(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】無線充電装置
(51)【国際特許分類】
H01F 38/14 20060101AFI20240408BHJP
B22F 3/11 20060101ALI20240408BHJP
C22C 1/08 20060101ALI20240408BHJP
C22C 19/03 20060101ALI20240408BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20240408BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240408BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240408BHJP
H02J 50/70 20160101ALI20240408BHJP
【FI】
H01F38/14
B22F3/11 A
C22C1/08 F
C22C19/03 D
C22C38/00 303S
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/70
(21)【出願番号】P 2021517425
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(86)【国際出願番号】 KR2019012746
(87)【国際公開番号】W WO2020067838
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0115970
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ミン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ウ・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・キュ・イ
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】井上 信一
【審判官】渡辺 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-272500(JP,A)
【文献】国際公開第2018/101712(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/14
H02J 50/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信部コイル及び前記受信部コイル上に位置する電磁波遮蔽シートを含み、
前記電磁波遮蔽シートは、100kHz~300kHzで
150以上の比透磁率を示し、軟磁性金属成分を含む金属フォームを含み、
前記金属フォームは、気孔度が
60%以上であ
り、
前記金属フォームの全体気孔のうち85%以上の気孔の気孔サイズが2μm~10μmの範囲内であることを特徴とする、無線充電装置。
【請求項2】
前記金属フォームは、フィルム又はシート形態であることを特徴とする、請求項1に記載の無線充電装置。
【請求項3】
前記金属フォームは、5μm~
90μmの厚さ範囲を有するフィルム又はシート形態であることを特徴とする、請求項1に記載の無線充電装置。
【請求項4】
前記金属フォームは、気孔度が
70%以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の無線充電装置。
【請求項5】
前記金属フォームの全体気孔のうち65%以上の気孔の気孔サイズが5μm以下であることを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の無線充電装置。
【請求項6】
前記軟磁性金属成分がFe/Ni合金、Fe/Ni/Mo合金、Fe/Al/Si合金、Fe/Si/B合金、Fe/Si/Nb合金、Fe/Si/Cu合金又はFe/Si/B/Nb/Cu合金であることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の無線充電装置。
【請求項7】
前記金属フォームは、第1金属成分及び前記第1金属成分より電気伝導度が低い第2金属成分を含むことを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の無線充電装置。
【請求項8】
前記第2金属成分は、前記金属フォーム内で0.01~30wt%で含まれることを特徴とする、請求項
7に記載の無線充電装置。
【請求項9】
前記第2金属成分は、Mo、Si、B、Cr、Co又はNbを含むことを特徴とする、請求項
7または
8に記載の無線充電装置。
【請求項10】
前記金属フォームの表面又は前記金属フォームの内部に存在する高分子成分をさらに含むことを特徴とする、請求項1から
9のいずれか一項に記載の無線充電装置。
【請求項11】
前記高分子成分は、前記金属フォームの表面で表面層を形成していることを特徴とする、請求項
10に記載の無線充電装置。
【請求項12】
前記高分子成分は
、シリコン樹脂
またはエポキシ樹
脂を含むことを特徴とする、請求項
10または
11に記載の無線充電装置。
【請求項13】
前記高分子成分の体積(PV)と前記金属フォームの体積(MV)の割合(MV/PV)は、10以下であることを特徴とする、請求項
10から
12のいずれか一項に記載の無線充電装置。
【請求項14】
前記電磁波遮蔽シート上に位置する伝導性物質をさらに含むことを特徴とする、請求項1から
13のいずれか一項に記載の無線充電装置。
【請求項15】
送信部コイルを含む無線充電器及び前記無線充電器上に配置される請求項1に記載の無線充電装置を含むことを特徴とする、無線充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2018年9月28日に提出された大韓民国特許出願第10-2018-0115970号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
技術分野
本出願は、無線充電装置及びこれを含む無線充電システムに関する。
【背景技術】
【0003】
高い透磁率を有する材料は、多様な用途に用いられ得る。例えば、上記のような材料は、EMC core、低出力高インダクタンス共鳴回路又は広帯域変圧器などを含んだ多様な装置乃至素材で用いられ得、電波吸収体でも用いられ得る。前記電波吸収体は、電子装置、モバイルディスプレイなどのような伝導性物質の無線充電装置に適用される。
【0004】
通常的に、高い透磁率を有する材料で用いられるものは、透磁率が高い金属を圧延するか、金属粒子をフィラーで用いて製造した高分子複合フィルム形態の材料である。
【0005】
しかし、圧延などの方式は、金属素材の透磁率を高めるために多成分(multicomponent)の材料を用いるか、フィルム上で結晶化を進行するため、工程が複雑で価格が高い問題がある。
【0006】
また、フィラーとして金属粒子を用いる場合には、高い透磁率を確保するために金属粒子の使用量を増加させなければならないが、このような場合に、フィルムの柔軟性が落ち、電気絶縁性の部分でも問題になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、無線充電装置に関する。本出願は、高い透磁率を有し、電磁波遮蔽性能及び無線充電効率が向上された無線充電装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願は、無線充電装置に関する。本出願で無線充電装置は、無線で充電され得る物質を意味することができる。前記無線充電装置は、受信部コイル及び前記受信部コイル上に位置する電磁波遮蔽シートを含むことができる。前記電磁波遮蔽シートは、100kHz~300kHzで100以上の比透磁率を示すことができる。また、前記電磁波遮蔽シートは、軟磁性金属成分を含む金属フォームを含むことができる。本出願による電磁波遮蔽シートに含まれる金属フォームは、特有の表面積及び気孔特性による複合反射(multiple reflection)及び吸収(absorption)などにより高い透磁率の素材を提供することができ、前記金属フォームの適用を通じて前記電磁波遮蔽シートに優れた機械的強度及び柔軟性を確保することができる。また、後述するように、本出願の金属フォームは、金属フォームの表面又は金属フォームの内部に存在する高分子成分をさらに含むことができ、このとき、高分子成分との適切な複合化により酸化及び高温安定性、電気絶縁性などを確保し、各種装置に含まれたとき発生する剥離問題なども解決することができる。また、本出願の前記電磁波遮蔽シートは、簡単で経済的な工程を通じて製造することができる。
【0009】
また、本出願は、無線充電システムに関する。前記無線充電システムは、送信部コイルを含む無線充電器及び前記無線充電器上に配置される前記無線充電装置を含むことができる。前記無線充電器の送信部コイルから発生する磁場は、前記受信部コイルで誘導電流を流れるようにし、本出願の無線充電システムはこれを保存する原理を有する。
【0010】
本出願の具体例で、前記無線充電装置に含まれる受信部コイル及び無線充電器の送信部コイルは、公知の素材を用いることができる。上述した電磁波遮蔽シートは、前記受信部コイル上に存在することができ、前記送信部コイルは、前記受信部コイルの下部に配置され得る。また、前記無線充電装置は、前記電磁波遮蔽シート上に位置する伝導性物質をさらに含むことができる。前記電磁波遮蔽シートは、無線電力送信部で発生させた磁場を前記伝導性物質の方向に透過しないようにする役目をする。前記伝導性物質は、バッテリー又はモバイルディスプレイなどの電子装置であってもよく、無線充電の対象になる物質であってもよい。
【0011】
本出願の無線充電装置は、前記無線充電器の送信部コイルで発生させた磁場により受信部コイルで誘導電流が流れるようになり、これを保存する原理を有する。上記の過程で、送信部コイルから発生された磁場により前記電磁波遮蔽シート上に位置する伝導性物質で誘導電流が流れるようになり、これによって、送信部の磁場と逆方向の磁場が発生するが、この二つが互いに相殺されると、無線充電効率が急激に落ちるようになるので、これを防止するために前記送信部コイルと伝導性物質の間に電磁波遮蔽シートが位置するようになる。前記電磁波遮蔽シートは、送信部コイルから発生した磁束(magnetic flux)が伝導性物質に行かないように方向を迂回(loop)させる方式で作動され、これによって、上述した本出願による電磁波遮蔽シートは効率的な無線充電を具現する。
【0012】
本明細書で用語「金属フォーム」又は「金属骨格」は、金属を主成分で含む多孔性構造体を意味する。上記で「金属を主成分とする」とは、金属フォーム又は金属骨格の全体重量を基準で金属の割合が55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上又は95重量%以上である場合を意味する。前記主成分で含まれる金属の割合の上限は特に制限されず、例えば、100重量%、99重量%又は98重量%程度であってもよい。
【0013】
本明細書で用語「多孔性」は、気孔度(porosity)が少なくとも10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上又は80%以上である場合を意味することができる。前記気孔度の上限は特に制限されず、例えば、約100%未満、約99%以下、約98%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下又は約75%以下程度であってもよい。前記気孔度は、金属フォームなどの密度を計算して公知の方式で算出することができる。
【0014】
本明細書で言及する物性のうち測定温度が該当物性に影響を及ぼす場合には、特に異に規定しない限り、その物性は常温で測定したことである。用語「常温」は、加温又は減温しない自然そのままの温度であり、例えば、約10℃~30℃の範囲内のいずれか一つの温度、約23℃又は約25℃程度の温度を意味することができる。
【0015】
本出願の電磁波遮蔽シートに含まれる金属フォームの形態は特に制限されないが、一つの例示で、フィルム又はシート形状であってもよい。本出願の電磁波遮蔽シートでは、前記フィルム又はシート形態の金属フォームの表面や内部に存在する高分子成分が加えられ得る。
【0016】
このような高分子成分は、前記金属フォームの少なくとも一つの表面上で表面層を形成しているか、金属フォーム内部の空隙に充填されて存在することができ、場合によっては、前記表面層を形成しつつまた金属フォームの内部に充填されていてもよい。表面層を形成する場合に、金属フォームの表面のうち少なくとも一つの表面、一部の表面又は全ての表面に対して高分子成分が表面層を形成していてもよい。一つの例示では、少なくとも金属フォームの主表面である上部及び/又は下部表面に前記高分子成分が表面層を形成していてもよい。前記表面層は、金属フォームの表面全体を覆うように形成されていてもよく、一部表面のみを覆うように形成されていてもよい。
【0017】
電磁波遮蔽シートで金属フォームは、気孔度(porosity)が約10%以上であってもよい。このような気孔度を有する金属フォームは、適合なネットワークを形成している多孔性の金属骨格を有し、したがって、該当金属フォームを少量適用する場合にも高い透磁率を確保することができる。他の例示で、前記気孔度は、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上又は70%以上であるか、99%以下、98%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下又は約75%以下程度であってもよい。
【0018】
適切な透磁率などを確保するために前記金属フォームの気孔特性は追加で制御され得る。例えば、前記金属フォームは、略球形、針(needle)形又はランダム(random)形の気孔を含むことができる。例えば、前記金属フォームは、最大気孔のサイズが約50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下又は30μm以下程度であってもよい。前記最大気孔サイズは、他の例示で、約2μm以上、4μm以上、6μm以上、8μm以上、10μm以上、12μm以上、14μm以上、16μm以上、18μm以上、20μm以上、22μm以上、24μm以上又は26μm以上であってもよい。
【0019】
一方、前記金属フォームで金属フォームの全体気孔のうち85%以上の気孔は、気孔サイズが10μm以下であってもよく、65%以上の気孔の気孔サイズは、5μm以下であってもよい。上記で10μm以下又は5μm以下の気孔サイズを有する気孔の気孔サイズの下限は特に制限されないが、前記気孔サイズは、一つの例示で、約0μm超過、0.1μm以上、0.2μm以上、0.3μm以上、0.4μm以上、0.5μm以上、0.6μm以上、0.7μm以上、0.8μm以上、0.9μm以上、1μm以上、1.1μm以上、1.2μm以上、1.3μm以上、1.4μm以上、1.5μm以上、1.6μm以上、1.7μm以上、1.8μm以上、1.9μm以上又は2μm以上であってもよい。
【0020】
また、上記で10μm以下の気孔サイズの気孔は、全体気孔のうち100%以下、95%以下又は90%以下程度であってもよく、5μm以下の気孔サイズを有する気孔の割合は、全体気孔のうち100%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下又は70%以下程度であってもよい。
【0021】
このような気孔分布乃至特性によって目的とする電磁波遮蔽シートの製造が可能である。前記気孔の分布は、例えば、前記電磁波遮蔽シート又は金属フォームがフィルム形態である場合には、前記フィルムの長軸方向を基準で決まるものであってもよい。
【0022】
上述したように、金属フォームは、フィルム形態であってもよい。このような場合にフィルムの厚さは、後述する方式によって電磁波遮蔽シートを製造するにおいて、目的とする熱伝導度や厚さ割合などを考慮して調節され得る。前記フィルムの厚さは、目的とする熱伝導度の確保のために、例えば、約5μm以上、約10μm以上、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約45μm以上、約50μm以上、約55μm以上、約60μm以上、約65μm以上又は約70μm以上、75μm以上、80μm以上、85μm以上、90μm以上、95μm以上、100μm以上、105μm以上、110μm以上又は115μm以上であってもよい。前記フィルムの厚さの上限は、目的によって制御されるもので、特に制限されるものではないが、例えば、約1,000μm以下、約900μm以下、約800μm以下、約700μm以下、約600μm以下、約500μm以下、約400μm以下、約300μm以下、約200μm以下又は約150μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、100μm以下又は90μm以下程度であってもよい。
【0023】
本明細書で厚さは、該当対象の厚さが一定ではない場合には、その対象の最小厚さ、最大厚さ又は平均厚さであってもよい。
【0024】
前記金属フォームは、軟磁性金属成分の金属フォームであってもよい。用語「軟磁性金属成分」は、軟磁性の金属又は金属合金であり、このとき、軟磁性の規定は、業界で公知された通りである。上記で軟磁性金属成分の金属フォームは、軟磁性金属成分のみでなるか、前記金属成分を主成分で含む金属フォームを意味することができる。したがって、前記金属フォームは、全体重量を基準で前記軟磁性金属成分を55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上又は95重量%以上含むことができる。前記軟磁性金属成分の割合の上限は特に制限されず、例えば、100重量%、99重量%又は98重量%程度であってもよい。
【0025】
適用され得る具体的な軟磁性金属成分の例としては、Fe/Ni合金、Fe/Ni/Mo合金、Fe/Al/Si合金、Fe/Si/B合金、Fe/Si/Nb合金、Fe/Si/Cu合金又はFe/Si/B/Nb/Cu合金などが例示され得るが、これに制限されるものではない、上記でFeは、鉄、Niは、ニッケル、Moは、モリブデン、Alは、アルミニウム、Siは、シリコン、Bは、ホウ素、Nbは、ニオビウム、Cuは、銅を意味する。しかし、本出願では、前記素材に追加で軟磁性を帯びると知られた多様な素材が適用され得る。
【0026】
本出願の具体例で、前記金属フォームは、第1金属成分及び前記第1金属成分より電気伝導度が低い第2金属成分を含むことができる。前記第2金属成分は、前記第1金属成分より電気伝導度が低いか、熱抵抗が高い素材であれば、特に制限されない。前記第1金属成分又は第2金属成分は、軟磁性金属成分であってもよいが、これに限定されるものではない。また、前記第2金属成分は、金属フォーム内で少なくとも0.01~30wt%、3~28wt%、4~27wt%又は4.5~25wt%の範囲内で含まれ得る。又は、前記第2金属成分は、前記第1金属成分100重量部に対して、0.01~50重量部、0.1~45重量部又は1~43重量部で含まれ得る。一般的に、透磁率が高い場合、電磁波遮蔽性能及び無線充電効率が高くなる側面で電気伝導性が高くて比抵抗が低い金属成分が含まれるが、前記透磁率が高くても電気伝導性が高い素材の場合は、過電流(eddy current)による逆方向の磁束(magnetic flux)が発生して磁場が相殺されるので、無線充電効率を低下させる。したがって、本出願の電磁波遮蔽シートは、前記特定金属フォームを用いることで無線充電効率を向上させ得る。
【0027】
一つの例示で、前記第2金属成分は、Mo、Si、B、Cr、Co又はNbを含むことができるが、これに限定されず、公知の他の金属成分を用いることができる。
【0028】
前記金属フォームを製造する方法は多様に公知されている。本出願では、このような公知の方式で製造した金属フォームが適用され得る。
【0029】
金属フォームを製造する方式としては、塩などの気孔形成剤と金属の複合材料を焼結する方式、高分子フォームなどの支持体に金属をコーティングしてその状態で焼結する方式やスラリー法などが知られている。また、前記金属フォームは、本出願人の先行出願である大韓民国出願第2017-0086014号、第2017-0040971号、第2017-0040972号、第2016-0162154号、第2016-0162153号又は第2016-0162152号などに開示された方式によっても製造され得る。
【0030】
一つの例示で、本出願の金属フォームは、前記軟磁性金属成分を含む金属フォーム前駆体を焼結するステップを含むことができる。本出願で用語「金属フォーム前駆体」は、前記焼結などのように金属フォームを形成するために行われる工程を経る前の構造体、すなわち、金属フォームが生成される前の構造体を意味する。また、前記金属フォーム前駆体は、多孔性金属フォーム前駆体と呼称されても必ずその自体で多孔性である必要はなく、最終的に多孔性の金属構造体である金属フォームを形成することができるものであれば、便宜上多孔性金属フォーム前駆体と呼称され得る。
【0031】
本出願で前記金属フォーム前駆体は、金属成分、分散剤及びバインダーを少なくとも含むスラリーを用いて形成することができる。
【0032】
上記で金属成分としては、金属粉末が適用され得る。適用できる金属粉末の例は、目的によって決まることで、特に制限されるものではなく、上述した軟磁性金属成分を形成することができる金属の粉末又は金属合金の粉末又は金属の混合物の粉末が適用され得る。
【0033】
金属粉末(Metal Powder)のサイズも目的とする気孔度や気孔サイズなどを考慮して選択されることで、特に制限されるものではないが、例えば、前記金属粉末の平均粒径は、約0.1μm~約200μmの範囲内にあってもよい。前記平均粒径は、他の例示で、約0.5μm以上、約1μm以上、約2μm以上、約3μm以上、約4μm以上、約5μm以上、約6μm以上、約7μm以上又は約8μm以上であってもよい。前記平均粒径は、他の例示で、約150μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下又は20μm以下であってもよい。金属粒子内の金属としては、互いに平均粒径が相異なっているものを適用してもよい。前記平均粒径は、目的とする金属フォームの形態、例えば、金属フォームの厚さや気孔度などを考慮して適切な範囲を選択することができる。
【0034】
上記で金属粉末の平均粒径は、公知の粒度分析方式によって求められ、例えば、前記平均粒径は、いわゆる、D50粒径であってもよい。
【0035】
上記のようなスラリー内で金属成分(金属粉末)の割合は特に制限されず、目的とする粘度や工程効率などを考慮して選択され得る。一つの例示で、スラリー内での金属成分の割合は、重量を基準で0.5~95%程度であってもよいが、これに制限されるものではない。上記割合は、他の例示で、約1%以上、約1.5%以上、約2%以上、約2.5%以上、約3%以上、約5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上又は80%以上であるか、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下又は5%以下程度であってもよいが、これに制限されない。
【0036】
前記金属フォーム前駆体は、前記金属粉末とともに分散剤とバインダーを含むスラリーを用いて形成することができる。
【0037】
上記で分散剤としては、例えば、アルコールが適用され得る。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ペンタノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、グリセロール、テキサノール(texanol)又はテルピネオール(terpineol)などのような炭素数1~20の1価アルコール又はエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール又はペンタンジオールなどのような炭素数1~20の2価アルコール又はその以上の多価アルコールなどが用いられ得るが、その種類が上記に制限されるものではない。
【0038】
スラリーは、バインダーをさらに含むことができる。このようなバインダーの種類は特に制限されず、スラリーの製造時に適用された金属成分や分散剤などの種類によって適切に選択することができる。例えば、前記バインダーとしては、メチルセルロース又はエチルセルロースなどの炭素数1~8のアルキル基を有するアルキルセルロース、ポリプロピレンカーボネート又はポリエチレンカーボネートなどの炭素数1~8のアルキレン単位を有するポリアルキレンカーボネート又はポリビニルアルコール又はポリビニルアセテートなどのポリビニルアルコール系バインダー(以下、ポリビニルアルコール化合物と称することができる)などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0039】
上記のようなスラリー内で各成分の割合は特に制限されない。このような割合は、スラリーを用いた工程時にコーティング性や成形性などの工程効率を考慮して調節され得る。
【0040】
例えば、スラリー内でバインダーは、上述した金属成分100重量部に対して約1~500重量部の割合で含まれ得る。上記割合は、他の例示で、約2重量部以上、約3重量部以上、約4重量部以上、約5重量部以上、約6重量部以上、約7重量部以上、約8重量部以上、約9重量部以上、約10重量部以上、約20重量部以上、約30重量部以上、約40重量部以上、約50重量部以上、約60重量部以上、約70重量部以上、約80重量部以上、約90重量部以上、約100重量部以上、約110重量部以上、約120重量部以上、約130重量部以上、約140重量部以上、約150重量部以上、約200重量部以上又は約250重量部以上であってもよく、約450重量部以下、約400重量部以下、約350重量部以下、約300重量部以下、約250重量部以下、約200重量部以下、約150重量部以下、約100重量部以下、約50重量部以下、約40重量部以下、約30重量部以下、約20重量部以下又は約10重量部以下であってもよい。
【0041】
スラリー内で分散剤は、前記バインダー100重量部に対して約10~2,000重量部の割合で含まれ得る。上記割合は、他の例示で、約20重量部以上、約30重量部以上、約40重量部以上、約50重量部以上、約60重量部以上、約70重量部以上、約80重量部以上、約90重量部以上、約100重量部以上、約200重量部以上、約300重量部以上、約400重量部以上、約500重量部以上、約550重量部以上、約600重量部以上又は約650重量部以上であってもよく、約1,800重量部以下、約1,600重量部以下、約1,400重量部以下、約1,200重量部以下又は約1,000重量部以下であってもよい。
【0042】
本明細書で単位重量部は特に異に規定しない限り、各成分間の重量の割合を意味する。
【0043】
スラリーは、必要に応じて溶媒をさらに含むことができる。ただし、本出願の一つの例示によると、前記スラリーは、前記溶媒を含まなくてもよい。溶媒としては、スラリーの成分、例えば、前記金属成分やバインダーなどの溶解性を考慮して適切な溶媒が用いられ得る。例えば、溶媒としては、誘電定数が約10~120の範囲内にあるものを用いることができる。前記誘電定数は、他の例示で、約20以上、約30以上、約40以上、約50以上、約60以上又は約70以上であるか、約110以下、約100以下又は約90以下であってもよい。このような溶媒としては、水やエタノール、ブタノール又はメタノールなどの炭素数1~8のアルコール、DMSO(dimethyl sulfoxide)、DMF(dimethyl formamide)又はNMP(N-methylpyrrolidinone)などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0044】
溶媒が適用される場合に、上記は、前記バインダー100重量部に対して約50~400重量部の割合でスラリー内に存在することができるが、これに制限されるものではない。前記溶媒の割合は、他の例示で、約60重量部以上、約70重量部以上、約80重量部以上、約90重量部以上、約100重量部以上、約110重量部以上、約120重量部以上、約130重量部以上、約140重量部以上、約150重量部以上、約160重量部以上、約170重量部以上、約180重量部以上又は約190重量部以上であるか、約350重量部以下、300重量部以下又は250重量部以下であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0045】
スラリーは 上記言及した成分外に追加的に必要な公知の添加剤を含んでもよい。ただし、本出願の工程は、公知の添加剤のうち発泡剤を含まないスラリーを用いて行うことができる。
【0046】
上記のようなスラリーを用いて前記金属フォーム前駆体を形成する方式は特に制限されない。金属フォームの製造分野では金属フォーム前駆体を形成するための多様な方式が公知されており、本出願ではこのような方式が全て適用され得る。例えば、前記金属フォーム前駆体は、適正なテンプレート(template)に前記スラリーを維持するか、あるいはスラリーを適正な方式でコーティングして前記金属フォーム前駆体を形成することができる。
【0047】
本出願の一つの例示によってフィルム又はシート形態の金属フォームを製造する場合、特に、薄いフィルム又はシート形態の金属フォームを製造する場合には、コーティング工程を適用することが有利である。例えば、適切な基材上に前記スラリーをコーティングして前駆体を形成した後、後述する焼結工程を通じて目的とする金属フォームを形成することができる。
【0048】
このような金属フォーム前駆体の形態は、目的とする金属フォームによって決まることで、特に制限されない。一つの例示で、前記金属フォーム前駆体は、フィルム又はシート形態であってもよい。例えば、前記前駆体がフィルム又はシート形態であるときにその厚さは、2,000μm以下、1,500μm以下、1,000μm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、150μm以下、約100μm以下、約90μm以下、約80μm以下、約70μm以下、約60μm以下又は約55μm以下であってもよい。金属フォームは、多孔性である構造的特徴上一般的に砕けやすい特性を有し、したがって、フィルム又はシート形態、特に、薄い厚さのフィルム又はシート形態で製作が難しく、製作するようになっても容易に砕ける問題がある。しかし、本出願の方式によっては、薄い厚さであると共に、内部に均一に気孔が形成され、機械的特性に優れた金属フォームの形成が可能である。
【0049】
上記で前駆体の厚さの下限は特に制限されない。例えば、前記フィルム又はシート形態の前駆体の厚さは、約5μm以上、10μm以上又は約15μm以上であってもよい。
【0050】
必要に応じて、前記金属フォーム前駆体の形成過程では適切な乾燥工程が行われ得る。例えば、上述したコーティングなどの方式でスラリーを成形した後に一定時間乾燥して金属フォーム前駆体が形成されてもよい。前記乾燥の条件は特に制限がなく、例えば、スラリー内に含まれた溶媒が目的レベルに除去できるレベルで制御され得る。例えば、前記乾燥は、成形されたスラリーを約50℃~250℃、約70℃~180℃又は約90℃~150℃の範囲内の温度で適正時間の間維持して行うことができる。乾燥時間も適正範囲で選択され得る。
【0051】
電磁波遮蔽シートは、上述したように前記金属フォームの表面又は金属フォームの内部に存在する高分子成分をさらに含むが、このような電磁波遮蔽シートの前記金属フォームの厚さ(MT)及び全体厚さ(T)の割合(T/MT)は、2.5以下であってもよい。前記厚さの割合は、他の例示で、約2以下、約1.9以下、約1.8以下、約1.7以下、約1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.15以下又は1.1以下であってもよい。前記厚さの割合の下限は特に制限されるものではないが、一つの例示で、約1以上、約1.01以上、約1.02以上、約1.03以上、約1.04以上又は約1.05以上、約1.06以上、約1.07以上、約1.08以上、約1.09以上、約1.1以上、約1.11以上、約1.12以上、約1.13以上、約1.14以上、約1.15以上、約1.16以上、約1.17以上、約1.18以上、約1.19以上、約1.2以上、約1.21以上、約1.22以上、約1.23以上、約1.24以上又は約1.25以上であってもよい。このような厚さの割合下で目的とする熱伝導度が確保されて加工性や耐衝撃性などに優れた電磁波遮蔽シートが提供され得る。
【0052】
電磁波遮蔽シートに含まれる高分子成分の種類は特に制限されず、例えば、電磁波遮蔽シートの加工性や耐衝撃性、絶縁性などを考慮して選択され得る。本出願で適用され得る高分子成分の例としては、公知のアクリル樹脂、シロキサン系のようなシリコン樹脂、PET(poly(ethylene terephthalate))などのポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、PP(polypropylene)又はPE(polyethylene)などのオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択された一つ以上が挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0053】
一つの例示で、前記電磁波遮蔽シートに含まれる高分子成分の体積(PV)と金属フォームの体積(MV)の割合(MV/PV)は、10以下であってもよい。上記割合(MV/PV)は、他の例示で、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1以下又は0.5以下程度であってもよい。前記体積割合の下限は特に制限されず、例えば、約0.1程度であってもよい。前記体積割合は、電磁波遮蔽シートに含まれる高分子成分と金属フォームの重量と該当成分の密度を通じて算出することができる。
【0054】
上記のような本出願の電磁波遮蔽シートは、高い透磁率を示すことができる。例えば、上述したフィルム形態で前記電磁波遮蔽シートは、10μm~1cm範囲内の厚さ及び100kHz~300kHzで100以上の比透磁率を示すことができる。前記比透磁率は、他の例示で、110以上、120以上、130以上、140以上、150以上、160以上、170以上、180以上、190以上又は200以上であってもよい。前記比透磁率は、他の例示で、約1,000以下、900以下、800以下、700以下、600以下、500以下、400以下又は300以下程度であってもよい。
【0055】
また、本出願は、上記のような形態の電磁波遮蔽シートの製造方法に関する。
【0056】
また、前記電磁波遮蔽シートは、金属フォームの表面又は内部に硬化性高分子組成物が存在する状態で前記高分子組成物を硬化させるステップを通じて製造され得る。
【0057】
前記方法で適用される金属フォームに対する具体的な内容は、上述した通りであり、製造される電磁波遮蔽シートに対する具体的な事項も上述した内容による。
【0058】
上記で適用される高分子組成物も硬化などを通じて上記言及した高分子成分を形成することができるものであれば、特に制限されず、このような高分子成分は業界に多様に公知されている。
【0059】
すなわち、例えば、公知の成分のうち適切な粘度を有する材料を用いて、公知の方式を通じて硬化を進行して前記電磁波遮蔽シートを製造することができる。
【発明の効果】
【0060】
本出願は、無線充電装置及びこれを含む無線充電システムに関する。本出願によると、高い透磁率を有し、電磁波遮蔽性能及び無線充電効率が向上された無線充電装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、実施例及び比較例を通じて本出願を詳しく説明する。しかし、本出願の範囲が下記実施例によって制限されるものではない。
【0062】
<実施例1>
金属フォームとしては、鉄とニッケルの合金(Fe/Ni=20wt%/80wt%)で製造された気孔度が約75%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォーム(気孔の平均サイズが6μm)を用いた。前記金属フォームに粘度が約900cPであるエポキシ樹脂を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終的な電磁波遮蔽シートの厚さが約120μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を約120℃のオーブンで約1時間程度維持して硬化させることで、フィルム形態の電磁波遮蔽シートを製造した。前記電磁波遮蔽シートの比透磁率は、200以上(100~300kHz)であった。前記電磁波遮蔽シートを受信部コイルとバッテリーパックの間に配置して無線充電装置を製造した。透磁率が高い場合、電磁波遮蔽性能及び無線充電効率が高くなることを確認することができる。
【0063】
<実施例2>
金属フォームとしては、鉄とニッケルの合金(Fe/Ni=20wt%/80wt%)で製造された気孔度が約75%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォーム(気孔の平均サイズが6μm)を用いた。前記金属フォームにシロキサン系の樹脂を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終的な電磁波遮蔽シートの厚さが約120μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を約120℃のオーブンで約1時間程度維持して硬化させることで、フィルム形態の電磁波遮蔽シートを製造した。前記電磁波遮蔽シートの透磁率は、200以上(100~300kHz)であった。前記電磁波遮蔽シートを受信部コイルとバッテリーパックの間に配置して無線充電装置を製造した。
【0064】
<実施例3>
金属フォームとしては、鉄とニッケルの合金(Fe/Ni=20wt%/80wt%)で製造された気孔度が約75%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォーム(気孔の平均サイズが6μm)を用いた。前記金属フォームにアクリレート系の樹脂を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終的な電磁波遮蔽シートの厚さが約120μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を約120℃のオーブンで約1時間程度維持して硬化させることで、フィルム形態の電磁波遮蔽シートを製造した。前記電磁波遮蔽シートの比透磁率は、190以上(100~300kHz)であった。前記電磁波遮蔽シートを受信部コイルとバッテリーパックの間に配置して無線充電装置を製造した。
【0065】
<実施例4>
金属フォームとしては、鉄とニッケルの合金(Fe/Ni=20wt%/80wt%)で製造された気孔度が約75%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォーム(気孔の平均サイズが6μm)を用いた。前記金属フォームにポリプロピレン系の樹脂を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終的な電磁波遮蔽シートの厚さが約120μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を硬化させることでフィルム形態の電磁波遮蔽シートを製造した。前記電磁波遮蔽シートの比透磁率は、190以上(100~300kHz)であった。前記電磁波遮蔽シートを受信部コイルとバッテリーパックの間に配置して無線充電装置を製造した。
【0066】
<実施例5>
金属フォームとしては、鉄、ニッケル及びモリブデンの合金(Fe/Ni/Mo=15wt%/80wt%/5wt%)で製造された気孔度が約72%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォーム(気孔の平均サイズが5μm)を用いた。前記金属フォームにエポキシ樹脂を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終的な電磁波遮蔽シートの厚さが約110μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を硬化させることでフィルム形態の電磁波遮蔽シートを製造した。前記電磁波遮蔽シートの比透磁率は、200以上(100~300kHz)であった。前記電磁波遮蔽シートを受信部コイルとバッテリーパックの間に配置して無線充電装置を製造した。
【0067】
<実施例6>
金属フォームとしては、鉄、ニッケル及びモリブデンの合金(Fe/Ni/Mo=15wt%/80wt%/5wt%)で製造された気孔度が約72%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォーム(気孔の平均サイズが5μm)を用いた。前記金属フォームにシロキサン樹脂を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終的な電磁波遮蔽シートの厚さが約110μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を硬化させることでフィルム形態の電磁波遮蔽シートを製造した。前記電磁波遮蔽シートの比透磁率は、200以上(100~300kHz)であった。前記電磁波遮蔽シートを受信部コイルとバッテリーパックの間に配置して無線充電装置を製造した。
【0068】
<実施例7>
金属フォームとしては、鉄、アルミニウム及びシリコンの合金(Fe/Al/Si=85wt%/6wt%/9wt%)で製造された気孔度が約70%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォーム(気孔の平均サイズが4μm)を用いた。前記金属フォームにエポキシ樹脂を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終的な電磁波遮蔽シートの厚さが約100μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を硬化させることでフィルム形態の電磁波遮蔽シートを製造した。前記電磁波遮蔽シートの比透磁率は、150以上(100~300kHz)であった。前記電磁波遮蔽シートを受信部コイルとバッテリーパックの間に配置して無線充電装置を製造した。
【0069】
<実施例8>
金属フォームとしては、鉄、ケイ素及びホウ素の合金(Fe/Si/B=75wt%/15wt%/10wt%)で製造された気孔度が約67%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォーム(気孔の平均サイズが3μm)を用いた。前記金属フォームにエポキシ樹脂を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終的な電磁波遮蔽シートの厚さが約120μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を硬化させることでフィルム形態の電磁波遮蔽シートを製造した。前記電磁波遮蔽シートの比透磁率は、120以上(100~300kHz)であった。前記電磁波遮蔽シートを受信部コイルとバッテリーパックの間に配置して無線充電装置を製造した。
【0070】
<実施例9>
金属フォームとしては、鉄、ケイ素、ホウ素、ニオビウム及び銅の合金(Fe/Si/B/Nb/Cu=74wt%/13wt%/9wt%/3wt%/1wt%)で製造された気孔度が約61%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォーム(気孔の平均サイズが2μm)を用いた。前記金属フォームにエポキシ樹脂を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終的な電磁波遮蔽シートの厚さが約100μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を硬化させることでフィルム形態の電磁波遮蔽シートを製造した。前記電磁波遮蔽シートの比透磁率は、170以上(100~300kHz)であった。前記電磁波遮蔽シートを受信部コイルとバッテリーパックの間に配置して無線充電装置を製造した。
【0071】
<比較例1>
金属フォームとしては、銅で製造された気孔度が約65%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォームを用いた。前記金属フォームにシロキサン系の樹脂を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終的な電磁波遮蔽シートの厚さが約120μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を硬化させることでフィルム形態の電磁波遮蔽シートを製造した。前記電磁波遮蔽シートの比透磁率は、50以下(100~300kHz)であった。前記電磁波遮蔽シートを受信部コイルとバッテリーパックの間に配置して無線充電装置を製造した。
【0072】
<比較例2>
金属フォームとしては、ニッケルで製造された気孔度が約70%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォームを用いた。前記金属フォームにシロキサン系の樹脂を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終的な電磁波遮蔽シートの厚さが約120μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を硬化させることでフィルム形態の電磁波遮蔽シートを製造した。前記電磁波遮蔽シートの比透磁率は、50以下(100~300kHz)であった。前記電磁波遮蔽シートを受信部コイルとバッテリーパックの間に配置して無線充電装置を製造した。
【0073】
<比較例3>
軟磁性金属フィラーとして、鉄、アルミニウム及びケイ素の合金(Fe/Al/Si=85wt%/6wt%/9wt%)フィラーをポリプロピレン樹脂と混合した後、フィルムアプリケーターを用いて厚さが約120μm程度であるフィルム形態に成形し、硬化させることでフィルム形態の電磁波遮蔽シートを製造した。前記電磁波遮蔽シートの比透磁率は、90程度(100~300kHz)であった。前記電磁波遮蔽シートを受信部コイルとバッテリーパックの間に配置して無線充電装置を製造した。
【0074】
<比較例4>
ポリウレタンフォームに銅をメッキした後、高温で焼成してポリウレタンを除去することで、銅フォームを製造した。前記製造された銅フォームは、気孔の平均サイズが400μmであり、気孔度は、95%以上であり、厚さは、1.6mmで製造した。
【0075】
前記金属フォームにシロキサン系の樹脂を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終的な電磁波遮蔽シートの厚さが約1.8mm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を硬化させることでフィルム形態の電磁波遮蔽シートを製造した。前記電磁波遮蔽シートの比透磁率は、約10~20程度(100~300kHz)であった。前記電磁波遮蔽シートを受信部コイルとバッテリーパックの間に配置して無線充電装置を製造した。