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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】音波反射装置及び音波出力方法
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/28 20060101AFI20240409BHJP
   H04R 1/34 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G10K11/28
H04R1/34 310
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020046927
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021148885
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】落合 恭也
(72)【発明者】
【氏名】松下 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】淺井 章弘
(72)【発明者】
【氏名】武捨 章洋
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-043867(JP,A)
【文献】特開平02-193089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/00-13/00
H04R 1/00- 1/08
H04R 1/12- 1/14
H04R 1/20- 1/40
H04R 1/42- 1/46
H04R 3/00
H04R 9/00
H04R 13/00
H04R 15/00
H04R 17/00
H04R 17/10
H04R 19/00
H04R 23/00
H04R 29/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波を反射する第一反射板と、
前記第一反射板より大きな反射表面積を有する、放物面の反射面を有する第二反射板と、
を備え、
前記第一反射板は、前記第二反射板の前記反射面と前記反射面の焦点位置との間に配置され、前記第一反射板に向けて放音された音波が前記第一反射板で反射し、反射した音波が前記第二反射板で再反射するように、前記第二反射板と対向して配置され
前記第二反射板は、長穴が空いており、前記焦点位置を中心に前記長穴の長手方向に回転可能である、
音波反射装置。
【請求項2】
前記第一反射板は、前記第一反射板に向けて放音された音波が前記第一反射板で反射したときの音波の直進方向と、前記第二反射板の前記焦点位置から放音した場合の音波の直進方向とが一致する位置に配置される、
請求項1に記載の音波反射装置。
【請求項3】
記第二反射板の前記反射面とは異なる面側に設置したスピーカから前記第二反射板の前記長穴を介して前記第一反射板に向けて放音可能である、
請求項1または2に記載の音波反射装置。
【請求項4】
前記スピーカと、前記第二反射板の反射面側をつなぐ筒状の音波伝達経路を有する、
請求項3に記載の音波反射装置。
【請求項5】
前記第一反射板は、中央に穴が空いている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の音波反射装置。
【請求項6】
前記第二反射板はモータ駆動により回転可能である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の音波反射装置。
【請求項7】
人感センサを有しており、人のいる方向に向けて音波の発信が可能である、
請求項に記載の音波反射装置。
【請求項8】
タイマー機能を有しており、時間帯によって音波の発信方向切り替えが可能である、
請求項6または7に記載の音波反射装置。
【請求項9】
音波を反射する第一反射板と、
前記第一反射板より大きな反射表面積を有する、放物面の反射面を有する第二反射板と、
を備え、
前記第一反射板は、前記第二反射板の前記反射面と前記反射面の焦点位置との間にて前記第二反射板と対向して配置され、前記第二反射板は、長穴が空いており、前記焦点位置を中心に前記長穴の長手方向に回転可能である、音波反射装置を用いた音波出力方法であって、
前記第二反射板を、前記焦点位置を中心に前記長穴の長手方向に回転して前記第二反射板の傾きを変更するステップと、
前記第一反射板に向けて放音する放音ステップと、
前記第一反射板に向けて放音された音波が前記第一反射板で反射する反射ステップと、
前記第一反射板にて反射した音波が前記第二反射板の前記反射面で再反射する反射ステップと、
を含む音波出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音波反射装置及び音波出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放物曲面を有する凹型の反射板(パラボラ反射板)を利用してスピーカの指向特性を変化させる技術がある。
【0003】
例えば特許文献1には、スピーカを覆うように曲面状の反射板を配置し、かつ、反射板の反射面の焦点位置にスピーカを配置して、スピーカから放音された音波を反射板で反射させることによって、スピーカの指向性を高める手法が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1などに記載される従来の曲面反射板を使用したスピーカの方式では、上述のようにスピーカの周囲を覆うように反射板を配置するため、スピーカサイズより曲面反射板のサイズを大きくする必要がある。このため、反射板の大きさがスピーカに依存し、小型化が困難な場合がある。
【0005】
本発明は、パラボラ反射板を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一観点に係る音波反射装置は、音波を反射する第一反射板と、前記第一反射板より大きな反射表面積を有する、放物面の反射面を有する第二反射板と、を備え、前記第一反射板は、前記第二反射板の前記反射面と前記反射面の焦点位置との間に配置され、前記第一反射板に向けて放音された音波が前記第一反射板で反射し、反射した音波が前記第二反射板で再反射するように、前記第二反射板と対向して配置され、前記第二反射板は、長穴が空いており、前記焦点位置を中心に前記長穴の長手方向に回転可能である
【発明の効果】
【0007】
パラボラ反射板を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る音波反射装置の一例を示す斜視図
図2】パラボラ反射板により指向性が変化する原理について説明する図
図3】音波反射装置とスピーカの配置の一例を示す断面図
図4】第一反射板の具体的な設置位置と形状の一例を示す断面図
図5】第一反射板の第1変形例を示す断面図
図6】第一反射板の第2変形例を示す断面図
図7】第一反射板の第3変形例を示す断面図
図8】音波伝達経路の一例を示す図
図9】第一反射板の形状の他の例を示す図
図10】第二反射板の傾きを変化させる傾き調整機構の一例を示す平面図
図11図10に示す傾き調整機構の断面図
図12】傾き調整機構による第二反射板の傾き変更後の状態を示す平面図
図13図12に示す第二反射板の傾き変更後の状態を示す断面図
図14】傾き調整機構の自動制御の一例を示す平面図
図15図14に示す傾き調整機構の断面図
図16】制御装置のハードウェア構成の一例を示す図
図17】人感センサによる音波反射装置の自動動作のフローチャート
図18】タイマー機能による音波反射装置の自動動作のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
なお、以下の説明において、x方向、y方向、z方向は互いに垂直な方向である。x方向及びy方向は、第一反射板11及び第二反射板12の径方向である。z方向は、第一反射板11と第二反射板12との対向方向である。z正方向が音波の出力方向である。
【0011】
図1は、実施形態に係る音波反射装置10の一例を示す斜視図である。図1に示すように、音波反射装置10は、第一反射板11と第二反射板12とを備える。第一反射板11と、第二反射板12は、放物曲面をした凹型の反射面を有するパラボラ反射板であり、第二反射板12のほうが第一反射板11より反射面の径が大きく形成される。
【0012】
音波反射装置10は、第一反射板11の反射面11aが、第二反射板12の反射面12aと向かい合うように(図3参照)、2つの反射板11、12を対向して設置させた構造をとる。音波反射装置10では、第一反射板11に向けて放音された音波が第二反射板12に再度反射して一方向へ音波が伝達される。この反射板11,12により、指向性を持たないスピーカでも高い指向性となり、一方向への発信が可能となる。
【0013】
既存のパラボラスピーカでは、放物面の焦点の位置に直接スピーカを設置している場合がほとんどであるが(例えば特許文献1参照)、その場合、スピーカよりも反射板(本実施形態では第二反射板12)のサイズを大きくする必要がある。それに対し本実施形態では、第二反射板12の焦点位置側に、スピーカではなく第一反射板11を設置している。この第一反射板11のサイズを、使用するスピーカより小さくすることによって、第二反射板12のサイズも小さくすることができる。第一反射板11に向けて放音した際、第一反射板11で反射して音波が第二反射板12に向けて拡散するため、結果的に第一反射板11は疑似的なスピーカとして機能する。
【0014】
図2は、パラボラ反射板により指向性が変化する原理について説明する図である。図2には、X-Y座標系に放物線Y=a・X^2が描かれている。この座標系のY軸は、図1などに示す三次元座標系のz方向に対応し、X軸はx方向及びy方向に対応する。
【0015】
一般に、放物線は、焦点から曲線までの距離と、曲線からY軸に直交する直線までの距離の和は変化しないと言う特性がある。例えば図2のように放物線Y=a・X^2の焦点位置F(0,f)と、放物線上の点P(p,a・p^2)、Q(q,a・q^2)があり、Y軸と直交する直線上で点Pと垂直な線でつながる点R、同様に点Qと垂直な線でつながる点R´がある場合、以下の(1)式の関係が成り立つ。
【0016】
FP + PR = FQ + QR´ ・・・(1)
【0017】
仮に、p=0、q=√(f/a)とした場合、点P、Qの座標はそれぞれP(0,0)、Q(√(f/a),f)となる。このとき(1)式に当てはめると、下記の(2)式のようにaが求まる。
【0018】
【数1】
【0019】
以上から、下記の(3)式が成り立つ条件で焦点位置Fを設定することができる。
【0020】
【数2】
【0021】
この放物線の特性を利用したものとして、例えばパラボラアンテナのような電波に適用したもの、ヘッドライトや天体望遠鏡のように光に適用したものなどがあり、これらと同じように波である音波にも同様に応用できる。
【0022】
図3は、音波反射装置10とスピーカ13の配置の一例を示す断面図である。図3は、例えば第一反射板11及び第二反射板12の開口の直径を通り、z方向に平行な断面を模式的に示している。
【0023】
図3に示すように、例えば音波反射装置10は、第二反射板12の一部(図3の例では凹状の反射面12aの底部中央)に穴14が板厚方向に連通して設けられ、反射面12aとは反対側にスピーカ13が設置され、第一反射板11に向けて放音する構成が考えられる。
【0024】
従来のように、スピーカ13を第二反射板12の反射面12a側に設置する構成では、スピーカ13より大きい反射面としなければならず、音波反射装置10のサイズが大型化してしまう。しかし第二反射板12がスピーカ13に対して十分な大きさがない場合には、音が拡散してしまい、効果的に高い指向性が得られない。
【0025】
これに対して本実施形態では、スピーカ13の代わりに、スピーカ13より小型の第一反射板11を第二反射板12の反射面12a側に設置し、その反対側にスピーカ13を設置することで、第二反射板12のサイズを抑える構成としている。図3に一点鎖線で示すように、スピーカ13から放音された音波は、一度は第一反射板11の反射面11aで反射され、さらに第二反射板12で反射して、一方向へと発信される。
【0026】
このように、本実施形態の音波反射装置10は、音波を反射する第一反射板11と、第一反射板11より大きな反射表面積を有する、放物面の反射面12aを有する第二反射板12と、を備える。第一反射板11は、第二反射板12の反射面12aと、この反射面12aの焦点位置との間に配置され、第一反射板11に向けて放音された音波が第一反射板11で反射し、反射した音波が第二反射板12で再反射するように対向して配置される。この構成により、上述のように第二反射板12の径のサイズを抑えることが可能となり、パラボラ反射板を小型化することができる。
【0027】
また、第二反射板12に穴14を設け、第二反射板12の反射面12aとは異なる面側に設置したスピーカ13から第一反射板11に向けて放音可能とすることで、反射板11、12のサイズがスピーカ13のサイズの影響を受けないようにできる。つまり、スピーカ13が大きい場合でも、スピーカ13は第一反射板11と第二反射板12との相対位置とは関係なく配置されるので、第二反射板12のサイズを大きくする必要がない。また、スピーカ13の配置の自由度を向上できる。
【0028】
図4は、第一反射板11の具体的な設置位置と形状の一例を示す断面図である。図4や以降の断面図は、図3と同様に、第一反射板11及び第二反射板12の開口の直径を通り、z方向に平行な断面を模式的に示している。
【0029】
前述の通り、焦点から反射面に向けて放音された音波は、反射すると一方向へ向う特性がある。第一反射板11を用いない場合には、第二反射板12の焦点位置にスピーカ13を設置し、第二反射板12の反射面に向けて放音することで一方向へ向かう指向性の強い音波が得られるが、第一反射板11を介する場合には、焦点位置と第一反射板11との位置関係を考慮する必要がある。
【0030】
本実施形態では、第一反射板11を用いる場合、第一反射板11に向けて放音して一度音波を反射させてから、第二反射板12で再度反射させる。この構成では、図4に示すように、第一反射板11で反射したときの音波の直進方向と、第二反射板12の焦点位置から放音した場合の音波の直進方向が一致する位置に第一反射板11を設置するのが好ましい。
【0031】
なお、図4等では、第2反射板12と焦点位置との位置関係が分かりやすいように第2反射板14を大きく描いているが、実際にはスピーカ13が第2反射板14の凸面側(焦点と反対側)に出ているため、第2反射板14のサイズがスピーカ13のサイズに左右されない。図4の例では、第二反射板14は、スピーカ13のサイズに対して第一反射板11程度の大きさであれば事足りる。このように、図4の構成によって、パラボラ反射板をより一層小型化できる。
【0032】
なお、上記の条件を満たせば、第一反射板11の形状は図4に示す凹曲面以外のどのような形状でもよい。図5図7は、第一反射板の第1変形例11-1、第2変形例11-2、第3変形例11-3を示す断面図である。例えば図5に示す第1変形例11-1のように、xy平面と平行な反射面を有する平板状としてもよいし、図6に示す第2変形例11-2のように、断面が三角形状であり、第二反射板12側に突出する凸形状でもよいし、図7に示すように、第二反射板12側に突出する半球状でもよい。
【0033】
図8は、音波伝達経路15の一例を示す図である。図8に示すように、音波反射装置10は、第二反射板12の穴14から第一反射板11側(z正方向側)へ突出して設けられ、第一反射板11とスピーカ13の間をつなぐ筒状の音波伝達経路15を備える構成でもよい。
【0034】
第一反射板11に向けて放音したとき、第一反射板11とスピーカ13との間の距離が大きく離れていると、一部の音波しか第一反射板11に当たらず、そのまま拡散してしまう音波も発生する。これでは指向性が広がってしまうため、反射板11,12を使用している意味が薄れてしまう。そこで、図8に示すように、スピーカ13と第一反射板11の間で音が拡散するのを防ぐために音波伝達経路15を使用する。音波伝達経路15は、スピーカ13と、第二反射板12の反射面12a側をつなぐ。これにより音の放音位置を第一反射板11の近傍に設定することができるため、音波の拡散を抑えることができる。
【0035】
図9は、第一反射板11の形状の他の例を示す図である。図9に示すように、第一反射板11は、凹状の反射面11aの底部の中央に穴16が空いている構成でもよい。
【0036】
スピーカ13から放音された音波は第一反射板11で反射を行うが、入射角の浅いスピーカ13正面付近では、反射した音波は第二反射板12で反射せずにスピーカ13側へ戻ってきてしまう。このとき、第一反射板11に穴16が空いている構成とすることで、第二反射板12に向かわない音波を直接直進方向(z正方向側)に放音することができるため、第一反射板11による音波の損失を低減でき、より効率の良い運用が可能となる。
【0037】
図10は、第二反射板12の傾きを変化させる傾き調整機構20の一例を示す平面図である。図11は、図10に示す傾き調整機構20の断面図である。図10図11に示すように、音波反射装置10は、第二反射板12の傾きを変化させる傾き調整機構20を備える構成でもよい。
【0038】
例えば、図10に示すように、x方向を長軸方向とする長円または楕円形状の長穴21が、第二反射板12の凹状の反射面12aの底部の中央に設けられる。傾き調整機構20は、例えばこの長穴21の長軸方向に沿って、反射面12aの焦点位置を中心に回転することで、第二反射板12の傾きを変更できる。傾き調整機構20は、第二反射板12を3つ以上の(図10の例では4個)ローラ23で支持し、これらのローラ23のうちの一つがつまみ22と連結されていて、例えば利用者がこのつまみ22を回すことでローラ23が回転し、第二反射板12の傾きを変更する。これにより、スピーカ13の位置を変更することなく音波を飛ばす方向を変更可能となる。また、音波伝達経路15と同様の通常の音波伝達経路15Aを、スピーカ13と第一反射板11との間に相対位置が変わらないように、例えばスピーカ13側に固定して長穴21を貫通して配置してもよい。
【0039】
図12は、傾き調整機構20による第二反射板12の傾き変更後の状態を示す平面図である。図13は、図12に示す第二反射板12の傾き変更後の状態を示す断面図である。図12図13では、第二反射板12をx正方向側に回動させた状態を例示している。この場合、音波の出力方向はz正方向からx負方向へ傾斜する方向へ変更される。このように、傾き調整機構20によって第二反射板12の傾きを変更する構成により、音波反射装置10を設置した後でも音波の出力方向を任意に変更できるので、音波反射装置10の汎用性を向上できる。また、音波反射装置10の設置も容易にできる。
【0040】
図14は、傾き調整機構20の自動制御の一例を示す平面図である。図15は、図14に示す傾き調整機構20の断面図である。図14図15に示すように、傾き調整機構20の動作を自動化して、第二反射板12の傾きを自動で変化させる構成でもよい。
【0041】
例えば、図14図15に示すように、図10に示したつまみ22の代わりに、ローラ23を駆動させるモータ24を連結させる。この構成とすることで、ローラ23を電動的に稼働させることができる。また、モータ24は、制御装置25からの指令に応じて動作する。
【0042】
このように傾き調整機構20を自動で稼働させることで、例えば人感センサなどと組み合わせ、センサの反応がある方向に向けて放音することや、タイマー機能と組み合わせて時間によって放音角度を切り替えるなどの自動動作も実施することができる。これにより、音波反射装置10の汎用性をさらに向上できる。
【0043】
図16は、制御装置25のハードウェア構成の一例を示す図である。制御装置25は、CPU101、人感センサ102、タイマー103を備える。CPU101は、モータ24を動作させるタイミングを計算、指示する。人感センサ102は、音波反射装置10付近に人がいることを検知する。タイマー103は、時間やタイミングを認識するために計時する。
【0044】
例えば、音波反射装置10の付近に人が近づいたとき、人感センサ102によって人のいる方向が認識される。このとき、CPU101にて算出・指示された動作を傾き調整機構20のモータ24が行うことで、第二反射板12の放射角度を変更することができる。
【0045】
また、時間ごとに放射したい角度を変更したい場合には、タイマー103により時間やタイミングを認識し、所定のタイミングでCPU101にて算出・指示された動作を傾き調整機構20のモータ24が行うことで、第二反射板12の放射角度を変更することができる。
【0046】
図17は、人感センサ102による音波反射装置10の自動動作のフローチャートである。
【0047】
図17に示すように、装置付近に人が近づくと人感センサ102が反応し(S11のYEs)、人のいる方向を認識する。次に、CPU101が、傾けたい方向に第二反射板12を傾けるために必要なモータ24の動作を算出し(S12)、モータ24がCPU101の指示に沿った動作を行う(S13~S15)。
【0048】
これにより、第二反射板12の傾き、及び、音波の出力方向を指定角度に自動的に向けることができる。この機能を利用すれば、例えば音波反射装置10の近くを通過する人に対して、連続して音波の発信を行うことも可能である。
【0049】
図18は、タイマー機能による音波反射装置10の自動動作のフローチャートである。
【0050】
図18に示すように、タイマー103が予め設定した時間になると(S21のYes)、CPU101は、指定された傾きに音波を放射するよう、傾き調整機構20のモータ24を動作させる(S22~S24)。
【0051】
これにより、第二反射板12の傾き、及び、音波の出力方向を指定角度に自動的に向けることができ、例えば指定時間ごとに音波を放射する角度を変更することも可能である。
【0052】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0053】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 音波反射装置
11 第一反射板
12 第二反射板
12a 反射面
13 スピーカ
14 第二反射板の穴
15、15A 音波伝達経路
16 第一反射板の穴
21 長穴
24 モータ
25 制御装置
102 人感センサ
103 タイマー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【文献】特開平06-178377
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18