(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】角度測定機構および角度測定機構の動作方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20240402BHJP
G01D 5/347 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
G01D5/245 110W
G01D5/347 110X
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020095197
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】10 2019 209 866.5
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100220065
【氏名又は名称】高梨 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・ミッテライター
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・グルーバー
(72)【発明者】
【氏名】アロイス・バルトレシュナー
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-167647(JP,A)
【文献】特開2006-098392(JP,A)
【文献】特開2006-349168(JP,A)
【文献】特許第6709863(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00 ~ 5/38
G01B 7/00 ~ 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角度測定機構であって、当該角度測定機構が第1の部品群(1)、第2の部品群(2)、および軸受(3)を含み、前記部品群(1、2)が互いに対し回転軸(A)の周りを回転できるように前記軸受(3)を介して配置されており、
- 前記第1の部品群(1)が、第1の目盛(1.11)を有するスケール要素(1.1;1.1’)を含んでおり、
- 前記第2の部品群(2)が、
位置センサー(2.11)を備えた第1の構造ユニット(2.1)を有しており、
第1、第2、および第3の位置検知器(2.21、2.22、2.23)を備えた第2の構造ユニット(2.2)を有しており、かつ
たわみ軸継手(2.3)を有しており、
前記位置センサー(2.11)および前記位置検知器(2.21、2.22、2.23)がそれぞれ、前記スケール要素(1.1;1.1’)に対して空隙をあけて向かい合って配置されており、
前記第1の構造ユニット(2.1)が前記たわみ軸継手(2.3)を介して前記第2の構造ユニット(2.2)と回転剛性をもって、しかし軸方向および径方向にたわみ性をもって結合されており、したがって前記位置センサー(2.11)が前記位置検知器(2.21、2.22、2.23)に対して回転剛性をもって、しかし軸方向および径方向にたわみ性をもって配置されており、
前記角度測定機構が、第1のモード(I)でおよび第2のモード(II)で動作可能であるように構成されており、
前記第1のモード(I)では前記位置センサー(2.11)により、第1の角度位置(Pos2.11)を決定するために前記第1の目盛(1.11)が走査可能であり、かつ
前記第2のモード(II)では前記位置検知器(2.21、2.22、2.23)により、それぞれ1つのさらなる角度位置(Pos2.21、Pos2.22、Pos2.23)を決定するために前記第1の目盛(1.11)、または、前記スケール要素(1.1;1.1’)に配置されているさらなる目盛(1.13)が走査可能であり、
前記部品群(1、2)の間の修正された相対角度位置(PosI)が、前記第1の角度位置(Pos2.11)および前記さらなる角度位置(Pos2.21、Pos2.22、Pos2.23)に基づいて決定可能である、角度測定機構。
【請求項2】
請求項1に記載の角度測定機構において、前記第2の部品群(2)が光源(2.211)を有しており、かつ前記第1の目盛(1.11)および前記位置センサー(2.11)は、前記部品群(1、2)の間の前記相対角度位置が光学式の原理によって決定可能であるように形成されている、角度測定機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載の角度測定機構において、前記位置検知器(2.20、2.21、2.22、2.23)の少なくとも2つが、前記回転軸(A)の周りの中心角を少なくとも90°ずらして配置されている、角度測定機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の角度測定機構において、少なくとも3つの位置検知器(2.20、2.21、2.22、2.23)が、円周に沿って配置されている、角度測定機構。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の角度測定機構において、前記スケール要素(1.1’)がさらなる目盛(1.13)を有しており、かつ前記第1の目盛(1.11)が光学式の原理に基づいて、および前記さらなる目盛(1.13)が磁気式の原理に基づいて走査可能であるように前記スケール要素(1.1’)が形成されている、角度測定機構。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の角度測定機構において、前記第2の部品群(2)がハウジング(2.4)を含んでおり、かつ前記位置センサー(2.11)および前記位置検知器(2.20、2.21、2.22、2.23)が前記ハウジング(2.4)内に配置されている、角度測定機構。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の角度測定機構において、平面(P)内での前記スケール要素(1.1;1.1’;1.1”)の変位を決定するために、前記第1、第2、および第3の位置検知器(2.21、2.22、2.23)により前記第1の目盛(1.11)、または、前記スケール要素(1.1;1.1’)に配置されているさらなる目盛(1.13)が走査可能である、角度測定機構。
【請求項8】
角度測定機構の動作方法であって、該角度測定機構が、第1の部品群(1)、第2の部品群(2)、および軸受(3)を含んでおり、前記部品群(1、2)が互いに対し、回転軸(A)の周りを回転できるように前記軸受(3)を介して配置されており、
- 前記第1の部品群(1)が、第1の目盛(1.11)を有するスケール要素(1.1;1.1’)を含んでおり、
- 前記第2の部品群(2)が、
位置センサー(2.11)を備えた第1の構造ユニット(2.1)を有しており、
複数の位置検知器(2.20、2.21、2.22、2.23)を備えた第2の構造ユニット(2.2)を有しており、かつ
たわみ軸継手(2.3)を有しており、
前記位置センサー(2.11)および前記位置検知器(2.20、2.21、2.22、2.23)がそれぞれ、前記スケール要素(1.1;1.1’)に対して空隙をあけて向かい合って配置されており、
前記第1の構造ユニット(2.1)が前記たわみ軸継手(2.3)を介して前記第2の構造ユニット(2.2)と回転剛性をもって、しかし軸方向および径方向にたわみ性をもって結合されており、したがって前記位置センサー(2.11)が前記複数の位置検知器(2.20、2.21、2.22、2.23)に対して回転剛性をもって、しかし軸方向および径方向にたわみ性をもって配置されており、
前記角度測定機構が、第1のモード(I)でおよび第2のモード(II)で動作可能であり、
前記第1のモード(I)では前記位置センサー(2.11)により、第1の角度位置(Pos2.11)を決定するために前記第1の目盛(1.11)が走査され、かつ
前記第2のモード(II)では前記位置検知器(2.20、2.21、2.22、2.23)により、それぞれ1つのさらなる角度位置(Pos2.20、Pos2.21、Pos2.22、Pos2.23)を決定するために前記第1の目盛(1.11)、または、前記スケール要素(1.1;1.1’)に配置されているさらなる目盛(1.13)が走査され、
前記部品群(1、2)の間の修正された相対角度位置(PosI)が、前記第1の角度位置(Pos2.11)および前記さらなる角度位置(Pos2.20、Pos2.21、Pos2.22、Pos2.23)に基づいて決定される、動作方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記第2のモード(II)で決定された前記さらなる角度位置(Pos2.20、Pos2.21、Pos2.22、Pos2.23)から修正値(KII)が生成され、前記修正値(KII)が前記第1のモード(I)で、測定された前記第1の角度位置(Pos2.11)と一緒に、前記修正された相対角度位置(PosI)を生成するために使用される、方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法であって、測定された前記さらなる角度位置(Pos2.20、Pos2.21、Pos2.22、Pos2.23)に基づいて修正値(KII)が決定および保存される、方法。
【請求項11】
請求項8、9、または10に記載の方法において、前記第2のモード(II)では、前記スケール要素(1.1;1.1’)が前記回転軸(A)の周りを少なくとも360°にわたって、とりわけ少なくとも720°にわたって回転する、方法。
【請求項12】
請求項8、9、10、または11に記載の方法において、前記角度測定機構が、逐次的に前記第1のモード(I)でおよび前記第2のモード(II)で動作される、方法。
【請求項13】
請求項8、9、10、11、または12に記載の方法において、前記角度測定機構が、同時に前記第1のモード(I)でおよび前記第2のモード(II)で動作される、方法。
【請求項14】
請求項8、9、10、11、12、または13に記載の方法において、前記第1、第2、および第3の位置検知器(2.21、2.22、2.23)により、それぞれ1つのさらなる角度位置
(Pos2.21、Pos2.22、Pos2.23)を決定するために前記第1の目盛(1.11)、または、前記スケール要素(1.1;1.1’)に配置されているさらなる目盛(1.13)が走査され、かつその結果として生じる、平面(P)内での前記スケール要素(1.1;1.1’;1.1”)の変位が決定される、方法。
【請求項15】
請求項8、9、10、11、12、13、または14に記載の方法において、第4、第5、および第6の位置検知器(2.24、2.25、2.26)により、前記スケール要素(1.1)の軸方向の位置を決定するために第2の目盛(1.12)が走査される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に基づく修正された相対角度位置を測定するためのスケール要素を備えた角度測定機構および請求項8に基づく方法に関する。
このような角度測定機構は、例えばスピンドルまたは回転テーブル(rotary table)に取り付けられ得る。当該スピンドルまたは回転テーブルは、しばしば加工機械またはマシニングセンター内で用いられる。スピンドルまたはモータスピンドルは、工作機械内で、回転する工具、例えばフライスを保持することが多い。回転テーブルには被加工材が固定され、この被加工材はその後、例えば切削によって加工される。さらに回転テーブルは測定機械内で使用され、この用途では、回転テーブル上に固定された被加工材が測定される。角度測定機構は、とりわけ工作機械または測定機械の場合には回転運動を測定するために用いられる。このようなスピンドルまたは回転テーブルの性能、とりわけ動作中の精密さを高めることがますます望まれている。
【背景技術】
【0002】
EP2500696A1では、複数の走査ヘッドを有し、自己較正方法を実施可能な角度測定機構が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の基礎になっている課題は、非常に正確な角度位置の決定を可能にする角度測定機構を提供することである。そのうえ本発明により、角度位置の非常に正確な決定を可能にする角度測定機構の動作方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明に基づき、請求項1または8の特徴によって解決される。
それによれば角度測定機構は、第1の部品群、第2の部品群、および軸受を含んでいる。これらの部品群は互いに対し、軸受によってまたは軸受を使って回転軸の周りを回転可能に配置されている。第1の部品群は、第1の目盛を有するスケール要素を含んでいる。第2の部品群は、少なくとも1つの位置センサーを備えた第1の構造ユニットを有している。第2の部品群はこれに加え、第1、第2、および第3の位置検知器(トランスデューサ)を備えた第2の構造ユニットを有している。第2の部品群はそれだけでなく、たわみ軸継手(compensating coupling)を有している。位置センサーならびに第1、第2、および第3の位置検知器はそれぞれ、スケール要素に対して空隙をあけて向かい合って配置されている。第1の構造ユニットはたわみ軸継手を使って第2の構造ユニットと回転剛性(又は、ねじれ剛性)をもって、しかし軸方向および径方向にたわみ性をもって結合されており、したがって位置センサーは位置検知器に対して回転剛性をもって、しかし軸方向および径方向にたわみ性をもって配置されている。角度測定機構は、第1のモードでおよび第2のモードで動作可能であるように構成されている。第1のモードでは位置センサーにより、第1の角度位置を決定するために第1の目盛が走査可能である。第2のモードでは位置検知器により、それぞれ1つのさらなる角度位置を決定するために第1の目盛またはスケール要素に配置されているさらなる目盛が走査可能である。部品群の間の修正された相対角度位置は、第1の角度位置およびさらなる角度位置をベースとして決定可能である。
【0005】
回転剛性をもってという概念は、以下では、たわみ軸継手の通常の負荷時にも、周方向に関しては位置センサーの位置検知器に対する位置が変化しないままということである。これに対し、たわみ軸継手の軸方向および径方向のたわみ性により、たわみ軸継手の通常の負荷時に位置センサーの位置検知器に対する位置は変化する。とりわけ、位置センサーはスケール要素に対して(軸方向および径方向に)動かないように配置されている。
【0006】
位置センサーおよび位置検知器という概念を使用することで、第一に、これらの要素が異なる構造ユニットに取り付けられていることが表現される。当該要素(位置センサー、位置検知器)は、異なるまたは同一の構造であり得る。
【0007】
位置センサーにより、スケール要素の第2の部品群に対する角度位置が、1回転内にわたってアブソリュート式(絶対的)に決定可能である。これは例えば、第1の目盛がアブソリュート式のコードトラックを有することによって達成できるが、またはスケール要素上に基準マークが施されており、この基準マークをインクリメンタル目盛と関連させて、1回転内の角度位置のアブソリュート式の決定を可能にすることによって達成できる。
【0008】
位置センサーは、スケール要素に対して、径方向または軸方向に延びている空隙をあけて向かい合って配置されていることができる。位置検知器も、スケール要素に対してそれぞれ、径方向または軸方向に延びている空隙をあけて向かい合って配置されていることができ、この場合には、たわみ軸継手が負荷に起因して変形しながら移動、変位、または傾動することにより、それぞれの空隙の大きさが変化し得る。
【0009】
第1の目盛および任意選択のさらなる目盛が、第1の方向に沿って互いに平行に並んで配置されている規則的な構造を含むことが有利である。これに関し第1の方向は、周方向の方向成分を有している。
【0010】
本発明のさらなる形態では、第2の部品群が光源を有しており、かつ第1の目盛および位置センサーは、部品群の間の相対角度位置が光学式の原理によって決定可能であるように形成されている。
【0011】
位置検知器の少なくとも2つが、回転軸の周りの中心角を少なくとも90°ずらして配置されていることが有利である。したがってつまり、例えば第1の位置検知器は、第2の位置検知器に対してまたは第3の位置検知器に対して、回転軸の周りの中心角を少なくとも90°ずらして配置されている。中心角とは、中心点の角度のことであり、当該中心点は回転軸上にある。
【0012】
本発明のさらなる形態では、位置検知器の少なくとも3つと、任意選択でさらに位置センサーとが、円周に沿って配置されている。ただし、とりわけ第1、第2、第3、および第4の位置検知器が(任意選択で位置センサーと共に)、円周に沿って配置されていてもよい。
【0013】
スケール要素がさらなる目盛を有しており、かつ第1の目盛が光学式の原理に基づいて、およびさらなる目盛が磁気式の原理に基づいて走査可能であるようにスケール要素が形成されていることが有利である。この場合、第1の目盛およびさらなる目盛は、少なくとも部分的に重なり合って配置されていることができる。例えば、第1の目盛およびさらなる目盛は、円筒形のスケール要素の側面に施されていることができ、かつ第1の目盛およびさらなる目盛が軸方向に重なり合って形成されていることができる。
【0014】
第2の部品群がハウジングを含むことが有利であり、この場合、位置センサーおよび位置検知器はハウジング内に配置されている。
本発明は、さらなる一態様に基づいて角度測定機構の動作方法も含んでいる。この角度測定機構は、第1のモードでおよび第2のモードで動作可能であり、これに関し第1のモードでは位置センサーにより、第1の角度位置を決定するために第1の目盛が走査され、かつ第2のモードでは位置検知器により、それぞれ1つのさらなる角度位置を決定するために第1の目盛またはスケール要素に配置されているさらなる目盛が走査される。第2のモードではこれに加え、部品群の間の修正された相対角度位置が決定され、この修正された相対角度位置は、第1の角度位置およびさらなる角度位置をベースとしている。
【0015】
本方法の一変形形態によれば、第2のモードで決定されたさらなる角度位置から修正値が生成され、この修正値が第1のモードで、測定された第1の角度位置と一緒に、修正された相対角度位置を生成するために使用される。
【0016】
測定されたさらなる角度位置をベースとして修正値が確定され、かつ(とりわけ角度測定機構内で)保存されることが有利である。
第2のモードでは、スケール要素が回転軸の周りを少なくとも360°にわたって、とりわけ少なくとも720°にわたって回転することが有利である。
【0017】
角度測定機構は、逐次的に第1のモードでおよび第2のモードで動作され得るが、または同時に第1および第2のモードで動作され得る。
第1、第2、および第3の位置検知器により、平面内でのスケール要素の変位を決定するために第1の目盛またはさらなる目盛が走査可能であることが有利である。
【0018】
さらに第4、第5、および第6の位置検知器により、スケール要素の軸方向の位置を決定するために第2の目盛が走査され得る。
角度測定機構が、位置センサーおよび/または位置検知器によって生成された信号に基づく情報を保存するためにデータロガーとして使用可能なメモリモジュールを有することが有利である。
【0019】
少なくとも第1のまたはさらなる目盛(または両方の目盛)が、円筒形のスケール要素の側面に施されていることが有利である。
任意選択で、第1の部品群が、第1の目盛のほかに第2の目盛を有するスケール要素を含むことができる。この場合、第4、第5、および第6の位置検知器により、第2の目盛が走査可能であり得る。第4、第5、および第6の位置検知器により、スケール要素の傾動、したがって傾動軸の周りでの回転軸の傾動が決定され得る。第2の目盛は、第2の方向に沿って互いに平行に並んで配置されている規則的な構造を含んでいる。第2の方向は、軸方向の方向成分を有している。さらに、第2の目盛はインクリメンタル目盛としてまたはアブソリュート目盛として形成されていることができる。アブソリュート目盛としての形態は、スケール要素の軸方向の位置が、角度測定機器のスイッチオンの直後でも(とりわけ基準運転なしで)決定可能であるという利点を有しており、これは例えば温度に起因してスケール要素が軸方向に移動する場合に有益であり得る。
【0020】
第1の目盛またはさらなる目盛の規則的な構造が互いに並んで配置されている第1の方向は、周方向と同一であり得る。まったく同様に、第1の方向が周方向に対して傾いてまたは斜めに配置されていてもよい(ただし周方向に垂直ではない)。同様に、第2の目盛の規則的な構造が互いに並んで配置されている第2の方向は、軸方向と同一に(したがって回転軸に平行に)配置されていることができる。まったく同様に、第2の方向が軸方向に対して傾いてまたは斜めに配置されていてもよい(ただし軸方向に垂直ではない)。例えば、第1の目盛の規則的な構造と第2の目盛の規則的な構造が、互いに矢じり形に方向づけられていることができる。
【0021】
平面内でのスケール要素の変位が、磁気式の原理によって決定可能であることが有利である。この場合には、スケール要素の目盛の構造が、とりわけ磁気式の構造として、つまり局所的に規定されたN極およびS極の連続として形成されている。この形態では、位置センサーおよび/または位置検知器は磁気センサーとして形成されている。位置センサーおよび/または位置検知器は、例えば磁気抵抗の原理に基づいて働くことができ、またはホール・位置検知器として形成されていることができる。その代わりに、位置検知器が光学式または誘導式の測定原理に基づくこともでき、この場合、これらの原理の組合せも可能であり、したがって第1の目盛が第2の目盛とは違う原理に基づいて走査され得る。
【0022】
スケール要素としては、例えばボス(又は、ハブ)に固定され得るリング状の物体が考えられる。しかしその代わりに、第1および/または第2の目盛またはさらなる目盛が、直接的にボスに施されていてもよい。
【0023】
位置センサーおよび位置検知器が、電子モジュールと電気接続されていることが有利であり、この場合、電子モジュールにより、スケール要素の角度位置、回転軸に垂直な平面内でのスケール要素の変位または位置、およびスケール要素の傾動が決定可能である。任意選択で、これに加えて電子モジュールにより軸方向の位置が決定され得る。
【0024】
必然的に相応に剛性に形成されているスピンドルまたは回転テーブルの場合、このような傾動は比較的小さく、かつ理想的な回転軸に対して1分(角度)未満の範囲内にあり、例えば100秒から50秒までである。したがって、この傾動によってごくわずかな位置変化しか存在しないこともあり、よって傾動に関して信頼できるデータまたは定量値をもたらし得るには、位置検知器が非常に高い分解能を有していなければならない。回転軸が場合によっては回転していることにより、前述の傾動がスケール要素の揺動運動を生じさせる可能性があり、この場合、揺動運動は角度測定機構により、とりわけ、測定される角度位置を加えることによって定量的に記録され得る。
【0025】
位置検知器は、2μm未満、とりわけ1μm未満、とりわけ750nm未満の分解能を有し得ることが有利である。分解能のこれらの値は、軸方向の位置の決定に関しても、横方向の、つまり回転軸に垂直な平面内での位置の決定に関しても達成され得る。
【0026】
本方法の一変形形態によれば、第1の目盛またはスケール要素に配置されているさらなる目盛が、第1、第2、および第3の位置検知器により、それぞれ1つのさらなる角度位置を決定するために走査される。検出されたさらなる角度位置から、平面内でのスケール要素の変位が決定または計算される。
【0027】
つまりこの角度測定機構により、角度位置だけでなく、例えば回転テーブルの軸の移動もオンラインで検出され得る。とりわけ、加工プロセスまたは測定プロセス内で、スケール要素の角度位置および回転軸に垂直な平面内での位置の測定値をベースとして、数値制御により、目標位置の修正が行われ得る。これにより、例えば加工中の被加工材の位置が修正され得る。この角度測定機構はとりわけ、数値制御と連携して、角度測定機構によって測定された絶対角度位置と関連する位置データをベースとする修正値が生成されるように構成されていることができる。
【0028】
つまり、このように形成された角度測定機構により、スケール要素または回転軸の測定された角度位置、移動、または運動に依存して、残りの5つの自由度において、定量的に検出され得る。
【0029】
本発明の有利な形成形態は従属請求項から読み取られる。
本発明による角度測定機構のさらなる詳細および利点は、添付の図に基づく例示的実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図6】第1の例示的実施形態に基づく角度測定機構のスケール要素の詳細図である。
【
図8】さらなる一形態に基づく角度測定機構の動作方法のフロー図である。
【
図9】さらなる1つの例示的実施形態に基づく角度測定機構のスケール要素の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1および
図2ではそれぞれ、例えば、フライス盤などの工作機械の回転テーブル軸に取り付けられ得るような角度測定機構の分解図が示されている。角度測定機構は、第1の部品群1および第2の部品群2を含んでいる。第1の部品群1は、
図3に図示されるように、第2の部品群2に対して回転軸Aの周りを回転可能であり、したがって第1の部品群1はここでは回転子として機能でき、かつ第2の部品群2は固定子とも呼ばれ得る。これに加えて角度測定機構は
図4に図示されるように、ここでは転がり軸受として形成されている軸受3を含んでいる。
【0032】
第1の部品群1は、ボス1.2に回転不能に据え付けられているスケール要素1.1を有している(例えば
図4または
図5を参照)。ボス1.2は、シャフト、例えば回転テーブルを収容するために用いられ、したがってこの場合、シャフトはボス1.2と不動におよび回転不能に結合されている。
【0033】
第2の部品群2は第1の構造ユニット2.1を有しており、第1の構造ユニット2.1は、ここでは2つの部分から成る構造であり、したがってここでは固定ジョー(あご)と呼ばれ得る第1の部分2.1aと、本例示的実施形態では軸受プレートと呼ばれ得る第2の部分2.1bとを含んでいる。第1の部分2.1aには位置センサー2.11が固定されており、位置センサー2.11は、スケール要素1.1に対して径方向の空隙をあけて向かい合って配置されている(
図4を参照)。
【0034】
第2の部品群2は第2の構造ユニット2.2をさらに含んでおり、第2の構造ユニット2.2も2つの部分から成る構造である。したがって第2の構造ユニット2.2は、第1の部分2.2aと、ここではフランジとも呼ばれ得る第2の部分2.2bとを含んでいる。保持リングとして形成されている第1の部分2.2aに直接的に複数の位置検知器2.20~2.26が取り付けられている。
図5に図示のように、位置検知器2.20~2.26は、スケール要素1.1に対して径方向の空隙をあけて向かい合って配置されている。ここで説明されている実施形態によれば、角度測定機構は、詳しくは第1の位置検知器2.21と、第2の位置検知器2.22と、第3の位置検知器2.23と、第4の位置検知器2.24と、第5の位置検知器2.25と、第6の位置検知器2.26と、第7の位置検知器2.20とを含んでいる。位置検知器2.20~2.26は、周方向uにそれぞれ互いにずれて配置されている。
【0035】
第2の部品群2はたわみ軸継手2.3を含んでいる。たわみ軸継手2.3は、製造および取付けの必然的な不正確さに起因する変位を相殺するために用いられる。たわみ軸継手2.3を使って、第1の構造ユニット2.1は第2の構造ユニット2.2と回転剛性をもって、しかし軸方向および径方向にたわみ性をもって結合されている。本例示的実施形態では、例示的に
図1で一点鎖線によって示されているネジ結合により、第1の構造ユニット2.1の第1の部分2.1bが、たわみ軸継手2.3の3つの連接部2.31、2.33、2.35と結合される。これに対し、第2の構造ユニット2.2の第2の部分2.2bは、たわみ軸継手2.3のそのほかの3つの連接部2.32、2.34、2.36と結合される。このようにして、位置センサー2.11が複数の位置検知器2.20~2.26に対して回転剛性をもって、しかし軸方向および径方向にたわみ性をもってまたは柔軟に配置されている。
【0036】
たわみ軸継手2.3が、第1の構造ユニット2.1および第2の構造ユニット2.2と上述のように結合された後、第2の構造ユニット2.2の第1の部分2.2aが第2の部分2.2bとネジによって結合され得る。これにより位置センサー2.11および位置検知器2.20~2.26は、軸方向ではスケール要素1.1の高さに配置されている。
【0037】
図1は、とりわけたわみ軸継手2.3の取付状況を例示するものであり、その一方で
図2は、第1の部分2.2aおよび第2の部分2.2bを含んでいる第2の構造ユニット2.2に関する状況を例示するものである。取り付ける過程で第2の構造ユニット2.2は、軸方向に、第1の構造ユニット2.1の第2の部分2.1bの上に動く。
【0038】
これに加えて第2の部品群2はハウジング2.4を含んでおり、ハウジング2.4は、第2の構造ユニット2.2の第2の部分2.2bと結合され、かつ一般的には測定動作のために機械部分に不動に据え付けられる。ハウジング2.4は、角度測定機構の内部空間を、環境の及ぼす影響から保護するために役立つ。この関連で、しばしばボス1.2とハウジング2.4の間にシール材(seals;密封材等)が設けられており、しかしこれらのシール材は見易くするため図では示されていない。
【0039】
上述のように、角度測定機構が通常の作動を意図されたように行っている時では、ボス1.2が回転可能なシャフトと不動におよび回転不能に結合されており、かつ第2の構造ユニット2.2のハウジングまたは第2の部分2.2bは、静止している機械部分と結合されている。機械部分に対するシャフトの偏心度、揺動運動、または軸方向の変位は、角度測定機構内、とりわけ軸受3内での反力を生じさせる。反力の大きさを制限するためにたわみ軸継手2.3が設けられており、たわみ軸継手2.3は、径方向および軸方向にたわみ性をもっているかまたは弾性変形可能である。他方でたわみ軸継手2.3は回転剛性をもっており、したがって角度位置の測定精度は損なわれていない。位置センサー2.11は、第1の構造ユニット2.1の第2の部分2.1bと不動に結合されている。たわみ軸継手2.3の変形は、位置センサー2.11のスケール要素1.1に対する位置への影響を有さない。これに対し位置検知器2.20~2.26は、たわみ軸継手2.3の弾性の範囲内で、スケール要素1.1に対して(軸方向および径方向に)移動し得る。
【0040】
本例示的実施形態では、位置センサー2.11および位置検知器2.20~2.26はほぼ同一の構造であり、かつすべてが円周に沿って配置されている。
図4では、位置センサー2.11を備えた断面図(
図3での線D-D)が、および
図5では、位置検知器2.20~2.26のうちの位置検知器2.21を備えた断面図(
図3での線F-F)が示されている。当該位置検知器2.11、2.21はそれぞれLED2.111、2.211と、コンデンサ2.112、2.212と、センサー要素2.113、2.213とを含んでいる。センサー要素2.113、2.213は、ここではいわゆるOpto-ASICとして基板上で形成されている。光源として用いられるLED2.111、2.211は、光をコンデンサ2.112、2.212に通してスケール要素1.1に送る。この場合、LED2.111、2.211と、コンデンサ2.112、2.212と、センサー要素2.113、2.213とは、角度測定機構の第2の部品群2、つまり固定子に割り当てられている。本例示的実施形態では、各位置検知器2.11、2.20~2.26がハウジングを有しており、このハウジング内に相応のセンサー要素2.113、2.213が配置されている。代わりの実施形態として、ハウジングを使用しなくてもよく、または複数のセンサー要素が1つの同じハウジング内に配置されていてもよい。例えば、複数またはすべての位置検知器2.11、2.20~2.26が、1つの同じ基板上で取り付けられていてもよい。
【0041】
これとは異なり、既に言及したようなスケール要素1.1は回転可能なボス1.2に固定されている。スケール要素1.1は、
図6に図示のように、第1の目盛1.11および第2の目盛1.12を含んでいる。スケール要素1.1は、本例示的実施形態では、円筒形またはリング状の物体として形成されており、この物体の側面に、第2の目盛1.12も第1の目盛1.11も配置されており、この場合は第2の目盛1.12が第1の目盛1.11に対し、軸方向zにずれて配置されている。
【0042】
図6では、スケール要素1.1の側面の図の一部分が示されている。第2の目盛1.12は、第2の方向に沿って互いに平行に並んで配置されている規則的な構造または線を含んでおり、これに関し第2の方向は、軸方向の方向成分を有している。本例示的実施形態では、第2の方向は軸方向zと同一である。
【0043】
第1の目盛1.11は、第2の方向に沿って互いに平行に並んで配置されている規則的な構造または線を含んでおり、これに関し第2の方向は、軸方向の方向成分を有している。第2の方向は、本例示的実施形態では、回転軸Aに平行にまたは方向zに平行に延びている。加えて第1の目盛1.11は基準マーク1.111を含んでいる。言い換えれば第1の目盛1.11は規則的な構造を含んでおり、これらの規則的な構造はここでは線として形成されており、かつ第2の方向に方向づけられて互いに平行に配置されている。第2の方向は、本例示的実施形態では、回転軸Aに平行にまたは方向zに平行に延びている。第2の目盛1.12も規則的な構造を含んでおり、これらの規則的な構造はここでは、周囲を取り囲むように形成されており、かつ周囲を取り囲んでいる長手辺が第1の方向に方向づけられて互いに平行に配置されている。第1の方向は周方向uに延びている。
【0044】
第1の目盛1.11の構造および第2の目盛1.12の構造は、本例示的実施形態では、光に対して反射性のおよび非反射性の縞(stripes;細片ともいう)として形成されている。スケール要素1.1はその第1の目盛1.11により、入射する光を、スケール要素1.1またはボス1.2の角度位置に相応に変調させることができる。第2の目盛1.12により、入射した光はスケール要素1.1またはボス1.2の軸方向の位置に応じて変調される。変調された光は、
図4および
図5では最終的にセンサー要素2.113、2.213の光検出器に当たる。
【0045】
位置検知器2.20~2.26は電子モジュールと電気接続されている。位置検知器2.20~2.26は、
図3に図示のように、原則としてペアで配置されている(第1のペア2.21、2.24、第2のペア2.22、2.25、第3のペア2.23、2.26)。本例示的実施形態では、第1の位置検知器2.21、第2の位置検知器2.22、および第3の位置検知器2.23により、第1の目盛1.11が走査される。第4の位置検知器2.24、第5の位置検知器2.25、および第6の位置検知器2.26により、第2の目盛1.12が走査され、その際、これらの位置検知器2.24、2.25、2.26により、スケール要素1.1の軸方向の位置が決定可能である。上記のペアの1つに属していない位置検知器2.20も第1の目盛1.11の走査に用いられる。
【0046】
当該角度測定機構は、選択的に
図7および
図8に図示のように、第1のモードIでまたは第2のモードIIで動作でき、これに関し角度測定機構は、同時に両方のモードI、IIで、または相次ぐ期間内にそれぞれ1つのモードI、IIでのみ動作され得る。第1のモードIは本来の測定モードとして規定でき、その一方で第2のモードIIは較正モードとも呼ばれ得る。つまり第2のモードIIでは較正運転が行われる。角度測定機構は、例えば、予め規定された動作時間間隔をあけて、または角度測定機構の特定の回転数の後もしくは各スイッチオン後に、第2のモードIIになり得る。
【0047】
第1の目盛1.11は、第1の位置検知器2.21、第2の位置検知器2.22、および第3の位置検知器2.23によって走査される。較正運転中、スケール要素1.1は少なくとも360°回転する。3つの位置検知器2.21、2.22、2.23の各々が、いわゆるさらなる角度位置Pos2.21、Pos2.22、Pos2.23を測定する(
図7)。測定されたさらなる角度位置Pos2.21、Pos2.22、Pos2.23から、電子モジュール内で修正値KIIが確定され、かつ角度測定機構または制御部内で保存される。
【0048】
この場合、第1のモードIでは、位置センサー2.11により、スケール要素1.1の、位置センサー2.11に対する第1の角度位置Pos2.11が決定されるように、位置センサー2.11により第1の目盛1.11が走査される。その際、第1の角度位置Pos2.11は、1回転内にわたってアブソリュート式に決定され得る。この目的のために、
図6に示したようにインクリメンタル(incremental;漸増)式の第1の目盛1.11を使用でき、この第1の目盛1.11により、基準マーク1.111と関連させて、1回転を超えるアブソリュート式の第1の角度位置Pos2.11が生成可能である。その代わりに、第1の目盛1.11は符号化の意味において、つまり一義的なコード値の生成を伴って、例えば擬似ランダム符号またはグレイコード(交番二進符号)としてアブソリュート式に形成されていることができる。位置センサー2.11の信号は、第2の部品群2内の適切な部位に取り付けられている電子モジュールへと伝送される。この場合、電子モジュールにより、第1の角度位置Pos2.11のとりわけデジタル値が生成される。第1のモードIでは、測定された第1の角度位置Pos2.11と一緒に修正値KIIを使用して、電子モジュール内で部品群1、2の間の修正された相対角度位置PosIが計算され、かつ測定結果として出力される。
【0049】
前述の修正値KIIの使用により、例えば角度測定機構の動作中に生じるスケール要素1.1の変形が、角度位置の高い測定精度が保証され続けるように修正され得る。
この修正方法は、第1の位置検知器2.21、第2の位置検知器2.22、および第3の位置検知器2.23だけでなく、これに加えて第4の位置検知器2.24が第1の目盛1.11を走査するために使用されることによって最適化され得る。この場合にも、較正運転中にスケール要素1.1が少なくとも360°回転する。
図8によれば、4つの位置検知器2.20、2.21、2.22、2.23の各々が、さらなる角度位置Pos2.20、Pos2.21、Pos2.22、Pos2.23を測定する。測定されたさらなる角度位置Pos2.20、Pos2.21、Pos2.22、Pos2.23から、電子モジュール内で修正値KIIが確定され、かつ角度測定機構または制御部内で保存される。この修正値KIIは、第1のモードIで、測定された第1の角度位置Pos2.11を修正するために参照され、これにより電子モジュールは、部品群1、2の間の修正された角度位置PosIを計算でき、かつ測定結果として出力できる。
【0050】
電子モジュール内で、第1の位置検知器2.21、第2の位置検知器2.22、および第3の位置検知器2.23の位置信号を適切に結び付けることにより、回転軸Aに垂直に方向づけられている平面P内でのスケール要素1.1の位置、つまり回転軸Aの実際の位置のx,y座標が決定され得る。この位置は横方向の位置とも呼ばれ、所与の回転テーブルの場合、加工中の負荷に依存している。加えてその時々の横方向の位置に、ボス1.2の修正された角度位置PosIも割り当てられる。
【0051】
角度測定機構により、さらに第4の位置検知器2.24、第5の位置検知器2.26、および第6の位置検知器2.26の位置信号を適切に結び付けることで、平面P内にある傾動軸Bの周りでのスケール要素1.1の傾動の大きさならびに揺動運動の大きさおよび方向が決定され得る。平面Pは、回転軸Aに垂直に方向づけられている。
【0052】
この角度測定機構により、とりわけ回転テーブルの場合に、ボス1.2の絶対角度位置を決定すること、ならびに絶対角度位置に依存してボス1.2の横方向および軸方向の位置を測定することが可能である。前記回転テーブルがいずれにしても非常に厳密(rigidly)に設計されていることにより、ここではμm以下の範囲で動く位置測定が実施される。したがってとりわけ位置センサー2.11および位置検知器2.20~2.26の高い分解能が必要である。回転軸Aの、傾動軸Bの周りでのハウジング2.2に対する傾動も測定され得る。
【0053】
最後に、さらに処理された位置信号がケーブルを介してさらなる機器に、例えば機械の制御機構に出力される。
つまり、位置センサー2.11および位置検知器2.20~2.26は、本例示的実施形態では、角度位置および/または軸方向の位置を検出する位置検知器である。
【0054】
図9に基づいて第2の例示的実施形態を解説する。
図9は、スケール要素1.1’の側面の図を示している。スケール要素1.1’は第1の目盛1.11を含んでおり、この第1の目盛1.11は、第1の例示的実施形態の第1の目盛1.11に相応している。第1の目盛1.11はこれに加えて基準マーク1.111を含んでいる。第1の目盛1.11および基準マーク1.111の構造は、第1の例示的実施形態に類似して、光に対して反射性のおよび非反射性の縞として形成されている。第2の目盛も、第1の例示的実施形態に類似して形成されている。
【0055】
しかし第2の例示的実施形態によれば、スケール要素1.1’はさらなる目盛1.13を有している。このさらなる目盛1.13は、第1の方向に沿って互いに平行に並んで配置されている規則的な構造または線を含んでおり、これに関し第1の方向は、周方向uの方向成分を有している。本例示的実施形態では、第1の方向は周方向uと同一である。さらなる目盛1.13の構造は、本例示的実施形態では、N極およびS極として形成されている。第1の目盛1.11およびさらなる目盛1.13は、少なくとも部分的に重なり合って配置されている。
【0056】
この場合、ポジションセンサー2.11は、
図4に図示のように、第1の目盛1.11を光学式の原理に基づいて走査でき、その一方で位置検知器は磁気式の原理に基づいて働く。したがって第2の例示的実施形態では、第1の角度位置Pos2.11は光学式に検知され、かつさらなる角度位置Pos2.20、Pos2.21、Pos2.22、Pos2.23、Pos2.24、Pos2.25、Pos2.26は磁気式の原理によって検知される。