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特許7467784ウエブ部材の製造装置及びウエブ部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】ウエブ部材の製造装置及びウエブ部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06H 7/02 20060101AFI20240408BHJP
   D04H 1/74 20060101ALI20240408BHJP
   B26D 1/40 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
D06H7/02
D04H1/74
B26D1/40
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024501874
(86)(22)【出願日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2023035266
【審査請求日】2024-01-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 泰裕
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-129633(JP,A)
【文献】実開昭59-183396(JP,U)
【文献】特開平11-320483(JP,A)
【文献】特開2013-141498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D1/25-1/62
D04H1/00-18/04
D06B1/00-23/30
D06C3/00-29/00
D06G1/00-5/00
D06H1/00-7/24
D06J1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に連続するトウを含む連続ウエブ部材を搬送する上流側搬送機構と、
前記上流側搬送機構により搬送された前記連続ウエブ部材を切断する切断機構と、
前記切断機構で製品ピッチに切断されたウエブ部材を前記搬送方向に搬送する下流側搬送機構と、
を有するウエブ部材の製造装置であって、
前記切断機構は、各外周面同士が対向する第1ロールと第2ロールを備え、
少なくとも前記第1ロールは、切断刃を備え、
前記第1ロールの径方向に見て、前記切断刃の長手方向は、前記第1ロールの回転中心軸に対して傾いており、
前記切断機構は、前記連続ウエブ部材を前記搬送方向に搬送しながら、且つ、前記下流側搬送機構の搬送面と前記連続ウエブ部材とを相対滑りさせながら、前記連続ウエブ部材を切断し、
前記切断機構における前記連続ウエブ部材を搬送する切断搬送速度より、前記下流側搬送機構における前記ウエブ部材を搬送する下流搬送速度の方が速く、
前記切断搬送速度が、前記上流側搬送機構における前記連続ウエブ部材を搬送する上流搬送速度より速い
ことを特徴とするウエブ部材の製造装置。
【請求項2】
請求項に記載のウエブ部材の製造装置であって、
前記下流搬送速度と前記切断搬送速度との差が、前記切断搬送速度と前記上流搬送速度との差より小さいことを特徴とするウエブ部材の製造装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のウエブ部材の製造装置であって、
前記下流側搬送機構は、前記ウエブ部材の搬送間隔を検知するためのセンサーを備えることを特徴とするウエブ部材の製造装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のウエブ部材の製造装置であって、
前記下流側搬送機構において、前記ウエブ部材の下側のみを支持した状態で搬送することを特徴とするウエブ部材の製造装置。
【請求項5】
搬送方向に連続するトウを含む連続ウエブ部材を搬送する上流側搬送機構と、
前記上流側搬送機構により搬送された前記連続ウエブ部材を切断する切断機構と、
前記切断機構で製品ピッチに切断されたウエブ部材を前記搬送方向に搬送する下流側搬送機構と、
を有するウエブ部材の製造装置であって、
前記切断機構は、各外周面同士が対向する第1ロールと第2ロールを備え、
少なくとも前記第1ロールは、切断刃を備え、
前記第1ロールの径方向に見て、前記切断刃の長手方向は、前記第1ロールの回転中心軸に対して傾いており、
前記切断機構は、前記連続ウエブ部材を前記搬送方向に搬送しながら、且つ、前記下流側搬送機構の搬送面と前記連続ウエブ部材とを相対滑りさせながら、前記連続ウエブ部材を切断し、
前記下流側搬送機構において、前記ウエブ部材の下側のみを支持した状態で搬送し、
前記下流側搬送機構に支持された前記ウエブ部材に向かって空気を噴出する空気噴出装置を備えることを特徴とするウエブ部材の製造装置。
【請求項6】
請求項1、2、又は5のいずれか1項に記載のウエブ部材の製造装置であって、
前記下流側搬送機構は、前記搬送面には吸引機構を備えないことを特徴とするウエブ部材の製造装置。
【請求項7】
請求項1、2、又は5のいずれか1項に記載のウエブ部材の製造装置であって、
前記上流側搬送機構は、上側搬送部と下側搬送部とを備え、
前記連続ウエブ部材を前記上側搬送部と前記下側搬送部とで挟んだ状態で搬送することを特徴とするウエブ部材の製造装置。
【請求項8】
請求項1、2、又は5のいずれか1項に記載のウエブ部材の製造装置であって、
前記第1ロールの前記回転中心軸は、前記搬送方向に直交する方向に対して傾いていることを特徴とするウエブ部材の製造装置。
【請求項9】
搬送方向に連続するトウを含む連続ウエブ部材を搬送する上流側搬送機構と、
前記上流側搬送機構により搬送された前記連続ウエブ部材を切断する切断機構と、
前記切断機構で製品ピッチに切断されたウエブ部材を前記搬送方向に搬送する下流側搬送機構と、
を有するウエブ部材の製造装置であって、
前記切断機構は、各外周面同士が対向する第1ロールと第2ロールを備え、
少なくとも前記第1ロールは、切断刃を備え、
前記第1ロールの径方向に見て、前記切断刃の長手方向は、前記第1ロールの回転中心軸に対して傾いており、
前記切断機構は、前記連続ウエブ部材を前記搬送方向に搬送しながら、且つ、前記下流側搬送機構の搬送面と前記連続ウエブ部材とを相対滑りさせながら、前記連続ウエブ部材を切断し、
前記切断機構において、前記切断刃、前記第1ロールの周面、及び第2ロールの周面が前記連続ウエブ部材に当接した状態で前記連続ウエブ部材を切断することを特徴とするウエブ部材の製造装置。
【請求項10】
請求項に記載のウエブ部材の製造装置であって、
前記連続ウエブ部材と前記第1ロールとが当接した時点の前記連続ウエブ部材の厚みは、
前記下流側搬送機構における前記ウエブ部材の厚みの半分以下であることを特徴とするウエブ部材の製造装置。
【請求項11】
上流側搬送機構を用いて、搬送方向に連続するトウを含む連続ウエブ部材を搬送する上流側搬送工程と、
切断機構を用いて、前記上流側搬送機構により搬送された前記連続ウエブ部材を切断する切断工程と、
下流側搬送機構を用いて、前記切断機構で製品ピッチに切断されたウエブ部材を前記搬送方向に搬送する下流側搬送工程と、
を行うウエブ部材の製造方法であって、
前記切断機構は、各外周面同士が対向する第1ロールと第2ロールを備え、
少なくとも前記第1ロールは、切断刃を備え、
前記第1ロールの径方向に見て、前記切断刃の長手方向は、前記第1ロールの回転中心軸に対して傾いており、
前記切断機構は、前記連続ウエブ部材を前記搬送方向に搬送しながら前記連続ウエブ部材を切断し、且つ、前記下流側搬送機構の搬送面と前記連続ウエブ部材とを相対滑りさせながら、前記連続ウエブ部材を切断し、
前記切断機構における前記連続ウエブ部材を搬送する切断搬送速度より、前記下流側搬送機構における前記ウエブ部材を搬送する下流搬送速度の方が速く、
前記切断搬送速度が、前記上流側搬送機構における前記連続ウエブ部材を搬送する上流搬送速度より速い
ことを特徴とするウエブ部材の製造方法。
【請求項12】
上流側搬送機構を用いて、搬送方向に連続するトウを含む連続ウエブ部材を搬送する上流側搬送工程と、
切断機構を用いて、前記上流側搬送機構により搬送された前記連続ウエブ部材を切断する切断工程と、
下流側搬送機構を用いて、前記切断機構で製品ピッチに切断されたウエブ部材を前記搬送方向に搬送する下流側搬送工程と、
を行うウエブ部材の製造方法であって、
前記切断機構は、各外周面同士が対向する第1ロールと第2ロールを備え、
少なくとも前記第1ロールは、切断刃を備え、
前記第1ロールの径方向に見て、前記切断刃の長手方向は、前記第1ロールの回転中心軸に対して傾いており、
前記切断機構は、前記連続ウエブ部材を前記搬送方向に搬送しながら前記連続ウエブ部材を切断し、且つ、前記下流側搬送機構の搬送面と前記連続ウエブ部材とを相対滑りさせながら、前記連続ウエブ部材を切断し、
前記下流側搬送機構において、前記ウエブ部材の下側のみを支持した状態で搬送し、
空気噴出装置が、前記下流側搬送機構に支持された前記ウエブ部材に向かって空気を噴出する
ことを特徴とするウエブ部材の製造方法
【請求項13】
上流側搬送機構を用いて、搬送方向に連続するトウを含む連続ウエブ部材を搬送する上流側搬送工程と、
切断機構を用いて、前記上流側搬送機構により搬送された前記連続ウエブ部材を切断する切断工程と、
下流側搬送機構を用いて、前記切断機構で製品ピッチに切断されたウエブ部材を前記搬送方向に搬送する下流側搬送工程と、
を行うウエブ部材の製造方法であって、
前記切断機構は、各外周面同士が対向する第1ロールと第2ロールを備え、
少なくとも前記第1ロールは、切断刃を備え、
前記第1ロールの径方向に見て、前記切断刃の長手方向は、前記第1ロールの回転中心軸に対して傾いており、
前記切断機構は、前記連続ウエブ部材を前記搬送方向に搬送しながら前記連続ウエブ部材を切断し、且つ、前記下流側搬送機構の搬送面と前記連続ウエブ部材とを相対滑りさせながら、前記連続ウエブ部材を切断し、
前記切断機構において、前記切断刃、前記第1ロールの周面、及び第2ロールの周面が前記連続ウエブ部材に当接した状態で前記連続ウエブ部材を切断する
ことを特徴とするウエブ部材の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエブ部材の製造装置及びウエブ部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、清掃部材に把持具を差し込むことで、卓上等の清掃に使用可能な状態となる清掃具が知られている。この清掃部材は、トウという熱可塑性繊維の繊維束で構成されている。この清掃部材の製造ラインでは、搬送方向に沿って連続する基材シートに、繊維方向を搬送方向に沿わせた繊維束を基材シートに固定し、半製品として搬送方向に連続する積層ウェブを形成し、最後に連続する積層ウェブを製品ピッチで切断することで、単票状の清掃部材が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-129633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
連続する積層ウェブを製品ピッチで切断する方法としては、例えば、外周面にカッター刃を有したカッターロールと、カッター刃を受ける受け刃を有したアンビルロールとの間に連続する積層ウェブを通して、連続する積層ウェブを搬送しつつ、カッター刃と受け刃とで挟圧することによりウエブ部材を切断することで、効率よく切断することができることが考えられる。
しかしながら、繊維束のトウは熱可塑性繊維であるために、カッターロールのカッター刃とアンビルロールの受け刃との挟圧によって、切断対象位置の繊維束(トウ)同士がくっつきやすくなる。その結果、切断端縁が袋とじ状に閉じてしまったり、塊が生じてしまって、清掃部材を清掃具として用いる際に埃をからめとる性能を損ねてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ウエブ部材の製造効率を向上させつつ、切断面におけるトウの繊維同士がくっついてしまう恐れを軽減させることが可能なウエブ部材の製造装置及びウエブ部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、搬送方向に連続するトウを含む連続ウエブ部材を搬送する上流側搬送機構と、前記上流側搬送機構により搬送された前記連続ウエブ部材を切断する切断機構と、前記切断機構で製品ピッチに切断されたウエブ部材を前記搬送方向に搬送する下流側搬送機構と、を有するウエブ部材の製造装置であって、前記切断機構は、各外周面同士が対向する第1ロールと第2ロールを備え、少なくとも前記第1ロールは、切断刃を備え、前記第1ロールの径方向に見て、前記切断刃の長手方向は、前記第1ロールの回転中心軸に対して傾いており、前記切断機構は、前記連続ウエブ部材を前記搬送方向に搬送しながら、且つ、前記下流側搬送機構の搬送面と前記連続ウエブ部材とを相対滑りさせながら、前記連続ウエブ部材を切断し、前記切断機構における前記連続ウエブ部材を搬送する切断搬送速度より、前記下流側搬送機構における前記ウエブ部材を搬送する下流搬送速度の方が速く、前記切断搬送速度が、前記上流側搬送機構における前記連続ウエブ部材を搬送する上流搬送速度より速いことを特徴とするウエブ部材の製造装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ウエブ部材の製造効率を向上させつつ、切断面におけるトウの繊維同士がくっついてしまう恐れを軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ウエブ部材1の斜視図である。
図2図2Aは、ウエブ部材1の平面図である。図2Bは、図2A中のA-A断面図である。
図3】ウエブ部材1の切断前の状態である半製品1aの概略図である。
図4図4Aは、本実施形態の製造装置10の概略側面図である。図4Bは、図4A中のB-B矢視図である。
図5図4A中のC-C矢視図である。
図6】切断機構30の上側切断刃31asと下側切断刃31bsを説明する模式図である。
図7図7Aは、図4B中の部分Xの拡大図である。図7Bは、図7Aの状態における半製品1aの切断過程を説明する図である。
図8図6の状態(d)の半製品1aを説明する図である。
図9】切断機構30の変形例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
(態様1)
搬送方向に連続するトウを含む連続ウエブ部材を搬送する上流側搬送機構と、前記上流側搬送機構により搬送された前記連続ウエブ部材を切断する切断機構と、前記切断機構で製品ピッチに切断されたウエブ部材を前記搬送方向に搬送する下流側搬送機構と、を有するウエブ部材の製造装置であって、前記切断機構は、各外周面同士が対向する第1ロールと第2ロールを備え、少なくとも前記第1ロールは、切断刃を備え、前記第1ロールの径方向に見て、前記切断刃の長手方向は、前記第1ロールの回転中心軸に対して傾いており、前記切断機構は、前記連続ウエブ部材を前記搬送方向に搬送しながら、且つ、前記下流側搬送機構の搬送面と前記連続ウエブ部材とを相対滑りさせながら、前記連続ウエブ部材を切断する、ことを特徴とするウエブ部材の製造装置である。
【0010】
態様1によれば、ウエブ部材の製造効率を向上させつつ、切断面におけるトウの繊維同士がくっついてしまう恐れを軽減させることができる。
【0011】
(態様2)
前記切断機構における前記連続ウエブ部材を搬送する切断搬送速度より、前記下流側搬送機構における前記ウエブ部材を搬送する下流搬送速度の方が速いことを特徴とする態様1に記載のウエブ部材の製造装置である。
【0012】
態様2によれば、切断機構で切断後のウエブ部材が留まる恐れを軽減させ、且つ、連続ウエブ部材を搬送方向に引っ張った状態で切断することができるため、連続ウエブ部材を切断しやすくなり、切断面のトウの繊維同士がくっついてしまう恐れを軽減させることができる。
【0013】
(態様3)
前記切断搬送速度が、前記上流側搬送機構における前記連続ウエブ部材を搬送する上流搬送速度より速いことを特徴とする態様1に記載のウエブ部材の製造装置である。
【0014】
態様3によれば、切断機構で切断後のウエブ部材が留まる恐れを軽減させ、且つ、連続ウエブ部材を搬送方向に引っ張った状態で切断することができるため、連続ウエブ部材を切断しやすくなり、切断面のトウの繊維同士がくっついてしまう恐れを軽減させることができる。
【0015】
(態様4)
前記下流搬送速度と前記切断搬送速度との差が、前記切断搬送速度と前記上流搬送速度との差より小さいことを特徴とする態様1に記載のウエブ部材の製造装置である。
【0016】
下流搬送速度が速すぎると、連続ウエブ部材やウエブ部材が蛇行する恐れやウエブが浮き上がる恐れがある。態様4によれば、下流搬送速度と切断搬送速度との差を切断搬送速度と上流搬送速度との差より小さくすることで、下流搬送速度と切断搬送速度との差が切断搬送速度と上流搬送速度との差より大きい場合よりも、連続ウエブ部材やウエブ部材が蛇行する恐れやウエブが浮き上がる恐れを軽減させることができる。
【0017】
(態様5)
前記下流側搬送機構は、前記ウエブ部材の搬送間隔を検知するためのセンサーを備えることを特徴とする態様1に記載のウエブ部材の製造装置である。
【0018】
切断機構において切断不良が生じると、下流側搬送機構におけるウエブ部材の搬送間隔が不均一になりやすい。態様5によれば、下流側搬送機構におけるウエブ部材の搬送間隔によって、ウエブ部材の切断が良好か否かを認識しやすくなる。
【0019】
(態様6)
前記下流側搬送機構において、前記ウエブ部材の下側のみを支持した状態で搬送することを特徴とする態様1に記載のウエブ部材の製造装置である。
【0020】
態様6によれば、搬送時の空気抵抗等を受けてウエブ部材を開繊させやすくなり、ウエブ部材をふわふわの柔らかい状態とさせやすくなる。
【0021】
(態様7)
前記下流側搬送機構に支持された前記ウエブ部材に向かって空気を噴出する空気噴出装置を備えることを特徴とする態様1に記載のウエブ部材の製造装置である。
【0022】
態様7によれば、下流側搬送機構でウエブ部材を搬送している際にウエブ部材が浮き上がるのを防いだり、ウエブ部材の搬送側の面のみが過度に開繊してしまう恐れを軽減させることができる。
【0023】
(態様8)
前記下流側搬送機構は、前記搬送面には吸引機構を備えないことを特徴とする態様1に記載のウエブ部材の製造装置である。
【0024】
態様8によれば、ウエブ部材が備えるトウは柔らかいため、下流側搬送機構に吸引機構を備えないことで、吸引機構によってトウが吸い込まれたり、絡まったりする恐れを軽減させることができる。
【0025】
(態様9)
前記上流側搬送機構は、上側搬送部と下側搬送部とを備え、前記連続ウエブ部材を前記上側搬送部と前記下側搬送部とで挟んだ状態で搬送することを特徴とする態様1に記載のウエブ部材の製造装置である。
【0026】
態様9によれば、連続ワーク部材の厚みを薄くした状態とすることで、切断機構で連続ウエブ部材を切断しやすくなる。
【0027】
(態様10)
前記第1ロールの前記回転中心軸は、前記搬送方向に直交する方向に対して傾いていることを特徴とする態様1に記載のウエブ部材の製造装置である。
【0028】
態様10によれば、第1ロールの径方向に見て、第1ロールの切断刃の長手方向が第1ロールの回転中心軸に対して傾いる場合でも、ウエブ部材を所望の形状、所望の位置で切断しやすくなる。
【0029】
(態様11)
前記切断機構において、前記切断刃、前記第1ロールの周面、及び第2ロールの周面が前記連続ウエブ部材に当接した状態で前記連続ウエブ部材を切断することを特徴とする態様1に記載のウエブ部材の製造装置である。
【0030】
態様11によれば、連続ウエブ部材が柔らかく広がりやすい素材であっても、切断機構における切断に先立ち、第1ロールの周面と第2ロールの周面が連続ウエブ部材を押さえた状態とすることで、搬送機構における連続ウエブ部材の搬送量を一定に保ちやすくなり、連続ウエブ部材の切断を行いやすくなる。
【0031】
(態様12)
前記連続ウエブ部材と前記第1ロールとが当接した時点の前記連続ウエブ部材の厚みは、前記下流側搬送機構における前記ウエブ部材の厚みの半分以下であることを特徴とする態様1に記載のウエブ部材の製造装置である。
【0032】
態様12によれば、連続ウエブ部材が柔らかく広がりやすい素材であっても、切断機構において、連続ウエブ部材と第1ロールとが当接した時点の連続ウエブ部材の厚みを下流搬送機構におけるウエブ部材の厚みの半分より大きい場合よりも、連続ウエブ部材の切断を行いやすくなる。
【0033】
(態様13)
上流側搬送機構において、搬送方向に連続するトウを含む連続ウエブ部材を搬送する上流側搬送工程と、切断機構において、前記上流側搬送機構により搬送された前記連続ウエブ部材を切断する切断工程と、下流側搬送機構において、前記切断機構で製品ピッチに切断されたウエブ部材を前記搬送方向に搬送する下流側搬送工程と、を行うウエブ部材の製造方法であって、前記切断機構は、各外周面同士が対向する第1ロールと第2ロールを備え、少なくとも前記第1ロールは、切断刃を備え、前記第1ロールの径方向に見て、前記切断刃の長手方向は、前記第1ロールの回転中心軸に対して傾いており、前記切断機構は、前記連続ウエブ部材を前記搬送方向に搬送しながら前記連続ウエブ部材を切断し、且つ、前記下流側搬送機構の搬送面と前記連続ウエブ部材とを相対滑りさせながら、前記連続ウエブ部材を切断する、ことを特徴とするウエブ部材の製造方法である。
【0034】
態様13によれば、ウエブ部材の製造効率を向上させつつ、切断面におけるトウの繊維同士がくっついてしまう恐れを軽減させることができる。
【0035】
===本実施形態===
<<<ウエブ部材1の基本構成>>>
図1は、ウエブ部材1の斜視図である。図2Aは、ウエブ部材1の平面図である。図2Bは、図2A中のA-A断面図である。
【0036】
このウエブ部材1の平面形状は、図1及び図2Aに示すように長手方向と幅方向とを有した略矩形状をなしている。また、図1及び図2Bに示すように、厚さ方向において、基材シート2と、基材シート2の上面を覆って設けられる補助シート3と、基材シート2の下面を覆って設けられてメインの刷毛部をなす繊維束部材5Gと、繊維束部材5Gの下面に設けられて補助的な刷毛部をなす短冊シート7が設けられている。補助シート3と基材シート2との間には、柄部材9を差し込み固定する空洞部SP3,SP3が区画されている。そして、これら空洞部SP3,SP3に柄部材9の二股状の差し込み部9a,9aを差し込んで、ウエブ部材1の下面及び幅方向の両端部を拭き取り面として卓上等の清掃に使用される。
【0037】
図2Bに示すように、繊維束部材5Gは、複数束の繊維束5,5…を、厚さ方向に積層した部材である。この例では、複数束の一例として4束の繊維束5,5…を厚さ方向に積層して有した4層構造となっているが、繊維束5,5…の数は、何等これに限らない。
各繊維束5は、多数の長繊維として例えば繊度が3.5dtex(直径18~25μm)のトウを有する。但し、トウの繊度は何等3.5dtexに限るものではなく、例えば1.1~10dtex(直径約6~約60μm)の範囲から任意値が選択されても良いし、更には、各繊維束5が、1.1~10dtexの範囲の複数の繊度のトウを有していても良い。
【0038】
各トウは、ウエブ部材1の幅方向に沿っている。すなわち、各トウの繊維方向(トウの長手方向)は、ウエブ部材1の幅方向に沿っている。これにより、通常、幅方向の両端部が刷毛部の先端部となる。但し、これらトウは柔軟に曲げ変形自在なため、トウの先端部がウエブ部材1の下面側に曲がることで、同下面側も刷毛部の先端部になり得る。なお、本実施形態は、各繊維束5の全ての繊維がトウで構成されているが、何等これに限るものではなく、繊維束5にトウ以外の繊維が含まれていても良い。
【0039】
「トウ」とは、JIS L 0204-3 1998の3.1.24に記載されるように、多数の連続フィラメントをそろえた繊維束(繊維束5)である。繊維束としては、例えば、熱可塑繊維からなる繊維束、熱可塑性繊維を含む繊維束が挙げられる。繊維束を構成する繊維の原料としては、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、レーヨン等が挙げられる。この繊維は、例えば、単独成分の単一繊維であってもよく、複合繊維であってもよい。複合繊維としては、例えば、鞘部/芯部がPE/PETやPE/PPの芯鞘構造の複合繊維、又は、PE/PET、PE/PPなどのサイドバイサイド型複合繊維が挙げられる。繊維束は、スリットファイバ(フィルムを細長く切断し延伸させて造った繊維)、スプリットファイバ(細長いフィルムを網目構造に細分化して造った繊維)等の束であってもよい。
【0040】
繊維束を構成する繊維の繊度は、1~50dtexが好ましく、そして2~10dtexがさらに好ましい。繊維束は、同一繊度を有する複数種の繊維を含むことができ、異なる繊度を有する同一又は異種の繊維を含むことができる。なお、繊維の断面形状は円形でも良いし、それ以外の形状であっても良い。また、繊維が捲縮を有していても良く、その場合には、フィラメントの製造時にクリンパー加工され、さらに予熱カレンダー、又は熱風処理によって捲縮数が増加される。
【0041】
なお、本実施形態のトウは、ウエブ部材1の製造過程における切断機構30(後述)より上流側の所定の段階で開繊されている。トウの開繊は、移送ロールによる移送を行いつつ、周知の方法(テンションロール等)で、フィラメントに対して長手方向への張力の付与と解除を繰り返すことで、トウの連続フィラメントを個々にばらばらに分離するように開繊させる。トウの開繊によって、繊維束5が柔らかくふわふわな状態になる。
【0042】
図1図2A、及び図2Bに示すように、基材シート2及び補助シート3は、どちらも平面形状が略長方形のシートである。そして、幅方向については互いに同寸に設定されているが、長手方向については、基材シート2の方が長く設定され、これにより、基材シート2の長手方向の両端部2e,2eが補助シート3の長手方向の両端3e,3eから所定長さだけ外方に突出した状態で、基材シート2上に補助シート3が積層されている。
【0043】
また、本実施形態では、基材シート2及び補助シート3のどちらも、幅方向の各端部に、幅方向に沿ったジグザグ形状の切り込みk,k…が長手方向に間隔をあけて形成されている。そして、これら切り込みk,k…により基材シート2及び補助シート3の幅方向の各端部には、幅方向に沿ったジグザグ形状の複数の短冊片が形成されている。但し、これら切り込みk,k…は無くても良く、ジグザグ以外の任意の形状でも良い。
【0044】
基材シート2及び補助シート3は、例えば熱可塑性繊維を含む不織布から形成されている。熱可塑性繊維としては、例えば、PE、PP、PET繊維、PEとPETの複合繊維(例えば芯がPEで鞘がPETの芯鞘構造の複合繊維)、PEとPPの複合繊維(例えば芯がPETで鞘がPEの芯鞘構造の複合繊維)等が挙げられ、不織布の態様としては、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布等が挙げられる。但し、これら基材シート2及び補助シート3の材料は、何等不織布に限らない。
【0045】
短冊シート7は、熱可塑性繊維を含む不織布、或いは熱可塑性樹脂フィルムなどの柔軟なシートで形成され、基材シート2とほぼ同じ平面サイズの略長方形に形成されている。短冊シート7の幅方向の各端部には、幅方向に沿ったジグザグ形状の切り込み(不図示)が長手方向に間隔をあけて形成されており、これら切り込みにより短冊シート7の幅方向の各端部には、幅方向に沿ったジグザグ形状の複数の短冊片(不図示)が形成されている。但し、この短冊シート7は無くても良い。
【0046】
補助シート3、基材シート2、繊維束部材5Gの全4束の各繊維束5,5,5,5及び短冊シート7は、この順番で厚さ方向に積層され、図2A及び図2Bに示すように、複数の溶着接合部J1,J2,J2…が形成されることにより一体に接合されている。例えば、幅方向の中央位置には、長手方向に沿った直線状に第1溶着接合部J1が形成されており、この第1溶着接合部J1によって、ウエブ部材1の厚さ方向の全層(つまり、補助シート3と、基材シート2と、繊維束部材5Gの全4束の各繊維束5,5…と、短冊シート7との全ての構成)が溶着接合されている。
【0047】
また、この第1溶着接合部J1の幅方向の両側にそれぞれ所定間隔をおいた各位置には、長手方向に沿って断続的に複数の島状の第2溶着接合部J2,J2…が形成されている。第2溶着接合部J2は、第1溶着接合部J1と協働することで、補助シート3と基材シート2との間に柄部材9を差し込み固定するための既述の空洞部SP3,SP3を形成する。そのため、図2Bに示すように、この第2溶着接合部J2では、厚さ方向の上層側に位置する補助シート3、基材シート2、及び基材シート2寄りに位置する2束の各繊維束5,5は接合されているが、その下層側に位置する2束の各繊維束5,5、及びその更に下層側に位置する短冊シート7については接合されていない。溶着接合部J1,J2,J2…は、例えば超音波溶着処理で形成される。
【0048】
<<<ウエブ部材1の製造>>>
ウエブ部材1は、製造装置10によって製造される。製造装置10では、概ね最終工程に設けられた切断機構30(後述)によって製品サイズに切断されることにより、製造される。図3は、ウエブ部材1の切断前の状態である半製品1aの概略図である。
【0049】
図3に示す状態は、基材シート2や繊維束5等のウエブ部材1の全構成部品3,2,5,5,5,5,7は既に積層されて一体に溶着接合した状態であるものの、未だ個別のウエブ部材1には分断されていない半製品1aの状態である。つまり、製造ラインの搬送方向に沿ってウエブ部材1,1…に相当する部分1U,1U…が搬送方向に連続して並ぶ連続ウエブ部材1aの状態にある。より詳しくは、補助シート3や、基材シート2、及び短冊シート7は、それぞれ、搬送方向に連続した連続シートの状態にあり、また、各繊維束5,5…も、それぞれ搬送方向に連続した連続体の状態にある。以下では、搬送方向(MD方向)に連続するトウを含む連続ウエブ部材1aのことを「半製品1a」といい、半製品1aにおいてウエブ部材1に相当する部分1Uのことを、「単位半製品1U」とも言う。
【0050】
本実施形態では、半製品1aは、所謂「横流れ」の搬送形態で搬送されている。すなわち、製品たるウエブ部材1の幅方向に相当する方向が、搬送方向を向いた状態で搬送されている。よって、半製品1aを搬送方向に製品ピッチP1で切断することで形成された切断縁が、前述のウエブ部材1の幅方向の端縁となる。また、半製品1aにおいて各繊維束5,5…のトウの繊維方向は搬送方向に沿っているので、製品ピッチP1での切断に伴いトウも一緒に切断される。
【0051】
以下、製造装置(ウエブ部材の製造装置)10について説明するが、以下の説明では、この半製品1aの幅方向(ウエブ部材1の幅方向)のことを、「CD方向」とも言い、またこのCD方向と直交する2方向のうちで、半製品1a(ウエブ部材1)が連続する方向のことを「MD方向」とも言う。なお、MD方向は半製品1aの搬送方向のことでもある。更に、半製品1aの厚さ方向とCD方向とMD方向との三方は、互いに直交関係にある。
【0052】
図4Aは、本実施形態の製造装置10の概略側面図であり、図4Bは、図4A中のB-B矢視図である。図5は、図4A中のC-C矢視図である。なお、これらの図を含め、以下で説明に用いる図では、便宜上、適宜構成を省略して示している。
【0053】
製造装置10は、半製品1aを搬送する上流側搬送機構20と、上流側搬送機構20により搬送された半製品1aを個別のウエブ部材1に切断(分断)する切断機構30と、切断機構30で製品ピッチ1Pに切断された個別のウエブ部材1をMD方向に搬送する下流側搬送機構40と、を有する。なお、製造装置10が、各搬送機構20、40などの各種機器の状態を監視する各種センサーや制御部等を適宜有してもよい。例えば、センサー等から送信される検出信号に基づいて、制御部が、各種機器、搬送機構20、40、及び切断機構30の動作を制御することにより、半製品1aは製品ピッチP1で順次切断されて、単票状のウエブ部材1が生成される。
【0054】
下記の工程を有する製造方法でウエブ部材1を製造することで、ウエブ部材1aの製造効率を向上させつつ、半製品1aの切断による切断面におけるトウの繊維同士がくっついてしまう恐れを軽減させることができる。
【0055】
上流側搬送機構20において、MD方向に連続するトウを含む半製品1aを搬送する上流側搬送工程と、
切断機構30において、上流側搬送機構により搬送された半製品1aを切断する切断工程と、
下流側搬送機構40において、切断機構30で製品ピッチP1に切断されたウエブ部材1をMD方向に搬送する下流側搬送工程と、を有する製造方法でウエブ部材1を製造する。
切断機構30は、各外周面同士が対向する上側ロール(第2ロール)31aと、下側ロール(第1ロール)31bを備える。
少なくとも下側ロール31bは、切断刃31bsを備え、下側ロール31bの径方向に見て、下側切断刃31bsの長手方向は、下側ロール31bの回転中心軸C31bに対して傾いている。
そして、切断機構30は、半製品1aをMD方向に搬送しながら半製品1aを切断し、且つ、下流側搬送機構40の搬送面と半製品1aとを相対滑りさせながら、半製品1aを切断する。
【0056】
以下、製造装置10の各機構20、30、40及び各工程について説明する。
<上流側搬送工程>
上流側搬送機構20は、切断機構30よりMD方向の上流側に配置され、切断機構30に向かって半製品1aを搬送する。上流側搬送機構20は、下側ベルトコンベア(下側搬送部)21と、下側ベルトコンベア21より上側に設けた上側ベルトコンベア(上側搬送部)22を備える。上流側搬送機構20では、下側ベルトコンベア21において半製品1aの下側を支持しつつ、上側ベルトコンベア22(無端ベルト27)が半製品1aに当接した状態で、半製品1aを搬送する。つまり、下側ベルトコンベア21と上側ベルトコンベア22が半製品1aを挟んだ状態で搬送する。
【0057】
下側ベルトコンベア21は、MD方向に並んで配された一対のローラー23,23と、一対のローラー23,23に掛け回された無端ベルト24を有している。そして、一対のローラー23,23のうちの少なくとも一方のローラー23が、駆動源としてのサーボモータによって駆動回転され、これにより、無端ベルト24の外周面を搬送面として半製品1aはMD方向の下流へと搬送される。
【0058】
上側ベルトコンベア22は、下側ベルトコンベア21と同様に、MD方向に並んで配された一対のローラー26,26と、一対のローラー26,26に掛け回された無端ベルト27を有している。そして、一対のローラー26,26のうちの少なくとも一方のローラー26が、駆動源としてのサーボモータによって駆動回転され、これにより、無端ベルト24の外周面を搬送面として半製品1aはMD方向の下流へと搬送される。上側ベルトコンベア22の無端ベルト27は、下側ベルトコンベア21の搬送速度と連動した周回動作をする。
【0059】
但し、ローラー23、26は何等一対に限らない。例えば三本のローラー23、26を設けることにより、略三角形形状の周回軌道で無端ベルト24、27を周回させても良い。また、上側ベルトコンベア22は、例えば下側ベルトコンベア21の駆動源たるサーボモータから、歯車列や巻掛け伝動装置等の適宜な動力伝達機構を介して周回動作の駆動力を取ってもよく、別途、上側ベルトコンベア22の周回駆動用にサーボモータを設け、当該サーボモータを下側ベルトコンベア21の搬送動作と同期させてもよい。
【0060】
本実施形態のように、上流側搬送機構20において、半製品1aを、下側ベルトコンベア21と上側ベルトコンベア22とで挟んだ状態で搬送することが好ましい。トウの繊維束を備える半製品1a(ウエブ部材1)は、柔らかい素材であるため、厚さ方向に広がりやすい。そのため、下側ベルトコンベア21と上側ベルトコンベア22で半製品1aを挟むことで、半製品1aの厚みを薄くした状態で、MD方向下流の切断機構30に半製品1aを搬送させることができる。半製品1aは、厚さ方向に広がった状態よりも、厚さ方向に押圧して厚みを薄くした状態の方が、切断に先立って、切断刃(31as、31bs)が半製品1aを潰しながら切断刃(31as、31bs)の回転方向に接触する挙動を軽減できる。また、半製品1aに対する切断位置がブレてしまったり、切断刃(31as、31bs)から半製品1aに加える力が逃げてしまったりする恐れを軽減させて、半製品1aを切断しやすくなる。そのため、半製品1aを、下側ベルトコンベア21と上側ベルトコンベア22とで挟んだ状態で搬送することで、半製品1aの厚みを薄くした状態で搬送して切断機構30に向かって搬送すると、切断機構30において、半製品1aを切断しやすくなる。なお、切断機構30における切断動作の安定性の向上のために、上流側搬送機構20において、下側ベルトコンベア21の無端ベルト24の外周面と上側ベルトコンベア22の無端ベルト27とが対向するように配置されており、これら無端ベルト24、27は、互いの外周面同士の間に位置する半製品1aをその厚さ方向の両側から狭圧(押圧)することが好ましい。
【0061】
<切断工程>
切断機構30は、上流側搬送機構20により搬送された半製品1aを、製品ピッチP1に切断してウエブ部材1とする。図4A及び図5に示すように、切断機構30は、上側ロール31aと下側ロール31bを備える。上側ロール31aと下側ロール31bは、モーター等の駆動源と歯車等による反転駆動伝達手段を備え、上側回転中心軸C31a、下側回転中心軸C31bを中心にそれぞれ周方向Dca、周方向Dcbに駆動回転する回転体である。上側ロール31aと下側ロール31bは、それぞれ上側回転中心軸C31a、下側回転中心軸C31bの軸方向をCD方向に向け、互いの外周面を対向させて配置している。
【0062】
上側ロール31aの外周面は、上側ロール31aの外周面から外側に突出した鋭角な刃先である上側切断刃31asを備える。下側ロール31bの外周面は、上側ロール31aの外周面から外側に突出した鋭角な刃先である下側切断刃31bsを備える。
【0063】
図6は、切断機構30の上側切断刃31asと下側切断刃31bsを説明する模式図である。なお、図6において、半製品1a及びウエブ部材1は省略して示している。また、図4Bは、図6の状態(d)の下側ロール31bを示している。
【0064】
切断機構30は、上流側搬送機構20から搬送された半製品1aを、上側ロール31aと下側ロール31bとの間のロール間隙に通し、上側ロール31aと下側ロール31bとの間に挟んだ状態で両ロール31a、31bの回転によって半製品1aをMD方向に搬送しつつ、半製品1aを切断する。具体的には、まず、両ロール31a、31bの回転によって、状態(a)~状態(c)に示すように上側切断刃31asと下側切断刃31bsを近づける。そして、両ロール31a、31bの回転によって、状態(d)が、上側切断刃31asと下側切断刃31bsとが最も近づいた状態となる。状態(d)は、上側切断刃31asと下側切断刃31bsとが交差する点であり、半製品1aが挟みこまれ、剪断応力が発生して、半製品1aがその部分で破壊されることによって、半製品1aが切断される。所謂、シャー切りによって、半製品1aが切断される。その後、両ロール31a、31bの回転によって、状態(e)~状態(g)に示すように、上側切断刃31asと下側切断刃31bsとが離れる。その後、両ロール31a、31bの回転によって、再度、状態(a)~状態(g)を繰り返すことで、連続して半製品1aの切断を行うことができる。
【0065】
通常、ウエブ部材1の製造の半製品1aの製品ピッチP1での切断は、例えば、刃物を備えたロールで半製品1aを搬送しつつ、切断を行うことが製造効率的に好ましい。しかしながら、従来、トウの繊維が熱可塑性繊維であるために、半製品1aの切断位置(ウエブ部材1の幅方向の端)を一度に線状に切断すると、切断時の熱や圧力によってトウの繊維同士が溶着や圧着によってくっついてしまう恐れがあった。トウの繊維同士がくっついてしまうと、ウエブ部材1の幅方向の端部が袋とじ状に閉じてしまったり、塊が生じてしまったりして、清掃部材を清掃具として用いる際に埃をからめとる機能を損ねてしまうおそれがある。なお、トウの繊維同士がくっついた状態とは、トウの繊維同士が溶着された状態や圧着された状態である。
【0066】
これに対し、本実施形態の切断機構30では、上側ロール31aが上側切断刃31asを備え、上側ロール31aの径方向に見て、上側切断刃31asの長手方向が、上側ロール31aの上側回転中心軸C31aに対して傾いている。また、下側ロール31bが下側切断刃31bsを備え、下側ロール31bの径方向に見て、下側切断刃31bの長手方向が、下側ロール31bの下側回転中心軸C31bに対して傾いている。さらに、切断機構30において、半製品1aをMD方向に搬送しながら、且つ、下流側搬送機構40(下流側ベルトコンベア41)の搬送面と半製品1aとを相対滑りさせながら、半製品1aを切断する。
【0067】
具体的には、図5に示すように、上側ロール31aの径方向に見て、上側切断刃31asの長手方向が、上側ロール31aの上側回転中心軸C31aに対して、角度θaだけ傾いている。下側ロール31bの径方向に見て、下側切断刃31bの長手方向が、下側ロール31bの下側回転中心軸C31bに対して、角度θbだけ傾いている。
角度θa及び角度θbは、0°<θa<90°、0°<θb<90°である。角度θa及び角度θbについて、0°<θa<10°、0°<θb<10°が好ましい。また、角度θa及び角度θbについて、5°<θa<10°、5°<θb<10°がより好ましい。
【0068】
図7Aは、図4B中の部分Xの拡大図である。図7Bは、図7Aの状態における半製品1aの切断過程を説明する図である。図7Aは、半製品1aの幅方向における中央部Pnにおいて、上側ロール31aの上側切断刃31asと下側ロール31bの切断刃31bsとが、半製品1aのCD方向における中央部Pnで最も近接した状態(図6の状態(d))の下側ロール31bを半製品1a側から見た図である。なお、図7Aでは、下側ロール31bのみを示したが、上側ロール31aにおいても、下側ロール31bの下側切断刃31bsと対向するように上側切断刃31asが設けられており、図7Aに示す状態では、上側ロール31aは、下側ロール31bとは、半製品1aに対して対称な構成である。
【0069】
図7Aに示すように、下側ロール31bの下側切断刃31bsは、下側ロール31bの下側回転中心軸C31bに対して、θbだけ傾いている。下側切断刃31bsが下側回転中心軸C31bに対して傾いている(上側切断刃31asが上側回転中心軸C31aに対して傾いている)ことで、下側ロール31bが回転すると、まず、半製品1aのCD方向の他端側の端Psから切断される。そして、下側ロール31bの回転に伴い、矢印yの方向に沿って順に半製品1aの切断が進むことで、図7Bに示すように、半製品1aは、CD方向における他端側は切断され、CD方向における一端側の端Peを含む部分(半製品1aの幅方向における中央部Pnより一方側の領域)は連続した状態となる。このように、両ロール31a、31bの回転によって、CD方向に沿って端Psから端Peに向かって順に切断を行うことで、半製品1aをCD方向に沿って端から端まで線状に全部が一度に切断された場合よりも、切断時における熱や圧力を一度に加える部分を小さくすることができるため、トウの繊維同士がくっつく恐れを軽減させることができる。
【0070】
また、図7Bに示すように、切断機構30において半製品1aを切断している間は、下側切断刃31bsが下側回転中心軸C31bに対して傾いていることで、半製品1aの一部が切断され、一部が連続した状態となる。そのため、切断機構30の下流に位置する下流側搬送機構40は、主に切断後のウエブ部材1aを搬送する機構であるが、半製品1aの一部も下流側に向かって搬送する。この下流側搬送機構40において、下流側搬送機構40の搬送面と半製品1aとを相対滑りさせることで、下流側への搬送を促しやすくなり、上側切断刃31as及び下側切断刃31bsと、半製品1aとの切断面における接触時間を短縮させやすくなり、切断面におけるトウの繊維がくっつく恐れを軽減させやすくなる。さらに、半製品1aに対してテンションをかけた状態で切断することになり、切断機構30における切断を行いやすくなる。なお、下流側搬送機構40の搬送面と半製品1aとの相対滑りは、下流側搬送機構40の搬送面と半製品1aとの間の摩擦力によって生じさせることができる。
【0071】
このように、切断機構30では、半製品1aを搬送しながら切断することでウエブ部材1の製造効率を向上させつつ、切断面におけるトウの繊維同士がくっついてしまう恐れを軽減させることができる。
【0072】
さらに、図4B及び図7Aに示すように、下側ロール31b(上側ロール31a)の下側回転中心軸C31b(上側回転中心軸C31a)が、CD方向(MD方向に直交する方向)に対して傾いていることが好ましい。下側ロール31bの径方向に見て、下側ロール31bの下側切断刃31bsの長手方向が下側ロール31bの下側回転中心軸C31bに対して傾いている場合であっても、ウエブ部材1を所望の形状、所望の位置で切断しやすくなる。本実施形態では、下側ロール31bの下側回転中心軸C31bがCD方向に対してθbだけ傾いており、下側ロール31bの下側切断刃31bsが、CD方向に沿っており、CD方向に略平行である。これにより、切断後のウエブ部材1の形状を、幅方向と長手方向とが直交した略長方形とすることができる。
【0073】
半製品1aは、柔らかく広がりやすい素材で構成されている。半製品1aが、柔らかく、厚み方向に膨らみやすいために、そのままの状態で切断を行うと、搬送量が安定しなかったり、切断位置を正確に切断することが難しかったりする恐れがある。そのため、切断機構30において、下側切断刃31bsと下側ロール31bの周面と上側ロール31aの周面とが半製品1aと当接した状態で半製品1aを切断することが好ましい。図8は、図6の状態(d)の半製品1aを説明する図である。本実施形態は、図8に示すように、上側ロール31aと上側切断刃31asと下側ロール31bと下側切断刃31bが半製品1aに当接した状態で半製品1aを切断する。つまり、本実施形態では、上側切断刃31asと下側切断刃31bsとが半製品1aに当接して切断している時には、上側切断刃31asと下側切断刃31bsよりMD方向の上流側は、半製品1aが上側ロール31aと下側ロール31bに当接し、上側ロール31aと下側ロール31bで半製品1aを挟んだ状態となる。これによって、切断機構30における切断に先立ち、上側ロール31aと下側ロール31bの周面が半製品1aを押さえた状態とすることで、上流側搬送機構20からの半製品1aの搬送量を一定に保ちやすくなり、半製品1aの切断を行いやすくなる。
【0074】
なお、上述のとおり、下側ロール31b(上側ロール31a)の径方向に見て、下側ロール31b(上側ロール31a)の下側切断刃31bs(上側切断刃31as)の長手方向が下側回転中心軸C31b(上側回転中心軸C31a)に対して傾いていることで、上側切断刃31asと下側切断刃31bsとが半製品1aに当接して切断している時には、上側切断刃31asと下側切断刃31bsのCD方向の両側は、半製品1aが上側ロール31aと下側ロール31bに当接し、上側ロール31aと下側ロール31bで半製品1aを挟んだ状態となる。これにより、上流側搬送機構20からの半製品1aの搬送量を一定に保ちやすくなり、半製品1aの切断を行いやすくなる。
【0075】
<下流側搬送工程>
下流側搬送機構40は、切断機構30よりMD方向の下流側に配置される。下流側搬送機構40は、下流側ベルトコンベア41と、空気噴出装置45と、センサー46を備える。
【0076】
下流側ベルトコンベア41は、製品ピッチP1で切断されたウエブ部材1をMD方向に搬送する。下流側ベルトコンベア41は、MD方向に並んで配された一対のローラー43,43と、一対のローラー43,43に掛け回された無端ベルト44を有している。そして、一対のローラー43,43のうちの少なくとも一方のローラー43が、駆動源としてのサーボモータによって駆動回転され、これにより、無端ベルト44の外周面を搬送面としてウエブ部材1はMD方向の下流へと搬送される。但し、ローラー43は何等一対に限らない。例えば三本のローラー43を設けることにより、略三角形形状の周回軌道で無端ベルト44を周回させても良い。
【0077】
図4Aに示すように、下流側ベルトコンベア41(下流側搬送機構40)において、ウエブ部材1の下側のみを支持した状態で搬送することが好ましい。つまり、下側ベルトコンベア21と上側ベルトコンベア22とで半製品1aを挟んだ状態で搬送する上流側搬送機構20とは異なり、下流側搬送機構40では、下流側ベルトコンベア41がウエブ部材1の下側のみを支持し、ウエブ部材1は上から押圧されていない状態で搬送する。これにより、空気抵抗などを受けることによって、ウエブ部材1の繊維束5を開繊させやすくなる。そして、ウエブ部材1の繊維束5を開繊させた状態を維持しやすくなり、ウエブ部材5をふわふわの柔らかい状態とさせやすくなる。結果として、清掃具としての機能を発揮させやすくなる。
【0078】
ウエブ部材1及びウエブ部材1が備える部材は柔らかく、且つ軽量であることから、下流側搬送機構40におけるウエブ部材1の搬送中に、ウエブ部材1が受ける逆風(向かい風)によって、ウエブ部材1が浮き上がったり、ウエブ部材1のMD方向の下流側の面の繊維のみが過度に開繊してしまったりする恐れがある。そのため、下流側搬送機構40が、下流側ベルトコンベア41(下流側搬送機構40)に支持された状態で搬送されるウエブ部材1に対して、空気(エア)を噴出する空気噴出装置45(エアブローノズル)を備えることがより好ましい。下流側ベルトコンベア41で搬送されているウエブ部材1に対して空気噴出装置45が空気を吹き付けることで、ウエブ部材1の浮き上がりを防ぎやすくなり、ウエブ部材1の片側面のみが過度に開繊してしまう恐れを軽減させることができる。
【0079】
また、下流側搬送機構40(下流側ベルトコンベア41)が、搬送面には吸引機構を備えないことが好ましい。ウエブ部材1のように、搬送する対象物(搬送物)の重量が軽い場合には、搬送中に搬送物が浮きやすいために、搬送面に吸引装置を設けて、搬送物を安定して搬送させることが一般的である。しかし、ウエブ部材1は、トウの繊維のように柔らかい素材からなる繊維束を有するために、吸引機構を設けると、トウの繊維が吸い込まれたり、トウの繊維が絡まったりする恐れがある。そのため、下流側搬送機構40の搬送面に吸引機構を設けないことで、吸引機構によってトウの繊維が吸い込まれたり、絡まったりする恐れを軽減させることができる。
【0080】
一般的に、切断機構30において、切断不良が生じると、下流側搬送機構40(下流側ベルトコンベア41)におけるウエブ部材1搬送間隔が不均一になりやすい。そのため、下流側搬送機構40が、ウエブ部材1の搬送間隔を検知するためのセンサー46を備えることが好ましい。センサー46によるウエブ部材1の搬送間隔の検知によって、ウエブ部材1の切断が良好か否かの認識が容易になる。
【0081】
各工程について、切断機構30における半製品1aを搬送する切断搬送速度V3より、下流側搬送機構40におけるウエブ部材1を搬送する下流搬送速度V4の方が速いことが好ましい(V3<V4)。下流搬送速度V4を切断搬送速度V3より速くすることで、下流搬送速度V4が切断搬送速度V3より遅い場合よりも、切断機構30で切断した後のウエブ部材1が切断機構30で留まってしまう恐れを軽減させることができる。また、下流側搬送機構40の搬送面と半製品1aとが相対滑りするため、半製品1aをMD方向の下流側に向かって引っ張った状態で、切断機構30による切断を行うことができるため、半製品1aを切断しやすくなる。これにより、切断面に熱と圧力を与える時間を削減させやすくなり、切断面のトウの繊維同士がくっついてしまう恐れを軽減させることができる。
【0082】
さらに、各工程の速度について、切断機構30における切断搬送速度V3が、上流側搬送機構20における半製品1aを搬送する上流搬送速度V2より速いことがより好ましい(V3>V2)。これによって、切断機構30で切断した後のウエブ部材1が切断機構30で留まる恐れを軽減させ、且つ、半製品1aをMD方向に引っ張った状態で半製品1aを切断することができるため、半製品1aを切断しやすくなる。結果として、切断面に熱と圧力を与える時間を削減させやすくなり、切断面のトウの繊維同士がくっついてしまう恐れを軽減させることができる。
【0083】
上流搬送速度V2、切断搬送速度V3、下流搬送速度V3について、上流搬送速度V2より切断搬送速度V3の方が速いことが好ましく、切断搬送速度V3より下流搬送速度V4の方が速いことが好ましい(V2<V3<V4)。これにより、切断機構30で半製品1a及びウエブ部材1が留まる恐れを軽減させつつ、半製品1aをMD方向にテンションをかけた状態で切断することができるため、切断機構30による切断を行いやすくなる。
【0084】
加えて、下流側搬送機構40における下流搬送速度V4が過度に速すぎると、下流側搬送機構40において搬送中の半製品1aやウエブ部材1が蛇行する恐れや、ウエブ部材1が浮き上がってしまう恐れがある。そのため、下流側搬送機構40における下流搬送速度V4と切断機構30における切断搬送速度V3との差(V4―V3)が、切断機構30における切断搬送速度V3と上流側搬送機構20の上流搬送速度V2との差(V3―V2)より小さいことがより一層好ましい(V4-V3<V3―V2)。下流搬送速度V4と切断搬送速度V3との差(V4―V3)を切断搬送速度V3と上流搬送速度V2との差(V3―V2)より小さくすることで(V4-V3<V3―V2)、下流搬送速度V4と切断搬送速度V3との差(V4―V3)が切断搬送速度V3と上流搬送速度V2との差(V3―V2)より大きい場合よりも(V4-V3>V3―V2)、半製品1aやウエブ部材1が蛇行する恐れやウエブ部材1が浮き上がる恐れを軽減させることができる。
【0085】
また、切断機構30における半製品1aと下側ロール31bとが当接した時点の半製品1aの厚み(図8のT3)は、下流側搬送機構40におけるウエブ部材1の厚み(T1)の半分以下(T3≦T1×1/2)であることが好ましい。なお、下流側搬送機構40におけるウエブ部材1の厚み(T1)は、製品としてのウエブ部材1の厚みT1(図2B参照)と略同じである。半製品1aのように、柔らかく広がりやすい素材の場合は、厚みを薄くした状態であるほど、切断しやすい。そのため、切断機構30における半製品1aと下側ロール31bとが当接した時点の半製品1aの厚み(T3)を下流側搬送機構40におけるウエブ部材1の厚み(T1)の半分以下(T3≦T1×1/2)とすることで、切断機構30における半製品1aと下側ロール31bとが当接した時点の半製品1aの厚み(T3)が下流側搬送機構40におけるウエブ部材1の厚み(T1)の半分より大きい場合よりも(T3>T1×1/2)、切断に先立って、切断刃(31as、31bs)が半製品1aを潰しながら切断刃(31as、31bs)の回転方向に接触する挙動を軽減できる。また、半製品1aに対する切断位置がブレてしまったり、切断刃(31as、31bs)から半製品1aに加える力が逃げてしまったりする恐れを軽減できる。そのため、半製品1aの切断機構30での切断を行いやすくなる。
【0086】
<<<切断機構30の変形例>>>
上述の実施形態では、切断機構30の両ロール31a、31bがそれぞれ切断刃31as、31bsを備え、上側切断刃31asと下側切断刃31bsとで半製品1aを挟み込んで、剪断応力を発生させて切断する、所謂シャー切りによって半製品1aを切断したが、これに限られない。
【0087】
切断機構30の一対のロール31a、31bの少なくとも一方が、切断刃を備えるものでもよい。例えば、図9は、切断機構30の変形例を説明する模式図である。図9は、上側ロール(第1ロール)31aのみが上側切断刃31asを備え、下側ロール(第2ロール)31bが切断刃を備えないアンビルロールである構成を示している。図9に示す構成は、上側ロール31aと下側ロール31bの回転によって、上側ロール31aの上側切断刃31asと下側ロール31bとを半製品1aを介して当接させることで、半製品1aを切断することができる、所謂押し切りによる切断である。この図9に示す切断機構30は、上側ロール31aの径方向に見て、上側切断刃31asの長手方向が、上側ロール31aの上側回転中心軸C31aに対して傾いている(不図示)。この切断機構30において、半製品1aをMD方向に搬送しながら、且つ、下流側搬送機構40の搬送面と半製品1aとを相対滑りさせながら、半製品1aを切断することで、ウエブ部材1の製造効率を向上させつつ、切断面におけるトウの繊維同士がくっついてしまう恐れを軽減させることができる。なお、図9に示す切断機構30の変形例では、上側ロール31aのみが上側切断刃31asを備え、下側ロール31bが切断刃を備えないアンビルロールとしたが、これに限られない。上側ロール31aが上側切断刃31asを備え、且つ下側ロール31bが下側切断刃31bsを備えた切断機構30が、上側ロール31aと下側ロール31bの回転によって、上側切断刃31asと下側切断刃31bsとを半製品1aを介して当接させた、押し切りにより半製品1aを切断してもよい。
【0088】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0089】
例えば、以下に示すような変形が可能である。
上述の実施形態では、ウエブ部材の一例としてウエブ部材1に係る半製品1aを示したが、何等これに限るものではない。すなわち、トウを含む複数の繊維を有する搬送方向に連続したウエブ部材であれば、何等上記に限らない。
【符号の説明】
【0090】
1 ウエブ部材、
1a 半製品(連続ウエブ部材)、
1U 単位半製品、
2 基材シート、2e 両端部、
3 補助シート、3e 両端、
5 繊維束、5G 繊維束部材、
7 短冊シート、
9 柄部材、9a 差し込み部、
10 製造装置(ウエブ部材の製造装置)、
20 上流側搬送機構、
21 下側ベルトコンベア(下側搬送部)、
22 上側ベルトコンベア(上側搬送部)、
23 ローラー、24 無端ベルト、
26 ローラー、27 無端ベルト、
30 切断機構、
31a 上側ロール(第2ロール)、
31as 上側切断刃、
31b 下側ロール(第1ロール)、
31bs 下側切断刃(切断刃)、
40 下流側搬送機構、
41 下流側ベルトコンベア、
43 ローラー、44 無端ベルト、
45 空気噴出装置、
46 センサー、
C31a 上側回転中心軸、
C31b 下側回転中心軸(回転中心軸)
【要約】
搬送方向に連続するトウを含む連続ウエブ部材(1a)を搬送する上流側搬送機構(20)と、上流側搬送機構(20)により搬送された連続ウエブ部材(1a)を切断する切断機構(30)と、切断機構(30)で製品ピッチ(P1)に切断されたウエブ部材(1)を搬送方向に搬送する下流側搬送機構(40)を有するウエブ部材の製造装置(10)であって、切断機構(30)は、各外周面同士が対向する第1ロール(31b)と第2ロール(31a)を備え、少なくとも第1ロール(31b)は切断刃(31bs)を備え、第1ロール(31b)の径方向に見て、切断刃(31bs)の長手方向は、第1ロール(31b)の回転中心軸(C31b)に対して傾いており、切断機構(30)は、連続ウエブ部材(1a)を搬送方向に搬送しながら、且つ、下流側搬送機構(40)の搬送面と連続ウエブ部材(1a)とを相対滑りさせながら、連続ウエブ部材(1a)を切断する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9