(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240403BHJP
【FI】
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2020151924
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三木 拓也
【審査官】小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/136824(WO,A1)
【文献】特開2016-21446(JP,A)
【文献】特開2006-261242(JP,A)
【文献】特開2007-134376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並んで配置された第1リード及び第2リードと、
前記第1リード及び前記第2リードを保持する樹脂部材であって、前記第1方向に延びかつ互いに対向する第1側壁及び第2側壁と、前記第1方向と直交する第2方向に延びかつ互いに対向する第3側壁及び第4側壁とに規定される樹脂凹部を有する樹脂部材と、
前記樹脂凹部内に配置された少なくとも1つの発光素子と、を備え、
前記第1リードは第1本体部と、前記第1本体部から前記第2リード側に向かって延びる第1A凸部及び第1B凸部と、を有し、
前記第2リードは第2本体部と、前記第2本体部から前記第1リード側に向かって延びる第2A凸部及び第2B凸部と、を有し、
前記第1A凸部及び前記第2A凸部は前記第1側壁に覆われており、
前記第1B凸部及び前記第2B凸部は前記第2側壁に覆われており、
前記第1A凸部は前記第2A凸部よりも外側に位置し、
前記第2B凸部は前記第1B凸部よりも外側に位置し、
前記第2方向において、前記第1A凸部と前記第2B凸部の少なくとも一部が重なる発光装置。
【請求項2】
前記第2方向において、前記第1B凸部と第2A凸部が重ならない請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2方向において、前記第1A凸部と前記第2A凸部の少なくとも一部が重なる請請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第2方向において、前記第1B凸部と前記第2B凸部の少なくとも一部が重なる請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1方向において、前記第1A凸部と前記第2A凸部の少なくとも一部が重なる請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1方向において、前記第1B凸部と前記第2B凸部の少なくとも一部が重なる請求項1から5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
上面視において、前記第1A凸部の外縁と前記第2A凸部の外縁は平行である請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1A凸部の外縁と前記第2A凸部の外縁は前記第1方向に対して10°以上80°以下傾く第3方向に延びる請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
上面視において、前記第1B凸部の外縁と前記第2A凸部の外縁は平行である請求項1から8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1B凸部の外縁と前記第2B凸部の外縁は前記第1方向に対して10°以上80°以下傾く第4方向に延びる請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記第3方向と前記第4方向が同じ方向である請求項8及び請求項10に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の発光素子を用いた発光装置は高い発光効率を容易に得られるため、ディスプレイ等のバックライトおよび照明用灯具を含む多くの機器で用いられている。特許文献1には、正負一対のリードと凹部を有する樹脂部材と、樹脂部材の凹部の底面に載置される発光素子と、を備える発光装置が開示されている。このような発光装置は、機械的強度のより一層の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明に係る実施形態は、機械的強度を向上させることができる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態の発光装置は、第1方向に並んで配置された第1リード及び第2リードと、前記第1リード及び前記第2リードを保持する樹脂部材であって、前記第1方向に延びかつ互いに対向する第1側壁及び第2側壁と、前記第1方向と直交する第2方向に延びかつ互いに対向する第3側壁及び第4側壁とに規定される樹脂凹部を有する樹脂部材と、前記樹脂凹部内に配置された少なくとも1つの発光素子と、を備え、前記第1リードは第1本体部と、前記第1本体部から前記第2リード側に向かって延びる第1A凸部及び第1B凸部と、を有し、前記第2リードは第2本体部と、前記第2本体部から前記第1リード側に向かって延びる第2A凸部及び第2B凸部と、を有し、前記第1A凸部及び前記第2A凸部は前記第1側壁に覆われており、前記第1B凸部及び前記第2B凸部は前記第2側壁に覆われており、前記第1A凸部は前記第2A凸部よりも外側に位置し、前記第2B凸部は前記第1B凸部よりも外側に位置し、前記第2方向において、前記第1A凸部と前記第2B凸部の少なくとも一部が重なる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態の発光装置によれば、機械的強度を向上させることができる発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本実施形態に係る発光装置の模式上面図である。
【
図1C】本実施形態に係る発光装置の模式下面図である。
【
図2A】本実施形態に係るリードの模式上面図である。
【
図2B】本実施形態に係るリードの模式下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照しながら、実施形態の発光装置を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による発光装置は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。
【0009】
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、分かり易さのために誇張されている場合があり、実際の発光装置における寸法、形状及び構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
図1Aでは、樹脂凹部25の内部が分かりやすいように透光性部材50を省略して図示する。
【0010】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。また、特定の方向又は位置を示す用語(例えば、「上」、「下」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向又は位置を分かり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向又は位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本明細書において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本明細書において「直交」又は「垂直」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。さらに、「上」と表現する位置関係は接している場合と接していないが上方に位置している場合も含む。
【0011】
<実施形態>
本実施形態に係る発光装置1000を
図1Aから
図2Bに基づいて説明する。発光装置1000は、リード10と、樹脂部材20と、少なくとも1つの発光素子30と、を備える。リード10は、第1方向に並んで配置された第1リード11及び第2リード12を備える。第1リード11は第1本体部110と、第1本体部110から第2リード12側に向かって延びる第1A凸部11A及び第1B凸部11Bと、を有する。第2リード12は第2本体部120と、第2本体部120から第1リード11側に向かって延びる第2A凸部12A及び第2B凸部12Bと、を有する。樹脂部材20は、第1リード11及び第2リード12を保持する。樹脂部材20は第1方向に延びかつ互いに対向する第1側壁21及び第2側壁22と、第1方向と直交する第2方向に延びかつ互いに対向する第3側壁23及び第4側壁24とに規定される樹脂凹部25を有する。第1リード11の第1A凸部11Aと第2リード12の第2A凸部12Aが、第1側壁21に覆われる。第1リード11の第1B凸部11Bと第2リード12の第2B凸部12Bが、第2側壁22に覆われる。第1A凸部11Aは、第2A凸部12Aよりも外側に位置する。第2B凸部12Bは、第1B凸部11Bよりも外側に位置する。第2方向において、第1A凸部11Aと第2B凸部12Bの少なくとも一部が重なる。少なくとも1つの発光素子30は、樹脂部材20の樹脂凹部25内に配置される。
図1において、第1方向とはX方向であり、第2方向とはY方向のことである。本明細書において、第1リード11から第2リード12側に向かう第1方向を-X方向と呼び、第2リード12から第1リード11側に向かう第1方向を+X方向と呼ぶことがある。また、リード10の下面側からリードの上面側に向かう方向を+Z方向と呼び、リード10の上面側からリードの下面側に向かう方向を-Z方向と呼ぶことがある。
【0012】
本実施形態においては、リード10の一部である第1A凸部11Aと第2B凸部12Bの少なくとも一部が第2方向において重なっている。これにより、第2方向において樹脂部材20の一部を第1A凸部11Aと第2B凸部12Bによって挟むことができる。一般的に、リード10は樹脂部材20よりも機械的強度が高いので、樹脂部材20の一部が第1A凸部11Aと第2B凸部12Bに挟まれることにより、外力によって樹脂部材20がひび割れたり欠けたりすること抑制できる。このため、発光装置の機械的強度を向上させることができる。
【0013】
(リード10)
リード10は、第1リード11及び第2リード12を備える。第1リード11及び第2リード12は、発光素子の一対の電極の負極又は正極のいずれかと電気的に接続して発光素子に通電するための部材である。第1リード11及び第2リード12は、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、鉄、ニッケル、又はこれらの合金、燐青銅、鉄入り銅などの金属を用いて、圧延、打ち抜き、押し出し、ウェットもしくはドライエッチングによるエッチング又はこれらの組み合わせ等の加工により所定の形状に形成することができる。これらは単層であってもよいし、積層構造(例えば、クラッド材)であってもよい。特に、安価で放熱性が高い銅を用いることが好ましい。第1リード11及び第2リード12は、必要に応じて、例えば、反射率向上を目的に、銀、アルミニウム、銅及び金などの金属めっきを、反射膜として、単層又は積層構造で一部に又は全面に施していてもよい。なお、第1リード11及び第2リード12の最表面に銀を含む金属層が形成される場合は、銀を含む金属層の表面に酸化ケイ素等の保護層を設けることが好ましい。これにより、銀を含む金属層が大気中の硫黄成分等によって変色することを抑制することができる。保護層の成膜方法は、例えば、スパッタ等の真空プロセス等の公知の方法が挙げられる。
【0014】
第1リード11及び第2リード12は、通常、板状のリードフレームから形成される。まず、複数の樹脂パッケージに対応する複数ユニットが、縦及び/又は横に繰返して配置されるように板状のリードフレームを打ち抜き等によって加工する。次に、1つの発光装置を構成する1つのユニットごとに切断する。これにより、板状のリードフレームから第1リード11及び第2リード12が形成される。このため、1つのユニットを構成する第1リード11及び第2リード12は、これらから、一体的にリードフレームに連結するための連結部が延びている。連結部は、発光装置の外側面おいて、樹脂部材と略同一平面であり樹脂部材から露出する。本願においては、第1リード11及び第2リード12の形状を説明する場合には、特に断りのない限り、連結部S(
図2A参照)はその形状には含まないこととする。
【0015】
図2A、
図2Bに示すように、第1リード11及び第2リード12は、第1方向に並んで配置される。第1リード11は第1本体部110と、第1A凸部11Aと、第1B凸部11Bと、を有する。第1A凸部11Aは、第1本体部110から-X方向に延びる。第1B凸部11Bは、第1本体部110から-X方向に延びる。第2リード12は、第2本体部120と、第2A凸部12Aと、第2B凸部12Bと、を有する。第2A凸部12Aは、第2本体部120から+X方向に延びる。第2B凸部12Bは、第2本体部120から+X方向に延びる。第1A凸部11Aは、第2A凸部12Aよりも外側に位置する。第1A凸部11Aが第2A凸部12Aよりも外側に位置するとは、発光装置の中心から最も離れる第1A凸部11Aの部分が、発光装置の中心から最も離れる第2A凸部12Aの部分よりも発光装置の中心から外側に位置していることを意味する。尚、本明細書において、「発光装置の中心」とは、上面視における発光装置の幾何学的な重心を意味する。例えば、上面視における発光装置の形状が矩形である場合は、発光装置の中心とは発光装置の対角線の交点を意味する。第2B凸部12Bは、第1B凸部11Bよりも外側に位置する。第2B凸部12Bが第1B凸部11Bよりも外側に位置するとは、発光装置の中心から最も離れる第2B凸部12Bの部分が発光装置の中心から最も離れる第1B凸部11Bの部分よりも発光装置の中心から外側に位置していることを意味する。第1A凸部11A及び第2A凸部12Aは樹脂部材20の第1側壁21に覆われている。第1側壁21に第1A凸部11A及び第2A凸部12Aが覆われることにより、樹脂部材20とリード10との密着性が向上する。また、第1側壁21に第1A凸部11A及び第2A凸部12Aが覆われることにより、第1側壁21に第1A凸部11A及び第2A凸部12Aが覆われない場合よりも第1側壁21の下側に位置するリード10の体積を増加させやすくなる。これにより、第1側壁21の下側において樹脂部材20よりも強度の高いリード10の体積が増加することで、発光装置の機械的強度を向上させやすくなる。第1B凸部11B及び第2B凸部12Bは樹脂部材20の第2側壁22に覆われている。これにより、樹脂部材20とリード10との密着性が向上する。第2方向において、第2A凸部12Aよりも外側に位置する第1A凸部11Aと、第1B凸部11Bよりも外側に位置する第2B凸部12Bと、が重なっている。これにより、第2方向において第1A凸部11Aから第2B凸部12Bまでの距離を長くしやすくなる。このため、第1A凸部11Aと第2B凸部12Bに挟まれる樹脂部材20の体積を増加させやすくなるので、外力によって樹脂部材20がひび割れたり欠けたりすること抑制しやすくなる。
【0016】
第2方向において第1B凸部11Bと第2A凸部12Aの少なくとも一部は重なっていてもよく、
図2Aに示すように第2方向において第1B凸部11Bと第2A凸部12Aは重ならなくてもよい。第2方向において、第1B凸部11Bと第2A凸部12Aとが重なることにより、第1B凸部11Bと第2A凸部12Aに挟まれる樹脂部材20のひび割れや欠けの発生を抑制することができる。第2方向において第1B凸部11Bと第2A凸部12Aとが重ならないことにより、第1方向における第1B凸部11Bから第2リード12のまでの長さ及び/又は第1方向における第2A凸部12Aから第1リード11までの長さを長くすることができる。これにより、第1リード11と第2リード12が接しにくくなるので、発光装置の短絡を抑制できる。
【0017】
第2方向において第1A凸部11Aと第2A凸部12Aは重ならなくてもよく、
図2Aに示すように第2方向において第1A凸部11Aと第2A凸部12Aの少なくとも一部が重なっていてもよい。第2方向において、第1A凸部11Aと第2A凸部12Aが重ならないことより、第1方向における第1A凸部11Aから第2リード12のまでの長さ及び/又は第1方向における第2A凸部12Aから第1リード11までの長さを長くすることができる。これにより、第1リードと第2リードが接しにくくなるので、発光装置の短絡を抑制できる。第2方向において、第1A凸部11Aと第2A凸部12Aの少なくとも一部が重なっていることによって、第1A凸部11Aと第2A凸部12Aに挟まれる樹脂部材20のひび割れや欠けの発生を抑制することができる。これにより、発光装置の機械的強度を向上させることができる。同様に、第2方向において第1B凸部11Bと第2B凸部12Bは重ならなくてもよく、
図2Aに示すように第2方向において第1B凸部11Bと第2B凸部12Bの少なくとも一部が重なっていてもよい。
【0018】
第1方向において第1A凸部11Aと第2A凸部12Aは重ならなくてもよく、
図2Aに示すように第1方向において第1A凸部11Aと第2A凸部12Aの少なくとも一部が重なっていてもよい。第1方向において第1A凸部11Aと第2A凸部12Aが重ならないことにより、第1リードと第2リードが接しにくくなる。第1方向において第1A凸部11Aと第2A凸部12Aの少なくとも一部が重なっていることにより、第1A凸部11Aと第2A凸部12Aに挟まれる樹脂部材20のひび割れや欠けの発生を抑制することができる。また、第1方向において第1A凸部11Aと第2A凸部12Aの少なくとも一部が重なっていることにより、第1方向において第1A凸部11Aと第2A凸部12Aが離れている場合よりも、第2方向における第1A凸部11Aの外縁から第2A凸部12Aの外縁までの最大長さL1を短くしやすくなる。このため、第2方向において発光装置を小型化しやすくなる。同様に、第1方向において第1B凸部11Bと第2B凸部12Bは重ならなくてもよく、
図2Aに示すように第1方向において第1B凸部11Bと第2B凸部12Bの少なくとも一部が重なっていてもよい。
【0019】
上面視において、対向する第1A凸部11Aの外縁111と第2A凸部12Aの外縁121とは平行であることが好ましい。このようにすることで、部分的に第1A凸部11Aから第2A凸部12Aまでの距離が遠すぎたり、近すぎたりすることを抑制できる。例えば、第1A凸部11Aから第2A凸部12Aまでの距離が遠すぎないことにより、第1A凸部11Aと第2A凸部12Aの間に位置する樹脂部材の体積を減らすことができる。これにより、発光装置の機械的強度を向上させやすくなる。また、第1A凸部11Aから第2A凸部12Aまでの距離が近すぎないことにより、第1リード11と第2リード12が接しにくくなる。これにより、発光装置の短絡を抑制できる。同様に、上面視において、対向する第1B凸部11Bの外縁112と第2B凸部12Bの外縁122は平行であることが好ましい。
【0020】
上面視において、互いに平行な第1A凸部11Aの外縁111と第2A凸部12Aの外縁121は第1方向に対して10°以上80°以下傾く第3方向に延びることが好ましい。このようにすることで第1方向及び/又は第2方向において第1A凸部11Aと第2A凸部12Aの少なくとも一部が重なるように配置しやすくなる。これにより、第1方向及び/又は第2方向において発光装置を小型化しやすくなる。尚、本明細書において、第1方向に対して第3方向が傾く角度とは、第1方向と第3方向とが成す角度のうち鋭角の方の角度を意味する。同様に、上面視において、互いに平行な第1B凸部11Bの外縁112と第2B凸部12Bの外縁122は第1方向に対して10°以上80°以下傾く第4方向に延びることが好ましい。また、第3方向と第4方向が同じ方向であることが好ましい。このようにすることで、第1A凸部11A、第1B凸部11B、第2A凸部12A及び第2B凸部12Bの設計が容易になる。
【0021】
図2Aに示すように、第1リードの第1本体部110は、+X方向に凹む第1凹部113を有していてもよい。第1方向において第1凹部113と第2B凸部12Bの少なくとも一部は重なることが好ましい。このようにすることで、第1リード11と第2リード12が接することを抑制することができる。また、第1凹部113と第1B凸部11Bは連続していることが好ましい。このようにすることで、第2方向において発光装置を小型化しやすくなる。第1凹部113の外縁131と第1B凸部11Bの外縁112は同一直線上であることが好ましい。このようにすることで、第1凹部113と第1B凸部11Bの堺で第1リード11が変形することを抑制できる。同様に、第2リードの第2本体部120は、-X方向に凹む第2凹部123を有していてもよい。第1方向において第2凹部123と第1A凸部11Aの少なくとも一部は重なることが好ましい。第2凹部123と第1B凸部11Bは連続していることが好ましい。第2凹部123の外縁132と第2A凸部12Aの外縁121は同一直線上であることが好ましい。
【0022】
図2Aに示すように、第1リード11は、その上面の一部に第1A窪み部41A及び/又は第1B窪み部41Bを有していてもよい。第1A窪み部41A及び/又は第1B窪み部41Bは-Z方向に窪んでいる。例えば、第1A窪み部41A及びは第1B窪み部41Bは第1リード11の上面から、第1リード11の最大厚みの10%以上50%以下窪んでいる。
図2Bに示すように、第1A窪み部41A及び/又は第1B窪み部41B内には樹脂部材20が位置することが好ましい。これにより、第1リード11と樹脂部材20の密着性が向上する。第1A窪み部41Aは、第1側壁21、第2側壁22及び第3側壁23に覆われることが好ましい。このようにすることで、第1側壁21、第3側壁23及び第4側壁24と第1リード11の密着性が向上する。
図1Bに示すように、第1B窪み部41Bは、発光素子30を載置することができる第1リード11の上面の領域に隣接して位置することが好ましい。第1リード11の上面が複数の発光素子を載置できる領域を備えている場合には、第1B窪み部41Bは複数の発光素子を載置することができる領域に隣接して位置していてもよい。第1B窪み部41B内に樹脂部材20が位置することにより、樹脂部材20から露出する第1リード11の上面の面積を小さくすることができる。これにより、第1リード11の最表面に銀を含む金属層が形成されている場合においても、銀を含む金属層が変色する面積を小さくすることができる。これにより、発光装置の光取り出し効率の低下を抑制できる。また、発光素子のピーク波長に対する樹脂部材20の反射率が第1リード11の反射率よりも高い場合には、樹脂部材20から露出される第1リード11の上面の面積が小さくなることで発光装置の光取り出し効率を向上させることができる。なお、発光装置が異なるピーク波長を有する複数の発光素子を備える場合は、少なくとも1つの発光素子のピーク波長に対する樹脂部材20の反射率が第1リード11の反射率よりも高ければよい。また、第1B窪み部41Bの外縁の少なくとも一部は、第1リード11の外縁と重なることが好ましい。このようにすることで、射出成型等の公知の方法により第1B窪み部41B内に樹脂部材20を配置することが容易になる。同様に、第2リード12は、その上面の一部に第2A窪み部42A及び/又は第2B窪み部42Bを有していてもよい。第2A窪み部42A及び/又は第2B窪み部42Bは-Z方向に窪んでいる。
図2Bに示すように、第2A窪み部42A及び/又は第2B窪み部42B内には樹脂部材20が位置することが好ましい。第2A窪み部42Aは、第1側壁21、第2側壁22及び第4側壁24に覆われることが好ましい。
図1Bに示すように、第2B窪み部42Bは、発光素子を載置することができる第2リード12の上面の領域に隣接して位置することが好ましい。第2B窪み部42Bの外縁の少なくとも一部は、第2リード12の外縁と重なることが好ましい。
【0023】
図2Bに示すように、第1リード11及び第2リード12は、その下面に第3窪み部43を有していてもよい。第3窪み部43は、+Z方向に窪んでいる。例えば、第3窪み部43は第1リード11及び第2リード12の下面から、第1リード11及び/又は第2リードの最大厚みの10%以上50%以下窪んでいる。第3窪み部43内には、樹脂部材20が位置している。これにより、リード10と樹脂部材20の密着性が向上する。下面視において第3窪み部43は、第1A凸部11A、第1B凸部11B、第2A凸部12A及び/又は第2B凸部12Bと重なることが好ましい。このようにすることで、第1A凸部11A、第1B凸部11B、第2A凸部12A及び/又は第2B凸部12Bと樹脂部材20の密着性が向上する。
図1Cに示すように、第1リード11及び第2リード12の下面は樹脂部材20から露出することが好ましい。これにより、第1リード11及び第2リード12の下面から電気を供給することができる。第1A窪み部41A、第1B窪み部41B、第2A窪み部42A、第2B窪み部42B及び/又は第3窪み部43は、プレス加工、ハーフエッチング等の公知の方法によって形成することができる。
【0024】
(樹脂部材20)
樹脂部材20は第1リード11及び第2リード12を保持する部材である。樹脂部材20は、第1側壁21、第2側壁22、第3側壁23及び第4側壁24を備える。第1側壁21及び第2側壁22は、第1方向に延びかつ互いに対向している。第3側壁23及び第4側壁24は、第2方向に延びかつ互いに対向している。樹脂部材20は、第1側壁21、第2側壁22、第3側壁23及び第4側壁24に規定される樹脂凹部25を有する。第1側壁21は、第1A凸部11A及び第2A凸部12Aを覆っている。これにより、樹脂部材20と第1リード11の密着性が向上する。第2側壁22は、第1B凸部11B及び第2B凸部12Bを覆っている。これにより、樹脂部材20と第2リード12の密着性が向上する。
【0025】
樹脂部材20は、樹脂材料として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの公知の材料を用いることができる。熱可塑性樹脂の場合には、例えば、ポリフタルアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、不飽和ポリエステルなどを用いることができる。熱硬化性樹脂の場合には、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂などを用いることができる。特に、樹脂材料として、耐熱性および耐光性に優れたエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0026】
樹脂部材20は、樹脂材料に、光反射性物質を含有することが好ましい。光反射性物質としては、発光素子からの光を吸収しにくく、樹脂材料に対して屈折率差の大きい部材を用いることが好ましい。このような光反射性物質は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。これら光反射性物質は、樹脂材料に対して5重量%以上90重量%以下で含有させることができる。素子載置領域に隣接する凹部内には樹脂部材が配置されるので、樹脂部材が反射性を有することで、素子載置領域に載置された発光素子からの光の取り出し効率を向上させることができる。
【0027】
(発光素子30)
発光素子30は、電圧を印加することで自ら発光する半導体素子であり、窒化物半導体等から構成される公知の半導体素子を適用できる。発光素子としては、例えばLEDチップが挙げられる。発光素子は、少なくとも半導体層を備え、多くの場合に素子基板をさらに備える。発光素子は、素子電極を有する。素子電極は、金、銀、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル又はこれらの合金で構成することができる。半導体材料としては、窒化物半導体を用いることが好ましい。窒化物半導体は、主として一般式InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)で表される。このほか、InAlGaAs系半導体、InAlGaP系半導体、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、炭化珪素などを用いることもできる。発光素子の素子基板は、主として半導体層を構成する半導体の結晶を成長可能な結晶成長用基板であるが、結晶成長用基板から分離した半導体層を接合させる接合用基板であってもよい。
【0028】
発光素子30は、樹脂部材20の樹脂凹部25の底面に位置する第1リード11、第2リード12及び/又は樹脂部材20の表面に、接合部材によって実装される。発光素子はフリップチップ実装でもよく、フェイスアップ実装でもよい。フェイスアップ実装の場合には、発光素子30の正極及び負極と第1リード11及び第2リード12とをそれぞれワイヤーによって電気的に接続してもよい。発光素子30は、1つの発光装置において1つのみ搭載されていてもよいし、複数個搭載されていてもよい。この場合、光度を向上させるために、同じ発光色の色を発する発光素子を複数個組み合わせてもよい。また、例えば、RGBに対応するように、発光色の異なる発光素子を複数個組み合わせることにより、色再現性を向上させることができる。発光装置が複数の発光素子備えている場合には、全てが直列接続されていてもよいし、並列接続されていてもよいし、直列及び並列接続が組み合わせられていてもよい。
【0029】
図1Aに示す発光装置1000では、複数の発光素子30の全てが直列に接続されている。例えば、発光装置1000は、第1リード上に位置する第1発光素子31及び第2発光素子32と、第2リード上に位置する第3発光素子33及び第4発光素子34と、の4つの発光素子30を備えている。第1リード11と第1発光素子31の一方の電極とがワイヤー60により接続されている。第1発光素子31の他方の電極と第2発光素子32の一方の電極がワイヤーにより接続されている。第2発光素子32の他方の電極と第3発光素子33の一方の電極がワイヤーにより接続されている。第3発光素子33の他方の電極と第4発光素子34の一方の電極がワイヤーにより接続されている。第4発光素子34の他方の電極と第2リード12がワイヤーにより接続されている。このようにして、第1発光素子31、第2発光素子32、第3発光素子33及び第4発光素子34が直列接続されている。
【0030】
(保護素子40)
発光装置1000は、保護素子40を備えることが好ましい。保護素子40としては、静電気及び高電圧サージから発光素子を保護するための素子であるツェナーダイオードが挙げられる。保護素子40は樹脂凹部内に配置されてもよく、
図1Aに示すように樹脂部材20に覆われていてもよい。保護素子40が樹脂部材20に覆われることにより発光素子30からの光が保護素子40に吸収されることを抑制できる。これにより、発光装置の光取り出し効率が向上する。
【0031】
(透光性部材50)
発光装置1000は、透光性部材50を備えることが好ましい。透光性部材50は樹脂凹部25内に位置し発光素子30を覆う部材である。透光性部材50が発光素子30を覆うことにより、発光素子30を外力から保護することができる。透光性部材50の材料として、例えば、樹脂を用いることができる。透光性部材に用いることができる樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。なかでも、シリコーン樹脂及び変性シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れているので好ましい。
【0032】
透光性部材50は蛍光体を含有してもよい。このようにすることで、発光装置の色調整が容易になる。透光性部材50に含まれる蛍光体は1種類でもよく複数種類でもよい。透光性部材50に含有される蛍光体は分散していてもよく、偏在していてもよい。蛍光体には、公知の材料を適用することができる。蛍光体の例は、KSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体、CASN等の窒化物系蛍光体、YAG系蛍光体、βサイアロン蛍光体等である。KSF系蛍光体およびCASNは、青色光を赤色光に変換する波長変換部材の例であり、YAG系蛍光体は、青色光を黄色光に変換する波長変換部材の例である。βサイアロン蛍光体は、青色光を緑色光に変換する波長変換部材の例である。蛍光体は、量子ドット蛍光体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の一実施形態に係る発光装置は、液晶ディスプレイのバックライト装置、各種照明器具、大型ディスプレイ、広告や行き先案内等の各種表示装置、プロジェクタ装置、さらには、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1000:発光装置
10:リード
11:第1リード
11A:第1A凸部
11B:第1B凸部
12:第2リード
12A:第2A凸部
12B:第2B凸部
20:樹脂部材
21:第1側壁
22:第2側壁
23:第3側壁
24:第4側壁
25:樹脂凹部
30:発光素子
40:保護素子
110:第1本体部
113:第1凹部
120:第2本体部
123:第2凹部