(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】基板配置データの表示方法、半導体装置の製造方法及び基板処理装置並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240403BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240403BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/31 B
H01L21/205
(21)【出願番号】P 2022551186
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2021029418
(87)【国際公開番号】W WO2022064882
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020160829
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水津 夕奈
(72)【発明者】
【氏名】安彦 一
(72)【発明者】
【氏名】西浦 進
(72)【発明者】
【氏名】船倉 満
(72)【発明者】
【氏名】加藤 卓也
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-135418(JP,A)
【文献】特開平11-121586(JP,A)
【文献】特開2006-41074(JP,A)
【文献】特開2019-114784(JP,A)
【文献】国際公開第2018/154829(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/31
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板保持具に装填する予定の少なくとも基板の配置を決定する移載パラメータと、前記基板保持具に装填される予定の前記基板が収納されるキャリア情報をそれぞれ設定させる設定工程と、
該設定された前記移載パラメータ、前記キャリア情報に基づいて、前記基板を前記基板保持具に装填させた場合の基板配置データを作成する作成工程と、
前記基板配置データを表示する際、少なくとも前記基板が前記基板保持具に装填された状態の前記基板の配置を示すデータを表示する表示工程と、
を有する基板配置データの表示方法。
【請求項2】
前記作成工程は、該作成された基板配置データと予め登録された目標とする基板配置データとを比較して、前記作成された基板配置データと前記目標とする基板配置データとの間のズレ具合を算出する算出工程を有する請求項1記載の基板配置データの表示方法。
【請求項3】
前記算出工程では、前記基板保持具に装填される基板の種別を比較する請求項2記載の基板配置データの表示方法。
【請求項4】
前記算出工程では、前記基板保持具に装填可能な基板の枚数に対する、前記基板配置データ間において前記基板の種別が異なっていた基板の枚数の割合を演算する請求項2記載の基板配置データの表示方法。
【請求項5】
前記表示工程では、前記ズレ具合を表示する際、前記基板配置データ間において前記基板の種別が異なっていた部分の前記基板配置データを優先して表示する請求項2記載の基板配置データの表示方法。
【請求項6】
更に、前記作成された基板配置データを修正する修正工程を有し、
前記修正工程では、前記基板配置データの作成で使用した前記移載パラメータに設定された内容を修正する請求項1記載の基板配置データの表示方法。
【請求項7】
更に、前記基板が前記基板保持具に装填された状態の前記基板の配置を示すデータを登録する登録工程を有し、
前記作成工程では、予め記憶された複数の前記移載パラメータにより作成される基板配置データと登録された前記基板の配置を示すデータとの間の一致率を算出する請求項1記載の基板配置データの表示方法。
【請求項8】
前記表示工程では、100%-ズレ具合(%)で演算される前記一致率が高いほうを優先して表示する請求項7記載の基板配置データの表示方法。
【請求項9】
前記表示工程では、選択された前記移載パラメータにより作成される基板配置データと登録された前記基板の配置を示すデータとの間のズレが生じている部分を優先して表示する請求項7記載の基板配置データの表示方法。
【請求項10】
更に、前記作成された基板配置データを修正する修正工程と、
選択された前記移載パラメータにより作成された基板配置データを保存する保存工程と、を有し、
前記修正工程では、前記保存された前記移載パラメータに設定された内容を修正する請求項9記載の基板配置データの表示方法。
【請求項11】
前記設定工程では、更に、前記基板を前記基板保持具に搬送する搬送機構に関する搬送パラメータを設定する請求項1記載の基板配置データの表示方法。
【請求項12】
前記搬送パラメータには、少なくとも搬送機構の構成に関する情報に関するパラメータ、ウエハ移載を含む搬送機能に関するパラメータ、保守時における搬送機構の調整機能に関するパラメータよりなる群から少なくとも一つが設定される請求項11記載の基板配置データの表示方法。
【請求項13】
前記作成工程では、前記基板保持具に保持されている前記基板の種別及び枚数、キャリアに収納されているウエハの種別で決定されるキャリア属性、前記基板保持具に設けられる基板支持部の番号を示すスロット番号、前記基板を搬送機構が搬送した搬送回数、搬送機構により前記基板がスロット番号に装填される搬送順序よりなる群から少なくとも一つが算出される請求項1記載の基板配置データの表示方法。
【請求項14】
基板保持具に装填する予定の少なくとも基板の配置を決定する移載パラメータと、前記基板保持具に装填される予定の前記基板が収納されるキャリア情報をそれぞれ設定させる工程と、
該設定された前記移載パラメータ、前記キャリア情報に基づいて、前記基板を前記基板保持具に装填させた場合の基板配置データを作成する工程と、
前記基板配置データを表示する際、少なくとも前記基板が前記基板保持具に装填された状態の前記基板の配置を示すデータを表示する工程と、
前記基板配置データに基づいて、前記基板を搬送する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項15】
基板保持具に装填される予定の少なくとも基板の配置を決定する移載パラメータと、前記基板保持具に装填される予定の基板が収納されるキャリア情報をそれぞれ設定する手順と、
該設定された前記移載パラメータ、前記キャリア情報に基づいて、前記基板を前記基板保持具に装填させた場合の基板配置データを作成する手順と、
前記基板配置データを表示する際、少なくとも前記基板が前記基板保持具に装填された状態の前記基板の配置を示すデータを表示する手順と、
を有するプログラムを基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項16】
基板を処理する処理室と、
前記基板を保持する基板保持具と、
前記基板を前記基板保持具に装填する搬送機構と、
前記搬送機構を制御する制御部と、を備えた基板処理装置であって、
前記制御部は、
基板保持具に装填される予定の少なくとも基板の配置を決定する移載パラメータと、前記基板保持具に装填される予定の前記基板が収納されるキャリア情報をそれぞれ設定し、該設定された前記移載パラメータ、前記キャリア情報に基づいて、前記基板を前記基板保持具に装填させた場合の基板配置データを作成し、前記基板配置データを表示する際、少なくとも前記基板が前記基板保持具に装填された状態の前記基板の配置を示すデータを表示するよう構成されている基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板配置データの表示方法、半導体装置の製造方法及び基板処理装置並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、デバイスの微細化および3D化が進み基板処理が多様化し、基板の移載条件の種類も増加し複雑化している。これまでにも特開2009-231748号公報や特開2009-135418号公報のように基板の移載状況を表示し確認できるようになっているが、現状、実際に基板を搬送する前に移載状況を確認することはできていない。そのため、操作員は移載条件について十分に理解し、コントローラと同様に移載状況を算出する必要がある。
【0003】
それに伴い、操作員が容易に移載条件を把握することは難しく、操作員の意図しない基板移載状況となる可能性がある。その場合、基板不足による装置停止等による生産効率の低下や処理条件が変動等による基板処理の品質低下を招き、基板の損失に繋がる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、基板を基板保持具に移載する前に、基板保持具に装填された状態の基板の配置を確認できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、基板保持具に装填する予定の少なくとも基板の配置を決定する移載パラメータと、前記基板保持具に装填される予定の前記基板が収納されるキャリア情報をそれぞれ設定させる工程と、該設定された前記移載パラメータ、前記キャリア情報に基づいて、前記基板を前記基板保持具に装填させた場合の基板配置データを作成する工程と、前記基板配置データを表示する際、少なくとも前記基板が前記基板保持具に装填された状態の前記基板の配置を示すデータを表示する工程と、を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本技術によれば、基板を基板保持具に移載する前に、基板保持具に装填された状態の基板の配置を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態に係る基板処理装置の側面透視図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る基板処理装置の処理炉の平面図である。
【
図4】本開示の実施形態に係るコントローラ構成の図示例である。
【
図5A】通常の基板処理時の移載フローを示す図である。
【
図5B】本開示の実施形態に係るシミュレーションを示すフロー図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係る基板配置プログラムを示すフロー図である。
【
図7】シミュレーション設定画面の一例を示す図である。
【
図8】シミュレーション結果の一例を示す図である。
【
図9】本開示の第2実施形態に係る基板配置プログラムを示すフロー図である。
【
図10】シミュレーション結果の一例を示す図である。
【
図11】本開示の第3実施形態に係る基板配置プログラムを示すフロー図である。
【
図12】シミュレーション結果の一例を示す図である。
【
図13】シミュレーション結果を利用した基板処理工程の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態における基板処理装置を図面により説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。
【0009】
本実施形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC:Integrated Circuit)の製造方法における基板処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の基板処理装置100は、シリコン等からなるウエハ(基板)200を収納するキャリアとしてポッド110を使用し、筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aには、ポッド搬入搬出口112が、筐体111の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口112は、フロントシャッタ113によって開閉される。ポッド搬入搬出口112の正面前方側には、ロードポート114が設置されており、ロードポート114は、ポッド110を載置する。ポッド110は、ロードポート114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつまた、ロードポート114上から搬出される。
【0011】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、バッファ棚としての収納棚105が設置されており、収納棚105は、支柱116を中心に回転し、棚板117に複数個のポッド110を保管する。
図2に示すように、筐体111内におけるロードポート114と収納棚105との間には、ポッド搬送装置118が設置されている。ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ118aと、水平搬送機構としてのポッド搬送機構118bとで構成されており、ロードポート114、収納棚105、ポッドオープナ121との間で、ポッド110を搬送する。
【0012】
図1に示すように、筐体111内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体119が後端にわたって構築されている。サブ筐体119の正面壁119aには、ウエハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口120が1対、垂直方向に上下2段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口120には1対のポッドオープナ121がそれぞれ設置されている。
【0013】
ポッドオープナ121は、ポッド110を載置する載置台122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構123とを備えている。ポッドオープナ121は、載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉する。載置台122は、基板を移載する際にポッド110が載置される移載棚である。
【0014】
図1に示すように、サブ筐体119は、ポッド搬送装置118や収納棚105の設置空間の雰囲気と隔絶された移載室124を構成している。移載室124の前側領域には、基板移載部としてのウエハ移載機構125が設置されている。
【0015】
ウエハ移載機構125は、ウエハ200をツィーザ125cに載置して水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置125a、およびウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ125bとで構成されている。これら、ウエハ移載装置エレベータ125bおよびウエハ移載装置125aの連続動作により、ボート217に対して、ウエハ200を装填および脱装する。図に示すように、本実施形態におけるツィーザ125cは、5枚であり、ウエハ移載機構125は、ウエハ200を5枚一括、若しくは1枚ずつ搬送可能に構成されている。
【0016】
図1に示すように、ボート217の上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202は、内部に処理室(不図示)を備え、該処理室の周囲には、処理室内を加熱するヒータ(不図示)を備える。処理炉202の下端部は、炉口ゲートバルブ147により開閉される。
【0017】
図1に示すように、ボート217下部には、シールキャップ129が水平に据え付けられており、シールキャップ129は、ボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
【0018】
次に、本実施形態の基板処理装置の動作について説明する。
図1、
図2に示すように、ポッド110がロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放され、ポッド搬入搬出口112から搬入される。搬入されたポッド110は、収納棚105の指定された棚板117へ、ポッド搬送装置118によって、自動的に搬送されて受け渡される。
【0019】
ポッド110は収納棚105で一時的に保管された後、棚板117から一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、もしくは、ロードポート114から直接、ポッドオープナ121に搬送されて、載置台122に移載される。この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120は、キャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124にはクリーンエアが流通され、充満されている。
【0020】
図1に示すように、載置台122に載置されたポッド110は、そのキャップが、キャップ着脱機構123によって取り外され、ポッド110のウエハ出し入れ口が開放される。また、ウエハ200は、ポッド110からウエハ移載機構125によってピックアップされ、ボート217へ移載されて装填される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載機構125は、ポッド110に戻り、次のウエハ200をボート217に装填する。
【0021】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ121におけるウエハ移載装置125aによるウエハ200のボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ121には、収納棚105ないしロードポート114から別のポッド110がポッド搬送装置118によって搬送され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0022】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、処理炉202の下端部が炉口ゲートバルブ147によって開放される。続いて、シールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されて、シールキャップ219に支持されたボート217が、処理炉202内の処理室へ搬入されて行く(ボートロード工程)。搬入後は、処理室でウエハ200に任意の処理が実施される(基板処理工程)。処理後は、ボートエレベータ115によりボート217が引き出され(ボートアンロード工程)、その後は、概上述の逆の手順で、ウエハ200およびポッド110は筐体111の外部へ払出される。
【0023】
(処理炉の構成)
図2および
図3に示す通り、処理炉202にはウエハ(基板)200を加熱するための加熱部であるヒータ207が設けられている。ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する反応管203が配設されている。反応管203は例えば石英(SiO2)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。
【0024】
反応管203の下端には、例えばステンレス等から製作されたマニホールド209が取り付けられる。マニホールド209は筒状に形成され、その下端開口は蓋体であるシールキャップ219により気密に閉塞される。反応管203とマニホールド209とシールキャップ219の間には、それぞれOリング220が設けられる。これら反応管203、マニホールド209およびシールキャップ219により、処理室201が形成される。シールキャップ219にはボート支持台218を介して基板保持部であるボート217が立設される。
【0025】
ボート217にはバッチ処理される複数のウエハ200が水平姿勢で縦方向に多段に積載される。そして、ボート217は、ボートエレベータ115により反応管203に対し昇降することができるようになっている。ボート支持台218の下端部には、処理の均一性を向上するためにボート217を回転させるボート回転機構267が設けられている。ヒータ207は処理室201に挿入されたウエハ200を所定の温度に加熱する。
【0026】
処理室201には、ノズル410(第1のノズル410)、ノズル420(第2のノズル420)、ノズル430(第3のノズル430)が反応管203の下部を貫通するように設けられている。ノズル410、ノズル420、ノズル430には、ガス供給ラインとしてのガス供給管310(第1のガス供給管310)、ガス供給管320(第2のガス供給管320)、ガス供給管330(第3のガス供給管330)が、それぞれ接続されている。このように、反応管203には3本のノズル410、420、430と、3本のガス供給管310、320、330とが設けられており、処理室201へ複数種類、ここでは3種類のガス(処理ガス)を供給することができるように構成されている。
【0027】
ガス供給管310には上流側から順に流量制御装置(流量制御部)であるマスフローコントローラ(Mass Flow Controller、略称:MFC)312および開閉弁であるバルブ314が設けられている。ガス供給管310の先端部にはノズル410が連結されている。ノズル410は、ロングノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル410の垂直部は、反応管203の内壁とウエハ200との間に形成される円弧状の空間に、反応管203の内壁に沿って上方(ウエハ200の積載方向)に向かって立ち上がるように(つまりウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように)設けられている。すなわち、ノズル410は、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。
【0028】
ノズル410の側面にはガスを供給するガス供給孔410aが設けられている。ガス供給孔410aは反応管203の中心を向くように開口している。このガス供給孔410aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれ同一または、大きさに傾斜をつけた開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。主に、ガス供給管310、MFC312、バルブ314、ノズル410により第1のガス供給系が構成される。
【0029】
また、ガス供給管310にはキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給管510が接続されている。主に、キャリアガス供給管510、MFC512、バルブ514により第1のキャリアガス供給系が構成される。
【0030】
ガス供給管320には上流側から順に流量制御装置(流量制御部)としてのMFC322および開閉弁であるバルブ324が設けられている。ガス供給管320の先端部にはノズル420が連結されている。ノズル420は、ノズル410と同様のロングノズルとして構成されている。ノズル420の水平部及び垂直部の構成も、ノズル410と同様の構成である。
【0031】
ノズル420の側面にはガスを供給するガス供給孔420aが設けられている。ガス供給孔420aは、ガス供給孔410aと同様な構成で設けられている。主に、ガス供給管320、MFC322、バルブ324、ノズル420により第2のガス供給系が構成される。
【0032】
更にガス供給管320にはキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給管520が連結されている。主に、キャリアガス供給管520、MFC522、バルブ524により第2のキャリアガス供給系が構成される。
【0033】
ガス供給管330には上流側から順に流量制御装置(流量制御部)としてのMFC332および開閉弁であるバルブ334が設けられている。ガス供給管330の先端部にはノズル430が連結されている。ノズル430は、ノズル410と同様に、ロングノズルとして構成されている。ノズル430の水平部及び垂直部の構成も、ノズル410,420と同様の構成である。
【0034】
ノズル430の側面にはガスを供給するガス供給孔430aが設けられている。ガス供給孔430aは、ガス供給孔410a、420aと同様な構成で設けられている。主に、ガス供給管330、MFC332、バルブ334、ノズル430により第3のガス供給系が構成される。
【0035】
更にガス供給管330にはキャリアガスを供給するためのキャリアガス供給管530が連結されている。主に、キャリアガス供給管530、MFC532、バルブ534により第3のキャリアガス供給系が構成される。
【0036】
このように、本実施形態におけるガス供給の方法は、反応管203の内壁と、積載された複数枚のウエハ200の端部とで定義される円弧状の縦長の空間内に配置したノズル410、420、430を経由してガスを搬送している。そして、ノズル410、420、430にそれぞれ開口されたガス供給孔410a、420b、430cからウエハ200の近傍で初めて反応管203内にガスを噴出させている。これにより、反応管203内におけるガスの主たる流れをウエハ200の表面と平行な方向、すなわち水平方向としている。このような構成とすることで、各ウエハ200に均一にガスを供給でき、各ウエハ200に形成される薄膜の膜厚を均一にできる効果がある。ノズル410、420、430はロングノズルとして水平部と垂直部を一体的に設けられるノズルのように記載しているが、それぞれ個別に形成された水平部と垂直部を組み立てて構成られるノズルであってもよい。
【0037】
ガス供給管310からは、第1の原料ガスがMFC312、バルブ314、ノズル410を介して処理室201に供給される。ガス供給管320からは、第2の原料ガスがMFC322、バルブ324、ノズル420を介して処理室201に供給可能に構成される。ガス供給管330からは、反応ガスがMFC332、バルブ334、ノズル430を介して処理室201に供給される。
【0038】
キャリアガス供給管510、520および530からは、不活性ガスが、それぞれMFC512、522および532、バルブ514、524および534、ノズル410、420および430を介して処理室201に供給される。
【0039】
反応管203には、処理室201の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231は、マニホールド209においてノズル410,420,430と対抗する位置に、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられる。この構成により、ガス供給孔410a、420a、430aから処理室201のウエハ200の近傍に供給されたガスは、水平方向、すなわちウエハ200の表面と平行な方向に向かって流れた後、下方に向かって流れ、排気管231より排気されることとなる。
【0040】
排気管231には、上流側から順に、処理室201の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245、APC(Auto Pressure Controller)バルブ243、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ243は、排気バルブであり、圧力調整部として機能する。主に、排気管231、APCバルブ243、圧力センサ245により、排気系すなわち排気ラインが構成される。なお、真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0041】
なお、APCバルブ243は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁開度を調節することで、処理室201の圧力を調整することができるように構成されている。
【0042】
反応管203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電量を調整することで、処理室201の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、ノズル410、420および430と同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0043】
図4に示されているように、制御部としてのコントローラ130は、CPU(Central Processing Unit)130a、RAM(Random Access Memory)130b、記憶部としての記憶装置130c、I/Oポート130dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM130b、記憶装置130c、I/Oポート130dは、内部バスを介して、CPU130aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ130には、例えばタッチパネル等として構成された操作部としての入出力装置131が接続されている。
【0044】
記憶装置130cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard DiskDrive)等で構成されている。記憶装置130c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム、例えば、基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。また、本実施形態における後述する基板配置プログラムが格納されている。なお、これらプロセスレシピ等は、例えば、基板処理における各手順をコントローラ130に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう場合がある。また、RAM130bは、CPU130aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0045】
I/Oポート130dは、上述のMFC312,322,332,512,522,532、バルブ314,324,334,514,524,534、APCバルブ243、圧力センサ245、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、ボート回転機構267、ボートエレベータ115、ポッド搬送装置118、ウエハ移載機構125等に接続されている。
【0046】
CPU130aは、記憶装置130cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、操作部からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置130cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU130aは、読み出したプロセスレシピに従って、MFC312、322、332、512、522、532による各種ガスの流量調整動作、バルブ314、324、334、514、524、534の開閉動作、APCバルブ243の開閉動作およびAPCバルブ243による圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、ボート回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0047】
コントローラ130は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶部としての外部記憶装置(例えば、USBメモリ等の半導体メモリ等)133を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすることにより、本実施形態に係るコントローラ130を構成することができる。
【0048】
コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶部133を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶部133を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶装置130cや外部記憶部133は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本開示において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置130c単体のみを含む場合、外部記憶部133単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0049】
先ず、本実施形態における基板の移載状況を予め確認するフローについて
図5A及び
図5Bを用いて説明する。
図5Aのフローチャートが、装置にポッド110(ウエハ200)が投入されたときからウエハ200をボート217に移載するまでのフローであり、
図5Bのフローチャートが、ウエハ200を実際に搬送する前に、ボート217に装填されるウエハ200の配置を確認するためのフローである。ここで、本開示における「ボートマップ」とは、ウエハ200がボート217に装填された状態のウエハ200の配置を示すデータおよび図面等の総称であり、疑似的に模したボート217に疑似的に模した複数のウエハ200が保持されたボート217のイメージ図(例えば、
図8参照)も「ボートマップ」に含む。
【0050】
図5Aの通常の基板処理工程実施時のフローチャートについて簡単に説明する。コントローラ130からポッド110の投入通知を受信すると、
図4に図示していない搬送コントローラは、このポッド110のキャリア情報を保存する。そして、搬送機構としてのポッド搬送装置118に搬送指示(要求)を送信する。指示を受け取ったポッド搬送装置118は、ポッド110を収納棚105に載置し、搬送完了を搬送コントローラに通知する。このポッド110が基板処理に必要な数の分だけを収納棚105に載置されると、搬送コントローラは、コントローラ130に搬送終了を通知する。そして、コントローラ130から実行指示を受けると、ウエハ200の移載を可能か事前チェックし、チェック後ボートマップを含む基板配置データを作成し、この基板配置データに沿って搬送機構としてのウエハ移載機構125を制御する。そして、ウエハ移載機構125のボート217へのウエハ200の移載が終了すると、搬送コントローラは、コントローラ130に移載完了を通知する。なお、事前チェックでは、ウエハ200の移載を可能かチェックするだけでなく、ボート217に装填可能なウエハ200の枚数が異なる場合、枚数が異なる旨のメッセージを表示するのが好ましい。このようなチェックを事前チェックに追加すると、例えば、装置の膜種変更等の改造が行われた場合に、基板配置データも改造に伴い変更しているか、シミュレーションを実行する前に察知することができる。
【0051】
ここで、搬送コントローラは、搬送機構としてポッド搬送装置118とウエハ移載機構125を制御するように構成されている。また、ボートエレベータ115、ボート回転機構267も搬送機構に含めてもよい。そして、ボート217へのウエハ200の移載が終了すると、コントローラ130は、例えば、上述のプロセスレシピを実行し、ウエハ200の処理を施すように構成されている。
【0052】
図5Bのフローチャートについて簡単に説明する前に、まず、搬送コントローラからキャリア情報等を基にボートマップを作成する基板配置プログラムをコントローラ130にダウンロードして実行可能な状態にしておく。例えば、RAM130bに基板配置プログラムを保存しておき、基板配置プログラムを起動すると、コントローラ130内にボートマップ作成部を生成するように構成する。ここで、コントローラ130が基板配置プログラムを実行した結果のデータの総称を「基板配置データ」と称する。よって、シミュレーションした結果のデータ及び図面等も「基板配置データ」に含まれる。例えば、上述の「ボートマップ」だけでなく、「ボートマップ」同士を比較した結果の各種データ、やシミュレーションした際に表示される搬送回数、搬送順序、搬送先情報、搬送元情報等も「基板配置データ」に含まれる。
【0053】
図5Bのボートマップをシミュレーションする際のフローチャートについて簡単に説明する。ボートマップ作成部は、入出力装置131またはコントローラ130の操作画面からシミュレーションに必要なデータを受付け、基板移載用データを作成する。そして、入出力装置131またはコントローラ130の操作画面から実行指示を通知すると、作成した基板移載用データを基にボートマップ(または基板配置データ)を作成すること可能か事前チェックが行われる。要するに、この事前チェックは
図5Aのフローチャート内の事前チェックと同様にウエハ200の移載が可能かどうかチェックされる。
【0054】
事前チェックで正常(OK)であれば、ボートマップ作成部は、ボートマップを作成し、GUIはその結果から画面表示用のデータを作成し、入出力装置131またはコントローラ130の操作画面に表示するように構成される。
【0055】
(第1実施形態)
図5Bに示すフローチャートの詳細について
図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態におけるウエハ200をボート217に移載する前にウエハ200の移載状況を確認するためのフローチャートの一例である。ここでは、すでに作成したボートマップと予めユーザが入力していた期待するウエハ200の配置データ(ボートマップ)を比較し、ズレ具合を確認する一例に特化して説明する。
【0056】
図6は、ボートマップを登録するステップ(S1)、シミュレーションを実行するために設定するステップ(S2)、シミュレーションを実行するステップ(S3)、シミュレーション結果を出力するステップ(S4)の4つの工程を有する。以下各ステップを説明する。
【0057】
(S1:移載パラメータ選択)
ボート217に装填する予定の少なくとも製品ウエハ200Aとダミーウエハ200Bを含む複数枚の各種ウエハ200の配置を決定する移載パラメータファイル(本開示ではWAPファイルと称する)を選択する。この移載パラメータとしてのWAP(Wafer Arrangement Parameter)は、ウエハ200の枚数や装填方式を設定してコントローラ130が自動的にボートマップを決定する論理方式と、ボート217のスロット毎に装填するウエハの種別を設定する直接方式がある。スロットとは、ボート217にウエハ200を装填するために設けられる基板支持部である。ここでは、予め移載状況を確認したいWAPファイルが選択される。ここで、WAPファイルにおける、ウエハ200を配置する設定方法として、枚数や移載方式を設定してコントローラが自動的にボートマップを決定する論理方式とボート217のスロット毎に装填するウエハ200の種別を設定する直接方式がある。この移載パラメータファイル(WAPファイル)は、この移載パラメータと設定方法が定義されたファイルである。
【0058】
ここでは、本工程の前に直接方式で予め所望のボートマップが作成され、このWAPファイルを基準ファイルとして記憶装置130cに保存されているものとする。なお、本工程で選択されたWAPファイルをシミュレーションした結果と比較するようにしてもよい。また、WAPファイルは、コントローラ130の記憶装置130cに複数格納されている。
【0059】
そして、WAPファイルが選択され、所定のボタン(搬送シミュレーション機能を起動するボタン)が押下されると、
図6に示すフローチャートでは、ウエハ200の搬送に必要な搬送パラメータやキャリア情報の設定が行われる工程(S2)に移行するよう構成されている。但し、このフローは一例であって、このフローに限定されることは無い。
【0060】
(S2:搬送パラメータ設定)
次に、WAPファイル以外の搬送に関するパラメータファイルとして、コンフィグレーションパラメータ、ファンクションパラメータ、メンテナンスパラメータが選択される。コンフィグレーションパラメータを選択することにより、搬送機構の構成、モジュール構成に関する情報に関するパラメータが設定される。ファンクションパラメータを選択することにより、キャリア搬送、ウエハ移載、ボート搬送など搬送機能に関するパラメータが設定され、メンテナンスパラメータを選択することにより、インターロック解除など搬送の調整機能に関するパラメータが設定される。具体的には、ファンクションパラメータを選択し、製品ウエハ200A、ダミーウエハ200B、モニタウエハ200Cのそれぞれでツィーザ指定を行う画面が表示され、そこで5枚ツィーザと枚葉ツィーザのどちらを優先的に使用するかのパラメータが設定される。また、同様にファンクションパラメータを選択し、ダミーウエハ200B共有指定を行う画面が表示され、サイドダミーウエハ200B1を補充ダミーウエハ200B2として移載する指定を行うパラメータが設定される。以下、ウエハの総称として使用する場合、ウエハ200と称し、ウエハ種別で使用する場合は、製品ウエハ200A、ダミーウエハ200B、モニタウエハ200C、サイドダミーウエハ200B1、補充ダミーウエハ200B2と称する。
【0061】
(S2:キャリア情報設定)
ポッド110に収納されるウエハの種別やそれぞれのウエハ枚数、ポッド110のバッファ棚への配置位置等を含むキャリア情報を設定し、ボート217に装填される予定の各種ウエハ200が収納されるポッド110を選択する。
【0062】
上述の搬送パラメータ設定やキャリア情報設定(S2)は、
図7に示すシミュレーション設定画面で設定できるように構成されている。
【0063】
図7に示すようにパラメータを設定する領域では、コンフィグレーションパラメータ、ファンクションパラメータやメンテナンスパラメータを選択することができる。具体的には、ファイル名のセルを選択し、詳細ボタンが押下されると、選択した搬送パラメータのファイル一覧が表示される画面に移行され、該画面上でファイルを選択することができる。また、ここでは、WAPファイルの名称を確認することができる。
【0064】
図7に示すようにバッファ棚を模式的に示す領域(ここでは、3段4列の棚、2段2列の2つのバッファ棚)では、□(四角)でポッド110を示し、□(四角)が無い棚は、ポッド110が載置されていないことを示す。また、材料を選択する領域では、処理に必要なポッド110が選択される。ここでは、ポッド4個が選択されているが、あくまで一例である。
【0065】
なお、バッファ棚を模式的に示す領域に設けられる編集ボタン、材料(実際にはポッド110)を選択する領域に設けられる変更ボタンを押下すると各種設定画面が表示され、各種設定画面上でポッド110やウエハ200について詳細設定を行うことができるように構成されている。これらの詳細な設定に関しては後述する。
【0066】
(S3:シミュレーション実行)
コントローラ130は、
図7に示すシミュレートボタンが押下されると、コントローラ130は、S1およびS2で設定された移載パラメータ、キャリア情報等に基づいて、各種ウエハ200をボート217に装填させた場合のボートマップ等の基板配置データを作成する。また、基準ファイルとして予め保存しておいたWAPファイルに基づき、各種ウエハ200をボート217に装填させた場合のボートマップ等の基板配置データを作成する。
【0067】
コントローラ130は、作成されたボートマップ(または基板配置データ)と予め記憶装置130cに登録された目標とするボートマップ(または基板配置データ)を比較する。ここでは、作成されたボートマップと予め直接方式で各スロットに各種ウエハ200を設定して所望のボートマップが作成された基準ファイルが比較される。コントローラ130は、作成されたボートマップと所望のボートマップとの間のズレ具合を算出する。具体的には、作成されたボートマップ(または基板配置データ)と所望のボートマップとの間において、各スロットについてボート217に装填されるウエハ200の種別をそれぞれ比較し、同じ種別か判定する。この判定は、ボート217に装填可能なウエハ枚数の回数(全スロット数)が行われる。
【0068】
そして、コントローラ130は、ボート217に装填可能なウエハ200の枚数に対する、ボートマップ(または基板配置データ)間においてウエハ200の種別が同じ枚数の割合を演算する。例えば、コントローラ130は、ボート217に装填可能なウエハ枚数が100枚として、ウエハ200の種別が異なっていた枚数が2枚とすると、演算結果は98%となる。なお、ウエハ200の種別が異なっていた枚数が多く、明らかな誤設定等が原因と思われる結果であれば、次のステップに移行させずにエラーメッセージ(図示せず)を表示するようにしてもよい。例えば、一致率60%未満の場合、コントローラ130は、パラメータ設定ミスと判断し、エラーメッセージを表示するとともに異常(NG)ボタンのみを表示し、WAPファイルを選択する選択画面に強制的に戻るようにしてもよい。具体的には、ボート217に装填可能なウエハ200の枚数が異なる場合、枚数が異なる旨のメッセージを表示するのが好ましい。例えば、装置の膜種変更等の改造が行われた場合に、記憶装置130cに予め保存されている基準ファイルを含むWAPファイルとS3で作成された基板配置データのそれぞれで設定されるウエハ200の枚数が異なっていたら、明らかな誤設定であることが把握できる。これにより、記憶装置130cに予め保存されている基準ファイルを含むWAPファイルが改造前の古いままのファイルになっているか、S2での設定が誤っていたかをチェックを促すことができる。
【0069】
(S4:シミュレーション結果の表示)
図8にシミュレーション結果の一例を示す。ここでは基準となるボートマップと作成されたボートマップを並べて表示している。そして、作成されたボートマップはズレ具合の演算結果である98%(以下、一致率ともいう)を表示している。ズレ具合ということで2%と表示するようにしてもよい。また、少なくともウエハ200の種別が異なっていたウエハ200の配置位置が分かるように表示しているが、一例である。
図8は、ボートマップ全体を表示するのではなく、ウエハ200の種別が異なっていた部分のボートマップを表示するよう構成されている。
【0070】
更に、
図8において、異常(NG)ボタンが押下されると、WAPファイルを選択する選択画面に戻る。つまり、
図6に示すWAPファイルを選択するステップ(S1)に戻る。この選択画面上でWAPファイルに設定された内容を確認し適宜修正する。なお、ズレ具合が0%の時は、OKボタンを押下して作成されたボートマップを保存して終了する。このとき、異常ボタンを画面上に表示しないのが好ましい。また、異常ボタンを表示だけさせて押下できないようにしてもよい。
【0071】
なお、
図7では、WAPファイルの名称を確認するだけであるが、今後、WAPファイルの再選択及び設定内容の確認、もしくは設定内容の変更を行えるように構成していてもよいのは言うまでもない。つまり、
図8において、NGボタンが押下されると、シミュレーション設定画面に戻るように構成してもよい。この場合、WAPファイルだけでなく、他の搬送パラメータ等を確認することができる。
【0072】
本実施の形態によれば、作成したWAPファイルが所望のボートマップとなっているか実際にウエハ200を搬送する前に確認することができる。よって、ボート217の所望のスロットにウエハ200が無いということや種別が異なるウエハ200が装填されていたということがなくなる。したがって、ボート217に装填されるウエハ200の配置が異なっていたことでプロセスレシピを再実行しなければならないということが無く、装置稼働率及び装置生産性に寄与できる。
【0073】
(第2実施形態)
図5Bに示すフローチャートの詳細について
図9を用いて説明する。例えば、ユーザが期待するボートマップになるようなWAPファイルを作成したい場合、
図9に示すフローを利用すると、ユーザが登録したボートマップが既に記憶装置130cに記憶されたWAPファイルから成されるボートマップに一致するか(ズレがあるか)確認することができる。つまり、このシミュレーションにより一致率が最も高い(ズレ具合が最も小さい)WAPファイルを探索することができる。ここでも上述のように、ウエハ200の搭載枚数が異なっていたらその旨のエラーメッセージが表示されるように構成してもよい。
【0074】
図9は、
図6と同様に、ボートマップを登録するステップ(S10)、シミュレーションを実行するために設定するステップ(S20)、シミュレーションを実行するステップ(S30)、シミュレーション結果を出力するステップ(S40)の4つの工程を有する。
【0075】
(S10:ボートマップの登録)
ここでは、WAPファイルを選択し、直接入力方式により、各種ウエハ200の配置を設定して、WAPファイルを記憶装置130cに保存する。そして、WAP選択画面で保存したWAPファイルを選択してシミュレーションボタンを押下する。
【0076】
(S20:パラメータファイル設定)
WAP選択画面でシミュレーションボタンが押下されると、シミュレーション設定画面(
図7)が表示される。ここでは、搬送パラメータやキャリア情報が設定される。
図6と同様に各種設定画面を表示しつつ設定するように構成されているが、ここでは設定の詳細は後述する。
【0077】
(S30:シミュレート実行)
図7に示すシミュレートボタンが押下されると、コントローラ130は、S10で設定されたボートマップ、S20で設定された搬送パラメータ、キャリア情報等に基づいて、各種ウエハ200をボート217に装填させた場合のボートマップ等の基板配置データを作成する。
【0078】
コントローラ130は、記憶装置130cに記憶されているWAPファイルを検索し、RAM130bに展開し、基板配置プログラムを実行しても整合が取れているか(ウエハ200の搬送が可能かどうか)の事前チェックを行い、事前チェックにて搬送可能と判定された全てのWAPファイルについてボートマップ(または基板配置データ)を作成するよう構成されている。
【0079】
コントローラ130は、事前チェックで搬送可能と判定したすべてのWAPファイルについて、第1実施形態と同様に作成されたボートマップ(または基板配置データ)と予め記憶装置130cに登録された目標とするボートマップ(または基板配置データ)を比較する。そして、コントローラ130は、ボート217に装填可能なウエハ200の枚数に対する、ボートマップ(基板配置データ)間においてウエハ200の種別が同じ枚数の割合である一致率を算出する。例えば、ボート217に装填可能なウエハ枚数が100枚として、ウエハ200の種別が異なっていた枚数が2枚とすると、一致率は98%となる。
【0080】
(S40:シミュレーション結果の表示)
コントローラ130は、ボートマップを比較した結果、一致率が高いものを優先してボートマップ結果画面に表示するように構成されている。例えば、
図10に示すように、基準となるボートマップと一致率が高いものから順に(本実施形態では、一致率が高いもの順に3つ)並べて表示するように構成してもよい。なお、一致率が100%のボートマップが一つでもあれば、100%のボートマップだけを表示するように構成されている。
【0081】
また、コントローラ130は、
図10にそれぞれ表示されるボートマップイメージが選択されると、基準とするボートマップとの差異の詳細を表示するように構成されている。例えば、移載パラメータにより作成されるボートマップと登録された基板の配置を示すデータとの間のズレが生じている部分を優先して表示するようにしてもよい。また、基板の種別が異なっていた部分のボートマップを優先して表示するようにしてもよい。この画面で保存ボタンが押下されると、目標とするボートマップを作成するWAPファイルとして、選択されたボートマップイメージに該当するWAPファイルが保存されると共に
図10の結果出力画面に戻る。キャンセルボタンが押下されると、単に
図10に戻る。
【0082】
また、一致率によって色分け表示してもよく、一例を示すと、例えば、一致率が100%であれば色付け無し。一致率が95%以上100%未満であれば、青色、80%以上95%未満であれば、黄色、80%未満であれば、赤色でそれぞれ表示するようにしてもよい。更に、一致率に加え、基準のボートマップと異なるウエハ200を色分け表示してもよい。なお、一致率が低い場合、例えば、60%未満の場合は、
図10の画面ではなく、エラーメッセージを表示するとともに異常(NG)ボタンを表示して、強制的にパラメータを選択する画面に戻るようにしてもよい。
【0083】
また、
図10にそれぞれ表示されるボートマップイメージの選択画面(基準のボートマップとの違いを詳細に確認する画面)において、一致率が100%でなくても、ウエハ200の処理に影響が出ない場合は正常(OK)とみなすことができる場合がある。例えば、後述するサイドダミーウエハ200B1と補充ダミーウエハ200B2の違いである場合、データを編集にして一致率を100%にするか、そのままの一致率のままで採用するか、どちらを選択するようにしてもよい。
【0084】
本実施形態によれば、
図10において、更にキャンセルボタンが押下されると、WAP選択画面に戻り、保存したWAPファイルを選択できるようになっている。なお、一致率が100%ではない場合には、この選択画面でWAPファイルを展開して設定内容を確認しながら修正を行い、また、シミュレーションボタンを押下してシミュレーションを実行して一致率を確認することができる。
【0085】
本実施形態によれば、所望のボートマップを作成できるWAPファイルを検索することができる。また、
図10でキャンセルボタンが押下されると、
図7に示すシミュレーション設定画面に戻るように構成してもよい。この場合、WAPファイルだけでなく、他の搬送パラメータ等も確認することができる。
【0086】
(第3実施形態)
図5Bに示すフローチャートの詳細について
図11を用いて説明する。
図11は、本実施形態におけるウエハ200をボート217に移載する前にウエハ200の移載状況を確認するためのフローチャートの一例である。ここでは、作成したWAPファイルがどのようなボートマップになるか確認する場合について説明する。
【0087】
図11は、
図6と同様に、ボートマップを登録するステップ(S1)、シミュレーションを実行するために設定するステップ(S2)、シミュレーションを実行するステップ(S3)、シミュレーション結果を出力するステップ(S4)の4つの工程を有する。以下各ステップを説明する。なお、以下において
図6と同様である場合は説明を省略する場合がある。
【0088】
移載パラメータを選択するステップ(S1)は、
図6と同様に、移載に関する搬送パラメータを選択しシミュレーションボタンが押下されると、
図7に示すシミュレーション設定画面が表示される。
【0089】
シミュレーションを実行するために設定するステップ(S2)では、各搬送パラメータの設定、材料情報の設定、使用キャリア情報等の設定が行われる。各搬送パラメータの設定は
図7に示す各搬送パラメータの設定が第1実施形態と同様に行われる。ここでは、材料情報の設定、使用キャリア情報等の設定に関して説明する。材料情報の設定は、
図7に示す編集ボタンが選択されることで開始され、使用キャリア情報等の設定は、
図7に示す変更ボタンが選択されることで開始される。
【0090】
まず、
図7に示す編集ボタンを選択すると、
図11に示す材料情報設定画面が表示される。具体的には
図7に示すバッファ棚を模式的に示す領域(ここでは、3段4列の棚、2段2列の2つのバッファ棚)が拡大して別画面に表示され、各バッファ棚にポッド110が配置されていると共にポッド110内に収納されているウエハ200の種別に応じて色分けされて表示され、編集可能に構成されている。したがって、前述の移載パラメータや搬送パラメータ等により設定された位置に配置されたポッド110(または棚)が選択されると、ポッド110内の材料情報を設定することができるように構成されている。
【0091】
また、材料情報設定画面において、ポッド110の配置およびポッド110内に収納されるウエハ200の種別を変更する必要が無い場合、OKボタンが押下されると、
図7に戻り前述の移載パラメータや搬送パラメータの設定内容が反映される。なお、キャンセルボタンが押下されると、
図7に戻り搬送パラメータを再度選択する。また、
図11に示す材料情報設定画面でバッファ棚に載置されているポッド110が選択されると、
図11に示す材料情報編集画面が表示され、選択したポッド110内の材料情報(ウエハ200の情報)を修正することができる。
【0092】
例えば、ポッド110の材料情報(棚の番号、キャリア属性情報、キャリア番号、ウエハ枚数)が表示され、それぞれ編集可能に構成されており、キャリア属性情報を示すセルが選択されると、属性情報を選択する画面が表示され、キャリアの属性を変更することができる。ここで、属性情報としては、製品ウエハ200A、モニタウエハ200C、ダミーウエハ200Bの3種があり、ダミーウエハ200Bはサイドダミーウエハ200B1、補充ダミーウエハ200B2の2種類が少なくとも挙げられる。この材料情報編集画面においては、図示しないOKボタンが押下されると設定内容が反映され、キャンセルボタンが押下されると設定内容が反映されないように構成される。ここで、キャリアの属性は、キャリアに収納されるウエハ種別のことを示す。
【0093】
これにより、どの種別のウエハを収納したポッド110をどの棚に配置するか任意に設定できる。したがって、ポッド110の配置場所に応じて、ポッド110の搬送開始からボートへのウエハ移載終了までの搬送時間が短縮できる可能性がある。更に、製品ウエハ200Aを収納した棚とダミーウエハ200Bを収納したポッドを収納した棚を遠ざけて、製品ウエハ200Aの汚染の抑制できる可能性がある。
【0094】
次に、
図7に示す変更ボタンが押下されると、
図11に示す使用キャリア設定画面が表示され、ボートマップ(基板配置データ)に必要なポッド110が表示され、各ポッド110はそれぞれ編集可能に構成されている。具体的には、
図7に示す材料(実際にはポッド110)を選択する領域が拡大され別画面に表示され、選択されたポッド110と共にポッド110に収納されるウエハ種別が色分け表示されるだけでなく、ポッド110に収納されるウエハ枚数の情報が表示され、編集可能に構成されている。
【0095】
したがって、前述の移載パラメータや搬送パラメータ等により設定された位置に配置されたポッド110(または棚)が選択されると、ポッド110に収納されるウエハ200の情報を設定することができるように構成されている。ここで、選択されたポッド110の個数やウエハ200の種別や枚数について変更する必要が無い場合、OKボタンが押下されると、
図7に戻り前述の移載パラメータや搬送パラメータの設定内容が反映される。また、キャンセルであれば、
図7に戻り搬送パラメータを再度選択する。
【0096】
また、
図11に示す使用キャリア設定画面で任意のキャリア(ポッド)110が選択されると、
図11に示す使用ウエハ枚数設定画面が表示され、ポッド110内のウエハ200のうち使用するウエハ200を設定することができる。
【0097】
例えば、ポッド110に収納されるウエハ200の情報(キャリア内のウエハ配置状況)が表示され、編集可能に構成されており、キャリア内のウエハ支持部の番号を示すセルの選択により、ウエハ200の有無を変更することができる。これにより、ポッド110に収納されるウエハ200の枚数を任意に変更できる。
【0098】
シミュレーションを実行するステップ(S3)では、
図7に示すシミュレートボタンが押下されると、コントローラ130は、S1で選択された移載パラメータ(WAPファイル)、S20で設定された搬送パラメータ、キャリア情報等に基づいて、各種ウエハ200をボート217に装填させた場合のボートマップ等の基板配置データを作成する。
【0099】
コントローラ130は、ボートマップを作成する際に、ボート217に保持されているウエハ200の種別及び枚数等のウエハ情報、必要とするキャリアの個数およびキャリア属性(ポッド110に収納されているウエハ200の種別)、ポッド110が配置される棚に予め設定されている棚番号等のキャリア情報、ボート217に設けられる基板支持部の番号を示すスロット番号、ウエハ移載機構125の搬送回数およびウエハ移載機構125によるボート217にウエハ200を装填させる際の順番等の搬送情報をそれぞれ算出するように構成されている。そして、コントローラ130は、これらウエハ情報、キャリア情報、搬送情報等を含む基板配置データに関する画像データを作成し、編集可能に入出力装置131に表示させる。
【0100】
シミュレーション結果を出力するステップ(S4)では、コントローラ130は、ボートマップ等の基板配置データを作成した結果として、例えば、
図12に示す画面例を示す。このように、コントローラ130は、S1で選択される移載パラメータ、S2で設定される各種搬送パラメータに基づき、ボート217に保持されているウエハ200の種別及び枚数、ボートマップ、キャリア属性(
図13では種別と記載)、ポッド110が配置される棚に予め設定されている棚番号、ボート217に設けられる基板支持部の番号を示すスロット番号、ウエハ200をウエハ移載機構125が搬送した搬送回数、ウエハ移載機構125によりウエハ200がスロット番号に装填される搬送順序等の基板配置データを表示可能に構成される。
【0101】
そして、この画面例を確認し、例えば、搬送回数が多くなっているような場合には、キャンセルボタンを押下して、WAPファイルを選択する画面に戻り、シミュレーションを繰り返し行うことができる。そして、繰り返し行うたびに搬送パラメータを修正し
図12に示す画面を何度も表示させて基板配置データを確認することができる。
【0102】
本実施形態によれば、ウエハ200の配置の確認または所定の搬送順序となっているかどうかの確認に係る時間を削減できる。また、ユーザとコントローラとのウエハ配置に関する差異を解消し設定ミスを防止することができる。更に、搬送パラメータの設定に応じて、ボート217へのウエハ200の移載回数が変動することがあり、最も搬送回数を少なくできる最適な搬送パラメータ設定を可能にすることができる。
【0103】
(本実施形態の効果)
上述のように本実施形態によれば、以下に示す一つまたは複数の効果を奏する。
【0104】
(1)本実施形態によれば、作成したWAPファイルが所望のボートマップとなっているか実際にウエハ200を搬送する前に確認することができる。
(2)本実施形態によれば、作成したWAPファイルにより、どのようなボートマップになるかを、実際にウエハ200を搬送することなく確認することができる。
(3)本実施形態によれば、予め所望のボートマップを入力すれば、予め記憶されているWAPファイルによるボートマップと比較することにより、最適なWAPファイルを検索することができるので、WAPファイルを新規に作成するよりも時間短縮が可能であり、且つ誤設定による搬送エラーが極めて少ないWAPファイルを作成することができる。
【0105】
次に、
図13を用いて、本シミュレータより取得した移載パラメータファイルからレシピを作成し、該レシピを実行することにより、基板を処理する基板処理工程を実行するフローについて説明する。
【0106】
ステップS101は、レシピ作成に用いるWAPファイルを作成する工程である。基本的には、記憶装置130cに保存されるWAPファイルが選択される。但し、
図5Bに示す上述のシミュレーションにより作成されるWAPファイルを用いてもよい。
【0107】
ステップS102は、
図5Bに示す上述のシミュレーションにより作成されるWAPファイルを取得する工程である。具体的には、
図5Bの制御部が、コントローラ130の場合、搬送コントローラへシミュレーションにより得られたWAPファイルをダウンロードし、搬送コントローラでこのWAPファイルを読み取り展開する。なお、記憶装置130cに保存されるWAPファイルを利用して、ウエハ200を処理するレシピを作成する場合、ステップS102はスキップして、ステップS103へ移行される。
【0108】
そして、
図5Bの制御部が、コントローラ130でなくてもよいのは言うまでもなく、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、一般に市販されているパーソナルコンピュータ(以後、PCと略す)であってもよい。また、このようなPCは、基板処理装置100(搬送コントローラ)と離れた位置に配置されていてもよい。要するに、ボートマップ作成部がPCの内部で構築され、基板配置プログラムが実行できればよいだけである。
【0109】
ステップS103では、ウエハ200を処理するレシピを作成する工程である。このレシピ作成は、記憶装置130cに保存されるプロセスレシピを選択することで行われる。WAPファイルは、プロセスレシピに予め関連付けられていてもよい。プロセスレシピに関連付けられている場合には、プロセスレシピの選択でWAPファイルも選択される。一方、プロセスレシピに関連付けられていない場合には、別途WAPファイルを選択すればよい。また、プロセスレシピとWAPファイルが相互に関連付けられていてもよい。この場合には、プロセスレシピを選択することでWAPファイルも選択され、WAPファイルを選択することでプロセスレシピが選択される。
【0110】
ステップS104では、コントローラ130は、ステップS103で作成したレシピを実行することにより、基板を処理する基板処理工程を実行するように構成されている。
【0111】
この基板処理工程は、例えば、半導体装置を製造するための一工程である。なお、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作や処理は、コントローラ130により制御される。
【0112】
ここでは、基板としてのウエハ200に対して、第1の処理ガス(原料ガス)と第2の処理ガス(反応ガス)とを交互に供給することで、ウエハ200上に膜を形成する例について説明する。なお、例えば、ウエハ200上には、予め所定の膜が形成されていてもよく、また、ウエハ200又は所定の膜には予め所定のパターンが形成されていてもよい。
【0113】
(基板搬入工程)
まず、ウエハ200をボート217に装填し、処理室201へ搬入する基板搬入工程が行われる。
【0114】
(成膜工程)
次に、ウエハ200の表面上に膜を形成する成膜工程を行う。成膜工程は次の4つのステップを順次実行する。なお、下記ステップ1~4の間は、ヒータ206により、ウエハ200を所定の温度に加熱しておく。また、圧力も所定の圧力に維持される。
【0115】
[ステップ1]
ステップ1では、原料ガスを流す。まず、原料ガス供給管232aに設けたバルブと排気管231に設けたAPCバルブ243を共に開けて、MFC241aにより流量調節された原料ガスをノズルに通し、処理室201に供給しつつ、排気管231から排気する。この際、処理室201の圧力を所定の圧力に保つ。これにより、ウエハ200の表面にシリコン薄膜を形成する。
【0116】
[ステップ2]
ステップ2では、原料ガス供給管232aのバルブを閉めて原料ガスの供給を止める。排気管231のAPCバルブ243は開いたままにし、真空ポンプ246により処理室201を排気し、残留ガスを処理室201から排除する。
【0117】
[ステップ3]
ステップ3では、反応ガスを流す。反応ガス供給管232bに設けられた、バルブと排気管231に設けられたAPCバルブ243を共に開け、MFC241bにより流量調節されたNH3ガスをノズル230bから処理室201に供給しつつ、排気管231から排気する。また、処理室201の圧力を所定の圧力に調整する。反応ガスの供給により、原料ガスがウエハ200の表面に形成した薄膜と反応ガスが表面反応して、ウエハ200上に所定の膜が形成される。
【0118】
[ステップ4]
ステップ4では、再び不活性ガスによる処理室201のパージを行う。反応ガス供給管232bのバルブを閉めて、反応ガスの供給を止める。排気管231のAPCバルブ243は開いたままにし、真空ポンプ246により処理室201を排気し、残留ガスを処理室201から排除する。
【0119】
上記ステップ1~4を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返すことによりウエハ200上に所定の膜を形成する。
【0120】
(基板搬出工程)
次に、所定の膜が形成されたウエハ200が載置されたボート217を、処理室201から搬出する。
【0121】
上述のように、ボートマップシミュレータを利用してレシピを作成しているので、ウエハ200をボート217のどこに移載されるかを把握することができ、仮に、ウエハ200の移載位置の誤設定があったとしても見つけることができる。したがって、ウエハ200の移載位置の誤設定を抑制することができる。結果として、レシピを実行してもウエハ200の誤設定による基板の損失が防止される。
【0122】
上述のように、ボートマップシミュレータを利用してレシピを作成しているので、ボートマップシミュレータにより最適な移載パラメータファイルを取得することができ、結果として最適な処理条件のレシピを作成することができ、例えば、移載時間が最短となる条件の移載パラメータファイルを選択すると、スループット改善が見込まれる。また、例えば、移載回数が最も少ない条件の移載パラメータファイルを選択すると、移載機のメンテナンス周期を長くすることができる。
【0123】
なお、2020年9月25日に出願された日本国特許出願2020-160829号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。