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特許7465447現像剤収容装置、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
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  • 特許-現像剤収容装置、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】現像剤収容装置、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240404BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
G03G15/08 366
G03G21/18 114
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020090813
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021189202
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】川島 直大
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 啓
(72)【発明者】
【氏名】松本 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】大山 邦啓
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-143747(JP,A)
【文献】特開2001-349326(JP,A)
【文献】特開2018-081196(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139136(JP,U)
【文献】米国特許第04842423(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
G03G 13/08
G03G 13/095
G03G 15/00
G03G 15/08
G03G 15/095
G03G 21/00
G03G 21/04
G03G 21/10-21/12
G03G 21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤が収容される現像剤収容装置であって、
金属からなる回転軸を具備した回転部材と、
前記回転軸を支持する軸受と、
前記軸受が嵌合する穴部が形成された現像ケースと、
前記軸受において当該現像剤収容装置の内側に設置されて、前記回転軸の外周面に当接する繊維状のシール部材と、
前記穴部の穴径よりも大きな外径部と、前記回転軸の軸径よりも大きくて前記シール部材の外径よりも小さな内径部と、を有する可撓性シート状部材と、
を備え、
前記可撓性シート状部材は、当該現像剤収容装置の内側において前記穴部を覆うように前記現像ケースの内壁に貼着されて、前記シール部材の端面に当接することを特徴とする現像剤収容装置。
【請求項2】
前記回転軸はSUM材からなることを特徴とする請求項1に記載の現像剤収容装置
【請求項3】
前記回転軸はメッキが施されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像剤収容装置
【請求項4】
前記メッキは、ニッケルメッキであることを特徴とする請求項3に記載の現像剤収容装置
【請求項5】
前記軸受は、前記回転軸が摺接する軸受主部の内径よりも大きな内径からなり、前記シール部材を保持する保持部を具備したことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の現像剤収容装置。
【請求項6】
前記シール部材は、パイル生地からブラシ状に形成されたものであって、前記軸受に一体的に設置されたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の現像剤収容装置。
【請求項7】
前記現像ケースの前記内壁と、前記シール部材の前記端面と、前記軸受の端面と、が略同一平面上に配置されたことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の現像剤収容装置。
【請求項8】
像担持体の表面に形成される潜像を現像する現像装置であって、
請求項1~請求項7のいずれかに記載の現像剤収容装置を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項9】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項8に記載の現像装置と前記像担持体とを一体的に備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項1~請求項7のいずれかに記載の現像剤収容装置、又は、請求項8に記載の現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナーや2成分現像剤などの現像剤が収容される現像剤収容装置と、それを備えた現像装置と、プロセスカートリッジと、画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置に設置される現像剤収容装置(現像剤撹拌装置)において、装置内に収容された現像剤の漏出を防止することを目的として、回転部材(搬送スクリュ)の回転軸を支持する軸受に、ゴム材料からなるGシールやVリングなどのシール部材を設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術は、ゴム材料からなるシール部材によるシール性を確保するために、回転部材の回転軸に対してシール部材を強い力(締め付け力)で当接させる必要があった。そのため、回転部材の回転軸やシール部材が経時で摩耗してしまって、シール部材のシール性が低下してしまっていた。
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、経時においてもシール部材のシール性が低下しにくい、現像剤収容装置、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明における現像剤収容装置は、現像剤が収容される現像剤収容装置であって、金属からなる回転軸を具備した回転部材と、前記回転軸を支持する軸受と、前記軸受が嵌合する穴部が形成された現像ケースと、前記軸受において当該現像剤収容装置の内側に設置されて、前記回転軸の外周面に当接する繊維状のシール部材と、前記穴部の穴径よりも大きな外径部と、前記回転軸の軸径よりも大きくて前記シール部材の外径よりも小さな内径部と、を有する可撓性シート状部材と、を備え、前記可撓性シート状部材は、当該現像剤収容装置の内側において前記穴部を覆うように前記現像ケースの内壁に貼着されて、前記シール部材の端面に当接するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、経時においてもシール部材のシール性が低下しにくい、現像剤収容装置、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】作像部を示す断面図である。
図3】現像装置を長手方向に示す図である。
図4】現像装置における軸受の近傍を示す断面図である。
図5】変形例としての、現像装置における軸受の近傍を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0009】
まず、図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態における画像形成装置1は、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKが中間転写ベルト40に対向するように並設されたタンデム型のカラー画像形成装置である。また、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21に対向するように現像剤収容装置としての現像装置26(図2参照)が設置されている。
【0010】
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、2は原稿を原稿読込部3に搬送する原稿搬送部、3は原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、4は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部(露光部)、を示す。
また、20Y、20M、20C、20BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ、40は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、を示す。
また、61は用紙等のシートPが収納される給紙装置、65は中間転写ベルト40上に形成されたトナー像をシートPに転写する2次転写ローラ、66はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、70は複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKに対応した各現像装置26に各色のトナーを補給するためのトナー容器、を示す。
【0011】
ここで、図2をも参照して、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム21、帯電装置22、クリーニング装置23、が一体化されたものである。そして、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、寿命に達したときに画像形成装置本体1に対して交換される。
また、各現像装置26は、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21にそれぞれ対向するように設置されている。そして、現像装置26は、寿命に達したときに画像形成装置本体1に対して交換される。なお、画像形成装置本体1に対する現像装置26の着脱操作と、画像形成装置本体1に対するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの着脱操作と、はそれぞれ別々に独立しておこなうことができる。
各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにおける感光体ドラム21(像担持体)上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される。
【0012】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿は、原稿搬送部2の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部3のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部3で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部4に送信される。そして、書込み部4からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21(図2参照)の表面に向けて照射される。
【0013】
一方、4つの感光体ドラム21は、それぞれ、図1図2の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム21の表面は、帯電装置22(帯電ローラ)との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム21上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム21の表面は、それぞれの書込み部4によるレーザ光の照射位置に達して、その位置で画像情報に基づいた静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目のプロセスカートリッジ20Yの感光体ドラム21の表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム21の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電装置22にて帯電された後の感光体ドラム21上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、シアン成分のレーザ光は、紙面左から2番目のプロセスカートリッジ20Cの感光体ドラム21の表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から3番目のプロセスカートリッジ20Mの感光体ドラム21の表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目のプロセスカートリッジ20BKの感光体ドラム21の表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0015】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム21の表面は、それぞれ、現像装置26との対向位置に達する。そして、各現像装置26から感光体ドラム21上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム21上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、中間転写ベルト40との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、中間転写ベルト40の内周面に当接するように1次転写ローラ24が設置されている。そして、1次転写ローラ24の位置で、中間転写ベルト40上に、感光体ドラム21上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0016】
そして、1次転写工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、クリーニング装置23との対向位置に達する。そして、クリーニング装置23で、感光体ドラム21上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム21の表面は、除電装置の位置で残留電位が除電されて、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
【0017】
他方、感光体ドラム21上の各色の画像が重ねて転写された中間転写ベルト40の表面は、図中の矢印方向に走行して、2次転写ローラ65の位置に達する。そして、2次転写ローラ65の位置で、シートP上に中間転写ベルト40上のフルカラーの画像が2次転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト40の表面は、中間転写ベルトクリーニング装置の位置に達する。そして、中間転写ベルト40上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング装置に回収されて、中間転写ベルト40上の一連の転写プロセスが完了する。
【0018】
ここで、2次転写ローラ65の位置に搬送されるシートPは、給紙装置61からレジストローラ64等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、シートPを収納する給紙装置61から、給紙ローラ62により給送されたシートPが、搬送路を通過した後に、レジストローラ64の位置に導かれる。レジストローラ64の位置に達したシートPは、中間転写ベルト40上のトナー像とタイミングを合わせて、2次転写ローラ65の位置に向けて搬送される。
【0019】
その後、フルカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に導かれる。そして、定着装置20において、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像がシートP上に定着される。
そして、定着工程後のシートPは、排紙ローラ69によって装置本体1外に出力画像として排出された後に、排紙トレイ5上にスタックされて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0020】
次に、図2及び図3にて、画像形成装置の作像部について詳述する。
なお、装置本体1に設置される4つの作像部は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、プロセスカートリッジや現像装置などの構成部材における符号のアルファベット(Y、M、C、BK)を除して図示する。
【0021】
図2に示すように、プロセスカートリッジ20は、主として、像担持体としての感光体ドラム21と、帯電装置22と、クリーニング装置23と、がケースに一体的に収納されている。
感光体ドラム21は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
帯電装置22は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなる帯電ローラである。そして、この帯電装置22(帯電ローラ)に電源部から所定の電圧が印加されて、これにより対向する感光体ドラム21の表面を一様に帯電する。
クリーニング装置23には、感光体ドラム21に当接するクリーニングブレード25a及びクリーニングローラ25bが設置されている。クリーニングブレード25aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなり、感光体ドラム21表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。クリーニングローラ25bは、芯金上にブラシ毛が周設されたブラシローラである。
【0022】
図2図3に示すように、現像剤収容装置としての現像装置26は、主として、現像剤担持体としての現像ローラ26a、現像ローラ26aに対向する回転部材としての第1搬送スクリュ26b1(第1搬送部材)、仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1に対向する回転部材としての第2搬送スクリュ26b2(第2搬送部材)、現像ローラ26aに対向して現像ローラ26a上に担持された現像剤の量を規制するドクターブレード26c(現像剤規制部材)、等で構成される。
【0023】
現像装置26内には、キャリアとトナーとからなる現像剤(2成分現像剤)が収容されている。
現像ローラ26aは、感光体ドラム21に対して微小なギャップをあけて対向して現像領域を形成するように構成されている。現像ローラ26aは、図3に示すように、内部に固設されてローラ外周面上に複数の極(磁極)を形成するマグネット26a1と、マグネット26a1の周囲を回転するスリーブ26a2と、で構成される。
【0024】
回転部材としての搬送スクリュ26b1、26b2は、現像装置26の内部に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環経路(図3にて破線矢印で示す循環経路である。)を形成する。すなわち、第1搬送スクリュ26b1による第1搬送経路B1と、第2搬送スクリュ26b2による第2搬送経路B2と、による現像剤の循環経路が形成されている。
第1搬送経路B1と第2搬送経路B2とは仕切部材26e(壁部)によって隔絶されていて、2つの搬送経路B1、B2の長手方向両端部は互いに連通口26f、26gを介して連通している。具体的に、図3を参照して、第1搬送経路B1の搬送方向上流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向下流側の端部と、が第1連通口26fを介して連通している。また、第1搬送経路B1の搬送方向下流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向上流側の端部と、が第2連通口26gを介して連通している。すなわち、仕切部材26eは、長手方向両端部を除く位置に配設されている。
第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)は現像ローラ26aに対向するように配設され、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)は仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)に対向するように配設されている。第1搬送スクリュ26b1は、現像剤を長手方向に搬送しながら、現像ローラ26aに向けて現像剤を供給するとともに、現像ローラ26aから離脱した現像工程後の現像剤を回収する。第2搬送スクリュ26b2は、第1搬送経路B1から搬送された現像工程後の現像剤と、補給口26dから補給されたフレッシュなトナーと、を長手方向に搬送しながら撹拌・混合する。
本実施の形態において、2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、水平方向に並設されている。2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、いずれも、回転軸261にスクリュ部262が巻装されたものである(図4参照)。
【0025】
先に述べた作像プロセスを、現像工程を中心にしてさらに詳しく説明する。
現像ローラ26aは、図2中の矢印方向に回転している。現像装置26内の現像剤は、図3に示すように、間に仕切部材26eを介在するように配設された第1搬送スクリュ26b1及び第2搬送スクリュ26b2の矢印方向の回転によって、トナー容器70からトナー補給経路を経て補給口26dから補給されたトナーとともに撹拌混合されながら長手方向に循環する(図3中の破線矢印方向の循環である。)。
そして、摩擦帯電してキャリアに吸着したトナーは、現像ローラ26a上に形成された剤汲上げ極によって、キャリアとともに現像ローラ26a上に汲み上げられる。現像ローラ26a上に担持された現像剤は、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード26cとの対向位置に達する。そして、現像ローラ26a上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム21との対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム21上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ26a上に残った現像剤はスリーブの回転にともない第1搬送経路B1の上方に達して、この位置で現像ローラ26aから離脱される。ここで、現像領域における電界は、現像用の電源によって現像ローラ26aに印加される所定の電圧(現像バイアス)と、帯電工程と露光工程とによって感光体ドラム21の表面に形成される表面電位(潜像電位)と、によって形成されるものである。
【0026】
なお、トナー容器70内のトナーは、現像装置26内のトナーの消費にともない、補給口26dから現像装置26内に適宜に補給されるものである。現像装置26内のトナーの消費は、現像装置26内の現像剤のトナー濃度(現像剤中のトナーの割合である。)を磁気的に検知するトナー濃度センサによって検知される。
また、補給口26dは、第2搬送スクリュ26b2の長手方向(図3の左右方向である。)の一端であって、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)の上方に設けられている。
【0027】
以下、本実施の形態において特徴的な、現像剤収容装置としての現像装置26の構成・動作について詳しく説明する。
先に図2図3等を用いて説明したように、現像剤収容装置としての現像装置26の内部には、現像剤としての2成分現像剤が収容されている。
また、現像装置26(現像剤収容装置)には、回転部材としての第1、第2搬送スクリュ26b1、26b2が設置されている。図4に示すように、第1、第2搬送スクリュ26b1、26b2(回転部材)は、それぞれ、金属からなる回転軸261にスクリュ部262が螺旋状に巻装されたものである。
【0028】
特に、本実施の形態では、回転軸261として、SUM材(快削鋼)からなる回転軸主部の外周面にニッケルメッキを施したものを用いている。すなわち、回転軸261は、SUM材からなる軸部材に、ニッケルメッキからなる表面層が形成されたものである。さらに、換言すると、回転軸261は、SUM材からなり、メッキとしてのニッケルメッキが施されている。
このように構成された回転軸261は、SUS材(ステンレス鋼)からなる回転軸に比べて、柔らかいものの、部品コストを低くすることができる。特に、回転軸261は、軸方向の一部のみがSUM材で形成されているのではなくて、軸方向のすべてがSUM材で形成されているので、部品コストが低減される効果が大きくなる。
また、SUM材からなる回転軸261にニッケルメッキを施すことにより、SUM材からなる回転軸261にニッケルメッキを施さないものに比べて、硬度を高めることができるとともに、防錆効果を高めることができる。特に、ニッケルメッキを用いることで、他のメッキを用いる場合に比べて、防錆効果を高めることができる。
また、現像装置26内において、現像剤が持っている熱が、金属からなる回転軸261を通して外部に逃げやすくなるため、現像剤の熱による劣化を軽減することができる。
【0029】
なお、本実施の形態において、金属からなる回転軸261の軸部を覆うように、金属材料からなるスクリュ部262を形成するのではなくて、樹脂材料からなるスクリュ部262をインサート成形によって形成することもできる。そのようなとき、その軸部のすべてを覆うように形成するのではなくて、軸部の一部(例えば、2/3程度である。)を覆うように形成することもできる。そのようなとき、現像装置26内において、金属からなる回転軸261の軸部の一部が露出して、その露出した部分が装置内に収容された現像剤に接触可能(埋没可能)になる。
このようなときには、樹脂材料からなるスクリュ部262をインサート成形によって形成しても、現像剤が持っている熱が回転軸261(軸部)を通して外部に逃げやすくなり、現像剤の熱による劣化を軽減することができる。
また、樹脂材料からなるスクリュ部262を回転軸261の軸部のすべてを覆うようにインサート成形によって形成した場合には、回転軸261の一端側にモータ等の熱源があったときであっても、その熱源からの熱が、現像装置内26に放熱されることなく、回転軸261(軸部)を通して他端側の外部に移動して放熱されることになる。そのため、現像装置26内の現像剤の熱による劣化を軽減しつつ、熱源の熱による劣化を軽減することができる。なお、ここでいう熱源は、モータに限らず、例えば、駆動源によって駆動されるギアなどであっても、熱を発するものであれば熱源になりうる。
【0030】
ここで、現像装置26(現像剤収容装置)には、第1、第2搬送スクリュ26b1、26b2の回転軸261を支持する軸受26mが設置されている。
詳しくは、軸受26mは、低摩擦樹脂材料からなるスベリ軸受であって、図3に示すように第1、第2搬送スクリュ26b1、26b2の回転軸261の両端部をそれぞれ支持している。
図4を参照して、軸受26mは、略ドーナッツ状に形成されていて、そのツバ部が現像ケース(現像装置26の筐体である。)の外壁に当接した状態で、現像ケースに形成された穴部に挿入される。
また、軸受26mに回転軸261が挿入された状態で、軸受26mの外側(図4の右方である。)に突出した回転軸261の溝部に止め輪26sが取り付けられて、現像装置26における搬送スクリュ26b1、26b2の回転軸方向の位置が定められる。
また、軸受26mには、回転軸261が摺接する軸受主部Mの内径よりも大きな内径からなる保持部Nが、現像装置26の内側(図4の左方である。)に設けられている。そして、この保持部Nに、後述するシール部材26nが保持されている。
なお、本実施の形態では、軸受26mをスベリ軸受としたが、軸受26mはこれに限定されず、例えば、軸受26mを玉軸受とすることもできる。その場合、軸受26mの軸受主部Mに玉軸受が圧入されることになる。
【0031】
ここで、図4に示すように、シール部材26nは、軸受26mにおいて現像装置26(現像剤収容装置)の内側に設置されている。すなわち、シール部材26nは、軸受26mにおいて、軸受主部Mよりも現像装置26の内側であって、現像装置26内の現像剤に接触可能な位置に設置されている。このシール部材26nは、現像装置26内の現像剤が軸受主部Mに入り込む不具合を防止するためのものである。
特に、本実施の形態におけるシール部材26nは、回転軸261の外周面に当接する繊維状のものであって、略ドーナツ状に形成されている。詳しくは、シール部材26nは、パイル生地からブラシ状に形成されたものであって、軸受26mに一体的に設置されている。
【0032】
さらに具体的に、シール部材26nとして、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アクリル、ビニロン、塩化ビニル等の樹脂繊維からなるパイル生地(例えば、毛足が0.2~20mm程度、ブラシ密度が2~10万F/inch2程度のものである。)をループ状のまま(又は、先端をカットして直毛状に仕上げて)、ブラシ部が内径部となるように略ドーナツ状に形成したものを用いることができる。
【0033】
このように繊維状のシール部材26nを用いることで、ゴム材料からなるシール部材を用いる場合のように回転軸261に対してシール部材を強い力(締め付け力)で当接させることなく、良好なシール性を確保することができる。そのため、搬送スクリュ26b1、26b2の回転軸261やシール部材26nが経時で摩耗してしまってシール部材26nのシール性が低下してしまう不具合も生じにくくなる。
特に、本実施の形態における回転軸261は、SUM材にニッケルメッキが施されたものであって、柔らかく摩耗しやすいものであるため、本発明の構成が有用になる。また、繊維状のシール部材26nを用いることで、回転軸261に施したニッケルメッキが剥がれて、ニッケルメッキによる防錆効果が薄れてしまう不具合も軽減することができる。
【0034】
<変形例>
図5に示すように、変形例における現像装置26(現像剤収容装置)には、繊維状のシール部材26nに対して現像装置26の内側(図5の左方である。)に可撓性シート部材26xが、シール部材26nの端面に当接するように設置されている。
可撓性シート部材26xは、厚さが0.01~0.15mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)からなる略ドーナツ状の部材である。可撓性シート部材26xの内径部(回転軸261が挿入される部分である。)は、その内径が、回転軸261の外径に対して同等又は僅かに大きくなるように形成されている。また、可撓性シート部材26xの外径部は、その外形が、現像ケースの穴部(軸受26mが挿入される部分である。)の内径よりも大きくなるように形成されている。そして、可撓性シート部材26xは、シール部材26nを内側から支えるように、現像ケースの内壁に貼着されている。
このように構成された可撓性シート部材26xを設置することで、現像装置26内の現像剤がシール部材26nに入り込む不具合を軽減するとともに、シール部材26nが軸受26mから脱落する不具合を防止することができる。したがって、経時においてもシール部材26nのシール性を低下しにくくすることができる。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態における現像装置26は、現像剤が収容される現像剤収容装置であって、金属からなる回転軸261を具備した搬送スクリュ26b1、26b2(回転部材)と、回転軸261を支持する軸受26mと、が設けられている。そして、回転軸261の外周面に当接する繊維状のシール部材26nが、軸受26mにおいて現像装置26の内側に設置されている。
これにより、経時においてもシール部材26nのシール性を低下しにくくすることができる。
【0036】
なお、本実施の形態では、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材とせずに、画像形成装置本体1に対して単独で着脱できるユニットとした。これに対して、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材の1つとして、画像形成装置本体1に対してプロセスカートリッジとして一体的に着脱されるように構成することもできる。
そして、このような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたユニットと定義する。
【0037】
また、本実施の形態では、2つの搬送スクリュ26b1、26b2(搬送部材)が水平方向に並設されていて、ドクターブレード26cが現像ローラ26aの下方に配置された現像装置26に対して、本発明を適用した。しかし、本発明が適用される現像装置の構成はこれに限定されることなく、例えば、3つ以上の搬送部材が水平方向に並設された現像装置や、複数の搬送部材が上下方向に並設されている現像装置や、ドクターブレードが現像ローラの上方に配置された現像装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を用いた現像装置26に対して、本発明を適用した。これに対して、トナー(外添剤等も含む。)のみからなる1成分現像剤を用いた現像装置に対しても、本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0038】
また、本実施の形態では、回転部材としての第1、第2搬送スクリュ26b1、26b2の軸受26mに設置されるシール部材26nを繊維状に形成したが、その他の回転部材(例えば、現像ローラ26aである。)の軸受26mに設置されるシール部材を繊維状に形成することもできる。
また、本実施の形態では、現像剤収容装置としての現像装置26に対して本発明を適用したが、本発明が適用される現像剤収容装置はこれに限定されることなく、例えば、トナー容器、トナー補給装置、クリーニング装置、トナー搬送装置、廃トナー回収容器など、内部に現像剤が収容されたもののすべてに適用することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0039】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態の中で示唆した以外にも、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
20、20Y、20M、20C、20BK プロセスカートリッジ、
21 感光体ドラム(像担持体)、
26 現像装置、
26a 現像ローラ(回転部材)、
26b1 第1搬送スクリュ(回転部材)、
26b2 第2搬送スクリュ(回転部材)、
26m 軸受、
26n シール部材、
26x 可撓性シート部材、
261 回転軸、
262 スクリュ部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【文献】特開2005-91773号公報
図1
図2
図3
図4
図5