(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】メラノコルチン-4受容体アゴニスト
(51)【国際特許分類】
C07D 413/14 20060101AFI20240408BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240408BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240408BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240408BHJP
A61P 15/10 20060101ALI20240408BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240408BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
C07D413/14 CSP
A61K31/5377
A61P3/04
A61P3/10
A61P15/10
A61P29/00
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2021575455
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(86)【国際出願番号】 KR2020015462
(87)【国際公開番号】W WO2021091283
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0141649
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン・ワン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヒ・ドン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヒ・ドン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ス・ジン・ヨ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・ソ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ホ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ウォン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ウン・シル・チェ
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-543774(JP,A)
【文献】特表2012-508730(JP,A)
【文献】特表2004-529105(JP,A)
【文献】国際公開第2015/182723(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】
(式中、R1はC
2-C
4アルキルである)の化合物、又はその薬学的に許容される
塩。
【請求項2】
R1が、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルである請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される
塩。
【請求項3】
前記式(1)の化合物が、以下の群から選ばれる請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される
塩:
N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド;
N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド;及び
N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド
。
【請求項4】
前記薬学的に許容される塩が、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸及びヨウ化水素酸からなる群から選ばれる請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される
塩。
【請求項5】
前記薬学的に許容される塩が、塩酸塩である請求項4に記載の化合物、又はその薬学的に許容される
塩。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される
塩、及び薬学的に許容される担体を含むメラノコルチン受容体アゴニスト医薬組成物。
【請求項7】
肥満の予防又は治療用である請求項6に記載のメラノコルチン受容体アゴニスト医薬組成物。
【請求項8】
糖尿の予防又は治療用である請求項6に記載のメラノコルチン受容体アゴニスト医薬組成物。
【請求項9】
炎症の予防又は治療用である請求項6に記載のメラノコルチン受容体アゴニスト医薬組成物。
【請求項10】
勃起不全症の予防又は治療用である請求項6に記載のメラノコルチン受容体アゴニスト医薬組成物。
【請求項11】
肥満の予防または治療用薬剤の調製のための請求項6に記載のメラノコルチン受容体アゴニスト医薬組成物の使用。
【請求項12】
糖尿の予防または治療用薬剤の調製のための請求項6に記載のメラノコルチン受容体アゴニスト医薬組成物の使用。
【請求項13】
炎症の予防または治療用薬剤の調製のための請求項6に記載のメラノコルチン受容体アゴニスト医薬組成物の使用。
【請求項14】
勃起不全症の予防または治療用薬剤の調製のための請求項6に記載のメラノコルチン受容体アゴニスト医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラノコルチン受容体に対して優れたアゴニスト活性を示す化合物に関する。より詳細には、本発明は、下記式(1)
【化1】
(式中、R1はC
2-C
5アルキルである)の化合物、それを有効成分として含む医薬組成物及びその使用に関するものであり、本発明の化合物は、メラノコルチン-4受容体に対して優れたアゴニスト活性を示し、特に、肥満、糖尿、炎症及び勃起不全症に対する予防又は治療に有用に使用できる。
【背景技術】
【0002】
レプチンタンパク質は、体脂肪細胞(脂肪細胞)から分泌されるホルモンであり、体脂肪量が増えると分泌量が増える。レプチンタンパク質は、視床下部(hypothalamus)で生成される様々な神経ペプチドの機能を調節し、それによって食欲、体脂肪量及びエネルギー代謝を含む様々な生体内機能を調節する(非特許文献1)。レプチンタンパク質による食欲と体重調節のシグナル伝達は、その下流の多くの要因の調節を通じて行われる。その最も代表的なものは、メラノコルチン、AgRP(アグーチ関連ペプチド)及び神経ペプチドY(NPY)ホルモンである。
【0003】
生体内での過剰なカロリーの結果として血中のレプチンの濃度が増加すると、脳下垂体におけるプロオピオメラノコルチン(POMC)タンパク質ホルモンの分泌が増加し、AgRPとNPYの生成が減少する。小さいペプチドホルモンであるα-MSH(メラノサイト刺激ホルモン)はPOMC神経細胞からから生成され、このホルモンは、2次神経細胞のメラノコルチン-4受容体(MC4R)アゴニストであり、最終的に食欲減退を誘導する。一方、カロリー不足によりレプチンの濃度が低下するとMC4R拮抗薬(antagonist)であるAgRPの発現が増加し、NPYの発現も増加するため、再有的に食欲が増進される。つまり、レプチンの変化に応じて、α-MSHホルモンとAgRPホルモンは、MC4Rのアゴニストとアンタゴニストとして食欲調節に関与している。
【0004】
α-MSHホルモンは、MC4Rに加えて3つのMCRサブタイプに結合することにより、様々な生理学的反応を誘導する。これまでに、5つのMCRサブタイプが識別されている。サブタイプの中で、MC1Rは主に皮膚細胞で発現され、メラニン色素沈着に関与し、MC2Rは主に副腎で発現され、グルココルチコイドホルモンの生成に関与することが知られており、POMCに由来するACTH(副腎皮質刺激ホルモン)のがそのリガンドである。MC3RとMC4Rは主に中枢神経系で発現し、食欲、エネルギー代謝及び体内の脂肪蓄積効率の調節に関与し、MC5Rは様々な組織で発現し、外分泌機能を調節することが知られている(非特許文献2)。特に、MC4R受容体の活性化は、食欲不振やエネルギー代謝の増加を誘導することで効果的に体重を効率的に減らす効果があり、肥満治療薬の開発における主要な作用点であることが立証された(非特許文献2、3、4及び5参照)。
【0005】
食欲と体重の制御におけるMC4Rの役割は、主にアグーチタンパク質の異常発現の動物モデル(アグーチマウス)での実験を通じて立証された。アグーチマウスの場合、アグーチタンパク質は、遺伝的変異によって中枢神経系で高濃度に発現し、視床下部でMC4Rの拮抗薬として作用し、肥満を誘導することが明らかになった(非特許文献6、7)。その後の研究結果では、実際のアグーチタンパク質と同様のAgRP(アグーチ関連ペプチド)が視床下部神経で発現していることが観察されており、AgRPはMC4Rに対する拮抗薬として食欲調節に関与していることも分かった(非特許文献8、9)。
【0006】
生体内でのMC4Rアゴニストであるα-MSHの動物への大脳投与は、食欲を減退させる効果が示し、MC4R拮抗薬であるSHU9119(ペプチド)又はHS014(ペプチド)を治療すると、食欲増加の効果が再び観察された(非特許文献10)。さらに、メラノタンII(MTII、Ac-Nle-c[Asp-His-DPhe-Arg-Trp-Lys]-NH2)及びそれに類似したアゴニストであるHP228を使用した動物試験において、大脳、腹腔内、又は皮下投与後、食欲抑制、体重減少、エネルギー代謝の増加効能などが確認された(非特許文献11、12、13)。対照的に、代表的なSHU9119を動物に投与すると、顕著で持続的な飼料摂取量と体重増加が見られ、MCRアゴニストを使用して肥満を治療できるという薬理学的な証拠が得られた。MTII投与中に明らかに示される食欲減退効果は、MC4RKO(ノックアウト)マウスでは示されない。この実験結果は、食欲減退効果が主にMC4Rの活性化によって達成されることを再び証明している(非特許文献14)。
【0007】
中枢神経系に作用する食欲阻害剤は、これまでに開発された肥満治療として優勢であり、ほとんどの阻害剤は神経伝達物質の作用を調節する薬物である。その例には、ルアドレナリン作動薬(フェンテルミン及びマジンドール)と、セロトニン作用薬であるフルオキセチン及びシブトラミンが含まれる。しかし、前記神経伝達物質調節剤は、多数のサブタイプ受容体による食欲阻害に加えて、様々な生理学的作用に対して幅広い効果を発揮している。従って、前記調節剤は、各サブタイプに選択性に欠け、長期投与の場合に様々な副作用を伴うという大きな欠点がある。
【0008】
一方、メラノコルチンは神経伝達物質ではなく神経ペプチドであり、MC4R遺伝子KOマウスではエネルギー代謝以外のすべての機能が正常であることを考えると、メラノコルチンアゴニストは、他の生理学的機能に影響を与えることなく、食欲阻害による体重減少のみを誘発することができる点で作用点としての利点がある。特に、受容体は、これまでに開発された新薬の作用点の中で最も成功したカテゴリーに属するG-タンパク質結合受容体(GPCR)であり、サブタイプ受容体の選択性を確保することが比較的容易であるという点で、従来の作用点とは大きく区別されている。
【0009】
このようなメラノコルチン受容体を作用点として活用する例として、特許文献1、2は、メラノコルチン受容体のアゴニストとしての化合物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO 2008/007930号
【文献】WO 2010/056022号
【非特許文献】
【0011】
【文献】Schwartz, et al., Nature 404, 661-671 (2000)
【文献】Wikberg, et al., Pharm Res 42 (5) 393-420 (2000)
【文献】Wikberg, Eur. J. Pharmacol 375, 295-310 (1999)
【文献】Douglas et al., Eur J Pharm 450, 93-109 (2002)
【文献】O’Rahilly et al., Nature Med 10, 351-352 (2004)
【文献】Yen, TT et al., FASEB J. 8, 479-488 (1994); and Lu D., et al. Nature 371, 799-802 (1994)
【文献】Lu D., et al. Nature 371, 799-802 (1994)
【文献】Shutter, et al., Genes Dev., 11, 593-602 (1997)
【文献】Ollman, et al. Science 278, 135-138 (1997)
【文献】Kask et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 245, 90-93 (1998)
【文献】Thiele T. E., et al. Am J Physiol 274 (1 Pt 2), R248-54 (1998)
【文献】Lee M. D., et al. FASEB J 12, A552 (1998)
【文献】Murphy B., et al. J Appl Physiol 89, 273-82 (2000)
【文献】Marsh, et al., Nat Genet 21, 119-122 (1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、メラノコルチン受容体、特にメラノコルチン-4受容体(MC4R)に対する選択的なアゴニスト活性に優れた式(1)で示される新規の化合物、その薬学的に許容される塩又は異性体を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、前記式(1)で示される化合物を調製する方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、有効成分として、前記式(1)で示される化合物、その薬学的に許容される塩又は異性体を含むメラノコルチン受容体アゴニスト医薬組成物を提供することである。
【0015】
本発明のさらに別目的は、肥満、糖尿、炎症及び勃起不全症の予防又は治療のための、前記式(1)で示される化合物、その薬学的に許容される塩又は異性体の使用を提供することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、前記式(1)で示される化合物、その薬学的に許容される塩又は異性体を、それを必要とするする対象に投与することを含む、肥満、糖尿、炎症及び勃起不全症の予防又は治療する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために、本発明は、下記式(1)
【化2】
(式中、R1はC
2-C
5アルキルである)の化合物、又はその薬学的に許容される塩又は異性体を提供する。
【0018】
本発明による式(1)の化合物は、薬学的に許容される塩を形成していてもよい。
【0019】
また、本発明による化合物は、不斉炭素中心と不斉軸又は不斉平面を有し得るので、シス又はトランス異性体、R又はS異性体、ラセミ体、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在することができるし、これらすべての異性体及び混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0020】
本明細書では、他に示さない限り、式(1)の化合物は式(1)の化合物、その薬学的に許容される塩及び異性体をすべて含むという意味で使用される。
【0021】
本発明による一実施形態では、前記式(1)のR1は、C2~C4アルキルである。本発明による別の実施形態では、前記式(1)のR1は、直鎖又は分枝状C2~C4アルキル、例えば、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルである。
【0022】
本発明による別の実施形態では、前記式(1)のR1は、C2又はC3アルキルである。本発明による別の実施形態では、前記式(1)のR1は直鎖又は分枝状C2又はC3アルキル、例えば、エチル、n-プロピル又はイソプロピルである。
【0023】
本発明による別の実施形態では、前記式(1)の化合物は、下記式(2)のN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミドである:
【化3】
【0024】
本発明の別の実施形態では、前記式(1)の化合物は、下記式(3)のN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミドである:
【化4】
【0025】
本発明の別の実施形態では、前記式(1)の化合物は、下記式(4)のN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミドである:
【化5】
【0026】
本発明による別の実施形態において、前記薬学的に許容される塩の例には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸、酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸などの有機カルボン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸又はナフタレンスルホン酸などのスルホン酸などによって形成された酸付加塩を含むが、これらに限定されない。
【0027】
本発明による別の実施形態において、前記化合物は、式(1)の化合物の薬学的に許容される塩であり、ここで、R1はエチルであり、塩は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸などの有機カルボン酸;又はメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸である。
【0028】
本発明による別の実施形態において、前記化合物、は式(1)の化合物の薬学的に許容される塩であり、ここで、R1はn-プロピルであり、塩は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸などの有機カルボン酸;又はメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸である。
【0029】
本発明による別の実施形態には、前記化合物は、式(1)の化合物の薬学的に許容される塩であり、ここ、でR1はイソプロピルであり、塩は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸などの有機カルボン酸;又はメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸である。
【0030】
本発明による別の実施形態において、前記化合物は、式(1)の化合物の薬学的に許容される塩であり、ここで、R1はn-ブチルであり、塩は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸などの有機カルボン酸;又はメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸である。
【0031】
本発明による別の実施形態において、前記化合物は、式(1)の化合物の薬学的に許容される塩であり、ここで、R1はイソブチルであり、塩は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸などの有機カルボン酸;又はメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸である。
【0032】
本発明による別の実施形態において、前記化合物は、式(1)の化合物の薬学的に許容される塩であり、ここで、R1はsec-ブチルであり、塩は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸などの有機カルボン酸;又はメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸である。
【0033】
本発明による別の実施形態において、前記化合物は、式(1)の化合物の薬学的に許容される塩であり、ここで、R1はtert-ブチルであり、塩は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸などの有機カルボン酸;又はメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸である。
【0034】
本発明による別の実施形態において、前記薬学的に許容される塩は塩酸塩である。
【0035】
本発明による別の実施形態では、前記式(1)の化合物は、下記式(5)のN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩である:
【化6】
【0036】
本発明による別の実施形態では、前記式(1)の化合物は、下記式(6)のN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド塩酸塩である:
【化7】
【0037】
本発明による別の実施形態では、前記式(1)の化合物は、下記式(7)のN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド塩酸塩である:
【化8】
【0038】
本発明による別の実施形態では、前記式(5)のN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩、前記式(6)のN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド塩酸塩及び前記式(7)のN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド塩酸塩は、下記の反応スキーム1によって調製することができる。
(反応スキーム1)
【化9】
(式中、R2は、C
1-C
5アルキルであり、R3は、非置換であるか、1又は2つのC
1-C
5アルキルで置換されたC
3-C
8シクロアルキルであり、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素又はハロゲンである。)
【0039】
本発明による式(1)の化合物は、メラノコルチン受容体、特にメラノコルチン-4受容体(MC4R)に対して優れたアゴニスト活性を示すので、本発明はまた、式(1)の化合物、又はその有効成分としての薬学的に許容される塩又は異性体を、薬学的に許容される担体と共に含むメラノコルチン受容体のアゴニスト医薬組成物を提供する。特に、本発明による組成物は、肥満、糖尿、炎症及び勃起不全症の予防又は治療において優れた効果を示すが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書において、「担体」は、細胞又は組織への化合物の投入を容易にする化合物を意味する。
【0041】
本発明の化合物を臨床目的で投与されば場合、単回投与又は別々の投与として宿主に投与される総1日用量は、好ましくは体重1kg当たり0.01~10mgの範囲であるが、個々の患者の特定の用量レベルは、使用される特定の化合物、患者の体重、性別、健康状態、食事、薬剤の投与時間、投与方法、排泄率、薬剤混合及び疾患の重症度などに応じて変わる可能性がある。
【0042】
本発明の化合物は、目的に応じて任意に経路で投与することができる。例えば、本発明の化合物は、注射又は経口投与によって投与することができる。
【0043】
注射用製剤は、公知技術に従って、適切な分散剤、湿潤剤又は懸濁剤を使用することによって調製することができる。
【0044】
経口投与用の固体剤形の例には、カプセル剤、錠剤、丸剤、ピル、粉末及び顆粒が含まれ、固体剤形は、本発明による式(1)の活性化合物を不活性希釈剤、潤滑剤、崩壊剤、結合剤などの1つ以上の担体と混合することによって調製することができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明による式(1)の化合物は、メラノコルチン受容体、特にメラノコルチン-4受容体(MC4R)に対して優れたアゴニスト活性を示すので、肥満、糖尿、炎症及び勃起不全症の予防又は治療に有用に使用することができる。
【0046】
本発明による式(1)の化合物は、メラノコルチン-4受容体に対して標的効果を示し、体重減少及び食餌減少効果を示しながら、不安及び鬱病に影響を及ぼさなく、hERG(human ether-a-go-go related gene)阻害や、突然変異誘発などの安全性の問題に副作用を与えることなく投与することができる。また、本発明による式(1)の化合物は、細胞毒性及び肝臓毒性がないため、安全に投与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明について、製造例及び実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、これらの例は例示に過ぎず、本発明の範囲はそれに限定されない。
【0048】
製造例1:メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩の調製
【化10】
【0049】
以下の工程A、B、C、D及びEにより、表題化合物を得た。
【0050】
工程A:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アジドピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの調製
窒素下で、1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4R)-4-((メチルスルホニル)オキシ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(48.5g、150mmol)をN,N’-ジメチルホルムアミド(250mL)に溶解し、アジ化ナトリウム(19.5g、300mL)を加えた。80℃で16時間撹拌した後、反応溶媒を減圧濃縮し、水を加え、酢酸エチルで2回抽出をした。有機層を塩化ナトリウム水溶液及び水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、粗製物(39.59g、98%)を得た。これを精製することなく次の工程で使用した。
【0051】
MS [M+H] = 271 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.43-4.37 (m, 1H), 4.35-4.27 (br, 1H), 3.77 (s, 1.8H), 3.76 (s, 1.2H), 3.73-3.66 (m, 1H), 3.44-3.38 (m, 1H), 2.63-2.49 (m, 1H), 2.19-2.11 (m, 1H), 1.50 (s, 4.5H), 1.44 (s, 4.5H)
【0052】
工程B:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アミノピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの調製
前記工程Aで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アジドピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(24.59g、91.0mmol)をテトラヒドロフラン(180mL)に溶解し後、1Mトリメチルホスフィンテトラヒドロ溶液(109.2mL、109.2mmol)を0℃でゆっくり加えた。同温度で1時間撹拌をした後、混合物を室温で3時間撹拌した。反応溶媒を減圧濃縮した後、ジクロロメタン(100mL)と水(150mL)を加え、約30分間撹拌した。層を分離し、ジクロロメタンで再度抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、粗製物(20.62g、93%)を得た。これを精製することなく次の工程で使用した。
【0053】
MS [M+H] = 245 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.27 (m, 1H), 3.77 (s, 1.8H), 3.76 (s, 1.2H), 3.75-3.67 (m, 1H), 3.50-3.42 (m, 1H), 3.22-3.17 (m, 1H), 2.58-2.47 (m, 1H), 1.82-1.71 (m, 1H), 1.48 (s, 4.5H), 1.42 (s, 4.5H)
【0054】
工程C:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)アミノ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの調製
前記工程Bで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-アミノピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(20.62g、84.4mmol)をジクロロエタン(150mL)に溶解し、4-メティルサイクルロヘクサノン(9.5mL、101.3mmol)を加えた。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(26.8g、126.6mmol)を0℃で加え、室温で16時間撹拌した。反応溶媒を減圧濃縮し、水を加え、酢酸エチルで2回抽出をした。有機層を塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下濃縮し、カラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物(22.9g、80%)を得た。
【0055】
MS [M+H] = 341 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.26 (m, 1H), 3.76 (s, 1.8H), 3.75 (s, 1.2H), 3.78-3.71 (m, 1H), 3.49-3.40 (m, 1H), 3.22-3.16 (m, 1H), 2.69-2.60 (br, 1H), 2.58-2.46 (m, 1H), 1.87-1.77 (m, 1H), 1.73-1.63 (m, 1H), 1.62-1.35 (m, 8H), 1.48 (s, 4.5H), 1.42 (s, 4.5H), 0.96 (d, 3H)
【0056】
工程D:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの調製
前記工程Cで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)アミノ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(37.29g、109.5mmol)をジクロロメタン(500mL)に溶解し、トリエチルアミン(61.1mL、438.1mmol)を加え、塩化イソブチル(11.7mL、219mmol)を0℃でゆっくり加えた。室温で16時間撹拌した後、反応溶媒を減圧濃縮し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで2回抽出をした。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、カラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物(38.79g、86%)を得た。
【0057】
MS [M+H] = 411 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.27 (m, 1H), 3.76 (s, 1.8H), 3.75 (s, 1.2H), 3.78-3.72 (m, 1H), 3.50-3.41 (m, 1H), 3.33-3.14 (m, 1H), 2.69-2.60 (m, 2H), 2.57-2.43 (m, 1H), 1.87-1.79 (m, 1H), 1.70-1.61 (m, 1H), 1.60-1.32 (m, 8H), 1.47 (s, 4.5H), 1.41 (s, 4.5H), 1.10 (dd, 6H), 0.99 (d, 3H)
【0058】
工程E:メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩の調製
前記工程Dで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(34.0g、82.8mmol)をジクロロメタン(200mL)に溶解し、4N塩酸1,4-ジオキサン溶液(82.8mL、331.3mmol)を0℃で加えた。室温で6時間撹拌し後、反応溶媒を減圧下で濃縮して、粗製物(28.7g、99%)を得た。これを精製することなく次の工程で使用した。
【0059】
MS[M+H] = 311 (M+1)
【0060】
製造例2:(3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボン酸の調製
【化11】
国際公開番号WO2004/092126号に記載されている方法で表題化合物を得た。
【0061】
MS[M+H] = 282 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.43-7.33 (m, 4H), 3.90-3.69 (m, 3H), 3.59 (dd, J = 11.2, 10.0 Hz, 1H), 3.29 (dd, J = 11.2, 11.2 Hz, 1H), 3.18-3.09 (m, 1H), 1.44 (s, 9H)
【0062】
製造例3:メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩の調製
【化12】
以下の工程A及びBにより表題化合物を得た。
【0063】
工程A:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの調製
【化13】
製造例1の工程Cで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)アミノ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(1.0g、2.9mmol)と塩化プロピオニル(0.33g、3.5mmol)を用いて、製造例1の工程Dと同様の方法で表題化合物(0.98g、84%)を得た。
【0064】
MS [M+Na] = 419.5 (M+23)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.33 (m, 1H), 4.00-3.80 (m, 2H), 3.75 (m, 3H), 3.58 (m, 1H), 3.47 (m, 1H), 2.85-2.68 (m, 1H), 2.38 (q, 2H), 2.31 (m, 1H), 1.93 (m, 1H), 1.80 (m, 2H), 1.72-1.55 (m, 4H), 1.45 (m, 2H), 1.45-1.41 (m, 9H), 1.07 (m, 6H)
【0065】
工程B:メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩の調製
【化14】
前記工程Aで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(0.98g、2.4mmol)を用いて、製造例1の工程Eと同様の方法で表題化合物(0.76g、93%)を得た。
【0066】
MS [M+H] = 297.4 (M+1)
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.95 (brs, 1H), 8.63 (brs, 1H), 4.38 (m, 1H), 4.21 (m, 1H), 3.77 (s, 3H), 3.53 (m, 1H), 3.40 (m, 2H), 2.53 (m, 1H), 2.37 (q, 2H), 2.24 (m, 1H), 1.88 (m, 1H), 1.68-1.55 (m, 4H), 1.52 (m, 2H), 1.40 (m, 2H), 0.97 (m, 6H)
【0067】
製造例4:メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩の調製
【化15】
以下の工程A及びBにより表題化合物を得た。
【0068】
工程A:1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの調製
【化16】
国際公開番号WO2008/007930号に記載された方法で表題化合物を得た。
【0069】
MS [M+Na] = 447.5 (M+23)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 4.34 (m, 1H), 3.90-3.75 (m, 2H), 3.73 (m, 3H), 3.45 (m, 2H), 2.75-2.60 (m, 1H), 2.30 (m, 1H), 1.95 (m, 1H), 1.85 (m, 2H), 1.66 (m, 4H), 1.50 (m, 2H), 1.45-1.41 (m, 9H), 1.25-1.20 (m, 9H), 1.05 (d, 3H)
【0070】
工程B:メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩の調製
【化17】
前記工程Aで得られた1-(tert-ブチル)2-メチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(0.80g、1.88mmol)を用いて、製造例1の工程Eと同様の方法で表題化合物(0.68g、99%)を得た。
【0071】
MS [M+H] = 325.4 (M+1)
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.24 (brs, 1H), 8.60 (brs, 1H), 4.41 (m, 1H), 4.22 (m, 1H), 3.77 (m, 3H), 3.40-3.28 (m, 3H), 2.55 (m, 1H), 2.20 (m, 1H), 1.87 (m, 1H), 1.70-1.50 (m, 6H), 1.40 (m, 2H), 1.21-1.10 (m, 9H), 1.00 (m, 3H)
【0072】
実施例1:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩の調製
【化18】
以下の工程A、B、C及びDにより表題化合物を得た。
【0073】
工程A:メチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレートの調製
製造例1で得られたメチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩(28.7g、82.73mmol)、製造例2で得られた(3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボン酸(24.5g、86.87mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(22.2g、115.83mmol)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(15.7g、115.83mmol)をN,N’-ジメチルホルムアミド(400mL)に溶解し、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(72.0mL、413.66mmol)をゆっくり加えた。室温で16時間撹拌し、反応溶媒を減圧濃縮した後、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで2回抽出をした。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下濃縮してカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物(41.19g、87%)を得た。
【0074】
MS [M+H] = 575 (M+1)
【0075】
工程B:(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボン酸の調製
前記工程Aで得られたメチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート(39.4g、68.62mmol)をメタノール(450mL)に溶解し、6Nの水酸化ナトリウム水溶液(57.2mL、343.09mmol)を加えた。室温で16時間撹拌し、6Nの塩酸水溶液でpHを約5に調整した後、反応溶液を減圧濃縮し。濃縮液をジクロロメタンで溶解し、次に不溶性固体をろ紙でろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、粗製物(38.4g、99%)を得た。これを精製することなく次の工程で使用した。
【0076】
MS [M+H] = 561 (M+1)
【0077】
工程C:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミドの調製
前記工程Bで得られた(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド)ピロリジン-2-カルボン酸(38.4g、68.60mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(18.4g、96.04mmol)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(13.0g、96.04mmol)をN,N’-ジメチルホルムアミド(200mL)に溶解し、モルホリン(5.9mL、68.80mmol)とN,N’-ジイソプロピルエチルアミン(59.7mL、343.02mmol)をゆっくり連続して加えた。室温で16時間撹拌し、反応溶液を減圧濃縮した後、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで2回抽出をした。有機層を塩化ナトリウム水溶液と水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、カラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物(37.05g、86%)を得た。
【0078】
MS [M+H] = 630 (M+1)
【0079】
工程D:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド塩酸塩の調製
前記工程Cで得られたN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)イソブチルアミド(5.0g、7.95mmol)を酢酸エチル(50mL)に溶解し、2Nの塩酸酢酸エチル溶液(3.97mL、15.89mmol)をゆっくり加えた。室温で30分間撹拌し、反応溶媒を減圧濃縮した。生成された粗固体をヘキサンとジエチルエーテルをも用いた粉砕により精製して、表題化合物(5.23g、99%)を得た。
【0080】
MS [M+H] = 630 (M+1)
1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.49-7.44 (m, 4H), 4.83 (m, 1H), 4.23-4.20 (m, 1H), 3.95-3.91 (m, 2H), 3.79-3.47 (m, 14H), 3.03-3.00 (m, 1H), 2.86-2.82 (m, 1H), 2.73-2.67 (m, 1H), 2.20-2.14 (m, 1H), 1.97 (m, 1H), 1.80-1.62 (m, 5H), 1.50 (s, 9H), 1.44-1.27 (m, 3H), 1.06-1.04 (m, 9H)
【0081】
実施例2:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド塩酸塩の調製
【化19】
以下の工程A、B、C及びDにより表題化合物を得た。
【0082】
工程A:メチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド)ピロリジン-2-カルボキシレートの調製
【化20】
製造例3で得られたメチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩(0.76g、2.28mmol)と製造例2で得られた(3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボン酸(0.64g、2.28mmol)を用いて、実施例1の工程Aと同様の方法で表題化合物(0.45g、35%)を得た。
【0083】
MS [M+H] = 560.4 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.39-7.30 (m, 4H), 4.45 (m, 1H), 4.04 (m, 1H), 3.71 (s, 3H), 3.65-3.35 (m, 6H), 3.13 (m, 2H), 2.99 (m, 1H), 2.71 (m, 1H), 2.34 (q, 2H), 2.20 (m, 1H), 1.92 (m, 1H), 1.75-1.55 (m, 6H), 1.42 (m, 2H), 1.22 (m, 9H), 1.03 (m, 6H)
【0084】
工程B:(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド)ピロリジン-2-カルボン酸の調製
【化21】
前記工程Aで得られたメチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート(0.45g、0.80mmol)を用いて、実施例1の工程Bと同様の方法で表題化合物(0.44g、99%)を得た。
【0085】
MS [M+H] = 546.4 (M+1)
【0086】
工程C:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミドの調製
【化22】
前記工程Bで得られた(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド)ピロリジン-2-カルボン酸(0.44g、0.80mmol)を用いて、実施例1の工程Cと同様の方法で表題化合物(0.28g、53%)を得た。
【0087】
MS [M+H] = 615.5 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.36 (m, 4H), 4.79 (m, 1H), 4.18 (m, 1H), 3.80-3.40 (m, 15H), 3.20 (m, 1H), 3.03 (m, 1H), 2.70 (m, 1H), 2.33 (q, 2H), 2.15 (m, 1H), 1.93 (m, 1H), 1.71-1.56 (m, 6H), 1.40-1.20 (m, 11H), 1.00 (m, 6H)
【0088】
工程D:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド塩酸塩の調製
【化23】
前記工程Cで得られたN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)プロピオンアミド(0.08g、0.13mmol)を用いて、実施例1の工程Dと同様の方法で表題化合物(0.08g、94%)を得た。
【0089】
MS [M+H] = 615.5 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.43 (m, 4H), 4.82 (t, 1H), 4.20 (m, 1H), 4.06-3.40 (m, 15H), 2.97 (m, 1H), 2.69 (m, 1H), 2.33 (m, 2H), 2.15 (m, 1H), 1.93 (m, 1H), 1.80-1.53 (m, 5H), 1.47 (s, 9H), 1.50-1.25 (m, 4H), 1.01 (m, 6H)
【0090】
実施例3:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド塩酸塩の調製
【化24】
以下の工程A、B、C及びDにより表題化合物を得た。
【0091】
工程A:メチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレートの調製
【化25】
製造例4で得られたメチル(2S,4S)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート塩酸塩(0.65g、1.8mmol)と製造例2で得られた(3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボン酸(0.50g、1.8mmol)を用いて、実施例1の工程Aと同様の方法で表題化合物(0.70g、66%)を得た。
【0092】
MS [M+H] = 588.5 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.40-7.30 (m, 4H), 4.49 (m, 1H), 4.00-3.50 (m, 4H), 3.71 (s, 3H), 3.40 (m, 3H), 3.20-3.05 (m, 2H), 3.00 (m, 1H), 2.70 (m, 1H), 2.27 (m, 1H), 1.90 (m, 1H), 1.73-1.60 (m, 6H), 1.60-1.35 (m, 2H), 1.25-1.17 (m, 18H), 1.01 (m, 3H)
【0093】
工程B:(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド)ピロリジン-2-カルボン酸の調製
【化26】
前記工程Aで得られたメチル(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド)ピロリジン-2-カルボキシレート(0.10g、0.18mmol)を用いて、実施例1の工程Bと同様の方法で表題化合物(0.10g、99%)を得た。
【0094】
MS [M+H] = 574.4 (M+1)
【0095】
工程C:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミドの調製
【化27】
前記工程Bで得られた(2S,4S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-4-(N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド)ピロリジン-2-カルボン酸(0.10g、0.18mmol)を用いて、実施例1の工程Cと同様の方法で表題化合物(0.020g、17%)を得た。
【0096】
MS [M+H] = 643.5 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.40-7.30 (m, 4H), 4.79 (m, 1H), 4.17 (m, 1H), 3.80-3.40 (m, 15H), 3.10 (m, 1H), 2.96 (m, 1H), 2.71 (m, 1H), 2.15 (m, 1H), 1.90 (m, 1H), 1.80-1.35 (m, 8H), 1.21-1.15 (m, 18H), 1.02 (m, 3H)
【0097】
工程D:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド塩酸塩の調製
【化28】
前記工程Cで得られたN-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-((1s,4R)-4-メチルシクロヘキシル)ピバルアミド(0.33g、0.51mmol)を用いて、実施例1の工程Dと同様の方法で表題化合物(0.29g、83%)を得た。
【0098】
MS [M+H] = 643.5 (M+1)
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.41 (m, 4H), 4.80 (m, 1H), 4.13 (m, 1H), 3.90 (m, 2H), 3.80-3.40 (m, 13H), 2.94 (m, 1H), 2.63 (m, 1H), 2.11 (m, 1H), 1.93 (m, 1H), 1.75 (m, 2H), 1.60 (m, 4H), 1.46 (s, 9H), 1.15 (s, 9H), 1.45-1.30 (m, 3H), 1.01 (m, 3H)
【0099】
比較例1:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(2,4-ジフルオロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-(4,4-ジメチルシクロヘキシル)アセトアミド塩酸塩(A95)の調製
【化29】
国際公開番号WO2008/007930号のA95化合物は、そこに記載されているのと同じ方法によって得られた。
【0100】
比較例2:N-((3S,5S)-1-((3S,4R)-1-(tert-ブチル)-4-(4-クロロフェニル)ピロリジン-3-カルボニル)-5-(モルホリン-4-カルボニル)ピロリジン-3-イル)-N-(4,4-ジメチルシクロヘキシル)アセトアミド塩酸塩(A96)の調製
【化30】
国際公開番号WO2008/007930号のA96化合物は、そこに記載されているのと同じ方法によって得られた。
【0101】
実験例1:ルシフェラーゼアッセイ
MC4R(メラノコルチン-4受容体)に対するアゴニスト能力を測定するために、MC4RとCRE(cAMP応答エレメント)の制御下で、ルシフェラーゼ遺伝子(CRE-LUC)を恒久的に発現する細胞株を樹立した。MC4R遺伝子を含む哺乳動物細胞発現ベクター(pCDNA3(Neo))(Invitrogen社)を調製した後、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞株は、CRE(cAMP応答エレメント)の制御下で、ルシフェラーゼ遺伝子(CRE-LUC)を発現するベクター(pCRE-Luc)(Stratagen社製)と一緒にLipofectamine2000(Invitrogen社)を使用して形質転換させた。形質転換細胞株(HEK MC4R-Luc)は、10%加熱不活化ウシ胎仔血清(GIBCO/BRL)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を使用して、5%CO2の存在下で、37℃恒温培養器で24時間培養した。前記細胞株を、10mLの選択培地(10%加熱不活化ウシ胎仔血清(GIBCO/BRL)、100ユニット/mLのペニシリン(GIBCO/BRL)、100unit/mLstreptomycin(GIBCO/BRL)、800μg/mLのGeneticin(G418)(GIBCO/BRL)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM))の存在下で4日間培養した。培地を新しい選択培地と交換することによって選択培地によって死滅させた細胞を除去する工程を、4日に1回、3回繰り返した。最終的に選択された増殖されたクローンによって形成された個々のコロニーを、顕微鏡下で、ウェル当たり1mLの選択培地を含む24ウェル細胞培養プレートに移し、4日間培養した。フォルスコリン(SIGMA社)を最終濃度10μMに処理した後、5%CO2の存在下で、37℃の恒温培養器で5時間培養した。各ウェルを50μLのBright-Gloルシフェラーゼ試薬(Promega社)で処理し、室温で15分間放置した後、発光測定器(Victor社)を使用して各ウェルの発光を測定した。フォルスコリンの処理により基本値の100倍以上の発光を示すクローンを選定し、各化合物のMC4Rアゴニスト能を測定した。
【0102】
HEK MC4R-Luc細胞を、96ウェル発光測定器用細胞培養プレート(Costar社)の各ウェルに100μLの培養で2.5×104細胞のサイズになるように加え、6%CO2の存在下で、37℃の恒温培養器で18時間培養した。前記培養を使用して各工程濃度で希釈したMCRアゴニストを、最終DMSO濃度が1%を越えないように処理し、6%CO2の存在下で、37℃の℃恒温培養器で5時間培養した。各ウェルを50μLのBright-Gloルシフェラーゼ試薬(Promega社製)で処理し、室温で5分間放置した後、発光測定器(Victor社)を使用して各ウェルの発光を測定した。各工程濃度で希釈されたアゴニストによって誘導された発光量は、10μMのNDP-α-MSH処理によって示された量に対する相対的な%値に変換された。EC0.5 MSHは、NDP-α-MSHによって誘導される最大発光量の50%を誘導させる濃度として表され、EC50は、各アゴニストによって誘導される可能性のある最大発光量の50%を誘導する濃度と表された。前記測定値は、統計ソフトウェア(Prizm)を使用して測定した。
【0103】
前記実験で得られた各化合物のMC4Rのアゴニスト能力をEC
50(nM)単位で測定した結果を表1に示した。
【表1】
【0104】
前記表1に示されるように、生体内でよく知られたメラノコルチン受容体の中で、生体内のエネルギー代謝と体重調節に関与するメラノコルチン-4受容体(MC4R)に関して、実施例の化合物は、比較例の化合物(A95及びA96)よりも優れたMC4Rアゴニスト能力を有することが確認された。
【0105】
実験例2:cAMPアッセイ
メラノコルチン受容体は、G-タンパク質結合受容体(GPCR)の一種であり、G-タンパク質の主な役割は、シグナル伝達を通じて多くの生理学的刺激に対する細胞の反応を調節するために、2次トランスデューサーを活性化することである。MC4RはGs-結合受容体であり、MC4Rがアゴニストと相互作用すれと、アデニル酸シクラーゼ(AC)が活性化され、細胞内の2次トランスデューサーの一つである環状AMP(cAMP)濃度を上昇させることが知られている。従って、cAMPシグナルの生成を測定することにより、メラノコルチン受容体の活性を評価することができる。
【0106】
アゴニスト反応による細胞内のcAMPレベルの増加の測定ができるようにMC1R、MC3R、MC4R及びMC5Rのそれぞれが過剰発現されたcAMPHハンターGs-結合細胞株(CHO-K1細胞株)を確立した後、細胞は白細胞培養プレートの各ウェルに接種し、5%CO2の存在下で37℃の恒温培養器で24時間培養した。培養後、培地を除去し、15μLの2:1HBBS/10mM HEPES:cAMPXS+Ab試薬を加えた。バッファーで4倍に希釈されたサンプル5μLを加えた後、ビヒクル濃度を1%に設定し、各工程濃度で希釈したMC4Rアゴニスト化合物を加え、37℃で30分間反応した。各アゴニスト化合物の活性(%)は、100%×(サンプルの平均RLU値-ビヒクル対照の平均RLU値)/(最大対照の平均RLU値-ビヒクル対照の平均RLU値)として表され、前記値は、CBISdata analysis suite(ChemInnovation, CA)によって分析された。
【0107】
前記実験で得られた各化合物のMC4Rのアゴニスト能力をEC
50(nM)単位で測定した結果を表2に示した。
【表2】
【0108】
前記表2に示されるように、生体内でよく知られているメラノコルチン受容体の中で、生体内のエネルギー代謝と体重調節に関与するメラノコルチン-4受容体(MC4R)に関して、実施例の化合物は、比較例の化合物(A95及びA96)よりも優れたアゴニスト能力を有することが確認された。
【0109】
実験例3:β-アレスチンアッセイ
メラノコルチン受容体は、G-タンパク質結合受容体(GPCR)の一種であり、多くの神経伝達物質のシグナルを伝達することにより、様々な生理反応を調節する。GPCRがリン酸化されると、β-アレスチンは、受容体のリン酸化部分が結合し、他のタンパク質との相互作用を通じて細胞内の様々なシグナル伝達経路を活性化するうえで重要な役割を果たしている。メラノコルチン受容体がアゴニストと相互作用すると、β-アレスチンが動員され、β-アレスチン媒介シグナル伝達経路に関与すると知られている。従って、β-アレスチン測定を通じてメラノコルチン受容体の活性を評価することができる。
【0110】
Prolink(PK)タグ付きMC1R、MC3R、MC4R、MC5R及び酵素アクセプター(EA)タグ付きβ-アレスチンが一緒に発現されたPathhuntere(登録商標) Xpress β-アレスチン細胞株(U2OS細胞株)を確立した。この細胞株のMCR-PK部分が活性化されると、β-アレスチン-EAが動員され、β-ガラクトシダーゼ酵素断片である酵素受容体(EA)とProlink(PK)が相互作用する。活性化された酵素は、β-ガラクトシダーゼ活性によって基質を加水分解して化学発光シグナルを生成するため、活性を測定することができる。Pathhuntere(登録商標) Xpress β-アレスチン細胞株(U2OS細胞株)を培養した後、細胞培養プレートの各ウェルに接種し、5%のCO2の存在下で37℃の恒温培養器で48時間培養した。培養後、バッファーで5倍に希釈されたサンプル5μLを加え、ビヒクル濃度を1%に設定し、各工程濃度で希釈したMC4Rアゴニスト化合物を加え、37℃で90分の間反応したた。各アゴニスト化合物の活性(%)は、100%×(サンプルの平均RLU値-ビヒクル対照の平均RLU値)/(対照リガンドの平均最大値-ビヒクル対照の平均RLU値)として表され、前記価値はCBIS data analysis suite(ChemInnovation, CA)によって分析した。
【0111】
前記実験で得られた各化合物のMC4Rのアゴニスト能力をEC
50(nM)単位で測定した結果を表3に示した。
【表3】
【0112】
前記表3に示されるように、生体内でよく知られているメラノコルチン受容体の中で、生体内のエネルギー代謝と体重調節に関与するメラノコルチン-4受容体(MC4R)に関して、実施例の化合物は、比較例の化合物(A95及びA96)よりも優れたアゴニスト能力を有することが確認された。
【0113】
実験例4:結合親和性
生体内でのメラノコルチン受容体(MCR)の5つのサブタイプが知られており、サブタイプ4であるMC4Rがエネルギー代謝と体重調節に関与しているがことが知られている。他のMCRサブタイプは、皮膚の色素沈着、エネルギー恒常性、外分泌機能など、様々な生体内の機能の調節に関与しているため、MC4Rアゴニスト化合物のMC4Rに対する選択性を確保することは、将来起こり得る副作用を防ぐうえで非常に重要である。従って、各MCRサブタイプのMC4Rアゴニストの受容体結合能力を測定した。
【0114】
ヒト組換えMC1Rを発現するCHO-K1細胞株、MC3R、MC4R及びMC5Rを発現するHEK-293細胞株を樹立した後、各細胞株から膜を回収した。96-ウェル細胞培養プレートで、ウェル当たり3μgのMC1R膜と0.04nMの125I-NDP-α-MSHを37℃で2時間反応させた。3μgのMC3R、MC5膜と0.035nMの125I-NDP-α-MSHを37℃で1時間反応し、3.12μgのMC4R膜と0.02nMの125I-NDP-α-MSHを37℃で2時間反応させた。このとき、各工程濃度で希釈したMCRアゴニストを含む25mM HEPES-KOH吸着緩衝液(pH7.0)を各ウェルに加え、反応させた。反応液をフィルターに移し、吸着緩衝液で洗浄した後、放射能を測定した。各総結合量から1μM(MC1R)、3μM(MC3R、MC4R、MC5R)のNDP-α-MSH存下での非特異的結合量を除いた値を125I-NDP-α-MSHの特異的結合量として使用した。各工程濃度で希釈されたアゴニストによって前記125I-NDP-α-MSH特異結合が阻害される程度を測定した。IC50は、50%の125I-NDP-α-MSH特異結合を阻害する各アゴニストの濃度として表された。
【0115】
前記実験で得られた各化合物のMC4Rのアゴニスト能力をKi(nM)単位で測定した結果を表4に示した。
【表4】
【0116】
前記表4に示されるように、生体内でよく知られているメラノコルチン受容体の中で、生体内のエネルギー代謝と体重調節に関与するメラノコルチン-4受容体(MC4R)に関して、実施例の化合物は、比較例の化合物(A95及びA96)よりも優れた受容体結合能力を有することが確認された。
【0117】
実験例5:薬物動態及び薬物代謝
実験例5-1:薬物動態プロファイル
実施例1の化合物と比較例の化合物の薬物動態(PK)特性を調査するために、以下の実験を行った。
【0118】
実施例1の化合物と比較例の化合物(A95及びA96)のPK試験を実施するために、約7週齢のC57BL6マウスを準備し、投与物質ごとに12個体を割り当て群分けし、経口投与ために飢餓状態にした。投与当日、ビヒクルとして蒸留水(DW)を用いて1mg/mLの濃度で薬液を準備し、各個体の体重1kg当たり1mLで経口投与し、最終用量を10mg/kgにした。投与1、3、8及び24時間後に、各群3個体のそれぞれから心臓採血により全血を採取し、ヘパリンチューブに入れて凝固を防止した。その後、各個体の大脳を採取してEPチューブに入れ、組織の重量を測定し、-20℃で冷凍保存した。
【0119】
分析当日、組織重量の4倍のDDWを各組織チューブに加えてホモジナイズし、保存した血漿を室温で解凍した。血漿と同様に、50μLの組織ホモジネートを採取して別のチューブに移し、次のサンプル量の合計の4倍である200μLのアセトニトリル(AN)を血漿と組織ホモジネートの各チューブに加えて、除タンパクを行った。このとき、ANは内部標準が含まれていた。検量線を作成するために、既知の濃度0.1、0.5、5、50及び500ng/mLのAN溶液(内部標準を含む)を調製し、前記の4倍の用量で血漿と脳のブランク血漿において除タンパクを行った。従って、血漿の場合は0.4~2,000ng/mL、脳の場合は1、5、50、500及び5、000ng/mLの最終検量線を作成した。除タンパク後に得られた上清0.5μLをLC-MS/MSに注入後、実施例の化合物と比較例の化合物(A95及びA96)のピーク面積をISのピーク面積で補正して、各試料収集時点でのピーク応答を求め、検量線による濃度変換を行った。
【0120】
薬物動態パラメーター(Cmax、AUCinf、t1/2など)は、各投与群格の経時的な血中濃度の値について、WinNonlin 8.1を使用したノンコンパートメント分析法によって算出された。
【0121】
各薬物投与群の曝露量及び半減期変化などを比較することにより、各化合物の薬物動態特性を比較し、その結果を表5及び6に示した。また、脳への曝露と血液への曝露に比率による結果値を表7に示した。
【表5】
【表6】
【表7】
【0122】
以上の結果から、各化合物の曝露は、全身及び脳で実施例1の化合物、比較例2の化合物(A96)、比較例1の化合物(A95)n順に全身及び脳で確認された。観察期間中の脳の消失の半減期は、血液で観察された値よりも長く、これは、有効性の発現部位での一連の物質の効果的な持続を意味すると考えられる。また、各化合物を同じ用量で投与した場合、実施例の化合物は脳内で最も優れた絶対曝露及び持続力が有することが確認された。また、実施例1の化合物が比較例の化合物(A95及びA96)と比較して、実施例1の化合物の血中曝露に対する脳曝露の比率も最も優れていることが確認された。
【0123】
これらの結果に加えて、各化合物のインビトロ活性及び薬物の持続力などを総合的に考慮すると、比較例の化合物と比較して、同じ要領で投与した場合、実施例1の化合物はから最高の有効性が期待できた。特定のレベルの効能を達成するために、より低い用量が投与することができ、従って、全身曝露に起因する副作用を最小限に抑えることが期待される。
【0124】
実験例5-2:CYP阻害率(%)
CYP(シトクロムP450)アイソザイムに対する薬物相互作用を確認するために、以下の実験を行った。
【0125】
実施例1の化合物と比較例2の化合物(A96)の阻害能を測定及び比較するために、CYP1A2、2C9、2C19、2D6、3A4組換え酵素を準備した。各物質の阻害能を測定するためのプローブ基質、陽性対照群、アイソザイムの使用及び測定条件は下記表8を参考にして行った。
【表8】
【0126】
培養は、96ウェルプレート(Costar、3792-黒、丸底)で行い、代謝に使用したバッファーシステムは、50mMリン酸カリウムバッファー、pH7.4で、最終反応容量は250μLであった。総バッファー中の実施例1の化合物、比較例2の化合物(A96)及び陽性対照群の最終濃度は、10μM(2%メタノール(v/v))であり、それぞれ陰性対照(メタノールのみ、2%(v/v))を含んでいた。実験化合物がスパイクされたバッファーを同量のCYPアイソザイム調製溶液と混合して最終濃度を10μMにし、37℃の蛍光プレートリーダーで10分間予熱した。各ウェルNRS溶液(NADPH再生システム:0.22mM β-NADP、2.8mM グルコース-6-ホスフェート及び0.6ユニット/mLのグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)を加え、30分間プレインキュベーションした。この後、プレインキュベーションを実施したウェルに基質を加えることにより反応を開始し、各基質の測定波長で1分間隔で30分間モニタリングした。陽性対照群及び実施例1の化合物から得られた測定値を、陰性対照(阻害又は化合物なし)の蛍光強度を比較し、アイソザイムに対する阻害能を確認した。各化合物を10μMで処理した場合の各アイソザイムに対する阻害能(%)を表9に示した。阻害能(%)は、以下の基準に基づいて表された:A=<50%、B=>50%。
【0127】
化合物10μMの治療濃度は非常に高く、その治療濃度に基づいて阻害能を評価し、阻害率が50%未満の薬物を候補として選択することは保守的な基準である。この場合、選択された候補薬物はCYPアイソザイムを阻害する確率が非常に低いと考えられた。
【表9】
【0128】
前記結果から、同濃度で処理した場合、実施例1の化合物の主CYPアイソザイムに対する阻害能は、比較例2の化合物(A96)の阻害能以下であることが確認された。比較例2の化合物(A96)は、CYP2C9に対する非常に高い阻害能のために薬物相互作用を有することが懸念されている。CYP2C9は、市販されているすべての薬物の約10%の代謝に関与し、治療域が狭い薬物の効能性の消失に大きな役割果たすことが知られている。また、CYP2C9は、各個人に依存する多型が報告されているため、研究や臨床の両方の側面で非常に重要である。これは、CYP2C9がFDA DDI(薬物・薬物相互作用)ガイダンスでの薬物開発中にその阻害効果を確認しなければならない必須アイソザイムのリストに示されているという事実からも知ることができる。
【0129】
これに基づいて、実施例1の化合物を投与した場合、CYP阻害による薬物相互作用は、比較例の化合物(A96)よりも低いと判断される。
【0130】
実験例6:薬理効果
本発明の化合物のメラノコルチン-4受容体アゴニストの薬理効果を、以下の肥満モデルで評価した。
【0131】
実験例6-1:高脂肪食によって誘導されたマウス肥満モデル
メラノコルチン-4受容体アゴニストの肥満への影響は、マウス肥満モデルを使用して高脂肪食で誘導された効果を評価した。
【0132】
5週齢の雄のC57BL/6Nタコニックマウスに、60kcal%の脂肪食(D12492、Research Diet.)を15週間供給して、肥満を誘導した。実施例1の化合物、比較例の化合物(A95及びA96)及び陽性対照としてのシブトラミンを蒸溜水中で調製し、高脂肪食によって誘導された19週齢のマウス肥満モデルに1日目から第16日目まで1日1回経口投与した。1日目から16日目まで、体重は1日1回、食事摂取量は週5回、飲料水摂取量は週2回測定した。15日目は血糖値及び糖化ヘモグロビンを測定し、17日目にすべての動物を犠牲にした。腹部大静脈から採血し、肝臓及び精巣上体脂肪組織を摘出して秤量した。採取した血液をヘパリンチューブに入れ、遠心分離して血漿を分離した後、血漿生化学分析を行った。
【0133】
下記表10には、各化合物の各用量について、12日目に測定されたビヒクルに対する体重変化率の差を示した。
【表10】
【0134】
このマウス肥満モデルでは、特に、実施例1の化合物のみを投与した場合、有意な体重減少が示された。実施例1の化合物を10mg/kg及び30mg/kg用量で投与した場合、溶媒投与ビヒクル対照と比較して、それぞれ-9.4%及び-15.1%の体重増加阻害を引き起こされ、比較例の化合物(A95及びA96)と比較して、統計的に有意な体重減少効果が示された。
【0135】
これは、比較例の化合物と比較して、実施例1の化合物が優れたインビトロMC4Rアゴニスト能力、優れた脳絶対曝露及び持続力、並びに血液曝露と比較して優れた脳曝露比によって引き起これ、低投与用量でも有意差を示すことができると判断される。
【0136】
また、実施例1の化合物は、関連分野の肥満治療剤であるシブトラミン(リダクティル)と比較して、有効性において同等以上の優れた結果を示し、実際の臨床適用において有意な薬効を示すことが期待される。