(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ブレード把持具
(51)【国際特許分類】
B24B 45/00 20060101AFI20240403BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240403BHJP
B28D 1/24 20060101ALI20240403BHJP
B28D 5/02 20060101ALI20240403BHJP
B28D 7/00 20060101ALI20240403BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B24B45/00 Z
B24B27/06 J
B28D1/24
B28D5/02 A
B28D7/00
H01L21/78 F
(21)【出願番号】P 2019214544
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-09-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】中川 俊
(72)【発明者】
【氏名】山本 直子
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-017443(JP,U)
【文献】特開2009-000798(JP,A)
【文献】特開2002-219648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 45/00
B24B 27/06
B28D 1/00 - 7/04
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合孔が形成される切削ブレードのハブ基台をブレード把持具にて把持する把持ステップと、
該ブレード把持具に設けられ、該ハブ基台のフランジ部の端面に当着する加熱面を有するヒーターにて該ハブ基台を加熱し、該嵌合孔を拡径する加熱ステップと、
該切削ブレードを把持したまま該ブレード把持具を移動させ、該嵌合孔
にブレードマウントのボス部を挿入させる装着ステップと、
を有する、
スピンドルの先端に固定された該
ブレードマウントへの該切削ブレードの取付方法
に使用される、ブレード把持具であって、
該嵌合孔の軸方向と直交する断面が、略C字状をなす把持部と、
該把持部の内側に設けられ、該把持部の内周面にて保持される該ハブ基台に当着するヒーターと、
を備え、
該把持部は、外周部を掴むことで内周部の径が縮小するように撓み、該内周部にて該ハブ基台の被把持部を取り囲んで保持する、ブレード把持具。
【請求項2】
該切削ブレードの取付方法において、該切削ブレードの該嵌合孔の直径は、常温時に該ボス部の直径よりも小さい値に設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の
ブレード把持具。
【請求項3】
該切削ブレードの取付方法において、該装着ステップ後、放置による自然冷却により該切削ブレードを該ボス部に嵌合固定させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の
ブレード把持具。
【請求項4】
切削ブレードのハブ基台をブレード把持具にて把持する把持ステップと、
該ブレード把持具に設けられ、該ハブ基台のフランジ部の端面に当着する加熱面を有するヒーターにて該ハブ基台を加熱し、該ハブ基台に形成される嵌合孔を拡径する加熱ステップと、
該切削ブレードを把持したまま該ブレード把持具を移動させ、該嵌合孔か
らブレードマウントのボス部を引き抜く取外しステップと、
を有する、
スピンドルの先端に固定された該ブレードマウントに取付られた該切削ブレードの取外し方法
に使用されるブレード把持具であって、
該嵌合孔の軸方向と直交する断面が、略C字状をなす把持部と、
該把持部の内側に設けられ、該把持部の内周面にて保持される該ハブ基台に当着するヒーターと、
を備え、
該把持部は、外周部を掴むことで内周部の径が縮小するように撓み、該内周部にて該ハブ基台の被把持部を取り囲んで保持する、ブレード把持具。
【請求項5】
該切削ブレードの取外し方法において、該切削ブレードの該嵌合孔の直径は、常温時に該ボス部の直径よりも小さい値に設定されている、
ことを特徴とする請求項
4に記載の
ブレード把持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の被加工物を切削する切削ブレードを着脱するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されるように、半導体ウェーハ等の被加工物を切削加工しダイシングする切削装置は知られている。この種の切削装置には、ブレードマウントに固定される切削ブレードを高速回転させる切削手段が備えられており、切削ブレードが消耗した際には、適宜切削ブレードの交換作業が発生するものである。
【0003】
特許文献1では、記録コードが付された切削ブレードの交換作業を簡単かつ効率よく行うことを課題とし、交換対象となる切削ブレードを交換作業のために把持部によって把持するだけで記録コードの情報も別個専用の操作を要することなく確実に取得できる技術について開示がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される構成のように、切削ブレードの貫通穴にブレードマウントのボス部に貫挿される構成においては、貫通穴とボス部の嵌合を設計する必要がある。
【0006】
両者の嵌合を隙間嵌めとすることによれば、切削ブレードの着脱作業は容易なものとなるが、ブレードマウント、及び、ブレードマウントを固定するスピンドルと、切削ブレードの軸芯に生じるズレ量が大きくなることが懸念され、切削ブレードが偏心して高精度な加工ができなくなるという問題が生じる。
【0007】
他方、両者がきつく嵌合されるしまり嵌めにすることによれば、偏心の問題は少なくなるが、着脱作業に困難を増すことになる。特に、切削ブレードの切り刃は非常に薄いため、外力を付加した際に衝撃で切り刃を破損させてしまう恐れもある。
【0008】
本発明は、以上に鑑み、ブレードマウントに対する切削ブレードの着脱作業を容易に行うことを可能とする新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、
スピンドルの先端に固定されたブレードマウントへの切削ブレードの取付方法であって、
嵌合孔が形成される切削ブレードのハブ基台をブレード把持具にて把持する把持ステップと、
該ブレード把持具に設けたヒーターにて該ハブ基台を加熱し、該嵌合孔を拡径する加熱ステップと、
該切削ブレードを把持したまま該ブレード把持具を移動させ、該嵌合孔に該ブレードマウントのボス部を挿入させる装着ステップと、
を有する、切削ブレードの取付方法とする。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、
該切削ブレードの該嵌合孔の直径は、常温時に該ボス部の直径よりも小さい値に設定されている、こととする。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、
該装着ステップ後、放置による自然冷却により該切削ブレードを該ボス部に嵌合固定させる、こととする。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、
上記記載の切削ブレードの取付方法に使用されるブレード把持具であって、
筒軸方向と直交する断面が、隙間部により略C字状をなす把持部と、
該把持部の内側に設けられ、該把持部の内周面にて保持される該ハブ基台に当着するヒーターと、
を備え、
該把持部は、外周部を掴んで該隙間部を狭めるように撓み、該内周部にて該ハブ基台の被把持部を取り囲んで保持する、
ブレード把持具とする。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、
スピンドルの先端に固定されたブレードマウントに取付られた切削ブレードの取外し方法であって、
切削ブレードのハブ基台をブレード把持具にて把持する把持ステップと、
該ブレード把持具に設けたヒーターにて該ハブ基台を加熱し、該嵌合孔を拡径する加熱ステップと、
該切削ブレードを把持したまま該ブレード把持具を移動させ、該嵌合孔から該ブレードマウントのボス部を引き抜く取外しステップと、
を有する、切削ブレードの取外し方法とする。
【0014】
また、本発明の一態様によれば、
該切削ブレードの該嵌合孔の直径は、常温時に該ボス部の直径よりも小さい値に設定されている、こととする。
【0015】
また、本発明の一態様によれば、
上記記載の切削ブレードの取外し方法に使用されるブレード把持具であって、
筒軸方向と直交する断面が、隙間部により略C字状をなす把持部と、
該把持部の内側に設けられ、該把持部の内周面にて保持される該ハブ基台に当着するヒーターと、
を備え、
該把持部は、外周部を掴んで該隙間部を狭めるように撓み、該内周部にて該ハブ基台の被把持部を取り囲んで保持する、
ブレード把持具とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成によれば、加熱により切削ブレードの嵌合孔の内径が拡げられているため、ブレードマウントのボス部をスムーズに挿入させることができる。特に、しまり嵌めによる固定がされる設計においては優れた取り付け性が実現でき、また、装着された切削ブレードの軸芯のズレが生じ難く高精度な加工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明が利用される切削装置の一実施形態について示す斜視図である。
【
図2】切削手段の構成例について説明する図である。
【
図3】(A)はブレード把持具の一側面の構成について示す図である。(B)はブレード把持具の他側面の構成について説明する図である。
【
図4】ブレード把持具の構成について示す斜視図である。
【
図5】(A)は切削ブレードを保持した状態について説明する図である。(B)は切削ブレードをボス部に装着した状態について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下適宜図を参照し、本願発明の一実施形態について説明する。
図1に示す切削装置1は、
図2に示すブレード把持具60を用いて切削ブレード20が着脱される装置の例である。
【0019】
図1に示すように、切削装置1は、チャックテーブル2と、移動手段3と、撮像手段4と、切削手段5と、を有して構成される。被加工物は、特に限定されないが、例えば、板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ、板状の無機材料基板、板状の延性材料等、板状の各種加工材料である。
【0020】
チャックテーブル2は、被加工物を吸引保持するものである。チャックテーブル2は、円盤状に形成されており、上面が水平方向に平行となる平面に形成されている。チャックテーブル2は、ポーラスセラミックで構成されており、図示しない真空吸引源に接続されている。
【0021】
移動手段3は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向において、チャックテーブル2と切削手段5とを相対移動させるものである。移動手段3は、X軸移動手段3aと、Y軸移動手段3bと、Z軸移動手段3cと、を含んで構成されている。X軸移動手段3aは、チャックテーブル2を本体部6に対してX軸方向(切削送り方向に相当)に相対移動可能に支持している。Y軸移動手段3bは、切削手段5を本体部6に対してY軸方向(割り出し送り方向に相当)に相対移動可能に支持している。Z軸移動手段3cは、切削手段5を本体部6に対してZ軸方向(切り込み送り方向に相当)に相対移動可能に支持している。各移動手段3a~3cは、例えば、モータ、ボールネジ、ナット等から構成されている。
【0022】
撮像手段4は、切削手段5を被加工物の分割予定ライン(ストリート)に対してアライメント調整するために、ストリートを切削加工前に撮像するものである。撮像手段4は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いたカメラ等である。
【0023】
切削手段5は、被加工物に対して切削加工を施すものである。切削手段5は、
図2に示すように、回転駆動手段10と、切削ブレード20と、ブレードマウント30と、ブレード固定ナット40と、を有して構成される。
【0024】
回転駆動手段10は、切削ブレード20を高速で回転駆動させるものである。回転駆動手段10は、スピンドル11と、スピンドルハウジング12と、図示しないモータと、を備えている。スピンドル11の先端には、ブレードマウント30がマウント固定ナット50により着脱可能に固定される。
【0025】
切削ブレード20は、いわゆるハブブレードとして構成されるものであり、アルミニウム合金等の金属で構成された円環状のハブ基台21と、ハブ基台21の外周を囲むように形成される円環状の切り刃22と、を有して構成される。
【0026】
ハブ基台21は、ブレードマウント30のボス部34に装着するための嵌合孔24が中央に設けられている。嵌合孔24は、内側にブレードマウント30のボス部34が貫挿される。切り刃22は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とからなり所定厚みに形成されている。
【0027】
ブレードマウント30には、切削ブレード20の切り刃22を挟持するためのフランジ部32と、切削ブレード20の嵌合孔24に貫挿されるボス部34と、ブレード固定ナット40が締結される雄ネジ36と、を有して構成される。
【0028】
なお、
図2に示す構成において、切削ブレード20の嵌合孔24の内径は、ブレードマウント30のボス部34の外径以下に設定され、詳しくは後述するように、切削ブレード21がブレードマウント24に対してしまり嵌めされることができる。この他、切削ブレード20の嵌合孔24の内径が、ブレードマウント30のボス部34の外径よりも大きい場合においても、本発明は適用可能である。
【0029】
ブレード固定ナット40は、リング状に構成され、その内周面にブレードマウント30の雄ネジ36に螺合する雌ネジ42が形成される。また、ブレードマウント30の端面には、4個のピン挿入孔44がそれぞれ90度ずらして設けられ、図示せぬ締結治具の係合ピンを挿入し、回転操作できるように構成される。
【0030】
次に、切削ブレードの交換に利用するブレード把持具について説明する。
図3(A)(B)、
図4、
図5(A)(B)に示すように、ブレード把持具60は、手指で掴んで操作する把持部62と、ヒーター64と、を有して構成される。
【0031】
把持部62は、筒状部材において筒壁の一部に軸方向に延びる隙間部62sを形成することで、筒軸方向と直交する断面において略C字形状をなすリング状の部材にて構成される。把持部62は、例えば、樹脂、金属、ゴム、または、これらの組み合わせにより構成することができる。
【0032】
把持部62の内周面62cは、切削ブレード20のハブ基台21に形成されるフランジ部21aの外周面21cに当接するように構成される。
【0033】
具体的には、把持部62は、手指で掴んで荷重を加えることで、隙間部62sの隙間が狭くなるように撓んで内径が縮小し、内周面62cがフランジ部21aの外周面21cに当接するように構成される。このようにして、ブレード把持具60により切削ブレード20を保持することが可能となる。フランジ部21aの外周面21cは、被把持部として機能することとなる。
【0034】
把持部62の外周面62dには、切削ブレード20の切り刃22に側に手指が移動しないようにするための保護プレート62a,62aが周方向に立設されている。本実施例では、2枚の保護プレート62a,62aが、周方向にずれた位置に配置され、広い範囲で手指が保護がされるように構成される。
【0035】
把持部62の外周面62dにおいて、筒軸方向における保護プレート62a,62aの一側、即ち、切削ブレード20を把持した際に、切削ブレード20とは反対側となる側には、手指を掛けやすくするためのグリップ部62bが形成される。本実施例では、表面が連続する波形をなすように構成することで、窪んだ箇所に手指が収まりやすい構成としている。
【0036】
ヒーター64は、加熱面を有するシート状の部材にて構成され、把持部62の内側の複数箇所に設けた係止部62k,62kに固定される。ヒーター64は、本実施例では、電源コード62m(
図3(A))を介して給電されて加熱されるシリコンヒーターにて構成することができる。
【0037】
図5(A)に示すように、ヒーター64は、切削ブレード20を把持した状態で、切削ブレード20のハブ基台21のフランジ部21aの端面21bに当着するものであり、当着する面がヒーター面64hとして構成される。
【0038】
図5(B)に示すように、ヒーター64には、切削ブレード20の装着の際に、ブレードマウント30のボス部34を挿通可能とするための挿通孔64aが形成される。
【0039】
次に、以上のように構成したブレード把持具60の使用方法について説明する。
【0040】
まず、
図4に示すように、切削ブレード20のハブ基台21のフランジ部21aを、把持部62の内側に挿し入れるとともに、手指でグリップ部62bを掴んで荷重を加えることで、切削ブレード20を保持し、
図5(A)にしめす状態とする。
【0041】
次いで、
図5(A)に示すように、ヒーター64を通電することで切削ブレード20のハブ基台21を加熱する。ヒーター64の通電のON/OFF操作は、例えば、ヒーター64が切削装置1(
図1)の制御装置に接続される場合には、当該制御装置のインターフェースを操作することで行う構成とすることができる。ヒーター64が切削装置と接続されずに独立した装置として構成される場合には、図示せぬ電源からの給電を適宜ON/OFF操作することで行うことができる。
【0042】
このように、ヒーター64による切削ブレード20の加熱がされることで、ハブ基台21の温度が上昇し、これに伴って嵌合孔24の内径が拡げられる。
【0043】
次いで、
図5(A)(B)に示すように、ブレードマウント30のボス部34の位置に切削ブレード20の嵌合孔24を対向させ、嵌合孔24にボス部34が挿入されるようにブレード把持具60を移動させる。この際、加熱により嵌合孔24の内径は拡げられているため、ボス部34をスムーズに挿入させることができる。なお、切削ブレード20の嵌合孔24の内径が、ブレードマウント30のボス部34の外径よりも大きい場合においても、嵌合孔24の内径が拡げられることにより、切削ブレード20の着脱をスムーズに行うことが可能となる。
【0044】
図5(B)のように、切り刃22がブレードマウント30のフランジ部32に当着する位置まで切削ブレード20を移動させた後、ブレード把持具60に掛ける力を緩めることでハブ基台21の保持を開放し、ブレード把持具60を切削ブレード20と分離して退避させる。
【0045】
以上のようにして、ブレード把持具60による切削ブレード20の装着が行われる。その後、
図2に示すように、ブレード固定ナット40をブレードマウント30の雄ネジ36に締結することで、切削ブレード20の装着に関する全ての工程が完了する。
【0046】
なお、切削ブレード20の嵌合孔24とブレードマウント30のボス部34の間においてしめしろの大きなしまり嵌めにより切削ブレード20が固定される構成や、ブレードマウント30側に設ける吸引保持機構により切削ブレード20が固定される構成など、ブレード固定ナット40を用いない構成においても同様に、ブレード把持具60を利用した切削ブレード20の装着は可能である。
【0047】
以上は、切削ブレード20の装着について説明したが、切削ブレード20を取り外す場合には、
図5(B)の状態としてヒーター64によりハブ基台21を加熱して嵌合孔24の内径を拡げることで、切削ブレード20をボス部34からスムーズに取り外すことができる。
【0048】
以上のようにして本発明を実現することができる。
即ち、
図2乃至
図5に示すように、
スピンドル11の先端に固定されたブレードマウント30への切削ブレード20の取付方法であって、
嵌合孔24が形成される切削ブレード20のハブ基台21をブレード把持具60にて把持する把持ステップと、
ブレード把持具60に設けたヒーター64にてハブ基台21を加熱し、嵌合孔24を拡径する加熱ステップと、
切削ブレード20を把持したままブレード把持具60を移動させ、嵌合孔24にブレードマウント30のボス部34を挿入させる装着ステップと、
を有する、切削ブレード20の取付方法とするものである。
【0049】
この取付方法では、加熱により嵌合孔24の内径は拡げられているため、ボス部34をスムーズに挿入させることができる。特に、締り嵌めによる固定がされる設計においては優れた取り付け性が実現でき、また、装着された切削ブレードの軸芯のズレが生じ難く高精度な加工が可能となる。
【0050】
また、
図5(A)(B)に示すように、切削ブレード20の嵌合孔24の直径は、常温時にボス部34の直径よりも小さい値に設定されている、こととするものである。
【0051】
この場合では、締り嵌めによる固定がされる設計となっており、優れた取り付け性と、高精度な加工が可能となる。
【0052】
また、
図5(B)に示すように、装着ステップ後、放置による自然冷却により切削ブレード20をボス部34に嵌合固定させる、こととするものである。
【0053】
この場合では、例えば、ブレード固定ナット40(
図2)を省略した切削ブレード20の固定方法も実現可能となる。
【0054】
また、
図2乃至
図5に示すように、
筒軸方向と直交する断面が、隙間部62sにより略C字状をなす把持部62と、
把持部62の内側に設けられ、把持部62の内周面62cにて保持されるハブ基台21に当着するヒーター64と、
を備え、
把持部62は、外周面62dを掴んで隙間部62sを狭めるように撓み、内周面62cにてハブ基台21の被把持部62を取り囲んで保持する、ブレード把持具60とするものである。
【0055】
これにより、切削ブレード20を保持しつつハブ基台21を加熱するとともに、そのままブレードマウント30のボス部34に取り付けることができ、取り付け作業を容易に行える。
【0056】
また、
図2乃至
図5に示すように、
スピンドル11の先端に固定されたブレードマウント30に取付られた切削ブレード20の取外し方法であって、
切削ブレード20のハブ基台21をブレード把持具60にて把持する把持ステップと、
ブレード把持具60に設けたヒーター64にてハブ基台21を加熱し、嵌合孔24を拡径する加熱ステップと、
切削ブレード20を把持したままブレード把持具60を移動させ、嵌合孔24からブレードマウント30のボス部34を引き抜く取外しステップと、を有する、切削ブレード20の取外し方法とするものである。
【0057】
この取外し方法では、加熱により嵌合孔24の内径は拡げられているため、ボス部34からスムーズに引き抜くことができる。特に、締り嵌めによる固定がされる設計においては優れた取外し性が実現できる。
【0058】
また、
図5(A)(B)に示すように、
切削ブレード20の嵌合孔24の直径は、常温時にボス部34の直径よりも小さい値に設定されている、こととするものである。
【0059】
この場合では、締り嵌めによる固定がされる設計となっており、優れた取外し性と、高精度な加工が可能となる。
【0060】
また、
図2乃至
図5に示すように、
切削ブレード20の取外し方法に使用されるブレード把持具60であって、
筒軸方向と直交する断面が、隙間部62sにより略C字状をなす把持部62と、
把持部62の内側に設けられ、把持部62の内周面62cにて保持されるハブ基台21に当着するヒーター64と、
を備え、
把持部62は、外周面62dを掴んで隙間部62sを狭めるように撓み、内周面62cにてハブ基台21の被把持部62を取り囲んで保持する、ブレード把持具60とするものである。
【0061】
これにより、切削ブレード20を保持しつつハブ基台21を加熱するとともに、そのままブレードマウント30のボス部34から引き出すことができ、取外し作業を容易に行える。
【符号の説明】
【0062】
1 切削装置
5 切削手段
10 回転駆動手段
11 スピンドル
12 スピンドルハウジング
20 切削ブレード
21 ハブ基台
21a フランジ部
21b 端面
21c 外周面
22 切り刃
24 嵌合孔
30 ブレードマウント
32 フランジ部
34 ボス部
36 雄ネジ
40 ブレード固定ナット
42 雌ネジ
44 ピン挿入孔
50 マウント固定ナット
60 ブレード把持具
62 把持部
62a 保護プレート
62b グリップ部
62c 内周面
62d 外周面
62k 係止部
62s 隙間部
64 ヒーター
64a 挿通孔
64h ヒーター面