(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】基材を処理するための基材処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240408BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/68 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019194940
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2022-10-14
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】テオドルス・オーステルラーケン
(72)【発明者】
【氏名】クリス・デ・リッデル
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-541599(JP,A)
【文献】国際公開第2012/017653(WO,A1)
【文献】特開平10-050800(JP,A)
【文献】特開平09-036198(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003072(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/006377(WO,A1)
【文献】特開2000-068355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材処理装置であって、
第一の反応器および第二の反応器であって、それぞれが複数の基材を処理するために構成された反応器と、
基材を移動するために構築および配置された基材取り扱いロボットと、を備え、
前記
基材処理装置が、保守区域から前記第一の反応器および前記第二の反応器の両方への前記反応器の保守を可能にするために、前記第一の反応器と前記第二の反応器との間に前記保守区域を有して構築および配置されて
おり、
上面図における前記基材処理装置が、実質的にU字形状で構成されていて、前記第一の反応器および第二の反応器が前記U字形状の脚部に提供されていて、かつ前記保守区域が前記U字形状の前記脚部の間に構成されており、
プロセスガスを前記第一の反応器および前記第二の反応器のうちの少なくとも一つに提供するように構築および配置されたガスキャビネットが、前記U字形状の前記脚部のより高い部分に提供されている、基材処理装置。
【請求項2】
前記保守区域からの前記反応器の保守を可能にするために、前記第一の反応器および第二の反応器の各々と前記保守区域との間に反応器ドアが提供されている、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項3】
前記基材取り扱いロボットが前記U字形状の下部に提供されている、請求項
1に記載の基材処理装置。
【請求項4】
前記第一の反応器および第二の反応器のうちの少なくとも一つが、前記U字形状の前記脚部
の下部に提供されている、請求項
1に記載の基材処理装置。
【請求項5】
前記第一の反応器および前記第二の反応器のうちの少なくとも一つからプロセスガスを除去するように構築および配置されたガス排気管が、前記U字形状の前記脚部内に提供されている、請求項
1に記載の基材処理装置。
【請求項6】
前記保守区域を閉じるために前記U字形状の前記脚部の間に後部ドアが提供されている、請求項
1に記載の基材処理装置。
【請求項7】
前記基材取り扱いロボットがハンドラードアに隣接して構築および配置されていて、前記保守区域に立っている人員によって前記ハンドラードアを通して前記基材取り扱いロボットの保守を可能にする、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項8】
前記
基材処理装置が、前記
基材処理装置の全長にわたって延びる第一の側壁および第二の側壁と接続する前部壁および後部壁を有するハウジングを備え、ドアが前記側壁内に提供されていない、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項9】
前記
基材処理装置の幅が200~240cmであり、かつ前記保守区域が60~120cmの幅を有する、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項10】
前記第一の反応器には、前記
基材処理装置の第一の下部領域と前記第一の反応器との間で基材のラックを移動させるために第一のエレベーターが提供されていて、かつ前記第二の反応器には、前記
基材処理装置の第二の下部領域と前記第二の反応器との間で基材のラックを移動させるために第二のエレベーターが提供されている、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項11】
前記第一のエレベーターおよび第二のエレベーターのうちの少なくとも一つが、前記基材
のラックを支持するように構成されたベアリング表面を有する移動可能なラック支持アームを備える、請求項
10に記載の基材処理装置。
【請求項12】
前記
基材処理装置の前記第一の下部領域および第二の下部領域のうちの少なくとも一つには、ラックのための収容部を備えるラックコンベヤーが提供されていて、かつ前記少なくとも一つの下部領域内に位置付けられた複数のラックの間でラックを水平に移動するように構築および配置されている、請求項
10に記載の基材処理装置。
【請求項13】
前記ラックコンベヤーが、中に少なくとも二つの切り欠き部を有する支持プラットフォームを備え、前記切り欠き部は、ラック支持アームのベアリング表面が前記プラットフォームを通して垂直方向に平行移動することを可能にするような、および前記プラットフォームが基材ラックを支持することを可能にするようなサイズおよび形状にされている、請求項
12に記載の基材処理装置。
【請求項14】
前記
基材処理装置には、前記保守区域から前記第一の反応器、第二の反応器、第一の下部領域、および前記第二の下部領域のうちの少なくとも一つへのアクセスを提供するように構築および配置された反応器ドアが提供されている、請求項
10に記載の基材処理装置。
【請求項15】
前記基材取り扱いロボットが、基材移動位置にある基材カセットと前記第一の下部領域および第二の下部領域内の前記ラックとの間で基材を移動するよう構築および配置されている、請求項
10に記載の基材処理装置。
【請求項16】
前記
基材取り扱いロボットと前記第一の下部領域および第二の下部領域のうちの少なくとも一つとの間にゲートバルブが提供されていて、その中にミニ環境を作り出す、請求項
10に記載の基材処理装置。
【請求項17】
前記ミニ環境には、前記ミニ環境を通るガス流を提供するために、ポンプに流体接続されうるガス入口およびガス出口が提供されうる、請求項
16に記載の基材処理装置。
【請求項18】
前記
基材処理装置が、基材移動位置と、カセット入口出口ポートと、および/またはカセット保管との間でカセットを移動するように、ならびに昇降機構を用いて上下に移動可能なように構成されたカセットハンドラーアームが提供されたカセットハンドラーを備える、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項19】
前記カセット保管が、カセットを支持するために複数のプラットフォームステージを含み、各プラットフォームステージが中に少なくとも一つの切り欠き部を備え、前記切り欠き部は前記カセットハンドラーアームがそれを垂直に通過することを可能にするような、および前記プラットフォームステージがその上でカセットを支持することを可能にするようなサイズおよび形状にされている、請求項
18に記載の基材処理装置。
【請求項20】
前記
基材処理装置が、前記カセットハンドラーと前記基材取り扱いロボットとを分離する壁を備え、前記壁が前記基材移動位置に隣接する閉鎖可能な基材アクセス開口部を有する、請求項
18に記載の基材処理装置。
【請求項21】
前記基材取り扱いロボットが、第一の方向で前記第一の反応器に向かって、かつ第二の方向で前記第二の反応器に向かって前記基材を移動するように構築および配置されていて、前記第一の方向および第二の方向が相互に90~180度の角度を形成する、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項22】
前記基材取り扱いロボットが、第一の方向で第一の反応器に向かって、第二の方向で前記第二の反応器に向かって、かつ第三の方向で基材移動位置に向かって前記基材を移動するように構築および配置されていて、前記第一の方向、第二の方向、および第三の方向が相互に90~180度の角度を形成する、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項23】
基材処理装置であって、
後部壁を有するハウジングと、
第一の反応器および第二の反応器であって、それぞれが複数の基材を処理するために構成された反応器と、
基材移動位置にある基材カセットと第一の反応器および第二の反応器との間で基材を移動するように構築および配置された基材取り扱いロボットと、を備え、
前記基材取り扱いロボットが、保守区域に立っている人員によ
るハンドラードアを通した前記基材取り扱いロボットの保守を可能にするように構築および配置された
前記ハンドラードアに隣接して構築および配置されていて、かつ前
記保守区域からの前記反応器の保守を可能にするように前記二つの反応器が前
記保守区域に隣接して構築および配置されて
おり、
上面図における前記基材処理装置が、実質的にU字形状で構成されていて、前記第一の反応器および第二の反応器が前記U字形状の脚部に提供されていて、かつ前記保守区域が前記U字形状の前記脚部の間に構成されており、
プロセスガスを前記第一の反応器および前記第二の反応器のうちの少なくとも一つに提供するように構築および配置されたガスキャビネットが、前記U字形状の前記脚部のより高い部分に提供されている、基材処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、複数の基材を処理するための基材処理装置に関する。より具体的には、本開示は、
第一の反応器および第二の反応器であって、それぞれが複数の基材を処理するために構成された反応器と、
基材を移動するために構築および配置された基材取り扱いロボットと、を備える基材処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基材を収容するカセットを基材処理装置に供給するために、カセットハンドラーは、カセット入口出口ポートと、基材移動位置と、および/または保管デバイスとの間で基材カセットを移動しうる。保管デバイスは、複数のカセットを保管するためのカセット保管カルーセルを備えてもよい。基材取り扱いロボットは、基材移動位置にあるカセットと装置の下部領域の基材ラックとの間で基材を移動するように構築および配置されてもよい。
【0003】
下部領域には随意に、ラックが上に位置付けられてもよいカルーセルまたは回転可能なアームを含みうるラックコンベヤーが備えられてもよい。カルーセルまたは回転可能なアームを回転することによって、ラックは、脱離および/または装填の位置から、第一の反応器または第二の反応器の下にある処置位置に持ち込まれてもよい。基材を有するラックを反応器の中へと持ち上げる、または処理済みの基材を有するラックを反応器から下げるために、エレベーターを下部領域に提供してもよい。反応器内での処置中、ラックおよびその中に収容された基材は昇温されうる。リフト、カルーセル、または回転可能なアームを用いて、基材ラックを反応器から取り外して処置後に冷却してもよい。
【0004】
基材処理装置は、保守を必要とする場合がある多くの構成要素を有してもよい。処理装置が使用されうるクリーンルーム製造現場内の空間は限られるため、保守のための空間は制限される場合がある。
【発明の概要】
【0005】
この「発明の概要」は、選択された概念を簡略化した形態で紹介するために提供される。これらの概念について、以下の本開示の例示的な実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に説明される。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することは意図しておらず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用することも意図していない。
【0006】
目的によると、小さい設置面積上に維持するのが簡単な装置を提供することが望ましい場合がある。
【0007】
その結果、基材処理装置が提供されてもよく、これは、
第一の反応器および第二の反応器であって、それぞれが複数の基材を処理するために構成された反応器と、
基材を移動するために構築および配置された基材取り扱いロボットと、を備える。基材取り扱いロボットは、基材移動位置にある基材カセットと第一の反応器および第二の反応器との間で基材を移動しうる。装置は、保守区域から第一の反応器および第二の反応器の両方への保守を可能にするために、第一の反応器と第二の反応器との間に保守区域を有して構築および配置されてもよい。
【0008】
さらなる実施形態によると、
後部壁を有するハウジングと、
第一の反応器および第二の反応器であって、それぞれが複数の基材を処理するために構成された反応器と、
基材移動位置にある基材カセットと第一の反応器および第二の反応器との間で基材を移動するために構築および配置された基材取り扱いロボットと、を備える基材処理装置が提供されてもよい。基材取り扱いロボットは、保守区域上に立っている人員によってハンドラードアを通して基材取り扱いロボットの保守を可能にするように、ハンドラードアに隣接して構築および配置されてもよい。二つの反応器は、同一の保守区域からの反応器の保守を可能にするために、同一の保守エリアに隣接して構築および配置されてもよい。
【0009】
先行技術を超えて達成される本発明および利点を要約する目的で、本発明のある特定の目的および利点が本明細書において上記に説明される。当然のことながら、必ずしもこうした目的または利点のすべてが本発明の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。それ故に、例えば本明細書に教授または示唆する通り、一つの利点または一群の利点を達成または最適化する様態で、本明細書で教授または示唆されうる通りの他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本発明が具体化または実行されてもよいことを当業者は認識するであろう。
【0010】
これらの実施形態のすべては、本明細書に開示する本発明の範囲内であることが意図される。当業者には、これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のある特定の実施形態の発明を実施するための形態から容易に明らかとなり、本発明は、開示されるいかなる特定の実施形態にも限定されない。
【0011】
本明細書は、本発明の実施形態と見なされるものを具体的に指摘し、明確に特許請求する特許請求の範囲で結論付ける一方で、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読むと、本開示の実施形態のある特定の実施例の記述から、より容易に確定されうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態による炉の実施例の概略上面図を示す。
【
図2a】
図2aは、反応器の保守中の、
図1の炉の一部分の概略上面図を示す。
【
図2b】
図2bは、反応器の交換中の、
図1の炉の一部分の概略上面図を示す。
【
図2c】
図2cは、基材取り扱いロボットの保守中の、
図1の炉の一部分の概略上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するものの、本発明が、具体的に開示される本発明の実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて拡大することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、開示される本発明の範囲は、以下に説明される特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。本明細書に示される図は、任意の特定の材料、構造またはデバイスの実際の図であることを意味せず、本開示の実施形態を説明するために使用される、単に理想化された表現にすぎない。
【0014】
本明細書で使用される場合、「基材」または「ウエハ」という用語は、使用されてもよい任意の下地材料、またはデバイス、回路、もしくは膜が上に形成されてもよい任意の下地材料を指す場合がある。「半導体デバイス構造」という用語は、処理された半導体構造または部分的に処理された半導体構造の任意の部分であって、半導体基材の上またはその中に形成される半導体デバイスの能動部品または受動部品の少なくとも一部分を含む、またはそれらを画定する、半導体構造の任意の部分を指しうる。例えば、半導体デバイス構造としては、集積回路の能動部品および受動部品、例えばトランジスタ、メモリ素子、トランスデューサ、コンデンサ、抵抗器、導電線、導電性ビア、および導電性コンタクトパッドなどが挙げられうる。
【0015】
図1は、実施形態による基材処理装置(例えば、炉1)の実施例の概略上面図を示す。炉1は、前部壁4および後部壁6を有するハウジング2を備える。
【0016】
炉1は、各々が複数の基材を収容する複数のウエハカセットCを保管するためのカセット保管カルーセル3などの保管デバイスを備えてもよい。カセット保管カルーセル3は、カセットを支持するための多数のプラットフォームステージを備えてもよい。プラットフォームステージは、垂直軸5の周りに回転可能に取り付けられた中央支持体に接続されてもよい。各プラットフォームステージは、多数のカセットCを収容するように構成されている。垂直軸5の周りの多数のプラットフォームステージとともに中央支持体を回転させるために、駆動組立品が中央支持体に動作可能に接続されている。
【0017】
炉1は、カセット保管カルーセル3と、炉1のハウジング2の前部壁4に隣接するカセット入口出口ポート11と、および/または基材移動位置15との間でカセットCを移動するように構成されたカセットハンドラーアーム9を有するカセットハンドラー7を有してもよい。カセットハンドラー7は、異なる高さにあるカセットに達するための昇降機構を備えてもよい。カセットを保管するための各プラットフォームステージは、カセットハンドラーアーム9がこれを通して垂直に通ることを可能にするような、およびプラットフォームステージがその上でカセットCを支持することを可能にするようなサイズおよび形状にされた切り欠いた切り欠き部をその中に有してもよい。
【0018】
カセットハンドラー7および基材取り扱いロボット35を分離する内壁19が提供されてもよい。壁は、カセットを開放するようにも構築および配置されうる基材移動位置15に隣接した閉鎖可能な基材アクセス開口部33を有してもよい。カセットを開くための閉鎖可能な基材アクセス開口部33に関するより詳細な情報は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6481945号から探り出してもよい。基材移動位置15には、カセットCを回転させるために、および/またはカセットCを閉鎖可能な基材アクセス開口部33に対して押すために、カセットターンテーブルが提供されてもよい。
【0019】
基材処理装置は、基材移動位置15に位置付けられたカセットCから、閉鎖可能な基材アクセス開口部33を通して基材ラックに、およびその逆で基材を移動するために、基材取り扱いアーム36が提供された基材取り扱いロボット35を備えてもよい。炉は、基材取り扱いロボット35が中に収容されている基材取り扱いチャンバ37を備えてもよい。
【0020】
ハウジング2は、炉1の全長にわたって延在する第一の側壁および第二の側壁47を有してもよい。装置の幅を画定しうる炉の側壁47間の距離は、190~250cmであってもよく、好ましくは210~230cmであり、最も好ましくは約220cmである。炉1の保守は、側壁47にドアが必要ないように、炉の後ろ側6または前側4から実施されうる。
【0021】
ドアがない側壁47の構築によって、複数の炉1を半導体製作工場内で横に並べて配置しうる。隣接する炉の側壁は、それによって互いに非常に近くに位置付けられてもよく、または相互に対向して位置付けられてもよい。有利なことに、複数の炉は、粒子に対して非常に厳密な要件を有するいわゆる「クリーンルーム」の非常に清浄な環境内にあるカセット移動デバイスと相互作用する、炉1の前側4を有する壁を形成する場合がある。炉1の後ろ側6は、前側4よりも厳密でない粒子の要件を有する保守アレイと相互作用していてもよい。
【0022】
炉1には、複数の基材を処理するために第一の反応器および第二の反応器45が提供されてもよい。二つの反応器を使用することは、炉1の生産性を向上する場合がある。上面図の基材処理装置は、実質的にU字形状で構成されてもよい。第一の反応器および第二の反応器45は、脚部内に構築および配置されてもよい。第一の反応器および第二の反応器45は、U字形状の脚部の下部に提供されてもよい。保守区域43は、U字形状の脚部の間に構築および配置されてもよい。U字形状の二本の脚部の間の距離は、保守作業者のために十分な空間を許容するために60~120cmの間であってもよく、より好ましくは80~100cmの間であり、最も好ましくは約90cmである。後部ドア42は、U字形状の脚部の間に提供されていて、使用していない時、保守区域43を封鎖しうる。実質的なU字形状は、V字形状も含んでもよい。
【0023】
図2aは、後部ドア42が開いた状態での保守中の、
図1の炉の後ろの部分の概略上面図を示す。装置は、保守作業者Mによる保守区域43から第一の反応器および第二の反応器の両方への反応器45の保守を可能にするように構築および配置されてもよい。例えば、保守作業者Mによる加熱ワイヤー、加熱センサー、および/またはプロセスガスインターフェース65(出口および/または入口)の保守のためである。二つの反応器45は、同一の保守区域43からの両方の反応器45の保守を可能にするために、同一の保守区域43と隣接して構築および配置されてもよい。反応器ドア41は、反応器45の保守を可能にするために開かれてもよい。
【0024】
従って、保守作業者Mは、反応器45の保守作業のために、炉1のハウジング2に入らなくてもよい。従って、保守作業員Mの負傷、ならびに/または下部領域および/もしくは反応器45の汚染のリスクは最小化される場合がある。ハウジングの外側からの保守はまた、保守の速度および/または精度を向上する場合がある。両方の反応器45に対して同一の保守区域を使用することによって、装置の総設置面積は減少される場合がある。
【0025】
反応器45は処置モジュール49内に提供されてもよく、処置モジュール49はまた、下部領域と反応器45との間で基材を有するラックを移動するように構成されたエレベーターが提供された炉1の下部領域も含んでもよい。エレベーターも、U字形状の脚部の中に構築および配置されてもよい。ゲートバルブ63は、基材ハンドラー35と処置モジュール49の下部領域との間に提供されて、低い領域にミニ環境を作り出してもよい。
【0026】
ラックを搬送するためのラックコンベヤー55は、炉の下部領域に提供されてもよい。ラックコンベヤー55は、ラック53のための二つの収容部57を備えてもよい。別の方法として、ラックコンベヤーは、ラックのための三つまたは四つの収容部を含んでもよい。ラックコンベヤー55は、U字形状の脚部および底部に構築および配置されてもよい。ラックコンベヤー55は、下部領域内の複数のラック位置の間でラック53を水平に移動するように構築および配置されてもよい。
【0027】
収容部57は、処理されたばかりの高温の基材を有するラックを冷却するための冷却収容部であってもよい。冷却収容部には、ガス入口58およびガス出口60が提供されてもよい。ガス入口58およびガス出口60は、ポンプに流体接続されていて、下部領域内のミニ環境を通るガス流を作り出すことができる。ガス流を冷却し、かつ冷却収容部内のラックの冷却を加速するために、熱交換器が提供されてもよい。ガス入口58およびガス出口60は、冷却のためにミニ環境を通して水平のガス流を作り出すように構築および配置されてもよい。別の方法として、ガス入口58およびガス出口60は、粒子汚染を低減するためにミニ環境を通して下向きのガス流を作り出すように構築および配置されてもよい。
【0028】
モジュール49には、炉の下部領域と反応器45との間で基材を有するラックを移動させるように構成されたエレベーターが提供されてもよい。エレベーターは、基材ラックを支持するように構成されたベアリング表面を有するラック支持アームを備えてもよい。ラックコンベヤー55は、中に切り欠き部61を有する支持プラットフォームを有してもよい。切り欠き部61は、ラック支持アームのベアリング表面がこれを通して垂直方向に平行移動することを可能にするような、およびプラットフォームが基材ラックをサポートすることを可能にするようなサイズおよび形状にされてもよい。ラックコンベヤー55は、ラックを基材取り扱いロボット35に近い位置から、反応器45の下の位置に水平に移動するように回転可能であってもよい。
【0029】
処置モジュール49には、保守区域43の方向に開放可能な反応器ドア41が提供されてもよい。両方の処置モジュール49には、保守作業者Mによる同一の保守区域43からの各反応器55の保守を可能にする別個の反応器ドア41が提供されてもよい。処置モジュール49の反応器ドア41はまた、ラックコンベヤー55、ガス入口58、ガス出口60、ゲートバルブ63のエレベーター、および/またはラックの保守のために、同一の保守区域43からの炉の下部領域の保守を可能にしうる。
【0030】
別の方法として、処置モジュールにつき二つの反応器ドアが提供されてもよく、第一の反応器ドアは反応器55にアクセスできるように提供され、また第二の反応器ドアは炉の下部領域にアクセスできるように提供される。例えば、ラックコンベヤー55、ガス入口58、ガス出口60、ゲートバルブ63のエレベーター、および/またはラックの保守のために、炉の下部領域へのアクセスが必要とされる場合がある。
【0031】
従って、保守作業者Mは、処置モジュール49の内側の保守作業のために、炉1のハウジング2に入る必要がない場合がある。これによって保守作業員Mの負傷および/または処置モジュールの内側の汚染のリスクが最小化される場合がある。
【0032】
ゲートバルブ63が、基材取り扱いチャンバ37と処置モジュール49との間に提供されてもよい。基材取り扱いロボット35を保守する一方で処置モジュールが機能し続けうるように、ゲートバルブ63は基材取り扱いロボット35の保守中に、閉じられてもよい。
【0033】
反応器45のうちの一方の保守は、両方が別個のユニットとして構築されているため、反応器45のうちのもう一方とは干渉しない場合がある。もう一方の反応器および基材取り扱いロボット35が機能し続けうるように、ゲートバルブ63は一方の反応器の保守中に、閉じられてもよい。
【0034】
反応器45は、ガス排気管またはプロセスガス送達システムに接続されてもよい処理ガスインターフェース65(出口および/または入口)を有してもよい。処理ガスインターフェース65は、保守中に簡単にアクセスできるようにするために、保守区域43に隣接して提供されてもよい。
【0035】
プロセスガス送達システムは、プロセスガスを第一および/または第二の反応器45に提供するように構築および配置されたガスキャビネット67内に(部分的に)提供されてもよい。ガスキャビネットは、U字形状の脚部の上部の近くに提供されてもよい。U字形状の上部の近くにガスキャビネットを提供することは、保守のための簡単なアクセスを提供する。さらに、基材ハンドラーまたはカセットハンドラーが存在する際、重要な構成要素がない空間が装置の後ろにあるため、ガスキャビネットを調整または拡大する必要がある場合、この場所は柔軟性を提供する。
【0036】
ガス排気管は、第一の反応器および第二の反応器のうちの少なくとも一つからプロセスガスを除去するよう構築および配置されてもよく、またU字形状の脚部の上部の近くに提供されてもよい。U字形状の脚部にガス排気管を提供することは、保守のための簡単なアクセスを提供する。ガス排気管には、定期保守を必要とする場合があるポンプおよびスクラバが提供される場合がある。さらに、基材取り扱いロボットおよび/またはカセットハンドラーなどの重要な構成要素がない空間が装置の後ろにあるため、ガス排気管を調整または延長する必要がある場合、この場所は柔軟性を提供する。
【0037】
図2bは、後部ドア42が開いた状態での保守中の、
図1の炉の後ろの部分の概略上面図を示す。反応器の保守には、反応器、反応器管、基材ラック、ヒーター要素、ドア、ポンプおよび/またはバルブなどの大きい構成要素の交換が含まれる場合がある。
【0038】
ハウジング2の外側の保守区域43上に立っている保守作業員Mは、例えば装置から反応器45を取り出してもよい。これらを安全に移動するための工具を含むこうした大きい構成要素は、大きい保守区域43を必要とする場合がある。同一の保守区域43が両方の反応器45のために使用されてもよいため、保守区域43の設置面積は減少される場合がある。装置の後ろ側6の開口部は、反応器45などのさらに大きい構成要素の装置の外への移動を容易に可能にする。
【0039】
基材取り扱いロボット35が収容されている基材取り扱いチャンバ37には、ハンドラードア69が提供されてもよい。
【0040】
図2cは、基材取り扱いロボット35の保守中の、
図1の炉1の一部分の概略上面図を示す。ハンドラードア69は、装置の取り外し可能なプレートまたは部分であってもよい。保守作業者Mは、ハウジング2からハンドラードア69を取り外して、基材取り扱いロボット35へのアクセスを得てもよい。保守作業者Mはハンドラードア69を、保守区域43の後ろのどこかに置いてもよい。ハンドラードア69および基材取り扱いロボット35へのアクセスを可能にするために、反応器ドア41は閉じられてもよい。
【0041】
基材取り扱いロボット35が収容されている基材取り扱いチャンバ37は、ミニ環境エンクロージャであってもよい。基材取り扱いチャンバ37には、基材取り扱いチャンバ37を通るガス流を提供するためにポンプに流体接続されてもよい、ガス入口39およびガス出口41が提供されてもよい。ガス入口39およびガス出口41は、基材取り扱いチャンバ37内に水平ガス流を作り出すように構築および配置されてもよい。ガス入口39およびガス出口41はまた、ハンドラードア69内に構築されてもよい。
図2bは、三つのガス入口39およびガス出口41を、(ハンドラードア69を含む)取り扱いチャンバ37内に提供しうる方法を示す。
【0042】
別の方法として、ガス入口39は、ガス出口41の下に提供されて、基材取り扱いチャンバ37内に(部分的な)垂直層流を作り出してもよい。垂直層流で粒子汚染が最小化される場合があるので、垂直層流は好ましい場合がある。
【0043】
基材取り扱いロボット35は、装置が配置されているU字形状の下部に構築および配置されてもよい。U字形状の脚部の間の保守区域43から基材取り扱いロボット35へのアクセスを提供するために、ハンドラードア69はU字形状の下部に提供されてもよい。基材取り扱いロボット35に隣接した基材取り扱いチャンバ37へのアクセスを与えて、ハンドラードアを通したロボット35の保守を可能にするために、ハンドラードア69はハウジングの壁内に提供されてもよい。
【0044】
従って、ハウジング2の外側の保守区域43上に立っている保守作業員Mは、基材取り扱いロボット35上の保守作業のために、炉1の取り扱いチャンバ37のミニ環境に入る必要はない。これによって保守作業員の負傷、および/または基材取り扱いチャンバ37の汚染のリスクが低減されうる。ミニ環境に入ることなく保守することはまた、保守が実施されうる「速度」および/または精度を向上する場合がある。
【0045】
基材取り扱いロボット35は、第一の方向71で第一の処置モジュール49に向かって、また第二の方向73で第二の処置モジュール49に向かって基材を移動するように構築および配置されてもよい。第一の方向71および第二の方向73は、相互に90~180度の角度を有してもよく、好ましくは110~130度の角度を有し、最も好ましくは約120度の角度を有する。
【0046】
基材取り扱いロボット35は、第三の方向で基材移動位置15へと基材を移動するために、構築および配置されてもよい(
図1の通り)。第一の方向、第二の方向、および第三の方向は、相互に90~180度の角度を有してもよく、好ましくは110~130度の角度を有し、最も好ましくは約120度の角度を有する。
【0047】
本発明の例示的な実施形態を、添付図面を部分的に参照しながら上記で説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことが理解されるべきである。本開示の実施形態に対する変形形態は、特許請求される発明を実施する当業者によって、図面、開示、および添付の特許請求の範囲の検討から、理解し、かつ達成することができる。
【0048】
本明細書全体を通して、「一つの実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」の参照とは、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。それ故に、本明細書全体の様々な個所での「一つの実施形態において(in one embodiment)」または「一実施形態において(in an embodiment)」という句の使用は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、一つ以上の実施形態の特定の特徴、構造、または特性を、明示的に記述されていない新しい実施形態を形成するために任意の適切な様態で組み合わせうることが留意される。