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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】発光装置、照明装置及び光学部材
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20240409BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240409BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20240409BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240409BHJP
【FI】
F21S8/02 410
F21V8/00 310
H01L33/58
F21Y115:10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023003926
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2018205312の分割
【原出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2023052393
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】島 康平
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋平
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-103503(JP,A)
【文献】特開2015-162407(JP,A)
【文献】特開2013-008566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21V 8/00
H01L 33/58
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の第1発光素子と、
複数の第2発光素子と、
前記第1発光素子に対応する位置に配置され、前記第1発光素子から入射した光を集光する第1集光部と、
前記第1集光部の周囲に配置され、前記第1発光素子から出射し前記第1集光部に入射しない光を集光する第2集光部と、
前記第2集光部の周囲に配置され、前記複数の第2発光素子に対応する位置に配置され、前記複数の第2発光素子のそれぞれから入射した光を内部で全反射させて外部を経由することなく導光する第1導光部と、
を備え、
前記第1導光部から出射する光の半値角は、前記第1集光部から出射する光の半値角よりも大きく、
前記第2集光部と前記第1導光部との境界と光出射面との距離は、前記第2集光部と前記第1集光部との境界と前記光出射面との距離よりも短い発光装置。
【請求項2】
前記第1導光部は透明部材であり、前記第2発光素子から出射した光を拡散させて出射させる請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2集光部は、光が入射する内面と、前記内面から入射した光の少なくとも一部を全反射させる外面と、を有した透明部材である請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
1以上の第3発光素子と、
前記第1導光部の周囲に配置され、前記第3発光素子に対応する位置に配置され、第3光入射領域に入射した光を導光する第2導光部をさらに備え、
前記第2導光部から出射する光の半値角は、前記第1導光部から出射する光の半値角よりも大きい請求項1~3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項5】
凸レンズである第1集光部と、
前記第1集光部の周囲に配置され、内面と外面とを有し、前記外面は光が出射する面に対して外向きに湾曲している第2集光部と、
前記第2集光部の周囲を環状に囲む筒状部材である第1導光部と、
前記第1集光部に対応する位置に配置された、1以上の第1発光素子と、
前記第1導光部に対応する位置に配置された、1以上の第2発光素子と、
を備え、
前記第2集光部と前記第1導光部との境界と前記光が出射する面との距離は、前記第2集光部と前記第1集光部との境界と前記光が出射する面との距離よりも短い発光装置。
【請求項6】
前記外面の最小曲率半径は、0.6mm以上、かつ、28mm以下である請求項5記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1導光部の周囲を環状に囲む筒状部材である第2導光部と、
前記第2導光部に対応する位置に配置された、1以上の第3発光素子と、
をさらに備え、
前記第1導光部及び第2導光部は、それぞれ、光が出射する面に対して垂直な面の断面形状が台形である透明部材であり、前記第2導光部のテーパー角は前記第1導光部のテーパー角よりも小さい請求項5または6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1導光部のテーパー比は、0より大きく、かつ、0.54以下である請求項7記載の発光装置。
【請求項9】
前記第2導光部のテーパー比は、0以上、かつ、0.1以下である請求項7または8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1集光部は凸レンズであり、前記第1導光部は前記凸レンズの周囲に環状に配置された透明部材である請求項1~9のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項11】
前記凸レンズの最小曲率半径は、0.3mm以上、かつ、13mm以下である請求項10記載の発光装置。
【請求項12】
前記第2発光素子から出射される光の色温度は、前記第1発光素子から出射される光の色温度とは異なる請求項1~11のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載の発光装置と、
前記発光装置から出射した光が入射する位置に配置された拡散板と、
前記発光装置及び前記拡散板の側面を覆うカバー部材と、
を備えた照明装置。
【請求項14】
第1光入射領域に入射した光を集光する第1集光部と、
前記第1集光部の周囲に配置され、前記第1光入射領域に対向する位置から出射し前記第1集光部に入射しない光を集光する第2集光部と、
前記第2集光部の周囲に配置され、複数の発光素子のそれぞれから第2光入射領域に入射した光を内部で全反射させて外部を経由することなく導光する第1導光部と、
を備え、
前記第1導光部から出射する光の半値角は、前記第1集光部から出射する光の半値角よりも大きく、
前記第2集光部と前記第1導光部との境界と光出射面との距離は、前記第2集光部と前記第1集光部との境界と前記光出射面との距離よりも短い光学部材。
【請求項15】
第1集光部と、
前記第1集光部の周囲に配置され、内面と外面とを有し、前記外面は光が出射する面に対して外向きに湾曲している第2集光部と、
前記第2集光部の周囲を環状に囲む筒状部材である第1導光部と、
を備えた光学部材。
【請求項16】
前記第1集光部、前記第2集光部及び前記第1導光部が透明材料により一体的に形成された請求項14または15に記載の光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、発光装置、照明装置及び光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、配光角の切替が可能な照明装置が要望されている。例えば、1つの照明装置により、ある状況では配光角を大きくして室内全体を照明し、他の状況では配光角を小さくして狭い範囲を照明することが要求されている。このような照明装置を実現する手段として、機械的な手段によって光源と光学系の位置関係を変化させることが考えられる。しかしながら、このような機械的な手段を設けた照明装置は、大型であり、高コストであり、切替に時間を要し、さらに、インテリア性を低下させるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-335101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、上述の問題点に鑑みてなされたものであって、機械的な手段を用いずに配光角の切替が可能な照明装置、並びに、この照明装置に用いる発光装置及び光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る発光装置は、1以上の第1発光素子と、1以上の第2発光素子と、前記第1発光素子に対応する位置に配置され、前記第1発光素子から入射した光を集光する第1集光部と、前記第1集光部の周囲に配置され、前記第1発光素子から出射し前記第1集光部に入射しない光を集光する第2集光部と、前記第2集光部の周囲に配置され、前記第2発光素子に対応する位置に配置され、前記第2発光素子から入射した光を内部で全反射させて導光する第1導光部と、を備える。前記第1導光部から出射する光の半値角は、前記第1集光部から出射する光の半値角よりも大きい。
【0006】
また、他の実施形態に係る発光装置は、凸レンズである第1集光部と、前記第1集光部の周囲に配置され、内面と外面とを有し、前記外面は光が出射する面に対して外向きに湾曲している第2集光部と、前記第2集光部の周囲を環状に囲む筒状部材である第1導光部と、前記第1集光部に対応する位置に配置された、1以上の第1発光素子と、前記第1導光部に対応する位置に配置された、1以上の第2発光素子と、を備える。
【0007】
実施形態に係る光学部材は、第1光入射領域に入射した光を集光する第1集光部と、前記第1集光部の周囲に配置され、前記第1光入射領域に対向する位置から出射し前記第1集光部に入射しない光を集光する第2集光部と、前記第2集光部の周囲に配置され、第2光入射領域に入射した光を内部で全反射させて導光する第1導光部と、を備え、前記第1導光部から出射する光の半値角は、前記第1集光部から出射する光の半値角よりも大きい。
【0008】
また、他の実施形態に係る光学部材は、第1集光部と、前記第1集光部の周囲に配置され、内面と外面とを有し、前記外面は光が出射する面に対して外向きに湾曲している第2集光部と、前記第2集光部の周囲を環状に囲む筒状部材である第1導光部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
実施形態によれば、機械的な手段を用いずに配光角の切替が可能な照明装置、並びに、この照明装置に用いる発光装置及び光学部材を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る照明装置を示す分解斜視端面図である。
図2A】第1の実施形態に係る照明装置を示す端面図である。
図2B】第1の実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
図3】光源部を示す平面図である。
図4A】第1の実施形態に係る光学部材を示す斜視端面図である。
図4B】第1の実施形態に係る光学部材を示す端面図である。
図5A】第1の実施形態に係る光学部材を光入射方向から見た平面図である。
図5B】第1の実施形態に係る光学部材を光出射方向から見た平面図である。
図5C】第1の実施形態に係る光学部材を示す斜視図である。
図6】第1発光素子から出射した光の軌跡のシミュレーション結果を示す図である。
図7】第2発光素子から出射した光の軌跡のシミュレーション結果を示す図である。
図8】拡散板から出射した光の軌跡とカバー部材との位置関係を示す端面図である。
図9】第2の実施形態に係る発光装置を示す図である。
図10A】実施例における第1導光部及び第2導光部の寸法を示す図である。
図10B】横軸に中心からの角度をとり、縦軸に光度をとって、実施例の第1導光部から出射した光の分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
図10C】横軸に中心からの角度をとり、縦軸に光度をとって、実施例の第2導光部から出射した光の分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る照明装置を示す分解斜視端面図である。
図2Aは、本実施形態に係る照明装置を示す端面図である。
図2Bは、本実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
【0012】
先ず、本実施形態に係る照明装置1の構成を概略的に説明する。照明装置1は、光源部10、光学部材20、拡散板30及びカバー部材40を備える。光源部10及び光学部材20により、発光装置50が構成されている。
【0013】
光源部10は、1以上の第1発光素子11と、1以上の第2発光素子12を有する。光学部材20は、第1集光部22、第2集光部23、第1導光部24を有する。第1集光部22は第1発光素子11に対応する位置に配置され、第1発光素子11から入射した光を集光する。第2集光部23は、第1集光部22の周囲に配置され、第1発光素子11から出射し第1集光部22に入射しない光を集光する。第1導光部24は、第2集光部23の周囲であって第2発光素子12に対応する位置に配置され、第2発光素子12から入射した光を内部で全反射させて導光する。そして、第1導光部24から出射する光の半値角は、第1集光部22から出射する光の半値角よりも大きい。
【0014】
拡散板30は、光源部10から出射し、光学部材20を通過した光が入射する位置に配置されている。カバー部材40は、発光装置50及び拡散板30の側面を覆う位置に配置されている。カバー部材40の形状は略筒状であり、その内面において、拡散板30を通過した光の一部を反射する。
【0015】
以下、詳細に説明する。
図3は、光源部10を示す平面図である。
光源部10には、1枚の配線基板15が設けられている。配線基板15の形状は略円板状である例を図示しているが、これに限定されない。配線基板15は、例えば、樹脂材料からなる母材中に配線が設けられている。第1発光素子11及び第2発光素子12は、配線基板15の実装面15a上に搭載されている。
【0016】
第1発光素子11は、例えば4個設けられており、配線基板15の中心付近に配置されている。第2発光素子12は、例えば13個設けられており、4個の第1発光素子11を囲む領域に円状に配置されている。ここでは、第1発光素子11の数が4個であり、第2発光素子12の数が13個である例を示したが、これには限定されない。配線基板15の中心付近に第1発光素子11が配置され、第1発光素子11を囲むように第2発光素子12が配置されていれば、配置される数は問わない。第1発光素子11及び第2発光素子12は、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)である。第1発光素子11と第2発光素子12とは、相互に独立して点灯させることができる。
【0017】
図4Aは、本実施形態に係る光学部材20を示す斜視端面図である。
図4Bは、本実施形態に係る光学部材20を示す端面図である。
図5Aは、本実施形態に係る光学部材20を光入射方向から見た平面図である。
図5Bは、本実施形態に係る光学部材20を光出射方向から見た平面図である。
図5Cは、本実施形態に係る光学部材20を示す斜視図である。
【0018】
光学部材20は、透明材料により一体的に形成された透明部材である。光学部材20の形状は概ね、中心軸Cを回転軸とした回転体であり、光入射面21と光出射面29を有する。光入射面21は光源部10に対向している。後述するように、光学部材20の光入射面21には凹凸が形成されており、この凹凸により光学的な機能を実現している。光出射面29は中心軸Cに対して直交した平面である。以下、光学部材20の中心軸Cが延びる方向のうち、光出射面29から光入射面21に向かう方向を「光入射方向」といい。光入射面21から光出射面29に向かう方向を「光出射方向」という。
【0019】
光入射面21の中央部には、光入射方向に突出した第1集光部22が設けられている。第1集光部22は、光源部10の第1発光素子11に対応する位置に配置されており、例えば、第1発光素子11に対向する位置に配置されている。第1集光部22の形状は凸レンズ状であり、例えば、回転楕円体の一部である。第1集光部22の外面22aは凸状の曲面である。外面22aの最小曲率半径は、0.3mm以上、かつ、13mm以下である。外面22aの最小曲率半径は、例えば、中心軸Cを含む断面において計測することができる。
【0020】
第1集光部22の周囲には、第2集光部23が設けられている。第2集光部23の形状は、頂上部が陥没した略円錐体状である。第2集光部23は、光源部10における第1発光素子11と第2発光素子12の間の領域に対向している。第2集光部23の表面は、内面23a、上面23b、外面23cを含んでいる。
【0021】
内面23aは第1集光部22の外面22aと接しており、光入射方向に向かうにつれて中心軸Cから離れるように傾斜している。上面23bは内面23aの周囲に配置され、内面23aと接している。上面23bは光出射面29に対して平行な円環状の平面である。外面23cは上面23bの周囲に配置され、上面23bと接している。外面23cは、光出射方向に向かうにつれて中心軸Cから離れるように傾斜している。また、外面23cは、光出射面29に対して外向きに、すなわち、光入射方向に向けて凸となるように湾曲している。外面23cの最小曲率半径は、0.6mm以上、かつ、28mm以下である。外面23cの最小曲率半径も、例えば、中心軸Cを含む断面において計測することができる。
【0022】
第2集光部23の周囲には、第1導光部24が設けられている。第1導光部24の形状は、第2集光部23の周囲を環状に囲む筒状である。第1導光部24は、光出射面29に対して垂直な面、例えば、中心軸Cを含む面の断面形状が台形である。第1導光部24の表面は、内面24a、上面24b、外面24cを含んでいる。
【0023】
内面24aは第2集光部23の外面23cと接しており、光入射方向に向かうにつれて中心軸Cから離れるように傾斜している。第2集光部23の外面23cと第1導光部24の内面24aとの境界線28aは、第1集光部22の外面22aと第2集光部23の内面23aとの境界線28bよりも、光出射方向側に位置している。すなわち、境界線28aと光出射面29との距離は、境界線28bと光出射面29との距離よりも短い。
【0024】
上面24bは内面24aの周囲に配置され、内面24aと接している。上面24bは光出射面29に対して平行な円環状の平面である。上面24bは、光源部10の第2発光素子12に対応する位置に配置されており、例えば、第2発光素子12に対向する位置に配置されている。第2集光部23の上面23bと第1導光部24の上面24bとは、同一平面上に位置している。外面24cは、光出射面29に対し垂直でもよく、光出射方向に向かうにつれて中心軸Cから離れる方向に傾斜していてもよい。
【0025】
第1導光部24の周囲には、平板部25が設けられている。平板部25の形状は、第1導光部24の周囲を囲む形状であればよく、好ましくは円環板状である。平板部25の上面25aは、光学部材20の光出射面29に対して平行であり、中心軸Cに対して直交した平面である。
【0026】
光入射面21は、全体が光出射方向から直接的に見える位置及び角度で配置されている。すなわち、第1集光部22の外面22a、第2集光部23の内面23a、上面23b、外面23c、第1導光部24の内面24a、上面24b、外面24c、平板部25の上面25aは、全て光出射面29に対向している。このため、光学部材20は、射出成型等により作製することができる。例えば、光出射面29側が開口した型に透明樹脂を流し込んで固化させ、光出射方向に引き出すことにより、光学部材20を成形することができる。
【0027】
拡散板30は、透明材料、例えば、ガラス又は樹脂材料からなり、入射する光を拡散させて透過する。光を拡散させる構造は、拡散板30の一方又は両方の表面には微細な凹凸を設けたり、拡散板30の中に屈折率の異なる材料を分散させることによって拡散板30に設けられている。拡散板30の形状は光出射面29を覆う形状であればよく、好ましくは円板状である。拡散板30は、光学部材20の光出射面29側に配置されており、例えば、光出射面29に接している。
【0028】
カバー部材40は、鍔部41、収納部42、コーン部43を有する。カバー部材40は、不透明材料、例えば、白色樹脂材料、暗色樹脂材料又は金属材料により形成されている。カバー部材40の形状は概ね回転体であり、カバー部材40の中心軸は光学部材20の中心軸Cと略一致する。
【0029】
鍔部41の形状は、例えば、円環板状である。鍔部41は、照明装置1を取付対象部材、例えば、部屋の天井100に対して固定するための部分である。収納部42の形状は、上面の全体と底面の中央部分が開口した円筒状であり、光源部10、光学部材20、拡散板30を内部に収納する。拡散板30の外周部は、光学部材20の平板部25と、カバー部材40の収納部42の底面により挟まれて固定される。コーン部43の形状は、収納部42から離れるにつれて直径が大きくなる円錐台形状である。コーン部43の上面及び底面は開口しており、コーン部43の内部は収納部42の内部と連通している。コーン部43の内面は、カバー部材40が白色材料からなる場合は光を乱反射し、カバー部材40が暗色材料からなる場合は光を吸収する。
【0030】
次に、本実施形態に係る照明装置1の動作について説明する。
図6は、第1発光素子から出射した光の軌跡のシミュレーション結果を示す図である。
図7は、第2発光素子から出射した光の軌跡のシミュレーション結果を示す図である。
図8は、拡散板から出射した光の軌跡とカバー部材との位置関係を示す端面図である。
【0031】
第1発光素子11が点灯すると、第1発光素子11から出射した光の一部は、光学部材20の第1集光部22の外面22aに入射する。外面22aは、第1集光部22に光が入射する第1光入射領域である。以下、第1集光部22に入射した光を「光L1」という。光L1は、凸レンズ形状の第1集光部22によって集光されて、光出射面29から出射する。第1集光部22から出射した光L1の半値角θHW1は、例えば、24°である。
【0032】
第1発光素子11から出射した光の残部、すなわち、第1発光素子11から出射し、第1集光部22に入射しなかった光は、第2集光部23の内面23aに入射する。以下、第2集光部23に入射した光を「光L2」という。光L2は、第2集光部23内を通過し、少なくとも一部が外面23cにおいて全反射されて、光出射面29から出射する。外面23cは、光出射面29に対して外向きに湾曲しているため、光L2は外面23cにおいて全反射されることにより、集光される。
【0033】
第2発光素子12が点灯すると、第2発光素子12から出射した光の大部分は、光学部材20の第1導光部24の上面24bに入射する。上面24bは、第1導光部24に光が入射する第2光入射領域である。以下、第1導光部24に入射した光を「光L3」という。光L3の少なくとも一部は、第1導光部24の内面24aと外面24cとで全反射を繰り返すことにより、第1導光部24の内部を導光されると共に拡散されて、光出射面29から出射する。第1導光部24から出射した光L3の半値角θHW2は、例えば、68°である。光学部材20の第1導光部24から出射する光L3の半値角θHW2は、第1集光部22から出射する光L1の半値角θHW1よりも大きい。すなわち、θHW2>θHW1である。
【0034】
このように、照明装置1においては、第1発光素子11を点灯させると、第1集光部22によって集光された光L1、及び、第2集光部23によって集光された光L2が、照明装置1から出射する。これにより、半値角が小さい光を得ることができる。一方、第2発光素子12を点灯させると、第1導光部24によって拡散された光L3が照明装置1から出射する。これにより、半値角が大きい光を得ることができる。このように、照明装置1は、点灯させる発光素子を切り替えることにより、出射光の配光角を切り替えて、照明範囲を変えることができる。
【0035】
光学部材20の光出射面29から出射した光は、拡散板30を通過する際に散乱される。これにより、使用者に第1発光素子11又は第2発光素子12が直接見えてしまうことによる「粒感」を軽減すると共に、光の出射角度に起因した「色ムラ」や「グレア」を軽減することができる。そして、拡散板30から出射した光はカバー部材40のコーン部43内に入射する。拡散板30から出射した光の一部は、コーン部43の内面に到達する。特に、配線基板15の実装面15aに対する角度が30°以下の方向に進む光は、必ずコーン部43の内面に到達する。なお、光L4は、拡散板30におけるコーン部43内に露出した部分の端から、実装面15aに対して30°の角度で出射し、コーン部43の中心軸を通過する光の軌跡を示している。コーン部43は、光L4がコーン部43の内面に入射するように、設計されている。コーン部43の内面が白色材料からなる場合は、コーン部43の内面に到達した光はコーン部43の内面によって乱反射され、照明装置1の外部に出射する。コーン部43の内面が暗色材料からなる場合は、コーン部43の内面に到達した光はコーン部43の内面によって吸収される。拡散板30から出射した光の他の一部は、コーン部43の内面には到達せずに、直接照明装置1の外部に出射する。
【0036】
次に、本実施形態の効果について説明する。
照明装置1においては、機械的な手段を設けることなく、電気的な手段のみで配光角を切り替えることができる。このため、照明装置1の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、機械的な動作がないため、切替に時間を要さず、騒音が発生することもなく、信頼性も高い。さらに、照明装置1の外観を、配光角の切替が可能であることがわからないような外観とすることができるため、部屋の天井100に取り付けてダウンライトとして使用する場合等に、インテリア性を向上させることができる。
【0037】
また、1つの光学部材20を用いて、狭角照明と広角照明の双方を実施することができるため、照明装置1のコストをより一層低減することができる。上述の如く、射出成型法等によって光学部材20を形成すれば、コストをより低減できる。また、使用者から見て、狭角照明時と広角照明時で発光領域の位置及び面積がほとんど変わらないため、狭角照明と広角照明を切り替えたときの不連続感が少ない。
【0038】
さらに、照明装置1においては、拡散板30から出射した光のうち、配線基板15の実装面15aに対する角度が30°以下の方向に進む光は、カバー部材40が白色材料からなる場合はコーン部43の内面によって乱反射され、カバー部材40が暗色材料からなる場合はコーン部43の内面で吸収されるため、拡散板30から照明装置1の外部に直接出射することがない。これにより、第1発光素子11及び第2発光素子12から浅い角度で出射した光が直接使用者の目に入ることを防止でき、グレアを抑えることができる。また、照明装置1においては、狭角照明用の光L1及びL2と、広角照明用の光L3とを、1つの光学部材20から出射させることができるため、発光面積を低減することができる。これにより、30°以下の光を遮断しつつ、コーン部43の高さを低くすることができ、照明装置1全体をコンパクトにすることができる。
【0039】
なお、第1発光素子11と第2発光素子12は、同時に点灯させてもよい。これにより、例えば、第2発光素子12によって部屋全体を照明しつつ、第1発光素子11によって机などの作業空間をより明るく照明することができる。この場合に、第1発光素子11が出射する光の色温度と、第2発光素子12が出射する光の色温度を、相互に異ならせてもよい。例えば、第2発光素子12から出射する光の色温度を2700K(ケルビン)として部屋全体を電球色の光で照明しつつ、第1発光素子11から出射する光の色温度を6500Kとして机の上を白色の光で照明してもよい。
【0040】
また、センサーを用いて人を感知することで、狭角照明と広角照明を切り替えてもよい。例えば、机などの作業空間の付近に人がいないときは、第2発光素子12のみを点灯させて部屋全体を照明し、作業空間に人がいるときは、第1発光素子11及び第2発光素子12の双方を点灯させて、作業空間を重ねて照明してもよい。または、例えば、部屋が無人のときは第1発光素子11及び第2発光素子12の双方を消灯させておき、部屋の入口に人が現れたときは、第1発光素子11のみを点灯させて、入口付近のみを局所的に照明してもよい。
【0041】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図9は、本実施形態に係る発光装置を示す図である。
なお、以下の説明においては、原則として、第1の実施形態との相違点のみを説明する。以下に説明する事項以外は、第1の実施形態と同様である。後述する他の実施形態についても同様である。
【0042】
本実施形態に係る発光装置50aは、第1の実施形態に係る発光装置50の構成に加えて、光源部10aに1以上の第3発光素子13が設けられており、光学部材20aに第2導光部26及び平板部27が設けられている。
【0043】
第3発光素子13は、例えば複数設けられており、配線基板15の実装面15a上における第2発光素子12が配置されている領域を囲む領域に、円状に配置されている。第3発光素子13は、例えば、LEDである。第3発光素子13は、第1発光素子11及び第2発光素子12から独立して点灯させることができる。
【0044】
第2導光部26は、平板部25の外側に設けられている。第2導光部26は、第1導光部24の周囲を環状に囲む透明な筒状部材である。第2導光部26は、第3発光素子13に対応する位置に配置されており、例えば、第3発光素子13に対向する位置に配置されている。
【0045】
第2導光部26の表面は、内面26a、上面26b、外面26cを含んでいる。内面26aは平板部25の上面25aと接しており、例えば、中心軸Cに対して平行である。上面26bは内面26aの周囲に配置され、内面26aと接している。上面26bは光出射面29に対して平行な円環状の平面であり、第3発光素子13に対向している。上面26bは、第2集光部23の上面23b及び第1導光部24の上面24bと同じ平面上に位置している。外面26cは、上面26bに接し、例えば、中心軸Cに対して平行である。第2導光部26は、光出射面29に対して垂直な面、例えば、中心軸Cを含む面の断面形状が長方形である。なお、第2導光部26の断面形状は、長方形以外の台形であってもよい。
【0046】
第2導光部26の内面26a及び外面26cのテーパー角、すなわち、中心軸Cとの角度は、第1導光部24の内面24a及び外面24cのテーパー角よりも小さい。従って、第2導光部26のテーパー比は、第1導光部24のテーパー比よりも小さい。導光部の「テーパー比」とは、導光部の光入射面21側の端面の幅をWinとし、光出射面29側の端面の幅をWoutとし、導光部の中心軸Cに沿った長さをHとしたとき、(Wout-Win)/Hで定義される値である。第1導光部24の光入射面21側の端面は上面24bであり、光出射面29側の端面は境界線28aと平板部25の上面25aとを結ぶ平面であり、第2導光部26の光入射面21側の端面は上面26bであり、光出射面29側の端面は平板部25の上面25aと平板部27の上面27aとを結ぶ平面である。例えば、第1導光部24のテーパー比は0より大きく、かつ、0.54以下であり、第2導光部26のテーパー比は0以上、かつ、0.1以下である。これにより、第2導光部26から出射する光の半値角は、第1導光部24から出射する光の半値角よりも大きくなる。
【0047】
平板部27は、第2導光部26の外側に設けられている。平板部27の上面27aは、光出射面29に対して平行な円環状の平面である。平板部27の厚さは、例えば、平板部25の厚さと略同じである。第2導光部26及び平板部27を含む光学部材20aは、透明材料により一体的に形成されている。
【0048】
次に、本実施形態に係る照明装置の動作について説明する。
第3発光素子13を点灯させると、第3発光素子13から出射した光の大部分は、第2導光部26の上面26bに入射する。上面26bは、第2導光部26に光が入射する第3光入射領域である。上面26bから第2導光部26内に入射した光の少なくとも一部は、内面26aと外面26cで全反射を繰り返し、第2導光部26内を伝播し、光出射面29から出射する。第2導光部26から出射する光の半値角θHW3は、第1導光部24から出射する光の半値角θHW2よりも大きい。すなわち、θHW3>θHW2>θHW1である。
【0049】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、第3発光素子13を点灯することにより、第1発光素子11又は第2発光素子12を点灯した場合よりも、半値角が大きい光を得ることができる。これにより、配光角を3段階に切り替えることができる。
【0050】
次に、実施例に係る照明装置について説明する。
図10Aは、本実施例における第1導光部24及び第2導光部26の寸法を示す図である。
図10Bは、横軸に中心からの角度をとり、縦軸に光度をとって、本実施例の第1導光部24から出射した光の分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
図10Cは、横軸に中心からの角度をとり、縦軸に光度をとって、本実施例の第2導光部26から出射した光の分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
【0051】
例えば、第1導光部24の光入射方向側の端部の幅Winを3mmとし、光出射方向側の端部の幅Woutを6mmとし、第1導光部24の光出射方向における長さHを10.9mmとした場合、半値角θHW2は68°である。一方、第2導光部26の光入射方向側の端部の幅Winを3mmとし、光出射方向側の端部の幅Woutを3mmとし、第2導光部26の光出射方向における長さHを10.9mmとした場合、半値角θHW3は112°である。前述の如く、第1集光部22から出射する光L1の半値角θHW1は、例えば、24°である。これらの値を下記表1にまとめて示す。
【0052】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えば、室内用の照明装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1:照明装置
10、10a:光源部
11:第1発光素子
12:第2発光素子
13:第3発光素子
15:配線基板
15a:実装面
20、20a:光学部材
21:光入射面
22:第1集光部
22a:外面
23:第2集光部
23a:内面
23b:上面
23c:外面
24:第1導光部
24a:内面
24b:上面
24c:外面
25:平板部
25a:上面
26:第2導光部
26a:内面
26b:上面
26c:外面
27:平板部
27a:上面
28a、28b:境界線
29:光出射面
30:拡散板
40:カバー部材
41:鍔部
42:収納部
43:コーン部
50、50a:発光装置
100:天井
C:中心軸
L1、L2、L3、L4:光
θHW1、θHW2、θHW3:半値角
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C