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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】非UV高硬度低Kの膜堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20240403BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021509990
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2019048394
(87)【国際公開番号】W WO2020046980
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】62/724,317
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ムケルジー, シャウナック
(72)【発明者】
【氏名】シエ, ボー
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ケヴィン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】イム, カン サブ
(72)【発明者】
【氏名】パディ, ディーネッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ガーグ, アスタ
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-294333(JP,A)
【文献】国際公開第2009/119583(WO,A1)
【文献】特表2014-505356(JP,A)
【文献】特表2012-510726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0043555(US,A1)
【文献】特開平10-199873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素がドープされた酸化ケイ素(CDO)層を形成する方法において、
処理チャンバにキャリアガス流量のキャリアガスと前駆体流量のCDO前駆体とを提供することであって、CDO前駆体が、
及びそれらの混合物からなる群より選択される、提供すること;
第1の無線周波数(RF)電力を第1の電力レベル及び第1の周波数でCDO前駆体に印加すること
前記第1の無線周波数電力の印加後、第2の無線周波数(RF)電力を第2の電力レベル及び350kHz以下である第2の周波数で前記CDO前駆体に印加すること;並びに
処理チャンバ内で基板上にCDO層を堆積すること
を含む、方法。
【請求項2】
酸素含有ガス流量の酸素含有ガス及び水素含有ガス流量の水素含有ガスのうちの少なくとも一方を処理チャンバに提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸素含有ガス流量が、0標準立方センチメートル/分(sccm)から100sccmである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
酸素含有ガスが酸素ガス(O)である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
水素含有ガス流量が、0sccmから2000sccmである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
水素含有ガスが水素ガス(H)である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
基板を処理チャンバの基板支持体へと移送すること;及び
基板支持体を処理位置に対する上昇処理位置に上昇させること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
処理位置が、処理チャンバのシャワーヘッドから0.762cm(0.3インチから3.048cm(1.2インチの処理距離にある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
炭素がドープされた酸化ケイ素(CDO)層を形成する方法において、
処理チャンバにキャリアガス流量のキャリアガスと前駆体流量のCDO前駆体とを提供することであって、CDO前駆体が式1:
で表され、式1において、R及びRは、独立して、C-C20アルキル基からなる群より選択され、Rは、C-C20アルキル基及び水素(H)からなる群より選択され、Rは、C-C20アルキル基及びC-C20アルコキシ基からなる群より選択される、提供すること;
第1の無線周波数(RF)電力を第1の電力レベル及び第1の周波数でCDO前駆体に印加すること
前記第1の無線周波数電力の印加後、第2の無線周波数(RF)電力を第2の電力レベル及び350kHz以下である第2の周波数で前記CDO前駆体に印加すること;並びに
処理チャンバ内で基板上にCDO層を堆積すること
を含む、方法。
【請求項10】
キャリアガス流量が、300標準立方センチメートル/分(sccm)から5000sccmである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
キャリアガスがヘリウム(He)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前駆体流量が150ミリグラム/分(mgm)から1500mgmである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の電力レベルが200ワット(W)から1100Wである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の周波数が13.56メガヘルツ(MHz)から40MHzである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
炭素がドープされた酸化ケイ素(CDO)層を形成する方法において、
処理チャンバにキャリアガス流量のキャリアガスと前駆体流量のCDO前駆体とを提供することであって、CDO前駆体が式1:
で表され、ここで、式1において、Rは、
からなる群より選択され、Rは、
からなる群より選択され、Rは、
及びHからなる群より選択され、Rは、
からなる群より選択される、提供すること;
無線周波数(RF)電力をある電力レベル及び周波数でCDO前駆体に印加すること;及び
処理チャンバ内で基板上にCDO層を堆積すること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、半導体デバイスの製造に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、プラズマ化学気相堆積プロセスによって高硬度を有する低kかつ炭素がドープされた酸化ケイ素(CDO)層を有するデュアルダマシン構造の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造では、さまざまな特徴が形成されうる。このような特徴には、低k層としても知られる低誘電率材料などの誘電体層、及び該誘電体層の上に積層された導電銅層などの導電金属層を有するデュアルダマシン構造が含まれる。ビア及び/又はトレンチもまた形成されうる。ビア及び/又はトレンチは低k層へとエッチングされ、その後、導電金属層がビア及び/又はトレンチ内に充填され、該導電金属層が平坦化されるように化学機械平坦化プロセス(CMP)などによって平坦化される。
【0003】
デュアルダマシン構造に用いられる低k層の一例は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスによって堆積された、炭素がドープされた酸化ケイ素(CDO)層である。CDO層は、該CDO層が3k未満などの低い誘電率を有するように、PECVDプロセスによって堆積される。しかしながら、従来の低kCDO層は、機械的強度が不十分である。従来の低kCDOは、後続のCMPプロセス中に高い剪断応力にさらされ、これが亀裂及びデバイスの故障につながる可能性がある。堆積したままの低kCDO層は、ヤングのモジュール(Young’s modules)及び硬度が誘電率に対して逆の関係にあるため、機械的強度が不十分である。
【0004】
したがって、PECVDプロセスによって高硬度を有する低kCDO層を形成する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、炭素がドープされた酸化ケイ素(CDO)層を形成する方法が提供される。該方法は、処理チャンバにキャリアガス流量のキャリアガスと前駆体流量のCDO前駆体とを提供することを含む。CDO前駆体は、
及びそれらの混合物からなる群より選択される。無線周波数(RF)電力が電力レベル及び周波数でCDO前駆体に印加される。CDO層は、処理チャンバ内の基板上に堆積される。
【0006】
別の実施形態では、CDO層を形成する方法が提供される。該方法は、処理チャンバにキャリアガス流量のキャリアガスと前駆体流量のCDO前駆体とを提供することを含み、CDO前駆体は式1:
で表され、式1において、R及びRは、独立して、C-C20アルキル基からなる群より選択され、Rは、C-C20アルキル基及び水素(H)からなる群より選択され、Rは、C-C20アルキル基及びC-C20アルコキシ基からなる群より選択される。RF電力が、ある電力レベル及び周波数でCDO前駆体に印加される。CDO層は、処理チャンバ内の基板上に堆積される。
【0007】
さらに別の実施形態では、CDO層を形成する方法が提供される。該方法は、処理チャンバにキャリアガス流量のキャリアガスと前駆体流量のCDO前駆体とを提供することを含み、CDO前駆体は式1:
で表され、式1において、Rは、
からなる群より選択され、Rは、
からなる群より選択され、Rは、
及びHからなる群より選択され、Rは、
からなる群より選択される。RF電力は、ある電力レベル及び周波数でCDO前駆体に印加される。CDO層は、処理チャンバ内の基板上に堆積される。
【0008】
本開示の上記の特徴を詳細に理解できるように、その一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することにより、上に簡単に要約されている本開示のより詳細な説明を得ることができる。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態を示しているにすぎず、したがって、その範囲を限定するとみなすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態によるシステムの概略図
図2】一実施形態によるプラズマ化学気相堆積システムの概略的な断面図
図3】一実施形態による、プラズマ化学気相堆積プロセスによって低kのシリコンCDO層を形成する方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が用いられる。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記載がなくとも、他の実施形態に有益に組み込むことができることが企図されている。
【0011】
本明細書に記載される実施形態は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスによって、高硬度を有する低kかつ炭素がドープされた酸化ケイ素(CDO)層を形成する方法を提供する。該方法は、処理チャンバにキャリアガス流量のキャリアガスと前駆体流量のCDO前駆体とを提供することを含む。無線周波数(RF)電力が、ある電力レベル及び第1の周波数でCDO前駆体に印加される。CDO層は、処理チャンバ内の基板上に堆積される。
【0012】
図1は、PECVDプロセスによって低kのシリコンCDO層を形成する方法に用いられるシステム100の概略図である。処理システム200の一例は、米国カリフォルニア州サンタクララ所在のApplied Materials,Inc.から入手可能なPRODUCER(登録商標)プラットフォームである。以下に記載されるシステムは例示的なプラットフォームであり、本開示の態様を達成するために、他の製造業者によるプラットフォームを含めた他のプラットフォームを使用又は修正することができるものと理解されたい。
【0013】
図1に示されるように、一対の前方開口型統一ポッド(FOUP)102が基板を供給し、該基板がロボットアーム104に受容され、保持領域106内に配置され、その後、ツインPECVDシステム108a~108cの処理チャンバ114a~114fのうちの1つに配置される。第2のロボットアーム112を使用して、基板を保持領域106からPECVDシステム108a~108cへと輸送することができる。PECVDシステム108a~108cは、PECVDプロセスによって低kCDO層を形成するために利用される。
【0014】
図2は、PECVDプロセスによって低kCDO層を形成する方法に用いられるPECVDシステム108aの概略的な断面図である。システム100の一例は、米国カリフォルニア州サンタクララ所在のApplied Materials,Inc.製造のPRECISION(登録商標)システムである。以下に記載されるシステムは例示的なシステムであり、本開示の態様を達成するために、他の製造業者によるシステムを含めた他のシステムを使用又は修正することができるものと理解されたい。
【0015】
図2に示されるように、システム108aは、処理チャンバ114a、114bを備えており、該処理チャンバ114a、114bはリソースを共有する。例えば、処理チャンバ114a、114bは、減圧ポンプ220及びガス源216などのリソースを共有する。処理チャンバ114a(例えば、第1の処理チャンバ)と処理チャンバ114b(例えば、第2の処理チャンバ)は、同様に構成される。処理チャンバ114aは、基板201を支持するために内部に基板支持体206が配置された、処理容積204を含むチャンバ本体202を有する。基板支持体206は、加熱素子210と、基板支持体206の上面207に基板201を保持する機構(図示せず)、例えば、静電チャック、真空チャック、基板保持クランプなどを含む。基板支持体206は、開口部212を介したシステム108aの内外への基板201の移送を容易にする、上昇処理位置と下降位置との間で基板支持体206を移動させるリフトシステム(図示せず)に接続したステム208によって、処理容積204に結合され、その中に移動可能に配置されている。
【0016】
処理チャンバ114aは、ガス源216から、処理容積204全体にわたり処理ガスを分配するために用いられるシャワーヘッド214への処理ガスの流量を制御するために、ガス源216とチャンバ本体202との間に配置された、質量流量制御(MFC)デバイスなどの流量コントローラ218を備えている。シャワーヘッド214は、処理ガスから処理容積204内にプラズマを生成するために、RFフィード224によってRF電源222に接続される。RF電源222は、RFエネルギーをシャワーヘッド214に供給し、シャワーヘッド214と基板支持体206との間のプラズマの生成を促進する。ステム208は、上面207とシャワーヘッド214との間の処理距離226で、上昇処理位置へと移動するように構成される。減圧ポンプ220は、処理容積204内の圧力を制御するためにチャンバ本体202に結合される。処理チャンバ114aは処理チャンバ114bと同様である。
【0017】
図3は、PECVDプロセスによって低kCDO層を形成する方法300のフロー図である。説明を容易にするために、図3は、図2を参照して説明される。しかしながら、図2の処理チャンバ114a以外の処理チャンバを、方法300と組み合わせて利用することができることに留意されたい。
【0018】
動作301では、基板201は、開口部212を通じてチャンバへと移送される。基板201は、開口部212を介した処理チャンバ114aの内外への基板201の移送を容易にする下降位置にある基板支持体206の上面207に配置される。動作302では、基板支持体206は、上面207とシャワーヘッド214との間の処理距離226で、上昇処理位置へと上昇する。処理チャンバ114a内の処理ガスの滞留時間は、処理距離226によって制御することができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、処理距離226は約0.3インチ(in)から約1.2インチである。処理距離226を短縮すると、プラズマ密度が増加して、硬度が増加し、堆積したCDO層の誘電率が低下する。処理距離226を増加させると、プラズマ密度が低下して、硬度が低下し、CDO層の誘電率が増加する。
【0019】
動作303では、PECVDプロセスが行われる。PECVDプロセスは、基板101上にCDO層を形成する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、動作203中、キャリアガス流量のキャリアガスと前駆体流量のCDO前駆体とが処理チャンバ114aの処理容積に供給される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、キャリアガス及びCDO前駆体に加えて、酸素含有ガス流量の酸素含有ガス及び水素含有ガス流量の水素含有ガスのうちの少なくとも一方が、処理容積204に供給される。ガス源116とチャンバ本体202との間に配置された流量コントローラ118は、キャリアガス流量、前駆体流量、並びに、酸素含有ガス流量と水素含有ガス流量のうちの少なくとも一方を制御する。シャワーヘッド114は、処理容積204全体にわたり、キャリアガス、CDO前駆体ガス、並びに、酸素含有ガスと水素含有ガスのうちの少なくとも一方を分配する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、キャリアガスは、ヘリウム(He)又はアルゴン(Ar)を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、酸素含有ガスは、酸素ガス(O)又は二酸化炭素(CO)を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる、さらに別の実施形態では、水素含有ガスは水素ガス(H)を含む。前駆体流量は、約150ミリグラム/分(mgm)から約2000mgmであり、キャリアガス流量は、約100標準立方センチメートル/分(sccm)から約5000sccmであり、酸素含有ガス流量のうちの少なくとも一方は、約0sccmから約1000sccmであり、水素含有ガス流量は約0sccm及び2000sccmである。
【0020】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、CDO前駆体は、米国カリフォルニア州サンタクララ所在のApplied Materials,Inc.から入手可能な次の化合物のうちの少なくとも1つ:
を含み、ここで、Etは、式Cを有するエチル基であり、Meは、式CHを有するメチル基である。
【0021】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態では、Applied Materials,Inc.から入手可能なCDO前駆体は、式1で表される:
【0022】
ここで、式1において、R及びRは、独立して、C-C20アルキル基からなる群より選択され、Rは、C-C20アルキル基及び水素(H)からなる群より選択され、Rは、C-C20アルキル基及びC-C20アルコキシ基からなる群より選択される。式1の一例では、Rは、
からなる群より選択され、Rは、
からなる群より選択され、Rは、
及びHからなる群より選択され、Rは、
からなる群より選択される。CDO前駆体及びキャリアガスは、RF電力の存在下でイオン化される。RF電力は、CDO前駆体を活性化するために、電力レベル及び第1の周波数でCDO前駆体に印加され、その結果、CDO層が基板201上に堆積される。動作303中、処理チャンバ114a内の圧力は、約4torrから約35torrであり、処理チャンバ114a内の温度及び基板201の温度は、摂氏約350度(℃)から400℃の間である。処理チャンバ114a内の約350℃から400℃の間の温度は、CDO層の弾性率及び硬度を増加させる。CDO前駆体の架橋したSi-O-Si及びSi-CH-Si結合は、約350℃から400℃の間の温度では分解せず、したがって、堆積膜内で架橋されたまま維持され、それによって、CDO層の弾性率及び硬度を増加させる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、CDO層は、25GPaを超える弾性率、4.5GPaを超える硬度、及び4未満の誘電率を有する。
【0023】
化合物1~6及び式1のCDO前駆体、並びにそれらの組合せは、CDO層の硬度が4.5GPaを超え、CDO層の誘電率が4未満になるように選択される。理論に縛られはしないが、Si-O-Si結合は、動作303中のCDO前駆体の-OR基(-OCHCH及び-OCHなど)の縮合を介して、又は化合物1~6及び式1のCDO前駆体の組み込みSi-O-Si結合を介して、並びにそれらの組合せによって、CDO層に組み込まれる。Si-O結合は、Si-C結合よりも大きい結合強度を有しており、したがって、CDO層にSi-O-Si結合を組み込むと、より高い機械的強度をもたらし、結果的に4.5GPaを超える硬度が得られる。さらには、CDO前駆体の末端Si-CH基は、CDO層におけるミクロ多孔性の形成に加えて、より多くの末端炭素を組み込み、CDO層により多くの非極性Si-C結合を組み込む。CDO層の誘電率は、CDO層に末端炭素及び非極性Si-C結合を組み込み、CDO層に末端Si-CH基から形成されたミクロ多孔性を組み込むことによって、低下する。加えて、CDO前駆体内の組み込みSi-CH-Si結合は、より多くのネットワーク化された炭素を組み込み、炭素の割合(誘電率に寄与する)及びCDO層の機械的強度を制御する。したがって、CDO層の硬度が4.5GPaを超え、CDO層の誘電率が4未満になるように、堆積したCDO層におけるSi-O結合のSi-C結合に対する比を制御するために、化合物1~6及び式1、並びにそれらの組合せが、CDO前駆体のために選択される。
【0024】
酸素含有ガスと水素含有ガスのうちの少なくとも一方が処理容積204に提供されると、RF電力の印加に応答して、酸素イオン/ラジカル及び水素イオン/ラジカルのうちの少なくとも1つが生成される。酸素イオン/ラジカル及び水素イオン/ラジカルは、緩く結合したCHx及びSiCHSi基、並びに末端SiCH基と反応する。しかしながら、緩く結合したCHxは積極的に除去され、緩く結合したCHx及びSiCHSi基、並びに末端SiCH基との反応の副生成物が処理チャンバから排出される。緩く結合したCHx及びSiCHSiの除去により、CHx型の炭素及び一部の末端SiCH型の炭素が除去されるため、CDO層にミクロ多孔性が導入される。ミクロ多孔性は、CDO層の弾性率及び硬度を増加させることなく、CDO層の誘電率を低下させる。
【0025】
処理中、RF電力の電力レベルは、約200ワット(W)から約2000Wである。RF電力の第1の周波数は、約13.56メガヘルツ(MHz)から約40MHzである。一例では、第1の周波数のプラズマは、Si-O-Si構造及び末端Si-CH基の線形骨格の保存を容易にして、CDO層の硬度及び誘電率を維持する。27MHz以上の第1の周波数では、イオンエネルギー及び衝撃が少なく、したがって、CDO前駆体の骨格が気相中で断片化されるのを防ぎ、それによってSi-O結合のSi-C結合に対する比が維持される。前駆体のSiOC長鎖ポリマーが基板上に堆積されると、RF電力は、350キロヘルツ(kHz)以下の第2の周波数で印加されて、CDO層から過剰の炭素を除去し、CDO層の誘電率が約3から約4の間になるように、末端Si-CH基の断片化を誘発することによって誘電率を増加させることができる。
【0026】
要約すると、PECVDプロセスによって低kCDO層を形成する方法が本明細書に記載される。結果として得られるCDO層は、4未満の誘電率及び4.5GPaを超える硬度を有する。一実施形態では、誘電率は約3.10から約3.20の間であり、硬度は、約4.8から5.4GPaの間である。したがって、結果として得られる低kCDO層は、さもなければ亀裂及びデバイスの故障につながるであろう後続のCMPプロセス中の高い剪断応力に耐える、高い機械的強度を有する。CDO前駆体に用いられる化合物は、架橋したSi-O-Si結合を有しており、低kCDO層の弾性率及び硬度を増加させ、350℃を超えるチャンバ内温度に耐える。PECVD中のチャンバの350℃を超えるチャンバ内温度は、CDO層の弾性率及び硬度を増加させる。したがって、CDO層は、4未満の誘電率及び4.5GPaを超える硬度を有する。4未満の誘電率及び4.5GPaを超える硬度は、炭素のドーピング及びUV硬化を実施する必要性を排除する。炭素のドーピングはCDO層の誘電率及び硬度を低下させ、UV硬化はCDO層の誘電率及び硬度を増加させる。炭素のドーピング及びUV硬化を排除することにより、収量が増加し、コストが削減され、顧客の保有コストが削減される。
【0027】
以上の説明は本開示の例を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく、本開示の他の例及びさらなる例を考案することができ、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3