(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】保持テーブル機構及び加工装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20240404BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240404BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20240404BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20240404BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H01L21/78 N
H01L21/68 N
B24B49/12
B24B41/06 Z
B23Q17/24 A
(21)【出願番号】P 2020025697
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名嘉眞 惇
(72)【発明者】
【氏名】花島 聡
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-087141(JP,A)
【文献】特開2013-008796(JP,A)
【文献】特開2020-016544(JP,A)
【文献】特開2004-040175(JP,A)
【文献】特開2019-144154(JP,A)
【文献】特開2015-226634(JP,A)
【文献】特表2018-535718(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0044786(US,A1)
【文献】特開2014-150219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/683
B24B 49/12
B24B 41/06
B23Q 17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持テーブル機構であって、
開口を中央に有した環状ベースと、
透明部材からなりワークを保持する保持部と、該保持部を囲繞する枠体と、を有し、該環状ベースに着脱自在に配設される着脱テーブルと、を備え、
該保持部で保持されたワークは撮像カメラで該開口を通じて該保持部を介して撮像され、
該環状ベースは、該開口を覆う透明部材からなる保護プレートを有
し、
該保持部の保持面に開口する吸引口と、一端が該吸引口に連通するとともに他端が吸引源に接続された吸引路と、が該保持部に形成される
、保持テーブル機構。
【請求項2】
請求項
1に記載の保持テーブル機構と、
該保持部より下方に配設され該保持部で保持されたワークを撮像する該撮像カメラと、
該保持部で保持されたワークを加工する加工ユニットと、を備えた、加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持テーブル機構及び加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークの保持テーブルに保持される被保持面側を撮像したいとの要望からガラスからなる保持部を有した保持テーブルと保持テーブルの下方に配設された撮像カメラとを備えた加工装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した加工装置は、保持面に傷や異物がつくと撮像画像に傷や異物が映り込み、撮像画像をもとにしたアライメントやカーフチェック等が正確に行えないという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、アライメントやカーフチェック等が正確に行えなくことを抑制することができる保持テーブル機構及び加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の保持テーブル機構は、保持テーブル機構であって、開口を中央に有した環状ベースと、透明部材からなりワークを保持する保持部と、該保持部を囲繞する枠体と、を有し、該環状ベースに着脱自在に配設される着脱テーブルと、を備え、該保持部で保持されたワークは撮像カメラで該開口を通じて該保持部を介して撮像され、該環状ベースは、該開口を覆う透明部材からなる保護プレートを有し、該保持部の保持面に開口する吸引口と、一端が該吸引口に連通するとともに他端が吸引源に接続された吸引路と、が該保持部に形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明の加工装置は、前記保持テーブル機構と、該保持部より下方に配設され該保持部で保持されたワークを撮像する該撮像カメラと、該保持部で保持されたワークを加工する加工ユニットと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、アライメントやカーフチェック等が正確に行えなくことを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された加工装置の保持テーブル機構と撮像カメラを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示された保持テーブル機構を分解して示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示された保持テーブル機構がワークを保持する状態を一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る保持テーブル機構及び加工装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示された加工装置の保持テーブル機構と撮像カメラを示す斜視図である。
図3は、
図2に示された保持テーブル機構を分解して示す斜視図である。
図4は、
図2に示された保持テーブル機構がワークを保持する状態を一部断面で示す側面図である。
【0013】
実施形態1に係る加工装置1は、ワーク200を切削(加工に相当する)する切削装置である。
図1に示された加工装置1の加工対象のワーク200は、シリコン、サファイヤ、ガリウムヒ素、又はSiC(炭化ケイ素)等などを基板201とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。ワーク200は、基板201の表面202に複数のストリート203によって格子状に区画された領域にデバイス204が形成されている。
【0014】
デバイス204は、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサである。実施形態1では、ワーク200は、基板201の表面202の裏側の裏面205に金属膜206が形成されている。ワーク200は、裏面205に金属膜206が形成されているので、裏面205側から赤外線カメラで撮像しても、ストリート203を検出することができないものである。
【0015】
実施形態1において、ワーク200は、外周縁に環状フレーム210が装着されたテープ211に表面202が貼着されて、環状フレーム210に支持されて、裏面205側の金属膜206を上方に向けている。なお、実施形態1では、ワーク200は、基板201の裏面205に金属膜206が形成されているが、本発明では、金属膜206が形成されていなくても良く、テープ211に裏面205が貼着されて、表面202側を上方に向けていても良い。
【0016】
図1に示された加工装置1は、ワーク200を保持ユニット10の保持テーブル機構12で保持しストリート203に沿って切削ブレード21で切削して、個々のデバイス204に分割する切削装置である。加工装置1は、
図1に示すように、保持ユニット10と、切削ユニット20と、移動ユニット30と、上方カメラ40と、制御ユニット100とを備える。
【0017】
保持ユニット10は、
図2に示すように、移動ユニット30のX軸移動ユニット31により水平方向と平行なX軸方向に移動される筐体11と、筐体11上に鉛直方向に沿うZ軸方向と平行な軸心回りに回転可能に設けられた保持テーブル機構12とを備える。
【0018】
実施形態1では、筐体11は、X軸移動ユニット31によりX軸方向に移動されかつ水平方向と平行な下板111と、下板111の外縁から立設した側板112と、外縁が側板112の上端に連なりかつ下板111と平行な上板113とを備える。
【0019】
保持テーブル機構12は、ワーク200を保持面143上に保持するとともに上板113に軸心回りに回転自在に支持されている。保持テーブル機構12は、
図2及び
図3に示すように、上板113にZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に支持されかつ開口131を中央に有した円環状の環状ベース13と、環状ベース13に着脱自在に配設される着脱テーブル14と、環状ベース13に固定された着脱テーブル14の周囲に複数設けられたフレーム固定部15とを備える。
【0020】
環状ベース13は、
図3及び
図4に示すように、開口131内に円板状の保護プレート132を有している。保護プレート132は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム等の透明な透明部材からなる。なお、本発明では、透明とは、可視光線において透明であることを示している。保護プレート132は、厚みが一定に形成され、外縁が開口131の内周面に全周に亘って取り付けられて、開口131を覆っている。実施形態1では、保護プレート132は、開口131の下端に取り付けられて、下面が環状ベース13の下面と同一平面上に配置されているが、本発明では、保護プレート132の環状ベース13に相対的な位置は、これに限定されずに、例えば、開口131のZ軸方向の中央に配置されても良い。
【0021】
着脱テーブル14は、透明部材からなりワーク200を保持する保持部141と、保持部141を囲繞する枠体142とを有する。
【0022】
保持部141は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム等の透明な透明部材からなり、上面がワーク200を保持する保持面143である。実施形態1では、保持部141は、保持面143上にテープ211を介してワーク200の表面202側が載置される。保持部141は、外径が開口131の内径と略等しく厚みが一定の円板状に形成されている。
【0023】
保持部141は、保持面143に開口する吸引口である吸引溝144と、一端が吸引溝144に連通し他端が吸引源145に接続された吸引路146とが形成されている。実施形態1では、吸引溝144は、保持面143に複数形成され、実施形態1では、複数の吸引溝144は、互いに直径が異なる円形に形成されているとともに、保持面143の外縁部に同心円上に配置されている。吸引路146は、一端が複数の吸引溝144に連通し、保持部141を貫通して、気体を内側に通すことが可能な流路である。
【0024】
枠体142は、ステンレス鋼などで構成され、内径が保持部141の外径と等しい円環状に形成されている。枠体142は、内周面に保持部141の外縁を固定し、上面が保持面143と同一平面上に配置されている。実施形態1において、着脱テーブル14は、枠体142が環状ベース13の内縁部の被装着領域133(
図3に示す)上に重ねられ、図示しないネジにより枠体142が環状ベース13に固定される。
【0025】
実施形態1では、図示しないネジを着脱することで、着脱テーブル14は、環状ベース13に着脱自在に配設されるが、本発明では、環状ベース13に着脱自在とするためにネジに限定されずに、例えば、環状ベース13の上面に開口しかつ上面に重ねられた枠体142により塞がれた孔が吸引源から吸引されることで、環状ベース13に固定されても良い。なお、着脱テーブル14が、環状ベース13に開口しかつ上面に重ねられた枠体142により塞がれた孔が吸引源から吸引されることで、環状ベース13に固定される場合には、吸引源の吸引を動作と停止とを切り替えることで、環状ベース13に着脱自在に配設される。なお、実施形態1では、環状ベース13と、着脱テーブル14とが互いに同軸となる位置に配置されている。
【0026】
フレーム固定部15は、環状ベース13の外縁部に周方向に間隔あけて複数配置され、上面に環状フレーム210が載置されるフレーム支持部151と、フレーム支持部151の上面に載置された環状フレーム210を吸引保持するバキュームパッド152とを備える。バキュームパッド152は、図示しない吸引源に接続されている。
【0027】
保持テーブル機構12は、吸引溝144及びバキュームパッド152が図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、保持面143に載置されたワーク200を保持面143に吸引保持するとともにフレーム支持部151の上面に載置された環状フレーム210をフレーム固定部15に吸引保持する。実施形態1では、保持テーブル機構12は、テープ211を介してワーク200の表面202側を保持面143に吸引保持するとともに、テープ211を介して環状フレーム210をフレーム固定部15に吸引保持する。また、実施形態1では、保持ユニット10は、筐体11の上板113に円形の貫通穴114を設けている。貫通穴114は、保持テーブル機構12の環状ベース13と着脱テーブル14と互いに同軸となる位置に配置されている。
【0028】
移動ユニット30は、
図2に示す加工送りユニットであるX軸移動ユニット31と、
図1に示す割り出し送りユニットであるY軸移動ユニット32と、
図1に示す切り込み送りユニットであるZ軸移動ユニット33と、
図2に示す保持テーブル機構12をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する回転移動ユニット34とを備える。
【0029】
X軸移動ユニット31は、保持ユニット10の筐体11の下板111をX軸方向に移動させることで、保持テーブル機構12と切削ユニット20とをX軸方向に相対的に移動させるものである。X軸移動ユニット31は、保持テーブル機構12にワーク200が搬入出される搬入出領域4と、保持テーブル機構12に保持されたワーク200が切削加工される加工領域5とに亘って保持テーブル機構12をX軸方向に移動させる。Y軸移動ユニット32は、切削ユニット20を水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に移動させることで、保持テーブル機構12と切削ユニット20とをY軸方向に相対的に移動させるものである。Z軸移動ユニット33は、切削ユニット20をZ軸方向に移動させることで、保持テーブル機構12と切削ユニット20とをZ軸方向に相対的に移動させるものである。
【0030】
X軸移動ユニット31、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び保持テーブル機構12又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0031】
回転移動ユニット34は、保持テーブル機構12をZ軸方向と平行な軸心回りに回転するものである。回転移動ユニット34は、保持テーブル機構12を軸心回りに180度を超え、360度未満の範囲で回転する。回転移動ユニット34は、筐体11の側板112に固定されたモータ341と、モータ341の出力軸に連結されたプーリ342と、保持テーブル機構12の環状ベース13の外周に巻回されかつプーリ342により軸心回りに回転されるベルト343とを備えている。回転移動ユニット34は、モータ341を回転すると、プーリ342及びベルト343を介して保持テーブル機構12を軸心回りに回転する。また、実施形態1では、回転移動ユニット34は、軸心回りの一方向と、一方向の逆方向の他方向との双方において、保持テーブル機構12を220度回転させることが可能である。
【0032】
切削ユニット20は、保持テーブル機構12の保持部141で保持されたワーク200に切削ブレード21で切削する加工ユニットである。切削ユニット20は、保持テーブル機構12の保持部141に保持されたワーク200に対して、Y軸移動ユニット32によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット33によりZ軸方向に移動自在に設けられている。切削ユニット20は、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33などを介して、装置本体2から立設した支持フレーム3に設けられている。
【0033】
切削ユニット20は、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33により、保持テーブル機構12の保持面143の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。切削ユニット20は、切削ブレード21と、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22に軸心回りに回転自在に設けられかつモータにより回転されるとともに先端に切削ブレード21が装着されるスピンドル23と、切削水ノズル24とを備える。
【0034】
切削ブレード21は、保持テーブル機構12で保持されたワーク200を切削するものであって、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。実施形態1において、切削ブレード21は、円環状の円形基台と、円形基台の外周縁に配設されてワーク200を切削する円環状の切り刃とを備える所謂ハブブレードである。切り刃は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とからなり所定厚みに形成されている。なお、本発明では、切削ブレード21は、切り刃のみで構成された所謂ワッシャーブレードでもよい。
【0035】
スピンドル23は、モータにより軸心回りに回転することで、切削ブレード21を軸心回りに回転させる。なお、切削ユニット20の切削ブレード21及びスピンドル23の軸心は、Y軸方向と平行である。切削水ノズル24は、スピンドルハウジング22の先端に設けられ、切削ブレード21によるワーク200の切削中にワーク200及び切削ブレード21に切削水を供給するものである。
【0036】
上方カメラ40は、切削ユニット20と一体的に移動するように、切削ユニット20に固定されている。上方カメラ40は、保持テーブル機構12に保持されたワーク200を上方から撮像する撮像素子を複数備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。上方カメラ40は、保持テーブル機構12の保持部141に保持されたワーク200を撮像して、得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0037】
また、加工装置1は、
図2に示すように、保持テーブル機構12の保持部141の下方に配設され保持部141で保持されたワーク200の被保持面である表面202を保持部123を介して撮像する撮像カメラ50を備える。撮像カメラ50は、保持テーブル機構12の保持部141に保持されたワーク200の表面202側を保持部123越しにワーク200の下方から撮像するものである。このために、保持部141で保持されたワーク200は、撮像カメラ50で開口131を通じて保持部141を介して撮像される。
【0038】
図2は、撮像カメラ50を保持ユニット10のY軸方向の隣りに示している。しかしながら、実際の加工装置1では、撮像カメラ50は、
図4に示すように、保持テーブル機構12の保持部141の下方に配置されている。また、撮像カメラ50は、装置本体2に設けられた第2Y軸移動ユニット35によりY軸方向に移動自在に配置され、第2Y軸移動ユニット35によりY軸方向に移動される移動プレート36から立設した立設柱37に設けられた第2Z軸移動ユニット38によりZ軸方向に移動自在に配置されている。実施形態1では、撮像カメラ50は、第2Z軸移動ユニット38によりZ軸方向に移動自在な昇降部材に一端が取り付けられた水平延在部材39の他端に取り付けられている。
【0039】
第2Y軸移動ユニット35及び第2Z軸移動ユニット38は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ、移動プレート又は撮像カメラ50をY軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールとを備える。
【0040】
撮像カメラ50は、保持テーブル機構12に保持されたワーク200を保持部123越しに下方から撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像カメラ50は、保持テーブル機構12に保持されたワーク200を撮像して、得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0041】
また、加工装置1は、保持テーブル機構12のX軸方向の位置を検出するためX軸方向位置検出ユニット51(
図2に示す)と、切削ユニット20のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット51及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータのパルスで切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット51、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、保持テーブル機構12のX軸方向、切削ユニット20のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニット100に出力する。
【0042】
また、加工装置1は、撮像カメラ50のY軸方向の位置を検出する第2Y軸方向位置検出ユニット55(
図2に示す)を備える。第2Y軸方向位置検出ユニット55は、Y軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。第2Y軸方向位置検出ユニット55は、撮像カメラ50のX軸方向、切削ユニット20のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニット100に出力する。なお、各位置検出ユニット51,55が検出した各軸方向の保持テーブル機構12、切削ユニット20及び撮像カメラの位置は、加工装置1の予め定められた基準位置を基準として定められる。即ち、実施形態1に係る加工装置1は、予め定められた基準位置を基準として各位置が定められる。
【0043】
また、加工装置1は、切削前後のワーク200を複数枚収容するカセット90が載置されかつカセット90をZ軸方向に移動させるカセットエレベータ91と、切削後のワーク200を洗浄する洗浄ユニット92と、カセット90にワーク200を出し入れするとともにワーク200を搬送する図示しない搬送ユニットとを備える。
【0044】
制御ユニット100は、加工装置1の上述した各構成要素をそれぞれ制御して、ワーク200に対する加工動作を加工装置1に実施させるものである。なお、制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理装置が演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を入出力インターフェース装置を介して加工装置1の上述した構成要素に出力する。
【0045】
また、加工装置1は、制御ユニット100に接続されかつ加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示ユニットと、制御ユニット100に接続されかつオペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットとに接続されている。実施形態1において、入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0046】
前述した構成の加工装置1は、オペレータにより加工内容情報を制御ユニット100に登録され、切削加工前のワーク200を複数収容したカセット90をカセットエレベータ91に設置され、オペレータからの加工動作の開始指示を制御ユニット100が受け付けると、加工動作を開始する。加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100が搬送ユニットを制御してカセット90からワーク200を1枚取り出し、搬入出領域4に位置付けられた保持テーブル機構12の保持面143に載置する。加工装置1は、制御ユニット100が真空吸引源を制御して、保持面143にテープ211を介してワーク200を吸引保持するとともに、フレーム支持部151上にテープ211を介して環状フレーム210を吸引保持する。
【0047】
加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100がX軸移動ユニット31及び第2Y軸移動ユニット35を制御して、
図4に示すように、保持テーブル機構12の保持部141に保持されたワーク200の下方に撮像カメラ50を位置付ける。加工装置1は、制御ユニット100が撮像カメラ50で保持部123越しに下方からワーク200を撮像し、ワーク200と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するための画像を取得する。
【0048】
加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100が、撮像カメラ50が撮像して取得した画像からストリート203を検出し、アライメントを遂行する。加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100がX軸移動ユニット31を制御して、保持テーブル機構12を加工領域5まで移動し、制御ユニット100が移動ユニット30及び切削ユニット20を制御して、保持テーブル機構12と切削ユニット20の切削ブレード21とをストリート203に沿って相対的に移動させ切削水を切削水ノズル24から供給しながらストリート203に切削ブレード21をテープ211に到達するまで切り込ませて、ワーク200をストリート203に沿って切削する。
【0049】
加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100が前回のカーフチェックから所定数のストリート203を切削したか否かを判定する。なお、カーフチェックは、切削により形成された切削溝400の所望の位置からのズレ及び切削溝の両縁に生じるチッピングの大きさ等が所定の範囲内であるか否かのワーク200の加工状態を確認することをいう。
【0050】
加工装置1は、制御ユニット100が所定数のストリート203を切削したと判定する、X軸移動ユニット31及び第2Y軸移動ユニット35を制御して、
図4に示すように、保持テーブル機構12に保持されたワーク200の下方に撮像カメラ50を位置付ける。加工装置1は、制御ユニット100が撮像カメラ50で保持部123越しに下方からワーク200を撮像し、カーフチェックを遂行するための画像を取得する。
【0051】
加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100が、ワーク200に形成した切削溝の所望の位置からのズレ及び切削溝400の両縁に生じるチッピングの大きさ等が所定の範囲内であるか否かを確認し、確認結果を記憶して、カーフチェックを遂行する。なお、本発明では、加工装置1は、カーフチェックを遂行する際に、上方カメラ40でワーク200を撮像して取得した画像に基づいて遂行してもよい。
【0052】
加工動作では、加工装置1は、制御ユニット100が保持テーブル機構12で保持されたワーク200の全てのストリート203を切削すると、X軸移動ユニット31をして保持テーブル機構12を搬入出領域4まで移動し、真空吸引源を制御して、ワーク200及び環状フレーム210の吸引保持を停止する。加工装置1は、制御ユニット100が搬送ユニットを制御してワーク200を洗浄ユニット92に搬送し、洗浄ユニット92で洗浄した後、カセット90に収容する。加工装置1は、カセット90内の全てのワーク200を切削すると加工動作を終了する。
【0053】
以上説明した実施形態1に係る保持テーブル機構12は、開口131を中央に有した環状ベース13と環状ベース13に着脱自在に配設される着脱テーブル14とを備えるため、保持面143に傷や異物がついても着脱テーブル14を交換することができ、着脱テーブル14を交換することで、保持面143の傷が異物を撮像カメラ50が撮像することを抑制できる。その結果、保持テーブル機構12は、アライメントやカーフチェック等が正確に行えなくことを抑制することができるという効果を奏する。
【0054】
また、着脱テーブル14を取り外している間に開口131内に異物が落下すると撮像カメラ50に傷や異物が付着するおそれがあり、落下物がねじやジグの場合は撮像カメラ50を損傷しかねない。しかしながら、保持テーブル機構12は、開口131を覆う保護プレート132を更に備えるので、撮像カメラ50に異物が付着することや損傷を防止しうる。
【0055】
また、実施形態1に係る加工装置1は、前述した保持テーブル機構12を備えるので、アライメントやカーフチェック等が正確に行えなくことを抑制することができるという効果を奏する。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、上記実施形態では、加工装置1は、加工ユニットがワーク200を切削する切削ユニット20であるが、本発明では、切削ユニット20に限定されることなく、レーザー発振器、集光レンズ等を備えたレーザービーム照射ユニットでも良い。即ち、本発明では、加工装置は、レーザー加工装置でも良い。
【符号の説明】
【0057】
1 加工装置
12 保持テーブル機構
13 環状ベース
14 着脱テーブル
20 切削ユニット(加工ユニット)
50 撮像カメラ
131 開口
132 保護プレート
141 保持部
142 枠体
143 保持面
144 吸引溝(吸引口)
145 吸引源
146 吸引路
200 ワーク