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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20240405BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20240405BHJP
   G10L 25/66 20130101ALI20240405BHJP
   G16H 50/20 20180101ALI20240405BHJP
【FI】
A61B10/00 H
A61B5/16 120
G10L25/66
G16H50/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022517542
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2021010502
(87)【国際公開番号】W WO2021220646
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2020078995
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、国立研究開発法人科学技術振興機構 研究成果展開事業 センター・オブ・イノベーションプログラム『自分で守る健康社会拠点』委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】322006559
【氏名又は名称】PST株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】大宮 康宏
(72)【発明者】
【氏名】篠原 修二
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/013296(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/013302(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107657964(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/16
A61B 10/00
G16H 50/00
G10L 25/66
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者が発話した音声データを入力する手段と、
前記入力した音声データにおける音圧の時系列データを取得する手段と、
前記取得した音圧の時系列データが中心に向かう力及び中心から離れる力に基づいた指標である中心力指標を算出する手段と、
を備え
前記中心力指標は、前記取得した音圧の時系列データが中心に向かう力の合計から中心から離れる力の合計を減算した値を、中心に向かう力の数及び中心から離れる力の数の総数で除した値である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記求めた中心力指標を出力する出力手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
情報処理装置で実行される方法であって、
被検者が発話した音声データを入力する工程と、
前記入力した音声データにおける音圧の時系列データを取得する工程と、
前記取得した音圧の時系列データが中心に向かう力及び中心から離れる力に基づいた指標である中心力指標を求める工程と、
を備え
前記中心力指標は、前記取得した音圧の時系列データが中心に向かう力の合計から中心から離れる力の合計を減算した値を、中心に向かう力の数及び中心から離れる力の数の総数で除した値である、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の情報処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、方法、及びプログラムに関し、詳しくは、被験者の健康状態の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者のうつ病の状態を評価する尺度として、ハミルトンうつ病評価尺度(以下、「HAMD」と呼ぶ)が知られている。このHAMDは、被験者の自己評価式尺度ではなく、検査を担当する医師等が面接をする形式で点数化し採点し、その結果に応じて被験者のうつ病の状態を評価するものである。
また、特許文献1には、問診結果を健康状態提示装置に入力し、問診結果を評価することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-4507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、検査を担当する医師等が被験者に30分程度の面接をする形式で点数化し採点する必要があり、被験者および検者双方への負担となるおそれがあり、より簡易に被験者のうつ病の状態を評価することが出来る指標の提供が望まれていた。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より簡易にうつ病の有無またはうつ病の重症度を評価可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、情報処理装置であって、被検者が発話した音声データを入力する手段と、前記入力した音声データにおける音圧の時系列データを取得する手段と、前記取得した音圧の時系列データが中心に向かう力及び中心から離れる力に基づいた指標である中心力指標を算出する手段と、を備え、 前記中心力指標は、前記取得した音圧の時系列データが中心に向かう力の合計から中心から離れる力の合計を減算した値を、中心に向かう力の数及び中心から離れる力の数の総数で除した値である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より簡易にうつ病の有無またはうつ病の重症度を評価可能な情報処理装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例1に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】情報処理装置10によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図3】音圧の時系列データの一例を示す図である。
図4】ある被験者が行った発話に対して図1の情報処理装置10で求めた中心力の強さすなわち中心力指標を縦軸に、その被検者のHAMDスコアを横軸にして、複数の被験者のデータをプロットしたグラフである。
図5A】中心力の強さとHAMDスコアとの相関を、中心力の強さを求めるために被検者が発話するフレーズを異ならせて示す図である。
図5B】中心力の強さとHAMDスコアとの相関を、中心力の強さを求めるために被検者が発話するフレーズを異ならせて示す図である。
図5C】中心力の強さとHAMDスコアとの相関を、中心力の強さを求めるために被検者が発話するフレーズを異ならせて示す図である。
図5D】中心力の強さとHAMDスコアとの相関を、中心力の強さを求めるために被検者が発話するフレーズを異ならせて示す図である。
図5E】中心力の強さとHAMDスコアとの相関を、中心力の強さを求めるために被検者が発話するフレーズを異ならせて示す図である。
図5F】中心力の強さとHAMDスコアとの相関を、中心力の強さを求めるために被検者が発話するフレーズを異ならせて示す図である。
図5G】中心力の強さとHAMDスコアとの相関を、中心力の強さを求めるために被検者が発話するフレーズを異ならせて示す図である。
図5H】中心力の強さとHAMDスコアとの相関を、中心力の強さを求めるために被検者が発話するフレーズを異ならせて示す図である。
図5I】中心力の強さとHAMDスコアとの相関を、中心力の強さを求めるために被検者が発話するフレーズを異ならせて示す図である。
図5J】中心力の強さとHAMDスコアとの相関を、中心力の強さを求めるために被検者が発話するフレーズを異ならせて示す図である。
図6図1の情報処理装置10で求めた中心力の強さにより、健常者とうつ病患者のスクリーニングをした結果のROC曲線を示す図である。
図7図1の情報処理装置10で求めた中心力の強さにより、うつ病の重症度に応じたスクリーニングをした結果のROC曲線を示す図である。
図8】健常者及びうつ病患者のそれぞれによる、異なる発話内容の複数の発話のそれぞれに対して図1の情報処理装置10で求めた中心力の強さを縦軸に示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例1に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、全体の動作を制御する制御部11と、各種の入出力を行う入出力部12と、各種データやプログラム等を記憶する記憶部13と、外部との通信を行う通信部14と、各ブロック同士が相互通信可能なように接続する内部バス15と、を有する。
【0011】
情報処理装置10は、例えばコンピュータであり、スマートフォン、PDA、タブレット、又はノートパソコンなどの、被験者が携帯可能な装置であってもよいし、被験者が携帯せずに設置位置に固定されたコンピュータでもよい。PDAは、Personal Digital Assistantの略称である。
【0012】
制御部11は、例えばCPU、MCU又はMPUと呼ばれる装置であり、例えば記憶部13に記憶されたプログラムが実行される。CPUはCentral Processing Unitの略称である。MCUはMicro Controller Unitの略称である。MPUはMicro Processor Unitの略称である。
【0013】
入出力部12は、情報処理装置10を操作する被験者に対する入出力を行う装置である。入出力部12は、ディスプレイ、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル、プリンタ、マイク、及びスピーカなどによる、情報や信号の入出力を行う。本実施例では、入出力部12は、少なくともマイクの役割を果たし、このマイクによって音声データを入力する。また、本実施例では、入出力部12は、少なくともディスプレイの役割を果たし、このディスプレイに、後述する中心力指標やうつ病の状態を表示する。
【0014】
記憶部13は、例えば、ROM、RAM、HDD、又はフラッシュメモリといった装置であり、制御部11で実行するプログラムや各種データを記憶する。ROMは、Read Only Memoryの略称である。RAMは、Random Access Memoryの略称である。HDDは、Hard Disk Driveの略称である。
【0015】
通信部16は、外部との通信を行う。通信部16による通信は、有線通信でもよいし、無線通信でもよい。通信部16による通信は、如何なる通信方式でもよい。制御部11は、通信部16によって、音声データなどの各種データの送受信を行うことが出来る。制御部11は、後述する中心力指標やうつ病の有無またはうつ病の重症度を、通信部16によって外部機器に送信するようにしてもよい。
【0016】
図2は、情報処理装置10によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。本実施例では、詳しくは後述するように、被験者の発話から中心力指標(中心力の強さ)を求める。この中心力指標は、後述するようにHAMDスコアと相関があるため、被験者に簡単な発話をしてもらうだけで、HAMDが実施できない環境においてその代わりとなるスクリーニング検査を行うことが出来る。
まず、制御部11は、入出力部12(例えばマイク)によって被験者の音声データを入力する(ステップS201)。このとき、被験者はマイクに向けて発話を行う。本実施例で用いる中心力指標は、後述するようにフレーズ依存性が少ない。このため、被験者が必ずしも同じフレーズを話さなくても、かつ、少ない発話数でも、正確な測定を行うことが出来る。なお、ステップS201で入力する音声データはあらかじめ録音しておいた音声データであってもよい。続いて、制御部11は、ステップS201で入力された音声データから、音圧の時系列データを取得する(ステップS202)。続いて、制御部11は、ステップS202で取得した音圧の時系列データから、中心力指標を算出する(ステップS203)。続いて、制御部11は、ステップS203で算出した中心力指標を、入出力部12(例えばディスプレイ)によって出力する(ステップS204)。このとき、中心力指標そのものを出力してもよいし、中心力指標に対応した被験者のうつ病の有無またはうつ病の重症度を出力してもよいし、中心力指標に対応したHAMDスコアを出力してもよい。
【0017】
ここで、図2のステップS202で取得する音圧の時系列データについて説明する。
図3は、音圧の時系列データの一例を示す図である。図3において、横軸は時間であり、縦軸は音圧である。ステップS202では、ステップS201で入力された音声データから、時間ごとに音圧を求める。図3の例では、ステップS201で入力された音声データが、時刻t-1にx(t-1)の音圧であり、時刻tにx(t)の音圧であり、時刻t+1にx(t+1)の音圧であることを示している。
【0018】
次に、図2のステップS203で算出する中心力指標について説明する。
まず、例えば、音圧の最大値と最小値との間の中間値を中心と定める。図3において、時刻t-1から時刻tに進むと、音圧は、x(t-1)からx(t)に変化し、音圧は増加している。続いて時刻tから時刻t+1に進むと、音圧は、x(t)からx(t+1)に変化し、音圧は減少している。
【0019】
時刻t-1から時刻t+1の間を見ると、時刻tの音圧は中心より上にあり、前後の時刻の音圧は中心より下にあるため、時刻tでは中心に向かう力が生じているとする。
ある時刻の音圧が中心より上にあり、前後いずれかの時刻の音圧が中心より下にある場合、その時刻では中心に向かう力が生じているとする。
ある時刻の音圧が中心より下にあり、前後いずれかの時刻の音圧が中心より上にある場合、その時刻では中心に向かう力が生じているとする。
ある時刻及び前後の時刻の音圧が中心より上にある場合、ある時刻の音圧が前後の時刻の音圧よりも強い場合、その時刻では中心に向かう力が生じているとする。
ある時刻及び前後の時刻の音圧が中心より上にある場合、ある時刻の音圧が前後の時刻の音圧よりも弱い場合、その時刻では中心から離れる力が生じているとする。
ある時刻及び前後の時刻の音圧が中心より下にある場合、ある時刻の音圧が前後の時刻の音圧よりも強い場合、その時刻では中心から離れる力が生じているとする。
ある時刻及び前後の時刻の音圧が中心より下にある場合、ある時刻の音圧が前後の時刻の音圧よりも弱い場合、その時刻では中心に向かう力が生じているとする。
【0020】
数1は、時刻tにおける中心に向かう力及び中心から離れる力を示すF(t)を求める数式である。
【数1】
【0021】
中心力の強さすなわち中心力指標は、例えば、音圧の時系列データが中心に向かう力の合計から中心から離れる力の合計を減算した値を、中心に向かう力の数及び中心から離れる力の数の総数で除した値である、
中心力指標の算出には、以下の(1)、(2)及び(3)の処理を行う。
(1) 数1でF(t)を求める。
(2) X(t)が中心より上の場合、符号を逆転させる。
(3) F(t)が正の場合中心に向かう力とし、F(t)が負の場合中心から離れる力とする。
【0022】
図4は、ある被験者が行った発話に対して図1の情報処理装置10で求めた中心力の強さすなわち中心力指標を縦軸に、その被検者のHAMDスコアを横軸にして、複数の被験者のデータをプロットしたグラフである。図4に示すように、中心力の強さとHAMDスコアとの間には相関が認められ、中心力指標をHAMDスコアが実施できない環境においてその代わりとして用いる有効性が確認できた。
【0023】
図5A図5Jは、図4のように中心力の強さとHAMDスコアとの相関を、中心力の強さを求めるために被検者が発話するフレーズを異ならせて示す図である。
図5Aのグラフは、「いろはにほへと」と発話した際の中心力の強さとHAMDスコアとの相関を示すグラフである。
図5Bのグラフは、「本日は晴天なり」と発話した際の中心力の強さとHAMDスコアとの相関を示すグラフである。
図5Cのグラフは、「昔々ある所に」と発話した際の中心力の強さとHAMDスコアとの相関を示すグラフである。
図5Dのグラフは、「ガラパゴス諸島」と発話した際の中心力の強さとHAMDスコアとの相関を示すグラフである。
図5Eのグラフは、「疲れてぐったりしています」と発話した際の中心力の強さとHAMDスコアとの相関を示すグラフである。
図5Fのグラフは、「とても元気です」と発話した際の中心力の強さとHAMDスコアとの相関を示すグラフである。
図5Gのグラフは、「昨日はよく眠れました」と発話した際の中心力の強さとHAMDスコアとの相関を示すグラフである。
図5Hのグラフは、「食欲があります」と発話した際の中心力の強さとHAMDスコアとの相関を示すグラフである。
図5Iのグラフは、「怒りっぽいです」と発話した際の中心力の強さとHAMDスコアとの相関を示すグラフである。
図5Jのグラフは、「心が穏やかです」と発話した際の中心力の強さとHAMDスコアとの相関を示すグラフである。
図5A図5Jの各グラフを参照すると、中心力の強さとHAMDスコアとは、フレーズに依存せずに相関を有することがわかる。
【0024】
図6は、図1の情報処理装置10で求めた中心力の強さにより、健常者とうつ病患者のスクリーニングをした結果のROC曲線を示す図である。
図6(A)は、健常者と、軽症及び重症のうつ病患者のスクリーニングをした場合を示している。図6(A)に示すように、情報処理装置10によれば、AUC(Area Under the Curve)は0.92である。AUCは0.5から1までの値をとり、値が1に近いほど判別能が高いことを示す。また、感度は89%であるとき、特異度は91%である。このことから、図1の情報処理装置10によれば、判別能が高いスクリーニングを行うことが出来る。
図6(B)は、健常者と、症状なし、軽症及び重症のうつ病患者のスクリーニングをした場合を示している。図6(B)に示すように、情報処理装置10によれば、AUCは0.86である。また、感度は81%であるとき、特異度は83%である。このことから、図1の情報処理装置10によれば、判別能が高いスクリーニングを行うことが出来る。
【0025】
図7は、図1の情報処理装置10で求めた中心力の強さにより、うつ病の重症度に応じたスクリーニングをした結果のROC曲線を示す図である。
図7(A)は、症状なしのうつ病患者(No depression)と、軽症及び重症のうつ病患者(Depression)のスクリーニングをした場合を示している。図7(A)に示すように、情報処理装置10によれば、AUCは0.814である。このことから、図1の情報処理装置10によれば、判別能が高いスクリーニングを行うことが出来る。
図7(B)は、症状なしのうつ病患者(No depression)と、重症のうつ病患者(Severe)のスクリーニングをした場合を示している。図7(B)に示すように、情報処理装置10によれば、AUCは0.918である。このことから、図1の情報処理装置10によれば、判別能が高いスクリーニングを行うことが出来る。
図7(C)は、症状なしのうつ病患者(No depression)と、軽症のうつ病患者(Mild)のスクリーニングをした場合を示している。図7(C)に示すように、情報処理装置10によれば、AUCは0.795である。このことから、図1の情報処理装置10によれば、判別能が高いスクリーニングを行うことが出来る。
図7(D)は、軽症のうつ病患者(Mild)と、重症のうつ病患者(Severe)のスクリーニングをした場合を示している。図7(D)に示すように、情報処理装置10によれば、AUCは0.708である。このことから、図1の情報処理装置10によれば、判別能が高いスクリーニングを行うことが出来る。
【0026】
図8は、健常者及びうつ病患者のそれぞれによる、異なる発話内容の複数の発話のそれぞれに対して図1の情報処理装置10で求めた中心力の強さを縦軸に示したグラフである。
図8のグラフでは、横軸に、健常者及びうつ病患者のそれぞれによる、異なる発話内容の複数の発話のそれぞれを配置している。図8において、フレーズP1~P12は、互いに異なる発話内容のフレーズである。Aveは、フレーズP1~P12の平均値である。
図8では、フレーズP1~P17及び平均値Aveごとに、重症のうつ病患者の中心力の強さを一番左の棒グラフで示し、軽症のうつ病患者の中心力の強さを左から二番目の棒グラフで示し、症状なしのうつ病患者の中心力の強さを左から三番目の棒グラフで示し、健常者の中心力の強さを一番右の棒グラフで示している。
図8を参照すると、被験者が発する発話内容の違いによって、中心力の強さが大きく変わらないことがわかる。
【0027】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではない。本発明の目的は、上述の実施例の機能を実現するプログラムコード(コンピュータプログラム)を格納した記憶媒体をシステムあるいは装置に供給し、供給されたシステムあるいは装置のコンピュータが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、上述した実施形態では、コンピュータがプログラムを実行することにより、各処理部として機能するものとしたが、処理の一部または全部を専用の電子回路(ハードウェア)で構成するようにしても構わない。本発明は、説明された特定の実施例に限定されるものではなく、各実施例の各構成同士の置換を含み、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0028】
本出願は、2020年4月28日に出願された日本特許出願である特願2020-78995号に基づく優先権を主張し、当該日本特許出願に記載されたすべての記載内容を援用する。
【符号の説明】
【0029】
10 情報処理装置
11 制御部
12 入出力部
13 記憶部
14 通信部
15 内部バス

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6
図7
図8