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特許7465288半導体ウェハをダイシングする方法およびこの方法によって作製された半導体装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】半導体ウェハをダイシングする方法およびこの方法によって作製された半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240403BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20240403BHJP
【FI】
H01L21/78 B
H01L21/78 F
B23K26/38 Z
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021573812
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 US2020037440
(87)【国際公開番号】W WO2020252265
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】16/440,063
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】コンポッシュ アレクサンダー
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-053500(JP,A)
【文献】特開2010-067682(JP,A)
【文献】特開2016-134523(JP,A)
【文献】特開2018-156973(JP,A)
【文献】特開2006-073690(JP,A)
【文献】特開昭61-095544(JP,A)
【文献】特開2003-151924(JP,A)
【文献】特開2019-068013(JP,A)
【文献】特開2019-087628(JP,A)
【文献】特開2016-207808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面、第2の面および前記第2の面上に配置された金属層を有する、かつ少なくとも第1の装置領域、第2の装置領域および破断領域を含む半導体ウェハから、半導体装置を形成する方法であって、
半導体ウェハの第1の面を切削して、前記半導体ウェハを部分的に貫通して延びる第1の領域を形成するステップであって、前記第1の領域が底部を有する、ステップと、
レーザ光のビームを、前記レーザ光のビームが前記半導体ウェハの前記第1の面と前記第2の面の間の前記半導体ウェハ内に集束するように前記半導体ウェハに向けるステップであって、前記レーザ光のビームが、材料のアブレーションによって前記半導体ウェハをさらに切削して、前記第1の領域と一直線に並んだ第2の領域を形成する、ステップと、
を含み、
前記第2の領域が前記金属層を部分的にのみ貫通して延び、
前記第2の領域がレーザアブレーション領域を含み、前記切削された半導体ウェハの部分が破断領域を含み、
前記第1の領域が前記半導体ウェハの厚さの50%~99%の前記半導体ウェハへの深さを有する、
方法。
【請求項2】
前記第1の領域を形成するステップが、鋸で前記第1の領域を、前記半導体ウェハの前記第1の面の中へソーイングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レーザ光のビームを前記半導体ウェハに向ける前記ステップが、前記レーザ光のビームを前記第1の領域内で方向付けして、前記第2の領域を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の領域内で前記レーザ光のビームを方向付ける前記ステップでは、前記半導体ウェハを分離して第1のダイおよび第2のダイを形成し、前記第1のダイが前記第1の装置領域を含み、前記第2のダイが前記第2の装置領域を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の領域が、前記第1の装置領域と前記第2の装置領域との間の前記半導体ウェハの部分の中への、前記半導体ウェハの前記部分の厚さの少なくとも50%の深さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記レーザ光のビームを向ける前記ステップは、前記レーザ光のビームが前記半導体ウェハの材料のアブレーションを生じさせるように行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記レーザ光のビームを向ける前記ステップが、前記半導体ウェハの前記第1の面の上方に配置されたレーザ装置で前記レーザ光のビームを方向付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の装置領域および前記第2の装置領域を、前記半導体ウェハの前記第1の面の上または中に少なくとも1つの装置層を形成することによって製造するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の装置領域および前記第2の装置領域がそれぞれ、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタを含み、
前記半導体ウェハが炭化ケイ素を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の装置領域および前記第2の装置領域がそれぞれ、第1の高電子移動度トランジスタ(HEMT)および第2の高電子移動度トランジスタ(HEMT)を含み、
前記半導体ウェハが炭化ケイ素を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の装置領域および前記第2の装置領域がそれぞれ、第1の発光ダイオード(LED)および第2の発光ダイオード(LED)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
第1の面、第2の面および装置領域を備えるダイであって、
前記ダイが、前記ダイの周辺部に沿って前記第1の面と前記第2の面の間に第1の領域の底部まで部分的に延びる第1の領域を含み、
前記ダイがさらに、前記ダイの周辺部に沿って前記第1の面と前記第2の面の間に、前記第1の領域の底部から前記第2の面に向かって延びる第2の領域を含み、前記第1の領域が前記第2の領域と一直線に並び、
前記第2の面上に配置された金属層を含み、
前記第2の領域が前記金属層を部分的にのみ貫通して延び、
前記第1の領域が鋸切削領域を含み、前記第2の領域がレーザアブレーション領域を含み、前記ダイの周辺部に沿った前記第1の領域および前記第2の領域を含む前記ダイの部分が破断領域を含み、
前記第1の領域が前記ダイの厚さの50%~99%の前記ダイへの深さを有する、
ダイ。
【請求項13】
前記第1の領域が、第1の手段で前記第1の領域を前記ダイの前記第1の面にソーイングすることによって構造化され配置され、前記第1の手段が鋸を含み、前記第2の領域が、前記第1の領域の底部と前記第2の面の間に集束されたレーザ光のビームによって構造化され配置され、前記レーザ光のビームが、材料のアブレーションによって前記第2の領域を形成するように構成される、請求項12に記載のダイ。
【請求項14】
前記装置領域がトランジスタを含み、前記ダイが炭化ケイ素を含む、請求項12に記載のダイ。
【請求項15】
前記装置領域が高電子移動度トランジスタ(HEMT)を含む、請求項12に記載のダイ。
【請求項16】
前記装置領域が発光ダイオード(LED)を含む、請求項12に記載のダイ。
【請求項17】
第1の面および第2の面を有する、かつ少なくとも第1の装置領域および第2の装置領域を含む半導体ウェハから、半導体装置を形成する方法であって、
半導体ウェハの第1の面を切削して、前記半導体ウェハを部分的に貫通して延びる第1の領域を形成するステップと、
レーザ光のビームを、前記レーザ光のビームが前記半導体ウェハの前記第1の面と前記第2の面の間の前記半導体ウェハ内に集束するように前記半導体ウェハに向けるステップであって、前記レーザ光のビームが、材料のアブレーションによって前記半導体ウェハをさらに切削して第2の領域を形成する、ステップと、
を含み、
レーザ光のビームを前記半導体ウェハに向ける前記ステップが、前記レーザ光のビームを前記第1の領域内で方向付けして前記第2の領域を形成することをさらに含み、
前記第2の領域が金属層を部分的にのみ貫通して延び、
前記切削された半導体ウェハの部分が破断領域を含み、
前記第1の領域が前記半導体ウェハの厚さの50%~99%の前記半導体ウェハへの深さを有する、
方法。
【請求項18】
前記第1の領域内でレーザ光のビームを方向付ける前記ステップでは、前記半導体ウェハを分離して第1のダイおよび第2のダイを形成し、前記第1のダイが前記第1の装置領域を含み、前記第2のダイが前記第2の装置領域を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記レーザ光のビームを向ける前記ステップは、前記レーザ光のビームが前記半導体ウェハの材料のアブレーションを生じさせるように行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記レーザ光のビームを向ける前記ステップが、前記半導体ウェハの前記第1の面の上方に配置されたレーザ装置で前記レーザ光のビームを方向付けることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の装置領域および前記第2の装置領域を、前記半導体ウェハの前記第1の面の上または中に少なくとも1つの装置層を形成することによって製造するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の装置領域および前記第2の装置領域がそれぞれ、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタを含み、前記半導体ウェハが炭化ケイ素を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の装置領域および前記第2の装置領域がそれぞれ、第1の高電子移動度トランジスタ(HEMT)および第2の高電子移動度トランジスタ(HEMT)を含み、前記半導体ウェハが炭化ケイ素を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の装置領域および前記第2の装置領域がそれぞれ、第1の発光ダイオード(LED)および第2の発光ダイオード(LED)を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の領域が、前記ダイの周辺部に沿って前記第1の面と前記第2の面の間に部分的に延び、不均一な切削の発生を低減し、および/または欠陥の発生を低減し、
前記第2の領域が、前記第1の領域の底部と前記第2の面の間の複数の位置に集束されたレーザ光のビームによって構造化され配置され、前記レーザ光のビームが、材料のアブレーションによって前記第2の領域を形成するように構成される、
請求項12に記載のダイ。
【請求項26】
前記鋸切削領域を含む前記ダイの周辺部に沿って前記第1の面と前記第2の面の間に部分的に延びる前記第1の領域が、前記周辺部に沿って前記第1の面と前記第2の面の間に配置された前記レーザアブレーション領域を含む前記第2の領域の形成に先立って構造化され配置される、請求項12に記載のダイ。
【請求項27】
前記第2の領域が、前記第1の領域の底部と前記第2の面の間の複数の位置に集束されたレーザ光のビームによって構造化され配置され、前記レーザ光のビームが、材料のアブレーションによって前記第2の領域を形成するように構成され、
前記第1の領域および前記第2の領域が、上下に構造化され配置される、
請求項12に記載のダイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造に関する。より詳細には、本開示は、半導体ウェハをダイシングする方法、および関連する手段に関する。さらに、本開示は、半導体ウェハをダイシングする方法によって作製された半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は通常、製造プロセス中に装置の機械的な支持を行う基板の上に製造される。さらに、基板は、半導体装置の電気的性能に寄与することが多い。半導体装置の製造では通常、単一の基板ウェハ上に多くの半導体装置を製造することを要する。半導体装置は、半導体材料、絶縁体材料、金属材料などからなる薄層を形成することによって、基板ウェハ上に形成される。結果として得られた基板ウェハ上の半導体装置のそれぞれが、ダイを画定する。
【0003】
ダイが形成された後に、半導体ウェハ上に製造された個々のダイを分離する必要がある。その後、個々のダイを取り付け、封入して個々の装置を形成することができる。個々のチップを分離するプロセスは、半導体ウェハを「ダイシングすること」または「シンギュレーションすること」を指す場合がある。
【0004】
ウェハを個々の半導体装置にダイシングすることは通常、いくつかの方法のうちの1つによって達成される。ウェハをダイシングする方法の1つは、半導体ウェハをブレードによって機械的にソーイングして、個別にダイシングされた正方形、長方形、およびその他の形状の装置のアレイを画定することを要する。
【0005】
しかし、半導体ウェハをダイシングするために機械鋸を利用すると、不均一なカットになることがある。特に、この不均一なカットには、チップ、チップアウト、クラック、ティアアウト、スプリンタ、エッジクラックなどを含む欠陥が含まれ得る。これらの欠陥は、結果として得られる半導体装置に悪影響を及ぼし得る。場合によっては、欠陥が半導体装置の活性領域へ拡大して、故障または性能低下を招き得る。たとえば、不均一なカットは、半導体装置の活性領域へ広がって故障または性能低下を招き得るクラックを含むことがあり、かつ/またはクラックを引き起こすおそれがある。さらに、半導体が製造され、動作テストに一旦合格した後に、クラックが引き続き、半導体チップが受ける熱サイクルに起因して半導体の動作中に広がるおそれがある。
【0006】
さらに、半導体ウェハをダイシングするために機械鋸を利用するには通常、半導体の1つまたは複数の層を除去する必要がある。たとえば、半導体ウェハ上に金属層が形成されることがあり、これらの層は鋸刃によっては容易に切削することができない。鋸の動作、特に鋸刃の動作が、半導体の金属層によって妨げられることがある。したがって、半導体製造プロセスには通常、鋸による切削の前に切削線に沿って金属層を除去する、あるいは阻止するという追加プロセスが含まれる。このプロセスは、ダイシング「ストリート」の形成と呼ばれることがある。この追加の製造プロセスにより、半導体製造に時間と費用が加わる。さらに、半導体から金属層を除去すると、その金属層が利用される半導体装置の性能の低下を招き得る。たとえば、金属層の一部分は、熱を伝達するために使用されることがあるが、ストリートを形成するときに除去される可能性があり、それゆえに、ストリート形成の結果として、熱を伝達する半導体装置の能力が低下し得る。別の例として、金属層の一部分は、ダイ取り付けのために使用され得るが、ストリートを形成するときに除去されることがあり、それゆえに、ストリート形成の結果として、半導体装置のダイ取り付けの機能が低下し得る。
【0007】
ダイシングの他の方法には、「スクライブブレイク」の各技法が含まれる。これらの方法では、1つまたは複数のトレンチまたはスクライブラインが、半導体ウェハの表面にレーザを使用して形成される。その後、半導体ウェハには、ウェハが破断して個々のダイになるのに十分な負荷をかけることができる。スクライブラインは基板ウェハの脆弱ラインとして顕在化し、それによりウェハは、スクライブラインに沿って破断する。
【0008】
半導体ウェハをダイシングするためにレーザを利用すると、半導体ウェハの欠陥および/または損傷、半導体ウェハの脆弱化、望ましくない材料の生成などを招くおそれがある。特に、レーザからの付随する熱が半導体装置を脆弱化することがある。さらに、レーザを動作させると、スラグなどの望ましくない材料、半導体材料からの望ましくない合金の生成、溶融材料副産物、半導体の様々な層の溶解などが発生する。これらの欠陥は、得られる半導体および/または半導体性能に悪影響を及ぼし得る。
【0009】
さらに、半導体ウェハをダイシングするためにレーザを利用すると、一般に、半導体の1つまたは複数の層を除去することも必要になる。たとえば、金属層は、「スクライブブレイク」プロセスの一部として容易に破壊することはできない。この点について、金属層は破壊するのではなく、曲がり得る。したがって、半導体製造プロセスには通常、破断する前に金属層をカットラインに沿って除去または阻止するという追加のプロセスも含まれる。この追加の製造プロセスにより、半導体製造に時間と費用が加わる。さらに、上述のように、半導体から金属層を除去すると、その金属層が利用される半導体装置の性能の低下を招き得る。
【0010】
したがって、より清浄なダイシング、半導体性能の改善、製造時間の短縮、製造コストの削減などをもたらす、半導体ウェハのダイシングの代替解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
1つの一般的な態様には、第1の面および第2の面を有する、かつ少なくとも第1の装置領域および第2の装置領域を含む半導体ウェハから、半導体装置を形成する方法が含まれ、この方法は、半導体ウェハの第1の面を切削して、半導体ウェハを部分的に貫通して延びる第1の領域を形成するステップであって、第1の領域が底部を有する、ステップと、レーザ光のビームを、レーザ光のビームが半導体ウェハの第1の面と第2の面の間の半導体ウェハ内に集束するように半導体ウェハに向けるステップとを含み、レーザ光のビームは、材料のアブレーションによって半導体ウェハをさらに切削して、第1の領域と一直線に並んだ第2の領域を形成する。
【0012】
1つの一般的な態様には、第1の面、第2の面および装置領域を備えるダイが含まれ、このダイは、ダイの周辺部に沿って第1の面と第2の面の間に部分的に延びる第1の領域を含み、ダイはさらに、ダイの周辺部に沿って第1の面と第2の面の間に第2の領域を含み、第1の領域は第2の領域と一直線に並び、第1の領域は鋸切削領域を含み、第2の領域はレーザアブレーション領域を含む。
【0013】
1つの一般的な態様には、第1の面および第2の面を有する、かつ少なくとも第1の装置領域および第2の装置領域を含む半導体ウェハから、半導体装置を形成する方法が含まれ、この方法は、半導体ウェハの第1の面を切削して、半導体ウェハを部分的に貫通して延びる第1の領域を形成するステップと、レーザ光のビームを、レーザ光のビームが半導体ウェハの第1の面と第2の面の間の半導体ウェハ内に集束するように半導体ウェハに向けるステップとを含み、レーザ光のビームは、材料のアブレーションによって半導体ウェハをさらに切削して第2の領域を形成し、レーザ光のビームを半導体ウェハに向けるステップは、レーザ光のビームを第1の領域内で方向付けして第2の領域を形成することをさらに含む。
【0014】
本開示の追加の特徴、利点、および態様は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲を検討することにより、記述または明示することができる。さらに、上記の本開示の概要も以下の発明を実施するための形態も例示的なものであり、請求項に記載の本開示の範囲を限定することなく、さらなる説明を提示することが意図されていることを理解されたい。
【0015】
本開示がさらに理解されるように含まれている添付の図面は、本明細書に組み込まれていてその一部を構成し、本開示の態様を図示し、また、発明を実施するための形態とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。本開示、および本開示を実践できる様々な方法について基本的に理解するのに必要であり得るよりも詳細に、本開示の構造的細部を示そうとすることはない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示による、半導体ウェハをダイシングするプロセスを示す図である。
図2】本開示の態様による、ダイシングの前の半導体ウェハの部分断面図である。
図3】本開示による、処理中の半導体ウェハの部分断面図である。
図4】本開示による、処理中の半導体ウェハの部分断面図である。
図5】本開示による、初期処理後の半導体ウェハの部分断面図である。
図6図5による初期処理後の半導体ウェハの部分詳細断面図である。
図7】本開示による、初期処理後の半導体ウェハの部分透視図である。
図8】本開示による、初期処理後の半導体ウェハの部分透視図である。
図9】本開示による、初期処理後の半導体ウェハの底面図である。
図10】本開示による、初期処理後の半導体ウェハの底面図である。
図11】本開示による、鋸切削手段を示す図である。
図12】本開示による、レーザ切削手段を示す図である。
図13】初期処理後の典型的な半導体ウェハの上面図である。
【0017】
Appendix
図1-1(Appendix)】(Appendix)図1は、本開示による、半導体ウェハをダイシングするプロセスを示す図である。
図2-1(Appendix)】(Appendix)図2は、本開示の態様による、ダイシングの前の半導体ウェハの部分断面図である。
図3-1(Appendix)】(Appendix)図3は、本開示による、処理中の半導体ウェハの部分断面図である。
図4-1(Appendix)】(Appendix)図4は、本開示による、処理中の半導体ウェハの部分断面図である。
図5-1(Appendix)】(Appendix)図5は、本開示による、初期処理後の半導体ウェハの部分断面図である。
図6-1(Appendix)】(Appendix)図6は、図5による初期処理後の半導体ウェハの部分詳細断面図である。
図7-1(Appendix)】(Appendix)図7は、本開示による、初期処理後の半導体ウェハの部分透視図である。
図8-1(Appendix)】(Appendix)図8は、本開示による、初期処理後の半導体ウェハの部分透視図である。
図9-1(Appendix)】(Appendix)図9は、本開示による、初期処理後の半導体ウェハの底面図である。
図10-1(Appendix)】(Appendix)図10は、本開示による、初期処理後の半導体ウェハの底面図である。
図11-1(Appendix)】(Appendix)図11は、本開示による、鋸切削手段を示す図である。
図12-1(Appendix)】(Appendix)図12は、本開示による、レーザ切削手段を示す図である。
図13-1(Appendix)】(Appendix)図13は、初期処理後の典型的な半導体ウェハの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の諸態様、およびその様々な特徴および有利な細部を、添付の図面に描写および/または図示され、以下の説明で詳述される非限定的な態様および例を参照して、より完全に説明する。図面に示された特徴は必ずしも原寸に比例して描かれていないこと、および本明細書にたとえ明示的に述べられていなくても当業者には理解されるように、1つの態様の特徴を別の態様でも使用できることに留意されたい。よく知られている構成要素および処理技法についての説明は、本開示の態様を不必要に不明瞭にしないようにするために省略されることがある。本明細書で用いられる諸例は単に、本開示を実践できる方法を理解しやすくし、さらには当業者が本開示の諸態様を実践できるようにするものである。したがって、本明細書の諸例および諸態様は、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、その範囲は、添付の請求項および適用法によってのみ定義される。さらに、図面のいくつかの図を通じて、また開示された異なる実施形態において、同じ参照数字が同じ部分を表すことに留意されたい。
【0019】
第1、第2などの用語が、様々な要素を説明するために本明細書で用いられることがあるが、こうした要素がこれらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は単に、1つの要素を別のものと区別するために用いられるにすぎない。たとえば、第1の要素が第2の要素と呼ばれることがあり、同様に、第2の要素が第1の要素と呼ばれることが、本開示の範囲から逸脱することなくあり得る。本明細書では「および/または」という用語は、関連する列挙品目のうちの1つ以上のいずれかの、またはすべての組み合わせを含む。
【0020】
層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上に」ある、または「上に」延びていると言及される場合、その要素は、別の要素の上に直にあることも直に延びていることもあり、あるいは介在する要素が存在することもあることを理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素の「上に直に」ある、または「上に直に」延びていると言及される場合には、介在する要素が存在しない。同様に、層、領域、または基板などの要素が、別の要素を「覆って」いる、または「覆って」延びていると言及される場合、その要素は、別の要素を直に「覆って」いることも「覆って」延びていることもあり、あるいは介在する要素が存在することもあることを理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素を「直に覆って」いる、または「直に覆って」延びていると言及される場合には、介在する要素が存在しない。ある要素が別の要素に「接続されている」または「結合されている」と言及される場合、その要素は別の要素に直に接続されていることも結合されていることもあり、あるいは介在する要素が存在することがあることもまた理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素に「直に接続されている」または「直に結合されている」と言及される場合には、介在する要素が存在しない。
【0021】
本明細書では、「下の」もしくは「上の」、または「上方の」もしくは「下方の」、または「水平の」または「垂直の」などの相対的な用語が、図に示されている1つの要素、層、または領域と、別の要素、層、または領域との関係を説明するために使用されことがある。これらの用語および上で論じられたものは、図に表された向きに加えて、装置の様々な向きを包含するものであることを理解されたい。
【0022】
本明細書で用いられる術語は、特定の態様を説明することだけが目的であり、本開示を限定するものではない。本明細書では、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、特に指示がない限り複数形もまた含むものである。用語の「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含んでいる(including)」は、本明細書で用いられる場合、提示された特徴、完全体、ステップ、操作、要素、および/または構成要素が存在することを明示するが、1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはこれらの群が存在すること、または追加されることを排除しないことをさらに理解されたい。
【0023】
特に定義されていない限り、本明細書で用いられるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用されている用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるその意味と合致する意味を有すると理解されるべきであり、理想化された、または過度に正式の意味には、本明細書で明らかにそのように定義されていない限り、解釈されないことを理解されたい。
【0024】
構造のタイプに加えて、トランジスタが形成される半導体材料の特性もまた、動作パラメータに影響を及ぼし得る。トランジスタの動作パラメータに影響を及ぼす特性のうち、熱伝導率は、トランジスタの高周波特性および高出力特性に影響を与え得る。
【0025】
熱伝導率とは、熱を放散する半導体材料の能力のことである。典型的な動作では、すべてのトランジスタが熱を発生する。そうして、高出力高周波トランジスタは通常、小信号トランジスタよりも大量の熱を発生する。半導体材料の温度が上昇すると、温度上昇に伴うキャリア移動度の低下により、接合リーク電流が一般に増加し、トランジスタ中の電流が一般に減少する。したがって、熱が半導体から放散されるならば、その材料は低い温度にとどまり、より低いリーク電流でより大きい電流を搬送することができる。
【0026】
開示されたプロセスおよび装置は、基板上に実装できる半導体装置に適用することができる。いくつかの態様では、基板は、必要とされる材料の種類に応じて、直径の範囲がたとえば1インチ(2.54cm)未満から12インチ(30.5cm)を超えるまでの円形の半導体ウェハの形に形成することができる。たとえば、正方形、長方形、三角形などの他の半導体ウェハの形状が可能であり、他の半導体ウェハサイズもまた可能である。
【0027】
基板は、たとえば、炭化ケイ素(SiC)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム砒素(GaAs)、サファイア、リン化ガリウム(GaP)、窒化ガリウム(GaN)、酸化亜鉛(ZnO)、これらの合金、本明細書に記載された用途に適した他の材料、III-V族材料の成長を支持できる他の任意の材料などを含み得る。材料は、基板上に堆積させ、パターニングして、トランジスタ、発光ダイオード(LED)、ダイオード、太陽電池、およびその他の装置などの半導体装置を形成することができる。
【0028】
1つの態様では、半導体装置は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)とすることができる。この点において、HEMTはIII族窒化物ベースの装置とすることができ、このようなHEMTは、高出力無線周波数(RF)用途、低周波数高出力スイッチング用途、およびその他の用途に非常に有望な候補である。たとえば、GaNおよびその合金などのIII族窒化物の材料特性は、高電圧高電流をRF用途の高RF利得および直線性とともに実現することを可能にする。典型的なIII族窒化物HEMTは、大きいバンドギャップのIII族窒化物(たとえばAlGaN)バリア層と小さいバンドギャップのIII族窒化物(たとえばGaN)バッファ層との間の界面に2次元電子ガス(2DEG)が形成されることに依拠しており、より小さいバンドギャップの材料がより高い電子親和力を有する。2DEGは、小さいバンドギャップの材料中の蓄積層であり、高い電子濃度および高い電子移動度を含み得る。
【0029】
1つの態様では、半導体装置には発光ダイオード(LED)が含まれ得る。これに関連して、LEDの継続的な開発が、可視スペクトルおよびその他の光スペクトルをカバーできる高効率で機械的に堅牢な光源をもたらした。これらの属性は、固体装置の潜在的に長い寿命と相まって、様々な新しい照明応用例や表示応用例などを可能にし得る。たとえば、GaNベースの発光ダイオード(LED)は、複数のGaNベースのエピタキシャル層が上に堆積される、サファイア、SiCなどの絶縁性、半導電性または導電性の基板を含み得る。エピタキシャル層は、通電すると発光するpn接合を有する活性領域を含み得る。
【0030】
本明細書では、「半導体ウェハ」という用語は、ウェハの基板が半導体材料であるかどうかにかかわらず、半導体材料の少なくとも1つの領域を有するウェハを指す。たとえば、非半導体材料の基板上に半導体材料の層を形成して、半導体ウェハを得ることができる。さらに、本明細書では、「ウェハ」という用語は、全部のウェハまたはウェハの一部分を指す。したがって、ウェハという用語は、ウェハ全体を記述するのにも、その一部を記述するのにも使用され得る。
【0031】
図1は、本開示による、半導体ウェハをダイシングするプロセスを示す。
【0032】
図1を参照すると、本開示の方法によれば、同じ半導体ウェハ上に形成された複数の半導体装置は、本開示による半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)を利用して互いに分離することができる。
【0033】
特に、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)は、第1のダイシング方法によって半導体ウェハを部分的に機械的に切削すること(ブロック102)を含み得る。
【0034】
1つの態様において、第1のダイシング方法(ブロック102)では、機械鋸でもよい第1の手段を利用することができる。1つの態様では、第1の手段は丸鋸でもよい。1つの態様では、第1の手段は、図3および/または図11に示された鋸装置1100とすることができる。1つの態様では、第1の手段は、任意のタイプの半導体ウェハ切削機構とすることができる。しかし、簡潔かつ分かりやすくするために、本開示では、第1の手段を鋸装置と呼ぶことがある。
【0035】
さらに、第1のダイシング方法によって半導体ウェハを部分的に機械的に切削すること(ブロック102)は、半導体ウェハ内に部分的に延びる第1の領域を、第1の領域が底部を含むように形成することを含み得る。言い換えると、第1の領域は、半導体ウェハの全部にわたっては延びていない。1つの態様では、第1の領域は、半導体装置の隣り合う縁部の間で縁部に沿って形成することができる。1つの態様では、第1の領域は、半導体装置の周縁部に形成することができる。1つの態様では、第1の領域は、半導体装置の周縁部のまわりに形成することができる。1つの態様では、第1の領域は、第1のスロット、第1のチャネル、第1の溝、第1のトレンチなどとすることができる。第1のダイシング方法によって半導体ウェハを部分的に機械的に切削すること(ブロック102)のさらなる詳細については、本明細書で説明する。
【0036】
加えて、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)は、第2のダイシング方法によって半導体ウェハを切削すること(ブロック104)をさらに含み得る。
【0037】
1つの態様では、第2のダイシング方法(ブロック104)は、レーザでもよい第2の手段を利用することができる。1つの態様では、第2の手段は、図4に示されたレーザ装置1200および/または図12に示されたレーザ装置1200とすることができる。1つの態様では、第2の手段は、任意のタイプの半導体ウェハ切削機構とすることができる。しかし、簡潔かつ分かりやすくするために、本開示では、第2の手段をレーザ装置と呼ぶことがある。
【0038】
さらに、第2のダイシング方法によって半導体ウェハを切削すること(ブロック104)は、第2の領域が半導体装置の隣り合う縁部間に縁部に沿って形成されるように半導体ウェハへ向けることができる、レーザからのレーザ光ビームを利用することを含み得る。1つの態様では、第2の領域は、半導体装置の周縁部に形成することができる。1つの態様では、第2の領域は、半導体装置の周縁部のまわりに形成することができる。1つの態様では、第2の領域は、第2のスロット、第2のチャネル、第2の溝、第2のトレンチなどとすることができる。1つの態様では、第1の領域と第2の領域は、一方を他方の上に配置することができる。1つの態様では、第1の領域と第2の領域は接続することができる。1つの態様では、第1の領域と第2の領域は、互いに隣接することができる。1つの態様では、第1の領域と第2の領域は直接接続することができる。1つの態様では、第1のダイシング方法によって半導体ウェハを部分的に機械的に切削すること(ブロック102)は、第2のダイシング方法によって半導体ウェハを切削する(ブロック104)前に行われる。1つの態様では、第1のダイシング方法によって半導体ウェハを部分的に機械的に切削すること(ブロック102)は、第2のダイシング方法によって半導体ウェハを切削した(ブロック104)後に行われる。言い換えると、ダイシング方法の順序は、任意の特定の順序で実施しても同時に実施してもよい。第2のダイシング方法によって半導体ウェハを切削すること(ブロック104)のさらなる詳細については、本明細書で説明する。
【0039】
次に、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)は、半導体ウェハからの半導体装置のシンギュレーションおよび/または分離(ブロック106)をさらに含み得る。
【0040】
1つの態様では、第1のダイシング方法によって半導体ウェハを部分的に機械的に切削すること(ブロック102)と、第2のダイシング方法によって半導体ウェハを切削すること(ブロック104)とを組み合わせることにより、半導体装置が分離される。1つの態様では、この組み合わせにより、半導体装置が完全に物理的に分離される。1つの態様では、第1の領域と第2の領域を組み合わせることにより、半導体装置が完全に物理的に分離される。1つの態様では、第1の領域と、半導体ウェハ全体にわたって延びる第2の領域とを組み合わせることにより、半導体装置が完全に物理的に分離される。さらに、いくつかの態様では、半導体ウェハは、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)の前または間中に、キャリア媒体に取り付けることができる。1つの態様では、キャリア媒体はテープ材とすることができる。1つの態様では、テープ材は、半導体ウェハを保持するために、PVC、ポリオレフィン、ポリエチレン、接着剤付きのバッキング材料、および/または同様のものを含み得る。
【0041】
しかし、代替態様おいて、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)では分離が不完全になることがある。この場合、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)は、破断線または破断領域を一緒に形成する第1の領域および/または第2領域に沿ってウェハを破断することによる、シンギュレーションをさらに含み得る。このようなシンギュレーションは、任意の適切な手段または方法を用いて達成することができる。たとえば、シンギュレーションは、破断線に沿ってウェハに機械的ストレスを加えることによって行うことができる。1つの態様では、第1のダイシング方法によって半導体ウェハを部分的に機械的に切削すること(ブロック102)と、第2のダイシング方法によって半導体ウェハを切削すること(ブロック104)とを組み合わせることにより、半導体ウェハ材料の小部分が残ることになり得る。その後、この半導体ウェハ材料の小部分は破断して、シンギュレーションプロセスを終了することができる。この破断は、当業者には理解されるように、半導体ウェハを破断しやすくする可撓性のキャリア基板上にウェハを搭載することによって、容易になり得る。
【0042】
図2は、本開示の態様による、ダイシングの前の半導体ウェハの部分断面図を示す。
【0043】
特に、図2は、本開示の半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)で利用できる、例示的な半導体ウェハ202を示す。これに関連して、図2の半導体ウェハ202は、本開示の半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)を実施する前のものが示されている。
【0044】
半導体ウェハ202は、半導体ウェハ202の第1の装置面206の上および/または中に形成することができる、複数の能動装置部分204を含み得る。1つの態様では、第1の装置面206は、半導体ウェハ202の上面または半導体ウェハ202の最上面とすることができる。複数の能動装置部分204が分離されると、これらは半導体装置222を形成することができる。さらに、能動装置部分204は、半導体ウェハ202の中にさらに延びること(図示せず)、半導体ウェハ202の中に配置すること(図示せず)などができる。いくつかの態様では、半導体ウェハ202の基板208は、第1の装置面206の上に追加層をさらに含み得る。いくつかの態様では、半導体ウェハ202の基板208は、第1の装置面206の上に追加層を含まなくてもよい。
【0045】
いくつかの態様によれば、半導体ウェハ202は、基板208を含み得る。基板208は、たとえば、炭化ケイ素(SiC)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム砒素(GaAs)、サファイア、リン化ガリウム(GaP)、窒化ガリウム(GaN)、酸化亜鉛(ZnO)、これらの合金、本明細書に記載された用途に適した他の材料、III-V族材料の成長を支援できる他の任意の材料などで形成することができる。1つの態様では、基板208は炭化ケイ素(SiC)で形成される。
【0046】
複数の能動装置部分204は、基板208のそれぞれの領域210を覆うことができる。それぞれの領域210は、半導体装置222になり得る。1つの態様では、複数の能動装置部分204は、トランジスタ、発光ダイオード(LED)、ダイオード、太陽電池、およびその他の装置のうちの1つまたは複数であり得る、半導体装置222を実装するように構成することができる。1つの態様では、複数の能動装置部分204は、1つまたは複数のトランジスタを実装するように構成することができる。1つの態様では、能動装置部分204は、1つまたは複数のHEMTを実装するように構成することができる。1つの態様では、複数の能動装置部分204は、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を実装するように構成することができる。
【0047】
半導体ウェハ202の基板208は、基板208の反対側に配置された第2の装置面212をさらに含み得る。特に、第2の装置面212は、第1の装置面206とは反対側の基板208の面に配置することができる。いくつかの態様では、半導体ウェハ202の基板208は、第2の装置面212上に追加層をさらに含み得る。いくつかの態様では、半導体ウェハ202の基板208は、第2の装置面212の上に追加層をさらに含まなくてもよい。1つの態様では、第2の装置面212は、半導体ウェハ202の底面を画定し得る。
【0048】
いくつかの態様では、追加層は、装置部分、コンタクト、層、介在層などを含み得る。1つの態様では、追加層は、メタライゼーション層214とすることができる。メタライゼーション層214は、第2の装置面212の上に配置することができる。いくつかの態様では、メタライゼーション層214は、得られる半導体装置222に熱伝導性を与えること、および/またはダイを取り付けることができる。追加層を含む態様では、追加層は下面220を含み得る。1つの態様では、下面220は、基板208、第2の装置面212、および/または第1の装置面206に対して垂直に延びることができる。1つの態様では、下面220は、半導体ウェハ202の底面を画定し得る。最後に、半導体ウェハ202は、複数の能動装置部分204、それぞれの領域210、および/または半導体装置222をこれらの分離前に接続する、接続部分262を画定し得る。
【0049】
図3は、本開示による、処理中の半導体ウェハの部分断面図を示す。
【0050】
特に、図3は、第1のダイシング方法によって半導体ウェハを部分的に機械的に切削すること(ブロック102)を含む、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)の間の半導体ウェハ202を示す。
【0051】
1つの態様では、第1の手段は、鋸刃1108を有する鋸装置1100とすることができる。1つの態様では、鋸装置1100は、第1の装置面206に第1の領域216を形成するように半導体ウェハ202および第1の装置面206の上方に配置することができる。さらに、第1のダイシング方法によって半導体ウェハを部分的に機械的に切削すること(ブロック102)は、半導体ウェハ202の中へ部分的に延びる第1の領域216を、第1の領域216が底面部224を含むように形成することを含み得る。言い換えると、第1の領域216は、半導体ウェハ202を貫通して延びなくてもよい。1つの態様では、第1の領域216は、半導体装置222の周縁部に形成することができる。1つの態様では、第1の領域216は、半導体装置222の周縁部のまわりに形成することができる。1つの態様では、第1の領域216は、半導体装置222の隣り合う縁部間に縁部に沿って形成することができる。1つの態様では、第1の領域216は、第1の壁226および第2の壁228を有するように、半導体装置222の隣り合う縁部間に縁部に沿って形成することができる。1つの態様では、第1の領域216は、第1の装置面206に垂直に基板208の中へ延びることができる。1つの態様では、第1の領域216は、第1の装置面206から基板208の中へ延びることができる。1つの態様では、第1の壁226および第2の壁228もまた、第1の装置面206に垂直に基板208の中へ延びることができる。1つの態様では、底部224は、基板208内で第1の装置面206に平行に延びることができる。1つの態様では、第1の領域216は、第1のスロット、第1のチャネル、第1の溝、第1のトレンチなどとすることができる。一代替態様では、第1の領域216は、第2の装置面212から基板208の中へ延びることができ、鋸装置1100は、半導体ウェハ202および第2の装置面212の下を切削する機能を果たすように配置することができる。
【0052】
この関連で、第1の領域216が底部224を含むように、および/または第1の領域216が半導体ウェハ202を貫通して延びないように、半導体ウェハ202の中へ部分的に延びる鋸装置1100を用いて第1の領域216を形成することが、チップ、チップアウト、クラック、ティアアウト、スプリンタ、縁部クラックなどが含まれる欠陥を含み得る不均一な切削の発生を低減させる。特に、半導体ウェハ202の中に部分的にのみ延びる領域を形成するように鋸装置1100を実施すると、上記の不均一なカットおよび関連する欠陥が大幅に減少することが見出された。より具体的には、半導体ウェハ202の中に部分的にのみ延びる領域を形成するように鋸装置1100を実施して、上記の不均一なカットおよび関連する欠陥が大幅に低減することは予想外であり、これらの予想外の結果は、欠陥の低減、製造時間の低減、製造コストの低減などを含む、本明細書に記載の多くの利益をもたらす。
【0053】
1つの態様では、第1のダイシング方法によって半導体ウェハを部分的に機械的に切削すること(ブロック102)を含む、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)は、第1の装置面206、半導体ウェハ202の上面、および/または半導体ウェハ202の最上面に第1の領域216を形成することを含む。この関連で、第1の手段および/または鋸装置1100は、メタライゼーション層214を含む任意の金属層を切削するために利用されなくてもよい。この関連で、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)では、ストリートを形成する必要がないことがある。したがって、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)では、半導体ウェハ202のどの層もエッチングする必要がないことがある。それゆえに、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)は、欠陥を低減させ、半導体製造時間を低減させ、かつ/または半導体製造費用を低減させる。
【0054】
以上のようにして、図3に示される中間基板アセンブリ300が形成される。
【0055】
図4は、本開示による、処理中の半導体ウェハの部分断面図を示す。
【0056】
図4は、第2のダイシング方法によって半導体ウェハを切削すること(ブロック104)を含む、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)の間の半導体ウェハ202を示す。具体的には、図4は、レーザ装置1200からのレーザ光の集束ビーム1208が、基板208の半導体ウェハ202の中へ向けられて、ウェハの中に第2の領域218を形成できること(ブロック104、図1)を示す。1つの態様では、第2の領域218は、半導体装置222の周縁部に形成することができる。1つの態様では、第2の領域218は、半導体装置222の周縁部のまわりに形成することができる。1つの態様では、第2の領域218は、第2のスロット、第2のチャネル、第2の溝、第2のトレンチなどとすることができる。1つの態様では、レーザ装置1200は、半導体ウェハ202および第1の装置面206の上方で動作するように配置することができる。レーザ光の集束ビーム1208は、レンズ1202(図12)によって集中させ集束することができる。レーザ光の集束ビーム1208は、レーザ光の集束ビーム1208が第1の領域216を突き抜けるように、複数の能動装置部分204の間で半導体ウェハ202を横切って走査することが(レーザ装置1200、半導体ウェハ202、またはその両方を相対的に動かすことによって)できる。
【0057】
1つの態様では、レーザ光の集束ビーム1208は、第1の領域216を底部224まで突き抜ける。このようにして、第2の領域218は、図4に図示されているように、第1の領域216と実質的に同一の広がりを持ち一直線に並ぶようなパターンで形成することができる。1つの態様では、第1の領域216と第2の領域218は、一方を他方の上に配置することができる。1つの態様では、第1の領域216と第2の領域218は接続することができる。1つの態様では、第1の領域216と第2の領域218は、直接接続することができる。1つの態様では、第1の領域216と第2の領域218は一直線に並べることができる。1つの態様では、第1の領域216の軸と第2の領域218の軸は隣接することができる。コントローラ1250(図12)が、レーザ装置1200の動作と、レーザ光の集束ビーム1208と半導体ウェハ202の間の相対的な動きとを制御するために設けられてもよい。一代替態様では、第2の領域218は、第2の装置面212から基板208の中へ延びることができ、レーザ装置1200は、半導体ウェハ202および第2の装置面212の下に配置することができる。
【0058】
上述の走査動作中に、レーザ光の集束ビーム1208は、半導体ウェハ202内に位置し得る焦点250をレーザ光の集束ビーム1208が有するように、生成することができる。1つの態様では、焦点250は、第1の装置面206と下面220の間にあるように制御される。1つの態様では、焦点250は、第1の装置面206と第2装置面212の間にあるように制御される。1つの態様では、焦点250は、底部224と下面220の間にあるように制御される。1つの態様では、焦点250は、底部224と第2の装置面212の間にあるように制御される。
【0059】
1つの態様では、レーザ光の集束ビーム1208は、焦点250が基板208内に位置し、また、底部224から第2の装置面212まで移動するように、生成される。1つの態様では、レーザ光の集束ビーム1208は、焦点250が基板208内に置かれ、半導体ウェハ202の材料が除去されるにつれて底部224から下面220まで移動するように、生成される。具体的には、焦点250は、レーザ光1208のエネルギーが最適な切削速度および品質をもたらすように、第2の領域218を形成している間移動する。いくつかの態様によれば、レーザ光1208の集束ビームは、第2の領域218の幅にわたって実質的に均一である。
【0060】
いくつかの態様によれば、レーザ装置1200は、ガスレーザ、化学レーザ、金属蒸気レーザ、固体レーザ、および/または半導体レーザとして実施することができる。いくつかの態様によれば、レーザ装置1200は、紫外線レーザとすることができる。
【0061】
いくつかの態様によれば、レーザ装置1200は、レーザ光のビーム1208を特定のパワーで出力するように制御することができる。1つの態様では、レーザ装置1200の特定のパワーは、1ワット~25ワット、2ワット~12ワット、2ワット~4ワット、4ワット~6ワット、6ワット~8ワット、8ワット~10ワット、10ワット~12ワット、12ワット~14ワット、14ワット~16ワット、16ワット~18ワット、18ワット~20ワット、20ワット~22ワット、または22ワット~25ワットとすることができる。1つの態様では、レーザ装置1200の特定のパワーは、上記の範囲内で変えることができる。
【0062】
1つの態様では、第2のダイシング方法によって半導体ウェハを切削すること(ブロック104)を含む、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)は、第1の装置面206、半導体ウェハ202の上面、および/または半導体ウェハ202の最上面の上方にレーザ光1208を発生させるレーザ装置1200によって第2の領域218を形成することを含む。この関連で、第2の手段および/またはレーザ装置1200は、メタライゼーション層214を含む任意の金属層を除去する。この関連で、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)では、ストリートを形成する必要がない。したがって、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)では、半導体ウェハ202のどの層もエッチングする必要がないことがある。それゆえに、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)は、欠陥を低減させ、半導体製造時間および/または半導体製造費用を低減させる。
【0063】
1つの態様では、第2のダイシング方法によって半導体ウェハを切削すること(ブロック104)を含む、半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)は、第2の装置面212および/または下面220に向けてレーザ光1208を発生させるレーザ装置1200によって第2の領域218を形成することを含む。この関連で、第2の装置面212および/または下面220との両方は、能動装置部分204から、さらに第1の領域216から物理的に遠くに位置している。この物理的な離隔により、能動装置部分204の望ましくない熱損傷が低減する。
【0064】
図5は、本開示による、初期処理後の半導体ウェハの部分断面図である。
【0065】
特に、図5は、第2の領域218の形成後の半導体ウェハ202を示す。この関連で、第2の領域218は、基板208の一部分、メタライゼーション層214の一部分、および第2の領域218に沿って位置する半導体ウェハ202の任意の他の層を除去することによって、複数の能動装置部分204の間の基板208に形成することができる。
【0066】
特に、レーザ装置1200の動作には、半導体ウェハ202の材料の内部アブレーション、第2の領域218内の基板208の基板材料のアブレーション、第2の領域218内のメタライゼーション層214の材料のアブレーション、および/または第2の領域218内の他の任意の層の材料のアブレーションが含まれ得る。
【0067】
除去された材料は、半導体ウェハ202の第2の領域218の下部開口部から脱出すること、再堆積すること、または流出して移動し半導体ウェハ202内にとどまることがある。1つの態様では、アブレーションには、半導体ウェハ202の材料を溶融または気化することが含まれ得る。たとえば、アブレーションには、単結晶SiCを溶融または気化させること、結晶境界を気化させること、および/または同様のことが含まれ得る。この関連で、半導体ウェハ202の追加層もまた、金属化層214を含めて除去することができる。1つの態様では、材料は、材料が取り除かれるように第2の領域218から完全に除去することができ、残りの面は、第1の領域216とともに第1の装置面206から第2の装置面212および/または下面220まで開いていてもよい第2の領域218を画定する。
【0068】
以上のようにして、図5に示された半導体装置222が形成される。
【0069】
図6は、図5による初期処理後の部分的な半導体ウェハの詳細な断面図を示す。
【0070】
特に、図6は、鋸装置1100によって形成された第1の領域216が、第1の壁226と第2の壁228の間に幅W1を有し得ること、および鋸装置1100によって形成された第1の領域216が、第1の装置面206と底部224の間に深さD1を有し得ることを示す。いくつかの態様では、幅W1は、20μm~100μm、20μm~25μm、25μm~30μm、30μm~40μm、40μm~50μm、50μm~60μm、60μm~70μm、70μm~80μm、80μm~90μm、または90μm~100μmの範囲を有し得る。
【0071】
いくつかの態様では、深さD1は、5μm~150μm、5μm~10μm、10μm~15μm、15μm~20μm、20μm~25μm、25μm~30μm、30μm~40μm、40μm~50μm、50μm~60μm、60μm~70μm、70μm~80μm、80μm~90μm、90μm~100μm、100μm~110μm、110μm~120μm、120μm~130μm、130μm~140μm、または140μm~150μmの範囲を有し得る。
【0072】
いくつかの態様では、深さD1は、基板208の厚さと、メタライゼーション層214の厚さと、半導体ウェハ202に付随する任意の追加の層または介在する層の厚さとを合わせたものの50%~99%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~99%と等しくすることができる。いくつかの態様では、深さD1は、基板208の厚さと、メタライゼーション層214の厚さと、半導体ウェハ202に付随する任意の追加の層または介在する層の厚さとを合わせたものの30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を超えるものとすることができる。
【0073】
いくつかの態様では、深さD1は、基板208の厚さと、半導体ウェハ202に付随する任意の追加または介在する層の厚さとを合わせたものの50%~99%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~99%と等しくすることができる。いくつかの態様では、深さD1は、基板208の厚さと、半導体ウェハ202に付随する任意の追加または介在する層の厚さとを合わせたものの30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を超えるものとすることができる。
【0074】
いくつかの態様では、深さD1は、半導体ウェハ202に付随する基板208の厚さの50%~99%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~99%と等しくすることができる。いくつかの態様では、深さD1は、半導体ウェハ202に付随する基板208の厚さの30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を超えるものとすることができる。
【0075】
いくつかの態様では、深さD1は、半導体ウェハ202の厚さの50%~99%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~99%と等しくすることができる。いくつかの態様では、深さD1は、半導体ウェハ202の厚さの30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を超えるものとすることができる。
【0076】
図6は、レーザ装置1200によって形成された第2の領域218が、第1の壁236と第2の壁238との間に幅W2を有し得ること、ならびにレーザ装置1200によって形成された第2の領域218が、底部224と第2の装置面212および/または下面220との間に深さD2を有し得ることをさらに示す。いくつかの態様では、幅W2は、5μm~100μm、5μm~10μm、10μm~15μm、15μm~20μm、20μm~25μm、25μm~30μm、30μm~40μm、40μm~50μm、50μm~60μm、60μm~70μm、70μm~80μm、80μm~90μm、または90μm~100μmの範囲を有し得る。
【0077】
いくつかの態様では、深さD2は、5μm~100μm、5μm~10μm、10μm~15μm、15μm~20μm、20μm~25μm、25μm~30μm、30μm~40μm、40μm~50μm、50μm~60μm、60μm~70μm、70μm~80μm、80μm~90μm、または90μm~100μmの範囲を有し得る。
【0078】
いくつかの態様では、深さD2と深さD1を合わせたものは、基板208の厚さと、メタライゼーション層214の厚さと、半導体ウェハ202に付随する任意の追加または介在する層の厚さとを合わせたものと等しくすることができる。いくつかの態様では、深さD2と深さD1を合わせたものは、半導体ウェハ202の厚さと等しくすることができる。いくつかの態様では、深さD2と深さD1を合わせたものは、基板208の厚さと、メタライゼーション層214の厚さと、半導体ウェハ202に付随する任意の追加または介在する層の厚さとを合わせたものの80%~100%、80%~85%、85%~95%、95%~98%、98%~99%、99%~100%と等しくすることができる。いくつかの態様では、深さD2と深さD1を合わせたものは、半導体ウェハ202の厚さの80%~100%、80%~85%、85%~95%、95%~98%、98%~99%、99%~100%と等しくすることができる。
【0079】
いくつかの態様では、深さD2と深さD1を合わせたものは、基板208の厚さとメタライゼーション層214の厚さを足したものに等しくすることができる。いくつかの態様では、幅W1は幅W2よりも大きくすることができる。幅W1、幅W2、深さD1、および深さD2は、装置ごとおよび場所ごとに変わり得るので、これらの値のそれぞれは、本開示と合致する様々な態様においては平均または平均値を表すことがある。
【0080】
図7は、本開示による初期処理後の半導体ウェハの部分透視図を示す。
【0081】
特に、図7は、半導体ウェハをダイシングしたプロセス(図1のブロック100)の後、ならびに半導体ウェハから半導体装置をシンギュレーションおよび/または分離したプロセス(ブロック106)の後の半導体装置222を示す。より具体的には、図7に示されるように、半導体装置222の裏面または下面220/第2の装置面212の細部が示されている。さらに、第2の領域218の面、および第2の領域218の第1の壁236/第2の壁238が図示され、また、第1の領域216の面、および第1の領域216の第1の壁226/第2の壁228が図示されている。
【0082】
特に、図7は、本開示による半導体ウェハをダイシングするプロセス(図1のブロック100)には明白な欠陥が含まれないこと、または含まれる欠陥の密度が少なくとも低減されていることを示す。この関連で、図7はさらに、本開示による半導体ウェハをダイシングするプロセス(図1のブロック100)により、明白な欠陥を含まないように、または含まれる欠陥の密度が少なくとも低減されるように開示プロセスを利用した予想外の結果が得られることを示す。
【0083】
図8は、本開示による初期処理後の半導体ウェハの部分透視図を示す。
【0084】
特に、図8は、半導体ウェハをダイシングしたプロセス(図1のブロック100)の後、ならびに半導体ウェハから半導体装置をシンギュレーションおよび/または分離したプロセス(ブロック106)の後の半導体装置222を示す。より具体的には、図8に示されるように、半導体装置222の、前面または第1の装置面206と複数の能動装置部分204のうちの少なくとも1つとの細部が示されている。さらに、第2の領域218の面、および第2の領域218の第1の壁236/第2の壁238が図示され、また、第1の領域216の面、および第1の領域216の第1の壁226/第2の壁228が図示されている。
【0085】
特に、図8は、本開示による半導体ウェハをダイシングするプロセス(図1のブロック100)には明白な欠陥が含まれないこと、または含まれる欠陥の密度が少なくとも低減されていることを示す。この関連で、図8はさらに、本開示による半導体ウェハをダイシングするプロセス(図1のブロック100)により、明白な欠陥を含まないように、または含まれる欠陥の密度が少なくとも低減されるように開示プロセスを利用した予想外の結果が得られることを示す。
【0086】
図9は、本開示による初期処理後の半導体ウェハの底面図を示す。
【0087】
特に、図9は、半導体ウェハから半導体装置をシンギュレーションおよび/または分離するプロセス(ブロック106)より前に半導体ウェハをダイシングしたプロセス(図1のブロック100)の後の、半導体装置222を示す。より具体的には、図9に示されているように、半導体装置222の裏面または下面220/第2の装置面212の細部が示されている。さらに、第2の領域218および第1の領域216が図示されている。
【0088】
特に、図9は、本開示による半導体ウェハをダイシングするプロセス(図1のブロック100)には明白な欠陥が含まれないこと、または含まれる欠陥の密度が少なくとも低減されていることを示す。この関連で、図9はさらに、本開示による半導体ウェハをダイシングするプロセス(図1のブロック100)により、明白な欠陥を含まないように、または含まれる欠陥の密度が少なくとも低減されるように開示プロセスを利用した予想外の結果が得られることを示す。
【0089】
図10は、本開示による初期処理後の半導体ウェハの底面図を示す。
【0090】
本開示のいくつかの態様では、複数の能動装置部分204は、ストリート構造を形成する必要がない。しかし、場合によっては、ストリート構造が依然として利用されることもある。この関連で、図10は、複数の能動装置部分204が少なくとも1つのストリート構造260によって分離され得る一態様を示す。いくつかの態様によれば、下面220は、基板208の第2の装置面212まで完全にエッチングすることができ、それにより、第2の装置面212の露出したストリップが各ストリート構造260を画定する。
【0091】
特に、図10は、本開示による半導体ウェハをダイシングするプロセス(図1のブロック100)には明白な欠陥が含まれないこと、または含まれる欠陥の密度が少なくとも低減されていることを示す。この関連で、図10はさらに、本開示による半導体ウェハをダイシングするプロセス(図1のブロック100)により、明白な欠陥を含まないように、または含まれる欠陥の密度が少なくとも低減されるように開示プロセスを利用した予想外の結果が得られることを示す。
【0092】
図11は、本開示による鋸切削装置の概略図を示す。
【0093】
図11に図示された鋸装置1100は、半導体ウェハ202に第1の領域216を生成するように実施することができる。しかし、任意のタイプの半導体ウェハ切削装置が、半導体ウェハ202に第1の領域216を生成するために同様に利用されてもよい。鋸装置1100は、鋸刃1108を用いて、半導体ウェハ202の基板208および/または任意の他の追加層を切削することができる。1つの態様では、鋸刃1108は、モータ1106によって回転する丸鋸刃とすることができる。モータ1106は、回転駆動のために鋸刃1108を取り付けるモータ軸1180を含み得る。
【0094】
鋸装置1100は、鋸刃1108によって、制御されたパターンで切削することができる。第1の領域216の幅および深さは、鋸装置1100にパターン生成設定および鋸設定をすることによって制御可能とすることができる。鋸装置1100は、パワー、回転速度、線速度、反復、および/または同様のものを含む設定値を有し得る。幾何形状は、コンピュータ支援設計(CAD)ファイルから直接生成し、鋸装置1100にインポートすることができる。他の態様では、鋸装置1100は、代替的または追加的に、切削のためのパターン認識および/または固定ピッチを利用することができる。設定は、鋸装置1100がハードウェアおよび/またはソフトウェアによって制御することができる。
【0095】
鋸装置1100は、コントローラ1150を含み得る。コントローラ1150は、鋸装置1100によって処理されている半導体ウェハ202または任意の他の構成要素の位置を検知できる位置センサ1112から、センサ出力を受け取ることができる。1つの態様では、位置センサ1112は、鋸装置1100によって処理されている半導体ウェハ202または任意の他の構成要素の一部を支持している支持体1114の位置を検知することができる。コントローラ1150は、鋸装置1100によって処理されている半導体ウェハ202または任意の他の構成要素の所望の位置に第1の領域216を形成するために、位置決め装置1116を用いて支持体1114を移動させることができる。位置決め装置1116は、支持体1114を所望の位置に位置決めするための1つまたは複数の位置決めモータを含み得る。位置決め装置1116は、他の多くの方法でも実現することができる。あるいは、位置決め装置1116は、鋸装置1100を位置決めすることができ、位置センサ1112は、支持体1114が静止している間に鋸装置1100の位置を決定することができる。他の態様では、鋸装置1100と支持体1114の両方を移動させることができる。
【0096】
コントローラ1150は、プロセッサ1152を含み得る。このプロセッサ1152は、電源1154、メモリ1156、クロック1158、アナログデジタル変換器(A/D)1160、入力/出力(I/O)ポート1162などに動作可能に接続することができる。プロセッサ1152は、鋸刃1108を動作させて、パターン生成によって第1の領域216の幅W1および深さD1が生じるように鋸装置1100を制御することができる。プロセッサ1152は、特定のパワー、回転速度、線速度、反復、および/または同様のものによって鋸を動作させるように鋸装置1100を制御することができる。プロセッサ1152は、メモリ1156に記憶されたコンピュータ支援設計(CAD)ファイルに基づいて鋸を動作させるように鋸装置1100を制御することができる。
【0097】
入力/出力(I/O)ポート1162は、任意の適切に取り付けられた電子装置から信号を受信し、この信号をアナログデジタル変換器(A/D)1160から転送、および/またはプロセッサ1152へ転送するように構成することができる。これらの信号には、温度を検知する温度センサ、位置を検知する位置センサ1112などからの信号が含まれる。信号がアナログ形式である場合、この信号は、アナログデジタル変換器(A/D)1160を経由して次に進むことができる。この関連で、アナログデジタル変換器(A/D)1160は、アナログ形式の信号を受け取って、この信号を対応するデジタル形式の信号に変換するように構成することができる。
【0098】
コントローラ1150はデジタルアナログ変換器(DAC)1170を含むことができ、この変換器は、プロセッサ1152からデジタル形式信号を受け取って、この信号をアナログ形式に変換し、そのアナログ信号を入力/出力(I/O)ポート1162から転送するように構成することができる。このようにして、アナログ信号を利用するように構成された電子装置は、情報を受け取ること、またはプロセッサ1152によって駆動することができる。プロセッサ1152は、デジタルアナログ変換器(DAC)1170、A/D 1160、および/または入力/出力(I/O)ポート1162との間で信号を送受信するように構成することができる。プロセッサ1152はさらに、クロック1158から時間信号を受信するように構成することができる。さらに、プロセッサ1152は、CADファイルを含んでいるメモリ1156との間で電子データを記憶および検索するように構成される。コントローラ1150は、表示装置1168、入力装置1164、および読み出し専用メモリ(ROM)1172をさらに含み得る。最後に、プロセッサ1152は、本明細書に記載された半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)を実行するための、プロセッサ1152によって実行される、メモリ1156に記憶されたプログラムを含み得る。
【0099】
図12は、本開示によるレーザ切削装置の概略図を示す。
【0100】
レーザ装置1200は、半導体ウェハ202に第2の領域218を生成するために、レーザ彫刻機、レーザパターニングシステム、レーザスクライバー、レーザアブレーション装置などを用いて実施することができる。レーザ装置1200は、半導体ウェハ202、基板208、任意の介在層、任意の追加層、および/またはメタライゼーション層214を集束レーザ光1208によって焼尽すること、または他の方法で除去することができる。
【0101】
レーザ装置1200は、集束レーザ光1208を用いて、制御されたパターンで第2の領域218を形成することができる。第2の領域218の幅および深さは、パターン生成またはパターン認識、およびレーザ装置1200のレーザ設定によって制御可能とすることができる。レーザ装置1200は、周波数、パワー、速度、ベクトル構成、反復、および/または同様のものを含む設定値を有し得る。幾何形状は、コンピュータ支援設計(CAD)ファイルから直接生成し、レーザ装置1200にインポートすることができる。線密度設定および反復設定は、レーザ装置1200がハードウェアおよび/またはソフトウェアによって制御することができる。
【0102】
レーザ装置1200は、関連するシステムの任意の部分から温度を検知する温度センサからセンサ出力を受け取ることができる、コントローラ1250を含み得る。コントローラ1250は、レーザ装置1200によって処理されている半導体ウェハ202または任意の他の構成要素の位置を検知できる位置センサ1212から、センサ出力を受け取ることができる。1つの態様では、位置センサ1212は、レーザ装置1200によって処理されている半導体ウェハ202または任意の他の構成要素の一部を支持している、支持体1214の位置を検知することができる。コントローラ1250は、レーザ装置1200によって処理されている半導体ウェハ202または任意の他の構成要素の所望の位置に第2の領域218を形成するために、位置決め装置1216を用いて支持体1214を移動させることができる。位置決め装置1216は、支持体1214を所望の位置に位置決めするための1つまたは複数の位置決めモータを含み得る。位置決め装置1216は、他の多くの方法でも実現することができる。あるいは、位置決め装置1216は、レーザ装置1200を位置決めすることができ、位置センサ1212は、支持体1214が静止している間にレーザ装置1200の位置を決定することができる。
【0103】
コントローラ1250は、プロセッサ1252を含み得る。このプロセッサ1252は、電源1254、メモリ1256、クロック1258、アナログデジタル変換器(A/D)1260、入力/出力(I/O)ポート1262などに動作可能に接続することができる。
【0104】
プロセッサ1252は、レーザを動作させて、パターン生成によって第2の領域218の幅および深さが生じるようにレーザ装置1200を制御することができる。1つの態様では、プロセッサ1252は、第2の領域218の幅W2および深さD2を生じるようにレーザ装置1200を制御することができる。プロセッサ1252は、特定のパワー、回転速度、線速度、反復、および/または同様のものによってレーザを動作させるようにレーザ装置1200を制御することができる。プロセッサ1252は、メモリ1256に記憶されたコンピュータ支援設計(CAD)ファイルに基づいてレーザを動作させるようにレーザ装置1200を制御することができる。
【0105】
入力/出力(I/O)ポート1262は、任意の適切に取り付けられた電子装置から信号を受信して、この信号をA/D1260から転送、および/またはプロセッサ1252へ転送するように構成することができる。これらの信号には、温度を検知する温度センサ、位置を検知する位置センサ1212などからの信号が含まれる。信号がアナログ形式である場合、この信号は、アナログデジタル変換器(A/D)1260を経由して次に進むことができる。この関連で、アナログデジタル変換器(A/D)1260は、アナログ形式の信号を受け取って、この信号を対応するデジタル形式の信号に変換するように構成することができる。
【0106】
コントローラ1250はデジタルアナログ変換器(DAC)1270を含むことができ、この変換器は、プロセッサ1252からデジタル形式信号を受け取って、この信号をアナログ形式に変換し、そのアナログ信号を入力/出力(I/O)ポート1262から転送するように構成することができる。このようにして、アナログ信号を利用するように構成された電子装置は、情報を受け取ること、またはプロセッサ1252によって駆動することができる。プロセッサ1252は、デジタルアナログ変換器(DAC)1270、アナログデジタル変換器(A/D)1260および/または入力/出力(I/O)ポート1262との間で信号を送受信するように構成することができる。プロセッサ1252はさらに、クロック1258から時間信号を受信するように構成することができる。さらに、プロセッサ1252は、CADファイルを含むメモリ1256との間で電子データを記憶および検索するように構成される。コントローラ1250は、表示装置1268、入力装置1264、および読み出し専用メモリ(ROM)1272をさらに含み得る。最後に、プロセッサ1252は、本明細書に記載された半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)を実行するための、メモリ1256に記憶された、プロセッサ1252によって実行されるプログラムを含み得る。
【0107】
レーザ装置1200は、利得媒体1204と、利得媒体1204に通電する機構1206と、光フィードバック1210を与える装置とを含み得る。利得媒体1204は、誘導放出によって利得媒体が光を増幅できるようになる特性を持つ材料とすることができる。利得媒体1204を通過する特定の波長の光が増幅されて、パワーが増加され得る。利得媒体1204が光を増幅するように、利得媒体1204にエネルギーをポンピングプロセスで供給することができる。エネルギーは、電流として、または異なる波長の光として供給することができる。ポンプ光は、閃光ランプから、または別のレーザから供給することができる。レーザは、光共振器を用いて光フィードバック1210を実施することができる。1つの態様では、フィードバックは、利得媒体1204の両端の一対のミラーによって実施することができる。光はミラー間を往復して利得媒体1204を通過し、そのたびに増幅される。通常、2つのミラーの一方の出力カプラは、一部分だけ透明とすることができる。集束されたレーザ光1208の一部は、このミラーを通り抜けて漏出し、レンズ1202で集束されて第2の領域218を形成することができる。しかし、レーザ装置、レーザスクライバー、および/またはレーザ彫刻機の他の実施態様が同様に利用されてもよいことに留意されたい。
【0108】
本開示は、半導体装置222を製造するプロセスにも関する。このプロセスは、基板208の上および/または中に材料を堆積および/またはパターニングして、トランジスタ、発光ダイオード(LED)、ダイオード、太陽電池、およびその他の装置などの半導体装置222を形成することを含む。その後、本開示のプロセスは、本明細書に記載の半導体ウェハをダイシングするプロセス(ブロック100)を含む。最後に、本開示のプロセスは、個々のダイを取り付け、封止して個々の装置を形成することを含む。
【0109】
図13は、ダイシング欠陥の増加した密度を表示する、初期処理後の例示的な半導体ウェハの上面図を示す。
【0110】
特に、図13は、機械鋸だけでダイシングされてダイ4の間にスロット6が形成されている半導体ウェハ2を示す。図13に示されているように、半導体ウェハ2を貫通して完全に切削する鋸により、チップまたはチップアウトの形で欠陥10が形成されている。さらに、半導体ウェハ2を貫通して完全に切削するように鋸が利用されたので、その鋸切削プロセスのためにストリート8が形成される必要があった。
【0111】
この点において、本開示により、少なくとも図7図8図9、および図10に示されるように、明白な欠陥を含まないように、または含まれる欠陥の密度が少なくとも低減されるように開示プロセスを利用した予想外の結果が得られる。この関連で、開示プロセスは、図13に示された装置の製造プロセスなどの従来技術のプロセスと比較して、より低い欠陥密度を実現する。
【0112】
したがって、本開示は、より清浄なダイシング、半導体性能の改善、製造時間の短縮、製造コストの削減などをもたらす、半導体ウェハのダイシングの代替解決策を提示している。特に、本開示により、明白な欠陥を含まないように、または含まれる欠陥の密度が少なくとも低減されるように開示プロセスを利用した予想外の結果が得られる。さらに、半導体上に形成されたどの金属層も、ストリートを形成するなどの、除去する必要をなくすことができ、それに応じて、熱を伝達する、および/またはダイを取り付けるための半導体装置の機能は、従来技術の装置と比較して改善することができる。
【0113】
本開示を例示的な態様に関して説明してきたが、本開示が添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で修正とともに実施できることが当業者には理解されよう。上で示されたこれらの例は単に例示的なものであり、本開示のすべての実施可能な設計、態様、用途、または修正を網羅的に列挙したものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図1-1(Appendix)】
図2-1(Appendix)】
図3-1(Appendix)】
図4-1(Appendix)】
図5-1(Appendix)】
図6-1(Appendix)】
図7-1(Appendix)】
図8-1(Appendix)】
図9-1(Appendix)】
図10-1(Appendix)】
図11-1(Appendix)】
図12-1(Appendix)】
図13-1(Appendix)】