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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】現像装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
G03G15/08 366
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019174620
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021051217
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】大平 達也
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 晃一
(72)【発明者】
【氏名】押川 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】生熊 貴広
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189819(JP,A)
【文献】特開2009-162853(JP,A)
【文献】特開2007-271830(JP,A)
【文献】特開2018-097200(JP,A)
【文献】特開2013-065055(JP,A)
【文献】特開2013-120288(JP,A)
【文献】特開2005-099144(JP,A)
【文献】米国特許第05510881(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤担持体と、トナーとキャリアとを有する現像剤と、前記現像剤担持体に供給する現像剤を攪拌しつつ搬送する攪拌搬送部とを備えた現像装置において、
前記攪拌搬送部は第一搬送部と前記第一搬送部の端部から現像剤を受けわたされる第二搬送部とを備え、
前記第一搬送部は、前記現像剤担持体から離脱した現像剤を回収する回収室における搬送部であり、
前記端部の方向に現像剤を搬送する順方向巻きの羽根と前記端部の方向とは逆方向に現像剤を搬送する逆方向巻きの羽根とを、前記順方向巻きの羽根と前記逆方向巻きの羽根の間に空間を持たせて軸部上に有し、かつ、逆方向巻きの羽根の開始位置と順方向巻きの羽根の終端の位置とで周方向の位相が異なる搬送部材を、前記空間が前記現像剤が受け渡される箇所に対向するように前記第一搬送部に配置し、前記逆方向巻きの羽根が前記現像剤担持体の長手方向において画像形成領域に設けられたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
開始位置の位相が終端位置の位相より回転方向下流にずれていることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2の現像装置において、
前記第一搬送部における現像剤の搬送方向において前記空間と重複し、かつ、前記周方向において前記順方向巻きの羽根及び前記逆方向巻きの羽根と異なる箇所に、前記端部の方向に現像剤を搬送する羽根部を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項3のいずれか一に記載の現像装置において、
前記羽根部は、前記順方向巻きの羽根を複数条設けたうちの、前記終端を備える羽根とは異なる羽根の一部であることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の現像装置において、
前記逆方向巻きの羽根を、前記端部の方向に現像剤を搬送する搬送部に連結したことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の現像装置において、
前記逆方向巻きの羽根のピッチは前記順方向巻きの羽根のピッチより小さいことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の現像装置を有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、現像剤担持体と、現像剤担持体に供給する現像剤を攪拌しつつ搬送する攪拌搬送部とを備えた現像装置が知られている。
例えば特許文献1には、攪拌搬送部が第一搬送部と第一搬送部の端部から現像剤を受けわたされる第二搬送部とを備えた現像装置が記載されている。この現像装置は、端部の方向に現像剤を搬送する順方向巻きの羽根と端部の方向とは方向に現像剤を搬送する逆方向巻きの羽根とを、順方向巻きの羽根と逆方向巻きの羽根の間に空間を持たせて軸部上に有する搬送部材を第一搬送部に配置している。具体的には、空間が現像剤が受け渡される箇所に対向するように配置している。この現像装置によれば、現像装置内に存在する緩凝集体を、過剰なストレスを与えることなく崩すことができるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、順方向巻きの羽根と逆方向巻きの羽根の具体的な設け方によって、現像濃度にムラが生じる虞があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、現像剤担持体と、トナーとキャリアを有する現像剤と、前記現像剤担持体に供給する現像剤を攪拌しつつ搬送する攪拌搬送部とを備えた現像装置において、前記攪拌搬送部は第一搬送部と前記第一搬送部の端部から現像剤を受けわたされる第二搬送部とを備え、前記第一搬送部は、前記現像剤担持体から離脱した現像剤を回収する回収室における搬送部であり、前記端部の方向に現像剤を搬送する順方向巻きの羽根と前記端部の方向とは逆方向に現像剤を搬送する逆方向巻きの羽根とを、前記順方向巻きの羽根と前記逆方向巻きの羽根の間に空間を持たせて軸部上に有し、かつ、逆方向巻きの羽根の開始位置と順方向巻きの羽根の終端の位置とで周方向の位相が異なる搬送部材を、前記空間が前記現像剤が受け渡される箇所に対向するように前記第一搬送部に配置し、前記逆方向巻きの羽根が前記現像剤担持体の長手方向において画像形成領域に設けられたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明によれば、現像濃度にムラが生じるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態の現像装置の部分拡大図。
図2】プリンタの概略構成図。
図3】現像装置の具体例の説明図。
図4】現像装置の主要部の内部構造を示す斜視図。
図5】現像装置の主要部の外観斜視図。
図6】現像装置を上方から見た説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明を画像形成装置である電子写真方式でプリンタの現像装置に適用した実施形態について説明する。図2はプリンタ100の概略構成図である。感光体ドラム1は帯電装置2で一様に帯電され、画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、書込装置8から感光体ドラム1に照射され、静電潜像が形成される。静電潜像は、現像装置3で現像されトナー像とされる。このトナー像が、給紙カセット20から給紙ローラ21で給紙され、レジストローラ7で送り込まれた転写紙Pに転写装置5にて転写される。トナー像が転写された転写紙は、定着装置22で定着された後、排紙ローラ24にて排紙トレイ25上に排紙される。転写後の感光体ドラム1はクリーニング装置6で残留トナーなどが除去されて次の作像に備えられる。
【0008】
図3は、本発明を適用できる現像装置の具体例の説明図である。現像装置3は感光体ドラム1の右横に配置されている。現像装置3は現像ケース301内に、現像剤320を撹拌搬送する現像剤供給搬送部材としての供給室搬送部材304及び現像剤回収搬送部材としての回収室搬送部材305、現像剤担持体としての現像ローラ302などの回転部材及びその他の部材を具備している。
【0009】
現像ローラ302は図3中の感光体ドラム1の2時と3時との間の位置(2時半の位置)で矢印a方向に回転する感光体ドラム1に近接して対向させることで現像領域αを構成する。この感光体ドラム1との対向部位に相当する現像ケース301の部位は現像ローラ302を露出させるため開口している。
【0010】
現像ローラ302が図3中の矢印b方向に表面移動することにより、現像ケース301内の現像剤320は現像ローラ302の表面上に担持され、図3中の矢印b方向に搬送され、現像剤規制部材303によって追加現像剤量が規制された後、現像領域αへ搬送される。現像領域αで感光体ドラム1の表面に形成されている静電潜像に現像剤320中のトナーが付着してトナー像として顕像化される。
【0011】
供給室搬送部材304と回収室搬送部材305とで、現像剤320を撹拌搬送して循環させている。供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305として、回転軸部に螺旋形状のスクリュー羽部を固定したスクリュー部材を用いている。
【0012】
感光体ドラム1にトナーを付着させた現像後の現像剤320は、トナー濃度が下がっている。このため、仮に、このトナー濃度が低下した現像剤320が現像ローラ302から離れずに再び現像領域αに搬送され現像に供されると、狙いの画像濃度を得ることが出来ないという不具合が生じてしまう。これを防止するため、現像装置3では、現像領域αを通過し、現像スリーブ302cの表面上に担持された現像剤320を剥離領域γにおいて現像ローラ302から離脱させる。現像ローラ302から離脱した現像剤320は、現像剤回収搬送路としての回収室305aに回収され、その後、狙いのトナー濃度、トナー帯電量になるように、現像ケース301内で十分に撹拌混合される。
【0013】
このようにして、狙いのトナー濃度、帯電量にされた現像剤320は、現像剤供給搬送路としての供給室304a内から供給室搬送部材304によって現像剤貯留スペースcに供給される。このとき、現像ローラ302よりも上方に配置された供給室搬送部材304によって現像剤がダイレクトに現像剤貯留スペースcに押し込まれるのを防止するため、流れ込み防止壁311を乗り越えて現像剤貯留スペースcへと現像剤が供給されるような工夫がなされている。流れ込み防止壁311は後述する仕切板306の一部に形成されている。
【0014】
図4は、現像装置3の主要部の内部構造を示す斜視図であり、図5は、現像装置3の主要部の外観斜視図である。図6は、現像装置3の長手方向両端部の仕切板306に連通口を設けた部分を上方から見た説明図である。図4の矢印D1~D4が現像ケース301内の現像剤320の流れを示している。
【0015】
図3に示すように、供給室搬送部材304は現像ローラ302のまわりの位置であって、図3中の現像ローラ302の2時の方向に配置されている。この位置は現像剤規制部材303との対向部に対して現像ローラ302の表面移動方向上流側でもある。図4に示すように、供給室搬送部材304は回転軸の回りに螺旋状の羽部を設けたスクリュー形状をしている。そして、現像ローラ302の現像ローラ中心線O-302aと平行な供給スクリュー中心線O-304を中心に、図3中の矢印fで示す時計回り方向に回転する。この回転により、図4の矢印D4で示すように、供給スクリュー中心線O-304に沿って現像装置3の長手方向の手前側FSから奥側BSに向けて現像剤320を撹拌しながら搬送する。つまり、供給室搬送部材304は回転軸に回転駆動が入力されることにより現像剤320をその軸方向における手前側FSから奥側BSに向けて搬送する。
【0016】
図3に示すように、回収室搬送部材305は現像ローラ302のまわりの位置であって、図3中の現像ローラ302の4時の方向で、剥離領域γの近傍に配置されている。図4に示すように、回収室搬送部材305は回転軸の回りに螺旋状の羽部(フィン)を設けたスクリュー形状をしており、現像ローラ中心線O-302aと平行な回収スクリュー中心線O-305を中心に、図3中の矢印gで示す反時計回り方向に回転する。この回転により、図4の矢印D2で示すように、回収スクリュー中心線O-305に沿って現像装置3の長手方向の奥側BSから手前側FSに向けて現像剤320を撹拌しながら搬送する。つまり、回収室搬送部材305は回転軸に回転駆動が入力されることにより現像剤320を供給室搬送部材304による搬送方向とは逆向きの奥側BSから手前側FSに向けて搬送する。
【0017】
回収室搬送部材305に対して供給室搬送部材304は上方に位置する関係となっている。現像ケース301内で供給室搬送部材304の周囲の空間である供給室304aと、回収室搬送部材305の周囲の空間である回収室305aとは仕切板306を挟んで隣接している。図4及び図5に示すように、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305の手前側FSの端部は、現像ローラ302の手前側FSの端部よりも若干手前側に位置するように設定していている。これにより、現像ローラ302の手前側FSの端部への供給室304a内からの現像剤320の供給を確保している。また、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305の奥側BSの端部は現像ローラ302の奥側BSの端部よりも奥側に位置するように設定している。これにより、トナー補給のためのスペースを確保している。現像剤規制部材303の長手方向の長さは、現像ローラ302の長さに合わせて設定されている。
【0018】
図3に示すように、供給室搬送部材304と回収室搬送部材305との間には、供給室304aと回収室305aとを空間的に仕切る仕切板306が現像ケース301の内側に支持されている。この仕切板306の長手方向両側端部には、それぞれ連通口41,42(図6参照)が設けられている。回収室搬送部材305によって長手方向の奥側BSから手前側FSに搬送された(図4の矢印D2)現像剤320は、その搬送方向端部で現像ケース301の側壁で進路を絶たれるため側壁に沿って盛り上がる。この盛り上がりによって、回収室305a内の搬送方向下流側端部に到達した現像剤320は、上述した仕切板306の長手方向両側端部に設けられた連通口のうちの長手方向についての手前側FSの端部に設けられた連通口41を通過し(図4の矢印D3)、供給室304aに受け渡される。
【0019】
供給室304aに受け渡された現像剤320は、供給室搬送部材304によって供給室304a内を長手方向の手前側FSから奥側BSに搬送される(図4の矢印D4)。回収室305aの場合と同様に、供給室搬送部材304によって長手方向の手前側FSから奥側BSに搬送された現像剤320は、その搬送方向端部で現像ケース301の側壁で進路を絶たれる。供給室304a内の搬送方向下流側端部に到達した現像剤320は、上述した仕切板306の長手方向両側端部に設けられた連通口のうちの長手方向についての奥側BSの端部に設けられた連通口42より落下し、回収室305aに受け渡される。回収室305aに受け渡された現像剤320は、再び、回収室搬送部材305によって手前側FSに向けて搬送される(図4の矢印D2)。
【0020】
また、現像装置3は、仕切板306により供給室304aと回収室305aとの空間が仕切られている。このため、現像ローラ302に対しては供給室搬送部材304により、トナーとキャリアとが十分に撹拌混合された現像剤320のみが供給される。また、現像直後のトナー濃度の下がった現像剤320は専ら回収室搬送部材305により撹拌搬送され、直ぐに現像ローラ302に供給されることがない。よって、狙いの帯電量を持ったトナーを含み、狙いのトナー濃度となった現像剤320だけが現像ローラ302に供給され、現像に用いられることとなるため、高画質を得ることができる。
【0021】
現像装置3は、長手方向の奥側BSの端部近傍にトナー補給口309を備え、このトナー補給口309より外部からのトナーの補給を行う。本実施形態の現像装置3では長手方向の奥側BSの端部近傍は、現像ローラ302に現像剤を供給する供給室304a内の搬送方向下流側端部近傍となる。このため、トナー補給口309より補給されたトナーが直ちに現像に供されることはなく、連通口42を通過して回収室305aに供給されることとなる。
【0022】
以上、説明した現像装置3では、回収室搬送部材305によって長手方向の奥側BSから手前側FSに搬送された(図4の矢印D2)現像剤320は、その搬送方向端部で現像ケース301の側壁で進路を絶たれ、また、供給室搬送部材304によって長手方向の手前側FSから奥側BSに搬送された現像剤320は、その搬送方向端部で現像ケース301の側壁で進路を絶たれる。本実施形態では、搬送方向端部で側壁で進路を絶たれるのに代え、搬送方向端部で、それまでとは逆方向巻きの羽根部を形成し逆向きの搬送力を与えるようにしている。
【0023】
図1は本実施形態の現像装置3における回収室搬送部材305の手前側FSの拡大図である。図4及び図6と異なり、図1中右側が手前側FSになっている。また、図3乃至図6では、回収室搬送部材305及び供給室搬送部材304として所定の搬送方向に搬送するために羽根を左巻きにしたスクリューを用いているが、この図1では羽根を右巻きにしたスクリューを用いている。羽根の巻きが反対になっている。
【0024】
このため、図4に矢印D1~D4で示す現像剤320の流れを実現するため、回転方向を逆にする。図4では図中左側になる手前側FSから見た回収室搬送部材305の矢印gで示す回転方向は反時計回り(CCW)であるのに対し、図4の例では図中右側に手前側FSから見た回収室搬送部材の回転方向は時計回り(CW)になる。同様に、図1のスクリューに対応させた供給室搬送部材304は、羽根を右巻きにしたスクリューを用い、回転方向も図4におけると逆方向になる。
【0025】
図1(a)において、回収室搬送部材305の手前側FSの端部には、順方向に現像剤を搬送する逆方向巻きの羽根としての左巻きの羽根が二条設けられている。第一逆羽根12aと第二逆羽根12bと呼ぶこととする。順方向の羽根も二条設けられている。第一順羽根11aと第二順羽根11bと呼ぶこととする。第一順羽根11aは搬送面終端位置A1で軸部305bに垂直な端面を有する。第一逆羽根12aの開始位置B1は軸方向で、第一順羽根11aの搬送面終端位置A1から離れた位置であり、第一逆羽根12aも、開始位置B1で軸部305bに垂直な端面を有する。このように第一順羽根11aの搬送面終端位置A1と第一逆羽根12aの開始位置B1とが軸方向で離れて間隔G1を有するため、両羽根の間に空間が生じる。
【0026】
しかも、図1(a)のX-X断面を矢印方向(図1(a)中左側である奥側BS側)から見た断面を示す図1(b)に示すように、第一逆羽根12aの開始位置B1と第一順羽根11aの搬送面終端位置A1とで周方向の位相が異なる。具体的には両羽根の端面間の角度θに相当する位相差が生じている。この位相差によっても、両羽根の間に空間が生じる。仮に、第一順羽根11aの搬送面終端位置A1と第一逆羽根12aの開始位置B1とが軸方向で同じ位置、あるいは、カロス位置関係であったとしても、周方向の位相差によって空間を生じさせることができる。逆に位相差がないか、あるいは、クロスするような位相関係であったとしも、第一順羽根11aの搬送面終端位置A1と第一逆羽根12aの開始位置B1とが軸方向で間隔G1を有すれば、両羽根の間に空間を生じさせることができる。
【0027】
そして、図1に示す例では、第一逆羽根12aの開始位置B1と第一順羽根11aの搬送面終端位置A1とで両羽根の端面間の位相差を、開始位置B1の位相が搬送面終端位置A1の位相より回転方向下流にずれるように設けている。180°以下となる角度θをなす位置関係によって回転方向における上流と下流、いずれかであるか区別する。
【0028】
また、図1に示す例では、間隔G1などで生じる両羽根間の空間と軸方向で重複し、かつ、周方向にいて第一順羽根及び第一逆羽根と異なる箇所に、第二順羽根11bの一部が存在し、この部分が順方向に現像剤を搬送する搬送部を構成している。
【0029】
また、図1に示す例では、第一逆羽根12aと第二順羽根11bを連結した構成にしている。この構成により羽根の強度を高め形成を容易にしている。そして、この連結による第二順羽根11bの搬送面終端A2と第二逆羽根12bの開始位置B2とは、軸方向で間隔G2を有し、また、両者の周方向の位相も異なる。よって、両羽根の間にも空間が生じる。
【0030】
以上のように、第一順羽根11aと第一逆羽根12aとの間や、第二順羽根11bと第二逆羽根12bとの間に、互いに周方向での位相差を持たせて空間を形成したことから、従来に比して次のような利点がある。すなわち、仮に第一順羽根11aの搬送面終端位置A1と第一逆羽根12aの開始位置B1とが軸方向で離れて間隔G1を有するも、第一逆羽根12aの開始位置B1と第一順羽根11aの搬送面終端位置A1とで両羽根の端面間の位相差が存在しない(位相差0°)構成(以下、比較構成という)とすると、次のような不具合発生の虞がある。比較構成は、順方向と逆巻きの羽根の間に単純に空隙を設ける構成であり、局部的には順方向への搬送力を持たない領域を持つ。その領域では現像剤が完全に留まり、十分に帯電していない現像剤が生じる。その領域の低帯電の現像剤が羽根により跳ね上げられて現像ローラに供給されると画像に搬送羽根ピッチの濃度ムラが発生してしまう虞である。ユニット小型化のため逆巻き方向の羽根形状を現像ローラの画像形成領域で用いる場合などは搬送スクリューピッチの画像濃度ムラが特に発生し易い。
【0031】
これに対し、第一順羽根11aと第一逆羽根12aとの間や、第二順羽根11bと第二逆羽根12bとの間に、互いに周方向での位相差を持たせて空間を形成すれば、逆巻き羽根による現像剤の跳ね上げを抑制することができる。具体的には、順巻き方向の羽根と逆巻き方向の羽根との間に空間を設け、さらに逆巻き方向の羽根の開始位置の位相を順巻き方向の羽根の終端位置からずらしているため、逆方向の剤の流れと順方向の剤の流れがぶつからず、搬送方向全域において現像剤が局部的に留まることがない。よって跳ね上げが抑制され、画像の搬送羽根ピッチの濃度ムラを防止できる。加えて、逆巻き羽根により順方向への現像剤の搬送力が抑制されるので現像剤の搬送速度が遅くなり現像剤を溜めることができ、現像剤の嵩を上げ、現像剤の受け渡しを円滑に行わせることができる。つまり、逆巻き羽根で現像剤嵩をあげる機能を維持させながら、溜めた現像剤の順方向巻き羽根との間で生じる跳ね上げを抑制することができるのである。
【0032】
特に、両羽根の端面間の位相差を、開始位置B1の位相が搬送面終端位置A1の位相より回転方向下流にずれるように設けているので、第一順羽根11aの搬送面により順方向に搬送される剤と第一逆羽根12aの搬送面によって逆方向に搬送される剤とがぶつかって滞留し搬送部材の回転によって跳ね上げられるということなく、良好に空間部へ流れるようにできる。
【0033】
さらに間隔G1などで生じる両羽根間の空間と軸方向で重複し、かつ、周方向にいて第一順羽根及び第一逆羽根と異なる箇所に、第二順羽根11bの一部が存在し、この部分が順方向に現像剤を搬送する搬送部を構成するので、空間に流れ込んだ現像剤を、もう一方の順巻き方向の羽根である第二順羽根11bによって搬送し空間内に剤が溜まりすぎるのを防止できる。このように構成にすることで逆巻き方向の羽根により現像剤搬送速度が緩やかになるためこの位置の現像剤の嵩を高めることができる。滞留する現像剤はないので、スクリューの回転による搬送方向以外への現像剤の跳ね上げを抑制することもできる。
【0034】
より具体的な例は次のとおりである。搬送スクリューの軸径は6mmであり、羽根の高さは順巻き逆巻き方向の羽根ともに4.5mmとしている。つまりスクリューの外径は15mmである。順巻き方向の羽根11aと11bのリード長はそれぞれ30mmとしている(ピッチ間距離は15mm)。逆巻き方向の羽根のリード長は15mmに相当する。順巻き方向の羽根よりリード長を小さくすることにより、逆方向への搬送力が順方向への搬送力より弱くなり、円滑な搬送が可能となる。順方向と逆巻き方向の羽根の連結部では空間を設ける。空間の幅は実施例の場合は5mmに設定しているが、その限りではない。逆巻き方向の羽根の開始位置B1は第一順羽根11aの搬送面終端位置A1より回転方向下流側に位相15°ずらす。このような構成することで搬送面によって搬送される剤の流れが第一逆羽根12aに阻害されることなく順方向と逆方向の羽根間の空間に流れやすくなる。空間部周辺で剤の滞留が生じにくくなりスクリュー回転による跳ね上げを抑制できる。さらに、この空間の同一周方向に存在するもう一方の順巻き方向の羽根で空間内の現像剤を搬送できるようにすることで局部的な滞留も抑止でき跳ね上げをさらに抑制しつつ、逆巻き方向の羽根によって現像剤搬送速度が緩やかになるためこの位置の現像剤の嵩を高めることができる。この構成は実施例のように順方向羽根を2条構成とするのが良いが、この限りではない。さらに現像剤の移送速度を遅くして嵩を上げる効果を上げる場合、実施例のように逆巻き方向の羽根12bを追加し2条構成としてもよい。この場合も逆巻き方向の羽根の開始位置B2を順方向羽根の搬送面終端A2から位相ずらすことで同様に跳ね上げ抑制効果を得られる。順羽根や逆羽根は3条以上の複数条としてもよい。
【0035】
以上、回収室搬送部材305について説明したが、供給室搬送部材304も同様に構成することかできる。供給室304aで搬送され、現像ローラへ供給されずに奥側の端部まで搬送された現像剤は図4中矢印D1で示すように自由落下し回収室305a内へ送られる。自由落下させる連通口42の手前は現像剤が不足しやすく、現像剤を貯める構成が必要となる。このように現像剤を貯めるために、回収室搬送部材350について説明した構成を採用できるのである。
【符号の説明】
【0036】
1 :感光体ドラム
2 :帯電装置
3 :現像装置
5 :転写装置
6 :クリーニング装置
7 :レジストローラ
8 :書込装置
11a :第一順羽根
11b :第二順羽根
12a :第一逆羽根
12b :第二逆羽根
20 :給紙カセット
21 :給紙ローラ
22 :定着装置
24 :排紙ローラ
25 :排紙トレイ
41 :連通口
42 :連通口
100 :プリンタ
301 :現像ケース
302 :現像ローラ
302c :現像スリーブ
303 :現像剤規制部材
304 :供給室搬送部材
304a :供給室
305 :回収室搬送部材
305a :回収室
305b :軸部
306 :仕切板
309 :トナー補給口
311 :流れ込み防止壁
320 :現像剤
350 :回収室搬送部材
A1 :搬送面終端位置
A2 :搬送面終端
B1 :開始位置
B2 :開始位置
BS :奥側
FS :手前側
L :露光光
P :転写紙
c :現像剤貯留スペース
α :現像領域
γ :剥離領域
θ :角度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【文献】特開2014-145916号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6