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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】加工粉回収装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 57/02 20060101AFI20240402BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20240402BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240402BHJP
   B03C 5/00 20060101ALI20240402BHJP
   B03C 5/02 20060101ALI20240402BHJP
   B01D 57/02 20060101ALI20240402BHJP
   B24B 7/04 20060101ALN20240402BHJP
【FI】
B24B57/02
B23Q11/10 E
B23Q11/00 U
B03C5/00 Z
B03C5/02
B01D57/02
B24B7/04 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020046296
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021146418
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 聡
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-056553(JP,A)
【文献】特開2016-049506(JP,A)
【文献】特開2014-124576(JP,A)
【文献】特開2004-122314(JP,A)
【文献】特開2000-189834(JP,A)
【文献】特開平04-059001(JP,A)
【文献】特開平07-326350(JP,A)
【文献】特開2002-333271(JP,A)
【文献】特開平09-141133(JP,A)
【文献】特開平05-277595(JP,A)
【文献】実開平04-128142(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B53/00-57/04
B23Q11/00-13/00
B03C3/00-11/00
B01D35/06
B01D43/00
B01D57/00-57/02
B24B5/00-7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工液と砥粒とを用いて被加工物を削った際に排出される加工屑を含んだ廃液を水槽に溜め、該水槽に溜めた該廃液内に付着板を水没させ、該加工屑を付着させた該付着板を該水槽から取り出す事によって該廃液から該加工屑を取り除く廃液処理装置の該付着板から剥ぎ取った水分を含んだ該加工屑を乾燥させた加工粉を回収する加工粉回収装置であって、
該廃液処理装置は、
該付着板を保持する保持部と、該保持部を上下移動させる上下移動機構と、該保持部に保持された該付着板から水分を含んだ該加工屑を剥ぎ取る剥ぎ取り機構とを備え、
該剥ぎ取り機構は、水平方向に平行に隙間を開けて2本延在し互いが向かい合うように形成された噴射口を備える2本のエアノズルと、2本の該エアノズルとエア源とを連通する配管に配設されるバルブと、該バルブの開閉の制御と2本の該エアノズルの間の該隙間において該付着板を上下方向に移動させるための該上下移動機構の制御とを少なくとも行う制御手段と、を備え、
該制御手段は、平行な2本の該エアノズルの間の該隙間に、該保持部によって保持された該付着板を進入させた後、該付着板を上昇させる際に該バルブを開き、該付着板の一方の面、及び他方の面に対し該噴射口から噴射したエアの風圧によって、非接触で該付着板に付着した該加工屑を剥ぎ取り、
該加工粉回収装置は
該剥ぎ取り機構によって該付着板から剥ぎ取った該加工屑を乾燥させる乾燥機構を備え、
該乾燥機構は、該剥ぎ取り機構によって剥ぎ取られた該加工屑を載置し、水平方向に該加工屑を移動させる搬送ベルトと、該搬送ベルトによって搬送された該加工粉を回収する回収ボックスと、該搬送ベルトの上部を覆い該搬送ベルトの延在方向に延在する乾燥室と、を備え、
該乾燥室は、該搬送ベルトの一方の端側に配設され該加工屑を投入するための投入口と、該剥ぎ取り機構のエアノズルから噴射され該投入口から該加工屑とともに該乾燥室内に投入されたエアを排気するために該搬送ベルトの他方の端側に配設される排気口と、を備え、
該エアノズルが噴射したエアが該乾燥室内を該投入口から該排気口に向かう方向に流れることによって該搬送ベルトに載置した水分を含んだ該加工屑を乾燥させた該加工粉を回収する加工粉回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液から加工屑を取り除く廃液処理装置、及び取り除かれた加工屑を乾燥させた加工粉を回収する加工粉回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研削水を加工点等に供給しつつ研削砥石で被加工物を研削する研削加工においては、研削により発生した研削屑が研削水に含まれた研削廃液を、特許文献1に開示されているような廃液処理装置の水槽に貯めて、水槽内で研削廃液の研削屑を付着板に付着させ、付着板を水槽内の研削廃液から取り出すことで、研削廃液から研削屑を取り除き、研削屑が取り除かれた研削廃液を例えば特許文献2に開示されているような加工液再生装置で再生してから研削装置で再使用している。
【0003】
特許文献1に開示されているような廃液処理装置は、水槽に陰極板と陽極板とを交互に配置し、例えば、被加工物がシリコンであったら、陽極板が付着板となり研削廃液内のシリコン屑を付着する。そのシリコン屑を付着させた陽極板を水槽から引き上げ、例えば特許文献3に開示されているように、陽極板に付着したシリコン屑をゴムへらで剥ぎ取った後、再び陽極板を水槽に水没させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-124576号公報
【文献】特開2012-218134号公報
【文献】特開2016-049506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、陽極板からシリコン屑を剥ぎ取る際に、陽極板に押し当てるゴムへらに、シリコン屑が付着し乾燥する。そして、ゴムへらに付着したシリコン屑が乾燥して固化することによって、ゴムへらの弾力が無くなり硬い板になってしまう。そのため硬い板で陽極板に付着しているシリコン屑を剥ぎ落とすこととなり、陽極板を傷つけ破損させることがある。
【0006】
また、陽極板から剥ぎ取ったシリコン屑は、乾燥させてから回収することで、例えばマイナス電極等の材料として使用できる。そのため、陽極板から剥ぎ取った水分を含むシリコン屑を、シリコン回収装置に投入して、シリコン回収装置の乾燥室内で例えばヒータ等を用いて熱を加えて乾燥させたり、乾燥室内に投入したエアによる乾燥を行ったりしてシリコン粉としているが、シリコン回収装置における消費電力やエア消費量が増大する等の問題がある。
【0007】
したがって、廃液処理装置においては、陽極板(付着板)からシリコン屑等の加工屑を取り除く際に、陽極板を破損させないようにするという解決すべき課題がある。
また、シリコン屑等の加工屑を回収して乾燥させ加工粉(例えば、シリコン粉)とする加工粉回収装置においては、消費電力やエア消費量を少なくしつつ、加工屑を効率よく乾燥させるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、加工液と砥粒とを用いて被加工物を削った際に排出される加工屑を含んだ廃液を水槽に溜め、該水槽に溜めた該廃液内に付着板を水没させ、該加工屑を付着させた該付着板を該水槽から取り出す事によって該廃液から該加工屑を取り除く廃液処理装置の該付着板から剥ぎ取った水分を含んだ該加工屑を乾燥させた加工粉を回収する加工粉回収装置であって、該廃液処理装置は、該付着板を保持する保持部と、該保持部を上下移動させる上下移動機構と、該保持部に保持された該付着板から水分を含んだ該加工屑を剥ぎ取る剥ぎ取り機構とを備え、該剥ぎ取り機構は、水平方向に平行に隙間を開けて2本延在し互いが向かい合うように形成された噴射口を備える2本のエアノズルと、2本の該エアノズルとエア源とを連通する配管に配設されるバルブと、該バルブの開閉の制御と2本の該エアノズルの間の該隙間において該付着板を上下方向に移動させるための該上下移動機構の制御とを少なくとも行う制御手段と、を備え、該制御手段は、平行な2本の該エアノズルの間の該隙間に、該保持部によって保持された該付着板を進入させた後、該付着板を上昇させる際に該バルブを開き、該付着板の一方の面、及び他方の面に対し該噴射口から噴射したエアの風圧によって、非接触で該付着板に付着した該加工屑を剥ぎ取り、該加工粉回収装置は、該剥ぎ取り機構によって該付着板から剥ぎ取った該加工屑を乾燥させる乾燥機構を備え、該乾燥機構は、該剥ぎ取り機構によって剥ぎ取られた該加工屑を載置し、水平方向に該加工屑を移動させる搬送ベルトと、該搬送ベルトによって搬送された該加工粉を回収する回収ボックスと、該搬送ベルトの上部を覆い該搬送ベルトの延在方向に延在する乾燥室と、を備え、該乾燥室は、該搬送ベルトの一方の端側に配設され該加工屑を投入するための投入口と、該剥ぎ取り機構のエアノズルから噴射され該投入口から該加工屑とともに該乾燥室内に投入されたエアを排気するために該搬送ベルトの他方の端側に配設される排気口と、を備え、該エアノズルが噴射したエアが該乾燥室内を該投入口から該排気口に向かう方向に流れることによって該搬送ベルトに載置した水分を含んだ該加工屑を乾燥させた該加工粉を回収する加工粉回収装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る廃液処理装置は、付着板を保持する保持部と、保持部を上下移動させる上下移動機構と、保持部に保持された付着板から水分を含んだ加工屑を剥ぎ取る剥ぎ取り機構とを備え、剥ぎ取り機構は、水平方向に平行に隙間を開けて2本延在し互いが向かい合うように形成された噴射口を備える2本のエアノズルと、2本のエアノズルとエア源とを連通する配管に配設されるバルブと、バルブの開閉の制御と2本のエアノズルの間の隙間において付着板を上下方向に移動させるための上下移動機構の制御とを少なくとも行う制御手段と、を備えることで、平行な2本のエアノズルの間の隙間に、保持部によって保持された付着板を進入させた後、付着板を上昇させる際にバルブを開き、付着板の一方の面、及び他方の面に対し噴射口から噴射したエアの風圧によって、非接触で付着板に付着した加工屑を剥ぎ取ることができる。したがって、付着板を破損させることが無い。
【0011】
廃液処理装置の剥ぎ取り機構によって付着板から剥ぎ取った水分を含んだ加工屑を乾燥させた加工粉(例えば、シリコン粉)を回収する本発明に係る加工粉回収装置は、剥ぎ取り機構によって付着板から剥ぎ取った加工屑を乾燥させる乾燥機構を備え、乾燥機構は、剥ぎ取り機構によって剥ぎ取られた加工屑を載置し、水平方向に加工屑を移動させる搬送ベルトと、搬送ベルトによって搬送された加工粉を回収する回収ボックスと、搬送ベルトの上部を覆い搬送ベルトの延在方向に延在する乾燥室と、を備え、乾燥室は、搬送ベルトの一方の端側に配設され加工屑を投入するための投入口と、剥ぎ取り機構のエアノズルから噴射され投入口から加工屑とともに乾燥室内に投入されたエアを排気するために搬送ベルトの他方の端側に配設される排気口と、を備えていることで、エアノズルが噴射したエアが乾燥室内を投入口から排気口に向かう方向に流れることによって搬送ベルトに載置した水分を含んだ加工屑を乾燥させ、乾燥した加工粉を回収することが可能となる。また、付着板から加工屑を剥ぎ取る際に使ったエアを、そのまま乾燥室内に投入して加工屑乾燥用のエアとして利用することにより加工屑の乾燥を早めることができ、また、乾燥用に別途のエアを乾燥室内に投入する必要が無くなり、エアの消費量を抑えることができたり、ヒータ乾燥に比べて加工粉回収装置の消費電力を抑えたりすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】加工屑生成装置(研削装置)、廃液処理装置、及び加工粉回収装置の構造の一例を示す断面図である。
図2】付着板である陽極板、及び陰極板を収容した水槽、付着板を保持する保持部、並びに保持部を上下動させる上下移動機構の一例を示す斜視図である。
図3】保持部により水槽から取り出された付着板から加工粉回収装置の乾燥室内に水分を含んだ加工屑をエアノズルによるエア噴射により剥ぎ落し、さらに、エアノズルが噴射したエアが乾燥室内を投入口から排気口に向かう方向に流れることで搬送ベルトに載置した水分を含んだ加工屑を乾燥させた加工粉を回収する状態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す本発明に係る廃液処理装置1は、加工屑生成装置の一例である研削装置4において加工液(例えば、純水)が供給されつつ固体の被加工物80が研削砥石4044で削られて排出される被加工物80の加工屑809を含んだ廃液90から、水分を多く含んだ加工屑809を取り除く装置である。廃液処理装置1は研削装置4内に組み込まれていてもよいし、研削装置4とは別体となっていてもよい。
なお、廃液処理装置1は、回転する切削ブレードでシリコンウェーハ等を切削加工する切削装置が生み出す加工屑を含む廃液から加工屑を除去する装置であってもよい。
【0014】
図1に示す研削装置4は、被加工物80を保持する保持テーブル41と、被加工物80を回転する研削砥石4044で研削する研削手段40とを少なくとも備えている。
本実施形態において固体の被加工物80はシリコンウェーハであるが、円柱状のシリコンインゴット等であってもよい。
【0015】
研削装置4の基台49上に配設された保持テーブル41は、例えば、ポーラス部材等からなり図示しない吸引源に連通する保持面(上面)を備えている。保持テーブル41は、軸方向がZ軸方向である回転軸を軸に回転可能であると共に、テーブル支持台42によって支持されている。基台49の上面に形成された開口490内に配設されているテーブル支持台42は、電動アクチュエータ等の図示しないX軸移動手段によってX軸方向(紙面手前奥方向)に往復移動可能となっている。
【0016】
保持テーブル41の移動経路両脇には、箱状のウォーターケース48が配設されている。ウォーターケース48は、テーブル支持台42の左右2箇所の位置に図示しているが、図1中紙面手前奥方向にも形成されており、平面視では矩形の箱状に形成され、一体となる桶部484を有している。即ち、ウォーターケース48は、保持テーブル41をX軸方向に往復移動させるために、箱状の部材の底板480の中央部に矩形状の開口部481を設けており、底板480、内側壁482及び外側壁483により構成されて加工液を受け止める桶部484と、底板480に貫通形成された排液口485とから構成される。排液口485には、ウォーターケース48の外部に延びる給液管4855の一端が接続されている。ウォーターケース48は、被加工物80が削られて排出される加工屑809を含み保持テーブル41から流下する廃液90を受け止めて、タンク12へと送る。
【0017】
研削手段40は、軸方向が保持テーブル41の保持面と直交するZ軸方向(鉛直方向)である回転軸400をモータ402で回転駆動し、回転軸400の下端にマウント403を介して着脱可能に接続された研削ホイール404で被加工物80を研削する。研削ホイール404は、円環状のホイール基台と、略直方体形状の外形を備えホイール基台の下面に複数環状に配設された研削砥石4044とを備えている。
そして、研削手段40は、Z軸方向に上下動可能となっている。
【0018】
例えば、回転軸400内部には、加工液供給源に連通し加工液の通り道となる図示しない流路が、回転軸400の軸方向(Z軸方向)に貫通して設けられており、該流路は、ホイール基台の底面において研削砥石4044に向かって加工液を噴出可能に開口している。なお、被加工物80を研削する位置まで降下した状態の研削手段40の研削ホイール404に隣接する位置に加工液ノズルが配設されており、該加工液ノズルから研削砥石4044と被加工物80との接触部位に噴射された加工液が直接供給されるものとしてもよい。
【0019】
図1に示す廃液処理装置1は、廃液90を貯める水槽2と、水槽2から水分を多く含んだ加工屑809を取り出す取り出し手段3と、取り出し手段3の保持部35に保持された付着板31(陽極板31)から水分を含んだ加工屑809を剥ぎ取る剥ぎ取り機構16と、を少なくとも備えている。
【0020】
ウォーターケース48の排液口485より低い位置には、例えば、廃液90を収容するタンク12が配設されており、タンク12は、給液管4855の他端が接続された供給口120を備えている。タンク12は、タンク12内から被加工物80の加工屑809を含む廃液90を汲み上げて水槽2へと送出する送出ポンプ121を備えており、送出ポンプ121は送出管1211を介して水槽2の流入口20に向けて廃液90を送出する。
【0021】
略直方体の箱状の水槽2は、例えば、合成樹脂等の絶縁部材によって形成されており、平面視矩形の底板21と、底板21の外周から一体的に+Z方向に立ち上がる4枚の側壁とからなり、底板21と各側壁とで囲まれた空間に被加工物80の加工屑809を含む廃液90を溜めることができる。図1、2でX軸方向において対向する2枚の側壁を側壁220として、Y軸方向において対向する2枚の側壁を側壁221とする。
また、水槽2の上部には、廃液90が溢れることを防止する図示しないオーバーフロー管が設けられている。オーバーフロー管は、タンク12に連通しており、水槽2から溢れようとした廃液90を再びタンク12に導く。
【0022】
水槽2内の廃液90から水分を含む加工屑809を取り出す図1、2に示す取り出し手段3は、例えば、水槽2に配設しマイナスに帯電させる陰極板30(図2には不図示)と、陰極板30に対面させ水槽2から抜き差し可能としプラスに帯電させ水分を含む加工屑809を吸着させる陽極板である付着板31と、付着板31を保持する保持部35と、保持部35を上下移動させる上下移動機構32とを備えている。
【0023】
付着板31は、電気化学的に貴となる材料で構成され、平面形状が矩形に形成されている。例えば、付着板31は、銅、銀、白金、又は金などの材料で構成することができ、本実施形態ではSUSを適用している。加工屑809は、付着板31のY軸方向の側面である一方の面と、一方の面の反対の側面である他方の面とに主に付着する。
【0024】
例えば、図1、2に示す水槽2のX軸方向において対向する二枚の側壁220の内側面には、図示しない複数の支持溝が形成されており、付着板31は、X軸方向に所定間隔を空けて該支持溝に挿入された状態で、水槽2内に配設されている。即ち、複数の付着板31は、その両側面が水槽2の長手方向(Y軸方向)と直交し水槽2の幅方向(X軸方向)と平行な状態で、互いに間隔を空けて配置されている。付着板31の上端面には、例えば、幅方向(X軸方向)の中央部から互いに間隔を空けて上方に突出した二つの被係合部310が設けられている。被係合部310は、矩形板状に形成され、中央にX軸方向に貫通した被係合孔3102が設けられている。被係合孔3102には、図1,2に示す保持部35の係合ピン3523が進入して係合する。
【0025】
図1に示す陰極板30は、互いに隣り合う付着板31の間に設けられている。即ち、陰極板30は、付着板31にY軸方向において対向して、付着板31と離間して交互に複数配設されており、付着板31と平行な状態になっている。
【0026】
陰極板30は、例えば、図1に示すように、側面視矩形環状の筐体330により支持されており、筐体330には排出部331が形成されている。排出部331は、例えば、加工屑809が除去され筐体330内に流入した浄水92を図示しない浄水貯水タンクへと送給する配管である。そして、陰極板30は筐体330の両側開口面を塞ぐように互いに間隔をあけて平行をなすように配設されている。
【0027】
陰極板30は、付着板31と同様に、電気化学的に貴となる材料で構成され、平面形状が矩形の平板状に形成されている。例えば、陰極板30は、銅、銀、白金、又は金等の材料で構成することができる。本実施形態では、SUSを適用している。陰極板30は、例えば網目を備える板状に形成されており、網目で加工屑809を引っ掛けること無く、マイナスに帯電されることで加工屑809に対して斥力を発生させる。即ち、陰極板30は、マイナスに帯電されることで、廃液90の液体としての浄水92のみの通過を許容し、マイナスに帯電した加工屑809との間に斥力を生じて、加工屑809の通過を規制する。これによって、筐体330と陰極板30とは、陰極板30を通過した浄水92が存在する領域を内側に形成し、陰極板30が加工屑809との間に斥力を生じることで、浄水92が存在する領域を水槽2内の廃液90から区画する。
なお、陰極板30の形状等は本実施形態に限定されるものではない。
【0028】
各陰極板30及び各付着板31の下端と水槽2の底板21との間には所定幅の隙間が設けられており、水槽2に流入した廃液90は、該隙間を通り陰極板30と付着板31との間を上昇していく。
【0029】
本実施形態において、付着板31と陰極板30との間には直流電圧が印加される。すなわち、付着板31に図示しない直流電源のプラス(+)側が接続されて廃液90中でプラスに帯電され、廃液90中でマイナスに帯電したシリコン屑である加工屑809を吸着する。一方、陰極板30に図示しない直流電源のマイナス(-)側が接続されて廃液90中でマイナスに帯電される。この結果、付着板31と陰極板30との間には電界が形成される。そして、廃液90に混入されてマイナス(-)に帯電されている加工屑809は、電気泳動によって、マイナス(-)に帯電された陰極板30から反発し、プラス(+)に帯電された付着板31に吸着される。
【0030】
図1、2に示す付着板31の上部を保持した保持部35を上下動させて水槽2から付着板31を抜き出す、又は付着板31を水槽2に差し込みする上下移動機構32は、Y軸方向移動手段34によって、水槽2の上方を水平にY軸方向に往復移動可能となっている。図2に詳しく示すY軸方向移動手段34は、水槽2の長手方向(Y軸方向)と平行に設けられた水平ボールネジ340と、水平ボールネジ340を回転駆動するモータ343と、Y軸方向に延在する一対の水平移動用のガイドレール341と、内部のナットが水平ボールネジ340に螺合し両端下面がガイドレール341に摺接する可動部材342と、を備えている。そして、モータ343の駆動により水平ボールネジ340が回動することにより可動部材342に固定された上下移動機構32がガイドレール341にガイドされてY軸方向に移動する構成となっている。水平ボールネジ340及びガイドレール341は、水槽2の上方から本発明に係る加工粉回収装置6の上方にわたる長さを有しており、上下移動機構32及び保持部35をY軸方向に移動させることにより、保持部35が保持した付着板31を水槽2から加工粉回収装置6の上方に移動させることができる。
なお、図2においては加工粉回収装置6を簡略化して示している。
【0031】
図2に詳しく示す上下移動機構32は、可動部材342に上端が固定された鉛直板329と、水槽2の深さ方向(Z軸方向)と平行に鉛直板329の側面に設けられた鉛直ボールネジ321と、鉛直ボールネジ321を回転駆動するモータ323と、Z軸方向に延在する一対のガイドレール322と、を備えている。そして、保持部35は、内部のナットが鉛直ボールネジ321に螺合し側面がガイドレール322に摺接する。モータの駆動により鉛直ボールネジ321が回動することにより保持部35がガイドレール322にガイドされてZ軸方向に移動する構成となっている。
【0032】
付着板31を保持する保持部35は、例えば、内部のナットが鉛直ボールネジ321に螺合し付着板31の幅方向に延在する板状部材350と、板状部材350の下面に配設された一対のチャックシリンダ352とを備えている。一対のチャックシリンダ352は、水槽2の幅方向(X軸方向)に互いに間隔をあけて配設されている。一対のチャックシリンダ352は、板状部材350に取り付けられたシリンダ本体3522と、シリンダ本体3522から水槽2の幅方向(X軸方向)に突没自在に設けられた係合ピン3523とを備えている。一対のチャックシリンダ352は、例えば、シリンダ本体3522から突出する係合ピン3523がX軸方向において互いに近づく状態となっている。各係合ピン3523は、下降する保持部35が付着板31の上方に位置付けられた状態でシリンダ本体3522から互いに接近するように突出すると、付着板31の各被係合部310の被係合孔3102にそれぞれ挿入される。これによって、保持部35が付着板31を保持した状態になる。
【0033】
保持部35に保持された付着板31から水分を含んだ加工屑809を剥ぎ取る図3に詳しく示す剥ぎ取り機構16は、水平方向(X軸方向)に平行に隙間を開けて2本延在し互いが向かい合うように形成された噴射口1600を備える2本のエアノズル160と、2本のエアノズル160とエア源169とを連通する配管167に配設されるバルブ168と、バルブ168の開閉の制御と2本のエアノズル160の間の隙間において保持部35に保持された付着板31を上下方向に移動させるための上下移動機構32の制御とを少なくとも行う制御手段166と、を備えている。
【0034】
図3に示すエアノズル160は、例えば、後述する加工粉回収装置6の乾燥室65の投入口650に一体的に接続された有天箱状のケーシング162の内側面に固定されている。ケーシング162の天井には、付着板31をケーシング162内に進入させるための進入口1622が貫通形成されている。ケーシング162の内部空間は、乾燥室65の投入口650に連通している。
【0035】
例えば、ケーシング162の内側面の上側の領域に固定された2本のエアノズル160は、エア1609を例えば斜め下方内側に向かって噴射可能な噴射口1600を複数長手方向(X軸方向)に整列して備えている。なお、噴射口1600は、噴射したエア1609による付着板31からの加工屑809の剥ぎ取りを最適化できるように形状、サイズ、及び噴射角度等が設定されている。例えば、エアノズル160の側面に一本連続的に延びる細幅のスリット状に噴射口1600が形成されていてもよい。即ち、エアナイフとして機能するエアノズル160の噴射口1600から斜め下方内側に向かって噴射されるエアは、X軸方向に延びるエアカーテンを形成する。
Y軸方向において対向する2本のエアノズル160の隙間は、付着板31がエアノズル160に接触せずに上下動可能な大きさとなっている。
【0036】
2本のエアノズル160に継手等を介して一端側が連通する配管167の他端側は、コンプレッサー等からなるエア源169に接続されている。配管167内には、電流が流されることで配管167とエア源169との連通を開閉する例えばソレノイドバルブ等のバルブ168が配設されている。
【0037】
制御手段166は、例えば制御プログラムに従って演算処理するCPU及びメモリ等の記憶素子等で構成されており、少なくとも上下移動機構32、及びバルブ168に電気的に接続されている。例えば、制御手段166はバルブ168に対する通電を制御することで、バルブ168の開閉を制御する。制御手段166は、例えば、サーボアンプとして機能し、図2に示す上下移動機構32のモータ323に対して動作信号を供給して、上下移動機構32による保持部35の上下移動動作、及び所定の高さへの位置づけ動作を制御する。
【0038】
例えば、図1、2に示すようにY軸方向における水槽2に隣接する位置に、廃液処理装置1の剥ぎ取り機構16によって付着板31から剥ぎ取った水分を含んだ加工屑809を乾燥させた加工粉8091(図3参照)を回収する本発明に係る加工粉回収装置6が配設されている。
【0039】
加工粉回収装置6は、例えば、剥ぎ取り機構16によって付着板31から剥ぎ取った加工屑809を乾燥させる乾燥機構60を備えている。そして、乾燥機構60は、剥ぎ取り機構16によって剥ぎ取られた加工屑809を載置し、水平方向(Y軸方向)に加工屑809を移動させる搬送ベルト61と、搬送ベルト61によって搬送された加工粉8091を回収する回収ボックス63と、搬送ベルト61の上部を覆い搬送ベルト61の延在方向(Y軸方向)に延在する乾燥室65と、を備えている。
【0040】
乾燥室65は、搬送ベルト61の一方の端側(-Y方向側)に配設され加工屑809を投入するための投入口650と、剥ぎ取り機構16の2本のエアノズル160から噴射され投入口650から加工屑809とともに乾燥室65内に投入されたエアを排気するために搬送ベルト61の他方の端側(+Y方向側)に配設される排気口651と、を備えている。
【0041】
乾燥室65は、例えば、平面視略直方体状の外形を備えており、矩形の底板653と、底板653の外周から一体的に+Z方向に立ち上がる4枚の側壁と、側壁の上端に連結され搬送ベルト61の上面に対面する天板654とで構成されている。図3でX軸方向において対向する2枚の側壁(紙面奥側のみ図示)を側壁6551として、Y軸方向において対向する2枚の側壁を側壁6552、側壁6553とする。乾燥室65の内部の搬送ベルト61上方は、加工屑809の搬送方向にエアを流す通気路659となっている。
【0042】
天板654の一方の端側(-Y方向側)には、加工屑809を搬送ベルト61に投下する投入口650が厚み方向に貫通形成されている。また、投入口650には、エアノズル160が取り付けられたケーシング162が一体的に接続されている。
例えば、本実施形態のように、図3に示す投入口650の上方には、投入口650を開閉可能でY軸方向にスライド移動可能なスライド扉6503が配設されていてもよい。また、例えば、投入口650の下方には、剥ぎ取られ落下した水分を含む加工屑809を搬送ベルト61上にガイドするように搬送ベルト61に対して傾けられてガイド板6505が配設されている。
本実施形態において、投入口650は、乾燥室65の一方の端側(-Y方向側)にエアを吸気する吸気口としての役割も果す。
【0043】
例えば、天板654の下面には、複数の凸部6542が形成されていてもよい。凸部6542は、図3に示すように例えば半球体状の外形を備えているが、これに限定されず、円柱状や角柱状の外形を備えていてもよい。凸部6542は、例えば、天板654の下面にX軸方向及びY軸方向に所定の等間隔を空けて複数配設されているが、天板654の下面にランダムに複数配設されていてもよい。また、凸部6542が円柱状や角柱状の外形の場合には、X軸方向に延在させY軸方向に所定の等間隔を空けて複数配設させてもよい。
乾燥室65内の通気路659を搬送方向に流れるエアは、天板654の下面の凸部6542に衝突することで乱気流となる。即ち、不規則なエアの渦が搬送ベルト61上で発生すると共に、搬送方向にエアが流れていく。その結果、搬送ベルト61上の水分を含む加工屑809に乱気流が噴き付けられることで、加工屑809の水分がより蒸発しやすくなる。なお、凸部6542は天板654の下面に形成されていなくてもよい。
【0044】
搬送ベルト61は、例えば、側壁6551に固定されたベルトモータ612により回動可能となっている。ベルトモータ612のシャフトには、主動ローラ613が取り付けられており、主動ローラ613には無端の搬送ベルト61が巻回されている。側壁6551の内側面においてベルトモータ612から所定距離だけ+Y方向に離した位置には従動ローラ614が取り付けられており、搬送ベルト61は、この従動ローラ614にも巻回されている。ベルトモータ612が主動ローラ613を回転駆動することで、主動ローラ613及び従動ローラ614の回転に伴って搬送ベルト61が回動する。
【0045】
乾燥室65内には、例えば、搬送ベルト61の上に載置された水分を含む加工屑809を搬送ベルト61の上で所定の厚みに引き延ばす厚み調整手段66が配設されている。本実施形態における厚み調整手段66は、例えば、搬送ベルト61の加工屑809が投下される位置の近傍において搬送ベルト61を上下方向から挟み込むように配設され、搬送ベルト61から受ける摩擦力により回転する一対の挟み込みローラである。該一対の挟み込みローラのX軸方向の各両端は、例えば、X軸方向において対向する各側壁6551に固定されている。該一対の挟み込みローラは、例えば、搬送ベルト61の幅以上の長さでX軸方向に延在している。なお、厚み調整手段66は、搬送ベルト61の上方に配設されたスキージ等であってもよい。
【0046】
天板654の他方の端側(+Y方向側)には、乾燥室65外にエアを排気する排気口651が貫通形成されている。
排気口651には、排気管671を介してブロアファン672の吸い込み口が連通している。ブロアファン672の吐出口には、配管673の一端が接続されている。本実施形態においては、例えば、配管673の他端にはブロアファン672による排気の流量を2つに分割し流量調整が可能である分割部674が接続されている。分割部674は、例えば、分流三方調節弁であるが、三方管を用いて、かつ、工場設備側配管675と導入管676との配管径で排気が所定の流量にそれぞれ分割されるようにしてもよい。
【0047】
分割部674には、吸引手段を備える工場設備の排気装置69に連通する工場設備側配管675と、分割部674で分割された一方の流量の排気を乾燥室65内に戻し入れるための導入管676の一端とが接続されている。例えば、天板654の投入口650と排気口651との間となる位置には、戻し入口6548が形成されており、導入管676の他端が接続されている。
なお、加工粉回収装置6は、乾燥室65から排気したエアを戻し入れない構成となっていてもよい。
【0048】
底板653の他方の端側(+Y方向側)には、粉排出口658が厚み方向に貫通形成されており、搬送ベルト61は乾燥後の加工粉8091を該粉排出口658に向かって落下させる。粉排出口658の下方には、バネヒンジ等によって支持され加工粉8091の重みによって開閉可能な開閉扉6581が配設されている。
【0049】
乾燥室65の他方の端(+Y方向側の端)の下方には、回収ボックス63が配設されている。回収ボックス63は、乾燥室65の粉排出口658の直下において開口している。回収ボックス63の上部側には、例えば、図示しないセンサ(例えば、透過型光センサ)が配設されている。粉排出口658から乾燥した加工粉8091が回収ボックス63内に落とされていき、回収ボックス63内に加工粉8091が所定高さまで溜まると、該センサによって回収ボックス63を交換すべき旨の発報がなされる。なお、回収ボックス63は、重量センサを備えていてもよいし、上記のようなセンサを備えていなくてもよい。
【0050】
以下に、加工液を供給しつつ図1に示す固体の被加工物80が研削砥石4044で削られることで排出される被加工物80の加工屑809を含んだ廃液90から、水分を含んだ加工屑809を取り除き、取り除いた加工屑809を乾燥させ加工粉8091とする場合の、廃液処理装置1及び加工粉回収装置6の動作について説明する。
【0051】
まず、被加工物80が保持テーブル41の保持面で吸引保持された後、テーブル支持台42が駆動して保持テーブル41上の被加工物80が研削砥石4044と対向する研削位置で位置決めされる。そして、研削ホイール404が回転し、研削手段40が降下していき、回転する研削砥石4044が被加工物80の上面に当接することで研削が行われる。また、保持テーブル41が所定速度で回転することで被加工物80も回転するので、研削砥石4044が被加工物80の上面全面の研削加工を行う。研削中は、研削砥石4044と被加工物80の上面との接触部位に加工液(例えば、純水)が供給され、接触部位が冷却・洗浄される。
【0052】
この研削加工によって被加工物80が研削されて微細な被加工物80の加工屑809が形成されると共に、加工屑809が加工液に混入して加工屑809を含む廃液90が生成される。該廃液90は、開口490を介してウォーターケース48に流れ込んだ後、給液管4855、タンク12、及び送出管1211を経て水槽2に流入して溜められる。
【0053】
このように廃液90が水槽2に貯液された状態において、廃液90に付着板31及び陰極板30を着液させ、付着板31に図示しない直流電源のプラス(+)を通電する一方、陰極板30に直流電源のマイナス(-)を通電する。この結果、付着板31と陰極板30との間には電界が形成される。そして、廃液90に混入されてマイナス(-)に帯電されている加工屑809は、マイナス(-)に帯電された陰極板30から反発し、プラス(+)に帯電された付着板31の主に両側面に吸着される。
付着板31に加工屑809が吸着されたことにより加工屑809がおおまかに除去された浄水92は、排出部331よって取水されて図示しない浄水貯水タンクへ送給される。
【0054】
一定量の加工屑809を付着板31が吸着した後、図1に示すY軸方向移動手段34が上下移動機構32及び保持部35を狙いの一枚の付着板31の上方に位置付ける。次いで、保持部35が降下して付着板31を保持し、付着板31を水槽2内の廃液90から引き上げる。そして、Y軸方向移動手段34が、付着板31を保持した保持部35を剥ぎ取り機構16のケーシング162の進入口1622の上方まで移動させる。
【0055】
次いで、図3に示す制御手段166による上下移動機構32の制御の下で、上下移動機構32によって付着板31を保持した保持部35が降下されて、付着板31が進入口1622からケーシング162内に進入して、例えば、付着板31の加工屑809が付着している部分全体がケーシング162内の2本のエアノズル160の噴射口1600よりも下方の位置になるように位置づけされ、付着板31の下降が停止される。即ち、平行な2本のエアノズル160の間の隙間に付着板31が位置づけられる。
【0056】
その後、制御手段166による上下移動機構32の制御の下で、上下移動機構32によって付着板31を保持した保持部35が所定の速度で上昇するとともに、制御手段166からバルブ168に通電がなされて、バルブ168が開状態になる。そして、エア源169から送出された圧縮エアが、配管167を通り2本のエアノズル160の噴射口1600から斜め下方内側に向かって噴出してエアカーテンを形成し、付着板31の-Y方向側の一方の側面及び+Y方向側の他方の側面に噴き付けられる。そして該エアの風圧によって上昇する付着板31の両側面に付着している加工屑809が下方に向かって非接触で押し流されていき、付着板31から剥ぎ落されて投入口650から乾燥室65内にエアとともに投入される。
【0057】
上記2本のエアノズル160により形成されるエアカーテンを、上昇する付着板31が通過しきると、付着板31の両側面全面から加工屑809が剥ぎ落された状態になる。このように、本発明に係る廃液処理装置1は、エアの風圧により非接触で付着板31から加工屑809を剥ぎ取ることができるので、付着板31を破損させることが無い。
なお、1枚の付着板31に付着した加工屑809のエアの風圧による剥ぎ落しは、上記制御手段166による上下移動機構32及びバルブ168の制御によって、繰り返し行われてもよい。
【0058】
加工屑809が剥ぎ取られた付着板31は、ケーシング162から上下移動機構32によって搬出され、例えば、Y軸方向移動手段34によって再び水槽2へと運ばれて、水槽2内の元の場所に戻される。
【0059】
エアと共に加工屑809は、例えば塊となって投入口650からボックス内部のガイド板6505に落下して、さらに、搬送ベルト61上へと移動する。
そして、ベルトモータ612、主動ローラ613、及び従動ローラ614により搬送ベルト61を回動させて水分を含んだ加工屑809を-Y方向側から+Y方向側に搬送する。図3に示すように、搬送ベルト61の上方には厚み調整手段66が配設されているため、搬送ベルト61上の水分を含んだ加工屑809は、厚み調整手段66の下方を通過することで、搬送ベルト61上で所定の厚み(例えば、1mm~2mm)に引き延ばされる。
【0060】
上記搬送ベルト61による水分を多く含んだ加工屑809の搬送が行われると共に、2本のエアノズル160から噴射されケーシング162を通り投入口650から乾燥室65内に至ったエアが、さらに、通気路659を加工屑809の搬送方向(-Y方向から+Y方向)に流れる。その結果、搬送ベルト61上の加工屑809の水分が蒸発し、加工屑809が乾燥する。また、乾燥室65外に配設されたブロアファン672が駆動し、乾燥室65内の通気路659を-Y方向から+Y方向へ流れるエアを排気口651から吸引していく。
【0061】
ブロアファン672の風量は、例えば10m/分に設定される。そして、乾燥室65内から吸気されブロアファン672の吐出口から配管673に吐出された排気は、分割部674で工場設備の排気装置69側へと流される他方の流量(例えば、風量5m/分)の排気と、乾燥室65内に戻される一方の流量(例えば、風量5m/分)の排気1608との2つに分割される。なお、排気は、ブロアファン672の図示しないモータが発生する熱を吸収するため、ブロアファン672内で5度~6度その温度が上昇する。そして、温度が上昇した一方の排気1608が、導入管676及び戻し入口6548を介して乾燥室65内に戻されて+Y方向へ流れていき、加工屑809に含まれる水分を効率的に蒸発させていく。なお、一方の排気1608の流量と工場設備の排気装置69側へ流される排気の流量との比は上記のように1:1に限定されるものではない。
【0062】
上記のように水分を含んだ加工屑809から水分が除去されることで、搬送ベルト61上には乾燥した加工粉8091のみが残存する。搬送ベルト61上の乾燥した加工粉8091は、従動ローラ614を超えて搬送されると、回収ボックス63に向かって落下する。乾燥した加工粉8091の重みにより、開閉扉6581が開き、回収ボックス63に水分が除去された加工粉8091が回収される。
【0063】
上記のように、廃液処理装置1の剥ぎ取り機構16によって付着板31から剥ぎ取った水分を含んだ加工屑809を乾燥させた加工粉8091(本実施形態においては、シリコン粉)を回収する本発明に係る加工粉回収装置6は、剥ぎ取り機構16によって付着板31から剥ぎ取った加工屑809を乾燥させる乾燥機構60を備え、乾燥機構60は、剥ぎ取り機構16によって剥ぎ取られた加工屑809を載置し、水平方向(Y軸方向)に加工屑809を移動させる搬送ベルト61と、搬送ベルト61によって搬送された加工粉8091を回収する回収ボックス63と、搬送ベルト61の上部を覆い搬送ベルト61の延在方向に延在する乾燥室65と、を備え、乾燥室65は、搬送ベルト61の一方の端側に配設され加工屑809を投入するための投入口650と、剥ぎ取り機構16のエアノズル160から噴射され投入口650から加工屑809とともに乾燥室65内に投入されたエアを排気するために搬送ベルト61の他方の端側に配設される排気口651と、を備えていることで、エアノズル160が噴射したエアが乾燥室65内を投入口650から排気口651に向かう方向に流れることによって搬送ベルト61に載置した水分を含んだ加工屑809を乾燥させ、乾燥した加工粉8091を回収することが可能となる。また、付着板31から加工屑809を剥ぎ取る際に使ったエアを、そのまま乾燥室65内に投入して加工屑乾燥用のエアとして利用することにより加工屑809の乾燥を早めることができ、また、乾燥用に別途のエアを乾燥室65内に投入する必要が無くなり、エアの消費量を抑えることができたり、ヒータ乾燥に比べて加工粉回収装置6の消費電力を抑えたりすることが可能となる。
【0064】
本発明に係る廃液処理装置1及び加工粉回収装置6は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、添付図面に図示されている廃液処理装置1及び加工粉回収装置6の各構成要素の形状等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0065】
80:被加工物 809:加工屑 8091:加工粉
4:研削装置 49:基台 40:研削手段 41:保持テーブル 42:テーブル支持台 48:ウォーターケース
12:タンク 121:送出ポンプ
1:廃液処理装置 2:水槽
3:取り出し手段 30:陰極板 330:筐体 331:排出部
31:付着板(陽極板) 310:被係合部 3102:被係合孔
32:上下移動機構 321:鉛直ボールネジ 323:モータ
34:Y軸方向移動手段 340:水平ボールネジ 342:可動部材
35:保持部 352:一対のチャックシリンダ 3523:係合ピン
16:剥ぎ取り機構 160:エアノズル 1600:噴射口 162:ケーシング
168:バルブ 166:制御手段 169:エア源 167:配管
162:ケーシング 1622:進入口
6:加工粉回収装置 60:乾燥機構 61:搬送ベルト 612:ベルトモータ 66:厚み調整手段
63:回収ボックス
65:乾燥室 654:天板 6542:凸部 6548:戻し入口 650:投入口 6503:スライド扉 651:排気口 653:底板 658:粉排出口 659:通気路
672:ブロアファン 674:分割部
図1
図2
図3