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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240409BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B41J2/165 101
B41J2/01 401
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020039350
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021138101
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】根本 雄介
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-048410(JP,A)
【文献】特開2003-182090(JP,A)
【文献】特開2010-214780(JP,A)
【文献】特開2018-138340(JP,A)
【文献】特開2001-162827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/165
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するヘッドのノズル面をキャッピングする吸引キャップと、
前記ヘッドのノズル面をキャッピングする保湿キャップと、を備え、
前記吸引キャップは、前記ノズル面に沿う方向において、前記ノズル面に対向する位置、前記ノズル面に対向しない複数の停止位置に移動可能であり、
前記ノズル面に対向しない複数の停止位置には、前記吸引キャップが当接する当接部材がそれぞれ配置され、
前記ノズル面に対向しない複数の停止位置にそれぞれ配置された前記当接部材は、異なる材質の部材であり、
前記吸引キャップと前記保湿キャップは、前記ノズル面に当接するときの高さが異なり、前記吸引キャップが前記当接部材に当接したとき、前記保湿キャップは前記ノズル面及び前記当接部材に当接していない
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
液体を吐出するヘッドのノズル面をキャッピングする吸引キャップと、
前記ヘッドのノズル面をキャッピングする保湿キャップと、を備え、
前記吸引キャップは、前記ノズル面に沿う方向において、前記ノズル面に対向する位置、前記ノズル面に対向しない複数の停止位置に移動可能であり、
前記ノズル面に対向しない複数の停止位置には、前記吸引キャップが当接する当接部材がそれぞれ配置され、
前記ノズル面に対向しない複数の停止位置のいずれかにおいて前記当接部材を清掃する手段を備え、
前記吸引キャップと前記保湿キャップは、前記ノズル面に当接するときの高さが異なり、前記吸引キャップが前記当接部材に当接したとき、前記保湿キャップは前記ノズル面及び前記当接部材に当接していない
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項3】
前記ノズル面に対向しない複数の停止位置は、第1停止位置、第2停止位置及び第3停止位置である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置。
【請求項4】
前記ノズル面に対向しない複数の停止位置に配置された前記当接部材の少なくともいずれかは、当接面が撥液性を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記ノズル面に対向しない複数の停止位置に配置された前記当接部材の少なくともいずれかは、吸収部材を含む
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
前記当接部材は交換可能である
ことを特徴とする請求項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
前記保湿キャップの数は前記ヘッドの数と同じである
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項8】
前記保湿キャップで前記ノズル面をキャッピングするときには、前記吸引キャップは前記ノズル面をキャッピングしない
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項9】
前記吸引キャップと前記保湿キャップとは、前記ノズル面に対して別々に進退可能である
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項10】
前記ノズル面に対向しない複数の停止位置にそれぞれ配置された前記当接部材は、異なる材質の部材である
ことを特徴とする請求項2に記載の液体を吐出する装置。
【請求項11】
前記ノズル面に対向しない複数の停止位置のいずれかにおいて前記当接部材を清掃する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出するヘッドを備える装置では、ヘッドの状態を維持、回復(メンテナンス)するために、ヘッドのノズル面(吐出面)をキャッピングする吸引キャップや保湿キャップを有するメンテナンスユニット(維持回復機構)を備える。
【0003】
従来、保湿キャップ、吸引キャップを備えたメンテナンス装置を有し、記録ヘッドに保湿キャップが対向する位置、記録ヘッドに吸引キャップが対向する位置にメンテナンス装置を変位させるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-214780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1に開示の構成にあっては、保湿キャップを使用しているときには吸引キャップの上面側は開放状態となる。そのため、吸引キャップ内の残留インクが乾燥により増粘し、吸引キャップにつながる排出経路を閉塞させ、吸引不良を引き起こすおそれがある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、吸引キャップ内の残留液体の増粘を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る液体を吐出する装置は、
液体を吐出するヘッドのノズル面をキャッピングする吸引キャップと、
前記ヘッドのノズル面をキャッピングする保湿キャップと、を備え、
前記吸引キャップは、前記ノズル面に沿う方向において、前記ノズル面に対向する位置、前記ノズル面に対向しない複数の停止位置に移動可能であり、
前記ノズル面に対向しない複数の停止位置には、前記吸引キャップが当接する当接部材がそれぞれ配置され、
前記ノズル面に対向しない複数の停止位置にそれぞれ配置された前記当接部材は、異なる材質の部材であり、
前記吸引キャップと前記保湿キャップは、前記ノズル面に当接するときの高さが異なり、前記吸引キャップが前記当接部材に当接したとき、前記保湿キャップは前記ノズル面及び前記当接部材に当接していない
構成とした。
【0008】
本発明によれば、吸引キャップ内の残留液体の増粘を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の概略説明図である。
図2】同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
図3】メンテナンスユニット(維持回復装置)とヘッドアレイの平面説明図である。
図4】同じく正面説明図である。
図5】同メンテナンスユニットの斜視説明図である。
図6】メンテナンスユニットの移動機構を含む斜視説明図である。
図7】同じく側面説明図である。
図8】メンテナンスユニットによるキャッピングと吐出ユニットのヘッドアレイの関係の説明に供する側面説明図である。
図9】メンテナンスユニットの吸引キャップの位置(ヘッド並び方向における位置)と当接部材の説明に供する正面説明図である。
図10】同じく各位置におけるメンテナンスユニットの状態の説明に供する斜視説明図である。
図11】吸引キャップの状態と各位置への移動の説明に供する正面説明図である。
図12】吸引キャップの状態と各位置への移動の説明に供する正面説明図である。
図13】本発明の第2実施形態の説明に供する正面説明図である。
図14】同じく斜視説明図である。
図15】吸引キャップの昇降機構(進退機構)の一例の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置について図1及び図2を参照して説明する。図1は同印刷装置の概略説明図、図2は同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
【0011】
印刷装置1は、シート材Pを搬入する搬入部10と、塗布部である前処理部20と、印刷部30と、第1乾燥部40と、第2乾燥部50と、反転機構部60と、搬出部70とを備えている。
【0012】
印刷装置1は、搬入部10から搬入(供給)されるシート材Pに対し、前処理部20で必要に応じて塗布液としての前処理液を付与(塗布)し、印刷部30でシート材Pに対して所要の液体を付与して所要の印刷を行う。
【0013】
そして、印刷装置1は、第1乾燥部40、第2乾燥部50でシート材Pに付着した液体を乾燥させた後、反転機構部60を介して、そのまま、又は、シート材Pの両面に印刷を行った後、シート材Pを搬出部70に排出する。
【0014】
搬入部10は、複数のシート材Pを収容する搬入トレイ11(下段搬入トレイ11A、上段搬入トレイ11B)と、搬入トレイ11からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12(12A、12B)とを備え、シート材Pを前処理部20に供給する。
【0015】
前処理部20は、例えばインクを凝集させ、裏写りを防止する作用効果を有する処理液をシート材Pの印刷面に付与する処理液付与手段である塗布手段21などを備えている。
【0016】
印刷部30は、シート材Pを周面に担持して回転する担持部材(回転部材)であるドラム31と、ドラム31に担持されたシート材Pに向けて液体を吐出する液体吐出部32を備えている。
【0017】
印刷部30は、前処理部20から送り込まれたシート材Pを受け取ってドラム31との間でシート材Pを渡す渡し胴34と、ドラム31によって搬送されたシート材Pを受け取って第1乾燥部40に渡す受け渡し胴35を備えている。
【0018】
前処理部20から印刷部30へ搬送されてきたシート材Pは、渡し胴34に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴34の回転に伴って搬送される。渡し胴34により搬送されたシート材Pは、ドラム31との対向位置でドラム31へ受け渡される。
【0019】
ドラム31の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シート材Pの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム31の表面には、複数の吸引穴が分散して形成され、吸引手段によってドラム31の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0020】
そして、渡し胴34からドラム31へ受け渡されたシート材Pは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸引手段による吸い込み気流によってドラム31上に吸着担持され、ドラム31の回転に伴って搬送される。
【0021】
液体吐出部32は、液体付与手段である吐出ユニット33(33A~33E)を備えている。例えば、吐出ユニット33Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット33Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット33Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット33Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。吐出ユニット33Eは、その他、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出に使用する。
【0022】
吐出ユニット33は、例えば、図2に示すような液体吐出手段であるヘッドアレイ100を有している。ヘッドアレイ100は、複数のノズル111をノズル面112に配列したノズル列を複数列有する複数の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)101をベース部材103に千鳥状に配置したフルライン型ヘッドを含む。ヘッドアレイ100の各ヘッド101に供給する液体を貯留するサブタンク(液体収容容器)も備える。
【0023】
液体吐出部32の各吐出ユニット33は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラム31に担持されたシート材Pが液体吐出部32との対向領域を通過するときに、吐出ユニット33から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0024】
第1乾燥部40は、例えばIRヒータなどの加熱手段42を備え、搬送部41で搬送される液体が付与されたシート材Pに赤外線を照射して加熱乾燥する。第2乾燥部50は、例えば紫外線照射部などの加熱手段52を備え、第1乾燥部40を通過し、搬送部51で搬送される液体が付与されたシート材Pに紫外線を照射して加熱乾燥する。なお、搬送部41と搬送部51は同じ搬送手段の一部で構成されている。
【0025】
反転機構部60は、第1乾燥部40及び第2乾燥部50を通過して一面に液体が付与されて乾燥されたシート材Pに対して両面印刷を行うときに、スイッチバック方式で、シート材Pを反転する反転部61と、反転されたシート材Pを印刷部30の渡し胴34よりも上流側に逆送する両面搬送部62とを備えている。
【0026】
搬出部70は、複数のシート材Pが積載される搬出トレイ71を備えている。反転機構部60から搬送されてくるシート材Pは、搬出トレイ71上に順次積み重ねられて保持される。
【0027】
なお、本実施形態では、シート材がカットシート材である例で説明しているが、壁紙などの大判のシート材を使用する装置、連帳紙などの連続体、ウェブ状のシート材などにも本発明を適用することができる。
【0028】
次に、メンテナンスユニット(維持回復装置)について図3ないし図5を参照して説明する。図3は同メンテナンスユニットとヘッドアレイの平面説明図、図4は同じく正面説明図、図5は同メンテナンスユニットの斜視説明図である。なお、図3はドラム31を展開した状態で示している。また、図4では保湿キャップによるキャッピング位置で一方の列のみ図示している。
【0029】
各吐出ユニット33(33A~33E)に対応してメンテナンスユニット300(300A~300E)がヘッド並び方向である矢印A方向に移動可能に配置されている。
【0030】
メンテナンスユニット300は、ベース部材301上に、ヘッド101のノズル面112をキャッピングする吸引キャップ311及び保湿キャップ312と、ノズル面112を払拭するウェブ状払拭部材313と、ブレード状払拭部材314とが配置されている。
【0031】
吸引キャップ311には吸引手段が接続され、ベース部材301に対して上下動可能に配置され、ヘッド101のノズル面112に対して進退動する。一方、保湿キャップ312は、ベース部材301上に弾性部材317を介して保持されている。
【0032】
これにより、吸引キャップ311と保湿キャップ312とは、ノズル面112に対して別々に進退可能である。
【0033】
また、図4に示すように、吸引キャップ311と保湿キャップ312は、ノズル面112に当接するときの高さが異なる。つまり、吸引キャップ311でノズル面112をキャッピングした状態では、保湿キャップ312はノズル面112には当接しない。
【0034】
吸引キャップ311、保湿キャップ312、払拭部材313、314は、それぞれ千鳥状に配置されたヘッド101の各列に対応してそれぞれ配置されている。
【0035】
ここで、保湿キャップ312の数はヘッド101の数と同じであり、すべてのヘッド101を保湿キャップ312でキャッピングできる。そして、保湿キャップ312でノズル面112をキャッピングするときには、吸引キャップ311はノズル面112をキャッピングしない。
【0036】
次に、メンテナンスユニットの移動機構について図6及び図7を参照して説明する。図6は同メンテナンスユニットの移動機構を含む斜視説明図、図7は同じく側面説明図である。
【0037】
メンテナンスユニット300は、ベース部材301の長手方向(移動方向)の両端部に回転可能なコロ302が取り付けられている。そして、メンテナンスユニット300はコロ302を介してヘッド並び方向に沿って配置されるガイド部材303に移動可能に保持されている。
【0038】
一方、移動機構320は、ステッピングモータ321のモータプーリ322とプーリ323との間に掛け回したタイミングベルト324を備えている。そして、ベース部材301の一端部(本実施形態では払拭部材313と反対側の端部)に設けた連結部材304とタイミングベルト324とを連結している。
【0039】
これにより、ステッピングモータ321を駆動することにより、図6(a)の位置と図6(b)との位置との間でメンテナンスユニット300を移動させることができる。
【0040】
次に、メンテナンスユニットによるキャッピングと吐出ユニットのヘッドアレイの関係について図8を参照して説明する。図8は同説明に供する側面説明図である。
【0041】
ヘッド101をキャッピングするときには、図8(a)に示すように、メンテナンスユニット300は吐出ユニット33のヘッド101とドラム31との間に入り込む。そして、メンテナンスユニット300の保湿キャプ312がヘッド101のノズル面112をキャッピングする。
【0042】
また、ヘッド101から液体を吐出するときには、図8(b)に示すように、吐出ユニット33のヘッド101とドラム31との間からメンテナンスユニット300が退避する。そして、ヘッド101がドラム31に対して所定のギャップになるまで矢印方向に下降する。
【0043】
次に、メンテナンスユニットの吸引キャップの位置(ヘッド並び方向における位置)と当接部材について図9及び図10を参照して説明する。図9は同説明に供する正面説明図、図10は同じく各位置におけるメンテナンスユニットの状態の説明に供する斜視説明図である。なお、図9ではヘッドが1つの状態で図示している。また、図10では吸引キャップが重なる当接部材は透過状態で示している。
【0044】
吸引キャップ311及び保湿キャップ312などを搭載したメンテナンスユニット300は、ヘッド101のノズル面112に沿う方向であって、ヘッド並び方向に移動可能に配置している。なお、吸引キャップ311はノズル面112などに当接する当接部(ニップ部)311aを有し、排出経路318を介して吸引手段に通じている。
【0045】
なお、メンテナンスユニット300が、ヘッド101のノズル面112に沿う方向であって、ヘッド並び方向と直交する方向に移動可能に配置する構成にも本発明は適用できる。
【0046】
ここで、吸引キャップ311の停止位置には、ヘッド101のノズル面112をキャッピングするときのノズル面112に対向する位置である吸引位置P0の他、ノズル面112に対向しない複数の停止位置として、第1停止位置P1、第2停止位置P2、ヘッド101に対向する吸引位置、第3停止位置P3がある。なお、本実施形態を含む各実施形態においては、3つの停止位置を有する例で説明するが、2つの停止位置、あるいは4つ以上の停止位置を有する構成としてもよい。
【0047】
本実施形態では、ヘッド101(ヘッドアレイ100)を挟んで第1停止位置P1及び第3停止位置P3と第2停止位置P2とを配置している。また、第1停止位置P1は第3停止位置P3よりもヘッド101(ヘッドアレイ100)に近い側としている。
【0048】
第1停止位置P1は、図9及び図10(a)に示すように、メンテナンスユニット300の保湿キャップ312がヘッド101のノズル面112をキャッピングしているキャッピング位置にあるときの位置である。第1停止位置P1には吸引キャップ311の当接部311aが当接する当接部材331を配置している。
【0049】
第2停止位置P2は、図10(b)に示すように、メンテナンスユニット300がヘッドアレイ100と対向せず、ヘッド101から液体を吐出して印刷を行っている印刷位置にあるときの位置である。第2停止位置P2には吸引キャップ311の当接部311aが当接する当接部材332を配置している。
【0050】
吸引位置P0は、図10(c)に示すように、吸引キャップ311がヘッド101のノズル面112をキャッピングする位置であり、ヘッドアレイ100の1つのヘッド列のヘッド数分の位置がある。
【0051】
第3停止位置P3は、図10(d)に示すように、吸引キャップ311のスタンピングを行う位置である。第3停止位置P3には吸引キャップ311の当接部311aが当接する第3当接部材333を配置している。
【0052】
ここで、当接部材331及び当接部材332は、少なくとも表面(当接面)に撥液性を有する部材としている。例えば、当接部材331及び当接部材332の表面は、平滑で、インクが付着しにくいフッ素系(フッ素樹脂:PTEE、PFA、FEPなど)の表面を有していることが好ましい。
【0053】
これに対し、当接部材333は、吸収部材で構成している。つまり、第3停止位置P3においては、吸引キャップ311に付着している液体(例えばインク)を転移させるため、エラー! リンクが正しくありません。として、インクの吸収を行いやすい材質、例えば発泡性の吸収体(スポンジ)、繊維を積層させた吸収体(インクジェット用インク吸収体)などを使用することが好ましい。
【0054】
次に、吸引キャップの状態と各位置への移動について図11及び図12を参照して説明する。図11及び図12は同説明に供する正面説明図である。
【0055】
ヘッドメンテナンス動作としてのヘッド吸引を行うときには、図11(a)に示すように、吸引キャップ311でノズル面112をキャッピングし、吸引手段を駆動してノズル111からインク400を吸引キャップ311内に吸引する。
【0056】
ヘッド吸引後、図11(b)に示すように、ヘッド101と吸引キャップ311を離間する(デキャップ)。
【0057】
その後、図11(c)に示すように、吸引キャップ311は第3停止位置P3(キャップスタンプ位置)に移動され、第3当接部材333に当接部311aを当接させるスタンピング動作を行う。第3当接部材333は、吸収部材で構成しているので、吸引キャップ311の当接部311aを当接させることで、当接部311aの残存インク400を除去することができる。
【0058】
このとき、前述したように、吸引キャップ311と保湿キャップ312とはヘッド101のノズル面112に当接するときの高さが異なる。これにより、第3当接部材333に吸引キャップ311の当接部311aを当接させたときに保湿キャップが312がノズル面112などに接触することを回避することができる。
【0059】
また、ヘッド101から液体を吐出して印刷を行っているときには、図12(a)に示すように、吸引キャップ311は第2停止位置P2に移動し、当接部材332に当接させる。
【0060】
このとき、吸引キャップ311は開口部が当接部材332で塞がれるので、吸引キャップ311は密閉状態となり、吸引キャップ311内の残存インク400の乾燥が抑制され、増粘インクにより排出経路が閉塞されることを防止できる。
【0061】
この状態から、図12(b)に示すように、吸引キャップ311をヘッド吸引位置に移動してヘッド101のノズル面112をキャッピングするとき、吸引キャップ311の当接部311aの残存インクは除去されているので、ノズル面112へのニップ形成状態は安定する。
【0062】
また、ヘッド101のノズル面112を保湿キャップ312でキャッピングするときには、図9及び図12(c)に示すように、吸引キャップ311は第2停止位置P2に位置して、当接部材332に当接する。これにより、吸引キャップ311の開口は当接部材332で塞がれ、吸引キャップ311内が乾燥しないよう封止された状態となっている。
【0063】
このように、吸引キャップ311の開口を当接部材331、当接部材332で塞ぐことで、吸引キャップ311内の残留液体の乾燥を抑制することができる。また、当接部材333を吸収部材で構成することにより、吸引キャップ311の当接部311aの清浄度を保ったままとすることができるので、吸引キャップ311の性能を長期に亘って維持することができる。
【0064】
次に、本発明の第2実施形態について図13及び図14を参照して説明する。図13は同実施形態の説明に供する正面説明図、図14は同じく斜視説明図である。
【0065】
本実施形態では、ヘッドアレイ100のベース部材103に当接部材332及び当接部材333を保持している。当接部材331についてもベース部材103により保持している。
【0066】
そして、当接部材333は当接部材保持部材334に接着剤や両面テープなどで保持されている。そして、当接部材保持部材334をベース部材103に設けた開口部104に着脱可能に取り付けることで、当接部材333はベース部材103に交換可能に保持している。当接部材保持部材334とベース部材103とは取り外し可能にネジなどで固定している。
【0067】
これにより、当接部材333の使用状態では、図13(a)及び図14(a)に示すように、当接部材333は当接部材保持部材334を介してベース部材103に固定保持される。
【0068】
そして、当接部材333を構成する吸収部材でインクを吸収できなくなった場合には、図13(b)及び図14(b)に示すように、当接部材333を当接部材保持部材334とともにベース部材103から取り外す。そして、新規の当接部材333をベース部材103に固定保持する。
【0069】
これにより、吸引キャップ311の当接部311aを継続的に清浄化することができる。
【0070】
次に、吸引キャップの昇降機構(進退機構)の一例について図15を参照して説明する。図15は同説明に供する説明図である。
【0071】
吸引キャップ311はカムフォロア343を有し、カムフォロア343は軸342で回転するカム341の周面に倣って移動する。これにより、吸引キャップ311が上下動(進退動)する。
【0072】
なお、上記各実施形態において、第1停止位置P1又は第2停止位置P2の少なくとも一方において、当接部材331、332をメンテナンスユニット300のウェブ状払拭部材313、ブレード状払拭部材314などを使用して清掃することができる。
【0073】
これにより、当接部材331、332に付着した吸引キャップ311の当接部311aの残存液体(インク)を払拭することがで、当接部材の使用期間を延ばすことができる。
【0074】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0075】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0076】
また、「液体を吐出する装置」には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0077】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0078】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0079】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0080】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0081】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0082】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0083】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0084】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0085】
1 印刷装置
10 搬入部
20 前処理部
30 印刷部
32 吐出ユニット
40 第1乾燥部
50 第2乾燥部
60 反転機構部
70 搬出部
100 ヘッドアレイ
101 ヘッド
112 ノズル面
300 メンテナンスユニット
301 ベース部材
311 吸引キャップ
312 保湿キャップ
331、332、333 当接部材
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