(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】単結晶シリコンインゴット製造中のサンプルロッド成長および抵抗率測定
(51)【国際特許分類】
C30B 29/06 20060101AFI20240408BHJP
C30B 15/20 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
C30B29/06 502
C30B15/20
(21)【出願番号】P 2020571397
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 US2019038923
(87)【国際公開番号】W WO2020005901
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-18
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】カリシマ・マリー・ハドソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェウ・リュー
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ジェイ・フィリップス
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・スタンドリー
(72)【発明者】
【氏名】イ・ヒョンミン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ヨンジュン
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】河本 充雄
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102181919(CN,A)
【文献】特開2012-129308(JP,A)
【文献】特開平6-104269(JP,A)
【文献】特表2008-545605(JP,A)
【文献】特開2004-214250(JP,A)
【文献】UCS半導体基板技術研究会,シリコンの科学,第1版,1996年,第540頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B29
C30B15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
るつぼ内に保持されたシリコン溶融物から単結晶シリコンインゴットを製造するための方法であって、
前記るつぼに多結晶シリコンを追加するステップと、
前記多結晶シリコンを加熱して、前記るつぼ内にシリコン溶融物を形成させるステップと、
前記溶融物からサンプルロッドを引っ張るステップであって、前記サンプルロッドは、直径を有する、ステップと、
前記サンプルロッドを
少なくとも500℃の温度で約5秒~15分間、急速熱アニールでアニールして熱ドナーを消滅させるステップ
であって、前記サンプルロッドは、5.5ppma未満の酸素含有量を有する、ステップと、
熱ドナーの消滅後の前記サンプルロッドの抵抗率を測定するステップ
であって、前記サンプルロッドの抵抗率は、前記サンプルロッドをウェーハまたはスラグにスライスすることなく測定される、ステップと、
前記溶融物にドーパントを追加するステップであって、前記溶融物に追加されるドーパントの量は、前記サンプルロッドの測定された抵抗率に基づく、ステップと、
前記溶融物から製品インゴットを引っ張るステップであって、前記製品インゴットは、直径を有し、前記サンプルロッドの直径は、前記製品インゴットの直径よりも小さい、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記サンプルロッドの抵抗率は、前記ロッドを抵抗率プローブと接触させることによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記サンプルロッド上に平面セグメントを形成するステップをさらに含み、前記サンプルロッドの抵抗率は、前記平面セグメント上で測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記平面セグメントは、前記サンプルロッドの一端から前記サンプルロッドの第2の端に向かって軸方向に延びる、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルロッドの抵抗率を測定するために、プローブは、前記平面セグメントと接触される、請求項
3に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、電流を前記サンプルロッドに印加して前記サンプルロッドの抵抗を測定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記サンプルロッドの直径は、前記製品インゴットの直径の0.75倍未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記サンプルロッドは、平均直径を有し、前記サンプルロッドの平均直径は、150mm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプルロッドは、最大直径を有し、前記サンプルロッドの最大直径は、50mm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプルロッドは、300mm未満の長さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記製品インゴットは、少なくとも1,500Ω-cmの抵抗率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプルロッドは、少なくとも1,500Ω-cmの抵抗率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記サンプルロッドの平均抵抗率を決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記サンプルロッドは、前記サンプルロッドを抵抗率プローブと接触させながら、前記サンプルロッドを保持するクランプを備える測定装置によって固定される、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルロッドは、平均直径を有し、前記サンプルロッドの平均直径は、25mm未満である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2018年6月27日に出願された米国特許出願第16/020,698号の優先権を主張し、その開示全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野は、抵抗率制御が改善された単結晶シリコンインゴットを形成するための方法、特に、サンプルロッド成長および抵抗率測定を含む方法に関する。いくつかの実施形態では、サンプルロッドは、製品インゴットの直径よりも小さい直径を有する。
【背景技術】
【0003】
半導体電子コンポーネントの製造のほとんどのプロセスの出発材料である単結晶シリコンは、通常、単一の種結晶を溶融シリコンに浸漬し、ゆっくりと抽出して成長させる、いわゆるチョクラルスキー(CZ)プロセスによって調製される。溶融シリコンは、石英るつぼに含まれている間、主に酸素を含む様々な不純物で汚染されている。高度な無線通信用途、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、低電力、低リークデバイスなどの一部の用途では、1500オーム-cm(Ω-cm)以上などの比較的高い抵抗率のウェーハが必要である。
【0004】
高抵抗率のインゴット製造には、高純度のポリシリコンが使用される。高純度ポリシリコンは、不純物プロファイルの広がりを特徴とし、ドープされていない材料とそのタイプの固有抵抗率範囲に広い広がりを引き起こす。このような高抵抗率または超高抵抗率の材料の種端抵抗率の目標は、出発材料中のホウ素とリン(ポリシリコン材料の表面のホウ素とリンを含む)の変動性、およびるつぼ内の不純物、および/または熱ドナーキルサイクル後の抵抗率を変化させる酸素レベルのために困難である。さらに、そのような高抵抗率の用途は、抵抗率測定の誤差が増加する可能性がある。
【0005】
ポリシリコン出発材料の不純物濃度および/または抵抗率を比較的迅速にサンプリングすることを可能にし、および/または抵抗率測定のために消費される比較的少量のシリコンで抵抗率を比較的迅速に測定することを可能にし、および/またはより良い抵抗率制御を可能にし、および/または外因性ドーピングプロセスを簡素化する高抵抗率シリコンインゴットを調製する方法の必要性が存在する。
【0006】
このセクションは、本開示の様々な態様に関連する可能性のある技術の様々な態様を読者に紹介することを意図しており、これらは、以下に説明および/または主張される。この議論は、本開示の様々な態様のより良い理解を容易にするための背景情報を読者に提供するのに役立つと考えられている。したがって、これらの記述は、先行技術の承認としてではなく、この観点から読まれるべきであることを理解されたい。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様は、るつぼ内に保持されたシリコン溶融物から単結晶シリコンインゴットを製造するための方法に関する。多結晶シリコンがるつぼに追加される。多結晶シリコンを加熱して、るつぼ内にシリコン溶融物を形成させる。サンプルロッドが溶融物から引っ張られる。サンプルロッドは、直径を有する。サンプルロッドは、熱ドナーを消滅させるためにアニールされる。サンプルロッドの抵抗率は、熱ドナーの消滅後に測定される。製品インゴットが溶融物から引っ張られる。製品インゴットは、直径を有する。サンプルロッドの直径は、製品インゴットの直径よりも小さくなっている。
【0008】
本開示の他の態様は、るつぼ内に保持された多結晶シリコン溶融物の抵抗率を決定するための方法に関する。サンプルロッドが溶融物から引っ張られる。サンプルロッドは、熱ドナーキルサイクルでアニールされる。サンプルロッドに電流を印加する。ロッドの抵抗率を測定するためにサンプルロッドに電流を印加しながら、サンプルロッドを抵抗率プローブと接触させる。本開示の上記の態様に関連して記載された特徴には、様々な改良が存在する。さらなる特徴もまた、本開示の上記の態様に組み込まれ得る。これらの改良点と追加特徴は、個別に、または任意の組み合わせで存在する場合がある。例えば、本開示の例示された実施形態のいずれかに関連して以下で論じられる様々な特徴は、単独でまたは任意の組み合わせで、本開示の上記の態様のいずれかに組み込まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】単結晶シリコンインゴットを形成するための引っ張り装置の概略側面図である。
【
図2】シリコン溶融物から成長したサンプルロッドである。
【
図3】その表面に形成された平面セグメントを有するサンプルロッドである。
【
図4】サンプルロッドの抵抗率を測定するための測定装置である。
【
図5】サンプルロッドの抵抗率を測定するために使用されるI-V曲線である。
【
図6】種端からの様々な位置でのサンプルロッドの抵抗率の散布図である。
【0010】
対応する参照文字は、図面全体の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の規定は、溶融物の抵抗率を決定するためにサンプルロッドを成長させるチョクラルスキー法によって単結晶シリコンインゴットを製造するための方法に関する。サンプルロッドは、製品インゴットよりも小さい直径を有する。
【0012】
本開示の実施形態によれば、
図1を参照して、製品インゴットは、インゴットプーラ23のるつぼ22内に保持されたシリコン溶融物44からインゴットが引き出される、いわゆるチョクラルスキー法によって成長する。インゴットプーラ23は、結晶成長チャンバ16を規定するハウジング26と、成長チャンバよりも横方向の寸法が小さいプルチャンバ20とを含む。成長チャンバ16は、成長チャンバ16から狭くなったプルチャンバ20に移行する、概してドーム型の上壁45を有する。インゴットプーラ23は、結晶成長中にハウジング26にプロセスガスを導入およびハウジング26からプロセスガスを除去するために使用され得る入口ポート7および出口ポート12を含む。
【0013】
インゴットプーラ23内のるつぼ22は、シリコンインゴットが引き出されるシリコン溶融物44を含む。シリコン溶融物44は、るつぼ22にチャージされた多結晶シリコンを溶融することによって得られる。るつぼ22は、インゴットプーラ23の中心長手方向軸Xの周りでるつぼ22を回転させるために、ターンテーブル31に取り付けられている。
【0014】
加熱システム39(例えば、電気抵抗ヒータ)は、シリコンチャージを溶融して溶融物44を生成するためにるつぼ22を取り囲む。ヒータ39はまた、米国特許第8,317,919号明細書に示されるように、るつぼの下に延在できる。ヒータ39は、制御システム(図示せず)によって制御されるので、溶融物44の温度は、引っ張りプロセス全体を通して正確に制御される。ヒータ39を取り囲む断熱材(図示せず)は、ハウジング26を通して失われる熱の量を減らすことができる。インゴットプーラ23はまた、溶融物表面の上方に、るつぼ22の熱からインゴットを遮蔽して、固体溶融物界面での軸方向温度勾配を増加させるための熱シールドアセンブリ(図示せず)を含み得る。
【0015】
引っ張り機構(図示せず)は、機構から下に延びるプルワイヤ24に取り付けられている。この機構は、プルワイヤ24を上下させることができる。インゴットプーラ23は、プーラのタイプに応じて、ワイヤーではなくプルシャフトを有することができる。プルワイヤ24は、シリコンインゴットを成長させるために使用される種結晶6を保持する種結晶チャック32を含む引っ張りアセンブリ58で終端する。インゴットを成長させる際に、引っ張り機構は、種結晶6がシリコン溶融物44の表面に接触するまで種結晶6を下降させる。種結晶6が溶融し始めると、引っ張り機構は、成長チャンバ16を通って種結晶をゆっくりと上昇させ、チャンバ20を引っ張って単結晶インゴットを成長させる。引っ張り機構が種結晶6を回転させる速度および引っ張り機構が種結晶を上昇させる速度(すなわち、引張速度v)は、制御システムによって制御される。
【0016】
プロセスガスは、入口ポート7を通ってハウジング26に導入され、出口ポート12から引き出される。プロセスガスは、ハウジング26内に雰囲気を作り出し、溶融物と雰囲気は、溶融ガス界面を形成する。出口ポート12は、インゴットプーラの排気システム(図示せず)と流体的に連絡している。
【0017】
これに関して、
図1に示され、本明細書に記載されるインゴットプーラ23は例示的なものであり、他の結晶プーラ構成および配置を使用して、特に明記しない限り、単結晶シリコンインゴットを溶融物から引っ張ることができる。
【0018】
本開示の実施形態によれば、多結晶シリコンがるつぼ22に追加され、加熱システム39が操作されて多結晶シリコンを溶融させた後、サンプルインゴットまたはロッドが溶融物から引っ張られる。サンプルロッド5の例を
図2に示す。ロッド5は、ロッドが遷移し、種から外側に向かって先細りになって目標直径に到達するクラウン部分21を含む。ロッド5は、引張速度を増加させることによって成長する結晶の一定直径部分25または円筒形本体または単に「本体」を含む。サンプルロッド5の本体25は、比較的一定の直径を有する。ロッド5は、本体25の後にロッドが直径が先細になるテールまたはエンドコーン29を含む。直径が十分に小さくなると、ロッドは、溶融物から分離される。ロッド5は、インゴットのクラウン21および末端33を通って延びる中心長手方向軸Aを有する。
【0019】
サンプルロッド5の成長条件は、当業者が利用できる一般的に任意の適切な成長条件から選択できる。サンプルロッド5は、ロックされた種リフト(すなわち、+/-約5mmなどの様々な直径を有する固定引張速度)またはアクティブ種リフト(目標直径を維持するために変化される引張速度)で成長させることができる。
【0020】
サンプルロッド5は、サンプルロッドの後に成長する製品インゴットよりも小さい直径を有する。例えば、サンプルロッドの直径は、製品インゴットの直径の0.75倍未満、0.50倍未満、約0.25倍未満、または製品インゴットの直径の0.1倍未満であり得る。いくつかの実施形態では、サンプルロッドの直径は、約150mm未満または約100mm未満、約50mm未満、約25mm未満、または約20mm未満(例えば、約5mmから約150mm、約5mmから約100mm、約5mmから約50mm、約5mmから約25mm、または約10mmから約25mm)である。一般に、ロッド5の直径は、いくつかの軸方向位置に沿ってロッドを測定し(例えば、ロッドがクラウンおよび/またはテーパ端を有する場合、ロッドの一定直径部分内で)、測定された直径を平均することによって測定される(例えば、長さ全体で2、4、6、10以上の直径を測定し、平均化する)。いくつかの実施形態では、ロッドのサンプルの最大直径は、約150mm未満または約100mm未満、約50mm未満、約25mm未満、または約20mm未満(例えば、約5mmから約150mm、約5mmから約100mm、約5mmから約50mm、約5mmから約25mm、または約10mmから約25mm)である。
【0021】
いくつかの実施形態では、ロッド5は、結晶プーラで成長した製品インゴットのネック部分の直径に概ね対応する直径を有する。例えば、ロッドは、50mm未満、25mm未満、または20mm未満の直径を有し得る。
【0022】
サンプルロッド5は、任意の適切な長さを有し得る。いくつかの実施形態では、ロッド(例えば、トリミング後)は、約300mm未満、約200mm未満、または約100mm未満(例えば、約25mmから約300mm)の長さを有する。
【0023】
サンプルロッド5が成長した後、サンプルロッド5の抵抗率が測定される。ロッド5は、インゴットプーラ23から取り外され、抵抗率を測定できるように処理される。インゴットのクラウンとテールは、ワイヤーソーを使用するなどして取り外すことができる。いくつかの実施形態では、ロッド5のトリミングされた端部は、端部を平らにするために研磨される。ロッドの端部をエッチングできる(例えば、混酸エッチング)。ロッド5は、その第1および第2の端部15、17にオーミック接点などのオーミック接点を含むように修正できる。例えば、ロッド5の切断端部15、17は、コロイド銀塗料で塗装され、乾燥され得る。
【0024】
ロッド5の表面に平面セグメント11(
図3)が形成されている。平面セグメント11は、ロッド5に沿って軸方向に延びることができる。いくつかの実施形態では、平面セグメント11は、ロッド5の第1の端部15から第2の端部17まで軸方向に延びる。他の実施形態では、平面セグメント11は、その長さに沿って部分的にのみ延びる。
【0025】
平面セグメント11は、研削パッド(例えば、ダイヤモンドグリットパッド)を使用することなどによって、サンプルロッド5の表面を研削することによって形成できる。いくつかの実施形態では、平面セグメントは、電圧プローブとの接触を可能にするのに十分な幅(例えば、約2~4mm)を有する。平面セグメント11は、抵抗率測定の前に、脱イオン水で洗浄し、乾燥することなどによって洗浄できる。
【0026】
いくつかの実施形態では、サンプルロッド5は、抵抗率を測定する前に急速熱アニールにかけられる。急速熱アニールは、間質酸素クラスターを解離することにより、熱ドナーキルサイクル(すなわち、熱ドナーの消滅)として機能する可能性がある。いくつかの実施形態では、アニールは、約500℃以上、約650℃以上または約800℃以上(例えば、500℃から約1000℃、約500℃から約900℃、または約650℃から約1100℃)の温度で、少なくとも約5秒、少なくとも約30秒、少なくとも約1分、または少なくとも約3分以上(例えば、約5秒から15分、約5秒から約5分、または約5秒から約3分)行われる。
【0027】
ロッド5の抵抗率は、平面セグメント11から測定できる。本開示のいくつかの実施形態では、電流は、ロッド5を通って流れ、抵抗率プローブは、ロッド5の長さに沿った1つまたは複数の場所で接触される。電流は、端部15、17の1つを介してロッド5に印加され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、ロッド5は、
図4に示される装置43などの測定装置内に固定されている。測定装置43は、ロッド5を固定するクランプ51を含む。クランプ51は、ロッド5を第1の端部15に向けて固定する第1の支持体53と、ロッド5を第2の端部17に向けて固定する第2の支持体55とを有する。支持体53、55は、支持体53、55の間にロッドを固定するように構成される(例えば、調整およびクランプのためにねじ切りされる)。支持体53、55は、ロッド5のトリミングされた端部のオーミック接点に接触し得る。プローブ先端61は、ロッドの平らな平面セグメント上のロッド5に接触させられる。電流は、支持体53、55を通過し、電圧は、プローブ先端61によって測定される。プローブ先端61は、各点で印加される電流/電圧が測定された状態で、ロッド5の軸の下に手動で動かされる。図示の装置43では、プローブ先端61は、手動で動かされる。他の実施形態では、プローブ先端61は、アクチュエータによって動かされる。
【0029】
図4の測定装置43は例示的な装置であり、ロッドの抵抗率を固定および/または測定するための任意の適切な装置を、特に明記しない限り使用できる。ロッド(例えば、100mm未満、50mmまたは25mm未満などの一般に細い直径のロッド)および測定装置43の使用により、ロッドをウェーハまたはスラグにスライスすることなく抵抗率を測定できる。
【0030】
抵抗率プローブは、両方のプローブ先端が平面セグメント11と接触している2点プローブであり得る。電圧差は、2つのプローブ先端間で測定される。例えば、抵抗率は、「2点プローブを使用したシリコンバーの抵抗率の試験方法」と題されたSEMI標準MF397-0812に準拠した2点プローブで測定できる。これは、関連する全ての一貫した目的のために参照により本明細書に組み込まれる。結晶タイプ(すなわち、N型またはP型)を決定するために、2端子または3端子整流法を使用できる。このようなタイプの決定は、「外因性半導体材料の導電率タイプの試験方法」と題されたSEMI標準MF42-0316に準拠して実行できる。これは、関連する全ての一貫した目的のために参照により本明細書に組み込まれる。2端子と3端子の両方の整流方法は、非常に高い抵抗率のシリコンに対してロバストな方法である。
【0031】
電圧は、長さ全体の様々な点で測定できる。測定された電圧とサンプルの長さおよび平均直径を使用して、電流-電圧曲線の傾きを決定するなどして抵抗率を計算できる(例えば、以下の例1)。
【0032】
いくつかの実施形態では、サンプルロッド5は、約5.5ppma未満の酸素含有量などの比較的低い酸素含有量を有する。他の実施形態では、サンプルロッドの酸素含有量は、5.2ppma未満、5.0ppma未満、3.5ppma未満、約3ppma未満、または約2.5ppma未満である。いくつかの実施形態では、サンプルロッド5は、転位がない。
【0033】
ロッド5の測定された抵抗率は、るつぼ内の多結晶シリコン溶融物の抵抗率(すなわち、開始ドーパント不純物濃度(すなわち、正味のドナー-アクセプター濃度))に関連する情報を提供する。ロッド5の測定された抵抗率は、その後に成長するインゴットの製造条件を調整するために使用され得る。例えば、ある量のドーパントが多結晶シリコン溶融物に追加され得、ドーパントの量は、測定された抵抗率に少なくとも部分的に基づいて調整される(例えば、製品インゴット抵抗率を予測するモデルの使用によって)。適切なドーパントは、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、およびインジウムなどのp型ドーパント、およびリン、ヒ素、およびアンチモンなどのn型ドーパントを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、サンプルロッドを成長させてロッドの抵抗率を測定する前にある量のドーパントを溶融物に加え、サンプルロッドを成長させた後にある量のドーパント(例えば、同じドーパントまたは異なるドーパント)を加える。他の実施形態では、全てのドーパント(もしあれば)は、サンプルロッドが成長し、抵抗率が測定された後に追加される(例えば、ホウ素またはリン)。
【0035】
ドーパントが加えられ、サンプルインゴットおよび製品インゴットが引っ張られるポリシリコンは、半導体グレードのポリシリコンであり得る。半導体グレードのポリシリコンを使用する場合、いくつかの実施形態では、ポリシリコンは、4,000Ω-cmを超える抵抗率を有し、0.02ppba以下のホウ素またはリンを含む。
【0036】
サンプルロッドが引っ張られ、オプションでドーパントが溶融物に追加された後、製品インゴットが溶融物から引き出される。製品インゴットは、サンプルロッドの直径よりも大きい直径を有する(すなわち、サンプルロッドの定直径部分の直径は、インゴットの定直径部分の直径よりも小さい)。製品インゴットは、約150mmの直径、または他の実施形態のように、約200mm、約300mm以上(例えば、450mm以上)の直径を有し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、多結晶シリコンは、インゴットの成長中に(例えば、バッチプロセスのように)加えられない。他の実施形態では、多結晶シリコンは、製品インゴットが成長するときに溶融物に加えられる(例えば、連続チョクラルスキー法のように)。
【0038】
溶融物に加えられるドーパントの量(サンプルロッドが成長する前に第1のドーパントの追加の有無にかかわらず)は、インゴットの本体の少なくとも一部(例えば、インゴットのプライム部分)において目標抵抗率を達成するように制御され得る。いくつかの実施形態では、目標抵抗率は最小抵抗率である。いくつかの実施形態では、インゴットの全長(例えば、インゴットの本体の長さ)は、目標抵抗率(例えば、最小抵抗率)を有する。いくつかの実施形態では、製品インゴットの少なくとも一部の目標抵抗率は、少なくとも約1,500Ω-cmの最小抵抗率、または他の実施形態の場合のように、少なくとも約2,000Ω-cm、少なくとも約4,000Ω-cm、少なくとも約6,000Ω-cm、少なくとも約8,000Ω-cm、少なくとも約10,000Ω-cmまたは約1,500Ω-cmから約50,000Ω-cmまたは約8,000Ω-cmから約50,000Ω-cmである。あるいは、またはさらに、サンプルロッドは、少なくとも約1,500Ω-cm、または少なくとも約2,000Ω-cm、少なくとも約4,000Ω-cm、少なくとも約6,000Ω-cm、少なくとも約8,000Ω-cm、少なくとも約10,000Ω-cm、約1,500Ω-cmから約50,000Ω-cm、または約8,000Ω-cmから約50,000Ω-cmの抵抗率を有し得る。
【0039】
単結晶シリコンインゴットを製造するための従来の方法と比較して、本開示の方法にはいくつかの利点がある。比較的高い抵抗率の単結晶シリコンを製造するために使用される比較的高純度のポリシリコンは、ホウ素およびリンの不純物量に広い広がりがあり、それが固有の抵抗率に広い広がりを引き起こす。比較的小さい直径(例えば、少なくとも200mmなどの製品インゴットと実質的に同じサイズを有するサンプルインゴットと比較して、100mm未満、50mm未満、25mm未満、または10mm未満などの製品インゴット未満)のサンプルロッドを成長させることにより、溶融物の抵抗率を比較的迅速にサンプリングすることができる。測定された抵抗率は、ドーパントのより正確な追加に使用して、高抵抗率または超高抵抗率の製品(例えば、少なくとも約3000オームcm、5000オームcm、または少なくとも7000オームcm以上)のより良い目標を達成し、特に、より良い種端抵抗率の目標に使用することができる。比較的小さい直径のサンプルロッドは、比較的少量の溶融物を消費し(例えば、15kg、20kg、または50kg以上の溶融物を消費する可能性がある全径のショートインゴットと比較して、1kg未満、0.5kg未満または約0.25kg以下)、サンプリングプロセスに起因する不純物の蓄積を低減する。サンプルロッドは、比較的迅速に成長させることができる(例えば、20時間、30時間、40時間、または50時間の成長時間を伴う可能性があるフルサイズのショートインゴットと比較して、約12、10、または5時間以下)。サンプルロッドは、抵抗率測定の精度(例えば、熱ドナーキルサイクル後のロッドの精度)を改善する可能性がある比較的低い酸素含有量(例えば、約5ppma未満または4ppma未満など)を有し得る。
【0040】
サンプルロッドの表面に平面セグメントが形成されている実施形態では、抵抗率は2点プローブによって測定できる。このような2点プローブは、サンプルの準備を減らし、幾何学的補正係数に対する感度が低く、4点プローブと比較してより良い電流接点を可能にする可能性がある。2点プローブを使用すると、インゴットのタイプを判別するために2端子または3端子の整流方法を使用することもできる。
【0041】
サンプルロッドの成長時間の短縮と抵抗率測定時間の短縮により、抵抗率測定が提供される処理時間が短縮され(例えば、処理時間の短縮で20、30、または40時間)、るつぼの溶解によって引き起こされる不純物の蓄積が減少する。不純物を減らすと、将来の分析での抵抗率の予測可能性も向上する。各バッチ(すなわち、製品インゴット間)の高温時間の短縮により、ゼロ転位の損失を増やすことなく、るつぼを追加のサイクルで再チャージできる。
例
【0042】
本開示のプロセスは、以下の例によってさらに説明される。これらの例は、限定的な意味で見られるべきではない。
例1:I-V曲線からの抵抗率の決定
【0043】
サンプルロッドの電圧を軸方向に測定し(例えば、
図4の装置を使用して)、印加電流と測定電圧を記録した。
図5は、生成されたI-V曲線を示している。サンプルの形状とI-V曲線の傾きを使用して、サンプルの抵抗率は、6139オーム-cmであると決定された。
例2:ショートインゴットとサンプルロッドの比較
【0044】
製品ロッドとほぼ同じサイズの直径(例えば、200mmの引っ張り装置で約200mm)を有する単結晶のショートサンプルインゴット(「ショートインゴット」)を、
図1と同様の引っ張り装置で成長させた。結晶をトリミングし、混酸エッチング(MAE)にかけた。結晶スラグを800℃で3分間急速熱アニールし、ラップ仕上げした。スラグを4点プローブと接触させて抵抗率を測定し、抵抗率を3回の測定で平均した。
【0045】
サンプルロッド(「サンプルロッド」)は、ショートインゴットを成長させた後、同じ引っ張り装置でロック種リフトモードで成長させた。ロッドの直径はその長さ全体で変化し、17~23mmの範囲内で、平均20mmであった。サンプルロッドをトリミングして研磨し、ロッドの一方の端からもう一方の端まで延びる平らなセグメントを形成した。ロッドを800℃で3分間急速熱アニールした。インゴットの抵抗率は、
図4に示される装置と同様の測定装置と2点プローブを使用して測定した。成長条件の違いを以下の表1に示す。
【0046】
【0047】
表1:直径200mmのサンプルインゴットと直径約17~23mmのサンプルロッドの成長条件
【0048】
サンプルロッドの長さ全体で測定された抵抗率とサンプルインゴットからのスラグの抵抗率を
図6に示す。
【0049】
ショートインゴットのサンプル準備時間は26時間で、トリミング、混酸エッチング、急速熱アニール、スラブ切断、研削(例えば、ダイヤモンドパッドを使用)、ラッピング、4点プローブによる測定が含まれていた。サンプルロッドのサンプル準備時間は6時間で、トリミング、混酸エッチング、急速熱アニール、フラット研削(ダイヤモンドパッドを使用)、ラッピング、2点プローブによる測定が含まれていた。
【0050】
本明細書で使用される場合、「約」、「実質的に」、「本質的に」および「ほぼ」という用語は、寸法、濃度、温度、または他の物理的または化学的特性または性質の範囲と組み合わせて使用される場合、例えば、丸め、測定方法、またはその他の統計的変動に起因する変動を含む、特性または性質の範囲の上限および/または下限に存在する可能性のある変動をカバーすることを意味する。
【0051】
本開示の要素またはその実施形態を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つまたは複数の要素が存在することを意味することを意図している。「備える」、「含む」、「含む」および「有する」という用語は、包括的であることを意図しており、リストされた要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。特定の方向(例えば、「上」、「下」、「側面」など)を示す用語の使用は、説明の便宜のためであり、説明されているアイテムの特定の向きを必要としない。
【0052】
本開示の範囲を逸脱することなく、上記の構成および方法に様々な変更を加えることができるので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されることが意図されている。