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特許7467950マグネットロール成形用金型及びマグネットロールの製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】マグネットロール成形用金型及びマグネットロールの製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/02 20060101AFI20240409BHJP
   B29C 48/30 20190101ALI20240409BHJP
   H01F 7/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H01F41/02 G
B29C48/30
H01F7/02 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020015960
(22)【出願日】2020-02-03
(65)【公開番号】P2021125494
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(72)【発明者】
【氏名】辻本 秀治
(72)【発明者】
【氏名】白崎 文雄
(72)【発明者】
【氏名】須藤 伸浩
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-184376(JP,A)
【文献】国際公開第2016/121571(WO,A1)
【文献】特開2003-045734(JP,A)
【文献】特開2000-164443(JP,A)
【文献】特開昭60-010279(JP,A)
【文献】特開平11-115002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/02
B29C 48/30
H01F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内に押し出された強磁性粒子及び熱可塑性樹脂からなる混合物をマグネットロールに成形する金型であって、平面視において、長方形の主磁石を一対の台形の側部磁石で挟むように張り合わせて一体形成された、前記金型に接する側に面取り面を有する六角形の配向用磁石が、前記金型の周囲に少なくとも一つ配置され、前記配向用磁石の前記主磁石の磁化方向前記金型に向かう方向に向いており前記一対の側部磁石の磁化方向は前記主磁石の磁化方向に向かい傾斜ていることを特徴とするマグネットロール成形用金型。
【請求項2】
金型内に押し出された強磁性粒子及び熱可塑性樹脂からなる混合物をマグネットロールに成形する金型であって、平面視において、長方形の主磁石を一対の台形の側部磁石で挟むように張り合わせて一体形成された、前記金型に接する側に面取り面を有する六角形の配向用磁石が、前記金型の周囲に少なくとも一つ配置され、前記配向用磁石の前記主磁石の磁化方向前記金型から離れる方向に向いており前記一対の側部磁石の磁化方向は前記主磁石の磁化方向から離れる方向に傾斜ていることを特徴とするマグネットロール成形用金型。
【請求項3】
前記配向用磁石が、前記金型の周囲に少なくとも二つ近接配置され、各配向用磁石において、隣接側の前記面取り面の傾斜角度が隣接しない側の面取り面の傾斜角度より小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のマグネットロール成形用金型。
【請求項4】
強磁性粒子及び熱可塑性樹脂を含む原料混合物が加熱混練された混錬物を筒状の金型に供給する加熱混練部と、供給された混練物を前記金型により成形する押出成形部と、前記金型は長手方向端部に配置された金型内部に磁界を発生させる磁界発生部を含み、前記磁界発生部は複数の配向用磁石を有し、前記配向用磁石のうちの少なくとも一つは、平面視において、長方形の主磁石を一対の台形の側部磁石で挟むように張り合わせて一体形成された、前記金型に接する側に面取り面を有する六角形をなしており、前記主磁石の磁化方向は前記金型に向かう方向に向いており、前記一対の側部磁石の磁化方向は前記主磁石の磁化方向に向かい傾斜していることを特徴とするマグネットロールの製造装置。
【請求項5】
強磁性粒子及び熱可塑性樹脂を含む原料混合物が加熱混練された混錬物を筒状の金型に供給する加熱混練部と、供給された混練物を前記金型により成形する押出成形部と、前記金型は長手方向端部に配置された金型内部に磁界を発生させる磁界発生部を含み、前記磁界発生部は複数の配向用磁石を有し、前記配向用磁石のうちの少なくとも一つは、平面視において、長方形の主磁石を一対の台形の側部磁石で挟むように張り合わせて一体形成された、前記金型に接する側に面取り面を有する六角形をなしており、前記主磁石の磁化方向は前記金型から離れる方向に向いており、前記一対の側部磁石の磁化方向は前記主磁石の磁化方向から離れる方向に傾斜していることを特徴とするマグネットロールの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真や静電記録等に用いる現像ロール用として使用されるマグネットロールの製造に用いられるマグネットロール成形用金型及びマグネットロールの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真や静電記録等において現像ロール用として使用されるマグネットロールは、周方向に複数の磁極及び着磁されていない部分を設けてある。マグネットロールにおける磁極の位置、個数、大きさ及び形状は吸着する現像剤や電子写真機等の仕様によって個別に仕様が決定される。
【0003】
特許文献1には、押出成形によりマグネットロールを成形する製造装置において、筒状の金型に磁粉と樹脂からなる成形用原料を供給する加熱混練部と、供給された混練物を金型により成形する押出成形部と、金型の長手方向端部に配置され金型内部に磁界を発生させる磁石からなる磁界発生部で構成された製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開WO2016/121571号公報
【文献】特許第4746789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の製造装置を用いてマグネットロールを製造する場合、製造されたマグネットロールの発する磁界の強度は、磁界発生部に配置された配向用磁石の磁界強度に左右される。
近年、複写機や電子写真装置の小型軽量化や画質の高精細化に伴い小型でより強い磁界強度を発する現像ロールの要求が高まってきている。
【0006】
特許文献2には、「キャビティの周囲に、永久磁石のみで構成された複数の成型品着磁極を配設してなり、少なくとも一つの成型品着磁極を、層状に、直接的に重ね合わせた複数枚の永久磁石を含んで構成し、少なくとも一対の、重ね合わせた平板状の永久磁石を、同一磁極を対向させて配置するとともに、それぞれの磁化の向きを、隣接境界面に対して、互いに逆向きに傾斜させてなる対向磁石対とし、少なくとも一つの成型品着磁極を、単一の対向磁石対で構成し、単一の該対向磁石対を、磁化の向きがキャビティに向かって収斂する配置姿勢とするとともに、単一の該対向磁石対の、キャビティに臨む面と、前記隣接境界面とは逆側の各側面とがなすそれぞれの角部に、キャビティに臨む面を残して面取りを施し、該角部のそれぞれを平坦面状に形成してなる樹脂磁石成型用金型」が開示されている。しかし特許文献2に記載の磁石を用いても十分なっ磁界強度を得ることができない場合があった。
またマグネットロールの周面に形成される磁極の位置が近い場合に、特許文献2に記載の対向磁石対(本明細書の図2Bの形状)では対向磁石対どうしの間隔を十分に狭めることができないという問題を有していた。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、マグネットロールの磁極の磁界強度を高くすることができる成形用金型及びマグネットロールの製造方法を提供することを目的とする。
また本発明はマグネットロールの周面に形成される磁極の間隔が狭い場合でも、十分な着磁が可能な配向用磁石を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるマグネットロール成形用金型は、金型内に押し出された強磁性粒子及び熱可塑性樹脂からなる混合物をマグネットロールに成形する金型であって、平面視において、長方形の主磁石を一対の台形の側部磁石で挟むように張り合わせて一体形成された、前記金型に接する側に面取り面を有する六角形の配向用磁石が、前記金型の周囲に少なくとも一つ配置され、前記配向用磁石の前記主磁石の磁化方向前記金型に向かう方向に向いており前記一対の側部磁石の磁化方向は前記主磁石の磁化方向に向かい傾斜ていることを特徴とる。
【0009】
本発明によれば、高い磁界強度のハルバッハ構造の配向用磁石を有する金型により、高い配向度のマグネットロールを製造することができる。
【0010】
本発明に係るマグネットロール製造用金型は、金型内に押し出された強磁性粒子及び熱可塑性樹脂からなる混錬物をマグネットロールに成形する金型であって、平面視において、長方形の主磁石を一対の台形の側部磁石で挟むように張り合わせて一体形成された、前記金型に接する側に面取り面を有する六角形の配向用磁石が、前記金型の周囲に少なくとも一つ配置され、前記配向用磁石の前記主磁石の磁化方向前記金型から離れる方向に向いており前記一対の側部磁石の磁化方向は前記主磁石の磁化方向から離れる方向に傾斜ていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、高い磁界強度のハルバッハ構造の配向用磁石を有する金型により、高い配向度のマグネットロールを製造することができる。
【0014】
本発明に係るマグネットロールの成形用金型は、金型内に押し出された強磁性粒子及び熱可塑性と樹脂からなる混合物をマグネットロールに成形する金型であって、前記配向用磁石が、金型の周囲に少なくとも二つ近接配置され、各配向用磁石においては、隣接側の前記面取り面の角度が隣接しない側の面取り面の角度より小さいことを特徴とする。
【0015】
本発明によればマグネットロールの磁極が周方向に近接している場合でも十分な着磁が行える。
【0016】
本発明に係るマグネットロールの製造装置は、強磁性粒子及び熱可塑性樹脂を含む原料混合物が加熱混練された混錬物を筒状の金型に供給する加熱混練部と、供給された混練物を前記金型により成形する押出成形部と、前記金型は長手方向端部に配置された金型内部に磁界を発生させる磁界発生部を含み、前記磁界発生部は複数の配向用磁石を有し、前記配向用磁石のうちの少なくとも一つは、平面視において、長方形の主磁石を一対の台形の側部磁石で挟むように張り合わせて一体形成された、前記金型に接する側に面取り面を有する六角形をなしており、前記主磁石の磁化方向は前記金型に向かう方向に向いており、前記一対の側部磁石の磁化方向は前記主磁石の磁化方向に向かい傾斜していることを特徴とる。
【0017】
本発明によれば、高い磁界強度を有するマグネットロールを製造できる製造装置を供給することができる。
【0018】
本発明に係るマグネットロールの製造装置は、強磁性粒子及び熱可塑性樹脂を含む原料混合物が加熱混練された混錬物を筒状の金型に供給する加熱混練部と、供給された混練物を前記金型により成形する押出成形部と、前記金型は長手方向端部に配置された金型内部に磁界を発生させる磁界発生部を含み、前記磁界発生部は複数の配向用磁石を有し、前記配向用磁石のうちの少なくとも一つは、平面視において、長方形の主磁石を一対の台形の側部磁石で挟むように張り合わせて一体形成された、前記金型に接する側に面取り面を有する六角形をなしており、前記主磁石の磁化方向は前記金型から離れる方向に向いており、前記一対の側部磁石の磁化方向は前記主磁石の磁化方向から離れる方向に傾斜していることを特徴とる。
【0019】
本発明によれば、高い磁界強度を有するマグネットロールを製造できる製造装置を供給することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るマグネットロール成形用金型を用いて成形すれば、マグネットロールに成形時に高い磁界を印加することができ、かつマグネットロールの周方向の磁極位置が近接している場合でも、十分に高い磁界を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】マグネットロールの押出成形機の主要部を示す軸断面図である。
図2】従来の配向用磁石A、Bを示す平面図である。
図3】本発明の配向用磁石A、Bを示す平面図である。
図4】従来の成形用金型を示すV-V断面図である。
図5】従来の成形用金型を示すV-V断面図である。
図6】本発明の成形用金型を示すV-V断面図である。
図7】本発明の別の成形用金型を示すV-V断面図である。
図8】本発明のさらに別の成形用金型を示すV-V断面図である。
図9】本発明と従来の磁石体の発生磁界分布を示すグラフである。
図10】配向用磁石の磁界強度を測定する様子を示す模式図である。
図11】現像ロールの一例を示す軸断面図及び現像ロールの表面磁界強度 波形の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0023】
図1は押出成形機(製造装置)1の主要部を示す軸断面図である。押出成形機1は、シリンダ2、スクリュー3、金型取付部4、金型5、配向用磁石7、磁性体軸6を含む。
【0024】
シリンダ2は円筒状をなしており、内部にスクリュー3を収容する。シリンダ2の外周部には図示しない加熱部が設けられている。加熱部は、シリンダ2の内部温度が押し出し成形に適した温度になるように制御されている。加熱部は公知のヒーターなどが用いられる。シリンダ2には図示しないホッパにより、マグネットロールとなる成形用の原料が供給される。
【0025】
成形用原料は、強磁性体粉末と熱可塑性樹脂とを公知の混合機などで混合し、混合物を、数mm以下に粉砕した後、造粒して製造される。
強磁性体粉末としては、バリウムフェライト及び/またはストロンチウムフェライトなどのフェライト磁粉の他、La及びCoを含有するストロンチウムフェライト磁粉、La及びCoを含有するカルシウムフェライト磁粉、R-Co系やR-Fe-B系、R-Fe-N系といった希土類系磁粉、これらフェライト磁粉と希土類系磁粉の混合物などが用いられる。
【0026】
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、塩化ビニル、ポリアセタール、EEA(Ethylene-Ethyl-Acrylate:エチレン-エチルアクリレート重合体)樹脂、EVA(Ethylene-Vinyl Acetate copolymer:エチレン酢酸ビニル重合体)樹脂、ABS(Acrylonitrile、Butadiene、Styrene:アクロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成)樹脂、ポリアミド樹脂等である。
【0027】
スクリュー3はシリンダ2の内部で回転し、成形用原料を混練しながら、図1の右方向から左方向に成形用原料を搬送する。本明細書でいう加熱混練部は、シリンダ2、スクリュー3、加熱部などを含む。
【0028】
金型取付部4は、円筒状をなし、一端側から他端側に向け縮径する中空構造となっている。図1では径の大きな一端側にシリンダ2が接続され、他端側に金型5が接続される。
【0029】
金型5は混練された成形用原料を所定の形に成形する。金型5は例えば筒状であり、成形されるマグネットロールの外周面側を成形する。金型5の内周面側には筒状の金型4と同軸なる磁性体軸6が図示しない公知の方法で配置されている。磁性体軸6はマグネットロールの内周面側を形成する。
【0030】
図4図1のV-V断面図である。金型5の外周面側に周方向に沿って、配向用磁石が定められた角度で配置されている。配向用磁石の角度や発せられる磁界の大きさは、製造されるマグネットロールの仕様に合わせ決められている。
図4には従来の配向用磁石を配置したマグネットロール成形用金型を示している。また本発明では金型5、磁性体軸6、配向用磁石をまとめてマグネットロール成形用金型と呼称する。
【0031】
次に本発明の金型について従来例を交えながら説明する。
図2A、Bは従来の配向用磁石の平面図である。配向用磁石8(従来例1)は平面視で等脚台形部と等脚台形の下底辺と同じ長さの辺を有する長方形部を有し、等脚台形の下底から上底に向かう向きに磁化方向を有するようにしてある。言い換えると配向用磁石8は平面視で長方形の一端側の隣り合う頂点を面取りした六角形をしている。 図2Aに示す配向用磁石8は長手方向に垂直直な面の断面視で矩形形状になるようにしてある。
【0032】
図2Bに示す従来の配向用磁石9(従来例2)は、平面視で図2Aに示す配向用磁石と形状輪郭ともに同じである。
等脚台形の先端部と等脚台形の下底と同じ長さの辺を有する長方形を組み合わせた形状をしている。言い換えると矩形(長方形)の一端側の隣り合う頂点を面取りした六角形をしている。
従来の配向用磁石9は一対の同形状の磁石10、11を張り合わせ構成されている。一対の磁石の磁化方向は配向用磁石の先端部(等脚台形の上底面)に向かって傾斜するようにしてある。言い換えると一対の磁石の磁化方向は磁石の張り合わせ面に対して傾斜するとともに配向用磁石の先端部に磁化方向が向くようにしてある。磁石10、11はそれぞれ矩形形状の一端側に傾斜面(面取り面)を有し、該傾斜面(面取り面)を長手方向で同じ向きとなるようにかつ傾斜面(面取り面)を有する面の反対面側で張り合わせてある。磁化方向は隣接する磁石の境界面に対して、互いに逆向きになるようにしてある。図2Bに示す配向用磁石9は長手方向に垂直な面の断面視で矩形形状になるようにしてある。
【0033】
本発明の配向用磁石を図3A、Bに示す。図3Aに示す配向用磁石は図2A図2Bに示す配向用磁石と形状、輪郭ともに同じである。等脚台形の先端部と等脚台形の下底と同じ長さの長方形を組み合わせた形状をしている。等脚台形の下底面と長方形の一辺が隣接する形で一体で形成されている。言い換えると本発明の配向用磁石は矩形(長方形)の一端側の隣り合う頂点を面取りした六角形をしている。
【0034】
図3Aに示す本発明の配向用磁石12は中央部の主磁石14と主磁石14を挟む一対の側部磁石13、15からなる。主磁石14は平面視長方形をしており、磁化の向きは配向用磁石12の面取り面を有する一端側を向いている。
【0035】
側部磁石13、15は同形状をしている。側部磁石13、15は台形形状をしている。側部磁石13、15は主磁石14をその下底面で挟むように主磁石14と公知の方法で張り合わせてある。側部磁石13、15は平面視で長方形の一つの頂点を面取りした台形形状をしている。一対の側部磁石13、15の磁化方向は主磁石14の磁化方向に向かい傾斜している。
【0036】
図3Bは本発明配向用磁石の別の実施形態、配向用磁石16である。一対の側部磁石17、15の内、側部磁石17の面取り面の傾斜角度が小さいことを除いて、本発明の配向磁石12と同様である。
ここで傾斜角度とは金型の中心軸に垂直な面での断面視において、側部磁石の、金型外周面に接している一つの頂点を形成する2つの辺による角度のことをいう。
【0037】
図3A、Bでは磁化方向が台形の先端部の上底辺側、言い換えると金型に向う側について示したが、磁化方向が金型から離れる方向の場合も本発明の範囲内である。
磁化方向が金型から離れる方向の場合には主磁石の磁化方向は金型から離れる方向、側部磁石の磁化方向は主磁石の磁化方向から離れる方向に傾斜している(主磁石、側部磁石とも図3A、Bにおいて磁化方向を示す矢印がすべて逆向きとなる)。
【0038】
図9に従来例1、従来例2及び本発明(図3Aに示す)による配向用磁石の磁界強度を示すグラフを示す。測定は図10に示す様に、配向用磁石の先端面に測定用の板(非磁性)を配置し測定する。測定用の板は磁界測定用のプローブと配向用磁石の測定時の軸方向の位置(軸方向の距離)を一定にする目的となっている。
図9に示す様に本発明の配向用磁石の磁界強度は従来例1に比較して格段に高い。また従来例2に比較してピーク強度は高くさらに測定位置-10~10mmに至るまで常に高い磁界強度を示しており、本発明の成形用金型に用いられる配向用磁石は高い磁界強度を得ることができることがわかる。
なお図3Bに示す配向用磁石17でもほぼ同じ高い磁界強度を示した。
【0039】
図4から図7は本発明及び従来のマグネットロール成形用金型の図1のV-V断面図である。図4は従来例1の配向用磁石を有するマグネットロール成形用金型である。図5は従来例2の配向用磁石を有するマグネットロール成形用金型である。図6は本発明の配向用磁石を有するマグネットロール成形用金型である。
【0040】
図4図5図6は筒状の金型5の周囲に配向用磁石を定められた角度で配置しており、配向用磁石の配置角度は同じとしている。
図7は配向用磁石の別の実施形態16を用いた場合を示す別の実施例である。配向用磁石を近接配置することができ、マグネットロールの波形を近接させたい場合に有効である。
具体的に図11を用いて説明する。図11は現像ロールの一例を示す軸断面図及び現像ロールの表面磁界強度波形の一例である。40は現像ロールに用いられるマグネットロール、50は非磁性のスリーブ、110はマグネットロールの中心孔を貫通するシャフト、60、70、80、90、100は現像ロールのそれぞれの磁極を示している。極の向きや強度、周方向の位置は現像ロールの仕様によって設定される。例えば図11の表面磁界強度波形(ピーク位置が極)を図6のマグネットロール成形用金型で成形されたものとする。磁極60と磁極100の位置を矢印で示す様に近づけたい場合には、図7に示す様に配向用磁石において面取り面の傾斜角度の小さい側を隣り合う配向用磁石の間になるようにすることで、配向用磁石を近接配置したマグネットロール用金型を用いれば良い。
【0041】
図8は従来例1の配向用磁石と本発明の配向用磁石を組み合わせてマグネットロール成形用金型を構成した例である。図8によれば比較的小さい磁界強度が必要な部分には従来の配向用磁石を用い、大きな磁界強度が必要な部分には本発明の配向用磁石を用いるので、マグネットロール成形用金型の磁界強度のコントロールが容易にできる。
【0042】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって限定されることは無い。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の範囲の変更はすべて含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 押出成形機(製造装置)の主要部
2 シリンダ
3 スクリュー
4 金型取付部
5 金型
6 磁性体軸
7 配向用磁石
8 従来の配向用磁石1(磁化方向違いも同番号)
9 従来の配向用磁石2(磁化方向違いも同番号)
10、11 磁石
12、16 本発明の配向用磁石(磁化方向違いも同番号)
13、14、15、17 磁石(主磁石又は側部磁石)
20 非磁性体の板
30 磁界強度測定用プローブ
40 マグネットロール
50 プローブ
60、70、80、90、100 磁極(波形)
110 シャフト













図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11