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特許7466658複数の歯部が設けられた磁気的に制御される保持リング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】複数の歯部が設けられた磁気的に制御される保持リング
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/32 20120101AFI20240405BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240405BHJP
   B24B 49/04 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
B24B37/32 Z
B24B41/06 L
B24B49/04 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022544301
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 US2021039438
(87)【国際公開番号】W WO2022010687
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】63/049,609
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スウェデク, ボグスロー エー.
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-051501(JP,A)
【文献】特開2008-131049(JP,A)
【文献】特開2000-094311(JP,A)
【文献】特開2001-274126(JP,A)
【文献】特開2000-127024(JP,A)
【文献】米国特許第06354928(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B37/00-37/34
B24B41/06
H01L21/304;21/463
B24B49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアヘッドに取り付けられるよう構成された保持リングアセンブリであって、
下面と、内面と、外面と、複数の溝と、を含む保持リングであって、前記下面が、研磨プロセス中に研磨パッドと接触するよう構成され、前記複数の溝のそれぞれが、前記下面に形成され前記内面から前記外面へと延びている、保持リングと、
複数のリテーナであって、各リテーナが、前記保持リングの対応する溝の中に少なくとも部分的に配置された可動歯部を含み、前記可動歯部は、前記可動歯部の底面と前記下面との間の第1の方向の距離を調節するように前記下面に対して可動であり、前記第1の方向が、前記下面に対して垂直である、複数のリテーナと、
を備えた、保持リングアセンブリ。
【請求項2】
各リテーナが、シャフト及び可動磁石をさらに含み、前記可動歯部が、前記シャフトの下端に結合されており、前記可動磁石が、前記シャフトの上端に結合されている、請求項1に記載の保持リングアセンブリ。
【請求項3】
前記保持リングが、前記複数の溝と位置合わせされた複数の貫通孔をさらに含み、各シャフトが、対応する貫通孔内に配置されている、請求項2に記載の保持リングアセンブリ。
【請求項4】
前記複数のリテーナが、前記保持リングの中心軸の周りに配置されている、請求項1に記載の保持リングアセンブリ。
【請求項5】
基板を研磨するためのシステムであって、
複数の固定磁石を含むハウジングと、
前記ハウジングの近傍に配置されたキャリアヘッドと、
前記キャリアヘッドに取り付けられた保持リングアセンブリと、
を備え、
前記保持リングアセンブリが、
下面と、内面と、外面と、複数の溝と、を含む保持リングであって、前記下面が、研磨プロセス中に研磨パッドと接触するよう構成され、前記複数の溝のそれぞれが、前記下面に形成され前記内面から前記外面へと延びている、保持リング、
前記複数の固定磁石のうちの第1の固定磁石の磁場内に配置された可動磁石、及び
前記可動磁石に接続されており、前記複数の溝のうちの或る溝の中に配置された可動歯部であって、前記可動歯部は、前記可動歯部の底面と前記下面との間の第1の方向の距離を調節するように前記下面に対して可動であり、前記第1の方向が、前記下面に対して垂直である、可動歯部
を含む、基板を研磨するためのシステム。
【請求項6】
前記複数の固定磁石が、前記ハウジングの底面に取り付けられており、前記複数の固定磁石が、前記キャリアヘッドの中心軸の周りに配置されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の固定磁石同士が、前記キャリアヘッドの前記中心軸の周りに、180度以下の角度で配置されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記キャリアヘッドが、前記ハウジングの下方に配置されており、前記キャリアヘッドが、前記ハウジングの前記底面に面した上面を有しており、前記可動磁石が、前記キャリアヘッドの前記上面の上方に少なくとも部分的に配置されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記キャリアヘッドが、前記中心軸周りに回転するよう構成され、前記可動磁石は、前記キャリアヘッドが前記中心軸周りに回転する間、前記複数の固定磁石のそれぞれにより生成されるそれぞれの磁場を通過するよう構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記可動歯部が、前記複数の溝のうちの或る溝の中で前記第1の方向に移動可能であ、請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
前記可動歯部の底面と前記下面との間において前記第1の方向に形成される間隙を制御するための、フィードバック制御システムをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記可動歯部は、前記保持リングの前記下面が研磨パッド上に配置されたときには、前記研磨パッドに対して下向きの力を加えるよう構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記研磨パッドに対する前記可動歯部の前記下向きの力を制御するためのフィードバック制御システムをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記フィードバック制御システムが、研磨中に、ウエハ上に形成された膜層の厚さに対応する信号を受信するよう構成され、前記フィードバック制御システムが、受信された前記信号に基づいて前記下向きの力を能動的に制御するよう構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムが、前記複数の固定磁石に結合された複数の歪みゲージをさらに含み、前記複数の歪みゲージが、前記可動歯部の前記下向きの力を測定するよう構成され、
前記フィードバック制御システムが、前記測定に基づいて、前記可動歯部の前記下向きの力を制御するよう構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記可動磁石が強磁性材料を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の固定磁石が電磁石である、請求項5に記載のシステム。
【請求項18】
基板を研磨する方法であって、
研磨システム内に前記基板を配置することであって、前記研磨システムが、
複数の固定磁石を含むハウジングと、
前記ハウジングの近傍に配置されたキャリアヘッドと、
前記キャリアヘッドに取り付けられた保持リングアセンブリと、
を備え、
前記保持リングアセンブリが、
下面と、内面と、外面と、複数の溝と、を含む保持リングであって、前記下面が、研磨プロセス中に研磨パッドと接触するよう構成され、前記複数の溝のそれぞれが、前記下面に形成され前記内面から前記外面へと延びている、保持リング、
可動磁石、及び
前記可動磁石に接続されており、前記複数の溝のうちの或る溝の中に配置された可動歯部であって、前記可動歯部は、前記可動歯部の底面と前記下面との間の第1の方向の距離を調節するように前記下面に対して可動であり、前記第1の方向が、前記下面に対して垂直である、可動歯部
を含む、
研磨システム内に前記基板を配置することと、
前記ハウジングに対して第1の角度位置へと前記キャリアヘッドを回転させることであって、前記キャリアヘッドが前記第1の角度位置にあるときには、前記可動歯部が第1の垂直方向位置を有する、第1の角度位置へと前記キャリアヘッドを回転させることと、
前記ハウジングに対して第2の角度位置へと前記キャリアヘッドを回転させることであって、前記第2の角度位置は、前記第1の角度位置とは異なっており、前記可動歯部が、前記第1の垂直方向位置とは異なる第2の垂直方向位置へと移動する、第2の角度位置へと前記キャリアヘッドを回転させることと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記キャリアヘッドを前記第2の角度位置へと回転させることで、前記可動磁石を、前記複数の固定磁石のうちの第1の固定磁石と位置合わせし、前記可動歯部を前記第1の固定磁石に対して移動させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の固定磁石が電磁石であり、前記可動歯部の移動距離が、前記第1の固定磁石に印加される電流によって制御される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、基板を研磨及び/又は平坦化するための装置及び方法に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、化学機械研磨(CMP:chemical mechanical polishing)のために利用されるキャリアヘッドのための保持アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の作製中には、例えば酸化物、銅といった様々な層が、後続の層が形成される前に段差又は凸凹を除去するために研磨を必要とする。研磨は、荒い表面、凝集した材料、結晶格子の損傷、引っかき傷、汚染された層又は材料といった、望まれぬ表面外形及び表面の欠陥を解消する際に有用である。研磨はまた、フィーチャを充填するために使用された余剰の堆積材料を除去することにより基板上にフィーチャを形成する際にも、さらには、後続の金属化レベル及び処理レベルのために平らな表面を提供するためにも有用である。
【0003】
研磨は、典型的には、化学機械研磨(CMP:chemical mechanical polishing)又は電気化学機械研磨(ECMP:electro-chemical mechanical polishing)といったプロセスを使用して、機械的、化学的、及び/又は電気的に行われる。
【0004】
CMPは、機械的及び化学的な相互作用の組み合わせを介して、スラリの存在下で基板の表面から材料を除去する。CMPの間、回転している研磨パッド上へとスラリが供給され、基板が、キャリアヘッドによって研磨パッドに押し付けられる。キャリアヘッドはまた、基板を回転させ、基板を研磨パッドに対して移動させることもできる。キャリアヘッドと研磨パッドとの間の運動と、スラリに含まれる化学物質と、の結果として、基板表面が平坦化される。
【0005】
キャリアヘッドは、複数の様々な径方向ゾーンを有する膜を含み、この複数の様々な径方向ゾーンが基板と接触する。幾つかの実施形態において、膜は、3個以上のゾーンを含むことができ、例えば3個のゾーンから11個のゾーン、例えば、3個、5個、7個、又は11個のゾーンを含むことができる。様々な径方向ゾーンを使用して、膜の裏側により画定されるチャンバに加えられる圧力が、膜によって基板に対して加えられる力の中心からエッジへのプロファイルを制御するため、従って、基板によって研磨パッドに対して加えられる力の中心からエッジへのプロファイルを制御するために選択されうる。上記のゾーンは、典型的に、外側から内側へと(例えば、11ゾーンの膜について、外側のゾーン1から内側のゾーン11へと)ラベル付けされる。CMPにおける一般的な問題は、エッジ効果(すなわち、基板の最も外側の5~10mmの研磨のしすぎ又は研磨不足)が発生することである。エッジ効果を解消するために、膜の外側ゾーン(典型的に、ゾーン1及びゾーン2と称される)は、内側ゾーン(典型的に、ゾーン10及びゾーン11と称される)よりも、互いに接近して間隔が置かれており、外側エッジのより短い径方向距離に亘ってより厳密な圧力制御が提供する。しかしながら、このような接近した間隔によって、外側ゾーンの設計の複雑性が増して、キャリアヘッドの製造がより困難なものとなりうる。
【0006】
保持リングが、半導体基板を保持するためにキャリアヘッドに固定されており、(例えば、エッジ効果を最小に抑えることによって、)基板表面の最終的に得られる仕上げ及び平坦性を改善する。保持リングは、研磨中に研磨パッドに接触するための底面と、キャリアヘッドに固定された上面と、を有する。底面は、研磨パッドを予め圧縮し、前縁の高圧領域を基板から移動させることが可能である。底面は、複数の溝を含んでおり、底面が研磨パッドと接触しているときにも、保持リングの外側から基板への研磨スラリの移動を促進する。既存の保持リングは、固定数の溝と、固定の溝形状と、固定の溝寸法と、を有しており、このことが、処理中にリングの範囲内でのスラリの取込み及び保持を改善及び/又は最適化することを困難にする。既存の保持リングが通常の使用により摩耗するにつれて、溝の高さが縮小し、これにより、スラリの取込量及び保持量が時間と共に徐々に変化する。既存の保持リングの設計は、スクレイピング(scraping)効果に苦慮している可能性もあり、このことで全体的なスラリ消費が増大しうる。従って、既存の設計は、スラリの使用に関して明らかな欠点を示しており、スラリは、CMPプロセスのコストが掛かる観点であるため、廃棄を削減することで全体的なスラリ消費を低減することが望ましい。
【0007】
従って、先に記載の問題を克服するための装置及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の実施形態は、概して、基板を研磨及び/又は平坦化するための装置及び方法に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、化学機械研磨(CMP)のために利用されるキャリアヘッドのための保持アセンブリに関する。
【0009】
一実施形態において、保持リングアセンブリは、キャリアヘッドに取り付けられるよう構成される。保持リングアセンブリは、下面、内面、外面、及び複数の溝を含む保持リングを含み、下面が、研磨プロセス中に研磨パッドと接触するよう構成され、複数の溝のそれぞれが下面に形成され内面から外面へと延びている。保持リングアセンブリは複数のリテーナを含み、各リテーナが、保持リングの対応する溝の中に少なくとも部分的に配置された、下面に対して可動な可動歯部を含む。
【0010】
他の実施形態において、基板を研磨するためのシステムが、複数の固定磁石を含むハウジングと、ハウジングの近傍に配置されたキャリアヘッドと、キャリアヘッドに取り付けられた保持リングアセンブリと、を備える。保持リングアセンブリは、下面と、内面と、外面と、複数の溝と、を含む保持リングを含み、下面が、研磨プロセス中に研磨パッドと接触するよう構成され、複数の溝のそれぞれが、下面に形成され内面から前記外面へと延びている。保持リングアセンブリは、複数の固定磁石のうちの第1の固定磁石の磁場内に配置された可動磁石を含む。保持リングアセンブリは、可動磁石に接続されており複数の溝のうちの或る溝の中に配置された可動歯部を含む。
【0011】
さらに別の実施形態において、基板を研磨する方法が、研磨システム内に基板を配置することを含む。研磨システムは、複数の固定磁石を含むハウジングと、ハウジングの近傍に配置されたキャリアヘッドと、キャリアヘッドに取り付けられた保持リングアセンブリと、を備える。保持リングアセンブリは、下面と、内面と、外面と、複数の溝と、を含む保持リングを含み、下面が、研磨プロセス中に研磨パッドと接触するよう構成され、複数の溝のそれぞれが、下面に形成され内面から前記外面へと延びている。保持リングアセンブリは、可動磁石と、当該可動磁石に接続されており複数の溝のうちの或る溝の中に配置された可動歯部と、を含む。本方法は、ハウジングに対して第1の角度位置へとキャリアヘッドを回転させることであって、キャリアヘッドが第1の角度位置にあるときには、リテーナが第1の垂直方向位置を有する、第1の角度位置へとキャリアヘッドを回転させることと、ハウジングに対して第2の角度位置へとキャリアヘッドを回転させることであって、第2の角度位置は第1の角度位置とは異なっており、リテーナが、第1の垂直方向位置とは異なる第2の垂直方向位置へと移動する、第2の角度位置へとキャリアヘッドを回転させることと、を含む。
【0012】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、その幾つかを添付の図面に示す。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態を示しているにすぎず、従って、本開示の範囲を限定すると見做すべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】1つ以上の実施形態に係る研磨システムの概略的な側方断面図1を示す。
図2A】本開示のキャリアヘッドの一実施形態の底面図である。
図2B】本開示のキャリアヘッドの一実施形態の斜視図である。
図2C図2Bの線2-2’に沿って切り取った、拡大された断面図である。
図3A】本開示の保持リングの一実施形態の上面図である。
図3B】F本開示の保持リングの一実施形態の底面図である。
図3C】本開示の保持リングの一実施形態の斜視図である。
図3D図3Aの線3-3’に沿って切り取った、拡大された断面図を示す。
図4A図1の研磨システムの一部分の拡大された断面図であり、当該一部分に設置されたリテーナの一実施形態を示している。
図4B図4の線4-4’に沿って切り取った断面図を示す。
図4C】保持リングの一実施形態の底面図であり、保持リングに配置された複数の可動歯部を示している。
図4D】保持リングの一実施形態の斜視図であり、保持リングに配置された可動歯部を示している。
図5A】研磨システムの一実施形態の簡略化された上面図であり、固定磁石の配置を示している。
図5B図5Aの研磨システムの概略的な側方断面図である。
図6A】研磨システムの他の実施形態の簡略化された上面図であり、固定磁石の代替的な配置を示している。
図6B図6Aの研磨システムの概略的な側方断面図である。
図7A】研磨システムのさらに別の実施形態の簡素化された上面図である。
図7B図7Aの研磨システムの概略的な側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
理解が容易になるよう、可能な場合には、各図に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号を使用した。1の実施形態の構成要素及び特徴が、更なる記載がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうることが想定されている。
【0015】
本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明するのに先立ち、本開示が、以下の明細書の記載において説明される構造又は処理ステップの詳細事項には限定されないと理解されたい。本開示の幾つかの実施形態は他の実施形態と組み合わせられることが想定されている。
【0016】
本開示の1つ以上の実施形態は、半導体基板といった基板を研磨及び/又は平坦化するための装置及び方法を対象とする。幾つかの実施形態において、システムは、複数の固定磁石を含む固定ハウジングと、固定ハウジングの近傍に配置されたキャリアヘッドと、キャリアヘッドに可動に取り付けられたリテーナと、を備えうる。幾つかの実施形態において、リテーナは、複数の固定磁石のうちの第1の固定磁石の磁場内に配置された可動磁石と、可動磁石に固定的に取り付けられた可動歯部と、を含みうる。1つ以上の実施形態において、キャリアヘッドが回転する間、可動磁石は、第1の固定磁石と位置を合わせることができ、可動磁石が、第1の固定磁石に対して動かされる。
【0017】
1つ以上の実施形態において、可動歯部の底面と研磨パッドとの間の間隙が、研磨スラリを伝達するよう構成されている。1つ以上の実施形態において、各可動歯部と研磨パッドとの間の間隙が、研磨される基板への及び当該基板からの研磨スラリの伝達を正確に制御するために調整されうる。例えば、キャリアヘッドの後縁にある保持アセンブリは、基板を保持している保持リングから研磨スラリが出るのを制限するために下げることができ、キャリアヘッドの前縁にある保持アセンブリは、新しい研磨スラリを基板へと入れるために上げることができる。研磨スラリ伝達の厳密な制御によって、研磨スラリの全体的な消費を削減することが可能である。
【0018】
従来のCMPプロセスは、基板のエッジでは、パッドの歪み及び反発によって、速い研磨速度が引き起こされ、その結果、パッドによって、基板の研磨すべき表面の全領域に対して不均一な圧力が加えられる可能性がある。しかしながら、本開示の1つ以上の他の実施形態では、研磨パッド上の保持リングアセンブリの各可動歯部の下向きの力が、別々に制御されうる。下向きの力を別々に制御することで、(例えば、速い研磨速度によって引き起こされるエッジでの不均一性を低減及び/又は解消することによって)、ウエハのエッジの均一性及びプロファイルを改善することが可能であり、さらに、下向きの力を別々に制御することで、(例えば、外側ゾーン1及び2での)簡素化された膜設計を可能にすることもできる。
【0019】
図1は、1つ以上の実施形態に係る研磨システム100の概略的な側方断面図である。本開示から利益を得るよう適合しうる研磨システムとしては、とりわけ、MIRRA(登録商標)、MIRRA MESA(登録商標)、REFLEXION(登録商標)、REFLEXION(登録商標)GT、REFLEXION(登録商標)LK、REFLEXION(登録商標)LK PRIME平坦化システムが挙げられ、これらは全て、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能である。
【0020】
研磨システム100は、一般に、研磨ステーション110、キャリアヘッド120、保持リング150、及びハウジング180を備える。ハウジング180は、1つ以上の固定磁石184を含む。加えて、研磨システム100は、キャリアヘッド120及び/又は保持リング150に可動に取り付けられた1つ以上の保持アセンブリ200も含む。保持アセンブリ200のそれぞれは、可動磁石210及び可動歯部220を含む。少なくとも1つの実施形態において、研磨システム100が、単一の研磨ステーション110を有する。他の実施形態において、研磨システム100が、複数の研磨ステーション110及び複数のキャリアヘッド120を含む。例えば、研磨ステーション110は、複数のプラテンを有するシステムベース上に配置され得、キャリアヘッド120は、回転可能なカルーセルによって支持され得、キャリアヘッド120と同一の又は類似した複数のキャリアヘッドを有する。幾つかの実施形態において、キャリアヘッド120は基板10を、1の研磨ステーション110から、基板10に対して異なる研磨プロセスを実行するよう構成された他の研磨ステーションへと移動することができる。1つ以上の実施形態において、ハウジング180が、上方空気圧アセンブリ(UPA:upper pneumatics assembly)でありうる。
【0021】
研磨システム110は一般に、研磨パッド114が配置された回転可能なプラテン112を含む。回転可能なプラテン112及び研磨パッド114は、一般に、処理される半導体基板10よりも大きい。少なくとも1つの実施形態において、プラテン112は、アルミニウム駆動軸116によってプラテン駆動モータ(図示せず)に接続された回転可能なアルミニウム板であり、アルミニウム駆動軸116が、処理中にプラテン112と研磨パッド114を回転させる。1つ以上の実施形態において、プラテン112が、プラテン駆動モータによって直接又は間接的に駆動されうる。
【0022】
研磨パッド114は、基板10を研磨するよう構成された粗い研磨面118を含む。少なくとも1つの実施形態において、研磨パッド114は、感圧接着層によってプラテン112に取り付けられうる。研磨パッド114は一般に消耗するものであり、交換することができる。
【0023】
研磨ステーション110は、研磨パッド114に研磨組成物(例えば、スラリ)を供給するよう構成された研磨組成物供給管(図示せず)をさらに含みうる。研磨組成物は、一般に、反応性剤、研磨粒子、及び化学反応性の触媒を含む。1つ以上の実施形態において、研磨組成物の化学的性質は、実施されるCMPプロセスの種類に依存しうる。幾つかの実施形態において、研磨組成物は、酸化物層(例えば、誘電体)を平坦化するための塩基性化学物質とすることができ又はこれを含むことができる。例えば、塩基性研磨組成物には、脱イオン水、金属酸化物粉末、及び水酸化カリウムが含まれうる。さらに、酸化物層上で実施されるCMPプロセスは、主に機械的に駆動され、それにより、下向きの力(例えば、研磨中に基板に加えられる圧力)の制御が、研磨速度及び均一性の主たる制御の仕組みである。
【0024】
幾つかの他の実施形態において、研磨組成物は、金属層を平坦化するための酸性化学物質とすることができ又はこれを含むことができる。例えば、酸性研磨組成物は、脱イオン水、金属酸化物粉末、及びカルボン酸を含みうる。加えて、金属層に対して行われるCMPプロセスは、主に化学的に駆動され、それにより、スラリの取り込み及び保持の制御が、研磨速度及び均一性の主たる制御のしくみである。従って、本明細書に開示される装置及び方法のうちの1つ以上の使用が、金属CMP研磨プロセスでの使用のために特に有利でありうる。
【0025】
研磨ステーション110は、基板10を効果的に研磨する状態に研磨パッド114を維持するよう構成されたパッドコンディショナ(図示せず)をさらに含みうる。少なくとも1つの実施形態において、パッドコンディショナは、独立して回転するコンディショナヘッドを保持する回転可能なアームを含みうる。
【0026】
キャリアヘッド120は、ハウジング180から吊り下げられており及び/又はハウジング180の下方に配置されている。キャリアヘッド120は、一般に、研磨中に基板10を研磨パッド114に押し付けるよう構成されている。一実施例において、キャリアヘッド120が、ハウジング122、ベースアセンブリ124、及びジンバル126を含む。ベースアセンブリ124は、ハウジング122に対して垂直方向に移動可能であり、ハウジング122と共に、ローディングチャンバ128を画定する。研磨パッド114に対するベースアセンブリ124の垂直方向位置が、ローディングチャンバ128内の圧力を変更することによって制御されうる。例えば、保持リング150を研磨パッド114と接触させる下向きの力をベースアセンブリ124に加えるために、ローディングチャンバ128が典型的に研磨中に加圧される。研磨の前及び研磨の後に、ローディングチャンバ128内の圧力が下げられ及び/又は真空がローディングチャンバ128に適用され、これにより、ベースアセンブリ124が、上方へと、研磨パッド114から離れる方向に動かされ及び/又は引き上げられる。ベースアセンブリ124が一旦上方へと、研磨パッド114から離れる方向に動かされると、後続の研磨工程及び/又は基板ローディング/アンローディングハンドリン工程のために、キャリアヘッド120をそこから、例えば、第2の研磨プラテン(図示せず)及び/又は基板ローディングステーションへと、例えばロードカップ(図示せず)へと移動させること、例えば揺動させることができる。
【0027】
ハウジング122は、一般に円形の形状をしており、スピンドル130に接続して、研磨中にキャリアヘッド120を回転させ及び/又はその後研磨パッド114全体を掃引させることが可能である。ベースアセンブリ124は、ハウジング122の下に位置する垂直方向に可動なアセンブリである。ジンバル126が垂直方向に摺動して、ベースアセンブリ124の垂直運動をもたらす。ジンバル126はまた、研磨パッド114の研磨面118に対して実質的に平行に保持リング150を保てるように、ハウジング122に対してベースアセンブリ124を旋回させることを可能とする。
【0028】
図2Aは、本開示のキャリアヘッド120の一実施形態の底面図である。図2Bは、本開示のキャリアヘッド120の一実施形態の斜視図である。図2A図2Bを参照すると、キャリアヘッド120のベースアセンブリ124は、底面132と、上面134と、保持リング150をキャリアヘッド120に取り付けるための複数の締め具(例えば、小ねじ)を収容するための複数のねじ孔136と、を含む。図2A図2Bに示す例では、キャリアヘッド120は、20度の径方向角度でねじ孔136が等間隔に配置されるように、18個のねじ孔を有している。幾つかの他の実施形態において、キャリアヘッド120は、より少ない又はより多くの数のねじ孔136を有してよく、例えば、6~24個、例えば6~12個、代替的に12~18個、代替的に18~24個のねじ孔136を有してよい。ねじ孔136同士は、均一又は不均一な間隔を有しうる。
【0029】
キャリアヘッド120は、基板10と接触する膜138を含む(例えば、図2Aに示される膜138は、仮想線で示された同心円上の5つのゾーンを含む)。膜138の裏面と境を接するチャンバに加えられる圧力は、膜138によって基板10に加えられる力の中心からエッジへのプロファイルを制御し、その結果、基板10によって研磨パッド114に対して加えられる力の中心からエッジへのプロファイルを制御するように、選択されうる。膜138はまた、研磨の前及び研磨の後に、キャリアヘッド120に基板10をチャックさせるために使用されうる。例えば、研磨の前及び研磨の後に、チャンバに真空を適用することができ、これにより、上方に向かって膜138が反らされて、膜138と基板10との間に低圧ポケットを形成し、従ってキャリアヘッド120内へと基板10を真空チャックする。
【0030】
キャリアヘッド120は、キャリアヘッド120の対応するチャンバに加圧された空気を供給するための複数の空気圧ポート140を含む(例えば、図2Bには、5つのゾーンのそれぞれに対応する5つの空気圧ポート140が示されている)。膜138に加えられる圧力を制御するため、ベースアセンブリ124を移動させるため、保持リング150を変位させるためにチャンバ内の圧力が利用される。
【0031】
キャリアヘッド120は複数の貫通孔142を含み、各貫通孔142が、リテーナ200を収容するよう構成されている。1つ以上の実施形態において、貫通孔142が、共通の半径上に配置されうる。幾つかの実施形態において、貫通孔142が、ドリル加工、機械加工、又は他の適切な技術によって形成されうる。幾つかの実施形態において、貫通孔142が、隣り合うネジ孔136間に等間隔で配置されうる。1つ以上の実施形態において、貫通孔142が、20度の径方向角度で等間隔で配置されうる。
【0032】
図2Cは、図2Bの線2-2’に沿って切り取った、拡大された断面図である。図2Cを参照すると、各貫通孔142は、直径DIA1を有する上方部分144と、直径DIA2を有する下方部分146と、を含みうる。幾つかの実施形態において、直径DIA1は直径DIA2よりも小さく、肩部148が、上部部分144と下部部分146との間に形成されている。幾つかの実施形態において、直径DIA1とDIA2とがほぼ等しいとすることができる。上方部分144は、上面134から肩部148まで測定された、約5mm~約40mmの深さD1を有することができ、例えば約10mm~約20mmの深さD1を有することができる。下方部分146は、底面132から肩部148まで測定された、約10mm~約60mmの深さD2を有することができ、例えば約20mm~約40mmの深さD2を有することができる。
【0033】
図3Aは、本開示の保持リング150の一実施形態の上面図である。保持リング150は、一般に、ベースアセンブリ124に着脱可能に取り付けられておりベースアセンブリ124を取り囲む環状リングである。流体がローディングチャンバ128内に送り込まれると、ベースアセンブリ124及び保持リング150が押し下げられて、研磨パッド114に対して負荷が加えられる。少なくとも1つの実施形態において、保持リング150は、1つの部分から成るリングでありうる。幾つかの他の実施形態において、保持リング150は複数の部分から成るリングであってよく、例えば接着剤又は締め具のうちの少なくとも1つを利用して互いに結合される上方部分及び下方部分を含む。
【0034】
保持リング150は上面152を含み、上面152は、保持リング150をキャリアヘッド120に取り付けるための複数の締め具(例えば、小ねじ)を収容するための、雌ねじを有する複数の止まり孔154を有している。保持リング150がキャリアヘッド120上に設置されたときには、上面152が、キャリアヘッド120の底面132に接触する。上面152は、他の好適な材料の中でも、ステンレス鋼、モリブデン、アルミニウム、他の好適な金属、複合材料、及びプラスチックを含みうる。止まり孔154同士は、径方向角度α0で間隔が置かれうる。幾つかの実施形態において、径方向角度α0は、約15度~約60度、例えば、約15度、代替的に約20度、代替的に約30度、代替的に約60度とすることができる。図3Aに示される例において、保持リング150には、止まり孔154が20度の径方向角度で等間隔に配置されるように、18個の止まり孔が上面152に形成されている。幾つかの他の実施形態において、保持リング150は、より少ない又はより多い数の止まり孔154を有してよく、例えば、6~24個、例えば6~12個、代替的に12~18個、代替的に18~24個の止まり孔154を有してよい。止まり孔154は、均一又は不均一な間隔を有しうる。
【0035】
保持リング150は、上面152に形成された複数の貫通孔156を含み、各貫通孔156が、リテーナ200を収容するよう構成されている。1つ以上の実施形態において、貫通孔156が、共通の半径上に配置されうる。幾つかの実施形態において、貫通孔156が、ドリル加工、機械加工、又は他の適切な技術によって形成されうる。幾つかの実施形態において、貫通孔156は、隣り合う止まり孔154の間に等間隔に配置されうる。1つ以上の実施形態において、貫通孔156が、20度の径方向角度で等間隔で配置されうる。1つ以上の実施形態において、保持リング150がキャリアヘッド120上に設置されたときには、保持リング150の各貫通孔156が、キャリアヘッド120の対応する貫通孔142と位置合わせされる。
【0036】
図3Bは、本開示の保持リング150の一実施形態の底面図である。図3Cは、本開示の保持リング150の一実施形態の斜視図である。図3B及び図3Cを参照すると、保持リング150は、複数の固定歯部158を含み、複数の固定歯部158のそれぞれは、研磨パッド114に接触するよう構成された底面160を有している。幾つかの実施形態において、複数の固定歯部158が、研磨パッド114に接触しうる。幾つかの他の実施形態において、複数の固定歯部158が、研磨パッド114から間隔を置かれうる。底面160は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はこれらの組み合わせを含むことができる。保持リング150が、1つの部分から成るリングである実施形態において、保持リング150全体が、保持リング150の底面160で露出する同じプラスチック材料を含む。先に記載した幾つかの他の実施形態において、保持リング150は、異なる材料を含む上部部分及び下部部分を有する2つの部分から成るリングでありうる。幾つかの実施形態において、底面160は、研磨パッド114に均等に接触するために、実質的に平面的でありうる。
【0037】
複数の固定歯部158のそれぞれは、保持リング150の中心線に向かって面する内面162と、内面162とは反対側の外面164と、を有している。幾つかの実施形態において、内面162及び外面164が、保持リング150の曲率と一致する曲面でありうる。幾つかの他の実施形態において、内面162及び外面164が真っすぐでありうる。幾つかの実施形態において、内面162と外面164との間の径方向距離R1が、約5mm~約50mmであってよく、例えば、約20mm~約30mmであってよい。複数の固定歯部158のそれぞれは、第1の側面166及び第2の側面166を有する。幾つかの実施形態において、第1の側面166と第2の側面166とは、図3B及び図3Cに示すように、非平行でありうる。1つ以上の実施形態において、第1の側面166と第2の側面166とは、内面162から外面164に移動するにつれて互いに分岐しうる。1つ以上の他の実施形態において、第1の側面166と第2の側面166とは、内面162から外面164に移動するにつれて互いに向かって収束しうる。幾つかの他の実施形態において、第1の側面166と第2の側面166とは、互いに平行でありうる。
【0038】
1つ以上の実施形態において、保持リング150は、およそ6個~およそ24個の固定歯部を含むことができ、例えば、およそ12個~およそ18個の固定歯部を含むことができる。幾つかの他の実施形態において、保持リング150は、およそ12個以下の固定歯部を含むことができ、例えば、およそ6個~およそ12個の固定歯部を含むことができる。幾つかの他の実施形態において、保持リング150は、およそ18個以上の固定歯部を含むことができ、およそ18個~およそ24個の固定歯部を含むことができる。
【0039】
幾つかの実施形態において、固定歯部158のそれぞれの最大弧長α1(すなわち、各固定歯部158の内面162と外面164との間の弧長の群から選択される最大弧長に対応する中心角度)が、約10度~約20度、例えば、約10度~約15度、代替的に約15度~約20度でありうる。幾つかの他の実施形態において、各固定歯部158の最大弧長α1が、約1度~約10度、例えば約1度~約5度、代替的に約5度~約10度でありうる。幾つかの他の実施形態において、各固定歯部158の最大弧長α1が、約20度~約30度、例えば約20度~約25度、代替的に約25度~約30度でありうる。
【0040】
幾つかの実施形態において、各固定歯部158の最小弧長α2が、約10度~約20度、例えば、約10度~約15度でありうる。幾つかの他の実施形態において、各固定歯部158の最小弧長α2が、約5度~約10度でありうる。
【0041】
複数の溝168が、近傍の固定歯部158の対向する第1の側面166と第2の側面166との間に形成されており、複数の溝168は、保持リング150の外側から基板10へと研磨スラリを伝達するよう構成されている。上記の溝168は、貫通孔156のうちの対応する貫通孔156と交差する肩部170を含む。溝168のそれぞれは、貫通孔156のうちの対応する貫通孔156と位置合わせされうる。1つ以上の実施形態において、各貫通孔156が、側面166間に等間隔に配置されうる。幾つかの他の実施形態において、各貫通孔156が、側面166に対してずらされてよい。
【0042】
図3Dは、図3Aの線3-3’に沿って切り取った、拡大された断面図である。図3Dを参照すると、各固定歯部158の高さH1は、約3mm~約30mm、例えば約3mm~約20mm、例えば約6mm~約12mmでありうる。幾つかの実施形態において、第1の側面166と第2の側面166との間の溝168の幅W1は、固定歯部158の寸法及び間隔に基づいて選択することが可能である。1つ以上の実施形態において、幅W1は、約3mm~約50mm、例えば、約5mm~約25mm、例えば、約5mm~約20mm、例えば、約5mm~約10mmでありうる。幾つかの実施形態において、底面160から肩部170まで測定される溝168の深さD3は、各固定歯部158の高さH1の約2x(倍)以上、例えば約6mm~約60mm、例えば約6mm~約40mm、例えば約12mm~約24mmでありうる。1つ以上の実施形態において、貫通孔156は、保持リング150の全高及び溝168の深さD3に基づいて、例えば約5mm~約50mm、例えば約10mm~約30mmなどの、保持リング150の上面152から肩部170まで測定される深さD4を有しうる。幾つかの実施形態において、貫通孔156は、キャリアヘッド120内の貫通孔142の下方部分146の直径DIA2とほぼ等しい直径DIA3を有しうる。幾つかの実施形態において、直径DIA3は幅W1より小さいとすることができる。幾つかの他の実施形態において、直径DIA3と幅W1とがほぼ等しいとすることができる。
【0043】
図4Aは、図1の研磨システム100の一部分の拡大された断面図であり、当該一部分に設置されたリテーナ200の一実施形態を示している。図4Aを参照すると、ハウジング180が底面182を有する。幾つかの実施形態において、底面182が、キャリアヘッド120の上面134に面した水平方向の表面でありうる。1つ以上の固定磁石184が、底面182に取り付けられうる。幾つかの実施形態において、固定磁石184が、ハウジング180の底面182に直接的に、接着剤及び/又は締め具によってしっかりと取り付けられうる。幾つかの他の実施形態において、固定磁石184は、当該固定磁石184を垂直方向及び/又は径方向に配置するためのブラケット、アダプタ、又は他の構造によって、ハウジング180に取り付けられうる。幾つかの実施形態において、固定磁石184が、ネオジム磁石、電磁石、又はこれらの組合せといった永久磁石でありうる。1つ以上の実施形態において、固定磁石184は、強磁性材料とすることができ又は強磁性材料を含むことができる。1つ以上の実施形態において、強磁性材料は、鉄、ニッケル、コバルト、又はこれらの組合せを含みうる。幾つかの実施形態において、強磁性材料は、非磁性材料又は磁性材料を覆うコーティングの形態でありうる。従って、固定磁石184は、永久磁石、電磁石、又は強磁性材料を含む任意の磁性材料として定義することができる。図示のように、固定磁石184は、キャリアヘッド120の上面134に面した底面186を有する。固定磁石184は、ハウジング180とキャリアヘッド120との間の垂直方向の遊隙、及び他の空間的制約に従って、任意の適切な大きさ及び形状を有しうる。1つ以上の実施形態において、固定磁石184は、約5mm~約25mm、例えば約10mm~約20mmの直径と、約2mm~約10mm、例えば約2mm~約5mm、代替的に約5mm~約10mmの高さと、を有する円筒形でありうる。
【0044】
図4Bは、図4Aの線4-4’に沿って切り取った断面図である。図4A図4Bを参照すると、リテーナ200は、研磨システム100内に設置された複数の保持アセンブリのうちの1つでありうる。複数の保持アセンブリが、キャリアヘッド120の中心線に対して、共通の半径に沿って位置合わせされうる。リテーナ200は、当該リテーナ200をキャリアヘッド120に可動的に結合するシャフト202を含む。シャフト202は、上方部分204及び下方部分206を含む。リテーナ200は、シャフト202の上方部分204に取り付けられた可動磁石210と、シャフト202の下方部分206に取り付けられた可動歯部220と、を含みうる。幾つかの実施形態において、上方部分204の直径DIA4が、下方部分206の直径DIA5より小さく、肩部208が、上方部分204と下方部分206との間に形成されうる。幾つかの他の実施形態において、直径DIA4とDIA5とがほぼ等しいとすることができる。直径DIA4、直径DIA5は、キャリアヘッド120内の貫通孔142の、上方部分144の直径DIA1及び下方部分146の直径DIA2にそれぞれ基づいて選択されうる。1つ以上の実施形態において、直径DIA4、直径DIA5が、シャフト202と貫通孔142との間に適切な径方向遊隙を提供するよう選択されうる。
【0045】
上方部分204は、肩部208から可動磁石210まで測定された長さL1であって、キャリアヘッド120内の貫通孔142の上方部分144の深さD1、キャリアヘッド120とハウジング180との間の垂直方向の遊隙、固定磁石184の高さ、可動磁石210と1つ以上の固定磁石184との間の作業距離、又はこれらの組合せのうちの1つ以上に基づいて選択された長さL1を有しうる。1つ以上の実施形態において、長さL1が、約10mm~約60mm、例えば、約30mm~約60mmでありうる。下方部分206は、肩部208から可動歯部220まで測定された長さL2であって、キャリアヘッド120内の貫通孔142の下方部分146の深さD2、保持リング150内の貫通孔156の深さD4、可動歯部220の高さH2、固定歯部と研磨パッド114との間の間隙、又はこれらの組合せのうちの1つ以上に基づいて選択された長さL2を有しうる。1つ以上の実施形態において、長さL2が、約10mm~約60mm、例えば、約30mm~約60mmでありうる。
【0046】
幾つかの実施形態において、シャフト202の上方部分204に取り付けられた可動磁石210は、少なくとも部分的に、キャリアヘッド120の上面134の上方に配置されており、これにより、可動磁石210が、ハウジング180に取り付けられた1つ以上の固定磁石184の磁場の範囲内に垂直方向に配置されうる。幾つかの実施形態において、可動磁石210が、ネオジム磁石といった任意の適切な永久磁石でありうる。幾つかの代替的な実施形態において、可動磁石210は、強磁性材料とすることができ又は強磁性材料を含むことができる。1つ以上の実施形態において、強磁性材料は、鉄、ニッケル、コバルト、又はこれらの組合せを含むことができる。幾つかの実施形態において、強磁性材料は、非磁性材料又は磁性材料を覆うコーティングの形態でありうる。従って、可動磁石210は、永久磁石又は強磁性材料を含む任意の磁性材料として定義することができる。幾つかの好適な強磁性材料は、鉄、ニッケル、コバルト、又はそれらの組合せとすることができ、又はこれらを含むことができる。可動磁石210は、固定磁石184とキャリアヘッド120との間の垂直方向の遊隙、及び他の空間的制約に従って、任意の適切な大きさ及び形状を有しうる。幾つかの実施形態において、可動磁石210の大きさ及び形状が、固定磁石184の大きさ及び形状と一致することができ、これにより、対応する磁場同士が位置合わせされうる。1つ以上の実施形態において、可動磁石210は、約5mm~約25mm、例えば約10mm~約20mmの直径と、約2mm~約10mm、例えば約2mm~約5mm、代替的に約5mm~約10mmの高さと、を有する円筒形でありうる。可動磁石210は、1つ以上の固定磁石184に面した上面212を有しうる。幾つかの実施形態において、可動磁石210の上面212と、1つ以上の固定磁石184の底面186と、の間で測定される距離Z1が、約20mm以下、例えば約10mm以下、例えば約1mm~約10mm、例えば約1mm~約5mmでありうる。
【0047】
幾つかの実施形態において、シャフト202の上方部分204上に、下方停止肩部214が形成されうる。1つ以上の実施形態において、下方停止肩部214とキャリアヘッド120の上面134との間の接触によって、リテーナ200の下方への移動が制限されうる。1つ以上の実施形態において、バネ216が、キャリアヘッド120の肩部148とリテーナ200の肩部208との間に配置され、リテーナをより低い位置に向かって付勢しうる。幾つかの実施形態において、バネ216は、任意の適切な圧縮バネ(例えば、コイルバネ又は板バネ)とすることができ又はこれを含みうる。幾つかの他の実施形態において、バネ216を省略することができ、リテーナ200が、重力によってより下方の位置へと付勢されうる。
【0048】
幾つかの実施形態において、リテーナ200が、図1の左側に示されるように、下向きにバイアス力が掛かった、下方停止肩部214が上面134に接触した状態の下方位置において始動することができる。下方位置では、距離Z1が、約10mm~約20mm、例えば約10mm~約15mmでありうる。回転中に、リテーナ200が固定磁石184のうちの1つ以上の下を通過するときには、可動磁石210と1つ以上の固定磁石184との間の磁気的な吸引力が、図4Aに示されるように、リテーナ200を上方位置まで持ち上げることができる。上方位置では、距離Z1が、約1mm~約10mm、例えば約1mm~約5mmでありうる。幾つかの他の実施形態において、リテーナ200が、下方位置と上方位置との間の中間位置まで持ち上げられうる。中間位置では、距離Z1が、約3mm~約15mm、例えば約5mm~約12mmでありうる。
【0049】
幾つかの実施形態において、底面222から対向する上面230まで測定される可動歯部220の高さH2が、各固定歯部158の高さH1とほぼ等しくてよく又は高さH1より大きくてよく、例えば、約3mm以上、例えば、約3mm~約60mm、例えば、約3mm~約30mmでありうる。幾つかの実施形態において、可動歯部220が、シャフト202の下方部分に固定的に取り付けられうる。幾つかの実施形態において、可動歯部220が、保持リング150の溝168の中に少なくとも部分的に配置されており、これにより、可動歯部220の垂直方向の移動が、可動歯部220の底面222と研磨パッド114との間の間隙Z2を調節しうる。幾つかの実施形態において、可動歯部220のストローク長さが、約20mm以下、例えば、約3mm~約20mm、例えば、約5mm~約12mmでありうる。幾つかの実施形態において、ストローク長さが、約10mm以下、例えば約7mm以下でありうる。幾つかの実施形態において、リテーナ200が下方位置にあるときの間隙Z2が、約0mmに等しい。幾つかの実施形態において、リテーナ200が上方位置にあるときの間隙Z2が、約3mm~約20mm、例えば約5mm~約12mm、例えば約7mm~約10mm、例えば約7mmでありうる。幾つかの実施形態において、リテーナ200が中間位置にあるときの間隙Z2は、約15mm以下、例えば約10mm以下、例えば約0mm~約10mm、例えば約1mm~約9mm、代替的に約0mm~約7mm、例えば約1mm~約6mmでありうる。
【0050】
幾つかの実施形態において、間隙Z2が、研磨スラリの取り込みを制御するよう制御されうる。例えば、保持リング150の前縁190で間隙Z2を増減させることで、保持リング150の外側から基板10へと研磨スラリを伝達するための断面流路面積を、対応して増減させることが可能である。幾つかの実施形態において、間隙Z2が、研磨スラリの保持を制御するよう制御されうる。例えば、保持リング150の後縁192で間隙Z2を増減させることで、基板10から保持リング150の外側へと研磨スラリを伝達するための断面流路面積を、対応して増減させることが可能である。幾つかの実施形態において、断面積が、間隙Z2に線形的に比例する。幾つかの実施形態において、リテーナ200が上方位置にあるときには、最大体積の研磨スラリを溝168を介して伝達することが可能である。同様に、リテーナ200が下方位置にあるときには、最小体積の研磨スラリを、溝168を介して伝達することが可能である。
【0051】
図4Cは、保持リング150の一実施形態の底面図であり、保持リング150に配置された複数の可動歯部220を示している。図4Dは、保持リング150の一実施形態の斜視図であり、保持リング150に配置された可動歯部220を示している。図4C及び図4Dを参照すると、可動歯部220は、複数の固定歯部158の寸法及び間隔に基づいて選択された大きさ及び形状を有しうる。底面222が、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はこれらの組み合わせを含むことができる。幾つかの実施形態において、底面222は、研磨パッド114に均一に接触するために、実質的に平面的でありうる。各可動歯部220は、保持リング150の中心線に向かって面する内面224と、内面224とは反対側の外面226と、を有する。幾つかの実施形態において、内面224及び外面226が、保持リング150の曲率と一致する曲面でありうる。1つ以上の実施形態において、内面224及び外面226が、各固定歯部158の内面162及び外面164とそれぞれ位置合わせされうる。幾つかの他の実施形態において、内面224及び外面226が真っすぐでありうる。各可動歯部220は、第1の側面228及び第2の側面228を有する。幾つかの実施形態において、第1の側面228と第2の側面228とは、図4Cに示されるように平行でありうる。幾つかの他の実施形態において、第1の側面228と第2の側面228とが、非平行でありうる。幾つかの実施形態において、第1の側面228及び第2の側面228が湾曲していてよい。1つ以上の実施形態において、可動歯部220が円筒形でありうる。1つ以上の実施形態において、第1の側面228と第2の側面228とは、内面224から外面226に移動するにつれて互いに分岐しうる。1つ以上の他の実施形態において、第1の側面228と第2の側面228とは、内面224から外面226に移動するにつれて互いに向かって収束しうる。1つ以上の実施形態において、第1の側面228及び第2の側面228は、隣接する固定歯部158の各隣接する側面166の角度と一致しうる。幾つかの実施形態において、方形に対する第1の側面228及び第2の側面228の角度α3が、約30°~約60°、例えば約40°~約60°、例えば約40°~約50°、例えば約45°、例えば約45°~約50°、例えば約50°でありうる。
【0052】
1つ以上の実施形態において、各可動歯部220が、第1の側面228と第2の側面228の間で測定された幅W2を有しうる。幾つかの実施形態において、幅W2は、第1の側面228及び第2の側面228のそれぞれと、隣接する固定歯部158の側面166と、の間に適切な遊隙をもたらすよう選択されうる。幾つかの実施形態において、内面224と外面226との間の径方向距離R2が、各固定歯部158の内面162と外面164との間の径方向距離R1とほぼ等しいとすることができる。
【0053】
図5Aは、研磨システム100の一実施形態の簡略化した上面図であり、固定磁石184の配置を示している。1つ以上の実施形態において、固定磁石184は、永久磁石、電磁石、又はこれらの組合せでありうる。本例では、単一のキャリアヘッド120が研磨パッド114の上に配置されているのが示されているが、実際には、研磨システム100は、合計で2つ以上のこのようなキャリアヘッド、例えば4つのキャリアヘッドを含みうる。ヘッド掃引が使用されないときには、キャリアヘッド120及び(仮想線で示された)ハウジング180が静止したままでありうると理解されよう。代替的に、ヘッド掃引が使用されるときには、キャリアヘッド120及びハウジング180が、プラテン112に対して掃引しうる。幾つかの実施形態において、ハウジング180が、キャリアヘッド120に対して固定されている。幾つかの実施形態において、ハウジング180は、プラテン112に対して移動することができ、これにより、掃引中にキャリアヘッド120が回転する間ずっと、固定磁石184がキャリアヘッド120に追従して、可動磁石210の円弧との位置合わせを維持する。幾つかの実施形態において、キャリアヘッド120及びハウジング180が、N-S方向に掃引するよう構成されたN-Sトラック194(仮想線で示す)を辿りうる。幾つかの他の実施形態において、キャリアヘッド120及びハウジング180が、円弧に沿ってE-W方向に掃引するよう構成された湾曲した形状のE-Wトラック196(仮想線で示す)を辿りうる。
【0054】
本例では、研磨システム100には、均等に分散された12個の保持アセンブリ200が設置されているが、任意の適切な数で任意に分散した保持アセンブリが、本明細書に記載するように使用されうる。保持アセンブリ200は、図示されるように位置1~12に配置されている。1つ以上の実施形態において、ハウジング180が、前縁190(例えば、位置1~6)のみに沿って配置された磁石を有することができ、後縁192(例えば、位置7~12)には、固定磁石184が無い。本例では、ハウジング180は、前縁190に沿って位置1~6に6個の磁石を含んでいるが、任意の適切な数で任意に分散した固定磁石184が、本明細書に記載するように使用されうる。
【0055】
図5Bは、図5Aの研磨システム100の概略的な側方断面図である。図5Bを参照すると、保持アセンブリ200のそれぞれが、バネ216によって下方位置へと付勢されうる。回転中に、各リテーナ200及び対応する可動磁石210が、1つ以上の固定磁石184の磁場の少なくとも一部の下を通過する及び/又は当該少なくとも一部を通過する間、磁力によって可動磁石210が引き寄せされて、図5Bの右側に示すように、リテーナ200が上方位置まで持ち上げられる。例えば、位置12のリテーナ200は、下方位置にある。キャリアヘッド120が、CCW(反時計回り)に30度回転したときには、リテーナ200は位置1へと移動し、そこで、位置1にある固定磁石184と可動磁石210との間の磁力が、バネ216の下方バイアス力に勝って、リテーナ200を上方位置へと移動させる。リテーナ200が、CCWにさらに30度移動して位置2に到達すると、位置2にある次の固定磁石184と可動磁石210との間の磁力によって、リテーナ200が上方位置に維持される。幾つかの実施形態において、リテーナ200が、約100ms以下の応答時間、例えば約10ms以下の応答時間を有することができ、ここで、応答時間とは、磁力が印加されたときにリテーナ200が位置の間で移動する時間である。応答時間は、例えば、リテーナ200が位置1に到達したときに始まりリテーナ200が上方位置に達したときに終わるように、測定される。幾つかの実施形態において、応答時間が、リテーナ200を移動させるための同等の空気圧システムよりも速い。
【0056】
幾つかの代替的な実施形態において、後述するために、リテーナ200が上方位置へと付勢されてよく、磁力が、可動磁石210を引き寄せてリテーナ200を引き上げる代わりに、可動磁石210を反発させて、リテーナ200を押し下げてよい。幾つかの他の実施形態において、リテーナ200が、上方位置と下方位置との間の中間位置へと付勢されうる。同じ全般的な動作原則が、本明細書に記載される各実施形態に適用されうる。
【0057】
幾つかの実施形態において、永久磁石及び/又は電磁石の固定磁石184が、上側位置と下側位置との間の様々な中間位置へと徐々に持ち上げることを誘導するために、様々な磁場強度を有しうる。
【0058】
幾つかの実施形態において、固定磁石184は、位置1と位置2の間で磁力が継続するように、互いに近接して間隔が置かれうる。幾つかの他の実施形態において、位置1にある固定磁石184と位置2にある固定磁石184とは、磁場が垂直方向で最も強く水平方向で最も弱くなるように、間隔が置かれうる。換言すれば、可動磁石210が、1つ以上の固定磁石184との垂直方向の位置合わせから遠ざかるにつれて、可動磁石210への磁力が下がるが、磁場同士は、隣り合う固定磁石184の間の領域内で重なり合うことができ、これにより、位置1から位置2へと移行する間、リテーナ200を連続的に保持するために適切な磁場が存在しうる。
【0059】
幾つかの他の実施形態において、単に、磁気的な吸引力が一旦解消されると、リテーナ200が上方位置から下がるために要する時間よりも速くリテーナ200が位置の間で移動することから、リテーナ200が、位置1と位置2との間で上方位置に連続的に維持されうる。
【0060】
幾つかの実施形態において、ハウジング180は、位置1~5及び位置12に固定磁石184を有しうる。本構成は、リテーナ200を(例えば、位置12で)上方位置に持ち上げるため、及びリテーナを(例えば、位置5で)下方位置に下げるために要する時間を考慮しうる。換言すれば、リテーナ200が、位置12にある固定磁石184によって持ち上げられると、リテーナ200は、位置1により近づくまで完全には上方位置に達しない可能性がある。
【0061】
幾つかの他の実施形態において、ハウジング180が、5個以下の固定磁石184を含むことができ、例えば5個以下、例えば4個以下、例えば3個以下、例えば2個以下、例えば1個の固定磁石184を含むことができる。1つ以上の実施形態において、ハウジング180が、位置2~5に、代替的には位置1~4に、4個の固定磁石184を含むことができる。幾つかの他の実施形態において、ハウジング180が、位置2~4に3個の固定磁石184を含むことができる。幾つかの他の実施形態において、ハウジング180が、位置3及び位置4に、2個の固定磁石184を含むことができる。幾つかの他の実施形態において、ハウジング180が、6個~およそ12個の固定磁石184を含むことができ、例えば、9個の固定磁石を含むことができる。
【0062】
1つ以上の実施形態において、研磨システム100が、図4Cに示すように、18個の固定歯部158及び18個の保持アセンブリ200を含むときには、ハウジング180は、前縁190(例えば、位置1~9)に沿って9個の固定磁石を含んでよく、後縁192(例えば、位置10~18)には、固定磁石184が無い。1つ以上の関連する実施形態において、ハウジング180は、位置2~8に7個の固定磁石184を含むことができ、例えば、位置3~7に5個の固定磁石184、例えば、位置4~6に3個の固定磁石184を含むことができる。幾つかの他の実施形態において、ハウジング180は、位置1~8及び位置18に、9個の固定磁石184を含むことができ、例えば、位置1~8に8個の固定磁石184、例えば、位置2~7に6個の固定磁石184、例えば、位置3~6に4個の固定磁石184、例えば、位置4及び位置5に、2個の固定磁石184を含むことができる。
【0063】
固定磁石184及び保持アセンブリ200の、多数の他の数及び位置が本開示の範囲に入り、本開示は、以下の特許請求の範囲において具体的に列挙されるものを超えて限定することが意図されていないと理解されたい。
【0064】
幾つかの実施形態において、図5A図5Bの研磨システム100は、化学CMPプロセスのために構成されうる。下向きの力及び/又は研磨剤(例えば、シリカ(SiO)又はセリア(CeO))の効果から影響を受ける機械的プロセスとは対照的に、化学的CMPプロセスは、研磨速度及び均一性が、スラリの取り込み及び保持、スラリ温度、及び/又はスラリ流動効果から主に影響を受けるプロセスでありうる。幾つかの実施形態において、可動歯部220は基板10に接触せず、その代わりに、研磨スラリの取り込み及び保持を制御するためだけの液体バリアとして機能する。
【0065】
図6Aは、研磨システム100の他の実施形態の簡略化された上面図である、固定磁石184の代替的な配置を示している。1つ以上の実施形態において、固定磁石184は、永久磁石、電磁石、又はこれらの組合せでありうる。
【0066】
本例では、研磨システム100には、均等に分散された12個の保持アセンブリ200が設置されているが、任意の適切な数で任意に分散した保持アセンブリが、本明細書に記載するように使用されうる。保持アセンブリ200は、図示されるように位置1~12に配置されている。1つ以上の実施形態において、ハウジング180は、前縁190(例えば、位置1~6)に沿って、及び後縁192(例えば、位置7~12)に沿って配置された磁石を有しうる。本例では、ハウジング180が、前縁190と後縁192の両方に沿った位置1~12に12個の磁石を含んでいるが、任意の適切な数で任意に分散した固定磁石184が、本明細書に記載するように使用されうる。
【0067】
図6Bは、図6Aの研磨システム100の概略的な側方断面図である。図6Bを参照すると、保持アセンブリ200のそれぞれが、バネ216によって下方位置へと付勢されうる。本例では、固定磁石184は電磁石である。幾つかの実施形態において、本開示の電磁石は、強磁性コア、及びコアの周囲のワイヤコイルを含みうる。制御可能な磁場が、ワイヤを流れる直流電流によって形成される。磁場の強度は電流に比例し、磁場の向きが、電流の方向によって制御される。これらの原則を使用して、1つ以上の実施形態では、固定磁石184がそれぞれ、制御可能な強度と制御可能な向きとを有する別々に制御される磁場を有することが可能である。
【0068】
回転中に、各リテーナ200及び対応する可動磁石210が、1つ以上の固定磁石184の磁場の少なくとも一部の下を通過する及び/又は当該少なくとも一部を通過する間、制御可能な磁場が印加され、リテーナ200が持ち上げられうる。幾つかの実施形態において、磁場が、図6Bの右側に示されるように、リテーナ200を上方位置まで持ち上げるよう制御されうる。幾つかの他の実施形態において、磁場は、図6Bの左側に示されるように、リテーナ200を中間位置まで持ち上げるよう制御することができ、ここで、中間位置は、下側位置と上側位置との間の任意の位置である。1つ以上の実施形態において、バネ216が省略されてよく、1つ以上の固定磁石184の磁場が、リテーナ200を下方位置に維持するように設定されうる。
【0069】
1つ以上の実施形態において、前縁190(例えば、位置1~6)の固定磁石184は、リテーナ200を上方位置に維持するための磁場強度及び向きを有するよう制御することができ、後縁192の固定磁石184は、リテーナ200を中間位置に維持するための磁場強度及び向きを有するよう制御することができる。幾つかの他の実施形態において、後縁192の固定磁石184は、リテーナ200を下方位置に維持するための磁場強度及び向きを有するよう制御することができる。
【0070】
幾つかの実施形態において、交互のパターンを適用することができ、ここでは、固定磁石184が1つおきに(例えば、位置1、3、5、7、9及び11)、リテーナ200を上方位置に維持するよう制御されてよく、残りの固定磁石184(例えば、位置2、4、6、8、10及び12)が、リテーナ200を下方位置に維持するよう制御されてよい。従って、交互のパターンによって、キャリアヘッド120の回転中に、保持アセンブリ200の蛇のような動きを引き起こすことが可能である。幾つかの他の実施形態において、固定磁石184が、正弦波のパターンで保持アセンブリ200を動かすよう制御されうる。
【0071】
幾つかの他の実施形態において、固定磁石184が、キャリアヘッド120の外周の付近の間隙Z2を連続的に変更するよう制御されうる。例えば、間隙Z2は、位置3及び位置4において最大値を有してよく、間隙Z2は、位置4からCCW(反時計周り)に位置9へと動いた各後続位置において、及び位置3からCW(時計周り)に位置10へと動いた各後続位置において縮小してよく、これにより、間隙Z2は、位置9及び位置10で最小値を有する。キャリアヘッド120の外周の付近で保持アセンブリ200を段階的に持ち上げることは、本明細書に記載される他の実施形態にも適用されうる。
【0072】
固定磁石184の他の多くの制御ストラテジは、本開示の範囲に入り、本開示は、以下の特許請求の範囲において具体的に列挙されるものを超えて限定することが意図されていないと理解されたい。
【0073】
幾つかの実施形態において、図6A図6Bの研磨システム100は、化学CMPプロセスのために構成されうる。幾つかの実施形態において、可動歯部220は基板10に接触せず、その代わりに、研磨スラリの取り込み及び保持を制御するためだけの液体バリアとして機能する。
【0074】
図7Aは、研磨システム100のさらに別の実施形態の簡素化された上面図である。1つ以上の実施形態において、各可動歯部220の下向きの力が、基板10の外周の付近で研磨パッド114に可変的な力が加えられるように、別々に制御されうる。1つ以上の実施形態において、前縁190の1つ以上の固定磁石184(例えば、位置1~6)が、最小の下向きの力を加えるよう制御されうる。幾つかの実施形態において、最小の下向きの力は、負の上向きの力でありうる。同時に、後縁192の1つ以上の固定磁石184(例えば、位置7~12)が、最大の下向き力を加えるよう制御されうる。
【0075】
幾つかの実施形態において、交互のパターンを適用することができ、ここでは、固定磁石184が1つおきに(例えば、位置1、3、5、7、9及び11)、最小の下向きの力を加えるよう制御されてよく、残りの固定磁石184(例えば、位置2、4、6、8、10及び12)が、最大の下向きの力を加えるよう制御されてよい。したがって、交互のパターンは、研磨パッド114上に保持アセンブリ200による、低周波数の変動する下向きの力を引き起こすことが可能である。
【0076】
図7Bは、図7Aの研磨システム100の概略的な側方断面図である。図7Bを参照すると、各固定磁石184は、歪みゲージ188によってハウジング180の底面182に間接的に取り付けられうる。本開示の歪みゲージは、固定磁石184のそれぞれに対する力を測定するよう、張力が掛かった状態及び/又は圧縮された状態で機能しうる。1つ以上の実施形態において、固定磁石184は、永久磁石、電磁石、又はこれらの組合せでありうる。1つ以上の実施形態において、歪みゲージ188からのフィードバックを使用して、下向きの力を制御することが可能である。
【0077】
図7Bに示されるように、バネ216を、下方停止肩部214とキャリアヘッド120の上面134との間に配置して、リテーナ200を上方位置に向かって付勢することができる。このような実施形態において、キャリアヘッド120の肩部148を、上方停止肩部とすることができ、肩部148とリテーナ200の肩部208との間の接触によって、リテーナ200の上方への移動を制限することが可能である。幾つかの他の実施形態において、各可動歯部220の上面230を、上方停止肩部とすることができ、上面230と保持リング150内の溝168の肩部170との間の接触によって、リテーナ200の上方への移動を制限することが可能である。
【0078】
幾つかの他の実施形態において、バネ216が、リテーナ200を下方位置に向かって付勢するよう配置されうる。幾つかの実施形態において、バネ216が省略されうる。
【0079】
1つ以上の実施形態において、固定磁石184の磁場の向きが、リテーナ200に対して下向きの力を加えるよう制御されうる。幾つかの実施形態において、トップダウンの観点から、固定磁石184の磁場は、可動磁石210がS-N方向に配向されているときには、N-S方向に配向されうる。幾つかの他の実施形態において、同様にトップダウンの観点から、固定磁石184の磁場は、可動磁石210がN-S方向に配向されているときには、S-N方向に配向されうる。いずれの場合も、固定磁石184の磁場が可動磁石210を反発させることになる。
【0080】
1つ以上の実施形態において、可動歯部220が、基板10を保持するための保持歯部として機能しながら、基板10と接触しうる。1つ以上の実施形態において、可動歯部220が、研磨パッド114に対して下向きの力を加えうる。幾つかの他の実施形態において、複数の固定歯部158が、基板10を保持すること及び/又は研磨パッド114に下向きの力を加えることができる。換言すれば、複数の固定歯部158垂直方向位置と可動歯部220の垂直方向位置とが、幾つかの他の実施形態に対して逆にされてよく、これにより、隣り合う可動歯部220の側面の間に、研磨スラリを伝達するための溝が形成される。1つ以上の実施形態において、溝が、従来の保持リングの溝の幅とほぼ等しい幅を有しうる。幾つかの実施形態において、幅は、約3mm~約25mm、例えば、約3mm~約13mm、例えば、約6mmでありうる。
【0081】
1つ以上の実施形態において、固定歯部158のそれぞれが、従来の保持リングの溝の深さとほぼ等しい間隙Z2だけ、研磨パッド114から垂直方向に間隔が置かれうる。幾つかの実施形態において、間隙Z2は、約5mm~約12mm、例えば約7mm~約10mm、例えば約7mmでありうる。幾つかの実施形態において、固定歯部158のそれぞれが、基板10の厚さ以上にほぼ等しい距離だけ、研磨パッド114から間隔が置かれうる。
【0082】
幾つかの実施形態において、各可動歯部220によって研磨パッド114に下向きの力が加えられる間、反対方向の等しい反力が、可動磁石210によって固定磁石184に対して加えられうる。上方への反力は、各可動歯部220によって研磨パッド114に加えられる下向きの力の大きさについてのリアルタイムフィードバックを提供するために、1つ以上の歪みゲージ188によって測定されうる。従って、歪みゲージ188を使用することによって、加えられた下向きの力を連続的に監視して、調整することが可能である。
【0083】
幾つかの実施形態において、図7A図7Bの研磨システム100は、機械的CMPプロセスのために構成されうる。幾つかの実施形態において、可動歯部220が、基板10を保持する保持歯部として機能しながら、基板10と接触しうる。いくつかの他の実施形態において、可動歯部220は、基板10と接触せず、その代わりに、研磨スラリの取り込み及び保持を制御するためだけの液体バリアとして機能する。
【0084】
磁気的な制御を使用する本開示の実施形態は、他の利点の中でも、非接触の動作を提供する。特に、固定磁石184と可動磁石210との間の相互作用が、非接触的である。換言すれば、動作中にデブリでブロックされ又は覆われる可能性がある嵌合部品が互いに物理的に接触するのを可能とすることなく、垂直方向の力が保持アセンブリ200に加えられる。
【0085】
1つ以上の実施形態において、保持アセンブリ200は、空気圧システムを使用して制御されうる。幾つかの実施形態において、固定磁石184及び可動磁石210の代わりに、複数の空気圧供給ラインが、空気圧を供給して保持アセンブリ200のそれぞれを動かすために使用されうる。1つ以上の実施形態において、スリップリングが、ハウジング180と保持アセンブリ200との間に空気圧供給ラインを接続するために使用されうる。1つ以上の実施形態において、単一の空気圧供給ラインが、空気圧を供給して各リテーナ200を第1の方向に移動させることができ、バネ216が、各リテーナ200を反対方向に付勢するために使用されうる。幾つかの他の実施形態において、第1の空気圧供給ラインが、空気圧を供給して各リテーナ200を第1の方向に移動させることができ、第2の空気圧供給ラインが、空気圧を供給して各リテーナ200を反対方向に移動させることができる。幾つかの実施形態において、空気圧システムが、約250ms以上の応答時間を有しうる。
【0086】
1つ以上の実施形態において、研磨システム100は、一般にフィードバック制御システムと称されうる閉ループ制御システムを含みうる。1つ以上の実施形態において、閉ループ制御システムは、リアルタイムで稼働しうる。幾つかの実施形態において、閉ループ制御システムは、各可動歯部220によって加えられる下向きの力を別々に監視して制御することができる。幾つかの実施形態において、閉ループ制御システムは、各可動歯部220と研磨パッド114との間の間隙Z2を別々に監視して制御することができる。1つ以上の実施形態において、閉ループ制御システムは、渦電流センサ及び/又は光学センサからの入力を受信して、ウエハ厚さ及び/又はウエハの非均一性をその場で(in situ)測定することができる。幾つかの実施形態において、プラテン112上又はプラテン112の内部のセンサが、ウエハ厚さを感知することができる。幾つかの実施形態において、その場での測定が、膜の圧力及び/又は下向きの力を制御するために使用されうる。例えば、膜の圧力が、ウエハをより均一に研磨するために、膜138の様々なゾーンに亘って調整されうる。
【0087】
幾つかの実施形態において、閉ループ制御システムが、保持アセンブリ200の下向きの力の能動的な制御を行うことが可能である。幾つかの実施形態において、閉ループ制御システムは、研磨パッド114上の各可動歯部220により加えられた下向きの力の大きさについてリアルタイムのフィードバックを提供する、歪ゲージ188のそれぞれからの信号を受信することが可能である。さらに、閉ループ制御システムは、ウエハ上に形成された材料層の厚さを検出するよう配置されウエハ10の厚さプロファイル及び/又はウエハ10のエッジプロファイルを検出するために使用される1つ以上の渦電流センサ及び/又は光学センサから、信号を受信することが可能である。幾つかの実施形態において、前述の信号を利用して、各可動歯部220の加えられた下向きの力を連続的に監視して調整することが可能である。幾つかの実施形態において、最適な下向きの力は、膜138の圧力、研磨パッド114の回転速度、研磨パッド114の反発速度、ウエハ10の回転速度、及びスラリ組成物を含むパラメータに依存しうる。幾つかの実施形態において、最適な下向きの力が、実験的に決定されうる。
【0088】
CMPプロセスの一例において、閉ループ制御システムが、過剰な下向きの力から生じた、ウエハ10のエッジでの厚さの不均一性を特定したときには、閉ループ制御システムは、各可動歯部220の下向きの力を能動的に低減することができる。代替的に、閉ループ制御システムが、不十分な下向きの力から生じた、ウエハ10のエッジにおける厚さの不均一性を特定したときには、フィードバック制御システムは、各可動歯部220の下向きの力を能動的に増大させることができる。幾つかの実施形態において、不均一性は、1つ以上の可動歯部220の下向きの力を別々に調整することによって、場合によっては、1つ以上の可動歯部220の下向きの力と、研磨ヘッドの外側ゾーンによって加えられる圧力と、を調整することによって、補正することができる。幾つかの実施形態において、各可動歯部220によって加えられる下向きの力の大きさが、リアルタイムで不均一性を低減するために厳密に制御されうる。幾つかの実施形態において、各可動歯部220の下向きの力が、可動歯部220とウエハ10のエッジとの間の間隙における研磨パッド114の減圧を限定するために選択されうる。
【0089】
幾つかの他の実施形態において、閉ループ制御システムは、各可動歯部220の底面222と研磨パッド114との間の間隙Z2の能動的制御を行うことが可能である。幾つかの実施形態において、閉ループ制御システムは、保持アセンブリ200、可動歯部220、キャリアヘッド120、又は保持リング150のうちの1つ以上に接続されたセンサから信号であって、対応する各可動歯部220と研磨パッド114との間の間隙Z2のリアルタイムのフィードバックを提供する信号を受信することが可能である。さらに、閉ループ制御システムは、ウエハ10の厚さプロファイル及び/又はウエハ10のエッジプロファイルを示す、1つ以上の渦電流センサ及び/又は光学センサからの信号を受信することが可能である。幾つかの実施形態において、使用中に固定歯部158の底面160が摩耗するにつれて、各溝168の深さD3が縮小されうる。幾つかの実施形態において、深さD3は、保持リング150の使用に比例しうる。従って、保持リング150の使用履歴が、閉ループ制御システムへの他の入力でありうる。幾つかの実施形態において、前述の信号を利用して、各可動歯部220の間隙Z2を連続的に監視し調整して、スラリの取り込み及び/又は保持を制御することが可能である。
【0090】
例えば、閉ループ制御システムが、スラリの取り込み及び/又は保持を調節することで補正しうる厚さの不均一性を特定したときには、閉ループ制御システムは、不均一性を補正するために、各可動歯部220の間隙Z2を能動的に調節することができる。代替的に、閉ループ制御システムが、1つ以上の溝168の深さD3の変化を特定したときには、閉ループ制御システムは、当該変化を補償するために、各可動歯部220の間隙Z2を能動的に調整することができる。幾つかの実施形態において、各可動歯部220の間隙Z2が、研磨スラリを節約するために選択されうる。
【0091】
先の記載は、本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態を、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案することができ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B