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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/08 20100101AFI20240405BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20240405BHJP
   H01L 33/04 20100101ALI20240405BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/32
H01L33/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022132555
(22)【出願日】2022-08-23
(65)【公開番号】P2023119551
(43)【公開日】2023-08-28
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2022022046
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】林 斉一
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-508175(JP,A)
【文献】特表2018-516466(JP,A)
【文献】特表2010-532926(JP,A)
【文献】特表2019-517133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/46
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが窒化物半導体からなる、第1n側半導体層と、インジウムを含む第1井戸層を有する第1活性層と、第1p側半導体層と、前記第1p側半導体層と接する第2n側半導体層と、インジウムを含む第2井戸層を有する第2活性層と、第2p側半導体層と、
を順に備え、
前記第2活性層は、前記第2井戸層よりも前記第1活性層側に位置し、インジウムを含む第1中間層を有し、
前記第1井戸層のインジウム組成比は、前記第2井戸層のインジウム組成比よりも低く、
前記第1中間層のインジウム組成比は、前記第1井戸層のインジウム組成比よりも低く、
前記第1中間層の厚さは、前記第2井戸層の厚さよりも薄く、
前記第2n側半導体層は、超格子層をさらに有し、
前記超格子層は、インジウムを含む複数の第1層と、前記複数の第1層のうち隣り合う第1層間に位置する第2層と、を有し、
前記第1層のインジウム組成比は、前記第1中間層のインジウム組成比よりも低い発光素子。
【請求項2】
前記第2井戸層の数は、前記第1井戸層の数よりも少ない請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記第2井戸層の数は、1つである請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記第1中間層のインジウム組成比は、8%以上12%以下である請求項1~のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1井戸層のインジウム組成比は、12%以上18%以下であり、
前記第2井戸層のインジウム組成比は、20%以上25%以下である請求項1~のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項6】
前記第2井戸層の厚さは、前記第1井戸層の厚さよりも薄い請求項1~のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項7】
前記第1中間層の厚さは、1nm以上2nm以下である請求項1~のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項8】
前記第1井戸層、前記第2井戸層、及び前記第1中間層は、窒化インジウムガリウムからなる請求項1~のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項9】
さらに、それぞれが窒化物半導体からなる、前記第2p側半導体層と接する第3n側半導体層と、インジウムを含む第3井戸層を有する第3活性層と、第3p側半導体層と、を順に備え、
第3活性層は、前記第3井戸層よりも前記第2活性層側に位置し、インジウムを含む第2中間層を有し、
前記第2井戸層のインジウム組成比は、前記第3井戸層のインジウム組成比よりも低く、
前記第2中間層のインジウム組成比は、前記第2井戸層のインジウム組成比よりも低く、
前記第2中間層の厚さは、前記第3井戸層の厚さよりも薄い請求項1~のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項10】
前記第3井戸層の数は、前記第1井戸層の数よりも少ない請求項に記載の発光素子。
【請求項11】
前記第3井戸層のインジウム組成比は、25%以上40%以下である請求項に記載の発光素子。
【請求項12】
前記第2中間層の厚さは、1nm以上2nm以下である請求項に記載の発光素子。
【請求項13】
それぞれが窒化物半導体からなる、第1n側半導体層と、インジウムを含む第1井戸層を有する第1活性層と、第1p側半導体層と、前記第1p側半導体層と接する第2n側半導体層と、インジウムを含む第2井戸層を有する第2活性層と、第2p側半導体層と、
を順に備え、
前記第2活性層は、前記第2井戸層よりも前記第1活性層側に位置し、インジウムを含む第1中間層と、前記第1中間層と前記第2井戸層との間に位置する第2障壁層と、を有し、
前記第1井戸層のインジウム組成比は、前記第2井戸層のインジウム組成比よりも低く、
前記第1中間層のインジウム組成比は、前記第1井戸層のインジウム組成比よりも低く、
前記第1中間層の厚さは、前記第2井戸層の厚さよりも薄く、
前記第1中間層のバンドギャップは、前記第2障壁層のバンドギャップよりも狭い発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トンネル接合を含み、それぞれが異なる波長の光を発する複数の活性領域を有する発光素子が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2009-527920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トンネル接合を形成するp型層及びn型層には高い不純物濃度の半導体層を用いる必要がある。トンネル接合を有する発光素子の出力を低下させる原因の一つとして、トンネル接合を形成するp型層からp型不純物が第2活性層側へ拡散することが考えられる。
本発明は、出力を向上させることができる発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、発光素子は、それぞれが窒化物半導体からなる、第1n側半導体層と、インジウムを含む第1井戸層を有する第1活性層と、第1p側半導体層と、前記第1p側半導体層と接する第2n側半導体層と、インジウムを含む第2井戸層を有する第2活性層と、第2p側半導体層と、を順に備え、前記第2活性層は、前記第2井戸層よりも前記第1活性層側に位置し、インジウムを含む第1中間層を有し、前記第1井戸層のインジウム組成比は、前記第2井戸層のインジウム組成比よりも低く、前記第1中間層のインジウム組成比は、前記第1井戸層のインジウム組成比よりも低く、前記第1中間層の厚さは、前記第2井戸層の厚さよりも薄い。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、出力を向上させることができる発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の発光素子の模式断面図である。
図2】第1実施形態の発光素子における第1超格子層を説明するための模式断面図である。
図3】第1実施形態の発光素子における第1活性層を説明するための模式断面図である。
図4】第1実施形態の発光素子における第2超格子層を説明するための模式断面図である。
図5】第1実施形態の発光素子における第2活性層を説明するための模式断面図である。
図6A】発光素子のサンプルにおける第1活性層が発する第1波長光の出力の測定結果を示すグラフである。
図6B】発光素子のサンプルにおける第2活性層が発する第2波長光の出力の測定結果を示すグラフである。
図7】第2実施形態の発光素子の模式断面図である。
図8】第2実施形態の発光素子における第3活性層を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。各図面中、同じ構成には同じ符号を付している。なお、各図面は、実施形態を模式的に示したものであるため、各部材のスケール、間隔若しくは位置関係などが誇張、又は部材の一部の図示を省略する場合がある。
また、断面図として、切断面のみを示す端面図を示す場合がある。
【0009】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。また、特定の方向又は位置を示す用語(例えば、「上」、「下」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向又は位置を分かり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向又は位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本明細書において「上」と表現する位置関係は、接している場合と、接していないが上方に位置している場合も含む。
【0010】
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態の発光素子1は、基板100と、半導体構造体10と、p側電極11と、n側電極12とを備える。
【0011】
基板100は、半導体構造体10を支持する。基板100の材料として、例えば、サファイア、シリコン、窒化ガリウムなどを用いることができる。基板100としてサファイア基板を用いる場合、例えば、半導体構造体10はサファイア基板のc面上に配置される。
【0012】
半導体構造体10は、基板100側から順に、第1n側半導体層20と、第1活性層40と、第1p側半導体層50と、第2n側半導体層60と、第2活性層90と、第2p側半導体層110とを、備える。また、半導体構造体10は、第1n側半導体層20と第1活性層40との間に配置される第1超格子層30を備えることができる。
【0013】
第1n側半導体層20、第1超格子層30、第1活性層40、第1p側半導体層50、第2n側半導体層60、第2活性層90、及び第2p側半導体層110のそれぞれは、窒化物半導体からなる。窒化物半導体は、InAlGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)からなる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含み得る。例えば、半導体構造体10は、基板100上にエピタキシャル成長させることで形成される。
【0014】
第1n側半導体層20は、n型不純物を含むn型層を有する。n型層は、例えば、n型不純物としてシリコン(Si)を含む。または、n型層は、n型不純物としてゲルマニウム(Ge)を含んでもよい。第1n側半導体層20は、電子を供給する機能を有していればよく、n型不純物やp型不純物を意図的にドープせずに形成したアンドープ層を含んでいてもよい。アンドープ層がn型不純物及び/又はp型不純物を意図的にドープした層と隣接している場合は、その隣接した層からの拡散等によって、アンドープ層にn型不純物及び/又はp型不純物が含まれる場合がある。
【0015】
第1p側半導体層50及び第2p側半導体層110は、p型不純物を含むp型層を有する。p型層は、例えば、p型不純物としてマグネシウム(Mg)を含む。第1p側半導体層50及び第2p側半導体層110は、正孔を供給する機能を有していればよく、アンドープ層を含んでいてもよい。
【0016】
第1活性層40及び第2活性層90は、後述するように、複数の井戸層と複数の障壁層とを含む多重量子井戸構造を有する。第1活性層40の発光ピーク波長は、第2活性層90の発光ピーク波長よりも短い。例えば、第1活性層40は青色光を発し、第2活性層90は緑色光を発する。青色光の発光ピーク波長は、430nm以上490nm以下である。緑色光の発光ピーク波長は、500nm以上540nm以下である。第1活性層40は紫外光を発してもよい。紫外光の発光ピーク波長は、410nm以下である。
【0017】
第2n側半導体層60は、第1p側半導体層50と接する。第2n側半導体層60は、第1p側半導体層50と接して配置された第1トンネル接合層70を有する。第1トンネル接合層70が第1p側半導体層50と接し、第1p側半導体層50とトンネル接合を形成する。第2n側半導体層60は、さらに、第1トンネル接合層70と第2活性層90との間に配置される第2超格子層80を有することができる。第1トンネル接合層70は、第2超格子層80のn型不純物濃度よりも高いn型不純物濃度のn型層を含む。第1トンネル接合層70は、例えば、1×1020/cm以上5×1021/cm以下のn型不純物濃度のn型層を含む。
【0018】
第1超格子層30及び第2超格子層80を配置することで、基板100と半導体構造体10との間の格子不整合を緩和し、半導体構造体10における結晶欠陥を低減することができる。
【0019】
第1n側半導体層20は、他の半導体層が設けられていないn側コンタクト面20aを有する。n側コンタクト面20a上にn側電極12が配置されている。n側電極12は、第1n側半導体層20に電気的に接続している。
【0020】
第2p側半導体層110の上面上に、p側電極11が配置されている。p側電極11は、第2p側半導体層110に電気的に接続している。
【0021】
p側電極11とn側電極12との間に順方向電圧を印加する。このとき、第1活性層40及び第2活性層90に順方向電流が供給され、第1活性層40及び第2活性層90が発光する。
【0022】
第1活性層40の上に第2活性層90を配置することで、1つの活性層を有する発光素子に比べて、単位面積当たりの出力を高くすることができる。発光素子1は、第1活性層40が発する第1波長光(例えば青色光)と、第2活性層90が発する第2波長光(例えば緑色光)との混合色の光を発する。
【0023】
p側電極11とn側電極12との間に順方向電圧が印加されたとき、第2n側半導体層60と第1p側半導体層50との間には逆方向電圧が印加されることになる。そのため、第2n側半導体層60及び第1p側半導体層50においてトンネル接合を形成するn型層及びp型層の不純物濃度を高くすることで、第2n側半導体層60と第1p側半導体層50との接合により形成される空乏層の幅を狭くしている。これにより、p型層の価電子帯に存在する電子を、n型層の伝導帯にトンネリングさせることで、第2n側半導体層60と第1p側半導体層50との間に電流を流しやすくできる。
【0024】
以下、第1超格子層30、第1活性層40、第2超格子層80、及び第2活性層90の詳細について説明する。
【0025】
<第1超格子層>
図2に示すように、第1超格子層30は、複数の第3層31と、複数の第4層32とを有する。第1超格子層30は、例えば、第3層31と第4層32の組を15個以上25個以下有することができる。第1超格子層30は、例えば、20層の第3層31と、20層の第4層32とを有することができる。第1超格子層30において、最下層に第4層32が位置し、最上層に第3層31が位置する。最下層の第4層32から最上層の第3層31に向かって、第4層32と第3層31とが交互に配置されている。
【0026】
複数の第4層32は、複数の第3層31のうち隣り合う第3層31間に位置する第4層32を有する。また、第4層32は、最下層の第3層31と、第1n側半導体層20との間にも配置されている。
【0027】
第3層31の組成と第4層32の組成とは異なる。第3層31は、インジウム(In)を含む。第3層31は、例えば、アンドープの窒化インジウムガリウム(InGaN層)からなる。第3層31のインジウム組成比は、例えば、3%以上10%以下とすることができる。第4層32は、例えば、アンドープの窒化ガリウム(GaN)からなる。第3層31及び第4層32のn型不純物濃度は、例えば、1×1017/cm以上1×1019/cm以下とすることができる。なお、第3層31及び第4層32のn型不純物濃度とは、第3層31及び第4層32におけるn型不純物濃度のうち、最も高いn型不純物濃度である。
【0028】
第3層31の厚さは、第4層32の厚さよりも薄い。第3層31の厚さを、例えば、0.5nm以上1.5nm以下とすることができる。第4層32の厚さを、例えば、1.5nm以上3nmとすることができる。
【0029】
<第1活性層>
図3に示すように、第1活性層40は、複数の第1井戸層41と、少なくとも1つの第1障壁層42とを有する。第1活性層40は、例えば、7層の第1井戸層41と、6層の第1障壁層42とを有することができる。それぞれの第1障壁層42は、複数の第1井戸層41のうち隣り合う第1井戸層41間に位置する。さらに、第1活性層40は、第1活性層40において、最下層に位置する第3障壁層43と、最上層に位置する第4障壁層44とを有することができる。複数の第1障壁層42のうちの最下層に位置する第1障壁層42と、第3障壁層43との間に、第1井戸層41が配置されている。複数の第1障壁層42のうちの最上層に位置する第1障壁層42と、第4障壁層44との間に第1井戸層41が配置されている。第3障壁層43と第4障壁層44との間において、第1井戸層41と第1障壁層42とが交互に配置されている。
【0030】
第1井戸層41は、インジウムを含む。第1井戸層41は、例えば、アンドープの窒化インジウムガリウムからなる。第1井戸層41のインジウム組成比は、例えば、12%以上18%以下とすることができる。
【0031】
第1障壁層42、第3障壁層43、及び第4障壁層44のバンドギャップは、第1井戸層41のバンドギャップよりも広い。第1障壁層42、第3障壁層43、及び第4障壁層44は、例えば、窒化ガリウムからなる。
【0032】
第1障壁層42の厚さ及び第4障壁層44の厚さは、第1井戸層41の厚さよりも厚い。第1井戸層41の厚さは、例えば、2.5nm以上5nm以下とすることできる。第1障壁層42の厚さ、第3障壁層43の厚さ、及び第4障壁層44の厚さは、例えば、3nm以上6nm以下とすることができる。
【0033】
<第2超格子層>
図4に示すように、第2超格子層80は、複数の第1層81と、複数の第2層82とを有する。第2超格子層80は、例えば、第1層81と第2層82の組を15個以上25個以下有することができる。第2超格子層80は、例えば、20層の第1層81と、20層の第2層82とを有することができる。第2超格子層80において、最下層に第2層82が位置し、最上層に第1層81が位置する。最下層の第2層82から最上層の第1層81に向かって、第2層82と第1層81とが交互に配置されている。
【0034】
複数の第2層82は、複数の第1層81のうち隣り合う第1層81間に位置する第2層82を有する。また、第2層82は、最下層の第1層81と、第1トンネル接合層70との間にも配置されている。
【0035】
第1層81の組成と第2層82の組成とは異なる。第1層81は、インジウムを含む。第1層81は、例えば、シリコンがドープされた窒化インジウムガリウムからなる。第1層81のインジウム組成比は、例えば、5%以上10%以下とすることができる。第2層82は、例えば、シリコンがドープされた窒化ガリウムからなる。第1層81及び第2層82のn型不純物濃度は、例えば、1×1017/cm以上1×1020/cm以下とすることができる。なお、第1層81のn型不純物濃度とは、第1層81におけるn型不純物濃度のうち、最も高いn型不純物濃度である。また、第2層82のn型不純物濃度とは、第2層82におけるn型不純物濃度のうち、最も高いn型不純物濃度である。
【0036】
第1層81の厚さは、第2層82の厚さよりも薄い。第1層81の厚さを、例えば、0.5nm以上1.5nm以下とすることができる。第2層82の厚さを、例えば、1.5nm以上3nmとすることができる。
【0037】
<第2活性層>
図5に示すように、第2活性層90は、第2井戸層91と、第1中間層93と、第2障壁層92と、第5障壁層95と、第6障壁層96とを有する。
【0038】
図5には、第2活性層90が、1つの第2井戸層91と1つの第2障壁層92を有する例を示す。第2活性層90は、第2井戸層91と第2障壁層92との組を複数組有してもよい。この場合、複数の第2井戸層91のうち隣り合う第2井戸層91間に、第2障壁層92が位置する。
【0039】
第1中間層93は、第2井戸層91よりも第1活性層40側に位置する。第2障壁層92は、第2井戸層91と第1中間層93との間に位置する。第2活性層90において、最下層に第5障壁層95が位置し、最上層に第6障壁層96が位置する。第2井戸層91と第2障壁層92との組を複数組有する場合、第1中間層93は、複数の第2障壁層92のうち最下層の第2障壁層92と、第5障壁層95との間に位置する。第2井戸層91は、第2障壁層92と第6障壁層96との間に位置する。第2井戸層91と第2障壁層92との組を複数組有する場合、複数の第2井戸層91のうち最上層の第2井戸層91が、複数の第2障壁層92のうち最上層の第2障壁層92と、第6障壁層96との間に位置する。
【0040】
第2井戸層91は、インジウムを含む。第2井戸層91は、例えば、アンドープの窒化インジウムガリウムからなる。第2井戸層91のインジウム組成比は、第1活性層40の第1井戸層41のインジウム組成比よりも高い。第2井戸層91のインジウム組成比は、例えば、20%以上25%以下とすることができる。
【0041】
第1中間層93は、インジウムを含む。第1中間層93は、例えば、アンドープの窒化インジウムガリウムからなる。第1中間層93のインジウム組成比は、第1活性層40の第1井戸層41のインジウム組成比よりも低い。また、第1中間層93のインジウム組成比は、第2超格子層80の第1層81のインジウム組成比よりも高い。第1中間層93のインジウム組成比は、例えば、8%以上12%以下とすることができる。
【0042】
第2障壁層92、第5障壁層95、及び第6障壁層96のバンドギャップは、第2井戸層91のバンドギャップ、及び第1中間層93のバンドギャップよりも広い。第2障壁層92、第5障壁層95、及び第6障壁層96は、例えば、窒化ガリウムからなる。
【0043】
第1中間層93の厚さは、第2井戸層91の厚さよりも薄い。第1中間層93の厚さは、例えば、1nm以上2nm以下とすることができる。第2井戸層91の厚さは、第1井戸層41の厚さよりも薄い。第2井戸層91の厚さは、例えば、2nm以上3nm以下とすることできる。
【0044】
第2障壁層92の厚さ、第5障壁層95の厚さ、及び第6障壁層96の厚さは、それぞれ第2井戸層91の厚さよりも厚い。第2障壁層92の厚さ、第5障壁層95の厚さ、及び第6障壁層96の厚さは、例えば、3nm以上15nm以下とすることができる。
【0045】
本実施形態によれば、第1p側半導体層50と第2n側半導体層60とが形成するトンネル接合と、第2井戸層91との間に第1中間層93を配置することで、第2井戸層91とトンネル接合を形成するp型層との距離を長くすることができ、トンネル接合を形成するp型層からp型不純物(例えば、マグネシウム)が第2井戸層91に拡散しにくくなる。これにより、第2井戸層91にp型不純物が拡散することによる第2井戸層91の結晶性の悪化を低減し、第2井戸層91が発する光の出力を向上させることができる。
【0046】
なお、第2活性層90において、第1中間層93を配置せず、第2井戸層91と第2n側半導体層60との間に配置される障壁層の厚さを厚くすることで、第2井戸層91とトンネル接合との距離を長くすることが考えられる。この場合、第2井戸層91よりもバンドギャップが広い障壁層が電子及び正孔の移動の障壁となり順方向電圧が高くなりやすい。
【0047】
第1中間層93のバンドギャップは、第1中間層93に接して配置される第2障壁層92及び第5障壁層95のバンドギャップよりも狭く、第1中間層93の厚さは第2井戸層91の厚さよりも薄いため、トンネル効果が得られ、順方向電圧を低減できる。第1中間層93の厚さは、例えば、1nm以上2nm以下とすることが好ましい。
【0048】
また、第1中間層93のインジウム組成比は、第1活性層40の第1井戸層41のインジウム組成比よりも低いため、第1井戸層41が発した光の第1中間層93における吸収を低減できる。第1中間層93のインジウム組成比は、例えば、8%以上12%以下とすることが好ましい。
【0049】
第1井戸層41が発した光の第2活性層90における吸収をより低減するために、第2井戸層91の数は、第1井戸層41の数よりも少なくすることが好ましい。
【0050】
図6Aは、発光素子のサンプルにおける第1活性層40が発する第1波長光の出力の測定結果を示すグラフである。第1波長光は、青色光である。
第1中間層93を含まない第2活性層90における第2井戸層91の数を、1層、2層、3層と変更したサンプルを作製し、第1活性層40が発する第1波長光の出力をそれぞれ測定した。この測定結果を黒丸で表す。
また、第2活性層90が、1層の第2井戸層91と、1層の第1中間層93とを含むサンプルを作製し、第1活性層40が発する第1波長光の出力を測定した。この測定結果を白丸で表す。
図6Aにおける縦軸の第1波長光の出力は、第1中間層93を含まず、3層の第2井戸層91を含むサンプルの第1波長光の出力を100%とした場合の相対値を表す。
【0051】
図6Bは、発光素子のサンプルにおける第2活性層90が発する第2波長光の出力の測定結果を示すグラフである。第2波長光は、緑色光である。
第1中間層93を含まない第2活性層90における第2井戸層91の数を、1層、2層、3層と変更したサンプルを作製し、第2活性層90が発する第2波長光の出力をそれぞれ測定した。この測定結果を黒丸で表す。
また、第2活性層90が、1層の第2井戸層91と、1層の第1中間層93とを含むサンプルを作製し、第2活性層90が発する第2波長光の出力を測定した。この測定結果を白丸で表す。
図6Bにおける縦軸の第2波長光の出力は、第1中間層93を含まず、3層の第2井戸層91を含むサンプルの第2波長光の出力を100%とした場合の相対値を表す。
【0052】
上記測定に用いた各サンプルは、以下の構成を有する。
【0053】
基板100はサファイア基板である。
第1n側半導体層20は、n型不純物としてシリコンを含む。第1n側半導体層20のシリコン濃度は、約1×1019/cmである。第1n側半導体層20のシリコン濃度とは、第1n側半導体層20におけるシリコン濃度のうち、最も高いシリコン濃度である。第1n側半導体層20の厚さは、約10μmである。
第1超格子層30は、20層の第3層31と、20層の第4層32とを有する。第3層31は、アンドープの窒化インジウムガリウム層である。第3層31のインジウム組成比は、約7%である。第3層31の厚さは、約1nmである。第4層32は、アンドープの窒化ガリウム層である。第4層32の厚さは、約2nmである。
第1活性層40は、7層の第1井戸層41を有する。第1井戸層41は、アンドープの窒化インジウムガリウム層である。第1井戸層41のインジウム組成比は、約15%である。第1井戸層41の厚さは約3.4nmである。
第1p側半導体層50は、p型不純物としてマグネシウムを含む。第1p側半導体層50のマグネシウム濃度は、約3×1020/cmである。第1p側半導体層50のマグネシウム濃度とは、第1p側半導体層50におけるマグネシウム濃度のうち、最も高いマグネシウム濃度である。第1p側半導体層50の厚さは、約140nmである。
第1トンネル接合層70は、シリコンがドープされたn型窒化ガリウム層を含む。第1トンネル接合層70のシリコン濃度は、約8×1020/cmである。第1トンネル接合層70のシリコン濃度とは、第1トンネル接合層70におけるシリコン濃度のうち、最も高いシリコン濃度である。第1トンネル接合層70の厚さは、約2nmである。
第2超格子層80は、20層の第1層81と、20層の第2層82とを有する。第1層81は、シリコンがドープされた窒化インジウムガリウム層である。第1層81のインジウム組成比は、約7%である。第1層81の厚さは、約1nmである。第2層82は、シリコンがドープされた窒化ガリウム層である。第2層82の厚さは、約2nmである。第1層81及び第2層82のシリコン濃度は、約2×1019/cmである。第1層81及び第2層82のシリコン濃度とは、第1層81及び第2層82におけるシリコン濃度のうち、最も高いシリコン濃度である。
第2活性層90の第2井戸層91は、アンドープの窒化インジウムガリウム層である。第2井戸層91のインジウム組成比は、約23%である。第2井戸層91の厚さは約2.8nmである。第2活性層90が第1中間層93を含むサンプルにおいて、第1中間層93は、アンドープの窒化インジウムガリウム層である。第1中間層93のインジウム組成比は、約10%である。第1中間層93の厚さは約1.5nmである。
第2p側半導体層110は、p型不純物としてマグネシウムを含む。第2p側半導体層110のマグネシウム濃度は、約3×1020/cmである。第2p側半導体層110のマグネシウム濃度とは、第2p側半導体層110におけるマグネシウム濃度のうち、最も高いマグネシウム濃度である。第2p側半導体層110の厚さは、約115nmである。
【0054】
図6Aに示すように、第1中間層93を含まないサンプル(黒丸の測定点)において第2井戸層91の数が減るにしたがって、第1波長光(青色光)の第2井戸層91における吸収が低減し、第1波長光の出力が高くなる傾向がある。一方で、図6Bに示すように、第1中間層93を含まないサンプル(黒丸の測定点)において第2井戸層91の数が減るにしたがって、第2波長光(緑色光)の出力は低くなる傾向がある。
【0055】
第2井戸層91の数を1層とし、第1中間層93を含むサンプルは、第2井戸層91の数を1層とし、第1中間層93を含まないサンプルに比べて、第1波長光の出力をほぼ同じに維持しつつ(図6Aの白丸の測定点)、第2波長光の出力を高くすることができる(図6Bの白丸の測定点)。また、第2井戸層91の数を1層とし、第1中間層93を含むサンプルは、第2井戸層91の数を3層とし、第1中間層93を含まないサンプルに比べて、第1波長光の出力と第2波長光の出力とを合わせた発光素子の出力を高くすることができる。
【0056】
[第2実施形態]
図7に示すように、第2実施形態の発光素子2は、基板100と、半導体構造体10と、p側電極11と、n側電極12とを備える。第2実施形態の発光素子2は、半導体構造体10が、第3n側半導体層120と、第3活性層150と、第3p側半導体層160と、をさらに備えること以外は、実質的に第1実施形態の発光素子1と同じ構造を有する。第3n側半導体層120、第3活性層150、及び第3p側半導体層160は、それぞれが窒化物半導体からなる。
【0057】
第3n側半導体層120は、第2p側半導体層110と接する。第3n側半導体層120は、第2p側半導体層110と接して配置された第2トンネル接合層130を有する。第2トンネル接合層130が第2p側半導体層110と接し、第2p側半導体層110とトンネル接合を形成する。第3n側半導体層120は、さらに、第2トンネル接合層130と第3活性層150との間に配置される第3超格子層140を有することができる。第3超格子層140は、第2超格子層80と同様の構造を有する。第3超格子層140を配置することで、基板100と半導体構造体10との間の格子不整合を緩和し、半導体構造体10における結晶欠陥を低減することができる。
【0058】
第2トンネル接合層130は、第1トンネル接合層70と同様の構造を有する。第2トンネル接合層130は、第3超格子層140のn型不純物濃度よりも高いn型不純物濃度のn型層を含む。第2トンネル接合層130は、例えば、1×1020/cm以上5×1021/cm以下のn型不純物濃度のn型層を含む。
【0059】
第3活性層150は、第3n側半導体層120上に配置される。第3活性層150の発光ピーク波長は、第1活性層40の発光ピーク波長及び第2活性層90の発光ピーク波長よりも長い。第3活性層150は、例えば、赤色光を発する。赤色光の発光ピーク波長は、615nm以上750nm以下である。
【0060】
図8に示すように、第3活性層150は、第3井戸層151と、第2中間層153と、第7障壁層152と、第8障壁層155と、第9障壁層156とを有する。第3活性層150は、第3井戸層151と第7障壁層152との組を複数組有してもよい。この場合、複数の第3井戸層151のうち隣り合う第3井戸層151間に、第7障壁層152が位置する。
【0061】
第2中間層153は、第3井戸層151よりも第2活性層90側に位置する。第7障壁層152は、第3井戸層151と第2中間層153との間に位置する。第3活性層150において、最下層に第8障壁層155が位置し、最上層に第9障壁層156が位置する。第3井戸層151と第7障壁層152との組を複数組有する場合、第2中間層153は、複数の第7障壁層152のうち最下層の第7障壁層152と、第8障壁層155との間に位置する。第3井戸層151は、第7障壁層152と第9障壁層156との間に位置する。第3井戸層151と第7障壁層152との組を複数組有する場合、複数の第3井戸層151のうち最上層の第3井戸層151が、複数の第7障壁層152のうち最上層の第7障壁層152と、第9障壁層156との間に位置する。
【0062】
第3井戸層151は、インジウムを含む。第3井戸層151は、例えば、アンドープの窒化インジウムガリウムからなる。第3井戸層151のインジウム組成比は、第2井戸層91のインジウム組成比よりも高い。第3井戸層151のインジウム組成比は、例えば、25%以上40%以下、好ましくは30%以上35%以下とすることができる。第3井戸層151の厚さは、例えば、2nm以上4nm以下とすることできる。
【0063】
第2中間層153は、インジウムを含む。第2中間層153は、例えば、アンドープの窒化インジウムガリウムからなる。第2中間層153のインジウム組成比は、第2井戸層91のインジウム組成比よりも低い。また、第2中間層153のインジウム組成比は、第1中間層93のインジウム組成比と同じ、又は低くすることできる。第2中間層153の厚さは、第3井戸層151の厚さよりも薄い。
【0064】
第7障壁層152、第8障壁層155、及び第9障壁層156のバンドギャップは、第3井戸層151のバンドギャップ及び第2中間層153のバンドギャップよりも広い。第7障壁層152、第8障壁層155、及び第9障壁層156は、例えば、窒化ガリウムからなる。
【0065】
第7障壁層152の厚さ、第8障壁層155の厚さ、及び第9障壁層156の厚さは、それぞれ第3井戸層151の厚さよりも厚い。第7障壁層152の厚さ、第8障壁層155の厚さ、及び第9障壁層156の厚さは、例えば、3nm以上15nm以下とすることができる。
【0066】
第3p側半導体層160は、第3活性層150上に配置される。第3p側半導体層160は、p型不純物を含むp型層を有する。第3p側半導体層160のp型層は、例えば、p型不純物としてマグネシウム(Mg)を含む。第3p側半導体層160は、正孔を供給する機能を有していればよく、アンドープ層を含んでいてもよい。
【0067】
第3p側半導体層160の上面上に、p側電極11が配置される。p側電極11は、第3p側半導体層160に電気的に接続している。
【0068】
第2実施形態の発光素子2において、p側電極11とn側電極12との間に順方向電圧を印加する。このとき、第1活性層40、第2活性層90、及び第3活性層150に順方向電流が供給され、第1活性層40、第2活性層90、及び第3活性層150が発光する。
【0069】
第1活性層40の上に第2活性層90を配置し、第2活性層90の上に第3活性層150を配置することで、1つの活性層を有する発光素子、及び2つの活性層を有する第1実施形態の発光素子1に比べて、単位面積当たりの出力を高くすることができる。発光素子2は、第1活性層40が発する第1波長光(例えば青色光)と、第2活性層90が発する第2波長光(例えば緑色光)と、第3活性層150が発する第3波長光(例えば赤色光)と、の混合色の光を発する。
【0070】
p側電極11とn側電極12との間に順方向電圧が印加されたとき、第2n側半導体層60と第1p側半導体層50との間、及び第3n側半導体層120と第2p側半導体層110との間には逆方向電圧が印加されることになる。そのため、第2n側半導体層60及び第1p側半導体層50においてトンネル接合を形成するn型層及びp型層の不純物濃度を高くし、且つ第3n側半導体層120及び第2p側半導体層110においてトンネル接合を形成するn型層及びp型層の不純物濃度を高くすることで、第2n側半導体層60と第1p側半導体層50との接合により形成される空乏層の幅、及び第3n側半導体層120と第2p側半導体層110との接合により形成される空乏層の幅を狭くしている。これにより、p型層の価電子帯に存在する電子を、n型層の伝導帯にトンネリングさせることで、第2n側半導体層60と第1p側半導体層50との間、及び第3n側半導体層120と第2p側半導体層110との間に電流を流しやすくできる。
【0071】
第2実施形態によれば、第2p側半導体層110と第3n側半導体層120とが形成するトンネル接合と、第3井戸層151との間に第2中間層153を配置することで、第3井戸層151と、トンネル接合を形成するp型層との距離を長くすることができ、トンネル接合を形成するp型層からp型不純物(例えば、マグネシウム)が第3井戸層151に拡散しにくくなる。これにより、第3井戸層151にp型不純物が拡散することによる第3井戸層151の結晶性の悪化を低減し、第3井戸層151が発する光の出力を向上させることができる。
【0072】
第2中間層153のバンドギャップは、第2中間層153に接して配置される第7障壁層152のバンドギャップ及び第8障壁層155のバンドギャップよりも狭く、第2中間層153の厚さは第3井戸層151の厚さよりも薄いため、トンネル効果が得られ、順方向電圧を低減できる。第2中間層153の厚さは、例えば、1nm以上2nm以下とすることが好ましい。第2中間層153の厚さは、第1中間層93の厚さ以下とすることができる。
【0073】
また、第2中間層153のインジウム組成比は、第2井戸層91のインジウム組成比よりも低いため、第2井戸層91が発した光の第2中間層153における吸収を低減できる。第2中間層153のインジウム組成比は、例えば、8%以上12%以下とすることが好ましい。
【0074】
第1井戸層41が発した光の第3活性層150における吸収をより低減するために、第3井戸層151の数は、第1井戸層41の数よりも少なくすることが好ましい。第3井戸層151の数は、例えば、1つとすることができる。
【0075】
第1実施形態の発光素子1が有する第1活性層40及び第2活性層90は、それぞれ個別に点灯制御してもよい。例えば、第2n側半導体層60に電気的に接続される電極を配置することで、第1活性層40及び第2活性層90をそれぞれ個別に点灯制御してもよい。第2実施形態の発光素子2が有する第1活性層40、第2活性層90、及び第3活性層150は、それぞれ個別に点灯制御してもよい。例えば、第2n側半導体層60に電気的に接続される電極と、第3n側半導体層120に電気的に接続される電極とを配置し、第1活性層40、第2活性層90、及び第3活性層150を個別に点灯制御してもよい。
【0076】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。本発明の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものである。
【0077】
本発明の実施形態は、以下の発光素子を含む。
【0078】
[項1]それぞれが窒化物半導体からなる、第1n側半導体層と、インジウムを含む第1井戸層を有する第1活性層と、第1p側半導体層と、前記第1p側半導体層と接する第2n側半導体層と、インジウムを含む第2井戸層を有する第2活性層と、第2p側半導体層と、
を順に備え、
前記第2活性層は、前記第2井戸層よりも前記第1活性層側に位置し、インジウムを含む第1中間層を有し、
前記第1井戸層のインジウム組成比は、前記第2井戸層のインジウム組成比よりも低く、
前記第1中間層のインジウム組成比は、前記第1井戸層のインジウム組成比よりも低く、
前記第1中間層の厚さは、前記第2井戸層の厚さよりも薄い発光素子。
[項2]前記第2井戸層の数は、前記第1井戸層の数よりも少ない上記項1に記載の発光素子。
[項3]前記第2n側半導体層は、超格子層をさらに有し、
前記超格子層は、インジウムを含む複数の第1層と、前記複数の第1層のうち隣り合う第1層間に位置する第2層と、を有し、
前記第1層のインジウム組成比は、前記第1中間層のインジウム組成比よりも低い上記項1または2に記載の発光素子。
[項4]前記第2井戸層の数は、1つである上記項1~3のいずれか1つに記載の発光素子。
[項5]前記第1中間層のインジウム組成比は、8%以上12%以下である上記項1~4のいずれか1つに記載の発光素子。
[項6]前記第1井戸層のインジウム組成比は、12%以上18%以下であり、
前記第2井戸層のインジウム組成比は、20%以上25%以下である上記項1~5のいずれか1つに記載の発光素子。
[項7]前記第2井戸層の厚さは、前記第1井戸層の厚さよりも薄い上記項1~6のいずれか1つに記載の発光素子。
[項8]前記第1中間層の厚さは、1nm以上2nm以下である上記項1~7のいずれか1つに記載の発光素子。
[項9]前記第1井戸層、前記第2井戸層、及び前記第1中間層は、窒化インジウムガリウムからなる上記項1~8のいずれか1つに記載の発光素子。
[項10]さらに、それぞれが窒化物半導体からなる、前記第2p側半導体層と接する第3n側半導体層と、インジウムを含む第3井戸層を有する第3活性層と、第3p側半導体層と、を順に備え、
第3活性層は、前記第3井戸層よりも前記第2活性層側に位置し、インジウムを含む第2中間層を有し、
前記第2井戸層のインジウム組成比は、前記第3井戸層のインジウム組成比よりも低く、
前記第2中間層のインジウム組成比は、前記第2井戸層のインジウム組成比よりも低く、
前記第2中間層の厚さは、前記第3井戸層の厚さよりも薄い上記項1~9のいずれか1つに記載の発光素子。
[項11]前記第3井戸層の数は、前記第1井戸層の数よりも少ない上記項10に記載の発光素子。
[項12]前記第3井戸層のインジウム組成比は、25%以上40%以下である上記項10または11に記載の発光素子。
[項13]前記第2中間層の厚さは、1nm以上2nm以下である上記項10~12のいずれか1つに記載の発光素子。
【符号の説明】
【0079】
1,2…発光素子、10…半導体構造体、11…p側電極、12…n側電極、20…第1n側半導体層、30…第1超格子層、31…第3層、32…第4層、40…第1活性層、41…第1井戸層、50…第1p側半導体層、60…第2n側半導体層、70…第1トンネル接合層、80…第2超格子層、81…第1層、82…第2層、90…第2活性層、91…第2井戸層、93…第1中間層、100…基板、110…第2p側半導体層、120…第3n側半導体層、130…第2トンネル接合層、140…第3超格子層、150…第3活性層、151…第3井戸層、153…第2中間層、160…第3p側半導体層

図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8