であり、例えば、シリコンウェーハを1200℃で加熱した場合の炭素の飽和濃度は11×1016atoms/cmであることが記載されている。特許文献3には、炭素含有ガス雰囲気で熱処理を行うことにより表層に炭素拡散層を形成し、その上にエピタキシャル層を形成するエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-110685号公報
【文献】特開2018-190903号公報
【文献】特開2020-43232号公報
【文献】特開2016-111044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らが鋭意調査を行ったところ、特許文献1に記載されるような窒素をドープしたシリコン単結晶基板では、窒素の拡散係数が大きいため、外方拡散速度が高く、表層の窒素濃度を十分高くすることができないという問題があった。これに対し、炭素は拡散係数が小さく、表層の炭素濃度を高濃度にすることが可能となる。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載されるようなものでは不十分であり、スリップ転位をより確実に抑制するためには、飽和濃度より高い炭素拡散層を形成することが必要である。また、特許文献3に記載の炭素拡散層のピーク濃度は1×1018~1×1020atoms/cmと高濃度ではあるが、炭素拡散層の厚さが200nm以下であり、厚さが薄く、スリップ転位をより確実に抑制するためには不十分であった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、近接ゲッタリング能力を有し、かつ表面近傍の強度が高く、転位の発生や転位が伸展しにくいシリコン単結晶基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、表面に炭素拡散層を有するシリコン単結晶基板の製造方法であって、シリコン単結晶基板を炭素含有ガス雰囲気でRTA処理することにより、前記シリコン単結晶基板の表面に炭素を付着させる工程と、前記炭素と前記シリコン単結晶基板とを反応させて、前記シリコン単結晶基板の表面に3C-SiC単結晶膜を形成する工程と、前記3C-SiC単結晶膜が形成されたシリコン単結晶基板を酸化性雰囲気中でRTA処理することにより、前記3C-SiC単結晶膜を酸化して酸化膜とするとともに前記シリコン単結晶基板中に炭素を内方拡散させる工程と、前記酸化膜を除去する工程とを含むシリコン単結晶基板の製造方法を提供する。
【0009】
このようなシリコン単結晶基板の製造方法によれば、近接ゲッタリング能力を有し、かつ表面近傍の強度が高く、転位の発生や転位が伸展しにくいシリコン単結晶基板を製造できる。
【0010】
このとき、前記シリコン単結晶基板の表面に炭素を付着させる工程において、前記RTA処理の温度を800℃未満とするシリコン単結晶基板の製造方法とすることができる。
【0011】
これにより、短時間でより安定して十分な量の炭素をシリコン単結晶基板の表面に付着させることができる。
【0012】
このとき、前記シリコン単結晶基板の表面に3C-SiC単結晶膜を形成する工程において、炭素含有ガス雰囲気中で1150℃~1300℃のRTA処理を行い、前記シリコン単結晶基板の表面に7nm以下の厚さの3C-SiC単結晶膜を形成するシリコン単結晶基板の製造方法とすることができる。
【0013】
これにより、効率よく安定して3C-SiC単結晶膜を形成することができる。
【0014】
このとき、前記3C-SiC単結晶膜を酸化して酸化膜とするとともに前記シリコン単結晶基板中に炭素を内方拡散させる工程において、酸素雰囲気で1150℃~1400℃、1~60秒のRTA処理を行うシリコン単結晶基板の製造方法とすることができる。
【0015】
これにより、シリコン単結晶基板の表面に炭素濃度が1×1017atoms/cm以上、厚さ2μm以上の炭素拡散層を安定して形成することができる。
【0016】
このとき、前記酸化膜を除去する工程において、水素雰囲気中で1150℃~1400℃、1~60秒のRTA処理により前記酸化膜のエッチングを行うシリコン単結晶基板の製造方法とすることができる。
【0017】
これにより、前工程までのRTA処理に続けて同じ装置で行うことができるため、容易かつ生産性高く処理を行うことができる。
【0018】
このとき、前記酸化膜を除去する工程において、0.1~5.0%のフッ化水素酸(HF水溶液)で10分未満のエッチングを行い、その後、純水でリンスを行うシリコン単結晶基板の製造方法とすることができる。
【0019】
これにより、簡便に酸化膜を除去できるとともに、酸化膜が除去されたか否かの判断が容易にできる。
【0020】
このとき、前記3C-SiC単結晶膜を酸化して酸化膜とするとともに前記シリコン単結晶基板中に炭素を内方拡散させる工程と前記酸化膜を除去する工程とを繰り返し行うシリコン単結晶基板の製造方法とすることができる。
【0021】
これにより、確実に3C-SiC単結晶膜を除去することができる。
【0022】
このとき、前記シリコン単結晶基板の製造方法で製造したシリコン単結晶基板の上にエピタキシャル層を形成するシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法とすることができる。
【0023】
これにより、近接ゲッタリング能力を有し、かつ表面近傍の強度が高く、転位の発生や転位が伸展しにくいシリコンエピタキシャルウェーハを製造することができる。
【0024】
また、本発明は、表面に炭素拡散層を備えるシリコン単結晶基板であって、前記炭素拡散層は、炭素濃度が1×1017atoms/cm以上、厚さ2μm以上のものであるシリコン単結晶基板を提供することができる。
【0025】
このようなシリコン単結晶基板によれば、近接ゲッタリング能力を有し、かつ表面近傍の強度が高く、転位の発生や転位が伸展しにくいシリコン単結晶基板となる。
【0026】
このとき、前記シリコン単結晶基板における前記炭素拡散層の上にエピタキシャル層を備えるシリコンエピタキシャルウェーハとすることができる。
【0027】
このようなシリコンエピタキシャルウェーハによれば、近接ゲッタリング能力を有し、かつ表面近傍の強度が高く、転位の発生や転位が伸展しにくいシリコンエピタキシャルウェーハとなる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明のシリコン単結晶基板の製造方法によれば、近接ゲッタリング能力を有し、かつ表面近傍の強度が高く、転位の発生や転位が伸展しにくいシリコン単結晶基板を提供することが可能となる。本発明のシリコン単結晶基板によれば、近接ゲッタリング能力を有し、かつ表面近傍の強度が高く、転位の発生や転位が伸展しにくいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】炭素拡散層を有するシリコン単結晶基板の製造工程の概略を示す。
図2】シリコン単結晶基板中の炭素濃度の比較を示す。
図3】酸素雰囲気のRTA処理前後の、炭素濃度分布の比較を示した図である。
図4】酸素雰囲気でRTAを繰り返すことにより、炭素濃度分布がなだらかになる様子を示した図である。
図5】実施例1及び比較例1に係るシリコン単結晶基板の評価結果(SIMS、ローゼット試験)を示す。
図6】実施例2に係るシリコン単結晶基板のSEM観察結果を示す。
図7】実施例2に係るシリコン単結晶基板(熱処理温度:1150℃)のSIMS測定結果を示す。
図8】実施例2に係るシリコン単結晶基板(熱処理温度:1175℃)のSIMS測定結果を示す。
図9】実施例2に係るシリコン単結晶基板(熱処理温度:1200℃)のSIMS測定結果を示す。
図10】実施例3に係るシリコンエピタキシャルウェーハのSIMS測定結果を示す。
図11】実施例3に係るシリコンエピタキシャルウェーハのSEM観察結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
上述のように、近接ゲッタリング能力を有し、かつ表面近傍の強度が高く、転位の発生や転位が伸展しにくいシリコン単結晶基板が求められていた。本発明者らは、シリコン単結晶基板の表層として、固溶度以上の高い炭素濃度であり、かつ、2μm以上の厚い炭素拡散層を形成することで、上記課題を解決することが可能となることを見出した。そして、シリコン単結晶基板表面に3C-SiC単結晶膜を形成し、その後酸化処理を行うことにより、3C-SiC単結晶膜を酸化膜に変えると同時にシリコン基板表層に炭素を拡散させることで、炭素濃度が高く2μm以上の厚い炭素拡散層を形成することが可能となることを見出し、本発明を完成させた。
【0032】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、表面に炭素拡散層を有するシリコン単結晶基板の製造方法であって、シリコン単結晶基板を炭素含有ガス雰囲気でRTA処理することにより、前記シリコン単結晶基板の表面に炭素を付着させる工程と、前記炭素と前記シリコン単結晶基板とを反応させて、前記シリコン単結晶基板の表面に3C-SiC単結晶膜を形成する工程と、前記3C-SiC単結晶膜が形成されたシリコン単結晶基板を酸化性雰囲気中でRTA処理することにより、前記3C-SiC単結晶膜を酸化して酸化膜とするとともに前記シリコン単結晶基板中に炭素を内方拡散させる工程と、前記酸化膜を除去する工程とを含むシリコン単結晶基板の製造方法により、近接ゲッタリング能力を有し、かつ表面近傍の強度が高く、転位の発生や転位が伸展しにくいシリコン単結晶基板を製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0033】
また、本発明者らは、表面に炭素拡散層を備えるシリコン単結晶基板であって、前記炭素拡散層は、炭素濃度が1×1017atoms/cm以上、厚さ2μm以上のものであるシリコン単結晶基板により、近接ゲッタリング能力を有し、かつ表面近傍の強度が高く、転位の発生や転位が伸展しにくいシリコン単結晶基板となることを見出し、本発明を完成した。
【0034】
以下、図面を参照して説明する。
【0035】
(炭素拡散層を備えるシリコン単結晶基板)
まず、本発明に係る炭素拡散層を備えるシリコン単結晶基板について説明する。図1は、後述する本発明に係る炭素拡散層を有するシリコン単結晶基板の製造工程の概略を示す図であり、図1(E)に本発明に係るシリコン単結晶基板を示す。図1(E)に示すように、本発明に係るシリコン単結晶基板は、シリコン単結晶基板1の表面に炭素拡散層5を備えており、炭素拡散層5は、炭素濃度が1×1017atoms/cm以上、厚さ2μm以上のものである。このような炭素拡散層5を有するシリコン単結晶基板は、近接ゲッタリング能力を有し、かつ表面近傍の強度が高く、転位の発生や転位が伸展しにくいものである。
【0036】
炭素拡散層5における炭素濃度の上限や炭素拡散層5の厚さは、後述のとおり、RTA処理条件やRTA処理の回数により適宜調整することができ特に限定されないが、炭素濃度は、例えば1×1019atoms/cm以下とすることができる。また、厚さは、例えば5μm以下とすることができる。
【0037】
シリコン単結晶基板としては、結晶の欠陥領域、直径、導電性(型、抵抗率)等を問わず、どのようなものを使用することもできる。例えば、チョクラルスキー法によって成長させたシリコン単結晶インゴットからスライスして得たシリコン単結晶基板を使用することができる。半導体デバイスを表面に形成する基板として用いる場合は、デバイス特性を劣化させないように無欠陥領域のシリコン単結晶基板が好ましい。表面にエピタキシャル層を形成する基板として用いる場合は、特に、どのようなシリコン単結晶基板であってもよく、もちろん無欠陥領域のシリコン単結晶基板を使用することも可能である。
【0038】
(シリコンエピタキシャルウェーハ)
図1(F)に示すように、上記シリコン単結晶基板の炭素拡散層5の上にエピタキシャル層6を備えるシリコンエピタキシャルウェーハとすることも好ましい。このようなシリコンエピタキシャルウェーハは、表面に無欠陥のエピタキシャル層を有し、その直下に近接ゲッタリング機能を有する、転位の発生しにくいものである。
【0039】
(炭素拡散層を備えるシリコン単結晶基板の製造方法)
次に、本発明に係る炭素拡散層を有するシリコン単結晶基板の製造方法について説明する。図1に、本発明に係る炭素拡散層を有するシリコン単結晶基板の製造工程の概略を示す。
【0040】
<シリコン単結晶基板の準備工程>
まず、シリコン単結晶基板1を準備する(図1(A))。上述のように、本発明に係るシリコン単結晶基板1としては、どのようなシリコン単結晶基板であってもよい。
【0041】
<シリコン単結晶基板表面に炭素を付着させる工程>
次に、シリコン単結晶基板1の表面に炭素2を付着させるために、炭素含有ガス雰囲気でRTA処理を行う(図1(B))。これにより、後の工程で3C-SiC単結晶膜を形成することが可能となる。このときの炭素含有ガス雰囲気は、例えば、CH、C、CガスのいずれかとAr+Hの混合雰囲気とすることができる。このときの炭素濃度は0.5%以上、10%未満とすることが望ましい。また、RTA条件は、シリコン単結晶基板1の表面に炭素2を付着させることができる条件であれば特に限定されないが、低温条件、例えば、600℃以上、800℃未満、1~60秒とすることができる。
【0042】
一般的なRTA装置は、熱処理温度が600℃以上である。熱処理温度が600℃以上であれば、炭素を基板表面のシリコンに確実に付着、結合させることができる。このとき、熱処理温度が800℃以上になると、シリコンが基板表面からシリコンの蒸発が開始され、結合した炭素とシリコンが基板表面から脱失してしまい、炭素の付着が不安定となる恐れがあるため、安定して炭素を付着させるためには、800℃未満とすることが好ましい。このRTA処理により、シリコン単結晶基板表面に炭素を付着させることができる。
【0043】
<シリコン単結晶基板の表面に3C-SiC単結晶膜を形成する工程>
次に、炭素2とシリコン単結晶基板1のシリコンとを反応させて、シリコン単結晶基板1の表面に3C-SiC単結晶膜3を形成する(図1(C))。このとき、シリコン単結晶基板1の表面のシリコンと、シリコン単結晶基板1表面に付着させた炭素2が反応して単結晶化し、これが種結晶となってシリコン単結晶基板1の表面に薄い3C-SiC単結晶膜3が形成される。このときの処理条件は特に限定されず、炭素とシリコンとが反応して3C-SiC単結晶膜となる条件であればよい。例えば、炭素含有ガス雰囲気で、炭素を付着させる時よりも高温のRTA処理を行うことが可能である。RTA処理であれば、前の炭素を付着させる工程に続けて同じ装置内で処理できるため効率が良く、別の装置を用いるときのように装置間の移動に伴う汚染等の懸念もない。このときの炭素含有ガス雰囲気はシリコン単結晶基板の表面に炭素を付着させる工程と同じ条件とすることが好ましい。具体的なRTA条件としては、1150℃~1300℃、1~60秒とすることができる。このRTA処理により、シリコン単結晶基板表面に7nm以下の3C-SiC単結晶膜3が安定して形成される。シリコン単結晶基板1の表面に3C-SiC膜3が形成されると、それ以上シリコン単結晶基板1の表面のシリコンの炭化が進まなくなり、3C-SiC単結晶膜3の厚さは7nmが上限となる。
【0044】
<3C-SiC単結晶膜の酸化及び炭素を内方拡散させる工程>
次に、3C-SiC単結晶膜3が形成されたシリコン単結晶基板1を、酸化性雰囲気中でRTA処理することにより3C-SiC単結晶膜3を酸化して酸化膜4とするとともに、シリコン単結晶基板1中に炭素を内方拡散させる(図1(D))。この工程で3C-SiC単結晶膜3を酸化膜4に変化させることにより、後の工程で3C-SiC単結晶膜3が変換されてできた酸化膜4を除去しやすくなると同時に、3C-SiC単結晶膜3の炭素をシリコン単結晶基板1の表面から内方拡散させることで、シリコン単結晶基板1の表面に炭素濃度が1×1017atoms/cm以上、厚さ2μm以上の炭素拡散層5が形成される。このとき、表面から2μmの範囲のいずれかの位置に1×1018atoms/cm以上の炭素濃度のピーク値を有するシリコン単結晶基板とすれば、より好ましい。
【0045】
この工程のRTA条件は、例えば、酸素雰囲気、1150℃~1400℃、1~60秒とすることができる。このような条件であれば、シリコン単結晶基板1の表面に炭素濃度が1×1017atoms/cm以上、厚さ2μm以上の炭素拡散層5を、安定して形成することができる。
【0046】
このとき、1回のRTA処理で酸化膜に変化させることができる3C-SiC単結晶膜の厚さには限界があるため、1回のRTA処理で全て酸化することができず3C-SiC単結晶膜3が残った場合は、この酸化性雰囲気中でのRTA処理工程を繰り返し行ってもよい。
【0047】
この3C-SiC単結晶膜3中には、炭素が1022atoms/cmのオーダーの密度で存在している。そして、酸化性雰囲気中でのRTA処理により、3C-SiC単結晶膜3中の炭素がシリコン単結晶基板1中に内方拡散される。これは3C-SiC単結晶膜3が全て酸化膜4に変わるまで続くため、例えば1200℃の炭素の固溶度である3×1016atoms/cmより遥かに高い1×1018atoms/cm以上のピーク濃度の炭素拡散層5を表面に形成することができる。なお、このとき、3C-SiC単結晶膜が全て酸化膜に変化した後も継続してRTA処理が行われると、3C-SiC単結晶膜からの炭素の拡散がない状態で拡散が継続されるので、炭素濃度のピーク値が基板の内部に移行し、深さ方向の炭素濃度の分布がなだらかになる。
【0048】
図2に、シリコン単結晶基板中の炭素濃度の比較を示す。シリコン表面に3C-SiC単結晶膜が形成されると、3C-SiC/Si界面における炭素濃度は1022atoms/cm程度となり、RTA処理工程で炭素が濃度勾配によりシリコン基板側に内方拡散する。このとき固溶度より高い領域では、図2のAの領域のように炭素がクラスター化して析出する。さらにシリコン単結晶基板の内部では、図2のBの領域のように、炭素の固溶度を超えた炭素濃度の炭素拡散層が形成される。炭素は内方拡散で供給されるため、基板表面からの距離が大きくなるにつれて、炭素濃度が低くなる。一方、図2のCの領域は、特許文献2に記載されるような、炭素含有ガス雰囲気での熱処理により炭素拡散層を形成した場合を示しており、炭素拡散層中の炭素濃度を固溶度以上に高くすることができないことを示している。
【0049】
このように3C-SiC単結晶膜からシリコン単結晶基板1中に炭素を内方拡散させることで、炭素拡散層5の炭素濃度が固溶度以上となり、かつ高濃度の炭素拡散層5を厚く形成することができる。
【0050】
このとき、炭素拡散層を備えたシリコン単結晶基板をシリコンエピタキシャルウェーハの基板として用いる場合は、炭素濃度のピーク値は基板表面に近い方が好ましい。また、炭素拡散層を備えたシリコン単結晶基板をデバイス形成用のシリコン単結晶基板として用いる場合は、表面に無欠陥のDZ層を形成し、その直下に炭素濃度のピーク値が存在するようにすることが好ましい。炭素濃度のピーク値をどの位置に形成するかは、RTA条件で決定されるので、シリコン単結晶基板の用途に応じて最適なRTA条件を決定することができる。図3は酸素雰囲気のRTA処理前後の表面近傍の炭素濃度を比較した図であり、酸化性雰囲気中でRTA処理することにより、高濃度の炭素が拡散した様子を示した図である。図4は酸素雰囲気でRTAを繰り返すことにより、炭素がさらに内部に拡散し、炭素濃度分布がなだらかになる様子を示した図である。
【0051】
<酸化膜の除去工程>
次に、酸化膜4を除去する(図1(E))。酸化膜4を除去するときの処理方法は特に限定されないが、以下のような方法により除去することができる。
【0052】
第1の酸化膜除去方法として、水素(H)雰囲気のRTA処理で酸化膜をエッチング除去する方法が挙げられる。具体的なRTA条件としては、H雰囲気で1150℃~1400℃、1~60秒の処理を行うことができる。このようなRTA処理により酸化膜を除去する方法であれば、3C-SiC単結晶膜の酸化及び炭素の拡散工程を行ったRTA装置を用いて引き続き酸化膜除去の処理を行うことができるのでより、簡便である。但し、この方法では、RTA処理装置から取り出した後のシリコン単結晶基板を目視で観察しても、酸化膜を完全に除去できたかどうかが分からないため、その後、フッ化水素酸(HF水溶液)によるエッチングを行うことがより好ましい。
【0053】
このときのRTA処理でも、表面に形成された炭素拡散層中の炭素は再拡散するので、目標とする深さに炭素拡散層が形成されるように、上述の酸素雰囲気のRTA処理の条件及びその後の水素雰囲気のRTA条件を決定することが好ましい。なお、3C-SiC単結晶膜が完全に酸化膜に変換されずにまだ存在している場合には、この酸化膜をエッチング除去する工程においても、3C-SiC単結晶膜から炭素の拡散が継続される。
【0054】
上記水素雰囲気のRTA処理に代わる第2の酸化膜除去方法として、フッ化水素酸(HF水溶液)を用いた湿式処理により酸化膜を除去することもできる。例えば、0.1~5.0%のフッ化水素酸(HF水溶液)で10分未満のエッチングを行い、その後、純水でリンスを行うこととすることもできる。この方法では炭素拡散層の炭素を再拡散させることがなく、また、シリコン単結晶基板表面が疎水面になっていることを容易に確認することができるため、3C-SiC単結晶膜の残留がなく、かつ酸化膜が完全に除去できていることを確認する方法として好適である。
【0055】
上述のように、上記第1の酸化膜除去方法(水素雰囲気のRTA処理)と上記第2の酸化膜除去方法(フッ化水素酸の湿式処理)とを組み合わせることもできる。例えば、水素雰囲気のRTA処理を行い、RTA処理装置からシリコン単結晶基板を取り出した後に、フッ化水素酸(HF水溶液)を用いたエッチングを行うと、酸化膜が完全に除去されたことを目視で確認することも有効である。
【0056】
なお、3C-SiC単結晶膜の酸化及び炭素の拡散工程において、3C-SiC単結晶膜を全て酸化膜に変化させることができず、3C-SiC単結晶膜が残っている場合は、酸化膜に変化した分だけ酸化膜を除去した後、再度、残った3C-SiC単結晶膜を酸化膜に変化させた後、酸化膜を除去する工程を行うことが好ましい。この場合、3C-SiC単結晶膜の酸化及び炭素の拡散工程を繰り返すことでも炭素拡散層の炭素濃度のピーク値やピーク位置が変化するので、これらの影響を考慮してRTA条件を決定することが好ましい。
【0057】
以上のように、基板表面に形成された全ての3C-SiC単結晶膜を酸化膜に変化させ、この酸化膜を除去することで、基板表面に固溶度より高い炭素濃度を有する炭素拡散層を厚く形成することができる。これにより、表面に無欠陥のDZ層を有し、その直下に近接ゲッタリング機能を有する転位の発生しにくい高い基板強度を有するシリコン単結晶基板とすることができる。
【0058】
なお、酸化膜を除去したシリコン単結晶基板の両面を研磨(DSP)すると、より平滑な表面とすることができるため好ましい。
【0059】
<エピタキシャル層の形成工程>
上記のようにして得られた、表面に炭素拡散層5を有するシリコン単結晶基板1の上に、所望の導電型、抵抗率、厚さのエピタキシャル層6を形成することができる(図1(F))。これにより、シリコン単結晶基板1とエピタキシャル層6の界面近傍に固溶度より高く厚い炭素濃度を有する炭素拡散層5を有するシリコンエピタキシャルウェーハとすることができる。このようにして、表面に無欠陥のエピタキシャル層を有し、その直下に近接ゲッタリング機能を有する、転位の発生しにくいシリコンエピタキシャルウェーハが得られる。
【実施例
【0060】
以下、実施例を挙げて本発明について具体的に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【0061】
(実施例1)
以下に示すようなシリコン単結晶基板を準備した。
直径:200mm、(100)、P型、抵抗率14~25Ω・cm
酸素濃度:11、13ppma(JEITA)
結晶領域:NPC領域(無欠陥領域)
【0062】
次に、シリコン単結晶基板の表面に炭素を付着させるRTA処理を行った。RTA処理条件は、CH/Ar+H(炭素濃度1.4%)雰囲気、室温から800℃に昇温、800℃で20sec保持とした。
【0063】
次に、シリコン単結晶基板の表面に付着した炭素をシリコン単結晶基板のシリコンと反応させて、3C-SiC単結晶膜に変化させるRTA処理を行った。RTA処理条件は、CH/Ar+H(炭素濃度1.4%)雰囲気、1200℃で10secとした。これにより、表面に2nmの3C-SiC単結晶膜を形成した。
【0064】
次に、3C-SiC単結晶膜を酸化するとともに炭素を拡散させるためのRTA処理を行った。RTA処理条件は、O雰囲気、1250℃、30secとした。
【0065】
次に、酸化膜を除去するRTA処理及び湿式エッチングを行った。RTA処理条件は、H雰囲気、1250℃、30secとした。RTA処理の後、2%フッ化水素酸(HF/HO)で5分間エッチングした。その結果、基板表面が親水面であることが確認され、まだ、3C-SiC単結晶膜が残っていることが確認された。
【0066】
そこで、2回目の3C-SiC単結晶膜の酸化及び炭素の拡散処理を行った。RTA処理条件は、O雰囲気、1250℃、30secとした。
【0067】
次に、2回目の酸化膜の除去処理を行った。2%フッ化水素酸(HF/HO)で5分間エッチングし、ウエーハ表面が疎水面を有することを確認することで、表面の3C-SiC単結晶膜及び酸化膜が除去されたことを確認した。
【0068】
上記のようにして得た、表面に炭素拡散層を有するシリコン単結晶基板を、ローゼット試験により評価した。ローゼット試験は、特許文献4に記載された評価方法である。この評価方法は、評価対象である基板の表面に打痕を形成することで、基板の表層に歪を加える。その後熱処理を行い、転位を伸長させ、転位の長さ(ローゼット長)を測定する。転位の長さが短いほど、転位の発生、伸長を抑制する能力が高いものと判断できる評価方法である。
【0069】
本実施例におけるローゼット試験の条件は、打痕深さを1μmとし、打痕後、Ar雰囲気で900℃/1hrの熱処理を行い、転位の長さを測定した。また、表面から1μmの位置の炭素濃度をSIMSで測定し、炭素濃度と転位の長さとの関係を求めた。その結果、図5に示すように、酸素濃度に関係なく、炭素濃度が高くなるほど、転位の長さが短くなることが確認された。なお、図5において縦軸の炭素濃度は、表面の非常に高い値を除いた1μmまでの平均値を示す。
【0070】
(比較例1)
炭素ドープ量が1×1014atoms/cmの炭素ドープシリコン単結晶基板を用いて、実施例1と同様のローゼット試験を行った。比較例1の基板の評価結果は、図5中の■、▲で示されているように、転位の長さが極めて長い結果となった。つまり、実施例1における表面に炭素拡散層を有するシリコン単結晶基板は表面近傍の炭素濃度が高いため、炭素濃度が1×1014atoms/cmである比較例1の炭素ドープシリコン単結晶基板と比較して、転位の発生、伸長を抑制する能力が極めて高いものであることがわかる。
【0071】
(実施例2)
次に、本発明に係る表面に炭素拡散層を有するシリコン単結晶基板の基板表層のゲッタリング能力を確認した。使用したシリコン単結晶基板は、以下のとおりである。
直径:200mm、(100)、P型、抵抗率14~25Ω・cm
酸素濃度:13ppma(JEITA)
結晶領域:NPC領域(無欠陥領域)
【0072】
酸素雰囲気のRTA処理において、熱処理温度を1150℃、117℃、1200℃、10secとした以外は実施例1と同様の条件で、表面に炭素拡散層を有するシリコン単結晶基板を得た。これに酸素析出熱処理(650℃/4hr in N+800℃/4hr in N+1000℃/16hr in O)を施し、酸素析出を評価した。反応性イオンエッチングで断面を露出させてSEM観察(以下、「RIE+SEM」という)の評価を行った結果を図6に示す。この評価から、シリコン単結晶基板の表面近傍に酸素析出層が形成されたことを確認できた。
【0073】
また、図7~9に実施例2に係るシリコン単結晶基板(熱処理温度:1150℃、117℃、1200℃)のSIMS測定結果を示す。図7~9に示すSIMS測定による評価から、シリコン単結晶基板の表層に約1μmのDZ層が形成されていることがわかった。さらに、酸素析出領域には炭素と酸素のピーク値が存在することが確認された。
【0074】
(実施例3)
実施例1で得た、表面に炭素拡散層を有するシリコン単結晶基板上にエピタキシャル層を形成した。使用したシリコン単結晶基板は、以下のとおりである。
直径:200mm、(100)、P型、抵抗率14~25Ω・cm
酸素濃度:11ppma(JEITA)
結晶領域:NPC領域(無欠陥領域)
【0075】
3C-SiC単結晶膜に変化させるRTA処理を1175℃/10sec、1.4% CH/Ar+Hで行った以外は、実施例1と同じ条件で表面に炭素拡散層を形成し、その後、成膜温度を1130℃として、厚さ4μm狙いでSiエピタキシャル膜を成長し、その後、650℃/4hr in N+800℃/4hr in N+1000℃/4hr in Oの酸素析出熱処理を行った。
【0076】
酸素析出熱処理工程後のウエーハ表面近傍の炭素及び酸素の濃度変化をSIMSで評価した。また、RIE+SEMにより酸素析出熱処理後の酸素析出を評価した。その結果、図10に示すSIMS測定による評価から、シリコン単結晶基板とエピタキシャル層の界面付近に、厚さ約2μm、1×1017atoms/cmを超える炭素拡散領域が形成されていることが確認できた。また、図11のRIE+SEM観察結果に示すように、炭素拡散領域に酸素析出層が形成されていることが確認された。
【0077】
以上のとおり、本発明の実施例によれば、転位の発生、伸長を抑制する能力が極めて高く、シリコン単結晶基板の表面近傍に酸素析出層を形成することが可能な、表面に炭素拡散層を備えたシリコン単結晶基板及びシリコンエピタキシャルウェーハを得ることができることがわかった。
【0078】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0079】
1…シリコン単結晶基板、 2…炭素、 3…3C-SiC単結晶膜、
4…酸化膜、 5…炭素拡散層、 6…エピタキシャル層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
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