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特許7467853眼科装置、眼科装置の制御方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】眼科装置、眼科装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
A61B3/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019175889
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021049277
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 俊輔
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-528979(JP,A)
【文献】特開昭54-102093(JP,A)
【文献】特開昭51-137413(JP,A)
【文献】国際公開第2015/018514(WO,A1)
【文献】特開昭49-061985(JP,A)
【文献】特開平08-019518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光を照射する光源と、
前記光源から照射された前記紫外光により活性化された部分が可視光を発光し、前記可視光を発光した部分が被検眼の向きを誘導する固視標として機能する光学素子とを備え、
前記光学素子は、前記可視光を発光する可視光発光部分と、前記紫外光の透過を制限する紫外光制限部分とを含む、
眼科装置。
【請求項2】
前記光源から照射される前記紫外光の照射方向を変更する変更部をさらに含む、
請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記光学素子は、前記可視光として蛍光を発光する、
請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記被検眼を誘導する向きとして入力された情報に基づいて、前記光学素子の前記固視標として機能する部分に前記紫外光が照射されるように制御を行う制御部を含む、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記光学素子は、前記被検眼を撮影するための撮影光学系として配置され、かつ、前記被検眼の部位と共役な位置に配置されている、
請求項1から請求項の何れか1項に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記光学素子は、前記部位である網膜又は瞳孔と共役な位置に配置されている、
請求項に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記被検眼を撮影する撮影部をさらに含む、
請求項1から請求項の何れか1項に記載の眼科装置。
【請求項8】
プロセッサによって実行される眼科装置の制御方法であって、
前記プロセッサが、
可視光を発光する可視光発光部分と紫外光の透過を制限する紫外光制限部分とを有する光学素子であり、前記紫外光により活性化された部分が可視光を発光し、前記可視光を発光した部分が被検眼の向きを誘導する固視標として機能する前記光学素子に対して、前記固視標として機能する部分に前記紫外光照射されるように制御を行う
ことを含む眼科装置の制御方法。
【請求項9】
記憶媒体に記憶され、プロセッサに眼科装置の制御を実行させるプログラムであって、
前記プロセッサが、
可視光を発光する可視光発光部分と、紫外光の透過を制限する紫外光制限部分とを有する光学素子であり、前記紫外光により活性化された部分が可視光を発光し、前記可視光を発光した部分が被検眼の向きを誘導する固視標として機能する前記光学素子に対して、前記紫外光を照射する場合に、
前記被検眼を誘導する向きとして入力された情報に基づいて、前記光学素子の前記固視標として機能する部分に前記紫外光が照射されるように制御を行う、
ことを含む処理を実行するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科装置、眼科装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、固視目標として複数の光源を設け、左右眼に応じた固視目標を提示する眼科撮影装置が開示されている。
しかし、固視目標を提示するための光学系が複雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第7347553号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の技術の第1の態様は、
エネルギにより活性化された部分が可視光を発光し、前記可視光を発光した部分が被検眼の向きを誘導する固視標として機能する光学素子と、
前記光学素子の前記固視標として機能する部分が活性化されるようにエネルギを供給するエネルギ源と、
を備えた眼科装置である。
【0005】
本開示の技術の第2の態様は、
プロセッサによって実行される眼科装置の制御方法であって、
前記プロセッサが、エネルギにより活性化された部分が可視光を発光し、前記可視光を発光した部分が前記被検眼の向きを誘導する固視標として機能する光学素子に対して、前記光学素子の前記固視標として機能する部分が活性化されるようにエネルギを供給する
ことを含む眼科装置の制御方法である。
【0006】
本開示の技術の第3の態様は、
記憶媒体に記憶され、プロセッサに眼科装置の制御を実行させるプログラムであって、
前記プロセッサが、
エネルギにより活性化された部分が可視光を発光し、前記可視光を発光した部分が前記被検眼の向きを誘導する固視標として機能する光学素子に対して、前記光学素子の前記固視標として機能する部分が活性化されるようにエネルギを供給する場合に、
前記被検眼を誘導する向きとして入力された情報に基づいて、前記光学素子の前記固視標として機能する部分にエネルギが供給されるように制御を行う
ことを含む処理を実行するプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】眼科システムの一例を示すブロック図である。
図2】眼科装置の全体構成の一例を示す概略構成図である。
図3】サーバの電気系の構成の一例を示すブロック図である。
図4】サーバの機能の一例を示すブロック図である。
図5】広角光学系の概略構成の一例を示す概念図である。
図6】固視部の概略構成の一例を示す概念図である。
図7】被検眼の向きについて主光軸の光路への誘導の一例を示す説明図である。
図8】被検眼の向きについて任意の方向への誘導の一例を示す説明図である。
図9】固視標を提示する固視標の位置変更可能な構成例を示す概念図である。
図10】第1変形例の概念構成図である。
図11】第1変形例における光の透過状態及び光特性を含む概念図である。
図12】第2変形例の概念構成図である。
図13】第3変形例の概念構成図である。
図14】第4変形例の概念構成図である。
図15】第5変形例の概念構成図である。
図16】第6変形例の概念構成図である。
図17】眼科装置の撮影機能の一例を示すブロック図である。
図18】撮影処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図19】ビューワの診断用画面の一例を示すイメージ図である。
図20】眼底画像から生成される合成画像の説明図である。
図21】第7変形例の構成例を示す概念図である。
図22】第1の応用例の構成を示す模式図である。
図23】第2の応用例の構成を示す模式図である。
図24】第2の応用例の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1を参照して、眼科システム100の構成を説明する。図1に示すように、眼科システム100は、眼科装置110と、サーバ装置(以下、「サーバ」という)140と、画像表示装置(以下、「ビューワ」という)150と、を備えている。眼科装置110は、眼底画像を取得する。サーバ140は、眼科装置110によって複数の患者の眼底が撮影されることにより得られた複数の眼底画像を、患者のIDに対応して記憶する。ビューワ150は、サーバ140から取得した眼底画像を表示する。
【0009】
眼科装置は、本開示の技術の「眼科装置」の一例である。
【0010】
眼科装置110、サーバ140、およびビューワ150は、ネットワーク130を介して、相互に接続されている。
【0011】
次に、図2を参照して、眼科装置110の構成を説明する。
説明の便宜上、走査型レーザ検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope)を「SLO」と称する。また、光干渉断層計(Optical Coherence Tomography)を「OCT」と称する。
【0012】
なお、眼科装置110が水平面に設置された場合の水平方向を「X方向」、水平面に対する垂直方向を「Y方向」とし、被検眼12の前眼部の瞳孔の中心と眼球の中心とを結ぶ方向を「Z方向」とする。従って、X方向、Y方向、およびZ方向は互いに垂直である。
【0013】
眼科装置110は、撮影装置14および制御装置16を含む。撮影装置14は、SLOユニット18、OCTユニット20、および撮影光学系19を備えており、被検眼12の眼底の眼底画像を取得する。以下、SLOユニット18により取得された二次元眼底画像をSLO画像と称する。また、OCTユニット20により取得されたOCTデータに基づいて作成された眼底(例えば網膜)の断層画像や正面画像(en-face画像)などをOCT画像と称する。
【0014】
制御装置は、本開示の技術の「制御部」の一例である。
【0015】
制御装置16は、プロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit(中央処理装置))16A、RAM(Random Access Memory)16B、ROM(Read-Only memory)16C、および入出力(I/O)ポート16Dを有するコンピュータを備えている。
【0016】
制御装置16は、I/Oポート16Dを介してCPU16Aに接続された入力/表示装置16Eを備えている。入力/表示装置16Eは、被検眼12の画像を表示したり、ユーザから各種指示を受け付けたりするグラフィックユーザインターフェースを有する。グラフィックユーザインターフェースとしては、タッチパネル・ディスプレイが挙げられる。
【0017】
また、制御装置16は、I/Oポート16Dに接続された画像処理装置17を備えている。画像処理装置17は、撮影装置14によって得られたデータに基づき被検眼12の画像を生成する。なお、制御装置16は、I/Oポート16Dに接続された通信I/F16Fも備えており、通信I/F16Fを介してネットワーク130に接続される。
【0018】
上記のように、図2では、眼科装置110の制御装置16が入力/表示装置16Eを備えているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、眼科装置110の制御装置16は入力/表示装置16Eを備えず、眼科装置110とは物理的に独立した別個の入力/表示装置を備えるようにしてもよい。この場合、当該表示装置は、制御装置16のCPU16Aの制御下で動作する画像処理ユニットを備える。画像処理ユニットが、CPU16Aが出力指示した画像信号に基づいて、SLO画像等を表示するようにしてもよい。
【0019】
撮影装置14は、制御装置16のCPU16Aの制御下で作動する。撮影装置14は、SLOユニット18、撮影光学系19、およびOCTユニット20を含む。撮影光学系19は、第1光学スキャナ22、第2光学スキャナ24、および広角光学系30を含む。
【0020】
第1光学スキャナ22は、SLOユニット18から射出された光をX方向、およびY方向に2次元走査する。第2光学スキャナ24は、OCTユニット20から射出された光をX方向、およびY方向に2次元走査する。第1光学スキャナ22および第2光学スキャナ24は、光束を偏向できる光学素子であればよく、例えば、ポリゴンミラーや、ガルバノミラー等を用いることができる。また、それらの組み合わせであってもよい。
【0021】
広角光学系30は、SLOユニット18からの光とOCTユニット20からの光を合成する合成部26、対物光学系28、及び被検眼12の向き(視線方向)を誘導する固視標として機能する固視部29を含む。固視部29を含む広角光学系30の詳細は後述する。
【0022】
なお、対物光学系28は、楕円鏡などの凹面ミラーを用いた反射光学系や、広角レンズなどを用いた屈折光学系、あるいは、凹面ミラーやレンズを組み合わせた反射屈折光学系でもよい。楕円鏡や広角レンズなどを用いた広角光学系を用いることにより、眼底中心部だけでなく眼底周辺部の網膜を撮影することが可能となる。
【0023】
楕円鏡を含むシステムを用いる場合には、国際公開WO2016/103484あるいは国際公開WO2016/103489に記載された楕円鏡を用いたシステムを用いる構成でもよい。国際公開WO2016/103484の開示および国際公開WO2016/103489の開示の各々は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0024】
広角光学系30によって、眼底において広い視野(FOV:Field of View)12Aでの観察が実現される。FOV12Aは、撮影装置14によって撮影可能な範囲を示している。FOV12Aは、視野角として表現され得る。視野角は、本実施の形態において、内部照射角と外部照射角とで規定され得る。外部照射角とは、眼科装置110から被検眼12へ照射される光束の照射角を、瞳孔27を基準として規定した照射角である。また、内部照射角とは、眼底へ照射される光束の照射角を、眼球中心Oを基準として規定した照射角である。外部照射角と内部照射角とは、対応関係にある。例えば、外部照射角が120度の場合、内部照射角は約160度に相当する。本実施の形態では、内部照射角は200度としている。このような広角光学系30により、眼底の視野角(FOV:Field of View)を超広角な角度とし、眼球中心を起点として内部照射角200度の眼底の範囲を撮影することができる。つまり、被検眼12の眼底の後極部から赤道部を超える領域を撮影することができる。
【0025】
ここで、内部照射角で160度以上の撮影画角で撮影されて得られたSLO眼底画像をUWF-SLO眼底画像と称する。なお、UWFとは、UltraWide Field(超広角)の略称を指す。
【0026】
SLOシステムは、図2に示す制御装置16、SLOユニット18、および撮影光学系19によって実現される。SLOシステムは、広角光学系30を備えるため、広いFOV12Aでの眼底撮影を可能とする。
【0027】
SLOユニット18は、B(青色光)の光源40、G光(緑色光)の光源42、R光(赤色光)の光源44、およびIR光(赤外線(例えば、近赤外光))の光源46と、光源40、42、44、46からの光を、反射または透過して1つの光路に導く光学系48、50、52、54、56とを備えている。光学系48、50、56は、ミラーであり、光学系52、54は、ビームスプリッタ―である。B光は、光学系48で反射し、光学系50を透過し、光学系54で反射し、G光は、光学系50、54で反射し、R光は、光学系52、54を透過し、IR光は、光学系56、52で反射して、それぞれ1つの光路に導かれる。
【0028】
SLOユニット18は、G光、R光、およびB光を発するモードと、赤外線を発するモードなど、波長の異なるレーザ光を発する光源あるいは発光させる光源の組合せを切り替え可能に構成されている。図2に示す例では、B光(青色光)の光源40、G光の光源42、R光の光源44、およびIR光の光源46の4つの光源を備えるが、本開示の技術は、これに限定されない。例えば、SLOユニット18は、さらに、白色光の光源をさらに備え、白色光のみを発するモード等の種々のモードで光を発するようにしてもよい。
【0029】
SLOユニット18から撮影光学系19に入射された光は、第1光学スキャナ22によってX方向およびY方向に走査される。走査光は広角光学系30および瞳孔27を経由して、被検眼12の後眼部に照射される。眼底により反射された反射光は、広角光学系30および第1光学スキャナ22を経由してSLOユニット18へ入射される。
【0030】
SLOユニット18は、被検眼12の後眼部(例えば、眼底)からの光の内、B光を反射し且つB光以外を透過するビームスプリッタ64、ビームスプリッタ64を透過した光の内、G光を反射し且つG光以外を透過するビームスプリッタ58を備えている。SLOユニット18は、ビームスプリッタ58を透過した光の内、R光を反射し且つR光以外を透過するビームスプリッタ60を備えている。SLOユニット18は、ビームスプリッタ60を透過した光の内、IR光を反射するビームスプリッタ62を備えている。SLOユニット18は、ビームスプリッタ64により反射したB光を検出するB光検出素子70、ビームスプリッタ58により反射したG光を検出するG光検出素子72、ビームスプリッタ60により反射したR光を検出するR光検出素子74、およびビームスプリッタ62により反射したIR光を検出するIR光検出素子76を備えている。
【0031】
広角光学系30および第1光学スキャナ22を経由してSLOユニット18へ入射された光(眼底により反射された反射光)は、B光の場合、ビームスプリッタ64で反射してB光検出素子70により受光され、G光の場合、ビームスプリッタ64を透過し、ビームスプリッタ58で反射してG光検出素子72により受光される。上記入射された光は、R光の場合、ビームスプリッタ64、58を透過し、ビームスプリッタ60で反射してR光検出素子74により受光される。上記入射された光は、IR光の場合、ビームスプリッタ64、58、60を透過し、ビームスプリッタ62で反射してIR光検出素子76により受光される。CPU16Aの制御下で動作する画像処理装置17は、B光検出素子70、G光検出素子72、R光検出素子74、およびIR光検出素子76で検出された信号を用いてUWF-SLO画像を生成する。
【0032】
UWF-SLO画像には、眼底がG色で撮影されて得られたUWF-SLO画像(G色眼底画像)と、眼底がR色で撮影されて得られたUWF-SLO画像(R色眼底画像)とがある。UWF-SLO画像には、眼底がB色で撮影されて得られたUWF-SLO画像(B色眼底画像)と、眼底がIRで撮影されて得られたUWF-SLO画像(IR眼底画像)とがある。
【0033】
また、制御装置16が、同時に発光するように光源40、42、44を制御する。B光、G光およびR光で同時に被検眼12の眼底が撮影されることにより、各位置が互いに対応するG色眼底画像、R色眼底画像、およびB色眼底画像が得られる。G色眼底画像、R色眼底画像、およびB色眼底画像からRGBカラー眼底画像が得られる。制御装置16が、同時に発光するように光源42、44を制御し、G光およびR光で同時に被検眼12の眼底が撮影されることにより、各位置が互いに対応するG色眼底画像およびR色眼底画像が得られる。G色眼底画像およびR色眼底画像からRGカラー眼底画像が得られる。
【0034】
このようにUWF-SLO画像として、具体的には、B色眼底画像、G色眼底画像、R色眼底画像、IR眼底画像、RGBカラー眼底画像、RGカラー眼底画像がある。UWF-SLO画像の各画像データは、入力/表示装置16Eを介して入力された患者の情報と共に、図示しない通信IFを介して眼科装置110からサーバ140へ送信される。UWF-SLO画像の各画像データと患者の情報とは、記憶装置254に、対応して記憶される。なお、患者の情報には、例えば、患者のID、氏名、年齢、視力、右眼/左眼の区別、眼軸長等がある。
【0035】
OCTシステムは、図2に示す制御装置16、OCTユニット20、および撮影光学系19によって実現される。OCTシステムは、広角光学系30を備えるため、上述したSLO眼底画像の撮影と同様に、広いFOV12Aでの眼底撮影を可能とする。OCTユニット20は、光源20A、センサ(検出素子)20B、第1の光カプラ20C、参照光学系20D、コリメートレンズ20E、および第2の光カプラ20Fを含む。
【0036】
光源20Aから射出された光は、第1の光カプラ20Cで分岐される。分岐された一方の光は、測定光として、コリメートレンズ20Eで平行光にされた後、撮影光学系19に入射される。測定光は、第2光学スキャナ24によってX方向およびY方向に走査される。走査光は広角光学系30および瞳孔27を経由して、眼底に照射される。眼底により反射された測定光は、広角光学系30および第2光学スキャナ24を経由してOCTユニット20へ入射され、コリメートレンズ20Eおよび第1の光カプラ20Cを介して、第2の光カプラ20Fに入射する。
【0037】
光源20Aから射出され、第1の光カプラ20Cで分岐された他方の光は、参照光として、参照光学系20Dへ入射され、参照光学系20Dを経由して、第2の光カプラ20Fに入射する。
【0038】
第2の光カプラ20Fに入射されたこれらの光、即ち、眼底で反射された測定光と、参照光とは、第2の光カプラ20Fで干渉されて干渉光を生成する。干渉光はセンサ20Bで受光される。CPU16Aの制御下で動作する画像処理装置17は、センサ20Bで検出されたOCTデータに基づいて断層画像やen-face画像などのOCT画像を生成する。
【0039】
ここで、内部照射角で160度以上の撮影画角で撮影されて得られたOCT眼底画像をUWF-OCT画像と称する。
【0040】
UWF-OCT画像の画像データは、患者の情報と共に、図示しない通信IFを介して眼科装置110からサーバ140へ送信される。UWF-OCT画像の画像データと患者の情報とは、記憶装置254に、対応して記憶される。
【0041】
なお、本実施の形態では、光源20Aが波長掃引タイプのSS-OCT(Swept-Source OCT)を例示するが、SD-OCT(Spectral-Domain OCT)、TD-OCT(Time-Domain OCT)など、様々な方式のOCTシステムであってもよい。
【0042】
次に、図3を参照して、サーバ140の電気系の構成を説明する。図3に示すように、サーバ140は、コンピュータ本体252を備えている。コンピュータ本体252は、バス270により相互に接続されたCPU262、RAM266、ROM264、及び入出力(I/O)ポート268を有する。入出力(I/O)ポート268には、記憶装置254、ディスプレイ256、マウス255M、キーボード255K、および通信インターフェース(I/F)258が接続されている。記憶装置254は、例えば、不揮発メモリで構成される。入出力(I/O)ポート268は、通信インターフェース(I/F)258を介して、ネットワーク130に接続されている。従って、サーバ140は、眼科装置110、およびビューワ150と通信することができる。記憶装置254には、後述する撮影処理プログラムが記憶されている。なお、撮影処理プログラムを、ROM264に記憶してもよい。
【0043】
サーバ140の後述する処理部208は、眼科装置110から受信した各データを、記憶装置254に記憶する。
【0044】
ビューワ150の電気系の構成は、サーバ140の電気系の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0045】
次に、図4を参照して、サーバ140のCPU262が画像処理プログラムを実行することで実現される機能について説明する。画像処理プログラムは、ビューワ150での表示画面を生成するための、所定の表示制御機能、所定の画像処理機能、及び所定の処理機能を備えている。CPU262がこの各機能を有する画像処理プログラムを実行することで、CPU262は、図4に示すように、表示制御部204、画像処理部206、及び処理部208として機能する。
【0046】
次に、図5を参照して、固視部29を含む広角光学系30の構成を説明する。なお、以下では、SLOユニット18から射出して撮影光学系19へ入射する光を「SLO光」といい、OCTユニット20から射出して撮影光学系19へ入射する光を「OCT光」という。本実施形態では、撮影光学系19へ入射するSLO光及びOCT光は略平行光となるように構成されている。
【0047】
図5は、撮影光学系19に含まれる広角光学系30の概略構成の一例を示す概念図である。図5に示すように、広角光学系30は、SLO光とOCTユニット光を合成する合成部26、対物光学系28、及び被検眼12の向き(視線方向)を誘導する固視標として機能する固視部29を含む。図5では、対物光学系28は広角レンズなどを用いた屈折光学系で構成された光学系を示している。
【0048】
対物光学系28は、被検眼12側の第1レンズ群G1と、合成部26側の第2レンズ群G2とで構成される。対物光学系28は合成部26を透過する光路を有し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを介して被検眼12へSLO光及びOCT光を射出する。
【0049】
本実施形態では、合成部26として、波長依存性を有するダイクロイックミラーを用いていることができ、合成部26は、被検眼側へ向かうSLO光の光路と被検眼側へ向かうOCTの光路とを合成する機能を有する。また、合成部26は、被検眼12に照射した光が被検眼12で反射される光については、SLO光に基づく反射光の光路と、OCT光に基づく反射光の光路とを分離し、SLO光に基づく反射光をSLOユニット18へ導き、OCT光に基づく反射光をOCTユニット20へ導く機能も有する。
【0050】
また、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを含む対物光学系28は、アフォーカル光学系であり、第1光学スキャナ22の位置(第1光学スキャナ22の走査中心の位置)と被検眼12の瞳孔27の位置(瞳位置Pp)とを共役関係にするように構成されている。なお、本明細書において、「共役関係」とは、完全な共役関係に限定されず、製造上の誤差及び経時変化に伴う誤差等として予め許容された誤差を含む共役関係を意味する。また、本明細書において、「アフォーカル光学系」とは、完全なアフォーカル光学系に限定されず、製造上の誤差及び経時変化に伴う誤差等として予め許容された誤差を含むアフォーカル光学系を意味する。
【0051】
上記構成を有する撮影光学系19の動作概要を説明する。撮影光学系19に入射された平行光のSLO光又はOCT光は、ポリゴンミラーなどの第1光学スキャナ22によって角度走査される。角度走査された平行光のSLO光又はOCT光は、合成部26、第2レンズ群G2及び第1レンズ群G1を順に透過して平行光のまま被検眼12の瞳面上に所定の倍率で投影され、被検眼12の瞳を走査中心として角度走査を行う。この平行光は被検眼12によって集光され、被検眼12の眼底においてはSLO光又はOCT光の集光スポットが、照射光として眼底を走査することになる。この照射光が眼底で反射されて得られた反射光は、被検眼12の瞳を通り、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、及び合成部26を順に透過して、第1光学スキャナ22又は第2光学スキャナ24を経て、SLOユニット18又はOCTユニット20に入射する。各反射光がSLOユニット18又はOCTユニット20に入射した後の動作は、上述した説明の通りである。
【0052】
対物光学系28を構成する第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2との間には、固視部29が配置される。固視部29は、エネルギ源29Bと、固視灯として機能する光学素子29Aとを有し、対物光学系28の主光軸AX上における光学素子29Aの位置(眼底共役位置Fcj)と被検眼12の眼底の位置(眼底位置Fu)とを共役関係にするように構成されている。エネルギ源29Bは、光学素子29Aへエネルギを供給するように構成されている。光学素子29Aは、板状(例えば、平板状)に形成され、かつ当該板状の面が主光軸AXと交差(例えば、直交)するように構成されている。
【0053】
光学素子29Aは、本開示の技術の「光学素子」の一例であり、エネルギ源29Bは、本開示の技術の「エネルギ源」の一例である。
【0054】
本実施形態では、光学素子29Aとして蛍光ガラス290により構成し、エネルギ源29Bは、紫外光(以下、UV光という。)を照射することで、エネルギを蛍光ガラス290に供給する構成とされる。これにより、エネルギ源29Bからのエネルギ(UV光)が蛍光ガラス290(光学素子29A)へ照射され、蛍光ガラス290ではUV光の照射部位がUV光と異なる波長の蛍光に発光する。つまり、エネルギー源29Bから照射されたエネルギが蛍光ガラス290で蛍光に変換される。
【0055】
エネルギ源29Bは、対物光学系28における光路を妨げないように、主光軸AXの外部から、すなわち、主光軸AXに対して斜め方向から、蛍光ガラス290へ向けてUV光を照射するように構成される。エネルギ源29Bは、所定幅のUV光の光束を蛍光ガラス290へ向けて照射するようになっている。また、エネルギ源29Bは、蛍光ガラス290上におけるUV光の被照射位置を変更可能に、蛍光ガラス290に照射するUV光の照射方向を変更可能になっている。蛍光ガラス290に照射するUV光の照射方向を変更する制御は、制御装置16によって行われる(詳細は後述)。
【0056】
図6は、UV光の照射方向を変更可能に構成された固視部29の概略構成の一例を示す概念図である。図6に示すように、固視部29は、エネルギ源29Bとして、UV光を照射するUVランブ291と、UVランブ291から射出されたUV光を、反射により偏向する反射面292Mを有するミラー等の偏向素子292を含む。偏向素子292は、主光軸AXと交差する軸AXaを中心に反射面292Mを回転方向Rmに回転可能で、かつ軸AXaに対して反射面292Mを傾斜方向Rnに傾斜可能に構成されている。このように、偏向素子292の反射面292Mを回転したり傾斜させたりすることで、UVランブ291からのUV光が偏向素子292により偏向され、光学素子29A(蛍光ガラス)の面上において2次元に位置変更可能である。
【0057】
偏向素子292は、本開示の技術の「変更部」の一例であり、UVランプは、本開示の技術の「光源」の一例である。
【0058】
具体的には、図7に示すように、エネルギ源29B(UVランブ291と偏向素子292)により、蛍光ガラス290と主光軸AXとの交点位置にUV光を照射すると、主光軸AXの光路上で蛍光に発光する。この蛍光に発光された部位Arcは固視標となり、被検眼12の向き(視線方向)を主光軸AXの光路へ誘導することが可能になる。なお、蛍光ガラス290の被検眼側の面と被検眼12の網膜は共役の関係にある。
一方、図8に示すように、エネルギ源29B(UVランブ291と偏向素子292)により、蛍光ガラス290と主光軸AXとの交点位置以外の任意の位置にUV光を照射すると、蛍光ガラス290上の任意の位置で蛍光を発光する。この蛍光が発光された部位Areは固視標となる。蛍光の発光位置(つまり、UV光が照射される光学素子29Aの位置)を変化させることにより、被検眼12の向き(視線方向)を任意の方向へ誘導することが可能になる。
【0059】
エネルギ源29Bは、固視標として機能させる蛍光ガラス290上における大きさに対応する予め定めた大きさ(光束断面の大きさ)のビームによるUV光を照射する構成にすればよい。また、本開示の技術は、ビームによるUV光を照射する構成に限定するものではなく、UVランブ291を点光源として結像光学系を用いて蛍光ガラス290に固視標として機能させる大きさに結像させる構成としてもよい。すなわち、エネルギ源29Bから蛍光ガラス290へ照射するUV光は、蛍光ガラス290上において固視標として機能する予め定めた大きさになるように形成すればよい。
【0060】
また、上述のように、主光軸AXに対して斜め方向から蛍光ガラス290へ向けてUV光を照射する場合、蛍光ガラス290における被照射位置による発光領域(光スポット)の大きさ及び形状を考慮することが可能である。例えば、蛍光ガラス290上の位置に拘らず固視標として機能する発光領域(光スポット)の大きさ及び形状を共通にすることで、被検眼12では共通の固視標が移動したかのように認知することが可能である。この場合、蛍光ガラス290上の照射位置に応じて変動する発光領域(光スポット)の大きさ及び形状の変動用を予め求めておき、予め求めた変動量を照射位置に応じてUV光の形状を調整すればよい。また、蛍光ガラス290上の照射位置に応じて、発光領域(光スポット)の大きさ及び形状を積極的に変化させてもよい。
【0061】
このように、蛍光ガラス290に外部からのUV光によって励起された蛍光によって固視標を形成することで、固視目標として複数の光源を設けて固視標を提示する場合と比べて、固視標を提示するための光学系を単純な構成で形成することが可能になる。
【0062】
また、対物光学系28の光路上に蛍光ガラス290を挿入しても、蛍光ガラス290は可視光及び赤外波長の光を透過するので、SLO光を用いた処理、及びOCT光を用いた処理に、影響を及ぼすことはない。
【0063】
上述の固視部29では、UVランブ291及び偏向素子292によりエネルギ源29Bを構成し、蛍光ガラス290に向うUV光の伝搬方向を偏向することで蛍光ガラス290上の被照射位置を変更して固視標の位置を変更した(図7)。しかし、本開示の技術は、偏向素子292によるUV光の偏向で被照射位置を変更することに限定するものではない。ここで、図9を参照して、偏向素子292を用いることなく固視標を提示する固視標の位置変更可能な構成例を説明する。
【0064】
図9は、蛍光ガラス290上の異なる位置に固視標を提示する固視標の位置変更可能な構成例を示す概念図である。図9に示すように、固視部29Xは、エネルギ源29Bとして、UVランブ291と、偏向素子292に代えて、UV光を反射する反射部材292Aを含む。UVランブ291には、UV光の照射後軸と交差する面において直交する各方向にUVランブ291を移動する移動部299が連結される。このように、UVランブ291を移動することで、UVランブ291からのUV光が光学素子29Aへ向かう方向を変更可能であり、光学素子29Aに照射されるUV光の位置を変更可能である。
【0065】
なお、上述のUV光の偏向を行う構成と、UVランブ291の移動を行う構成とを組合せた構成としてもよい。
【0066】
ところで、蛍光を励起させるためのUV光は、被検眼12へ照射されることは好ましくない。本実施形態では、主光軸AXに対して斜め方向から蛍光ガラス290へ向けてUV光を照射するので、UV光は、主光軸AXに沿う方向に案内されず、主光軸AX外へ射出される。このため、UV光の被検眼12への照射を抑制することが可能になる。また、被検眼12へ照射される光では、光学系の構成上に起因する迷光を含めて積極的にUV光を除去又は抑制することが好ましい。
【0067】
次に、被検眼12へ向かうUV光を抑制する変形例を説明する。
まず、図10及び図11を参照して、被検眼12へ照射される光からUV光を抑制する第1変形例を説明する。
【0068】
図10は、第1変形例の概念構成図であり、図11は、第1変形例における蛍光ガラスのUV光の透過状態及び光特性を含む概念図である。図10に示すように、第1変形例は、蛍光ガラス290として、UV光を透過しない材質を含む蛍光ガラス(UV非透過蛍光ガラス)293を用いる。図11に示すように、UV非透過蛍光ガラス293ではUV光の照射により部位Arで蛍光を発光し、UV非透過蛍光ガラス293に入射されたUV光が減衰され、UV非透過蛍光ガラス293からのUV光の射出が抑制される。このように、UV非透過蛍光ガラス293でUV光の射出が抑制されるので、UV非透過蛍光ガラス293に照射されたUV光の被検眼12への到達が阻止、少なくとも抑制される。
【0069】
蛍光ガラス290は、本開示の技術の「可視光発光部分」を含む材料の一例であり、UV非透過蛍光ガラス263は、本開示の技術の「紫外光制限部分」を含む材料の一例である。
【0070】
次に、図12を参照して、第2変形例を説明する。上述した例では、光学素子29Aとして蛍光ガラス290またはUV非透過蛍光ガラス293を用いた場合を説明したが、本開示の技術は、蛍光ガラスを用いることに限定されない。
【0071】
図12は、第2変形例における蛍光ガラスを用いずに光学素子29Aを構成した場合のUV光の透過状態及び光特性を含む概念図である。図12に示すように、第2変形例は、基材としてUV光を透過しない材質を含むガラス(UVカットガラス)294Gの一方の面にUV光の照射により蛍光を発光する蛍光膜294Mが形成された蛍光膜UVカットガラス294により光学素子29Aを構成する。図12に示すように、蛍光膜UVカットガラス294ではUV光の照射により蛍光膜294Mにおける部位Arで蛍光を発光し、蛍光膜UVカットガラス294に入射されたUV光がUVカットガラス294Gで減衰され、UV光の射出が抑制される。このように、蛍光ガラスを用いることなく、蛍光膜294Mで蛍光を発光し、UVカットガラス294でUV光の射出が抑制される。
【0072】
蛍光膜294Mは、本開示の技術の「可視光発光部分」の一例であり、UVカットガラス294は、本開示の技術の「紫外光制限部分」を含む材料の一例である。
【0073】
次に、図13を参照して、第3変形例を説明する。第2変形例では、UVカットガラス294Gを用いた場合を説明したが、本開示の技術は、UVカットガラスを用いることに限定されない。
【0074】
図13は、第3変形例におけるUVカットガラスを用いずに光学素子29Aを構成した場合のUV光の透過状態及び光特性を含む概念図である。図13に示すように、第3変形例は、基材として一般的なガラス295Gの一方の面に蛍光膜295Mが形成され、かつ他方の面にUV光をカット(少なくとも抑制)するUVカット膜295Uが形成された蛍光UVカット膜ガラス295により光学素子29Aを構成する。図13に示すように、蛍光UVカット膜ガラス295ではUV光の照射により蛍光膜295Mにおける部位Arで蛍光を発光し、蛍光膜UVカットガラス294に入射されたUV光がUVカット膜295Uで減衰され、UV光の射出が抑制される。このように、UVカットガラスを用いることなく、蛍光膜295Mで蛍光を発光し、UVカット膜295UでUV光の射出が抑制される。
【0075】
蛍光膜295Mは、本開示の技術の「可視光発光部分」の一例であり、UVカット膜295Uは、本開示の技術の「紫外光制限部分」の一例である。
【0076】
次に、図14を参照して、第4変形例を説明する。第3変形例では、UVカット膜を形成した光学素子29Aを用いた場合を説明したが、本開示の技術は、UV光を抑制する部位を光学素子29Aに限定するものではない。
【0077】
図14は、第4変形例における光学素子29Aの周辺構成によるUV光の透過状態及び光特性を含む概念図である。図14に示すように、第4変形例は、基材として一般的なガラス296Gの一方の面に蛍光膜296Mが形成された蛍光膜ガラス296により光学素子29Aを構成する。図14に示すように、蛍光膜ガラス296ではUV光の照射により蛍光膜296Mにおける部位Arで蛍光が発光され、蛍光膜ガラス296から射出される。また、第4変形例では、被検眼12側の第1レンズ群G1のUV光の入射側の面に、UV光をカット(少なくとも抑制)するUVカット膜296Uが形成される。これにより、被検眼12側に向うUV光がUVカット膜296Uで減衰され、第1レンズ群G1からUV光の射出が抑制される。
【0078】
次に、図15を参照して、第5変形例を説明する。被検眼12側に向うUV光は、被検眼12に到達する以前にカット又は少なくとも抑制されればよい。従って、本開示の技術は、UV光を抑制する部位を光学素子29A又は第1レンズ群G1のUV光の入射側の面に限定するものではない。
【0079】
図15は、第5変形例におけるUV光をカット又は少なくとも抑制するための構成の概念図である。図15に示すように、第5変形例は、対物光学系28の光路上に設けられたUV光が照射される光学素子29Aと被検眼12との間の部材のうち少なくとも一つの部材をUV光を透過しない材質を含むように形成するか、当該部材のうち少なくとも一つの部材の表面に、UV光をカット(少なくとも抑制)するUVカット膜を形成する。または、UV光を透過しない材質を含むように形成すること、及びUVカット膜を形成することを組み合わせる。これにより、UV光は被検眼12側に向う途中で抑制される。
【0080】
次に、図16を参照して、第6変形例を説明する。上述のように被検眼12側に向うUV光は、被検眼12に到達する以前にカット又は少なくとも抑制されればよい。従って、本開示の技術は、対物光学系28に含まれる光学部材によりUV光を抑制することに限定するものではない。
【0081】
図16は、第6変形例におけるUV光をカット又は少なくとも抑制するための構成の概念図である。図16に示すように、第6変形例は、対物光学系28においてUV光が照射される光学素子29Aと被検眼12との間の光路上に、UV光を透過しない部材、例えばUVカットフィルタを設けた一例である。図16に示す例では、光学素子29Aと第1レンズ群G1との間の光路上に、UVカットフィルタ298を設ける。これにより、UV光は被検眼12側に向う途中で抑制される。
【0082】
UVカットフィルタ298は、本開示の技術の「紫外光制限部分」を含む材料の一例である。
図11から図16の変形例により、UV光源からのUV光が被検眼12に照射されることを防止できる構成とすることができ、眼科装置の安全性が高まるという効果を奏することができる。
【0083】
次に、図17を参照して、眼科装置110の制御装置16におけるCPU16Aが撮影処理プログラムを実行することで実現される撮影機能について説明する。撮影処理プログラムは、撮影モード設定処理機能、撮影処理機能(固視標処理機能、実処理機能)、および画像処理制御機能を備えている。CPU16Aがこの各機能を有する撮影処理プログラムを実行することで、CPU16Aは、図17に示すように、撮影モード設定処理部162、撮影処理部164(固視標処理部164A、実処理部164B)、および画像処理制御部166として機能する。
撮影処理プログラムは、本開示の技術の「プログラム」の一例である。
【0084】
次に、図18を参照して、眼科装置110による撮影処理(眼科装置110における固視制御方法)を詳細に説明する。眼科装置110における制御装置16のCPU16Aが撮影処理プログラムを実行することで、図18のフローチャートに示された撮影処理が実現される。撮影処理プログラムは、オペレータによる眼科装置110の入力/表示装置16Eの操作で被検眼12の撮影処理の開始が指示された時にスタートする。
図18のフローチャートに示された撮影処理は、本開示の技術の「眼科装置の制御方法」を実現する処理の一例である。
【0085】
撮影処理プログラムがスタートすると、ステップS102で、撮影モード設定処理部162は、入力/表示装置16Eの操作を検出して得られた撮影モードを設定する。撮影モードは、被検眼12の撮影部位及び撮影方法を示す。例えば、SLOユニット18により被検眼12の後眼部(例えば眼底)を撮影するSLO撮影モード、及びOCTユニット20により被検眼12の後眼部を撮影するOCT撮影モードが挙げられる。なお、撮影モードは、被検眼12の後眼部を撮影する撮影モードに限定されるものではなく、前眼部を撮影する撮影モード、及び被検眼12に関する撮影を行う撮影モードを含む。ステップS102の処理により、撮影モードが設定される。
【0086】
ステップS104で、撮影処理部164の固視標処理部164Aは、設定済の撮影モードに対して予め定められた固視標の位置を、テーブルから取得することにより、固視標の位置取得処理を実行する。テーブルは、撮影モードと固視標の位置とを対応付けた情報であり、ROM16Cに予め記憶されている。なお、テーブルは、外部装置から取得するようにしてもよい。
【0087】
ステップS106では、固視標処理部164Aは、固視標を、ステップS104で取得した所定位置に提示するべく偏向素子292の向きを調整する制御を行い、ステップS108で、UVランプ291を点灯する。これにより、撮影モードに対応する予め定めた位置に固視標が提示され、被検眼12の向き(視線方向)が誘導される。
【0088】
ステップS110では、実処理部164Bは、ステップS102で設定された撮影モードによる撮影処理を実行する。
【0089】
ステップS112では、ステップS104で取得された全ての位置各々に対して固視標提示して撮影する処理が完了したか否かを判断する。
【0090】
ステップS114では、固視標処理部164Aは、UVランプを消灯する。なお、図18に示す処理ルーチンでは、撮影前にUVランプ291を点灯し、撮影が終了すると撮影前にUVランプ291を消灯する。本開示の技術は、撮影中にUVランプ291が点灯することに限定されない。例えば、UVランプ291からのUV光が、撮影に影響する場合は、撮影直前にUVランプ291を消灯するようにしてもよい。また、UVランプ291の点灯は、常時点灯に限定されるものではなく、予め定めた時間点灯する状態、及び予め定めた時間点灯する状態を繰り返す点滅状態を含む。
【0091】
ステップS116では、画像処理制御部166は、画像データを出力する。具体的には、眼科装置110により被検眼12の眼底が撮影されて得られた眼底画像(例えば、UWF-SLO画像)の画像データが、眼科装置110からサーバ140に送信される。すなわち、画像処理制御部166は、画像処理装置17を制御して、撮影により得られた画像からノイズ除去処理等を行ってUWF-SLO画像やUWF-OCT画像に画像処理した後に、サーバ140に送信される。
【0092】
一方、サーバ140では、眼科装置110により被検眼12の眼底が撮影された眼底画像(例えば、UWF-SLO画像)の画像データを、眼科装置110から受信した時に、CPU262が画像処理プログラムを実行することで、画像処理が実行される。
【0093】
具体的には、サーバ140は、画像処理制御部206で、画像データから眼底画像を取得し、取得した眼底画像を用いて所定の画像処理が行われ、画像処理が行われた処理後画像を生成する。所定の画像処理の一例には、異なる位置に提示された固視標において撮影された複数のUWF-SLO画像を合成した合成画像(図19図20参照)を生成する画像処理が挙げられる。
【0094】
例えば、眼底画像IG1、IG2、IG3の少なくとも何れか2つを用いて合成した合成画像が生成される。眼底画像IG1は、主光軸AX上で眼底共役位置Fcjに固視標を提示(図7参照)して撮影されたUWF-SLO画像である。眼底画像IG2、IG3は、眼底共役位置Fcjで、かつ主光軸AXから離間した位置に固視標を提示(図8参照)して撮影されたUWF-SLO画像である。具体的には主光軸AXより上方の眼底共役位置Fcjに固視標を提示して撮影されたUWF-SLO画像を眼底画像IG2とし、下方に固視標を提示して撮影されたUWF-SLO画像を眼底画像IG3とする。
【0095】
サーバ140は、眼底画像IG1を基準として、眼底画像IG2、IG3に対して、例えば血管部分を一致させるパターンマッチング等の画像処理を行って眼底画像IG2、IG3を合成する画像処理を行い、処理後画像を生成する。
【0096】
処理部208は、眼底画像の各々と共に、処理後画像(合成画像)を、当該患者の情報(患者のID、氏名、年齢、視力、右眼/左眼の区別、眼軸長等)と共に、記憶装置254(図3参照)に記憶する。
【0097】
表示制御部204は、処理後画像を、ディスプレイ256に表示してもよい。
【0098】
眼科医が患者の被検眼12を診断する際、ビューワ150に、患者IDを入力する。患者IDが入力されたビューワ150は、サーバ140に、患者IDに対応する患者の情報と共に、各画像(IG1、IG4等)の画像データを送信するように指示する。患者の情報と共に、各画像(IG1、IG4)の画像データを受信したビューワ150は、図19に示す、患者の被検眼12の診断用画面400を生成し、ビューワ150のディスプレイに表示する。
【0099】
図19には、ビューワ150の診断用画面400が示されている。図19に示すように診断用画面400は、情報表示領域402と、画像表示領域404とを有する。
【0100】
情報表示領域402には、患者ID、患者名、及び患者性別等の患者に関する情報が表示される。なお、図示は省略したが、情報表示領域402には、患者の年齢、視力、表示される画像が右眼か左眼かを示す情報、及び眼軸長等の各種情報も表示可能である。ビューワ150は、受信した患者の情報に基づいて、情報表示領域402に、対応する患者に関する情報を表示する。
【0101】
画像表示領域404は、主画像表示領域404A、及び合成画像表示領域404Bを有する。ビューワ150は、受信した画像データに基づいて、各表示領域(404A、404B)に対応する画像(主画像として眼底画像IG1、合成画像として眼底画像IG4)を表示する。図示は省略したが、画像表示領域404A、404Bには、表示される画像が取得された撮影日の年月日の表示が可能である。
【0102】
合成画像である眼底画像IG4は、図20に示すように、上方を固視した場合の眼底画像IG2と、下方を固視した場合の眼底画像IG3とを、眼底画像IG1を基準として、血管部分を一致させるパターンマッチング等によって合成した画像である。
【0103】
なお、画像表示領域404には、画像に関するテキスト情報を表示するテキスト表示領域を含ませることが可能である。テキスト情報の一例には、例えば、「左側の領域には、主光軸AX上に固視標を提示した場合の眼底画像が表示されています。右側の領域には、上下に固視標を提示した場合のそれぞれの眼底画像を合成した画像が表示されています。」等のテキスト情報が挙げられる。
【0104】
また、診断用画面400には、診断に役立つ各種情報が表示可能であるが、図19に示す例では省略している。
【0105】
上述した固視部29は、UV光によるエネルギにより励起されて蛍光を発光する光学素子29Aを用いているが、本開示の技術は、これに限定されない。例えば、蛍光ガラスに代えて電気エネルギの供給により発光する発光板を用いることが可能である。電気エネルギの供給により発光する発光板を用いた固視部を第7変形例として説明する。
【0106】
図21は、第7変形例の構成例を示す概念図である。
図21に示すように、第7変形例は、固視部29として、蛍光ガラス290等の蛍光光学素子に代えてマイクロLED板500と、UV光を射出するエネルギ源29Bに代えて電力供給部510とを含んで構成される。固視灯として機能するマイクロLED板500は、板状(例えば、平板状)に形成された透明材料502内に縦横複数の透明LED506を格子状に内蔵して構成される。図21に示す例では、縦6、横6の合計36個の透明LED506を内蔵したマイクロLED板500が示されている。
【0107】
マイクロLED板500は、側縁部に電極504X,504Yを備えている。電極504X,504Yの各々は、透明材料502に内蔵された複数の透明LED506の各々に接続され、かつ電力供給部510に接続される。電力供給部510は、電極504X,504Yを介して、何れか1つの透明LED506に電力が供給されるように、マイクロLED板500へエネルギとして電力を供給する。図21に示す例では、矢印Y方向の最上部から3番目でかつ、矢印X方向と逆方向の最左部から2番目の透明LED506に電力が供給された透明LED506の発光状態を黒丸図形で示している。このように、電力供給部510が指定された透明LED506へ電極504X,504Yを介して電力を供給することで、指定された透明LED506が発光され、マイクロLED板500の面上で発光される位置を2次元に位置変更可能である。
【0108】
従って、第7変形例のマイクロLED板500は、本開示の技術の「光学素子」の一例として機能し、電力供給部510は、本開示の技術の「エネルギ源」の一例として機能する。
【0109】
なお、本開示の技術は、エネルギとして電力が供給される発光板として複数の透明LEDを内蔵するマイクロLED板に限定されない。例えば、発光面の一部を指定し、指定された一部を面発光させることが可能な面発光素子を用いることが可能である。
【0110】
第7変形例では、次の開示の技術が提案される。
眼を撮影する撮影光学系の前記眼の予め定めた部位と共役な位置に配置され、電力により活性化された部分が可視光を発光し、前記可視光を発光した部分が前記眼の向きを誘導する固視標として機能する光学素子と、
前記光学素子の前記固視標として機能する部分が活性化されるように電力を供給する電力供給部と、
を備えた眼科装置。
【0111】
次に、本開示の技術の応用例を例示する。応用例は、エネルギの供給により発光する光学素子を眼科装置の照明に用いるものである。なお、以下の応用例は上記実施形態と同様の構成のため、同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0112】
一般的に、被検眼を照明する場合、主光軸AXの光路上に照明光を案内する複雑な光学系を必要とする。一方、上述したように、蛍光ガラス290(光学素子29A)は、励起光(UV光)により蛍光を発光し、また、板状の単純な構造に形成することが可能である。例えば、板状に形成された蛍光ガラス290を主光軸AXの光路上に設け、UVランプ291により蛍光ガラス290に外部から励起光を照射する簡単な構成で、照明部として機能させることが可能である。すなわち、蛍光ガラス290と、UVランプ291とにより、蛍光ガラス290で発光した蛍光を照明光として被検眼12を照明する照明部として機能させることが可能である。
【0113】
具体的には、眼底共役位置Fcj(網膜共役位置)に蛍光ガラス290を配置することで、眼底の任意のエリアを照らす照明として機能させることが可能になる。また、被検眼12の瞳共役位置Pcj(瞳孔共役位置)に蛍光ガラス290を配置することで、被検眼12を照明する照明光の形状を任意に変更可能な(例えば、リング、三日月形、上下、左右、・・・)照明として機能させることが可能になる。
【0114】
第1の応用例は、板状に形成された蛍光ガラス290を、眼底共役位置Fcj(網膜共役位置)に配置した場合の応用例である。第1の応用例は、被検眼12の眼底(網膜)への任意の位置を照明する場合に有効に機能する。
【0115】
図22に、第1の応用例の構成を模式的に示す。図22に示すように、照明部600は、被検眼12側の第1レンズ群G1より上流側の眼底共役位置Fcjに配置された蛍光ガラス290と、蛍光ガラス290へUV光を照射するUVランプ291を含む。
【0116】
図22に示すように、眼底共役位置Fcj(網膜共役位置)に蛍光ガラス290を配置した場合、被検眼12を所定の方向(例えば主光軸AX)に向かうようにした状態で、蛍光ガラス290における蛍光を発光する部位を選択的に変更することで、被検眼12の眼底(網膜)に対して特定の領域のみを選択的に照明することが可能になる。例えば、UVランブ291から射出されたUV光の光路を(例えば偏向素子292で)偏向することで、UVランブ291からのUV光を、蛍光ガラス290の面上において選択的に、すなわち2次元に位置変更可能である。この場合、例えば、固視部を別途設け、被検眼12を所定の方向(例えば主光軸AX)に向かうようにしてもよい。
【0117】
図22に示す例では、UVランブ291により、蛍光ガラス290と主光軸AXとの交点位置にUV光を照射すると、主光軸AXの光路上で蛍光に発光する。この蛍光に発光された部位Lcは、主光軸AX上に設けられた照明用の点光源となり、被検眼12の眼底と、主光軸AXとの交点部分Lcmを照明することが可能になる。一方、蛍光ガラス290と主光軸AXとの交点位置以外の任意の位置にUV光を照射すると、蛍光ガラス290上の任意の位置で蛍光に発光する。この蛍光に発光された部位Lsは、主光軸AX外に設けられた照明用の点光源となり、被検眼12の眼底と、主光軸AXとの交点部分以外の部分Lsmを照明することが可能になる。
【0118】
第1の応用例では、次の開示の技術が提案される。
眼を撮影する撮影光学系における前記眼の眼底と共役な位置に配置され、かつ供給されたエネルギにより活性化された部分が発光する光学素子と、
前記眼の向きが所定方向に向かうようにされた状態で、設定された前記眼底の部位に対応する部分が活性化されるようにエネルギを供給するエネルギ源と、
を備えた眼科用照明装置。
【0119】
第2の応用例は、板状に形成された蛍光ガラス290を、被検眼12の瞳共役位置Pcj(瞳孔共役位置)に配置した場合の応用例である。第2の応用例は、被検眼12に対して予め定めた形状で照明光を照明する場合に有効に機能する。
【0120】
図23に、第2の応用例の構成を模式的に示す。図23に示すように、照明部610は、対物光学系28(第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2)より上流側の眼底共役位置Fcjに配置された蛍光ガラス290と、蛍光ガラス290へUV光を照射するUVランプ291を含む。
【0121】
図23に示すように、瞳共役位置Pcj(瞳孔共役位置)に蛍光ガラス290を配置した場合、被検眼12を所定の方向(例えば主光軸AX)に向かうようにした状態で、被検眼12の瞳(瞳孔27)に特定形状の照明光を照明することが可能となる。すなわち、蛍光ガラス290上における発光形状に対応する照明光の形状で、被検眼12の瞳を通過させることが可能となる。この被検眼12の瞳を通過された照明光により眼底(網膜)の所定領域に照明することが可能になる。例えば、UVランブ291から射出されたUV光が蛍光ガラス290上で所定形状になるように(例えば偏向素子292で)偏向することで、被検眼12の瞳に照明するUV光の形状を変更可能である。
【0122】
図23に示す例では、UVランブ291により、主光軸AXを中心とする円環形状のUV光を照射して蛍光に発光された円環部位Luは、リング照明として機能する照明用の円環光源となり、円環光源による蛍光が被検眼12の瞳(瞳孔27)に照明される。被検眼12の瞳(瞳孔27)では、蛍光が通過する部位Lpcで円環光源となり、被検眼12の眼底の部位Luwfを照明することが可能になる。すなわち、対物光学系28による、例えば内部照射角で160度以上のUWF(超広角)の眼底領域を照明することが可能になる。この円環部位Luの大きさ(例えば直径)を変更することで、被検眼12の眼底の部位Luwfの大きさを調整することが可能である。
【0123】
第2の応用例では、次の開示の技術が提案される。
眼を撮影する撮影光学系における前記眼の瞳と共役な位置に配置され、かつ供給されたエネルギにより活性化された部分が発光する光学素子と、
前記眼の向きが所定方向に向かうようにされた状態で、前記光学素子において予め設定された形状の部分が活性化されるようにエネルギを供給するエネルギ源と、
を備えた眼科用照明装置。
【0124】
第3の応用例は、板状に形成された蛍光ガラス290を、瞳共役位置Pcj(瞳孔共役位置)及び眼底共役位置Fcj(網膜共役位置)の各々に配置した場合の応用例である。第3の応用例は、被検眼12の眼底(網膜)への任意の位置を照明する場合に有効に機能する。
【0125】
図24に、第3の応用例の構成を模式的に示す。図24に示すように、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間の眼底共役位置Fcjに蛍光ガラス290Aが配置され、対物光学系28(第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2)より上流側の眼底共役位置Fcjに蛍光ガラス290Aが配置される。また、蛍光ガラス290A及び蛍光ガラス290Bの各々には、UVランプ291CによってUV光が照射される。蛍光ガラス290Aと、UVランプ291Cとは、上記実施形態と同様の固視部29を構成し、蛍光ガラス290Bと、UVランプ291Cとは、照明部620を構成する。なお、図24では、UVランプ291Cによって、蛍光ガラス290A及び蛍光ガラス290Bの各々に対してUV光を照射する一例を示したが、蛍光ガラス290A及び蛍光ガラス290Bの各々に対してUVランプを独立して設けてもよい。
【0126】
なお、蛍光ガラス290A及び蛍光ガラス290Bは、各々蛍光波長が異なることが好ましい。
【0127】
図24に示すように、瞳共役位置Pcj及び眼底共役位置Fcjの各々に蛍光ガラス290A,290Bを配置し、各々にUV光を照射することで、固視標を提示しつつ被検眼12の眼底(網膜)を照明することが可能になる。
【0128】
図24に示す例では、UVランブ291によるUV光の照射により、蛍光に発光された部位Arcは固視標となり、被検眼12の眼底と、主光軸AXとの交点部分Lfuが照明される。また、UVランブ291によるUV光の照射により、蛍光に発光された部位Luはリング照明として機能する照明用の円環光源となり、UWF(超広角)の眼底領域を照明することが可能になる。
【0129】
第3の応用例では、次の開示の技術が提案される。
眼を撮影する撮影光学系の前記眼の眼底と共役な位置に配置され、かつエネルギにより活性化された部分が可視光を発光し、前記可視光を発光した部分が前記眼の向きを誘導する固視標として機能する第1光学素子と、
前記眼を撮影する撮影光学系における前記眼の瞳と共役な位置に配置され、かつ供給されたエネルギにより活性化された部分が発光する第2光学素子と、
前記第1光学素子の前記固視標として機能する部分が活性化されるようにエネルギを供給し、かつ前記第2光学素子において予め設定された形状の部分が活性化されるようにエネルギを供給するエネルギ源と、
を備えた眼科装置。
【0130】
なお、上記では、眼科装置110は、例えば被検眼12の眼球中心Oを基準位置として内部照射角が200度の領域(被検眼12の眼球の瞳孔を基準とした外部照射角では167度)を撮影する機能を持つが、この画角に限らない。内部照射角が200度以上(外部照射角が167度以上180度以下)であってもよい。
【0131】
また、内部照射角が200度未満(外部照射角が167度未満)のスペックであってもよい。例えば、内部照射角が約180度(外部照射角が約140度)、内部照射角が約156度(外部照射角が約120度)、内部照射角が約144度(外部照射角が約110度)などの画角でも良い。数値は一例である。
【0132】
以上説明した各例では、コンピュータを利用したソフトウェアにより処理が実現される場合を例示したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、コンピュータを利用したソフトウェアに代えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアのみによって、各種処理が実行されるようにしてもよい。各種処理のうちの一部の処理がソフトウェアにより実行され、残りの処理がハードウェアによって実行されるようにしてもよい。
【0133】
また、以上説明した各例において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0134】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各例において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0135】
12 被検眼
14 撮影装置
16 制御装置
28 対物光学系
29 固視部
29A 光学素子
29B エネルギ源
30 広角光学系
100 眼科システム
110 眼科装置
130 ネットワーク
140 サーバ
150 ビューワ
290 蛍光ガラス
図1
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