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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240403BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20240403BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20240403BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/0612
H01M8/12 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020179596
(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公開番号】P2022070500
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智史
(72)【発明者】
【氏名】北村 壮史
(72)【発明者】
【氏名】神田 智道
(72)【発明者】
【氏名】青木 崇倫
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-012486(JP,A)
【文献】特開2010-257737(JP,A)
【文献】特開2017-62973(JP,A)
【文献】特開2016-155733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04
H01M 8/0612
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと水蒸気とを反応させることにより水素を含むアノードガスを生成する改質器と、
前記燃料ガスを前記改質器に供給するための燃料ガス経路と、
前記改質器により生成された前記アノードガスと酸素とを電気化学反応させることにより発電する燃料電池と、
前記燃料ガス経路上に設けられ、水素を用いて前記燃料ガス経路を流れる前記燃料ガスを脱硫するように構成されている脱硫器と、
前記改質器にて生成された前記アノードガスの一部が前記脱硫器に流入するように前記改質器と前記脱硫器とを連通する還流経路と、
前記還流経路上に設けられているオリフィス部材と、
を備え、
前記オリフィス部材、または、前記還流経路のうち前記オリフィス部材よりも上流側を構成する部分の内壁の少なくとも一部が、抗カビ作用を有する材料を含む材料により構成される、
燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムであって、
前記オリフィス部材が、前記抗カビ作用を有する材料を含む材料により形成されている、燃料電池システム。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料電池システムであって、
前記オリフィス部材が、前記抗カビ作用を有する材料が含まれるガラス繊維強化樹脂により形成されている、燃料電池システム。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料電池システムであって、
前記抗カビ作用を有する材料が、銀イオンが含有されたガラス粉末により構成される、燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される燃料電池システム(燃料電池コージェネレーションシステム)は、燃料ガスを脱硫する脱硫器と、脱硫器において脱硫された燃料ガスと水蒸気とを反応させることにより水素ガスを含むアノードガスを生成する改質器とを有している。この燃料電池システムは、更に、改質器で生成されるアノードガスの一部を脱硫器に導入するための還流経路を有しており、アノードガスに含まれる水素を用いて燃料ガスを脱硫するように構成されている。
【0003】
ところで、燃料電池システムが製造されてから使用現場に設置されるまでの間に燃料ガスを改質器に供給するための配管が大気開放されることがあり、その際にこの配管を通じて還流経路の内部に酸素およびカビ等の菌類が侵入することがある。また、還流経路には、改質器にて反応しなかった水蒸気も流れるため、水蒸気が凝縮して還流経路の内部に凝縮水が溜まることがある。このため還流経路の内部はカビが増殖しやすい環境になる。そして、還流経路の内部に進入したカビが増殖すると、増殖したカビがアノードガスの流れを阻害し、還流経路を介して脱硫器に導入される水素の量が減少するおそれがある。特に、還流経路上にオリフィス部材が設けられている場合、オリフィス部材の流路穴に凝縮水が溜まることがあり、この場合には流路穴内で増殖したカビにより流路穴が閉塞する可能性がある。その結果、脱硫器に十分な水素が供給されずに、燃料ガスの脱硫が十分ではなくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-12486号公報
【発明の概要】
【0005】
(発明が解決しようとする課題)
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、改質器において生成されたアノードガスの一部を脱硫器に導入する還流経路を有する燃料電池システムにおいて、当該還流経路がカビにより閉塞されることを防止または抑制することである。
【0006】
(課題を解決するための手段)
上記目的を達成するため、本発明に係る燃料電池システム(1)は、
燃料ガスと水蒸気とを反応させることにより水素を含むアノードガスを生成する改質器(22)と、
前記燃料ガスを前記改質器(22)に供給するための燃料ガス経路(30)と、
前記改質器(22)により生成された前記アノードガスと酸素とを電気化学反応させることにより発電する燃料電池(20)と、
前記燃料ガス経路(30)上に設けられ、水素を用いて前記燃料ガス経路を流れる前記燃料ガスを脱硫するように構成されている脱硫器(39)と、
前記改質器(22)にて生成されたアノードガスの一部が前記脱硫器(39)に流入するように前記改質器(22)と前記脱硫器(39)とを連通する還流経路(41)と、
前記還流経路(41)上に設けられているオリフィス部材(43)と、
を備え、
前記オリフィス部材(43)、または、前記還流経路(41)のうち前記オリフィス部材(43)よりも上流側を構成する部分の内壁の少なくとも一部が、抗カビ作用を有する材料を含む材料により構成される。
【0007】
本発明によれば、還流経路に設けられるオリフィス部材、又は、還流経路のうちオリフィス部材よりも上流側の部分の内壁の少なくとも一部が、抗カビ作用を有する材料を含む材料により構成されるために、還流経路に設けられたオリフィス部材又はそれよりも上流の領域でのカビの増殖を抑えることができる。このため増殖したカビが還流経路を閉塞することが防止又は抑制される。
【0008】
本発明において、抗カビ作用を有する材料とは、カビ(真菌)の増殖を抑える作用とカビを死滅させる作用との一方または両方を有する材料である。以下において、抗カビ作用を有する材料を、抗カビ材料と言う場合もある。
【0009】
本発明の一側面において、
前記オリフィス部材(43)が、前記抗カビ作用を有する材料を含む材料により形成されている、という構成であってもよい。
【0010】
本発明の一側面において、
前記オリフィス部材(43)が、前記抗カビ作用を有する材料が含まれるガラス繊維強化樹脂により形成されている、という構成であってもよい。
【0011】
本発明の一側面において、
前記抗カビ作用を有する材料が、銀イオンが含有されたガラス粉末により構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、燃料電池システムの構成を示す図である。
図2図2は、オリフィスの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る燃料電池システムは、燃料ガスとして都市ガス又はプロパンガスなどを用いて電気と熱とを併給するガスコージェネレーションシステムである。以下の説明では、本発明の実施形態に係る燃料電池システムを「本システム」と略して記すことがある。
【0014】
図1は、本システム1の概略構成を示す図である。図1に示すように、本システム1は、発電モジュール2と、燃料ガス供給系3と、還流系4と、改質水供給系5と、エア供給系6と、排熱回収系7(給湯系と称されることもある)と、パワーコンディショナ83と、電源装置84と、制御装置85と、貯湯タンク86とを含む。
【0015】
発電モジュール2は、燃料電池20、気化器21、改質器22、および点火プラグ23を含む。燃料電池20、気化器21、改質器22、および点火プラグ23は、断熱材料により形成されているモジュールケース24の内部に配置されている。
【0016】
発電モジュール2の燃料電池20は、固体酸化物燃料電池である。固体酸化物燃料電池は、積層する複数のセルにより構成されているセルスタックを有している。セルスタックを構成する各セルは、アノード電極、カソード電極、及びアノード電極とカソード電極とに挟まれている酸化ジルコニウムなどの固体電解質とを有している。各セルのアノード電極側には、アノードガスを流通させるためのアノードガス経路が、各セルの積層方向と直交する方向に延伸するように設けられている。各セルのカソード電極側には、カソードガスであるエアを流通させるエア経路が、各セルの積層方向と直交する方向に延伸するように設けられている。各セルのアノードガス経路にアノードガスが供給され、各セルのエア経路にカソードガスであるエアが供給されると、アノードガスとカソードガス中の酸素が反応する。この反応により燃料電池20が発電して直流電力を出力する。
【0017】
燃料電池20のセルスタックはマニホールド25上に配置されている。マニホールド25は、図略のアノードガス経路およびエア経路を有している。マニホールド25のアノードガス経路は、アノードガス供給経路27および各セルのアノードガス経路に接続されている。そして、マニホールド25のアノードガス経路は、改質器22からアノードガス供給経路27を通じて供給されたアノードガスを各セルのアノードガス経路に供給できるように構成されている。マニホールド25のエア経路は、セルスタックの各セルのエア経路およびエア供給系6のエア供給経路61に接続されている。そして、マニホールド25のエア経路は、エア供給経路61を通じて供給されたエアを各セルのエア経路に供給できるように構成されている。
【0018】
気化器21および改質器22は、燃料電池20のセルスタックの上方に、セルスタックから離間して配設されている。セルスタックと気化器21および改質器22との間には燃焼部26が設けられている。燃焼部26は、セルスタックにおいて発電(電気化学反応)に使用されなかったアノードガス(以下、「アノードオフガス」という)を燃焼させるための領域である。燃焼部26には、アノードオフガスに点火するための点火プラグ23が配置されている。
【0019】
気化器21の入口は、燃料ガス供給系3の燃料ガス供給経路30および改質水供給系5の改質水供給経路53に接続されている。気化器21の出口は、改質器22の入口に接続されている。気化器21は、燃焼部26におけるアノードオフガスの燃焼により発生した熱によって、その内部に供給された燃料ガスを予熱するとともに、改質水供給経路53を通じてその内部に供給された改質水を加熱して水蒸気を生成するように構成されている。
【0020】
改質器22は、燃料ガスと水蒸気とから水素を含むアノードガスを生成するように構成されている。なお、本明細書において、アノードガスとは、改質器22にて生成されるガスを言う。改質器22は、例えばRu系またはNi系の改質触媒を有している。改質器22の内部に気化器21から燃料ガスおよび水蒸気が供給されると、燃料ガスと水蒸気との水蒸気改質反応によって水素ガスと一酸化炭素とが生成される。さらに、生成された一酸化炭素と水蒸気との一酸化炭素シフト反応によって、水素ガスと二酸化炭素とが生成される。このため、改質器22において生成されるアノードガスには、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、が含まれる。なお、改質器22から排出されるガスには、アノードガスに加え、改質反応に寄与しなかった水蒸気及び燃料ガスが含まれる。改質器22の出口は、生成された水素を含むアノードガスを燃料電池20に供給するためのアノードガス供給経路27に接続されている。従って、改質器22にて生成された水素を含むアノードガスは、アノードガス供給経路27を通じて燃料電池20のアノード電極側のアノードガス経路に供給され得る。
【0021】
燃料ガス供給系3は、本システム1の外部の燃料ガス供給源91から供給される燃料ガスを発電モジュール2の気化器21に供給するように構成されている。燃料ガス供給系3は、燃料ガス供給経路30を有している。燃料ガス供給経路30の一端は気化器21に接続されており、他端は本システム1の外部の燃料ガス供給源91に接続可能に構成されている。燃料ガス供給経路30には、燃料ガス供給源91に接続可能に構成される端部の側から順に、入口電磁弁31と、調整弁32と、第一オリフィス部材33と、燃料ガス流量計34と、ゼロガバナ35と、第二オリフィス部材36と、第三オリフィス部材37と、燃料ガスブロア38と、脱硫器39とが設けられている。
【0022】
入口電磁弁31は、燃料ガス供給経路30を開閉自在な弁(2連弁)である。入口電磁弁31は、制御装置85により開閉制御される。
【0023】
調整弁32は、燃料ガス供給経路30の内部圧力を調整するための弁であり、燃料ガス料供給源91から燃料ガス供給経路30に流入した燃料ガスの圧力を調整してその下流側(脱硫器39および燃料ガスブロア38が配置されている側)に流出させるように構成されている。具体的には、調整弁32は、その下流側の圧力が所定の負圧以下になると開放され、前記所定の負圧より高い圧力になると閉鎖されるように構成されている。調整弁32は、後述する還流経路41が燃料ガス供給経路30に接続している部位の位置よりも燃料ガス供給源91に接続可能に構成される端部に近い側、すなわち上流側に配置されている。
【0024】
燃料ガス流量計34は、燃料ガスの流量を測定する。燃料ガス流量計34により測定された燃料ガスの流量は、制御装置85に送信される。ゼロガバナ35は、燃料ガス供給源91から供給される燃料ガスの圧力(供給圧)の変動を吸収する。第一オリフィス部材33、第二オリフィス部材36および第三オリフィス部材37は、それぞれ流路穴(オリフィス)を有しており、燃料ガス供給経路30を流通する燃料ガスの流量を調整する。燃料ガスブロア38は、動作することによって燃料ガスを気化器21に供給(圧送)する。
【0025】
脱硫器39は、水素化脱硫方式により燃料ガスから硫黄化合物(すなわち、燃料ガスに含まれる硫黄成分)を除去するように構成されている。脱硫器39の内部には、触媒および超高次脱硫剤が収容されている。脱硫器39の内部において(すなわち、触媒の存在下において)燃料ガスに含まれる硫黄化合物と水素とが反応することにより硫化水素が生成される。超高次脱硫剤は、生成された硫化水素を取り込む。これにより、燃料ガスから硫黄成分が除去される。触媒には、ニッケル-モリブデン系、コバルト-モリブデン系などの触媒が用いられる。超高次脱硫剤には、例えば銅-亜鉛系脱硫剤、銅-亜鉛-アルミニウム系脱硫剤などが用いられる。
【0026】
還流系4は、改質器22において生成されたアノードガスの一部を脱硫器39に導入するように構成されている。還流系4は、還流経路41と、トラップ42と、第四オリフィス部材43とを有している。
【0027】
還流経路41は、改質器22で生成された水素を含むアノードガスを脱硫器39に導入するための経路である。還流経路41の一端は改質器22の出口側に接続される。具体的には、図1において、還流経路41の一端は、改質器22の出口側に接続されているアノードガス供給経路27に接続されている。還流経路41の他端は、燃料ガス供給経路30における燃料ガスブロア38と調整弁32との間の部位に接続されている。具体的には、図1において、還流経路41の他端は、燃料ガス供給経路30に設けられた第二オリフィス部材36と第三オリフィス部材37との間の部分にて燃料ガス供給経路30に接続されている。
【0028】
還流経路41上には、改質器22に近い側の端部から順に、すなわち上流側から順に、トラップ42と第四オリフィス部材43とが設けられている。トラップ42は、還流経路41の内部から凝縮水(ドレン)を自動的に排出するための自力式のバルブである。第四オリフィス部材43は、還流経路41を流れるアノードガスの流量を調整する。第四オリフィス部材43の詳細については後述する。
【0029】
エア供給系6は、カソードガスであるエアを燃料電池20に供給できるように(正確には、エアをマニホールド25のエア経路に供給できるように)構成されている。エア供給系6は、エア供給経路61と、エアフィルタ62と、エアブロア63と、エア流量計64とを有している。エア供給経路61の一端はマニホールド25のエア経路に接続されている。エア供給経路61の他端は外気と連通している。エアフィルタ62は、エア供給経路61の前記他端に設けられている。エアブロア63およびエア流量計64は、エア供給経路61上に配置されている。エアブロア63は、動作することによって、エアフィルタ62を介してエア(外気)をエア供給経路61に吸入し、吸入したエアをマニホールド25のエア経路に供給(圧送)するように構成されている。エア流量計64は、エア供給経路61を流れるエアの単位時間当たりの流量を計測し、計測結果を制御装置85に送信するように構成されている。
【0030】
改質水供給系5は、改質水を気化器21に供給するように構成されている。改質水供給系5は、改質水タンク51と、凝縮水経路52と、改質水供給経路53と、改質水ポンプ54とを有している。凝縮水経路52は、その一端にて後述する熱交換器73の排ガス経路に接続され、その他端にて改質水タンク51に接続されており、熱交換器73において発生した凝縮水が改質水タンク51に流入するように構成されている。改質水タンク51は、凝縮水経路52を通じて流入した凝縮水を改質水として貯留できるように構成されている。なお、改質水タンク51の内部には、貯留されている改質水を精製するための図略の水精製器が配置されている。改質水供給経路53は、その一端にて改質水タンク51に接続され、その他端にて気化器21に接続されている。改質水供給経路53上には、改質水ポンプ54が配置されている。改質水ポンプ54は、動作することによって改質水タンク51の内部に貯留されている改質水を改質水供給経路53を通じて気化器21に供給(圧送)する。
【0031】
排熱回収系7は、循環経路71と、循環ポンプ72と、熱交換器73とを有している。循環経路71は、貯湯タンク86と熱交換器73とに接続されており、貯湯タンク86と熱交換器73とを湯水が循環可能に構成されている。循環ポンプ72は、動作することにより、貯湯タンク86内の湯水を熱交換器73に供給するとともに、熱交換器73において燃焼排ガスとの間で熱交換された湯水(すなわち、加熱された湯水)を貯湯タンク86に戻すように構成されている。熱交換器73は、モジュールケース24から排出される燃焼排ガスの経路(排ガス経路)を有しており、循環経路71を流通する湯水とモジュールケース24から排出される燃焼排ガスとの間で熱交換させるように構成されている。貯湯タンク86は、湯水を貯湯できるように構成されている。貯湯タンク86には、循環経路71に加え、外部から水の供給を受けるための給水経路と、外部に湯水を供給するための給湯経路が接続されている。また、モジュールケース24から熱交換器73に至る燃焼排ガスの経路上には燃焼触媒74(浄化触媒とも称する)が配置されている。そして、燃焼排ガスに含まれる未燃焼の可燃性成分は、燃焼触媒74において触媒燃焼させられることにより除去される。さらに、熱交換器73の排ガス経路は、排気経路81を介して本システム1の筐体の外部に配置されている煙突82に接続されている。
【0032】
パワーコンディショナ83は、燃料電池20から出力された直流電力を、所定の電圧の交流電圧に変換して出力するように構成されている。パワーコンディショナ83は、制御装置85により制御される。パワーコンディショナ83は、図略のDC/DCコンバータとインバータとを有している。DC/DCコンバータは、燃料電池20に電気的に接続されており、燃料電池20から出力される直流電力を所定の電圧に昇圧する。インバータは、DC/DCコンバータから出力された直流電力を交流電力に変換する。パワーコンディショナ83の出力端子は系統電源92(商用の配電線網から供給される電源)に接続された電力配線に接続可能に構成されている。そして、本システム1は、パワーコンディショナ83が系統電源92に接続されている状態で、燃料電池20において発電された直流電力を交流電力に変換して家電製品等の負荷93に供給できる。
【0033】
電源装置84は、系統電源92およびパワーコンディショナ83から供給される交流電力を直流電力に変換し、制御装置85、入口電磁弁31、燃料ガスブロア38、エアブロア63など、本システム1の各部(各補機)に供給する。電源装置84は、系統電源92から供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータを有している。
【0034】
制御装置85は、CPU、ROM、RAM、I/Fを有するコンピュータを有している。制御装置85は、I/Fを介して、入口電磁弁31、燃料ガス流量計34、燃料ガスブロア38、エア流量計64、エアブロア63、点火プラグ23、改質水ポンプ54、循環ポンプ72、およびパワーコンディショナ83に接続されている。そして、制御装置85は、燃料ガス流量計34による燃料ガスの測定結果およびエア流量計64によるエアの流量の測定結果を取得するとともに、入口電磁弁31、燃料ガスブロア38、エアブロア63、点火プラグ23、改質水ポンプ54、循環ポンプ72、およびパワーコンディショナ83を制御する。
【0035】
次に、本システム1の動作の概要について説明する。燃料ガスブロア38が動作すると、燃料ガス供給経路30における調整弁32と燃料ガスブロア38との間の部分が負圧になる。これにより調整弁32が開放され、燃料ガスが外部の燃料ガス供給源91から燃料ガス供給経路30を通じて脱硫器39に供給される。さらに、燃料ガスブロア38の動作により、水素を含むアノードガスが、還流経路41および燃料ガス供給経路30を通じて脱硫器39に供給される(後述)。
【0036】
脱硫器39において脱硫された燃料ガスは気化器21に流入する。また、改質水ポンプ54の動作によって改質水タンク51に貯留されている改質水が気化器21に供給される。気化器21において予熱された燃料ガスおよび生成された水蒸気は、互いに混ざり合った混合ガスとなって改質器22に流入する。そして、改質器22において燃料ガスと水蒸気の混合ガスとの反応により水素を含むアノードガスが生成される。
【0037】
改質器22において生成されたアノードガスは、アノードガス供給経路27、マニホールド25のアノードガス経路、および燃料電池20の各セルのアノード電極側に設けられているアノードガス経路に供給される。一方、エア供給系6のエアブロア63の動作によって、エア供給経路61およびマニホールド25のエア経路を介して燃料電池20の各セルのカソード電極側に設けられているエア経路にエア(カソードガス)が供給される。そして、各セルのカソード電極では、酸化物イオン(O )が生成され、生成された酸化物イオンが固体電解質を透過してアノード電極でアノードガス中の水素及び一酸化炭素と反応することにより直流電力が得られる。得られた直流電力は、パワーコンディショナ83に出力される。
【0038】
燃料電池20のセルスタックにおいて発電(電気化学反応)に使用されなかったアノードガス(「アノードオフガス」という)およびエア(以下、「カソードオフガス」という)は、各セルのアノードガス経路とエア経路のそれぞれを通じて燃料電池20の外部に流出する。各セルのアノードガス経路を通じて燃料電池20の外部に流入したアノードオフガスと、各セルのエア経路を通じて燃料電池20の外部に流出したカソードガスとは、燃焼部26において混ざり合う。そして、アノードオフガスは、燃焼部26において燃焼する。アノードオフガスの燃焼により、燃料電池20の動作、気化器21における燃料ガスの予熱および水蒸気の生成、および改質器22における水蒸気改質反応、のそれぞれに必要な熱が発生する。
【0039】
アノードオフガスの燃焼に伴い、燃焼部26において水蒸気を含む燃焼排ガスが発生する。発生した燃焼排ガス中の水分は、熱交換器73で除去される。水分が除去された燃料排ガスは、排気経路81および煙突82を介して大気中に排出される。
【0040】
改質器22において生成されたアノードガスの一部は、還流経路41を通じて燃料ガス供給経路30に流入し、燃料ガスとともに脱硫器39に導入される。具体的には次のとおりである。還流経路41の前記他端は燃料ガス供給経路30の燃料ガスブロア38と調整弁32との間の部位に接続されている。このため、燃料ガスブロア38の動作によって燃料ガス供給経路30の前記部位が負圧になると、改質器22において生成されたアノードガスの一部が還流経路41に吸引されて燃料ガス供給経路30に流入する。燃料ガス供給経路30に流入したアノードガスは、燃料ガスと混ざり合った状態で脱硫器39に供給される。そして、脱硫器39において、燃料ガスに含まれる硫黄化合物がアノードガスに含まれる水素と反応して硫化水素が生成され、生成された硫化水素が超高次脱硫剤によって除去される。このため、気化器21および改質器22には、脱硫器39において脱硫された燃料ガスが供給される。
【0041】
次に、還流系4の還流経路41に設けられている第四オリフィス部材43について説明する。第四オリフィス部材43は、還流経路41を流れるガスの流量を調整するために、還流経路41上に設けられる。図2は、第四オリフィス部材43の構成を示す図である。図2中の矢印USは還流経路41におけるガスの流れの上流側を示し、矢印DSは下流側を示す。図2に示すように、第四オリフィス部材43は、内部が空洞の略円筒形状を有している。そして、軸線方向の一方の端部(下流端部)には板状の隔壁部431が設けられている。このため、第四オリフィス部材43は、全体として有底の円筒状の形状を有している。そして、隔壁部431には、軸線方向に貫通する流路穴432(オリフィス)が設けられている。流路穴432は、第四オリフィス部材43を通過するアノードガスの流量を調整するための穴(絞り)であり、その内径(換言すると、内部空間のアノードガスの流れの方向に直角な断面積)は、第四オリフィス部材43の他の部分および還流経路41の内径よりも小さい。つまり、流路穴432は、還流経路41中で最も狭小な流路である。一例として、流路穴432は、直径0.3mmの円形状の貫通孔である。ただし、流路穴432の断面積、長さおよび形状はアノードガスの所望の流量などに応じて適宜設定されるものであり、具体的に限定されるものではない。
【0042】
第四オリフィス部材43は、ガラス繊維強化樹脂により形成されている。ガラス繊維強化樹脂の母材(マトリックス)には、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)が適用される。さらに、第四オリフィス部材43を構成するガラス繊維強化樹脂には、抗カビ材料が含まれている。つまり、第四オリフィス部材43は、抗カビ材料を含む材料により構成される。抗カビ材料には、金属イオンが含まれるガラス粉末が適用される。本実施形態では、抗カビ材料に、銀イオンが含有された銀イオン系ガラス粉末が適用される。
【0043】
この銀イオン系ガラス粉末においては、ガラス粉末中に銀イオンが取り込まれており、ガラス粉末が水に接触することによりガラス粉末から銀イオンが徐々に水中に溶け出して抗カビ作用が得られる。銀イオン系ガラス粉末中の銀イオンは、ガラス粉末中に0.01~5質量%の割合で配合されていると良い。また、銀イオン系ガラス粉末のガラス成分は、リン酸塩ガラス成分或いはホウ酸塩ガラス成分を主成分とするのが良い。つまり、抗カビ材料は、銀イオン含有リン酸塩ガラス又は銀イオン含有ホウ酸塩ガラス或いはこれらの双方により構成されているのが良い。この場合、ガラス成分は、P成分の含有率が40~75モル%であり、B成分の含有率が1~10モル%程度であると良い。
【0044】
第四オリフィス部材43を構成するガラス繊維強化PPS樹脂に対する抗カビ材料(銀イオン系ガラス粉末)の配合量は、ガラス繊維強化PPS樹脂100質量部に対して、好ましくは2質量部以上44質量部以下、より好ましくは3質量部以上40質量部以下、さらに好ましくは4質量部以上30質量部以下であるのが良い。
【0045】
第四オリフィス部材43に抗カビ材料として銀イオン系ガラス粉末が用いられていると、第四オリフィス部材43の内周面(内壁)に水蒸気の凝縮水が付着した場合に、抗カビ材料に含まれる銀イオンが凝縮水に溶出する。そして、凝縮水に溶出した銀イオンが抗カビ作用を示す。このため、第四オリフィス部材43の内周面においてカビが増殖することが防止または抑制される。
【0046】
上記した抗カビ作用を効果的に得るために、第四オリフィス部材43は、その内周面(還流経路41内のガスが通過する面)に抗カビ材料(銀イオン系ガラス粉末)が露出するように、構成されているとよい。
【0047】
第四オリフィス部材43は、例えば、ガラス繊維強化PPS樹脂ペレットと銀イオン系ガラス粉末を所定の割合で混合させた原材料を用いて射出成形により成形することができる。これによれば、射出成形時に樹脂ペレット中のガラス繊維に銀イオン系ガラス粉末が絡み合うことにより、成形される第四オリフィス部材43中に均一に銀イオン系ガラス粉末が分散される。よって、第四オリフィス部材43の内周面に、特に、流路穴432の内周面に、抗カビ材料である銀イオン系ガラス粉末を露出させることができる。
【0048】
第四オリフィス部材43が上記のように構成されていることにより、流路穴432の内部でカビが増殖することにより流路穴432が塞がれることが防止または抑制される。例えば、本システム1が製造後かつ出荷前に試運転されると、改質器22から排出された水蒸気が還流経路41の内部で凝縮して凝縮水が生じることがある。還流経路41内のトラップ42よりも上流側で凝縮した凝縮水はトラップ42にトラップされることによって除去されるが、トラップ42にトラップされなかった凝縮水や、トラップ42よりも下流側で凝縮した凝縮水はオリフィス部材43に至り、オリフィス部材43の流路穴432に付着することがある。ここで、第四オリフィス部材43の流路穴432の内部は小径であるため、表面張力によって流路穴432の内部に凝縮水が溜まった状態になりやすい。そして、本システム1が出荷されてから使用現場に設置されるまでの間に、燃料ガス供給経路30が大気開放されることがある。この際に、燃料ガス供給経路30を通じて還流経路41の内部に酸素とカビが侵入することがある。その結果、侵入した酸素および第四オリフィス部材43の流路穴432に溜まっている凝縮水によって流路穴432の内部でカビが増殖し、増殖したカビによって流路穴432が閉塞されることがある。そして、流路穴432が閉塞すると、還流経路41を通じて脱硫器39に導入される水素が減少するから、脱硫器39において燃料ガスを十分に脱硫できなくなる。その結果、燃料ガスに含まれる硫黄成分によって、燃料電池20が硫黄被毒して劣化する。
【0049】
これに対して、本システム1においては、還流経路41に配置される第四オリフィス部材43が抗カビ材料を含有する材料により形成されている。このため、流路穴432の内部に凝縮水が溜まった状態になると、抗カビ材料に含まれる銀イオンがこの凝縮水に溶出し、溶出した銀イオンが抗カビ作用を示す。そして、この抗カビ作用によって流路穴432の内部においてカビが増殖することが防止または抑制されるから、カビによって流路穴432が閉塞することが防止または抑制される。このため、改質器22から脱硫器39に供給される水素の量が減少することが防止され、脱硫器39における燃料ガスの脱硫の性能の低下を防止または抑制できる。したがって、燃料電池20が硫黄被毒して劣化することを防止または抑制できる。
【0050】
なお、本実施形態では、第四オリフィス部材43の全体が抗カビ材料を含有する材料により形成されるが、第四オリフィス部材43はこのような構成に限定されない。少なくとも流路穴432の内周面(内壁)が抗カビ材料を含有する材料により形成されていれば(換言すると、流路穴432の内周面に抗カビ材料を含有する材料が露出していれば)前記効果を奏することができる。例えば、流路穴432の内周面に抗カビ材料を含有する材料の層または膜が設けられる構成であってもよい。このほか、第四オリフィス部材43のうちの流路穴432が設けられる部分が抗カビ材料を含有する材料により形成され、それ以外の部分が抗カビ材料を含有する材料ではない材料により形成される構成であってもよい。このように、第四オリフィス部材43は、少なくとも流路穴432の内周面が抗カビ材料を含有する材料により形成される構成、換言すると、少なくとも流路穴432の内周面に抗カビ材料を含有する材料が露出している構成であればよい。
【0051】
さらに、第四オリフィス部材43が抗カビ材料を含有する材料により形成される構成に加えて、または、このような構成に代えて、還流経路41のうち第四オリフィス部材43よりも改質器22側(すなわち第四オリフィス部材43よりも上流側)を構成する部分の内周面(内壁)の少なくとも一部が、抗カビ材料を含有する材料により構成されていてもよい。例えば、還流経路41が抗カビ材料を含有する材料により形成される構成、および還流経路41の内周面に抗カビ材料を含有する材料の膜が設けられる構成であってもよい。
【0052】
このような構成であると、還流経路41の内周面のうち第四オリフィス部材43よりも改質器22に近い側(すなわち還流経路42のうち第四オリフィス部材43よりも上流側)においてカビの増殖が防止または抑制される。このため、還流経路41の内部のカビを減少させることができるから、第四オリフィス部材43の流路穴432の内部においてカビが増殖することが防止または抑制される。さらに、「還流経路41の内周面の第四オリフィス部材43よりも改質器22に近い側(第四オリフィス部材43よりも上流側)においてカビが増殖し、増殖したカビが第四オリフィス部材43に流れ着いて流路穴432を閉塞する」という事態の発生が防止または抑制される。
【0053】
このように、第四オリフィス部材43、または、還流経路41のうち第四オリフィス部材43よりも上流側(改質器22に近い側)を構成する部分の内周面(内壁)の少なくとも一部が、抗カビ材料を含む材料により構成されていればよい。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0055】
さらに、前記実施形態では、第四オリフィス部材43のガラス繊維強化樹脂の母材には、PPS樹脂に、その他の樹脂をブレンドして用いてもよい。かかるブレンド可能な樹脂には特に制限はないものの、その具体例としては、熱可塑性エラストマーが挙げられ、さらに具体的にはエチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-オクテン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体等のグリシジル基を有していてもよいエチレン及び/又はプロピレンを主成分とする共重合体が挙げられる。
【0056】
さらに、前記実施形態では、第四オリフィス部材43のガラス繊維強化樹脂の母材には、PPS樹脂に、グリシジル基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基およびウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシラン化合物を添加してもよい。
【0057】
例えば、前記実施形態では、第四オリフィス部材43のガラス繊維強化樹脂の母材としてPPS樹脂を示したが、母材の材質はPPS樹脂に限定されない。例えば、母材として、PP樹脂(ポリプロピレン)およびPPE樹脂(ポリフェニレンエーテル)などを用いることができる。さらに、抗カビ作用を示す抗カビ材料として、銀イオン系ガラス粉末を示したが、抗カビ材料は銀イオン系のガラス粉末に限定されない。抗カビ材料には、公知の各種抗カビ材料が適用できる。なお、抗カビ材料は、無機系の抗カビ材料であることが好ましい。
【0058】
さらに、前記実施形態では、第四オリフィス部材43のガラス繊維強化樹脂の母材には、上記した樹脂に、必要に応じて、酸化防止剤、耐候安定剤、分子量調整剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、潤滑剤、結晶化促進剤、結晶核剤、近赤外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤等の公知の添加剤を含有することができる。
【0059】
このほか、前記実施形態では、第四オリフィス部材43が略円筒形状を有する構成を示したが、第四オリフィス部材43の形状は前記形状に限定されない。例えば、第四オリフィス部材43は、厚さ方向に貫通する流路穴432(オリフィス)が形成されたオリフィス板であってもよい。要は、第四オリフィス部材43は、還流経路41を流通するアノードガスの流量を調整するための流路穴432(すなわち、他の部分よりも内径が小さい部分)が設けられる構成であればよい。
【0060】
さらに、前記実施形態では、還流経路41の一端が改質器22の出口側に接続される構成を示したが、このような構成に限定されない。還流経路41の前記一端は、改質器22に直接的に接続されている構成であってもよく、改質器22の出口に接続されているアノードガス供給経路27に接続されている構成であってもよい。また、還流経路41の他端の燃料ガス供給経路30との接続位置も、前記実施形態に示す位置に限定されない。要は、還流経路41は、改質器22において生成されたアノードガスの一部を脱硫器39に導入できるように構成されていればよい。
【0061】
なお、還流経路41および燃料ガス供給経路30などの本システム1に含まれる各経路の構造は特に限定されない。これらの各経路は、配管部材(硬質なパイプ、可撓性を有するホースなど)により構成されてもよく、マニホールドのような内部に流体が流通可能な空洞が設けられた部材により構成されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…燃料電池システム、20…燃料電池、22…改質器、30…燃料ガス供給経路、39…脱硫器、41…還流経路、43…第四オリフィス部材、432…第四オリフィス部材の流路穴(オリフィス)
図1
図2