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特許7465265位相制御を使用してプラズマ分布を調整するためのデバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】位相制御を使用してプラズマ分布を調整するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240403BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20240403BHJP
   C23C 16/509 20060101ALI20240403BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/205
C23C16/509
H05H1/46 M
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021527838
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2019057949
(87)【国際公開番号】W WO2020106408
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】62/770,547
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, シアオプー
(72)【発明者】
【氏名】ベラ, カロル
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド, エドワード ピー., ザ フォース
(72)【発明者】
【氏名】ベック, ジョンフン
(72)【発明者】
【氏名】バンサル, アミット クマール
(72)【発明者】
【氏名】マー, チュン
(72)【発明者】
【氏名】小林 理
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-302772(JP,A)
【文献】特開2011-124362(JP,A)
【文献】特開2018-066063(JP,A)
【文献】特開平05-205898(JP,A)
【文献】特開平10-237657(JP,A)
【文献】特開平03-107456(JP,A)
【文献】特表2014-533434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0265910(US,A1)
【文献】米国特許第05116482(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/205
C23C 16/509
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持面と前記支持面の反対側の裏面とステムとを有する支持ペデスタル、
前記支持ペデスタル内に配置された導電性メッシュ、
前記支持面と対向するように配置された面板、
少なくとも部分的に前記支持ペデスタル及び前記面板によって画定された処理空間、
環状形状を有しかつ前記支持ペデスタルの裏面に隣接して配置され、前記支持ペデスタルのステムを取り囲む接地ボウルの第1の部分、
前記支持ペデスタルと前記接地ボウルの前記第1の部分の少なくとも一部とを取り囲む環状ライナ、及び
前記面板と前記導電性メッシュとに結合された位相制御回路
を含む、装置。
【請求項2】
前記位相制御回路が、
位相検出器、
フィードバックコントローラ、及び
位相調整器
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
位相調整器が、
可変キャパシタ、及び
該可変キャパシタと並列のインダクタ
を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
高周波(RF)ジェネレータ、
前記高周波ジェネレータと前記面板とに結合された第1の増幅器、及び
前記高周波ジェネレータと前記導電性メッシュとに結合された第2の増幅器
をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記環状ライナの径方向外側に配置された前記接地ボウルの第2の部分、及び
前記接地ボウルの前記第1の部分と前記接地ボウルの前記第2の部分との間に形成されたパージ間隙であって、該パージ間隙の少なくとも一部が前記環状ライナによって画定されており、該環状ライナが、前記接地ボウルの前記第2の部分の少なくとも一部と前記パージ間隙との間に配置されている、パージ間隙
をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記接地ボウルの前記第1の部分がステンレス鋼含有材料を含み、前記接地ボウルの前記第2の部分がアルミニウム含有材料を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
支持面と前記支持面の反対側の裏面とステムとを有する支持ペデスタル、
前記支持ペデスタル内に配置された導電性メッシュ、
前記支持面と対向するように配置された面板、
少なくとも部分的に前記支持ペデスタル及び前記面板によって画定された処理空間、
環状形状を有しかつ前記支持ペデスタルの裏面に隣接して配置され、前記支持ペデスタルのステムを取り囲む接地ボウルの第1の部分、
前記支持ペデスタルと前記接地ボウルの前記第1の部分の少なくとも一部とを取り囲む環状ライナ、及び
前記導電性メッシュと前記面板とに結合された可変変圧器
を含む、装置。
【請求項8】
高周波(RF)ジェネレータ、及び
前記高周波ジェネレータと前記導電性メッシュとに結合された増幅器、
をさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
支持面と前記支持面の反対側の裏面とステムとを有する支持ペデスタル、
前記支持ペデスタル内に配置された導電性メッシュ、
前記支持面と対向するように配置された面板、
少なくとも部分的に前記支持ペデスタル及び前記面板によって画定された処理空間、
環状形状を有しかつ前記支持ペデスタルの裏面に隣接して配置され、前記支持ペデスタルのステムを取り囲む接地ボウルの第1の部分、
前記接地ボウルの前記第1の部分の径方向外側に配置された前記接地ボウルの第2の部分、
前記接地ボウルの前記第2の部分内に形成されたレッジ、
前記支持ペデスタルに隣接して、前記接地ボウルの前記第1の部分と前記接地ボウルの前記第2の部分との間に形成されたパージ間隙、
前記支持ペデスタルと前記接地ボウルの前記第1の部分の少なくとも一部とを取り囲む環状ライナであって、前記レッジ上に配置された環状ライナ、及び
前記面板と前記導電性メッシュとに結合された位相制御回路
を含む、装置。
【請求項10】
前記位相制御回路が、
位相検出器、
フィードバックコントローラであって、前記面板と前記導電性メッシュとから送信された位相データを使用する、フィードバックコントローラ、及び
位相調整器
を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記位相調整器が、
可変キャパシタ、及び
該可変キャパシタと並列のインダクタ
を備えている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
高周波(RF)ジェネレータ、
前記高周波ジェネレータと前記面板とに結合された第1の増幅器、及び
前記高周波ジェネレータと前記導電性メッシュとに結合された第2の増幅器
をさらに含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記パージ間隙の少なくとも一部が前記環状ライナと前記接地ボウルの前記第1の部分との間にある、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記環状ライナが酸化アルミニウム含有材料を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記パージ間隙の少なくとも一部が、前記環状ライナと前記接地ボウルの前記第1の部分との間にある、請求項5に記載の装置。
【請求項16】
前記導電性メッシュと前記増幅器との間に配置され、かつ前記導電性メッシュと前記増幅器に結合されたRF整合回路
をさらに含む、請求項8に記載の装置。
【請求項17】
前記環状ライナの径方向外側に配置された前記接地ボウルの第2の部分、及び
前記接地ボウルの前記第1の部分と前記接地ボウルの前記第2の部分との間に形成されたパージ間隙であって、該パージ間隙の少なくとも一部が前記接地ボウルの前記第2の部分によって画定されており、前記環状ライナが、前記接地ボウルの前記第2の部分の少なくとも一部と前記パージ間隙との間に配置されているパージ間隙
をさらに含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記接地ボウルの前記第1の部分がステンレス鋼含有材料を含み、前記接地ボウルの前記第2の部分がアルミニウム含有材料を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記パージ間隙が前記環状ライナと前記接地ボウルの前記第1の部分との間にある、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記接地ボウルの前記第1の部分がステンレス鋼含有材料を含み、前記接地ボウルの前記第2の部分がアルミニウム含有材料を含む、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2018年11月21日出願の米国仮特許出願第62/770,547号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示の実施形態は、概して、半導体処理に関し、より詳細には、処理チャンバ内のRF電力の位相を制御することによって、処理チャンバ内のプラズマの分布を調整するための装置及び技法に関する。
【背景技術】
【0003】
化学気相堆積(CVD)は、半導体基板などの基板上に膜を堆積させるために用いられる。CVDは、概して、基板を含む処理チャンバ内にプロセスガスを導入することによって実現される。プロセスガスは、ガス分布アセンブリを通って処理チャンバ内の処理空間へと導かれる。ガス分布アセンブリは、ペデスタル上に位置づけられた基板の反対側の処理空間内に配置される。
【0004】
処理チャンバに高周波(RF)電力を印加することによって処理空間内にプラズマを形成するように、プロセスガスにエネルギーを与える(例えば、励起させる)ことができる。これは、プラズマCVD(PECVD)と呼ばれる。RF電源は、ペデスタル及びガス分布アセンブリに結合することができる。RF電源は、ペデスタル及びガス分布アセンブリにRF電力を供給して、ペデスタルとガス分布アセンブリとの間に容量結合プラズマを生成する。しかしながら、寄生プラズマは、ペデスタルの下の処理チャンバのより低い空間で生成される可能性がある。寄生プラズマは、容量結合プラズマの密度及び安定性を低下させ、したがって、PECVDチャンバの電力効率を低下させる。
【0005】
したがって、改善されたPECVDチャンバ設計が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、装置が提供される。該装置は、支持面を有する支持ペデスタルを含む。支持ペデスタルには導電性メッシュが配置され、支持面の反対側には面板が配置される。処理空間は、支持ペデスタル及び面板によって少なくとも部分的に画定される。装置は、環状形状をした接地ボウルをさらに含み、該接地ボウルの第1の部分は、処理空間の反対側の支持ペデスタルを取り囲む。環状ライナは、支持ペデスタルと接地ボウルの第1の部分の少なくとも一部とを取り囲む。位相制御回路は、面板と導電性メッシュとに結合される。
【0007】
一実施形態では、支持面を有する支持ペデスタルを含む装置が提供される。支持ペデスタルには導電性メッシュが配置され、支持面の反対側には面板が配置される。処理空間は、支持ペデスタル及び面板によって少なくとも部分的に画定される。装置は、環状形状をした接地ボウルをさらに含み、該接地ボウルの第1の部分は、処理空間の反対側の支持ペデスタルを取り囲む。環状ライナは、支持ペデスタルと接地ボウルの第1の部分の少なくとも一部とを取り囲む。可変変圧器は、導電性メッシュと面板とに結合される。
【0008】
一実施形態では、支持面を有する支持ペデスタルを含む装置が提供される。支持ペデスタルには導電性メッシュが配置され、支持面の反対側には面板が配置される。処理空間は、支持ペデスタル及び面板によって少なくとも部分的に画定される。装置は、環状形状をした接地ボウルをさらに含み、該接地ボウルの第1の部分は、処理空間の反対側の支持ペデスタルを取り囲む。接地ボウルの第1の部分の径方向外側には、接地ボウルの第2の部分が配置される。接地ボウルの第2の部分には、レッジが形成される。接地ボウルの第1の部分と支持ペデスタルに隣接した接地ボウルの第2の部分との間には、パージ間隙が形成される。レッジ上に配置された環状ライナが、支持ペデスタルと接地ボウルの第1の部分の少なくとも一部とを取り囲む。位相制御回路は、面板と導電性メッシュとに結合される。
【0009】
本開示の上記の特徴を詳細に理解できるように、その一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することにより、上に簡単に要約されている本開示のより詳細な説明を得ることができる。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態を示しており、したがって、その範囲を限定するとみなすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】一実施形態による処理チャンバの概略的な断面図
図1B図1Aの処理チャンバの一部の概略的な断面図
図2A】一実施形態によるチューナ回路の回路図
図2B】一実施形態によるチューナ回路の回路図
図2C】一実施形態によるチューナ回路の回路図
図3A】一実施形態による電力供給された面板のさまざまな位相差でのアルゴンイオンのプラズマフラックスプロファイルを示すグラフ
図3B】一実施形態による電力供給された面板のさまざまな位相差でのアルゴンラジカルのプラズマフラックスプロファイルを示すグラフ
図4】一実施形態による受動浮遊面板(passively floated faceplate)のさまざまな位相差でのアルゴンイオン及びアルゴンラジカルのプラズマフラックスプロファイルを示すグラフ
図5】一実施形態による受動浮遊面板を備えた処理チャンバ内の電圧プロファイルを示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするため、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が用いられる。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記載がなくとも、他の実施形態に有益に組み込むことができることが想定されている。
【0012】
本明細書に記載される実施形態は、処理チャンバにおける高周波(RF)位相制御のための装置及び技法に関する。面板電極及び支持ペデスタルによって処理チャンバ内に処理空間が画定される。処理空間の反対側の支持ペデスタルの周りの処理チャンバ内には、接地ボウルが配置される。該接地ボウルは、支持ペデスタルの下の処理空間を実質的に満たす。位相チューナ回路は、支持ペデスタル内に配置されたRFメッシュと面板電極とに結合される。チューナ回路は、面板電極の位相とRFメッシュの位相との間の位相差を調整する。
【0013】
寄生プラズマは、PECVD処理中に処理チャンバ内に形成され、処理チャンバの処理空間内に形成されたプラズマの安定性を低下させる可能性がある。さらには、寄生プラズマは、プラズマを生成するために用いられるRF電源の電力効率を低下させる。
【0014】
容量結合プラズマは、面板電極と支持ペデスタル内に配置されたRFメッシュとの間の処理空間内に形成される。処理チャンバ内の寄生プラズマを防ぐために、処理空間以外の処理チャンバ内の空間を低減する。接地ボウルは、処理チャンバ内及び支持ペデスタルの周りに配置されて、処理空間以外の処理チャンバ内の空間のサイズを縮小する。一例では、処理空間以外の空間は、支持ペデスタルの下の領域である。別の例では、処理空間以外の空間は、支持ペデスタルに隣接したパージ間隙空間である。別の例では、処理空間以外の空間は、支持ペデスタルの下の領域及び/又は支持ペデスタルに隣接したパージ間隙空間である。
【0015】
しかしながら、接地ボウルがRFメッシュに近接すると、処理空間内のプラズマ均一性が低下する可能性がある。プラズマ均一性の低下を軽減するために、チューナ回路を面板電極及び/又はRFメッシュに結合する。チューナ回路は、面板電極とRFメッシュとの間のRF電位の位相差を制御して、プラズマ均一性の改善を促進する。
【0016】
図1Aは、一実施形態による処理チャンバ100の概略的な断面図であり、図1Bは、図1Aの処理チャンバ100の一部の概略的な断面図である。一実施形態では、処理チャンバ100は、例えば化学気相堆積プロセスなどのプロセスを介して、基板174上に材料を堆積させるために用いられる。他の実施形態では、処理チャンバ100を使用して、他の堆積プロセスを実行することができる。処理チャンバ100は、チャンバリッド160及びポンピング経路161を含む。ポンピング経路161は、ポンピングプレート163内に形成されたポンピング空間162に結合した、処理チャンバ100内に形成された経路である。支持ペデスタル104は、処理チャンバ100の内部に配置される。支持ペデスタル104は、支持面128と、該支持面128の反対側の裏面132とを含む。支持ペデスタル104は、処理チャンバ100内のステム140上に位置づけられている。ステム140は、支持ペデスタル104に結合されて、そこから延びる。
【0017】
一実施形態では、支持ペデスタル104は、窒化アルミニウムなどのセラミック材料から製造される。面板106は、支持面128の反対側の処理チャンバ100の内部に配置されている。支持ペデスタル104及び面板106は、それらの間の処理空間110を少なくとも部分的に画定する。
【0018】
RF電源130は、RFメッシュ108にRF電力を提供し、これは、支持ペデスタル104上に配置された基板174を処理するためのプラズマの生成を少なくとも部分的に促進する。RFメッシュ108は、支持面128に隣接した支持ペデスタル104内に配置される。RF電源130は、導電性ロッド146及びコネクタ142を介してRFメッシュ108に結合される。導電性ロッド146はステム140を通って延びる。一実施形態では、導電性ロッド146は、ステム140の主軸と同軸である。導電性ロッド146は、金属導電性材料から製造される。例えば、導電性ロッド146は、銅合金、ステンレス鋼合金、ニッケル合金、モリブデン合金、又はそれらの組合せから製造することができる。コネクタ142は、支持ペデスタル104を通って延在し、導電性ロッド146とRFメッシュ108とに結合される。一実施形態では、コネクタ142は金属導電性材料から製造される。あるいは、導電性ロッド146は、支持ペデスタル104を通って延在し、RFメッシュ108に結合される。
【0019】
接地ボウル102は、支持ペデスタル104の裏面132に隣接した処理チャンバ100の内部に配置されている。接地ボウル102は電気的に接地されている。接地ボウル102は、環状形状をしており、支持ペデスタル104のステム140を取り囲んでいる。一実施形態では、接地ボウル102は、第1の部分103及び第2の部分105を含む。一実施形態では、接地ボウル102の第1の部分103は、例えば糊などの接着剤又は溶接によって、支持ペデスタル104の裏面132に接着される。第1の部分103は、ステンレス鋼材料などの耐プロセス材料から製造される。第2の部分105は、第1の部分103と同じ材料、又は異なる材料から製造することができる。例えば、接地ボウル102の第2の部分105は、アルミニウム又はアルミニウム合金材料などのアルミニウム含有材料から製造される。
【0020】
接地ボウル102及び支持ペデスタル104は、処理チャンバ100内に移動可能に配置される。接地ボウル102及び支持ペデスタル104は、接地ボウル102と支持ペデスタル104とに結合された線形アクチュエータなどのアクチュエータ(図示せず)によって、処理チャンバ100内を移動することができる。処理空間110の高さ120は、接地ボウル102及び支持ペデスタル104を、面板106に向かって又は面板106から遠ざかって移動させることによって調整することができる。例えば、接地ボウル102及び支持ペデスタル104が面板106に向かって移動すると、処理空間110の高さ120が減少する。反対に、接地ボウル102及び支持ペデスタル104が面板106から遠ざかって移動すると、処理空間110の高さ120が増加する。
【0021】
パージ間隙114は、少なくとも、接地ボウル102の第1の部分103と第2の部分105との間に形成される。パージ間隙114は、接地ボウル102を通って第1の部分103と第2の部分105との間に延びる。したがって、第1の部分103及び第2の部分105は、少なくとも部分的に、パージ間隙114を画定する。パージ間隙114は、処理空間110と流体連結している。パージガス源(図示せず)は、パージ間隙114と流体連結しており、矢印126の方向に流れるパージガスを処理チャンバ100に供給する。すなわち、パージガスは、パージ間隙114を通って処理空間110の方へと流れる。第1の部分103と第2の部分105との間のパージ間隙114の幅118は、約100ミルから約150ミルの間、例えば、約120ミルから約135ミルの間であり、例えば約125ミルである。
【0022】
レッジ134は、接地ボウル102の第2の部分105に形成される。レッジ(棚)134は、支持面128に対して実質的に平行であり、パージ間隙114の主軸に対して実質的に垂直である。環状ライナ115は、処理空間110に隣接するパージ間隙114の端部において、パージ間隙114と接地ボウル102の第2の部分105との間のレッジ134上に配置される。環状ライナ115は、パージ間隙114に隣接して、該パージ間隙114に対して平行に延びる。一実施形態では、環状ライナ115は、酸化アルミニウム材料などのセラミック材料から製造される。環状ライナ115の厚さ124は、約0.25インチから約2.5インチの間、例えば、約0.4インチから約1.2インチの間であり、例えば約0.5インチである。
【0023】
ポンプスロット112は、環状ライナ115を通って、接地ボウル102の第2の部分105内へと形成される。ポンプスロット112は、処理空間110及びパージ間隙114と流体連結している。排気ポンプ(図示せず)は、ポンプスロット112と流体連結しており、プロセスガス及びパージガスを処理空間110及びパージ間隙114から除去する。
【0024】
環状ライナ115は、第1の部分116及び第2の部分117を含む。環状ライナ115の第1の部分116は、接地ボウル102の第2の部分105のレッジ134上に配置される。環状ライナ115の第2の部分117は、面板106と同一平面上にある。ポンプスロット112は、環状ライナ115の第1の部分116と第2の部分117との間を通過する。一実施形態では、環状ライナ115の第2の部分117の幅136は、環状ライナ115の第1の部分116の厚さ124より大きい。例えば、環状ライナ115の第2の部分117は、ポンプスロット112から面板106まで延在する。したがって、環状ライナ115の第2の部分117は、ポンプスロット112の上に延びる。
【0025】
一実施形態では、ブロック144は、環状ライナ115の反対側のパージ間隙114の部分に沿って配置される。ブロック144は、接地ボウル102及び支持ペデスタル104と接触している。一実施形態では、ブロック144は、金属材料から製造される。一実施形態では、ブロック144は、接地ボウル102と同じ材料から製造される。一実施形態では、ブロック144は、接地ボウル102の材料とは異なる材料から製造される。例えば、ブロック144は、ステンレス鋼含有材料から製造することができる。
【0026】
処理チャンバ100のチャンバリッド160は、面板106がその一部である、ガス分布アセンブリ164を含む。プロセスガスの導入を容易にするために、チャンバリッド160にガス入口通路166が形成される。ガスマニホールド165は、1つ以上のガス源167からガスの流れを受け取る。ガスの流れは、ガスボックス168全体にわたって分配され、バッキング板169の複数の孔(図示せず)を通って流れ、さらには、バッキング板169及び面板106によって画定されたプレナム170全体にわたって分配される。次に、ガスの流れは、面板106の複数の孔171を通って処理空間110に流れ込む。ポンプ172は、導管173によってポンピング経路161に接続されて、処理空間110内の圧力、並びに処理空間110からポンピング経路161を通る排気ガス及び副生成物への圧力を制御する。
【0027】
支持ペデスタル104は、加熱素子(図示せず)を含む。支持ペデスタル104は、ヒータクランプ175に結合されたステム140によって処理空間110内に移動可能に配置される。ヒータクランプ175は冷却ハブ176に結合される。冷却ハブ176は、支持ペデスタル104を上昇した処理位置と下降した位置との間で移動させるリフトシステム183に接続される。支持ペデスタル104の移動は、処理チャンバ100に形成されたスリットバルブ178を介した処理空間110内外への基板174の移送を容易にする。支持ペデスタル104は、それを通じて配置された孔を有しており、それを通じて、複数のリフトピン179が移動可能に配置される。下降位置では、複数のリフトピン179は、チャンバ本体の底部181に結合されたリフトプレート180に接触することによって、支持ペデスタル104から突出する。リフトピン179の突出は、基板174の移送を容易にするために、基板174をペデスタルから離間した関係に配置する。
【0028】
RF電源130は、RF整合回路182を介して、支持ペデスタル104内に配置されたRFメッシュ108に結合される。RF整合回路182は、冷却ハブ176及びステム140を通して配置された導電性ロッド146によってRFメッシュ108に電気的に結合される。接地経路システム184を介して接地することができる面板106、及びRFメッシュ108は、容量性のプラズマ結合の形成を容易にする。RF電源130は、支持ペデスタル104にRFエネルギーを供給して、支持ペデスタル104とガス分布アセンブリ164の面板106との間の、主プラズマとしても知られる容量結合プラズマの生成を容易にする。RF電力がRFメッシュ108に供給されると、面板106と支持ペデスタル104との間に電界が生成し、それによって、支持ペデスタル104と面板106との間の処理空間110内に存在するガスの原子がイオン化され、電子を放出する。イオン化された原子は支持ペデスタル104まで加速され、基板174上での膜形成を容易にした。
【0029】
接地経路システム184は、RFエネルギーが面板106からRF整合回路182へと伝播するための短く対称的な経路を提供して、寄生プラズマの生成を低減し、したがって堆積速度を増加させ、膜の均一性を改善する。接地経路システム184は、第1の部分103及び第2の部分105を備えた接地ボウル102を含む。接地ボウル102は、熱バリア195によって、ステム140及び支持ペデスタル104に結合される。熱バリア195は、約700℃を超える温度まで加熱されうる支持ペデスタル104に対するバリアを提供する。熱バリア195は、低い熱伝導率を有する材料を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、熱バリア195は、温度に対するバリアを提供するために、インコネル、石英、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及びステンレス鋼含有材料のうちの1つ以上を含む。
【0030】
接地ボウル102はまた、リフトシステム183に接続された冷却ハブ176にも結合される。リフトシステム183は、接地ボウル102を上昇した処理位置と下降した位置との間で移動させ、基板174の移送を容易にする。接地ボウル102は、約700℃を超える温度に耐えることができる導電性材料を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、接地ボウル102は、インコネル、アルミニウム、及びステンレス鋼含有材料のうちの1つ以上を含む。第2の部分105は、第2の部分のキャリア185に結合される。第2の部分のキャリア185はトラック186に結合される。第2の部分のキャリア185は、トラック186に沿って直線的に移動するように作動されて、第2の部分105を接地位置と移送位置との間で移動させる。トラック186はまた、レール又はケーブルでありうる。第2の部分のキャリア185は、処理空間110内の温度及びプロセス環境に耐えることができる導電性材料を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第2の部分105は、インコネル、アルミニウム、及びステンレス鋼含有材料のうちの1つ以上を含む。
【0031】
接地ボウル102の第1の部分103は、接地ボウル導体187を介して第2の部分105に結合される。接地ボウル導体187は、支持ペデスタル104及び接地ボウル102が上昇処理位置にあるときには拡張状態にあり、支持ペデスタル104及び接地ボウル102が下降位置にあるときには圧縮状態にある。拡張状態にある接地ボウル導体187は、RFエネルギーが伝播するための経路を提供する。接地ボウル導体187は、処理空間110内の温度及びプロセス環境に耐えることができる導電性材料を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、接地ボウル導体187は、ニッケルベースの合金(例えば、HAYNES(登録商標)230(登録商標)合金)、インコネル、及びステンレス鋼含有材料のうちの1つ以上を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、接地ボウル導体187は、拡張状態において拡張し、圧縮状態において圧縮する複数のベローズ188を含む。
【0032】
第2の部分105は、第2の部分の導体189を介して処理チャンバ100の底部181に結合される。第2の部分の導体189は、第2の部分105が接地位置にあるときに拡張状態にあり、第2の部分105が移送位置にあるときに圧縮状態にある。拡張状態にある第2の部分の導体189は、RFエネルギーが伝播するための経路を提供する。第2の部分の導体189は、処理空間110内の温度及びプロセス環境に耐えることができる導電性材料を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、接地ボウル導体187は、ニッケルベースの合金(例えば、HAYNES(登録商標)230(登録商標)合金)、インコネル、及びステンレス鋼含有材料のうちの1つ以上を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、第2の部分の導体189は、拡張状態において拡張し、圧縮状態において圧縮する複数のベローズ190を含む。冷却ハブ176は、複数のベローズ192によって第2の部分のキャリア185に結合されて、処理空間110内の圧力を維持する。
【0033】
下降位置にある接地ボウル102及び移送位置にある第2の部分105は、処理チャンバ100を通して形成されたスリットバルブ178を通じて処理空間110の内外への基板174の移送を容易にする。
【0034】
接地位置にある第2の部分105は、ポンピングプレート163に接触して、RFエネルギーが面板106からRF整合回路182へと伝播するための一次RFケージ193を完成させる。RFエネルギーは、一次RFケージ193に沿って、面板106からポンピングプレート163へ、第2の部分105から接地ボウル導体187へ、該接地ボウル導体187から第1の部分103へ、及び該第1の部分から導電性ロッド146へと伝播する。ポンピングプレート163に接触する接地位置にある第2の部分105によって形成された一次RFケージ193は、減少した表面積を利用して、より短く、より制御された接地経路を可能にし、それによって、寄生プラズマが支持ペデスタル104の下に生成されないようにする。したがって、容量結合プラズマの濃度が増加し、よって容量結合プラズマの密度が増加し、これにより、膜の堆積速度が増加する。さらには、一次RFケージ193は、実質的に対称であり、容量結合プラズマの均一性を向上させて、堆積された膜の均一性を改善する。
【0035】
加えて、接地位置にある第2の部分105がポンピングプレート163に接触しない場合には、接地位置にある第2の部分105は、外側空間191内に二次RFケージ194を形成する。二次RFケージ194はRFエネルギーの封じ込めを提供する。外側空間191では、RFエネルギーは、二次RFケージ194に沿って第2の部分の導体189へ、該第2の部分の導体189から第2の部分105へ、及び該第2の部分105から一次RFケージ193へと伝播する。
【0036】
接地ボウル102は、支持ペデスタル104の下の処理チャンバ100内の空間を実質的に満たす。すなわち、接地ボウル102は、寄生プラズマが形成されうる処理チャンバ100内の領域を実質的に減少させる。したがって、接地ボウル102は、処理チャンバ100内での寄生プラズマの発生を低減する。
【0037】
処理チャンバ100内でさまざまな処理条件を達成するために、処理空間110の高さ120は、接地ボウル102及び支持ペデスタル104を面板106の方へと、又は面板106から遠ざかるように移動させることによって調整される。処理空間110の高さ120は、ポンプスロット112の高さ122とは異なっていてもよい。処理空間110の高さ120が減少すると、面板106とRFメッシュ108との間の距離も減少する。面板106とRFメッシュ108との間の距離が減少すると、処理空間110内の電界が増加し、これにより、支持ペデスタル104の外縁の近くのプラズマ密度が増加する。したがって、距離が減少すると、処理空間110内のプラズマ均一性が低下する。
【0038】
さらには、例えば、プラズマが支持ペデスタル104に隣接して形成される場合など、処理空間内に中心が低いプラズマ分布が存在すると、RF電力の効率が低下する。したがって、処理空間110の高さ120が減少すると、プラズマの安定性が向上し、処理チャンバ100内で形成される寄生プラズマの発生が減少する。しかしながら、高さ120が減少すると、プラズマ均一性が低下し、RF電力の効率が低下する。
【0039】
寄生プラズマ形成の可能性を低減し、処理チャンバ100内のプラズマ均一性を高めるために、チューナ回路が処理チャンバ内のさまざまな構成要素に結合される。チューナ回路は、以下に図2A、2B、及び2Cに関して詳細に論述される。以下に説明されるチューナ回路は、処理チャンバ100の態様に代えて、又はそれに加えて使用することができる。例えば、本明細書に記載される調整回路の態様は、図1AのRF整合回路182及びRF電源130と組み合わせて、又はそれらに代えて使用することができる。
【0040】
図2Aは、一実施形態による面板106に電力を供給する位相制御回路200の回路図である。位相制御回路200は、第1のジェネレータ202、第2のジェネレータ208、位相検出器220、フィードバックコントローラ222、及び位相調整器224を含む。第1のジェネレータ202は、発振器204、及び該発振器204に結合された第1のRF電力増幅器206を含む。第2のジェネレータ208は、第2のRF電力増幅器210を含む。発振器204は、約4MHzから約20MHzの間、例えば約8MHzから約15MHzの間、例えば約13.56MHzの周波数を有する高周波(RF)信号を生成する。
【0041】
第1のRF電力増幅器206の周波数は、第2のRF電力増幅器210の周波数と実質的に同じである。第1のRF電力増幅器206は、第1のRFインピーダンス整合回路214及び第1の接続226を介してRFメッシュ108に結合される。第2のRF電力増幅器210は、第2のインピーダンス整合回路212及び第2の接続228を介して面板106に結合される。第1のRF電力増幅器206の出力周波数は、第2のRF電力増幅器210の出力周波数と実質的に同じである。
【0042】
位相検出器220の入力は、第1の接続226及び第2の接続228に結合される。位相検出器220は、第1のジェネレータ202及び第2のジェネレータ208のRF電力の位相を検出する。位相検出器は、検出された位相をフィードバックコントローラ222に送信する。一実施形態では、フィードバックコントローラ222は、位相比較器(図示せず)を含む。位相比較器は、位相検出器220の出力を位相調整器224と互換性のある信号に変換する。例えば、位相検出器220の出力信号は正弦波でありうる。位相調整器224の入力が方形波である場合、位相比較器は、位相検出器220の正弦波出力を方形波に変換する。
【0043】
フィードバックコントローラ222の位相比較器はまた、第1のジェネレータ202の位相と第2のジェネレータ208の位相との間の位相差を決定する。一実施形態では、フィードバックコントローラ222もまた、処理空間110(図1に示されている)内で生成されるプラズマの均一性を改善するために所望の位相差を決定する。フィードバックコントローラ222は、所望の位相差、並びにジェネレータ202とジェネレータ208との間の位相差を位相調整器224に送信する。
【0044】
位相差が所望の位相差よりも小さい場合、位相調整器224は、第2のジェネレータ208の位相を増加させる。位相差が所望の位相差よりも大きい場合、位相調整器224は、第2のジェネレータ208の位相を減少させる。したがって、位相調整器224は、第2のRF電力増幅器210を変調して、所望の位相差を達成する。一実施形態では、所望の位相差は、約125°から約225°の間である。面板106とRFメッシュ108との間の所望の位相差は、処理空間110内の基板174の処理に関与する化学的性質に応じて決まりうる。第2のRF電力増幅器210の位相を変調することにより、処理空間110内のプラズマの均一性を改善し、パージ間隙114及びポンプスロット112(図1に示されている)における寄生プラズマの発生を低減する。
【0045】
一実施形態では、RF電力増幅器206及び210の位相は、位相ロックされている。すなわち、第2のRF電力増幅器210の位相は、第1のRF電力増幅器206の位相に正比例する。位相制御回路200は、RF電力増幅器206及び210の位相ロックを可能にする。
【0046】
動作中、位相制御回路200は、面板106とRFメッシュ108との間の位相差を連続的に検出し、第2のRF電力増幅器210の位相をシフトさせて、所望の位相差を達成する。
【0047】
図2Bは、一実施形態による受動浮遊面板106を伴うチューナ回路230の回路図である。面板106は共通の電気的接地に接続されているが、面板106は物理的に地球に接続されていないため、面板106は「浮遊」している。チューナ回路230は、可変キャパシタ234とインダクタ232とを並列に含む、面板チューナ236を含む。可変キャパシタ234及びインダクタ232は、面板106に結合される。面板チューナ236のインピーダンスは、第1のジェネレータ202の位相及び電圧に対して、面板106の位相及び電圧のシフトを生成する。したがって、面板チューナ236は、面板106とRFメッシュ108との間の位相差を生成する。
【0048】
位相検出器220は、接続226及び228に結合される。動作中、位相検出器220は、第2の接続228を介して面板106の位相を、また第1の接続226を介してRFメッシュ108の位相を検出する。位相検出器220は、検出された位相をフィードバックコントローラ222に送信する。フィードバックコントローラ222は、検出された位相間の位相差を決定する。フィードバックコントローラ222は、面板106とRFメッシュ108との間の所望の位相差を達成するために、面板106の位相の変化を決定する。
【0049】
フィードバックコントローラ222は、位相の変化に基づいて所望の位相差を達成する可変キャパシタ234の静電容量値を決定する。フィードバックコントローラ222は、可変キャパシタ234の静電容量を、決定された静電容量値へと調整する。チューナ回路230は、面板106とRFメッシュ108との間の位相差を継続的に監視し、可変キャパシタ234の静電容量を調整して、所望の位相差を達成する。面板チューナ236は、面板106を地面に対して電気的に浮遊させる。
【0050】
図2Bに示される実施形態では、単一の発電機(例えば、第1のジェネレータ202)が用いられている。単一の発電機は、RFメッシュ108の周波数と面板106の周波数とが実質的に同じになるように、チューナ回路230に単一の周波数を提供する。したがって、単一のジェネレータは、面板106とRFメッシュ108との間の異なる周波数の発生を減少させる。有利には、チューナ回路230を実装するためのコストは、例えば、複数の発電機ではなく単一の発電機が利用されることから、2つの発電機を有するチューナ回路を実装するためのコストよりも少ない。
【0051】
図2Cは、一実施形態によるチューナ回路240の回路図である。チューナ回路240は、発電機248とRF変圧器244とを含む。発電機248は、RF電源242を含む。Rf変圧器244は、コネクタ246を介して処理チャンバ内の接地ボウル102(図1に示されている)に結合される。コネクタ246は、RF変圧器244の二次巻線245上の調整可能なピンに結合される。
【0052】
RF変圧器244は、RF電源242からのRF電力を2つの電力信号に分割する。第1の電力信号は面板106に送信され、第2の電力信号はRFメッシュ108に送信される。第1の電力信号の位相は、第2の電力信号の位相と反対である(例えば、約180°)。したがって、RF変圧器244は、面板106とRFメッシュ108との間に位相差を作り出す。面板106とRFメッシュ108との間の位相差及び電圧を調整するために、調整可能なピンを、RF変圧器244の二次巻線245上で移動させることができる。
【0053】
有利には、単一の発電機(例えば、発電機248)は、チューナ回路240に電力を供給する。したがって、面板106の周波数とRFメッシュ108の周波数とは実質的に同じである。さらには、単一の発電機は、2つ以上の発電機を含むチューナ回路に対して、チューナ回路240を実装するためのコストを削減する。
【0054】
図3Aは、電力供給された面板のさまざまな位相差でのアルゴンイオンのプラズマフラックスプロファイルを示すグラフである。図3Aのグラフは、処理空間内に配置された基板174(図1に示されている)上のさまざまな半径でのアルゴンイオンのプロファイルを示している。このグラフは、面板とRFメッシュとの間の位相差を調整することにより、処理空間全体にわたるプラズマ均一性を改善できることを示している。例えば、面板とRFメッシュとの間の位相差が制御されていないベースラインフラックスプロファイルは、処理されている基板174の中心での約4.5×10^20から基板174の中心から約140mm(0.14m)での約7.5×10^20の間のアルゴンイオンフラックスを有する。面板とRFメッシュとの間の位相差が調整されると、アルゴンイオンフラックスが大幅に改善される。例えば、135°の位相差では、アルゴンイオンフラックスは、基板174の中心での約5×10^20から基板174の中心から約140mmでの約5.25×10^20の間である。
【0055】
図3Aに示されるフラックスプロファイルは、約13.56MHzの周波数及び約5kWの電力で図2Aに関して説明されるチューナ回路を用いて、図1A及び図1Bに関して説明される処理チャンバ内で達成される。図3Aはアルゴンイオンのフラックスプロファイルを示しているが、他の多くの化学物質を使用して、基板174を処理するための処理空間内にプラズマを生成することができることが想定されている。
【0056】
図3Bは、電力供給された面板のさまざまな位相差でのアルゴンラジカルのプラズマフラックスプロファイルを示すグラフである。図3Bのグラフは、処理チャンバ内の面板とRFメッシュとの間の位相差を制御することにより、処理空間内のアルゴンラジカルの均一性が大幅に向上することを示している。例えば、面板とRFメッシュとの間の位相差が制御されていないベースラインフラックスプロファイルは、基板174の中心での約1.24×10^20から基板174の中心から約140mmでの約1.52×10^20の間のアルゴンラジカルフラックスを有する。165°の位相差では、アルゴンラジカルフラックスは、基板174の中心での約1.37×10^20から基板174の中心から約140mmでの約1.35×10^20の間である。したがって、面板とRFメッシュとの間の位相差を調整することにより、処理空間内のプラズマの均一性が大幅に向上する。
【0057】
図3Bに示されるフラックスプロファイルは、約13.56MHzの周波数及び約5kWの電力で図2Aに関して説明されるチューナ回路を用いて、図1A及び図1Bに関して説明される処理チャンバ内で達成される。図3Bはアルゴンラジカルのフラックスプロファイルを示しているが、他の多くの化学物質を使用して、そこに配置された基板174を処理するための処理空間内にプラズマを生成することができることが想定されている。
【0058】
図4は、受動浮遊面板のさまざまな位相差でのアルゴンイオン及びアルゴンラジカルのプラズマフラックスプロファイルを示すグラフである。図4のグラフは、図2Bに示されるチューナ回路230などのチューナ回路を介して浮遊した面板を用いた、図1A及び図1Bに示される処理チャンバ100などの処理チャンバ内におけるアルゴンのイオン及びラジカルのフラックスプロファイルを示している。
【0059】
ベースラインのイオン及びラジカルのフラックスプロファイルは破線で示されている。ベースラインフラックスプロファイルは、図1に示される処理チャンバ100などの処理チャンバ内でプラズマを生成することによって実現される。実線で示されたフラックスプロファイルは、面板電極に結合されたチューナ回路(例えば、図2Bのチューナ回路230)を有する処理チャンバ内でプラズマを生成することによって実現される。示されるように、ベースラインのイオン及びラジカルのフラックスプロファイルの範囲(破線で示されている)は、チューナ回路を使用して面板とRFメッシュとの間の位相差を制御する場合の位相範囲よりも広い。
【0060】
図5は、受動浮遊面板を用いた処理チャンバ内の電圧プロファイルを示すグラフである。図示されるように、面板及びRFメッシュのRF電力は、約220°だけ位相がずれている。この位相差は、図1A及び図1Bに関して説明した処理チャンバ100などの処理チャンバ、及び面板電極に結合された図2Bのチューナ回路230などのチューナ回路で達成される。
【0061】
本明細書に記載される実施形態は、処理空間内にプラズマを生成するために用いられるRF電力の効率を維持又は改善するための装置及び技法を提供する。本明細書に記載される実施形態はまた、処理チャンバ内の寄生プラズマの発生を実質的に低減する。最後に、本明細書に記載される実施形態は、処理空間全体にわたって改善されたプラズマ均一性を提供する。
【0062】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5